磁気記録および再生システム
【課題】読み取り/書き込みヘッド等の重量および複雑さを低減させながら、データディスクドライブの保存容量の増大を図った磁気記録および再生システムを提供する。
【解決手段】ガラス基板245の一主面上の複数の環状の凹部には熱伝導性の金属610が堆積されており、複数の環状の凸部の頂部と、複数の環状の凹部に堆積された複数の熱伝導性の金属の頂部とは、面一とされており、その上に形成された磁気記録層202,204を有し、この磁気記録層において複数の熱伝導性の金属の頂部上に設けられている部分を複数の磁気データトラック103とする。
【解決手段】ガラス基板245の一主面上の複数の環状の凹部には熱伝導性の金属610が堆積されており、複数の環状の凸部の頂部と、複数の環状の凹部に堆積された複数の熱伝導性の金属の頂部とは、面一とされており、その上に形成された磁気記録層202,204を有し、この磁気記録層において複数の熱伝導性の金属の頂部上に設けられている部分を複数の磁気データトラック103とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学及び磁気素子を利用するデータ保存及び検索システムとして用いられる、磁気記録および再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気-光学(MO)ディスクドライブの先行技術において、データは、保存データ領域内の磁気ドメインの上下の配向により、偏光レーザに課した時計回り又は反時計回りの分極(polarization)回転として読取られる。データを含む最小の領域は、偏光により形成された光学スポットのサイズの関数である。分極回転に埋め込まれた情報は光学的読出し手段が必要である。先行技術における光学読出し手段は、複数のバルキーであり複雑な光学素子を含み、それらの幾つかは磁気光学ヘッドに配設される。光学素子は分極回転から得られた情報信号の信号-ノイズ比(SNR)を劣化させる。
【0003】
更に、磁気の基づくディスクドライブは本技術分野では周知である。磁気ドライブでは、一般には磁気ヘッドに磁気抵抗素子が利用される。磁気記録技術分野での最近の進展により、本願の引用文献に編入されている、例えば1992年9月のIEEE Transactions On Magnetics,Vol.28,No5でのRobert Whiteによる“Giant Magnet oresistance:A Primer”の論文に見られるように、巨大磁気抵抗性(GMR)技術を利用する磁気ヘッドが出現してきている。GMRヘッドは従来の磁気抵抗ヘッドよりも磁界に対して高感度であるように製造される。さらに、GMR技術は本技術分野では周知であるスピン-バルブ構造で組み込まれている。
【0004】
磁気保存ドライブ技術は、長手配向(平面で)磁気ドメインが粒状薄膜金属媒体に書き込まれるときに、上記ドメインは高磁束リバーサル密度で、かつ高温度で相互に減磁される傾向にあるといわれる“超常磁性限界”を受ける。
【0005】
約2μmのトラックピッチで、200 KBPI PR-4記録システムにより書き込まれた最小マークは、トラックに亘って1.8μmで、トラックに沿って約0.1μm長である。長手ドメインのN-S極はトラックに沿って配向される。トラックピッチをより狭くしようとすると、一般には、先行技術での磁気保存ドライブ技術において少なくとも4つの限界に遭遇する。その4つとは、 1)トラッキングにとって、粗く及び微細なトラッキングアクチュエータ、例えば2Khzよりも大きいクロスオーバ周波数を必要とし、実行される必要がある非常に高いサーボ誤差阻止(a very high servo error rejection)には、1μmのトラックピッチを必要とする、 2)読取り/書き込みヘッドを製造するためのフォトリソグラフィックな許容度により、ヘッドパーマロイ極の厚さが約10%制限され、極が約4μmの厚さであれば、ヘッド公差は約0.4μmである、 3)典型的な先行技術でのヘッドでは約3μmのデータトラックのサイド消去か生じ、このサイド消去は記録/再生工程中に正確な動作が望まれ、古い情報は排除される。サイド消去はヘッドギャップ幅と比例するので、ギャップ幅は所望の磁気ドメイン密度の関数である、 4)パターンを感知する半径方向の及び円周の位置の書き込み(サーボ書き込み)は、ディスクが揺れること、及びスピンドルベアリングの非反復性ふれのため、非常に正確でない。一般には、ボールベアリングスピンドルで回転する。
【0006】
8mm厚の3.5インチディスクでは約0.2μmのサーボ書き込み精度が予想される、ことが挙げられる。したがって、必要とされているものは、先行技術での磁気及び光学ドライブ技術の限界を考慮した改良である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】1992年9月のIEEE Transactions On Magnetics,Vol.28,No5でのRobert Whiteによる“Giant Magnet oresistance:A Primer”
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学経路部品、電子部品及び/又は関連する読取り/書き込みヘッドの重量及び複雑さを低減させながら、データディスクドライブの保存容量の増大を提供する。システムは、データの書き込み及び読取り中に光学素子によりサーボトラックデータディスクへ伝播され、データディスクを加熱させる光と、実際の書き込み及び読取り用の誘導及び磁気素子とを利用する。そうすることにより、本発明はディスクドライブの改良された保存容量だけでなく、データディスクの磁気ドメインマーク領域として記録されたデータを表わす信号の改良SN比(SNR)をも提供する。
【0009】
データ保存ディスクは、さまざまな材料で充填された及び/又は研磨されたくぼみ及び/又は隆起した形(depressions and/or raised features)を含む。このようにして、滑らかな面が、データディスク面に近接した浮いた状態で空力的に維持された読取り/書き込みヘッドに設けられる。滑らかな面を設けることにより、汚染物の蓄積が減少し、若しくは排除される。充填材料は、くぼみ及び/又は隆起した形から反射された光学信号が大きな振幅を生じさせるように反射的である。くぼみ及び/又は隆起した形を満たすために利用された材料からの光の反射は、セクタ確認とトラック追跡に利用される。加えて、くぼみ及び/又は隆起した形は、配置される場所でのデータディスクの半径に比例した反射領域が生じるように作られる。結果として、周波数内容及び/又は反射光学信号の振幅変動は、データディスクの半径以上に最小化される。
【0010】
本発明では、更に、データ保存ディスクはデータ保存ディスクを含むデータトラック間に配置された一組のチャンネル及び/又はメサ(mesa)を含む。チャンネル及び/又はメサは、データトラックに沿ったデータを保存するために利用されるデータドメインマークの形がクロストラック方向に限定され、好ましい矩形又は正方形の幾何学的形状により正確に適合するように明確化されるように、データディスクに照射される光の熱効果を熱的に導き、指向させるために利用する。保存密度及びSNRは結果として増大する。さらに、チャンネル及び/又はメサは充填材料で充填される。
【0011】
さらに、本発明は記録及び再生システムを含み、データトラックの縁部は熱的に限定され、トラッキング機構は集束レーザスポットの放射状の移動を利用し、記録及び再生システムは、保存ディスク上に配置したフライングヘッドと、前記集束レーザスポットを発生させ、少なくとも一つの磁界感知素子の隣に配置した少なくとも一つの磁界書き込み素子の隣に配置した少なくとも一つの光学素子と、サーボセクタ情報を含む保存ディスクとからなり、前記サーボセクタ情報は前記保存ディスクの粗い及び微細な放射状の並びに回転位置をエンコード化し、前記データトラック間に熱指向機能(heat directing feature)が配置され、データの記録及び書き込み中に加熱している際に、薄膜フィルムは磁性を変化させるように設計される。薄膜フィルムは少なくとも一層のアモルファス磁性材料、又は読出し層及び保存層からなる。
【0012】
本発明は、光源と保存媒体の保存位置との間の光学経路に沿って光を選択的に導き、光学経路に沿って保存位置に対して光を導く少なくとも一つの光学素子と、少なくとも一つの磁気素子とからなる組立体を含み、磁気素子は光と時間的に協力して作動し、保存位置にアクセスを可能にする。少なくとも一つの光学素子と少なくとも一つの磁気素子は、フライングヘッドと結合する。少なくとも一つの磁気素子は磁気抵抗素子及び/又は磁界発生素子を含む。少なくとも一つの光学素子は光ファイバーと、操縦可能なミラーと対物レンズ光学部品とを含む。操縦可能ミラーはマイクロ機械加工されたミラーからなる。保存位置は磁気ドメイン(データドメインマーク)からなるデータ領域を含み、光は保存位置を加熱し、少なくとも一つの磁気素子は磁界検出素子からなり、少なくとも一つの磁気素子はデータドメインマークからの磁束を検出することにより加熱された保存位置にアクセスする。少なくとも一つの磁気素子は磁気抵抗素子からなり、磁気抵抗素子はデータドメインマークからの磁束を検出することによりデータドメインマークにアクセスする。磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗又はスピンバルブ素子からなる。データドメインは垂直又は長手配向からなる。
【0013】
少なくとも一つの磁気素子は、磁界指向素子(magnetic field directing element)からなり、光は保存位置を加熱し、ここで少なくとも一つの磁気素子は磁界指向素子からなり、少なくとも一つの磁気素子は磁束をデータドメインマークへ向かわせることにより加熱させた保存位置にアクセスする。磁界発生素子は磁界指向素子と導体からなる。
保存媒体はサーボパターンを含み、光は保存媒体からの光の反射に基づく保存位置へ向かう。サーボパターンはくぼみ又は隆起した形からなる。保存媒体は、センターと、複数のデータトラックと複数の熱指向機能とからなり、複数のデータトラック及び複数の熱指向機能はセンターの回りに配置され、複数の熱指向機能の交互の機能はデータトラックの夫々の交互トラック間に配置される。熱指向機能はチャンネル及び/又はメサからなる。
【0014】
本発明は光源と保存媒体の保存位置との間の光学経路に沿った光を選択的に導く方法を含み、光を保存位置に導き、保存位置を加熱し、熱は保存位置に印加されている間の期間後に保存位置にアクセスする段階からなる。さらに、その方法は保存位置からの磁束を検出する、及び/又は磁束を保存位置に向かわせることにより保存位置にアクセスする段階を含む。本発明では、保存媒体はトラック及びクロストラック方向にあるデータトラックを含み、さらに熱印加により磁気ドメインマークのクロストラック寸法を限定する段階を含む。さらに、その方法は、熱印加により磁気ドメインマークの幅を限定する段階を含む。
【0015】
本発明は本願で開示する特定の実施例、又はそれに等価なものに限定はされず、開示した発明は、現在既知及び未知の多くの方法で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】データ保存システムの基本的要素を示す。
【図2a】本発明のディスクを示す。
【図2b】典型的なサーボセクタを示す。
【図2c】本発明の保存及び読出し層の図面を示す。
【図3】代表的にな光学経路を表わす線図を示す。
【図4a】図4aは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4b】図4bは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4c】図4cは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4d】図4dは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4e】図4eは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4f】図4fは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4g】図4gは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4h】図4hは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4i】図4iは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4j】図4jは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4k】図4kは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4l】図4lは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4m】図4mは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4n】図4nは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図5】図5a〜5cは、本発明の保存及び読出し層の図面を示す。
【図6】図6a〜6dは、チャンネルを含む、及び含まない媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図7】図7aおよび7bは、くぼみの形から誘導された信号を示す図である。
【図8a】図8aは、くぼみ及び隆起した形からなる基板を示す図である。
【図8b】図8bは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8c】図8cは、チャンネルを含まない媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8d】図8dは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8e】図8eは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8f】図8fは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図9a】図9aは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9b】図9bは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9c】図9cは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9d】図9dは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9e】図9eは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9f】図9fは、くぼみおよび隆起した形を含むディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図9g】図9gは、くぼみおよび隆起した形を含むディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図9h】図9hは、くぼみおよび隆起した形を含まないディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図9i】図9iは、くぼみおよび隆起した形を含むディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図10】図10aおよび10bは、本発明のフライングヘッドの変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は光学経路部品、電子部品及び/又は関連する読取り/書き込みヘッドの重量及び複雑さを低減させながら、データディスクドライブの保存容量の増大を提供するものである。システムは、データの書き込み及び読取り中に光学素子によりサーボトラックデータディスクへ伝播され、データディスクを加熱させる光と、実際の書き込み及び読取り用の誘導及び磁気素子とを利用する。
【0018】
データ保存ディスクは、さまざまな材料で充填され及び/又は研磨されたくぼみ及び/又は隆起した形を含む。このようにして、滑らかな面が、データディスク面に近接し、浮いた状態で空力的に維持された読取り/書き込みヘッドに設けられる。滑らかな面を設けることにより、汚染物の蓄積が減少又は排除される。
【0019】
充填材料は、くぼみ及び/又は隆起した形から反射された光学信号が大きな振幅を生じさせるように反射的である。くぼみ及び/又は隆起した形を満たすために利用された材料からの光の反射は、セクタ確認とトラック追跡に利用される。加えて、くぼみ及び/又は隆起した形は、配置される場所でのデータディスクの半径に比例した反射領域が生じるように作製される。結果として、周波数内容及び/又は反射光学信号の振幅変動は、データディスクの半径以上に最小化される。
【0020】
本発明では、更に、データ保存ディスクはデータ保存ディスクを含むデータトラック間に配列された一組のチャンネル及び/又はメサを含む。チャンネル及び/又はメサは、データトラックに沿ったデータを保存するために利用されるデータドメインマークの形がクロストラック方向に限定され、好ましい矩形又は正方形の幾何学的形状により正確に適合するように明確化されるように、データディスクに照射する光の熱効果を熱的に導き向けるために利用する。更に、チャンネル及び/又はメサは充填材料で充填される。本発明は本願明細書又は、発明として説明したその等価物で開示される特定の実施例に限定されるものではなく、現在の既知及び未知なる多くの方法で利用される。
【0021】
図1を参照するに、本発明の一部として組み込まれたデータ保存システムの基本要素を示す。図1は、少なくとも一つの回転データ保存ディスク107の複数の半径方向に離間した同心で円形のデータトラック103へのデータの書き込み及び読取りのためのフライング読取り/書き込みヘッド106を移動させるアクチュエータ組立体120を含む保存システム100を示す。
【0022】
図2aを参照するに、本発明のディスクは、更に詳細に理解される。本発明の実施例を説明する目的で、ディスク107の詳細なデータアーキテクチャを開示する。
ディスク107は、複数の均一でしかも円周上に離間し、中心から外に向かって隣接して伸長するくさび形サーボセクタ212へ、円周上に分割される。
対応する複数のくさび形で、離間したデータセクタ216は、各サーボセクタ212の組の夫々の間に円周上に介在し、隣接する。データセクタ216はディスク107に情報を保存させるために利用される磁気ドメイン281からなる複数のデータビット(マーク)を含む。磁気データドメイン281マークは、データトラック103に沿って一定の直線空間で分離されている。データトラック103は名目一定半径方向のデータトラックピッチTpで、放射状に離間している。
【0023】
図1から図4a-図4fを参照して、本発明のデータ保存システムを説明する。図1から図4a-図4fは、典型的な保存システム100の一般構造を示し、システムはサーボセクタ212の読取り用の光学素子だけでなく、データセクタ216へのデータビットの書き込み、及びセクタ216からの読取り用の光学的、誘導的、及び磁気的素子を含む。
【0024】
図1から分かるように、システム100は、一組の二重スライドディスク107での使用に適する一組のフライングヘッド106を具備する。一つのフライングヘッド106はディスク107の各面に設けてある。ヘッド106は、サスペンション130とアクチュエータアーム105により、回転アクチュエータ磁石とコイル組立体102と結合しており、それによりヘッドはディスク107の面上に配置される。作動中、ディスク107はスピンドルモータにより回転し、フライングヘッド106と回転ディスク107との間に空力的浮揚力が発生する。空力学的な力は各フライングヘッド106を、各ディスク107の面上にフライング状態に維持する。浮揚力は、サスペンション130により供給される同等でありかつ対向するスプリング力に対峙する。非作動中、各フライングヘッド106は、ディスク107の面から離れた保存状態に、一般にはディスク107の面から離れたランプ(ramp、図示せず)に静止、固定して保たれる。
【0025】
更に、システム100はレーザ光学組立体101と、光学スイッチ104と、一組の光ファイバー102とを具備する。各組の光ファイバー102は、アクチュエータアーム105とサスペンション130の組の夫々の一つに沿って、フライングヘッド106の組の夫々の一つに結合する。
【0026】
レーザ光学組立体101は、本技術分野において周知であるダイオードレーザ源131を具備する。レーザ光学組立体101は、レーザ光源131から光学スイッチ104に向かって発振レーザビーム191を導く。レーザ光学組立体101は反射レーザビーム192を受け、信号149として出力用の信号を処理する。
【0027】
図3を参照するに、システム100の光学経路を詳細に表わす線図を示す。好ましい実施例では、代表的な光学経路には、光学スイッチ104と、光ファイバー102の組の一つと、フライングヘッド106の組の一つとを含む。光学スイッチ104は発振レーザビーム191を夫々の光ファイバー102の各近位端部に向かって導かせるための選択性の自由度を提供する。発振レーザビーム191は光ファイバー102により導かれて各遠位端部を出て、各ディスク107上のフライングヘッド106を通過する。
【0028】
前述の光学経路は2次元域にある。したがって、反射レーザビーム192はフライングヘッド106を通過し、光ファイバー102の遠位端部に向かって導かれる。反射レーザビーム192は光ファイバー102に沿って伝播し、その近位短部で出て、サーボセクタ212に埋め込まれたサーボ情報を表わす信号へのその後の変換のため、レーザ光学組立体101への伝送に対して、光学スイッチ104により選択的に経路を定める。
【0029】
図2bを参照するに、典型的なサーボセクタが示される。図2bには、典型的なサーボセクタ212の拡大部分を示す。以下の説明は、サーボセクタ212を含む情報に選択的にアクセスするために、発振レーザビーム191を利用する理由を簡単にまとめる。サーボセクタ212は、ディスク107のデータセクタ216のデータにアクセス可能である座標基準システムを含むエンコード化されたサーブ情報からなる。好ましい実施例では、各サーボセクタ212を回転させるデータトラック103は、3種類のエンコード化された情報:サーボタイミングマーク(STM)217、データトラックアドレスマーク232と微細な円周位置誤差信号(PES)サーボバーストマーク252を含む。以下に説明するように、サーボセクタ212は、ディスク107を含む基板(図2c)245の面に浮き彫りにされる(emboss)、若しくはくぼみ及び隆起した形からなるように形成される。ディスク107を浮き彫りする及び/又は成形することは、製造及びコスト面での利点があると理解される。ディスクを構成する材料のタイプは、すでに確認されており、本技術分野では周知であり、多くの刊行物に記載されている。
【0030】
一実施例では、サーボ情報は隆起及びくぼみの形の組合わせからなり、代表的なくぼみの形はピット215として引用される。別の実施例では、ピット215により生じた機能は、隆起した形から発生することが理解される。更に、ピット215は細長い形で示されるが、ピット215は他の形、例えば円形又は同様な形からなることも理解される。好ましい実施例では、ピット215は複数のマスタートラック210m、210m+1、210m+2、...のある一つに沿って書き込まれる。マスタートラックは同心的に配置され、中央に位置して等間隔に配置され、トラックピッチTp/2だけ離れており、ここでデータトラック103は複数のマスタートラックの一つおきのトラックからなる。
【0031】
サーボタイミングマークは外側直径から内側直径に、マスタートラック210m、210m+1、210m+2...のある一つに書き込まれ、連続的な放射状ラインを形成するピット215の第一のパターンからなる。ディスクドライブ100のディスクドライブ制御システム(DDCS)は、第一のパターンが検出されるたびに、サーボセクタ212の開始のマーキングとして、第一のパターンを認識するように配置される。
【0032】
好ましい実施例では、データトラックアドレスマーク232は、個々のピット215の第2のパターンからなる。第2のパターンはDDCSによりデコードされ、特定データトラック103の確認用のアドレスポインターとして利用される。
【0033】
好ましい実施例では、位置誤差マーク252は個々のピット215の第3のパターンからなる。第3のパターンは4つの同心に配置されたセグメント211、212、213、214からなる。本技術分野では周知であるように、トラック検索及び追跡中に、第3のパターンは特定データトラック103上の読取り/書き込みヘッド106の位置調整を実行させる位置誤差信号を誘導させるために利用される。
【0034】
各ピット215は、制御された3つのディメンジョン:放射状ピット幅(erpw)、円周ピット幅(ecpw)とピットの深さ(epd)により特徴付けられる。ピット位置の制御と均一性、及びディメンジョンはDDCSの基礎を確立し、適当な制御アルゴリズムによりユーザ記録データの変動性を補正する。
【0035】
本発明のサーボセクタ212は自動ゲイン制御フィールド(AGC)を利用し、若しくは利用しない。好ましくは、AGCフィールドはサーボセクタのサイズを最小化させるのに利用されず、同様にデータセクタ216のデータ保存容量を増加させるのにも利用されない。
【0036】
先行技術において、回折情報(diffraction information)はディスクの特定データトラック上のヘッドの位置を維持させるために利用される。しかしながら、光ファイバーを利用するシステムでは、回折情報は光ファイバーの光学的性質により不必要に劣化してしまう。代わりに、本発明はピット215からの反射情報を利用する。ビーム振幅がディスク107から反射した光に比例して変化するように、ピット215は反射レーザビーム192と破壊的に干渉する。振幅における変化は、反射レーザビーム192において具体化され、信号149として出力用のレーザ光学組立体100にある周知の光学的及び電気検出技術により合わせられる。信号149はディスク107上のヘッド106の位置を維持するため、位置誤差信号(PES)として利用される。もちろん、光ファイバーを利用しないシステムにおいて、データディスクからの回折情報はサーボトラッキング用に利用されることは理解され、よって、本発明はピット215に限定されないが、代わりに、他のサーボトラッキング特徴、例えばチャンネルなどからの回折情報の利用を含む。
【0037】
図4a-4nを参照するに、本発明のヘッドのさまざまな図面が示されている。図4a-4gにおいて、フライングヘッド106はディスク107の組の一つの記録/保存層355上での使用を示す。フライングヘッド106は、滑動体444と、空気ペアリング面447と、反射基板400と、対物レンズ光学部品446とを具備する。
【0038】
滑動体444は対物レンズ光学部品446、光ファイバー102と反射基板400の間の作動距離を収納するような大きさである。反射基板400は反射面を有し、例えば微細なトラッキング目的のためには、反射面はレーザビーム191、192をディスク107へ導く及びディスクから導くように整列させる。一実施例において、反射基板は、本願の引用文献に編入された発明の名称“改善されたマイクロ機械加工されたミラー表面を有するデータ保存システム(Date Storage System Having An Improved Surface Micro-machined Mirror)”で、1997年4月18日に出願された米国特許出願番号第08/844、207号に記載されているマイクロ機械加工されたミラーを含む。好ましい実施例では、反射基板400は小さく(一実施例では300平方マイクロメータ以下)操縦可能な反射中央ミラー部分420(観察可能であるミラーと対向する操縦可能なマイクロ機械加工されたミラー組立体の一方にある反射中央ミラー部分を点線で図4aに示されている)を含む。マイクロ機械加工されたミラーの小さいサイズとその重量は、低重量及び低プロファイルのフライングヘッド106を設計可能にすることに貢献する。本発明で利用されているように、微細なトラッキング及び一連の近くのトラックへの短い検索は、回転軸の回りに操縦可能な反射中央ミラー部分420を回転させることにより実行され、発振レーザビーム191及び反射レーザビーム192の伝播角度は、対物レンズ光学部品446へ光が伝送される前に、変化させることが可能となる。クロストラックのデータトラック密度が増大するにつれて、マイクロ機械加工されたミラーにより提供された微細トラッキングのハイ-バンド幅低重量手段は有用であることが理解できる。低重量ハイ-バンド幅ミラーの反射中央ミラー部分420は、一組のドライブ電極404、405へ差動電圧を印加させることにより回転する。電極の差動電圧により、一組の軸ヒンジ410の周りの反射中央ミラー部分420を回転させる静電気力が生じ、ディスク107の放射方向に集束光学スポット348を移動させる。典型的な実施例では、操縦可能な反射中央ミラー部分420の約±2度(約±4トラックと同様である)の回転は、情報の保存及び読取り、トラッキング追跡並びにあるデータトラックから別のデータトラックへの検索用に、集束光学スポット348の移動に利用される。別の実施例では、操縦可能な反射中央ミラー部分420の回転の他の範囲も可能である。粗いトラッキングは回転アクチュエータ磁石とコイル組立体120(図1)への電流を調整することにより維持される。先行技術では、従来の多重フラッタウインチェスタ(platter Winchester)磁気ディスクドライブは、一組の夫々のサスペンションと、一つの一体ユニットとして協動して移動するアクチュエータアームを利用する。かかる一体ユニットの各フライング磁気ヘッドは他のフライング磁気ヘッドに対して固定されているので、特定磁気ディスク面のトラック追跡中は、別の磁気ディスク面の同時のトラック追跡は不可能である。対照的に、本発明の一実施例では、アクチュエータアーム105の組とサスペンション130の組の移動に関係なく、本発明の一組の操縦可能マイクロ機械加工されたミラー組立体は、独立に作動するように利用され、よって、いずれの時でも、一つのディスク面以上を利用して、トラック追跡及び検索が情報を読取り及び/又は書き込みすることを可能にする。一組の同時に作動する操縦可能なマイクロ機械加工された組立体400を利用して独立にトラック追跡及び検索するには、一組の分離したそれぞれの微細なトラッキング及びミラードライビング電子部品が必要である。
滑動体444は工業上基準である“ミリ”、“ナノ”、“ピコ”のスライダを含むが、別に寸法滑動体444も利用可能である。
【0039】
光ファイバー102は軸の切りぬき部分443に沿って滑動体444へ結合しており、対物レンズ光学部品446は垂直コーナの切りぬき部分411に沿って滑動体444に結合している。切りぬき部分443及び411は、チャンネル、V-溝若しくは他の適当なアライメント機能として、又は光ファイバー102と対物レンズ光学部品446をフライングヘッド106へ結合させ、整列させる手段として設計される。レーザビーム191及び192は、ファイバー102と、反射基板400と、対物レンズ光学部品446を含む光学経路(ディスク107へ及びディスク107から)を横行する。光ファイバー102と対物レンズ光学部品446は、関心のあるスポット内で、集束光学スポット348として発振レーザビーム191を集束させるように配置される。光ファイバー102と対物レンズ光学部品446は、紫外線硬化型エポキシ若しくは同様な接着剤を利用して、正しい位置に固着される。光ファイバー102と、対物レンズ光学部品446と、反射基板400とからなる光学素子は、フライングヘッド106の長手中央軸からずれた光学経路に沿って整列されるように示されているが、他の実施例では、上記光学素子は、幾つかの他の光学経路に沿って、例えば図4gに例示するように長手中央軸に沿って整列されることも理解される。
【0040】
図4h-4nを参照するに、本発明のヘッドからなる追加の素子を平面図及び断面図で示す。本発明の好ましい実施例では、更にフライングヘッド106は導体C素子と、シールドS1素子と、シールド素子S2と、磁気素子を含み、パーマロイ磁極片-P1と、パーマロイ磁極片-P2と、磁気抵抗素子-MRと、プレ/消去磁石1064とを含む。好ましい実施例では、素子MRは従来の磁気抵抗素子よりも高感度であり、より狭いデータドメインマーク、よって、狭いデータトラックピッチ、例えば巨大磁気抵抗(GMR)素子を読取ることが可能であるように製造された磁気抵抗素子の類からなる。GMRヘッド技術は本技術分野では周知であり、例えば本願の引用文献に編入される、Robert WhiteによるIEEE、Transactions on Magnetics Vol.28,No5の1992年9月号の“Giant Magnetoresistance:A Primer”に説明されている。典型的実施例では、素子MRはGMR技術を含むが、本発明は、他のタイプの素子が本発明の範囲内、例えばスピンバルブ素子などであるので、上記実施例に限定されるものではないことは理解される。
【0041】
好ましい実施例では、データは磁気磁極片P1、P2を利用して導体Cにより発生した磁束を導くことににより書き込まれ、素子S1、MR、S2を利用して読取られる。典型的実施例では、素子は1μm厚の適当に配置されており、記録/保存層355で、スポット348及び8μm幅により形成された横の温度プロファイル279上で伸長し、光学スポット348が反射基板400により前後に走査されるときに、素子により読取り及び書き込みを可能にする。
【0042】
狭いデータトラックピッチの読取りを行うのに、本発明は多くの問題に取り組んだ。第一の問題は、データトラックはお互い近くに配置されるときに、非常に高いサーボトラッキング誤差阻止はデータトラッキングに対して実行されるべきであり、例えば、1μmのトラックピッチには2kHz以上のクロスオーバー周波数が必要であることにある。本発明において、この問題は、前記の反射基板400の実施例で説明されたマイクロ機械加工されたミラーの微細なトラッキング能力を利用することにより扱われ、高速微細トラッキングは、先行技術よりも少なくともおよそ10倍の改良がなされて実行された。
【0043】
第2に、放射状及び円周上の位置サーボパターンの書き込み(サーボ書き込み)には、ディスク揺れ及びスピンドルベアリングの非反腹性ふれにもかかわらず、正確な配置が必要である。0.8mm厚の3.5インチディスクで、約0.2μmのサーボ書き込み精度が予想される。本発明において、この問題は前記のピット215の説明を引用して扱われ、サーボパターンの完全に近いパターンが少なくとも5nm以下の精度で達成された。
【0044】
第3の問題は、データの書き込みにより約0.3μmのデータトラックのサイド消去が生じることである。サイド消去は、古い情報を排除するための記録/再生過程の正しい作動としては好ましい。しかしながら、サイド消去は書き込み素子のギャップ幅内で比例し、ギャップ幅はできるだけ高いことが望ましい所望の磁気データドメイン密度により決まる。
【0045】
最後に、ヘッド設計には公差に関連する問題が生じる。磁気ヘッド素子の製造におけるフォトリソグラフィックな公差は、素子の厚さの約10%である。ヘッド素子が約4μmの厚さであるばらば、公差は約0.4μmである。
前述の最後の二つの問題は、本発明により、以下に説明するように取り組んだ。
図5a-cを参照するに、本発明の保存及び読出し層の図面が示される。以下の説明は、ディスク107のデータセクタ216からなるデータトラック103から情報に、発振レーザビーム191が、どのように選択的にアクセスするように利用されるかをまとめたものである。
【0046】
好ましい実施例では、ディスク107は、保存層202と読出し層204を含み、相互作用する少なくとも二つの磁気層を含む媒体の類からなる。典型的な媒体は、磁気静止媒体又は交換結合媒体からなる。保存層202は所望のデータビット密度を支える高い保磁力のある材料が好ましい。高い保磁力のある保存層の利点は、超常磁性限界(つまり、相互に減磁させる隣接ドメインの傾向)を克服する潜在能力を有することにある。保磁力は、保存層202での磁気ドメインマークが65℃以下の温度で書き込まむことができないように十分に高いことが好ましい。しかしながら、発振レーザビーム191で保存層202を加熱させることにより、保存層202の保磁力は十分低下し、ビットが素子P1、P2、Cにより保存層202の磁気ドメイン(以後、データドメインマーク281という)
からなる保存位置に書き込むことができる。保存層202が水平異方性を示す実施例において(例えば、CoCr)、P1、P2、C素子は、平面配向(図5b)で長手方向にデータドメインマーク281は配向し、一方保存層202が垂直異方性(例えばTbFeCo)を示す材料からなる実施例では、データドメインマーク281は平面配向から外れて垂直に配向する(図5c)。
【0047】
好ましい実施例では、読出し層204は、マグネト-結晶異方性の関数である温度依存性を示す媒体の類からなる。更に、層204は熱に応答するが、読出し層204は保存層202とは異なる仕方で応答する。
【0048】
一実施例では、読出し層204は、下にある保存層202のデータドメインマーク281から発する磁束が、加熱されていないときには読取られないように、例えば本願の引用文献に編入されたK.ArataniらによるProc SPIE 1499,209(1991)に説明されているように磁化される。上記実施例では、データドメインマーク281を読取るために、読出し層204は発振レーザビーム191で、書き込みで加熱される保存層202より低い温度へ加熱される。そうすることにより、ディスク107が回転するにつれて、発振レーザビーム191により読出し層204に温度プロファイル279が形成される。上記実施例では、温度プロファイル279の沿った特定温度で、読出し層204に開口部580が生じ、開口部の下のデータドメインマーク281から発する磁束を介して、前記読出し層204の磁気ドメイン領域を垂直に整列させ、読出し層204の磁気ドメインマークはその後ヘッド106素子S1,MR、S2により検出される。読出し層204の熱時間定数は長いことが好ましく、光学スポット348により発生した熱は時間の経過により拡散せず、ヘッド素子MR、SI、S2はスポット上を通過する。上記実施例では、データドメインマーク281から発する磁束は、発振レーザビーム191が照射され開口部を形成する間のみアクセス可能であることは理解される。好ましくは、開口部はスポット348径よりも小さいことが望ましく、よって、発振レーザビーム191はトラック方向の解像度を限定せず、クロスデータトラック103方向(放射状)の読出し解像度を限定する。
【0049】
別の実施例では、媒体107は、光学スポット348により適当な温度へ加熱された際に、以下の保存層202のデータドメインマーク281からの磁束は前記の読出し層204の磁気ドメインを整列させるように機能する保存読出し層204からなるが、前述の実施例とは異なり、発振レーザビーム191への電力が切れたら、コピー層204の磁気ドメインは整列された配向のままである。この実施例では、プレ/消去磁石1064は、コピー層204の磁気ドメインのその後の再整列/消去のため、ヘッド106のトレーリング縁部に位置する。典型的実施例において、プレ/消去磁石1064は、再整列/消去用の十分な磁界力を生じるような希土類材料からなる。他の実施例において、更に、プレ/消去磁石1064はヘッド素子106の先導縁部、若しくはヘッド106上又はヘッド106外に配置されることは理解できる。磁気ドメインは消去されるまで読出し層204に配向されたままであるので、上記実施例では、前述した熱開口部580は読出し用に依存する必要はないことは理解される。読取り層204の室温での保磁力は、保存層202に影響を与えず、プレ/消去磁石1064により消去されるように選択される。この代わりの実施例では、読出し層204の磁気ドメインは消去されるまで整列したままで、素子を光学部品446の近くに配置させる必要がないので、ヘッド素子S1、MR、S2の組立はより簡単に行うことができる。
【0050】
更に別の実施例では、媒体107は利用可能である単一層のアモルファス磁気材料からなる。この実施例では、適当な希土類-遷移金属(RE−TM)の比較的厚い(〜100nm)単一層は、レーザアシスト熱磁気書き込みと、ヘッド106を含む素子による読出しとの双方に合わせて調整可能である。フェリ磁性RE-TNフィルムの組成物は、補償温度が室温に近くなるように選択され、媒体107の安全な保存用の高い保磁力と書き込みを可能とする高温度での減少保磁力とが生じる。上記と同じ設計には、室温付近でのゼロ近傍残磁性(読取り信号なし)と、読取りビームの適度な高温度でのデータトラックの選択的読出し(隣接トラックのクロストークなしで)用の十分な磁性とがある。かかる媒体は、本願の引用文献に編入された、米国カリフォルニア州モントレイでの1999年1月10日から13日のMORIS-Magneto-Optical Recording International Symposium'99での論文13-B-05で、Katayamaらにより発表された講演タイトル“New Magnetic Recording Media Using Laser Assisted Read/Write Technologies”で説明されている。
要約すると、発振レーザビーム191と反射レーザビーム192は、光学サーボシステムの一部として利用され、フライングヘッド106を特定データトラック上の中央に維持させる。先行技術の光学ドライブとは異なり、発振レーザビーム191は保存及び読出し層202、204を加熱させるために利用される。書き込み温度より低い温度へ加熱されるとき、読出し層は保存層202から読出し層204へデータドメインマーク281をコピーし、フライングヘッド106は開口部580ないの磁気ドメインの配向を感知する。ヘッド106を含む素子の大きさはデータトラック103ピッチよりも幅広であるけれども、発振レーザビーム191により形成された温度プロファイルは、(クロストラック方向に)書き込まれたデータドメインマーク281の縁部を限定することが好ましい。よって、書き込みよりも狭くデータドメインマーク281を読取ることが可能であり、システム100のトラック保存密度を増大させる。
【0051】
しかしながら、実際には、層202、204への発振レーザビーム191により印加された熱は、加熱領域の移動時間がヘッド素子P1、P2、C、S1、MR、S2の縁部を移行している間は拡散する傾向にある。熱拡散は、開口部580が読取り及び書き込み用の熱素子P1、P2、C、S1、MR、S2下で十分遠くに伸長するように形成することが望まれる。しかしながら、熱拡散のため、開口部580を生じさせる熱勾配は急勾配でなく、よって、データドメインマーク281の縁部を十分制御又は限定できない。熱素子S1、MR、S2によるデータの読取りでは、データドメインマーク281は直線の縁部を含むことが好ましく、データトラック103間で重なるべきではない。一般には、層202、204は垂直(軸)及び横(平面)方向で異なる熱拡散速度を有する。
【0052】
横の熱拡散過程を理解するために、発振レーザビーム191でディスク107の面を加熱することは、平坦な移動面に粘性のある流動体を注ぐことの類比で推論でき、ここで面上の流動体の高さは温度に相当する。この類推から、流動体は全方向に広がり、一定高さでの横の温度プロファイルの等傾線は広がる涙のしずくのように理解される。発振レーザビーム191により形成された典型的な横の温度プロファイル279を図4hに示した.
垂直の拡散過程を理解するために、図5aに示す温度プロファイル279は、流動体が流れるスクリーンとして類推することができる。垂直の流れにはより急な勾配(流動体高さの変化の速度)が生じる。垂直の流れは速いときには、ディスク107の隣接データトラック103は、流動体高さに類似した熱はほとんど見られない。よって、仮に垂直と横の拡散比を調整することができないのなら、隣接データトラック103は重ね書き込みがされ及び/又は不規則な形のデータドメインマーク281が形成されるであろう。よって、素子S1、MR、S2により、正しい読取り用のデータドメインマーク281の形成を制御したいと考える。
【0053】
本発明は、ディスク107のデータトラック103間にチャンネル又はメサ266を設けることにより、前述の垂直及び横の熱拡散の望ましくない効果を、ディスク107のデータトラック103間の熱伝導をブロックし、及び/又は指向させることにより最小化させる及び/又は制御でき、ヘッド106素子により改良書き込み及び読み取りができることを確認した。チャンネル又はメサ266の使用は以下に説明するが、まず、ピット215の議論を更にすることとする。
【0054】
図6a-6dを参照するに、隆起及びくぼみのある形のパターン形成の段階と、その後その形をディスク107の基板245への転写を示す。その段階には、従来の注入成形技術を、又は研磨ガラス若しくはアルミニウムの基板上の比較的薄いポリマー層のエンボス加工のような代替技術を利用して、ポリカーボネートのような材料のプラスチック基板を製造する。あるいは、ガラス又はアルミニウムのような基板上に感光性マスク層を塗布し、光リソグラフィックに所望の領域と感光性層を形成し、反応性イオンエッチング又はイオンミリングとそれに続く感光性層を除去により、隆起及びくぼみのある形を形成する。更なる代替としては、基板材料に所望の膜厚の感光性層を塗布し、フォトリソグラフィック工程により直接感光性層にピットを形成する。磁気光学、光学又は磁気を含む他のタイプのドライブの基板にピットパターンを形成する他の手法によりピットパターン形成が限定され、本発明の一部として含まれる。
【0055】
ガラス基板へのディフェレンシャルエッチング以外は、前記説明した全ての技術及び他の同様な技術では、隆起及びくぼみのある形は、例えばピット215を利用する実施例のように、比較的柔らかい基板、典型的にはプラスチック若しくはアルミニウム又はその等価物に限定される。議論されるべき例でのその後の差異に基づく除去の段階(differential removal step)には、化学的機械研磨(CMP)があり、調製されるディスクの仕上げ隆起をできるだけ念入りに形成させるために、比較的硬く、研磨抵抗層が基板上に必要である。
【0056】
例えば、本発明のディスク107の図6a-6dには、記録層の熱的、磁気的及び光学的性能を制御するための一連の層が利用される。典型的な第一の面の設計のかかる層は、例えばアルミニウムのような低熱伝播体層610と、底部誘電体層612と、保存層202と、読出し層204と、上部誘電体層620とを含む。典型的な実施例では、上記層の夫々の厚さは約50nmである。
【0057】
説明するように、誘電体層620は、窒化シリコン層699及び/又はスパッタリングされた酸化シリコン層618からなり、双方とも比較的研磨耐性があり、よって、差異に基づく除去工程への硬い層として機能する可能がある。この工程後の断面図を図6bに示す。再び、これは一連の層の典型例であり、しかも本発明はかかる一連の層を利用することを限定しているものではなく、むしろ他の磁気光学、光学、又は磁気記録ディスクでの利用に容易に適することを述べておく。例えば、基板が比較的柔らかい実施例で、窒化シリコン層(図示せず)は基板245と熱伝播層610との間に利用される。
光学データ保存ディスク用の従来のエンボス工程において、一般には、各ピットの深さは1/4波長、例えば赤色光では約160nmの深さである。したがって、従来のピットでは、ピットの深さ許容範囲の変動により検出反射信号における変動が生じる。対照的に、本発明では、ピット215から誘導される信号149(図1)は、充填材料の反射率の関数であり、先行技術におけるピットの深さに必要とされる比較的きつい公差ではない。
【0058】
好ましい実施例において、酸化シリコン層618と窒化シリコン層699の双方を利用した。酸化シリコン層は、正しい層の厚さが化学的研磨若しくは以下に説明する他のエッチング工程の最後に残っていることを保証するように、犠牲の層として利用される。好ましい実施例では、充填材料630を堆積させる、若しくは別の方法で層610、612、202、204、618、699の上部に塗設させる。例えば、ある充填材料630はスパッタリングされたアルミニウム又はアルミニウム合金である。典型的な厚さは各ピット215の深さの約2倍であり、例えは約160nmのピットの深さに対しては、充填材料630の厚さは約300nmである。充填材料630を堆積された基板245の断面図を図6cに示す。次の工程では、ディスク107は差異に基づく除去工程に行き、充填材料630を除去するが、硬い酸化シリコン層618により停止又は実質的に停止する。有用な工程は、Semiconductor International,1/95でのWANGらによる論文タイトル“Chemical-Mechanical Polishing Of Dual Damascene Aluminum Interconnects Structure”に説明されているようなIC産業で開発されたCMP工程で研磨される。この工程は市販の装置及び材料を使用し、充填材料630と酸化シリコン層618の間に約100の研磨選択性を提供する。よって、本特定例において、充填材料の300nmの全てと50%以上の研磨するときに、犠牲の働きをする酸化シリコン層618の2nm以下か除去されることが望ましい。結果生じた面は実質的に平坦であるが、充填材料630はピット215を充填している。酸化シリコン層618は、次に湿式化学エッチャントによりエッチングされ、下にある窒化シリコン層699を殆どエッチングしないことが好ましい。
【0059】
好ましくは、上記最後の工程後、図6dに示すようにディスク107の面は、層620の厚さ(多分10-15nm)とおおよそ同じ最大の高さ妨害(maximum height disturbance)を有し、又典型的実施例では先行技術より10倍以下である。よって、先行技術と対比して、本発明のディスク107は妨害のないフライングヘッド106の面を提供し、ヘッドが減少したフライングの高さで安定に浮き、当業者は本発明のフライングヘッド106だけでなく、近傍界タイプ光学データ保存への応用によって有益であることを認めるであろう。ピット215は反射性材料で充填されているので、反射信号192は、先行技術の回折サーボトラッキング法のそれ以上、例えば典型的実施例では3倍以上大きな振幅を有するであろう。更に、本発明のピットは、ディスク107自身からの粒子物質源、例えば信号149を低下させるディスク潤滑剤から汚染を受ける空洞を有していない。
【0060】
更なる改良において、窒化シリコン層699の厚さに僅かな減少が許容されるなら、犠牲の酸化物層618は必要なくなり、上部面はさらにより平坦で滑らかになるであろう。
図7aを参照するに、一定半径を有するピットから誘導された信号を示す。先に述べたように、本発明のサーボセクタ212は自動ゲイン制御フィールド’(AGC)を利用する若しくは利用しない。AGCフィールドが利用されず、ピットが対応するディスクの半径以上の一定のサイズであるならば、ディスクの内部半径対外部半径での遅い速度のために、ピットから誘導される信号は変化する。
【0061】
図7aは代表的な未充填ピットと、対応するディスクの外部半径と内部半径の双方で、それから誘導された代表的なサーボ信号を示す。信号のパルス幅は、ディスク上のヘッドの正確な位置決めに影響を及ぼす特性を変化させる。
【0062】
図7bを参照するに、一定でない半径を有するピットから誘導された信号を示す。好ましい実施例では、ピット215は、ピット215が、例えば反射面又は半径を有する大きさに配置された場所でディスク107の半径に比例するような大きさを有する。図7bのピット215から誘導された信号149は、よってディスク107のピット215の位置に関係なく、同様なパルス幅からなる。結果として、ピット215からのパルスから誘導されたサーボ信号149における変動は最小化される。パルスをサンプリングし、まとめたデジタルサーボチャンネルを利用するシステム100の実施例では、外部径から得られたパルス幅はディスク107の内部径から得られたパルス幅と同じになるように作られるので、よって、減少したサンプリング速度が利用される。ディスクが配置された場所でのディスク107の半径に比例する大きさを有するピットは、ピットからの反射よりもしろ回折を利用するドライブにおいて、充填材料で充填されていない実施例では有用性があることが分かった。
【0063】
図8aを参照するに、隆起及びくぼみのある形を有する基板での端部の図面が示される。図8aは、ピット215を充填させる工程はチャンネルを充填させるために利用されることをも示す。よって、ピット215を充填材料630で充填させることから導かれる幾つかの同じ恩恵は、チャンネル266を充填させることへも適用され、例えば、恩恵はディスク107上にフライングヘッド106を維持させるための平坦な面を提供すること、並びに汚染物の蓄積の減少をもたらすということである。
【0064】
ディスク107のデータトラック103間の充填チャンネル又はメサ266は、本発明に更なる恩恵をもたらす。データトラック103間のチャンネル266にアルミニウムや金属のような高伝導性で高熱容量の充填材料が吸熱器のような働きをし、一方で以下に説明するように低伝導性で低熱容量の充填材料は、放射状に熱の流れをブロックして、データトラック間の垂直壁のような働きをする。
【0065】
シミュレーションにより、アルミニウムのような高伝導性充填材料630はスポット348により発生した熱を拡散させ、次に、マークの書き込み中にデータドメインマーク681の幾何学的形状に、好ましい矩形又は正方形に変形が生じる。他方、低伝導性充填材料はデータドメインマークの縁部をより直線にし、よって、大雑把にはチャンネル266に垂直であり、チャンネルで停止する。結果として、アルミニウムが充填材料630としての最善の選択ではない。
【0066】
典型的な実施例では、データトラック103間のチャンネル266は、比較的狭い幅で5から1以上のアスペクト比を有し、チャンネル266の垂直の大きさを100と1000nmの間へ制限する。幾つかの周知な充填材料は薄膜として堆積させたときに反射性であり、しかも上記大きさを支え、アスペクト比は金属(つまり前述のアルミニウム)及びあるタイプの色素ポリマーを含む。しかしながら、前述したように、金属は吸熱器として望ましくない働きをする。色素ポリマーは低伝導性を示し、よって充填材料として利用可能であるが、研磨することが更に困難である。ガラスは低伝導性であるので、利用可能な他の材料であるが、例えば、サーボトラッキング用の回折情報を利用する光学ドライブでは、ガラスは増加した反射が好ましくない実施例で利用可能であろう。
【0067】
図8b-8cを参照するに、チャンネルを有さない及び有する媒体へ発振レーザビームを照射した結果生じた熱拡散のシミュレーションを示す。前述のように、先行技術において光ビームを媒体へ照射することは、データドメインマーク281の形成に好ましくない影響を及ぼす温度プロファイルが生じる。図8b-8cは、先行技術で形成された典型的な開口部の温度プロファイルを示し、一方、図8d-8eは、チャンネル266を有するディスク107を利用した際に形成された温度プロファイルを示す。図8fの夫々の温度プロファイルを重ねたものから分かるように、本発明のチャンネル266を有するディスクでは、温度勾配が急である。結果として、データドメインマーク281はさらに限定され、トラック及びクロストラック方向に形成される。したがって、本発明のチャンネル266は、データドメインマーク281がより好ましい矩形若しくは正方形の幾何学的形状を示すように熱拡散を導き制御する働きがあることか分かり、その結果データ読み取り中に、より高磁束密度がヘッド106、S1、MR、S2素子に提供される。クロストラック方向にデータドメインマーク281を限定することにより、幅広な書き込みと狭い読取り中にヘッド素子MRへの均一なバックグラウンドノイズが最小化され、先行技術以上に高い保存データ密度が可能となる。
【0068】
図9a-9eを参照するに、メサ及び隆起した形を有するディスクを示す。図9a-eは、光学スポット348により発生した熱を導くためのさまざまな手法を示し、よってデータトラック103は、チャンネル間よりもむしろメサ266間に配置される。本実施例では、メサ266は基板と同じ材料、例えばガラスからなる。メサ266を製造する際に、その方法はネガ型レジストを利用してマスターを反転させ、メサ266だけでなくサーボセクタ212パターンの形成を含むディスクフォーマットを作製する。本実施例では、サーボセクタ212パターンはピットよりもむしろ隆起した形215からなることが理解される。
【0069】
前記したことに戻ると、ディスク107は以下の順序で堆積させた材料の層を含む:アルミニウム、底部誘電体層、保存層、読出し層、上部誘電体層である。したがって、メサ266を含むディスク107の典型的な製造工程は、ガラス基板245をマスター(master)し、メサ266及びサーボパターンは50と100nmの間の形の深さを有し、基板245上にアルミニウム又はパーマロイ(ニッケルと鉄)層610を堆積させ、エッチング停止としてガラス基板245の面を利用してアルミニウム又はパーマロイを化学的機械研磨し、誘電体層を堆積させ、保存層202及び読出し層204を堆積させ、窒化シリコン699パッシベーション層を堆積させることからなる。
【0070】
メサ266は熱伝導性アルミニウム層610の放射状の熱的伝導を遮断させる働きがある。記録層202、204は比較的薄いので、アンダー層として約20%以下の熱的伝導性で、アルミニウム層610とは熱的に結合している。よって、記録層202、204を介して放射状に熱伝導があったとしても、トラック間のメサ266の縁部で熱的伝導性は不連続となり、良好な熱バリアとなる。
【0071】
発振レーザビーム191の約50%は記録層202、204を通過すると予想される。発振レーザビーム191はトラック103の中央にあるアルミニウムにより反射されるか、基板245により吸収される。一般には、入射光の約20%はトラック103の中央で反射され、入射光の約10%のみがメサ266で反射される。よって、条件に依存して、入射光の吸収対サーボ信号149との間のトレードオフの関係が必要である。反射でのこの差異は、回折情報を利用する実施例でのサーボトラッキングに利用されることは理解される。
【0072】
図9f−9iを参照するに、メサを有する及びメサを有しないディスクでの温度プロファイルの表現を示す。図9i,9f,9gは、トラック103の中心(各スポットの上部左隅)に最大半値幅(FWHM=550nm)で、3ns、1mWの集束スポット348として発振レーザビーム191を照射させた後、60、90及び150nsでの時間での3つのスナップショットでのディスク107の典型的な温度プロファイル分布を示す。媒体107の深さはY軸方向にあり、ディスクの半径方向はX軸方向である。プロットの左縁部は350nmの半トラックポイントである。ディスク107フィルム構造は、ポリカーボネート基板に85nmの窒化シリコン、20nmの保存及び読出し層、55nmアルミニウムがある。基板のメサ266の伸長部は保存及び読出し層の底部へ伸びており、アルミニウム層は遮断されている。メサの幅は約80nmであり、図9i,9f,9gの右縁部から約20パーセントの所に中心がある。
【0073】
図9hは、発振レーザビーム照射後60ns後でのチャンネル又はメサのないディスクでの垂直の温度プロファイル分布を示す。ディスクでの熱勾配は非常になだらかである。図9hの温度及びステップ当たりの温度は図9i以前のそれの約3分の1である。このことから、メサ266を有するディスク107では、保存及び読取り層での温度プロファイル分布はトラック103の中央で全く均一であり、しかも熱勾配はトラックの縁部で険しいことが分かる。
【0074】
典型的な実施例では、連続的に電源が供給されて熱が発生する場合には、熱はメサ266間を波として伝播していき、熱は4ミクロンの、又は所望の際にはヘッド106読取り/書き込み素子の下でスポット348が通過した1μ秒後、メサ間に残存する。
【0075】
図10a,10bを参照するに、本発明のフライングヘッドの更に別の変形例を示す。この実施例では、前述の実施例とは異なり、フライングヘッド106は光学スポット348を利用してディスク107を加熱し、ヘッド素子S1、MR、S2で磁気データドメインマーク281と読取り、データドメインマーク281の保存層202への書き込みはコイル1511素子を利用して行われる。コイル1151は対物レンズ光学部品446の下に配設され、ある期間変調磁界が発生し、発振レーザビーム191のパワーは一定に維持される(MFMとして本技術分野では周知である技術である)。データドメインマーク281は、コイル1151により保存層202へ垂直に書き込まれ、典型的には三日月のように形作られる。磁界は、磁気パーマロイ部材1162を利用して指向されることが好ましい。本実施例での媒体は読出し層204を含み、磁気ドメインは、プレ/消去素子により消去されるまで整列配向のままである。本実施例において、トラック103に沿ったデータドメインマークの放射状の縁部を決定付けるものは、磁界勾配よりはむしろ熱勾配である。チャンネル又はメサ266を含ませることにより、スポット348により発生した熱を導くことを助け、データドメインマーク281は三日月のような形ではなく、より矩形及び/又は正方形である。前述のように、プレ/消去磁石1064及びヘッド素子S1、MR、S2の幅公差は、厳しい必要性はなく、データドメインマーク281を読取ることによっては、レーザスポット348に近くある必要はないので、ヘッド素子S1,MR、S2の製造は容易に行われる。
【0076】
本発明の他の特徴及びその効果は、本発明の開示部分を調べれば当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
103:トラック、202:保存層、204:読み出し層、245:基板、266:メサ、610:熱伝導性アルミニウム層。
【技術分野】
【0001】
本発明は光学及び磁気素子を利用するデータ保存及び検索システムとして用いられる、磁気記録および再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気-光学(MO)ディスクドライブの先行技術において、データは、保存データ領域内の磁気ドメインの上下の配向により、偏光レーザに課した時計回り又は反時計回りの分極(polarization)回転として読取られる。データを含む最小の領域は、偏光により形成された光学スポットのサイズの関数である。分極回転に埋め込まれた情報は光学的読出し手段が必要である。先行技術における光学読出し手段は、複数のバルキーであり複雑な光学素子を含み、それらの幾つかは磁気光学ヘッドに配設される。光学素子は分極回転から得られた情報信号の信号-ノイズ比(SNR)を劣化させる。
【0003】
更に、磁気の基づくディスクドライブは本技術分野では周知である。磁気ドライブでは、一般には磁気ヘッドに磁気抵抗素子が利用される。磁気記録技術分野での最近の進展により、本願の引用文献に編入されている、例えば1992年9月のIEEE Transactions On Magnetics,Vol.28,No5でのRobert Whiteによる“Giant Magnet oresistance:A Primer”の論文に見られるように、巨大磁気抵抗性(GMR)技術を利用する磁気ヘッドが出現してきている。GMRヘッドは従来の磁気抵抗ヘッドよりも磁界に対して高感度であるように製造される。さらに、GMR技術は本技術分野では周知であるスピン-バルブ構造で組み込まれている。
【0004】
磁気保存ドライブ技術は、長手配向(平面で)磁気ドメインが粒状薄膜金属媒体に書き込まれるときに、上記ドメインは高磁束リバーサル密度で、かつ高温度で相互に減磁される傾向にあるといわれる“超常磁性限界”を受ける。
【0005】
約2μmのトラックピッチで、200 KBPI PR-4記録システムにより書き込まれた最小マークは、トラックに亘って1.8μmで、トラックに沿って約0.1μm長である。長手ドメインのN-S極はトラックに沿って配向される。トラックピッチをより狭くしようとすると、一般には、先行技術での磁気保存ドライブ技術において少なくとも4つの限界に遭遇する。その4つとは、 1)トラッキングにとって、粗く及び微細なトラッキングアクチュエータ、例えば2Khzよりも大きいクロスオーバ周波数を必要とし、実行される必要がある非常に高いサーボ誤差阻止(a very high servo error rejection)には、1μmのトラックピッチを必要とする、 2)読取り/書き込みヘッドを製造するためのフォトリソグラフィックな許容度により、ヘッドパーマロイ極の厚さが約10%制限され、極が約4μmの厚さであれば、ヘッド公差は約0.4μmである、 3)典型的な先行技術でのヘッドでは約3μmのデータトラックのサイド消去か生じ、このサイド消去は記録/再生工程中に正確な動作が望まれ、古い情報は排除される。サイド消去はヘッドギャップ幅と比例するので、ギャップ幅は所望の磁気ドメイン密度の関数である、 4)パターンを感知する半径方向の及び円周の位置の書き込み(サーボ書き込み)は、ディスクが揺れること、及びスピンドルベアリングの非反復性ふれのため、非常に正確でない。一般には、ボールベアリングスピンドルで回転する。
【0006】
8mm厚の3.5インチディスクでは約0.2μmのサーボ書き込み精度が予想される、ことが挙げられる。したがって、必要とされているものは、先行技術での磁気及び光学ドライブ技術の限界を考慮した改良である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】1992年9月のIEEE Transactions On Magnetics,Vol.28,No5でのRobert Whiteによる“Giant Magnet oresistance:A Primer”
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光学経路部品、電子部品及び/又は関連する読取り/書き込みヘッドの重量及び複雑さを低減させながら、データディスクドライブの保存容量の増大を提供する。システムは、データの書き込み及び読取り中に光学素子によりサーボトラックデータディスクへ伝播され、データディスクを加熱させる光と、実際の書き込み及び読取り用の誘導及び磁気素子とを利用する。そうすることにより、本発明はディスクドライブの改良された保存容量だけでなく、データディスクの磁気ドメインマーク領域として記録されたデータを表わす信号の改良SN比(SNR)をも提供する。
【0009】
データ保存ディスクは、さまざまな材料で充填された及び/又は研磨されたくぼみ及び/又は隆起した形(depressions and/or raised features)を含む。このようにして、滑らかな面が、データディスク面に近接した浮いた状態で空力的に維持された読取り/書き込みヘッドに設けられる。滑らかな面を設けることにより、汚染物の蓄積が減少し、若しくは排除される。充填材料は、くぼみ及び/又は隆起した形から反射された光学信号が大きな振幅を生じさせるように反射的である。くぼみ及び/又は隆起した形を満たすために利用された材料からの光の反射は、セクタ確認とトラック追跡に利用される。加えて、くぼみ及び/又は隆起した形は、配置される場所でのデータディスクの半径に比例した反射領域が生じるように作られる。結果として、周波数内容及び/又は反射光学信号の振幅変動は、データディスクの半径以上に最小化される。
【0010】
本発明では、更に、データ保存ディスクはデータ保存ディスクを含むデータトラック間に配置された一組のチャンネル及び/又はメサ(mesa)を含む。チャンネル及び/又はメサは、データトラックに沿ったデータを保存するために利用されるデータドメインマークの形がクロストラック方向に限定され、好ましい矩形又は正方形の幾何学的形状により正確に適合するように明確化されるように、データディスクに照射される光の熱効果を熱的に導き、指向させるために利用する。保存密度及びSNRは結果として増大する。さらに、チャンネル及び/又はメサは充填材料で充填される。
【0011】
さらに、本発明は記録及び再生システムを含み、データトラックの縁部は熱的に限定され、トラッキング機構は集束レーザスポットの放射状の移動を利用し、記録及び再生システムは、保存ディスク上に配置したフライングヘッドと、前記集束レーザスポットを発生させ、少なくとも一つの磁界感知素子の隣に配置した少なくとも一つの磁界書き込み素子の隣に配置した少なくとも一つの光学素子と、サーボセクタ情報を含む保存ディスクとからなり、前記サーボセクタ情報は前記保存ディスクの粗い及び微細な放射状の並びに回転位置をエンコード化し、前記データトラック間に熱指向機能(heat directing feature)が配置され、データの記録及び書き込み中に加熱している際に、薄膜フィルムは磁性を変化させるように設計される。薄膜フィルムは少なくとも一層のアモルファス磁性材料、又は読出し層及び保存層からなる。
【0012】
本発明は、光源と保存媒体の保存位置との間の光学経路に沿って光を選択的に導き、光学経路に沿って保存位置に対して光を導く少なくとも一つの光学素子と、少なくとも一つの磁気素子とからなる組立体を含み、磁気素子は光と時間的に協力して作動し、保存位置にアクセスを可能にする。少なくとも一つの光学素子と少なくとも一つの磁気素子は、フライングヘッドと結合する。少なくとも一つの磁気素子は磁気抵抗素子及び/又は磁界発生素子を含む。少なくとも一つの光学素子は光ファイバーと、操縦可能なミラーと対物レンズ光学部品とを含む。操縦可能ミラーはマイクロ機械加工されたミラーからなる。保存位置は磁気ドメイン(データドメインマーク)からなるデータ領域を含み、光は保存位置を加熱し、少なくとも一つの磁気素子は磁界検出素子からなり、少なくとも一つの磁気素子はデータドメインマークからの磁束を検出することにより加熱された保存位置にアクセスする。少なくとも一つの磁気素子は磁気抵抗素子からなり、磁気抵抗素子はデータドメインマークからの磁束を検出することによりデータドメインマークにアクセスする。磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗又はスピンバルブ素子からなる。データドメインは垂直又は長手配向からなる。
【0013】
少なくとも一つの磁気素子は、磁界指向素子(magnetic field directing element)からなり、光は保存位置を加熱し、ここで少なくとも一つの磁気素子は磁界指向素子からなり、少なくとも一つの磁気素子は磁束をデータドメインマークへ向かわせることにより加熱させた保存位置にアクセスする。磁界発生素子は磁界指向素子と導体からなる。
保存媒体はサーボパターンを含み、光は保存媒体からの光の反射に基づく保存位置へ向かう。サーボパターンはくぼみ又は隆起した形からなる。保存媒体は、センターと、複数のデータトラックと複数の熱指向機能とからなり、複数のデータトラック及び複数の熱指向機能はセンターの回りに配置され、複数の熱指向機能の交互の機能はデータトラックの夫々の交互トラック間に配置される。熱指向機能はチャンネル及び/又はメサからなる。
【0014】
本発明は光源と保存媒体の保存位置との間の光学経路に沿った光を選択的に導く方法を含み、光を保存位置に導き、保存位置を加熱し、熱は保存位置に印加されている間の期間後に保存位置にアクセスする段階からなる。さらに、その方法は保存位置からの磁束を検出する、及び/又は磁束を保存位置に向かわせることにより保存位置にアクセスする段階を含む。本発明では、保存媒体はトラック及びクロストラック方向にあるデータトラックを含み、さらに熱印加により磁気ドメインマークのクロストラック寸法を限定する段階を含む。さらに、その方法は、熱印加により磁気ドメインマークの幅を限定する段階を含む。
【0015】
本発明は本願で開示する特定の実施例、又はそれに等価なものに限定はされず、開示した発明は、現在既知及び未知の多くの方法で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】データ保存システムの基本的要素を示す。
【図2a】本発明のディスクを示す。
【図2b】典型的なサーボセクタを示す。
【図2c】本発明の保存及び読出し層の図面を示す。
【図3】代表的にな光学経路を表わす線図を示す。
【図4a】図4aは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4b】図4bは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4c】図4cは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4d】図4dは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4e】図4eは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4f】図4fは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4g】図4gは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4h】図4hは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4i】図4iは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4j】図4jは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4k】図4kは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4l】図4lは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4m】図4mは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図4n】図4nは、本発明のヘッドの図面を示す。
【図5】図5a〜5cは、本発明の保存及び読出し層の図面を示す。
【図6】図6a〜6dは、チャンネルを含む、及び含まない媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図7】図7aおよび7bは、くぼみの形から誘導された信号を示す図である。
【図8a】図8aは、くぼみ及び隆起した形からなる基板を示す図である。
【図8b】図8bは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8c】図8cは、チャンネルを含まない媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8d】図8dは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8e】図8eは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図8f】図8fは、チャンネルを含む媒体への発振レーザビーム照射から生じる熱拡散のシミュレーションを示す図である。
【図9a】図9aは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9b】図9bは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9c】図9cは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9d】図9dは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9e】図9eは、くぼみ及び隆起した形からなるディスクの情報を示す図である。
【図9f】図9fは、くぼみおよび隆起した形を含むディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図9g】図9gは、くぼみおよび隆起した形を含むディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図9h】図9hは、くぼみおよび隆起した形を含まないディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図9i】図9iは、くぼみおよび隆起した形を含むディスクでの温度プロファイルの表現を示す図である。
【図10】図10aおよび10bは、本発明のフライングヘッドの変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は光学経路部品、電子部品及び/又は関連する読取り/書き込みヘッドの重量及び複雑さを低減させながら、データディスクドライブの保存容量の増大を提供するものである。システムは、データの書き込み及び読取り中に光学素子によりサーボトラックデータディスクへ伝播され、データディスクを加熱させる光と、実際の書き込み及び読取り用の誘導及び磁気素子とを利用する。
【0018】
データ保存ディスクは、さまざまな材料で充填され及び/又は研磨されたくぼみ及び/又は隆起した形を含む。このようにして、滑らかな面が、データディスク面に近接し、浮いた状態で空力的に維持された読取り/書き込みヘッドに設けられる。滑らかな面を設けることにより、汚染物の蓄積が減少又は排除される。
【0019】
充填材料は、くぼみ及び/又は隆起した形から反射された光学信号が大きな振幅を生じさせるように反射的である。くぼみ及び/又は隆起した形を満たすために利用された材料からの光の反射は、セクタ確認とトラック追跡に利用される。加えて、くぼみ及び/又は隆起した形は、配置される場所でのデータディスクの半径に比例した反射領域が生じるように作製される。結果として、周波数内容及び/又は反射光学信号の振幅変動は、データディスクの半径以上に最小化される。
【0020】
本発明では、更に、データ保存ディスクはデータ保存ディスクを含むデータトラック間に配列された一組のチャンネル及び/又はメサを含む。チャンネル及び/又はメサは、データトラックに沿ったデータを保存するために利用されるデータドメインマークの形がクロストラック方向に限定され、好ましい矩形又は正方形の幾何学的形状により正確に適合するように明確化されるように、データディスクに照射する光の熱効果を熱的に導き向けるために利用する。更に、チャンネル及び/又はメサは充填材料で充填される。本発明は本願明細書又は、発明として説明したその等価物で開示される特定の実施例に限定されるものではなく、現在の既知及び未知なる多くの方法で利用される。
【0021】
図1を参照するに、本発明の一部として組み込まれたデータ保存システムの基本要素を示す。図1は、少なくとも一つの回転データ保存ディスク107の複数の半径方向に離間した同心で円形のデータトラック103へのデータの書き込み及び読取りのためのフライング読取り/書き込みヘッド106を移動させるアクチュエータ組立体120を含む保存システム100を示す。
【0022】
図2aを参照するに、本発明のディスクは、更に詳細に理解される。本発明の実施例を説明する目的で、ディスク107の詳細なデータアーキテクチャを開示する。
ディスク107は、複数の均一でしかも円周上に離間し、中心から外に向かって隣接して伸長するくさび形サーボセクタ212へ、円周上に分割される。
対応する複数のくさび形で、離間したデータセクタ216は、各サーボセクタ212の組の夫々の間に円周上に介在し、隣接する。データセクタ216はディスク107に情報を保存させるために利用される磁気ドメイン281からなる複数のデータビット(マーク)を含む。磁気データドメイン281マークは、データトラック103に沿って一定の直線空間で分離されている。データトラック103は名目一定半径方向のデータトラックピッチTpで、放射状に離間している。
【0023】
図1から図4a-図4fを参照して、本発明のデータ保存システムを説明する。図1から図4a-図4fは、典型的な保存システム100の一般構造を示し、システムはサーボセクタ212の読取り用の光学素子だけでなく、データセクタ216へのデータビットの書き込み、及びセクタ216からの読取り用の光学的、誘導的、及び磁気的素子を含む。
【0024】
図1から分かるように、システム100は、一組の二重スライドディスク107での使用に適する一組のフライングヘッド106を具備する。一つのフライングヘッド106はディスク107の各面に設けてある。ヘッド106は、サスペンション130とアクチュエータアーム105により、回転アクチュエータ磁石とコイル組立体102と結合しており、それによりヘッドはディスク107の面上に配置される。作動中、ディスク107はスピンドルモータにより回転し、フライングヘッド106と回転ディスク107との間に空力的浮揚力が発生する。空力学的な力は各フライングヘッド106を、各ディスク107の面上にフライング状態に維持する。浮揚力は、サスペンション130により供給される同等でありかつ対向するスプリング力に対峙する。非作動中、各フライングヘッド106は、ディスク107の面から離れた保存状態に、一般にはディスク107の面から離れたランプ(ramp、図示せず)に静止、固定して保たれる。
【0025】
更に、システム100はレーザ光学組立体101と、光学スイッチ104と、一組の光ファイバー102とを具備する。各組の光ファイバー102は、アクチュエータアーム105とサスペンション130の組の夫々の一つに沿って、フライングヘッド106の組の夫々の一つに結合する。
【0026】
レーザ光学組立体101は、本技術分野において周知であるダイオードレーザ源131を具備する。レーザ光学組立体101は、レーザ光源131から光学スイッチ104に向かって発振レーザビーム191を導く。レーザ光学組立体101は反射レーザビーム192を受け、信号149として出力用の信号を処理する。
【0027】
図3を参照するに、システム100の光学経路を詳細に表わす線図を示す。好ましい実施例では、代表的な光学経路には、光学スイッチ104と、光ファイバー102の組の一つと、フライングヘッド106の組の一つとを含む。光学スイッチ104は発振レーザビーム191を夫々の光ファイバー102の各近位端部に向かって導かせるための選択性の自由度を提供する。発振レーザビーム191は光ファイバー102により導かれて各遠位端部を出て、各ディスク107上のフライングヘッド106を通過する。
【0028】
前述の光学経路は2次元域にある。したがって、反射レーザビーム192はフライングヘッド106を通過し、光ファイバー102の遠位端部に向かって導かれる。反射レーザビーム192は光ファイバー102に沿って伝播し、その近位短部で出て、サーボセクタ212に埋め込まれたサーボ情報を表わす信号へのその後の変換のため、レーザ光学組立体101への伝送に対して、光学スイッチ104により選択的に経路を定める。
【0029】
図2bを参照するに、典型的なサーボセクタが示される。図2bには、典型的なサーボセクタ212の拡大部分を示す。以下の説明は、サーボセクタ212を含む情報に選択的にアクセスするために、発振レーザビーム191を利用する理由を簡単にまとめる。サーボセクタ212は、ディスク107のデータセクタ216のデータにアクセス可能である座標基準システムを含むエンコード化されたサーブ情報からなる。好ましい実施例では、各サーボセクタ212を回転させるデータトラック103は、3種類のエンコード化された情報:サーボタイミングマーク(STM)217、データトラックアドレスマーク232と微細な円周位置誤差信号(PES)サーボバーストマーク252を含む。以下に説明するように、サーボセクタ212は、ディスク107を含む基板(図2c)245の面に浮き彫りにされる(emboss)、若しくはくぼみ及び隆起した形からなるように形成される。ディスク107を浮き彫りする及び/又は成形することは、製造及びコスト面での利点があると理解される。ディスクを構成する材料のタイプは、すでに確認されており、本技術分野では周知であり、多くの刊行物に記載されている。
【0030】
一実施例では、サーボ情報は隆起及びくぼみの形の組合わせからなり、代表的なくぼみの形はピット215として引用される。別の実施例では、ピット215により生じた機能は、隆起した形から発生することが理解される。更に、ピット215は細長い形で示されるが、ピット215は他の形、例えば円形又は同様な形からなることも理解される。好ましい実施例では、ピット215は複数のマスタートラック210m、210m+1、210m+2、...のある一つに沿って書き込まれる。マスタートラックは同心的に配置され、中央に位置して等間隔に配置され、トラックピッチTp/2だけ離れており、ここでデータトラック103は複数のマスタートラックの一つおきのトラックからなる。
【0031】
サーボタイミングマークは外側直径から内側直径に、マスタートラック210m、210m+1、210m+2...のある一つに書き込まれ、連続的な放射状ラインを形成するピット215の第一のパターンからなる。ディスクドライブ100のディスクドライブ制御システム(DDCS)は、第一のパターンが検出されるたびに、サーボセクタ212の開始のマーキングとして、第一のパターンを認識するように配置される。
【0032】
好ましい実施例では、データトラックアドレスマーク232は、個々のピット215の第2のパターンからなる。第2のパターンはDDCSによりデコードされ、特定データトラック103の確認用のアドレスポインターとして利用される。
【0033】
好ましい実施例では、位置誤差マーク252は個々のピット215の第3のパターンからなる。第3のパターンは4つの同心に配置されたセグメント211、212、213、214からなる。本技術分野では周知であるように、トラック検索及び追跡中に、第3のパターンは特定データトラック103上の読取り/書き込みヘッド106の位置調整を実行させる位置誤差信号を誘導させるために利用される。
【0034】
各ピット215は、制御された3つのディメンジョン:放射状ピット幅(erpw)、円周ピット幅(ecpw)とピットの深さ(epd)により特徴付けられる。ピット位置の制御と均一性、及びディメンジョンはDDCSの基礎を確立し、適当な制御アルゴリズムによりユーザ記録データの変動性を補正する。
【0035】
本発明のサーボセクタ212は自動ゲイン制御フィールド(AGC)を利用し、若しくは利用しない。好ましくは、AGCフィールドはサーボセクタのサイズを最小化させるのに利用されず、同様にデータセクタ216のデータ保存容量を増加させるのにも利用されない。
【0036】
先行技術において、回折情報(diffraction information)はディスクの特定データトラック上のヘッドの位置を維持させるために利用される。しかしながら、光ファイバーを利用するシステムでは、回折情報は光ファイバーの光学的性質により不必要に劣化してしまう。代わりに、本発明はピット215からの反射情報を利用する。ビーム振幅がディスク107から反射した光に比例して変化するように、ピット215は反射レーザビーム192と破壊的に干渉する。振幅における変化は、反射レーザビーム192において具体化され、信号149として出力用のレーザ光学組立体100にある周知の光学的及び電気検出技術により合わせられる。信号149はディスク107上のヘッド106の位置を維持するため、位置誤差信号(PES)として利用される。もちろん、光ファイバーを利用しないシステムにおいて、データディスクからの回折情報はサーボトラッキング用に利用されることは理解され、よって、本発明はピット215に限定されないが、代わりに、他のサーボトラッキング特徴、例えばチャンネルなどからの回折情報の利用を含む。
【0037】
図4a-4nを参照するに、本発明のヘッドのさまざまな図面が示されている。図4a-4gにおいて、フライングヘッド106はディスク107の組の一つの記録/保存層355上での使用を示す。フライングヘッド106は、滑動体444と、空気ペアリング面447と、反射基板400と、対物レンズ光学部品446とを具備する。
【0038】
滑動体444は対物レンズ光学部品446、光ファイバー102と反射基板400の間の作動距離を収納するような大きさである。反射基板400は反射面を有し、例えば微細なトラッキング目的のためには、反射面はレーザビーム191、192をディスク107へ導く及びディスクから導くように整列させる。一実施例において、反射基板は、本願の引用文献に編入された発明の名称“改善されたマイクロ機械加工されたミラー表面を有するデータ保存システム(Date Storage System Having An Improved Surface Micro-machined Mirror)”で、1997年4月18日に出願された米国特許出願番号第08/844、207号に記載されているマイクロ機械加工されたミラーを含む。好ましい実施例では、反射基板400は小さく(一実施例では300平方マイクロメータ以下)操縦可能な反射中央ミラー部分420(観察可能であるミラーと対向する操縦可能なマイクロ機械加工されたミラー組立体の一方にある反射中央ミラー部分を点線で図4aに示されている)を含む。マイクロ機械加工されたミラーの小さいサイズとその重量は、低重量及び低プロファイルのフライングヘッド106を設計可能にすることに貢献する。本発明で利用されているように、微細なトラッキング及び一連の近くのトラックへの短い検索は、回転軸の回りに操縦可能な反射中央ミラー部分420を回転させることにより実行され、発振レーザビーム191及び反射レーザビーム192の伝播角度は、対物レンズ光学部品446へ光が伝送される前に、変化させることが可能となる。クロストラックのデータトラック密度が増大するにつれて、マイクロ機械加工されたミラーにより提供された微細トラッキングのハイ-バンド幅低重量手段は有用であることが理解できる。低重量ハイ-バンド幅ミラーの反射中央ミラー部分420は、一組のドライブ電極404、405へ差動電圧を印加させることにより回転する。電極の差動電圧により、一組の軸ヒンジ410の周りの反射中央ミラー部分420を回転させる静電気力が生じ、ディスク107の放射方向に集束光学スポット348を移動させる。典型的な実施例では、操縦可能な反射中央ミラー部分420の約±2度(約±4トラックと同様である)の回転は、情報の保存及び読取り、トラッキング追跡並びにあるデータトラックから別のデータトラックへの検索用に、集束光学スポット348の移動に利用される。別の実施例では、操縦可能な反射中央ミラー部分420の回転の他の範囲も可能である。粗いトラッキングは回転アクチュエータ磁石とコイル組立体120(図1)への電流を調整することにより維持される。先行技術では、従来の多重フラッタウインチェスタ(platter Winchester)磁気ディスクドライブは、一組の夫々のサスペンションと、一つの一体ユニットとして協動して移動するアクチュエータアームを利用する。かかる一体ユニットの各フライング磁気ヘッドは他のフライング磁気ヘッドに対して固定されているので、特定磁気ディスク面のトラック追跡中は、別の磁気ディスク面の同時のトラック追跡は不可能である。対照的に、本発明の一実施例では、アクチュエータアーム105の組とサスペンション130の組の移動に関係なく、本発明の一組の操縦可能マイクロ機械加工されたミラー組立体は、独立に作動するように利用され、よって、いずれの時でも、一つのディスク面以上を利用して、トラック追跡及び検索が情報を読取り及び/又は書き込みすることを可能にする。一組の同時に作動する操縦可能なマイクロ機械加工された組立体400を利用して独立にトラック追跡及び検索するには、一組の分離したそれぞれの微細なトラッキング及びミラードライビング電子部品が必要である。
滑動体444は工業上基準である“ミリ”、“ナノ”、“ピコ”のスライダを含むが、別に寸法滑動体444も利用可能である。
【0039】
光ファイバー102は軸の切りぬき部分443に沿って滑動体444へ結合しており、対物レンズ光学部品446は垂直コーナの切りぬき部分411に沿って滑動体444に結合している。切りぬき部分443及び411は、チャンネル、V-溝若しくは他の適当なアライメント機能として、又は光ファイバー102と対物レンズ光学部品446をフライングヘッド106へ結合させ、整列させる手段として設計される。レーザビーム191及び192は、ファイバー102と、反射基板400と、対物レンズ光学部品446を含む光学経路(ディスク107へ及びディスク107から)を横行する。光ファイバー102と対物レンズ光学部品446は、関心のあるスポット内で、集束光学スポット348として発振レーザビーム191を集束させるように配置される。光ファイバー102と対物レンズ光学部品446は、紫外線硬化型エポキシ若しくは同様な接着剤を利用して、正しい位置に固着される。光ファイバー102と、対物レンズ光学部品446と、反射基板400とからなる光学素子は、フライングヘッド106の長手中央軸からずれた光学経路に沿って整列されるように示されているが、他の実施例では、上記光学素子は、幾つかの他の光学経路に沿って、例えば図4gに例示するように長手中央軸に沿って整列されることも理解される。
【0040】
図4h-4nを参照するに、本発明のヘッドからなる追加の素子を平面図及び断面図で示す。本発明の好ましい実施例では、更にフライングヘッド106は導体C素子と、シールドS1素子と、シールド素子S2と、磁気素子を含み、パーマロイ磁極片-P1と、パーマロイ磁極片-P2と、磁気抵抗素子-MRと、プレ/消去磁石1064とを含む。好ましい実施例では、素子MRは従来の磁気抵抗素子よりも高感度であり、より狭いデータドメインマーク、よって、狭いデータトラックピッチ、例えば巨大磁気抵抗(GMR)素子を読取ることが可能であるように製造された磁気抵抗素子の類からなる。GMRヘッド技術は本技術分野では周知であり、例えば本願の引用文献に編入される、Robert WhiteによるIEEE、Transactions on Magnetics Vol.28,No5の1992年9月号の“Giant Magnetoresistance:A Primer”に説明されている。典型的実施例では、素子MRはGMR技術を含むが、本発明は、他のタイプの素子が本発明の範囲内、例えばスピンバルブ素子などであるので、上記実施例に限定されるものではないことは理解される。
【0041】
好ましい実施例では、データは磁気磁極片P1、P2を利用して導体Cにより発生した磁束を導くことににより書き込まれ、素子S1、MR、S2を利用して読取られる。典型的実施例では、素子は1μm厚の適当に配置されており、記録/保存層355で、スポット348及び8μm幅により形成された横の温度プロファイル279上で伸長し、光学スポット348が反射基板400により前後に走査されるときに、素子により読取り及び書き込みを可能にする。
【0042】
狭いデータトラックピッチの読取りを行うのに、本発明は多くの問題に取り組んだ。第一の問題は、データトラックはお互い近くに配置されるときに、非常に高いサーボトラッキング誤差阻止はデータトラッキングに対して実行されるべきであり、例えば、1μmのトラックピッチには2kHz以上のクロスオーバー周波数が必要であることにある。本発明において、この問題は、前記の反射基板400の実施例で説明されたマイクロ機械加工されたミラーの微細なトラッキング能力を利用することにより扱われ、高速微細トラッキングは、先行技術よりも少なくともおよそ10倍の改良がなされて実行された。
【0043】
第2に、放射状及び円周上の位置サーボパターンの書き込み(サーボ書き込み)には、ディスク揺れ及びスピンドルベアリングの非反腹性ふれにもかかわらず、正確な配置が必要である。0.8mm厚の3.5インチディスクで、約0.2μmのサーボ書き込み精度が予想される。本発明において、この問題は前記のピット215の説明を引用して扱われ、サーボパターンの完全に近いパターンが少なくとも5nm以下の精度で達成された。
【0044】
第3の問題は、データの書き込みにより約0.3μmのデータトラックのサイド消去が生じることである。サイド消去は、古い情報を排除するための記録/再生過程の正しい作動としては好ましい。しかしながら、サイド消去は書き込み素子のギャップ幅内で比例し、ギャップ幅はできるだけ高いことが望ましい所望の磁気データドメイン密度により決まる。
【0045】
最後に、ヘッド設計には公差に関連する問題が生じる。磁気ヘッド素子の製造におけるフォトリソグラフィックな公差は、素子の厚さの約10%である。ヘッド素子が約4μmの厚さであるばらば、公差は約0.4μmである。
前述の最後の二つの問題は、本発明により、以下に説明するように取り組んだ。
図5a-cを参照するに、本発明の保存及び読出し層の図面が示される。以下の説明は、ディスク107のデータセクタ216からなるデータトラック103から情報に、発振レーザビーム191が、どのように選択的にアクセスするように利用されるかをまとめたものである。
【0046】
好ましい実施例では、ディスク107は、保存層202と読出し層204を含み、相互作用する少なくとも二つの磁気層を含む媒体の類からなる。典型的な媒体は、磁気静止媒体又は交換結合媒体からなる。保存層202は所望のデータビット密度を支える高い保磁力のある材料が好ましい。高い保磁力のある保存層の利点は、超常磁性限界(つまり、相互に減磁させる隣接ドメインの傾向)を克服する潜在能力を有することにある。保磁力は、保存層202での磁気ドメインマークが65℃以下の温度で書き込まむことができないように十分に高いことが好ましい。しかしながら、発振レーザビーム191で保存層202を加熱させることにより、保存層202の保磁力は十分低下し、ビットが素子P1、P2、Cにより保存層202の磁気ドメイン(以後、データドメインマーク281という)
からなる保存位置に書き込むことができる。保存層202が水平異方性を示す実施例において(例えば、CoCr)、P1、P2、C素子は、平面配向(図5b)で長手方向にデータドメインマーク281は配向し、一方保存層202が垂直異方性(例えばTbFeCo)を示す材料からなる実施例では、データドメインマーク281は平面配向から外れて垂直に配向する(図5c)。
【0047】
好ましい実施例では、読出し層204は、マグネト-結晶異方性の関数である温度依存性を示す媒体の類からなる。更に、層204は熱に応答するが、読出し層204は保存層202とは異なる仕方で応答する。
【0048】
一実施例では、読出し層204は、下にある保存層202のデータドメインマーク281から発する磁束が、加熱されていないときには読取られないように、例えば本願の引用文献に編入されたK.ArataniらによるProc SPIE 1499,209(1991)に説明されているように磁化される。上記実施例では、データドメインマーク281を読取るために、読出し層204は発振レーザビーム191で、書き込みで加熱される保存層202より低い温度へ加熱される。そうすることにより、ディスク107が回転するにつれて、発振レーザビーム191により読出し層204に温度プロファイル279が形成される。上記実施例では、温度プロファイル279の沿った特定温度で、読出し層204に開口部580が生じ、開口部の下のデータドメインマーク281から発する磁束を介して、前記読出し層204の磁気ドメイン領域を垂直に整列させ、読出し層204の磁気ドメインマークはその後ヘッド106素子S1,MR、S2により検出される。読出し層204の熱時間定数は長いことが好ましく、光学スポット348により発生した熱は時間の経過により拡散せず、ヘッド素子MR、SI、S2はスポット上を通過する。上記実施例では、データドメインマーク281から発する磁束は、発振レーザビーム191が照射され開口部を形成する間のみアクセス可能であることは理解される。好ましくは、開口部はスポット348径よりも小さいことが望ましく、よって、発振レーザビーム191はトラック方向の解像度を限定せず、クロスデータトラック103方向(放射状)の読出し解像度を限定する。
【0049】
別の実施例では、媒体107は、光学スポット348により適当な温度へ加熱された際に、以下の保存層202のデータドメインマーク281からの磁束は前記の読出し層204の磁気ドメインを整列させるように機能する保存読出し層204からなるが、前述の実施例とは異なり、発振レーザビーム191への電力が切れたら、コピー層204の磁気ドメインは整列された配向のままである。この実施例では、プレ/消去磁石1064は、コピー層204の磁気ドメインのその後の再整列/消去のため、ヘッド106のトレーリング縁部に位置する。典型的実施例において、プレ/消去磁石1064は、再整列/消去用の十分な磁界力を生じるような希土類材料からなる。他の実施例において、更に、プレ/消去磁石1064はヘッド素子106の先導縁部、若しくはヘッド106上又はヘッド106外に配置されることは理解できる。磁気ドメインは消去されるまで読出し層204に配向されたままであるので、上記実施例では、前述した熱開口部580は読出し用に依存する必要はないことは理解される。読取り層204の室温での保磁力は、保存層202に影響を与えず、プレ/消去磁石1064により消去されるように選択される。この代わりの実施例では、読出し層204の磁気ドメインは消去されるまで整列したままで、素子を光学部品446の近くに配置させる必要がないので、ヘッド素子S1、MR、S2の組立はより簡単に行うことができる。
【0050】
更に別の実施例では、媒体107は利用可能である単一層のアモルファス磁気材料からなる。この実施例では、適当な希土類-遷移金属(RE−TM)の比較的厚い(〜100nm)単一層は、レーザアシスト熱磁気書き込みと、ヘッド106を含む素子による読出しとの双方に合わせて調整可能である。フェリ磁性RE-TNフィルムの組成物は、補償温度が室温に近くなるように選択され、媒体107の安全な保存用の高い保磁力と書き込みを可能とする高温度での減少保磁力とが生じる。上記と同じ設計には、室温付近でのゼロ近傍残磁性(読取り信号なし)と、読取りビームの適度な高温度でのデータトラックの選択的読出し(隣接トラックのクロストークなしで)用の十分な磁性とがある。かかる媒体は、本願の引用文献に編入された、米国カリフォルニア州モントレイでの1999年1月10日から13日のMORIS-Magneto-Optical Recording International Symposium'99での論文13-B-05で、Katayamaらにより発表された講演タイトル“New Magnetic Recording Media Using Laser Assisted Read/Write Technologies”で説明されている。
要約すると、発振レーザビーム191と反射レーザビーム192は、光学サーボシステムの一部として利用され、フライングヘッド106を特定データトラック上の中央に維持させる。先行技術の光学ドライブとは異なり、発振レーザビーム191は保存及び読出し層202、204を加熱させるために利用される。書き込み温度より低い温度へ加熱されるとき、読出し層は保存層202から読出し層204へデータドメインマーク281をコピーし、フライングヘッド106は開口部580ないの磁気ドメインの配向を感知する。ヘッド106を含む素子の大きさはデータトラック103ピッチよりも幅広であるけれども、発振レーザビーム191により形成された温度プロファイルは、(クロストラック方向に)書き込まれたデータドメインマーク281の縁部を限定することが好ましい。よって、書き込みよりも狭くデータドメインマーク281を読取ることが可能であり、システム100のトラック保存密度を増大させる。
【0051】
しかしながら、実際には、層202、204への発振レーザビーム191により印加された熱は、加熱領域の移動時間がヘッド素子P1、P2、C、S1、MR、S2の縁部を移行している間は拡散する傾向にある。熱拡散は、開口部580が読取り及び書き込み用の熱素子P1、P2、C、S1、MR、S2下で十分遠くに伸長するように形成することが望まれる。しかしながら、熱拡散のため、開口部580を生じさせる熱勾配は急勾配でなく、よって、データドメインマーク281の縁部を十分制御又は限定できない。熱素子S1、MR、S2によるデータの読取りでは、データドメインマーク281は直線の縁部を含むことが好ましく、データトラック103間で重なるべきではない。一般には、層202、204は垂直(軸)及び横(平面)方向で異なる熱拡散速度を有する。
【0052】
横の熱拡散過程を理解するために、発振レーザビーム191でディスク107の面を加熱することは、平坦な移動面に粘性のある流動体を注ぐことの類比で推論でき、ここで面上の流動体の高さは温度に相当する。この類推から、流動体は全方向に広がり、一定高さでの横の温度プロファイルの等傾線は広がる涙のしずくのように理解される。発振レーザビーム191により形成された典型的な横の温度プロファイル279を図4hに示した.
垂直の拡散過程を理解するために、図5aに示す温度プロファイル279は、流動体が流れるスクリーンとして類推することができる。垂直の流れにはより急な勾配(流動体高さの変化の速度)が生じる。垂直の流れは速いときには、ディスク107の隣接データトラック103は、流動体高さに類似した熱はほとんど見られない。よって、仮に垂直と横の拡散比を調整することができないのなら、隣接データトラック103は重ね書き込みがされ及び/又は不規則な形のデータドメインマーク281が形成されるであろう。よって、素子S1、MR、S2により、正しい読取り用のデータドメインマーク281の形成を制御したいと考える。
【0053】
本発明は、ディスク107のデータトラック103間にチャンネル又はメサ266を設けることにより、前述の垂直及び横の熱拡散の望ましくない効果を、ディスク107のデータトラック103間の熱伝導をブロックし、及び/又は指向させることにより最小化させる及び/又は制御でき、ヘッド106素子により改良書き込み及び読み取りができることを確認した。チャンネル又はメサ266の使用は以下に説明するが、まず、ピット215の議論を更にすることとする。
【0054】
図6a-6dを参照するに、隆起及びくぼみのある形のパターン形成の段階と、その後その形をディスク107の基板245への転写を示す。その段階には、従来の注入成形技術を、又は研磨ガラス若しくはアルミニウムの基板上の比較的薄いポリマー層のエンボス加工のような代替技術を利用して、ポリカーボネートのような材料のプラスチック基板を製造する。あるいは、ガラス又はアルミニウムのような基板上に感光性マスク層を塗布し、光リソグラフィックに所望の領域と感光性層を形成し、反応性イオンエッチング又はイオンミリングとそれに続く感光性層を除去により、隆起及びくぼみのある形を形成する。更なる代替としては、基板材料に所望の膜厚の感光性層を塗布し、フォトリソグラフィック工程により直接感光性層にピットを形成する。磁気光学、光学又は磁気を含む他のタイプのドライブの基板にピットパターンを形成する他の手法によりピットパターン形成が限定され、本発明の一部として含まれる。
【0055】
ガラス基板へのディフェレンシャルエッチング以外は、前記説明した全ての技術及び他の同様な技術では、隆起及びくぼみのある形は、例えばピット215を利用する実施例のように、比較的柔らかい基板、典型的にはプラスチック若しくはアルミニウム又はその等価物に限定される。議論されるべき例でのその後の差異に基づく除去の段階(differential removal step)には、化学的機械研磨(CMP)があり、調製されるディスクの仕上げ隆起をできるだけ念入りに形成させるために、比較的硬く、研磨抵抗層が基板上に必要である。
【0056】
例えば、本発明のディスク107の図6a-6dには、記録層の熱的、磁気的及び光学的性能を制御するための一連の層が利用される。典型的な第一の面の設計のかかる層は、例えばアルミニウムのような低熱伝播体層610と、底部誘電体層612と、保存層202と、読出し層204と、上部誘電体層620とを含む。典型的な実施例では、上記層の夫々の厚さは約50nmである。
【0057】
説明するように、誘電体層620は、窒化シリコン層699及び/又はスパッタリングされた酸化シリコン層618からなり、双方とも比較的研磨耐性があり、よって、差異に基づく除去工程への硬い層として機能する可能がある。この工程後の断面図を図6bに示す。再び、これは一連の層の典型例であり、しかも本発明はかかる一連の層を利用することを限定しているものではなく、むしろ他の磁気光学、光学、又は磁気記録ディスクでの利用に容易に適することを述べておく。例えば、基板が比較的柔らかい実施例で、窒化シリコン層(図示せず)は基板245と熱伝播層610との間に利用される。
光学データ保存ディスク用の従来のエンボス工程において、一般には、各ピットの深さは1/4波長、例えば赤色光では約160nmの深さである。したがって、従来のピットでは、ピットの深さ許容範囲の変動により検出反射信号における変動が生じる。対照的に、本発明では、ピット215から誘導される信号149(図1)は、充填材料の反射率の関数であり、先行技術におけるピットの深さに必要とされる比較的きつい公差ではない。
【0058】
好ましい実施例において、酸化シリコン層618と窒化シリコン層699の双方を利用した。酸化シリコン層は、正しい層の厚さが化学的研磨若しくは以下に説明する他のエッチング工程の最後に残っていることを保証するように、犠牲の層として利用される。好ましい実施例では、充填材料630を堆積させる、若しくは別の方法で層610、612、202、204、618、699の上部に塗設させる。例えば、ある充填材料630はスパッタリングされたアルミニウム又はアルミニウム合金である。典型的な厚さは各ピット215の深さの約2倍であり、例えは約160nmのピットの深さに対しては、充填材料630の厚さは約300nmである。充填材料630を堆積された基板245の断面図を図6cに示す。次の工程では、ディスク107は差異に基づく除去工程に行き、充填材料630を除去するが、硬い酸化シリコン層618により停止又は実質的に停止する。有用な工程は、Semiconductor International,1/95でのWANGらによる論文タイトル“Chemical-Mechanical Polishing Of Dual Damascene Aluminum Interconnects Structure”に説明されているようなIC産業で開発されたCMP工程で研磨される。この工程は市販の装置及び材料を使用し、充填材料630と酸化シリコン層618の間に約100の研磨選択性を提供する。よって、本特定例において、充填材料の300nmの全てと50%以上の研磨するときに、犠牲の働きをする酸化シリコン層618の2nm以下か除去されることが望ましい。結果生じた面は実質的に平坦であるが、充填材料630はピット215を充填している。酸化シリコン層618は、次に湿式化学エッチャントによりエッチングされ、下にある窒化シリコン層699を殆どエッチングしないことが好ましい。
【0059】
好ましくは、上記最後の工程後、図6dに示すようにディスク107の面は、層620の厚さ(多分10-15nm)とおおよそ同じ最大の高さ妨害(maximum height disturbance)を有し、又典型的実施例では先行技術より10倍以下である。よって、先行技術と対比して、本発明のディスク107は妨害のないフライングヘッド106の面を提供し、ヘッドが減少したフライングの高さで安定に浮き、当業者は本発明のフライングヘッド106だけでなく、近傍界タイプ光学データ保存への応用によって有益であることを認めるであろう。ピット215は反射性材料で充填されているので、反射信号192は、先行技術の回折サーボトラッキング法のそれ以上、例えば典型的実施例では3倍以上大きな振幅を有するであろう。更に、本発明のピットは、ディスク107自身からの粒子物質源、例えば信号149を低下させるディスク潤滑剤から汚染を受ける空洞を有していない。
【0060】
更なる改良において、窒化シリコン層699の厚さに僅かな減少が許容されるなら、犠牲の酸化物層618は必要なくなり、上部面はさらにより平坦で滑らかになるであろう。
図7aを参照するに、一定半径を有するピットから誘導された信号を示す。先に述べたように、本発明のサーボセクタ212は自動ゲイン制御フィールド’(AGC)を利用する若しくは利用しない。AGCフィールドが利用されず、ピットが対応するディスクの半径以上の一定のサイズであるならば、ディスクの内部半径対外部半径での遅い速度のために、ピットから誘導される信号は変化する。
【0061】
図7aは代表的な未充填ピットと、対応するディスクの外部半径と内部半径の双方で、それから誘導された代表的なサーボ信号を示す。信号のパルス幅は、ディスク上のヘッドの正確な位置決めに影響を及ぼす特性を変化させる。
【0062】
図7bを参照するに、一定でない半径を有するピットから誘導された信号を示す。好ましい実施例では、ピット215は、ピット215が、例えば反射面又は半径を有する大きさに配置された場所でディスク107の半径に比例するような大きさを有する。図7bのピット215から誘導された信号149は、よってディスク107のピット215の位置に関係なく、同様なパルス幅からなる。結果として、ピット215からのパルスから誘導されたサーボ信号149における変動は最小化される。パルスをサンプリングし、まとめたデジタルサーボチャンネルを利用するシステム100の実施例では、外部径から得られたパルス幅はディスク107の内部径から得られたパルス幅と同じになるように作られるので、よって、減少したサンプリング速度が利用される。ディスクが配置された場所でのディスク107の半径に比例する大きさを有するピットは、ピットからの反射よりもしろ回折を利用するドライブにおいて、充填材料で充填されていない実施例では有用性があることが分かった。
【0063】
図8aを参照するに、隆起及びくぼみのある形を有する基板での端部の図面が示される。図8aは、ピット215を充填させる工程はチャンネルを充填させるために利用されることをも示す。よって、ピット215を充填材料630で充填させることから導かれる幾つかの同じ恩恵は、チャンネル266を充填させることへも適用され、例えば、恩恵はディスク107上にフライングヘッド106を維持させるための平坦な面を提供すること、並びに汚染物の蓄積の減少をもたらすということである。
【0064】
ディスク107のデータトラック103間の充填チャンネル又はメサ266は、本発明に更なる恩恵をもたらす。データトラック103間のチャンネル266にアルミニウムや金属のような高伝導性で高熱容量の充填材料が吸熱器のような働きをし、一方で以下に説明するように低伝導性で低熱容量の充填材料は、放射状に熱の流れをブロックして、データトラック間の垂直壁のような働きをする。
【0065】
シミュレーションにより、アルミニウムのような高伝導性充填材料630はスポット348により発生した熱を拡散させ、次に、マークの書き込み中にデータドメインマーク681の幾何学的形状に、好ましい矩形又は正方形に変形が生じる。他方、低伝導性充填材料はデータドメインマークの縁部をより直線にし、よって、大雑把にはチャンネル266に垂直であり、チャンネルで停止する。結果として、アルミニウムが充填材料630としての最善の選択ではない。
【0066】
典型的な実施例では、データトラック103間のチャンネル266は、比較的狭い幅で5から1以上のアスペクト比を有し、チャンネル266の垂直の大きさを100と1000nmの間へ制限する。幾つかの周知な充填材料は薄膜として堆積させたときに反射性であり、しかも上記大きさを支え、アスペクト比は金属(つまり前述のアルミニウム)及びあるタイプの色素ポリマーを含む。しかしながら、前述したように、金属は吸熱器として望ましくない働きをする。色素ポリマーは低伝導性を示し、よって充填材料として利用可能であるが、研磨することが更に困難である。ガラスは低伝導性であるので、利用可能な他の材料であるが、例えば、サーボトラッキング用の回折情報を利用する光学ドライブでは、ガラスは増加した反射が好ましくない実施例で利用可能であろう。
【0067】
図8b-8cを参照するに、チャンネルを有さない及び有する媒体へ発振レーザビームを照射した結果生じた熱拡散のシミュレーションを示す。前述のように、先行技術において光ビームを媒体へ照射することは、データドメインマーク281の形成に好ましくない影響を及ぼす温度プロファイルが生じる。図8b-8cは、先行技術で形成された典型的な開口部の温度プロファイルを示し、一方、図8d-8eは、チャンネル266を有するディスク107を利用した際に形成された温度プロファイルを示す。図8fの夫々の温度プロファイルを重ねたものから分かるように、本発明のチャンネル266を有するディスクでは、温度勾配が急である。結果として、データドメインマーク281はさらに限定され、トラック及びクロストラック方向に形成される。したがって、本発明のチャンネル266は、データドメインマーク281がより好ましい矩形若しくは正方形の幾何学的形状を示すように熱拡散を導き制御する働きがあることか分かり、その結果データ読み取り中に、より高磁束密度がヘッド106、S1、MR、S2素子に提供される。クロストラック方向にデータドメインマーク281を限定することにより、幅広な書き込みと狭い読取り中にヘッド素子MRへの均一なバックグラウンドノイズが最小化され、先行技術以上に高い保存データ密度が可能となる。
【0068】
図9a-9eを参照するに、メサ及び隆起した形を有するディスクを示す。図9a-eは、光学スポット348により発生した熱を導くためのさまざまな手法を示し、よってデータトラック103は、チャンネル間よりもむしろメサ266間に配置される。本実施例では、メサ266は基板と同じ材料、例えばガラスからなる。メサ266を製造する際に、その方法はネガ型レジストを利用してマスターを反転させ、メサ266だけでなくサーボセクタ212パターンの形成を含むディスクフォーマットを作製する。本実施例では、サーボセクタ212パターンはピットよりもむしろ隆起した形215からなることが理解される。
【0069】
前記したことに戻ると、ディスク107は以下の順序で堆積させた材料の層を含む:アルミニウム、底部誘電体層、保存層、読出し層、上部誘電体層である。したがって、メサ266を含むディスク107の典型的な製造工程は、ガラス基板245をマスター(master)し、メサ266及びサーボパターンは50と100nmの間の形の深さを有し、基板245上にアルミニウム又はパーマロイ(ニッケルと鉄)層610を堆積させ、エッチング停止としてガラス基板245の面を利用してアルミニウム又はパーマロイを化学的機械研磨し、誘電体層を堆積させ、保存層202及び読出し層204を堆積させ、窒化シリコン699パッシベーション層を堆積させることからなる。
【0070】
メサ266は熱伝導性アルミニウム層610の放射状の熱的伝導を遮断させる働きがある。記録層202、204は比較的薄いので、アンダー層として約20%以下の熱的伝導性で、アルミニウム層610とは熱的に結合している。よって、記録層202、204を介して放射状に熱伝導があったとしても、トラック間のメサ266の縁部で熱的伝導性は不連続となり、良好な熱バリアとなる。
【0071】
発振レーザビーム191の約50%は記録層202、204を通過すると予想される。発振レーザビーム191はトラック103の中央にあるアルミニウムにより反射されるか、基板245により吸収される。一般には、入射光の約20%はトラック103の中央で反射され、入射光の約10%のみがメサ266で反射される。よって、条件に依存して、入射光の吸収対サーボ信号149との間のトレードオフの関係が必要である。反射でのこの差異は、回折情報を利用する実施例でのサーボトラッキングに利用されることは理解される。
【0072】
図9f−9iを参照するに、メサを有する及びメサを有しないディスクでの温度プロファイルの表現を示す。図9i,9f,9gは、トラック103の中心(各スポットの上部左隅)に最大半値幅(FWHM=550nm)で、3ns、1mWの集束スポット348として発振レーザビーム191を照射させた後、60、90及び150nsでの時間での3つのスナップショットでのディスク107の典型的な温度プロファイル分布を示す。媒体107の深さはY軸方向にあり、ディスクの半径方向はX軸方向である。プロットの左縁部は350nmの半トラックポイントである。ディスク107フィルム構造は、ポリカーボネート基板に85nmの窒化シリコン、20nmの保存及び読出し層、55nmアルミニウムがある。基板のメサ266の伸長部は保存及び読出し層の底部へ伸びており、アルミニウム層は遮断されている。メサの幅は約80nmであり、図9i,9f,9gの右縁部から約20パーセントの所に中心がある。
【0073】
図9hは、発振レーザビーム照射後60ns後でのチャンネル又はメサのないディスクでの垂直の温度プロファイル分布を示す。ディスクでの熱勾配は非常になだらかである。図9hの温度及びステップ当たりの温度は図9i以前のそれの約3分の1である。このことから、メサ266を有するディスク107では、保存及び読取り層での温度プロファイル分布はトラック103の中央で全く均一であり、しかも熱勾配はトラックの縁部で険しいことが分かる。
【0074】
典型的な実施例では、連続的に電源が供給されて熱が発生する場合には、熱はメサ266間を波として伝播していき、熱は4ミクロンの、又は所望の際にはヘッド106読取り/書き込み素子の下でスポット348が通過した1μ秒後、メサ間に残存する。
【0075】
図10a,10bを参照するに、本発明のフライングヘッドの更に別の変形例を示す。この実施例では、前述の実施例とは異なり、フライングヘッド106は光学スポット348を利用してディスク107を加熱し、ヘッド素子S1、MR、S2で磁気データドメインマーク281と読取り、データドメインマーク281の保存層202への書き込みはコイル1511素子を利用して行われる。コイル1151は対物レンズ光学部品446の下に配設され、ある期間変調磁界が発生し、発振レーザビーム191のパワーは一定に維持される(MFMとして本技術分野では周知である技術である)。データドメインマーク281は、コイル1151により保存層202へ垂直に書き込まれ、典型的には三日月のように形作られる。磁界は、磁気パーマロイ部材1162を利用して指向されることが好ましい。本実施例での媒体は読出し層204を含み、磁気ドメインは、プレ/消去素子により消去されるまで整列配向のままである。本実施例において、トラック103に沿ったデータドメインマークの放射状の縁部を決定付けるものは、磁界勾配よりはむしろ熱勾配である。チャンネル又はメサ266を含ませることにより、スポット348により発生した熱を導くことを助け、データドメインマーク281は三日月のような形ではなく、より矩形及び/又は正方形である。前述のように、プレ/消去磁石1064及びヘッド素子S1、MR、S2の幅公差は、厳しい必要性はなく、データドメインマーク281を読取ることによっては、レーザスポット348に近くある必要はないので、ヘッド素子S1,MR、S2の製造は容易に行われる。
【0076】
本発明の他の特徴及びその効果は、本発明の開示部分を調べれば当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
103:トラック、202:保存層、204:読み出し層、245:基板、266:メサ、610:熱伝導性アルミニウム層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録および再生システムにおいて、
(A)回転可能なデータ保存用磁気ディスクであって、
(1)ガラス基板の一主面上に環状の凹凸を設けることにより形成された、複数の環状の凹部と、半径方向熱伝導遮断パターンとして機能する複数の環状の凸部とを有し、前記複数の環状の凹部にはいずれも熱伝導性の金属が堆積されており、
(2)前記複数の環状の凸部の頂部と、前記複数の環状の凹部に堆積された複数の熱伝導性の金属の頂部とは、面一とされており、その上に形成された磁気記録層を有し、
(3)前記磁気記録層において前記複数の熱伝導性の金属の頂部上に設けられている部分を複数の磁気データトラックとする
データ保持用磁気ディスクと、
(B)前記データ保存用磁気ディスクの上に配置可能なフライングヘッドであって、
(1)前記磁気データトラックを選択的に加熱する少なくとも1つのレーザスポットを発生させる少なくとも1つの光学素子、
(2)前記レーザスポットによって加熱された領域内の前記磁気データトラックにデータを書き込むように配置された少なくとも1つの磁気書き込み素子、および
(3)前記磁気データトラックから磁界を検出することによってデータを読み取るように配置された少なくとも1つの磁気抵抗感知素子
を有するフライングヘッドと
を有する磁気記録および再生システム。
【請求項2】
前記熱伝導性の金属は、アルミニウムまたはパーマロイである、請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項3】
隣接する磁気データトラック間に配置された環状の凸部は、前記ガラス基板の部分で形成されたメサである、請求項1または2に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項4】
前記磁気データトラックがアモルファス材料の単一層を含む請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項5】
前記磁気データトラックが読出し層および保存層を含む請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁気抵抗感知素子が、前記レーザスポットによって加熱される前記領域でデータを読取るように配置される請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項7】
前記複数の磁気データトラックが、垂直に配向された複数の磁気ドメインを有する請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項8】
前記複数の磁気データトラックが、水平に配向された複数の磁気ドメインを有する請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項9】
前記複数の磁気データトラックが同一平面内に位置している請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項10】
前記磁気記録層が前記半径方向熱伝導遮断パターンより上に形成されている、請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記データ保存用磁気ディスクを半径方向に横切るように前記レーザスポットを方向付けるための手段を有する請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項12】
前記レーザスポットを方向付けるための手段が、操縦可能なミラーを有する請求項11に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項1】
磁気記録および再生システムにおいて、
(A)回転可能なデータ保存用磁気ディスクであって、
(1)ガラス基板の一主面上に環状の凹凸を設けることにより形成された、複数の環状の凹部と、半径方向熱伝導遮断パターンとして機能する複数の環状の凸部とを有し、前記複数の環状の凹部にはいずれも熱伝導性の金属が堆積されており、
(2)前記複数の環状の凸部の頂部と、前記複数の環状の凹部に堆積された複数の熱伝導性の金属の頂部とは、面一とされており、その上に形成された磁気記録層を有し、
(3)前記磁気記録層において前記複数の熱伝導性の金属の頂部上に設けられている部分を複数の磁気データトラックとする
データ保持用磁気ディスクと、
(B)前記データ保存用磁気ディスクの上に配置可能なフライングヘッドであって、
(1)前記磁気データトラックを選択的に加熱する少なくとも1つのレーザスポットを発生させる少なくとも1つの光学素子、
(2)前記レーザスポットによって加熱された領域内の前記磁気データトラックにデータを書き込むように配置された少なくとも1つの磁気書き込み素子、および
(3)前記磁気データトラックから磁界を検出することによってデータを読み取るように配置された少なくとも1つの磁気抵抗感知素子
を有するフライングヘッドと
を有する磁気記録および再生システム。
【請求項2】
前記熱伝導性の金属は、アルミニウムまたはパーマロイである、請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項3】
隣接する磁気データトラック間に配置された環状の凸部は、前記ガラス基板の部分で形成されたメサである、請求項1または2に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項4】
前記磁気データトラックがアモルファス材料の単一層を含む請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項5】
前記磁気データトラックが読出し層および保存層を含む請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁気抵抗感知素子が、前記レーザスポットによって加熱される前記領域でデータを読取るように配置される請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項7】
前記複数の磁気データトラックが、垂直に配向された複数の磁気ドメインを有する請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項8】
前記複数の磁気データトラックが、水平に配向された複数の磁気ドメインを有する請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項9】
前記複数の磁気データトラックが同一平面内に位置している請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項10】
前記磁気記録層が前記半径方向熱伝導遮断パターンより上に形成されている、請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの光学素子が、前記データ保存用磁気ディスクを半径方向に横切るように前記レーザスポットを方向付けるための手段を有する請求項1に記載の磁気記録および再生システム。
【請求項12】
前記レーザスポットを方向付けるための手段が、操縦可能なミラーを有する請求項11に記載の磁気記録および再生システム。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図4h】
【図4i】
【図4j】
【図4k】
【図4l】
【図4m】
【図4n】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図9h】
【図9i】
【図10】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図4h】
【図4i】
【図4j】
【図4k】
【図4l】
【図4m】
【図4n】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図9h】
【図9i】
【図10】
【公開番号】特開2012−181920(P2012−181920A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142793(P2012−142793)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願平11−551713の分割
【原出願日】平成11年3月29日(1999.3.29)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【分割の表示】特願平11−551713の分割
【原出願日】平成11年3月29日(1999.3.29)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】
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