説明

磁気粒子再懸濁プローブ・モジュール

酸注入モジュール又はハウジングは、二重平行注入プローブを有する。高精密照準戦略が使用され、種々のシステムの物理的成分の公差積み重ねとは無関係に、蓄積された固相粒子の完全に同種の再懸濁が確実に達成されるようにする。二重平行注入器プローブは、反応容器壁上に実質的に隣接する衝突ゾーンを与えるに必要な度合いだけ離れて配置されている。固相粒子に対するヒットゾーン位置をもたらすことができる種々の物理的公差の分析を行うことによって、再懸濁磁石を使用することなしに、完全な再懸濁が達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
この出願は、2004年5月24日に出願された米国仮出願第60/574,000号に対する優先権を主張し、ここにその全体を参照によって組み入れる。
[連邦補助研究または開発に関する表明]
適用なし
【0002】
発明の背景
異種免疫検定法は典型的に、成分選択性粒子に結合された探求成分を、未結合又は自由な検定の成分から分離することを必要とする。この分離の効率を増すために、多くの検定では、検定の固相(結合成分)を最初の分離(液相の除去又は吸引)後に洗浄する。いくつかの化学ルミネセンス免疫検定法は、磁気分離を使用して、化学ルミネセンス又は現在結合されている成分の量を示す検出可能な信号の生成に使用される試薬を加える前に、未結合検定成分を反応容器から除去する。このことは、磁化可能な粒子、例えば限定されるものではないが、常磁性粒子、超常磁性粒子、強磁性粒子、及びフェリ磁性粒子を使用することによって達成される。検定用にテストされた成分は、検定のコース中に磁化可能な粒子上の成分特定部位に結合される。関連した磁化可能な粒子は、磁石に引き付けられて、反応容器内に保持されるが、未結合成分を含有した液相は、反応容器から吸引される。
【0003】
最初の分離後の固相の洗浄は、磁化可能な粒子が磁石に引き付けられている間に、洗浄溶液、例えば脱イオン化された水又は洗浄緩衝液を分配し、それから吸引することによって達成される。
【0004】
より大きな洗浄効率は、アレイ構造内の洗浄位置付近にギャップを有する磁石アレイに沿って反応容器を移動させ、洗浄溶液の分配中に磁化可能な粒子を再懸濁可能とすることによって達成される。アレイ内の後続位置には追加的な磁石があって、磁化可能な粒子をそれぞれの容器の側面上に再収集可能にする。
【0005】
反応容器の中身が反応容器の側面上のペレット内に再度蓄積され、且つ洗浄液が吸引されると、結合成分試薬を調節することに使用される酸試薬中の粒子を再懸濁することが望まれる。従来技術では、酸性試薬の単一の流れがペレットに注入される。ペレットのサイズと試薬の容積及び流率に対する制限故に、結果として不十分な再懸濁が生ずる。この不十分性に取り組むために、従来技術のシステムは、それまでの分離磁石から見てプロセス経路の逆側に配設された付加的な再懸濁磁石の使用に頼っていた。再懸濁磁石は、常磁性粒子を懸濁中に引き込むことを助けるように構成されているけれども、磁界は、ペレットが形成されている側から見て容器の逆側に粒子の凝集を引き起こすには不十分である。加えて、従来技術のアプローチは再懸濁磁石を使用するので、酸再懸濁液を正確に目指すモチベーションは少ない。懸濁された粒子の異質性は、再懸濁磁石によって扱われる。
再懸濁磁石の使用が不要にされるシステムを提供することは好ましい。
【0006】
[発明の簡単な要約]
改良された酸注入モジュールは、二重平行注入プローブを有する。高精密照準戦略が使用され、蓄積された固相粒子の完全に同種の再懸濁が確実に達成されるようにして、後続の再懸濁磁石位置に対する必要性を不要にする。
【0007】
二重平行注入器プローブ・ノズルは、反応容器壁上に実質的に隣接する衝突ゾーン(“ヒットゾーン”又は“ヒットポイント”とも呼ばれる)を与えるに必要な度合いだけ離れて配置されている。2本のノズル、従って2つのヒットゾーンの横方向スペースに対する注意深い制御を通して、且つ固相ペレットに対するヒットゾーン位置をもたらすことができる種々の物理的公差の厳しい分析を行うことによって、再懸濁磁石を使用することなしに、完全な再懸濁が達成できる。
【0008】
上述した方法及びシステムの他の特徴、形態及び利点は、後続する発明の詳細な説明から明らかとなる。
この発明は、図面に関連した以下の発明の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解される。
【0009】
[発明の詳細な説明]
現在開示されている概念は、特別な利用可能性を、自動化された実験分析アナライザに対して見出している。この場合、分離及び洗浄プロセスの一部として、常磁性粒子が反応容器の側面上のペレット内に引き込まれる。特に、アナライト濃度を決定するために化学ルミネサンスが利用されるアナライザでは、蓄積された粒子は、精密な示度を得るために完全に再懸濁されなければならない。そのようなシステムにおける1つのアプローチは、基剤を導入して、光学的測定装置、例えばルミノメータで、化学ルミネサンス応答を誘発する前に、蓄積され、洗浄された粒子を酸の中で再懸濁するものである。しかしながら、ここで留意されるべき点は、現在開示されている概念はまた、蓄積された粒子の完全な再懸濁が必要とされるどのような環境にも適用可能である、ということである。
【0010】
図1は、反応容器(キュベットとも呼ばれる)と、プローブノズルと、キュベットに対するプローブの理想方位とを描いている。2本のプローブが使用されているが、図1に描かれたプロフィールでは1本だけが見えている点に留意されたい。直線距離の値は、ミリメータで与えられている。図示のように、キュベット上面から下の、液体流がキュベット壁にヒットする所(ヒットポイントと呼ばれる)までの理想距離は、25.98mmである。描かれた実施形態では、このヒットポイントは、磁石アレイの中心線よりも5.74mm上方にある。この磁石アレイは、固体ペレットを形成すると共に、完全な粒子再懸濁を達成するために経験的に決定されたヒットポイントの理想位置を表す。プローブは、垂直から6.9度傾けられている。この場合、プローブ先端は、キュベット中心線よりも0.92ミリメータ後方且つキュベット上面よりも2.304mm上方に配置されている。これらの値は、以下で説明されるように、ヒットポイントをもたらすことができるワーストケースの公差誤差を計算することによって、且つ全ての公差が最大偏差を有すると仮定しても、それでもヒットポイントが磁石中心線よりも上方にある位置を見出すことによって得られる。
【0011】
図1に記載された構成によらない1つの実用的形態は、液体流それ自体にかかる重力の効果である。図1に描かれた理想ヒットポイントは、プローブの軸をキュベット壁に向かって延長することによって計算される。重力の効果故に、実ヒットポイントは、図1に描かれたものよりは僅かに下方になる。その距離は、以下のように計算される。
【0012】
図2に関して与えられた値には、以下のものが含まれる。
ポンプ流率 V=1300μl/s
プローブ内径 id=0.65mm
垂直からのプローブ傾斜 ψ=6.9°
垂直にプローブ先端からヒットポイントまで h=27.868mm
軸方向にプローブ先端からヒットポイントまで l=28.071mm
【0013】
プローブ先端における液体のスピードvは、ポンプ流率と針内径から求められる。
【数1】

【0014】
図2に関して、プローブ先端とキュベット壁との間の水平距離は、下式から計算できる。
【数2】

【0015】
図3に関して、液体流のアークは、下式から計算できる。
【数3】

【0016】
この項の第1の部分は、hに等しく、そして第2の部分は、図1に示された理想ヒットポイントと実ヒットポイントとの間の差を与える。
【0017】
全体的に見て、ヒットポイントに影響する4つの公差連鎖がある。
1)高さ公差−プローブ先端とキュベット上面との間の垂直ギャップに影響する部品の公差累積。
2)軸方向公差−プローブ先端とキュベットの中心軸との間の水平又は軸方向ギャップに影響する部品の公差累積。
3)角度公差−プローブ注入角度に影響する部品の公差累積(キュベット輸送システムの角度公差は、高さ誤差を生じるものと考えられ、従って高さ公差連鎖の一部であると考えられる)。
4)磁石アレイ−キュベットと磁石アレイ中心軸との間の垂直距離に影響する部品の公差累積。
【0018】
以下では、全ての公差連鎖が個別に扱われる。結局、総公差は、個別公差連鎖の結果を加算することによって推定される。
【0019】
個別公差連鎖に対する計算は、
関連した部品及びそれぞれの公差を識別して、公差連鎖の図式的既述を与える工程と、
公差連鎖の図式的ベクター分析工程と、
寸法、公差、最大寸法、最小寸法のテーブルの生成工程と、
理想閉包寸法の計算工程と、
演算最大及び最小閉包寸法並びに演算公差の計算工程と、
非対称公差ゾーンからの中間値並びに形状及び位置公差の中間値の識別工程と、
分布平均としての閉包寸法の生成工程と、
全ての寸法に対する偏差σ/平方偏差σの識別並びに誤差伝播の定理による総誤差の計算工程と、
統計的閉包寸法及び公差の評価工程と
を実行することによって行われる。
【0020】
全ての部品の寸法は、±3σの偏差を持つ正規ガウス分布を有するものと考えられる。このことは、全ての部品の99.73%が公差ゾーン内にあることを意味する。この仮定は、60〜100以上の部品のロットサイズについて現実的である。形状及び位置公差は、折り返し正規分布を有する。
【0021】
ヒットポイント公差の統計的計算にとって、プローブの線形位置及び角度に依存したヒットポイントの数学的既述は必要である。液体流のアークは、この時点では単純化のために省略されるが、後に要因として考慮される。
【0022】
プローブモジュール及びキュベットの単純化された配置が図4に示されている。キュベット壁のドラフト(抜き勾配)又は外側の湾曲は、省略されている。hは、キュベット上面とキュベットの内壁上のヒットポイントとの間の距離である。キュベットの幅は、一定であると仮定される。かくして、cwは、cw=2.73mmのように、キュベットの幅の半分を与える。
【数4】

前記では考慮されていなかったドラフト角βは、0.5°である。
【0023】
図5は、キュベット壁ドラフトによって作られたオフセットを描いている。値hは、ヒットポイントの実値hrealを得るために、hから演繹されなければならない。
【数5】

【0024】
(式1)。図1から投影された値を対照としてx、y及びψに置き換えることにより、hrealに対する正しい値25.98mmが与えられる。
【0025】
高さ公差は、高さに公差を加える全ての部品を描いた図6に関して考えられる。これらの部品には、酸注入プローブモジュールが搭載されるワッシャ板と、プローブモジュールと、キュベットが配設されるキュベット輸送リングセグメントと、このリングセグメントが配設される輸送リングとが含まれる。輸送リングは、テーパローラ軸受けと、対向するサークリップとによって支持されている。ワッシャ板とテーパローラ軸受け/サークリップの双方は、インキュベーションリング上に支持されている。
【0026】
高さに関するワーストケースについて、全ての公差はそれらの最大値にあると仮定される。それ故、ワッシャ板とキュベットとの間の公差は最小となる。ヒットポイントは、このようにしてキュベットの底に向かって低くされる。このことを達成するために、図6の左側の部品は、それらの最小厚さでなければならないのに対し、右側の部品は、それらの最大厚さでなければならない。これらの要求は、図6に大きな矢印によって描かれている。
【0027】
図7のベクター図は、全ての寸法を、それらの最大化又は最小化方向を伴って示している。M0は、所謂閉包寸法、又はプローブ先端とキュベット上面との間の垂直ギャップである。式中で、この値はyと呼ばれる。一定ベクターは、図6に示された2つの一定値、即ちキュベット上面の厚さと、プローブ先端とワッシャ板との間の垂直距離とを合計する。
【0028】
以下の表に、全てのファクターが、それぞれの最大及び最小値並びに結果として得られる公差ゾーンと共に、与えられている。
【0029】
【表1】

【0030】
名目閉包寸法M0Hは、以下の通りである。
【数6】

【0031】
演算最大閉包寸法ymaxは、以下の通りである。
【数7】

【0032】
演算最小閉包寸法yminは、以下の通りである。
【0033】
【数8】

【0034】
公差ゾーンを持つ演算閉包寸法は、かくして以下の通りとなる。
【数9】

【0035】
成分変動を考慮することに、いくつかの統計的計算が必要とされる。非対称公差ゾーンからの中間値M2,M4,M5及びM6が規定される。M2については、次の通りである。
【数10】

【0036】
同様の計算は、M4,M5及びM6について、次のものを生じる。
【数11】

【0037】
M1,M8及びM11については、形状及び位置公差が、折り返し正規分布で分布される。従って、中間値と偏差は、以下の等式で計算されなければならない。
3σの偏差は、それにより次のように仮定される。
【数12】

【0038】
閉包寸法μ0Hは、分布平均として次のように計算される。
【数13】

【0039】
閉包寸法の偏差σ0Hは、次の通りである。
【数14】

【0040】
公差ゾーンを持つ統計的閉包寸法は、以下の通りとなる。
【数15】

【0041】
次に、軸方向公差が考えられる。図8は、軸方向の公差に寄与する成分を描いている。プローブがインキュベーションリングの内部に向かって変位されると共に、キュベットがプローブから離れるように変位されると、ワーストケースになる。図8の大きな矢印は、これらの条件を描いている。
【0042】
図9のベクター図は、種々の寄与ファクターを、それぞれの方向を伴って示している。M0は、閉包寸法、ここではプローブ先端とキュベット中心線との間の水平ギャップである。後続する式中で、この値はxとして識別される。
【0043】
一定ベクターは、図8に示された一定値であって、プローブ先端とキュベット中心線との間の水平距離を表す。この分離の公差は、好ましい機器の構成に起因して無視できる。
【0044】
以下の表に、寄与体の全てが、それらの最大及び最小値並びに公差ゾーンと共に、与えられている。
【0045】
【表2】

【0046】
名目閉包寸法M0Aは、次のように与えられる。
【数16】

【0047】
演算最大閉包寸法xmaxは、次のように与えられる。
【数17】

【0048】
演算最小閉包寸法yminは、次のように与えられる。
【数18】

【0049】
これらの値から、公差ゾーンを持つ演算閉包寸法は、次のように与えられる。
【数19】

【0050】
成分変動を考慮することに、いくつかの統計的計算が必要とされる。形状及び位置の中間値は、公差M13について、次のように規定される。
【数20】

【0051】
閉包寸法μ0Aは、分布平均として次のように与えられる。
【数21】

【0052】
閉包寸法の偏差σ0Aは、次のように決定される。
【数22】

【0053】
公差ゾーンを持つ統計的閉包寸法は、次のように与えられる。
【数23】

【0054】
次に、注入傾斜公差が扱われる。ワッシャ板の穴の公差は、M16=±0.05°である。プローブ穴の軸と注入器外径の軸との平行度は、M17=0.05mmである。18mmの長さにより、以下の角度公差を生じる。
【数24】

【0055】
【表3】

【0056】
名目角度ψは、次のように与えられる。
【数25】

【0057】
演算最大角度ψmaxは、次のように与えられる。
【数26】

【0058】
演算最小角度ψminは、次のように与えられる。
【数27】

【0059】
公差ゾーンを持つ閉包寸法は、かくして次のように与えられる。
【数28】

【0060】
成分変動を考慮することに、いくつかの統計的計算が必要とされる。形状及び位置の中間値は、公差M17について、次のように規定される。
【数29】

【0061】
平均角度分布μ0ψは、次のように与えられる。
【数30】

【0062】
角度誤差の変位は、次のように与えられる。
【数31】

【0063】
かくして、公差ゾーンを持つ統計的角度誤差は、次のように与えられる。
【数32】

【0064】
realに対するワーストケース計算は、演算最大値xmax,ymax及びψmaxを式1中に設定することによって計算できる。
【数33】

【0065】
演算最大値は、以下の類似物を使用して計算できる。
【数34】

【0066】
かくして、公差ゾーンを持つヒットポイントの演算偏差は、次のように与えられる。
【数35】

【0067】
分布平均としてのヒットポイントμは、μ0H=1.974、μ0A=0.9、μ0ψ=6.986°及び式1を使用して、次のようになる。
【数36】

【0068】
変数σ0H,σ0A,σ0ψに依存するヒットポイントの統計的分布σは、式1を使用して計算できる。分布平均における部分導関数を使用する。
【数37】

【0069】
μ0H=1.974、μ0A=0.9、μ0ψ=6.986°及びσ0H=0.135、σ0A=0.054及びσ0ψ=0.017°により、次の結果が生じる。
【数38】

【0070】
かくして、公差ゾーンを持つヒットポイントの統計的偏差は、次のように与えられる。
【数39】

【0071】
ペレットが磁石アレイによって形成される実施形態では、キュベットに対するアレイの公差も考慮されなければならない。好ましい実施形態では、磁石は、輸送リングの下に懸架されたリング内に固定される。磁石の公差の大半は、先に計算された高さ公差で扱われる。かくして、考慮されるべき公差は、以下のだけである。
M18−スライド軸受けと、
M19−磁石リング(即ち、磁石リング内の磁石アセンブリの位置)と、
M20−磁石アセンブリ(即ち、磁石アセンブリが固定される固定物の公差)と、
M21−スライド軸受け支持体。
【0072】
上記の全ては、同じ方向の移動に寄与する。
【表4】

【0073】
名目閉包寸法M0Mは、次のように与えられる。
【数40】

【0074】
演算最大閉包寸法P0Mは、次のように与えられる。
【数41】

【0075】
演算最小閉包寸法P0Mは、次のように与えられる。
【数42】

【0076】
かくして、公差ゾーンを持つ演算閉包寸法は、次のように与えられる。
【数43】

【0077】
非線形公差ゾーンM18からの中間値は、次のように与えられる。
【数44】

【0078】
分布平均としての閉包寸法μ0Mは、以下に従って見出される。
【数45】

【0079】
閉包寸法の偏差σ0Mは、次のように与えられる。
【数46】

【0080】
かくして、公差ゾーンを持つ閉包寸法は、次のようになる。
【数47】

【0081】
磁石中心線とキュベット上面の酸注入位置との間の名目距離は、31.72mmである。
【0082】
この値は、上記に掲載された名目寸法によって、次のように計算できる。
【数48】

(3.9は、上側磁石と磁石リングとの間の距離であり、6.35は、磁石幅である)。
【0083】
キュベット上面に対するヒットポイントの偏差σと公差ゾーンTSHは、25.98±1.305mmであると上記で推定された。ヒットポイントと磁石中心線との間の名目測定値は、かくして次のようになる。
【数49】

【0084】
ヒットポイントと磁石中心線間の差の総偏差σは、かくして次のように計算される。
【数50】

【0085】
公差ゾーンを持つ磁石中心線に対するヒットポイントの統計的誤差は、次のように書くことができる
【数51】

【0086】
一度0.25mmが加えられて、液体流のアークを補償した後は、酸注入は、磁石中心線より上方で、4.167mmよりも深くない位置のキュベット壁をヒットするように計算される。
【0087】
プローブハウジング100の1つの実施形態が図11に描かれている。このハウジングは、液体、好ましくは酸の平行な流れを、キュベットのような反応容器の内壁上に蓄積された常磁性粒子のような粒子のペレットの上方に注ぐように搭載された二重プローブノズル102を支持している。上記に詳述した公差分析手順に従うことによって、両方の酸の流れに対するヒットポイントは、システムの物理的成分の変化とは関係なく、ペレットの上方となることが確実にされる。
【0088】
図11,12及び13の直線寸法は、全てミリメータで与えられている。プローブハウジング100の前面図が図11に与えられ、再懸濁液の平行な流れを作る互いに隣接したノズルを示している。図11の線A−Aに沿った断面図である図12では、理想的に再懸濁液の源がプローブハウジングの裏面に結合されていることが見られる。図11の線B−Bに沿った断面図である図13に見られるように、液体源は、両方のノズル102に液を供給して、5ミリメータ離れた平行な流れを発生する。
【0089】
プローブハウジング100の裏面上には、再懸濁液供給導管(図示せず)に接続するための搭載用凹部110がある。ハウジング100に対する導管の固定的取り付けは、連結ネジ部や当業者に既知の他の手段によることが好ましい。緩衝ゾーン112が、凹部110内に設置された導管の前端との間に存在することが好ましい。導管からの液体は、緩衝ゾーン内に進み、その後それぞれのプローブ116とプローブノズル102自体へと導く2つのチャネル114の各々に進む。図示の実施形態では、プローブ116とノズル102は、直径0.65±0.02mmである。
【0090】
現在開示されている発明の好ましい実施形態が説明されてきたが、当業者には、これら概念を組み入れた他の実施形態及び変形例が実施され得ることは明らかである。従って、この発明は、説明された実施形態に限定されるものとみなされるべきではなく、むしろ添付された請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】現在開示されている発明に係る再懸濁プローブの反応容器に対する最適方位を描いている。
【図2】図1のプローブの最適方位を規定することに使用された所定の物理的パラメータを描いている。
【図3】図1のプローブの最適方位を規定することに使用された追加的な物理的パラメータを描いている。
【図4】図1のプローブの最適方位を規定することに使用された追加的な物理的パラメータを描いている。
【図5】図1のプローブの最適方位を規定することに使用された追加的な物理的パラメータを描いている。
【図6】垂直公差に寄与するシステム部品であって、図1の最適プローブ方位を規定することに配慮されなければならないシステム部品を絵入りで描いている。
【図7】図6の公差に寄与する部品のベクトル図表現である。
【図8】水平公差に寄与するシステム部品であって、図1の最適プローブ方位を規定することに配慮されなければならないシステム部品を絵入りで描いている。
【図9】図8の公差に寄与する部品のベクトル図表現である。
【図10】現在開示されている発明に係るプローブモジュールの斜視図である。
【図11】図10のプローブモジュールの正面図である。
【図12】図10及び11の線A−Aに沿ったプローブモジュールの断面図である。
【図13】図10及び11の線B−Bに沿ったプローブモジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0092】
100 プローブハウジング
102 二重プローブノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄積された粒子の再懸濁を反応容器内で可能にするための再懸濁ノズルモジュールであって、
分析装置に搭載可能なプローブハウジングと、
モジュールを再懸濁液の源に接続するためにプローブハウジングの裏面上に設けられた搭載用凹部と、
プローブハウジング内に規定されて、搭載用凹部に流体連通した複数のチャネルと、
プローブハウジング内に規定されて、各々がチャネルのそれぞれに流体連通した複数のプローブと、
プローブハウジングの前面上に形成されて、各々がプローブのそれぞれに流体連通した複数のプローブノズルとを備え、
複数のプローブ及びプローブノズルは、互いに平行であることを特徴とする再懸濁ノズルモジュール。
【請求項2】
複数のプローブノズルは、再懸濁液の平行な流れを分配するように構成されている請求項1に記載の再懸濁ノズルモジュール。
【請求項3】
少なくとも1つの再懸濁液ノズルと、連続して搬送される反応容器とを有し、固体粒子が各反応容器の内壁に接して蓄積され、再懸濁を必要とする自動化された分析システムにおいて、各ノズルを検証する方法は、蓄積された固体粒子に対する各反応容器の内壁上の標的領域内で再懸濁液の流れを放出することができ、この方法は、
再懸濁液の流れが標的領域をヒットするに必要なノズルと標的領域間の線形及び角度寸法オフセット値を規定する工程と、
非ゼロ位置公差をそれぞれの寸法又は複数の寸法に有する全てのシステム成分について、それぞれの位置公差を識別する工程と、
ノズルとそれぞれの標的と間のそれぞれの寸法又は複数の寸法の差に対する名目値及び公差を閉包値として決定する工程と、
それぞれの寸法又は複数の寸法における閉包値の総偏差を、非ゼロ位置公差をそれぞれの寸法に有する全ての成分について計算する工程と、
非対称公差分布をそれぞれの寸法又は複数の寸法に有する全てのシステム成分について、各々の中間値及び偏差を決定する工程と、
折り返し正規公差分布をそれぞれの寸法又は複数の寸法に有する全てのシステム成分について、各々の中間値及び偏差を決定する工程と、
公差の有る統計的閉包値を、決定された中間値及び偏差と、それぞれの寸法又は複数の寸法における計算された総偏差とに基づいて決定する工程と、
各寸法又は複数の寸法における閉包値の総偏差から、標的の演算偏差を計算する工程と、
各寸法における統計的閉包値から、標的からの総統計的偏差を推定する工程と、
総統計的偏差から、公差の有る標的からの統計的誤差を求める工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項4】
少なくとも1つの再懸濁液ノズルと、連続して搬送される反応容器とを有し、固体粒子が各反応容器の内壁に接して蓄積され、固体粒子は選択的な再懸濁を必要とする自動化された分析システムにおいて、各ノズルを検証する方法は、蓄積された固体粒子に対する各反応容器の内壁上の標的領域内で再懸濁液の流れを放出することができ、この方法は、
再懸濁液を標的領域内でキュベットに衝突可能にするノズルの理想的線形及び角度オフセット値を、キュベットに対して、垂直及び水平線形寸法に沿い且つそれにより規定される角度面内で規定する工程と、
各線形寸法及び角度面での公差積み重ねに寄与する全ての構造的成分を識別する工程と、
名目線形寸法又は角度方位及び公差範囲があれば、それらを各線形寸法及び角度面の各構造的成分について識別する工程と、
名目閉包値を、各線形寸法及び角度面について、理想的線形及び角度のオフセット値とそれぞれの合計構造的成分の名目線形及び角度の測定値との間の差として演算的に計算する工程と、
名目閉包値の公差範囲を、各線形寸法及び角度面について、それぞれの線形寸法及び角度面における構造的成分のそれぞれの公差の演算合計として決定する工程と、
公差中間値及び偏差値を、各線形寸法及び角度面の各構造的成分について決定する工程と、
名目閉包値を、各線形寸法及び角度面について、それぞれの構造的成分の公差中間値の分布された平均として統計的に計算する工程と、
それぞれの公差ゾーンを、各線形寸法及び角度面について、それぞれの構造的成分の公差偏差値から統計的に計算する工程と、
それぞれの統計的に計算された名目閉包値及び公差ゾーンに従って、線形寸法及び角度面内でノズルを方位付けする工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項5】
方位付けする工程は、キュベット側壁ドラフトを補償する工程を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
固体粒子は、磁石アレイの作用によって各反応容器の内壁に接して蓄積されるものであり、そして方位付けする工程は、磁石アレイに関連して統計的に計算された名目水平閉包値及び公差値に従って方位付けする工程を含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
方位付けする工程は、再懸濁液の流れに加わる重力の効果を補償する工程を含む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
重力の効果を補償する工程は、再懸濁液が流れる率と、各ノズルの直径とを更に識別する工程を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ハウジング内で搭載用凹部と複数のチャネルとの中間に規定された緩衝ゾーンを更に備え、この緩衝ゾーンは複数のチャネル間の圧力等化を可能にする請求項1に記載の再懸濁ノズルモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−500538(P2008−500538A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515266(P2007−515266)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/018238
【国際公開番号】WO2005/116633
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(500095333)バイエル コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】