説明

磁気記録媒体、磁気記録装置及びサーボ復調回路

【課題】磁気記録媒体にデータを記録・再生する磁気ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御すること。
【解決手段】磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体が、再生ヘッド10が所定のトラックに沿って再生ヘッド10の位置制御に用いられるサーボ信号を再生する場合に当該再生ヘッド10により読み取られるよう中心トラック13に平行に異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cの領域を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体および磁気記録装置に関し、特に、信号を記録または再生する磁気ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる磁気記録媒体、磁気記録装置及びサーボ復調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、計算機の性能の向上に伴い、磁気ディスク装置のデータ転送レートや記憶容量などの性能に対する要求も厳しくなってきている。記憶容量の増大のためには、磁気ヘッドから発生する信号磁界により磁気記録媒体上に磁区列をより微細に形成し、データの記録密度を高める必要がある。これを実現するために、従来の面内磁気記録方式とは異なる垂直磁気記録方式が注目を集めている。
【0003】
また、磁気記録媒体の半径方向のトラック間隔を物理的に詰め、単位面積あたりのデータの記録密度を高める方法も考えられている。垂直磁気記録方式であれば、100Gbit/inch2以上の記録密度が得られることが確認されている。
【0004】
ただし、トラック間隔が狭くなると、磁気ヘッド側面から発生する漏れ磁場により、隣接するトラックに対するデータの書き込みがなされてしまい、データの再生時にクロストークが発生してしまう。
【0005】
そのため、トラックの幅よりも再生ヘッドの幅を狭くすることにより、たとえ再生ヘッドの位置変動があったとしてもトラックから再生ヘッドがはずれることのないようにした磁気記録方式が開示されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭59−168905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、トラックピッチが小さくなるにつれ、再生ヘッドをそれに応じて小さくする必要があるが、再生ヘッドが小さくなるにつれその製造が難しくなるという問題があった。
【0008】
一方、再生ヘッドの大きさをある一定の大きさに固定するものとすると、再生ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこない、再生ヘッドの位置のゆらぎや偏りが小さくなるよう制御する必要が出てくるが、それをおこなうことが難しいという問題があった。
【0009】
図14は、従来技術における問題点について説明する図である。図14に示すように、再生ヘッド1の幅がトラック幅に対して十分小さい場合には、トラック位置決めにそれほど高い精度は要求されないが、再生ヘッド1の幅がトラック幅とほぼ同じである場合には、精度良くトラック位置決めをおこなわないと、再生ヘッド1がトラックからはみ出して、クロストークが発生してしまう。
【0010】
そのため、データを記録・再生する磁気ヘッドのトラック位置決めをいかに精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りが小さくなるよう制御することができるかが重要な課題となっている。
【0011】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、データを記録・再生する磁気ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる磁気記録媒体、磁気記録装置及びサーボ復調回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体であって、再生ヘッド(図1に示した再生ヘッド10)が所定のトラック(図1に示した中心トラック13)に沿って再生ヘッドの位置制御に用いられるサーボ信号を再生する場合に当該再生ヘッドにより読み取られるよう前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号(図1に示した高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16c)の領域を有すること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記複数のサーボ信号の領域は、消磁状態にある領域(図1に示した中心トラック13)を挟んで設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記消磁状態にある領域の幅は、再生ヘッドの幅よりも狭いことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記複数のサーボ信号の領域(図1に示した高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16c)は、磁気記録媒体のセクタ内において当該セクタの円周方向に連続的に設けられたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記複数のサーボ信号(図2に示した高記録周波数サーボ信号パターン21aおよび低記録周波数サーボ信号パターン21b)の領域は、磁気記録媒体のトラック一周に亘って設けられたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記所定のトラック(図1に示した中心トラック13)に平行に異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号が記録された領域(図1に示した高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16b)を前記所定のトラックに有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数でサーボ信号(図7に示した高記録周波数サーボ信号パターン55a,55c,55dおよび低記録周波数サーボ信号パターン56b,56c,56e)が記録された領域と、前記所定のトラックに平行に記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号(図7に示した高記録周波数サーボ信号パターン55b,55eおよび低記録周波数サーボ信号パターン56a,56d)が記録された前記所定のトラックにある領域とがセクタ単位で交互に設けられたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号(図9に示した高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76n)の領域が、同じ記録周波数で記録されたサーボ信号の領域が隣り合わないように1つのセクタ内に複数配置されたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記発明において、信号の記録をおこなうトラック間に信号の記録が不可能な複数の非磁性体領域(図8に示した非磁性体領域62a〜62d)をさらに有し
、前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号(図8に示した高記録周波数サーボ信号パターン67a〜67dおよび低記録周波数サーボ信号パターン68a〜68c)の領域は、前記複数の非磁性体領域により挟まれる領域(図8に示したサーボ信号記録領域63)に設けられたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記発明において、前記複数のサーボ信号の領域は磁気転写方式を用いて生成されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、磁気記録装置が、上記磁気記録媒体における所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号を読み取る再生ヘッド(図5に示した再生ヘッド34a,34b)と、前記再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて前記再生ヘッドの位置制御をおこなう制御手段(図5,図6に示した制御部36)と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、磁気記録装置が、上記磁気記録媒体における所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数の第1のサーボ信号、および、第1のサーボ信号と同じ記録周波数で前記所定のトラックに記録された第2のサーボ信号を読み取る再生ヘッド(図5に示した再生ヘッド34a,34b)と、前記第2のサーボ信号が前記再生ヘッドにより読み取られた場合に、当該第2のサーボ信号を周波数成分に分離し、分離した周波数成分の特徴量(振幅あるいは周波数)を基準値として設定する基準値設定手段(図5,図6に示した制御部36、図10に示した制御部80)と、前記再生ヘッドにより読み取られた第1のサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて前記再生ヘッドの位置制御をおこなう制御手段(図5,図6に示した制御部36、図10に示した制御部80)と、を備え、前記制御手段は、前記再生ヘッドの位置制御を前記基準値設定手段により設定された基準値に基づいておこなうことを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、上記発明において、前記制御手段(図10に示した制御部80)は、前記再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅に基づいて前記再生ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量の制御をおこなうことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、それぞれ第1及び第2の記録周波数にて複数のサーボ信号が記録されてなる媒体からの再生信号を入力する入力部と、再生信号における前記第1の記録周波数成分の振幅を算出する第1算出手段と、前記再生信号における前記第2の記録周波数成分の振幅を算出する第2算出手段と、を有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、上記発明において、前記第1算出手段及び第2算出手段によって算出された振幅の比を算出する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体が、再生ヘッドが所定のトラックに沿って再生ヘッドの位置制御に用いられるサーボ信号を再生する場合に当該再生ヘッドにより読み取られるよう所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域を有することとしたので、異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の周波数成分を検出し、各周波数成分の振幅比を比較することにより、信号を再生する磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明によれば、複数のサーボ信号の領域は、消磁状態にある領域を挟んで設けられたこととしたので、異なる記録周波数でサーボ信号を磁気記録媒体に記録する際に、先に記録したサーボ信号のパターンと後から記録したサーボ信号のパターンとが重なってしまい、先に記録したサーボ信号の領域が狭くなるのを防止することができるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明によれば、消磁状態にある領域の幅は、再生ヘッドの幅よりも狭いこととしたので、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号を再生ヘッドが確実に読み取ることができるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明によれば、複数のサーボ信号の領域は、磁気記録媒体のセクタ内において当該セクタの円周方向に連続的に設けられたこととしたので、データを記録する最小単位であるセクタ全域においてサーボ信号を検出することができ、各セクタでのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明によれば、複数のサーボ信号の領域は、磁気記録媒体のトラック一周に亘って設けられたこととしたので、回転する磁気記録媒体の円周方向のどの位置においてもサーボ信号を検出することができるため、円周方向のどの位置においてもトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明によれば、所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号が記録された領域を所定のトラックに有することとしたので、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数で所定のトラックに記録されたサーボ信号から検出される周波数成分の特徴量を、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号から検出される周波数成分の基準値として用いることにより、トラック位置決めの精度を高めることができるという効果を奏する。
【0033】
また、本発明によれば、所定のトラックに平行に異なる記録周波数でサーボ信号が記録された領域と、所定のトラックに平行に記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号が記録された所定のトラックにある領域とがセクタ単位で交互に設けられたこととしたので、回転する磁気記録媒体の円周方向の各領域において信号の再生特性が変化するような場合でも、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数で記録されたサーボ信号から検出される周波数成分の特徴量を、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号から検出される周波数成分の基準値として用いることにより、トラック位置決めの精度を高めることができるという効果を奏する。
【0034】
また、本発明によれば、所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域が、同じ記録周波数で記録されたサーボ信号の領域が隣り合わないように1つのセクタ内に複数配置されたこととしたので、セクタ内でトラック位置決めを敏速におこなうことができるとともに、磁気ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量を効率的に制御することができるという効果を奏する。
【0035】
また、本発明によれば、信号の記録をおこなうトラック間に信号の記録が不可能な複数の非磁性体領域をさらに有し、所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域は、複数の非磁性体領域により挟まれる領域に設けられたこととしたので、たとえば、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体であっても、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御するこ
とができるという効果を奏する。
【0036】
また、本発明によれば、複数のサーボ信号の領域は磁気転写方式を用いて生成されたこととしたので、サーボ信号領域の形成位置のずれを小さくすることができるという効果を奏する。
【0037】
また、本発明によれば、磁気記録装置が、上記磁気記録媒体における所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号を読み取り、再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて再生ヘッドの位置制御をおこなうこととしたので、信号を再生する磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができるという効果を奏する。
【0038】
また、本発明によれば、磁気記録装置が、上記磁気記録媒体における所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数の第1のサーボ信号、および、第1のサーボ信号と同じ記録周波数で所定のトラックに記録された第2のサーボ信号を読み取り、第2のサーボ信号が再生ヘッドにより読み取られた場合に、当該第2のサーボ信号を周波数成分に分離し、分離した周波数成分の特徴量を基準値として設定し、再生ヘッドにより読み取られた第1のサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて再生ヘッドの位置制御をおこない、再生ヘッドの位置制御は、設定された基準値に基づいておこなうこととしたので、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数で記録されたサーボ信号から検出される周波数成分の特徴量を、異なる記録周波数で記録されたサーボ信号から検出される周波数成分の基準値として用いることにより、トラック位置決めの精度を高めることができるという効果を奏する。
【0039】
また、本発明によれば、磁気記録装置が、再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅に基づいて再生ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量の制御をおこなうこととしたので、セクタ内でトラック位置決めを精度良くおこなうことができるとともに、磁気ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量を効率的に制御することができるという効果を奏する。
【0040】
また、本発明によれば、サーボ復調回路が、それぞれ第1及び第2の記録周波数にて複数のサーボ信号が記録されてなる媒体からの再生信号を入力し、再生信号における第1の記録周波数成分の振幅を算出し、再生信号における第2の記録周波数成分の振幅を算出することとしたので、異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の周波数成分の振幅を算出することにより、信号を再生する磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができるという効果を奏する。
【0041】
また、本発明によれば、サーボ復調回路が、算出された上記振幅の比を算出することとしたので、異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の周波数成分の振幅比を算出することにより、信号を再生する磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る磁気記録媒体、磁気記録装置及びサーボ復調回路の好適な実施例を詳細に説明する。ここで、磁気記録媒体とは、たとえば、ハードディスクやフレキシブルディスクなど、磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する記録媒体
のことである。
【実施例1】
【0043】
まず、本発明に係る磁気記録媒体における磁気ヘッドのトラック位置決め処理の概念について説明する。図1は、実施例1に係る磁気記録媒体について説明する図であり、図2は、磁気記録媒体に設けられた高記録周波数領域および低記録周波数領域を示す図であり、図3は、再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号の一例を示す図であり、図4は、フーリエ変換により抽出されたサーボ信号の周波数分布の一例を示す図である。
【0044】
図1に示すように、この磁気記録媒体は、磁気記録媒体のトラックの一部に、磁気ヘッドのトラック位置決めをおこなうためのサーボ信号を記録したサーボ信号記録領域11を有する。また、磁気記録媒体におけるサーボ信号記録領域11以外の領域(図示せず)にはユーザデータが記録される。
【0045】
このサーボ信号記録領域11には、サーボフレーム12a〜12d、中心トラック13、中心トラック13に隣接する2つの隣接トラック14a,14bが存在する。サーボフレーム12a〜12dは、磁気ヘッドのトラック位置決めに用いられる制御情報や、各セクタのアドレス情報を記憶する領域である。
【0046】
中心トラックに隣接する2つの隣接トラック14a,14bには、それぞれ記録周波数の異なるサーボ信号が記録されている。たとえば、隣接トラック14aには高周波数(200MHzや430MHzなど)でサーボ信号が記録され、隣接トラック14bには低周波数(20MHzや200MHzなど)でサーボ信号が記録され、それぞれ高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cが形成される。
【0047】
このようにして隣接トラック14a,14bに記録された2つのサーボ信号は、再生ヘッド10により読み取られるが、これらのサーボ信号のパターンは、中心トラック13を間に挟んでオフセットさせて記録されている。
【0048】
これは、2つのサーボ信号を磁気記録媒体に記録する際に、先に記録したサーボ信号のパターンと後から記録したサーボ信号のパターンとが重なってしまい、先に記録したサーボ信号の領域が狭くなるのを防止するためである。
【0049】
このようなサーボ信号パターンは、図1に示すように、隣接トラック14a,14bにセクタごとに形成することとしてもよいし、図2に示すように、磁気記録媒体20のトラック一周に亘って、高周波数で記録される高記録周波数サーボ信号パターン21aと、低周波数で記録される低記録周波数サーボ信号パターン21bとを形成することとしてもよい。
【0050】
上述したような磁気記録媒体に高周波数および低周波数で記録されたサーボ信号は再生ヘッド10により読み取られる。そして、再生ヘッド10により読み取られた、図3に示すようなサーボ信号に対して、高速フーリエ変換(FFT,Fast Fourier Transform)が適用され、図4に示したような周波数分布が検出される。
【0051】
そして、図4に示すように、隣接トラック14a,14bに記録された2つのサーボ信号に対応する低記録周波数成分および高記録周波数成分が高速フーリエ変換により検出される。
【0052】
磁気ヘッドのトラック位置決め処理は、図4に示したような低記録周波数成分および高
記録周波数成分の振幅を検出することによりおこなわれる。具体的には、低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅比が、図1に示した中心トラック13の中心に再生ヘッド10が位置する場合の振幅比となるように再生ヘッド10のトラック位置が制御される。
【0053】
もし、再生ヘッド10の位置が中心トラック13の上方から隣接トラック14aあるいは隣接トラック14bの方向に逸れた場合には、逸れた方向にある隣接トラック14aあるいは隣接トラック14bに記録されたサーボ信号に対応する周波数成分の振幅が大きくなる。この場合、その周波数成分の振幅が小さくなる方向に再生ヘッド10の位置を移動させるよう制御がなされる。
【0054】
そして、振幅比の差が所定の範囲内に収まった場合には、そのときの再生ヘッド10のトラック位置決めにおける目標位置(中心トラック13の中心)からのずれを補正するための制御量をサーボフレーム12a〜12dにポストコードとして記録する。
【0055】
ユーザデータの記録または再生をおこなう場合には、ポストコードとして記録された制御量を再生ヘッド10が読み出して、読み出した制御量に基づいて記録ヘッド(図示せず)または再生ヘッド10の目標位置(トラックの中心)からのずれを補正する。
【0056】
なお、図1に示した中心トラック13の中心に再生ヘッド10が位置する場合の振幅比の情報を得るために、中心トラック13上には、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bがそれぞれ単独で記録される部分が設けられている。
【0057】
そして、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bとして記録されたサーボ信号が再生ヘッド10により読み取られ、高速フーリエ変換が適用されると、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bに対応する高記録周波数成分および低記録周波数成分が検出される。
【0058】
その後、このようにして検出された高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅比が、高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cに対応する高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅比と比較され、再生ヘッド10のトラック位置制御がなされる。
【0059】
なお、図2のように、中心トラック13上に高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bが形成されていない場合には、あらかじめ実験をおこなうなどして設定された振幅比と、高記録周波数サーボ信号パターン21aおよび低記録周波数サーボ信号パターン21bから検出された高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅比とが比較され、再生ヘッド10のトラック位置制御がなされる。
【0060】
また、図4に示したような周波数分布から高記録周波数成分および低記録周波数成分を抽出する場合には、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bに基づいて検出された高記録周波数成分および低記録周波数成分の周波数を用いて高記録周波数成分および低記録周波数成分の抽出がなされる。
【0061】
このように、高記録周波数および低記録周波数で記録されたサーボ信号の高周波数成分および低周波数成分をそれぞれ検出し、周波数成分の振幅比を算出することにより、再生ヘッド10の位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、その情報を用いることにより磁気ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる。
【0062】
つぎに、実施例1に係る磁気記録装置の機能構成について説明する。図5は、実施例1に係る磁気記録装置の機能構成を示す図である。図5に示すように、この磁気記録装置は、筐体30、磁気記録媒体31、ハブ32、モーター33、再生ヘッド34a,34b、サーボ駆動部35、制御部36を有する。
【0063】
筺体30は、磁気記録媒体31、ハブ32、モーター33、再生ヘッド34a,34b、サーボ駆動部35などを収めるアルミ製の筐体であり、図示しないシールド材、トッププレートを取り付けることで各部を封入し、各部と外気とを遮断する。
【0064】
磁気記録媒体31は、ユーザデータを磁気的に記録する記録媒体である。この磁気記録媒体31は、図1で説明したようなサーボ信号記録領域11を有する。そして、磁気記録媒体31は、ハブ32を介してモーター33に取り付けられ、所定の角速度にて回転する。
【0065】
再生ヘッド34a,34bは、磁気記録媒体31に記録されたデータを読み出す再生ヘッドである。なお、この磁気記録装置は、磁気記録媒体31にデータを記録する記録ヘッド(図示せず)をさらに備えている。
【0066】
サーボ駆動部35は、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)を磁気記録媒体31にロード/アンロードさせ、また、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)を磁気記録媒体31の内周/外周へ移動させるシーク動作をおこなう。
【0067】
このサーボ駆動部35は、VCM(Voice Coil Motor)を備えており、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)を搭載したスライダーの回転制御をおこなうことにより、シーク動作をおこなう。
【0068】
制御部36は、モーター33やサーボ駆動部35に対して指示を与え、モーター33やサーボ駆動部35の動作を制御する制御部である。
【0069】
具体的には、制御部36は、モーター33を制御して、磁気記録媒体31を所定の回転数で回転させたり、回転を停止または開始させたりする。また、制御部36は、サーボ駆動部35を制御して、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)を磁気記録媒体31にロード/アンロードさせたり、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)を磁気記録媒体31の内周/外周へ移動させたりする。
【0070】
また、制御部36は、図1で説明したようにして、サーボ信号を磁気記録媒体31から読み取り、読み取ったサーボ信号に基づいて、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)の位置決めをおこなう。
【0071】
図6は、図5に示した制御部36の詳細な機能構成を示す図である。図6に示すように、この制御部36は、再生ヘッド信号処理部40、システム制御部41、記録再生ヘッド制御部42、制御量記憶部43、制御量付与部44、モーター制御部45を有する。
【0072】
再生ヘッド信号処理部40は、磁気記録媒体31に記録されたサーボ信号の再生信号をサーボ駆動部35から受信して、図4に示すような再生信号の周波数分布から低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅を検出する処理部である。
【0073】
この再生ヘッド信号処理部40は、FFT処理部40aおよび信号振幅検出部40bを有する。FFT処理部40aは、サーボ信号の再生信号に対して高速フーリエ変換を適用
し、図4に示したような周波数分布を検出する処理部である。
【0074】
信号振幅検出部40bは、FFT処理部40aにより検出された周波数分布において、低記録周波数成分と高記録周波数成分との間の振幅比を検出する検出部である。その際、信号振幅検出部40bは、図1で説明したように、中心トラック13上に形成された高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bの再生信号から得られる低記録周波数成分と高記録周波数成分の周波数から、検出する低記録周波数成分および高記録周波数成分の周波数を設定する。
【0075】
また、信号振幅検出部40bは、検出した低記録周波数成分と高記録周波数成分との間の振幅比と比較する基準となる振幅比を、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bの再生信号から得られる低記録周波数成分と高記録周波数成分との間の振幅比を基にして決定する処理をおこなう。
【0076】
さらに、信号振幅検出部40bは、検出した振幅比が基準となる振幅比から所定値以上離れており、再生ヘッド34a,34bの位置が中心トラック13の中心からずれていると判定した場合に、それを基準となる振幅比に戻すための振幅の補正量の情報をシステム制御部41に出力する。
【0077】
システム制御部41は、サーボ駆動部35を制御するための制御信号を生成する制御部であり、トラック位置制御部41aを有している。このトラック位置制御部41aは、信号振幅検出部40bにより出力された振幅の補正量の情報を受け付けて、その補正量を再生ヘッド34a,34bのトラック位置決めの制御信号に変換し、記録再生ヘッド制御部44に出力する。
【0078】
たとえば、再生ヘッド34a,34bの位置が中心トラック13の上方から隣接トラック14aの方向に逸れた場合には、逸れた方向にある隣接トラック14aに記録されたサーボ信号に対応する周波数成分の振幅が大きくなり、反対方向にある隣接トラック14aに記録されたサーボ信号に対応する周波数成分の振幅は小さくなる。
【0079】
このような場合、信号振幅検出部40bにより、振幅比が一定の値を維持するように、振幅が大きくなった周波数成分の振幅を小さくする場合の振幅の補正量、あるいは、振幅が小さくなった周波数成分の振幅を大きする場合の振幅の補正量が算出され、システム制御部41に出力される。
【0080】
この補正量の情報を受け付けたトラック位置制御部41aは、その補正量の情報を再生ヘッド34a,34bが逸れた方向とは反対方向に再生ヘッド34a,34bを移動させる場合の移動量の情報に変換し、その移動量の情報を記録再生ヘッド制御部42に出力する。
【0081】
記録再生ヘッド制御部42は、トラック位置制御部41aから再生ヘッド34a,34bの移動量の情報を受け付け、その情報をサーボ駆動部35に送信することによりサーボ駆動部35を制御する制御部である。
【0082】
また、記録再生ヘッド制御部42は、後に説明する制御量付与部44から、図1に示したような磁気記録媒体のサーボフレーム12a〜12dにポストコードとして記憶するための制御情報を受け付け、受け付けた制御情報をサーボ駆動部35に送信してサーボフレーム12a〜12dにポストコードとして記憶させる。
【0083】
この制御情報は、再生ヘッド34a,34b(あるいは記録ヘッド)のトラック位置決
めにおける目標位置(中心トラック13の中央)からのずれを補正するための制御量の情報である。この制御量の情報は、磁気記録媒体にユーザデータを記録する場合、あるいは、磁気記録媒体に記録されたユーザデータを読み出す場合に読み出され、読み出された制御量の情報に基づいて再生ヘッド34a,34b(あるいは記録ヘッド)のトラック位置制御がおこなわれる。
【0084】
制御量記憶部43は、ユーザデータの記録または再生時に、上記ポストコードとして記憶された制御量の情報が読み出された場合に、読み出された情報を記憶するメモリなどの記憶部である。
【0085】
制御量付与部44は、トラック位置制御部41aにより生成された再生ヘッド34a,34bの移動量の情報を、磁気記録媒体のサーボフレーム12a〜12dにポストコードとして記憶される制御情報に変換する処理をおこなう。
【0086】
また、制御量付与部44は、ポストコードとして記憶された制御情報がサーボフレーム12a〜12dから読み出された場合に、その制御情報を再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)を移動させる場合の移動量の情報に変換し、記録再生ヘッド制御部42に出力する。
【0087】
この情報を受け付けた記録再生ヘッド制御部42は、その情報をサーボ駆動部35に送信することにより再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)のトラック位置決め制御を実行する。
【0088】
モーター制御部45は、モーター33を制御する制御部であり、磁気記録媒体31を所定の回転数で回転させたり、回転を停止または開始させたりする処理をおこなう。
【0089】
なお、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)のトラック位置決めを精度良くおこなうためには、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)のサーボ精度に比べて、サーボ信号パターンが記録される位置の精度が十分高いことが必須となる。
【0090】
しかしながら、従来のサーボトラックライタ(STW,Servo Track Writer)では、サーボトラックライタ自身の位置の偏りがサーボ信号パターンの位置精度に影響を与えてしまい、位置精度を低めてしまうという問題がある。
【0091】
そのため、ここでは、磁気転写方式によりサーボ信号パターンを形成する。スタンパを用いる磁気転写方式であれば、スタンパ作成精度、転写精度を考慮しても、サーボ信号パターンの位置ずれは数nm程度に抑えることができる。
【0092】
また、本実施例では、サーボ信号の品質を高めるため、磁気記録媒体に記録されるサーボ信号パターンには各種の工夫がなされている。たとえば、図1に示すように、サーボ信号パターンの幅は、中心トラック13、隣接トラック14a,14bの幅よりも広くなるように形成されている。これにより、再生ヘッド10がサーボ信号をより確実に検出することができるようになる。
【0093】
また、実効的な中心トラック13の幅を、再生ヘッド10の幅よりも狭くすることにより、同様の効果を得ることができる。具体的には、図1に示すように、高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cにより挟まれた実効的な中心トラック13の幅は、再生ヘッド10の幅(実効値)よりも狭められる。
【0094】
また、中心トラック13は、信号パターンの記録が無く、消磁された状態とし、その中心トラック13を挟んで高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cと低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cとを離して記録する。これにより、サーボ信号パターンが上書きされて、サーボ信号パターンの領域が狭くなるのを防止することができる。
【0095】
たとえば、磁気記録媒体が面内記録媒体であれば、中心トラック13は直流磁場消去(DCイレーズ)状態、磁気記録媒体が垂直記録媒体であれば、中心トラック13は交流磁場消去(ACイレーズ)状態であることが望ましい。
【0096】
なお、トラックを一周するよう高記録周波数サーボ信号パターンと低記録周波数サーボ信号パターンとを設ける場合には、図7に示すように、中心トラック53と隣接トラック54a,54bとで交互に高記録周波数サーボ信号パターン55a〜55eあるいは低記録周波数サーボ信号パターン56a〜56eを記録することとしてもよい。
【0097】
このように、中心トラック53と隣接トラック54a,54bとで交互にサーボ信号パターンを記録することにより、図1で説明したようにして磁気記録媒体の各領域でサーボ信号の振幅比および周波数の基準値を設定することができ、トラック内でサーボ信号を検出する際の感度むらがあるような場合でも、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)のトラック位置決めを精度よくおこなうことができる。
【0098】
また、磁気記録媒体が同心円状の複数のゾーンに分けられている場合に、いくつかのゾーンごとに高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンを記録し、記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンに基づいて再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)のトラック位置決めをおこなうこととしてもよい。
【0099】
そして、高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンが記録された複数のゾーン間で、サーボフレーム50a〜50fにポストコードとして記録された制御量が所定値以上変化する場合には、制御量付与部44は、制御量を再生ヘッド34a,34bの半径方向の位置に応じて補間し、補間した制御量に基づいて再生ヘッド34a,34bを移動させる場合の移動量を算出する。そして、記録再生ヘッド制御部42は、その移動量の情報をサーボ駆動部35に出力し、再生ヘッド34a,34b(または記録ヘッド)の半径方向の位置に応じたトラック位置決めをおこなう。
【0100】
また、磁気記録媒体が上述したような連続膜媒体だけでなく、ディスクリートトラック記録媒体である場合も同様に、本発明を適用することができる。図8は、ディスクリートトラック記録媒体に設けられた高記録周波数領域および低記録周波数領域を示す図である。
【0101】
図8に示すように、ディスクリートトラック記録媒体では、データを記録するトラック61a,61bの両側に、非磁性体からなる非磁性体領域62a〜62d(分離帯、ガードバンド(Guard Band, GB))が設けられる。
【0102】
これにより、記録ヘッドがトラック61a,61bにデータを記録する場合に他のトラックにノイズが記録されることを防止することができ、また、再生ヘッド60がトラック61a,61bに記録されたデータを再生する場合に、他のトラックに記録されたデータを読み出してしまうクロストークを防止することができる。
【0103】
一方、サーボ信号を記録するサーボ信号記録領域63においては、中心トラック65や隣接トラック66a,66bの両側に非磁性体領域は設けずにクロストークを許容し、再
生ヘッド60が隣接トラック66a,66bに平行に記録された高記録周波数サーボ信号パターン67b,67dと低記録周波数サーボ信号パターン68a,68bとを両方読み取ることができるようにする。
【0104】
なお、このようなディスクリートトラック記録媒体を作製する方法には、非磁性体領域62a〜62dに相当する領域を除外して磁性体膜を生成する方法や、イオン注入などをおこなうことにより物理的に組成を変化させて非磁性体領域62a〜62dを生成する方法などがある。
【0105】
これらの方法は、ナノインプリント、微細マスク露光等の工程を経るため、加工精度や位置ズレ精度は再生ヘッド60の位置制御精度よりも良好なものであり、再生ヘッド60の位置制御に対してディスクリートトラック記録媒体の作製方法が及ぼす影響は小さいと考えられる。
【0106】
上述してきたように、本実施例1では、図1に示したように、磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体が、再生ヘッド10が所定のトラックに沿って再生ヘッド10の位置制御に用いられるサーボ信号を再生する場合に当該再生ヘッド10により読み取られるよう中心トラック13に平行に異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cの領域を有することとしたので、異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cの周波数成分を検出し、各周波数成分の振幅比を比較することにより、信号を再生する再生ヘッドの位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる。
【0107】
また、本実施例1では、高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cの領域は、消磁状態にある中心トラック13を挟んで設けられたこととしたので、異なる記録周波数で高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cを磁気記録媒体に記録する際に、先に記録したサーボ信号のパターンと後から記録したサーボ信号のパターンとが重なってしまい、先に記録したサーボ信号の領域が狭くなるのを防止することができる。
【0108】
また、本実施例1では、消磁状態にある中心トラック13の領域の幅は、再生ヘッド10の幅よりも狭いこととしたので、異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cを再生ヘッドが確実に読み取ることができる。
【0109】
また、本実施例1では、高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cの領域は、磁気記録媒体のセクタ内において当該セクタの円周方向に連続的に設けられたこととしたので、データを記録する最小単位であるセクタ全域において高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cを検出することができ、各セクタでのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる。
【0110】
また、本実施例1では、図2に示したように、高記録周波数サーボ信号パターン21aおよび低記録周波数サーボ信号パターン21bの領域は、磁気記録媒体のトラック一周に亘って設けられたこととしたので、回転する磁気記録媒体の円周方向のどの位置において
も高記録周波数サーボ信号パターン21aおよび低記録周波数サーボ信号パターン21bを検出することができるため、円周方向のどの位置においてもトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる。
【0111】
また、本実施例1では、図1に示したように、中心トラック13に平行に異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cと同じ記録周波数で高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bが記録された領域を中心トラック13に有することとしたので、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bから検出される周波数成分の特徴量(振幅または周波数)を、異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cから検出される周波数成分の基準値として用いることにより、トラック位置決めの精度を高めることができる。
【0112】
また、本実施例1では、図7に示したように、中心トラック13に平行に異なる記録周波数で高記録周波数サーボ信号パターン55a,55c,55dおよび低記録周波数サーボ信号パターン56b,56c,56eが記録された領域と、中心トラック13に平行に記録された高記録周波数サーボ信号パターン55a,55c,55dおよび低記録周波数サーボ信号パターン56b,56c,56eと同じ記録周波数で高記録周波数サーボ信号パターン55b,55eおよび低記録周波数サーボ信号パターン56a,56dが記録された中心トラック13にある領域とがセクタ単位で交互に設けられたこととしたので、回転する磁気記録媒体の円周方向の各領域において信号の再生特性が変化するような場合でも、高記録周波数サーボ信号パターン55b,55eおよび低記録周波数サーボ信号パターン56a,56dから検出される周波数成分の特徴量(振幅または周波数)を、異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン55a,55c,55dおよび低記録周波数サーボ信号パターン56b,56c,56eから検出される周波数成分の基準値として用いることにより、トラック位置決めの精度を高めることができる。
【0113】
また、本実施例1では、図8に示したように、信号の記録をおこなうトラック間に信号の記録が不可能な複数の非磁性体領域62a〜62dをさらに有し、中心トラック65に平行に異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン67a〜67dおよび低記録周波数サーボ信号パターン68a〜68cの領域は、複数の非磁性体領域62b,62cにより挟まれる領域に設けられたこととしたので、たとえば、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体であっても、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる。
【0114】
また、本実施例1では、複数のサーボ信号領域は磁気転写方式を用いて生成されたこととしたので、サーボ信号領域の形成位置のずれを小さくすることができる。
【0115】
また、本実施例1では、再生ヘッド34a,34bが、中心トラック13に平行に異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cを読み取り、制御部36が、再生ヘッド34a,34bにより読み取られた高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cを周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて再生ヘッド34a,34bの位置制御をおこなうこととしたので、信号を再生する再生ヘッドの位置のゆらぎや偏り(偏りの方向や大きさ)を検出することができるので、トラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することができる。
【0116】
また、本実施例1では、再生ヘッド34a,34bが、中心トラック13に平行に異な
る記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cと、中心トラック13に記録された高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bとを読み取り、制御部36が、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bが再生ヘッド34a,34bにより読み取られた場合に、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bを周波数成分に分離し、分離した周波数成分の特徴量(振幅または周波数)を基準値として設定し、再生ヘッド34a,34bにより読み取られた高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cを周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて再生ヘッド34a,34bの位置制御をおこない、再生ヘッド34a,34bの位置制御は、設定された基準値に基づいておこなうこととしたので、高記録周波数サーボ信号パターン15bおよび低記録周波数サーボ信号パターン16bから検出される周波数成分の特徴量を、異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン15a,15cおよび低記録周波数サーボ信号パターン16a,16cから検出される周波数成分の基準値として用いることにより、トラック位置決めの精度を高めることができる。
【実施例2】
【0117】
ところで、実施例1では、サーボ信号の振幅を測定して再生ヘッドのトラック位置決めをおこなう場合について説明したが、再生ヘッドと磁気記録媒体との間の間隔(再生ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量)が変化すると、サーボ信号の振幅測定に影響がある。具体的には、再生ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量が大きくなると、サーボ信号の振幅が急激に減衰するという傾向があり、トラック位置決めが難しくなる。そのため、本実施例2では、再生ヘッドのトラック位置決め制御とともに、再生ヘッドの浮上量制御をおこなう場合について説明する。
【0118】
図9は、実施例2に係る磁気記録媒体について説明する図である。図9に示すように、この磁気記録媒体は、再生ヘッド70を各トラックに位置決めし、さらに再生ヘッド70の浮上量を制御するためのサーボ信号を記録したサーボ信号記録領域71を有する。磁気記録媒体のサーボ信号記録領域71以外の領域にはユーザデータが記録される。
【0119】
このサーボ信号記録領域71には、サーボフレーム72a〜72d、中心トラック73、中心トラック73に隣接する2つの隣接トラック74a,74bが存在する。サーボフレーム72a〜72dは、再生ヘッド70を各トラックに位置決めするためのサーボ信号や、各セクタのアドレス情報を記憶する領域である。
【0120】
中心トラックに隣接する2つの隣接トラック74a,74bには、それぞれ記録周波数の異なるサーボ信号が交互に記録されている。具体的には、隣接トラック74a,74bには、高周波数(たとえば、200MHzや430MHz)で記録された高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nと、低周波数(たとえば、20MHzや200MHz)で記録された低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nとが交互に記録される。
【0121】
また、この磁気記録媒体の他の部分には、図1に示した磁気記録媒体の高記録周波数サーボ信号パターン15bや低記録周波数サーボ信号パターン16bのように、中心トラック73上に高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターン(図示せず)がサーボ信号の振幅および周波数の基準値設定用にトラック一周に亘って記録されている。
【0122】
実施例2におけるトラック位置決め処理においては、実施例1と同様にまず、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nと低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76
nとから高速フーリエ変換によりサーボ信号が検出される。そして、検出されたサーボ信号の低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅比を算出し、その振幅比に基づいて再生ヘッド70のトラック位置決め制御をおこなう。
【0123】
このトラック位置決めの後、再生ヘッド70の浮上量制御がおこなわれる。具体的には、中心トラック73上にサーボ信号の振幅および周波数の基準値設定用に記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンから低記録周波数成分および高記録周波数成分を検出し、低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅および周波数の平均値を基準値として算出する。
【0124】
ここで算出された周波数の平均値は、図4に示したような周波数分布から高記録周波数成分および低記録周波数成分を抽出する際に、抽出する高記録周波数成分および低記録周波数成分の周波数として用いられる。
【0125】
一方、算出された高記録周波数成分の振幅の平均値は、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nから検出された高記録周波数成分の振幅と比較され、高記録周波数成分の振幅が平均値よりも所定値以上小さい場合には、再生ヘッド70が磁気記録媒体から浮き上がった状態と判定し、再生ヘッド70の浮上量を小さくするよう制御する。
【0126】
また、算出された低記録周波数成分の振幅の平均値は、低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nから検出された低記録周波数成分の振幅と比較され、低記録周波数成分の振幅が平均値よりも所定値以上大きい場合には、再生ヘッド70が磁気記録媒体と接触する可能性があると判定し、再生ヘッド70の浮上量を大きくするよう制御する。
【0127】
ここで、図9に示すように、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nをセクタ内に複数交互に記録した磁気記録媒体を用いることにより、セクター内で低記録周波数成分および高記録周波数成分を交互に観測することができるため、それらの振幅比の変動を敏速に検出することができ、トラック位置決め制御と再生ヘッドの浮上量制御とを安定しておこなうことができる。
【0128】
なお、ここでは、図9に示したような磁気記録媒体を用いることとしたが、振幅比の変動が急激なものでない場合には、図1に示したようにセクターごとに高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンを記録した磁気記録媒体を用いることとしてもよい。
【0129】
図10は、実施例2に係る磁気記録再生装置の制御部80の詳細な機能構成を示す図である。なお、制御部80以外の磁気記録再生装置の機能構成については、図5に示したものと同様であるので説明を省略し、図5の符合と同じ符号を付すこととする。
【0130】
図10に示すように、この制御部80は、再生ヘッド信号処理部81、システム制御部82、記録再生ヘッド制御部83、制御量記憶部84、制御量付与部85、モーター制御部86を有する。
【0131】
再生ヘッド信号処理部81は、図6に示した再生ヘッド信号処理部40に対応し、同等の機能を有する機能部である。具体的には、再生ヘッド信号処理部81は、磁気記録媒体31に記録されたサーボ信号の再生信号をサーボ駆動部35から受信して、図4に示すような再生信号の周波数分布から低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅を検出する。
【0132】
この再生ヘッド信号処理部81は、FFT処理部81aおよび信号振幅検出部81bを
有する。FFT処理部81aは、サーボ信号の再生信号に対して高速フーリエ変換を適用し、図4に示したような周波数分布を検出する処理部である。
【0133】
信号振幅検出部81bは、FFT処理部81aにより検出された周波数分布において、低記録周波数成分と高記録周波数成分との間の振幅比を検出する検出部である。さらに、信号振幅検出部81bは、検出した振幅比が基準となる振幅比からずれ、再生ヘッド70の位置が中心トラック73の中央からずれていると判定できる場合に、それを基準となる振幅比に戻すための振幅の補正量の情報をシステム制御部82に出力する。
【0134】
また、信号振幅検出部81bは、中心トラック73上にサーボ信号の振幅および周波数の基準値設定用にトラック一周に亘って記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンから低記録周波数成分および高記録周波数成分を検出し、低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅および周波数の平均値を算出する。
【0135】
また、信号振幅検出部81bは、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nから検出された高記録周波数成分の振幅を、高記録周波数成分の振幅の平均値と比較する。そして、高記録周波数成分の振幅が高記録周波数成分の振幅の平均値よりも所定値以上小さい場合には、信号振幅検出部81bは、再生ヘッド70が磁気記録媒体から浮き上がった状態と判定し、高記録周波数成分の振幅を振幅の平均値と一致させるための振幅の補正量を算出し、その補正量をシステム制御部41に出力する。
【0136】
また、低記録周波数成分の振幅が低記録周波数成分の振幅の平均値よりも所定値以上大きい場合には、信号振幅検出部81bは、再生ヘッド70が磁気記録媒体と接触する可能性があると判定し、低記録周波数成分の振幅を振幅の平均値と一致させるための振幅の補正量を算出し、その補正量をシステム制御部82に出力する。
【0137】
システム制御部82は、サーボ駆動部35を制御するための制御情報を生成する制御部であり、トラック位置制御部82aおよび浮上量制御部82bを有している。トラック位置制御部82aは、図6に示したトラック位置制御部41aに対応し、同等の機能を有する機能部である。具体的には、トラック位置制御部82aは、信号振幅検出部81bにより出力された振幅の補正量の情報を受け付けて、その補正量を再生ヘッド70のトラック位置決めの制御信号に変換し、記録再生ヘッド制御部83に出力する。
【0138】
浮上量制御部82bは、信号振幅検出部81bから再生ヘッド70の浮上量を制御する際の振幅の補正量の情報を取得し、その補正量の情報を再生ヘッド70の高さを上昇または下降させる移動量の情報に変換し、その移動量の情報を記録再生ヘッド制御部83に出力する。
【0139】
記録再生ヘッド制御部83は、トラック位置制御部82aおよび浮上量制御部82bから再生ヘッド70のトラック位置決めおよび浮上量制御の制御情報を受け付け、その制御情報をサーボ駆動部35に送信することによりサーボ駆動部35を制御する制御部である。
【0140】
また、記録再生ヘッド制御部83は、後に説明する制御量付与部85から、図9に示したような磁気記録媒体のサーボフレーム72a〜72dにポストコードとして記憶するための制御情報を受け付け、受け付けた制御情報をサーボ駆動部35に送信してサーボフレーム72a〜72dにポストコードとして記憶させる。
【0141】
この制御情報は、再生ヘッド70(あるいは記録ヘッド)のトラック位置決めにおける目標位置(中心トラック73の中央)からのずれ、および、浮上量制御における磁気記録
媒体からの目標高さからのずれを補正するための制御量の情報である。
【0142】
この制御量の情報は、磁気記録媒体にユーザデータを記録する場合、あるいは、磁気記録媒体に記録されたユーザデータを読み出す場合に読み出され、読み出された制御量の情報に基づいて再生ヘッド70(あるいは記録ヘッド)のトラック位置制御および浮上量制御がおこなわれる。
【0143】
制御量記憶部84は、ユーザデータの記録再生時に、上記ポストコードとして記憶されたトラック一周分の制御情報が読み出された場合に、読み出された制御情報を記憶するメモリなどの記憶部である。
【0144】
制御量付与部85は、トラック位置制御部82aおよび浮上量制御部82bにより生成された再生ヘッド70の移動量の情報を、磁気記録媒体のサーボフレーム72a〜72dにポストコードとして記憶される制御情報に変換する処理をおこなう。
【0145】
また、制御量付与部85は、ポストコードとして記憶された制御情報がサーボフレーム72a〜72dから読み出された場合に、その制御情報を再生ヘッド70(または記録ヘッド)を移動させる場合の移動量の情報に変換し、記録再生ヘッド制御部83に出力する。
【0146】
この情報を受け付けた記録再生ヘッド制御部83は、その制御情報をサーボ駆動部35に送信することにより再生ヘッド70(または記録ヘッド)のトラック位置決め制御および浮上量制御を実行する。
【0147】
モーター制御部86は、モーター33を制御する制御部であり、磁気記録媒体を所定の回転数で回転させたり、回転を停止または開始させたりする処理をおこなう。
【0148】
つぎに、実施例2に係るヘッド位置制御処理の処理手順について説明する。図11は、実施例2に係るヘッド位置制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0149】
図11に示すように、まず、磁気記録装置の制御部80は、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nから検出されたサーボ信号の高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅比に基づいて、再生ヘッド70のトラック位置制御をおこなう(ステップS101)。そして、制御部80は、検出された高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅比が正常か否かを調べる(ステップS102)。
【0150】
具体的には、制御部80は、サーボ信号の振幅および周波数の基準値設定用に記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンから検出された低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅比と、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nから検出されたサーボ信号の高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅比とを比較することにより、振幅比が正常か否かを調べる。
【0151】
そして、振幅比が正常でない場合には(ステップS102,No)、ステップS101に移行して、制御部80は、トラック位置制御を再度おこなう。振幅比が正常である場合には(ステップS102,Yes)、制御部80は、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nから検出されたサーボ信号の高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅に基づいて、再生ヘッド70の浮上量制御をおこなう(ステップS103)。
【0152】
続いて、制御部80は、検出された高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅が正常か否かを調べる(ステップS104)。具体的には、制御部80は、サーボ信号の振幅および周波数の基準値設定用に記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンから検出された低記録周波数成分および高記録周波数成分の振幅と、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nから検出されたサーボ信号の高記録周波数成分および低記録周波数成分の振幅とを比較することにより、振幅が正常か否かを調べる。
【0153】
そして、その振幅が正常でない場合には(ステップS104,No)、ステップS103に移行して、制御部80は、浮上量制御を再度おこなう。振幅比が正常である場合には(ステップS104,Yes)、制御部80は、このヘッド位置制御処理を終了するか否かを判定し(ステップS105)、ヘッド位置制御処理を終了しない場合には(ステップS105,No)、ステップS101に移行して、それ以後の処理を継続する。
【0154】
処理を終了する場合には(ステップS105,Yes)、そのままこのヘッド位置制御処理を終了する。処理が終了されるのは、磁気記録装置の電源がオフにされる場合や、スタンバイ状態にされる場合などである。
【0155】
なお、ここでは、再生ヘッド70が中心トラック73に平行に記録された高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nと低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nとを同時に読み取り、図4に示したような高記録周波数成分と低記録周波数成分とを抽出することとしたが、高速フーリエ変換などの信号処理をおこなう際に制御部80にかかる負荷が大きくなるため、高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nと低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nとを交互に読み取り、信号処理を交互におこなうこととしてもよい。
【0156】
図12は、高記録周波数サーボ信号パターン95a〜95hと低記録周波数サーボ信号パターン96a〜96fとが交互に読み取られる磁気記録媒体を示す図である。図12に示すように、この磁気記録媒体においては、隣接トラック94a,94bに高記録周波数サーボ信号パターン95a〜95hと低記録周波数サーボ信号パターン96a〜96fとが再生ヘッド90により1つずつ読み取られるように記録されている。
【0157】
この場合、高記録周波数サーボ信号パターン95a〜95hから図4に示したような高記録周波数成分を抽出する処理と、低記録周波数サーボ信号パターン96a〜96fから低記録周波数成分を抽出する処理とは、再生ヘッド信号処理部81により順番におこなわれる。
【0158】
そして、最初に抽出された高記録周波数成分あるいは低記録周波数成分は、それぞれつぎに低記録周波数成分あるいは高記録周波数成分が抽出されるまで、再生ヘッド信号処理部81に設けられたメモリ(図示せず)などに記憶され、高記録周波数成分および低記録周波数成分の抽出の完了後、それらの振幅比が算出される。
【0159】
上述してきたように、本実施例2では、図9に示したように、中心トラック73に平行に異なる記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nの領域が、同じ記録周波数で記録された高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nの領域が隣り合わないように1つのセクタ内に複数配置されたこととしたので、セクタ内でトラック位置決めを精度良くおこなうことができるとともに、磁気ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量を効率的に制御することができる。
【0160】
また、本実施例2では、磁気記録装置の制御部80が、再生ヘッドにより読み取られた高記録周波数サーボ信号パターン75a〜75nおよび低記録周波数サーボ信号パターン76a〜76nを周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅に基づいて再生ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量の制御をおこなうこととしたので、セクタ内でトラック位置決めを精度良くおこなうことができるとともに、磁気ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量を効率的に制御することができる。
【0161】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0162】
例えば、次世代の記録媒体として注目されているパターンドメディアに本発明を適用することとしてもよい。図13は、パターンドメディアに記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンについて説明する図である。
【0163】
図13に示すように、この磁気記録媒体は、パターンドメディアの所定の領域に、データの記録をおこなう記録ヘッド、あるいは、データの再生をおこなう再生ヘッドの位置制御をおこなうためのサーボ信号を記録したサーボ信号記録領域100を有する。サーボ信号記録領域100以外の領域にはユーザデータが記録される。
【0164】
このサーボ信号記録領域100には、中心トラック101、中心トラック101に隣接する2つの隣接トラック102a,102bが存在し、中心トラックに隣接する2つの隣接トラック102a,102bには、それぞれ異なる記録周波数でサーボ信号が記録される。
【0165】
ここで、記録周波数の違いは、「1」のビットの間隔の違いに対応している。図13の例では、隣接トラック102aにおいては「1」のビットが1つおきに記録され、隣接トラック102bにおいては「1」のビットが2つおきに記録されている。
【0166】
このようにして記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンから、実施例1で説明したようにしてサーボ信号の高周波数成分および低周波数成分をそれぞれ検出し、各周波数成分の振幅比を比較することにより、磁気ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこなうことができる。
【0167】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
【0168】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0169】
また、図示した装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0170】
さらに、装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよ
び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0171】
(付記1)磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体であって、
再生ヘッドが所定のトラックに沿って再生ヘッドの位置制御に用いられるサーボ信号を再生する場合に当該再生ヘッドにより読み取られるよう前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域を有すること、
を特徴とする磁気記録媒体。
【0172】
(付記2)前記複数のサーボ信号の領域は、消磁状態にある領域を挟んで設けられたことを特徴とする付記1に記載の磁気記録媒体。
【0173】
(付記3)前記消磁状態にある領域の幅は、再生ヘッドの幅よりも狭いことを特徴とする付記2に記載の磁気記録媒体。
【0174】
(付記4)前記複数のサーボ信号の領域は、磁気記録媒体のセクタ内において当該セクタの円周方向に連続的に設けられたことを特徴とする付記1、2または3に記載の磁気記録媒体。
【0175】
(付記5)前記複数のサーボ信号の領域は、磁気記録媒体のトラック一周に亘って設けられたことを特徴とする付記1、2または3に記載の磁気記録媒体。
【0176】
(付記6)前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号が記録された領域を前記所定のトラックに有することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
【0177】
(付記7)前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数でサーボ信号が記録された領域と、前記所定のトラックに平行に記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号が記録された前記所定のトラックにある領域とがセクタ単位で交互に設けられたことを特徴とする付記6に記載の磁気記録媒体。
【0178】
(付記8)前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域が、同じ記録周波数で記録されたサーボ信号の領域が隣り合わないように1つのセクタ内に複数配置されたことを特徴とする付記1、2または3に記載の磁気記録媒体。
【0179】
(付記9)信号の記録をおこなうトラック間に信号の記録が不可能な複数の非磁性体領域をさらに有し、前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域は、前記複数の非磁性体領域により挟まれる領域に設けられたことを特徴とする付記1〜8のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
【0180】
(付記10)前記複数のサーボ信号の領域は磁気転写方式を用いて生成されたことを特徴とする付記1〜9のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
【0181】
(付記11)付記1〜10のいずれか1つに記載の磁気記録媒体における所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号を読み取る再生ヘッドと、前記再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて前記再生ヘッドの位置制御をおこなう制御手段と、を備えたことを特徴とする磁気記録装置。
【0182】
(付記12)付記6または7に記載の磁気記録媒体における前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数の第1のサーボ信号、および、第1のサーボ信号と同じ記録周波数で前記所定のトラックに記録された第2のサーボ信号を読み取る再生ヘッドと、前記第2のサーボ信号が前記再生ヘッドにより読み取られた場合に、当該第2のサーボ信号を周波数成分に分離し、分離した周波数成分の特徴量を基準値として設定する基準値設定手段と、前記再生ヘッドにより読み取られた第1のサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて前記再生ヘッドの位置制御をおこなう制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記再生ヘッドの位置制御を前記基準値設定手段により設定された基準値に基づいておこなうことを特徴とする磁気記録装置。
【0183】
(付記13)前記制御手段は、前記再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅に基づいて前記再生ヘッドの磁気記録媒体からの浮上量の制御をおこなうことを特徴とする付記11または12に記載の磁気記録装置。
【0184】
(付記14)それぞれ第1及び第2の記録周波数にて複数のサーボ信号が記録されてなる媒体からの再生信号を入力する入力部と、
再生信号における前記第1の記録周波数成分の振幅を算出する第1算出手段と、
前記再生信号における前記第2の記録周波数成分の振幅を算出する第2算出手段と、
を有することを特徴とするサーボ復調回路。
【0185】
(付記15)前記第1算出手段及び第2算出手段によって算出された振幅の比を算出する手段を有することを特徴とする付記14に記載のサーボ復調回路。
【産業上の利用可能性】
【0186】
以上のように、本発明に係る磁気記録媒体、磁気記録装置及びサーボ復調回路は、磁気記録媒体にデータを記録/再生する磁気ヘッドのトラック位置決めを精度良くおこない、磁気ヘッドの位置のゆらぎや偏りを小さくするよう制御することが必要な磁気記録システムに対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】実施例1に係る磁気記録媒体について説明する図である。
【図2】磁気記録媒体に設けられた高記録周波数領域および低記録周波数領域を示す図である。
【図3】再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号の一例を示す図である。
【図4】フーリエ変換により抽出されたサーボ信号の周波数分布の一例を示す図である。
【図5】実施例1に係る磁気記録装置の機能構成を示す図である。
【図6】図5に示した制御部36の詳細な機能構成を示す図である。
【図7】中心トラック53と隣接トラック54a,54bとで交互にサーボ信号パターンを形成した磁気記録媒体の一例を示す図である。
【図8】ディスクリートトラック記録媒体に設けられた高記録周波数領域および低記録周波数領域を示す図である。
【図9】実施例2に係る磁気記録媒体について説明する図である。
【図10】実施例2に係る磁気記録再生装置の制御部80の詳細な機能構成を示す図である。
【図11】実施例2に係るヘッド位置制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】高記録周波数サーボ信号パターン95a〜95hと低記録周波数サーボ信号パターン96a〜96fとが交互に読み取られる磁気記録媒体を示す図である。
【図13】パターンドメディアに記録された高記録周波数サーボ信号パターンおよび低記録周波数サーボ信号パターンについて説明する図である。
【図14】従来技術における問題点について説明する図である。
【符号の説明】
【0188】
1,10,50,60,70,90 再生ヘッド
11,51,63,71,91,100 サーボ信号記録領域
12a〜12d,52a〜52d,64a〜64d,72a〜72d,92a〜92d サーボフレーム
13,53,65,73,93,101 中心トラック
14a,14b,54a,54b,66a,66b,74a,74b,94a,94b,102a,102b 隣接トラック
15a〜15c,21a,55a〜55e,67a〜67d,75a〜75n,95a〜95h 高記録周波数サーボ信号パターン
16a〜16c,21b,56a〜56e,68a〜68c,76a〜76n,96a〜96f 低記録周波数サーボ信号パターン
20 磁気記録媒体
30 筐体
31 磁気記録媒体
32 ハブ
33 モーター
34a,34b 再生ヘッド
35 サーボ駆動部
36,80 制御部
40,81 再生ヘッド信号処理部
40a,81a FFT処理部
40b,81b 信号振幅検出部
41,82 システム制御部
41a,82a トラック位置制御部
82b 浮上量制御部
42,83 記録再生ヘッド制御部
43,84 制御量記憶部
44,85 制御量付与部
45,86 モーター制御部
61a,61b トラック
62a〜62d 非磁性体領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体の磁化状態を変化させることにより信号を記録する磁気記録媒体であって、
再生ヘッドが所定のトラックに沿って再生ヘッドの位置制御に用いられるサーボ信号を再生する場合に当該再生ヘッドにより読み取られるよう前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域を有すること、
を特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記複数のサーボ信号の領域は、磁気記録媒体のセクタ内において当該セクタの円周方向に連続的に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記複数のサーボ信号の領域は、磁気記録媒体のトラック一周に亘って設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録されたサーボ信号と同じ記録周波数でサーボ信号が記録された領域を前記所定のトラックに有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域が、同じ記録周波数で記録されたサーボ信号の領域が隣り合わないように1つのセクタ内に複数配置されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
信号の記録をおこなうトラック間に信号の記録が不可能な複数の非磁性体領域をさらに有し、前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号の領域は、前記複数の非磁性体領域により挟まれる領域に設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の磁気記録媒体における所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数のサーボ信号を読み取る再生ヘッドと、前記再生ヘッドにより読み取られたサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて前記再生ヘッドの位置制御をおこなう制御手段と、を備えたことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項8】
請求項4に記載の磁気記録媒体における前記所定のトラックに平行に異なる記録周波数で記録された複数の第1のサーボ信号、および、第1のサーボ信号と同じ記録周波数で前記所定のトラックに記録された第2のサーボ信号を読み取る再生ヘッドと、前記第2のサーボ信号が前記再生ヘッドにより読み取られた場合に、当該第2のサーボ信号を周波数成分に分離し、分離した周波数成分の特徴量を基準値として設定する基準値設定手段と、前記再生ヘッドにより読み取られた第1のサーボ信号を周波数成分に分離することにより得られた各周波数成分の振幅比に基づいて前記再生ヘッドの位置制御をおこなう制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記再生ヘッドの位置制御を前記基準値設定手段により設定された基準値に基づいておこなうことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項9】
それぞれ第1及び第2の記録周波数にて複数のサーボ信号が記録されてなる媒体からの再生信号を入力する入力部と、
再生信号における前記第1の記録周波数成分の振幅を算出する第1算出手段と、
前記再生信号における前記第2の記録周波数成分の振幅を算出する第2算出手段と、
を有することを特徴とするサーボ復調回路。
【請求項10】
前記第1算出手段及び第2算出手段によって算出された振幅の比を算出する手段を有す
ることを特徴とする請求項9に記載のサーボ復調回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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