説明

磁気情報読取装置

【課題】磁気データの記録密度が国際規格やJIS規格から外れている磁気情報記録媒体の磁気データの復調、復号が可能であっても、汎用性を高めることが可能な磁気情報読取装置を提供すること。
【解決手段】磁気情報読取装置は、磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データの読取が可能な磁気ヘッド3と、磁気ヘッド3で読み取られた磁気データを復調し、復号するための制御回路23とを備えている。磁気ヘッド3は、複数の記録密度の磁気データの読取が可能なチャンネル3a、3b、3cを備え、制御回路23は、1つのチャンネル3a(3b、3c)に並列に接続されるとともに複数の記録密度の磁気データを記録密度ごとに処理するための複数の処理回路26、27と、複数の処理回路26、27の出力側が直接または所定の回路を介して接続される演算回路24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報記録媒体に記録された磁気データを読み取るための磁気情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ストライプを有する磁気カードの記録様式は、国際規格やJIS規格によって規定されている。この規格に適合する磁気カードとして、図4に示すように、裏面2aと表面2bとの両面に磁気ストライプ2c、2dが形成されるカード2が日本国内で広く流通している。JIS規格「JISX6302−2」によれば、裏面2aに形成される磁気ストライプ2cには、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの3つのトラックの磁気データが記録され、表面2bに形成される磁気ストライプ2dには、トラック2h(以下、第4トラック2hとする。)の1つのトラックの磁気データが記録される。また、上記のJIS規格によれば、第1トラック2e、第3トラック2gおよび第4トラック2hに記録される磁気データの記録密度(より具体的には、平均記録密度)は210bpiであり、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度(より具体的には、平均記録密度)は75bpiである。
【0003】
また、図4に示すように、カード2の短手方向の一端部2jから第1トラック2eの一端までの距離をL1、一端部2jから第1トラック2eの他端までの距離をL2、一端部2jから第2トラック2fの一端までの距離をL3、一端部2jから第2トラック2fの他端までの距離をL4、一端部2jから第3トラック2gの一端までの距離をL5、一端部2jから第3トラック2gの他端までの距離をL6、一端部2jから第4トラック2hの一端までの距離をL7、一端部2jから第4トラック2hの他端までの距離をL8とすると、距離L1〜L8は、JIS規格にしたがって、たとえば、下記のように設定されている。
L1:5.6(mm)、L2:8.46(mm)、L3:8.97(mm)、L4:11.76(mm)、L5:12.27(mm)、L6:15.32(mm)、L7:6.3(mm)、L8:11.7(mm)
なお、距離L1〜L8がこのように設定される場合には、第4トラック2hの一部は、カード2の厚さ方向から見たときに、第2トラック2fの全域とほぼ重なる位置に配置されている。
【0004】
従来、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの3つのトラックの磁気データが磁気ストライプ2cに記録されたカード2を読み取るための磁気カードリーダとして、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gのそれぞれに当接する3つのチャンネルを有する磁気ヘッドが搭載された磁気カードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載の磁気カードリーダでは、たとえば、磁気データを復調し、復号するための読取回路として、第1トラック2eに当接するチャンネルおよび第3トラック2gに当接するチャンネルのそれぞれに210bpi用の読取回路が接続され、第2トラック2fに当接するチャンネルに75bpi用の読取回路が接続されている。なお、従来、1つのトラックの磁気データが記録される磁気ストライプ2dを読み取るための1つのチャンネルを有する磁気ヘッドが搭載された磁気カードリーダも使用されている。この磁気カードリーダでは、磁気データを復調し、復号するための読取回路として、磁気ストライプ2dに当接するチャンネルに210bpi用の読取回路が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−306211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、市場で流通するカード等の磁気情報記録媒体は多様化しており、国際規格やJIS規格に準じていない磁気情報記録媒体も市場に出回っている。たとえば、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録される磁気データの記録密度が全て210bpiである磁気情報記録媒体や、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録される磁気データの記録密度が全て75bpiである磁気情報記録媒体が市場に出回っている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダでは、第1トラック2eに当接するチャンネルおよび第3トラック2gに当接するチャンネルのそれぞれに210bpi用の読取回路が接続され、第2トラック2fに当接するチャンネルに75bpi用の読取回路が接続されているため、各トラックの磁気データの記録密度が国際規格やJIS規格から外れている磁気情報記録媒体の磁気データを適切に復調し、復号することは難しい。したがって、従来のカードリーダの場合、このような規格外の磁気情報記録媒体の磁気データを復調し、復号するためには、読取回路を変更して、この磁気情報記録媒体専用のカードリーダにしなければならず、カードリーダの汎用性が低下する。
【0009】
また、上述のカード2のように、裏面2aと表面2bとの両面に磁気ストライプ2c、2dが形成されるカード2であって、カード2の厚さ方向から見たときに、210bpiの磁気データが記録される第4トラック2hの一部が、75bpiの磁気データが記録される第2トラック2fの全域とほぼ重なる位置に配置されているカード2を処理する場合には、従来のカードリーダでは、裏面2aの磁気ストライプ2cの磁気データを読み取るための磁気ヘッドと、表面2bの磁気ストライプ2dの磁気データを読み取るための磁気ヘッドとが必要になる。そのため、カードリーダが大型化し、また、カードリーダのコストも高くなる。
【0010】
そこで、本発明の課題は、磁気データの記録密度が国際規格やJIS規格から外れている磁気情報記録媒体の磁気データの復調、復号が可能であっても、汎用性を高めることが可能な磁気情報読取装置を提供することにある。また、本発明の課題は、裏面と表面との両面に磁気ストライプが形成された磁気情報記録媒体であって、磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、異なる記録密度の磁気データが記録されるトラックが表裏で重なる位置に配置されている磁気情報記録媒体の表裏の磁気データを、比較的簡易な構成で、復調し、復号することが可能な磁気情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報読取装置は、磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データの読取が可能な磁気ヘッドと、磁気ヘッドで読み取られた磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、磁気ヘッドは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能な1個以上のチャンネルを備え、制御回路は、1つのチャンネルに並列に接続されるとともに複数の記録密度の磁気データを記録密度ごとに処理するための複数の処理回路と、複数の処理回路の出力側が直接または所定の回路を介して接続される演算回路とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の磁気情報読取装置では、磁気ヘッドは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能な1個以上のチャンネルを備え、制御回路は、1つのチャンネルに並列に接続されるとともに複数の記録密度の磁気データを記録密度ごとに処理するための複数の処理回路を備えている。そのため、本発明では、ある磁気情報記録媒体の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度と、他の磁気情報記録媒体の磁気ストライプに記録される磁気データの記録密度とが異なっていても、この異なる記録密度の磁気データを磁気ヘッドの1つのチャンネルで読み取って、制御回路で復調し、復号することが可能になる。すなわち、本発明では、国際規格やJIS規格に準じた記録密度の磁気データと、国際規格やJIS規格から外れている記録密度の磁気データとを1つのチャンネルで読み取って、制御回路で復調し、復号することが可能になる。したがって、本発明の磁気情報読取装置では、磁気データの記録密度が国際規格やJIS規格から外れている磁気情報記録媒体の磁気データの復調、復号が可能であっても、汎用性を高めることが可能になる。
【0013】
また、本発明では、磁気ヘッドは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能な1個以上のチャンネルを備え、制御回路は、1つのチャンネルに並列に接続されるとともに複数の記録密度の磁気データを記録密度ごとに処理するための複数の処理回路を備えている。そのため、本発明では、ユーザが磁気情報記録媒体を裏返して所定の操作を行うことで、磁気情報記録媒体の表面の磁気ストライプのトラックに記録される磁気データの記録密度と、磁気情報記録媒体の裏面の磁気ストライプのトラックに記録される磁気データの記録密度とが異なっており、かつ、磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、これらのトラックが表裏で重なる位置に配置されている磁気情報記録媒体の、表面の磁気ストライプの磁気データおよび裏面の磁気ストライプの磁気データの両データを1個の磁気ヘッドで読み取って、制御回路で復調し、復号することが可能になる。すなわち、本発明では、比較的簡易な構成で、このような磁気情報記録媒体の、表面の磁気ストライプの磁気データおよび裏面の磁気ストライプの磁気データの両データを復調し、復号することが可能になる。
【0014】
本発明において、制御回路は、複数の処理回路が入力側に並列に接続されるとともに演算回路が直接または所定の回路を介して出力側に接続される切替回路を備え、演算回路は、入力される信号に基づいて、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別し、判別された記録密度の磁気データを処理するための処理回路からの出力信号が演算回路に入力されるように切替回路を切り替えることが好ましい。このように構成すると、複数の処理回路の出力側が所定の回路を介して演算回路に接続されていても、磁気データの復調、復号時に、磁気ストライプに記録された記録密度の磁気データを処理するための処理回路からの出力信号のみを演算回路に入力することが可能になる。したがって、磁気データを復調し、復号する際の演算回路の処理を簡素化することが可能になり、磁気データを復調し、復号する際の演算回路の処理時間を短縮することが可能になる。
【0015】
本発明において、制御回路は、切替回路からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する復調用信号生成回路を切替回路と演算回路との間に備え、処理回路は、チャンネルからの出力信号の所定の周波数成分を除去するフィルタ回路と、フィルタ回路からの出力信号を微分する微分回路とを備えることが好ましい。このように構成すると、制御回路が複数の処理回路を備えている場合であっても、共通の復調用信号生成回路で復調用信号を生成することが可能になる。したがって、制御回路の構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
本発明において、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、演算回路は、チャンネルでの同期用データの読取結果に基づいて、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することが好ましい。このように構成すると、複数の処理回路の出力側が所定の回路を介して演算回路に接続されていても、磁気データの有効データ部分の復調、復号時には、磁気ストライプに記録された記録密度の磁気データを処理するための処理回路からの出力信号のみを演算回路に入力することが可能になる。したがって、磁気データの有効データ部分を復調し、復号する際の演算回路の処理を簡素化することができ、磁気データの有効データ部分を復調し、復号する際の演算回路の処理時間を短縮することができる。また、このように構成すると、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を演算回路が判別する際に、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果が利用されるため、磁気データの記録密度を判別しやすくなる。したがって、磁気データの記録密度を判別する際の演算回路の処理を簡素化することが可能になり、磁気データの記録密度を判別する際の演算回路の処理時間を短縮することが可能になる。
【0017】
本発明において、磁気情報読取装置は、磁気情報記録媒体を搬送するための搬送機構を備え、演算回路は、入力される信号の周波数に基づいて、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することが好ましい。このように構成すると、磁気情報記録媒体が搬送機構によって略一定速度で搬送されていれば、演算回路で、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を比較的容易にかつ適切に判別することが可能になる。
【0018】
本発明において、磁気情報読取装置は、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向における磁気情報記録媒体の先端部を検出するための第1検出機構および第2検出機構を備え、第1検出機構は、磁気情報記録媒体の挿入方向において、第2検出機構よりも磁気情報記録媒体の挿入口側に配置され、演算回路は、入力される信号の、第1検出機構で磁気情報記録媒体の先端部が検出されてから第2検出機構で磁気情報記録媒体の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別しても良い。この場合には、磁気情報記録媒体が略一定速度で移動していなくても、演算回路で、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を比較的容易にかつ適切に判別することが可能になる。
【0019】
本発明において、磁気情報読取装置は、磁気ヘッドとして、磁気情報読取装置に磁気情報記録媒体が挿入されたことを検出するための媒体挿入検出用ヘッドと、磁気ストライプに記録された磁気データを読み取って復調し、復号するためのデータ復調用ヘッドとを備え、演算回路は、媒体挿入検出用ヘッドのチャンネルで読み取られる同期用データに基づいて、磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することが好ましい。このように構成すると、データ復調用ヘッドで磁気データを読み取る前に確実に切替回路を切り替えることが可能になる。
【0020】
本発明において、制御回路は、媒体挿入検出用ヘッドの1つのチャンネルおよびデータ復調用ヘッドの1つのチャンネルが入力側に並列に接続されるとともに、複数の処理回路が出力側に並列に接続されるヘッド切替回路を備えることが好ましい。このように構成すると、媒体挿入検出用ヘッドの1つのチャンネルに複数の処理回路が並列に接続され、かつ、データ復調用ヘッドの1つのチャンネルに複数の処理回路が並列に接続される場合と比較して、制御回路の構成を簡素化することが可能になる。
【0021】
本発明において、処理回路は、チャンネルからの出力信号を増幅する増幅回路と、増幅回路からの出力信号の所定の周波数成分を除去するフィルタ回路と、フィルタ回路からの出力信号を微分する微分回路と、微分回路からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する復調用信号生成回路とを備えていても良い。この場合には、複数の復調用信号生成回路から直接または所定の回路を介して演算回路に複数の信号を同時に入力することが可能になる。したがって、磁気データを復調し、復号する際の、あるいは、磁気データを復号する際の演算回路の処理時間を短縮することが可能になる。
【0022】
本発明において、たとえば、制御回路は、複数の復調用信号生成回路のそれぞれから出力される復調用信号に基づいて復調データを生成する復調データ生成回路を複数の復調用信号生成回路のそれぞれと演算回路との間に備え、演算回路は、複数の復調データ生成回路から入力される信号に基づいて、復号データを生成するとともに、複数の復調データ生成回路のうちのどの復調データ生成回路から入力される信号に基づく復号データが有効であるかを判別する。また、本発明において、たとえば、演算回路は、複数の復調用信号生成回路から入力される復調用信号に基づいて、復調データと復号データとを生成するとともに、複数の復調用信号生成回路のうちのどの復調用信号生成回路から入力される信号に基づく復号データが有効であるかを判別しても良い。
【0023】
本発明において、磁気ヘッドは、少なくとも210bpiと75bpiとの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能なチャンネルを備え、制御回路は、210bpiの磁気データを処理するための処理回路と、75bpiの磁気データを処理するための処理回路とを備えることが好ましい。市場に出回る磁気情報記録媒体に記録される磁気データの記録密度は、一般的に210bpiと75bpiであることが多いため、このように構成すると、磁気ヘッドおよび制御回路の構成を簡素化しつつ、磁気情報読取装置の汎用性を高めることが可能になる。また、このように構成すると、磁気情報記録媒体の表面の磁気ストライプのトラックに210bpiの磁気データが記録され、磁気情報記録媒体の裏面の磁気ストライプのトラックに75bpiの磁気データの記録されており、かつ、磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、これらのトラックが表裏で重なる位置に配置されている磁気情報記録媒体の、表面の磁気ストライプの磁気データおよび裏面の磁気ストライプの磁気データの両データを1個の磁気ヘッドで読み取って、制御回路で復調し、復号することが可能になる。
【0024】
本発明において、磁気ヘッドは、たとえば、チャンネルとして、210bpiと75bpiとの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能な第2チャンネルを備えるとともに、210bpiの磁気データの読取が可能な第1チャンネルおよび第3チャンネルを備え、第1チャンネル、第2チャンネルおよび第3チャンネルは、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向に略直交する方向において、この順番で配置されている。
【0025】
本発明において、たとえば、磁気情報記録媒体の表面と裏面とのそれぞれに磁気ストライプが形成され、磁気ストライプは、磁気情報読取装置への磁気情報記録媒体の挿入方向に略平行な磁気情報記録媒体の長手方向に沿って形成され、磁気情報記録媒体の裏面に形成される磁気ストライプには、第1トラック、第2トラックおよび第3トラックの3つのトラックの磁気データが記録され、第1トラック、第2トラックおよび第3トラックは、磁気情報記録媒体の長手方向に略直交する磁気情報記録媒体の短手方向の一端部側からこの順番で配置され、第1トラックには、210bpiの磁気データが記録され、第2トラックには、75bpiの磁気データが記録され、第3トラックには、210bpiの磁気データが記録され、磁気情報記録媒体の表面に形成される磁気ストライプには、第4トラックの1つのトラックの磁気データが記録され、第4トラックには、210bpiの磁気データが記録され、磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、第4トラックの少なくとも一部が第2トラックに重なっている。
【0026】
本発明において、磁気情報読取装置は、たとえば、磁気ヘッドと対向するように配置され、磁気情報記録媒体の画像を取得する画像読取手段を備えている。本発明では、磁気情報記録媒体の表面の磁気ストライプのトラックに記録される磁気データの記録密度と、磁気情報記録媒体の裏面の磁気ストライプのトラックに記録される磁気データの記録密度とが異なっており、かつ、磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、これらのトラックが表裏で重なる位置に配置されている磁気情報記録媒体の、表面の磁気ストライプの磁気データおよび裏面の磁気ストライプの磁気データの両データを1個の磁気ヘッドで読み取って、制御回路で復調し、復号することが可能になるため、磁気ヘッドと対向するように画像読取手段を配置することができる。したがって、本発明では、画像読取手段を配置すれば、磁気情報記録媒体の磁気データを読み取るとともに、磁気情報記録媒体の画像を取得することが可能になる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の磁気情報読取装置では、磁気データの記録密度が国際規格やJIS規格から外れている磁気情報記録媒体の磁気データの復調、復号が可能であっても、汎用性を高めることが可能になる。また、本発明の磁気情報読取装置では、裏面と表面との両面に磁気ストライプが形成された磁気情報記録媒体であって、磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、異なる記録密度の磁気データが記録されるトラックが表裏で重なる位置に配置されている磁気情報記録媒体の表裏の磁気データを、比較的簡易な構成で、復調し、復号することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる磁気情報読取装置の概略構成を説明するための平面図である。
【図2】図1のE−E方向から磁気情報読取装置の概略構成を説明するための側面図である。
【図3】図1のF−F方向から磁気情報読取装置の概略構成を説明するための正面図である。
【図4】図1に示す磁気情報読取装置で処理される磁気情報記録媒体を説明するための図であり、(A)は磁気情報記録媒体の裏面を示す図、(B)は磁気情報記録媒体の表面を示す図である。
【図5】図1に示す磁気情報読取装置の制御回路の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図5に示すCPUに入力される復調用信号の波形を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる磁気情報読取装置の制御回路の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図7に示すCPUでの磁気データの記録密度の判別方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる磁気情報読取装置の斜視図である。
【図10】図9のG−G方向から磁気ヘッド、スキャナおよびパッドローラの配置関係を説明するための図である。
【図11】図10のH−H断面に相当する磁気情報読取装置の断面図である。
【図12】図9に示すカード通過路を通過する磁気情報記録媒体と磁気ヘッドとの配置関係を説明するための図であり、(A)は磁気情報記録媒体の裏面と磁気ヘッドとの配置関係を説明するための図、(B)は磁気情報記録媒体の表面と磁気ヘッドとの配置関係を説明するための図である。
【図13】図9に示す磁気情報読取装置の制御回路の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図14】図13に示すCPUでの復号データの有効判定制御のフローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
[実施の形態1]
(磁気情報読取装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる磁気情報読取装置1の概略構成を説明するための平面図である。図2は、図1のE−E方向から磁気情報読取装置1の概略構成を説明するための側面図である。図3は、図1のF−F方向から磁気情報読取装置1の概略構成を説明するための正面図である。図4は、図1に示す磁気情報読取装置1で処理される磁気情報記録媒体2を説明するための図であり、(A)は磁気情報記録媒体2の裏面2aを示す図、(B)は磁気情報記録媒体2の表面2bを示す図である。
【0031】
本形態の磁気情報読取装置1は、磁気情報記録媒体であるカード2に記録された磁気データを読み取って、磁気データを復号するカードリーダである。したがって、以下では、本形態の磁気情報読取装置1を「カードリーダ1」とする。このカードリーダ1は、図1〜図3に示すように、カード2に記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッド3、4と、カードリーダ1内でカード2を搬送するための搬送機構5とを備えている。カードリーダ1の内部には、図2に示すように、挿入口6から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路7が直線状に形成されている。
【0032】
また、カードリーダ1は、カード搬送路7の挿入口6側を閉鎖するためのシャッタ部材8と、カードリーダ1にカード2が挿入されたことを検出するためのプリヘッド9と、カードリーダ1内でのカード2の位置を検出するための4個の検出機構10〜13とを備えている。さらに、カードリーダ1は、ICチップが固定されたカード2を処理するためのIC接点を有するIC接点ブロック14と、通信用アンテナが内蔵されたカード2を処理するための通信用アンテナ15とを備えている。
【0033】
本形態では、図1等に示すX方向にカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が挿入されて取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X1方向は、カード2の挿入方向である。また、X方向は、カードリーダ1の中に挿入されたカード2の長手方向である。また、X方向に略直交するY方向は、カードリーダ1の中に挿入されたカード2の短手方向である。
【0034】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の裏面2aには、磁気データが記録される磁気ストライプ2cが形成され、カード2の表面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ2dが形成されている。磁気ストライプ2c、2dは、カード2の長手方向に沿って形成されている。
【0035】
磁気ストライプ2cには、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの3つのトラックの磁気データが記録されている。第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gは、カード2の短手方向の一端部2j側からこの順番で配置されている。磁気ストライプ2dには、第4トラック2hの1つのトラックの磁気データが記録されている。
【0036】
第1トラック2e、第2トラック2f、第3トラック2gおよび第4トラック2hには、たとえば、F2Fの記録方式で磁気データが記録されている。また、カード2の挿入方向における磁気ストライプ2cの先端(X1方向端)2kから所定の距離L11の範囲は、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録されたプリアンブル部2mとなっている。すなわち、プリアンブル部2mには、同期用のビット“0”が記録されている。同様に、カード2の挿入方向における磁気ストライプ2dの先端(X1方向端)2nから所定の距離L12の範囲は、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録されたプリアンブル部2pとなっており、プリアンブル部2pには、同期用のビット“0”が記録されている。なお、磁気ストライプ2c、2dにプリアンブル部2m、2pを設けることは、JIS規格「JISX6302−2」に規定されており、このJIS規格によれば、L11は、7.44(mm)であり、L12は、5(mm)である。
【0037】
本形態では、第1トラック2eに記録される磁気データの記録密度は210bpiまたは75bpiであり、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度は210bpiまたは75bpiであり、第3トラック2gに記録される磁気データの記録密度は210bpiまたは75bpiであり、第4トラック2hに記録される磁気データの記録密度は、210bpiまたは75bpiである。すなわち、カードリーダ1に挿入されるカード2によって、各トラック2e〜2hに記録される磁気データの記録密度が異なる場合がある。たとえば、カードリーダ1に挿入されるカード2の中には、第1トラック2e、第2トラック2f、第3トラック2gおよび第4トラック2hの全てに210bpiの磁気データが記録されているカード2もあれば、第1トラック2e、第2トラック2f、第3トラック2gおよび第4トラック2hの全てに75bpiの磁気データが記録されているカード2もある。
【0038】
なお、カード2の表面2bにICチップが固定されても良い。また、カード2に通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0039】
磁気ヘッド3および磁気ヘッド4は、カード搬送路7を挟んで互いに対向するように配置されている。また、磁気ヘッド3がカード2の裏面2aの磁気ストライプ2cに当接し、磁気ヘッド4がカード2の表面2bの磁気ストライプ2dに当接するように、磁気ヘッド3および磁気ヘッド4が配置されている。また、磁気ヘッド3および磁気ヘッド4は、カード搬送路7の比較的X2方向側に配置されている。
【0040】
磁気ヘッド3は、第1トラック2eに記録された磁気データを読み取るための第1チャンネル3a(図5参照)と、第2トラック2fに記録された磁気データを読み取るための第2チャンネル3b(図5参照)と、第3トラック2gに記録された磁気データを読み取るための第3チャンネル3c(図5参照)との3個のチャンネルを備えている。第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cは、Y方向において、この順番に配置されている。また、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成されている。すなわち、本形態の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能なチャンネルである。
【0041】
磁気ヘッド4は、第4トラック2hに記録された磁気データを読み取るための1個のチャンネル(図示省略)を備えている。このチャンネルは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成されている。すなわち、本形態の磁気ヘッド4のチャンネルは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能なチャンネルである。
【0042】
搬送機構5は、カード2に当接してカード2を搬送する搬送ローラ17と、搬送ローラ17を駆動するモータ18とを備えている。搬送ローラ17とモータ18とは、所定の歯車列を介して連結されている。搬送ローラ17は、Y方向において、磁気ヘッド3、4と隣接するように配置されている。モータ18には、モータ18の回転数を検出するためのエンコーダ19が取り付けられている。エンコーダ19は、たとえば、円板状のスリット板と、光学式のセンサとによって構成されている。本形態では、カード2は、搬送機構5によってカードリーダ1内を一定速度で搬送される。
【0043】
シャッタ部材8は、カード搬送路7のX2方向端側に配置されている。このシャッタ部材8には、ソレノイド20が連結されており、シャッタ部材8は、ソレノイド20の動力で、図3の実線で示すように、カード搬送路7を開放し、また、図3の二点鎖線で示すように、カード搬送路7を閉鎖する。
【0044】
プリヘッド9は、挿入口6の近傍に配置されている。また、プリヘッド9は、カード2の裏面2aの磁気ストライプ2cに当接するように配置されている。なお、本形態のプリヘッド9は、磁気ストライプ2cの有無を検出するための1つのチャンネルを備えている。
【0045】
検出機構10〜13は、たとえば、発光素子と受光素子とを備える光学式のセンサであり、カード2の長手方向の端部を検出する。図1に示すように、検出機構10は、カード搬送路7のX2方向端に配置され、検出機構11は、カード2の挿入方向における磁気ヘッド3、4の手前に配置され、検出機構12は、カード2の挿入方向における磁気ヘッド3、4の奥に配置され、検出機構13は、カード搬送路7のX1方向端に配置されている。
【0046】
IC接点ブロック14は、カード搬送路7のX1方向端側に配置されている。IC接点ブロック14は、所定のリンク機構に連結されており、X方向にスライドしながら上下動する。IC接点ブロック14が上下動することで、カード2のICチップにIC接点が当接し、また、カード2のICチップからIC接点が離れる。通信用アンテナ15は、カード搬送路7のX1方向端側に配置されている。
【0047】
(制御回路の構成)
図5は、図1に示す磁気情報読取装置1の制御回路23の概略構成を説明するためのブロック図である。図6は、図5に示すCPU24に入力される復調用信号の波形を説明するための図である。なお、図5では、磁気ヘッド3による磁気データの読取制御に関連する構成が図示されている。
【0048】
カードリーダ1は、磁気ヘッド3、4で読み取られた磁気データを復調し、復号するための制御回路23を備えている。図5に示すように、制御回路23には、磁気ヘッド3が接続されている。具体的には、制御回路23には、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cが並列に接続されている。なお、制御回路23には、磁気ヘッド4のチャンネルも接続されている。
【0049】
制御回路23は、演算回路としてのCPU24を備えている。また、制御回路23は、第1チャンネル3aで読み取られた磁気データを処理するための回路として、増幅回路25と、210bpiの磁気データを処理するための処理回路26(以下、第1処理回路26とする。)と、75bpiの磁気データを処理するための処理回路27(以下、第2処理回路27とする。)と、切替回路28と、復調用信号生成回路29とを備えている。また、制御回路23は、第2チャンネル3bで読み取られた磁気データを処理するための回路として、増幅回路25と、第1処理回路26と、第2処理回路27と、切替回路28と、復調用信号生成回路29とを備え、第3チャンネル3cで読み取られた磁気データを処理するための回路として、増幅回路25と、第1処理回路26と、第2処理回路27と、切替回路28と、復調用信号生成回路29とを備えている。
【0050】
増幅回路25は、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cのそれぞれに接続されており、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cからの出力信号を増幅する。
【0051】
第1処理回路26および第2処理回路27は、増幅回路25の出力側に並列に接続されている。第1処理回路26は、210bpi用のフィルタ回路31と210bpi用の微分回路32とを備え、第2処理回路27は、75bpi用のフィルタ回路33と75bpi用の微分回路34とを備えている。フィルタ回路31、33は、増幅回路25の出力側に接続されており、増幅回路25からの出力信号の所定の周波数成分を除去する。具体的には、フィルタ回路31、33は、いわゆるローパスフィルタであり、所定の周波数以上の周波数成分を除去する。微分回路32、34は、フィルタ回路31、33に接続されており、フィルタ回路31、33からの出力信号を微分する。
【0052】
切替回路28の入力側には、第1処理回路26および第2処理回路27が並列に接続されている。また、切替回路28の出力側には、復調用信号生成回路29が接続されている。切替回路28は、CPU24からの制御信号に基づいて、第1処理回路26または第2処理回路27のいずれを復調用信号生成回路29に接続するかの切替を行う。すなわち、切替回路28は、第1処理回路26または第2処理回路27のいずれか一方を復調用信号生成回路29に接続する機能を果たしている。なお、切替回路28の切替方法については後述する。
【0053】
復調用信号生成回路29の出力側は、CPU24に接続されている。復調用信号生成回路29は、切替回路28からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する。具体的には、復調用信号生成回路29は、搬送機構5によるカード2の一定の搬送速度と磁気データの記録密度とによって定まる周期で変化する矩形波状の復調用信号を生成する。
【0054】
たとえば、切替回路28からの出力信号が210bpiの磁気データに基づくものであり、かつ、磁気データのビットが全て“0”である場合には、復調用信号生成回路29は、図6(A)に示すように、一定の周期T1の復調用信号SG1を生成する。また、切替回路28からの出力信号が75bpiの磁気データに基づくものであり、かつ、磁気データのビットが全て“0”である場合には、復調用信号生成回路29は、図6(B)に示すように、一定の周期T2の復調用信号SG2を生成する。なお、周期T2は、周期T1の約2.8倍となっている。
【0055】
上述のように、本形態では、カードリーダ1に挿入されるカード2によって、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの各トラックに記録される磁気データの記録密度が異なる場合がある。そのため、本形態では、CPU24は、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度が210bpiであるか75bpiであるかを判別する。
【0056】
具体的には、CPU24は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cでの読取結果に基づいて、搬送機構5によって搬送されるカード2の磁気データの記録密度を判別する。また、CPU24は、プリアンブル部2mに記録された同期用データの読取結果に基づいて、磁気データの記録密度を判別する。さらに、CPU24は、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号の周波数に基づいて磁気データの記録密度を判別する。なお、プリアンブル部2mに記録された同期用データのビットは全て“0”であり、上述のように、復調用信号SG2の周期T2は、復調用信号SG1の周期T1の約2.8倍であるため、CPU24は、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号の周波数に基づいて磁気データの記録密度を容易に判別することができる。
【0057】
また、CPU24には、切替回路28が接続されており、CPU24は、判別された記録密度の磁気データを処理するための第1処理回路26または第2処理回路27が復調用信号生成回路29に接続されるように、切替回路28を切り替える。すなわち、記録密度が210bpiであると判別された場合には、第1処理回路26が復調用信号生成回路29に接続され、記録密度が75bpiであると判別された場合には、第2処理回路27が復調用信号生成回路29に接続されるように、CPU24は切替回路28を切り替える。
【0058】
本形態では、磁気データの読取前の切替回路28は、第1処理回路26が復調用信号生成回路29に接続されるように設定されている。そのため、記録密度が210bpiであると判別された場合には、CPU24は、切替回路28に対して切替用の制御信号を出力しない。一方、記録密度が75bpiであると判別された場合には、CPU24は、切替回路28に切替用の制御信号を出力し、第2処理回路27が復調用信号生成回路29に接続されるように切替回路28を切り替える。
【0059】
切替回路28の切替は、同期データの読取中に終了する。すなわち、切替回路28の切替は、同期用データに続く磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3が読み取る前に終了する。切替回路28の切替が終わった後もカード2は、引き続きX1方向に搬送され、磁気ヘッド3は、磁気データの有効データ部分を読み取る。また、CPU24は、記録密度の判別に引き続き、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号に基づいて、磁気データの有効データ部分を復調し、復号する。
【0060】
なお、制御回路23は、磁気ヘッド4のチャンネルで読み取られた磁気データを処理するための回路として、増幅回路25と、第1処理回路26と、第2処理回路27と、切替回路28と、復調用信号生成回路29とを備えている。磁気ヘッド4のチャンネルで読み取られた磁気データは、第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cで読み取られた磁気データと同様に、CPU24で、記録密度が判別され、また、復調、復号される。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の読取が可能となるように構成され、磁気ヘッド4のチャンネルは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の読取が可能となるように構成されている。また、本形態では、制御回路23は、210bpiの磁気データを処理するための第1処理回路26と、75bpiの磁気データを処理するための第2処理回路27とを備え、第1処理回路26および第2処理回路27は、第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3cおよび磁気ヘッド4のチャンネルのそれぞれに増幅回路25を介して並列に接続されている。
【0062】
そのため、本形態では、カード2の各トラック2e〜2hに記録される磁気データの記録密度が210bpiまたは75bpiのいずれであっても、210bpiおよび75bpiの磁気データを磁気ヘッド3、4で読み取って、制御回路23で復調し、復号することができる。すなわち、本形態では、国際規格やJIS規格に準じた記録密度の磁気データを有するカード2(具体的には、第1トラック2e、第3トラック2gおよび第4トラック2hに210bpiの磁気データが記録され、かつ、第3トラック2fに75bpiの磁気データが記録されたカード2)と、国際規格やJIS規格から外れている記録密度の磁気データを有するカード2(具体的には、第1トラック2e、第3トラック2gおよび/または第4トラック2hに75bpiの磁気データが記録され、および/または、第3トラック2fに210bpiの磁気データが記録されたカード2)とを磁気ヘッド3、4を用いて処理することができる。したがって、本形態では、磁気データの記録密度が国際規格やJIS規格から外れているカード2の磁気データの復調、復号が可能であっても、汎用性を高めることが可能になる。
【0063】
また、本形態では、市場に出回るカード2に記録される磁気データの一般的な記録密度である210bpiの磁気データと75bpiの磁気データとを復調し、復号することができるため、市場においてカードリーダ1を広く利用することが可能になる。
【0064】
本形態では、切替回路28とCPU24との間に復調用信号を生成する復調用信号生成回路29が配置されている。そのため、制御回路23が第1処理回路26と第2処理回路27とを備えている場合であっても、共通の復調用信号生成回路29で復調用信号を生成することができる。したがって、本形態では、制御回路23の構成を簡素化することができる。
【0065】
本形態では、CPU24は、プリアンブル部2m、2pに記録された同期用データの読取結果に基づいて、磁気データの記録密度を判別し、判別された記録密度の磁気データを処理するための第1処理回路26または第2処理回路27が復調用信号生成回路29に接続されるように、切替回路28を切り替える。そのため、第1処理回路26または第2処理回路27の出力側が、切替回路28および復調用信号生成回路29を介してCPU24に接続されていても、磁気データの有効データ部分の復調、復号時には、磁気ストライプ2c、2dに記録された記録密度の磁気データを処理するための第1処理回路26または第2処理回路27からの出力信号のみがCPU24に入力される。したがって、本形態では、磁気データを復調し、復号する際のCPU24の処理を簡素化することが可能になり、磁気データを復調し、復号する際のCPU24の処理時間を短縮することが可能になる。
【0066】
本形態では、CPU24は、プリアンブル部2m、2pに記録された同期用データの読取結果に基づいて、磁気データの記録密度を判別している。すなわち、磁気ストライプ2c、2dに記録された磁気データの記録密度をCPU24が判別する際に、一定周期で磁気が反転する同期用データの読取結果が利用されている。そのため、CPU24は、磁気データの記録密度を判別しやすくなる。したがって、磁気データの記録密度を判別する際のCPU24の処理を簡素化することが可能になり、磁気データの記録密度を判別する際のCPU24の処理時間を短縮することが可能になる。
【0067】
本形態では、CPU24は、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号の周波数に基づいて磁気データの記録密度を判別している。上述のように、復調用信号SG2の周期T2は、復調用信号SG1の周期T1の約2.8倍であるため、本形態では、CPU24は、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号の周波数に基づいて磁気データの記録密度を容易にかつ適切に判別することが可能になる。
【0068】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、第1処理回路26は、210bpi用のフィルタ回路31および微分回路32を備え、第2処理回路27は、75bpi用のフィルタ回路33および微分回路34を備えている。この他にもたとえば、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルは、210bpiおよび/または75bpi以外の2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、第1処理回路26および第2処理回路27は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルで読取可能な記録密度の磁気データを処理できるフィルタ回路および微分回路を備えていても良い。この場合には、制御回路23は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルで読取可能な記録密度の磁気データを処理できる増幅回路を備えている。
【0069】
また、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルが、3種類以上の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、制御回路23が、3種類以上の記録密度の磁気データをそれぞれ処理するための3個以上の処理回路を備えていても良い。たとえば、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルは、3種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、制御回路23は、3種類の記録密度の磁気データをそれぞれ処理するための第1処理回路、第2処理回路および第3処理回路の3個の処理回路を備えていても良い。
【0070】
実施の形態1では、切替回路28とCPU24との間に復調用信号生成回路29が配置されている。この他にもたとえば、切替回路28がCPU24と直接、接続されても良い。この場合には、第1処理回路26および第2処理回路27のそれぞれが復調用信号生成回路29を備えている。
【0071】
実施の形態1では、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルのそれぞれに増幅回路25が接続され、増幅回路25に第1処理回路26と第2処理回路27とが並列に接続されている。この他にもたとえば、第1処理回路26および第2処理回路27が増幅回路25を備え、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3b、第3チャンネル3c、および、磁気ヘッド4のチャンネルのそれぞれに第1処理回路26と第2処理回路27とが並列に、かつ、直接、接続されても良い。
【0072】
実施の形態1では、カード2の表面2bに磁気ストライプ2dが形成されている。この他にもたとえば、カード2の表面2bに磁気ストライプ2dが形成されていなくても良い。この場合には、カードリーダ1は、磁気ヘッド4を備えていなくても良い。また、実施の形態1では、カード2の磁気ストライプ2cには、3つのトラックの磁気データが記録されているが、磁気ストライプ2cに記録される磁気データのトラック数は、2つ以下であっても良いし、4つ以上であっても良い。
【0073】
実施の形態1では、切替回路28の切替は、同期用データに続く磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3が読み取る前に終了しており、切替回路28の切替が終わった後もカード2は、引き続きX1方向に搬送され、磁気ヘッド3は、磁気データの有効データ部分を読み取る。この他にもたとえば、同期用データの記録エリアが狭くて、磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3が読み取る前に切替回路28の切替が終了しない場合には、磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3で読み取れる位置まで、カード2を一旦、X2方向へ搬送した後に、カード2を再びX1方向へ搬送して、磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3で読み取っても良い。また、磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3が読み取る前に切替回路28の切替が終了している場合であっても、カード2を一旦、X2方向へ搬送した後に、カード2を再びX1方向へ搬送して、磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3で読み取っても良い。このように、カード2を一旦、X2方向へ搬送した後に、カード2を再びX1方向へ搬送して、磁気データの有効データ部分を磁気ヘッド3で読み取ると、犯罪者が不正に磁気データを取得するための読取装置を挿入口6に取り付けて磁気データを取得するいわゆるスキミングを防止することが可能になる。
【0074】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2にかかる磁気情報読取装置1の制御回路43の概略構成を説明するためのブロック図である。図8は、図7に示すCPU24での磁気データの記録密度の判別方法を説明するための図である。なお、図7では、磁気ヘッド3およびプリヘッド9による磁気データの読取制御に関連する構成が図示されている。
【0075】
実施の形態1では、CPU24は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cでの読取結果に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別している。これに対して、実施の形態2では、プリヘッド9が、第1トラック2eに記録された磁気データを読み取るための第1チャンネル9aと、第2トラック2fに記録された磁気データを読み取るための第2チャンネル9bと、第3トラック2gに記録された磁気データを読み取るための第3チャンネル9cとの3個のチャンネルを備え、CPU24は、プリヘッド9の第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cでの読取結果に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別している。
【0076】
この点が実施の形態1と実施の形態2との主な相違点であるため、以下、この相違点を中心に、実施の形態2にかかるカードリーダ1の構成を説明する。なお、図7、図8では、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付している。
【0077】
上述のように、プリヘッド9は、第1チャンネル9aと第2チャンネル9bと第3チャンネル9cとの3個のチャンネルを備えている。第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の読取が可能となるように構成されている。すなわち、本形態の第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能なチャンネルである。
【0078】
制御回路43は、第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cのそれぞれに接続される増幅回路45と、第1チャンネル3aが接続される増幅回路25および第1チャンネル9aが接続される増幅回路45が入力側に並列に接続されるヘッド切替回路46と、第2チャンネル3bが接続される増幅回路25および第2チャンネル9bが接続される増幅回路45が入力側に並列に接続されるヘッド切替回路46と、第3チャンネル3cが接続される増幅回路25および第3チャンネル9cが接続される増幅回路45が入力側に並列に接続されるヘッド切替回路46とを備えている。ヘッド切替回路46の出力側には、第1処理回路26および第2処理回路27が並列に接続されている。本形態では、磁気データの読取前のヘッド切替回路46は、プリヘッド9の第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cが第1処理回路26および第2処理回路27に接続されるように設定されている。
【0079】
上述のように、本形態では、CPU24は、プリヘッド9の第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cでの読取結果に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別する。また、本形態では、実施の形態1と同様に、CPU24は、プリアンブル部2mに記録された同期用データの読取結果に基づいて、磁気データの記録密度を判別する。ここで、プリヘッド9は、挿入口6の近傍に配置されている。そのため、プリアンブル部2mがプリヘッド9を通過する際には、カード2は、ユーザによって手動でカードリーダ1内に挿入されており、搬送機構5によって搬送されていない。すなわち、プリアンブル部2mがプリヘッド9を通過する際のカード2の移動速度は必ずしも一定ではない。
【0080】
そこで、本形態では、たとえば、CPU24は、CPU24に入力される復調用信号の、プリヘッド9でカード2の先端部(X1方向端部)が検出されてから検出機構10でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別する。または、CPU24は、CPU24に入力される復調用信号の、検出機構10でカード2の先端部が検出されてから検出機構11でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別する。あるいは、CPU24は、CPU24に入力される復調用信号の、プリヘッド9でカード2の先端部が検出されてから検出機構10でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数と、CPU24に入力される復調用信号の、検出機構10でカード2の先端部が検出されてから検出機構11でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数との両者に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別する。
【0081】
なお、図8に示すように、記録密度が210bpiのときの、カード2が所定の距離移動する間の磁気反転数は、記録密度が75bpiのときの、カード2が所定の距離移動する間の磁気反転数の約2.8倍となるため、CPU24は、復調用信号生成回路29から入力される復調用信号の磁気反転数に基づいて磁気データの記録密度を容易に判別することができる。
【0082】
また、CPU24は、磁気データの記録密度を判別結果に基づいて、判別された記録密度の磁気データを処理するための第1処理回路26または第2処理回路27が復調用信号生成回路29に接続されるように、実施の形態1と同様に、切替回路28を切り替える。本形態では、切替回路28の切替は、磁気データを磁気ヘッド3が読み取る前に終了する。
【0083】
CPU24には、ヘッド切替回路46が接続されており、切替回路28の切替が終了すると、CPU24は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cが第1処理回路26および第2処理回路27に接続されるようにヘッド切替回路46を切り替える。その後、CPU24は、磁気ヘッド3の第1チャンネル3a、第2チャンネル3bおよび第3チャンネル3cでの読取結果に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの有効データ部分を復調し、復号する。
【0084】
以上説明したように、本形態では、CPU24は、挿入口6の近傍に配置されるプリヘッド9の第1チャンネル9a、第2チャンネル9bおよび第3チャンネル9cでの読取結果に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別して、切替回路28を切り替えている。そのため、本形態では、磁気ヘッド3で磁気データを読み取る前に確実に切替回路28を切り替えることが可能になる。
【0085】
本形態では、カード2が所定の距離移動する間の復調用信号の磁気反転数に基づいて、CPU24が磁気データの記録密度を判別している。そのため、カード2が一定速度で移動していなくても、CPU24で、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を適切に判別することができる。
【0086】
本形態では、増幅回路25、45がヘッド切替回路46の入力側に並列に接続されるとともに、第1処理回路26および第2処理回路27がヘッド切替回路46の出力側に並列に接続されている。そのため、増幅回路25、45の出力側のそれぞれに第1処理回路26や第2処理回路27が接続されている場合と比較して、制御回路43の構成を簡素化することが可能になる。
【0087】
なお、本形態では、プリヘッド9は、カードリーダ1にカード2が挿入されたことを検出するための媒体挿入検出用ヘッドであり、磁気ヘッド3は、磁気ストライプ3cに記録された磁気データを読み取って復調し、復号するためのデータ復調用ヘッドである。また、本形態では、CPU24に入力される復調用信号の、プリヘッド9でカード2の先端部が検出されてから検出機構10でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度をCPU24が判別する場合には、プリヘッド9は、検出機構10よりも挿入口6側に配置される第1検出機構であり、検出機構10は、第2検出機構である。また、CPU24に入力される復調用信号の、検出機構10でカード2の先端部が検出されてから検出機構11でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度をCPU24が判別する場合には、検出機構10は、検出機構11よりも挿入口6側に配置される第1検出機構であり、検出機構11は、第2検出機構である。
【0088】
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2では、増幅回路25、45がヘッド切替回路46の入力側に並列に接続されるとともに、第1処理回路26および第2処理回路27がヘッド切替回路46の出力側に並列に接続されている。この他にもたとえば、増幅回路25、45の出力側のそれぞれに第1処理回路26や第2処理回路27が接続されても良い。
【0089】
実施の形態2では、CPU24は、CPU24に入力される復調用信号の、プリヘッド9でカード2の先端部が検出されてから検出機構10でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数や、CPU24に入力される復調用信号の、検出機構10でカード2の先端部が検出されてから検出機構11でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別している。この他にもたとえば、カード2の挿入時に、シャッタ部材8でカード搬送路7を閉鎖しカード2の先端部をシャッタ部材8に突き当てた後に、シャッタ部材8を退避させてカード搬送路7を開放するとともに、CPU24に入力される復調用信号の、カード2の先端部がシャッタ部材8に突き当たった位置から検出機構10または検出機構11でカード2の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、CPU24が、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gに記録された磁気データの記録密度を判別しても良い。このように構成すると、犯罪者が不正に磁気データを取得するための読取装置を挿入口6に取り付けて磁気データを取得するいわゆるスキミングを防止することが可能になる。
【0090】
[実施の形態3]
(磁気情報読取装置の概略構成)
図9は、本発明の実施の形態3にかかる磁気情報読取装置51の斜視図である。図10は、図9のG−G方向から磁気ヘッド55、スキャナ56およびパッドローラ57の配置関係を説明するための図である。図11は、図10のH−H断面に相当する磁気情報読取装置51の断面図である。図12は、図9に示すカード通過路53を通過する磁気情報記録媒体2と磁気ヘッド55との配置関係を説明するための図であり、(A)は磁気情報記録媒体2の裏面2aと磁気ヘッド55との配置関係を説明するための図、(B)は磁気情報記録媒体2の表面2bと磁気ヘッド55との配置関係を説明するための図である。
【0091】
なお、以下の説明では、図9等に示すように、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を前後方向、Y方向を上下方向、Z方向を左右方向とする。また、図9のX1方向側を「後(後ろ)」側、X2方向側を「前」側、Y1方向側を「上」側、Y2方向側を「下」側とする。
【0092】
本形態の磁気情報読取装置51は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2に記録された磁気データを読み取り、復号するための装置である。また、本形態の磁気情報読取装置51は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2上の画像を取得するための装置である。具体的には、磁気情報読取装置51は、溝状に形成されたカード通過路53に沿ってカード2を移動させながら(カード通過路53を通過させながら)カード2の磁気データを読み取るとともにカード2上の画像を取得するいわゆるスワイプ式のカードリーダである。したがって、以下では、本形態の磁気情報読取装置51を「カードリーダ51」とする。
【0093】
カードリーダ51は、図9〜11に示すように、カード通過路53を通過するカード2に記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッド55と、カード2上の文字やバーコード等を読み取ってカード2上の画像を取得する画像読取手段としてのスキャナ56と、スキャナ56に対向するように配置されカード通過路53を通過するカード2をスキャナ56に向かって押圧するパッドローラ57とを備えている。
【0094】
本形態では、カードリーダ51の前側から後ろ側に向かって(すなわち、X1方向に)ユーザがカード2を移動させながらカード2の磁気データの読み取りとカード2上の画像の取得とが行われるようにカードリーダ51が構成されている。すなわち、本形態では、X1方向は、カード2の挿入方向であり、かつ、通過方向である。また、本形態では、左右方向はカード2の厚さ方向であり、前後方向はカード2の長手方向であり、上下方向はカード2の短手方向である。
【0095】
カード2は、実施の形態1で説明したように、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードであり、裏面2aには、磁気ストライプ2cが形成され、表面2bには、磁気ストライプ2dが形成されている。磁気ストライプ2cには、第1トラック2e、第2トラック2fおよび第3トラック2gの3つのトラックの磁気データが記録されている。磁気ストライプ2dには、第4トラック2hの1つのトラックの磁気データが記録されている。
【0096】
第1トラック2e、第2トラック2f、第3トラック2gおよび第4トラック2hには、たとえば、F2Fの記録方式で磁気データが記録されている。また、本形態では、第1トラック2e、第3トラック2gおよび第4トラック2hに記録される磁気データの記録密度は210bpiであり、第2トラック2fに記録される磁気データの記録密度は75bpiである。すなわち、カードリーダ51に挿入されるカード2は、国際規格やJIS規格に準じたカードである。
【0097】
また、本形態では、図12に示すように、カード2の短手方向の一端部2jから第1トラック2eの一端までの距離L1、一端部2jから第1トラック2eの他端までの距離L2、一端部2jから第2トラック2fの一端までの距離L3、一端部2jから第2トラック2fの他端までの距離L4、一端部2jから第3トラック2gの一端までの距離L5、一端部2jから第3トラック2gの他端までの距離L6、一端部2jから第4トラック2hの一端までの距離L7、一端部2jから第4トラック2hの他端までの距離L8は、JIS規格にしたがって、それぞれ以下のように設定されている。
L1:5.6(mm)、L2:8.46(mm)、L3:8.97(mm)、L4:11.76(mm)、L5:12.27(mm)、L6:15.32(mm)、L7:6.3(mm)、L8:11.7(mm)
【0098】
すなわち、本形態では、第4トラック2hの一部は、カード2の厚さ方向から見たときに、第2トラック2fの全域とほぼ重なる位置に配置されている。
【0099】
また、カード2の裏面2aおよび/または表面2bには、文字や図形、模様等が描かれている。あるいは、カード2の裏面2aおよび/または表面2bには、バーコード等が印刷されている。なお、カード2の表面2bにICチップが固定されても良いし、カード2に通信用のアンテナが内蔵されても良い。
【0100】
磁気ヘッド55は、第1トラック2eに記録された磁気データを読み取るための第1チャンネル55aと、第2トラック2fに記録された磁気データおよび第4トラック2hに記録された磁気データを読み取るための第2チャンネル55bと、第3トラック2gに記録された磁気データを読み取るための第3チャンネル55cとの3個のチャンネルを備えている。すなわち、第1チャンネル55aおよび第3チャンネル55cは、210bpiの磁気データの読取が可能となるように構成されている。また、第2チャンネル55bは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成されている。すなわち、本形態の第2チャンネル55bは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能なチャンネルである。また、第1チャンネル55a、第2チャンネル55bおよび第3チャンネル55cは、左右方向において、この順番に配置されている。
【0101】
スキャナ56は、いわゆる密着型のスキャナ(イメージセンサ)である。スキャナ56は、左右方向において、磁気ヘッド55と対向するように配置されている。パッドローラ57は、上下方向において、磁気ヘッド55と隣接するように配置されている。
【0102】
カード通過路53は、図10に示すように、上端側が開口する溝状に形成されている。また、カード通過路53は、図11に示すように、カードリーダ51の前端から後端までの全域にわたって直線状に形成されている。カード通過路53の深さ(上下方向の深さ)は、カード2の短手方向の幅よりも浅くなっており、カード通過路53を通過するカード2の上端側は、カードリーダ51の外部に露出する。カード2の磁気データを読み取ったり、カード2上の画像を取得する際には、ユーザは、カードリーダ51の外部に露出するカード2の上端側をつかんで、カード通過路53をカード2が通過するように、カード2を後ろ側に向かって移動させる。
【0103】
本形態では、カード通過路53の下端面を構成する底面53aにカード2の一端部2jを押し付けながら、カード2の裏面2aと磁気ヘッド55とが当接するようにカード2を移動させると、磁気ストライプ2cに記録された磁気データが磁気ヘッド55によって読み取られる。具体的には、第1トラック2eに記録された磁気データが第1チャンネル55aによって読み取られ、第2トラック2fに記録された磁気データが第2チャンネル55bによって読み取られ、第3トラック2gに記録された磁気データが第3チャンネル55cによって読み取られる。また、カード2の一端部2jをカード通過路53の底面53aに押し付けながら、カード2の表面2bと磁気ヘッド55とが当接するようにカード2を移動させると、磁気ストライプ2dに記録された磁気データが磁気ヘッド55によって読み取られる。具体的には、第4トラック2hに記録された磁気データが第2チャンネル55bによって読み取られる。
【0104】
このように、本形態では、カード通過路53の底面53aは、上下方向における磁気ヘッド55の位置と磁気ストライプ2c、2dとの位置を合わせるための基準面となっている。また、カード2の一端部2jをカード通過路53の底面53aに押し付けながら、カード2を移動させることで、上下方向におけるカード2上の文字等とスキャナ56との位置も合う。
【0105】
なお、本形態では、図12に示すように、カード通過路53の底面53aから第1チャンネル55aの一端までの距離L21、底面53aから第1チャンネル55aの他端までの距離L22、底面53aから第2チャンネル55bの一端までの距離L23、底面53aから第2チャンネル55bの他端までの距離L24、底面53aから第3チャンネル55cの一端までの距離L25、底面53aから第3チャンネル55cの他端までの距離L26は、それぞれ以下のように設定されている。
L21:6.16(mm)、L22:7.56(mm)、L23:9.71(mm)、L24:11.11(mm)、L25:13.01(mm)、L26:14.41(mm)
【0106】
(制御回路の構成)
図13は、図9に示す磁気情報読取装置51の制御回路63の概略構成を説明するためのブロック図である。図14は、図13に示すCPU64での復号データの有効判定制御のフローの一例を示すフローチャートである。なお、図13では、磁気ヘッド55による磁気データの読取制御に関連する構成が図示されている。
【0107】
カードリーダ51は、磁気ヘッド55で読み取られた磁気データを復調し、復号するための制御回路63を備えている。図13に示すように、制御回路63には、磁気ヘッド55が接続されている。具体的には、制御回路63には、磁気ヘッド55の第1チャンネル55a、第2チャンネル55bおよび第3チャンネル55cが並列に接続されている。
【0108】
制御回路63は、演算回路としてのCPU64を備えている。また、制御回路63は、第1チャンネル55aで読み取られた磁気データを処理するための回路として、210bpi用の増幅回路65と、210bpi用のフィルタ回路66と、210bpi用の微分回路67と、復調用信号生成回路68と、第1トラック復調データ生成回路69とを備えている。また、制御回路63は、第3チャンネル55cで読み取られた磁気データを処理するための回路として、210bpi用の増幅回路65と、210bpi用のフィルタ回路66と、210bpi用の微分回路67と、復調用信号生成回路68と、第3トラック復調データ生成回路70とを備えている。さらに、制御回路63は、第2チャンネル55bで読み取られた磁気データを処理するための回路として、75bpiの磁気データを処理するための処理回路72(以下、第1処理回路72とする。)と、210bpiの磁気データを処理するための処理回路73(以下、第2処理回路73とする。)と、第2トラック復調データ生成回路74と、第4トラック復調データ生成回路75とを備えている。
【0109】
第1処理回路72と第2処理回路73とは、第2チャンネル55bに並列に接続されている。第1処理回路72は、75bpi用の増幅回路76と、75bpi用のフィルタ回路77と、75bpi用の微分回路78と、復調用信号生成回路68とを備えている。第2処理回路73は、210bpi用の増幅回路79と、210bpi用のフィルタ回路66と、210bpi用の微分回路67と、復調用信号生成回路68とを備えている。
【0110】
増幅回路65は、第1チャンネル55aおよび第3チャンネル55cのそれぞれに接続されており、第1チャンネル55aおよび第3チャンネル55cからの出力信号を増幅する。増幅回路76および増幅回路79は、第2チャンネル55bに並列に接続されており、第2チャンネル55bからの出力信号を増幅する。
【0111】
フィルタ回路66は、増幅回路65、79の出力側に接続されており、増幅回路65、79からの出力信号の所定の周波数成分を除去する。フィルタ回路77は、増幅回路76の出力側に接続されており、増幅回路76からの出力信号の所定の周波数成分を除去する。具体的には、フィルタ回路66、77は、いわゆるローパスフィルタであり、所定の周波数以上の周波数成分を除去する。微分回路67、78は、フィルタ回路66、77に接続されており、フィルタ回路66、77からの出力信号を微分する。
【0112】
復調用信号生成回路68は、微分回路67、78の出力側に接続されている。この復調用信号生成回路68は、微分回路67、78からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する。
【0113】
第1トラック復調データ生成回路69、第2トラック復調データ生成回路74、第3トラック復調データ生成回路70および第4トラック復調データ生成回路75は、復調用信号生成回路68の出力側に接続されている。第1トラック復調データ生成回路69は、復調用信号生成回路68から出力される復調用信号に基づいて、第1チャンネル55aで読み取られる磁気データに対応する復調データを生成し、第3トラック復調データ生成回路70は、復調用信号生成回路68から出力される復調用信号に基づいて、第3チャンネル55cで読み取られる磁気データに対応する復調データを生成する。また、第2トラック復調データ生成回路74および第4トラック復調データ生成回路75は、復調用信号生成回路68から出力される復調用信号に基づいて、第2チャンネル55bで読み取られる磁気データに対応する復調データを生成する。
【0114】
CPU64は、第1トラック復調データ生成回路69、第2トラック復調データ生成回路74、第3トラック復調データ生成回路70および第4トラック復調データ生成回路75の出力側に接続されている。CPU64は、第1トラック復調データ生成回路69、第2トラック復調データ生成回路74、第3トラック復調データ生成回路70および第4トラック復調データ生成回路75から入力される復調データに基づいて、復号データを生成する。
【0115】
上述のように、本形態では、カード2の一端部2jをカード通過路53の底面53aに押し付けながら、カード2の裏面2aと磁気ヘッド55とが当接するようにカード2を移動させると、第2トラック2fに記録された磁気データが第2チャンネル55bによって読み取られ、カード2の一端部2jを底面53aに押し付けながら、カード2の表面2bと磁気ヘッド55とが当接するようにカード2を移動させると、磁気ストライプ2dに記録された磁気データが第2チャンネル55bによって読み取られる。すなわち、本形態では、第2チャンネル55bによって、75bpiの磁気データまたは210bpiの磁気データのいずれかが読み取られる。
【0116】
また、第2トラック2fに記録された75bpiの磁気データが第2チャンネル55bによって読み取られた場合には、CPU64は、第2トラック復調データ生成回路74から入力される復調データに基づいて、適切な復号データを生成することは可能であるが、第4トラック復調データ生成回路75から入力される復調データに基づいて、適切な復号データを生成することができない。一方、第4トラック2hに記録された210bpiの磁気データが第2チャンネル55bによって読み取られた場合には、CPU64は、第4トラック復調データ生成回路75から入力される復調データに基づいて、適切な復号データを生成することは可能であるが、第2トラック復調データ生成回路74から入力される復調データに基づいて、適切な復号データを生成することができない。
【0117】
本形態では、このことを利用して、CPU64は、第2チャンネル55bで読み取られた磁気データが第2トラック2fに記録された磁気データであるのか、あるいは、第4トラック2hに記録された磁気データであるのかを判別する。すなわち、CPU64は、第2トラック復調データ生成回路74から入力される信号に基づく復号データが有効であるのか、あるいは、第4トラック復調データ生成回路75から入力される信号に基づく復号データが有効であるのかを判別する。
【0118】
具体的には、図14に示すフローのように、CPU64は、まず、75bpiの磁気データを復号できるか否か判断する(ステップS1)。すなわち、CPU64は、第2トラック復調データ生成回路74から入力される復調データに基づいて、適切な復号データを生成することができたか否かを判断する。ステップS1で、75bpiの磁気データを復号できる場合には、CPU64は、第2トラック復調データ生成回路74から入力される信号に基づく復号データが有効であると判別する(ステップS2)。すなわち、CPU64は、第2チャンネル55bで読み取られた磁気データが第2トラック2fに記録された磁気データであると判別する。
【0119】
一方、ステップS1で、75bpiの磁気データを復号できない場合には、CPU64は、210bpiの磁気データを復号できるか否か判断する(ステップS3)。すなわち、CPU64は、第4トラック復調データ生成回路75から入力される復調データに基づいて、適切な復号データを生成することができたか否かを判断する。ステップS3で、210bpiの磁気データを復号できる場合には、CPU64は、第4トラック復調データ生成回路75から入力される信号に基づく復号データが有効であると判別する(ステップS4)。すなわち、CPU64は、第2チャンネル55bで読み取られた磁気データが第4トラック2hに記録された磁気データであると判別する。
【0120】
なお、ステップS3で、210bpiの磁気データを復号できない場合には、CPU64は、第2チャンネル55bで読み取られた磁気データが、第2トラック2fに記録された磁気データまたは第4トラック2hに記録された磁気データのいずれでもなく、無効であると判別する(ステップS5)。
【0121】
また、CPU64は、ステップS2またはステップS4で有効であると判別された復号データを用いて、その後、所定の処理を行う。また、磁気ヘッド55で読み取られる磁気データが磁気ストライプ2cの磁気データである場合には、CPU64は、第1トラック復調データ生成回路69から入力される復調データに基づく復号データと、第3トラック復調データ生成回路70から入力される復調データに基づく復号データとを利用して、所定の処理を行う。
【0122】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁気ヘッド55の第2チャンネル55bは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の読取が可能となるように構成されている。また、本形態では、制御回路63は、第2チャンネル55bで読み取られた磁気データを処理するための回路として、75bpiの磁気データを処理するための第1処理回路72と、210bpiの磁気データを処理するための第2処理回路73とを備え、第1処理回路72および第2処理回路73は、第2チャンネル55bに並列に接続されている。
【0123】
そのため、本形態では、カード2の一端部2jをカード通過路53の底面53aに押し付けながら、カード2の裏面2aと磁気ヘッド55とが当接するようにカード2を移動させると、第2トラック2fに記録された75bpiの磁気データを第2チャンネル55bで読み取って、制御回路63で復調、復号することができ、また、カード2の一端部2jを底面53aに押し付けながら、カード2の表面2bと磁気ヘッド55とが当接するようにカード2を移動させると、磁気ストライプ2dに記録された210bpiの磁気データを第2チャンネル55bで読み取って、制御回路63で復調、復号することができる。
【0124】
すなわち、本形態では、カード2の厚さ方向から見たときに、75bpiの磁気データが記録される第2トラック2fと210bpiの磁気データが記録される第4トラック2hとが表裏で重なる位置に配置されていても、カード2の一端部2jが底面53aに当接するように、ユーザがカード2を裏返して移動させることで、裏面2aの第2トラック2fの磁気データおよび表面2bの第4トラック2hの磁気データの両データを1個の磁気ヘッド55で読み取って、制御回路63で復調し、復号することができる。すなわち、本形態では、比較的簡易な構成で、このようなカード2の、裏面2aの磁気ストライプ2cの磁気データおよび表面2bの磁気ストライプ2dの磁気データの両データを復調し、復号することができる。
【0125】
また、本形態では、第2トラック2fの磁気データおよび第4トラック2hの磁気データの両データを1個の磁気ヘッド55で読み取って、制御回路63で復調し、復号することができるため、磁気ヘッド55と対向するようにスキャナ56を配置することができる。したがって、本形態では、カード2の磁気データを読み取るとともに、カード2の画像を取得することができる。
【0126】
本形態では、第1処理回路72は、75bpi用の増幅回路76と、75bpi用のフィルタ回路77と、75bpi用の微分回路78と、復調用信号生成回路68とを備え、第2処理回路73は、210bpi用の増幅回路79と、210bpi用のフィルタ回路66と、210bpi用の微分回路67と、復調用信号生成回路68とを備えている。そのため、2個の復調用信号生成回路68から第2トラック復調データ生成回路74または第4トラック復調データ生成回路75を介してCPU64に2種類の復調データを同時に入力することができる。したがって、磁気データを復号する際のCPU64の処理時間を短縮することが可能になる。
【0127】
(実施の形態3の変形例)
実施の形態3では、制御回路63は、CPU64に加え、第1トラック復調データ生成回路69、第2トラック復調データ生成回路74、第3トラック復調データ生成回路70および第4トラック復調データ生成回路75を備えている。この他にもたとえば、制御回路63は、第1トラック復調データ生成回路69、第2トラック復調データ生成回路74、第3トラック復調データ生成回路70および第4トラック復調データ生成回路75を備えていなくても良い。この場合には、復調用信号生成回路68からの入力される復調用信号に基づいて、CPU64が復調データを生成し、また、生成された復調データに基づいてCPU64が復号データを生成する。また、この場合には、CPU64は、2個の復調用信号生成回路68のうちのどちらの復調用信号生成回路68から入力される信号に基づく復号データが有効であるのかを判別する。
【0128】
実施の形態3では、磁気ヘッド55の第2チャンネル55bは、210bpiと75bpiの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、第1処理回路72は、75bpi用の増幅回路76、フィルタ回路77および微分回路78を備え、第2処理回路73は、210bpi用の増幅回路79、フィルタ回路66および微分回路67を備えている。この他にもたとえば、第2チャンネル55bは、210bpiおよび/または75bpi以外の2種類の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、第1処理回路72および第2処理回路73は、第2チャンネル55bで読取可能な記録密度の磁気データを処理できる増幅回路、フィルタ回路および微分回路を備えていても良い。
【0129】
また、第2チャンネル55bは、3種類以上の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、第2チャンネル55bに、3種類以上の記録密度の磁気データをそれぞれ処理するための3個以上の処理回路が並列に接続されても良い。また、第1チャンネル55aおよび/または第3チャンネル55cが、2種類以上の記録密度の磁気データの読取が可能となるように構成され、第1チャンネル55aおよび/または第3チャンネル55cに、2種類以上の記録密度の磁気データをそれぞれ処理するための2個以上の処理回路が並列に接続されても良い。
【0130】
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0131】
実施の形態1では、搬送機構5を備えるカード搬送式のカードリーダ1に制御回路23が使用されているが、制御回路23は、手動式のカードリーダに使用されても良い。この場合には、カードリーダは、実施の形態3と同様にスワイプ式のカードリーダであっても良いし、いわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。また、この場合には、カード2が所定の距離移動する間の復調用信号の磁気反転数に基づいて、CPU24が磁気データの記録密度を判別すれば良い。
【0132】
実施の形態3では、スワイプ式のカードリーダ51に制御回路63が使用されているが、制御回路63は、ディップ式のカードリーダに使用されても良い。また、制御回路63は、カード搬送式のカードリーダに使用されても良い。
【0133】
上述した形態では、カードリーダ1、51は、塩化ビニール製のカード2、PET製のカード2あるいは紙製のカード2等を取り扱うためのカード用のカードリーダである。この他にもたとえば、本発明の構成が適用される磁気情報読取装置は、パスポート等の磁気情報記録媒体を取り扱うための磁気情報読取装置であっても良い。
【符号の説明】
【0134】
1、51 カードリーダ(磁気情報読取装置)
2 カード(磁気情報記録媒体)
2a 裏面
2b 表面
2c、2d 磁気ストライプ
2j 一端部
3 磁気ヘッド(データ復調用ヘッド)
3a 第1チャンネル(チャンネル)
3b 第2チャンネル(チャンネル)
3c 第3チャンネル(チャンネル)
4 磁気ヘッド
5 搬送機構
6 挿入口
9 プリヘッド(磁気ヘッド、媒体挿入検出用ヘッド、第1検出機構)
9a 第1チャンネル(チャンネル)
9b 第2チャンネル(チャンネル)
9c 第3チャンネル(チャンネル)
10 検出機構(第1検出機構、第2検出機構)
11 検出機構(第2検出機構)
23、43、63 制御回路
24、64 CPU(演算回路)
26、72 第1処理回路(処理回路)
27、73 第2処理回路(処理回路)
28 切替回路
29、68 復調用信号生成回路
31、33、66、77 フィルタ回路
32、34、67、78 微分回路
46 ヘッド切替回路
55 磁気ヘッド
55a 第1チャンネル
55b 第2チャンネル(チャンネル)
55c 第3チャンネル
56 スキャナ(画像読取手段)
74 第2トラック復調データ生成回路(復調データ生成回路)
75 第4トラック復調データ生成回路(復調データ生成回路)
76、79 増幅回路
X 磁気情報記録媒体の長手方向
X1 磁気情報記録媒体の挿入方向
Y 磁気情報記録媒体の短手方向
Z 磁気情報記録媒体の厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報記録媒体に形成される磁気ストライプに記録された磁気データの読取が可能な磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドで読み取られた磁気データを復調し、復号するための制御回路とを備え、
前記磁気ヘッドは、複数の記録密度の磁気データの読取が可能な1個以上のチャンネルを備え、
前記制御回路は、1つの前記チャンネルに並列に接続されるとともに複数の記録密度の磁気データを記録密度ごとに処理するための複数の処理回路と、複数の前記処理回路の出力側が直接または所定の回路を介して接続される演算回路とを備えることを特徴とする磁気情報読取装置。
【請求項2】
前記制御回路は、複数の前記処理回路が入力側に並列に接続されるとともに前記演算回路が直接または所定の回路を介して出力側に接続される切替回路を備え、
前記演算回路は、入力される信号に基づいて、前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別し、判別された記録密度の磁気データを処理するための前記処理回路からの出力信号が前記演算回路に入力されるように前記切替回路を切り替えることを特徴とする請求項1記載の磁気情報読取装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記切替回路からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する復調用信号生成回路を前記切替回路と前記演算回路との間に備え、
前記処理回路は、前記チャンネルからの出力信号の所定の周波数成分を除去するフィルタ回路と、前記フィルタ回路からの出力信号を微分する微分回路とを備えることを特徴とする請求項2記載の磁気情報読取装置。
【請求項4】
前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気ストライプの先端側には、一定周期で磁気が反転する同期用データが記録され、
前記演算回路は、前記チャンネルでの前記同期用データの読取結果に基づいて、前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することを特徴とする請求項2または3記載の磁気情報読取装置。
【請求項5】
前記磁気情報記録媒体を搬送するための搬送機構を備え、
前記演算回路は、入力される信号の周波数に基づいて、前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することを特徴とする請求項4記載の磁気情報読取装置。
【請求項6】
前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向における前記磁気情報記録媒体の先端部を検出するための第1検出機構および第2検出機構を備え、
前記第1検出機構は、前記磁気情報記録媒体の挿入方向において、前記第2検出機構よりも前記磁気情報記録媒体の挿入口側に配置され、
前記演算回路は、入力される信号の、前記第1検出機構で前記磁気情報記録媒体の先端部が検出されてから前記第2検出機構で前記磁気情報記録媒体の先端部が検出されるまでの磁気反転数に基づいて、前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することを特徴とする請求項4記載の磁気情報読取装置。
【請求項7】
前記磁気ヘッドとして、前記磁気情報読取装置に前記磁気情報記録媒体が挿入されたことを検出するための媒体挿入検出用ヘッドと、前記磁気ストライプに記録された磁気データを読み取って復調し、復号するためのデータ復調用ヘッドとを備え、
前記演算回路は、前記媒体挿入検出用ヘッドの前記チャンネルで読み取られる前記同期用データに基づいて、前記磁気ストライプに記録された磁気データの記録密度を判別することを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の磁気情報読取装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記媒体挿入検出用ヘッドの1つの前記チャンネルおよび前記データ復調用ヘッドの1つの前記チャンネルが入力側に並列に接続されるとともに、複数の前記処理回路が出力側に並列に接続されるヘッド切替回路を備えることを特徴とする請求項7記載の磁気情報読取装置。
【請求項9】
前記処理回路は、前記チャンネルからの出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路からの出力信号の所定の周波数成分を除去するフィルタ回路と、前記フィルタ回路からの出力信号を微分する微分回路と、前記微分回路からの出力信号に基づいて磁気データ復調用の矩形波状の復調用信号を生成する復調用信号生成回路とを備えることを特徴とする請求項1記載の磁気情報読取装置。
【請求項10】
前記制御回路は、複数の前記復調用信号生成回路のそれぞれから出力される前記復調用信号に基づいて復調データを生成する復調データ生成回路を複数の前記復調用信号生成回路のそれぞれと前記演算回路との間に備え、
前記演算回路は、複数の前記復調データ生成回路から入力される信号に基づいて、復号データを生成するとともに、複数の前記復調データ生成回路のうちのどの前記復調データ生成回路から入力される信号に基づく復号データが有効であるかを判別することを特徴とする請求項9記載の磁気情報読取装置。
【請求項11】
前記演算回路は、複数の前記復調用信号生成回路から入力される前記復調用信号に基づいて、復調データと復号データとを生成するとともに、複数の前記復調用信号生成回路のうちのどの前記復調用信号生成回路から入力される信号に基づく復号データが有効であるかを判別することを特徴とする請求項9記載の磁気情報読取装置。
【請求項12】
前記磁気ヘッドは、少なくとも210bpi(bit per inch)と75bpiとの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能な前記チャンネルを備え、
前記制御回路は、210bpiの磁気データを処理するための前記処理回路と、75bpiの磁気データを処理するための前記処理回路とを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の磁気情報読取装置。
【請求項13】
前記磁気ヘッドは、前記チャンネルとして、210bpiと75bpiとの2種類の記録密度の磁気データの読取が可能な第2チャンネルを備えるとともに、210bpiの磁気データの読取が可能な第1チャンネルおよび第3チャンネルを備え、
前記第1チャンネル、前記第2チャンネルおよび前記第3チャンネルは、前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向に略直交する方向において、この順番で配置されていることを特徴とする請求項12記載の磁気情報読取装置。
【請求項14】
前記磁気情報記録媒体の表面と裏面とのそれぞれに前記磁気ストライプが形成され、
前記磁気ストライプは、前記磁気情報読取装置への前記磁気情報記録媒体の挿入方向に略平行な前記磁気情報記録媒体の長手方向に沿って形成され、
前記磁気情報記録媒体の裏面に形成される前記磁気ストライプには、第1トラック、第2トラックおよび第3トラックの3つのトラックの磁気データが記録され、
前記第1トラックには、210bpiの磁気データが記録され、前記第2トラックには、75bpiの磁気データが記録され、前記第3トラックには、210bpiの磁気データが記録され、
前記第1トラック、前記第2トラックおよび前記第3トラックは、前記磁気情報記録媒体の長手方向に略直交する前記磁気情報記録媒体の短手方向の一端部側からこの順番で配置され、
前記磁気情報記録媒体の表面に形成される前記磁気ストライプには、第4トラックの1つのトラックの磁気データが記録され、
前記第4トラックには、210bpiの磁気データが記録され、
前記磁気情報記録媒体の厚さ方向から見たときに、前記第4トラックの少なくとも一部が前記第2トラックに重なっていることを特徴とする請求項13記載の磁気情報読取装置。
【請求項15】
前記磁気ヘッドと対向するように配置され、前記磁気情報記録媒体の画像を取得する画像読取手段を備えることを特徴とする請求項14記載の磁気情報読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate