磁気源の位置を突き止める方法
【課題】磁気源の位置を突き止める方法を提供する。
【解決手段】磁気源の位置を突き止める方法が、磁気源により生じた磁界を測定するステップと、かかる測定に基づいて空間中の多数の点における磁界の三次元磁束密度の成分を求めるステップとを含む。この方法は、磁気源の位置を推定するステップと、推定位置に基づいて空間中の多数の点における理論的三次元磁束密度の成分を求めるステップとを更に有する。次に、測定した成分とこれらに対応した理論的三次元磁束密度成分の差を最小限に抑えることにより、磁気源の位置を突き止めることができる。
【解決手段】磁気源の位置を突き止める方法が、磁気源により生じた磁界を測定するステップと、かかる測定に基づいて空間中の多数の点における磁界の三次元磁束密度の成分を求めるステップとを含む。この方法は、磁気源の位置を推定するステップと、推定位置に基づいて空間中の多数の点における理論的三次元磁束密度の成分を求めるステップとを更に有する。次に、測定した成分とこれらに対応した理論的三次元磁束密度成分の差を最小限に抑えることにより、磁気源の位置を突き止めることができる。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連米国特許出願の相互参照〕
ジェイソン・ティー・シャーマン等(Jason T. Sherman et al.)により2005年12月30日に出願された米国実用特許出願(願番は未付与、発明の名称はコンピュータ支援整形外科手術システムを用いて患者の骨を登録するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR REGISTERING A BONE OF A PATIENT WITH A COMPUTER ASSISTED ORTHOPAEDIC SURGERY SYSYTEM))、ジェイソン・ティー・シャーマン等により2005年12月30日に出願された米国実用特許出願(願番は未付与、発明の名称はコンピュータ支援整形外科手術システムを用いて患者の骨を登録する装置および方法(APPARATUS METHOD FOR REGISTERING A BONE OF A PATIENT WITH A COMPUTER ASSISTED ORTHOPAEDIC SURGERY SYSYTEM))およびジェイソン・ティー・シャーマン等により2005年12月30日に出願された米国実用特許出願(願番は未付与、発明の名称は磁気センサアレイ(MAGNETIC SEMSOR ARRAY))を参照されたい。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、一般に整形外科手技の実施において用いられるコンピュータ支援手術システムに関する。
【0003】
〔背景〕
低侵襲整形外科手技がますます普及している。かかる手術手技は一般に、外科医が手術野を見る能力を制限するので、外科医は、外科手術を助けるコンピュータシステム、例えば、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムをますます利用している。
【0004】
コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムは、例えば実施中の手術手技の手術ステップを示す画像および患者の関連の骨の描画像を表示することにより整形外科手術手技の実施にあたり外科医を助ける。コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムが骨の描画像を表示できる前に、まず最初に骨をコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに登録しなければならない。骨をコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに登録することにより、このシステムは、骨の関連の輪郭、存在場所(以下、単に「場所」ともいう)および向きを判定し、かかるパラメータに応じて描画像を表示することができる。典型的なコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムでは、プローブで骨の多数の場所に触れることにより骨を登録する。これに応答して、システムは、記録した場所に基づいて骨の輪郭を含む骨の描画像を推定する。典型的な登録プロセスは、整形外科手術手技中に行われるので、典型的な登録プロセスは追加の手術時間を生じさせ、患者が感染の恐れにさらされる時間を長くする場合がある。さらに、特定の骨格領域、例えば股関節の骨の解剖学的構造の現行の登録は、基準(fiducial)マーカおよび解剖学的平面の設定の困難さに起因して課題となっている。
【0005】
〔概要〕
一態様によれば、コンピュータ支援整形外科手術システムを作動させる方法は、患者の骨に結合された磁気源の位置を突き止めるステップを含む。磁気源の位置を磁気源により生じた磁界に基づいて突き止めることができる。磁気源の位置を突き止めるステップは、磁界を検出するステップを含むのがよい。例えば、磁気源の位置を突き止めるステップは、三次元磁束密度またはその一部を検出するステップを含むのがよい。磁気源は、1つまたは2つ以上の磁石を含むのがよい。例えば、磁気源は、円筒形双極磁石を含むのがよい。磁気源を骨の中に植え込むことにより磁気源を骨に結合するのがよい。ジグを用いて磁気源を植え込むのがよい。磁気源が2つまたは3つ以上の磁石を含む実施形態では、磁石を互いに対して任意の向きに植え込むのがよい。例えば、磁石を互いに垂直に植え込むのがよい。加うるに、磁石を個々の磁界が互いに実質的に干渉し合わないように互いに距離を離して植え込むのがよい。例えば、磁気センサまたは磁気センサの集合体、例えば磁気センサアレイの最大検出距離の2倍以上離して、磁石を植え込むのがよい。
【0006】
磁気センサアレイを1つまたは2つ以上の磁気センサとして具体化することができる。磁気センサは、空間中の一点(即ち、磁気源の存在場所)における磁気源の磁界の三次元磁束密度の任意の成分または全ての成分のスカラー成分または大きさを測定するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサを磁気源の磁界中に位置決めするためのハウジングを更に有するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサに電気的に結合され、磁気センサアレイに対する磁気源の位置を表す位置データを求めるよう構成された処理回路を更に有するのがよい。例えば、処理回路は、磁気源の6つの自由度を表す多くの係数を求めるよう構成されてよい。そのようにするため、磁気センサアレイは、磁気源の位置の初期推定を定めることができる。初期推定に基づいて、磁気センサアレイは、磁気源の理論的磁束密度の1つまたは2つ以上の成分を求めることができる。また、磁気センサアレイは、磁束密度の理論的値と測定値の誤差の和を求めることができる。また、磁気センサアレイは、大域的または小域的最適化アルゴリズムを利用して磁気源の位置に関する新たな推定を求めることにより誤差の和を最適化するよう構成されてもよい。
【0007】
磁気センサアレイは、処理回路に電気的に結合されていて、位置データを例えばCAOSシステムのコントローラまたはコンピュータに伝送する送信器、例えばワイヤレス送信器を更に有するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサにより検出された磁束密度が所定のしきい値を超えている場合、処理回路により作動される表示器、例えば視覚表示器を更に有するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサアレイが例えばワイヤレス送信器を介して感覚データをコントローラに伝送するようにするためにユーザにより選択可能な登録ボタンを更に有するのがよい。また、反射センサアレイを磁気センサアレイに結合するのがよい。反射センサアレイとコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムのカメラの協働により、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに対する磁気センサアレイの位置を突き止めることができる。
【0008】
磁気センサアレイの(例えば、磁気センサの)出力信号は、環境の磁界、例えば地球の磁界および(または)磁気センサアレイに含まれる磁気センサのオフセットバイアス(offset biases)を考慮に入れるよう調節されるのがよい。さらに、既知の磁界強度または磁束密度および磁気センサアレイからの既知の距離の試験用磁気源を有する試験用装置を用いることにより登録プロセスに先立ってまたは保守プロセスの一部として磁気センサの測定値を検証するのがよい。
【0009】
この方法は、磁界に基づいて磁気源の位置を表す位置データを求めるステップを更に有するのがよい。位置データを求めるステップは、磁気センサアレイに対する磁気源の位置を突き止めるステップおよび(または)コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに対する磁気センサアレイの位置を突き止めるステップを含むのがよい。位置データを突き止めるステップは、磁気源の6つの自由度(即ち、3つの直交空間座標および各直交軸線回りの3つの回転角度)の値を求めるステップを更に含むのがよい。
【0010】
この方法は、骨の画像をデータベースまたは他のストレージ場所から検索して取り出すステップを更に有するのがよい。画像は、磁気源の相対位置(例えば、磁石の位置)の指標(indicia)を含む骨のあらかじめ作成された三次元画像の任意の形式であってよい。この方法は、骨と磁気源との間の位置関係、例えばベクトルを求めるステップを含むのがよい。この方法は、検索して取り出した画像、位置データおよび骨と磁気源との間の位置関係に基づいて、骨の図式的に描画された画像を作成するステップを更に含むのがよい。骨の図式的に描画された像は、画像データに基づいて定められた表面輪郭を含むのがよい。図式的に描画された像を位置データに基づいて場所および向きに関して表示するのがよい。この方法は、作成ステップ後、磁気センサアレイにより磁気源の存在場所を突き止めるステップを更に含むのがよい。次に、磁気源の存在場所を磁気センサアレイにより突き止めた後、磁気源を骨から取り外すのがよい。
【0011】
別の態様によれば、コンピュータ支援手術システムは、表示装置と、表示装置に電気的に結合されたプロセッサと、プロセッサに電気的に結合された記憶装置とを有する。記憶装置には、複数の命令がストレージされているのがよく、これら命令がプロセッサにより実行されると、これら命令により、プロセッサは、患者の骨に結合された磁気源の位置を表す位置データを受け取ることができる。位置データを磁気センサアレイから受け取ることができる(例えば、ワイヤレスで受け取ることができる)。また、複数の命令により、プロセッサは、基準点、例えばシステムのカメラまたはコントローラに対する磁気センサアレイの位置を突き止めることができる。さらに、複数の命令により、プロセッサは、患者の骨の画像をデータベースから検索して取り出し、検索して取り出した画像および突き止めステップに基づいて、骨の図式的に描画された像を場所および向きに関して表示装置上に表示することができる。
【0012】
別の態様によれば、CAOSシステムを用いて骨を登録する方法が、磁気源を患者の骨に結合するステップを有するのがよい。上述したように、磁気源は、1つまたは2つ以上の磁石、例えば円筒形の双極磁石を含むのがよい。磁気源を骨の中に植え込むことにより磁気源を骨に結合するのがよい。磁気源が2つまたは3つ以上の磁石を含む実施形態では、ジグを用いて磁石を骨に結合するのがよい。磁石を互いに対して所定の角度をなして骨に結合するのがよい。変形例として、2つまたは3つ以上の磁石は、互いに対する位置(場所および向き)が固定されるように、支持部材を用いて互いに結合されてよい。加うるに、磁石は、各磁石の個々の磁界が磁気源を形成する他の磁石の磁界と実質的に干渉し合わないように、互いに距離を置いて結合されてよい。例えば、幾つかの実施形態では、磁石を互いに磁気源に関する所望の最大検出距離の少なくとも2倍の距離離して結合する。
【0013】
この方法は、結合ステップ後に骨の画像を生成するステップを更に有するのがよい。画像は、骨に対する磁気源の位置の指標を含むのがよい。この方法は、磁気源により生じた磁界に基づいて磁気源の位置を突き止めるステップを更に有するのがよい。この方法は、検索して取り出した画像、位置データおよび骨と磁気源との間の位置関係に基づいて骨の図式的に描画された像を作成するステップを更に有するのがよい。骨の図式的に描画された像は、画像データに基づいて求められた表面輪郭を含んでよい。骨の図式的に描画された像を位置データに基づいて場所および向きに関して表示するのがよい。この方法は、作成ステップ後、磁気センサアレイにより磁気源の存在場所を突き止めるステップを更に含むのがよい。次に、骨をコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムを用いて登録した後、磁気源を骨から取り外すのがよい。
【0014】
さらに別の態様によれば、患者の骨をCAOSシステムを用いて登録する装置が、支持フレームと、支持フレームに結合された第1の磁気センサアレイと、支持フレームに結合された第2の磁気センサアレイとを有するのがよい。幾つかの実施形態では、この装置は、それよりも多くのまたは少ない磁気センサアレイを有してもよい。磁気センサアレイは各々、支持フレームに対して動くことができる。例えば、各磁気センサアレイをフレームに対して旋回させると共に(あるいは)並進させることができる。各磁気センサアレイは、磁気源の磁界を検出し、磁気源の位置を表す位置データを求めるよう構成された回路を有する。この回路は、例えば、1つまたは2つ以上の磁気センサおよび処理回路を含むのがよい。この回路は、磁気センサアレイとあらかじめ定められた軸線のなす角度を求めるよう構成された角度センサを更に有するのがよい。この回路は、あらかじめ定められた基準点に対する磁気センサアレイの並進距離を求める距離センサを更に有するのがよい。この回路は、相対位置、求めた角度、および求めた距離をコントローラ、例えばCAOSシステムのコンピュータに伝送する送信器(例えば、ワイヤレス送信器)を更に有するのがよい。この回路は、装置のユーザに磁気センサアレイが磁気源の磁界中に位置していることを知らせる表示器、例えば視覚表示器を更に有するのがよい。
【0015】
さらに別の態様によれば、患者の骨の解剖学的構造をCAOSシステムを用いて登録する方法が、第1の磁気センサアレイを患者の骨の解剖学的構造に結合された第1の磁気源の磁界中に位置決めするステップと、第2の磁気センサアレイを骨の解剖学的構造に結合された第2の磁気源の磁界中に位置決めするステップとを有するのがよい。磁気源を各々1つまたは2つ以上の磁石として具体化するのがよい。磁気センサアレイを共通の軸線回りに旋回させると共に(あるいは)磁気センサアレイをそれぞれの長手方向軸線に沿って動かすことにより磁気センサアレイを位置決めするのがよい。この方法は、第1の磁気センサアレイに対する第1の磁気源の位置を表す第1の位置データおよび第2の磁気センサアレイに対する第2の磁気源の位置を表す第2の位置データを求めるステップを更に有するのがよい。位置データを求めるステップは、三次元磁束密度のスカラー成分のうち任意の1つまたは2つ以上を求めるステップおよび(または)磁気源の6つの自由度を求めるステップを含むのがよい。
【0016】
この方法は、第1および第2の磁気センサアレイに結合された支持フレームの位置を表す位置データを求めるステップを更に有するのがよい。この方法は、基準点に対する第1の磁気センサアレイの第1の並進距離、および基準点に対する第2の磁気センサアレイの第2の並進距離を求めるステップを更に有するのがよい。加うるに、この方法は、第1の磁気センサアレイと基準軸線のなす第1の角度、および第2の磁気センサアレイと基準軸線のなす第2の角度を求めるステップを更に有するのがよい。この方法は、第1の位置データ、第2の位置データ、第1の距離、第2の距離、第1の角度、および第2の角度をコントローラに伝送するステップを更に有するのがよい。この方法は、磁気源を患者の骨の解剖学的構造に結合するステップを更に有するのがよい。加うるに、この方法は、骨の解剖学的構造の画像を電子ファイルから検索して取り出すステップと、画像データ、位置データ、求めた距離、および求めた角度に基づいて骨の解剖学的構造の図式的に描画された像を作成するステップを更に有するのがよい。
【0017】
単独のまたは任意の組み合わせで特許性のある発明内容を構成することができる、本発明の上述の特徴および他の特徴は、以下の説明および添付の図面から明らかになる。
【0018】
詳細な説明において、添付の図面の各図を具体的に参照する。
【0019】
〔図面の詳細な説明〕
本発明の技術的思想は、種々の改造および変形形態で実施できるが、本発明の具体的な例示の実施形態が、図面に例示的に示されており、本明細書においてこれら例示の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の技術的思想を開示した特定の形態に限定しようとするものではなく、これとは逆に、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に属する全ての改造例、均等例および変形例を含むものである。
【0020】
図1を参照すると、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム10が、コンピュータ12と、カメラユニット14とを有している。CAOSシステム10は、任意のタイプのコンピュータ支援整形外科手術システムとして具体化されたものであってよい。一例を挙げると、CAOSシステム10は、インディアナ州ワーソー所在のデピュイ・オルトパエディックス・インコーポレイテッド(DePuy Orthopaedics, Inc.)から市販されているCi(登録商標)システムとして具体化されている。カメラユニット14は、移動式カメラユニット16または固定式カメラユニット18として具体化されたものであるのがよい。幾つかの実施形態では、システム10は、両方のタイプのカメラユニット16,18を有するのがよい。移動式カメラユニット16は、ベース22に結合されたスタンド20を有する。ベース22は、移動式カメラユニット16を病院の部屋23の中で再位置決めできるようにするための多数個の車輪21を有するのがよい。移動式カメラユニット16は、カメラヘッド24を有する。カメラヘッド24は、2つのカメラ26を有する。カメラヘッド24は、カメラ26の視野を調節できるようスタンド20に対して再位置決め可能であるのがよい。固定式カメラユニット18は、移動式カメラユニット16とほぼ同じであり、ベース28と、カメラヘッド30と、カメラヘッド30をベース28に結合するアーム32とを有する。幾つかの実施形態では、他の周辺機器、例えばディスプレイスクリーン、ライト(灯)等もまたベース28に結合するのがよい。カメラヘッド30は、2つのカメラ34を有する。固定式カメラユニット18を図1に例示的に示すように天井に結合してもよくまたは病院の部屋の壁に結合してもよい。カメラユニット16のカメラヘッド24と同様、カメラヘッド30は、カメラ34の視野を調節できるようアーム32に対して再位置決め可能であるのがよい。カメラユニット14,16,18は、コンピュータ12に通信可能に結合されている。コンピュータ12を多数個の車輪38を備えたカート36に取り付けまたはこれとは違ったやり方でカート36に結合してコンピュータ12を整形外科手術手技の実施中、外科医の近くに位置決めできるようにするのがよい。
【0021】
次に図2を参照すると、コンピュータ12は、一例として、プロセッサ40および記憶装置42を有する。プロセッサ40は、任意形式のプロセッサとして具体化されたものであってよく、かかるプロセッサとしては、例えば、ディスクリート処理回路(例えば、論理装置の集合体)、汎用集積回路および(または)特定用途向け集積回路(即ち、ASIC)が挙げられる。記憶装置42は、任意形式の記憶装置として具体化されたものであってよく、かかる記憶装置は、1つまたは2つ以上のメモリタイプ、例えば、ランダムアクセスメモリ(即ち、RAM)および(または)読み取り専用記憶装置(即ち、ROM)を含むのがよい。加うるに、コンピュータ12は、コンピュータにおいて典型的に見られ、本明細書において説明する機能を実施する他の装置および回路、例えば、ハードドライブ、入力/出力回路等を有するのがよい。
【0022】
コンピュータ12は、通信リンク46を介して表示装置44に通信可能に結合されている。図2にコンピュータ12とは別個のものとして示されているが、表示装置44は、幾つかの実施形態ではコンピュータ12の一部を形成してよい。加うるに、幾つかの実施形態では、表示装置44または追加の表示装置は、コンピュータ12から離して位置決めされてもよい。例えば、表示装置44を整形外科手術手技が行われるべき手術室の天井または壁に結合してもよい。追加的にまたは代替的に、表示装置44は、仮想ディスプレイ、例えば、ホログラフィックディスプレイ、体取り付け型ディスプレイ、例えば、ヘッドアップディスプレイ等として具体化されたものであってよい。コンピュータ12はまた、データ入力をコンピュータ12に提供する多数の入力装置、例えばキーボードおよび(または)マウスに結合されてよい。しかしながら、例示の実施形態では、表示装置44は、整形外科医50から入力を受け取ることができるタッチ画面(タッチスクリーン)型表示装置である。即ち、外科医50は、例えば、表示装置44の画面に単に触れることにより多数の画面上の選択肢から選択を行って入力データをコンピュータ12に提供することができる。
【0023】
コンピュータ12はまた、通信リンク48を介してカメラユニット16(および(または)18)に通信可能に結合されている。一例を挙げると、通信リンク48は、ワイヤード(wired)通信リンクであるが、幾つかの実施形態では、ワイヤレス通信リンクとして具体化されるのがよい。通信リンク48がワイヤレス信号経路である実施形態では、カメラユニット16およびコンピュータ12は、コンピュータ12およびカメラユニット16がデータ(例えば、画像データ)を送ったり受け取ったりできるようワイヤレストランシーバを有する。図2には移動式カメラユニット16だけが示されているが、理解されるべきこととして、代替的に固定式カメラユニット18を用いてもよく、あるいは、固定式カメラユニット18を移動式カメラユニット16に加えて用いてもよい。
【0024】
CAOSシステム10は、多数のセンサまたはセンサアレイ54を更に有するのがよく、これらセンサまたはセンサアレイを患者56の関連の骨および(または)整形外科手術ツール58に結合するのがよい。例えば、図3に示すように、脛骨用アレイ60は、センサアレイ62および骨クランプ64を有する。例示の骨クランプ64は、シャンツ(Schantz)のピン68を用いて患者56の脛骨66に結合するよう構成されているが、他形式の骨クランプを用いてもよい。センサアレイ62は、延長アーム70を介して骨クランプ64に結合されている。センサアレイ62は、フレーム72および3つの反射要素またはセンサ74を有する。反射要素74は、例示の実施形態では球体として具体化されているが、他の実施形態では他の幾何学的形状を有してもよい。加うるに、他の実施形態では、4つ以上の反射要素を有するセンサアレイを用いてもよい。反射要素74は、あらかじめ定められた形態で位置決めされ、コンピュータ12は、この形態に基づいて脛骨アレイ60の同一性を判定することができる。即ち、脛骨アレイ60が図2に示すようにカメラヘッド24の視野52内に位置決めされているとき、コンピュータ12は、カメラヘッド24から受け取った像に基づいて脛骨アレイ60の同一性を判定するよう構成されている。加うるに、反射要素74の相対位置に基づいて、コンピュータ12は、脛骨アレイ60の場所および向きを判定し、それに応じてアレイ60が結合されている脛骨66の場所および向きを判定するよう構成されている。
【0025】
センサアレイはまた、他の手術ツールに結合されるのがよい。例えば、図4に示すような登録ツール80を用いて図7を参照して以下に詳細に説明するように骨の点を登録する。登録ツール80は、ツール80の取っ手86に結合された3つの反射要素84を備えるセンサアレイ82を有する。登録ツール80は、骨の点を登録するために用いられるポインタエンド88を更に有する。反射要素84はまた、コンピュータ12が登録ツール80の同一性およびその相対存在場所(即ち、ポインタエンド88の存在場所)を判定することができる形態で位置決めされている。加うるに、センサアレイは、他の手術ツール、例えば、図5に示すように脛骨切除ジグ90に用いられることができる。ジグ90は、切除されるべき骨94の場所のところで脛骨94に結合された切除案内部分92を有する。ジグ90は、フレーム95を介して切除案内部分92に結合されたセンサアレイ96を有する。センサアレイ96は、コンピュータ12がジグ90の同一性およびその相対存在場所(例えば、脛骨94に対する場所)を判定することができる形態で位置決めされた3つの反射要素98を有する。
【0026】
CAOSシステム10は、例えば全膝関節置換術を含む任意形式の整形外科手術手技を助けるよう整形外科医50により使用されうる。そのようにするために、コンピュータ12および(または)表示装置44は、外科医50の視界内に位置決めされる。上述したように、コンピュータ12を移動式カート36に結合してかかる位置決めを容易にするのがよい。カメラユニット16(および(または)カメラユニット18)は、図2に示すように、カメラヘッド24の視野52が、整形外科手術手技が行われる患者56の部分を覆うように位置決めされている。
【0027】
整形外科手術手技の実施中、CAOSシステム10のコンピュータ12は、実施されている整形外科手術手技を形成する個々の手術手技ステップの像を表示するようプログラムされまたはこれとは違ったやり方で構成されている。像は、図式的に描画された像または図式的に強調された写真画像であるのがよい。例えば、画像は、患者の関連の解剖学的部分の三次元描画像を含むのがよい。外科医50は、コンピュータ12と対話して種々の手術ステップの像を連続した順序で表示させるのがよい。加うるに、外科医は、コンピュータ12と対話して手術ステップの先に表示された像を視認すると共に像を選択的に視認し、コンピュータ12に命令を与えて提案された手術ステップまたは手技の解剖学的結果を描画させまたは他の手術関連機能を実行することができる。例えば、外科医は、互いに異なる骨切除手技の結果的に生じた骨構造の描画像を視認することができる。このように、CAOSシステム10は、外科医50が整形外科手術手技を行いながら従うべき手術「ウォークスルー(walk-through)」を提供する。
【0028】
幾つかの実施形態では、外科医50はまた、コンピュータ12と対話してシステム10の種々の装置を制御することができる。例えば、外科医50は、表示装置44のユーザ選択または設定値を制御するようシステム10と対話することができる。さらに、コンピュータ12は、応答するよう外科医50に促すことができる。例えば、コンピュータ12は、外科医が現在の手術ステップを完了したかどうか、外科医が他の画像を見たいと思っているかどうか等を問い合わせるよう外科医に促すことができる。
【0029】
また、カメラユニット16とコンピュータ12は、整形外科手術手技中、外科医にナビゲーションデータを提供するよう協働する。即ち、コンピュータ12は、通信リンク48を介してカメラヘッド24から受け取ったデータ(例えば、画像)に基づいて関連の骨および手術ツール58の場所を突き止めて表示する。そのようにするため、コンピュータ12は、カメラ26の各々から受け取った画像データを比較し、センサアレイ54,62,82,96の相対場所および向きに基づいて骨およびツール58の場所および向きを判定する。外科医50に表示されたナビゲーションデータは、連続的に更新される。このように、CAOSシステム10は、外科医50が整形外科手術手技を行いながらモニタするための関連の骨および手術ツールの場所の視覚フィードバックを提供する。
【0030】
次に図6を参照すると、外科医が整形外科手術手技を行うのを助けるアルゴリズム100が、コンピュータ12によって実行される。アルゴリズム100は、CAOSシステム10を初期化するプロセスステップ102で始まる。プロセスステップ102中、CAOSシステム10の設定項目、優先項目および較正項目を定めて実行する。例えば、プロセスステップ102において、表示装置44の映像設定項目を選択し、コンピュータ12により表示される言語を選択し、そして表示装置44のタッチ画面を較正するのがよい。
【0031】
プロセスステップ104において、整形外科手術手技の選択項目および優先項目が外科医によって選択される。かかる選択項目としては、実施されようとする整形外科手術手技のタイプ(例えば、人工膝関節形成術)、用いられる整形外科インプラントのタイプ(例えば、製造業者、モデル、サイズ、固定形式等)、手術の順序(例えば、まず最初に脛骨または大腿骨)等が挙げられる。プロセスステップ104において、整形外科手術手技をいったんセットアップすると、プロセスステップ106において、患者の骨を登録する。そのようにするため、センサアレイ、例えば図3に示す脛骨アレイ60を患者の関連の骨(即ち、整形外科手術手技に関係する骨)に結合する。加うるに、登録ツール80を用いてかかる骨の輪郭を登録する。そのようにするため、ツール80のポインタエンド88を登録されるべき骨の種々の領域に触れさせる。登録に応答して、コンピュータ12は、骨の描画像を表示し、骨の場所および向きが、その骨に結合されたセンサアレイに基づいて突き止められ、骨の輪郭が登録された点に基づいて求められる。骨の点の選択だけが登録されるので、コンピュータ12は、ツール80で登録されなかった骨の残りの領域を計算して描画する。
【0032】
プロセスステップ106において関連の骨をいったん登録すると、プロセスステップ108において、コンピュータ12は、カメラユニット16,18と協働して、整形外科手術手技および関連したナビゲーションデータ(例えば、手術ツールの存在場所)の手術ステップの画像を表示する。そのようにするため、プロセスステップ108は、多くのサブステップ110を有し、これらサブステップにおいて、各手術手技ステップを関連したナビゲーションデータと共に順番に外科医50に表示する。外科医50に表示される特定のサブステップ110は、プロセスステップ104において外科医50により行われた選択で決まる場合がある。例えば、外科医50が脛骨を最初とする特定の手技を行うことを決定した場合、サブステップ110が脛骨を最初にする順番で外科医50に提供される。
【0033】
次に図7を参照すると、特定の一実施形態では、外科医が人工膝関節形成術を行うのを助けるアルゴリズム120をコンピュータ12で実行するのがよい。アルゴリズム120は、CAOSシステム10を初期化するプロセスステップ122を有する。プロセスステップ122は、図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ102とほぼ同じである。プロセスステップ122において、CAOSシステム10の優先項目を選択して較正項目を設定する。そのようにするため、コンピュータ12は、図8に示すように表示装置44を介してユーザ初期化インターフェイス160を外科医50に表示する。外科医50は、インターフェイス160と対話してCAOSシステム10の種々の初期化オプションを選択するのがよい。例えば、外科医50は、ネットワーク設定項目ボタン162を選択してシステム10のネットワーク設定項目を変更し、映像設定項目ボタン164を選択してシステム10の映像設定項目を変更し、言語ボタン166を選択してシステム10により用いられる言語を変更すると共に(あるいは)較正ボタン168を選択して表示装置44のタッチ画面の較正項目を変更することができる。外科医50は、例えば表示装置44のタッチ画面の適当な領域に触れ、入力装置、例えばマウスを操作して所望の画面上のボタン等を選択することによりボタンを選択することができる。
【0034】
初期化プロセス中、追加の画像および(または)画面ディスプレイを外科医50に表示することができる。例えば、外科医50がボタン162を選択した場合、ネットワーク設定項目インターフェイスを表示装置44上に表示して外科医50が種々の値、関連項目(connection)または他のオプションを選択してネットワーク設定項目を変更することができる。CAOSシステム10をいったん初期化すると、外科医50は、クローズ(閉じる)ボタン170を選択することによりユーザ初期化インターフェイス160を閉じることができ、アルゴリズム120は、プロセスステップ124に進む。
【0035】
プロセスステップ124において、整形外科手術手技の選択項目が、外科医50により選択される。プロセスステップ124は、図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ104とほぼ同じである。例えば、プロセスステップ104で行われる選択項目としては、行われようとする整形外科手術手技のタイプ、用いられる整形外科インプラントのタイプ、および手術の順序等が挙げられるが、これらには限定されない。そのようにするため、多くの手技優先項目選択画面を、表示装置44を介して外科医50に表示するのがよい。例えば、図9に示すように、ナビゲーション順序選択画面180を外科医50に表示するのがよい。外科医50は、画面180と対話して実施されている整形外科手術手技(即ち、例示の実施形態では人工膝関節形成術)のナビゲーション(即ち、手術)順序を選択することができる。例えば、外科医50は、ボタン182を選択してコントローラ12に命令を出して患者56の脛骨が最初に手術されるようにし、ボタン184を選択してコントローラ12に命令を出して大腿骨がまず最初に手術されるようにし、またはボタン186を選択して例えば使用されている整形外科インプラントのタイプに基づいて標準化ナビゲーション順序を選択することができる。外科医50はまた、選択画面中をナビゲーションすることができ、バック(戻る)ボタン188により先に表示された整形外科手術手技セットアップ画面を再検討し、またはネクスト(次へ)ボタン190により次の整形外科手術手技セットアップ画面に進むことができる。外科医50が実施されるべき整形外科手術手技の適当なナビゲーション順序および(または)他の優先項目および設定項目をいったん選択すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ126に進む。
【0036】
プロセスステップ126において、患者56の関連の骨を登録する。プロセスステップ126は、アルゴリズム100の登録プロセスステップ106とほぼ同じである。プロセスステップ126は、多くのサブステップ128〜136を有し、これらサブステップにおいて、整形外科手術手技に関係している患者56の骨を登録する。プロセスステップ128において、関連の骨をまず初期登録する。すなわち、図示のアルゴリズム120では、患者56の脛骨および大腿骨をまず初期登録する。そのようにするため、脛骨アレイ、例えば図3に図示すると共にこれを参照して上述した脛骨アレイ60および大腿骨アレイをそれぞれの骨に結合する。脛骨アレイおよび大腿骨アレイを脛骨アレイ60と関連して上述した仕方で結合する。カメラユニット16のカメラヘッド24を、脛骨アレイおよび大腿骨アレイがカメラヘッド24の視野52内に位置するように調節する。これらアレイをいったん結合してカメラヘッド24を正しく位置決めすると、患者56の脛骨および大腿骨が初期登録される。
【0037】
そのようにするため、コントローラ12は、図10に示すように表示装置44を介してユーザインターフェイス200を外科医50に表示する。インターフェイス200は、得幾つかのナビゲーションペイン202,204,206、手術ステップペイン208、およびツールバー210を有する。ナビゲーションデータをナビゲーションペイン202,204,206において外科医50に表示する。コンピュータ12は、ペイン202,204,206の各々において骨および(または)手術ツール58の互いに異なる図または像を表示する。例えば、患者56の寛骨および大腿骨の前面像が、ナビゲーションペイン202中に表示され、患者56の骨の矢状像が、ナビゲーションペイン204中に表示され、患者56の骨の斜位像が、ナビゲーションペイン206中に表示されている。
【0038】
コンピュータ12は、ペイン208中に手術手技ステップを表示する。例えば、図10では、コンピュータ12は、患者56の大腿骨が初期登録されるよう患者56の脚が円運動をなして動き回されるように要求している。これに応答して、コンピュータ12は、骨に結合されたセンサアレイ54の運動に基づいて(即ち、カメラヘッド24から受け取ったセンサアレイ54の画像データに基づいて)患者56の大腿骨(例えば、大腿骨頭)の基礎となる場所および向きを突き止める。図10では、大腿骨のみが初期登録されるものとして示されているが、脛骨もまた初期登録され、他の画像およびディスプレイ画面がかかる初期登録中、外科医50に表示されることは理解されるべきである。
【0039】
外科医50は、「トライアゲイン」(再度試してください)ボタン212を選択することにより、必要に応じて何回でも骨を初期登録しようとすることができる。関連の骨をいったん初期登録すると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより登録ステップ126の次の手術手技ステップに進むのがよい。変形例として、外科医50は、ボタン214を選択し、初期登録ステップを実行しない状態で次の手術手技ステップに進むことにより(例えば、患者56の大腿骨を初期登録しないことにより)初期登録ステップのうちの1つまたは2つ以上をスキップしてもよい。外科医50はまた、バックボタン216を選択することにより先の手術手技ステップ(例えば、脛骨の初期登録)に戻ることも可能である。このように、外科医50は、ボタン214,216により手術セットアップ、登録および手技ステップをナビゲーションすることができる。
【0040】
ツールバー210は、整形外科手術手技の実施中、外科医50により選択可能な多数の個々のボタンを含む。例えば、ツールバー210は、コンピュータ12により実行されているアプリケーションソフトウェアプログラムに関する情報、例えばバージョンの番号、「ホットライン」電話番号およびウェブサイトリンクを検索して取り出し、これらを表示するよう選択可能な情報ボタン218を含む。ツールバー210は、ズームボタン220,222を更に含んでいる。ズームボタン220は、ペイン202,204,206中に表示された描画像を拡大(クローズアップ)するよう外科医50により選択でき、ズームボタン222は、縮小のために使用できる。靱帯平衡ボタン224を選択すると、靱帯平衡手技に進むことができ、この靱帯平衡手技についてはプロセスステップ152と関連して以下に詳細に説明する。3Dモデルボタン226を選択すると、描画骨(例えば、大腿骨または脛骨)の表示と、描画骨の登録点のみの表示をナビゲーションペイン202,204,206中に交互に行うことができる。インプラント情報ボタン228を選択すると、整形外科手術手技の最後の方のステップ(例えば、以下に説明するプロセスステップ140,146)の実施中に選択された整形外科インプラントに関する情報を表示することができる。かかる情報としては、例えば、整形外科インプラントの製造業者、タイプおよびサイズが挙げられる。外科医50が、手技中任意の時点で登録確認ボタン230を選択すると、例えば骨に結合されたセンサアレイ54がこれらの固定された位置から偶発的に外れまたは違ったやり方で移動した場合、骨の描画図式モデルを確認することができる。また、外科医50が、整形外科手術手技の実施中任意の時点で画面コピーボタン232を選択すると、その時点で外科医50に表示されている画像の画面コピーを記録してストレージすることができる。画面ショット50をコンピュータ12のストレージ装置、例えばハードドライブに記録することができる。クローズボタン234を選択すると、現在のナビゲーションおよび手術手技ウォークスルーを終了させることができる。このボタン234を選択した後、記録された整形外科手術手技に関連した情報、例えば画面コピーや他のデータが、後で検索して再検討できるようコンピュータ12のストレージ装置にストレージされる。
【0041】
ツールバー210は、状態(ステータス)ディスプレイ236を更に含む。状態ディスプレイ236は、システム10が骨および(または)手術ツールと結合されたセンサアレイ54を「見る」ことができまたはこれと違ったやり方で検出できるかどうかを示す互いに異なる色の光を表示する。状態ディスプレイ236は、カメラユニット16、センサアレイ54および手術ツール58の位置決めをモニタし、必要ならば調節できるように、カメラヘッド24の視野52の図式描画を示すヘルプ画面を見るために選択可能なボタンでもある。
【0042】
患者56の脛骨および大腿骨の初期登録がいったん完了すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ130に進み、このプロセスステップにおいて、患者56の近位脛骨の輪郭を登録する。そのようにするため、外科医50は、登録ツール、例えば図4に示されていて、図4と関連して上述した登録ツール80を用いる。図11に示すように、外科医50は、手術ステップペイン208で指図されているように登録ツール80のポインタエンド88を脛骨の表面上に置くことにより近位脛骨を登録する。ポインタエンド88を脛骨の表面全体にわたってドラッグすると共に(あるいは)脛骨と接触状態に配置すると、脛骨の輪郭点が定期的にコンピュータにより記録される。外科医50は、コンピュータ12が脛骨の関連部分の比較的正確な描画モデルを定めて表示できるに足るほどの近位脛骨上の点を登録する。登録されないが、脛骨の所定のモデルに基づいてコンピュータ12により描画された脛骨の部分が、脛骨の登録部分とは異なる色で外科医50に表示される。このように、外科医50は、脛骨の登録をモニタでき、表示されたモデルの精度を高めるために脛骨の全ての関連部分が登録されるようにすることができる。
【0043】
近位脛骨の関連部分の全てがプロセスステップ130においていったん登録されると、プロセスステップ132において脛骨モデルを計算して確認する。そのようにするため、外科医50は、手術ステップペイン208に提供されている指図に従う。図12に示すように、登録ツール80のポインタエンド88を脛骨の登録部分に触れさせ、ペイン208中に表示された距離データをモニタすることにより近位脛骨を確認する。距離データに基づき、外科医50は、現在の脛骨モデルが整形外科手術手技に十分正確であるかどうかを判定することができる。もしそうでなければ、外科医50は、近位脛骨の登録を再び行うのがよく、または、バックボタン216を選択することにより、追加の登録点を登録データに補充するのがよい。患者56の脛骨のモデルが十分正確であるといったん判定されると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより先へ進むことができる。
【0044】
次に、プロセスステップ134において患者56の遠位大腿骨を登録する。プロセスステップ134における大腿骨の登録は、プロセスステップ130における脛骨の登録とほぼ同じである。すなわち、登録ツール80を用いて遠位大腿骨上のデータ点を登録する。大腿骨の登録がいったん完了すると、プロセスステップ136において大腿骨モデルを計算して確認する。プロセスステップ136における大腿骨の確認は、プロセスステップ132における脛骨の確認とほぼ同じである。登録ツール80を用いて大腿骨の所定の部分に触れると、大腿骨モデルの精度を求めることができる。手術ステップペイン208中に表示された距離データに基づき、外科医50は、大腿骨を登録することができ、またはバックボタン216を選択することにより追加の登録データ点をモデルに追加することができる。大腿骨モデルをいったん確認すると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより整形外科手術手技を進めることができる。
【0045】
プロセスステップ126において関連の骨(即ち、近位脛骨および遠位大腿骨)をいったん登録すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ138に進み、このプロセスステップにおいて、コンピュータ12は、整形外科手術手技の個々の手術ステップの画像および関連のナビゲーションデータを外科医50に表示する。そのようにするため、プロセスステップ138は、多数のサブステップ140〜154を有している。プロセスステップ140において、脛骨インプラントに関する計画立案を実施する。代表的には、プロセスステップ124において脛骨インプラントの選択を行うが、かかる選択を、選択したインプラントが近位脛骨にどれほどよくフィットするかどうかに応じてプロセスステップ140において変更することができる。図13に示すように、脛骨インプラントの図式描画モデルをナビゲーションペイン202,204,206において脛骨の描画モデル上に重ね合わせた状態で表示する。多数のインプラント調節ボタンの選択により脛骨インプラントの位置決め具合を調節することができる。例えば、ボタン240により整形外科インプラントの内反/外反回転運動を調節でき、ボタン242により整形外科インプラントの上方/下方または近位側/遠位側並進運動を調節でき、ボタン244により整形外科インプラントの勾配を調節でき、ボタン246により整形外科インプラントの前方/後方並進運動を調節でき、ボタン248により整形外科インプラントの内方/外方回転(internal/external rotation)運動を調節でき、ボタン250により整形外科インプラントの内方/外方並進(medial/lateral translational)運動を調節できる。整形外科インプラントの位置決め具合に関連したデータは、手術ステップパネル208に表示される。インプラントの幾つかの属性、例えば整形外科インプラントのサイズおよび厚さをボタンパネル252,254の選択によりそれぞれ調節できる。加うるに、インプラントの元の場所および向きをリセットボタン256の選択によりリセットできる。種々のインプラント調節ボタンおよびインプラント属性ボタンパネル252,254を用いることにより、外科医50は、脛骨の計画された切除平面258を決定できるよう脛骨インプラントを位置決めすると共に方向付けする。外科医50は、計画された切除平面および脛骨インプラントの場所/向きの視覚描画状態を見ることができるので、外科医50は、外科医50が切除された近位脛骨に対する脛骨インプラントの最終装着具合に満足するまで切除平面および(または)脛骨インプラントの場所および向きを変更することができる。いったん満足すると、外科医50は、ネクストボタン、例えばネクストボタン214を選択することにより次の手術ステップに進むことができる。
【0046】
プロセスステップ142において、近位脛骨の切除が計画される。そのようにするため、切除ジグ、例えば図5に示すと共に図5を参照して上述した脛骨切除ジグ90を近位脛骨の所望の切除場所の近くで患者56の脛骨に結合する。図14に示すように、コンピュータ12は、現在のステップで用いられるべき正確な手術ツールを手術ステップペイン208中に表示する。これに応答して、コンピュータ12は、実際の切除平面260を外科医50にナビゲーションペイン202,204,206に表示する。図示のように、ステップ140で定められた計画済み切除平面258もまた表示される。すると、外科医50は、実際の切除平面260が計画された切除平面258と重なる、またはほぼ重なるように、患者56の脛骨に対するジグ90の結合具合を調節する。このように、外科医50は、脛骨の正確な切除が行われるようにジグ90を調節しながら実際の切除平面260を目で見てモニタすることができる。外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより次の手術ステップに進むのがよい。
【0047】
外科医50はプロセスステップ142において実際の切除平面260をいったん再検討して調節すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ144に進む。プロセスステップ144において、適当な切除ツールおよび患者56の脛骨に結合されたジグ90を用いて脛骨を切除する。近位脛骨を切除した後、コンピュータ12は、確認済み切除平面260を図15に示すように計画切除平面258に重ね合わせた状態で表示する。コンピュータ12はまた、手術ステップパネル208中に近位脛骨の切除に関連したデータを表示し、かかるデータは、実際の測定値、計画測定値および偏差測定値を含む。このように、外科医50は、脛骨の最終切除と計画切除を比較することができる。必要ならば、外科医50は、切除プロセスを繰り返し行って近位脛骨をさらに除去することができる。外科医50が脛骨の切除にいったん満足すると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより次の手術ステップに進むのがよい。
【0048】
患者56の脛骨をいったん切除すると、プロセスステップ146〜150において関連の遠位大腿骨を切除する。プロセスステップ146において、大腿骨インプラントに関する計画を実施する。プロセスステップ146の大腿骨インプラントの計画立案は、プロセスステップ124において行われた脛骨インプラント計画とほぼ同じである。プロセスステップ146の間、外科医50は、遠位大腿骨の計画された切除平面を定めるように大腿骨インプラントを位置決めすると共に方向付け、外科医はまた、関連のインプラントパラメータ(例えば、サイズ、タイプ等)を選択するのがよい。外科医50は、計画切除平面および大腿骨インプラントの場所/向きの視覚的描画状態を見ることができるので、外科医50は、外科医50が切除された遠位大腿骨に対する大腿骨インプラントの最終装着具合に満足するまで計画切除平面および(または)大腿骨インプラントの場所および向きを変更することができる。
【0049】
大腿骨インプラントの計画をいったん完了すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ148に進む。プロセスステップ148において、患者56の遠位大腿骨の切除を計画する。プロセスステップ148の切除計画は、プロセスステップ142において行われた脛骨切除の計画とほぼ同じである。プロセスステップ148の際、大腿骨切除ジグを患者56の大腿骨に結合する。これに応答して、コンピュータ12は、実際の切除平面をプロセスステップ146において得た計画切除平面に重ね合わせた状態で表示する。大腿骨切除ジグを再位置決めすることにより、外科医50は、大腿骨の正確な切除が行われるように実際の切除平面を変更することができる。
【0050】
外科医50が大腿骨の実際の切除平面をいったん再検討して調節すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ150に進み、このプロセスステップにおいて、適当な切除ツールおよび大腿骨ジグを用いて遠位大腿骨を切除する。遠位大腿骨を切除した後、コンピュータ12は、確認済み切除平面をプロセスステップ146において定めた計画切除平面に重ね合わせた状態で表示する。このように、外科医50は、大腿骨の最終切除具合と計画切除具合を比較することができる。この場合もまた、必要ならば、外科医50は、切除プロセスを繰り返し実施して遠位大腿骨をさらに除去することができる。
【0051】
患者56の遠位大腿骨をいったん切除すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ152に進む。プロセスステップ152において、患者56の脛骨および大腿骨の靱帯平衡を行う。図7に脛骨および大腿骨の切除後に起こるものとして示されているが、靱帯平衡は、他の実施形態では任意の切除ステップのすぐ後に(例えば、脛骨を切除した後に)行ってもよい。プロセスステップ152において、整形外科インプラントトライアル(即ち、選択された整形外科インプラントに似た一時的整形外科インプラント)を患者56の大腿骨および脛骨の切除端相互間に挿入する。図16に示すように、コンピュータ12は、表示装置44を介して大腿骨および脛骨のアライメント(位置合わせ)データを外科医50に表示する。具体的に説明すると、コンピュータ12は、患者56の大腿骨および脛骨の前面像を前面像ペイン262中に表示し、大腿骨および脛骨の側面像を側面像ペイン264中に表示する。ペイン262,264は各々、大腿骨および脛骨のアライメントデータを表示する。追加のアライメントデータが、手術ステップペイン208中に表示される。アライメントデータを格納ボタン266の選択により格納するのがよい(例えば、コンピュータ20に含まれるデータストレージ装置に)。次に、アライメントデータを検索して取り出して再検討し、または後で別の手技に用いることができる。
【0052】
靱帯平衡を行って所定の関節力値での全体として矩形の伸展隙間および全体として矩形の屈曲隙間が患者56の近位脛骨と遠位大腿骨との間に作られるようにする。そのようにするため、靱帯バランサを用いて、患者56の脚が伸展状態にあるとき(即ち、患者56の脛骨が患者の大腿骨に対して約0°の角度をなして位置決めされているとき)および患者56の脚が屈曲状態にあるとき(即ち、患者56の脛骨が患者の大腿骨に対して約90°をなして位置決めされている)、内側関節力および外側関節力ならびに内側隙間距離および外側隙間距離を測定するのがよい。これら測定を行うために使用できる例示の靱帯バランサが、2005年3月31日に出願された米国特許出願第11/094,956号明細書に記載されており、この米国特許出願を参照して、その記載内容全体を本明細書の一部とする。伸展か屈曲かのいずれにおいても、内側隙間距離と外側隙間距離が所定の関節力値においてほぼ等しくない場合(即ち、全体として矩形の関節隙間を形成していない場合)、靱帯解離(即ち、靱帯の切断)を行って内側隙間距離および(または)外側隙間距離を等しくするのがよい。追加的にまたは代替的に、整形外科インプラントトライアルに代えて別のインプラントトライアルを用いてもよい。このようにして、外科医50は、患者56の脛骨および大腿骨の正確なアライメントを確保する。
【0053】
プロセスステップ152において任意の所望の靱帯平衡をいったん完了すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ154に進み、このプロセスステップにおいて、整形外科インプラントの最終確認を行う。プロセスステップ154において、整形外科インプラントを患者56の遠位大腿骨および近位脛骨に結合し、大腿骨と脛骨のアライメントを屈曲および伸展状態で確認する。そのようにするため、コンピュータ12は、図17に示すように、表示装置44を介して大腿骨および脛骨の描画像およびアライメントデータを外科医50に表示する。手術ステップペイン208に指示されているように、外科医50は、全体的なアライメントを決定して再検討できるように、患者56の脚を屈曲および伸展状態に動かすよう指令される。患者56の大腿骨と脛骨が外科医50の満足が得られるほど整列されていない場合(即ち、屈曲および(または)伸展隙間が矩形でない場合)、外科医は、プロセスステップ152に関して上述したような追加の靱帯平衡を行うのがよい。外科医50が大腿骨および脛骨の最終アライメント(即ち、屈曲隙間および伸展隙間)をいったん確認すると、外科医50は、格納ボタン266を選択することにより最終アライメントデータを格納するのがよい。次に、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより整形外科手術手技を完了することができる。
【0054】
次に図18を参照すると、別の実施形態では、患者の骨または骨の解剖学的構造(即ち、1つまたは2つ以上の骨)を手術前に登録するシステム300が、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301と、磁気センサアレイ308と、1つまたは2つ以上の磁気源309とを有している。コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301は、コントローラ302と、カメラユニット304と、表示装置306とを有している。コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304に通信可能に結合されている。通信リンク310は、データ(即ち、画像データ)をカメラユニット304からコントローラ302に伝送できる通信リンクであればどのような形式のものであってもよい。例えば、通信リンク310は、ワイヤードまたはワイヤレス通信リンクであってよく、この通信リンクは、画像データを伝送する任意適当な通信技術および(または)プロトコルを使用できる。例示の実施形態では、カメラユニット304は、図1を参照して上述したシステム10のカメラユニット16とほぼ同じであってほぼ同じ仕方で動作する。例えば、カメラユニット304は、多数のカメラ(図示せず)を有し、かかるカメラユニットをコントローラ302と協働して用いるとカメラユニット16と関連して詳細に上述したように、カメラユニット304の視野内に位置決めされた多数のセンサアレイの場所および向きを突き止めることができる。センサアレイは、多数の反射要素を含むのがよく、これらセンサアレイを患者の骨および(または)整形外科手術手技中に用いられる種々の医療器具、例えばプローブ、ソーガイド(saw guides)、靱帯バランサ等に結合するのがよい。変形例として、幾つかの実施形態では、カメラユニット304に代えてワイヤレス受信器(これは、幾つかの実施形態ではコントローラ302に含まれてよい)を用いてもよく、あるいはこのカメラユニットにワイヤレス受信器を補充してもよく、センサアレイをワイヤレス送信器(例えば、電磁送信器)として具体化してもよい。加うるに、医療器具を「スマートな(smart)」医療器具、例えば、スマート手術器械、スマート手術トライアル、スマート手術インプラント等として具体化してもよい。かかる実施形態では、コントローラ302は、スマート医療器具から受け取ったワイヤレスデータ信号に基づいて医療器具の存在場所を突き止めるよう構成される。
【0055】
コントローラ302は、通信リンク312を介して表示装置306に通信可能に結合されている。図18にコントローラ302とは別体として示されているが、表示装置306は、幾つかの実施形態ではコントローラ302の一部をなしてもよい。加うるに、幾つかの実施形態では、表示装置306は、コントローラ302から離れたところに配置されるのがよい。例えば、表示装置306を整形外科手術手技が行われる手術室の天井または壁に結合するのがよい。追加的にまたは代替的に、表示装置306は、仮想ディスプレイ、例えば、ホログラフィックディスプレイ、体取り付け型ディスプレイ、例えば、ヘッドアップディスプレイ等として具体化されたものであってよい。コントローラ302はまた、多数の入力装置、例えばキーボードおよび(または)マウスに結合されてよい。しかしながら、例示の実施形態では、表示装置306は、CAOSシステム301を用いて整形外科医から入力を受け取ることができるタッチ画面型表示装置である。即ち、外科医は、例えば、表示装置306の画面に単に触れることにより多数の画面上の選択肢からの選択を行って入力データを表示装置306およびコントローラ302に提供することができる。
【0056】
コントローラ302は、任意のタイプのコントローラとして具体化でき、かかるコントローラとしては、コンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ、専用マイクロコントローラ装置、処理回路の集成体等が挙げられるが、これらには限定されない。コントローラ302は、プロセッサ314および記憶装置316を含む。プロセッサ314は、任意のタイプのプロセッサとして具体化でき、かかるプロセッサとしては、ディスクリート処理回路、ならびに(または)集積回路、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラおよび(もしくは)特定用途向け集積回路(ASIC)が挙げられるが、これらには限定されない。記憶装置316は、任意個数の記憶装置および任意タイプのメモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)および(または)読み取り専用記憶装置(ROM)を含むのがよい。図18には示されていないが、コントローラ302は、コンピュータシステムで一般に見受けられる他の回路を更に有するのがよい。
【0057】
コントローラ302は、データベース318を更に含むのがよい。データベース318は、任意形式のデータベース、電子ライブラリおよび(または)ファイルストレージ場所として具体化できる。例えば、データベース318は、構造化データベースとしてまたは多数の別々のファイルおよび関連の「ルックアップ」テーブルを格納した電子ファイルフォルダまたはディレクトリとして具体化できる。さらに、データベース318を任意適当な装置に格納できる。例えば、データベース318を例えば記憶装置316の1組の記憶場所に格納できると共に(あるいは)別個のストレージ装置、例えばハードドライブ等に格納できる。
【0058】
追加的にまたは代替的に、コントローラ302を、通信リンク322を介して遠隔データベース320に結合してもよい。遠隔データベース320は、データベース318とほぼ同じであるのがよく、かかる遠隔データベースを、任意タイプのデータベース、電子ライブラリおよび(または)ファイルストレージ場所として具体化できる。遠隔データベース320をコントローラ302から離して配置してもよい。例えば、コントローラ302を整形外科手術室内に配置し、他方、遠隔データベース318が病院ネットワークの一部をなし、かかる遠隔データベースを整形外科手術室から離れた別個の部屋または建物内に設置してもよい。したがって、通信リンク322は、コントローラ302と遠隔データベース320との間におけるデータ転送を容易にできる任意タイプの通信リンクとして具体化できる。例えば、幾つかの実施形態では、通信リンク322は、ネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)および(または)グローバルな公衆にとってアクセス可能なネットワーク、例えばインターネット(Internet)の一部をなすのがよい。使用にあたり、データベース318,320は、図21を参照して詳細に説明するように患者の骨の画像を格納すると共に(あるいは)検索して取り出すためにコントローラ302によってアクセスされる。
【0059】
コントローラ302は、受信器またはトランシーバ324を更に含む。受信器324は、通信リンク326を介して磁気センサアレイ308と通信するようプロセッサ314によって用いられる。通信リンク326は、データを磁気センサアレイ308からコントローラ302に伝送できる任意タイプの通信リンクとして具体化できる。例えば、通信リンク326は、ワイヤードまたはワイヤレス通信リンクであってよく、かかる通信リンクは、データを伝送するための任意適当な通信技術および(または)プロトコルを用いるのがよい。したがって、受信器324は、コントローラ302と磁気センサアレイ308との間の通信を容易にすることができる任意タイプの受信器として具体化でき、かかる受信器としては、例えば、ワイヤードまたはワイヤレス受信器が挙げられる。
【0060】
図18の例示の磁気センサアレイ308は、検出ヘッド部分332およびヘッド部分332に結合された取っ手334を備えたハウジング330を有する。取っ手334は、磁気センサアレイ308を動かして位置決めするためにシステム300のユーザ、例えば整形外科医によって使用可能である。磁気センサアレイ308は、ヘッド部分332内に設けられたセンサ回路328を更に有する。図19〜図33を参照して以下に詳細に説明するように、センサ回路328は、磁気源309により生じた磁界を検出し、磁気センサアレイ308に対する磁気源309の位置を表すデータを求めて、かかるデータを通信リンク326および受信器324を介してコントローラ302に伝送するよう構成されている。本明細書で用いる「位置」という用語は、空間中のまたは所定の箇所または他の物体に対する或る物体(例えば、磁気源309)の場所および向きを定める6つの自由度のうち任意の1つまたは2つ以上を意味するものと理解されるべきである。
【0061】
幾つかの実施形態では、磁気センサアレイ308は、反射センサアレイ336を更に有するのがよい。反射センサアレイ336は、支持フレーム338および多数の反射センサ要素340を有する。反射センサアレイ336は、図2、図3、図4および図5を参照してそれぞれ上述したセンサアレイ54,62,82,96とほぼ同じである。反射センサ要素340は、あらかじめ定められた形態で位置決めされており、かかるあらかじめ定められた形態により、コントローラ302は、その形態に基づいて磁気センサアレイ308の同一性および位置(即ち、三次元場所および向き)を突き止めることができる。すなわち、磁気センサアレイ308がカメラユニット304の視野内に位置決めされる場合、コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304から受け取った画像に基づいて、カメラ304および(または)コントローラ302に対する磁気センサアレイ308の同一性および位置を突き止めるよう構成される。他の実施形態では、反射センサアレイ336に代えてワイヤレス送信器を用いてもよく、あるいは反射センサアレイにワイヤレス送信器を補充してもよい。かかる実施形態では、コントローラ302は、ワイヤレス受信器を含み、このコントローラは、ワイヤレス送信器から受け取った伝送データに基づいて磁気センサアレイの位置および同一性を突き止めるよう構成される。
【0062】
磁気源309の磁界を検出するため、センサ回路328は、図19に示すような磁気センサ配列348を有する。磁気センサ配列348は、1つまたは2つ以上の磁気センサ350を有する。センサ回路328は、処理回路352および送信器354を更に有する。磁気センサ350は、多数の相互接続部356を介して処理回路352に電気的に結合されている。処理回路352もまた、相互接続部358を介して送信器354に電気的に結合されている。相互接続部356,358は、処理回路352、センサ350および送信器354の間の電気的接続をもたらすことができる任意タイプの相互接続部、例えば電線、ケーブル、PCBトレース等として具体化できる。
【0063】
磁気センサ配列348を形成する磁気センサ350の個数は、用いられる磁気センサのタイプ、特定用途および(または)磁気センサアレイ308の形態のような基準で決まる場合がある。例えば、磁気センサ350は、磁気源309の三次元磁界を測定するよう構成されている。したがって、センサ回路328は、センサ回路328が磁気源309の磁界を三次元で検出しまたは測定できるように任意の数および形態の一次元磁気センサ、二次元磁気センサおよび(または)三次元磁気センサを含むのがよい。加うるに、磁気センサ350は、磁気源309により生じた磁界を検出しまたは測定できる任意タイプの磁気センサとして具体化できる。例えば、磁気センサ350は、超伝導量子干渉素子(SQUID)型磁気センサ、異方性磁気抵抗(AMR)型磁気センサ、巨大磁気抵抗(GMR)型磁気センサ、ホール効果型磁気センサ、または磁気源の三次元磁界を検出しまたは測定できる任意の他のタイプの磁気センサとして具体化できる。特定の一実施形態では、磁気センサは、スイス国チューリッヒ所在のゼニズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(SENIS GmbH)から市販されているX-H3X-xx_E3C-25HX-2.5-0.2T Three Axis Magnetic Field Transducersとして具体化される。とにかく、磁気センサ350は、各センサが配置される空間中の点でかつ各センサの能動型検出要素の向きで磁気源309の磁界の三次元磁束密度の成分(例えば、X成分、Y成分およびZ成分)の1つまたは2つ以上を定める多数のデータ値(例えば、電圧レベル)を生じさせるよう構成されている。これらデータ値は、相互接続部356を介して処理回路352に送られる。
【0064】
特定の一実施形態では、磁気センサ配列348は、図20に示されているように構成された17個の磁気センサ3501〜35017を有する。磁気センサ3501〜35017は、センサボード370に固定されている。センサボード370は、磁気センサ3501〜35017を所望の形態に支持できる非磁性材料で作られたものであるのがよい。例えば、図示の実施形態では、センサボード370は、FR4で作られる。磁気センサ3501〜35017をセンサボード370上に取り付けてもよくまたはこの中に設けてもよい。したがって、センサボード370は、センサ回路328の検出フェースを形成し、かかるセンサボードを磁気センサアレイ308のヘッド部分332内部に配置してよく(即ち、ハウジング材料の後に配置してもよく)またはセンサボード370が露出されるようにヘッド部分332に取り付けられてもよい。
【0065】
例示のセンサボード370は、約5.8センチメートルの幅372、約5.8センチメートルの長さ374および約1.25センチメートルの厚さ(図示せず)を有する。しかしながら、所望の個数の磁気センサ350の取り付けを可能にする他の寸法を有するセンサボードを用いてもよい。磁気センサ350は、所定の形態に従ってセンサボード370に取り付けられまたはこの中に設けられる。説明を分かりやすくするために、X軸376およびY軸378を有する格子目375が図20にセンサボード370上に記されている。例示の実施形態では、格子目375の各ユニットは、約5ミリメートルの測定単位を有する。磁気センサ3501〜35017は各々、一次元センサ、二次元センサまたは三次元センサであってよい。したがって、磁気センサ3501〜35017は各々、1つの能動型検出要素、2つの能動型検出要素または3つの能動型検出要素をそれぞれ有するのがよい。磁気センサ3501〜35017の各検出要素は、特定の磁気センサの位置(即ち、場所および向き)のところの磁気源の磁束密度の少なくとも1つの成分を測定できる。そのようにするため、各磁気センサ350は、図20において“+”として示された磁束密度が測定される敏感なフィールド点を有する。センサの本体を各向きが敏感なフィールド点の同一の存在場所を実現容易にする多くの向きで位置決めできることを理解した上で、磁気センサ3501〜35017の形態を各磁気センサの敏感なフィールド点に関して以下に説明する。
【0066】
図20に示すように、第1の磁気センサ3501は、格子目375上の中心点(0,0)のところに配置されている。第1の磁気センサ3501は、3つのチャネルを備えた三次元磁気センサであり、かかる第1の磁気センサは、このセンサ3501の位置のところの測定された磁束密度のX成分、Y成分およびZ成分を表すデータ値(即ち、電圧レベル)を生じさせる。4つの追加の三次元磁気センサ3502〜3505が、第1の磁気センサ3501の周りに位置決めされている。磁気センサ3502は、点(−15,15)のところに配置され、磁気センサ3503は、点(−15,15)のところに配置され、磁気センサ3504は、点(15,15)のところに配置され、磁気センサ3505は、点(15,−15)のところに配置され、格子目375の各目盛り線は、5単位(例えば、5ミリメートル)として定められている。
【0067】
磁気センサ配列348は、多数個の一次元磁気センサ3506〜35017を更に有する。磁気センサ3506〜35013は、センサ3506〜35013が測定された磁束密度(即ち、磁気源309により生じた磁束)のZ成分を測定するようセンサボード370上に配置されている。特に、磁気センサ3506は、点(0,−25)のところに配置され、磁気センサ3507は、点(−25,0)のところに配置され、磁気センサ3508は、点(0,25)のところに配置され、磁気センサ3509は、点(25,0)のところに配置され、磁気センサ35010は、点(−30,−30)のところに配置され、磁気センサ35011は、点(−30,30)のところに配置され、磁気センサ35012は、点(30,30)のところに配置され、磁気センサ35013は、点(30,−30)のところに配置されている。
【0068】
これとは逆に、一次元磁気センサ35014,35016は、一次元センサ35014,35016および35015,35017が、測定された磁界の磁束密度のY軸成分およびX軸成分の大きさをそれぞれ測定するようセンサボード370上に位置決めされている。具体的に説明すると、磁気センサ35014は、点(0,−45)のところに配置され、磁気センサ35015は、点(−45,0)のところに配置され、磁気センサ35016は、点(0,45)のところに配置され、磁気センサ35017は、点(45,0)のところに配置されている。図20に示すように、磁気センサ35014〜35017は、磁気センサ35014〜35017がセンサボード370の測定面に垂直に位置決めされるようにセンサボード370内に位置決めされまたはこの中に埋め込まれている。これとは逆に、磁気センサ3501〜35013は、センサボード370の測定面と同一平面上に位置した状態で、またはセンサボード370と実質的に平行な状態でセンサボード370上に位置決めされている。
【0069】
幾つかの実施形態では、磁気センサ350は、種々の磁界感度(即ち、測定された磁束密度の変化を検出する能力)および検出範囲を有するのがよい。例えば、幾つかの実施形態では、センサボード370の中央の場所寄りに配置された磁気センサ350は、磁界感度が低いが、検出範囲は、中央の場所から見て遠くに配置された磁気センサ350よりも広いものであるのがよい。図20の例示の実施形態では、センサボード370の中央寄りに配置された三次元磁気センサ3501〜3505は、一次元磁気センサ3506〜35017よりも低い磁界感度および広い検出範囲を有する。例えば、特定の一実施形態では、三次元磁気センサ3501〜3505は、約50μT(マイクロテスラ)の磁界感度および約20mT(ミリテスラ)の検出範囲を有し、他方、一次元磁気センサ3506〜35017は、約5μTの磁界感度および約2mTの検出範囲を有する。しかしながら、他の実施形態では、センサボード370上の所定の場所からの各磁気源350の特定の距離に基づいて磁界感度および(または)検出範囲の追加のレベルまたは差を設けてもよい。
【0070】
磁界センサ350の磁界感度および検出範囲のかかる差によって、磁気センサ配列348は、磁気センサアレイ308の位置決め上のばらつきの影響を受けにくくなる場合があると共に(あるいは)磁気センサアレイを飽和状態にならないようにして磁気源309に近接して位置決めした状態で磁気センサ350が磁気源309の磁束密度を測定できるようにすることにより磁束密度測定の精度を上げることができる。加うるに、磁気センサ配列348は、磁気センサアレイ308の位置決め上のばらつきの影響を受けにくくなる場合があると共に(あるいは)磁気センサアレイ308を磁気的「ノイズ」(即ち、磁気源309以外の源からの望ましくない磁界効果)の増大にもかかわらず磁気源309から見て遠くに位置決めした状態で磁気センサ350が磁気源309の磁界を測定できるようにすることにより磁束密度測定の精度を上げることができる。磁気センサアレイ308の測定精度を一段と上げるため、アレイ308の測定値を、図24に示すアルゴリズム400のプロセスステップ402と関連して以下に詳細説明するように確認するのがよい。
【0071】
磁気センサ配列348は、1つの例示の実施形態に過ぎず、他の実施形態では、センサ回路328のセンサ配列348は、磁気センサ350が測定された磁束密度の三次元X成分、Y成分およびZ成分を測定できる任意の形態で位置決めされた任意個数の磁気センサ350を有してもよいことは理解されるべきである。例えば、幾つかの実施形態では、磁気センサ配列348は、単一の三次元磁気センサを有するのがよい。変形例として、他の実施形態では、磁気センサ配列348は、種々の形態で配置された追加の磁気センサ350を有してもよい。磁気センサの数を増やすことにより、冗長度が大きくとられることは理解されるべきである。すなわち、測定された磁束密度の個々の成分の大きさは、互いに異なる場所に配置された多数個の磁気センサ350からの測定値を用いて決定される。例えば、図20に示す例示の磁気センサ配列348を参照すると、測定された磁束密度のZ成分の大きさは、磁気センサ3501〜35013からの測定値を用いて決定される。したがって、磁気源309により生じた三次元磁界の特性決定の精度を磁気センサ配列348中に追加の磁気センサを設けることにより向上させることができることは理解されるべきである。
【0072】
さらに、磁気センサ350は図18〜図20の例示の実施形態では処理回路352から離隔した別個の磁気センサとして具体化されているが、幾つかの実施形態では、磁気センサ350および処理回路352またはそれらの部分を単一の電子装置として具体化できる。例えば、磁気センサ350および処理回路352の部分を1つまたは2つ以上の相補形金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスとして具体化できる。磁気センサ350および処理回路352を半導体デバイス内に埋め込むことにより、センサ回路328の所要のスペースが減少する。加うるに、かかる半導体デバイスは、外部からの影響、例えば、個々の磁気センサ350の温度変化の影響を受けにくい場合がある。
【0073】
図19に戻ってこれを参照すると、処理回路352は、磁気源309の位置を突き止めるよう構成された電気装置および電気回路の任意の集成体として具体化できる。例えば、処理回路352は、任意個数のプロセッサ、マイクロコントローラ、ディジタル信号プロセッサおよび(または)他の電子装置および回路を含むのがよい。加うるに、処理回路352は、ソフトウェア/ファームウェアコード、データ値およびアルゴリズムを格納する1つまたは2つ以上の記憶装置を有するのがよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、処理回路352は、磁気センサ350の測定値に基づいて磁気センサアレイ308に対する磁気源309の位置を表す位置データを求めるよう構成される。そのようにするため、処理回路352は、アルゴリズム820,830と関連して以下に詳細に説明すると共に図26および図27に示すように、磁気センサアレイ308に対する磁気源309の位置を突き止めるアルゴリズムを実行するのがよい。位置データは、磁気源309の位置(即ち、場所および向き)を突き止めるよう関連の骨および磁気源309の術前画像と共にコントローラ302によって使用できる係数値または他のデータとして具体化できる。処理回路352は、相互接続部358を介して送信器354を制御して通信リンク326を介して位置データをコントローラ302に送る。変形例として、他の実施形態では、処理回路332は、磁気センサ350の測定値を送信器354を介してコントローラ302に送るためにのみ構成される。これに応答して、コントローラ302は、磁気センサアレイ308から受け取った測定値を用いて磁気源309の位置を突き止めるアルゴリズムを実行する。かかる実施形態では、センサ回路328の全体的なフットプリント(即ち、サイズ)を減少させることができる。というのは、処理回路352の回路のうちの何割かが不要だからである。というのは、処理回路352は、位置データを求めるよう構成されてはいないからである。
【0075】
幾つかの実施形態では、センサ回路328は、表示器360を更に有するのがよい。表示器360は、任意タイプの表示器として具体化でき、かかる表示器としては、視覚表示器、可聴表示器および(または)触覚表示器が挙げられる。表示器360は、相互接続部362を介して処理回路352に電気的に結合され、この相互接続部362は、相互接続部356,358とほぼ同じである。かかる実施形態では、処理回路352は、磁気センサアレイ308(即ち、磁気センサ350)が磁気源309の磁界中に位置決めされると、表示器360を作動させるよう構成されている。例えば、処理回路352は、図20に示すX方向、Y方向および(または)Z方向のうちの1つまたは2つ以上の方向において磁気センサ350により検出された磁束密度をモニタし、X方向、Y方向および(または)Z方向のうちの1つまたは2つ以上の方向における磁束密度が所定のしきい値に達しまたはこれを超えると、表示器360を作動させるよう構成されたものであるのがよい。このようにすると、磁気センサアレイ308は、外科医またはアレイ308の他のユーザに、磁気センサアレイ308が磁気源309の磁束密度を正確に検出しまたは測定できるようアレイ308が正しく位置決めされた時期を知らせることができる。
【0076】
さらに、幾つかの実施形態では、センサ回路328は、登録ボタン364を有するのがよい。このボタン364がアレイ308のユーザ(例えば、整形外科医)により選択できるように、登録ボタン364を磁気センサアレイ308の外面に設けてよい。ボタン364は、任意のタイプのボタン、例えば、押しボタン、トグルスイッチ、ソフトウェア実行タッチ画面ボタン等として具体化できる。登録ボタン364は、相互接続部366を介して処理回路352に電気的に結合され、この相互接続部366は、相互接続部356,358とほぼ同じであるのがよい。登録ボタン364は、位置データおよび(または)磁気センサ350の測定値をコントローラ302に送るよう磁気センサアレイ308のユーザ、例えば整形外科医により選択されるのがよい。すなわち、アルゴリズム820と関連して以下に詳細に説明するように、磁気センサアレイが磁気源309の磁界を測定するよういったん正しく位置決めされると、外科医は、登録ボタン364を選択して磁気センサアレイがデータを伝送するようにすることができる。幾つかの実施形態では、登録ボタン364は、磁気センサアレイ308が正しく位置決めされている場合にのみ動作可能である。例えば、登録ボタン364は、測定された磁束密度(例えば、Z軸方向における)が所定のしきい値よりも大きいまたは所定の値域内にあることが処理回路352によって判定された場合にのみ、位置データ/測定値を送るよう選択されるのがよい。表示器360と関連して上述したように、外科医は、磁気センサアレイが正しく位置決めされた時期を表示器360の作動により知らされる。
【0077】
例示の磁気センサアレイ308がセンサ回路328が収められた手持ち装置として示されているが、他の実施形態では、磁気センサアレイ308は、単一の磁気センサ、多数の磁気センサまたは磁気センサと他の回路の集成体として具体化できる。加うるに、他の実施形態では、磁気センサアレイ308は、センサ回路328から離れて設けられた1つまたは2つ以上の遠隔磁気センサを有するのがよい。遠隔磁気センサをセンサ回路328からずらすことにより、環境の磁界、例えば地球の磁界から生じる磁気効果、手術室内の浮遊磁界等によって引き起こされる望ましくない磁気干渉を、図27に示されていて図27と関連して以下に説明するアルゴリズム830のプロセスステップ831と関連して以下に詳細に説明するように、センサ回路328内で調整しまたは違ったやり方で補償することができる。
【0078】
図21に示すように、幾つかの実施形態では、磁気センサアレイ308は、遠隔磁気センサハウジング380を有するのがよい。遠隔磁気センサハウジング380は、磁気センサアレイ308のヘッド部分332から上方へ距離383にわたって延びる支持フレーム382を有している。遠隔磁気センサハウジング380は、支持フレーム382の頂部に結合されたヘッド部分384を有している。遠隔磁気センサ386が、ヘッド部分382内に設けられると共に相互接続部388を介してセンサ回路328に電気的に結合されている。相互接続部388は、遠隔磁気センサ386とセンサ回路328との間の通信を可能にする任意タイプの相互接続部であってよい。幾つかの実施形態では、遠隔磁気センサハウジング380は、ハウジング380と遠隔磁気センサ386をセンサ回路328から一段と遠ざけて位置決めでき、またはセンサ回路328に対して別の位置に位置決めできるように、磁気センサアレイ308から機械的に切り離し可能である。。
【0079】
遠隔磁気センサ386は、磁気センサ350とほぼ同じであり、一次元磁気センサ、二次元磁気センサまたは三次元磁気センサであってよい。特定の一実施形態では、遠隔磁気センサ386は、遠隔磁気センサ386の位置のところの磁界のX成分、Y成分およびZ成分を測定するよう構成された三次元センサである。遠隔磁気センサ386は、干渉磁界(即ち、所望の磁界以外の磁界)を測定できるように、センサ回路328から間隔を置いて位置されている。すなわち、遠隔磁気センサ386は、磁気源309から十分遠くに位置して磁気源309により生じた磁界による遠隔磁気センサ386の測定値に対する影響が最小限であるように配置されている。したがって、遠隔磁気センサ386は、磁気源309以外の源により生じた磁界を測定するよう構成されている。遠隔磁気センサ386により得られた測定値は、相互接続部388を介してセンサ回路328に送られる。センサ回路328は、遠隔磁気センサ386の測定値に基づいて磁気センサ350の磁界測定値を補償しまたは調節するよう構成されたものであるのがよい。このようにすると、望ましくない磁界効果を磁気センサ350の測定値から差し引くことができまたは違ったやり方で計算に入れることができる。
【0080】
加うるに、磁気センサアレイ308の他の実施形態は、図18に示す形態とは異なる形態を持つハウジングを有してもよい。例えば、図22に示すように、磁気センサアレイ390は、センサ回路328が収納された検出ヘッド部分392を有するのがよい。取っ手394が、ヘッド部分392に結合され、この取っ手は、遠隔磁気センサ386を有し、この遠隔磁気センサは、相互接続部396を介してセンサ回路328に電気的に結合されている。相互接続部396は、相互接続部388とほぼ同じであり、この相互接続部396は、遠隔磁気センサ386とセンサ回路328との間の通信を可能にする任意タイプの相互接続部として具体化できる。例示の実施形態では、取っ手394は、閉ループ取っ手であって、検出ヘッド部分392に各遠位端部で結合されている。図21を参照して上述したように、センサ回路328は、遠隔磁気センサ386により得られた測定値を用いてセンサ回路328の磁気センサ350を補償しまたは較正する。
【0081】
次に図23を参照すると、磁気源309は、1つまたは2つ以上の磁石として具体化できる。例示の実施形態では、磁気源309は、2つまたは3つ以上の円筒形双極磁石450として具体化されている。磁石450は、多数の磁束線452を有する磁界を発生させる。生じた磁束線452のサブセット断面だけが図23に示されており、磁束線(および磁界)が磁石450を円周方向に包囲していることが理解されるべきである。患者の骨に結合されると、磁石450の位置(即ち、場所および向き)は、6つの自由度によって定められる。すなわち、磁石450の位置は、3つのデカルト座標値および3つの回転値(即ち、各デカルト座標軸について1つずつ)によって特定できる。例えば、座標軸454により図23に示されているように、磁石450の位置は、X座標値、Y座標値、Z座標値、X軸回りのθ(シータ)回転値、Y軸回りのφ(ファイ)回転値、およびZ軸回りのψ(プシー)回転値により三次元空間中に特定できる。
【0082】
磁石450は、患者の関連の組織を介してセンサ回路328により検出されまたは測定されるのに十分な磁束密度または強度の磁界を発生させることができる任意の磁性材料で作られたものであってよい。例えば、磁石450は、強磁性体、フェリ磁性体、反強磁性体、反フェリ磁性体(antiferrimagnetic)、常磁性体または超常磁性体で作ることができる。特定の一実施形態では、磁石450は、ネオジムフェライトボロン(neodymium ferrite boron)(NdFeB)等級50合金材料で作られる。例示の磁石450は、長さ451が約5ミリメートルおよび直径453が約2ミリメートルの円筒形磁石である。しかしながら、他の実施形態では、他の形態、例えば矩形や球形の磁石および他の寸法を有する磁石450を使用することができる。
【0083】
磁気センサ350の測定値の精度を高めるため、幾つかの実施形態では、磁気源309を具体化した複数個の磁石450が、各磁石450の磁気特性が互いにほぼ同じであるように形成されまたは製造される。そのようにするため、一実施形態では、各磁石450により生じる磁界を測定して確認する。互いにほぼ同じ磁界を有する磁石450のみを使用する。加うるに、幾つかの実施形態では、各磁石450の磁気モーメントを測定するのがよい。磁石450の長手方向軸線と同一軸上またはほぼ同一軸上の磁気モーメントを有する磁石450のみを使用する。すなわち、磁石450の磁気モーメントが実質的に磁石450の長手方向軸線から離れた場所から見て磁石450から延びるよう定められている場合、磁石450を破棄するのがよい。このようにすると、磁石450の各々により生じる磁界は、互いにほぼ同じであり、従って、磁界の測定値およびこれに基づいて計算される値の精度の向上が得られる。
【0084】
次に図24〜図29を参照すると、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムを用いて患者の骨を登録するアルゴリズム400が、オプションとしてのプロセスステップ402で始まり、このプロセスステップでは、磁気センサアレイ308の精度を確認する(例えば、磁気センサ350の測定値の精度を確認するのがよい)。かかる確認プロセスを各登録手順前にまたは保守ルーチンを、例えば月毎のまたは週毎の保守手順の一部として実施するのがよい。磁気センサアレイ308の精度を確認するため、試験用装置440を図30に示すように磁気センサアレイ308の検出ヘッド部分332に結合するのがよい。試験用装置440は、フレーム442および磁気源ハウジング444を有する。試験用磁気源446が、ハウジング444内に設けられている。フレーム442は、多数個の取り付け孔448を有している。磁気源ハウジング444を、孔448および取り付け器具449、例えばねじまたはボルトによりフレーム442に取り付けるのがよい。フレーム442は、多数個の取り付け孔448を有しているので、ハウジング444およびかくして試験用磁気源446を検出ヘッド部分332から多種多様な距離を置いたところに位置決めすることができる。したがって、試験用磁気源446の磁束密度(または磁界強度)が既知でありかつ検出ヘッド部分332から(即ち、検出ヘッド332内に設けられているセンサ回路328から)の源446の距離が既知なので、各磁気センサ350に関する予想磁束密度測定値を求めることができる。次に、各磁界センサ350の実際の測定磁界値(即ち、各センサの位置のところの三次元磁束密度成分の1つまたは2つ以上の軸線を表す磁気センサ350の出力電圧レベル)を予想磁束密度値と比較するのがよい。所定のしきい値を超える誤差は、磁気センサアレイ308の誤動作を表している場合がある。確認手順を一段と促進するため、フレーム442上の磁気源ハウジング444の各場所に関して予想磁束密度値および測定磁束密度値を求めるのがよい。例示の試験用装置440は、磁気センサアレイ308に使用できる試験用装置のただ1つの実施形態である。他の実施形態では、他の形態を有する試験用装置を使用することができる。
【0085】
次に、プロセスステップ404において、磁気源309を患者の関連の骨の解剖学的構造に結合する。磁気源309を整形外科手術手技が行われる患者の1つまたは複数の骨に植え込みまたはこれとは違ったやり方で固定するのがよい。例えば、人工膝関節形成術(TKA)手術手技が行われる場合、1つまたは2つ以上の磁気源309を患者の関連の脛骨、関連の大腿骨または関連の脛骨と関連の大腿骨の両方に結合するのがよい。上述したように、各磁気源309は、1つまたは2つ以上の磁石450として具体化されるのがよい。
【0086】
磁気源309を具体化した磁石450を、磁石450が整形外科手術手技の実施前または実施中に動くことがなくまたはずれる(propagate)ことがないように、磁石450を骨に固定する任意適当な固定手段を用いて患者の骨に結合するのがよい。一実施形態では、磁石450は、磁石450を骨の中に植え込むことにより患者の骨に結合される。そのようにするため、図31に示すように、植え込み型カプセル460を用いるのがよい。カプセル460は、磁石450が収納された本体部分462および本体部分462の遠位端部のところに設けられたねじ山付き部分464を有する。カプセル460は、磁石450により生じた磁界がカプセル460によって劣化されることがないように、非磁性材料、例えばプラスチック材料で形成されてよい。図32に示すように、カプセル460(および磁石450)を患者の骨466の中に植え込むのに、まず最初に、適当な穴を骨にあけ、次に、例えばカプセル460をあけた穴の中にねじ込むことによりカプセル460を挿入するのがよい。他の実施形態では、他の形態を有する植え込み型カプセルを用いることができる。例えば、幾つかの実施形態では、植え込み型カプセルは、カプセルの本体全体を覆うねじ山を有するのがよい。
【0087】
図23を参照して上述したように、磁石450の位置は、いったん患者の骨に結合されると、6つの自由度により特定される。しかしながら、例示の磁石450の磁界が磁石450を中心として円周方向に対称であるので、磁気源309として単一の例示の磁石450を用いて5つの自由度のみを求めてもよい。すなわち、3つのデカルト座標の値(即ち、図23のX座標値、Y座標値およびZ座標値)および2つの回転値(即ち、図23のX軸回りのθ(シータ)回転値およびY軸回りのφ(ファイ)回転値を求めるのがよい。6番目の自由度(即ち、図23のZ軸回りのψ(プシー)回転値)の決定を行うため、少なくとも1つの追加の磁石450を用いてもよい。
【0088】
磁気源309を形成する2つまたは3つ以上の磁石450を互いに対して任意の角度をなして患者の骨に結合しまたはこの骨の中に植え込むのがよい。骨の密度の不一致および他の要因に起因して、磁石450相互間の3つの角度(シータ、ファイおよびプシー)は、制御不能であり、従って未知である。かかる実施形態では、磁気源の6番目の自由度を、アルゴリズム800と関連して以下に詳細に説明するように、骨およびこの骨に結合された磁気源309の画像に基づいて求めることができる。
【0089】
他の実施形態では、磁石450を互いに対して所定の既知の位置(場所および(または)回転)のところで患者の骨に結合しまたはこの骨の中に植え込むのがよい。例えば、2つの磁石450を磁石450が互いに実質的に垂直になるように患者の骨の中に植え込むのがよい。2つの磁石450の磁界は、向きの差に起因して互いに異なる磁界ベクトルを有していると共に磁石450相互のなす角度が既知なので、磁気源309(即ち、2つの磁石450)の6つの自由度を、各磁石450の測定した5つの自由度および互いに対する磁石450の既知の位置に基づいて求めることができる。
【0090】
磁石450相互間に定められる回転角度とは無関係に、磁石450は、磁石450により生じる磁界が互いに干渉し合わないように互いに距離を置いて植え込まれる。すなわち、磁石450を、一方の磁石450の磁界がもう1つの磁石450の磁界と強め合うように干渉せずまたは弱め合うように干渉しないように十分な距離離す。特定の一実施形態では、磁石450は、所望の最大測定距離(例えば、磁石450の磁界を依然として正確に測定しながら磁気センサアレイ308を位置決めできる、磁石450からの最大Z軸距離)の2倍以上の距離のところに植え込まれる。
【0091】
幾つかの実施形態では、2つまたは3つ以上の磁石450を互いに対し所定の距離を置いたところ(および望ましいならば互いに対して所定の回転角度のところに)植え込みやすくするために、ジグまたはガイドを用いるのがよい。例えば、図33に示すように、ジグ470を用いると、患者の骨472内への2つの磁石450の植え込みを容易にすることができる。ジグ470は、第1の取り付けパッド476および第2の取り付けパッド478を備えたフレーム474を有する。取り付けパッド476,478は、互いに対して三次元で所定の組をなす回転角度のところに配置し、それにより磁石450相互間の所望の回転形態が得られるようにする。例示のジグ470では、取り付けパッド476,478は、三次元座標系のたった1つの軸線回りに互いに対して実質的に垂直に位置決めされ、従って、ジグ470を用いて植え込まれた磁石450が、この単一の軸線回りに互いに実質的に垂直に植え込まれるようにする。取り付けパッド476は、取り付け孔482を有している。これと同様に、取り付けパッド478は、取り付け孔484を有している。孔482,484は、磁石450がいったん骨472内に植え込まれると、磁石450の所望の距離に等しい距離486だけ互いに離されている。したがって、孔482,484は、磁石450を植え込む際ガイドとして使用でき(即ち、磁石450を孔482,484に通して植え込むことができる)、従って、磁石450は、骨472内に植え込まれ、所定の形態(即ち、互いに対すると共に骨472に対する場所および向き)が得られるようになる。
【0092】
幾つかの実施形態では、ジグ470は、外科医によるジグ470の位置決めを可能にするようフレーム474に結合された取っ手490を更に有するのがよい。変形例として、ジグ470を剛性の物体、例えば手術台に固定してジグ470が各磁石450の植え込み相互間または植え込み中に動きまたは再位置決め状態になる恐れを減少させてもよい。例示のジグ470が患者の骨472に当てられるものとしてまたはこの隣に位置するものとして図32に示されているが、理解されるべきこととして、使用中、取り付け穴482,484のための切開部または穿刺部だけを作る必要があるように、ジグ470を患者の皮膚の外部に位置決めしてもよい。このようにすると、磁石450を患者への手術のための露出を減少させた状態で所定の形態(即ち、互いに対すると共に骨472に対する場所および向き)が確保された状態で患者の骨の中に植え込むことができる。
【0093】
さらに別の実施形態では、磁気源309を形成する2つまたは3つ以上の磁石450を固定ブレースまたは支持部材を介して互いに固定してもよい。支持部材は、磁石450を互いに対して所定の三次元位置(即ち、場所および向き)に固定する。かかる実施形態では、ジグ470は不要である場合がある。しかしながら、磁気源309がかかる実施形態では構造的に大きいので、磁気源309を患者の骨内に植え込むには大きな切開部が必要になる場合がある。
【0094】
磁気源309が2つまたは3つ以上の磁石450で形成される実施形態では、磁気センサアレイ308を用いるには、磁気センサアレイ308(即ち、センサ回路328)を磁石450のうちの1つの磁界中に位置決めし、その磁石450の磁界を検出して磁気センサアレイ308に対するその位置を表す位置データを求め、次に、磁気センサアレイ308を磁気センサアレイ308に対して次の磁石450の磁界中に位置決めし、次の磁石450の磁界を検出するのがよく、以下同様である。
【0095】
変形例として、図34に示すように、磁気センサアレイ500を用いてもよい。磁気センサアレイ500は、フレーム502および2つの検出ヘッド部分504,506を有している。ヘッド部分504,506は、互いに距離512を置いて位置決めされている。距離512は、患者の骨472内へ植え込まれた後に磁石450が離される距離486に実質的に等しい。各検出ヘッド部分504,506は、磁気センサ308のセンサ回路328とほぼ同じセンサ回路510を有している。磁気センサアレイ500は、磁気センサアレイ308の反射センサアレイ336とほぼ同じ反射センサアレイ514を更に有している。反射センサアレイ514は、多数個の反射要素516を有し、この反射センサアレイは、磁気センサアレイ500の相対位置を突き止めるためにコントローラ302によって用いられる。
【0096】
磁気センサアレイ500は、磁気センサアレイ500の位置決めを可能にする取っ手508を更に有している。すなわち、外科医は、取っ手508を用いて、ヘッド部分504,506およびそれぞれのセンサ回路510の各々を磁石450の一つの磁界中にそれぞれ位置決めできるように磁気センサアレイ500を位置決めすることができる。検出ヘッド部分504,506相互間の距離512が磁石450相互間の距離486に実質的に等しいので、ヘッド部分504,506の各々を同時に磁石450のうち一つの磁界中にそれぞれ位置決めするのがよい。このように、磁気センサアレイ500は、磁気センサアレイ308を用いた場合に行われるように1つの磁界を測定し、次に、次の磁界を測定するのではなく、磁気源309を具体化した2つの磁石450の磁界を同時にまたはほぼ同時に測定するよう使用できる。幾つかの実施形態では、検出ヘッド部分504,506は、距離512を調節して磁石450相互間の距離486のばらつきに対応するようフレーム502に対して旋回するよう構成されたものであるのがよい。
【0097】
次に図24に戻ってこれを参照すると、磁気源309をプロセスステップ404において患者の骨に結合した後、プロセスステップ406において、磁気源309が結合された1つまたは複数の骨の画像を生成する。磁気源309は、整形外科手術手技の実施に先立って患者の骨に結合されることは理解されるべきである。したがって、磁気源309を整形外科手術手技の日または時間よりも十分前もってまたはその手技の直前に患者の骨に結合することができる。したがって、患者の骨または骨の解剖学的構造の画像をプロセスステップ404の結合ステップの後であれば任意の時点で生成することができる。例えば、患者の骨をプロセスステップ404の直後に、プロセスステップ404の完了後の或る時点で、または整形外科手術手技のほぼ実施の際または実施の直前に画像化することができる。
【0098】
患者の関連の骨(即ち、磁気源309が結合されている骨)を画像化するのに任意適当な骨の解剖学的構造の画像化プロセスを用いることができる。このように生成された画像は、患者の関連の骨の三次元画像であり、この画像は、骨に結合された磁気源309の指標を含む。すなわち、画像は、関連の骨に植え込まれまたはこれとは違ったやり方で固定された磁石450の位置(即ち、場所および向き)が見えると共に(あるいは)画像から判別できるように生成される。そのようにするために、関連の骨および磁気源309の三次元画像を生成することができまたはそのために利用できる任意の画像方法論を使用することができる。例えば、コンピュータ断層(CT)、透視法および(または)X線法を用いて骨を画像化することができる。
【0099】
特定の一実施形態では、同一平面上に位置していない2つのX線像を用いて関連の骨および磁気源309の三次元画像を形成する。そのようにするため、図25に示すように、関連の骨の解剖学的構造の画像を生成するアルゴリズム800を用いるのがよい。アルゴリズム800は、プロセスステップ802で始まり、このプロセスステップでは、関連の骨の解剖学的構造の第1のX線像が生成される。第1のX線像は、磁気源309の指標を含む。次に、プロセスステップ804において、関連の骨の解剖学的構造および磁気源309の第2のX線像を生成する。第1および第2のX線像は、第1のX線像と第2のX線像が互いに同一平面上に位置しないように生成されることは理解されるべきである。
【0100】
次に、プロセスステップ806において、関連の骨および磁気源309の三次元画像を第1および第2のX線像に基づいて生成する。上述したように、第1のX線像と第2のX線像は、同一平面上に位置しておらず、これら像を互いに比較して三次元画像を決定するのがよい。そのようにするため、任意の二次元対三次元のモーフィングアルゴリズムを用いるのがよい。例えば、米国特許第4,791,934号明細書、同第5,389,101号明細書、同第6,701,174号明細書、米国特許出願公開第2005/0027492号明細書、同第2005/0015003A1号明細書、同第2004/0215071号明細書、国際公開第99/59106号パンフレット、欧州特許出願公開第1348394A1号明細書および(または)同第1498851A1号明細書に開示されているモーフィングアルゴリズムのどれか1つまたは任意の組み合わせを用いるのがよい。
【0101】
関連の骨およびこれに結合された磁気源309の三次元画像をいったん生成すると、プロセスステップ808において、磁気源309(即ち、2つまたは3つ以上の磁石450)と骨との間の位置関係を表すデータを求める。そのようにするため、コンピュータまたはコンピュータ処理装置(例えば、コントローラ302、画像化装置に結合されたコンピュータ、または他のコンピュータもしくは処理装置)が、画像分析アルゴリズムを実行して例えば磁気源309を形成する磁石450のセントロイドおよび向き(即ち、5つの自由度に対する磁石の位置)およびかかるセントロイドを関連の骨の表面輪郭および(または)基準点に関連付けるベクトルデータを求めることができる。したがって、磁気源309と関連の骨との間の位置関係を表すデータは、ベクトル、スカラーデータ、方程式等の集まりとして具体化できる。アルゴリズム420と関連して以下に説明するように、かかるデータは、関連の骨の場所および向きを突き止めるために磁気センサアレイ309から受け取った位置データと関連してコントローラ302によって用いられる。
【0102】
幾つかの実施形態では、プロセスステップ810において、第1の磁石450の位置を第2の磁石450に関連付ける並進(平行移動)および回転を定める成分の行列(matrix)を求める。代表的には、かかる実施形態では、磁石450相互間の位置関係は植え込み時点では未知であるように、ジグ等を用いないで磁石450は、関連の骨に植え込まれまたはこの骨に結合されている。しかしながら、プロセスステップ810において、プロセスステップ806で得られた三次元画像に基づいて並進および回転行列を求めることができる。そのようにするため、コンピュータまたはコンピュータ処理装置(例えば、コントローラ302、画像化装置に結合されたコンピュータまたは他のコンピュータもしくは処理装置)を、三次元画像で識別された各磁石450の5つの自由度を求めるよう構成するのがよい。磁石450の5つの自由度は、座標系と関連して決定されてよい。特定の一実施形態では、磁石450の5つの自由度は、関連の骨により定められた座標系と関連して決定される。そのようにするため、プロセスステップ808で決定された磁気源309と関連の骨との間の位置関係を表すデータを用いるのがよい。各磁石450に関して5つの自由度をいったん求めると、これら値を比較して、磁石450のセントロイド相互間の並進ベクトルおよび2つの磁石450相互間の空間関係を定める2つの角度回転という3つの成分を含む1×5行列を求める。したがって、この行列は、磁気源309を規定する。そのようにいったん決定すると、行列を例えば記憶装置316またはデータベース318,320内のコントローラ302によって格納するのがよい。並進/回転行列を、後で行うコンピュータ処理で用いると、アルゴリズム420と関連して以下に詳細に説明するように磁気源の6つの自由度を求めることができる。
【0103】
次に、プロセスステップ812において、三次元画像および関連のデータ、例えば、ステップ808,810で求めたデータを格納する。一実施形態では、画像および関連データを、上述したように病院ネットワークの一部をなす場合があり、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301から離れて配置されている場合のある記憶装置316、データベース318および(または)遠隔データベース320(図18に示されている)内のコントローラ302によって格納する。かかる実施形態では、コントローラ302は、処理が必要な場合、遠隔データベース320から三次元画像を検索して取り出すよう構成されているのがよい。他の実施形態では、三次元画像は、コントローラ302と通信状態にはないデータベースまたは他のストレージ場所に格納されている場合がある。かかる実施形態では、三次元画像を必要なときに、携帯可能な媒体、例えばコンパクトディスク、フラッシュメモリカード、フロッピーディスク等によりコントローラ302に提供できる。
【0104】
三次元画像を三次元画像の後で行われる検索および(または)再生を容易にする任意のフォーマットで格納できる。例えば、三次元画像を三次元画像を再び形成するために使用できるベクトルデータの集まりとして格納できる。変形例として、関連の骨および磁気源309の輪郭を定める特定の点だけを格納してもよい。かかる実施形態では、アルゴリズムを後で用いて格納されたデータ点を用いて関連の骨および磁気源を再び形成するのがよい。
【0105】
例示のアルゴリズム800は、関連の骨および磁気源309の同一平面上に位置していない2つのX線像を利用するが、他の実施形態では他の画像化方法を用いてもよい。例えば、コンピュータ断層走査(computed tomography scan)を用いて関連の骨およびこれに結合された磁気源309の三次元像を生成してもよい。典型的なコンピュータ断層撮影法の場合と同様、コンピュータ断層走査から得た複数個の二次元画像から三次元画像を生成する。適当なソフトウェアフィルタおよび画像化アルゴリズムを利用して、関連の骨の輪郭、磁気源309の位置、および磁気源309と関連の骨との間の位置関係を上述のアルゴリズム800で用いられた仕方と同様な仕方でコンピュータ断層三次元像に基づいて求めることができる。
【0106】
図24に戻ってこれを参照すると、関連の骨の解剖学的構造をプロセスステップ406でいったん画像化すると、プロセスステップ407において、磁気センサ350それ自体に起因する誤差を求めて補償するのがよい。製造上の許容誤差、エージング、損傷、使用状況および他の要因に起因して、磁気センサ350は、磁界が存在していない状態でオフセット出力信号(即ち、オフセット電圧)を発生する場合がある。磁気センサ350のオフセット出力信号が既知であれば、磁気センサ350のオフセットを磁気センサ350の測定値から減算することにより磁気センサ308の精度を向上させることができる。そのようにするため、磁気センサアレイ308を磁気的に遮蔽されたケースまたはハウジング内に配置するのがよい。磁気的に遮蔽されたケースは、ケースの内部に含まれる環境に実質的に磁界が無いように、相当な量の外部からの磁界を遮断するよう構成されている。一実施形態では、磁気的に遮蔽されたケースは、ミューメタル材料、例えば、特定のニッケル合金で作られ、セラミックで作られまたは適当な遮蔽特性を備えた他の材料で作られる。磁気センサ350のオフセット電圧を補償するため、磁気センサアレイ308を磁気的に遮蔽されたケース内に配置し、誤差補償ソフトウェアプログラムにより遠隔的にまたは自律的に作動させて磁気センサ350の出力信号を測定するのがよい。磁気的に遮蔽されたケース内にそれほど磁界が無いので、磁気センサ350の出力信号は、オフセット電圧誤差を表している。オフセット電圧誤差をこのようにいったん求めると、磁気センサアレイ308の精度を向上させることができる。すなわち、センサ回路328は、かかるオフセット電圧を磁気センサ350の測定値から減算してオフセット誤差を計算に入れるよう構成されたものであるのがよい。プロセスステップ407を骨または骨の解剖学的構造の登録の実施前の任意の時点で行うことができることは理解されるべきである(以下のプロセスステップ410を参照)。特定の一実施形態では、プロセスステップ407は、プロセスステップ407と登録プロセスとの間における時間の経過の短縮により、誤差がドリフトしまたは変化する恐れが減少するように、関連の骨の登録の直前に実行される。
【0107】
次に、プロセスステップ408において、磁気センサアレイ308,500をコントローラ302により登録し、プロセスステップ409において、ナビゲーションセンサアレイを関連の骨の解剖学的構造に結合する。図24に示すように、プロセスステップ408,409を互いに同時にまたは任意の順番で実行することができる。プロセスステップ404,406とは異なり、プロセスステップ408は代表的には、整形外科手術手技の実施の直前に行われる。磁気センサアレイ308,500を登録するため、アレイ308,500を、反射センサアレイ336,514がカメラユニット304で視認できるように、カメラユニット304の視野52内に位置決めする。コントローラ302が磁気センサアレイ308,500をこれらに結合された反射センサアレイ336,514により識別するよう適当な指令をコントローラ302に与える。すると、コントローラ302は、反射センサアレイ336,514を用いて磁気センサアレイ308,500の位置を突き止めることができる。
【0108】
プロセスステップ409において、ナビゲーションセンサアレイを患者の関連の1つまたは複数個の骨に結合する。ナビゲーションセンサアレイは、図2に示すと共に図2を参照して上述したセンサアレイ54とほぼ同じである。センサアレイ54と同様、ナビゲーションセンサアレイは、反射センサアレイ336,514とほぼ同じ反射センサアレイであってよく、あるいは、電磁または高周波(RF)センサアレイであってよく、例えばワイヤレス送信器として具体化できる。ともかく、ナビゲーションセンサアレイは、ナビゲーションセンサアレイがカメラユニット304の視野内に位置するように、患者の関連の骨の解剖学的構造に結合される。コントローラ302は、ナビゲーションセンサアレイを利用して、骨の解剖学的構造がプロセスステップ410と関連して以下に説明するようにコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301によりいったん登録されると、骨の解剖学的構造の動きを割り出すようになっている。
【0109】
磁気センサアレイ308,500をプロセスステップ408においてコントローラ302により登録し、ナビゲーションセンサアレイを関連の骨の解剖学的構造に結合した後、磁気源309が結合された患者の骨または骨の解剖学的構造をプロセスステップ410においてコントローラ302により登録する。そのようにするため、図26に示すように、磁気センサアレイ308,500を動作させるアルゴリズム820を用いるのがよい。アルゴリズム820を任意の個数の磁気源として具体化された磁気源に用いることができると共に(あるいは)これに用いることができるよう容易に改造できることを理解した上で、アルゴリズム820を2つの磁石450として具体化された磁気源309と関連して以下に説明する。
【0110】
アルゴリズム820は、プロセスステップ822で始まり、このプロセスステップにおいて、磁気センサアレイ308,500を位置決めする。磁気センサアレイ308を用いる場合、磁気センサアレイ308のセンサ回路328が磁石450の磁気モーメント上に位置決めされるように、磁気センサアレイ308をプロセスステップ822において第1の磁石450の磁界中に位置決めする。特定の一実施形態では、磁気センサアレイ308を中央の磁気センサ3501(図20参照)が磁石450の磁気モーメントと実質的に同一の軸上に位置するように位置決めするのがよい。そのようにするため、センサ回路328は、磁気センサ3501の出力をモニタするよう構成されているのがよい。例えば、例示の実施形態では、センサ回路328は、中央に位置した三次元磁気センサ3501のX成分出力およびY成分出力をモニタするよう構成されているのがよい。磁気センサアレイ308は、測定したX成分測定値およびY成分測定値が最小値にある(または、しきい値よりも低い)場合、磁石450の磁気モーメント上に位置決めされるよう決定される(即ち、磁気センサ3501の敏感なフィールド点が磁石450の磁気モーメントと同一の軸上に位置しまたは同一軸上の近くに位置する)。
【0111】
他の実施形態では、センサ回路328は、追加の磁気センサ350のX成分出力およびY成分出力をモニタするよう構成されているのがよい。例えば、センサ回路328は、所与の位置の磁石450の三次元磁束密度のX成分を測定するよう構成された全ての磁気センサ350(例えば、磁気センサ3501〜3505,35015および35017)の出力、および所与の位置の磁石450の三次元磁束密度のY成分を測定するよう構成された全ての磁気センサ350(即ち、磁気センサ3501〜3505,35014および35016)の出力をモニタするよう構成されているのがよい。例えば、センサ回路328は、かかるセンサの出力を合計し、かかる合計が最小値である場所を突き止めるよう構成されているのがよい。
【0112】
外科医が磁気センサアレイ308を位置決めするのを助けるため、センサ回路328は、表示器360を介して外科医にフィードバックをもたらすよう構成されているのがよい。例えば、センサ回路328により、X成分測定値の合計およびY成分測定値の合計が最小値に達したことが判定されると、センサ回路328は、表示器360を作動させるよう構成されているのがよい。このようにすると、外科医は、磁気センサアレイが磁石450に対してXY平面内で正しく位置決めされた時期が分かる。
【0113】
他の実施形態では、センサ回路328は、磁気センサアレイ308のアライメントされていない状態に適合するよう構成されるのがよい。例えば、磁気センサ3501〜3505および磁気センサ35014〜35017のX成分測定出力およびY成分測定出力に基づいて、センサ回路328は、どの磁気センサ350が磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるかまたは同一軸上に最も近くに位置するかを判定するよう構成されているのがよい。例えば、磁気センサ3505(図20参照)のX成分測定出力およびY成分測定出力がほぼゼロでありまたは最小の状態にある場合、センサ回路328は、磁気センサ3505の敏感なフィールド点が磁石450の磁気モーメントと同一軸上に位置しまたは同一軸上の近くに位置していることを判定することができる。外科医またはユーザに磁気センサ308を再位置決めさせるのではなく、センサ回路328は、センサボード370に対する磁石450の磁気モーメントのX−Yオフセットに合わせて磁気センサ350の測定値を調節するよう構成されているのがよい。
【0114】
プロセスステップ822において、磁気センサアレイ308を磁石450に対してZ軸に沿って位置決めしてもよい。すなわち、磁気センサアレイ308をZ軸に沿って磁石450から磁石450の磁気モーメントによって定められる距離遠くのところに位置決めする。磁気センサアレイ308を、磁気センサ350が飽和状態にならないように、磁石450から少なくとも最小距離のところに位置決めする。加うるに、測定された磁束密度が磁気センサ350のノイズフロアよりも高い(即ち、バックグラウンド磁気「ノイズ」から磁気センサ350により識別されるのに十分な場合の磁束密度)ように、磁気センサアレイ308を磁石450から最大距離の範囲内に位置決めする。センサ回路328は、磁気センサ350が飽和しているかどうかまたは磁気センサ350の出力がセンサ350のノイズフロアよりも低いかどうかを判定するために磁気センサ350の出力をモニタするよう構成されているのがよい。センサ回路328は、磁気センサアレイ308が磁石450に対してZ軸に関し正しく位置決めされていれば、外科医または磁気センサアレイ308のユーザに警報を出すよう構成されているのがよい。アルゴリズム400のプロセスステップ404に関して上述したように、磁気センサアレイ308が用いられる最大距離もまた、磁気源309を形成する個々の磁石450相互間の最小距離を定める(即ち、磁石450は、一実施形態では、磁気センサアレイ308の最大測定距離の2倍以上の距離だけ離される)。
【0115】
変形例として、磁気センサアレイ500は、検出ヘッド504,506(およびセンサ回路510)の各々が磁石450のうちの1つの磁界中に位置決めされるようアレイ500を位置決めすることにより患者の骨を登録するよう使用されることができる。すなわち、磁気センサアレイ500を、各センサ回路510がそれぞれの磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるように位置決めする。磁気センサアレイ308と関連して上述したように、検出ヘッド504,506の各々を中央の磁気センサ3501が各磁石450の磁気モーメントと実質的に同一軸上に位置するように位置決めするのがよい。そのようにするため、各センサ回路510は、それぞれの磁気センサ3501のX成分測定出力およびY成分測定出力をモニタし、かかる測定値が最小の大きさにあるかまたは所定のしきい値を下回っているかどうかを判定するよう構成されているのがよい。変形例として、磁気センサアレイ308と関連して上述したように、センサ回路510は、個々の磁気センサ350のどれが磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるかまたは同一軸上の最も近くにあるかを判定し、それに応じて残りの磁気センサ350の磁界測定値を調節することにより磁石450に対するセンサ回路510の非アライメント状態に適合するよう構成されているのがよい。さらに、磁気センサアレイ308と同様、磁気センサアレイ500のセンサ回路510は、いつ磁気センサアレイ500が磁石450に対してZ軸に関し正しく位置決めされているかを判定するよう構成されているのがよい。すなわち、センサ回路510は、磁気センサ350が飽和しているかどうかまたは磁気センサ350の出力がセンサのノイズフロアよりも低いかどうかを判定し、磁気センサアレイ500がそれに基づいて正しく位置決めされているかどうかを判定するために磁気センサ350の出力をモニタするよう構成されているのがよい。
【0116】
磁気センサアレイ308,500をいったん正しく位置決めすると、プロセスステップ824において、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置を突き止める。そのようにするため、磁気センサアレイ308,500(即ち、センサ回路328,510)は、図27に示すように磁気源の位置を突き止めるアルゴリズム830を実行するのがよい。
【0117】
アルゴリズム830は、プロセスステップ831,832で始まる。図27に示すように、プロセスステップ831,832を互いに同時にまたは任意の順番で実行することができる。プロセスステップ831において、磁気センサ350の測定値に誤差を生じさせる場合のある望ましくない環境磁界を測定する。磁気センサ350の測定値の精度を向上させるには、これら望ましくない有害因子について磁気センサアレイ308を補償するのがよい。プロセスステップ831で測定された環境磁界は、地球の磁界や手術室内に設置された他の機器、電気ケーブル、鉄構造物、乗り物により生じる磁界および磁気源309とは異なる源により生じ、磁気源309により生じた磁界と干渉する場合のある他の浮遊磁界または望ましくない磁界を含む場合がある。例えば、地球の磁界は、磁気源309により生じた磁界と干渉する(即ち、強め合うように干渉しまたは弱め合うように干渉する)ことにより磁気センサ350の測定値に悪影響を及ぼす場合がある。地球の磁界は、連続的に変化しているので、磁気センサ350にとって固定された調整値またはオフセットは役に立たない。しかしながら、図21および図22と関連して上述したように、遠隔磁気センサ386を用いることにより、地球の磁界の影響を計算に入れることができる。すなわち、遠隔磁気センサ386が磁気センサアレイ308のセンサ回路328から離れて設けられているので、磁気源309により生じる磁界は、遠隔磁気センサ386の測定値に対し最小限の影響しか及ぼさない。したがって、遠隔磁気センサ386の測定値は、主として、地球の磁界および例えば手術室内に設置された他の手術機器により生じる他の環境磁界等に応答して生じる。したがって、プロセスステップ831において、遠隔磁気センサ386の測定値をサンプリングする。
【0118】
プロセスステップ832において、種々の位置における磁石450の三次元磁束密度の成分を測定する。そのようにするため、磁気センサ350の各々の出力をサンプリングする。図20と関連して上述したように、磁気センサ350のうちの幾つかは、三次元磁気センサであり、従って、所与の位置における磁石450の磁束密度の各成分の大きさを測定する。他の磁気センサ350は、一次元磁気センサであり、磁束密度のたった1つの成分の大きさを測定するよう構成されている。図20の例示の実施形態では、全部で27の成分測定値が磁気センサ350(即ち、5つの三次元磁気センサおよび12個の一次元磁気センサ)によって得られる。磁界測定値を以下に説明するように後で処理するために適当な記憶装置に格納するのがよい。磁気センサ350のサンプリングレートは、処理回路352によって使用可能なまたは持続できるレートのものであるのがよい。
【0119】
磁気センサ350の測定プロセスの所定の期間と同時にまたはその期間中(例えば、アルゴリズム820のプロセスステップ822における磁気センサアレイ308の位置決め中またはアルゴリズム830のプロセスステップ832中)、センサ回路328は、多くの試験手技を実行するよう構成されているのがよい。そのようにするため、センサ回路328は、1つまたは2つ以上の試験用アルゴリズムを実行するよう構成された1つまたは2つ以上の試験用回路を有するのがよい。例えば、試験用回路は、センサ回路328の供給電圧を測定し、供給電圧が所定の最小しきい値よりも低いまたは所定の最大しきい値よりも高い場合誤差を生じさせるよう構成されているのがよい。加うるに、センサ回路328は、磁気センサ350の出力をモニタし、センサ350の出力信号の電圧レベルが所定の最大しきい値よりも高い(即ち、磁気センサ350が飽和状態にある)または所定の最小しきい値よりも低い(即ち、磁気センサ350のノイズフロアよりも低い)場合、誤差を生じさせる(例えば、表示器を作動させて磁気センサアレイ308のユーザに警報を出す)よう構成されているのがよい。加うるに、幾つかの実施形態では、センサ回路328は、例えば温度のような要因等について磁気センサ350の測定値を補償しまたは調節する1つまたは2つ以上の補償回路を有するのがよい。
【0120】
次に、プロセスステップ833において、磁気センサ350の測定値を望ましくない環境磁界に関して補償しまたは調節する。そのようにするため、一実施形態では、遠隔磁気センサ386の測定値を差し引くことにより磁気センサ350の測定値を調節する。このようにすると、地球の磁界および他の環境磁界により生じた磁界の誤差を磁気センサ350により生じた測定データから調節し、主として磁気源309から生じた磁束密度を測定する際の磁気センサアレイ308の全体的精度を向上させる。
【0121】
プロセスステップ834において、磁石450の位置の初期予想を求める。初期予想は、磁石450の5つの自由度の値の予測を含む。すなわち、初期予想は、磁石450のX座標値、Y座標値、Z座標値、磁石450のX軸回りのθ(シータ)回転値、Y軸回りのφ(ファイ)回転値を含む。特定の一実施形態では、X座標値、Y座標値およびZ座標値は、磁石450のセントロイドに対する特定の磁気センサ350の座標値である。すなわち、X座標値、Y座標値およびZ座標値は、磁石450のセントロイドが座標系の中心として定められる(即ち、磁石450のセントロイドが点(0,0,0)のところに位置する)三次元座標系中の磁気センサ350の位置の予想値である。このように磁石450の場所を予想することにより、X座標予想値、Y座標予想値およびZ座標予想値に関して正の値を用いて磁束密度の計算を行うことができる。
【0122】
予想値は、任意の値であってよく、幾つかの実施形態では、測定プロセスで用いられる所定のシード値である。しかしながら、初期予想を磁石450の実際の位置の近くに選択することにより、アルゴリズム830の速度および精度を向上させることができる。そのようにするため、磁石450に対する磁気センサアレイ308,500の位置の知識を用いるのがよい。すなわち、アルゴリズム820のプロセスステップ822で上述したように、磁気センサアレイ308,500を、アレイ308,500が磁石450の磁気モーメントと同一軸上に位置しまたは同一軸上の近くに位置するよう位置決めする。したがって、一実施形態では、磁気センサアレイ308,500に対する磁石450の場所の初期予想は、ゼロという予想X座標値およびゼロという予想Y座標値を含む。加うるに、磁石450のθ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値をゼロとして予想することができる(例えば、磁気センサアレイ308,500のセンサボード370が磁石450の長手方向軸線に垂直に位置決めされていると仮定できる)。Z座標値もまた、ゼロに予想してもよい。しかしながら、追加の精度を得るため、Z座標値は、磁気センサ350(即ち、磁石450の三次元磁界のZベクトルを測定するよう構成された磁気センサ350)により測定された磁石450の磁束密度のZベクトルの平均磁束密度に基づいて予想できる。しかしながら、他の実施形態では、他の予想値を用いてもよい。
【0123】
磁石450の初期予想位置をプロセスステップ834においていったん定めると、空間中の種々の点における磁石450の理論的三次元磁束密度の成分をプロセスステップ836で計算する。アルゴリズム830の最初の繰り返し中、プロセスステップ834で予想された磁石450の5つの自由度の値を用いて理論的三次元磁束密度の各成分を求める。しかしながら、プロセスステップ842と関連して以下に説明するように、アルゴリズム830の次の繰り返しの際、磁石450の5つの自由度の変更された予測値をプロセスステップ836で用いる。
【0124】
磁石450の周りの空間中の一点の各センサ350の位置のところにおける磁石450の理論的三次元磁束密度は、任意適当な方程式および(または)アルゴリズムを用いて計算できる。特定の一実施形態では、以下の方程式を用いて磁石450の磁束密度成分(即ち、X成分、Y成分およびZ成分)の大きさを計算する。
【0125】
【数1】
上式において、
μは、自由空間の透磁率であり(即ち、約4×π×10-17WbA-1m-1)であり、
mは、Am2の単位で表した磁石450の磁気モーメントの大きさであり、
である。
【0126】
プロセスステップ836において理論的磁束密度をいったん計算すると、理論的磁束密度成分値とプロセスステップ832で求められた測定磁束密度値との誤差の和をプロセスステップ838において計算する。すなわち、各磁気センサ350に関し理論的磁束密度成分値と測定磁束密度成分値の差を計算する。次に、各磁気センサ350に関する差の計算値を合計する。そのようにするため、特定の一実施形態では、次の目的関数を用いるのがよい。
【0127】
【数2】
上式において、
nは、測定された磁束密度成分の個数であり、
Bthは、所与のセンサ位置のところにおける磁石450のi番目の磁束密度成分の理論的大きさであり、
Bmeは、所与の位置における磁石450のi番目の磁束密度成分の測定された大きさであり、
wiは、i番目の磁束密度成分に関する重み係数である。
重み係数wiを用いると、或る特定の磁気センサ350の効果を強調しまたは最小限に抑えることができる。例えば、幾つかの実施形態では、センサボード370の中心寄りに位置決めされた磁気センサ350に、センサボード370の周囲寄りに位置決めされた磁気センサ350よりも高い重み係数を与えるのがよい。特定の一実施形態では、重み係数wiは、標準化された重み係数である(即ち、0という値と1という値の範囲内にある)。加うるに、他の重み方式を用いてもよい。例えば、各重み係数wiは、i番目の磁束密度成分を測定する特定の磁気センサ350の磁界感度に基づくものであるのがよい。変形例として、重み係数wiは、各磁気センサ350に関してサンプルの所定の個数の平均で除算した標準偏差に基づくものであってもよい。他の実施形態では、重み係数wiを用いて飽和状態にありまたは磁気センサ350のノイズフロアを下回っているセンサを選択的に無視することができる。さらに、これら重み方式の組み合わせを幾つかの実施形態において使用できる。
【0128】
プロセスステップ840において、アルゴリズム830は、プロセスステップ838で求められた目的関数の値が所定のしきい値よりも低いかどうかを判定する。所定のしきい値は、目的関数がしきい値をいったん下回ると、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置が許容誤差レベル内で知られるように選択される。特定の一実施形態では、所定のしきい値は、0.0である。しかしながら、所定のしきい値上またはその下へのアルゴリズム830の収斂速度を増大させるため、他の実施形態では、0.0よりも大きなしきい値を用いてもよい。
【0129】
目的関数(即ち、誤差の合計)が所定のしきい値を下回っていることが判定された場合、アルゴリズム830は、実行を完了する。しかしながら、目的関数がプロセスステップ840において所定のしきい値よりも大きいと判定されると、アルゴリズムは、プロセスステップ842に進む。プロセスステップ842において、磁気源の位置の予想を調節する。すなわち、アルゴリズム830の最初の繰り返しの際、磁石450のX座標値、Y座標値、Z座標値、X軸回りのθ(シータ)回転値、およびY軸回りのφ(ファイ)回転値に関する初期予想を調節する。小域的最適化アルゴリズムまたは大域的最適化アルゴリズムを用いるのがよい。任意適当な小域的または大域的最適化アルゴリズムを用いることができる。
【0130】
磁石450の位置に関する新たな推定(5つの自由度における)がいったん求められると、アルゴリズム830は、プロセスステップ836にループバックし、このプロセスステップにおいて、プロセスステップ842において計算された新たな予想を用いて理論的磁束密度成分値を求める。このように、アルゴリズム830は、目的関数が所定のしきい値にまたはこれ以下に収斂するまで小域的/大域的最適化アルゴリズムを用いて繰り返しループを実行する。上述したように、目的関数がこのようにいったん収斂すると、磁石450の5つの自由度が分かる。
【0131】
幾つかの実施形態では、アルゴリズム800は、磁気センサアレイ308,500によってのみ実行されることは理解されるべきである。しかしながら、他の実施形態では、磁気センサアレイ308,500は、プロセスステップ832において磁石450の磁束密度成分を測定するためにのみ構成されるのがよい。かかる実施形態では、プロセスステップ834〜842は、コントローラ302によって実行される。そのようにするため、磁気センサアレイ308,500のセンサ回路328,510は、各磁気センサ350の磁界測定値をコントローラ302に送るよう構成されている。
【0132】
次に図26に戻ってこれを参照すると、磁気源309の各磁石450の位置(即ち、5つの自由度)をプロセスステップ822,824においていったん突き止めると、プロセスステップ826において、磁気源309(即ち、磁石450)の5つの自由度を表す位置データをコントローラ302に送る。位置データは、求めた5つの自由度(即ち、磁石450のX座標値、Y座標値、Z座標値、θ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値の大きさ)を表すことができる任意のタイプのデータとして具体化できる。
【0133】
磁気センサアレイ308,500によって受け取られた位置データに応答して、コントローラ302は、患者の関連の骨の解剖学的構造の位置(即ち、6つの自由度)を求める。そのようにするため、コントローラ302は、図28に示すようなアルゴリズム420を実行するのがよい。アルゴリズム420は、例えば記憶装置316に格納されたソフトウェアまたはファームウェアとして具体化できる。アルゴリズム420は、プロセスステップ422,426で始まる。図28に示すように、プロセスステップ422,426は、互いに同時にまたは任意の順番で実行されてよい。
【0134】
プロセスステップ422において、コントローラ302は、通信リンク326を介して磁気センサアレイ308,500から位置データを受け取る。上述したように、位置データは、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置を表している。例示の実施形態では、位置データは、磁気源309の5つの自由度(即ち、X座標値、Y座標値、Z座標値、θ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値)を定める係数値として具体化されている。位置データが磁気センサアレイ308,500からいったん受け取られると、コントローラ302は、位置データを記憶装置316に格納するのがよい。
【0135】
プロセスステップ424において、コントローラ302は、磁気センサアレイ308,500の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304から画像を受け取る。画像中の反射センサアレイ336,514の位置を分析することにより、コントローラ302は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する(例えば、カメラ304および(または)コントローラ302に対する)関連の磁気センサアレイ308,500の位置を突き止める。
【0136】
次に、プロセスステップ426において、コントローラ302は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する磁気源309の位置(即ち、5つの自由度)を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309の5つの自由度およびプロセスステップ424で突き止められたコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する磁気センサアレイ308,500の位置を表す位置データを用いる。即ち、コントローラ302が、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系内で磁気センサアレイ308,500の位置を突き止め、磁気センサアレイ308,500が、アレイ308,500それ自体に対する磁気源309の位置を突き止めているので、コントローラ302は、適当なアルゴリズム(例えば、ベクトル追加アルゴリズム)で位置データの2つの形態を組み合わせることにより、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系内での(即ち、CAOSシステム301に対する)磁気源309の位置を突き止めることができる。
【0137】
しかしながら、磁気センサアレイ、308,500が磁気源309(即ち、磁気源309を具体化した磁石450の各々)の5つの自由度のみを突き止めているので、コントローラ302は、6番目の自由度を求めるよう構成されている。これを促進するために、プロセスステップ428において、コントローラ302は、アルゴリズム400のプロセスステップ406で得られた骨の解剖学的構造の3次元画像を検索して取り出す。プロセスステップ406と関連して上述したように、コントローラ302は、画像をデータベース318および(または)遠隔データベース320から検索して取り出すことができる。画像を任意適当な判断基準に基づいて検索して取り出すことができる。例えば、一実施形態では、画像は、患者の識別データに基づいて検索して取り出される。かかる実施形態では、患者の識別データを整形外科手術手技の実施に先立ってコントローラ302に提供するのがよい。コントローラはまた、任意個数の生成された画像をも検索して取り出すことができる。生成された画像は、磁気源309(即ち、2つの磁石450)の指標または画像、および骨の解剖学的構造に対するその位置を含む。
【0138】
プロセスステップ430において、コントローラ302は、プロセスステップ426において突き止められた磁気源309の位置に基づく場所および向き、ならびにプロセスステップ428において検索して取り出された骨の画像に基づく表面輪郭を有する骨の解剖学的構造の図式的描画像を作成する。しかしながら、上述したように、アルゴリズム820において磁気源309の5つの自由度のみを突き止めてコントローラ302に送っているので、コントローラ302は、磁気源309の6番目の自由度を突き止めなければならない(または、検索して取り出さなければならない)。幾つかの実施形態では、6番目の自由度は、コントローラ302によって既に突き止められまたは知られている。例えば、磁石450が互いに対して所定の角度をなして関連の骨の中に植え込まれる実施形態では、かかる所定の角度を第6番目の自由度としてコントローラ302に提供するのがよい。変形例として、関連の骨の解剖学的構造および磁気源309の3次元画像が図25と関連して上述したアルゴリズム800を用いて求められる実施形態では、磁石450を互いに対して位置決めする行列をプロセスステップ810において決定しておくのがよい。
【0139】
しかしながら、幾つかの実施形態では、コントローラ302は、プロセスステップ430において、磁石450を互いに対して位置決めする行列を求めるよう構成されているのがよい。そのようにするため、コントローラ302は、図29に示すように磁石450の6番目の自由度を求めるアルゴリズム850を実行するのがよい。アルゴリズム850は、プロセスステップ852で始まり、このプロセスステップにおいて、コントローラ302は、磁石450のうちの最初の1つの位置を突き止める。磁石450の位置は、磁石450の5つの自由度によって定められる。コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する第1の磁石450の5つの自由度は、プロセスステップ426においてコントローラ302によって前もって決定されている。したがって、5つの自由度を定める値がコントローラ302によって格納されている場合、かかる値は、プロセスステップ852においてコントローラ302によって検索して取り出される。次に、プロセスステップ854において、コントローラ302は、磁石450の2番目のものの位置を突き止める。この場合もまた、コントローラ302は、プロセスステップ426において第2の磁石450の5つの自由度を既に決定しており、格納されていれば、プロセスステップ854においてこれらを表す値を検索して取り出す。
【0140】
次に、プロセスステップ856において、コントローラ302は、アルゴリズム420のプロセスステップ428で検索して取り出された3次元画像を数学的に回転させるよう構成されている。3次元画像を第2の磁石450の位置がステップ854で定められた第2の磁石450の初期位置に等しくなるまで第1の磁石450の固定された位置回りに回転させる。プロセスステップ858において、コントローラ302は、所要の回転量に基づいて6番目の自由度を求める。3次元画像を6番目の自由度を求めるよう3つ全ての直交軸線回りに回転させるのがよいことは理解されるべきである。
【0141】
磁気源309の6つの自由度をいったん求めると、プロセスステップ430において、骨の解剖学的構造の描画像を、磁気源309の6つの自由度、およびプロセスステップ808において求められた磁気源と骨の解剖学的構造との間の位置関係を表すデータに基づいて生成することができる。すなわち、磁気源309の6つの自由度が既知でありかつ骨の解剖学的構造と磁気源309との間の位置関係が既知なので、骨の解剖学的構造の6つの自由度を求めることができる。通信リンク312を用いて描画像を表示装置306で外科医またはシステム300の他のユーザに表示するのがよい。
【0142】
図24のアルゴリズム400に戻ってこれを参照すると、骨の解剖学的構造をプロセスステップ410において登録した後、プロセスステップ412において磁気源309を患者の骨から取り外すのがよい。そのようにするため、磁気センサアレイ308,500を用いて磁気源309を形成する磁石450の場所を突き止めるのがよい。例えば、磁気センサアレイ308,500を、磁気センサアレイ308,500の表示器360が作動されるまで患者の皮膚上を横切って動かす、かかる作動により、磁気センサアレイ308,500が磁石450のうちの少なくとも1つの磁界の中に位置していることが分かる。次に、適当な手術手技を用いて磁石450を取り出すのがよい。このようにすると、磁石450の磁界は、整形外科手術手技の実施を妨げることがないようになる。例えばナビゲーションセンサアレイが、反射センサアレイではなくワイヤレス送信器(即ち、電磁センサアレイ)として具体化されている実施形態では、磁気源309を整形外科手術手技の実施に先立って患者の骨から取り出してセンサアレイ54の動作に対する磁気的な干渉を回避するのがよい。変形例として、磁気源309が整形外科手術手技の実施中患者の骨に結合されたままである場合、骨を任意の時点でかつ手技中必要なほど頻繁に登録するのがよい。
【0143】
次に、プロセスステップ414において、整形外科手術手技を行うのがよい。関連の骨の解剖学的構造の画像を用いて整形外科手術手技を行い、これら画像は、骨の解剖学的構造に結合されたナビゲーションセンサアレイから受け取った視覚データに基づく位置および向きで表示装置306上に表示され、ナビゲーションセンサアレイに関する相対的な向きおよび位置は、磁気センサアレイ308,500から受け取った位置データに基づいて突き止められ、骨の解剖学的構造の生成された画像は、この解剖学的構造に結合された磁気源309の位置の指標を有している。外科医は、システム300を用いて図1〜図17に示すと共に図1〜図17を参照して上述したCAOSシステム10とほぼ同じ仕方で整形外科手術プロセスをナビゲートして進むのがよい。例えば、骨の解剖学的構造に関するナビゲーションは、骨の解剖学的構造に結合された反射センサアレイ、例えば、図3の脛骨アレイ60とほぼ同じ反射センサアレイを用いることによって容易になりうる。しかしながら、患者の骨の解剖学的構造を登録するこのアルゴリズム400は、図6に示すと共に図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ106に完全にまたは部分的に取って代わることができることは理解されるべきである。
【0144】
次に図35を参照すると、別の実施形態において、コンピュータ支援手術システムを用いて患者の骨を登録する磁気センサ装置600が、支持フレーム602と、第1の磁気センサアレイ604と、第2の磁気センサアレイ606とを有している。装置600は、反射センサアレイ630を更に有し、この反射センサアレイは、磁気センサアレイ308の反射センサアレイ336とほぼ同じである。反射センサアレイ630は、多数個の反射要素632を有し、この反射センサアレイは、装置600の相対位置を突き止めるためにコントローラ302によって用いられる。磁気センサアレイ604は、アーム部分610および検出ヘッド部分612を有している。これと同様に、磁気センサアレイ606は、アーム部分614および検出ヘッド部分616を有している。磁気センサアレイ604,606は、各々、カプラ608を介して支持フレーム602に可動的に結合されている。カプラ608により磁気センサアレイ604,606を支持フレーム602回りに旋回させることができる。
【0145】
加うるに、磁気センサアレイ604,606を支持フレーム602に対して並進させることができる。例えば、磁気センサアレイ604のヘッド部分612を長手方向軸線618に沿って支持フレーム602から遠ざけたりこれに近付けたりすることができる。これと同様に、磁気センサアレイ606のヘッド部分616を長手方向軸線620に沿って支持フレーム602から遠ざけたりこれに近付けたりすることができる。磁気センサアレイ604,606を支持フレーム602に対して旋回させると共に(あるいは)並進させることにより、検出ヘッド部分612,616の各々を患者の骨に結合された別々の磁石によって生じる磁界中に位置決めすることができる。例えば、装置600を用いると、検出ヘッド612,616を図35に示すように患者の脚622の脛骨および大腿骨内に埋め込まれた磁石によって生じる磁界中に位置決めすることができる。したがって、装置600を用いると、患者の単一の骨または別々の骨の中に植え込まれた多くの磁石450として具体化された磁気源、例えば磁気源309の磁界を検出することができる。他の実施形態では、装置600は、任意個数の磁石により生じた磁界を測定できるように、各々が支持フレームに固定された追加の磁気センサアレイを含んでよい。
【0146】
磁気センサアレイ604,606は各々、磁気センサアレイ604,606の検出ヘッド部分612,616内に設けられたセンサ回路650を有する。図36に示すように、各センサ回路650は、磁気センサ配列651を有する。磁気センサ配列651は、1つまたは2つ以上の磁気センサ652を有する。各センサ回路650は、相互接続部656を介して磁気センサ652に電気的に結合された処理回路654、相互接続部660を介して処理回路654に電気的に結合された送信器658、相互接続部664を介して処理回路654に電気的に結合された角度センサ662、および相互接続部668を介して処理回路654に電気的に結合された距離センサ666を更に有する。相互接続部656、660,664,668は、処理回路654、センサ652、送信器658、角度センサ662、および距離センサ666の間の電気的接続をもたらすことができる任意タイプの相互接続部、例えば電線、ケーブル、PCBトレース等として具体化できる。
【0147】
センサ回路328と同様、センサ回路650に含まれている磁気センサ652の個数は、例えば用いられる磁気センサのタイプ、特定の用途および(または)磁気センサアレイ604,606の形態のような判断基準で決まる場合がある。例えば、センサ回路650は、センサ回路650が磁気源の磁界を三次元で検出しまたは測定できるように任意の数または形態の一次元磁気センサ、二次元磁気センサおよび(または)三次元磁気センサを含むのがよい。
【0148】
加うるに、磁気センサ652は、磁気源により生じた磁界を検出しまたは測定できる任意タイプの磁気センサとして具体化できる。例えば、磁気センサ652は、超伝導量子干渉素子(SQUID)型磁気センサ、異方性磁気抵抗(AMR)型磁気センサ、巨大磁気抵抗(GMR)型磁気センサ、ホール効果型磁気センサまたは磁気源の三次元磁界を検出しまたは測定できる任意の他のタイプの磁気センサとして具体化できる。特定の一実施形態では、磁気センサは、スイス国チューリッヒ所在のゼニズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(SENIS GmbH)から市販されているX-H3X-xx_E3C-25HX-2.5-0.2T Three Axis Magnetic Field Transducersとして具体化される。磁気センサ652は、磁気源の三次元磁界を定める多数のデータ値(例えば、電圧レベル)を生じさせるよう構成されている。これらデータ値は、相互接続部656を介して処理回路654に送られる。
【0149】
幾つかの実施形態では、各センサ回路650の磁気センサ配列651は、磁気センサ配列348と実質的に同様である。例えば、磁気センサ配列651は、図20に示すと共に図20を参照して上述した磁気センサ350およびセンサボード370と同様に、センサボードに固定された17個の磁気センサ652を有するのがよい。
【0150】
処理回路654は、磁気センサ652から受け取ったデータ値に基づいて磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置を突き止めるよう構成された電気装置および回路の集成体として具体化されたものであるのがよい。例えば、処理回路654は、任意個数のプロセッサ、マイクロコントローラ、ディジタル信号プロセッサおよび(または)他の電子装置および回路を含むのがよい。加うるに、処理回路654は、ソフトウェア/ファームウェアコード、データ値およびアルゴリズムを格納する1つまたは2つ以上の記憶装置を有するのがよい。
【0151】
処理回路654は、磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309(例えば、磁石450)の位置を表す位置データを求めるよう構成されている。そのようにするため、処理回路654は、磁気源309の5つの自由度または6つの自由度の値を求めるのがよい。位置データは、磁気源309の相対位置(すなわち、場所および向き)を突き止めるためにコントローラ302によって使用できる係数値または他のデータとして具体化されたものであるのがよい。処理回路654は、通信リンク326を介して位置データをコントローラ302に送るよう相互接続部660を介して送信器658を制御する。
【0152】
角度センサ662および距離センサ666は、磁気センサアレイ604,606の運動を測定し、かかる測定値をそれぞれ相互接続部664,668を介して処理回路654に送るよう構成されている。例えば、角度センサ662は、垂直基準軸線670と磁気センサアレイ604,606がそれぞれなす角度672,674を測定する。このようにすると、角度センサ662は、磁気センサアレイ604,606が、基準軸線670から旋回した角度距離の量を測定する。これと同様に、距離センサ666は、軸線618,620に沿うそれぞれの磁気センサアレイ612,616の並進距離を測定する。すなわち、距離センサ666は、磁気センサアレイ604,606のヘッド部分612,616が基準点、例えばカプラ608から長手方向軸線618,620に沿って動いた直線距離の量を測定する。処理回路654は、角度センサ662および距離センサ666からそれぞれ角度データおよび距離データを受け取る。次に、処理回路654は、送信器658を用いてこのデータを磁気源の相対位置を表す位置データと共にコントローラ302に送る。したがって、図35および図36に示す例示の装置600は、各センサ回路650に設けられた送信器を有する。しかしながら、他の実施形態では、装置600は、全てのデータをコントローラ302に送る単一の送信器を有してもよい。かかる実施形態では、センサ回路650および磁気センサアレイ604,606は、各センサ回路650により求められた角度データ、距離データおよび位置データを伝送するよう互いに通信するよう構成されたものであるのがよい。
【0153】
幾つかの実施形態では、センサ回路650は、表示器680を更に有するのがよい。表示器680は、任意タイプの表示器として具体化でき、かかる表示器としては、視覚表示器、可聴表示器および(または)触覚表示器が挙げられる。表示器680は、相互接続部682を介して処理回路654に電気的に結合され、この相互接続部682は、相互接続部656,660,664,668とほぼ同じである。かかる実施形態では、処理回路654は、磁気センサアレイ604,606が磁気源の磁界中に位置決めされると、表示器680を作動させるよう構成されている。例えば、処理回路654は、磁気センサ652により検出された磁束密度をモニタし、この磁束密度が所定のしきい値に達しまたはこれを超えると、表示器680を作動させるよう構成されたものであるのがよい。このように、磁気センサアレイ604,606が磁気源(即ち、磁気源の一部を形成する磁石)の磁界中に位置決めされるまで、アレイ604,606を支持フレーム602に対して旋回させると共に並進させて、磁気センサアレイ604,606を位置決めしてよい。そのようにいったん位置決めすると、表示器680は、外科医にセンサアレイ604,606が正しく位置決めされたことを知らせるよう作動させられることになる。
【0154】
さらに、幾つかの実施形態では、センサ回路650は、登録ボタン684を有するのがよい。登録ボタン684を、このボタン684が装置600のユーザにより選択できるように、磁気センサアレイ604,606の外面に設けていてよい。ボタン684は、任意のタイプのボタン、例えば、押しボタン、トグルスイッチ、ソフトウェア実行タッチ画面ボタン等として具体化できる。登録ボタン684は、相互接続部686を介して処理回路654に電気的に結合され、この相互接続部686は、相互接続部656,660,664,668とほぼ同じであるのがよい。登録ボタン684の機能は、センサ回路328の登録ボタン364の機能と実質的に同一である。すなわち、登録ボタン684は、位置データおよび(または)磁気センサ652の測定値をコントローラ302に送るよう装置600のユーザ、例えば整形外科医によって選択できる。幾つかの実施形態では、単一の登録ボタン684を設け、磁気センサアレイ604,606の両方の位置データを互いに同時に送るよう整形外科医がこの単一の登録ボタンを選択できるのがよい。
【0155】
次に図37および図38を参照すると、アルゴリズム700が、CAOSシステム、例えばコントローラ302を用いて患者の1つまたは複数個の骨を登録するよう装置600とともに使用されてよい。アルゴリズム700は、装置600および2つの磁石450として具体化された磁気源309の使用と関連して以下に説明する。しかしながら、任意個数の磁石を備えた他の磁気源を用いてもよい。加うるに、アルゴリズム400のプロセスステップ402,404,406とほぼ同じ初期ステップは、説明を分かりやすくするためにアルゴリズム700から省かれている。しかしながら、かかるステップはアルゴリズム700にも使用できることは理解されるべきである。例えば、装置600の個々の磁気センサアレイ604,606は、環境磁界効果および(または)磁気センサ650のオフセット電圧を補償するよう較正されるのがよい。加うるに、磁気源309は、プロセスステップ404と関連して先に詳細に説明したように、アルゴリズム700の実行に先立って、患者の関連の骨の解剖学的構造に結合されまたはその骨の中に植え込まれる。さらに、磁気源309が結合された骨の画像をアルゴリズム700の実行に先立って生成する。そのようにするため、図25に示すと共に図25を参照して上述したアルゴリズム800を用いるのがよい。
【0156】
アルゴリズム700は、プロセスステップ702で始まり、このプロセスステップにおいて、装置600をコントローラ302で登録する。装置600を登録するため、反射センサアレイ630がカメラユニット304によって視認できるように、装置600をカメラユニット304の視界中に位置決めする。特定の一実施形態では、装置600は、手術室の天井もしくは壁または整形外科手術手技が行われる手術室の手術台に固定される。したがって、カメラユニット304は、装置600がカメラユニット304の視界に入るように位置決めされるのがよい。コントローラ302が装置600に結合された反射センサアレイ630により装置600を識別するよう適当な指令がコントローラ302に与えられる。すると、コントローラ302は、反射センサアレイ630を用いて装置600の相対位置を突き止めることができる。
【0157】
装置600をコントローラ302でいったん登録すると、プロセスステップ704において、第1の磁気センサアレイ604を位置決めする。磁気センサアレイ604を磁気センサアレイ604のセンサ回路650が磁気源309の一部を形成する第1の磁石450により生じる磁界中に配置されるように位置決めする。次に、プロセスステップ706において第2の磁気センサアレイ606を位置決めする。磁気センサアレイ604と同様、磁気センサアレイ606を磁気センサアレイ606のセンサ回路650が磁気源309の一部を形成する第2の磁石450により生じる磁界中に配置されるように位置決めする。アレイ604,606をフレーム602周りに動かすことにより(即ち、旋回させたり並進させたりすることにより)磁気センサアレイ604,606を位置決めするのがよい。図36と関連して上述したようにセンサ回路650の表示器680を用いることにより磁気センサアレイ604,606をそのように位置決めするのがよい。
【0158】
磁気センサアレイ604,606を図26に示すアルゴリズム820と関連した上述の磁気センサアレイ308の仕方と同様な仕方で位置決めするのがよい。すなわち、磁気センサアレイ604,606を各センサ回路650がそれぞれの磁石450の磁気モーメントと同一軸上に位置するように位置決めする。磁気センサアレイ308と関連して上述したように、検出ヘッド部分612,616の各々を磁気センサ配列651の中央磁気センサ652が各磁石450の磁気モーメントと実質的に同一軸上に位置するように位置決めするのがよい。そのようにするため、各センサ回路650は、中央磁気センサ652のX成分出力測定値およびY成分出力測定値をモニタし、アルゴリズム820のプロセスステップ822と関連して上記において詳細に説明したようにかかる測定値が最小値に達しまたはしきい値を下回ったかどうかに応じて正しい位置決めを判定するよう構成されているのがよい。変形例として、磁気センサアレイ308と関連して上述したように、センサ回路650は、個々の磁気センサ652のどれが磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるかまたは同一軸上の最も近くにあるかを判定し、それに応じて残りの磁気センサ652の磁界測定値を調節することにより磁石450に対するセンサ回路650の非アライメント状態に適合するよう構成されているのがよい。
【0159】
磁気センサアレイ604,606をいったん正しく位置決めすると、磁気センサアレイ604,606の位置をプロセスステップ708,710において突き止める。そのようにするため、プロセスステップ708において、センサ回路650の角度センサ662は、垂直基準軸線670と磁気センサアレイ604,606のなす角度672,674を測定する。加うるに、プロセスステップ710において、距離センサ666は、磁気センサアレイ604,606のそれぞれの検出ヘッド部分612,616は所定の基準点、例えばカプラ608からそれぞれの長手方向軸線618,620に沿って移動した直線距離を測定する。次に、角度データおよび距離データを角度センサ662および距離センサ666からそれぞれ処理回路654に送る。
【0160】
プロセスステップ711において、ナビゲーションセンサアレイを患者の関連の1つまたは複数個の骨に結合する。ナビゲーションセンサアレイは、図2に示すと共に図2を参照して上述したセンサアレイ54とほぼ同じである。センサアレイ54と同様、ナビゲーションセンサアレイは、反射センサアレイ336,514とほぼ同じ反射センサアレイであってよく、あるいは、電磁または高周波(RF)センサアレイであってよく、例えばワイヤレス送信器として具体化できる。ともかく、ナビゲーションセンサアレイは、ナビゲーションセンサアレイがカメラユニット304の視野内に位置するように患者の関連の骨の解剖学的構造に結合されている。コントローラ302は、ナビゲーションセンサアレイを利用して骨の解剖学的構造がプロセスステップ712と関連して以下に説明するようにコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301によりいったん登録されると、骨の解剖学的構造の動きを割り出すようになっている。プロセスステップ711がプロセスステップ710の直後のものとして図37に示されているが、ナビゲーションセンサアレイをプロセスステップ712において骨の解剖学的構造の登録に先立つ任意の時点で患者の関連の骨に結合してもよいことは理解されるべきである。
【0161】
磁気センサアレイ604,606の位置を突き止めた後、磁気源が結合されている患者の骨または骨の解剖学的構造をプロセスステップ712においてコントローラ302で登録する。そのようにするため、各磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置をまず最初に突き止める。磁気センサアレイ604,606(即ち、センサ回路650)は、図27に示すと共に図27と関連して上述した磁気源の位置を突き止めるアルゴリズム830を実行するのがよい。幾つかの実施形態において、アルゴリズム830は、磁気センサアレイ604,606によってのみ実行される。しかしながら、他の実施形態では、磁気センサアレイ604,606は、それぞれの磁石450の磁界を測定し、かかる測定値をコントローラ302に送るためにのみ構成されたものであってもよい。かかる実施形態では、アルゴリズム800のプロセスステップ834〜842は、磁気センサアレイ604,606から測定値を受け取った後にコントローラ302によって実行される。
【0162】
磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置をいったん突き止めると、その位置を表す位置データをコントローラ302に送る。加うるに、磁気センサアレイ604,606の角変位を表す角度データおよび磁気センサアレイ604,606の直線変位を表す距離データを通信リンク326を介してコントローラ302に送る。
【0163】
受け取ったデータに応答して、コントローラ302は、患者の関連の骨の解剖学的構造の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、図38に示すようなアルゴリズム720を実行するのがよい。図28に示すと共に図28と関連して上述したアルゴリズム420と同様、アルゴリズム720は、例えば記憶装置316に格納されたソフトウェアまたはファームウェアとして具体化されているのがよい。アルゴリズム720は、プロセスステップ722で始まり、このプロセスステップにおいて、コントローラ302は、通信リンク326を介して位置データを受け取ると共に磁気センサ604,606の各々から角度データおよび距離データを受け取る。上述したように、位置データは、磁気センサアレイ604,606のそれぞれに対する磁気源309(例えば、磁石450)の位置を表している。例示の実施形態では、位置データは、磁気源309、およびかくして磁気源309が結合されている骨の解剖学的構造の5つの自由度(即ち、X座標値、Y座標値、Z座標値、θ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値)を定める係数値として具体化される。しかしながら、他の実施形態では、磁気源309および骨の解剖学的構造の場所および向きを定める位置データの他のタイプを用いてもよい。データが磁気センサアレイ604,606からいったん受け取られると、コントローラ302は、位置データ、角度データおよび距離データを記憶装置316に格納するのがよい。
【0164】
プロセスステップ724において、コントローラ302は、装置600の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304からの画像を受け取る。画像中の反射センサアレイ630の位置を分析することにより、コントローラ302は、基準点、例えばカメラ304および(または)コントローラ302に対する磁気センサ装置600の位置を突き止める。
【0165】
次に、プロセスステップ726において、コントローラ302は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する磁気源309の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置を表す位置データ、垂直基準軸線670からの磁気センサアレイ604,606の角変位を表す角度データ、基準点、例えばカプラ608からの磁気センサアレイ604,606の直線変位を表す距離データ、およびプロセスステップ424で突き止めた装置600の位置を用いる。即ち、コントローラ302がコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系内での装置600の位置を突き止めているので、コントローラ302は、適当なアルゴリズム、例えばベクトル追加アルゴリズムを用いて角度データおよび距離データに基づき同一の座標系中の磁気センサアレイ604,606の位置を突き止めることができる。これと同様に、磁気センサアレイ604,606がアレイ604,606それ自体に対する磁気源309の位置を突き止めているので、コントローラ302は、適当なアルゴリズム(例えば、ベクトル追加アルゴリズム)を用いて座標系内の磁気センサアレイ604,606の位置データと磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置データを組み合わせることによって、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系中における磁気源309の位置(即ち、CAOSシステム301に対する位置)を突き止めることができる。
【0166】
次に、プロセスステップ728において、コントローラ302は、既に生成された骨の解剖学的構造の3次元画像を検索して取り出す。そのようにするため、コントローラ302は、データベース318および(または)遠隔データベース320から画像を検索して取り出すことができる。画像を任意適当な判断基準に基づいて検索して取り出すことができる。例えば、一実施形態では、画像は、患者の識別データに基づいて検索して取り出される。かかる実施形態では、患者の識別データを整形外科手術手技の実施に先立ってコントローラに提供するのがよい。コントローラは、任意個数の生成された画像をも検索して取り出すことができる。生成された画像は、磁気源309(例えば、2つの磁石450)の指標または画像および骨の解剖学的構造に対するその位置を含む。
【0167】
プロセスステップ730において、コントローラ302は、プロセスステップ726において突き止められた磁気源309の位置に基づく場所および向き、ならびにプロセスステップ728において検索して取り出された骨の解剖学的構造の画像に基づく表面輪郭を有する骨の解剖学的構造の図式的描画像を作成する。しかしながら、磁気源309の5つの自由度のみを突き止めてコントローラ302に送っているので、コントローラ302は、磁気源309の6番目の自由度を突き止めなければならない。幾つかの実施形態では、6番目の自由度は、コントローラ302によって既に突き止められまたは知られている。例えば、磁石450が互いに対して所定の角度をなして関連の骨の中に植え込まれる実施形態では、かかる所定の角度を第6番目の自由度としてコントローラ302に提供するのがよい。変形例として、関連の骨の解剖学的構造および磁気源309の3次元画像が図25と関連して上述したアルゴリズム800を用いて求められる実施形態では、磁石450のセントロイド相互間の並進ベクトルの3つの成分および2つの磁石450相互間の空間関係を定める2つの角度回転度を含む1×5行列をプロセスステップ810において決定しておくのがよい。しかしながら、行列がたとえ先に突き止められていなくても、コントローラ302は、プロセスステップ750においてその行列を突き止めるよう構成されているのがよい。そのようにするため、コントローラ302は、図28に示すと共に図28を参照して上述したアルゴリズム850を実行するのがよい。
【0168】
磁気源309の6つの自由度をいったん求めると、プロセスステップ750において、骨の解剖学的構造の描画像を、磁気源309の6つの自由度およびアルゴリズム800のプロセスステップ808において求められた磁気源と骨の解剖学的構造との間の位置関係を表すデータに基づいて生成することができる。すなわち、磁気源309の6つの自由度が既知でありかつ骨の解剖学的構造と磁気源309との間の位置関係が既知なので、骨の解剖学的構造の6つの自由度を例えば単純なベクトル追加により求めることができる。通信リンク312を用いて描画像を表示装置306で外科医またはCAOSシステム300の他のユーザに表示するのがよい。
【0169】
図37のアルゴリズム700に戻ってこれを参照すると、骨の解剖学的構造をプロセスステップ712において登録した後、プロセスステップ714において磁気源309を患者の骨の解剖学的構造から取り外すのがよい。そのようにするため、磁気センサアレイ604,606を用いて磁気源309を形成する個々の磁石450の場所を突き止めるのがよい。例えば、磁気センサアレイ604,606を磁気センサアレイ604,606の表示器680が作動されるまで患者の皮膚上を横切って動かす、かかる作動により、磁気センサアレイ604,606が磁石450のそれぞれの磁界の中に位置していることが分かる。次に、適当な手術手技を用いて個々の磁石450を取り出すのがよい。他の実施形態、例えば、センサアレイ54が反射センサアレイではなく、ワイヤレス送信器(即ち、電磁センサアレイ)として具体化されている実施形態では、磁気源309を整形外科手術手技の実施に先立って患者の骨から取り出してセンサアレイ54の動作に対する磁気的な干渉を回避するのがよい。しかしながら、この場合もまた、磁気源309が整形外科手術手技の実施中患者の骨に結合されたままである場合、骨を任意の時点でかつ手技中必要なほど頻繁に登録するのがよい。
【0170】
プロセスステップ716において、整形外科手術手技を実施する。アルゴリズム720のプロセスステップ73で生成されていて、磁気センサアレイ604,606から受け取った位置データ、角度データおよび距離データに基づく位置および向きで表示装置306上に表示された関連の骨の解剖学的構造の画像、ならびに骨の解剖学的構造に結合された磁気源の位置を表す指標を有する骨の解剖学的構造の生成画像を用いて整形外科手術手技を実施する。外科医は、システム300を用いて図1〜図17に示すと共に図1〜図17を参照して上述したCAOSシステム10とほぼ同じ仕方で整形外科手術プロセスをナビゲートして進むのがよい。例えば、骨の解剖学的構造に関するナビゲーションは、骨の解剖学的構造に結合された反射センサアレイ、例えば、図3の脛骨アレイ60とほぼ同じ反射センサアレイを用いることによって容易になりうる。しかしながら、患者の骨の解剖学的構造を登録するこのアルゴリズム700は、図6に示すと共に図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ106に完全にまたは部分的に取って代わることができることは理解されるべきである。
【0171】
開示内容を図面に示すと共に上記説明において詳細に説明したが、かかる図面の記載および説明は、性質上例示であって本発明を限定するものではないと解釈されるべきであり、例示の実施形態を示すと共に説明したに過ぎず、本発明の精神に属する全ての変更および改造は、保護されることが望まれることは言うまでもない。
【0172】
本明細書において説明したシステムおよび方法の種々の特徴により得られる本発明の利点は複数ある。本発明のシステムおよび方法の変形実施形態は、説明した特徴の全てを有するわけではないが、かかる特徴の利点のうちの少なくとも幾つかの恩恵を受けることは注目されよう。当業者であれば、本発明の特徴のうちの1つまたは2つ以上を含み、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に属するシステムおよび方法の具体化例を容易に想到できる。
【0173】
〔実施の態様〕
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(A1)患者の骨に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
(i)磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界を測定するステップであって、前記磁界が、複数の三次元磁束密度で定められる、ステップと、
(ii)前記測定ステップに基づいて空間中の複数の点のところでの前記磁気源の前記三次元磁束密度の成分を表す第1のデータを生成するステップと、
(iii)前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
(iv)前記推定位置に基づいて前記磁気源の前記三次元磁束密度の前記成分の理論的値を表す第2のデータを計算するステップと、
(v)前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算するステップと、
(vi)前記ステップ(iii)〜ステップ(v)を繰り返し実施して前記第1のデータと前記第2のデータの差が所定の最小しきい値よりも小さくなるようにするステップと、を有する、方法。
(A2)実施態様(A1)記載の方法において、
前記測定ステップは、空間中の一点のところの前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分およびY成分を測定するステップと、前記X成分測定値および前記Y成分測定値が最小限に抑えられるよう前記磁気センサアレイを前記磁気源の長手方向軸線上に位置決めするステップと、を含む、方法。
(A3)実施態様(A1)記載の方法において、
第1のデータを生成する前記ステップは、空間中の前記複数の点のところにおける前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分値、Y成分値、およびZ成分値を表す電圧値を生じさせるステップを含む、方法。
(A4)実施態様(A1)記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの少なくとも1つの磁気センサの配設場所のX座標値、Y座標値、およびZ座標値を推定するステップを含む、方法。
(A5)実施態様(A4)記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源のX軸回りの回転量を表す第1の値および前記磁気源のY軸回りの回転量を表す第2の値を推定するステップを含む、方法。
(A6)実施態様(A1)記載の方法において、
前記推定ステップは、前記磁気源の少なくとも5つの自由度に関する値を推定するステップを含む、方法。
(A7)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、空間中の一点のところの前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分、Y成分、およびZ成分の理論的値を計算するステップを含む、方法。
(A8)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数3】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bxは、X成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する磁気センサのY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、方法。
(A9)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数4】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のY成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Byは、Y成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、方法。
【0174】
(A10)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数5】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のZ成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bzは、Z成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサのX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、方法。
(A11)実施態様(A1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算する前記ステップは、空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定X成分と推定X成分の差を計算するステップと、空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Y成分と推定Y成分の差を計算するステップと、空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Z成分と推定Z成分の差を計算するステップと、を含む、方法。
(A12)実施態様(A1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算する前記ステップは、前記第1のデータと前記第2のデータの差の二乗の合計を計算するステップを含む、方法。
(A13)実施態様(A12)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差の二乗の合計を計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数6】
を用いて前記第1のデータと前記第2のデータの前記差の二乗の前記合計を計算するステップを含み、上式において、
Fは、加重和であり、
nは、測定される磁界強度成分の数であり、
wiは、i番目の測定成分に関する重み係数であり、
Bthは、i番目の測定成分の理論的値であり、
Bmeは、i番目の測定成分の測定値である、方法。
(A14)実施態様(A1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算する前記ステップは、前記差の二乗の加重二乗根の和を計算するステップを含む、方法。
(A15)実施態様(A12)記載の方法において、
前記磁気源の位置を突き止める前記ステップは、小域的最適化アルゴリズムを用いて前記推定位置を調節することにより前記第1のデータと前記第2のデータの前記差の二乗の前記和の最小値を求めるステップを含む、方法。
(A16)実施態様(A12)記載の方法において、
前記磁気源の位置を突き止める前記ステップは、大域的最適化アルゴリズムを用いて前記推定位置を調節することにより前記第1のデータと前記第2のデータの前記差の二乗の前記和の最小値を求めるステップを含む、方法。
【0175】
(A17)患者の骨に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
空間中の複数の点における前記磁気源により生じた磁界の三次元磁束密度成分を測定するステップと、
前記磁気源の推定位置に基づいて空間中の前記複数の点の各々における理論的三次元磁束密度の成分を計算するステップと、
前記測定した三次元磁束密度成分と前記理論的三次元磁束密度成分の差の二乗の和を計算するステップと、
前記和が所定の最小しきい値よりも小さくなるように、前記和を最適化するステップと、を有する、方法。
(A18)実施態様(A17)記載の方法において、
前記和を最適化する前記ステップは、前記推定位置を調節することにより前記和の局所最小値を求めるステップと、前記局所最小値に基づいて前記磁気源の前記位置を突き止めるステップと、を含む、方法。
(A19)実施態様(A17)記載の方法において、
前記磁気源の前記位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源の少なくとも5つの自由度の値を求めるステップを含む、方法。
【0176】
(A20)磁気センサアレイに対する磁気源の位置を突き止める方法において、
空間中の多数の点において前記磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界の三次元磁束密度成分を測定するステップと、
前記磁気センサアレイに対する前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
空間中の前記複数の点の各々における前記推定位置に基づいて理論的な三次元磁束密度成分を計算するステップと、
前記推定位置を調節することにより、前記和が所定のしきい値よりも小さくなるまで、空間中の各点における前記測定された三次元磁束密度成分とこれらに対応した前記理論的三次元磁束密度成分の差の二乗の和を減少させるステップと、を有する、方法。
【0177】
(B1)固定構造物に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
(i)磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界を測定するステップであって、前記磁界が、複数の三次元磁束密度で定められる、ステップと、
(ii)前記測定ステップに基づいて空間中の複数の点のところでの前記磁気源の前記三次元磁束密度の成分を表す第1のデータを生成するステップと、
(iii)前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
(iv)前記推定位置に基づいて前記磁気源の前記三次元磁束密度の前記成分の理論的値を表す第2のデータを計算するステップと、
(v)前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算するステップと、
(vi)前記ステップ(iii)〜ステップ(v)を繰り返し実施して前記第1のデータと前記第2のデータとの差が所定の最小しきい値よりも小さくなるようにするステップと、
を有する、方法。
(B2)実施態様(B1)記載の方法において、
前記測定ステップは、
空間中の一点のところの前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分およびY成分を測定するステップと、
前記X成分測定値および前記Y成分測定値が最小限に抑えられるよう前記磁気センサアレイを前記磁気源の長手方向軸線上に位置決めするステップと、
を含む、
方法。
(B3)実施態様(B1)記載の方法において、
第1のデータを生成する前記ステップは、空間中の前記複数の点のところにおける前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分値、Y成分値、およびZ成分値を表す電圧値を生じさせるステップを含む、方法。
(B4)実施態様(B1)記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの少なくとも1つの磁気センサの配設場所のX座標値、Y座標値、およびZ座標値を推定するステップを含む、方法。
(B5)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、空間中の一点のところの前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分、Y成分、およびZ成分の理論的値を計算するステップを含む、方法。
(B6)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数7】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bxは、X成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する磁気センサのY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
(B7)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数8】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のY成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Byは、Y成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
(B8)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数9】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のZ成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bzは、Z成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサのX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
(B9)実施態様(B1)記載の方法において、
第1のデータと第2のデータの差を計算する前記ステップは、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定X成分と推定X成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Y成分と推定Y成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Z成分と推定Z成分との差を計算するステップと、
を含む、
方法。
(B10)実施態様(B1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算する前記ステップは、前記第1のデータと前記第2のデータとの差の二乗の合計を計算するステップを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムの斜視図である。
【図2】図1のCAOSシステムの単純化された略図である。
【図3】骨ロケータツールの斜視図である。
【図4】図1のシステムに用いられる登録ツールの斜視図である。
【図5】図1のシステムに用いられる整形外科手術ツールの斜視図である。
【図6】図1のCAOSシステムにより利用されるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図7】図6のアルゴリズムの特定の一実施形態の単純化された流れ図である。
【図8】図1のシステムの作動中、外科医に表示される1つの画面像を示す図である。
【図9】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図10】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図11】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図12】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図13】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図14】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図15】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図16】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図17】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図18】磁気センサアレイを含む別のCAOSシステムの単純化された略図である。
【図19】図18の磁気センサアレイのセンサ回路の一実施形態の単純化された回路図である。
【図20】図19のセンサ回路の磁気センサ配列の一実施形態の平面図である。
【図21】図18の磁気センサアレイの別の実施形態の側面図である。
【図22】図18の磁気センサアレイの更に別の実施形態の側面図である。
【図23】磁気源の一実施形態の斜視図である。
【図24】CAOSシステムを用いて、骨を登録するアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図25】骨の三次元画像を生成するアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図26】磁気センサアレイを作動させるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図27】磁気源の位置を突き止めるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図28】患者の骨の解剖学的構造の位置を突き止めるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図29】2つまたは3つ以上の磁石の位置を関連させる並進および回転行列を突き止めるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図30】図18の磁気センサアレイに結合された試験装置の側面図である。
【図31】図23の磁気源に用いられる植え込み可能なカプセルの斜視図である。
【図32】患者の骨の中に植え込まれた図31の植え込み可能なカプセルの断面側面図である。
【図33】図31のカプセルを植え込むためのジグ組立体の斜視図である。
【図34】磁気センサアレイの別の実施形態の側面図である。
【図35】磁気センサ装置の一実施形態の側面図である。
【図36】図27の磁気センサ装置のセンサ回路の一実施形態の単純化された回路図である。
【図37】図27の磁気センサ装置を用いるCAOSシステムにより骨を登録するアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図38】図29のアルゴリズムのサブアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【開示の内容】
【0001】
〔関連米国特許出願の相互参照〕
ジェイソン・ティー・シャーマン等(Jason T. Sherman et al.)により2005年12月30日に出願された米国実用特許出願(願番は未付与、発明の名称はコンピュータ支援整形外科手術システムを用いて患者の骨を登録するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR REGISTERING A BONE OF A PATIENT WITH A COMPUTER ASSISTED ORTHOPAEDIC SURGERY SYSYTEM))、ジェイソン・ティー・シャーマン等により2005年12月30日に出願された米国実用特許出願(願番は未付与、発明の名称はコンピュータ支援整形外科手術システムを用いて患者の骨を登録する装置および方法(APPARATUS METHOD FOR REGISTERING A BONE OF A PATIENT WITH A COMPUTER ASSISTED ORTHOPAEDIC SURGERY SYSYTEM))およびジェイソン・ティー・シャーマン等により2005年12月30日に出願された米国実用特許出願(願番は未付与、発明の名称は磁気センサアレイ(MAGNETIC SEMSOR ARRAY))を参照されたい。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、一般に整形外科手技の実施において用いられるコンピュータ支援手術システムに関する。
【0003】
〔背景〕
低侵襲整形外科手技がますます普及している。かかる手術手技は一般に、外科医が手術野を見る能力を制限するので、外科医は、外科手術を助けるコンピュータシステム、例えば、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムをますます利用している。
【0004】
コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムは、例えば実施中の手術手技の手術ステップを示す画像および患者の関連の骨の描画像を表示することにより整形外科手術手技の実施にあたり外科医を助ける。コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムが骨の描画像を表示できる前に、まず最初に骨をコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに登録しなければならない。骨をコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに登録することにより、このシステムは、骨の関連の輪郭、存在場所(以下、単に「場所」ともいう)および向きを判定し、かかるパラメータに応じて描画像を表示することができる。典型的なコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムでは、プローブで骨の多数の場所に触れることにより骨を登録する。これに応答して、システムは、記録した場所に基づいて骨の輪郭を含む骨の描画像を推定する。典型的な登録プロセスは、整形外科手術手技中に行われるので、典型的な登録プロセスは追加の手術時間を生じさせ、患者が感染の恐れにさらされる時間を長くする場合がある。さらに、特定の骨格領域、例えば股関節の骨の解剖学的構造の現行の登録は、基準(fiducial)マーカおよび解剖学的平面の設定の困難さに起因して課題となっている。
【0005】
〔概要〕
一態様によれば、コンピュータ支援整形外科手術システムを作動させる方法は、患者の骨に結合された磁気源の位置を突き止めるステップを含む。磁気源の位置を磁気源により生じた磁界に基づいて突き止めることができる。磁気源の位置を突き止めるステップは、磁界を検出するステップを含むのがよい。例えば、磁気源の位置を突き止めるステップは、三次元磁束密度またはその一部を検出するステップを含むのがよい。磁気源は、1つまたは2つ以上の磁石を含むのがよい。例えば、磁気源は、円筒形双極磁石を含むのがよい。磁気源を骨の中に植え込むことにより磁気源を骨に結合するのがよい。ジグを用いて磁気源を植え込むのがよい。磁気源が2つまたは3つ以上の磁石を含む実施形態では、磁石を互いに対して任意の向きに植え込むのがよい。例えば、磁石を互いに垂直に植え込むのがよい。加うるに、磁石を個々の磁界が互いに実質的に干渉し合わないように互いに距離を離して植え込むのがよい。例えば、磁気センサまたは磁気センサの集合体、例えば磁気センサアレイの最大検出距離の2倍以上離して、磁石を植え込むのがよい。
【0006】
磁気センサアレイを1つまたは2つ以上の磁気センサとして具体化することができる。磁気センサは、空間中の一点(即ち、磁気源の存在場所)における磁気源の磁界の三次元磁束密度の任意の成分または全ての成分のスカラー成分または大きさを測定するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサを磁気源の磁界中に位置決めするためのハウジングを更に有するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサに電気的に結合され、磁気センサアレイに対する磁気源の位置を表す位置データを求めるよう構成された処理回路を更に有するのがよい。例えば、処理回路は、磁気源の6つの自由度を表す多くの係数を求めるよう構成されてよい。そのようにするため、磁気センサアレイは、磁気源の位置の初期推定を定めることができる。初期推定に基づいて、磁気センサアレイは、磁気源の理論的磁束密度の1つまたは2つ以上の成分を求めることができる。また、磁気センサアレイは、磁束密度の理論的値と測定値の誤差の和を求めることができる。また、磁気センサアレイは、大域的または小域的最適化アルゴリズムを利用して磁気源の位置に関する新たな推定を求めることにより誤差の和を最適化するよう構成されてもよい。
【0007】
磁気センサアレイは、処理回路に電気的に結合されていて、位置データを例えばCAOSシステムのコントローラまたはコンピュータに伝送する送信器、例えばワイヤレス送信器を更に有するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサにより検出された磁束密度が所定のしきい値を超えている場合、処理回路により作動される表示器、例えば視覚表示器を更に有するのがよい。磁気センサアレイは、磁気センサアレイが例えばワイヤレス送信器を介して感覚データをコントローラに伝送するようにするためにユーザにより選択可能な登録ボタンを更に有するのがよい。また、反射センサアレイを磁気センサアレイに結合するのがよい。反射センサアレイとコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムのカメラの協働により、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに対する磁気センサアレイの位置を突き止めることができる。
【0008】
磁気センサアレイの(例えば、磁気センサの)出力信号は、環境の磁界、例えば地球の磁界および(または)磁気センサアレイに含まれる磁気センサのオフセットバイアス(offset biases)を考慮に入れるよう調節されるのがよい。さらに、既知の磁界強度または磁束密度および磁気センサアレイからの既知の距離の試験用磁気源を有する試験用装置を用いることにより登録プロセスに先立ってまたは保守プロセスの一部として磁気センサの測定値を検証するのがよい。
【0009】
この方法は、磁界に基づいて磁気源の位置を表す位置データを求めるステップを更に有するのがよい。位置データを求めるステップは、磁気センサアレイに対する磁気源の位置を突き止めるステップおよび(または)コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムに対する磁気センサアレイの位置を突き止めるステップを含むのがよい。位置データを突き止めるステップは、磁気源の6つの自由度(即ち、3つの直交空間座標および各直交軸線回りの3つの回転角度)の値を求めるステップを更に含むのがよい。
【0010】
この方法は、骨の画像をデータベースまたは他のストレージ場所から検索して取り出すステップを更に有するのがよい。画像は、磁気源の相対位置(例えば、磁石の位置)の指標(indicia)を含む骨のあらかじめ作成された三次元画像の任意の形式であってよい。この方法は、骨と磁気源との間の位置関係、例えばベクトルを求めるステップを含むのがよい。この方法は、検索して取り出した画像、位置データおよび骨と磁気源との間の位置関係に基づいて、骨の図式的に描画された画像を作成するステップを更に含むのがよい。骨の図式的に描画された像は、画像データに基づいて定められた表面輪郭を含むのがよい。図式的に描画された像を位置データに基づいて場所および向きに関して表示するのがよい。この方法は、作成ステップ後、磁気センサアレイにより磁気源の存在場所を突き止めるステップを更に含むのがよい。次に、磁気源の存在場所を磁気センサアレイにより突き止めた後、磁気源を骨から取り外すのがよい。
【0011】
別の態様によれば、コンピュータ支援手術システムは、表示装置と、表示装置に電気的に結合されたプロセッサと、プロセッサに電気的に結合された記憶装置とを有する。記憶装置には、複数の命令がストレージされているのがよく、これら命令がプロセッサにより実行されると、これら命令により、プロセッサは、患者の骨に結合された磁気源の位置を表す位置データを受け取ることができる。位置データを磁気センサアレイから受け取ることができる(例えば、ワイヤレスで受け取ることができる)。また、複数の命令により、プロセッサは、基準点、例えばシステムのカメラまたはコントローラに対する磁気センサアレイの位置を突き止めることができる。さらに、複数の命令により、プロセッサは、患者の骨の画像をデータベースから検索して取り出し、検索して取り出した画像および突き止めステップに基づいて、骨の図式的に描画された像を場所および向きに関して表示装置上に表示することができる。
【0012】
別の態様によれば、CAOSシステムを用いて骨を登録する方法が、磁気源を患者の骨に結合するステップを有するのがよい。上述したように、磁気源は、1つまたは2つ以上の磁石、例えば円筒形の双極磁石を含むのがよい。磁気源を骨の中に植え込むことにより磁気源を骨に結合するのがよい。磁気源が2つまたは3つ以上の磁石を含む実施形態では、ジグを用いて磁石を骨に結合するのがよい。磁石を互いに対して所定の角度をなして骨に結合するのがよい。変形例として、2つまたは3つ以上の磁石は、互いに対する位置(場所および向き)が固定されるように、支持部材を用いて互いに結合されてよい。加うるに、磁石は、各磁石の個々の磁界が磁気源を形成する他の磁石の磁界と実質的に干渉し合わないように、互いに距離を置いて結合されてよい。例えば、幾つかの実施形態では、磁石を互いに磁気源に関する所望の最大検出距離の少なくとも2倍の距離離して結合する。
【0013】
この方法は、結合ステップ後に骨の画像を生成するステップを更に有するのがよい。画像は、骨に対する磁気源の位置の指標を含むのがよい。この方法は、磁気源により生じた磁界に基づいて磁気源の位置を突き止めるステップを更に有するのがよい。この方法は、検索して取り出した画像、位置データおよび骨と磁気源との間の位置関係に基づいて骨の図式的に描画された像を作成するステップを更に有するのがよい。骨の図式的に描画された像は、画像データに基づいて求められた表面輪郭を含んでよい。骨の図式的に描画された像を位置データに基づいて場所および向きに関して表示するのがよい。この方法は、作成ステップ後、磁気センサアレイにより磁気源の存在場所を突き止めるステップを更に含むのがよい。次に、骨をコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムを用いて登録した後、磁気源を骨から取り外すのがよい。
【0014】
さらに別の態様によれば、患者の骨をCAOSシステムを用いて登録する装置が、支持フレームと、支持フレームに結合された第1の磁気センサアレイと、支持フレームに結合された第2の磁気センサアレイとを有するのがよい。幾つかの実施形態では、この装置は、それよりも多くのまたは少ない磁気センサアレイを有してもよい。磁気センサアレイは各々、支持フレームに対して動くことができる。例えば、各磁気センサアレイをフレームに対して旋回させると共に(あるいは)並進させることができる。各磁気センサアレイは、磁気源の磁界を検出し、磁気源の位置を表す位置データを求めるよう構成された回路を有する。この回路は、例えば、1つまたは2つ以上の磁気センサおよび処理回路を含むのがよい。この回路は、磁気センサアレイとあらかじめ定められた軸線のなす角度を求めるよう構成された角度センサを更に有するのがよい。この回路は、あらかじめ定められた基準点に対する磁気センサアレイの並進距離を求める距離センサを更に有するのがよい。この回路は、相対位置、求めた角度、および求めた距離をコントローラ、例えばCAOSシステムのコンピュータに伝送する送信器(例えば、ワイヤレス送信器)を更に有するのがよい。この回路は、装置のユーザに磁気センサアレイが磁気源の磁界中に位置していることを知らせる表示器、例えば視覚表示器を更に有するのがよい。
【0015】
さらに別の態様によれば、患者の骨の解剖学的構造をCAOSシステムを用いて登録する方法が、第1の磁気センサアレイを患者の骨の解剖学的構造に結合された第1の磁気源の磁界中に位置決めするステップと、第2の磁気センサアレイを骨の解剖学的構造に結合された第2の磁気源の磁界中に位置決めするステップとを有するのがよい。磁気源を各々1つまたは2つ以上の磁石として具体化するのがよい。磁気センサアレイを共通の軸線回りに旋回させると共に(あるいは)磁気センサアレイをそれぞれの長手方向軸線に沿って動かすことにより磁気センサアレイを位置決めするのがよい。この方法は、第1の磁気センサアレイに対する第1の磁気源の位置を表す第1の位置データおよび第2の磁気センサアレイに対する第2の磁気源の位置を表す第2の位置データを求めるステップを更に有するのがよい。位置データを求めるステップは、三次元磁束密度のスカラー成分のうち任意の1つまたは2つ以上を求めるステップおよび(または)磁気源の6つの自由度を求めるステップを含むのがよい。
【0016】
この方法は、第1および第2の磁気センサアレイに結合された支持フレームの位置を表す位置データを求めるステップを更に有するのがよい。この方法は、基準点に対する第1の磁気センサアレイの第1の並進距離、および基準点に対する第2の磁気センサアレイの第2の並進距離を求めるステップを更に有するのがよい。加うるに、この方法は、第1の磁気センサアレイと基準軸線のなす第1の角度、および第2の磁気センサアレイと基準軸線のなす第2の角度を求めるステップを更に有するのがよい。この方法は、第1の位置データ、第2の位置データ、第1の距離、第2の距離、第1の角度、および第2の角度をコントローラに伝送するステップを更に有するのがよい。この方法は、磁気源を患者の骨の解剖学的構造に結合するステップを更に有するのがよい。加うるに、この方法は、骨の解剖学的構造の画像を電子ファイルから検索して取り出すステップと、画像データ、位置データ、求めた距離、および求めた角度に基づいて骨の解剖学的構造の図式的に描画された像を作成するステップを更に有するのがよい。
【0017】
単独のまたは任意の組み合わせで特許性のある発明内容を構成することができる、本発明の上述の特徴および他の特徴は、以下の説明および添付の図面から明らかになる。
【0018】
詳細な説明において、添付の図面の各図を具体的に参照する。
【0019】
〔図面の詳細な説明〕
本発明の技術的思想は、種々の改造および変形形態で実施できるが、本発明の具体的な例示の実施形態が、図面に例示的に示されており、本明細書においてこれら例示の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の技術的思想を開示した特定の形態に限定しようとするものではなく、これとは逆に、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に属する全ての改造例、均等例および変形例を含むものである。
【0020】
図1を参照すると、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム10が、コンピュータ12と、カメラユニット14とを有している。CAOSシステム10は、任意のタイプのコンピュータ支援整形外科手術システムとして具体化されたものであってよい。一例を挙げると、CAOSシステム10は、インディアナ州ワーソー所在のデピュイ・オルトパエディックス・インコーポレイテッド(DePuy Orthopaedics, Inc.)から市販されているCi(登録商標)システムとして具体化されている。カメラユニット14は、移動式カメラユニット16または固定式カメラユニット18として具体化されたものであるのがよい。幾つかの実施形態では、システム10は、両方のタイプのカメラユニット16,18を有するのがよい。移動式カメラユニット16は、ベース22に結合されたスタンド20を有する。ベース22は、移動式カメラユニット16を病院の部屋23の中で再位置決めできるようにするための多数個の車輪21を有するのがよい。移動式カメラユニット16は、カメラヘッド24を有する。カメラヘッド24は、2つのカメラ26を有する。カメラヘッド24は、カメラ26の視野を調節できるようスタンド20に対して再位置決め可能であるのがよい。固定式カメラユニット18は、移動式カメラユニット16とほぼ同じであり、ベース28と、カメラヘッド30と、カメラヘッド30をベース28に結合するアーム32とを有する。幾つかの実施形態では、他の周辺機器、例えばディスプレイスクリーン、ライト(灯)等もまたベース28に結合するのがよい。カメラヘッド30は、2つのカメラ34を有する。固定式カメラユニット18を図1に例示的に示すように天井に結合してもよくまたは病院の部屋の壁に結合してもよい。カメラユニット16のカメラヘッド24と同様、カメラヘッド30は、カメラ34の視野を調節できるようアーム32に対して再位置決め可能であるのがよい。カメラユニット14,16,18は、コンピュータ12に通信可能に結合されている。コンピュータ12を多数個の車輪38を備えたカート36に取り付けまたはこれとは違ったやり方でカート36に結合してコンピュータ12を整形外科手術手技の実施中、外科医の近くに位置決めできるようにするのがよい。
【0021】
次に図2を参照すると、コンピュータ12は、一例として、プロセッサ40および記憶装置42を有する。プロセッサ40は、任意形式のプロセッサとして具体化されたものであってよく、かかるプロセッサとしては、例えば、ディスクリート処理回路(例えば、論理装置の集合体)、汎用集積回路および(または)特定用途向け集積回路(即ち、ASIC)が挙げられる。記憶装置42は、任意形式の記憶装置として具体化されたものであってよく、かかる記憶装置は、1つまたは2つ以上のメモリタイプ、例えば、ランダムアクセスメモリ(即ち、RAM)および(または)読み取り専用記憶装置(即ち、ROM)を含むのがよい。加うるに、コンピュータ12は、コンピュータにおいて典型的に見られ、本明細書において説明する機能を実施する他の装置および回路、例えば、ハードドライブ、入力/出力回路等を有するのがよい。
【0022】
コンピュータ12は、通信リンク46を介して表示装置44に通信可能に結合されている。図2にコンピュータ12とは別個のものとして示されているが、表示装置44は、幾つかの実施形態ではコンピュータ12の一部を形成してよい。加うるに、幾つかの実施形態では、表示装置44または追加の表示装置は、コンピュータ12から離して位置決めされてもよい。例えば、表示装置44を整形外科手術手技が行われるべき手術室の天井または壁に結合してもよい。追加的にまたは代替的に、表示装置44は、仮想ディスプレイ、例えば、ホログラフィックディスプレイ、体取り付け型ディスプレイ、例えば、ヘッドアップディスプレイ等として具体化されたものであってよい。コンピュータ12はまた、データ入力をコンピュータ12に提供する多数の入力装置、例えばキーボードおよび(または)マウスに結合されてよい。しかしながら、例示の実施形態では、表示装置44は、整形外科医50から入力を受け取ることができるタッチ画面(タッチスクリーン)型表示装置である。即ち、外科医50は、例えば、表示装置44の画面に単に触れることにより多数の画面上の選択肢から選択を行って入力データをコンピュータ12に提供することができる。
【0023】
コンピュータ12はまた、通信リンク48を介してカメラユニット16(および(または)18)に通信可能に結合されている。一例を挙げると、通信リンク48は、ワイヤード(wired)通信リンクであるが、幾つかの実施形態では、ワイヤレス通信リンクとして具体化されるのがよい。通信リンク48がワイヤレス信号経路である実施形態では、カメラユニット16およびコンピュータ12は、コンピュータ12およびカメラユニット16がデータ(例えば、画像データ)を送ったり受け取ったりできるようワイヤレストランシーバを有する。図2には移動式カメラユニット16だけが示されているが、理解されるべきこととして、代替的に固定式カメラユニット18を用いてもよく、あるいは、固定式カメラユニット18を移動式カメラユニット16に加えて用いてもよい。
【0024】
CAOSシステム10は、多数のセンサまたはセンサアレイ54を更に有するのがよく、これらセンサまたはセンサアレイを患者56の関連の骨および(または)整形外科手術ツール58に結合するのがよい。例えば、図3に示すように、脛骨用アレイ60は、センサアレイ62および骨クランプ64を有する。例示の骨クランプ64は、シャンツ(Schantz)のピン68を用いて患者56の脛骨66に結合するよう構成されているが、他形式の骨クランプを用いてもよい。センサアレイ62は、延長アーム70を介して骨クランプ64に結合されている。センサアレイ62は、フレーム72および3つの反射要素またはセンサ74を有する。反射要素74は、例示の実施形態では球体として具体化されているが、他の実施形態では他の幾何学的形状を有してもよい。加うるに、他の実施形態では、4つ以上の反射要素を有するセンサアレイを用いてもよい。反射要素74は、あらかじめ定められた形態で位置決めされ、コンピュータ12は、この形態に基づいて脛骨アレイ60の同一性を判定することができる。即ち、脛骨アレイ60が図2に示すようにカメラヘッド24の視野52内に位置決めされているとき、コンピュータ12は、カメラヘッド24から受け取った像に基づいて脛骨アレイ60の同一性を判定するよう構成されている。加うるに、反射要素74の相対位置に基づいて、コンピュータ12は、脛骨アレイ60の場所および向きを判定し、それに応じてアレイ60が結合されている脛骨66の場所および向きを判定するよう構成されている。
【0025】
センサアレイはまた、他の手術ツールに結合されるのがよい。例えば、図4に示すような登録ツール80を用いて図7を参照して以下に詳細に説明するように骨の点を登録する。登録ツール80は、ツール80の取っ手86に結合された3つの反射要素84を備えるセンサアレイ82を有する。登録ツール80は、骨の点を登録するために用いられるポインタエンド88を更に有する。反射要素84はまた、コンピュータ12が登録ツール80の同一性およびその相対存在場所(即ち、ポインタエンド88の存在場所)を判定することができる形態で位置決めされている。加うるに、センサアレイは、他の手術ツール、例えば、図5に示すように脛骨切除ジグ90に用いられることができる。ジグ90は、切除されるべき骨94の場所のところで脛骨94に結合された切除案内部分92を有する。ジグ90は、フレーム95を介して切除案内部分92に結合されたセンサアレイ96を有する。センサアレイ96は、コンピュータ12がジグ90の同一性およびその相対存在場所(例えば、脛骨94に対する場所)を判定することができる形態で位置決めされた3つの反射要素98を有する。
【0026】
CAOSシステム10は、例えば全膝関節置換術を含む任意形式の整形外科手術手技を助けるよう整形外科医50により使用されうる。そのようにするために、コンピュータ12および(または)表示装置44は、外科医50の視界内に位置決めされる。上述したように、コンピュータ12を移動式カート36に結合してかかる位置決めを容易にするのがよい。カメラユニット16(および(または)カメラユニット18)は、図2に示すように、カメラヘッド24の視野52が、整形外科手術手技が行われる患者56の部分を覆うように位置決めされている。
【0027】
整形外科手術手技の実施中、CAOSシステム10のコンピュータ12は、実施されている整形外科手術手技を形成する個々の手術手技ステップの像を表示するようプログラムされまたはこれとは違ったやり方で構成されている。像は、図式的に描画された像または図式的に強調された写真画像であるのがよい。例えば、画像は、患者の関連の解剖学的部分の三次元描画像を含むのがよい。外科医50は、コンピュータ12と対話して種々の手術ステップの像を連続した順序で表示させるのがよい。加うるに、外科医は、コンピュータ12と対話して手術ステップの先に表示された像を視認すると共に像を選択的に視認し、コンピュータ12に命令を与えて提案された手術ステップまたは手技の解剖学的結果を描画させまたは他の手術関連機能を実行することができる。例えば、外科医は、互いに異なる骨切除手技の結果的に生じた骨構造の描画像を視認することができる。このように、CAOSシステム10は、外科医50が整形外科手術手技を行いながら従うべき手術「ウォークスルー(walk-through)」を提供する。
【0028】
幾つかの実施形態では、外科医50はまた、コンピュータ12と対話してシステム10の種々の装置を制御することができる。例えば、外科医50は、表示装置44のユーザ選択または設定値を制御するようシステム10と対話することができる。さらに、コンピュータ12は、応答するよう外科医50に促すことができる。例えば、コンピュータ12は、外科医が現在の手術ステップを完了したかどうか、外科医が他の画像を見たいと思っているかどうか等を問い合わせるよう外科医に促すことができる。
【0029】
また、カメラユニット16とコンピュータ12は、整形外科手術手技中、外科医にナビゲーションデータを提供するよう協働する。即ち、コンピュータ12は、通信リンク48を介してカメラヘッド24から受け取ったデータ(例えば、画像)に基づいて関連の骨および手術ツール58の場所を突き止めて表示する。そのようにするため、コンピュータ12は、カメラ26の各々から受け取った画像データを比較し、センサアレイ54,62,82,96の相対場所および向きに基づいて骨およびツール58の場所および向きを判定する。外科医50に表示されたナビゲーションデータは、連続的に更新される。このように、CAOSシステム10は、外科医50が整形外科手術手技を行いながらモニタするための関連の骨および手術ツールの場所の視覚フィードバックを提供する。
【0030】
次に図6を参照すると、外科医が整形外科手術手技を行うのを助けるアルゴリズム100が、コンピュータ12によって実行される。アルゴリズム100は、CAOSシステム10を初期化するプロセスステップ102で始まる。プロセスステップ102中、CAOSシステム10の設定項目、優先項目および較正項目を定めて実行する。例えば、プロセスステップ102において、表示装置44の映像設定項目を選択し、コンピュータ12により表示される言語を選択し、そして表示装置44のタッチ画面を較正するのがよい。
【0031】
プロセスステップ104において、整形外科手術手技の選択項目および優先項目が外科医によって選択される。かかる選択項目としては、実施されようとする整形外科手術手技のタイプ(例えば、人工膝関節形成術)、用いられる整形外科インプラントのタイプ(例えば、製造業者、モデル、サイズ、固定形式等)、手術の順序(例えば、まず最初に脛骨または大腿骨)等が挙げられる。プロセスステップ104において、整形外科手術手技をいったんセットアップすると、プロセスステップ106において、患者の骨を登録する。そのようにするため、センサアレイ、例えば図3に示す脛骨アレイ60を患者の関連の骨(即ち、整形外科手術手技に関係する骨)に結合する。加うるに、登録ツール80を用いてかかる骨の輪郭を登録する。そのようにするため、ツール80のポインタエンド88を登録されるべき骨の種々の領域に触れさせる。登録に応答して、コンピュータ12は、骨の描画像を表示し、骨の場所および向きが、その骨に結合されたセンサアレイに基づいて突き止められ、骨の輪郭が登録された点に基づいて求められる。骨の点の選択だけが登録されるので、コンピュータ12は、ツール80で登録されなかった骨の残りの領域を計算して描画する。
【0032】
プロセスステップ106において関連の骨をいったん登録すると、プロセスステップ108において、コンピュータ12は、カメラユニット16,18と協働して、整形外科手術手技および関連したナビゲーションデータ(例えば、手術ツールの存在場所)の手術ステップの画像を表示する。そのようにするため、プロセスステップ108は、多くのサブステップ110を有し、これらサブステップにおいて、各手術手技ステップを関連したナビゲーションデータと共に順番に外科医50に表示する。外科医50に表示される特定のサブステップ110は、プロセスステップ104において外科医50により行われた選択で決まる場合がある。例えば、外科医50が脛骨を最初とする特定の手技を行うことを決定した場合、サブステップ110が脛骨を最初にする順番で外科医50に提供される。
【0033】
次に図7を参照すると、特定の一実施形態では、外科医が人工膝関節形成術を行うのを助けるアルゴリズム120をコンピュータ12で実行するのがよい。アルゴリズム120は、CAOSシステム10を初期化するプロセスステップ122を有する。プロセスステップ122は、図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ102とほぼ同じである。プロセスステップ122において、CAOSシステム10の優先項目を選択して較正項目を設定する。そのようにするため、コンピュータ12は、図8に示すように表示装置44を介してユーザ初期化インターフェイス160を外科医50に表示する。外科医50は、インターフェイス160と対話してCAOSシステム10の種々の初期化オプションを選択するのがよい。例えば、外科医50は、ネットワーク設定項目ボタン162を選択してシステム10のネットワーク設定項目を変更し、映像設定項目ボタン164を選択してシステム10の映像設定項目を変更し、言語ボタン166を選択してシステム10により用いられる言語を変更すると共に(あるいは)較正ボタン168を選択して表示装置44のタッチ画面の較正項目を変更することができる。外科医50は、例えば表示装置44のタッチ画面の適当な領域に触れ、入力装置、例えばマウスを操作して所望の画面上のボタン等を選択することによりボタンを選択することができる。
【0034】
初期化プロセス中、追加の画像および(または)画面ディスプレイを外科医50に表示することができる。例えば、外科医50がボタン162を選択した場合、ネットワーク設定項目インターフェイスを表示装置44上に表示して外科医50が種々の値、関連項目(connection)または他のオプションを選択してネットワーク設定項目を変更することができる。CAOSシステム10をいったん初期化すると、外科医50は、クローズ(閉じる)ボタン170を選択することによりユーザ初期化インターフェイス160を閉じることができ、アルゴリズム120は、プロセスステップ124に進む。
【0035】
プロセスステップ124において、整形外科手術手技の選択項目が、外科医50により選択される。プロセスステップ124は、図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ104とほぼ同じである。例えば、プロセスステップ104で行われる選択項目としては、行われようとする整形外科手術手技のタイプ、用いられる整形外科インプラントのタイプ、および手術の順序等が挙げられるが、これらには限定されない。そのようにするため、多くの手技優先項目選択画面を、表示装置44を介して外科医50に表示するのがよい。例えば、図9に示すように、ナビゲーション順序選択画面180を外科医50に表示するのがよい。外科医50は、画面180と対話して実施されている整形外科手術手技(即ち、例示の実施形態では人工膝関節形成術)のナビゲーション(即ち、手術)順序を選択することができる。例えば、外科医50は、ボタン182を選択してコントローラ12に命令を出して患者56の脛骨が最初に手術されるようにし、ボタン184を選択してコントローラ12に命令を出して大腿骨がまず最初に手術されるようにし、またはボタン186を選択して例えば使用されている整形外科インプラントのタイプに基づいて標準化ナビゲーション順序を選択することができる。外科医50はまた、選択画面中をナビゲーションすることができ、バック(戻る)ボタン188により先に表示された整形外科手術手技セットアップ画面を再検討し、またはネクスト(次へ)ボタン190により次の整形外科手術手技セットアップ画面に進むことができる。外科医50が実施されるべき整形外科手術手技の適当なナビゲーション順序および(または)他の優先項目および設定項目をいったん選択すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ126に進む。
【0036】
プロセスステップ126において、患者56の関連の骨を登録する。プロセスステップ126は、アルゴリズム100の登録プロセスステップ106とほぼ同じである。プロセスステップ126は、多くのサブステップ128〜136を有し、これらサブステップにおいて、整形外科手術手技に関係している患者56の骨を登録する。プロセスステップ128において、関連の骨をまず初期登録する。すなわち、図示のアルゴリズム120では、患者56の脛骨および大腿骨をまず初期登録する。そのようにするため、脛骨アレイ、例えば図3に図示すると共にこれを参照して上述した脛骨アレイ60および大腿骨アレイをそれぞれの骨に結合する。脛骨アレイおよび大腿骨アレイを脛骨アレイ60と関連して上述した仕方で結合する。カメラユニット16のカメラヘッド24を、脛骨アレイおよび大腿骨アレイがカメラヘッド24の視野52内に位置するように調節する。これらアレイをいったん結合してカメラヘッド24を正しく位置決めすると、患者56の脛骨および大腿骨が初期登録される。
【0037】
そのようにするため、コントローラ12は、図10に示すように表示装置44を介してユーザインターフェイス200を外科医50に表示する。インターフェイス200は、得幾つかのナビゲーションペイン202,204,206、手術ステップペイン208、およびツールバー210を有する。ナビゲーションデータをナビゲーションペイン202,204,206において外科医50に表示する。コンピュータ12は、ペイン202,204,206の各々において骨および(または)手術ツール58の互いに異なる図または像を表示する。例えば、患者56の寛骨および大腿骨の前面像が、ナビゲーションペイン202中に表示され、患者56の骨の矢状像が、ナビゲーションペイン204中に表示され、患者56の骨の斜位像が、ナビゲーションペイン206中に表示されている。
【0038】
コンピュータ12は、ペイン208中に手術手技ステップを表示する。例えば、図10では、コンピュータ12は、患者56の大腿骨が初期登録されるよう患者56の脚が円運動をなして動き回されるように要求している。これに応答して、コンピュータ12は、骨に結合されたセンサアレイ54の運動に基づいて(即ち、カメラヘッド24から受け取ったセンサアレイ54の画像データに基づいて)患者56の大腿骨(例えば、大腿骨頭)の基礎となる場所および向きを突き止める。図10では、大腿骨のみが初期登録されるものとして示されているが、脛骨もまた初期登録され、他の画像およびディスプレイ画面がかかる初期登録中、外科医50に表示されることは理解されるべきである。
【0039】
外科医50は、「トライアゲイン」(再度試してください)ボタン212を選択することにより、必要に応じて何回でも骨を初期登録しようとすることができる。関連の骨をいったん初期登録すると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより登録ステップ126の次の手術手技ステップに進むのがよい。変形例として、外科医50は、ボタン214を選択し、初期登録ステップを実行しない状態で次の手術手技ステップに進むことにより(例えば、患者56の大腿骨を初期登録しないことにより)初期登録ステップのうちの1つまたは2つ以上をスキップしてもよい。外科医50はまた、バックボタン216を選択することにより先の手術手技ステップ(例えば、脛骨の初期登録)に戻ることも可能である。このように、外科医50は、ボタン214,216により手術セットアップ、登録および手技ステップをナビゲーションすることができる。
【0040】
ツールバー210は、整形外科手術手技の実施中、外科医50により選択可能な多数の個々のボタンを含む。例えば、ツールバー210は、コンピュータ12により実行されているアプリケーションソフトウェアプログラムに関する情報、例えばバージョンの番号、「ホットライン」電話番号およびウェブサイトリンクを検索して取り出し、これらを表示するよう選択可能な情報ボタン218を含む。ツールバー210は、ズームボタン220,222を更に含んでいる。ズームボタン220は、ペイン202,204,206中に表示された描画像を拡大(クローズアップ)するよう外科医50により選択でき、ズームボタン222は、縮小のために使用できる。靱帯平衡ボタン224を選択すると、靱帯平衡手技に進むことができ、この靱帯平衡手技についてはプロセスステップ152と関連して以下に詳細に説明する。3Dモデルボタン226を選択すると、描画骨(例えば、大腿骨または脛骨)の表示と、描画骨の登録点のみの表示をナビゲーションペイン202,204,206中に交互に行うことができる。インプラント情報ボタン228を選択すると、整形外科手術手技の最後の方のステップ(例えば、以下に説明するプロセスステップ140,146)の実施中に選択された整形外科インプラントに関する情報を表示することができる。かかる情報としては、例えば、整形外科インプラントの製造業者、タイプおよびサイズが挙げられる。外科医50が、手技中任意の時点で登録確認ボタン230を選択すると、例えば骨に結合されたセンサアレイ54がこれらの固定された位置から偶発的に外れまたは違ったやり方で移動した場合、骨の描画図式モデルを確認することができる。また、外科医50が、整形外科手術手技の実施中任意の時点で画面コピーボタン232を選択すると、その時点で外科医50に表示されている画像の画面コピーを記録してストレージすることができる。画面ショット50をコンピュータ12のストレージ装置、例えばハードドライブに記録することができる。クローズボタン234を選択すると、現在のナビゲーションおよび手術手技ウォークスルーを終了させることができる。このボタン234を選択した後、記録された整形外科手術手技に関連した情報、例えば画面コピーや他のデータが、後で検索して再検討できるようコンピュータ12のストレージ装置にストレージされる。
【0041】
ツールバー210は、状態(ステータス)ディスプレイ236を更に含む。状態ディスプレイ236は、システム10が骨および(または)手術ツールと結合されたセンサアレイ54を「見る」ことができまたはこれと違ったやり方で検出できるかどうかを示す互いに異なる色の光を表示する。状態ディスプレイ236は、カメラユニット16、センサアレイ54および手術ツール58の位置決めをモニタし、必要ならば調節できるように、カメラヘッド24の視野52の図式描画を示すヘルプ画面を見るために選択可能なボタンでもある。
【0042】
患者56の脛骨および大腿骨の初期登録がいったん完了すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ130に進み、このプロセスステップにおいて、患者56の近位脛骨の輪郭を登録する。そのようにするため、外科医50は、登録ツール、例えば図4に示されていて、図4と関連して上述した登録ツール80を用いる。図11に示すように、外科医50は、手術ステップペイン208で指図されているように登録ツール80のポインタエンド88を脛骨の表面上に置くことにより近位脛骨を登録する。ポインタエンド88を脛骨の表面全体にわたってドラッグすると共に(あるいは)脛骨と接触状態に配置すると、脛骨の輪郭点が定期的にコンピュータにより記録される。外科医50は、コンピュータ12が脛骨の関連部分の比較的正確な描画モデルを定めて表示できるに足るほどの近位脛骨上の点を登録する。登録されないが、脛骨の所定のモデルに基づいてコンピュータ12により描画された脛骨の部分が、脛骨の登録部分とは異なる色で外科医50に表示される。このように、外科医50は、脛骨の登録をモニタでき、表示されたモデルの精度を高めるために脛骨の全ての関連部分が登録されるようにすることができる。
【0043】
近位脛骨の関連部分の全てがプロセスステップ130においていったん登録されると、プロセスステップ132において脛骨モデルを計算して確認する。そのようにするため、外科医50は、手術ステップペイン208に提供されている指図に従う。図12に示すように、登録ツール80のポインタエンド88を脛骨の登録部分に触れさせ、ペイン208中に表示された距離データをモニタすることにより近位脛骨を確認する。距離データに基づき、外科医50は、現在の脛骨モデルが整形外科手術手技に十分正確であるかどうかを判定することができる。もしそうでなければ、外科医50は、近位脛骨の登録を再び行うのがよく、または、バックボタン216を選択することにより、追加の登録点を登録データに補充するのがよい。患者56の脛骨のモデルが十分正確であるといったん判定されると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより先へ進むことができる。
【0044】
次に、プロセスステップ134において患者56の遠位大腿骨を登録する。プロセスステップ134における大腿骨の登録は、プロセスステップ130における脛骨の登録とほぼ同じである。すなわち、登録ツール80を用いて遠位大腿骨上のデータ点を登録する。大腿骨の登録がいったん完了すると、プロセスステップ136において大腿骨モデルを計算して確認する。プロセスステップ136における大腿骨の確認は、プロセスステップ132における脛骨の確認とほぼ同じである。登録ツール80を用いて大腿骨の所定の部分に触れると、大腿骨モデルの精度を求めることができる。手術ステップペイン208中に表示された距離データに基づき、外科医50は、大腿骨を登録することができ、またはバックボタン216を選択することにより追加の登録データ点をモデルに追加することができる。大腿骨モデルをいったん確認すると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより整形外科手術手技を進めることができる。
【0045】
プロセスステップ126において関連の骨(即ち、近位脛骨および遠位大腿骨)をいったん登録すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ138に進み、このプロセスステップにおいて、コンピュータ12は、整形外科手術手技の個々の手術ステップの画像および関連のナビゲーションデータを外科医50に表示する。そのようにするため、プロセスステップ138は、多数のサブステップ140〜154を有している。プロセスステップ140において、脛骨インプラントに関する計画立案を実施する。代表的には、プロセスステップ124において脛骨インプラントの選択を行うが、かかる選択を、選択したインプラントが近位脛骨にどれほどよくフィットするかどうかに応じてプロセスステップ140において変更することができる。図13に示すように、脛骨インプラントの図式描画モデルをナビゲーションペイン202,204,206において脛骨の描画モデル上に重ね合わせた状態で表示する。多数のインプラント調節ボタンの選択により脛骨インプラントの位置決め具合を調節することができる。例えば、ボタン240により整形外科インプラントの内反/外反回転運動を調節でき、ボタン242により整形外科インプラントの上方/下方または近位側/遠位側並進運動を調節でき、ボタン244により整形外科インプラントの勾配を調節でき、ボタン246により整形外科インプラントの前方/後方並進運動を調節でき、ボタン248により整形外科インプラントの内方/外方回転(internal/external rotation)運動を調節でき、ボタン250により整形外科インプラントの内方/外方並進(medial/lateral translational)運動を調節できる。整形外科インプラントの位置決め具合に関連したデータは、手術ステップパネル208に表示される。インプラントの幾つかの属性、例えば整形外科インプラントのサイズおよび厚さをボタンパネル252,254の選択によりそれぞれ調節できる。加うるに、インプラントの元の場所および向きをリセットボタン256の選択によりリセットできる。種々のインプラント調節ボタンおよびインプラント属性ボタンパネル252,254を用いることにより、外科医50は、脛骨の計画された切除平面258を決定できるよう脛骨インプラントを位置決めすると共に方向付けする。外科医50は、計画された切除平面および脛骨インプラントの場所/向きの視覚描画状態を見ることができるので、外科医50は、外科医50が切除された近位脛骨に対する脛骨インプラントの最終装着具合に満足するまで切除平面および(または)脛骨インプラントの場所および向きを変更することができる。いったん満足すると、外科医50は、ネクストボタン、例えばネクストボタン214を選択することにより次の手術ステップに進むことができる。
【0046】
プロセスステップ142において、近位脛骨の切除が計画される。そのようにするため、切除ジグ、例えば図5に示すと共に図5を参照して上述した脛骨切除ジグ90を近位脛骨の所望の切除場所の近くで患者56の脛骨に結合する。図14に示すように、コンピュータ12は、現在のステップで用いられるべき正確な手術ツールを手術ステップペイン208中に表示する。これに応答して、コンピュータ12は、実際の切除平面260を外科医50にナビゲーションペイン202,204,206に表示する。図示のように、ステップ140で定められた計画済み切除平面258もまた表示される。すると、外科医50は、実際の切除平面260が計画された切除平面258と重なる、またはほぼ重なるように、患者56の脛骨に対するジグ90の結合具合を調節する。このように、外科医50は、脛骨の正確な切除が行われるようにジグ90を調節しながら実際の切除平面260を目で見てモニタすることができる。外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより次の手術ステップに進むのがよい。
【0047】
外科医50はプロセスステップ142において実際の切除平面260をいったん再検討して調節すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ144に進む。プロセスステップ144において、適当な切除ツールおよび患者56の脛骨に結合されたジグ90を用いて脛骨を切除する。近位脛骨を切除した後、コンピュータ12は、確認済み切除平面260を図15に示すように計画切除平面258に重ね合わせた状態で表示する。コンピュータ12はまた、手術ステップパネル208中に近位脛骨の切除に関連したデータを表示し、かかるデータは、実際の測定値、計画測定値および偏差測定値を含む。このように、外科医50は、脛骨の最終切除と計画切除を比較することができる。必要ならば、外科医50は、切除プロセスを繰り返し行って近位脛骨をさらに除去することができる。外科医50が脛骨の切除にいったん満足すると、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより次の手術ステップに進むのがよい。
【0048】
患者56の脛骨をいったん切除すると、プロセスステップ146〜150において関連の遠位大腿骨を切除する。プロセスステップ146において、大腿骨インプラントに関する計画を実施する。プロセスステップ146の大腿骨インプラントの計画立案は、プロセスステップ124において行われた脛骨インプラント計画とほぼ同じである。プロセスステップ146の間、外科医50は、遠位大腿骨の計画された切除平面を定めるように大腿骨インプラントを位置決めすると共に方向付け、外科医はまた、関連のインプラントパラメータ(例えば、サイズ、タイプ等)を選択するのがよい。外科医50は、計画切除平面および大腿骨インプラントの場所/向きの視覚的描画状態を見ることができるので、外科医50は、外科医50が切除された遠位大腿骨に対する大腿骨インプラントの最終装着具合に満足するまで計画切除平面および(または)大腿骨インプラントの場所および向きを変更することができる。
【0049】
大腿骨インプラントの計画をいったん完了すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ148に進む。プロセスステップ148において、患者56の遠位大腿骨の切除を計画する。プロセスステップ148の切除計画は、プロセスステップ142において行われた脛骨切除の計画とほぼ同じである。プロセスステップ148の際、大腿骨切除ジグを患者56の大腿骨に結合する。これに応答して、コンピュータ12は、実際の切除平面をプロセスステップ146において得た計画切除平面に重ね合わせた状態で表示する。大腿骨切除ジグを再位置決めすることにより、外科医50は、大腿骨の正確な切除が行われるように実際の切除平面を変更することができる。
【0050】
外科医50が大腿骨の実際の切除平面をいったん再検討して調節すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ150に進み、このプロセスステップにおいて、適当な切除ツールおよび大腿骨ジグを用いて遠位大腿骨を切除する。遠位大腿骨を切除した後、コンピュータ12は、確認済み切除平面をプロセスステップ146において定めた計画切除平面に重ね合わせた状態で表示する。このように、外科医50は、大腿骨の最終切除具合と計画切除具合を比較することができる。この場合もまた、必要ならば、外科医50は、切除プロセスを繰り返し実施して遠位大腿骨をさらに除去することができる。
【0051】
患者56の遠位大腿骨をいったん切除すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ152に進む。プロセスステップ152において、患者56の脛骨および大腿骨の靱帯平衡を行う。図7に脛骨および大腿骨の切除後に起こるものとして示されているが、靱帯平衡は、他の実施形態では任意の切除ステップのすぐ後に(例えば、脛骨を切除した後に)行ってもよい。プロセスステップ152において、整形外科インプラントトライアル(即ち、選択された整形外科インプラントに似た一時的整形外科インプラント)を患者56の大腿骨および脛骨の切除端相互間に挿入する。図16に示すように、コンピュータ12は、表示装置44を介して大腿骨および脛骨のアライメント(位置合わせ)データを外科医50に表示する。具体的に説明すると、コンピュータ12は、患者56の大腿骨および脛骨の前面像を前面像ペイン262中に表示し、大腿骨および脛骨の側面像を側面像ペイン264中に表示する。ペイン262,264は各々、大腿骨および脛骨のアライメントデータを表示する。追加のアライメントデータが、手術ステップペイン208中に表示される。アライメントデータを格納ボタン266の選択により格納するのがよい(例えば、コンピュータ20に含まれるデータストレージ装置に)。次に、アライメントデータを検索して取り出して再検討し、または後で別の手技に用いることができる。
【0052】
靱帯平衡を行って所定の関節力値での全体として矩形の伸展隙間および全体として矩形の屈曲隙間が患者56の近位脛骨と遠位大腿骨との間に作られるようにする。そのようにするため、靱帯バランサを用いて、患者56の脚が伸展状態にあるとき(即ち、患者56の脛骨が患者の大腿骨に対して約0°の角度をなして位置決めされているとき)および患者56の脚が屈曲状態にあるとき(即ち、患者56の脛骨が患者の大腿骨に対して約90°をなして位置決めされている)、内側関節力および外側関節力ならびに内側隙間距離および外側隙間距離を測定するのがよい。これら測定を行うために使用できる例示の靱帯バランサが、2005年3月31日に出願された米国特許出願第11/094,956号明細書に記載されており、この米国特許出願を参照して、その記載内容全体を本明細書の一部とする。伸展か屈曲かのいずれにおいても、内側隙間距離と外側隙間距離が所定の関節力値においてほぼ等しくない場合(即ち、全体として矩形の関節隙間を形成していない場合)、靱帯解離(即ち、靱帯の切断)を行って内側隙間距離および(または)外側隙間距離を等しくするのがよい。追加的にまたは代替的に、整形外科インプラントトライアルに代えて別のインプラントトライアルを用いてもよい。このようにして、外科医50は、患者56の脛骨および大腿骨の正確なアライメントを確保する。
【0053】
プロセスステップ152において任意の所望の靱帯平衡をいったん完了すると、アルゴリズム120は、プロセスステップ154に進み、このプロセスステップにおいて、整形外科インプラントの最終確認を行う。プロセスステップ154において、整形外科インプラントを患者56の遠位大腿骨および近位脛骨に結合し、大腿骨と脛骨のアライメントを屈曲および伸展状態で確認する。そのようにするため、コンピュータ12は、図17に示すように、表示装置44を介して大腿骨および脛骨の描画像およびアライメントデータを外科医50に表示する。手術ステップペイン208に指示されているように、外科医50は、全体的なアライメントを決定して再検討できるように、患者56の脚を屈曲および伸展状態に動かすよう指令される。患者56の大腿骨と脛骨が外科医50の満足が得られるほど整列されていない場合(即ち、屈曲および(または)伸展隙間が矩形でない場合)、外科医は、プロセスステップ152に関して上述したような追加の靱帯平衡を行うのがよい。外科医50が大腿骨および脛骨の最終アライメント(即ち、屈曲隙間および伸展隙間)をいったん確認すると、外科医50は、格納ボタン266を選択することにより最終アライメントデータを格納するのがよい。次に、外科医50は、ネクストボタン214を選択することにより整形外科手術手技を完了することができる。
【0054】
次に図18を参照すると、別の実施形態では、患者の骨または骨の解剖学的構造(即ち、1つまたは2つ以上の骨)を手術前に登録するシステム300が、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301と、磁気センサアレイ308と、1つまたは2つ以上の磁気源309とを有している。コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301は、コントローラ302と、カメラユニット304と、表示装置306とを有している。コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304に通信可能に結合されている。通信リンク310は、データ(即ち、画像データ)をカメラユニット304からコントローラ302に伝送できる通信リンクであればどのような形式のものであってもよい。例えば、通信リンク310は、ワイヤードまたはワイヤレス通信リンクであってよく、この通信リンクは、画像データを伝送する任意適当な通信技術および(または)プロトコルを使用できる。例示の実施形態では、カメラユニット304は、図1を参照して上述したシステム10のカメラユニット16とほぼ同じであってほぼ同じ仕方で動作する。例えば、カメラユニット304は、多数のカメラ(図示せず)を有し、かかるカメラユニットをコントローラ302と協働して用いるとカメラユニット16と関連して詳細に上述したように、カメラユニット304の視野内に位置決めされた多数のセンサアレイの場所および向きを突き止めることができる。センサアレイは、多数の反射要素を含むのがよく、これらセンサアレイを患者の骨および(または)整形外科手術手技中に用いられる種々の医療器具、例えばプローブ、ソーガイド(saw guides)、靱帯バランサ等に結合するのがよい。変形例として、幾つかの実施形態では、カメラユニット304に代えてワイヤレス受信器(これは、幾つかの実施形態ではコントローラ302に含まれてよい)を用いてもよく、あるいはこのカメラユニットにワイヤレス受信器を補充してもよく、センサアレイをワイヤレス送信器(例えば、電磁送信器)として具体化してもよい。加うるに、医療器具を「スマートな(smart)」医療器具、例えば、スマート手術器械、スマート手術トライアル、スマート手術インプラント等として具体化してもよい。かかる実施形態では、コントローラ302は、スマート医療器具から受け取ったワイヤレスデータ信号に基づいて医療器具の存在場所を突き止めるよう構成される。
【0055】
コントローラ302は、通信リンク312を介して表示装置306に通信可能に結合されている。図18にコントローラ302とは別体として示されているが、表示装置306は、幾つかの実施形態ではコントローラ302の一部をなしてもよい。加うるに、幾つかの実施形態では、表示装置306は、コントローラ302から離れたところに配置されるのがよい。例えば、表示装置306を整形外科手術手技が行われる手術室の天井または壁に結合するのがよい。追加的にまたは代替的に、表示装置306は、仮想ディスプレイ、例えば、ホログラフィックディスプレイ、体取り付け型ディスプレイ、例えば、ヘッドアップディスプレイ等として具体化されたものであってよい。コントローラ302はまた、多数の入力装置、例えばキーボードおよび(または)マウスに結合されてよい。しかしながら、例示の実施形態では、表示装置306は、CAOSシステム301を用いて整形外科医から入力を受け取ることができるタッチ画面型表示装置である。即ち、外科医は、例えば、表示装置306の画面に単に触れることにより多数の画面上の選択肢からの選択を行って入力データを表示装置306およびコントローラ302に提供することができる。
【0056】
コントローラ302は、任意のタイプのコントローラとして具体化でき、かかるコントローラとしては、コンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ、専用マイクロコントローラ装置、処理回路の集成体等が挙げられるが、これらには限定されない。コントローラ302は、プロセッサ314および記憶装置316を含む。プロセッサ314は、任意のタイプのプロセッサとして具体化でき、かかるプロセッサとしては、ディスクリート処理回路、ならびに(または)集積回路、例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラおよび(もしくは)特定用途向け集積回路(ASIC)が挙げられるが、これらには限定されない。記憶装置316は、任意個数の記憶装置および任意タイプのメモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)および(または)読み取り専用記憶装置(ROM)を含むのがよい。図18には示されていないが、コントローラ302は、コンピュータシステムで一般に見受けられる他の回路を更に有するのがよい。
【0057】
コントローラ302は、データベース318を更に含むのがよい。データベース318は、任意形式のデータベース、電子ライブラリおよび(または)ファイルストレージ場所として具体化できる。例えば、データベース318は、構造化データベースとしてまたは多数の別々のファイルおよび関連の「ルックアップ」テーブルを格納した電子ファイルフォルダまたはディレクトリとして具体化できる。さらに、データベース318を任意適当な装置に格納できる。例えば、データベース318を例えば記憶装置316の1組の記憶場所に格納できると共に(あるいは)別個のストレージ装置、例えばハードドライブ等に格納できる。
【0058】
追加的にまたは代替的に、コントローラ302を、通信リンク322を介して遠隔データベース320に結合してもよい。遠隔データベース320は、データベース318とほぼ同じであるのがよく、かかる遠隔データベースを、任意タイプのデータベース、電子ライブラリおよび(または)ファイルストレージ場所として具体化できる。遠隔データベース320をコントローラ302から離して配置してもよい。例えば、コントローラ302を整形外科手術室内に配置し、他方、遠隔データベース318が病院ネットワークの一部をなし、かかる遠隔データベースを整形外科手術室から離れた別個の部屋または建物内に設置してもよい。したがって、通信リンク322は、コントローラ302と遠隔データベース320との間におけるデータ転送を容易にできる任意タイプの通信リンクとして具体化できる。例えば、幾つかの実施形態では、通信リンク322は、ネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)および(または)グローバルな公衆にとってアクセス可能なネットワーク、例えばインターネット(Internet)の一部をなすのがよい。使用にあたり、データベース318,320は、図21を参照して詳細に説明するように患者の骨の画像を格納すると共に(あるいは)検索して取り出すためにコントローラ302によってアクセスされる。
【0059】
コントローラ302は、受信器またはトランシーバ324を更に含む。受信器324は、通信リンク326を介して磁気センサアレイ308と通信するようプロセッサ314によって用いられる。通信リンク326は、データを磁気センサアレイ308からコントローラ302に伝送できる任意タイプの通信リンクとして具体化できる。例えば、通信リンク326は、ワイヤードまたはワイヤレス通信リンクであってよく、かかる通信リンクは、データを伝送するための任意適当な通信技術および(または)プロトコルを用いるのがよい。したがって、受信器324は、コントローラ302と磁気センサアレイ308との間の通信を容易にすることができる任意タイプの受信器として具体化でき、かかる受信器としては、例えば、ワイヤードまたはワイヤレス受信器が挙げられる。
【0060】
図18の例示の磁気センサアレイ308は、検出ヘッド部分332およびヘッド部分332に結合された取っ手334を備えたハウジング330を有する。取っ手334は、磁気センサアレイ308を動かして位置決めするためにシステム300のユーザ、例えば整形外科医によって使用可能である。磁気センサアレイ308は、ヘッド部分332内に設けられたセンサ回路328を更に有する。図19〜図33を参照して以下に詳細に説明するように、センサ回路328は、磁気源309により生じた磁界を検出し、磁気センサアレイ308に対する磁気源309の位置を表すデータを求めて、かかるデータを通信リンク326および受信器324を介してコントローラ302に伝送するよう構成されている。本明細書で用いる「位置」という用語は、空間中のまたは所定の箇所または他の物体に対する或る物体(例えば、磁気源309)の場所および向きを定める6つの自由度のうち任意の1つまたは2つ以上を意味するものと理解されるべきである。
【0061】
幾つかの実施形態では、磁気センサアレイ308は、反射センサアレイ336を更に有するのがよい。反射センサアレイ336は、支持フレーム338および多数の反射センサ要素340を有する。反射センサアレイ336は、図2、図3、図4および図5を参照してそれぞれ上述したセンサアレイ54,62,82,96とほぼ同じである。反射センサ要素340は、あらかじめ定められた形態で位置決めされており、かかるあらかじめ定められた形態により、コントローラ302は、その形態に基づいて磁気センサアレイ308の同一性および位置(即ち、三次元場所および向き)を突き止めることができる。すなわち、磁気センサアレイ308がカメラユニット304の視野内に位置決めされる場合、コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304から受け取った画像に基づいて、カメラ304および(または)コントローラ302に対する磁気センサアレイ308の同一性および位置を突き止めるよう構成される。他の実施形態では、反射センサアレイ336に代えてワイヤレス送信器を用いてもよく、あるいは反射センサアレイにワイヤレス送信器を補充してもよい。かかる実施形態では、コントローラ302は、ワイヤレス受信器を含み、このコントローラは、ワイヤレス送信器から受け取った伝送データに基づいて磁気センサアレイの位置および同一性を突き止めるよう構成される。
【0062】
磁気源309の磁界を検出するため、センサ回路328は、図19に示すような磁気センサ配列348を有する。磁気センサ配列348は、1つまたは2つ以上の磁気センサ350を有する。センサ回路328は、処理回路352および送信器354を更に有する。磁気センサ350は、多数の相互接続部356を介して処理回路352に電気的に結合されている。処理回路352もまた、相互接続部358を介して送信器354に電気的に結合されている。相互接続部356,358は、処理回路352、センサ350および送信器354の間の電気的接続をもたらすことができる任意タイプの相互接続部、例えば電線、ケーブル、PCBトレース等として具体化できる。
【0063】
磁気センサ配列348を形成する磁気センサ350の個数は、用いられる磁気センサのタイプ、特定用途および(または)磁気センサアレイ308の形態のような基準で決まる場合がある。例えば、磁気センサ350は、磁気源309の三次元磁界を測定するよう構成されている。したがって、センサ回路328は、センサ回路328が磁気源309の磁界を三次元で検出しまたは測定できるように任意の数および形態の一次元磁気センサ、二次元磁気センサおよび(または)三次元磁気センサを含むのがよい。加うるに、磁気センサ350は、磁気源309により生じた磁界を検出しまたは測定できる任意タイプの磁気センサとして具体化できる。例えば、磁気センサ350は、超伝導量子干渉素子(SQUID)型磁気センサ、異方性磁気抵抗(AMR)型磁気センサ、巨大磁気抵抗(GMR)型磁気センサ、ホール効果型磁気センサ、または磁気源の三次元磁界を検出しまたは測定できる任意の他のタイプの磁気センサとして具体化できる。特定の一実施形態では、磁気センサは、スイス国チューリッヒ所在のゼニズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(SENIS GmbH)から市販されているX-H3X-xx_E3C-25HX-2.5-0.2T Three Axis Magnetic Field Transducersとして具体化される。とにかく、磁気センサ350は、各センサが配置される空間中の点でかつ各センサの能動型検出要素の向きで磁気源309の磁界の三次元磁束密度の成分(例えば、X成分、Y成分およびZ成分)の1つまたは2つ以上を定める多数のデータ値(例えば、電圧レベル)を生じさせるよう構成されている。これらデータ値は、相互接続部356を介して処理回路352に送られる。
【0064】
特定の一実施形態では、磁気センサ配列348は、図20に示されているように構成された17個の磁気センサ3501〜35017を有する。磁気センサ3501〜35017は、センサボード370に固定されている。センサボード370は、磁気センサ3501〜35017を所望の形態に支持できる非磁性材料で作られたものであるのがよい。例えば、図示の実施形態では、センサボード370は、FR4で作られる。磁気センサ3501〜35017をセンサボード370上に取り付けてもよくまたはこの中に設けてもよい。したがって、センサボード370は、センサ回路328の検出フェースを形成し、かかるセンサボードを磁気センサアレイ308のヘッド部分332内部に配置してよく(即ち、ハウジング材料の後に配置してもよく)またはセンサボード370が露出されるようにヘッド部分332に取り付けられてもよい。
【0065】
例示のセンサボード370は、約5.8センチメートルの幅372、約5.8センチメートルの長さ374および約1.25センチメートルの厚さ(図示せず)を有する。しかしながら、所望の個数の磁気センサ350の取り付けを可能にする他の寸法を有するセンサボードを用いてもよい。磁気センサ350は、所定の形態に従ってセンサボード370に取り付けられまたはこの中に設けられる。説明を分かりやすくするために、X軸376およびY軸378を有する格子目375が図20にセンサボード370上に記されている。例示の実施形態では、格子目375の各ユニットは、約5ミリメートルの測定単位を有する。磁気センサ3501〜35017は各々、一次元センサ、二次元センサまたは三次元センサであってよい。したがって、磁気センサ3501〜35017は各々、1つの能動型検出要素、2つの能動型検出要素または3つの能動型検出要素をそれぞれ有するのがよい。磁気センサ3501〜35017の各検出要素は、特定の磁気センサの位置(即ち、場所および向き)のところの磁気源の磁束密度の少なくとも1つの成分を測定できる。そのようにするため、各磁気センサ350は、図20において“+”として示された磁束密度が測定される敏感なフィールド点を有する。センサの本体を各向きが敏感なフィールド点の同一の存在場所を実現容易にする多くの向きで位置決めできることを理解した上で、磁気センサ3501〜35017の形態を各磁気センサの敏感なフィールド点に関して以下に説明する。
【0066】
図20に示すように、第1の磁気センサ3501は、格子目375上の中心点(0,0)のところに配置されている。第1の磁気センサ3501は、3つのチャネルを備えた三次元磁気センサであり、かかる第1の磁気センサは、このセンサ3501の位置のところの測定された磁束密度のX成分、Y成分およびZ成分を表すデータ値(即ち、電圧レベル)を生じさせる。4つの追加の三次元磁気センサ3502〜3505が、第1の磁気センサ3501の周りに位置決めされている。磁気センサ3502は、点(−15,15)のところに配置され、磁気センサ3503は、点(−15,15)のところに配置され、磁気センサ3504は、点(15,15)のところに配置され、磁気センサ3505は、点(15,−15)のところに配置され、格子目375の各目盛り線は、5単位(例えば、5ミリメートル)として定められている。
【0067】
磁気センサ配列348は、多数個の一次元磁気センサ3506〜35017を更に有する。磁気センサ3506〜35013は、センサ3506〜35013が測定された磁束密度(即ち、磁気源309により生じた磁束)のZ成分を測定するようセンサボード370上に配置されている。特に、磁気センサ3506は、点(0,−25)のところに配置され、磁気センサ3507は、点(−25,0)のところに配置され、磁気センサ3508は、点(0,25)のところに配置され、磁気センサ3509は、点(25,0)のところに配置され、磁気センサ35010は、点(−30,−30)のところに配置され、磁気センサ35011は、点(−30,30)のところに配置され、磁気センサ35012は、点(30,30)のところに配置され、磁気センサ35013は、点(30,−30)のところに配置されている。
【0068】
これとは逆に、一次元磁気センサ35014,35016は、一次元センサ35014,35016および35015,35017が、測定された磁界の磁束密度のY軸成分およびX軸成分の大きさをそれぞれ測定するようセンサボード370上に位置決めされている。具体的に説明すると、磁気センサ35014は、点(0,−45)のところに配置され、磁気センサ35015は、点(−45,0)のところに配置され、磁気センサ35016は、点(0,45)のところに配置され、磁気センサ35017は、点(45,0)のところに配置されている。図20に示すように、磁気センサ35014〜35017は、磁気センサ35014〜35017がセンサボード370の測定面に垂直に位置決めされるようにセンサボード370内に位置決めされまたはこの中に埋め込まれている。これとは逆に、磁気センサ3501〜35013は、センサボード370の測定面と同一平面上に位置した状態で、またはセンサボード370と実質的に平行な状態でセンサボード370上に位置決めされている。
【0069】
幾つかの実施形態では、磁気センサ350は、種々の磁界感度(即ち、測定された磁束密度の変化を検出する能力)および検出範囲を有するのがよい。例えば、幾つかの実施形態では、センサボード370の中央の場所寄りに配置された磁気センサ350は、磁界感度が低いが、検出範囲は、中央の場所から見て遠くに配置された磁気センサ350よりも広いものであるのがよい。図20の例示の実施形態では、センサボード370の中央寄りに配置された三次元磁気センサ3501〜3505は、一次元磁気センサ3506〜35017よりも低い磁界感度および広い検出範囲を有する。例えば、特定の一実施形態では、三次元磁気センサ3501〜3505は、約50μT(マイクロテスラ)の磁界感度および約20mT(ミリテスラ)の検出範囲を有し、他方、一次元磁気センサ3506〜35017は、約5μTの磁界感度および約2mTの検出範囲を有する。しかしながら、他の実施形態では、センサボード370上の所定の場所からの各磁気源350の特定の距離に基づいて磁界感度および(または)検出範囲の追加のレベルまたは差を設けてもよい。
【0070】
磁界センサ350の磁界感度および検出範囲のかかる差によって、磁気センサ配列348は、磁気センサアレイ308の位置決め上のばらつきの影響を受けにくくなる場合があると共に(あるいは)磁気センサアレイを飽和状態にならないようにして磁気源309に近接して位置決めした状態で磁気センサ350が磁気源309の磁束密度を測定できるようにすることにより磁束密度測定の精度を上げることができる。加うるに、磁気センサ配列348は、磁気センサアレイ308の位置決め上のばらつきの影響を受けにくくなる場合があると共に(あるいは)磁気センサアレイ308を磁気的「ノイズ」(即ち、磁気源309以外の源からの望ましくない磁界効果)の増大にもかかわらず磁気源309から見て遠くに位置決めした状態で磁気センサ350が磁気源309の磁界を測定できるようにすることにより磁束密度測定の精度を上げることができる。磁気センサアレイ308の測定精度を一段と上げるため、アレイ308の測定値を、図24に示すアルゴリズム400のプロセスステップ402と関連して以下に詳細説明するように確認するのがよい。
【0071】
磁気センサ配列348は、1つの例示の実施形態に過ぎず、他の実施形態では、センサ回路328のセンサ配列348は、磁気センサ350が測定された磁束密度の三次元X成分、Y成分およびZ成分を測定できる任意の形態で位置決めされた任意個数の磁気センサ350を有してもよいことは理解されるべきである。例えば、幾つかの実施形態では、磁気センサ配列348は、単一の三次元磁気センサを有するのがよい。変形例として、他の実施形態では、磁気センサ配列348は、種々の形態で配置された追加の磁気センサ350を有してもよい。磁気センサの数を増やすことにより、冗長度が大きくとられることは理解されるべきである。すなわち、測定された磁束密度の個々の成分の大きさは、互いに異なる場所に配置された多数個の磁気センサ350からの測定値を用いて決定される。例えば、図20に示す例示の磁気センサ配列348を参照すると、測定された磁束密度のZ成分の大きさは、磁気センサ3501〜35013からの測定値を用いて決定される。したがって、磁気源309により生じた三次元磁界の特性決定の精度を磁気センサ配列348中に追加の磁気センサを設けることにより向上させることができることは理解されるべきである。
【0072】
さらに、磁気センサ350は図18〜図20の例示の実施形態では処理回路352から離隔した別個の磁気センサとして具体化されているが、幾つかの実施形態では、磁気センサ350および処理回路352またはそれらの部分を単一の電子装置として具体化できる。例えば、磁気センサ350および処理回路352の部分を1つまたは2つ以上の相補形金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスとして具体化できる。磁気センサ350および処理回路352を半導体デバイス内に埋め込むことにより、センサ回路328の所要のスペースが減少する。加うるに、かかる半導体デバイスは、外部からの影響、例えば、個々の磁気センサ350の温度変化の影響を受けにくい場合がある。
【0073】
図19に戻ってこれを参照すると、処理回路352は、磁気源309の位置を突き止めるよう構成された電気装置および電気回路の任意の集成体として具体化できる。例えば、処理回路352は、任意個数のプロセッサ、マイクロコントローラ、ディジタル信号プロセッサおよび(または)他の電子装置および回路を含むのがよい。加うるに、処理回路352は、ソフトウェア/ファームウェアコード、データ値およびアルゴリズムを格納する1つまたは2つ以上の記憶装置を有するのがよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、処理回路352は、磁気センサ350の測定値に基づいて磁気センサアレイ308に対する磁気源309の位置を表す位置データを求めるよう構成される。そのようにするため、処理回路352は、アルゴリズム820,830と関連して以下に詳細に説明すると共に図26および図27に示すように、磁気センサアレイ308に対する磁気源309の位置を突き止めるアルゴリズムを実行するのがよい。位置データは、磁気源309の位置(即ち、場所および向き)を突き止めるよう関連の骨および磁気源309の術前画像と共にコントローラ302によって使用できる係数値または他のデータとして具体化できる。処理回路352は、相互接続部358を介して送信器354を制御して通信リンク326を介して位置データをコントローラ302に送る。変形例として、他の実施形態では、処理回路332は、磁気センサ350の測定値を送信器354を介してコントローラ302に送るためにのみ構成される。これに応答して、コントローラ302は、磁気センサアレイ308から受け取った測定値を用いて磁気源309の位置を突き止めるアルゴリズムを実行する。かかる実施形態では、センサ回路328の全体的なフットプリント(即ち、サイズ)を減少させることができる。というのは、処理回路352の回路のうちの何割かが不要だからである。というのは、処理回路352は、位置データを求めるよう構成されてはいないからである。
【0075】
幾つかの実施形態では、センサ回路328は、表示器360を更に有するのがよい。表示器360は、任意タイプの表示器として具体化でき、かかる表示器としては、視覚表示器、可聴表示器および(または)触覚表示器が挙げられる。表示器360は、相互接続部362を介して処理回路352に電気的に結合され、この相互接続部362は、相互接続部356,358とほぼ同じである。かかる実施形態では、処理回路352は、磁気センサアレイ308(即ち、磁気センサ350)が磁気源309の磁界中に位置決めされると、表示器360を作動させるよう構成されている。例えば、処理回路352は、図20に示すX方向、Y方向および(または)Z方向のうちの1つまたは2つ以上の方向において磁気センサ350により検出された磁束密度をモニタし、X方向、Y方向および(または)Z方向のうちの1つまたは2つ以上の方向における磁束密度が所定のしきい値に達しまたはこれを超えると、表示器360を作動させるよう構成されたものであるのがよい。このようにすると、磁気センサアレイ308は、外科医またはアレイ308の他のユーザに、磁気センサアレイ308が磁気源309の磁束密度を正確に検出しまたは測定できるようアレイ308が正しく位置決めされた時期を知らせることができる。
【0076】
さらに、幾つかの実施形態では、センサ回路328は、登録ボタン364を有するのがよい。このボタン364がアレイ308のユーザ(例えば、整形外科医)により選択できるように、登録ボタン364を磁気センサアレイ308の外面に設けてよい。ボタン364は、任意のタイプのボタン、例えば、押しボタン、トグルスイッチ、ソフトウェア実行タッチ画面ボタン等として具体化できる。登録ボタン364は、相互接続部366を介して処理回路352に電気的に結合され、この相互接続部366は、相互接続部356,358とほぼ同じであるのがよい。登録ボタン364は、位置データおよび(または)磁気センサ350の測定値をコントローラ302に送るよう磁気センサアレイ308のユーザ、例えば整形外科医により選択されるのがよい。すなわち、アルゴリズム820と関連して以下に詳細に説明するように、磁気センサアレイが磁気源309の磁界を測定するよういったん正しく位置決めされると、外科医は、登録ボタン364を選択して磁気センサアレイがデータを伝送するようにすることができる。幾つかの実施形態では、登録ボタン364は、磁気センサアレイ308が正しく位置決めされている場合にのみ動作可能である。例えば、登録ボタン364は、測定された磁束密度(例えば、Z軸方向における)が所定のしきい値よりも大きいまたは所定の値域内にあることが処理回路352によって判定された場合にのみ、位置データ/測定値を送るよう選択されるのがよい。表示器360と関連して上述したように、外科医は、磁気センサアレイが正しく位置決めされた時期を表示器360の作動により知らされる。
【0077】
例示の磁気センサアレイ308がセンサ回路328が収められた手持ち装置として示されているが、他の実施形態では、磁気センサアレイ308は、単一の磁気センサ、多数の磁気センサまたは磁気センサと他の回路の集成体として具体化できる。加うるに、他の実施形態では、磁気センサアレイ308は、センサ回路328から離れて設けられた1つまたは2つ以上の遠隔磁気センサを有するのがよい。遠隔磁気センサをセンサ回路328からずらすことにより、環境の磁界、例えば地球の磁界から生じる磁気効果、手術室内の浮遊磁界等によって引き起こされる望ましくない磁気干渉を、図27に示されていて図27と関連して以下に説明するアルゴリズム830のプロセスステップ831と関連して以下に詳細に説明するように、センサ回路328内で調整しまたは違ったやり方で補償することができる。
【0078】
図21に示すように、幾つかの実施形態では、磁気センサアレイ308は、遠隔磁気センサハウジング380を有するのがよい。遠隔磁気センサハウジング380は、磁気センサアレイ308のヘッド部分332から上方へ距離383にわたって延びる支持フレーム382を有している。遠隔磁気センサハウジング380は、支持フレーム382の頂部に結合されたヘッド部分384を有している。遠隔磁気センサ386が、ヘッド部分382内に設けられると共に相互接続部388を介してセンサ回路328に電気的に結合されている。相互接続部388は、遠隔磁気センサ386とセンサ回路328との間の通信を可能にする任意タイプの相互接続部であってよい。幾つかの実施形態では、遠隔磁気センサハウジング380は、ハウジング380と遠隔磁気センサ386をセンサ回路328から一段と遠ざけて位置決めでき、またはセンサ回路328に対して別の位置に位置決めできるように、磁気センサアレイ308から機械的に切り離し可能である。。
【0079】
遠隔磁気センサ386は、磁気センサ350とほぼ同じであり、一次元磁気センサ、二次元磁気センサまたは三次元磁気センサであってよい。特定の一実施形態では、遠隔磁気センサ386は、遠隔磁気センサ386の位置のところの磁界のX成分、Y成分およびZ成分を測定するよう構成された三次元センサである。遠隔磁気センサ386は、干渉磁界(即ち、所望の磁界以外の磁界)を測定できるように、センサ回路328から間隔を置いて位置されている。すなわち、遠隔磁気センサ386は、磁気源309から十分遠くに位置して磁気源309により生じた磁界による遠隔磁気センサ386の測定値に対する影響が最小限であるように配置されている。したがって、遠隔磁気センサ386は、磁気源309以外の源により生じた磁界を測定するよう構成されている。遠隔磁気センサ386により得られた測定値は、相互接続部388を介してセンサ回路328に送られる。センサ回路328は、遠隔磁気センサ386の測定値に基づいて磁気センサ350の磁界測定値を補償しまたは調節するよう構成されたものであるのがよい。このようにすると、望ましくない磁界効果を磁気センサ350の測定値から差し引くことができまたは違ったやり方で計算に入れることができる。
【0080】
加うるに、磁気センサアレイ308の他の実施形態は、図18に示す形態とは異なる形態を持つハウジングを有してもよい。例えば、図22に示すように、磁気センサアレイ390は、センサ回路328が収納された検出ヘッド部分392を有するのがよい。取っ手394が、ヘッド部分392に結合され、この取っ手は、遠隔磁気センサ386を有し、この遠隔磁気センサは、相互接続部396を介してセンサ回路328に電気的に結合されている。相互接続部396は、相互接続部388とほぼ同じであり、この相互接続部396は、遠隔磁気センサ386とセンサ回路328との間の通信を可能にする任意タイプの相互接続部として具体化できる。例示の実施形態では、取っ手394は、閉ループ取っ手であって、検出ヘッド部分392に各遠位端部で結合されている。図21を参照して上述したように、センサ回路328は、遠隔磁気センサ386により得られた測定値を用いてセンサ回路328の磁気センサ350を補償しまたは較正する。
【0081】
次に図23を参照すると、磁気源309は、1つまたは2つ以上の磁石として具体化できる。例示の実施形態では、磁気源309は、2つまたは3つ以上の円筒形双極磁石450として具体化されている。磁石450は、多数の磁束線452を有する磁界を発生させる。生じた磁束線452のサブセット断面だけが図23に示されており、磁束線(および磁界)が磁石450を円周方向に包囲していることが理解されるべきである。患者の骨に結合されると、磁石450の位置(即ち、場所および向き)は、6つの自由度によって定められる。すなわち、磁石450の位置は、3つのデカルト座標値および3つの回転値(即ち、各デカルト座標軸について1つずつ)によって特定できる。例えば、座標軸454により図23に示されているように、磁石450の位置は、X座標値、Y座標値、Z座標値、X軸回りのθ(シータ)回転値、Y軸回りのφ(ファイ)回転値、およびZ軸回りのψ(プシー)回転値により三次元空間中に特定できる。
【0082】
磁石450は、患者の関連の組織を介してセンサ回路328により検出されまたは測定されるのに十分な磁束密度または強度の磁界を発生させることができる任意の磁性材料で作られたものであってよい。例えば、磁石450は、強磁性体、フェリ磁性体、反強磁性体、反フェリ磁性体(antiferrimagnetic)、常磁性体または超常磁性体で作ることができる。特定の一実施形態では、磁石450は、ネオジムフェライトボロン(neodymium ferrite boron)(NdFeB)等級50合金材料で作られる。例示の磁石450は、長さ451が約5ミリメートルおよび直径453が約2ミリメートルの円筒形磁石である。しかしながら、他の実施形態では、他の形態、例えば矩形や球形の磁石および他の寸法を有する磁石450を使用することができる。
【0083】
磁気センサ350の測定値の精度を高めるため、幾つかの実施形態では、磁気源309を具体化した複数個の磁石450が、各磁石450の磁気特性が互いにほぼ同じであるように形成されまたは製造される。そのようにするため、一実施形態では、各磁石450により生じる磁界を測定して確認する。互いにほぼ同じ磁界を有する磁石450のみを使用する。加うるに、幾つかの実施形態では、各磁石450の磁気モーメントを測定するのがよい。磁石450の長手方向軸線と同一軸上またはほぼ同一軸上の磁気モーメントを有する磁石450のみを使用する。すなわち、磁石450の磁気モーメントが実質的に磁石450の長手方向軸線から離れた場所から見て磁石450から延びるよう定められている場合、磁石450を破棄するのがよい。このようにすると、磁石450の各々により生じる磁界は、互いにほぼ同じであり、従って、磁界の測定値およびこれに基づいて計算される値の精度の向上が得られる。
【0084】
次に図24〜図29を参照すると、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムを用いて患者の骨を登録するアルゴリズム400が、オプションとしてのプロセスステップ402で始まり、このプロセスステップでは、磁気センサアレイ308の精度を確認する(例えば、磁気センサ350の測定値の精度を確認するのがよい)。かかる確認プロセスを各登録手順前にまたは保守ルーチンを、例えば月毎のまたは週毎の保守手順の一部として実施するのがよい。磁気センサアレイ308の精度を確認するため、試験用装置440を図30に示すように磁気センサアレイ308の検出ヘッド部分332に結合するのがよい。試験用装置440は、フレーム442および磁気源ハウジング444を有する。試験用磁気源446が、ハウジング444内に設けられている。フレーム442は、多数個の取り付け孔448を有している。磁気源ハウジング444を、孔448および取り付け器具449、例えばねじまたはボルトによりフレーム442に取り付けるのがよい。フレーム442は、多数個の取り付け孔448を有しているので、ハウジング444およびかくして試験用磁気源446を検出ヘッド部分332から多種多様な距離を置いたところに位置決めすることができる。したがって、試験用磁気源446の磁束密度(または磁界強度)が既知でありかつ検出ヘッド部分332から(即ち、検出ヘッド332内に設けられているセンサ回路328から)の源446の距離が既知なので、各磁気センサ350に関する予想磁束密度測定値を求めることができる。次に、各磁界センサ350の実際の測定磁界値(即ち、各センサの位置のところの三次元磁束密度成分の1つまたは2つ以上の軸線を表す磁気センサ350の出力電圧レベル)を予想磁束密度値と比較するのがよい。所定のしきい値を超える誤差は、磁気センサアレイ308の誤動作を表している場合がある。確認手順を一段と促進するため、フレーム442上の磁気源ハウジング444の各場所に関して予想磁束密度値および測定磁束密度値を求めるのがよい。例示の試験用装置440は、磁気センサアレイ308に使用できる試験用装置のただ1つの実施形態である。他の実施形態では、他の形態を有する試験用装置を使用することができる。
【0085】
次に、プロセスステップ404において、磁気源309を患者の関連の骨の解剖学的構造に結合する。磁気源309を整形外科手術手技が行われる患者の1つまたは複数の骨に植え込みまたはこれとは違ったやり方で固定するのがよい。例えば、人工膝関節形成術(TKA)手術手技が行われる場合、1つまたは2つ以上の磁気源309を患者の関連の脛骨、関連の大腿骨または関連の脛骨と関連の大腿骨の両方に結合するのがよい。上述したように、各磁気源309は、1つまたは2つ以上の磁石450として具体化されるのがよい。
【0086】
磁気源309を具体化した磁石450を、磁石450が整形外科手術手技の実施前または実施中に動くことがなくまたはずれる(propagate)ことがないように、磁石450を骨に固定する任意適当な固定手段を用いて患者の骨に結合するのがよい。一実施形態では、磁石450は、磁石450を骨の中に植え込むことにより患者の骨に結合される。そのようにするため、図31に示すように、植え込み型カプセル460を用いるのがよい。カプセル460は、磁石450が収納された本体部分462および本体部分462の遠位端部のところに設けられたねじ山付き部分464を有する。カプセル460は、磁石450により生じた磁界がカプセル460によって劣化されることがないように、非磁性材料、例えばプラスチック材料で形成されてよい。図32に示すように、カプセル460(および磁石450)を患者の骨466の中に植え込むのに、まず最初に、適当な穴を骨にあけ、次に、例えばカプセル460をあけた穴の中にねじ込むことによりカプセル460を挿入するのがよい。他の実施形態では、他の形態を有する植え込み型カプセルを用いることができる。例えば、幾つかの実施形態では、植え込み型カプセルは、カプセルの本体全体を覆うねじ山を有するのがよい。
【0087】
図23を参照して上述したように、磁石450の位置は、いったん患者の骨に結合されると、6つの自由度により特定される。しかしながら、例示の磁石450の磁界が磁石450を中心として円周方向に対称であるので、磁気源309として単一の例示の磁石450を用いて5つの自由度のみを求めてもよい。すなわち、3つのデカルト座標の値(即ち、図23のX座標値、Y座標値およびZ座標値)および2つの回転値(即ち、図23のX軸回りのθ(シータ)回転値およびY軸回りのφ(ファイ)回転値を求めるのがよい。6番目の自由度(即ち、図23のZ軸回りのψ(プシー)回転値)の決定を行うため、少なくとも1つの追加の磁石450を用いてもよい。
【0088】
磁気源309を形成する2つまたは3つ以上の磁石450を互いに対して任意の角度をなして患者の骨に結合しまたはこの骨の中に植え込むのがよい。骨の密度の不一致および他の要因に起因して、磁石450相互間の3つの角度(シータ、ファイおよびプシー)は、制御不能であり、従って未知である。かかる実施形態では、磁気源の6番目の自由度を、アルゴリズム800と関連して以下に詳細に説明するように、骨およびこの骨に結合された磁気源309の画像に基づいて求めることができる。
【0089】
他の実施形態では、磁石450を互いに対して所定の既知の位置(場所および(または)回転)のところで患者の骨に結合しまたはこの骨の中に植え込むのがよい。例えば、2つの磁石450を磁石450が互いに実質的に垂直になるように患者の骨の中に植え込むのがよい。2つの磁石450の磁界は、向きの差に起因して互いに異なる磁界ベクトルを有していると共に磁石450相互のなす角度が既知なので、磁気源309(即ち、2つの磁石450)の6つの自由度を、各磁石450の測定した5つの自由度および互いに対する磁石450の既知の位置に基づいて求めることができる。
【0090】
磁石450相互間に定められる回転角度とは無関係に、磁石450は、磁石450により生じる磁界が互いに干渉し合わないように互いに距離を置いて植え込まれる。すなわち、磁石450を、一方の磁石450の磁界がもう1つの磁石450の磁界と強め合うように干渉せずまたは弱め合うように干渉しないように十分な距離離す。特定の一実施形態では、磁石450は、所望の最大測定距離(例えば、磁石450の磁界を依然として正確に測定しながら磁気センサアレイ308を位置決めできる、磁石450からの最大Z軸距離)の2倍以上の距離のところに植え込まれる。
【0091】
幾つかの実施形態では、2つまたは3つ以上の磁石450を互いに対し所定の距離を置いたところ(および望ましいならば互いに対して所定の回転角度のところに)植え込みやすくするために、ジグまたはガイドを用いるのがよい。例えば、図33に示すように、ジグ470を用いると、患者の骨472内への2つの磁石450の植え込みを容易にすることができる。ジグ470は、第1の取り付けパッド476および第2の取り付けパッド478を備えたフレーム474を有する。取り付けパッド476,478は、互いに対して三次元で所定の組をなす回転角度のところに配置し、それにより磁石450相互間の所望の回転形態が得られるようにする。例示のジグ470では、取り付けパッド476,478は、三次元座標系のたった1つの軸線回りに互いに対して実質的に垂直に位置決めされ、従って、ジグ470を用いて植え込まれた磁石450が、この単一の軸線回りに互いに実質的に垂直に植え込まれるようにする。取り付けパッド476は、取り付け孔482を有している。これと同様に、取り付けパッド478は、取り付け孔484を有している。孔482,484は、磁石450がいったん骨472内に植え込まれると、磁石450の所望の距離に等しい距離486だけ互いに離されている。したがって、孔482,484は、磁石450を植え込む際ガイドとして使用でき(即ち、磁石450を孔482,484に通して植え込むことができる)、従って、磁石450は、骨472内に植え込まれ、所定の形態(即ち、互いに対すると共に骨472に対する場所および向き)が得られるようになる。
【0092】
幾つかの実施形態では、ジグ470は、外科医によるジグ470の位置決めを可能にするようフレーム474に結合された取っ手490を更に有するのがよい。変形例として、ジグ470を剛性の物体、例えば手術台に固定してジグ470が各磁石450の植え込み相互間または植え込み中に動きまたは再位置決め状態になる恐れを減少させてもよい。例示のジグ470が患者の骨472に当てられるものとしてまたはこの隣に位置するものとして図32に示されているが、理解されるべきこととして、使用中、取り付け穴482,484のための切開部または穿刺部だけを作る必要があるように、ジグ470を患者の皮膚の外部に位置決めしてもよい。このようにすると、磁石450を患者への手術のための露出を減少させた状態で所定の形態(即ち、互いに対すると共に骨472に対する場所および向き)が確保された状態で患者の骨の中に植え込むことができる。
【0093】
さらに別の実施形態では、磁気源309を形成する2つまたは3つ以上の磁石450を固定ブレースまたは支持部材を介して互いに固定してもよい。支持部材は、磁石450を互いに対して所定の三次元位置(即ち、場所および向き)に固定する。かかる実施形態では、ジグ470は不要である場合がある。しかしながら、磁気源309がかかる実施形態では構造的に大きいので、磁気源309を患者の骨内に植え込むには大きな切開部が必要になる場合がある。
【0094】
磁気源309が2つまたは3つ以上の磁石450で形成される実施形態では、磁気センサアレイ308を用いるには、磁気センサアレイ308(即ち、センサ回路328)を磁石450のうちの1つの磁界中に位置決めし、その磁石450の磁界を検出して磁気センサアレイ308に対するその位置を表す位置データを求め、次に、磁気センサアレイ308を磁気センサアレイ308に対して次の磁石450の磁界中に位置決めし、次の磁石450の磁界を検出するのがよく、以下同様である。
【0095】
変形例として、図34に示すように、磁気センサアレイ500を用いてもよい。磁気センサアレイ500は、フレーム502および2つの検出ヘッド部分504,506を有している。ヘッド部分504,506は、互いに距離512を置いて位置決めされている。距離512は、患者の骨472内へ植え込まれた後に磁石450が離される距離486に実質的に等しい。各検出ヘッド部分504,506は、磁気センサ308のセンサ回路328とほぼ同じセンサ回路510を有している。磁気センサアレイ500は、磁気センサアレイ308の反射センサアレイ336とほぼ同じ反射センサアレイ514を更に有している。反射センサアレイ514は、多数個の反射要素516を有し、この反射センサアレイは、磁気センサアレイ500の相対位置を突き止めるためにコントローラ302によって用いられる。
【0096】
磁気センサアレイ500は、磁気センサアレイ500の位置決めを可能にする取っ手508を更に有している。すなわち、外科医は、取っ手508を用いて、ヘッド部分504,506およびそれぞれのセンサ回路510の各々を磁石450の一つの磁界中にそれぞれ位置決めできるように磁気センサアレイ500を位置決めすることができる。検出ヘッド部分504,506相互間の距離512が磁石450相互間の距離486に実質的に等しいので、ヘッド部分504,506の各々を同時に磁石450のうち一つの磁界中にそれぞれ位置決めするのがよい。このように、磁気センサアレイ500は、磁気センサアレイ308を用いた場合に行われるように1つの磁界を測定し、次に、次の磁界を測定するのではなく、磁気源309を具体化した2つの磁石450の磁界を同時にまたはほぼ同時に測定するよう使用できる。幾つかの実施形態では、検出ヘッド部分504,506は、距離512を調節して磁石450相互間の距離486のばらつきに対応するようフレーム502に対して旋回するよう構成されたものであるのがよい。
【0097】
次に図24に戻ってこれを参照すると、磁気源309をプロセスステップ404において患者の骨に結合した後、プロセスステップ406において、磁気源309が結合された1つまたは複数の骨の画像を生成する。磁気源309は、整形外科手術手技の実施に先立って患者の骨に結合されることは理解されるべきである。したがって、磁気源309を整形外科手術手技の日または時間よりも十分前もってまたはその手技の直前に患者の骨に結合することができる。したがって、患者の骨または骨の解剖学的構造の画像をプロセスステップ404の結合ステップの後であれば任意の時点で生成することができる。例えば、患者の骨をプロセスステップ404の直後に、プロセスステップ404の完了後の或る時点で、または整形外科手術手技のほぼ実施の際または実施の直前に画像化することができる。
【0098】
患者の関連の骨(即ち、磁気源309が結合されている骨)を画像化するのに任意適当な骨の解剖学的構造の画像化プロセスを用いることができる。このように生成された画像は、患者の関連の骨の三次元画像であり、この画像は、骨に結合された磁気源309の指標を含む。すなわち、画像は、関連の骨に植え込まれまたはこれとは違ったやり方で固定された磁石450の位置(即ち、場所および向き)が見えると共に(あるいは)画像から判別できるように生成される。そのようにするために、関連の骨および磁気源309の三次元画像を生成することができまたはそのために利用できる任意の画像方法論を使用することができる。例えば、コンピュータ断層(CT)、透視法および(または)X線法を用いて骨を画像化することができる。
【0099】
特定の一実施形態では、同一平面上に位置していない2つのX線像を用いて関連の骨および磁気源309の三次元画像を形成する。そのようにするため、図25に示すように、関連の骨の解剖学的構造の画像を生成するアルゴリズム800を用いるのがよい。アルゴリズム800は、プロセスステップ802で始まり、このプロセスステップでは、関連の骨の解剖学的構造の第1のX線像が生成される。第1のX線像は、磁気源309の指標を含む。次に、プロセスステップ804において、関連の骨の解剖学的構造および磁気源309の第2のX線像を生成する。第1および第2のX線像は、第1のX線像と第2のX線像が互いに同一平面上に位置しないように生成されることは理解されるべきである。
【0100】
次に、プロセスステップ806において、関連の骨および磁気源309の三次元画像を第1および第2のX線像に基づいて生成する。上述したように、第1のX線像と第2のX線像は、同一平面上に位置しておらず、これら像を互いに比較して三次元画像を決定するのがよい。そのようにするため、任意の二次元対三次元のモーフィングアルゴリズムを用いるのがよい。例えば、米国特許第4,791,934号明細書、同第5,389,101号明細書、同第6,701,174号明細書、米国特許出願公開第2005/0027492号明細書、同第2005/0015003A1号明細書、同第2004/0215071号明細書、国際公開第99/59106号パンフレット、欧州特許出願公開第1348394A1号明細書および(または)同第1498851A1号明細書に開示されているモーフィングアルゴリズムのどれか1つまたは任意の組み合わせを用いるのがよい。
【0101】
関連の骨およびこれに結合された磁気源309の三次元画像をいったん生成すると、プロセスステップ808において、磁気源309(即ち、2つまたは3つ以上の磁石450)と骨との間の位置関係を表すデータを求める。そのようにするため、コンピュータまたはコンピュータ処理装置(例えば、コントローラ302、画像化装置に結合されたコンピュータ、または他のコンピュータもしくは処理装置)が、画像分析アルゴリズムを実行して例えば磁気源309を形成する磁石450のセントロイドおよび向き(即ち、5つの自由度に対する磁石の位置)およびかかるセントロイドを関連の骨の表面輪郭および(または)基準点に関連付けるベクトルデータを求めることができる。したがって、磁気源309と関連の骨との間の位置関係を表すデータは、ベクトル、スカラーデータ、方程式等の集まりとして具体化できる。アルゴリズム420と関連して以下に説明するように、かかるデータは、関連の骨の場所および向きを突き止めるために磁気センサアレイ309から受け取った位置データと関連してコントローラ302によって用いられる。
【0102】
幾つかの実施形態では、プロセスステップ810において、第1の磁石450の位置を第2の磁石450に関連付ける並進(平行移動)および回転を定める成分の行列(matrix)を求める。代表的には、かかる実施形態では、磁石450相互間の位置関係は植え込み時点では未知であるように、ジグ等を用いないで磁石450は、関連の骨に植え込まれまたはこの骨に結合されている。しかしながら、プロセスステップ810において、プロセスステップ806で得られた三次元画像に基づいて並進および回転行列を求めることができる。そのようにするため、コンピュータまたはコンピュータ処理装置(例えば、コントローラ302、画像化装置に結合されたコンピュータまたは他のコンピュータもしくは処理装置)を、三次元画像で識別された各磁石450の5つの自由度を求めるよう構成するのがよい。磁石450の5つの自由度は、座標系と関連して決定されてよい。特定の一実施形態では、磁石450の5つの自由度は、関連の骨により定められた座標系と関連して決定される。そのようにするため、プロセスステップ808で決定された磁気源309と関連の骨との間の位置関係を表すデータを用いるのがよい。各磁石450に関して5つの自由度をいったん求めると、これら値を比較して、磁石450のセントロイド相互間の並進ベクトルおよび2つの磁石450相互間の空間関係を定める2つの角度回転という3つの成分を含む1×5行列を求める。したがって、この行列は、磁気源309を規定する。そのようにいったん決定すると、行列を例えば記憶装置316またはデータベース318,320内のコントローラ302によって格納するのがよい。並進/回転行列を、後で行うコンピュータ処理で用いると、アルゴリズム420と関連して以下に詳細に説明するように磁気源の6つの自由度を求めることができる。
【0103】
次に、プロセスステップ812において、三次元画像および関連のデータ、例えば、ステップ808,810で求めたデータを格納する。一実施形態では、画像および関連データを、上述したように病院ネットワークの一部をなす場合があり、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301から離れて配置されている場合のある記憶装置316、データベース318および(または)遠隔データベース320(図18に示されている)内のコントローラ302によって格納する。かかる実施形態では、コントローラ302は、処理が必要な場合、遠隔データベース320から三次元画像を検索して取り出すよう構成されているのがよい。他の実施形態では、三次元画像は、コントローラ302と通信状態にはないデータベースまたは他のストレージ場所に格納されている場合がある。かかる実施形態では、三次元画像を必要なときに、携帯可能な媒体、例えばコンパクトディスク、フラッシュメモリカード、フロッピーディスク等によりコントローラ302に提供できる。
【0104】
三次元画像を三次元画像の後で行われる検索および(または)再生を容易にする任意のフォーマットで格納できる。例えば、三次元画像を三次元画像を再び形成するために使用できるベクトルデータの集まりとして格納できる。変形例として、関連の骨および磁気源309の輪郭を定める特定の点だけを格納してもよい。かかる実施形態では、アルゴリズムを後で用いて格納されたデータ点を用いて関連の骨および磁気源を再び形成するのがよい。
【0105】
例示のアルゴリズム800は、関連の骨および磁気源309の同一平面上に位置していない2つのX線像を利用するが、他の実施形態では他の画像化方法を用いてもよい。例えば、コンピュータ断層走査(computed tomography scan)を用いて関連の骨およびこれに結合された磁気源309の三次元像を生成してもよい。典型的なコンピュータ断層撮影法の場合と同様、コンピュータ断層走査から得た複数個の二次元画像から三次元画像を生成する。適当なソフトウェアフィルタおよび画像化アルゴリズムを利用して、関連の骨の輪郭、磁気源309の位置、および磁気源309と関連の骨との間の位置関係を上述のアルゴリズム800で用いられた仕方と同様な仕方でコンピュータ断層三次元像に基づいて求めることができる。
【0106】
図24に戻ってこれを参照すると、関連の骨の解剖学的構造をプロセスステップ406でいったん画像化すると、プロセスステップ407において、磁気センサ350それ自体に起因する誤差を求めて補償するのがよい。製造上の許容誤差、エージング、損傷、使用状況および他の要因に起因して、磁気センサ350は、磁界が存在していない状態でオフセット出力信号(即ち、オフセット電圧)を発生する場合がある。磁気センサ350のオフセット出力信号が既知であれば、磁気センサ350のオフセットを磁気センサ350の測定値から減算することにより磁気センサ308の精度を向上させることができる。そのようにするため、磁気センサアレイ308を磁気的に遮蔽されたケースまたはハウジング内に配置するのがよい。磁気的に遮蔽されたケースは、ケースの内部に含まれる環境に実質的に磁界が無いように、相当な量の外部からの磁界を遮断するよう構成されている。一実施形態では、磁気的に遮蔽されたケースは、ミューメタル材料、例えば、特定のニッケル合金で作られ、セラミックで作られまたは適当な遮蔽特性を備えた他の材料で作られる。磁気センサ350のオフセット電圧を補償するため、磁気センサアレイ308を磁気的に遮蔽されたケース内に配置し、誤差補償ソフトウェアプログラムにより遠隔的にまたは自律的に作動させて磁気センサ350の出力信号を測定するのがよい。磁気的に遮蔽されたケース内にそれほど磁界が無いので、磁気センサ350の出力信号は、オフセット電圧誤差を表している。オフセット電圧誤差をこのようにいったん求めると、磁気センサアレイ308の精度を向上させることができる。すなわち、センサ回路328は、かかるオフセット電圧を磁気センサ350の測定値から減算してオフセット誤差を計算に入れるよう構成されたものであるのがよい。プロセスステップ407を骨または骨の解剖学的構造の登録の実施前の任意の時点で行うことができることは理解されるべきである(以下のプロセスステップ410を参照)。特定の一実施形態では、プロセスステップ407は、プロセスステップ407と登録プロセスとの間における時間の経過の短縮により、誤差がドリフトしまたは変化する恐れが減少するように、関連の骨の登録の直前に実行される。
【0107】
次に、プロセスステップ408において、磁気センサアレイ308,500をコントローラ302により登録し、プロセスステップ409において、ナビゲーションセンサアレイを関連の骨の解剖学的構造に結合する。図24に示すように、プロセスステップ408,409を互いに同時にまたは任意の順番で実行することができる。プロセスステップ404,406とは異なり、プロセスステップ408は代表的には、整形外科手術手技の実施の直前に行われる。磁気センサアレイ308,500を登録するため、アレイ308,500を、反射センサアレイ336,514がカメラユニット304で視認できるように、カメラユニット304の視野52内に位置決めする。コントローラ302が磁気センサアレイ308,500をこれらに結合された反射センサアレイ336,514により識別するよう適当な指令をコントローラ302に与える。すると、コントローラ302は、反射センサアレイ336,514を用いて磁気センサアレイ308,500の位置を突き止めることができる。
【0108】
プロセスステップ409において、ナビゲーションセンサアレイを患者の関連の1つまたは複数個の骨に結合する。ナビゲーションセンサアレイは、図2に示すと共に図2を参照して上述したセンサアレイ54とほぼ同じである。センサアレイ54と同様、ナビゲーションセンサアレイは、反射センサアレイ336,514とほぼ同じ反射センサアレイであってよく、あるいは、電磁または高周波(RF)センサアレイであってよく、例えばワイヤレス送信器として具体化できる。ともかく、ナビゲーションセンサアレイは、ナビゲーションセンサアレイがカメラユニット304の視野内に位置するように、患者の関連の骨の解剖学的構造に結合される。コントローラ302は、ナビゲーションセンサアレイを利用して、骨の解剖学的構造がプロセスステップ410と関連して以下に説明するようにコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301によりいったん登録されると、骨の解剖学的構造の動きを割り出すようになっている。
【0109】
磁気センサアレイ308,500をプロセスステップ408においてコントローラ302により登録し、ナビゲーションセンサアレイを関連の骨の解剖学的構造に結合した後、磁気源309が結合された患者の骨または骨の解剖学的構造をプロセスステップ410においてコントローラ302により登録する。そのようにするため、図26に示すように、磁気センサアレイ308,500を動作させるアルゴリズム820を用いるのがよい。アルゴリズム820を任意の個数の磁気源として具体化された磁気源に用いることができると共に(あるいは)これに用いることができるよう容易に改造できることを理解した上で、アルゴリズム820を2つの磁石450として具体化された磁気源309と関連して以下に説明する。
【0110】
アルゴリズム820は、プロセスステップ822で始まり、このプロセスステップにおいて、磁気センサアレイ308,500を位置決めする。磁気センサアレイ308を用いる場合、磁気センサアレイ308のセンサ回路328が磁石450の磁気モーメント上に位置決めされるように、磁気センサアレイ308をプロセスステップ822において第1の磁石450の磁界中に位置決めする。特定の一実施形態では、磁気センサアレイ308を中央の磁気センサ3501(図20参照)が磁石450の磁気モーメントと実質的に同一の軸上に位置するように位置決めするのがよい。そのようにするため、センサ回路328は、磁気センサ3501の出力をモニタするよう構成されているのがよい。例えば、例示の実施形態では、センサ回路328は、中央に位置した三次元磁気センサ3501のX成分出力およびY成分出力をモニタするよう構成されているのがよい。磁気センサアレイ308は、測定したX成分測定値およびY成分測定値が最小値にある(または、しきい値よりも低い)場合、磁石450の磁気モーメント上に位置決めされるよう決定される(即ち、磁気センサ3501の敏感なフィールド点が磁石450の磁気モーメントと同一の軸上に位置しまたは同一軸上の近くに位置する)。
【0111】
他の実施形態では、センサ回路328は、追加の磁気センサ350のX成分出力およびY成分出力をモニタするよう構成されているのがよい。例えば、センサ回路328は、所与の位置の磁石450の三次元磁束密度のX成分を測定するよう構成された全ての磁気センサ350(例えば、磁気センサ3501〜3505,35015および35017)の出力、および所与の位置の磁石450の三次元磁束密度のY成分を測定するよう構成された全ての磁気センサ350(即ち、磁気センサ3501〜3505,35014および35016)の出力をモニタするよう構成されているのがよい。例えば、センサ回路328は、かかるセンサの出力を合計し、かかる合計が最小値である場所を突き止めるよう構成されているのがよい。
【0112】
外科医が磁気センサアレイ308を位置決めするのを助けるため、センサ回路328は、表示器360を介して外科医にフィードバックをもたらすよう構成されているのがよい。例えば、センサ回路328により、X成分測定値の合計およびY成分測定値の合計が最小値に達したことが判定されると、センサ回路328は、表示器360を作動させるよう構成されているのがよい。このようにすると、外科医は、磁気センサアレイが磁石450に対してXY平面内で正しく位置決めされた時期が分かる。
【0113】
他の実施形態では、センサ回路328は、磁気センサアレイ308のアライメントされていない状態に適合するよう構成されるのがよい。例えば、磁気センサ3501〜3505および磁気センサ35014〜35017のX成分測定出力およびY成分測定出力に基づいて、センサ回路328は、どの磁気センサ350が磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるかまたは同一軸上に最も近くに位置するかを判定するよう構成されているのがよい。例えば、磁気センサ3505(図20参照)のX成分測定出力およびY成分測定出力がほぼゼロでありまたは最小の状態にある場合、センサ回路328は、磁気センサ3505の敏感なフィールド点が磁石450の磁気モーメントと同一軸上に位置しまたは同一軸上の近くに位置していることを判定することができる。外科医またはユーザに磁気センサ308を再位置決めさせるのではなく、センサ回路328は、センサボード370に対する磁石450の磁気モーメントのX−Yオフセットに合わせて磁気センサ350の測定値を調節するよう構成されているのがよい。
【0114】
プロセスステップ822において、磁気センサアレイ308を磁石450に対してZ軸に沿って位置決めしてもよい。すなわち、磁気センサアレイ308をZ軸に沿って磁石450から磁石450の磁気モーメントによって定められる距離遠くのところに位置決めする。磁気センサアレイ308を、磁気センサ350が飽和状態にならないように、磁石450から少なくとも最小距離のところに位置決めする。加うるに、測定された磁束密度が磁気センサ350のノイズフロアよりも高い(即ち、バックグラウンド磁気「ノイズ」から磁気センサ350により識別されるのに十分な場合の磁束密度)ように、磁気センサアレイ308を磁石450から最大距離の範囲内に位置決めする。センサ回路328は、磁気センサ350が飽和しているかどうかまたは磁気センサ350の出力がセンサ350のノイズフロアよりも低いかどうかを判定するために磁気センサ350の出力をモニタするよう構成されているのがよい。センサ回路328は、磁気センサアレイ308が磁石450に対してZ軸に関し正しく位置決めされていれば、外科医または磁気センサアレイ308のユーザに警報を出すよう構成されているのがよい。アルゴリズム400のプロセスステップ404に関して上述したように、磁気センサアレイ308が用いられる最大距離もまた、磁気源309を形成する個々の磁石450相互間の最小距離を定める(即ち、磁石450は、一実施形態では、磁気センサアレイ308の最大測定距離の2倍以上の距離だけ離される)。
【0115】
変形例として、磁気センサアレイ500は、検出ヘッド504,506(およびセンサ回路510)の各々が磁石450のうちの1つの磁界中に位置決めされるようアレイ500を位置決めすることにより患者の骨を登録するよう使用されることができる。すなわち、磁気センサアレイ500を、各センサ回路510がそれぞれの磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるように位置決めする。磁気センサアレイ308と関連して上述したように、検出ヘッド504,506の各々を中央の磁気センサ3501が各磁石450の磁気モーメントと実質的に同一軸上に位置するように位置決めするのがよい。そのようにするため、各センサ回路510は、それぞれの磁気センサ3501のX成分測定出力およびY成分測定出力をモニタし、かかる測定値が最小の大きさにあるかまたは所定のしきい値を下回っているかどうかを判定するよう構成されているのがよい。変形例として、磁気センサアレイ308と関連して上述したように、センサ回路510は、個々の磁気センサ350のどれが磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるかまたは同一軸上の最も近くにあるかを判定し、それに応じて残りの磁気センサ350の磁界測定値を調節することにより磁石450に対するセンサ回路510の非アライメント状態に適合するよう構成されているのがよい。さらに、磁気センサアレイ308と同様、磁気センサアレイ500のセンサ回路510は、いつ磁気センサアレイ500が磁石450に対してZ軸に関し正しく位置決めされているかを判定するよう構成されているのがよい。すなわち、センサ回路510は、磁気センサ350が飽和しているかどうかまたは磁気センサ350の出力がセンサのノイズフロアよりも低いかどうかを判定し、磁気センサアレイ500がそれに基づいて正しく位置決めされているかどうかを判定するために磁気センサ350の出力をモニタするよう構成されているのがよい。
【0116】
磁気センサアレイ308,500をいったん正しく位置決めすると、プロセスステップ824において、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置を突き止める。そのようにするため、磁気センサアレイ308,500(即ち、センサ回路328,510)は、図27に示すように磁気源の位置を突き止めるアルゴリズム830を実行するのがよい。
【0117】
アルゴリズム830は、プロセスステップ831,832で始まる。図27に示すように、プロセスステップ831,832を互いに同時にまたは任意の順番で実行することができる。プロセスステップ831において、磁気センサ350の測定値に誤差を生じさせる場合のある望ましくない環境磁界を測定する。磁気センサ350の測定値の精度を向上させるには、これら望ましくない有害因子について磁気センサアレイ308を補償するのがよい。プロセスステップ831で測定された環境磁界は、地球の磁界や手術室内に設置された他の機器、電気ケーブル、鉄構造物、乗り物により生じる磁界および磁気源309とは異なる源により生じ、磁気源309により生じた磁界と干渉する場合のある他の浮遊磁界または望ましくない磁界を含む場合がある。例えば、地球の磁界は、磁気源309により生じた磁界と干渉する(即ち、強め合うように干渉しまたは弱め合うように干渉する)ことにより磁気センサ350の測定値に悪影響を及ぼす場合がある。地球の磁界は、連続的に変化しているので、磁気センサ350にとって固定された調整値またはオフセットは役に立たない。しかしながら、図21および図22と関連して上述したように、遠隔磁気センサ386を用いることにより、地球の磁界の影響を計算に入れることができる。すなわち、遠隔磁気センサ386が磁気センサアレイ308のセンサ回路328から離れて設けられているので、磁気源309により生じる磁界は、遠隔磁気センサ386の測定値に対し最小限の影響しか及ぼさない。したがって、遠隔磁気センサ386の測定値は、主として、地球の磁界および例えば手術室内に設置された他の手術機器により生じる他の環境磁界等に応答して生じる。したがって、プロセスステップ831において、遠隔磁気センサ386の測定値をサンプリングする。
【0118】
プロセスステップ832において、種々の位置における磁石450の三次元磁束密度の成分を測定する。そのようにするため、磁気センサ350の各々の出力をサンプリングする。図20と関連して上述したように、磁気センサ350のうちの幾つかは、三次元磁気センサであり、従って、所与の位置における磁石450の磁束密度の各成分の大きさを測定する。他の磁気センサ350は、一次元磁気センサであり、磁束密度のたった1つの成分の大きさを測定するよう構成されている。図20の例示の実施形態では、全部で27の成分測定値が磁気センサ350(即ち、5つの三次元磁気センサおよび12個の一次元磁気センサ)によって得られる。磁界測定値を以下に説明するように後で処理するために適当な記憶装置に格納するのがよい。磁気センサ350のサンプリングレートは、処理回路352によって使用可能なまたは持続できるレートのものであるのがよい。
【0119】
磁気センサ350の測定プロセスの所定の期間と同時にまたはその期間中(例えば、アルゴリズム820のプロセスステップ822における磁気センサアレイ308の位置決め中またはアルゴリズム830のプロセスステップ832中)、センサ回路328は、多くの試験手技を実行するよう構成されているのがよい。そのようにするため、センサ回路328は、1つまたは2つ以上の試験用アルゴリズムを実行するよう構成された1つまたは2つ以上の試験用回路を有するのがよい。例えば、試験用回路は、センサ回路328の供給電圧を測定し、供給電圧が所定の最小しきい値よりも低いまたは所定の最大しきい値よりも高い場合誤差を生じさせるよう構成されているのがよい。加うるに、センサ回路328は、磁気センサ350の出力をモニタし、センサ350の出力信号の電圧レベルが所定の最大しきい値よりも高い(即ち、磁気センサ350が飽和状態にある)または所定の最小しきい値よりも低い(即ち、磁気センサ350のノイズフロアよりも低い)場合、誤差を生じさせる(例えば、表示器を作動させて磁気センサアレイ308のユーザに警報を出す)よう構成されているのがよい。加うるに、幾つかの実施形態では、センサ回路328は、例えば温度のような要因等について磁気センサ350の測定値を補償しまたは調節する1つまたは2つ以上の補償回路を有するのがよい。
【0120】
次に、プロセスステップ833において、磁気センサ350の測定値を望ましくない環境磁界に関して補償しまたは調節する。そのようにするため、一実施形態では、遠隔磁気センサ386の測定値を差し引くことにより磁気センサ350の測定値を調節する。このようにすると、地球の磁界および他の環境磁界により生じた磁界の誤差を磁気センサ350により生じた測定データから調節し、主として磁気源309から生じた磁束密度を測定する際の磁気センサアレイ308の全体的精度を向上させる。
【0121】
プロセスステップ834において、磁石450の位置の初期予想を求める。初期予想は、磁石450の5つの自由度の値の予測を含む。すなわち、初期予想は、磁石450のX座標値、Y座標値、Z座標値、磁石450のX軸回りのθ(シータ)回転値、Y軸回りのφ(ファイ)回転値を含む。特定の一実施形態では、X座標値、Y座標値およびZ座標値は、磁石450のセントロイドに対する特定の磁気センサ350の座標値である。すなわち、X座標値、Y座標値およびZ座標値は、磁石450のセントロイドが座標系の中心として定められる(即ち、磁石450のセントロイドが点(0,0,0)のところに位置する)三次元座標系中の磁気センサ350の位置の予想値である。このように磁石450の場所を予想することにより、X座標予想値、Y座標予想値およびZ座標予想値に関して正の値を用いて磁束密度の計算を行うことができる。
【0122】
予想値は、任意の値であってよく、幾つかの実施形態では、測定プロセスで用いられる所定のシード値である。しかしながら、初期予想を磁石450の実際の位置の近くに選択することにより、アルゴリズム830の速度および精度を向上させることができる。そのようにするため、磁石450に対する磁気センサアレイ308,500の位置の知識を用いるのがよい。すなわち、アルゴリズム820のプロセスステップ822で上述したように、磁気センサアレイ308,500を、アレイ308,500が磁石450の磁気モーメントと同一軸上に位置しまたは同一軸上の近くに位置するよう位置決めする。したがって、一実施形態では、磁気センサアレイ308,500に対する磁石450の場所の初期予想は、ゼロという予想X座標値およびゼロという予想Y座標値を含む。加うるに、磁石450のθ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値をゼロとして予想することができる(例えば、磁気センサアレイ308,500のセンサボード370が磁石450の長手方向軸線に垂直に位置決めされていると仮定できる)。Z座標値もまた、ゼロに予想してもよい。しかしながら、追加の精度を得るため、Z座標値は、磁気センサ350(即ち、磁石450の三次元磁界のZベクトルを測定するよう構成された磁気センサ350)により測定された磁石450の磁束密度のZベクトルの平均磁束密度に基づいて予想できる。しかしながら、他の実施形態では、他の予想値を用いてもよい。
【0123】
磁石450の初期予想位置をプロセスステップ834においていったん定めると、空間中の種々の点における磁石450の理論的三次元磁束密度の成分をプロセスステップ836で計算する。アルゴリズム830の最初の繰り返し中、プロセスステップ834で予想された磁石450の5つの自由度の値を用いて理論的三次元磁束密度の各成分を求める。しかしながら、プロセスステップ842と関連して以下に説明するように、アルゴリズム830の次の繰り返しの際、磁石450の5つの自由度の変更された予測値をプロセスステップ836で用いる。
【0124】
磁石450の周りの空間中の一点の各センサ350の位置のところにおける磁石450の理論的三次元磁束密度は、任意適当な方程式および(または)アルゴリズムを用いて計算できる。特定の一実施形態では、以下の方程式を用いて磁石450の磁束密度成分(即ち、X成分、Y成分およびZ成分)の大きさを計算する。
【0125】
【数1】
上式において、
μは、自由空間の透磁率であり(即ち、約4×π×10-17WbA-1m-1)であり、
mは、Am2の単位で表した磁石450の磁気モーメントの大きさであり、
である。
【0126】
プロセスステップ836において理論的磁束密度をいったん計算すると、理論的磁束密度成分値とプロセスステップ832で求められた測定磁束密度値との誤差の和をプロセスステップ838において計算する。すなわち、各磁気センサ350に関し理論的磁束密度成分値と測定磁束密度成分値の差を計算する。次に、各磁気センサ350に関する差の計算値を合計する。そのようにするため、特定の一実施形態では、次の目的関数を用いるのがよい。
【0127】
【数2】
上式において、
nは、測定された磁束密度成分の個数であり、
Bthは、所与のセンサ位置のところにおける磁石450のi番目の磁束密度成分の理論的大きさであり、
Bmeは、所与の位置における磁石450のi番目の磁束密度成分の測定された大きさであり、
wiは、i番目の磁束密度成分に関する重み係数である。
重み係数wiを用いると、或る特定の磁気センサ350の効果を強調しまたは最小限に抑えることができる。例えば、幾つかの実施形態では、センサボード370の中心寄りに位置決めされた磁気センサ350に、センサボード370の周囲寄りに位置決めされた磁気センサ350よりも高い重み係数を与えるのがよい。特定の一実施形態では、重み係数wiは、標準化された重み係数である(即ち、0という値と1という値の範囲内にある)。加うるに、他の重み方式を用いてもよい。例えば、各重み係数wiは、i番目の磁束密度成分を測定する特定の磁気センサ350の磁界感度に基づくものであるのがよい。変形例として、重み係数wiは、各磁気センサ350に関してサンプルの所定の個数の平均で除算した標準偏差に基づくものであってもよい。他の実施形態では、重み係数wiを用いて飽和状態にありまたは磁気センサ350のノイズフロアを下回っているセンサを選択的に無視することができる。さらに、これら重み方式の組み合わせを幾つかの実施形態において使用できる。
【0128】
プロセスステップ840において、アルゴリズム830は、プロセスステップ838で求められた目的関数の値が所定のしきい値よりも低いかどうかを判定する。所定のしきい値は、目的関数がしきい値をいったん下回ると、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置が許容誤差レベル内で知られるように選択される。特定の一実施形態では、所定のしきい値は、0.0である。しかしながら、所定のしきい値上またはその下へのアルゴリズム830の収斂速度を増大させるため、他の実施形態では、0.0よりも大きなしきい値を用いてもよい。
【0129】
目的関数(即ち、誤差の合計)が所定のしきい値を下回っていることが判定された場合、アルゴリズム830は、実行を完了する。しかしながら、目的関数がプロセスステップ840において所定のしきい値よりも大きいと判定されると、アルゴリズムは、プロセスステップ842に進む。プロセスステップ842において、磁気源の位置の予想を調節する。すなわち、アルゴリズム830の最初の繰り返しの際、磁石450のX座標値、Y座標値、Z座標値、X軸回りのθ(シータ)回転値、およびY軸回りのφ(ファイ)回転値に関する初期予想を調節する。小域的最適化アルゴリズムまたは大域的最適化アルゴリズムを用いるのがよい。任意適当な小域的または大域的最適化アルゴリズムを用いることができる。
【0130】
磁石450の位置に関する新たな推定(5つの自由度における)がいったん求められると、アルゴリズム830は、プロセスステップ836にループバックし、このプロセスステップにおいて、プロセスステップ842において計算された新たな予想を用いて理論的磁束密度成分値を求める。このように、アルゴリズム830は、目的関数が所定のしきい値にまたはこれ以下に収斂するまで小域的/大域的最適化アルゴリズムを用いて繰り返しループを実行する。上述したように、目的関数がこのようにいったん収斂すると、磁石450の5つの自由度が分かる。
【0131】
幾つかの実施形態では、アルゴリズム800は、磁気センサアレイ308,500によってのみ実行されることは理解されるべきである。しかしながら、他の実施形態では、磁気センサアレイ308,500は、プロセスステップ832において磁石450の磁束密度成分を測定するためにのみ構成されるのがよい。かかる実施形態では、プロセスステップ834〜842は、コントローラ302によって実行される。そのようにするため、磁気センサアレイ308,500のセンサ回路328,510は、各磁気センサ350の磁界測定値をコントローラ302に送るよう構成されている。
【0132】
次に図26に戻ってこれを参照すると、磁気源309の各磁石450の位置(即ち、5つの自由度)をプロセスステップ822,824においていったん突き止めると、プロセスステップ826において、磁気源309(即ち、磁石450)の5つの自由度を表す位置データをコントローラ302に送る。位置データは、求めた5つの自由度(即ち、磁石450のX座標値、Y座標値、Z座標値、θ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値の大きさ)を表すことができる任意のタイプのデータとして具体化できる。
【0133】
磁気センサアレイ308,500によって受け取られた位置データに応答して、コントローラ302は、患者の関連の骨の解剖学的構造の位置(即ち、6つの自由度)を求める。そのようにするため、コントローラ302は、図28に示すようなアルゴリズム420を実行するのがよい。アルゴリズム420は、例えば記憶装置316に格納されたソフトウェアまたはファームウェアとして具体化できる。アルゴリズム420は、プロセスステップ422,426で始まる。図28に示すように、プロセスステップ422,426は、互いに同時にまたは任意の順番で実行されてよい。
【0134】
プロセスステップ422において、コントローラ302は、通信リンク326を介して磁気センサアレイ308,500から位置データを受け取る。上述したように、位置データは、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置を表している。例示の実施形態では、位置データは、磁気源309の5つの自由度(即ち、X座標値、Y座標値、Z座標値、θ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値)を定める係数値として具体化されている。位置データが磁気センサアレイ308,500からいったん受け取られると、コントローラ302は、位置データを記憶装置316に格納するのがよい。
【0135】
プロセスステップ424において、コントローラ302は、磁気センサアレイ308,500の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304から画像を受け取る。画像中の反射センサアレイ336,514の位置を分析することにより、コントローラ302は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する(例えば、カメラ304および(または)コントローラ302に対する)関連の磁気センサアレイ308,500の位置を突き止める。
【0136】
次に、プロセスステップ426において、コントローラ302は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する磁気源309の位置(即ち、5つの自由度)を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、磁気センサアレイ308,500に対する磁気源309の5つの自由度およびプロセスステップ424で突き止められたコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する磁気センサアレイ308,500の位置を表す位置データを用いる。即ち、コントローラ302が、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系内で磁気センサアレイ308,500の位置を突き止め、磁気センサアレイ308,500が、アレイ308,500それ自体に対する磁気源309の位置を突き止めているので、コントローラ302は、適当なアルゴリズム(例えば、ベクトル追加アルゴリズム)で位置データの2つの形態を組み合わせることにより、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系内での(即ち、CAOSシステム301に対する)磁気源309の位置を突き止めることができる。
【0137】
しかしながら、磁気センサアレイ、308,500が磁気源309(即ち、磁気源309を具体化した磁石450の各々)の5つの自由度のみを突き止めているので、コントローラ302は、6番目の自由度を求めるよう構成されている。これを促進するために、プロセスステップ428において、コントローラ302は、アルゴリズム400のプロセスステップ406で得られた骨の解剖学的構造の3次元画像を検索して取り出す。プロセスステップ406と関連して上述したように、コントローラ302は、画像をデータベース318および(または)遠隔データベース320から検索して取り出すことができる。画像を任意適当な判断基準に基づいて検索して取り出すことができる。例えば、一実施形態では、画像は、患者の識別データに基づいて検索して取り出される。かかる実施形態では、患者の識別データを整形外科手術手技の実施に先立ってコントローラ302に提供するのがよい。コントローラはまた、任意個数の生成された画像をも検索して取り出すことができる。生成された画像は、磁気源309(即ち、2つの磁石450)の指標または画像、および骨の解剖学的構造に対するその位置を含む。
【0138】
プロセスステップ430において、コントローラ302は、プロセスステップ426において突き止められた磁気源309の位置に基づく場所および向き、ならびにプロセスステップ428において検索して取り出された骨の画像に基づく表面輪郭を有する骨の解剖学的構造の図式的描画像を作成する。しかしながら、上述したように、アルゴリズム820において磁気源309の5つの自由度のみを突き止めてコントローラ302に送っているので、コントローラ302は、磁気源309の6番目の自由度を突き止めなければならない(または、検索して取り出さなければならない)。幾つかの実施形態では、6番目の自由度は、コントローラ302によって既に突き止められまたは知られている。例えば、磁石450が互いに対して所定の角度をなして関連の骨の中に植え込まれる実施形態では、かかる所定の角度を第6番目の自由度としてコントローラ302に提供するのがよい。変形例として、関連の骨の解剖学的構造および磁気源309の3次元画像が図25と関連して上述したアルゴリズム800を用いて求められる実施形態では、磁石450を互いに対して位置決めする行列をプロセスステップ810において決定しておくのがよい。
【0139】
しかしながら、幾つかの実施形態では、コントローラ302は、プロセスステップ430において、磁石450を互いに対して位置決めする行列を求めるよう構成されているのがよい。そのようにするため、コントローラ302は、図29に示すように磁石450の6番目の自由度を求めるアルゴリズム850を実行するのがよい。アルゴリズム850は、プロセスステップ852で始まり、このプロセスステップにおいて、コントローラ302は、磁石450のうちの最初の1つの位置を突き止める。磁石450の位置は、磁石450の5つの自由度によって定められる。コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する第1の磁石450の5つの自由度は、プロセスステップ426においてコントローラ302によって前もって決定されている。したがって、5つの自由度を定める値がコントローラ302によって格納されている場合、かかる値は、プロセスステップ852においてコントローラ302によって検索して取り出される。次に、プロセスステップ854において、コントローラ302は、磁石450の2番目のものの位置を突き止める。この場合もまた、コントローラ302は、プロセスステップ426において第2の磁石450の5つの自由度を既に決定しており、格納されていれば、プロセスステップ854においてこれらを表す値を検索して取り出す。
【0140】
次に、プロセスステップ856において、コントローラ302は、アルゴリズム420のプロセスステップ428で検索して取り出された3次元画像を数学的に回転させるよう構成されている。3次元画像を第2の磁石450の位置がステップ854で定められた第2の磁石450の初期位置に等しくなるまで第1の磁石450の固定された位置回りに回転させる。プロセスステップ858において、コントローラ302は、所要の回転量に基づいて6番目の自由度を求める。3次元画像を6番目の自由度を求めるよう3つ全ての直交軸線回りに回転させるのがよいことは理解されるべきである。
【0141】
磁気源309の6つの自由度をいったん求めると、プロセスステップ430において、骨の解剖学的構造の描画像を、磁気源309の6つの自由度、およびプロセスステップ808において求められた磁気源と骨の解剖学的構造との間の位置関係を表すデータに基づいて生成することができる。すなわち、磁気源309の6つの自由度が既知でありかつ骨の解剖学的構造と磁気源309との間の位置関係が既知なので、骨の解剖学的構造の6つの自由度を求めることができる。通信リンク312を用いて描画像を表示装置306で外科医またはシステム300の他のユーザに表示するのがよい。
【0142】
図24のアルゴリズム400に戻ってこれを参照すると、骨の解剖学的構造をプロセスステップ410において登録した後、プロセスステップ412において磁気源309を患者の骨から取り外すのがよい。そのようにするため、磁気センサアレイ308,500を用いて磁気源309を形成する磁石450の場所を突き止めるのがよい。例えば、磁気センサアレイ308,500を、磁気センサアレイ308,500の表示器360が作動されるまで患者の皮膚上を横切って動かす、かかる作動により、磁気センサアレイ308,500が磁石450のうちの少なくとも1つの磁界の中に位置していることが分かる。次に、適当な手術手技を用いて磁石450を取り出すのがよい。このようにすると、磁石450の磁界は、整形外科手術手技の実施を妨げることがないようになる。例えばナビゲーションセンサアレイが、反射センサアレイではなくワイヤレス送信器(即ち、電磁センサアレイ)として具体化されている実施形態では、磁気源309を整形外科手術手技の実施に先立って患者の骨から取り出してセンサアレイ54の動作に対する磁気的な干渉を回避するのがよい。変形例として、磁気源309が整形外科手術手技の実施中患者の骨に結合されたままである場合、骨を任意の時点でかつ手技中必要なほど頻繁に登録するのがよい。
【0143】
次に、プロセスステップ414において、整形外科手術手技を行うのがよい。関連の骨の解剖学的構造の画像を用いて整形外科手術手技を行い、これら画像は、骨の解剖学的構造に結合されたナビゲーションセンサアレイから受け取った視覚データに基づく位置および向きで表示装置306上に表示され、ナビゲーションセンサアレイに関する相対的な向きおよび位置は、磁気センサアレイ308,500から受け取った位置データに基づいて突き止められ、骨の解剖学的構造の生成された画像は、この解剖学的構造に結合された磁気源309の位置の指標を有している。外科医は、システム300を用いて図1〜図17に示すと共に図1〜図17を参照して上述したCAOSシステム10とほぼ同じ仕方で整形外科手術プロセスをナビゲートして進むのがよい。例えば、骨の解剖学的構造に関するナビゲーションは、骨の解剖学的構造に結合された反射センサアレイ、例えば、図3の脛骨アレイ60とほぼ同じ反射センサアレイを用いることによって容易になりうる。しかしながら、患者の骨の解剖学的構造を登録するこのアルゴリズム400は、図6に示すと共に図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ106に完全にまたは部分的に取って代わることができることは理解されるべきである。
【0144】
次に図35を参照すると、別の実施形態において、コンピュータ支援手術システムを用いて患者の骨を登録する磁気センサ装置600が、支持フレーム602と、第1の磁気センサアレイ604と、第2の磁気センサアレイ606とを有している。装置600は、反射センサアレイ630を更に有し、この反射センサアレイは、磁気センサアレイ308の反射センサアレイ336とほぼ同じである。反射センサアレイ630は、多数個の反射要素632を有し、この反射センサアレイは、装置600の相対位置を突き止めるためにコントローラ302によって用いられる。磁気センサアレイ604は、アーム部分610および検出ヘッド部分612を有している。これと同様に、磁気センサアレイ606は、アーム部分614および検出ヘッド部分616を有している。磁気センサアレイ604,606は、各々、カプラ608を介して支持フレーム602に可動的に結合されている。カプラ608により磁気センサアレイ604,606を支持フレーム602回りに旋回させることができる。
【0145】
加うるに、磁気センサアレイ604,606を支持フレーム602に対して並進させることができる。例えば、磁気センサアレイ604のヘッド部分612を長手方向軸線618に沿って支持フレーム602から遠ざけたりこれに近付けたりすることができる。これと同様に、磁気センサアレイ606のヘッド部分616を長手方向軸線620に沿って支持フレーム602から遠ざけたりこれに近付けたりすることができる。磁気センサアレイ604,606を支持フレーム602に対して旋回させると共に(あるいは)並進させることにより、検出ヘッド部分612,616の各々を患者の骨に結合された別々の磁石によって生じる磁界中に位置決めすることができる。例えば、装置600を用いると、検出ヘッド612,616を図35に示すように患者の脚622の脛骨および大腿骨内に埋め込まれた磁石によって生じる磁界中に位置決めすることができる。したがって、装置600を用いると、患者の単一の骨または別々の骨の中に植え込まれた多くの磁石450として具体化された磁気源、例えば磁気源309の磁界を検出することができる。他の実施形態では、装置600は、任意個数の磁石により生じた磁界を測定できるように、各々が支持フレームに固定された追加の磁気センサアレイを含んでよい。
【0146】
磁気センサアレイ604,606は各々、磁気センサアレイ604,606の検出ヘッド部分612,616内に設けられたセンサ回路650を有する。図36に示すように、各センサ回路650は、磁気センサ配列651を有する。磁気センサ配列651は、1つまたは2つ以上の磁気センサ652を有する。各センサ回路650は、相互接続部656を介して磁気センサ652に電気的に結合された処理回路654、相互接続部660を介して処理回路654に電気的に結合された送信器658、相互接続部664を介して処理回路654に電気的に結合された角度センサ662、および相互接続部668を介して処理回路654に電気的に結合された距離センサ666を更に有する。相互接続部656、660,664,668は、処理回路654、センサ652、送信器658、角度センサ662、および距離センサ666の間の電気的接続をもたらすことができる任意タイプの相互接続部、例えば電線、ケーブル、PCBトレース等として具体化できる。
【0147】
センサ回路328と同様、センサ回路650に含まれている磁気センサ652の個数は、例えば用いられる磁気センサのタイプ、特定の用途および(または)磁気センサアレイ604,606の形態のような判断基準で決まる場合がある。例えば、センサ回路650は、センサ回路650が磁気源の磁界を三次元で検出しまたは測定できるように任意の数または形態の一次元磁気センサ、二次元磁気センサおよび(または)三次元磁気センサを含むのがよい。
【0148】
加うるに、磁気センサ652は、磁気源により生じた磁界を検出しまたは測定できる任意タイプの磁気センサとして具体化できる。例えば、磁気センサ652は、超伝導量子干渉素子(SQUID)型磁気センサ、異方性磁気抵抗(AMR)型磁気センサ、巨大磁気抵抗(GMR)型磁気センサ、ホール効果型磁気センサまたは磁気源の三次元磁界を検出しまたは測定できる任意の他のタイプの磁気センサとして具体化できる。特定の一実施形態では、磁気センサは、スイス国チューリッヒ所在のゼニズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(SENIS GmbH)から市販されているX-H3X-xx_E3C-25HX-2.5-0.2T Three Axis Magnetic Field Transducersとして具体化される。磁気センサ652は、磁気源の三次元磁界を定める多数のデータ値(例えば、電圧レベル)を生じさせるよう構成されている。これらデータ値は、相互接続部656を介して処理回路654に送られる。
【0149】
幾つかの実施形態では、各センサ回路650の磁気センサ配列651は、磁気センサ配列348と実質的に同様である。例えば、磁気センサ配列651は、図20に示すと共に図20を参照して上述した磁気センサ350およびセンサボード370と同様に、センサボードに固定された17個の磁気センサ652を有するのがよい。
【0150】
処理回路654は、磁気センサ652から受け取ったデータ値に基づいて磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置を突き止めるよう構成された電気装置および回路の集成体として具体化されたものであるのがよい。例えば、処理回路654は、任意個数のプロセッサ、マイクロコントローラ、ディジタル信号プロセッサおよび(または)他の電子装置および回路を含むのがよい。加うるに、処理回路654は、ソフトウェア/ファームウェアコード、データ値およびアルゴリズムを格納する1つまたは2つ以上の記憶装置を有するのがよい。
【0151】
処理回路654は、磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309(例えば、磁石450)の位置を表す位置データを求めるよう構成されている。そのようにするため、処理回路654は、磁気源309の5つの自由度または6つの自由度の値を求めるのがよい。位置データは、磁気源309の相対位置(すなわち、場所および向き)を突き止めるためにコントローラ302によって使用できる係数値または他のデータとして具体化されたものであるのがよい。処理回路654は、通信リンク326を介して位置データをコントローラ302に送るよう相互接続部660を介して送信器658を制御する。
【0152】
角度センサ662および距離センサ666は、磁気センサアレイ604,606の運動を測定し、かかる測定値をそれぞれ相互接続部664,668を介して処理回路654に送るよう構成されている。例えば、角度センサ662は、垂直基準軸線670と磁気センサアレイ604,606がそれぞれなす角度672,674を測定する。このようにすると、角度センサ662は、磁気センサアレイ604,606が、基準軸線670から旋回した角度距離の量を測定する。これと同様に、距離センサ666は、軸線618,620に沿うそれぞれの磁気センサアレイ612,616の並進距離を測定する。すなわち、距離センサ666は、磁気センサアレイ604,606のヘッド部分612,616が基準点、例えばカプラ608から長手方向軸線618,620に沿って動いた直線距離の量を測定する。処理回路654は、角度センサ662および距離センサ666からそれぞれ角度データおよび距離データを受け取る。次に、処理回路654は、送信器658を用いてこのデータを磁気源の相対位置を表す位置データと共にコントローラ302に送る。したがって、図35および図36に示す例示の装置600は、各センサ回路650に設けられた送信器を有する。しかしながら、他の実施形態では、装置600は、全てのデータをコントローラ302に送る単一の送信器を有してもよい。かかる実施形態では、センサ回路650および磁気センサアレイ604,606は、各センサ回路650により求められた角度データ、距離データおよび位置データを伝送するよう互いに通信するよう構成されたものであるのがよい。
【0153】
幾つかの実施形態では、センサ回路650は、表示器680を更に有するのがよい。表示器680は、任意タイプの表示器として具体化でき、かかる表示器としては、視覚表示器、可聴表示器および(または)触覚表示器が挙げられる。表示器680は、相互接続部682を介して処理回路654に電気的に結合され、この相互接続部682は、相互接続部656,660,664,668とほぼ同じである。かかる実施形態では、処理回路654は、磁気センサアレイ604,606が磁気源の磁界中に位置決めされると、表示器680を作動させるよう構成されている。例えば、処理回路654は、磁気センサ652により検出された磁束密度をモニタし、この磁束密度が所定のしきい値に達しまたはこれを超えると、表示器680を作動させるよう構成されたものであるのがよい。このように、磁気センサアレイ604,606が磁気源(即ち、磁気源の一部を形成する磁石)の磁界中に位置決めされるまで、アレイ604,606を支持フレーム602に対して旋回させると共に並進させて、磁気センサアレイ604,606を位置決めしてよい。そのようにいったん位置決めすると、表示器680は、外科医にセンサアレイ604,606が正しく位置決めされたことを知らせるよう作動させられることになる。
【0154】
さらに、幾つかの実施形態では、センサ回路650は、登録ボタン684を有するのがよい。登録ボタン684を、このボタン684が装置600のユーザにより選択できるように、磁気センサアレイ604,606の外面に設けていてよい。ボタン684は、任意のタイプのボタン、例えば、押しボタン、トグルスイッチ、ソフトウェア実行タッチ画面ボタン等として具体化できる。登録ボタン684は、相互接続部686を介して処理回路654に電気的に結合され、この相互接続部686は、相互接続部656,660,664,668とほぼ同じであるのがよい。登録ボタン684の機能は、センサ回路328の登録ボタン364の機能と実質的に同一である。すなわち、登録ボタン684は、位置データおよび(または)磁気センサ652の測定値をコントローラ302に送るよう装置600のユーザ、例えば整形外科医によって選択できる。幾つかの実施形態では、単一の登録ボタン684を設け、磁気センサアレイ604,606の両方の位置データを互いに同時に送るよう整形外科医がこの単一の登録ボタンを選択できるのがよい。
【0155】
次に図37および図38を参照すると、アルゴリズム700が、CAOSシステム、例えばコントローラ302を用いて患者の1つまたは複数個の骨を登録するよう装置600とともに使用されてよい。アルゴリズム700は、装置600および2つの磁石450として具体化された磁気源309の使用と関連して以下に説明する。しかしながら、任意個数の磁石を備えた他の磁気源を用いてもよい。加うるに、アルゴリズム400のプロセスステップ402,404,406とほぼ同じ初期ステップは、説明を分かりやすくするためにアルゴリズム700から省かれている。しかしながら、かかるステップはアルゴリズム700にも使用できることは理解されるべきである。例えば、装置600の個々の磁気センサアレイ604,606は、環境磁界効果および(または)磁気センサ650のオフセット電圧を補償するよう較正されるのがよい。加うるに、磁気源309は、プロセスステップ404と関連して先に詳細に説明したように、アルゴリズム700の実行に先立って、患者の関連の骨の解剖学的構造に結合されまたはその骨の中に植え込まれる。さらに、磁気源309が結合された骨の画像をアルゴリズム700の実行に先立って生成する。そのようにするため、図25に示すと共に図25を参照して上述したアルゴリズム800を用いるのがよい。
【0156】
アルゴリズム700は、プロセスステップ702で始まり、このプロセスステップにおいて、装置600をコントローラ302で登録する。装置600を登録するため、反射センサアレイ630がカメラユニット304によって視認できるように、装置600をカメラユニット304の視界中に位置決めする。特定の一実施形態では、装置600は、手術室の天井もしくは壁または整形外科手術手技が行われる手術室の手術台に固定される。したがって、カメラユニット304は、装置600がカメラユニット304の視界に入るように位置決めされるのがよい。コントローラ302が装置600に結合された反射センサアレイ630により装置600を識別するよう適当な指令がコントローラ302に与えられる。すると、コントローラ302は、反射センサアレイ630を用いて装置600の相対位置を突き止めることができる。
【0157】
装置600をコントローラ302でいったん登録すると、プロセスステップ704において、第1の磁気センサアレイ604を位置決めする。磁気センサアレイ604を磁気センサアレイ604のセンサ回路650が磁気源309の一部を形成する第1の磁石450により生じる磁界中に配置されるように位置決めする。次に、プロセスステップ706において第2の磁気センサアレイ606を位置決めする。磁気センサアレイ604と同様、磁気センサアレイ606を磁気センサアレイ606のセンサ回路650が磁気源309の一部を形成する第2の磁石450により生じる磁界中に配置されるように位置決めする。アレイ604,606をフレーム602周りに動かすことにより(即ち、旋回させたり並進させたりすることにより)磁気センサアレイ604,606を位置決めするのがよい。図36と関連して上述したようにセンサ回路650の表示器680を用いることにより磁気センサアレイ604,606をそのように位置決めするのがよい。
【0158】
磁気センサアレイ604,606を図26に示すアルゴリズム820と関連した上述の磁気センサアレイ308の仕方と同様な仕方で位置決めするのがよい。すなわち、磁気センサアレイ604,606を各センサ回路650がそれぞれの磁石450の磁気モーメントと同一軸上に位置するように位置決めする。磁気センサアレイ308と関連して上述したように、検出ヘッド部分612,616の各々を磁気センサ配列651の中央磁気センサ652が各磁石450の磁気モーメントと実質的に同一軸上に位置するように位置決めするのがよい。そのようにするため、各センサ回路650は、中央磁気センサ652のX成分出力測定値およびY成分出力測定値をモニタし、アルゴリズム820のプロセスステップ822と関連して上記において詳細に説明したようにかかる測定値が最小値に達しまたはしきい値を下回ったかどうかに応じて正しい位置決めを判定するよう構成されているのがよい。変形例として、磁気センサアレイ308と関連して上述したように、センサ回路650は、個々の磁気センサ652のどれが磁石450の磁気モーメントと同一軸上にあるかまたは同一軸上の最も近くにあるかを判定し、それに応じて残りの磁気センサ652の磁界測定値を調節することにより磁石450に対するセンサ回路650の非アライメント状態に適合するよう構成されているのがよい。
【0159】
磁気センサアレイ604,606をいったん正しく位置決めすると、磁気センサアレイ604,606の位置をプロセスステップ708,710において突き止める。そのようにするため、プロセスステップ708において、センサ回路650の角度センサ662は、垂直基準軸線670と磁気センサアレイ604,606のなす角度672,674を測定する。加うるに、プロセスステップ710において、距離センサ666は、磁気センサアレイ604,606のそれぞれの検出ヘッド部分612,616は所定の基準点、例えばカプラ608からそれぞれの長手方向軸線618,620に沿って移動した直線距離を測定する。次に、角度データおよび距離データを角度センサ662および距離センサ666からそれぞれ処理回路654に送る。
【0160】
プロセスステップ711において、ナビゲーションセンサアレイを患者の関連の1つまたは複数個の骨に結合する。ナビゲーションセンサアレイは、図2に示すと共に図2を参照して上述したセンサアレイ54とほぼ同じである。センサアレイ54と同様、ナビゲーションセンサアレイは、反射センサアレイ336,514とほぼ同じ反射センサアレイであってよく、あるいは、電磁または高周波(RF)センサアレイであってよく、例えばワイヤレス送信器として具体化できる。ともかく、ナビゲーションセンサアレイは、ナビゲーションセンサアレイがカメラユニット304の視野内に位置するように患者の関連の骨の解剖学的構造に結合されている。コントローラ302は、ナビゲーションセンサアレイを利用して骨の解剖学的構造がプロセスステップ712と関連して以下に説明するようにコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301によりいったん登録されると、骨の解剖学的構造の動きを割り出すようになっている。プロセスステップ711がプロセスステップ710の直後のものとして図37に示されているが、ナビゲーションセンサアレイをプロセスステップ712において骨の解剖学的構造の登録に先立つ任意の時点で患者の関連の骨に結合してもよいことは理解されるべきである。
【0161】
磁気センサアレイ604,606の位置を突き止めた後、磁気源が結合されている患者の骨または骨の解剖学的構造をプロセスステップ712においてコントローラ302で登録する。そのようにするため、各磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309(即ち、磁石450)の位置をまず最初に突き止める。磁気センサアレイ604,606(即ち、センサ回路650)は、図27に示すと共に図27と関連して上述した磁気源の位置を突き止めるアルゴリズム830を実行するのがよい。幾つかの実施形態において、アルゴリズム830は、磁気センサアレイ604,606によってのみ実行される。しかしながら、他の実施形態では、磁気センサアレイ604,606は、それぞれの磁石450の磁界を測定し、かかる測定値をコントローラ302に送るためにのみ構成されたものであってもよい。かかる実施形態では、アルゴリズム800のプロセスステップ834〜842は、磁気センサアレイ604,606から測定値を受け取った後にコントローラ302によって実行される。
【0162】
磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置をいったん突き止めると、その位置を表す位置データをコントローラ302に送る。加うるに、磁気センサアレイ604,606の角変位を表す角度データおよび磁気センサアレイ604,606の直線変位を表す距離データを通信リンク326を介してコントローラ302に送る。
【0163】
受け取ったデータに応答して、コントローラ302は、患者の関連の骨の解剖学的構造の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、図38に示すようなアルゴリズム720を実行するのがよい。図28に示すと共に図28と関連して上述したアルゴリズム420と同様、アルゴリズム720は、例えば記憶装置316に格納されたソフトウェアまたはファームウェアとして具体化されているのがよい。アルゴリズム720は、プロセスステップ722で始まり、このプロセスステップにおいて、コントローラ302は、通信リンク326を介して位置データを受け取ると共に磁気センサ604,606の各々から角度データおよび距離データを受け取る。上述したように、位置データは、磁気センサアレイ604,606のそれぞれに対する磁気源309(例えば、磁石450)の位置を表している。例示の実施形態では、位置データは、磁気源309、およびかくして磁気源309が結合されている骨の解剖学的構造の5つの自由度(即ち、X座標値、Y座標値、Z座標値、θ(シータ)回転値およびφ(ファイ)回転値)を定める係数値として具体化される。しかしながら、他の実施形態では、磁気源309および骨の解剖学的構造の場所および向きを定める位置データの他のタイプを用いてもよい。データが磁気センサアレイ604,606からいったん受け取られると、コントローラ302は、位置データ、角度データおよび距離データを記憶装置316に格納するのがよい。
【0164】
プロセスステップ724において、コントローラ302は、装置600の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、通信リンク310を介してカメラユニット304からの画像を受け取る。画像中の反射センサアレイ630の位置を分析することにより、コントローラ302は、基準点、例えばカメラ304および(または)コントローラ302に対する磁気センサ装置600の位置を突き止める。
【0165】
次に、プロセスステップ726において、コントローラ302は、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301に対する磁気源309の位置を突き止める。そのようにするため、コントローラ302は、磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置を表す位置データ、垂直基準軸線670からの磁気センサアレイ604,606の角変位を表す角度データ、基準点、例えばカプラ608からの磁気センサアレイ604,606の直線変位を表す距離データ、およびプロセスステップ424で突き止めた装置600の位置を用いる。即ち、コントローラ302がコンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系内での装置600の位置を突き止めているので、コントローラ302は、適当なアルゴリズム、例えばベクトル追加アルゴリズムを用いて角度データおよび距離データに基づき同一の座標系中の磁気センサアレイ604,606の位置を突き止めることができる。これと同様に、磁気センサアレイ604,606がアレイ604,606それ自体に対する磁気源309の位置を突き止めているので、コントローラ302は、適当なアルゴリズム(例えば、ベクトル追加アルゴリズム)を用いて座標系内の磁気センサアレイ604,606の位置データと磁気センサアレイ604,606に対する磁気源309の位置データを組み合わせることによって、コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システム301の座標系中における磁気源309の位置(即ち、CAOSシステム301に対する位置)を突き止めることができる。
【0166】
次に、プロセスステップ728において、コントローラ302は、既に生成された骨の解剖学的構造の3次元画像を検索して取り出す。そのようにするため、コントローラ302は、データベース318および(または)遠隔データベース320から画像を検索して取り出すことができる。画像を任意適当な判断基準に基づいて検索して取り出すことができる。例えば、一実施形態では、画像は、患者の識別データに基づいて検索して取り出される。かかる実施形態では、患者の識別データを整形外科手術手技の実施に先立ってコントローラに提供するのがよい。コントローラは、任意個数の生成された画像をも検索して取り出すことができる。生成された画像は、磁気源309(例えば、2つの磁石450)の指標または画像および骨の解剖学的構造に対するその位置を含む。
【0167】
プロセスステップ730において、コントローラ302は、プロセスステップ726において突き止められた磁気源309の位置に基づく場所および向き、ならびにプロセスステップ728において検索して取り出された骨の解剖学的構造の画像に基づく表面輪郭を有する骨の解剖学的構造の図式的描画像を作成する。しかしながら、磁気源309の5つの自由度のみを突き止めてコントローラ302に送っているので、コントローラ302は、磁気源309の6番目の自由度を突き止めなければならない。幾つかの実施形態では、6番目の自由度は、コントローラ302によって既に突き止められまたは知られている。例えば、磁石450が互いに対して所定の角度をなして関連の骨の中に植え込まれる実施形態では、かかる所定の角度を第6番目の自由度としてコントローラ302に提供するのがよい。変形例として、関連の骨の解剖学的構造および磁気源309の3次元画像が図25と関連して上述したアルゴリズム800を用いて求められる実施形態では、磁石450のセントロイド相互間の並進ベクトルの3つの成分および2つの磁石450相互間の空間関係を定める2つの角度回転度を含む1×5行列をプロセスステップ810において決定しておくのがよい。しかしながら、行列がたとえ先に突き止められていなくても、コントローラ302は、プロセスステップ750においてその行列を突き止めるよう構成されているのがよい。そのようにするため、コントローラ302は、図28に示すと共に図28を参照して上述したアルゴリズム850を実行するのがよい。
【0168】
磁気源309の6つの自由度をいったん求めると、プロセスステップ750において、骨の解剖学的構造の描画像を、磁気源309の6つの自由度およびアルゴリズム800のプロセスステップ808において求められた磁気源と骨の解剖学的構造との間の位置関係を表すデータに基づいて生成することができる。すなわち、磁気源309の6つの自由度が既知でありかつ骨の解剖学的構造と磁気源309との間の位置関係が既知なので、骨の解剖学的構造の6つの自由度を例えば単純なベクトル追加により求めることができる。通信リンク312を用いて描画像を表示装置306で外科医またはCAOSシステム300の他のユーザに表示するのがよい。
【0169】
図37のアルゴリズム700に戻ってこれを参照すると、骨の解剖学的構造をプロセスステップ712において登録した後、プロセスステップ714において磁気源309を患者の骨の解剖学的構造から取り外すのがよい。そのようにするため、磁気センサアレイ604,606を用いて磁気源309を形成する個々の磁石450の場所を突き止めるのがよい。例えば、磁気センサアレイ604,606を磁気センサアレイ604,606の表示器680が作動されるまで患者の皮膚上を横切って動かす、かかる作動により、磁気センサアレイ604,606が磁石450のそれぞれの磁界の中に位置していることが分かる。次に、適当な手術手技を用いて個々の磁石450を取り出すのがよい。他の実施形態、例えば、センサアレイ54が反射センサアレイではなく、ワイヤレス送信器(即ち、電磁センサアレイ)として具体化されている実施形態では、磁気源309を整形外科手術手技の実施に先立って患者の骨から取り出してセンサアレイ54の動作に対する磁気的な干渉を回避するのがよい。しかしながら、この場合もまた、磁気源309が整形外科手術手技の実施中患者の骨に結合されたままである場合、骨を任意の時点でかつ手技中必要なほど頻繁に登録するのがよい。
【0170】
プロセスステップ716において、整形外科手術手技を実施する。アルゴリズム720のプロセスステップ73で生成されていて、磁気センサアレイ604,606から受け取った位置データ、角度データおよび距離データに基づく位置および向きで表示装置306上に表示された関連の骨の解剖学的構造の画像、ならびに骨の解剖学的構造に結合された磁気源の位置を表す指標を有する骨の解剖学的構造の生成画像を用いて整形外科手術手技を実施する。外科医は、システム300を用いて図1〜図17に示すと共に図1〜図17を参照して上述したCAOSシステム10とほぼ同じ仕方で整形外科手術プロセスをナビゲートして進むのがよい。例えば、骨の解剖学的構造に関するナビゲーションは、骨の解剖学的構造に結合された反射センサアレイ、例えば、図3の脛骨アレイ60とほぼ同じ反射センサアレイを用いることによって容易になりうる。しかしながら、患者の骨の解剖学的構造を登録するこのアルゴリズム700は、図6に示すと共に図6を参照して上述したアルゴリズム100のプロセスステップ106に完全にまたは部分的に取って代わることができることは理解されるべきである。
【0171】
開示内容を図面に示すと共に上記説明において詳細に説明したが、かかる図面の記載および説明は、性質上例示であって本発明を限定するものではないと解釈されるべきであり、例示の実施形態を示すと共に説明したに過ぎず、本発明の精神に属する全ての変更および改造は、保護されることが望まれることは言うまでもない。
【0172】
本明細書において説明したシステムおよび方法の種々の特徴により得られる本発明の利点は複数ある。本発明のシステムおよび方法の変形実施形態は、説明した特徴の全てを有するわけではないが、かかる特徴の利点のうちの少なくとも幾つかの恩恵を受けることは注目されよう。当業者であれば、本発明の特徴のうちの1つまたは2つ以上を含み、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に属するシステムおよび方法の具体化例を容易に想到できる。
【0173】
〔実施の態様〕
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(A1)患者の骨に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
(i)磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界を測定するステップであって、前記磁界が、複数の三次元磁束密度で定められる、ステップと、
(ii)前記測定ステップに基づいて空間中の複数の点のところでの前記磁気源の前記三次元磁束密度の成分を表す第1のデータを生成するステップと、
(iii)前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
(iv)前記推定位置に基づいて前記磁気源の前記三次元磁束密度の前記成分の理論的値を表す第2のデータを計算するステップと、
(v)前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算するステップと、
(vi)前記ステップ(iii)〜ステップ(v)を繰り返し実施して前記第1のデータと前記第2のデータの差が所定の最小しきい値よりも小さくなるようにするステップと、を有する、方法。
(A2)実施態様(A1)記載の方法において、
前記測定ステップは、空間中の一点のところの前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分およびY成分を測定するステップと、前記X成分測定値および前記Y成分測定値が最小限に抑えられるよう前記磁気センサアレイを前記磁気源の長手方向軸線上に位置決めするステップと、を含む、方法。
(A3)実施態様(A1)記載の方法において、
第1のデータを生成する前記ステップは、空間中の前記複数の点のところにおける前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分値、Y成分値、およびZ成分値を表す電圧値を生じさせるステップを含む、方法。
(A4)実施態様(A1)記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの少なくとも1つの磁気センサの配設場所のX座標値、Y座標値、およびZ座標値を推定するステップを含む、方法。
(A5)実施態様(A4)記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源のX軸回りの回転量を表す第1の値および前記磁気源のY軸回りの回転量を表す第2の値を推定するステップを含む、方法。
(A6)実施態様(A1)記載の方法において、
前記推定ステップは、前記磁気源の少なくとも5つの自由度に関する値を推定するステップを含む、方法。
(A7)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、空間中の一点のところの前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分、Y成分、およびZ成分の理論的値を計算するステップを含む、方法。
(A8)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数3】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bxは、X成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する磁気センサのY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、方法。
(A9)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数4】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のY成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Byは、Y成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、方法。
【0174】
(A10)実施態様(A1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数5】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のZ成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bzは、Z成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサのX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、方法。
(A11)実施態様(A1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算する前記ステップは、空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定X成分と推定X成分の差を計算するステップと、空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Y成分と推定Y成分の差を計算するステップと、空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Z成分と推定Z成分の差を計算するステップと、を含む、方法。
(A12)実施態様(A1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算する前記ステップは、前記第1のデータと前記第2のデータの差の二乗の合計を計算するステップを含む、方法。
(A13)実施態様(A12)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差の二乗の合計を計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数6】
を用いて前記第1のデータと前記第2のデータの前記差の二乗の前記合計を計算するステップを含み、上式において、
Fは、加重和であり、
nは、測定される磁界強度成分の数であり、
wiは、i番目の測定成分に関する重み係数であり、
Bthは、i番目の測定成分の理論的値であり、
Bmeは、i番目の測定成分の測定値である、方法。
(A14)実施態様(A1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータの差を計算する前記ステップは、前記差の二乗の加重二乗根の和を計算するステップを含む、方法。
(A15)実施態様(A12)記載の方法において、
前記磁気源の位置を突き止める前記ステップは、小域的最適化アルゴリズムを用いて前記推定位置を調節することにより前記第1のデータと前記第2のデータの前記差の二乗の前記和の最小値を求めるステップを含む、方法。
(A16)実施態様(A12)記載の方法において、
前記磁気源の位置を突き止める前記ステップは、大域的最適化アルゴリズムを用いて前記推定位置を調節することにより前記第1のデータと前記第2のデータの前記差の二乗の前記和の最小値を求めるステップを含む、方法。
【0175】
(A17)患者の骨に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
空間中の複数の点における前記磁気源により生じた磁界の三次元磁束密度成分を測定するステップと、
前記磁気源の推定位置に基づいて空間中の前記複数の点の各々における理論的三次元磁束密度の成分を計算するステップと、
前記測定した三次元磁束密度成分と前記理論的三次元磁束密度成分の差の二乗の和を計算するステップと、
前記和が所定の最小しきい値よりも小さくなるように、前記和を最適化するステップと、を有する、方法。
(A18)実施態様(A17)記載の方法において、
前記和を最適化する前記ステップは、前記推定位置を調節することにより前記和の局所最小値を求めるステップと、前記局所最小値に基づいて前記磁気源の前記位置を突き止めるステップと、を含む、方法。
(A19)実施態様(A17)記載の方法において、
前記磁気源の前記位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源の少なくとも5つの自由度の値を求めるステップを含む、方法。
【0176】
(A20)磁気センサアレイに対する磁気源の位置を突き止める方法において、
空間中の多数の点において前記磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界の三次元磁束密度成分を測定するステップと、
前記磁気センサアレイに対する前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
空間中の前記複数の点の各々における前記推定位置に基づいて理論的な三次元磁束密度成分を計算するステップと、
前記推定位置を調節することにより、前記和が所定のしきい値よりも小さくなるまで、空間中の各点における前記測定された三次元磁束密度成分とこれらに対応した前記理論的三次元磁束密度成分の差の二乗の和を減少させるステップと、を有する、方法。
【0177】
(B1)固定構造物に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
(i)磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界を測定するステップであって、前記磁界が、複数の三次元磁束密度で定められる、ステップと、
(ii)前記測定ステップに基づいて空間中の複数の点のところでの前記磁気源の前記三次元磁束密度の成分を表す第1のデータを生成するステップと、
(iii)前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
(iv)前記推定位置に基づいて前記磁気源の前記三次元磁束密度の前記成分の理論的値を表す第2のデータを計算するステップと、
(v)前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算するステップと、
(vi)前記ステップ(iii)〜ステップ(v)を繰り返し実施して前記第1のデータと前記第2のデータとの差が所定の最小しきい値よりも小さくなるようにするステップと、
を有する、方法。
(B2)実施態様(B1)記載の方法において、
前記測定ステップは、
空間中の一点のところの前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分およびY成分を測定するステップと、
前記X成分測定値および前記Y成分測定値が最小限に抑えられるよう前記磁気センサアレイを前記磁気源の長手方向軸線上に位置決めするステップと、
を含む、
方法。
(B3)実施態様(B1)記載の方法において、
第1のデータを生成する前記ステップは、空間中の前記複数の点のところにおける前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分値、Y成分値、およびZ成分値を表す電圧値を生じさせるステップを含む、方法。
(B4)実施態様(B1)記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの少なくとも1つの磁気センサの配設場所のX座標値、Y座標値、およびZ座標値を推定するステップを含む、方法。
(B5)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、空間中の一点のところの前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分、Y成分、およびZ成分の理論的値を計算するステップを含む、方法。
(B6)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数7】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bxは、X成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する磁気センサのY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
(B7)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数8】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のY成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Byは、Y成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
(B8)実施態様(B1)記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数9】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のZ成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bzは、Z成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサのX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
(B9)実施態様(B1)記載の方法において、
第1のデータと第2のデータの差を計算する前記ステップは、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定X成分と推定X成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Y成分と推定Y成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Z成分と推定Z成分との差を計算するステップと、
を含む、
方法。
(B10)実施態様(B1)記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算する前記ステップは、前記第1のデータと前記第2のデータとの差の二乗の合計を計算するステップを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】コンピュータ支援整形外科手術(CAOS)システムの斜視図である。
【図2】図1のCAOSシステムの単純化された略図である。
【図3】骨ロケータツールの斜視図である。
【図4】図1のシステムに用いられる登録ツールの斜視図である。
【図5】図1のシステムに用いられる整形外科手術ツールの斜視図である。
【図6】図1のCAOSシステムにより利用されるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図7】図6のアルゴリズムの特定の一実施形態の単純化された流れ図である。
【図8】図1のシステムの作動中、外科医に表示される1つの画面像を示す図である。
【図9】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図10】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図11】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図12】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図13】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図14】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図15】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図16】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図17】図1のシステムの作動中、外科医に表示される別の画面像を示す図である。
【図18】磁気センサアレイを含む別のCAOSシステムの単純化された略図である。
【図19】図18の磁気センサアレイのセンサ回路の一実施形態の単純化された回路図である。
【図20】図19のセンサ回路の磁気センサ配列の一実施形態の平面図である。
【図21】図18の磁気センサアレイの別の実施形態の側面図である。
【図22】図18の磁気センサアレイの更に別の実施形態の側面図である。
【図23】磁気源の一実施形態の斜視図である。
【図24】CAOSシステムを用いて、骨を登録するアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図25】骨の三次元画像を生成するアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図26】磁気センサアレイを作動させるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図27】磁気源の位置を突き止めるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図28】患者の骨の解剖学的構造の位置を突き止めるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図29】2つまたは3つ以上の磁石の位置を関連させる並進および回転行列を突き止めるアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図30】図18の磁気センサアレイに結合された試験装置の側面図である。
【図31】図23の磁気源に用いられる植え込み可能なカプセルの斜視図である。
【図32】患者の骨の中に植え込まれた図31の植え込み可能なカプセルの断面側面図である。
【図33】図31のカプセルを植え込むためのジグ組立体の斜視図である。
【図34】磁気センサアレイの別の実施形態の側面図である。
【図35】磁気センサ装置の一実施形態の側面図である。
【図36】図27の磁気センサ装置のセンサ回路の一実施形態の単純化された回路図である。
【図37】図27の磁気センサ装置を用いるCAOSシステムにより骨を登録するアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【図38】図29のアルゴリズムのサブアルゴリズムの単純化された流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定構造物に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
(i)磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界を測定するステップであって、前記磁界が、複数の三次元磁束密度で定められる、ステップと、
(ii)前記測定ステップに基づいて空間中の複数の点のところでの前記磁気源の前記三次元磁束密度の成分を表す第1のデータを生成するステップと、
(iii)前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
(iv)前記推定位置に基づいて前記磁気源の前記三次元磁束密度の前記成分の理論的値を表す第2のデータを計算するステップと、
(v)前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算するステップと、
(vi)前記ステップ(iii)〜ステップ(v)を繰り返し実施して前記第1のデータと前記第2のデータとの差が所定の最小しきい値よりも小さくなるようにするステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記測定ステップは、
空間中の一点のところの前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分およびY成分を測定するステップと、
前記X成分測定値および前記Y成分測定値が最小限に抑えられるよう前記磁気センサアレイを前記磁気源の長手方向軸線上に位置決めするステップと、
を含む、
方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
第1のデータを生成する前記ステップは、空間中の前記複数の点のところにおける前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分値、Y成分値、およびZ成分値を表す電圧値を生じさせるステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの少なくとも1つの磁気センサの配設場所のX座標値、Y座標値、およびZ座標値を推定するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、空間中の一点のところの前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分、Y成分、およびZ成分の理論的値を計算するステップを含む、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数1】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bxは、X成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する磁気センサのY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数2】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のY成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Byは、Y成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数3】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のZ成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bzは、Z成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサのX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
第1のデータと第2のデータの差を計算する前記ステップは、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定X成分と推定X成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Y成分と推定Y成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Z成分と推定Z成分との差を計算するステップと、
を含む、
方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算する前記ステップは、前記第1のデータと前記第2のデータとの差の二乗の合計を計算するステップを含む、方法。
【請求項1】
固定構造物に結合された磁気源の位置を突き止める方法において、
(i)磁気センサアレイを用いて前記磁気源により生じた磁界を測定するステップであって、前記磁界が、複数の三次元磁束密度で定められる、ステップと、
(ii)前記測定ステップに基づいて空間中の複数の点のところでの前記磁気源の前記三次元磁束密度の成分を表す第1のデータを生成するステップと、
(iii)前記磁気源の推定位置を突き止めるステップと、
(iv)前記推定位置に基づいて前記磁気源の前記三次元磁束密度の前記成分の理論的値を表す第2のデータを計算するステップと、
(v)前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算するステップと、
(vi)前記ステップ(iii)〜ステップ(v)を繰り返し実施して前記第1のデータと前記第2のデータとの差が所定の最小しきい値よりも小さくなるようにするステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記測定ステップは、
空間中の一点のところの前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分およびY成分を測定するステップと、
前記X成分測定値および前記Y成分測定値が最小限に抑えられるよう前記磁気センサアレイを前記磁気源の長手方向軸線上に位置決めするステップと、
を含む、
方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
第1のデータを生成する前記ステップは、空間中の前記複数の点のところにおける前記磁気源の前記三次元磁束密度のX成分値、Y成分値、およびZ成分値を表す電圧値を生じさせるステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
推定位置を突き止める前記ステップは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの少なくとも1つの磁気センサの配設場所のX座標値、Y座標値、およびZ座標値を推定するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、空間中の一点のところの前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分、Y成分、およびZ成分の理論的値を計算するステップを含む、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数1】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のX成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bxは、X成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する磁気センサのY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数2】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のY成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Byは、Y成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサの推定位置のX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
第2のデータを計算する前記ステップは、以下の方程式、即ち、
【数3】
を用いて前記磁界の前記三次元磁束密度のZ成分の理論的値を計算するステップを含み、上式において、
Bzは、Z成分の理論的値であり、
xは、前記磁気源に対する前記磁気センサアレイの磁気センサのX座標値であり、
yは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のY座標値であり、
zは、前記磁気源に対する前記磁気センサの推定位置のZ座標値であり、
Θは、前記磁気源の前記推定位置のX軸回りの回転値であり、
Φは、前記磁気源の前記推定位置のY軸回りの回転値であり、
μは、自由空間の透磁率であり、
mは、前記磁気源の磁界強度であり、
である、
方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
第1のデータと第2のデータの差を計算する前記ステップは、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定X成分と推定X成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Y成分と推定Y成分との差を計算するステップと、
空間中の一点における前記磁気源の前記三次元磁束密度の測定Z成分と推定Z成分との差を計算するステップと、
を含む、
方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記第1のデータと前記第2のデータとの差を計算する前記ステップは、前記第1のデータと前記第2のデータとの差の二乗の合計を計算するステップを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2007−248451(P2007−248451A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−355348(P2006−355348)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355348(P2006−355348)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
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