説明

磁気記録再生装置及び磁気記録媒体

【課題】高密度記録が可能なShingle記録方式を採用した場合に、書き換え時の実質的記録レート低下を防止する。
【解決手段】磁気記録媒体に対して、実質的記録レートは低いが記録密度が高い第1記録と、記録密度は低いが実質的記録レートが高い第2記録とを選択的に行う。第1記録(b)では、各記録列が重複部を持つが非重複部を持たない。第2記録(a)では、各記録列が非重複部を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Shingle記録(瓦記録)方式のような高密度に情報を記録可能な磁気記録再生装置及び磁気記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像又は映像の高画質化が進み、ユーザが扱う情報量は益々増加している。このため、HDD(Hard Disk Drive)と呼ばれる磁気記録装置の大容量化に向けて、面記録密度の高密度化の検討が広く行われている。高密度磁気記録における有望な技術の一つとして、特許文献1で開示されているような、トラックの幅方向に隣接する直前に記録された記録列と部分的に重複するように記録を行うShingle記録(瓦記録)方式が挙げられる。
【0003】
一般に、磁気記録媒体に形成されるトラックのピッチは、形成される最短マーク長より数倍程度大きくなる。しかしながら、Shingle記録方式では、直前に記録された隣接する記録列が部分的に重複するように記録が行われるため、最終的に形成されるトラックのピッチを最短マーク長程度に小さくすることが可能となる。つまり、直前に記録された隣接する記録列の一部を上書きする形で記録が行われるため、単位長さ当たりのトラック数が数倍程度多くなり、記録密度の大幅な向上を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−8881号公報(2011年1月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置では、記録列を書き換える際に、当該記録列以降に形成された記録列を書き換える動作が必要となり、実質的記録レート(書き換えられた記録列の情報量/書き換えるべき記録列を書き換え且つそれ以外の記録列の情報を書き換えないままとするために要する時間)が低下してしまう虞がある。この点について、図9(a)〜図9(d)を用いて説明する。
【0006】
図9(a)は、磁気記録媒体においてトラックの幅方向(媒体の半径方向)に隣接する記録列同士が部分的に重複するように複数の記録列を形成した状態を示す図である。具体的には、各記録列が半径方向に隣接する2つ記録列のいずれかと半径方向の全範囲において互いに重なり合った重複部となっている。図9(a)〜図9(d)では、最終的に得られる各トラック(再生時の各トラック)の境界線と各トラックの中心線とを、それぞれ点線と一点鎖線で示している。図9(b)は、図9(a)のトラックTr102を書き換えるために、トラックTr102´を形成するための記録列を記録した後の状態を示す図である。
【0007】
当初、トラックTr101を形成するための記録列は、トラックTr102を形成するための記録列よりも先に形成されていたため、トラックTr101の情報は書き換えられずに残っている。一方、トラックTr103においては、Tr102´を形成するための記録列によって上書きされてしまい、この状態で、トラックTr103を再生しようとすると、再生エラーが発生する。このため、当初、トラックTr102を形成するための記録列よりも後に形成されたトラックTr103を形成するための記録列と同じ情報の内容で、トラックTr103´を形成するための記録列を上書きしなければならない。図9(c)に、トラックTr103´を形成するための記録列を上書きした後の概略図を示す。同様にして、当初、トラックTr102を形成するための記録列よりも後に形成されていた記録列は全て、順次上書きをしなければならない。図9(d)に、当初、トラックTr102を形成するための記録列よりも後に形成されていた記録列を全て上書きした後の概略図を示す。
【0008】
このように、トラックTr102だけを書き換えるには、トータルで、トラックTr102´を形成するための記録列を形成する時間と、トラックTr102を形成するための記録列よりも後に形成されていた記録列を全て上書きする時間が必要となり、従来の記録方法と比較して、実質的に、数倍程度の長い書き換え時間を要することになる。
【0009】
本発明の目的は、書き換え時の実質的記録レートの低下を防止し、再生エラーが生じ難い磁気記録再生装置及び磁気記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る磁気記録再生装置は、情報記録領域を備えた円盤状の磁気記録媒体と、上記磁気記録媒体に記録磁界を印加して上記磁気記録媒体の周方向に延びる記録列を形成することで情報の記録を行う磁気記録素子と、上記磁気記録媒体からの漏洩磁界を検出して情報の再生を行う磁気再生素子と、上記磁気記録媒体と上記磁気記録素子及び上記磁気再生素子との相対位置を上記磁気記録媒体の上記周方向及び半径方向に移動させる移動機構と、上記情報記録領域において、上記半径方向に関して互いに隣接する前記記録列が上記半径方向に部分的に重複するように前記磁気記録素子及び前記移動機構を制御する磁気記録素子制御手段とを備えている。そして、上記磁気記録素子制御手段は、第1記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R1in及びR1outとし、上記第1記録列の外周側に隣接する第2記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R2in及びR2outとし、上記第2記録列の外周側に隣接する第3記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R3in及びR3outとするとき、
R1in<R2in<R3in<R1out<R2out<R3out
となる第1記録と、上記記録列のそれぞれに、他のいずれの上記記録列とも上記半径方向に重複しない非重複部が形成される第2記録とが選択的に行われるように、制御する。
【0011】
本発明の磁気記録媒体は、周方向に延びる複数の記録列が形成された情報記録領域を備えた円盤状の磁気記録媒体であって、上記記録列のそれぞれに、互いに隣接する上記記録列のいずれかと半径方向に部分的に重複する重複部が形成され、他のいずれの上記記録列とも上記半径方向に重複しない非重複部が形成されていない第1の情報記録領域と、上記記録列のそれぞれに、他のいずれの上記記録列とも上記半径方向に重複しない非重複部が形成された第2の情報記録領域とを有している。
【0012】
本発明に係る磁気記録再生装置では、磁気記録素子制御手段が第1記録と第2記録とを選択的に行わせることができるので、書き換え時の実質的記録レートは比較的低くなっても高い記録密度で記録したい情報を第1記録で記録し、比較的低い記録密度となっても、書き換え時の実質的記録レートを高くしたい情報を第2記録で記録することが可能となる。よって、1つの磁気記録再生装置において、第1記録及び第2記録を使い分けることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートとを両立させることが可能となる。
【0013】
ここで、第2記録で記録された記録列には、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部が存在する。非重複部に記録された情報は、他のいずれの記録列を書き換えても、書き換えられずに保持されるため、書き換えた記録列以外の記録列を上書きする必要がなくなる。このため、第1記録と比較した場合に、若干トラック密度及び記録密度が低くなるが、書き換え時の実質的記録レートを高くすることが可能となる。
【0014】
一方で、第1記録で記録された記録列には、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部が存在しない。このため、他のいずれかの記録列を書き換えた後に、第1記録で記録された情報が一切保持されないケースが想定される。したがって、書き換えた記録列以外の記録列を上書きする必要が生じる。このため、第2記録と比較した場合に、書き換え時の実質的記録レートを低くすることができるものの、トラック密度及び記録密度を上げることが可能となる。
【0015】
以下の説明において、第1記録及び第2記録の「記録列」は、磁気記録素子が記録した磁気パターンの列そのものを意味しており、第1記録の「トラック」は隣接する記録列と重複した結果として最終的に情報が保持されている(1つの記録列のなかで他の記録列に被覆されていない)半径領域を意味している。一方、第2記録の「トラック」は非重複部を意味している。
【0016】
上記磁気記録素子制御手段は、第4記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R4in及びR4outとし、上記第4記録列の外周側に隣接する第5記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R5in及びR5outとし、上記第5記録列の外周側に隣接する第6記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R6in及びR6outとするとき、前記第2記録において、
R4in<R5in<R4out<R6in<R4out<R6out
となるように制御することが好ましい。
【0017】
第2記録において、上記の式を満たすように制御することで、第2記録におけるトラック密度をより高くすることができる。
【0018】
上記磁気再生素子の半径方向における幅をWとすると、
(R6in−R4out)>W/2
であってよい。このようにすることで、磁気再生素子が再生すべきトラックに対してトラッキングされることで、磁気再生素子が検出する漏れ磁界の隣接トラックからのトラック間クロストーク等の成分は、再生を行うトラックよりも小さくなり、再生エラーが生じにくくなる。
【0019】
本発明に係る磁気記録再生装置は、書き換え頻度に対する閾値を記憶する閾値記憶手段と、上記閾値よりも書き換え頻度が高いコンテンツと、上記閾値よりも書き換え頻度が低いコンテンツとを識別するコンテンツ識別部とをさらに備えていてよい。このとき、上記磁気記録素子制御手段は、上記閾値よりも書き換え頻度が低いコンテンツが上記第1記録によって記録され、上記閾値よりも書き換え頻度が高いコンテンツが上記第2記録によって記録されるように制御する。これによって、コンテンツの閾値に応じて、第1記録及び第2記録を自動的に使い分けることができる。
【0020】
本発明に係る磁気記録再生装置は、コンテンツの持つ属性に基づいて、コンテンツが第1類及び第1類よりも書き換え頻度が高いことが想定される第2類のいずれかに属するかを識別するコンテンツ識別部をさらに備えていてよい。このとき、上記磁気記録素子制御手段は、第1類に属するコンテンツが上記第1記録によって記録され、第2類に属するコンテンツが上記第2記録によって記録されるように制御する。これによって、コンテンツの持つ属性に基づいて、第1記録及び第2記録を自動的に使い分けることができる。
【0021】
本発明に係る磁気記録再生装置は、上記第1記録及び上記第2記録のいずれの記録方式によってコンテンツを記録するかを、ユーザに選択させるための入力手段をさらに備えていてよい。このとき、上記磁気記録素子制御手段は、上記入力手段を介してユーザに選択された記録方式で上記コンテンツの記録が行われるように制御する。これによって、コンテンツを第1記録及び第2記録のうちユーザが希望する方で記録することが可能となる。
【0022】
本発明に係る磁気記録媒体は、上述の磁気記録再生装置に含まれる磁気記録媒体であって、上記第1記録によって記録された第1の情報記録領域と、上記第2記録によって記録された第2の情報記録領域と、上記第1の情報記録領域に形成された、上記磁気再生素子にトラッキングを行わせるための第1のトラッキングパターンと上記第2の情報記録領域に形成された、上記磁気再生素子にトラッキングを行わせるための第2のトラッキングパターンとを備えている。そして、上記第1のトラッキングパターン及び上記第2のトラッキングパターンはそれぞれ、上記第1の情報記録領域及び上記第2の情報記録領域のトラックピッチと同じピッチで形成されている。
【0023】
これによって、再生時において、第1記録に係るトラックと、これとはトラックピッチが異なる第2記録に係るトラックとを、より正確にトラッキングすることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、磁気記録素子制御手段が第1記録と第2記録とを選択的に行うことができるので、書き換え時の実質的記録レートは比較的低くなっても高い記録密度で記録したい情報を第1記録で記録し、比較的低い記録密度となっても、書き換え時の実質的記録レートを高くしたい情報を第2記録で記録することが可能となる。よって、1つの磁気記録再生装置において、第1記録及び第2記録を使い分けることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートとを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気記録媒体を模式的に示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る磁気記録媒体において、第1記録によって形成された複数の記録列を模式的に示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る磁気記録媒体において、第2記録によって形成された複数の記録列を模式的に示した図である。
【図4】図1に示す磁気記録媒体に対して記録再生を行う磁気記録再生装置の概略構成を示す図である。
【図5】図4に示す磁気記録再生装置の記録再生ヘッドの概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る磁気記録媒体において、第2記録によって形成された複数の記録列を模式的に示した図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体に形成された複数の記録列及びトラッキングパターンを模式的に示した図である。
【図8】図7に示す複数の記録列の一部の拡大図である。
【図9(a)(b)】従来例に係る磁気記録媒体に形成される複数の記録列を模式的に示した図である。
【図9(c)(d)】従来例に係る磁気記録媒体に形成される複数の記録列を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の磁気記録再生装置4は、図4に示すように、サスペンション5と、スピンドル6と、ボイスコイルモータ7と、ランプ機構8と、記録再生ヘッド9と、サスペンション5、ボイスコイルモータ7及び記録再生ヘッド9を制御する制御部20とを有している。また、図4では、磁気記録再生装置4は、円盤状の磁気記録媒体3を含んでいる。磁気記録媒体3の構造、磁気記録再生装置4による磁気記録媒体3の記録再生方法、及び制御部20の詳細については、後に詳述する。
【0027】
サスペンション5は、その一端側においてボイスコイルモータ7に固定されており、ボイスコイルモータ7とは反対側の端部に、磁気記録媒体3に対して磁界を印加する記録再生ヘッド9を有している。スピンドル6は、磁気記録再生装置4が磁気記録媒体3に情報の記録再生を行うときに、磁気記録媒体3を反時計周り(図4の矢印方向)に回転させるものである。なお、磁気記録媒体3の中心部にはスピンドル6と嵌合可能な孔が形成されている。ボイスコイルモータ7は、サスペンション5に取り付けられた記録再生ヘッド9が磁気記録媒体3上を磁気記録媒体3の半径方向(クロストラック方向)に移動するように、サスペンション5を移動させるものである。すなわち、記録再生ヘッド9は、ボイスコイルモータ7の作動に応じて、磁気記録媒体3の半径方向における位置を変更させることができる。ランプ機構8は、磁気記録媒体3に情報の記録再生を行わないときに、記録再生ヘッド9を退避させるためのものである。すなわち、情報の記録再生を行わないときには、ランプ機構8において記録再生ヘッド9が固定される。
【0028】
なお、本発明の「移動機構」は、スピンドル6及びこれを回転させる図示しないモータ(周方向)と、サスペンション5(半径方向)と、ボイスコイルモータ7(半径方向)とで構成されている。
【0029】
記録再生ヘッド9は、磁化情報の記録と再生を行うものである。具体的には、記録再生ヘッド9は、図5に示すように、磁気記録媒体3に近い面(すなわち、磁気記録媒体3と対向する面)に、垂直磁気記録媒体用の磁気記録素子10と磁気再生素子11とを有している。
【0030】
磁気記録素子10は、磁気記録媒体3に情報を記録するときに、この磁気記録媒体3に対して記録可能な強度の磁界を印加し、磁気記録媒体3の円周方向(トラック方向)に延びる記録列を形成するものである。これにより、例えば、磁気記録媒体3の磁化方向を決定することができる。磁気再生素子11は、磁気記録媒体3からの漏洩磁界を検出して磁化パターンを読み出し、情報の再生を行うものである。なお、磁気記録素子10と磁気再生素子11との磁気記録媒体3から見た円周方向における位置関係は、記録再生ヘッド9が回転する磁気記録媒体3の任意の位置を通過するとき、この任意の位置上を磁気再生素子11が先に通過し、磁気記録素子10がその後に通過するような位置関係となっている。
【0031】
以上のように、磁気記録再生装置4は、スピンドル6及びサスペンション5の動作と、記録再生ヘッド9による磁界の印加とを制御することにより、磁気記録媒体3の所定の位置に記録再生を行うことができる。そのために、磁気記録再生装置4は、サスペンション5、スピンドル6等の各種機能を制御するための所定の演算処理を行う制御部20を有している。制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)等によって実現されている。図4に示すように、制御部20は、サスペンション5及びボイスコイルモータ7を制御することによって所定のトラック(追従して記録再生を行うトラック)へのトラッキングを実現するトラック位置制御部21と、記録再生ヘッド9を制御することによって所定のタイミングで磁気記録媒体3に対して情報の記録・再生を実現する記録再生ヘッド制御部22とを有している。
【0032】
次に、磁気記録再生装置4に備えられる磁気記録媒体3について説明する。本実施形態の磁気記録媒体3は、図1に示すように、磁気記録媒体3は第1領域2−1とこれよりも内周側にある第2領域2−2とに区分される。第1領域2−1及び第2領域2−2には、それぞれ、後述する第1記録及び第2記録が行われる。すなわち、本実施形態においては、コンテンツがどのような書き換え頻度又は属性を持っているかに関係なく、第1領域2−1には第1記録で、第2領域2−2には第2記録での記録が行われる。どのコンテンツをどちらの領域に記録するかはユーザによって決められてもよいし、コンテンツの属性などに関係なく且つ何ら振り分けのための基準を用いることなく、装置が自由に決めることもできる。また、後述する変形例のように、コンテンツの書き換え頻度又は属性を用いて振り分けを行ってもよい。すなわち、本発明において、第1記録及び第2記録のいずれを行うかの選択方法は、何ら限定されるものではない。変形例として、第1領域2−1及び第2領域2−2に、それぞれ、第2記録及び第1記録が行われてもよい。
【0033】
本実施形態の磁気記録媒体3は、ガラス基板上に磁性層を形成した後、研磨により表面を平滑化し、潤滑剤を塗布することで作製される。磁気記録部を形成する材料(磁性層)としては、例えば、Co、Pt、Fe、Ni、Cr、Mn又はこれらの金属からなる合金が挙げられる。また、上記合金としては、例えば、CoPt、SmCo、CoCr又はTbFeCo合金を用いることができる。本実施形態では、磁気記録媒体3の片面にのみ磁気記録面が形成されているが、これに限らず、磁気記録媒体3の両面に磁気記録面が形成されていてもよい。この場合には、上記製造方法に示す工程が、磁気記録媒体3の両面に対して実施されればよい。なお、磁気記録媒体3の両面に形成される磁気記録面への潤滑剤の塗布については、同時に行うことも可能である。
【0034】
続いて、制御部20が行う制御について説明する。制御部20は、上述のようにサスペンション5、ボイスコイルモータ7及び記録再生ヘッド9を制御し、磁気記録媒体3に対して図2に示すような複数の記録列を形成する。磁気記録媒体3の回転方向は、図2に示すように、紙面右から左(図4の矢印方向)となっているため、記録列の形成は、紙面左側から右方に向けて順に行われる。なお、磁気記録媒体3は、例えば媒体面内方向に対して垂直方向に磁化されることで、情報が記録されるタイプの媒体である。本実施形態では、図2(第2領域2−2)及び図3(第1領域2−1)に示すように、紙面手前から奥に向かう磁化パターン1−1(極性プラス)を黒色で図示し、紙面奥から手前に向かう磁化パターン1−2(極性マイナス)を白色で図示する。以下、極性の区別が必要でない場合は、単純に磁化パターン1と記載する。
【0035】
制御部20は、図2及び図3に示すように、磁気記録媒体3に対して、磁気記録媒体3の円周方向に延びる複数の記録列(第n番目の記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R(n)in及びR(n)outとした場合に、R(n)out−R(n)inの幅を有している)を磁気記録媒体3の半径方向の一方側(図中下方)から他方側(図中上方)に向けて順に形成されるような制御を行う。磁気記録媒体3上に形成された複数の記録列は、半径方向に関して互いに隣接する記録列同士が半径方向に部分的に重複するように形成されている。すなわち、形成された各記録列は、その幅方向(半径方向)の一部の磁化パターンが直後に形成された記録列によって上書きされる。これにより、図2(a)に示すように、第2領域2−2において、図中下方から上方に向けて順にトラックTr1、Tr2、Tr3、…が形成され、図3(a)に示すように、第1領域2−1において、図中下方から上方に向けて順にトラックTr6、Tr7、Tr8、…が形成される。なお、図2及び図3の各図において、各トラックの境界線と各トラックの中心線とを、点線と一点鎖線でそれぞれ示している。
【0036】
制御部20で行われる処理手順、特に記録方法について説明する。
【0037】
本実施形態の磁気記録再生装置4において、n番目(n=1から最大Nまでの任意の自然数)の記録列を磁気記録媒体3に形成するとき、サスペンション5、ボイスコイルモータ7及び記録再生ヘッド9を制御する制御部20は、n番目の記録列を形成する際に、直前に形成されるn−1番目の記録列と半径方向に部分的に重複するように制御する。
【0038】
磁気記録素子制御手段としての制御部20は、第2領域2−2において半径方向に複数の記録列が一定の間隔で形成されるように制御を行う。より詳細には、制御部20は、第n番目のトラックを形成するための第n番目の記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R(n)in及びR(n)outとし、第n番目の記録列の内周側及び外周側に隣接する記録列をそれぞれ、第n−1番目の記録列及び第n+1番目の記録列とすると、
R(n−1)in<R(n)in<R(n−1)out<R(n+1)in<R(n)out<R(n+1)out (A)
となるように制御を行う。このようにすることで、いかなる状態においても、少なくともR(n−1)outからR(n+1)inの半径範囲は、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部となり、この非重複部に第n番目の情報が残る。
【0039】
以下、図2(a)及び(b)を用いて、さらに詳しく説明する。磁気情報が記録されていない領域に記録を行う場合は、第1番目のトラックを形成するための第1番目の記録列から形成し、第2番目の記録列、第3番目の記録列、…と順に式(A)にしたがって複数の記録列を形成する。よって、R(3)outからR(5)inの半径範囲は、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部となり、この非重複部に第4番目のトラックTr4の情報が残ることになる。ここで、仮に、R(3)out≧R(5)inである場合、第3番目のトラックTr3を形成するための記録列のみ書き換える際、第4番目のトラックTr4の情報は保持されず、第3番目のトラックTr3を形成するための記録列の記録情報がトラックTr4に上書きされた状態となる。結果、第4番目のトラックTr4に相当する半径位置で、第3番目のトラックTr3を形成するための記録列の情報を再生してしまい、再生エラーが生じてしまう。記録列がPLL(Phase Locked Loop)引き込み用のパターンを含む場合、PLL引き込み用のパターンの再生エラーによって、誤ったクロック生成等、PLL引き込みエラーを生じてしまう。よって、このような再生エラーを防止するにために、第4番目のトラックTr4を形成するための記録列を上書きしなければならず、同様にして、第5番目以降の記録列を上書きしなければならない。
【0040】
しかしながら、本実施形態においては、
R(4)in<R(3)out<R(5)in<R(4)out
となっているため、第4番目のトラックTr4の情報は、幅W(Tr4)を有するR(3)outからR(5)inの半径範囲で保持され、第5番目以降の記録列の上書きを行わなくてもよい。このため、書き換え時に要するトータルでの記録時間が短縮され、実質的記録レート低下を防止することができる。
【0041】
なお、各記録列の半径方向への幅が等しい場合は、
R(n−1)out<R(n)outであれば、R(n−1)in<R(n)inであり、また、
R(n)in<R(n+1)inであれば、R(n)out<R(n+1)outであるため、式(A)は、単純に、
R(n)in<R(n−1)out<R(n+1)in<R(n)out (B)
と表現することも可能である。
【0042】
同様に、各記録列の半径方向への幅が等しく、トラックピッチが一様である場合、式(A)は、トラックピッチWTr(例えば、R(n)in−R(n−1)in)及び磁気記録素子が形成する磁気パターンの半径方向への幅W(例えば、R(n)out−R(n)in)を用いて、
/2<WTr<W (C)
と表現することもできる。
【0043】
本実施形態では、第2領域2−2において式(A)を満たしているため、第n番目の記録列の情報が、R(n−1)outからR(n+1)inの半径範囲で保持される。したがって、磁気記録媒体の情報が記録されていない領域において、記録列は必ずしも内周から外周に向かう方向又はその逆方向に記録されなくてもよい。すなわち、記録列がランダムな順番で形成されるような制御を行うことも可能である。
【0044】
また、第2領域2−2における第2記録時の制御は、上記に限られるものではなく、例えば、R(3)out≦R(4)in、かつ、R(4)out≦R(5)in、となるように制御しても、記録列には、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部が存在する。このように、重複部がなくても、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部が存在するように制御することで、非重複部に記録された情報は、他のいずれの記録列を書き換えた後も、少なくとも非重複部において、書き換えられずに保持されるため、書き換えた記録列以外の記録列を上書きする必要はない。このため、後述する第1領域2−1における第1記録と比較して、若干トラック密度が低く、記録密度も低くなるが、第1領域2−1よりも、書き換え時の実質的記録レートを高くすることが可能となる。
【0045】
一方、磁気記録素子制御手段としての制御部20は、第1領域2−1において、半径方向に複数の記録列が一定の間隔で形成(シーケンシャル記録)されるように制御を行う。より詳細には、制御部20は、第m番目のトラックを形成するための第m番目の記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R(m)in及びR(m)outとし、第m番目の記録列の内周側及び外周側に隣接する記録列をそれぞれ、第m−1番目の記録列及び第m+1番目の記録列とすると、
R(m−1)in<R(m)in<R(m+1)in<R(m−1)out<R(m)out<R(m+1)out (D)
となるように制御を行う。このようにすることで、第2領域2−2における第2記録と比べて、書き換え時の実質的記録レートは低下するが、より高いトラック密度で記録を行うことができる。
【0046】
以下、図3(a)〜(c)を用いて、さらに詳しく説明する。磁気情報が記録されていない領域に記録を行う場合は、第1番目のトラックを形成するための第1番目の記録列から形成し、第2番目の記録列、第3番目の記録列、…と順に式(D)にしたがって複数の記録列を形成する。よって、R(8)out≧R(10)inであるため、第8番目のトラックTr8を形成するための記録列のみ書き換える際、第9番目のトラックTr9の情報は保持されず、第8番目のトラックTr8を形成するための記録列の記録情報がトラックTr9に上書きされた状態となる。結果、第9番目のトラックTr9に相当する半径位置で、第8番目のトラックTr8を形成するための記録列の情報を再生してしまい、再生エラーが生じてしまう。よって、このような再生エラーを防止するにために、第9番目のトラックTr9を形成するための記録列を上書きしなければならず、同様にして、第10番目のトラックTr10を形成するための記録列及びそれ以降の記録列を上書きすることで、書き換えが完了することになる。結果的に、書き換え時において実質的記録レートが低下してしまうが、R(8)out≧R(10)inとなっている分、第2領域2−2における第2記録よりも高いトラック密度で記録することが可能であり、高密度の記録を行うことが可能である。
【0047】
なお、各記録列の半径方向への幅が等しい場合は、
R(m−1)out<R(m)outであれば、R(m−1)in<R(m)inであり、また
R(m)in<R(m+1)inであれば、R(m)out<R(m+1)outであるため、式(D)は、単純に、
R(m)in<R(m+1)in<R(m−1)out<R(m)out
と表現することも可能である。
【0048】
同様に、各記録列の半径方向への幅が等しく、トラックピッチが一様である場合、式(D)は、トラックピッチWTr(例えば、R(m)in−R(m−1)in)及び磁気記録素子が形成する磁気パターンの半径方向への幅W(例えば、R(m)out−R(m)in)を用いて、
Tr<W/2 (E)
と表現することもできる。
【0049】
なお、本実施形態では、第2記録において磁気再生素子11の半径方向における幅(センシング領域の幅)(センシング領域の幅)をWとすると、
{R(m+1)in−R(m−1)out}>W/2 (F)
を満たしている。
【0050】
式(F)を満たさない場合、第(m−1)番目のトラックTr(m−1)を書き換えた後に、第m番目のトラックTr(m)の再生を行う際、トラックTr(m)の情報が保持されている領域の半径方向への幅は、磁気再生素子11の幅Wrの半分未満となり、いかにトラッキングを行おうとも、検出する漏れ磁界の半分以上は隣接トラックからのトラック間クロストーク等の成分となって、これは再生を行うトラックよりも大きくなる虞が大きい。
【0051】
一方、式(F)を満たす場合、第(m−1)番目のトラックTr(m−1)を書き換えた後に、第m番目のトラックTr(m)の再生を行う際、トラックTr(m)の情報が保持されている領域の半径方向への幅は、磁気再生素子11の幅Wrの半分より広くなる。このため、再生すべきトラックに対して磁気再生素子11がトラッキングされることで、漏れ磁界の隣接トラックからのトラック間クロストーク等の成分は、再生を行うトラックよりも小さくなり、再生エラーが生じにくくなる。
【0052】
このようにすることで、隣接する内周側及び外周側のトラックからの信号よりも、再生を行うトラックからの信号が強く検出されることになり、再生エラーを生じ難くすることが可能となる。
【0053】
上述したように、本実施形態に係る磁気記録再生装置4では、制御部20が第1記録と第2記録とを選択的に行わせることができるので、書き換え時の実質的記録レートは比較的低くても、高い記録密度で記録したい情報は第1領域2−1に第1記録し、比較的低い記録密度であっても、書き換え時の実質的記録レートを高くしたい情報は第2領域2−2に第2記録することが可能となる。よって、1つの磁気記録再生装置において、上述した2つの記録方式を使い分けることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態のように、必ずしも、予め第1領域及び第2領域を分けて設けておく必要はなく、どのような制御(トラックピッチ)によって形成された記録列であるかを、記録した領域やアドレスに関連付けて、磁気記録再生装置が記憶しておくことでも、本実施形態と同様の効果を奏する。このようにすることで、記録した領域やアドレスを参照することで、どのような制御(トラックピッチ)によって形成された記録列であるかを判別し、所定の書き換え動作を行うことができる。
【0055】
一変形例として、制御部20は、書き換え頻度に対する閾値を記憶する閾値記憶部(図示せず)と、上記閾値よりも書き換え頻度が高いコンテンツと、上記閾値よりも書き換え頻度が低いコンテンツとを識別するコンテンツ識別部(図示せず)とを有していてもよい。かかる閾値は、ユーザによって決定されたものであってよい。この場合、制御部20は、第1領域2−1に上記閾値よりも書き換え頻度が低いコンテンツが記録され、第2領域2−2に上記閾値よりも書き換え頻度が高いコンテンツが記録されるように制御する。このようにすることで、書き換え頻度に応じて、第1領域2−1及び第2領域2−2を使い分けることができ、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。書き換え頻度に関する値は、コンテンツに記録されていてもよく、新たなコンテンツを記録する際に、ユーザがコンテンツ又は磁気記録再生装置4に記入してもよい。閾値が、例えば、1回/日の場合、コンテンツに記録された書き換え頻度もしくはユーザが記入した書き換え頻度が、1回/日よりも大きい場合は当該コンテンツが第2領域2−2に記録され、1回/日よりも小さいときは当該コンテンツが第1領域2−1に記録される。
【0056】
また、磁気記録再生装置4は、各コンテンツの書き換えを行った日時の履歴を記録しておき、当初、第2領域2−2に記録していたコンテンツの書き換え頻度が、所定の書き換え頻度に対する閾値を下回った場合には、当該コンテンツを第1領域2−1に保存し直す(ムーブ)動作を行ってもよい。一方、当初、第1領域2−1に記録していたコンテンツの書き換え頻度が、所定の書き換え頻度に対する閾値を上回った場合には、当該コンテンツを第2領域2−2に保存し直す(ムーブ)動作を行ってもよい。このようにすることで、コンテンツの書き換え頻度が変化する場合であっても、ユーザの書き換え頻度を反映して、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。
【0057】
別の変形例として、制御部20は、コンテンツの持つ属性に基づいて、コンテンツが第1類及び第1類よりも書き換え頻度が高いことが想定される第2類のいずれかに属するかを識別するコンテンツ識別部(図示せず)を有していてもよい。コンテンツ識別部は、各コンテンツが第1類及び第2類のいずれに属するかの基準を記憶しており、その基準に基づいて上記識別を行う。かかる基準は、ユーザによって決定されたものであってよい。制御部は、第1類に属するコンテンツが第1領域2−1に第1記録され、第2類に属するコンテンツが第2領域2−2に第2記録されるように制御する。このようにすることで、コンテンツの持つ属性(コンテンツの種別など)に応じて、第1領域2−1及び第2領域2−2を使い分けることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。
【0058】
ここで、第1類に属するコンテンツ(書き換え頻度が低いことが想定されるコンテンツ)とは、例えば、オペレーションソフト(OS)やアップデートがあまり行われないアプリケーションソフト等である。第2類に属するコンテンツ(書き換え頻度が高いことが想定されるコンテンツ)とは、例えば、ユーザが作成するドキュメントファイルや、アップデートが頻繁に行われるアプリケーションソフト等である。また、例えばパーソナルコンピュータ(PC)においてハードディスクドライブ(HDD)のデフラグを行う際に、異なるアドレス位置に書き換えられないコンテンツを、第1領域2−1に、第2領域2−2よりも高密度で記録し、その他のコンテンツを、第2領域2−2に、第1領域2−1よりも高い書き換え時の実質的記録レートとなるようなトラックピッチにて記録してもよい。このようにすることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。
【0059】
また、コンテンツ識別部は、以下のような基準でコンテンツが第1類及び第2類のいずれに属するかを識別してもよい。
・コンテンツの拡張子で識別する。この場合、コンテンツ識別部は、各識別子と第1類又は第2類とを関連付けて記憶している。
(「〜.doc」、「〜.dll」、「〜.ini」「〜.exe」等)
・インストールプログラムによって保存されるコンテンツを第1類、、それ以外のコンテンツを第2類と識別する。
・コンテンツの容量が予め設定された閾値以上の容量であれば第1類、上記閾値未満の容量であれば第2類と識別する。
・コンテンツのプロパティ情報の任意の項目(例えば最新の更新日時)に関する基準(日時の基準時、圧縮の有無、圧縮率、作成者名など)によって識別する。
・シーケンシャル記録を行うコンテンツ(例えばAVコンテンツ)を第1類、ランダム記録を行うコンテンツを第2類と識別する。
【0060】
さらに別の変形例に係る磁気記録再生装置は、第1記録及び第2記録のいずれの記録方式によってコンテンツを記録するかを、ユーザに選択させるための入力装置(キーボード、マウス、ボタン、タッチパネルなど)を含んでいてもよい。この場合、制御部20は、入力装置を介してユーザに選択された記録方式でコンテンツの記録が行われるように制御を行う。このようにすることで、ユーザの選択に応じて、第1記録及び第2記録を使い分けることができ、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。例えば、ダウンロードした音楽データや画像データは書き換え頻度が低いコンテンツとユーザが判断した場合、当該コンテンツを第1記録で記録し、プレゼンテーション用ファイルや家計簿は書き換え頻度が高いコンテンツであるとユーザが判断した場合、第2記録で記録することができる。なお、コンテンツを第1記録及び第2記録のいずれで記録するかをユーザに選択させるに当たっては、記録を行う前に例えば映像出力装置(図示せず)等に記録方式選択メニューを表示させてもよい。
【0061】
さらに別の変形例として、磁気記録再生装置4は、ユーザの判断に基づいて、第1領域2−1と第2領域2−2との記録容量の比を決定してもよい。ユーザが、記録容量に一定の余裕があり、第2領域2−2を大きくすると判断した場合は、比較的、第2領域2−2を大きく割り当てることができる。一方、記録容量に一定の余裕がなくなり、第1領域2−1を大きくすると判断した場合は、比較的、第1領域2−1を大きく割り当てることができる。
【0062】
<変形例>
図6は、上記実施形態1の変形例である。本変形例においては、2本の隣接するトラック(例えば、トラックTr11とTr12)を1組として、R(12)inからR(11)outまでの半径範囲が、トラックTr11及びTr12を形成するための2つの記録列の重複部となっている。また、R(11)inからR(12)inまでの半径範囲及びR(11)outからR(12)outまでの半径範囲がそれぞれ、トラックTr11及びTr12を形成するための記録列の非重複部となっている。同様にして、トラックTr13とTr14も形成されており、R(12)out≦R(13)in(図6(a)では、R(12)out=R(13)in)となっている。本変形例において、例えばトラックTr14の幅W(Tr14)は、R(14)out−R(13)outである(図6(b)参照)。
【0063】
このように、記録列のそれぞれに、半径方向において、互いに隣接する記録列のいずれかと部分的に重複する重複部と、半径方向において、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部とが形成されるように、記録列を形成することで、他のいずれの記録列とも重複しない非重複部(R(11)inからR(12)inまでの半径範囲、R(13)outからR(12)outまでの半径範囲、R(13)inからR(14)inまでの半径範囲、R(13)outからR(14)outまでの半径範囲)に記録された情報は、他のいずれの記録列を書き換えた後も、書き換えられずに情報が保持される。例えば、図6(a)に示す状態から第13番目のトラックTr13を形成するための記録列のみ書き換えた場合(Tr13´)、図6(b)に示すように、当該記録列によって他のトラックが書き換えられることがない。したがって、書き換えた記録列以外の記録列を上書きする必要がなくなる。なお、本変形例でも、第1領域2−1においては、上記実施形態1と同様の記録を行う。
【0064】
このように、第1領域2−1及び第2領域2−2において互いに異なる方式で記録を行うことができるため、書き換え時の実質的記録レートは比較的低くなっても高い記録密度で記録したい情報は第1領域2−1に第1記録を行い、比較的低い記録密度でとなっても書き換え時の実質的記録レートを高くしたい情報を第2領域2−2に第2記録を行うことが可能となる。よって、1つの磁気記録再生装置において、上述した2つの記録方式を使い分けることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と共通する各部位には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
図7は、本実施形態における磁気記録媒体3の概略図であり、図8は、図7の一部を拡大し、一部を省略した詳細図である。磁気記録媒体3には、第1領域2−1(図7(b)及び図8(b))及び第2領域2−2(図7(a)及び図8(a))が形成され、それぞれ、第1記録及び第2記録により記録が行われる。また、図7及び8に示すように、磁気記録媒体3には、第1領域2−1及び第2領域2−2それぞれに対応した、トラッキングパターン13(バーストパターン)及びトラッキングパターン12(バーストパターン)が形成されている。トラッキングパターン12及び13は、磁気記録媒体3上の各トラックへのトラッキングサーボ制御を行うための磁化パターンであり、磁気記録再生装置4の製造時に、例えば、サーボトラックライタ(STW)により形成されたものである。磁気記録再生装置4に組み込む前の磁気記録媒体3を、STW用の磁気記録ヘッドを備えたSTWにセットし、磁気記録媒体3を回転させながら磁界を印加することで、磁気記録媒体3に、所定の磁気的なトラッキングパターン12及び13が形成される。なお、トラッキングパターン12及び13の形成方法は、上記限られるものではなく、例えば、予め磁気的にサーボ情報を記録したマスタとなる媒体を用いた磁気転写(スタンピング方式)によって、トラッキングパターン12及び13を形成することもできる。また、トラッキングパターン12及び13は、後述するように磁気記録媒体3上に形成される複数の記録列のそれぞれに対して形成されており、磁気再生素子11によって再生可能に記録されている。なお、図8に示すとおり、トラッキングパターン12及び13は、複数の小パターン(例えば、12−1〜12−3及び13−1〜13−3)の集合である。
【0067】
(記録方法)
磁気記録素子制御手段としての制御部20は、第2領域において、半径方向において複数の記録列が一定の間隔で形成されるように制御を行う。より詳細には、制御部20は、第n番目のトラックを形成するための第n番目の記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R(n)in及びR(n)outとし、第n番目の記録列の内周側及び外周側に隣接する記録列をそれぞれ、第n−1番目の記録列及び第n+1番目の記録列とすると、式(A)が成り立つように制御を行う。このようにすることで、いかなる状態においても、少なくともR(n−1)outからR(n+1)inの半径範囲に第n番目の情報が残る。
【0068】
磁気情報が記録されていない領域に記録を行う場合は、第1番目のトラックを形成するための第1番目の記録列から形成し、第2番目の記録列、第3番目の記録列、…と順に式(A)にしたがって複数の記録列を形成する。つまり、図7(a)に示す通り、第2番目、第3番目及び第4番目のトラックをそれぞれトラックTr16、トラックTr17及びトラックTr18とすると、上記実施形態1と同様に、
R(17)in<R(16)out<R(18)in<R(17)out
となっているため、第3番目のトラックTr17の情報は、少なくともR(16)outからR(18)inの半径範囲で非重複部として保持されている。したがって、第3番目のトラックTr17を形成するための記録列のみ書き換えた際に、第4番目以降の記録列の上書きを行わなくてもよい。このため、書き換え時に要するトータルでの記録時間が短縮され、後述する第1領域よりも高い実質的記録レートを実現することができる。
【0069】
一方、制御部20は、第1領域において、半径方向において複数の記録列が一定の間隔で形成されるように制御を行う。より詳細には、制御部20は、第m番目のトラックを形成するための第m番目の記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R(m)in及びR(m)outとし、第m番目の記録列の内周側及び外周側に隣接する記録列をそれぞれ、第m−1番目の記録列及び第m+1番目の記録列とすると、式(D)が成り立つように制御を行う。
【0070】
磁気情報が記録されていない領域に記録を行う場合は、第1番目のトラックを形成するための第1番目の記録列から形成し、第2番目の記録列、第3番目の記録列、…と順に式(D)にしたがって複数の記録列を形成する。つまり、図7(b)に示す通り、第2番目、第3番目及び第4番目のトラックをそれぞれトラックTr19、トラックTr20及びトラックTr21とすると、上記実施形態1と同様に、
R(20)in<R(21)in<R(19)out<R(20)out
となっている。このようにすることで、上記実施形態1と同様に、第2領域と比較すると書き換え時の実質的記録レートが低くなるが、高密度の記録が可能となる。
【0071】
このように、本実施形態においても、制御部が第1記録と第2記録とを選択的に行わせることができるので、書き換え時の実質的記録レートは比較的低くても高い記録密度で記録したい情報を第1領域にて第1記録で記録し、比較的低い記録密度であっても書き換え時の実質的記録レートを高くしたい情報を第2領域にて第2記録で記録することが可能となる。よって、1つの磁気記録再生装置において、上述した2つの記録方式を使い分けることで、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。
【0072】
(再生方法)
磁気再生素子11は、第2領域において、トラッキングパターン12を検出することで、磁気記録媒体3に対する半径位置を検知し、所望のトラック(半径位置)に対してトラッキングを行いながら、情報の再生を行う。上述したように、第1記録の「トラック」は隣接する記録列と重複した結果として最終的に情報が保持されている(つまり、1つの記録列のなかで他の記録列に被覆されていない)半径領域であり、第2記録の「トラック」は非重複部を意味している。そして、本実施形態では、トラッキングパターン13(詳細には後述する小パターンであって、偶数番目のトラックか奇数番目のトラックかを判別するための後述する小パターンを除く)が第1記録のトラックピッチと同じピッチで形成されており、トラッキングパターン12(詳細には後述する小パターンであって、偶数番目のトラックか奇数番目のトラックかを判別するための後述する小パターンを除く)が第2記録のトラックピッチと同じピッチで形成されている。これによって、再生時において、第1記録に係るトラックと、これとはトラックピッチが異なる第2記録に係るトラックとを、より正確にトラッキングすることが可能となっている。
【0073】
小パターン12−1の内周側の端及び小パターン12−2の外周側の端は、ともにトラックTr17の中心、つまり、{R(16)out+R(18)in}/2で表される半径位置に配置されている。このため、周方向において、小パターン12−1が配置された位置で検出される信号振幅と、小パターン12−2が配置された位置で検出される信号振幅とが等しくなるように、磁気再生素子11の半径位置を制御することによって、磁気再生素子11の半径方向における中心位置Pが、トラックTr17の中心、つまり、{R(16)out+R(18)in}/2で表される半径位置となるように制御することができる。
【0074】
なお、小パターン12−3は偶数番目のトラックか奇数番目のトラックかを判別するためのパターンである。本実施形態においては、トラックTr17の再生に先立ち、小パターン12−1及び小パターン12−2の信号を連続的に検出した後に、一定の間隔(小パターン1つ分の間隔)をおいて小パターン12−3の信号を検出することで、奇数番目のトラックであると判断される。例えばTr16、Tr18の場合には、小パターン12−1及び小パターン12−2’、又は、小パターン12−1’及び小パターン12−2の信号を連続的に検出した後に、さらに連続して小パターン12−3の信号を検出した後、一定の間隔(小パターン1つ分の間隔)で信号が検出されない場合は、偶数番目のトラックと判断される。
【0075】
磁気再生素子11の中心位置Pは、必ずしもトラックTr17の中心、つまり、{R(16)out+R(18)in}/2で表される半径位置とする必要はなく、磁気再生素子11の中心位置Pが、R(16)out<P<R(18)inとなるように制御することで、トラックTr17が書き換えられた後の状態においても、隣接するトラックTr16やトラックTr18からの信号よりも、トラックTr17からの信号が強く検出されることになり、再生エラーを生じ難くすることが可能となる。
【0076】
この場合、小パターン12−1の内周側の端及び小パターン12−2の外周側の端は、R(16)outからR(18)inの間の半径位置に配置されていればよい。このようにすることで、周方向において、小パターン12−1が配置された位置で検出される信号振幅と、小パターン12−2が配置された位置で検出される信号振幅とが等しくなるように、磁気再生素子11の半径位置を制御することによって、磁気再生素子11の半径方向における中心位置Pが、R(16)out<P<R(18)inとなるように制御することができる。なお、信号高度やトラック間クロストーク、ノイズレベルに対応して、エラーレート等の再生信号品質を最適化するために、R(16)out<P<R(18)inを満たす範囲で、電気的なオフセットをかけることで、小パターン12−1及び小パターン12−2から検出される信号振幅が等しくなる位置とはわずかに異なる半径位置で再生を行ってもよい。
【0077】
同様に、磁気再生素子11は、第1領域において、トラッキングパターン13を検出することで、磁気記録媒体3に対する半径位置を検知し、所望のトラック(半径位置)に対してトラッキングを行いながら、情報の再生を行う。
【0078】
小パターン13−1’の外周側の端及び小パターン13−2’の内周側の端は、ともにトラックTr20の中心、つまり、{R(21)in+R(20)in}/2で表される半径位置に配置されている。このため、周方向において、小パターン13−1’が配置された位置で検出される信号振幅と、小パターン13−2’が配置された位置で検出される信号振幅とが等しくなるように、磁気再生素子11の半径位置を制御することによって、磁気再生素子11の半径方向における中心位置Pが、トラックTr20の中心、つまり、{R(21)in+R(20)in}/2で表される半径位置となるように制御することができる。
【0079】
なお、小パターン13−3は偶数番目のトラックか奇数番目のトラックかを判別するためのパターンである。本実施形態においては、トラックTr20の再生に先立ち、小パターン13−1’及び小パターン13−2’の信号を連続的に検出した後に、一定の間隔(小パターン1つ分の間隔)をおいて小パターン13−3の信号を検出することで、偶数番目のトラックであると判断される。例えばTr19、Tr21の場合には、小パターン13−1’及び小パターン13−2、又は、小パターン13−1及び小パターン13−2’の信号を連続的に検出した後に、さらに連続して小パターン13−3の信号を検出した後、一定の間隔(小パターン1つ分の間隔)で信号が検出されない場合は、奇数番目のトラックと判断される。
【0080】
また、磁気再生素子11の中心位置Pは、必ずしもトラックTr20の中心、つまり、{R(21)in+R(20)in}/2で表される半径位置とする必要はなく、磁気再生素子11の中心位置Pが、R(20)in<P<R(21)inとなるように制御することで、隣接するトラックTr19やトラックTr21からの信号よりも、トラックTr20からの信号が強く検出されることになり、再生エラーを生じ難くすることが可能となる。
【0081】
この場合、小パターン13−1’の内周側の端及び小パターン13−2’の外周側の端は、R(21)inからR(20)inの間の半径位置に配置されていればよい。このようにすることで、周方向において、小パターン13−1’が配置された位置で検出される信号振幅と、小パターン13−2’が配置された位置で検出される信号振幅とが等しくなるように、磁気再生素子11の半径位置を制御することによって、磁気再生素子11の半径方向における中心位置Pが、R(20)in<P<R(21)inとなるように制御することができる。なお、上記第2領域と同様に、小パターン13−1’及び小パターン13−2’から検出される信号振幅が等しくなる位置とはわずかに異なる半径位置で再生を行ってもよい。
【0082】
また、磁気再生素子11が上記トラッキングパターン12から検出する信号に基づいてトラッキングを行いながら、磁気記録素子10が記録列を形成してもよい。再生を行うトラックの半径方向における中心位置と、形成する記録列の半径方向における中心位置が異なる場合、記録列を形成する際に、電気的なオフセットをかけることで、小パターン12−1及び小パターン12−2(または、小パターン13−1’及び小パターン13−2’)から検出される信号振幅が等しくなる位置とは異なる半径位置でトラッキングを行うことができる。このようにすることで、記録列を形成する際にも、各トラックの半径位置に対応したトラッキングパターン12(または、トラッキングパターン13)を利用してトラッキングを行うことができるため、再生時に対応したトラッキングパターンとは別に、さらに、記録列の形成時に対応したトラッキングパターンを設ける必要がないので、記録容量を減らすことなく記録エラーを低減させることができる。
【0083】
このようにすることで、1つの磁気記録再生装置において、第1記録及び第2記録を選択的に行うことができ、記録密度と書き換え時の実質的記録レートを両立させることが可能となる。さらに、再生時において、互いにトラックピッチが異なる第1領域及び第2領域のトラックを、それぞれ領域のトラックピッチと同じピッチで形成されたトラッキングパターンを利用し、より正確にトラッキングすることが可能となり、再生エラーが生じ難い磁気記録再生装置を提供することができる。
【0084】
〔光(熱)アシスト型の磁気記録再生装置への応用〕
本発明は、光(熱)アシスト型の磁気記録再生装置についても同様に提供することができる。この場合、磁気記録再生装置は、記録媒体を局所的に昇温させるための光(熱)源を備えており、記録媒体は、光(熱)により昇温されることによって、所望の大きさまで反転磁界が低下する磁気記録膜を備えた磁気記録媒体であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る磁気記録再生装置は、Shingle方式を採用した高密度の磁気記録再生装置及び磁気記録媒体に好適である。
【符号の説明】
【0086】
1 磁化パターン
2−1 第1領域
2−2 第2領域
3 磁気記録媒体
4 磁気記録再生装置
5 サスペンション(移動機構)
6 スピンドル(移動機構)
7 ボイスコイルモータ(移動機構)
10 磁気記録素子
11 磁気再生素子
12、13 トラッキングパターン(バーストパターン)
20 制御部(磁気記録素子制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録領域を備えた円盤状の磁気記録媒体と、
上記磁気記録媒体に記録磁界を印加して上記磁気記録媒体の周方向に延びる記録列を形成することで情報の記録を行う磁気記録素子と、
上記磁気記録媒体からの漏洩磁界を検出して情報の再生を行う磁気再生素子と、
上記磁気記録媒体と上記磁気記録素子及び上記磁気再生素子との相対位置を上記磁気記録媒体の上記周方向及び半径方向に移動させる移動機構と、
上記情報記録領域において、上記半径方向に関して互いに隣接する前記記録列が上記半径方向に部分的に重複するように前記磁気記録素子及び前記移動機構を制御する磁気記録素子制御手段とを備えており、
上記磁気記録素子制御手段は、
第1記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R1in及びR1outとし、
上記第1記録列の外周側に隣接する第2記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R2in及びR2outとし、
上記第2記録列の外周側に隣接する第3記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R3in及びR3outとするとき、
R1in<R2in<R3in<R1out<R2out<R3out
となる第1記録と、
上記記録列のそれぞれに、他のいずれの上記記録列とも上記半径方向に重複しない非重複部が形成される第2記録とが選択的に行われるように、制御することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
上記磁気記録素子制御手段は、
第4記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R4in及びR4outとし、
上記第4記録列の外周側に隣接する第5記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R5in及びR5outとし、
上記第5記録列の外周側に隣接する第6記録列の、内周側及び外周側の端の半径位置をそれぞれ、R6in及びR6outとするとき、
前記第2記録において、
R4in<R5in<R4out<R6in<R4out<R6out
となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項3】
上記磁気再生素子の半径方向における幅をWとすると、
(R6in−R4out)>W/2
であることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録再生装置。
【請求項4】
書き換え頻度に対する閾値を記憶する閾値記憶手段と、
上記閾値よりも書き換え頻度が高いコンテンツと、上記閾値よりも書き換え頻度が低いコンテンツとを識別するコンテンツ識別部とをさらに備え、
上記磁気記録素子制御手段は、
上記閾値よりも書き換え頻度が低いコンテンツが上記第1記録によって記録され、
上記閾値よりも書き換え頻度が高いコンテンツが上記第2記録によって記録されるように制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録再生装置。
【請求項5】
コンテンツの持つ属性に基づいて、コンテンツが第1類及び第1類よりも書き換え頻度が高いことが想定される第2類のいずれかに属するかを識別するコンテンツ識別部をさらに備え、
上記磁気記録素子制御手段は、
第1類に属するコンテンツが上記第1記録によって記録され、
第2類に属するコンテンツが上記第2記録によって記録されるように制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録再生装置。
【請求項6】
上記第1記録及び上記第2記録のいずれの記録方式によってコンテンツを記録するかを、ユーザに選択させるための入力手段をさらに備えており、
上記磁気記録素子制御手段は、上記入力手段を介してユーザに選択された記録方式で上記コンテンツの記録が行われるように制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録再生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録再生装置に含まれる磁気記録媒体であって、
上記第1記録によって記録された第1の情報記録領域と、
上記第2記録によって記録された第2の情報記録領域と、
上記第1の情報記録領域に形成された、上記磁気再生素子にトラッキングを行わせるための第1のトラッキングパターンと
上記第2の情報記録領域に形成された、上記磁気再生素子にトラッキングを行わせるための第2のトラッキングパターンとを備えており、
上記第1のトラッキングパターン及び上記第2のトラッキングパターンはそれぞれ、上記第1の情報記録領域及び上記第2の情報記録領域のトラックピッチと同じピッチで形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項8】
周方向に延びる複数の記録列が形成された情報記録領域を備えた円盤状の磁気記録媒体であって、
上記記録列のそれぞれに、互いに隣接する上記記録列のいずれかと半径方向に部分的に重複する重複部が形成され、他のいずれの上記記録列とも上記半径方向に重複しない非重複部が形成されていない第1の情報記録領域と、
上記記録列のそれぞれに、他のいずれの上記記録列とも上記半径方向に重複しない非重複部が形成された第2の情報記録領域とを有していることを特徴とする磁気記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)(b)】
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【図9(c)(d)】
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