説明

磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法

【課題】インプリント兼磁界印加手段によりサーボ部信号品位が良好である次世代磁気記録媒体を安定かつ効率よく製造することができる磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法の提供。
【解決手段】円板状の基板と、該基板の表面に、該表面を基準として磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応する複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるモールド構造体と、磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に前記モールド構造体を押圧して該モールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンを転写すると共に、該モールド構造体を介して磁界を印加して前記サーボ部に磁気転写するインプリント兼磁界印加手段と、を少なくとも有する磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボ部とデータ部とを有する磁気記録媒体を複数の凸部を有するモールド構造体を用いて製造する磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録媒体における記録密度向上を図るために、従来の連続磁性層を有する磁気記録媒体に代わって磁性層がパターニングされたDTM(ディスクリート・トラック・メディア)、BPM(ビット・パターンド・メディア)が提唱されている(例えば、特許文献1及び2参照)。磁性層をパターニングするためには、所望の形状パターンを有するマスク層が必要である。マスク層の作製方法として、加工対象物にレジストを塗布し、所望の形状に基材を加工したモールドを前記レジストが塗布された加工対象物に押し当て、レジストに対して所望パターンを形成する、ナノインプリント方式(NIL)が提唱されている。
磁気記録媒体の製造方法として提唱されているNILは、先述したように、レジストに対して形状加工モールドを押し当てる。そのため、モールドパターンは、主にデータ部を構成する同芯円形態を有する凹凸パターン、サーボ部を構成する凹凸パターンで構成されている。サーボ部パターンは記録信号のアドレス管理に役割を持っており、すべて異なる形態のパターンで構成される。そのため、データ部、サーボ部間では、例えば、パターン断面積、深さなどが異なっていることにより、レジストが受ける圧力が変化し、圧力印加後のレジストパターンが所望の形態と異なる可能性がある。具体的には、パターン凸部で印加し残存したレジスト厚(残渣)がデータ部、及びサーボ部間、更に詳細にはサーボ部の内部構造内でも異なり、マスク特性が不均一となってしまう。マスク特性が不均一になると、磁性層パターニングも不均一な状態となり、所望の特性を有したDTM、BPMを製造することができない。
サーボ部におけるナノインプリント(NIL)特性とデータ部におけるナノインプリント(NIL)特性とを両立することは難しい。
更に、サーボ部における信号はデータ部における信号と異なりセンシング信号であるため、高度な信号処理方式の適用が難しく、信号自身の信号品位(S/N)の確保が必要である。しかし、サーボ部における信号は磁性層の有/無(1/0)により情報が記録されるので、従来方式と比べてS/Nが半減(−6dB)し、サーボ精度の劣化、記録密度向上の大きな障害となる。
特に、DTMにおいては、サーボ部では磁性層の有無(1/0)により情報が記録されるのに対し、データ部では磁性層における反対方向の磁化(1/−1)により情報が記録される。そこで、この情報の記録方法の差異によって生じるサーボ部及びデータ部間の信号振幅による差異を信号処理によって補正することがなされている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
そこで、サーボ部における信号対雑音比(S/N比)を維持するため、磁気転写方法によるサーボ信号記録を行うという技術思想では、特許文献4が先行技術として挙げられる。この特許文献4には、データ部(図21で後述する122)に対応する領域100に凸部101を有し、サーボ部(図21で後述する123)に対応する領域102に磁性層103が埋め込まれた広く平坦になった凸部104を有する金型110(図20参照)を用いて製造された磁気記録媒体が提案されている。しかし、この提案では、レジスト111が塗布された磁気記録媒体120に金型110を押し当てる際には広く平坦になった凸部104と磁気記録媒体120との間にレジスト残渣121が過剰に残存してしまい、金型110の広く平坦になった凸部104と磁気記録媒体120との間の距離を短くすることができず、良好な磁気転写状態を実現することは困難である。良好な磁気転写状態を実現するためには、マスター/スレーブ間の隙間をディスク全面に亘り、数十nmオーダーにて制御する必要があるということが、磁気転写手法の長年の実験により得られた磁気転写法原理に基づく帰結である。
金属膜130をコーティングする金属膜コーティング工程(図22参照)、リフトオフ(図23参照)、データ部122、サーボ部123に形成されたレジスト残渣121及び金属膜130が除去された後に行われるエッチング工程によってデータ部122及びサーボ部123が形状加工される。サーボ部123はデータ部122に比べてパターンの断面積が広く、データ部122に比べて多くのレジスト残渣121が残存する。そのため、リフトオフ工程で本来残存しなければならないサーボ部123上の金属膜が除去されてしまう(図23参照)。サーボ部123上の金属膜が除去されることでサーボ部123の磁性層がエッチングされてしまい(図24)、サーボ部123の磁性層特性劣化(膜厚減少による信号品位劣化)が発生する。加えてエッチングによりデータ部122、サーボ部123間に微少な段差ができるために(図24)、サーボ部123上をヘッドが走行した際に気流が乱れ、ヘッド浮上状態が不安定となりヘッド・メディアが破損し、ドライブとして機能しないという懸念が大きい。
【0004】
また、前記特許文献4には、サーボ部とデータ部とを有する磁気記録媒体を複数の凸部を有するモールド構造体を用いて製造する際に、サーボ信号の記録は磁気転写法で行い、データ部の凹凸パターンはナノインプリント法で、一度に効率良く行うことができる磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法については、開示も示唆もされていない。
【0005】
【特許文献1】特開平9−97419号公報
【特許文献2】特開2006−120299号公報
【特許文献3】特開2006−65918号公報
【特許文献4】特開2006−216200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、インプリント兼磁界印加手段により磁気記録媒体のサーボ信号の記録は磁気転写法で行い、データ部の凹凸パターンはナノインプリント法で効率よく形成でき、サーボ部信号品位が良好である次世代磁気記録媒体を安定かつ効率よく製造することができる磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 円板状の基板と、該基板の表面に、該表面を基準として磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応する複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるモールド構造体と、
磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に前記モールド構造体を押圧して該モールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンを転写すると共に、該モールド構造体を介して磁界を印加して前記サーボ部に磁気転写するインプリント兼磁界印加手段と、を少なくとも有することを特徴とする磁気記録媒体の製造装置である。
<2> サーボ部及びデータ部に対してモールド構造体を介して磁界を印加する前記<1>に記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<3> サーボ部及びデータ部に対してモールド構造体を介して磁界を磁気記録媒体の表面に対して垂直方向に印加する前記<2>に記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<4> 磁気記録媒体のデータ部のみにインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層を形成するデータ部レジスト層形成手段を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<5> 磁気記録媒体のサーボ部に対して磁気転写を実施した後に、前記サーボ部上に保護層を被覆する保護層被覆手段を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<6> 磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層を加熱する加熱手段と、
前記加熱したインプリントレジスト層にモールド構造体を押圧した後、該インプリントレジスト層を冷却する冷却手段とを、少なくとも有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<7> 加熱手段が、インプリントレジスト組成物に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱する前記<6>に記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<8> 磁気記録媒体の磁性層上に付与したインプリントレジスト組成物にモールド構造体を押圧して、光照射することにより該インプリントレジスト組成物を硬化させる光照射手段を、少なくとも有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<9> インプリントレジスト組成物が光硬化性樹脂を少なくとも含有する前記<8>に記載の磁気記録媒体の製造装置である。
<10> 円板状の基板と、該基板の表面に、該表面を基準として磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応する複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるモールド構造体を用い、
磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に前記モールド構造体を押圧して該モールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンを転写すると共に、該モールド構造体を介して磁界を印加して前記サーボ部に磁気転写するインプリント兼磁界印加工程を少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、インプリント兼磁界印加手段により磁気記録媒体のサーボ信号の記録は磁気転写法で行い、データ部の凹凸パターンはナノインプリント法で効率よく形成でき、サーボ部信号品位が良好である次世代磁気記録媒体を安定かつ効率よく製造することができる磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(磁気記録媒体の製造装置及び磁気記録媒体の製造方法)
本発明の磁気記録媒体の製造装置は、モールド構造体と、インプリント兼磁界印加手段とを少なくとも有し、データ部レジスト層形成手段、保護層被覆手段、加熱手段、冷却手段、光照射手段、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、モールド構造体を用い、インプリント兼磁界印加工程を少なくとも含み、データ部レジスト層形成工程、保護層被覆工程、加熱工程、冷却工程、光照射工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の磁気記録媒体の製造装置により好適に実施することができ、前記インプリント兼磁界印加工程は前記インプリント兼磁界印加手段により行うことができ、前記データ部レジスト層形成工程は前記データ部レジスト層形成手段により行うことができ、前記保護層被覆工程は前記保護層被覆手段により行うことができ、前記加熱工程は前記加熱手段により行うことができ、前記冷却工程は前記冷却手段により行うことができ、前記光照射工程は前記光照射手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0010】
<モールド構造体>
前記モールド構造体は、円板状の基板と、該基板の表面(両面を含む)に、該表面を基準として磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応する複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなる。
【0011】
前記データ部は、略同心円状の凸パターンからなり、データを記録する領域である。
前記サーボ部は、凸部面積の異なる複数種類の凸パターンからなる。
前記サーボ部としては、トラッキングサーボ制御用の信号に対応するものであり、例えばプリアンブル、サーボタイミングマーク、アドレスパターン、バーストパターン、などで主に構成されている。
前記プリアンブルパターンは、アドレスパターン領域等から各種制御信号を読み取るための基準クロック信号を生成する部位である。
前記サーボタイミングマークは、アドレス、バーストパターンを読み取るためのトリガー信号である。
前記アドレスマークは、セクタ(角度)情報、トラック(半径)情報で構成されおり、ディスクの絶対位置(アドレス)を示している。
前記バーストパターンは、磁気ヘッドがオントラック状態にあるとき、ヘッド走行位置を微調整し、高精度な位置決めを達成する機能を有している。
【0012】
前記モールド構造体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、石英、金属、及び樹脂のいずれかの材料が好適である。
前記金属としては、例えばNi、Cu、Al、Mo、Co、Cr、Ta、Pd、Pt、Au等の各種金属、又はこれらの合金を用いることができる。これらの中でも、Ni、Ni合金が特に好ましい。
前記樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、低融点フッ素樹脂などが挙げられる。
【0013】
本発明において、前記モールド構造体は、インプリント用モールド及び磁気転写用マスターディスクとして使用するので、前記凹凸パターン表面に磁性層を有する。
前記磁性層の磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばCo、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN等)、Ni、Ni合金(NiFe等)などが挙げられる。これらの中でも、FeCo、FeCoNiが特に好ましい。
前記磁性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法、メッキ法、塗布法などにより成膜することができる。
前記磁性層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5nm〜200nmが好ましく、10nm〜150nmがより好ましい。
なお、前記磁性層上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、スパッタカーボン等の保護膜を設けることが好ましく、該保護膜の上に更に潤滑剤層を設けてもよい。この場合、保護膜として厚みが3nm〜30nmのDLC膜と潤滑剤層とする構成が好ましい。また、磁性層と保護膜との間に、Si等の密着強化層を設けるようにしてもよい。潤滑剤はスレーブディスクとの接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する効果を有する。
【0014】
ここで、図1は、前記モールド構造体の一実施形態における構成を示す部分斜視図である。なお、凹凸パターン表面の磁性層は省略している。
図1に示すように、円盤状をなす基板2の一方の表面2a(以下、基準面2aということがある)に、所定の間隔で形成されてなる複数の凸部3と、更に必要に応じて、その他の凸凹を備えている。なお、少なくともモールド構造体1は、磁気転写が可能となるように、少なくとも凸部最表面を強磁性体で構成する必要がある。前記強磁性体としては、Fe、Co、Ni、Cr、Ta、W、Pt、Ru、Oなどを少なくとも1種類含有する金属、合金より構成される。凸凹を有する基体自体を強磁性体で構成してもよい。また、磁性層の磁気異方性を制御するために下地層を設けてもよい。モールド構造体1の表面に、耐久性確保のための保護層を設けてもよい。この保護層は、例えば、硬質炭素素材により構成され、2nm〜10nm程度の膜厚が好ましい。
【0015】
なお、前述の凸部3は、データ部12aに対応するデータパターン用凸部3a(図7参照)と、サーボ部12bに対応するサーボパターン用凸部3b(図7参照)とを有する。データパターン用凸部3aに加えて、サーボパターン用凸部3bも記録したいサーボ信号に対応した凸凹パターンにて設けることにより、特開2006−216200号公報における金型を用いた場合と比較して、ナノインプリント(NIL)時のモールド構造体1及び磁気記録媒体基体12間、特にサーボ部123に存在するレジスト残渣13aを軽減すると共に、磁気記録媒体基体12全面に対してほぼ均一な残渣状態が実現可能となる。
【0016】
前記その他の部材としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材2上に層状に形成され、インプリントレジスト層13に対して剥離機能を備えたモールド表層等が挙げられる。
【0017】
以下、前記モールド構造体の製造方法について説明する。
−原盤の作製−
図2は、モールド構造体の製造方法における原盤の作製の一例を示す断面図である。
まず、図2のAに示すように、Si基板50上に、スピンコート法などによりノボラック系樹脂等を含むフォトレジスト液を塗布し、フォトレジスト層51を形成する。前記レジスト層の材料としては、ポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料のいずれであってもよい。
次に、図2のBに示すように、Si基板50を回転させながら、データ記録用トラック及びサーボ情報に対応して変調したレーザー光(又は電子ビーム)を照射し、フォトレジスト全面に所定のパターンを円周上の各フレームに対応する部分に露光する。
次に、図2のCに示すように、フォトレジスト層51を現像処理し、露光部分を除去して残ったフォトレジスト層21によって所望の凹凸パターンを形成する。
次に、図2のDに示すように、形成されたフォトレジスト層51のパターンをマスクにしてRIE(Reactive Ion Etching;反応性イオンエッチング)などにより選択エッチングを行い、基板10に凹凸パターンを形成する。
次に、図2のEに示すように、残余フォトレジスト層51を除去して、凹凸形状を有する原盤52を作製する。
【0018】
−モールド構造体の作製−
原盤からモールド構造体を作製するモールド構造体の作製方法としてはメッキ法、ナノインプリント法などを用いることができる。
前記メッキ法でのモールド構造体の作製方法としては以下の通りである。
まず、原盤表面に導電層を形成する。導電層の形成方法としては、一般的に、真空製膜方法(スパッタリング、蒸着等)、無電解メッキ法などを用いることができる。導電層の材料としては、Ni、Cr、W、Ta、Fe、及びCoから選択される少なくとも1種の元素を含有する金属、又は合金を用いることができる。これらの中でも、Ni、Co、FeCo合金が特に好ましい。また、導電性を示すTiO等の非金属材料も導電層として使用可能である。
前記導電層の厚みは、5nm〜30nmが好ましく、10nm〜25nmがより好ましい。
前記導電層を形成した原盤を用い、メッキ法にて金属及び合金素材を積層して、所定の厚みとなるまで形成した後に原盤からメッキ基体を剥離することでモールド構造体を形成する。モールド構造体を構成するメッキ素材としては、例えばNi、Cr、FeCo合金などを使用することができるが、Ni素材を用いたものが好ましい。原盤から引き剥がし後のモールド構造体の厚みは、50μm〜300μmが好ましく、75μm〜175μmがより好ましい。前記厚みが50μm未満であると、モールド構造体1の剛性が低下し機械特性を確保することができない。加えて、多数回NILを実施することで、モールド構造体1自身が変形を起こし、著しく実用特性が低下する。300μmを超えると、剛性が高くなりすぎるため、NIL/磁気転写時のモールド構造体1/磁気記録媒体間の密着を確保することができない。密着確保のためには密着圧力をあげる必要があるため、異物などが混入した際にはモールド構造体1/磁気記録媒体に致命的な形状欠陥が発生する。
上記モールド構造体を原盤として用いて、更にモールド構造体の複製を行ってもよい。
【0019】
次に、図3は、モールド構造体の製造方法におけるモールド構造体の作製の一例を示す断面図である。
図3のAに示すように、光硬化性樹脂を含有するインプリントレジスト液を塗布してなるインプリントレジスト層54が一方の面に形成された被加工基板としての石英基板53に対して、原盤52を押し当て、原盤52上に形成された凸部のパターンがインプリントレジスト層54に転写される。
ここで、本発明における被加工基板の材料は、光透過性を有し、モールド構造体として機能する強度を有する材料であれば、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、石英(SiO)、樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等が挙げられる。
また、前記「光透過性を有する」とは、具体的には、被加工基板53にインプリントレジスト層54が形成される一方の面から出射するように、前記被加工基板53の他方の面から光を入射した場合に、インプリントレジスト液が十分に硬化することを意味しており、少なくとも、前記他方の面から前記一方の面へ波長400nm以下の光の光透過率が50%以上であることを意味する。
また、前記「モールド構造体として機能する強度を有する」とは、磁気記録媒体基板12上に形成されたインプリントレジスト層13に対して、平均面圧力が1kgf/cm以上という条件下で押し当て、加圧しても剥離可能に破損しない強度を意味する。
【0020】
次に、図3のBに示すように、インプリントレジスト層54に熱を印加する、あるいは、紫外線などを照射して転写されたパターンを硬化させる。紫外線を照射してパターンを硬化する場合は、パターニング後であってモールド構造体と磁気記録媒体とを剥離した後に紫外線を照射し硬化してもよい。
その後、図3のCに示すように、転写されたパターンをマスクにしてRIEなどにより選択エッチングを行い、凹凸パターンを形成する。以上により、モールド構造体1を作製することができる。
また、基材の表面に無機系材質を形成し、レジストマスクを基として無機系材質マスクを形成し、この無機系材質マスクを用いて基材をエッチングし、モールド構造体1を形成してもよい。
【0021】
上記工程により形成したモールド構造体1上に、磁気転写用磁性層を形成する。前記転写用磁性層の形成手法としては、例えば真空製膜法(スパッタリング、蒸着等)、メッキ法、などが挙げられる。前記磁気転写用磁性層としては、Fe、Co、Ni、Cr、Pt、B、W、及びTaから選択される少なくとも1種の元素を含む金属、あるいは合金を使用することができる。これらの中でも、高い飽和磁化を有するFeCo合金、FeCoNi合金が特に好ましい。
前記磁性層の厚みは、10nm〜200nmが好ましく、50nm〜150nmがより好ましい。
また、モールド構造体1自身を磁気転写用磁性層材質で形成することも可能である。
【0022】
−インプリントレジスト層の形成−
前記インプリントレジスト層の形成は、図6に示すように、基材10の表面(好ましくは両面)に磁性層11を有する磁気記録媒体基体12にインプリントレジスト層13を形成する。
【0023】
−基材−
基材10としては、その形状、構造、大きさ、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、前記磁気記録媒体がハードディスク等の磁気ディスクである場合には、円板状である。また、前記構造としては、単層構造であっても、積層構造であってもよい。また、前記材質としては、磁気記録媒体の基材材料として公知のものの中から、適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、シリコン表面に熱酸化膜を形成してなるSiO/Si、などが挙げられる。これらの基板材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
−磁性層−
前記磁性層11の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPtなどが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記磁性層11の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、5nm〜30nm程度である。
前記磁性層11の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば、スパッタリング法、電着(電着法)等により行うことができる。
基材10と磁性層11間に磁性層配向用の結晶配向層、軟磁性下地層を適宜形成してもよい。特に軟磁性下地層は単層、あるいは複数層にて構成してもよい。
【0025】
―インプリントレジスト層―
前記インプリントレジスト層13としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂、及び光硬化性樹脂の少なくともいずれかを含有するインプリントレジスト組成物(以下、「インプリントレジスト液」ということがある)を磁気記録媒体基体12に塗布することによって形成される層である。また、インプリントレジスト層13を形成するインプリントレジスト組成物としては、磁気転写工程において、後述するモールド構造体1から磁気記録媒体基体12に磁気信号転写を阻害しない材料、即ち、比透磁率が1以上である材料、例えば、ノボラック系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機ガラス樹脂、無機ガラス樹脂などが好ましい。また、磁気転写の記録性能改善を目的とし、比透磁率を向上させるためにレジスト中に金属微粒子を分散させてもよい。前記金属微粒子としてはFe、Co、Niの内少なくとも1種元素を含有する金属、あるいは合金である。またエッチング耐久性付与のためにPt、In、Ru、O、Nなどの非磁性元素を導入してもよい。
【0026】
本発明においては、前記インプリントレジスト層は、以下のデータ部レジスト層形成手段によっても形成することができる。
−データ部レジスト層形成手段及びデータ部レジスト層形成工程−
前記データ部レジスト層形成手段は、磁気記録媒体の磁性層上のデータ部のみにインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層を形成する手段である。
図13に示すように、磁気記録媒体基体12のデータ部12aのみにインプリントレジスト層13を形成する方法として、前記インプリントレジスト液を磁気記録媒体基体12のデータ部12aのみに塗布してもよいし、前記インプリントレジスト液を磁気記録媒体基体12のデータ部12aのみならずサーボ部12bにも塗布し、磁気記録媒体基体12の全体にインプリントレジスト層を形成した後、磁気記録媒体基体12のサーボ部12bに形成されたインプリントレジスト層のみを除去してもよい。
前記データ部レジスト層形成手段としては、特に制限はなく、公知の塗布手段を用いることができる。
【0027】
−レジスト凹凸パターンの形成−
レジスト凹凸パターンを形成する方法としては主に2種類の方式がある。一つは熱ナノインプリント(NIL)方式であって、もう一つは光ナノインプリント(NIL)方式である。
前記熱NIL方式は、以下の通りである。
前記レジスト凹凸パターン形成工程は、図7に示すように、磁気記録媒体基体12の表面に形成されたインプリントレジスト層13にモールド構造体1の複数の凸部3を押し当てて凹凸パターンを形成する工程である。ここでは、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリントレジスト層13が前記インプリントレジスト液に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。インプリントモールド構造体1を剥離すると、インプリントレジスト層13に凹凸パターンが形成される。
【0028】
一方、光NIL方式は、以下の通りである。
光NIL方式においては、光透過性を有し、モールド構造体として機能する強度を有する材料(例えば、石英(SiO)や、有機樹脂(PET、PEN、ポリカーボネート、低融点フッ素樹脂)等)からなるモールド構造体1を用いてレジスト凹凸パターンを形成する。
その後、少なくとも光硬化性樹脂を含むインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層13に紫外線等を照射して転写されたパターンを硬化させる。なお、パターニング後であってモールド構造体1と磁気記録媒体基体12とを剥離した後に紫外線を照射して硬化してもよい。
【0029】
<インプリント兼磁界印加手段及びインプリント兼磁界印加工程>
前記インプリント兼磁界印加工程は、磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に前記モールド構造体を押圧して該モールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンを転写すると共に、該モールド構造体を介して磁界を印加して前記サーボ部に磁気を転写する工程であり、インプリント兼磁界印加手段を用いて行われる。
サーボ部及びデータ部に対してモールド構造体を介して磁界を印加することが好ましい。更には垂直磁気記録媒体に対しては、サーボ部及びデータ部に対してモールド構造体を介して磁界を磁気記録媒体の表面に対して垂直方向に印加することがより好ましい。
【0030】
前記インプリント工程と前記磁気転写工程とは両者を同時に行ってもよい。これはインプリントレジスト層の硬化処理と同時に磁気転写処理を行うことを意味する。また、インプリント工程前、あるいはインプリント工程後に磁気転写を行ってもよい。インプリント工程前とは、モールド及びレジスト基板が密着状態にあり、レジスト硬化処理前に磁気転写工程を実施することを意味し、インプリント工程後とはモールド及びレジスト基板が密着状態にあり、レジスト硬化処理終了後に磁気転写工程を実施することを意味する。
【0031】
前記インプリント兼磁界印加手段としては、インプリント法と磁気転写法とを一緒に(一つの手段で)効率よく実施できる機能を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来の磁気転写装置に加圧機能(押圧手段)を追加し、更に必要に応じて加熱手段、冷却手段、光照射手段などを追加したものなどが挙げられる。
前記押圧手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばボールネジ等を用いた通常の機械的圧力印加方法、圧力印加容器内を減圧雰囲気とし大気圧間圧力差を用いた方式、高圧空気を用いて中間体を介在して印加する方式、などが挙げられる。
本発明の磁気記録媒体の製造装置としては、具体的には、図4及び図5に示すインプリント・磁気転写装置が用いられる。
【0032】
ここで、図4は、本発明のインプリント・磁気転写装置の一例を示す概略斜視図、図5は押圧手段の一例を示す概略図である。
図4のインプリント・磁気転写装置200を構成するインプリント兼磁界印加手段230は、押圧手段(図5参照)により磁気記録媒体202にモールド構造体203,204を上下方向からに押し付けた状態で保持する上ホルダ250a、下ホルダ250bの上面及び下面に配置された磁石230Aと230B、及び圧力印加容器(ホルダ)250を支持するとともにホルダ250を磁石230Aと230Bに対して、図4中の矢印A方向に回転させる回転手段(不図示)で構成されている。なお、ホルダを固定し、磁界印加機構を回転させてもよい。
インプリント方式に応じて、熱インプリント法では、加熱手段及び冷却手段を少なくとも備えており、光インプリント法では、光照射手段を少なくとも備えている。なお、熱インプリント法、及び光インプリント法の両機能を具備していてもよい。
【0033】
図5に示す押圧手段のバルブ221を閉め、バルブ222を開け、真空ポンプ223を作動させて、圧力印加容器(ホルダ)250内を真空排気して上ホルダ250aと、下ホルダ250bとの間に配置された磁気記録媒体202に上下方向からモールド構造体203,204を押し付けることにより、磁気記録媒体のインプリントレジスト層にモールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンが転写される。
一方、磁石230Aには電磁石が用いられ、図4に示すように、少なくとも磁気記録媒体202の最内周トラックから最外周トラックに亘って半径方向に延びるギャップ231を構成するヘッドを備えたコア232と、コア232に巻き付けられたコイル(不図示)とからなっている。磁石230Bも同様な構成である。
コイルに通電することにより直流磁界が発生し、回転手段(不図示)がホルダ250を回転させて磁気記録媒体202のトラック全領域にモールド構造体203、204の情報が転写されるようになっている。なお、磁石230A、磁石230Bとして電磁石を用いたが、永久磁石を用いてもよい。図4では面内(周)方向に対する磁界印加設備を記載しているが、垂直磁気記録媒体に対しては垂直方向に磁界を印加する設備を用いてもよい。
磁気転写は、事前に磁気記録媒体基材12(スレーブディスク)に対して、磁束が基材10の表面に直交する方向に初期化磁界を印加し、一方向に均一に磁化した状態とする。初期化後の磁気記録媒体基材12(スレーブディスク)に対して、前記初期化磁界と反平行方向にモールド構造体1を介して所定の磁界60を印加して(図8)、サーボ部12b及びデータ部12aにおける磁性層11に、磁化61が正方向に配向し、磁化62が負方向に配向するように磁気を転写する工程である。所定の磁界60は、前記初期化方向とは逆方向の転写磁界からなる。
インプリント用モールド構造体1は所定の磁界60の印加を受けることで、磁束が基材10の表面に直交する方向に流通して、磁化が確立される。
【0034】
また、モールド構造体1(マスターディスク)による磁気転写は、図示を省略しているが、磁気記録媒体基体12(スレーブディスク)の片面にモールド構造体1(マスターディスク)を近づけて片面に転写を行う場合と、磁気記録媒体基体12(スレーブディスク)の両面に一対のモールド構造体1(マスターディスク)を近づけて両面で同時転写を行う場合とがある。
【0035】
なお、磁気記録媒体202を2つのモールド構造体で挟み込み、磁気記録媒体202の上下両面にマスターディスクの情報を転写するように構成したため、ホルダ250の上面及び下面に磁石230Aと磁石230Bとを配置したが、1つのモールド構造体を用い磁気記録媒体202の上面又は下面のみに磁気情報を転写する場合は、磁石はホルダ250の片側に1個配置するのみでもよい。
【0036】
図4に示すように、磁石230Aによってコア232のヘッド間ギャップ231にトラック方向に沿って、初期磁化とは逆方向に磁気記録媒体202への転写用磁界Hduが発生される。電磁石230Bの側も同様である。
なお、転写用磁界Hduの強度は、磁気記録媒体202の上面及び下面の磁性層202b、202cの保持力Hcの0.6倍〜1.3倍が好ましく、0.8倍〜1.2倍がより好ましく、0.9倍〜1.1倍が更に好ましい。
【0037】
前記インプリント兼磁界印加手段によるインプリントが、熱インプリント法で行われる場合には、以下の加熱手段及び冷却手段を備えている。
−加熱手段及び冷却手段−
前記加熱手段は、磁気記録媒体の基板上の熱可塑性樹脂を少なくとも含むインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層を、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度近傍、又はそれ以上に加熱する手段である。
前記加熱手段としては、型及び基板の面内温度分布を均一にして高精度に温度制御ができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばヒータ、赤外線照射装置、誘導加熱装置、などが挙げられる。また、インプリントレジスト層のみではなく、モールド自身を所定の温度に加熱してもよい。
前記冷却手段は、前記加熱手段により加熱したインプリントレジスト層にモールド構造体を押圧した後、該インプリントレジスト層を冷却する手段である。
前記冷却手段としては、例えば、放熱による自然冷却、空気等の冷媒を介在した強制空冷方式、ヒートシンクを用いた接触式冷却方式、ペルチェ素子等による電子冷却方式、などが挙げられる。
【0038】
前記インプリント兼磁界印加手段によるインプリントが、光インプリント法で行われる場合には、以下の光照射手段を備えている。
−光照射手段及び光照射工程−
前記光照射手段は、磁気記録媒体の基板上に付与した光硬化性樹脂を少なくとも含むインプリントレジスト組成物にモールド構造体を押圧して、光照射することにより該インプリントレジスト組成物を硬化させる手段である。
前記光照射手段としては、例えば高圧紫外線ランプ、低圧紫外線ランプ、紫外線LEDなどを用いることができる。照射方法としては、通常の直射に加えて、ファイバー等で導入してもよい。また、パルス照射方式なども使用することができる。
【0039】
本発明の磁気記録媒体の製造装置は、以下の保護層被覆手段を備えていることが好ましい。
<保護層被覆手段及び保護層被覆工程>
前記保護層被覆手段は、磁気記録媒体のサーボ部に対して磁気転写を実施した後に、前記サーボ部上に保護層を被覆する手段である。被覆領域はインプリントレジスト層に形成された凹凸パターンが有る、或いは無い場合においてもサーボ部を意味する。
図10に示すように、サーボ部12bにおけるインプリントレジスト層13に形成されたレジスト凹凸パターンをレジスト層70(他のレジスト層)で被覆して保護する。これにより、データ部磁性層加工に伴うサーボ部の磁性層除去、劣化を防止できる。
前記レジスト層70としては、インプリントレジスト組成物と同じく、ノボラック系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機ガラス樹脂、及び無機ガラス樹脂から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。インプリントレジストに使用した溶媒に対して不溶な素材を用いてもよい。
前記保護層被覆方法としては、例えばピールコート法、マスクを用いた光リソグラフ法、インクジェット法などを用いることができる。
【0040】
本発明の磁気記録媒体の製造方法には、更に必要に応じてその他の工程として、例えばクリーニング工程、磁気記録媒体上にレジストを塗布する工程、インプリント及び磁気転写後にレジスト層を更に硬化させる工程、制御工程、などを備えている。
前記クリーニング工程は、事前に磁気記録媒体をクリーニングする工程であり、クリーニング手段により行われる。前記クリーニング手段としては、例えば磁気ヘッド、テープによる方法などが挙げられる。
前記制御工程は、前記各手段の動きの制御、モールド及び磁気記録媒体の位置決め、圧力印加、硬化機構などを制御する工程であり、制御手段により行われる。前記制御手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0041】
以下、本発明の磁気記録媒体の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法について、図6〜図12を参照して説明する。
【0042】
まず、図6に示すように、基板10の表面(好ましくは両面)に磁性層11と、該磁性層11上にインプリントレジスト層13を形成する。
【0043】
次に、図4及び図5に示す磁気記録媒体の製造装置(インプリント・磁気転写装置)を用い、図7に示すように、磁気記録媒体の磁性層11上に形成されたインプリントレジスト層13にモールド構造体1の複数の凸部3を押し当てて凹凸パターンを形成する。ここでは、系を前記インプリントレジスト液のガラス転移温度(Tg)付近に維持しておき、転写後、インプリントレジスト層13が前記インプリントレジスト液のガラス転移温度よりも低下することにより硬化する。これにより、インプリントレジスト層13に凹凸パターンが形成される。
【0044】
次に、図4及び図5に示す磁気記録媒体の製造装置(インプリント・磁気転写装置)を用い、図8に示すように、モールド構造体1を介して所定の磁界60を印加してサーボ部12b及びデータ部12aにおける磁性層11に磁化61が正方向に配向し、磁化62が負方向に配向するように磁気転写する。インプリント用モールド構造体1は所定の磁界60に曝されることによって、磁束が基板10の表面に直交する方向に流通して、基板10の表面に直交する方向に磁化61、62が確立される。なお、所定の磁界60は、初期化磁界と前記初期化方向とは逆方向の転写磁界とからなる。
ここで、モールド構造体を剥離すると、図9に示すように、インプリントレジスト層13に凹凸パターンが形成され、磁性層11に磁気が記録される。
【0045】
次に、図10に示すように、サーボ部12bにおけるインプリントレジスト層13に形成されたレジスト凹凸パターンをレジスト層70で被覆する。被覆方法としてはピールコート法、マスクを用いた光リソグラフ法、インクジェット法などを用いることができる。
レジスト層70としては、前記インプリントレジスト組成物と同じく、ノボラック系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機ガラス樹脂、無機ガラス樹脂などが挙げられ、インプリントレジストに使用した溶媒に対して不溶な素材を用いてもよい。
【0046】
次に、図11に示すように、サーボ部12bにおけるレジスト層70をマスクにして、ダータ部12aにおけるインプリントレジスト層13に形成されたレジスト凹凸パターン形状に基づく凹凸形状をデータ部12aの磁性層11に形成する。
凸凹形成方法としては、イオンビームエッチング、RIE、ウェットエッチングなどの手法を用いることができる。イオンビームエッチングでのプロセスガスとしてはAr、RIEのエッチャントとしてはCO+NH、塩素ガスなどを用いることができる。
この磁性層パターニング工程におけるエッチングによりデータ部12aの一部磁性層が除去されるため、データ部12aに転写された磁気(磁化61、62)が消失、あるいは減衰する。
【0047】
次に、図12に示すように、磁性層11の凸部11a上のインプリントレジスト層13を除去する。除去方法としてはレジスト可溶な溶媒での浸透法、反応性イオンエッチング法などを用いることができる。浸透法では超音波を印加し、レジスト除去を促進させてもよい。
更に必要に応じて、前記磁性層の凹部11bをSiO、カーボン、アルミナ;ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)等のポリマー;円滑油等の非磁性材料で埋める工程、表面を平坦化する工程、平坦化した表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等で保護膜を形成する工程、最後に潤滑剤を塗布する工程などが挙げられる。
【0048】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法について、図13〜図19を参照して説明する。
【0049】
まず、図13に示すように、基板10の表面(好ましくは両面)に磁性層11を形成し、該磁性層表面のデータ部12aのみにインプリントレジスト層13を形成する。
【0050】
次に、図4及び図5に示す磁気記録媒体の製造装置(インプリント・磁気転写装置)を用い、図14に示すように、磁気記録媒体基体12のデータ部12aのみに形成されたインプリントレジスト層13にモールド構造体1の複数の凸部3(データパターン用凸部3a)を押し当てて凹凸パターンを形成する。
【0051】
次に、図4及び図5に示す磁気記録媒体の製造装置(インプリント・磁気転写装置)を用い、図15に示すように、モールド構造体1を介して所定の磁界60を印加してサーボ部12b及びデータ部12aにおける磁性層11に磁化61が正方向に配向し、磁化62が負方向に配向するように磁気転写する。インプリント用モールド構造体1は所定の磁界60に曝されることによって、磁束が基板10の表面に直交する方向に流通して、基板10の表面に直交する方向に磁化61、62が確立される。なお、所定の磁界60は、初期化磁界と前記初期化方向とは逆方向の転写磁界とからなる。
磁気転写工程において、サーボパターン用凸部3bがサーボ部12bにおける磁性層11に密着した状態で所定の磁界60が印加されているので、サーボ部12bにおける磁性層11に確実に磁気を転写することができる。
ここで、モールド構造体を剥離すると、図16に示すように、インプリントレジスト層13に凹凸パターンが形成され、磁性層11に磁気が記録される。
【0052】
次に、図17に示すように、サーボ部12bにおける磁性層11をレジスト層70で被覆する。被覆方法としては、例えばピールコート法、マスクを用いた光リソグラフ法、インクジェット法などを用いることができる。
レジスト層70としては、前記インプリントレジスト組成物と同じく、ノボラック系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機ガラス樹脂、無機ガラス樹脂などが挙げられ、インプリントレジストに使用した溶媒に対して不溶な素材を用いてもよい。
【0053】
次に、図18に示すように、サーボ部12bの磁性層11を被覆するレジスト層70をマスクにして、データ部12aにおけるインプリントレジスト層13に形成されたレジスト凹凸パターン形状に基づく凹凸形状をデータ部12aの磁性層11に形成する。凸凹形成方法としてはイオンビームエッチング、RIE、ウェットエッチングなどの手法を用いることができる。イオンビームエッチングでのプロセスガスとしてはAr、RIEのエッチャントとしてはCO+NH、塩素ガスなどを用いることができる。
この磁性層パターニング工程におけるエッチングによりデータ部12aの一部磁性層が除去されるため、データ部12aに転写された磁気(磁化61、62)が消失、あるいは減衰する。
【0054】
次に、図19に示すように、磁性層11の凸部11a上のインプリントレジスト層13を除去する。除去方法としてはレジスト可溶な溶媒での浸透法、反応性イオンエッチング法などを用いることができる。浸透法では超音波を印加し、レジスト除去を促進させてもよい。
【0055】
更に必要に応じて、前記磁性層の凹部11bをSiO、カーボン、アルミナ;ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)等のポリマー;円滑油等の非磁性材料で埋める工程、表面を平坦化する工程、平坦化した表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等で保護膜を形成する工程、最後に潤滑剤を塗布する工程などが挙げられる。
【0056】
本発明の磁気記録媒体の製造装置により製造された磁気記録媒体は、図12及び図19に示すように、サーボ部12bにおけるサーボ信号が、正方向に配向した磁化61と負方向に配向した磁化62とで形成されている。また、データ部12aに形成された凹凸パターン磁性層凸部幅の3σ値が15nm以下である。
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造された磁気記録媒体は、ディスクリート型磁気記録媒体及びパターンドメディア型磁気記録媒体の少なくともいずれかであることが好適である。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
<モールドの作製>
−原盤の作製−
8インチSiウェハー上に電子線レジストをスピンコート法により100nm塗布した。回転式電子線露光装置にて所望のパターンを露光、現像することで、凸凹パターン有するレジストSi基材を作製した。凸凹パターン有するレジストSi基材に対して反応性イオンエッチング処理を行い、凸凹レジストをマスクとして用い、Si基材上に凸凹形状を形成した。残存するレジストを可溶溶剤にて洗浄することで除去し、乾燥させて原盤を作製した。
【0059】
使用したパターンはデータ部とサーボ部に大別される。前記データ部は、凸幅:90nm、凹幅:30nm(TP=120nm)のパターンとした。前記サーボ部に関しては、基準信号長が80nmであり、総セクタ数が120であり、プリアンブル部(40bit)/サーボマーク部(6bit)/SectorCode部(8bit)/CylinderCode部(32bit)/バースト部(Burstパターン)で構成されている。また、前記サーボマーク部は“001010”であり、前記SectorCode部はBinaryであり、前記CylinderCode部はGray変換を用いた。前記バースト部は一般的な4バースト(各バーストは16bit)であり、マンチェスター変換を使用した。
【0060】
−メッキ法によるモールド中間体の作製−
前記原盤上にスパッタ法によりNi導電性膜を20nm形成した。導電性膜形成後の原盤をスルファミン酸Ni浴に浸漬し電界メッキにより厚み200μmのNi膜を形成した後、Si原盤よりNi膜を引き剥がし、洗浄を行うことでメッキ法によるモールド中間体を得た。
【0061】
−磁気転写用磁性層形成方法−
前記モールド中間体上に、スパッタリング法にてFeCo30原子%磁性層を厚み100nmに形成し、モールドを作製した。
【0062】
<垂直磁気記録媒体の作製>
2.5インチガラス基材上に以下の手順で垂直磁気記録媒体を作製した。前記作製した垂直磁気記録媒体は、順次形成された、軟磁性層、第1非磁性配向層、第2非磁性配向層、磁気記録層(磁性層)、保護層、潤滑剤層を少なくとも備える。前記軟磁性層、前記第1非磁性配向層、第2非磁性配向層、磁気記録層、保護層についてはスパッタリング法で作製し、潤滑剤層はディップ法で作製した。
軟磁性層材料としてCoZrNbを厚み100nm積層した。ガラス基材をCoZrNbターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.6Paの圧になるように流入し、DC1500Wで成膜した。
第1非磁性配向層としてTiを厚み5nm、第2非磁性配向層としてRuを厚み10nmを形成した。第1非磁性配向層はTiターゲットと対向設置し、Arガスを0.5Paの圧になるように流入し、DC1,000Wで放電し、5nmの厚みになるようにTiシード層を成膜した。第1非磁性配向層形成後にRuターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.5Paの圧になるように流入、DC1,000Wで放電し、10nmの厚みになるように第2非磁性配向層Ruを成膜した。
更に、記録層としてCoCrPtOを厚み15nmに形成した。CoPtCrターゲットと対向させて設置し、Oを0.04%含むArガスを圧力が18Paになるように流入し、DC290Wで放電し記録層を成膜した。磁性層形成後にCターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.5Paの圧になるように流入し、DC1,000Wで放電してC保護層を厚み4nmで成膜した。垂直磁気記録媒体の保磁力は334kA/m(4.2kOe)であった。
【0063】
−ナノインプリント、磁気転写工程、及び磁性層パターニング−
図4及び図5に示す磁気記録媒体の製造装置(インプリント・磁気転写装置)を用いて、前記垂直磁気記録媒体に対しナノインプリント前に前記垂直磁気記録媒体の初期化を実施した。ノボラック系レジスト(マイクロレジスト社製、mr−I7000E)を厚みが100nmとなるように、スピンコート法(3,600rpm)にて塗布した。
前記レジスト塗布済み垂直磁気記録媒体に対して前記モールドを対向するように配置し、前記垂直磁気記録媒体を100℃で加熱した後、3MPaの圧力にて前記モールドと前記垂直磁気記録媒体とを10秒間密着させ、磁界を印加し磁気転写を実施した。磁気転写に用いる磁界強度は4.2kOeであった。磁界の印加を終了した後、前記モールドと前記垂直磁気記録媒体を剥離した。
【0064】
次に、サーボ部12bに対してピールコートでレジスト層(図10におけるレジスト層70)としてのSU−8(マイクロケム社製)を貼り付けた。
【0065】
モールド剥離後の垂直磁気記録媒体に対してORIEにてインプリント部に残存したレジストを除去した。
上記レジスト除去工程後に磁性層の凸凹形状加工を実施した。磁性層の凸凹形状加工としてはArガスを用いたイオンビームエッチング法を用いた。磁性層の凸凹形状加工後、ORIEにて残存レジストを除去した。上記磁性層の凸凹形状加工工程後にディップ法により、PFPE潤滑剤を2nmの厚みに塗布した。以上により、磁気記録媒体を作製した。
【0066】
(実施例2)
【0067】
実施例1と同様にして作製したモールド、垂直磁気記録媒体を用いて、以下のようにして、ナノインプリント、磁気転写工程、及び磁性層パターニングを行った。
【0068】
−ナノインプリント、磁気転写工程、及び磁性層パターニング−
図4及び図5に示す磁気記録媒体の製造装置(インプリント・磁気転写装置)を用いて、前記垂直磁気記録媒体に対してナノインプリント前に前記垂直磁気記録媒体の初期化を実施した。ノボラック系レジスト(マイクロレジスト社製、mr−I7000E)を厚みが100nmとなるように、スピンコート法(3,600rpm)にて塗布した。塗布されたノボラック系レジスト上にエポキシ系レジスト(化薬マイクロケム社製、SU−8−2)を10nmとなるように、スピンコート法(3,600rpm)にて作製した。
サーボ信号のセクタに対応した位置に、Cr膜を具備するマスクを用意(データ領域では除去)し、前記レジスト塗布済み記録媒体を紫外線で露光後、現像した。前記エポキシ系レジストは、ネガ型であるため、サーボフレーム以外(露光部分)にレジストが残存する。サーボフレーム以外にレジストが残存した状態で、アセトンに20秒間浸すことで、サーボ部に残存するノボラック系レジスト(マイクロケム社製、SU−8−2)を除去した。
前記レジスト塗布済み垂直磁気記録媒体に対して前記モールドを対向するように配置し、前記垂直磁気記録媒体を110℃で加熱した後、1.5MPaの圧力にて前記モールドと前記垂直磁気記録媒体とを30秒間密着させ、磁界を印加し磁気転写を実施した。磁気転写に用いる磁界強度は4.6kOeであった。磁界の印加を終了した後、前記モールドと前記垂直磁気記録媒体を剥離した。
【0069】
次に、サーボ部12bに対してピールコートでレジスト層(図17におけるレジスト層70)としてのSU−8(マイクロケム社製)を貼り付けた。
【0070】
モールド剥離後の垂直磁気記録媒体に対してORIEにてインプリント部に残存したレジストを除去した。
上記レジスト除去工程後に磁性層の凸凹形状加工を実施した。磁性層の凸凹形状加工としてはArガスを用いたイオンビームエッチング法を用いた。磁性層の凸凹形状加工後、ORIEにて残存レジストを除去した。上記磁性層の凸凹形状加工工程後にディップ法により、PFPE潤滑剤を2nmの厚みに塗布した。以上により、磁気記録媒体を作製した。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の磁気記録媒体の製造装置は、インプリント兼磁界印加手段により磁気記録媒体のサーボ信号の記録は磁気転写法で行い、データ部の凹凸パターンはナノインプリント法で効率よく作製でき、サーボ部信号品位が良好である磁気記録媒体を安定かつ効率よく製造することができるので、高性能な次世代の磁気記録媒体の製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明で用いるモールド構造体の一例を示す部分斜視図である。
【図2】図2は、モールド構造体の製造方法における原盤の作製を示す工程図である。
【図3】図3は、モールド構造体の製造方法におけるモールドの作製を示す工程図である。
【図4】図4は、本発明の磁気記録媒体の製造装置の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の磁気記録媒体の製造装置における押圧手段の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図19】図19は、本発明の磁気記録媒体の製造装置を用いた磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図20】図20は、従来の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図21】図21は、従来の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図22】図22は、従来の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図23】図23は、従来の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【図24】図24は、従来の磁気記録媒体の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 モールド構造体
2 基板
2a 表面
3 凸部
3a データパターン用凸部
3b サーボパターン用凸部
10 基板
11 磁性層
12 磁気記録媒体基体
12a データ部
12b サーボ部
13 インプリントレジスト層
13a レジスト残渣
50 Si基板
51 フォトレジスト層
52 原盤
53 被加工基板
54 インプリントレジスト層
60 磁界
61 磁化
62 磁化
70 レジスト層
100 データ部に対応する領域
101 凸部
102 サーボ部に対応する領域
103 磁性層
104 凸部
110 金型
111 レジスト
120 磁気記録媒体
121 レジスト残渣
122 データ部
123 サーボ部
130 金属膜
210 磁気記録媒体の製造装置
220 押圧手段
221 バルブ
222 バルブ
223 真空ポンプ
230 インプリント兼磁界印加手段
230A 磁石
232 コア
250 ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の基板と、該基板の表面に、該表面を基準として磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応する複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるモールド構造体と、
磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に前記モールド構造体を押圧して該モールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンを転写すると共に、該モールド構造体を介して磁界を印加して前記サーボ部に磁気転写するインプリント兼磁界印加手段と、を少なくとも有することを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
【請求項2】
サーボ部及びデータ部に対してモールド構造体を介して磁界を印加する請求項1に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項3】
サーボ部及びデータ部に対してモールド構造体を介して磁界を磁気記録媒体の表面に対して垂直方向に印加する請求項2に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項4】
磁気記録媒体のデータ部のみにインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層を形成するデータ部レジスト層形成手段を有する請求項1から3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項5】
磁気記録媒体のサーボ部に対して磁気転写を実施した後に、前記サーボ部上に保護層を被覆する保護層被覆手段を有する請求項1から4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項6】
磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層を加熱する加熱手段と、
前記加熱したインプリントレジスト層にモールド構造体を押圧した後、該インプリントレジスト層を冷却する冷却手段とを、少なくとも有する請求項1から5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項7】
加熱手段が、インプリントレジスト組成物に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱する請求項6に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項8】
磁気記録媒体の磁性層上に付与したインプリントレジスト組成物にモールド構造体を押圧して、光照射することにより該インプリントレジスト組成物を硬化させる光照射手段を、少なくとも有する請求項1から5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項9】
インプリントレジスト組成物が光硬化性樹脂を少なくとも含有する請求項8に記載の磁気記録媒体の製造装置。
【請求項10】
円板状の基板と、該基板の表面に、該表面を基準として磁気記録媒体のサーボ部及びデータ部に対応する複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有してなるモールド構造体を用い、
磁気記録媒体の磁性層上のインプリントレジスト組成物からなるインプリントレジスト層に前記モールド構造体を押圧して該モールド構造体の凹凸部に基づく凹凸パターンを転写すると共に、該モールド構造体を介して磁界を印加して前記サーボ部に磁気転写するインプリント兼磁界印加工程を少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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