磁石反転装置、磁石反転装置の磁着装置および該磁石反転装置を利用した不規則作動装置
【課題】永久磁石の吸引、反発という単純な動作に、人為的に制御できない意外性、偶然性の要素を加えて面白味を増大させた玩具、占い器具、ギフト商品や土産物、景品、卓上置物あるいは退屈しのぎ品、さらには、例えば各種の心理学実験用の教材機器など広範な用途をもつ磁石反転装置、並びに不規則作動装置を提供する。
【解決手段】本発明のケース相互吸着・離反装置の磁石反転装置1は、非磁性ケース1の内部に、磁石6が反転遊動し得る大きさの大空洞部3と磁石6が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部4とから成る空洞部を形成し、この大空洞部3と小空洞部4とを漏斗状のテーパ通路5で連通し、この空洞部に磁石6を収容し、大空洞部3の上端を蓋閉したものである。
【解決手段】本発明のケース相互吸着・離反装置の磁石反転装置1は、非磁性ケース1の内部に、磁石6が反転遊動し得る大きさの大空洞部3と磁石6が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部4とから成る空洞部を形成し、この大空洞部3と小空洞部4とを漏斗状のテーパ通路5で連通し、この空洞部に磁石6を収容し、大空洞部3の上端を蓋閉したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース相互吸着・離反装置等に用いられる磁石反転装置、磁石反転装置の磁石の状態に応じて磁石の姿勢が変化する磁石反転装置の磁着装置および磁石反転装置を利用した不規則作動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁石の磁気吸引、反発を利用した玩具や卓上置物、可動の装飾品や室内、屋外装置品は従来から知られている。特許文献1には発光可能な複数個のブロック体を、該ブロック体に内蔵された磁石の吸引力を利用して積み上げたり、所望の姿勢に連結したりできるようにし、また簡単に分離して別の連結状態にして遊ぶブロック玩具が開示されている。
【0003】
また特許文献2では2つの物体の一方に磁石のN極やS極を形成し、他方に前記一方の物体の磁石と磁気的に反応する磁極を形成し、相互間の吸引、反発を利用して前記物体の一方を可動的に保持することで空間に浮き上がらせるようにした装飾、案内、表示などの機能をもつ装置品としたり、あるいはトランプの各カードに目視不可能にS極やN極を形成し、カード同士の重ね合せでカード間に吸着、離反を行わせて神経衰弱などのゲームに利用できるようにした磁石利用製品が開示されている。そのほか、特許文献3のように、中空の六角柱の内壁6面に板状の磁石を貼着して前記六角柱を種々の形に繋ぎ合せたり、積み上げたりできるようにした六角連鎖ブロックも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−253496号公報
【特許文献2】特開2007−185450号公報
【特許文献3】実開平6−36694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した磁石を内蔵した玩具、置物あるいは室内・屋外設置装備品はいずれも磁石の磁力による吸引、吸着あるいは反発を利用したものであり、その動作自体は比較的単純であって、どのような動作を行うかは、永久磁石の場合、容易に予想がつく。動作の形態に意外性は少なく、また2物体同士を吸引、反発させる場合にも、吸引となるか反発となるかの偶然性がなく、その点での面白味はなく、飽きがきやすい。
【0006】
玩具として構成した場合、どのような動作となるかの予想が立たず、そのときの偶然性に委ねるしか対処できないというような動作を生起できるならば、面白味が増し、また、その偶然性を利用した種々の用途が生み出される。
【0007】
本発明は永久磁石の吸引、反発という単純な動作に、人為的に制御できない意外性、偶然性の要素を加えて面白味を増大させた玩具、占い器具、ギフト商品や土産物、景品、卓上置物あるいは退屈しのぎ品、さらには、例えば各種の心理学実験用の教材機器など広範な用途をもつケース相互吸着・離反装置の磁石反転装置を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、2つのケースを組み合せて一方のケースの状態に応じて他方のケース内の磁石の向きや姿勢が変化するようにした磁石反転装置構造体を提供することにある。
【0009】
本発明はまた、検出器に接続される作動部に予測できない不規則な作動を行わせることができ、玩具や占い機器、余興用の機器その他の注意喚起装置として利用できる不規則作動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の形態によれば、前記大空洞部と前記小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通される。
【0012】
本発明のさらに他の形態によれば、前記磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成される。
【0013】
本発明のさらに他の形態によれば、前記非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置される。
【0014】
本発明のさらに他の形態によれば、前記非磁性ケースは、内部の磁石が視認不可能な不透明体ケース体に形成され、かつ前記大空洞部が前記小空洞部より上方に位置するようにケース体外面に上下を認識または推認させる表示がなされる。
【0015】
本発明によれば、請求項1乃至請求項5記載の磁石反転装置に対して磁着される磁石反転装置の磁着装置であって、非磁性のケース体内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部を形成し、前記磁石が自由に反転遊動し得るように前記大空洞部収容される磁石反転装置の磁着装置が提供される。
【0016】
本発明のさらに他の形態によれば、前記磁着装置の非磁性ケースは透明ケース体で形成し、前記透明ケース体に収容された磁石は磁極の向きあるいは姿勢向きを視認できるような標識が施されている。
【0017】
本発明によれば、非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置と、前記磁石反転装置の前記大空洞部が回転中心側に向くように該ケースを保持して水平軸線のまわりに回転するケース保持部材と、前記ケース保持部材の回転中心の下側へ回転してきた前記ケースの小空洞部に対峙するように配置され、かつ、前記磁石のN極またはS極に対応した信号を出力する検出器と、前記検出器の出力信号によって該信号に対応した作動を行う作動部材と、を有する不規則作動装置が提供される。
【0018】
本発明のさらに他の形態によれば、前記大空洞部と前記小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通した。
【0019】
本発明のさらに他の形態によれば、前記磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成される。
【0020】
本発明のさらに他の形態によれば、前記非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置される。
【0021】
本発明のさらに他の形態によれば、前記作動部は、前記検出器の出力信号に対応した2種類の標識表示を行う表示装置である。
【0022】
本発明のさらに他の形態によれば、前記作動部は、前記検出器の信号出力に対応した2種類の動作を行う可動装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、例えば、磁石反転装置を手に持って振り動かした後、上部を上にして垂直に立てることで、内部の磁石の磁極の向きが偶然的に(非人為的に)に定まり、磁石反転装置の複数のケースを近づけると、ケース同士が吸着するか離れるかのいずれかになる。どちらになるかは偶然的であり、使用者の意思では変えられない。
【0024】
また、本形態の本発明によれば、磁石反転装置と磁石反転装置の磁着装置を接触させると、偶然的に定まる一方のケースの状態に応じて他方のケースの磁石の向きや姿勢が定まり、人為的に変えられない。この性質を利用して、遊びや占い機器、マスコット用品、ギフト商品、余興用の不思議商品などを得ることができる。
【0025】
また、本発明によれば、作動部となる表示装置や可動装置が予め予測できない不規則な作動を行うため、面白い遊びや占い機器あるいは玩具として利用でき、また、人の注意を惹く標識や表示装置として避難口あるいは屋外の注意喚起箇所に設置して有用な不規則作動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1による磁石反転装置の側面図である。
【図2】本発明に適用される磁石の各種の例を示した拡大斜視図である。
【図3】図1に示す磁石反転装置を振り動かしているときの状態および磁石がケース内で落下して磁極の向きが定まったときの状態を示す図である。
【図4】図1に示す磁石反転装置の使用例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2による磁石反転装置の正面図および側面図である。
【図6】本発明に係る磁石反転装置構造体の1つの形態を示す側面図である。
【図7】図6に示す磁石反転装置構造体の動作状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る不規則作動装置の正面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図8に示す実施形態のケース保持部材の動作状態を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る不規則作動装置の部分的な拡大側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の各種の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0028】
図1を参照すれば、磁石反転装置1のケース本体2は横断面が正方形の外形を成す中空の角柱で形成され、その外径寸法は例えば側部の幅が10mm,長さが45〜55mmとなっている。材質としては非磁性樹脂材、例えば透明なアクリル樹脂などで形成される。なお、後述するようにケース本体2は内部が見れないように不透明に形成してもよい。ケース本体2は上端が開口し、下端が閉鎖されており、その開口した上端から長さ方向略中央位置まで大径の大空洞部3が形成され、この大空洞部3の下方に小径の小空洞部4が形成されている。この例では大空洞部3の内径は9mm、長さ(深さ)は概ね15〜20mmであり、小空洞部4の内径は5mm、長さは概ね15〜20mmとなっている。大空洞部3の下端と小空洞部4の上端は図示のような漏斗状のテーパ通路5で滑らかに連通されている。ケース本体2には後述する円柱形磁石6が収納され、さらに蓋体7でケース本体2の上端が蓋閉され、これによって大空洞部3、テーパ通路5および小空洞部4がケース本体2内に閉塞された空洞部を構成している。
【0029】
ケース本体2内に収納される円柱形磁石6は、内部の空洞部、特に小空洞部4の寸法形態に対応した小磁石のものが選定される。図2(A)〜(C)は本発明に用いられる小磁石を例示したものであるが、実施例1のように小空洞部4の形態が円筒空洞部の場合は図2(A)のような円柱形磁石6が適している。
【0030】
円柱形磁石6は軸方向に着磁され、これによって円柱形磁石6の軸端がN極、あるいはS極となっている。円柱形磁石6はその軸方向がケース本体2の小空洞部4の軸線に沿うように縦形の姿勢でゆるく入り込むようになっている。この円柱形磁石6は小空洞部4にできるだけスムーズに入り込むようになっているが、小空洞部4に入り込んだ状態では、円柱形磁石6は横方向に倒れたり、斜め方向に大きく傾斜したりする状態にならないように小空洞部4と円柱形磁石6の寸法関係が定められる。一例を挙げると、上述した小空洞部4のサイズに対して円柱形磁石6は外径が4mmで長さが6mm程度のNdマグネットが選定される。なお、大空洞部3内では、後述するように円柱形磁石6は磁極の向きが任意の向きをとり得るように遊動可能である。
【0031】
円柱形磁石6は開蓋したケース本体2の上部から大空洞部3内へ投入された後、ケース本体2が閉蓋される。この状態でケース本体2を手に持って上下、左右、あるいは上下逆さにするなどして振り動かすと、円柱形磁石6は大空洞部3内で自由に動きまわる。図3は、このときの状態を示したものである。まず、円柱形磁石6を入れたケース1を大空洞部3を上側にして立てると、同図(A)のように円柱形磁石6は大空洞部3からテーパ通路5を通って小空洞部4に入る。そして同図(B),(C)のようにケース1を逆さにしたり、同図(D)のように上下、左右に振ったりして遊動させた後、再び大空洞部3を上側にして鉛直に立てると、重力によって円柱形磁石6は下方の小空洞部4に入り込む(同図(E))。このときの円柱形磁石6の磁極N,Sの向きは予想ができず、偶然にN極が上側になっていたり、下側になっていたりする。
【0032】
上述のような操作で磁石反転装置1に収納した円柱形磁石6の磁極の向きが小空洞部内で定まった状態で、2つの磁石反転装置1を蓋体7側を上にして立ち姿勢にし、ケース本体2の側面2a同士を接近させる。このとき、もし図4(A)のように一方のケース1内の磁石6が例えばN極が上になっており、他方のケース1ではN極が下側になっていたとすると、両磁石6の磁気的吸引力により、両ケース1は引き寄せられ、吸着して側面同士が接合した状態となる。これとは逆の場合、つまり両方のケース1の円柱形磁石6が小空洞部内で上下同じ磁極向きになっていると、図4(B)に例示するように両磁石6の磁気的反発力により、両ケース1は離反して両ケースの接合がなされない。ここで図4の(A)の状態となるか(B)の状態となるかは、人為的に決めることができず、円柱形磁石6が大空洞部3から小空洞部4へ自重で落下したときの状態で決まり、偶然性に支配される。
【0033】
両ケースを接近させる形態としては、2つのケース1を手に持って空中で近づけてもよいし、あるいは両ケース1を上面の滑らかなテーブル上に蓋体7側を上にして立位姿勢に載置し、一方のケース1に対し他方のケース1を近づけるようにしてもよい。図4(A)のような場合は両方のケース1が引き寄せられて側部同士吸着、接合し、図4(B)のような場合は一方のケース1を近づけるしたがって他方のケース1が離れるように逃げていく。
【0034】
2つの磁石反転装置1の吸着、離反の偶然性をより面白くするために、例えばケース1の正面あるいは蓋体7の正面や上面に男女の顔を表示しておき、現実の男女2人が相性が良いかどうかの遊びや占いとして用いることができる。多くのケースにそれぞれ異なる動物の絵を描いておき、どの動物同士が相性がよいか、という遊びも可能である。上記の例は一例であり、そのほかにも吸着、離反の偶然性を利用した多くの利用が可能である。例えば、余興の場で2物体がくっつくか離れるかの判じ物として用いたり、一般事案の決定に迷った場合の、決定手段や縁起物としても利用できる。
【0035】
そのほか、有名なキャラクタを蓋体7などに表示してマスコットとして所持したり、各種のギフト商品、贈り物、土産物、卓上の置物、あるいはキーホルダ、携帯電話機のストラップ付属品などに使用してもよい。また、心理学の分野での実験で、被検者の予想の当否の結果による当人の行動の心理的影響を調べるための実験用具や教材などにも用い得る。
【実施例2】
【0036】
ケース1の内部に円柱形磁石6が収納されていることが分らないようにするために、実施例2ではケース本体2および蓋体7を不透明材で形成するか、外面を着色して内部構造が透けて見えないようにする。これによって第三者はどのような作用で両ケースが吸着の状態になったり、離反形態となるのか分らず、不思議さが残り、より興味をそそる物品となる。この場合、ケース本体2の側部あるいは蓋体7に上下を示す何らかの表示、例えば矢印と組み合せた文字表示、人間や動物のキャラクタの立ち姿や顔の表示など、上下を推認させ得る表示を施すのがよい。
【実施例3】
【0037】
実施例1ではケース本体2の小空洞部4をケース横断面でみて円形の穴で形成したが、横断面が角形の小空洞部としてもよい。この場合に、収納される磁石は図2(A)のような円柱形磁石6であってもよいが、図2(B)に示すような角柱形の磁石8とすることができる。角柱形の磁石8も磁極が軸方向両端に生じるように軸方向に着磁される。また、円柱形、角柱形いずれの場合も、磁石がテーパー通路部分で引っ掛かることなく、スムーズに小空洞部へ落下するようにするとともに、小空洞部4内で横転して横倒れあるいは斜め向きの姿勢にならないような幅寸法の空間部とする必要がある。大空洞部3も円形だけでなく、角形の空間部としてもよいことは勿論である。
【実施例4】
【0038】
実施例4は図2(C)に示すような幅厚が直径より小さい円盤形の磁石9とした例である。この場合は磁石9は円盤の軸線方向に着磁され、その一方の端面にN極が、他方の端面にS極が生じるようにする。図5は円盤形磁石9を用いた場合の磁石反転装置1を示した図であり、同図の(A)はケースの正面図、(B)はケースの側面図、(C)は図5(A)のV−V線に沿った横断面図である。ケース本体2の大空洞部3は円盤形磁石9が反転も含めて自由に遊動できる大きさに形成されるが、実施例4の長方形小空洞部10はケース本体2の両側面2aに向って長く、ケース本体2の正面2bおよび背面に直交する方向に短くなった横断面長方形の小空洞部となっている。円盤形磁石9はその端面が長方形の小空洞部10の長辺部分に対峙する形態で小空洞部10に入り込む。なお、この長方形小空洞部10に入った状態では、磁石9が水平ないし斜めに倒れたりしないように小空洞部10の大きさが規定されることは実施例3と同様である。
【0039】
円盤形磁石9による実施例4では、2つの磁石反転装置1を正面同士向き合せて離隔状態に対峙させる。この状態で両ケースを互いに近づけたとき、両ケースに入っている円盤形磁石9の磁極の向きによって両ケースが正面同士吸着する状態、あるいは離反する状態となる。その吸着、離反のいずれになるかは円盤形磁石9が自重で小空洞部に入ったときの状態で決まり、人為的に決められない。
【0040】
実施例4で円盤形磁石9の各部寸法を例示すれば、直径が6mm、厚みが2mmの偏平形に形成される。また、円盤形磁石9の入るケース本体2の長方形小空洞部10の寸法は、一例として、ケース横断面で長辺壁の横長さが7mm、短辺壁が3mm程度である。この実施例4では円盤形磁石9は面積の広い端面で吸引、反発が生じるので、より強い吸着、離反動作が可能となる。
【実施例5】
【0041】
次に、前述した(5)、(6)の形態に係る本発明の磁石反転装置と該磁石反転装置の磁着装置からなる磁石反転ケース構造体の実施例について説明する。図6を参照すれば、本発明に係る磁石反転装置構造体20は、磁石反転装置としての非磁性材の不透明密閉ケース11と磁石反転装置の磁着装置としての非磁性材の内部が透けて見える透明ケース12とで構成され、両ケース11,12にはそれぞれ例えば図2(A)〜(C)に例示したような磁石6,13が収容されている。この実施例では不透明密閉ケース11は図1に示したような内部構造をもつケースが用いられ、かつ外側からは内部が目視できないように不透明なケースとなっている。なお、図6(A)の不透明密閉ケース11に付した平行斜線はケース11の不透明性を表わすために付したものである。この場合、蓋体7を含めたケース全体が不透明材で形成されるか、あるいはケース外面に着色が施され、これによって不透明性が確保される。図6(B)は透明ケース12の正面図、同図(C)は図6(B)のF−F線横断面図である。
【0042】
図1に関連して説明したように、不透明密閉ケース11は、内蔵された円柱形磁石6が自由に遊動できる大きさの大空洞部3と、円柱形磁石6が反転できない状態で入り込む小空洞部4と、大空洞部3と小空洞部4を連通する漏斗状のテーパ通路5とが形成され、ケース内に円柱形磁石6が収容された後、ケース11の上端、即ち大空洞部3の開口部が蓋体7によって閉鎖される。
【0043】
不透明密閉ケース11を上下、左右に振り動かしたり、あるいは逆さにするなどした後、小空洞部4が下側になるように立てると、内部の磁石6は自重で小空洞部4に入り込む。このときの円柱形磁石6の磁極の向きは任意的、つまり非人為的に定まる。図6(A)の例では上側がN極となっている。なお、不透明密閉ケース11は外面からは大,小空洞部3,4の上下向きや円柱形磁石6は目視できないが、蓋体7のある方がケース11の上側であり、場合により、不透明ケース11の外面には上下の向きを示す何らかの表示が施されてもよい。
【0044】
図6(B),(C)に示す透明ケース12はこの実施例では不透明密閉ケース11と概ね同じ外形の大きさを有し、その内部は該ケース12に収容された磁石13が自由に転動、反転できる大きさの空洞部15が形成されている。この実施例では透明ケース12の上端は脱着可能な蓋体16で閉鎖され、また、透明ケース12の下面12bと空洞部15の底面15bとの距離Lは、不透明密閉ケース11の下面11bと小空洞部4の底面4bとの距離にほぼ等しくなっている。
【0045】
透明ケース12に収容される磁石13は、この実施例では不透明密閉ケース11の円柱形磁石6とほぼ同形となっている。透明ケース12の磁石13は、その姿勢の向きが判別できるように何らかの表示がなされている。例えば、磁極の方向に色分けの表示がなされたり、人や動物のキャラクタの図形表示などが施されている。これによって磁石13が横置状態か、正常な向きの立ち状態か、逆さ向きとなっているかの様子が透明ケース12の外部から視認できる。透明ケース12に収容された磁石13は、立位状態の透明ケース12内で任意の姿勢で空洞部15の底面15bに収まる。
【0046】
このような状態で不透明密閉ケース11と透明ケース12を同じ卓上に立位姿勢で、かつ両ケース11,12を幾らか離して載置する。そして透明ケース12を不透明密閉ケース11に近づけていき、図7のように両ケース11,12の側部11a,12a同士を密着させる。このとき、透明ケース12内の磁石13は不透明密閉ケース11の円柱形磁石6に対する磁気的吸引力と反発力により、両磁石13,6の異極同士が引きつけ合い、その結果、透明ケース12内の磁石13は空洞部15内で不透明密閉ケース11側へ移動し、最終的には不透明密閉ケース11内の円柱形磁石6の磁極の向きと反対の向きで同じ姿勢(立位姿勢)をとるようになる。
【0047】
不透明密閉ケース11を上下、左右、あるいは逆向きに振り動かして小空洞部4内の円柱形磁石6の磁極向きが変わると、これに応じて透明ケース12内の磁石13の磁極向きも変わる。前述のように透明ケース12内の磁石13は磁極の向きや姿勢に対応した色分け、その他の標識が付されているので、この磁石13の向きや姿勢の変化がケース外部から目視できる。不透明密閉ケース11内の円柱形磁石6の磁極向きは偶然的であるため、透明ケース内の磁石13の向きや姿勢がどのようになるかも偶然的であり、人為的に定めることができず、玩具、占い器具、マスコット品、ギフト商品、余興用物品など、面白味のある種々の製品が提供できる。
【実施例6】
【0048】
次に、本発明の実施例6に係る不規作動装置を図8〜図10を参照して説明する。この不規則作動装置は実施例1で説明したような磁石反転装置1を有し、このケース内に図2に例示したような磁石が収容されている。なお、実施例6では図2の(A)または(B)に示した円柱形磁石6または角形磁石8が用いられている。磁石反転装置1は、中心21を通る水平軸線(図面に対して垂直な軸線26、図9)のまわりに回転する円盤状のケース保持部材22に保持されている。磁石反転装置1はケース保持部材22の半径方向に沿って、かつ大空洞部3が回転中心側に向くように保持され、したがって小空洞部4の底部はケース保持部材22の外周近くに位置している。なお、図1でも説明したように、磁石反転装置1の内部は密閉され、かつ大空洞部3と、小空洞部4と、その間を連通するテーパ通路とが形成されている。尚、ケースは、必ずしもケース保持部材により保持されなくともよく、回転盤にケースを組み込んでもよいし、回転盤に形成される空洞部をケースとして利用してもよく、磁石反転装置1が取り付けられる機械や装置の構造に応じて形成すればよい。
【0049】
ケース保持部材22の中心21を通る縦軸線C上で該ケース保持部材22の下側に近接して、磁電変換素子を有する検出器(ホールセンサー)23が配置され、これによってケース保持部材22が回転して磁石反転装置1の小空洞部4が前記縦軸線C上の下側に位置したとき、検出器23は小空洞部4内の円柱形磁石6に対峙する。
この検出器23は、対峙した磁石6の磁極の極性(N極、S極)に対応した信号を出力する特性を有している。例えば、検出器23の検出端が円柱形磁石6のN極に対峙したときはN極に対応したA信号を出力し、S極に対峙したときはS極に対応した別の(A信号とは異なる)B信号を出力するようになっている。
【0050】
検出器23の出力信号は作動部25に入力される。本発明に係る作動部25は、検出器23の出力信号に対応した作動を行うように構成されている。実施例6では作動部25として2種類の標識表示を行う表示装置として構成されている。1例を挙げると、この表示装置は検出器23からA信号を受けると、例えば赤色の表示を行い、検出器23からB信号を受けると、例えば青色の表示を行うといった2つの区別し得る表示を行うようになっている。
【0051】
また、他の例として、作動部25は2種類の異なる動作を行う可動装置で構成される。一例を示すと、可動装置は玩具の自動車であり、検出器23のA信号で前進し、B信号で後進するなどの動作を行う。その他、人形玩具として構成してもよく、検出器23の前記A信号で立ち上がり動作を行い、B信号で座り込むといった2種類の動作を検出器23の出力信号に対応して行うように構成されている。その他、小鳥の玩具で例えば鳴いたり、鳴き止んだりという動作を行わせることもできる。
【0052】
図10を参照して実施例6の磁石反転装置1の動作を説明する。まず、例えば図10(A)の磁石反転装置1がケース回転中心21の直下に位置する状態から、同図(B),(C)のようにケース保持部材22が回転し磁石反転装置1の大空洞部3が小空洞部4よりも下側(下向き)になるにつれて、ケース内の円柱形磁石6は小空洞部4から抜き出して大空洞部3に自重で落ち込み、ここで円柱形磁石6が任意向きに遊動し、さらにケース保持部材22が同方向に回転していき(同図(D))、図10(E)に示すように磁石反転装置1が回転中心21の直下にくると、大空洞部3内の円柱形磁石6は再び小空洞部4に入り込む。このときの磁石6の磁極の向きは、円柱形磁石6が大空洞部3内で遊動しているときの状態に依存し、小空洞部4内でN極またはS極が下側になるかどうかは不規則であって人為的に決められない。
【0053】
磁石反転装置1の小空洞部4が回転中心21の直下にきたときは、小空洞部4内の磁石6は検出器23に向き合っており、例えば偶然にN極が検出器23に対峙した状態では、前述したように検出器23はN極に対応した信号Aを作動部25へ出力し、また例えば偶然にS極が検出器23に対峙したときには、検出器23はS極に対応した信号Bを作動部25へ出力する。どちらの信号になるかは不規則であり、作動部25はその信号(A信号またはB信号)に応じた作動を行う。このようにして作動部25は、予め決められない不規則な作動、例えば前述した如く、どのような標識になるか分らない表示をケース保持部材22の回転継続に伴なって、その1回転ごとに反復して行うことになり、見る者にとって面白味のある装置となる。例えば作動部25を動物玩具や人形とすれば、どちらになるか分らない2つの動作を繰り返し行うことになり、不思議さの増す玩具となる。
【0054】
このような不規則作動を行う本発明の装置は、玩具にのみ用いられるものではなく、例えば建物内の避難口の表示部に使用すれば、より注意を惹く表示となり、また、どのような表示となるかの判じ物、占い器具、宴会などの余興用装置など種々の用途に応用できる。
【0055】
ケース保持部材22の回転は手動、あるいは電動、簡単な風車を用いた風力など自動で行うことが可能である。手動の場合は、例えば図9に示すように、ケース保持部材22の中心を回転自在に軸支する軸27を一方の手で把持してケース保持部材22を他方の手で回転させたり、自動の場合はケース保持部材22の中心軸27に小形の電動機(図示省略)を連結して回転駆動することができる。
【実施例7】
【0056】
磁石反転装置1内に収容する磁石の形態として、図2(C)に示すような円盤形磁石9を用い、図5のようなケース構造としてもよい。図11はこの場合の実施例7を示す不規則作動装置の部分的な拡大側面図である。図11において、ケース保持部材22は、回転中心を通る水平軸線26のまわりに回転し、検出器23は最下位置における小空洞部4内の円盤形磁石9の端面9aに対峙するような位置に配置される。小空洞部4内の磁石の磁極は円盤形磁石9の軸線方向両端面に生じ、検出器23に対峙する磁石端面9aの磁極がN極となるかS極となるかは不規則であり、これに応じて検出器23からN極対応信号あるいはS極対応信号が作動部25へ出力されることは実施例6と同様である。
【0057】
なお、上述の実施例6,7では、ケース保持部材は円盤形としたが、本発明は必ずしも円盤形に限るものではなく、矩形板その他の形状としてもよいことは勿論である。ケース保持部材の回転向きも正逆回転いずれの方向でもよい。回転速度も検出器による磁極検出が可能な範囲で任意に選定されてよい。
【符号の説明】
【0058】
1 磁石反転装置
2 ケース本体
3 大空洞部
4 小空洞部
5 テーパー通路
6 円柱形磁石
7 蓋体
8 角形磁石
9 円盤形磁石
10 長方形小空洞部
11 不透明密閉ケース
12 透明ケース
13 透明ケース内の磁石
15 透明ケースの空洞部
16 蓋体
20 磁石反転装置構造体
21 回転中心
22 ケース保持部材
23 検出器
25 作動部
26 水平軸線
27 軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース相互吸着・離反装置等に用いられる磁石反転装置、磁石反転装置の磁石の状態に応じて磁石の姿勢が変化する磁石反転装置の磁着装置および磁石反転装置を利用した不規則作動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁石の磁気吸引、反発を利用した玩具や卓上置物、可動の装飾品や室内、屋外装置品は従来から知られている。特許文献1には発光可能な複数個のブロック体を、該ブロック体に内蔵された磁石の吸引力を利用して積み上げたり、所望の姿勢に連結したりできるようにし、また簡単に分離して別の連結状態にして遊ぶブロック玩具が開示されている。
【0003】
また特許文献2では2つの物体の一方に磁石のN極やS極を形成し、他方に前記一方の物体の磁石と磁気的に反応する磁極を形成し、相互間の吸引、反発を利用して前記物体の一方を可動的に保持することで空間に浮き上がらせるようにした装飾、案内、表示などの機能をもつ装置品としたり、あるいはトランプの各カードに目視不可能にS極やN極を形成し、カード同士の重ね合せでカード間に吸着、離反を行わせて神経衰弱などのゲームに利用できるようにした磁石利用製品が開示されている。そのほか、特許文献3のように、中空の六角柱の内壁6面に板状の磁石を貼着して前記六角柱を種々の形に繋ぎ合せたり、積み上げたりできるようにした六角連鎖ブロックも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−253496号公報
【特許文献2】特開2007−185450号公報
【特許文献3】実開平6−36694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した磁石を内蔵した玩具、置物あるいは室内・屋外設置装備品はいずれも磁石の磁力による吸引、吸着あるいは反発を利用したものであり、その動作自体は比較的単純であって、どのような動作を行うかは、永久磁石の場合、容易に予想がつく。動作の形態に意外性は少なく、また2物体同士を吸引、反発させる場合にも、吸引となるか反発となるかの偶然性がなく、その点での面白味はなく、飽きがきやすい。
【0006】
玩具として構成した場合、どのような動作となるかの予想が立たず、そのときの偶然性に委ねるしか対処できないというような動作を生起できるならば、面白味が増し、また、その偶然性を利用した種々の用途が生み出される。
【0007】
本発明は永久磁石の吸引、反発という単純な動作に、人為的に制御できない意外性、偶然性の要素を加えて面白味を増大させた玩具、占い器具、ギフト商品や土産物、景品、卓上置物あるいは退屈しのぎ品、さらには、例えば各種の心理学実験用の教材機器など広範な用途をもつケース相互吸着・離反装置の磁石反転装置を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、2つのケースを組み合せて一方のケースの状態に応じて他方のケース内の磁石の向きや姿勢が変化するようにした磁石反転装置構造体を提供することにある。
【0009】
本発明はまた、検出器に接続される作動部に予測できない不規則な作動を行わせることができ、玩具や占い機器、余興用の機器その他の注意喚起装置として利用できる不規則作動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の形態によれば、前記大空洞部と前記小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通される。
【0012】
本発明のさらに他の形態によれば、前記磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成される。
【0013】
本発明のさらに他の形態によれば、前記非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置される。
【0014】
本発明のさらに他の形態によれば、前記非磁性ケースは、内部の磁石が視認不可能な不透明体ケース体に形成され、かつ前記大空洞部が前記小空洞部より上方に位置するようにケース体外面に上下を認識または推認させる表示がなされる。
【0015】
本発明によれば、請求項1乃至請求項5記載の磁石反転装置に対して磁着される磁石反転装置の磁着装置であって、非磁性のケース体内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部を形成し、前記磁石が自由に反転遊動し得るように前記大空洞部収容される磁石反転装置の磁着装置が提供される。
【0016】
本発明のさらに他の形態によれば、前記磁着装置の非磁性ケースは透明ケース体で形成し、前記透明ケース体に収容された磁石は磁極の向きあるいは姿勢向きを視認できるような標識が施されている。
【0017】
本発明によれば、非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置と、前記磁石反転装置の前記大空洞部が回転中心側に向くように該ケースを保持して水平軸線のまわりに回転するケース保持部材と、前記ケース保持部材の回転中心の下側へ回転してきた前記ケースの小空洞部に対峙するように配置され、かつ、前記磁石のN極またはS極に対応した信号を出力する検出器と、前記検出器の出力信号によって該信号に対応した作動を行う作動部材と、を有する不規則作動装置が提供される。
【0018】
本発明のさらに他の形態によれば、前記大空洞部と前記小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通した。
【0019】
本発明のさらに他の形態によれば、前記磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成される。
【0020】
本発明のさらに他の形態によれば、前記非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置される。
【0021】
本発明のさらに他の形態によれば、前記作動部は、前記検出器の出力信号に対応した2種類の標識表示を行う表示装置である。
【0022】
本発明のさらに他の形態によれば、前記作動部は、前記検出器の信号出力に対応した2種類の動作を行う可動装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、例えば、磁石反転装置を手に持って振り動かした後、上部を上にして垂直に立てることで、内部の磁石の磁極の向きが偶然的に(非人為的に)に定まり、磁石反転装置の複数のケースを近づけると、ケース同士が吸着するか離れるかのいずれかになる。どちらになるかは偶然的であり、使用者の意思では変えられない。
【0024】
また、本形態の本発明によれば、磁石反転装置と磁石反転装置の磁着装置を接触させると、偶然的に定まる一方のケースの状態に応じて他方のケースの磁石の向きや姿勢が定まり、人為的に変えられない。この性質を利用して、遊びや占い機器、マスコット用品、ギフト商品、余興用の不思議商品などを得ることができる。
【0025】
また、本発明によれば、作動部となる表示装置や可動装置が予め予測できない不規則な作動を行うため、面白い遊びや占い機器あるいは玩具として利用でき、また、人の注意を惹く標識や表示装置として避難口あるいは屋外の注意喚起箇所に設置して有用な不規則作動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1による磁石反転装置の側面図である。
【図2】本発明に適用される磁石の各種の例を示した拡大斜視図である。
【図3】図1に示す磁石反転装置を振り動かしているときの状態および磁石がケース内で落下して磁極の向きが定まったときの状態を示す図である。
【図4】図1に示す磁石反転装置の使用例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2による磁石反転装置の正面図および側面図である。
【図6】本発明に係る磁石反転装置構造体の1つの形態を示す側面図である。
【図7】図6に示す磁石反転装置構造体の動作状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る不規則作動装置の正面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図8に示す実施形態のケース保持部材の動作状態を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る不規則作動装置の部分的な拡大側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の各種の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0028】
図1を参照すれば、磁石反転装置1のケース本体2は横断面が正方形の外形を成す中空の角柱で形成され、その外径寸法は例えば側部の幅が10mm,長さが45〜55mmとなっている。材質としては非磁性樹脂材、例えば透明なアクリル樹脂などで形成される。なお、後述するようにケース本体2は内部が見れないように不透明に形成してもよい。ケース本体2は上端が開口し、下端が閉鎖されており、その開口した上端から長さ方向略中央位置まで大径の大空洞部3が形成され、この大空洞部3の下方に小径の小空洞部4が形成されている。この例では大空洞部3の内径は9mm、長さ(深さ)は概ね15〜20mmであり、小空洞部4の内径は5mm、長さは概ね15〜20mmとなっている。大空洞部3の下端と小空洞部4の上端は図示のような漏斗状のテーパ通路5で滑らかに連通されている。ケース本体2には後述する円柱形磁石6が収納され、さらに蓋体7でケース本体2の上端が蓋閉され、これによって大空洞部3、テーパ通路5および小空洞部4がケース本体2内に閉塞された空洞部を構成している。
【0029】
ケース本体2内に収納される円柱形磁石6は、内部の空洞部、特に小空洞部4の寸法形態に対応した小磁石のものが選定される。図2(A)〜(C)は本発明に用いられる小磁石を例示したものであるが、実施例1のように小空洞部4の形態が円筒空洞部の場合は図2(A)のような円柱形磁石6が適している。
【0030】
円柱形磁石6は軸方向に着磁され、これによって円柱形磁石6の軸端がN極、あるいはS極となっている。円柱形磁石6はその軸方向がケース本体2の小空洞部4の軸線に沿うように縦形の姿勢でゆるく入り込むようになっている。この円柱形磁石6は小空洞部4にできるだけスムーズに入り込むようになっているが、小空洞部4に入り込んだ状態では、円柱形磁石6は横方向に倒れたり、斜め方向に大きく傾斜したりする状態にならないように小空洞部4と円柱形磁石6の寸法関係が定められる。一例を挙げると、上述した小空洞部4のサイズに対して円柱形磁石6は外径が4mmで長さが6mm程度のNdマグネットが選定される。なお、大空洞部3内では、後述するように円柱形磁石6は磁極の向きが任意の向きをとり得るように遊動可能である。
【0031】
円柱形磁石6は開蓋したケース本体2の上部から大空洞部3内へ投入された後、ケース本体2が閉蓋される。この状態でケース本体2を手に持って上下、左右、あるいは上下逆さにするなどして振り動かすと、円柱形磁石6は大空洞部3内で自由に動きまわる。図3は、このときの状態を示したものである。まず、円柱形磁石6を入れたケース1を大空洞部3を上側にして立てると、同図(A)のように円柱形磁石6は大空洞部3からテーパ通路5を通って小空洞部4に入る。そして同図(B),(C)のようにケース1を逆さにしたり、同図(D)のように上下、左右に振ったりして遊動させた後、再び大空洞部3を上側にして鉛直に立てると、重力によって円柱形磁石6は下方の小空洞部4に入り込む(同図(E))。このときの円柱形磁石6の磁極N,Sの向きは予想ができず、偶然にN極が上側になっていたり、下側になっていたりする。
【0032】
上述のような操作で磁石反転装置1に収納した円柱形磁石6の磁極の向きが小空洞部内で定まった状態で、2つの磁石反転装置1を蓋体7側を上にして立ち姿勢にし、ケース本体2の側面2a同士を接近させる。このとき、もし図4(A)のように一方のケース1内の磁石6が例えばN極が上になっており、他方のケース1ではN極が下側になっていたとすると、両磁石6の磁気的吸引力により、両ケース1は引き寄せられ、吸着して側面同士が接合した状態となる。これとは逆の場合、つまり両方のケース1の円柱形磁石6が小空洞部内で上下同じ磁極向きになっていると、図4(B)に例示するように両磁石6の磁気的反発力により、両ケース1は離反して両ケースの接合がなされない。ここで図4の(A)の状態となるか(B)の状態となるかは、人為的に決めることができず、円柱形磁石6が大空洞部3から小空洞部4へ自重で落下したときの状態で決まり、偶然性に支配される。
【0033】
両ケースを接近させる形態としては、2つのケース1を手に持って空中で近づけてもよいし、あるいは両ケース1を上面の滑らかなテーブル上に蓋体7側を上にして立位姿勢に載置し、一方のケース1に対し他方のケース1を近づけるようにしてもよい。図4(A)のような場合は両方のケース1が引き寄せられて側部同士吸着、接合し、図4(B)のような場合は一方のケース1を近づけるしたがって他方のケース1が離れるように逃げていく。
【0034】
2つの磁石反転装置1の吸着、離反の偶然性をより面白くするために、例えばケース1の正面あるいは蓋体7の正面や上面に男女の顔を表示しておき、現実の男女2人が相性が良いかどうかの遊びや占いとして用いることができる。多くのケースにそれぞれ異なる動物の絵を描いておき、どの動物同士が相性がよいか、という遊びも可能である。上記の例は一例であり、そのほかにも吸着、離反の偶然性を利用した多くの利用が可能である。例えば、余興の場で2物体がくっつくか離れるかの判じ物として用いたり、一般事案の決定に迷った場合の、決定手段や縁起物としても利用できる。
【0035】
そのほか、有名なキャラクタを蓋体7などに表示してマスコットとして所持したり、各種のギフト商品、贈り物、土産物、卓上の置物、あるいはキーホルダ、携帯電話機のストラップ付属品などに使用してもよい。また、心理学の分野での実験で、被検者の予想の当否の結果による当人の行動の心理的影響を調べるための実験用具や教材などにも用い得る。
【実施例2】
【0036】
ケース1の内部に円柱形磁石6が収納されていることが分らないようにするために、実施例2ではケース本体2および蓋体7を不透明材で形成するか、外面を着色して内部構造が透けて見えないようにする。これによって第三者はどのような作用で両ケースが吸着の状態になったり、離反形態となるのか分らず、不思議さが残り、より興味をそそる物品となる。この場合、ケース本体2の側部あるいは蓋体7に上下を示す何らかの表示、例えば矢印と組み合せた文字表示、人間や動物のキャラクタの立ち姿や顔の表示など、上下を推認させ得る表示を施すのがよい。
【実施例3】
【0037】
実施例1ではケース本体2の小空洞部4をケース横断面でみて円形の穴で形成したが、横断面が角形の小空洞部としてもよい。この場合に、収納される磁石は図2(A)のような円柱形磁石6であってもよいが、図2(B)に示すような角柱形の磁石8とすることができる。角柱形の磁石8も磁極が軸方向両端に生じるように軸方向に着磁される。また、円柱形、角柱形いずれの場合も、磁石がテーパー通路部分で引っ掛かることなく、スムーズに小空洞部へ落下するようにするとともに、小空洞部4内で横転して横倒れあるいは斜め向きの姿勢にならないような幅寸法の空間部とする必要がある。大空洞部3も円形だけでなく、角形の空間部としてもよいことは勿論である。
【実施例4】
【0038】
実施例4は図2(C)に示すような幅厚が直径より小さい円盤形の磁石9とした例である。この場合は磁石9は円盤の軸線方向に着磁され、その一方の端面にN極が、他方の端面にS極が生じるようにする。図5は円盤形磁石9を用いた場合の磁石反転装置1を示した図であり、同図の(A)はケースの正面図、(B)はケースの側面図、(C)は図5(A)のV−V線に沿った横断面図である。ケース本体2の大空洞部3は円盤形磁石9が反転も含めて自由に遊動できる大きさに形成されるが、実施例4の長方形小空洞部10はケース本体2の両側面2aに向って長く、ケース本体2の正面2bおよび背面に直交する方向に短くなった横断面長方形の小空洞部となっている。円盤形磁石9はその端面が長方形の小空洞部10の長辺部分に対峙する形態で小空洞部10に入り込む。なお、この長方形小空洞部10に入った状態では、磁石9が水平ないし斜めに倒れたりしないように小空洞部10の大きさが規定されることは実施例3と同様である。
【0039】
円盤形磁石9による実施例4では、2つの磁石反転装置1を正面同士向き合せて離隔状態に対峙させる。この状態で両ケースを互いに近づけたとき、両ケースに入っている円盤形磁石9の磁極の向きによって両ケースが正面同士吸着する状態、あるいは離反する状態となる。その吸着、離反のいずれになるかは円盤形磁石9が自重で小空洞部に入ったときの状態で決まり、人為的に決められない。
【0040】
実施例4で円盤形磁石9の各部寸法を例示すれば、直径が6mm、厚みが2mmの偏平形に形成される。また、円盤形磁石9の入るケース本体2の長方形小空洞部10の寸法は、一例として、ケース横断面で長辺壁の横長さが7mm、短辺壁が3mm程度である。この実施例4では円盤形磁石9は面積の広い端面で吸引、反発が生じるので、より強い吸着、離反動作が可能となる。
【実施例5】
【0041】
次に、前述した(5)、(6)の形態に係る本発明の磁石反転装置と該磁石反転装置の磁着装置からなる磁石反転ケース構造体の実施例について説明する。図6を参照すれば、本発明に係る磁石反転装置構造体20は、磁石反転装置としての非磁性材の不透明密閉ケース11と磁石反転装置の磁着装置としての非磁性材の内部が透けて見える透明ケース12とで構成され、両ケース11,12にはそれぞれ例えば図2(A)〜(C)に例示したような磁石6,13が収容されている。この実施例では不透明密閉ケース11は図1に示したような内部構造をもつケースが用いられ、かつ外側からは内部が目視できないように不透明なケースとなっている。なお、図6(A)の不透明密閉ケース11に付した平行斜線はケース11の不透明性を表わすために付したものである。この場合、蓋体7を含めたケース全体が不透明材で形成されるか、あるいはケース外面に着色が施され、これによって不透明性が確保される。図6(B)は透明ケース12の正面図、同図(C)は図6(B)のF−F線横断面図である。
【0042】
図1に関連して説明したように、不透明密閉ケース11は、内蔵された円柱形磁石6が自由に遊動できる大きさの大空洞部3と、円柱形磁石6が反転できない状態で入り込む小空洞部4と、大空洞部3と小空洞部4を連通する漏斗状のテーパ通路5とが形成され、ケース内に円柱形磁石6が収容された後、ケース11の上端、即ち大空洞部3の開口部が蓋体7によって閉鎖される。
【0043】
不透明密閉ケース11を上下、左右に振り動かしたり、あるいは逆さにするなどした後、小空洞部4が下側になるように立てると、内部の磁石6は自重で小空洞部4に入り込む。このときの円柱形磁石6の磁極の向きは任意的、つまり非人為的に定まる。図6(A)の例では上側がN極となっている。なお、不透明密閉ケース11は外面からは大,小空洞部3,4の上下向きや円柱形磁石6は目視できないが、蓋体7のある方がケース11の上側であり、場合により、不透明ケース11の外面には上下の向きを示す何らかの表示が施されてもよい。
【0044】
図6(B),(C)に示す透明ケース12はこの実施例では不透明密閉ケース11と概ね同じ外形の大きさを有し、その内部は該ケース12に収容された磁石13が自由に転動、反転できる大きさの空洞部15が形成されている。この実施例では透明ケース12の上端は脱着可能な蓋体16で閉鎖され、また、透明ケース12の下面12bと空洞部15の底面15bとの距離Lは、不透明密閉ケース11の下面11bと小空洞部4の底面4bとの距離にほぼ等しくなっている。
【0045】
透明ケース12に収容される磁石13は、この実施例では不透明密閉ケース11の円柱形磁石6とほぼ同形となっている。透明ケース12の磁石13は、その姿勢の向きが判別できるように何らかの表示がなされている。例えば、磁極の方向に色分けの表示がなされたり、人や動物のキャラクタの図形表示などが施されている。これによって磁石13が横置状態か、正常な向きの立ち状態か、逆さ向きとなっているかの様子が透明ケース12の外部から視認できる。透明ケース12に収容された磁石13は、立位状態の透明ケース12内で任意の姿勢で空洞部15の底面15bに収まる。
【0046】
このような状態で不透明密閉ケース11と透明ケース12を同じ卓上に立位姿勢で、かつ両ケース11,12を幾らか離して載置する。そして透明ケース12を不透明密閉ケース11に近づけていき、図7のように両ケース11,12の側部11a,12a同士を密着させる。このとき、透明ケース12内の磁石13は不透明密閉ケース11の円柱形磁石6に対する磁気的吸引力と反発力により、両磁石13,6の異極同士が引きつけ合い、その結果、透明ケース12内の磁石13は空洞部15内で不透明密閉ケース11側へ移動し、最終的には不透明密閉ケース11内の円柱形磁石6の磁極の向きと反対の向きで同じ姿勢(立位姿勢)をとるようになる。
【0047】
不透明密閉ケース11を上下、左右、あるいは逆向きに振り動かして小空洞部4内の円柱形磁石6の磁極向きが変わると、これに応じて透明ケース12内の磁石13の磁極向きも変わる。前述のように透明ケース12内の磁石13は磁極の向きや姿勢に対応した色分け、その他の標識が付されているので、この磁石13の向きや姿勢の変化がケース外部から目視できる。不透明密閉ケース11内の円柱形磁石6の磁極向きは偶然的であるため、透明ケース内の磁石13の向きや姿勢がどのようになるかも偶然的であり、人為的に定めることができず、玩具、占い器具、マスコット品、ギフト商品、余興用物品など、面白味のある種々の製品が提供できる。
【実施例6】
【0048】
次に、本発明の実施例6に係る不規作動装置を図8〜図10を参照して説明する。この不規則作動装置は実施例1で説明したような磁石反転装置1を有し、このケース内に図2に例示したような磁石が収容されている。なお、実施例6では図2の(A)または(B)に示した円柱形磁石6または角形磁石8が用いられている。磁石反転装置1は、中心21を通る水平軸線(図面に対して垂直な軸線26、図9)のまわりに回転する円盤状のケース保持部材22に保持されている。磁石反転装置1はケース保持部材22の半径方向に沿って、かつ大空洞部3が回転中心側に向くように保持され、したがって小空洞部4の底部はケース保持部材22の外周近くに位置している。なお、図1でも説明したように、磁石反転装置1の内部は密閉され、かつ大空洞部3と、小空洞部4と、その間を連通するテーパ通路とが形成されている。尚、ケースは、必ずしもケース保持部材により保持されなくともよく、回転盤にケースを組み込んでもよいし、回転盤に形成される空洞部をケースとして利用してもよく、磁石反転装置1が取り付けられる機械や装置の構造に応じて形成すればよい。
【0049】
ケース保持部材22の中心21を通る縦軸線C上で該ケース保持部材22の下側に近接して、磁電変換素子を有する検出器(ホールセンサー)23が配置され、これによってケース保持部材22が回転して磁石反転装置1の小空洞部4が前記縦軸線C上の下側に位置したとき、検出器23は小空洞部4内の円柱形磁石6に対峙する。
この検出器23は、対峙した磁石6の磁極の極性(N極、S極)に対応した信号を出力する特性を有している。例えば、検出器23の検出端が円柱形磁石6のN極に対峙したときはN極に対応したA信号を出力し、S極に対峙したときはS極に対応した別の(A信号とは異なる)B信号を出力するようになっている。
【0050】
検出器23の出力信号は作動部25に入力される。本発明に係る作動部25は、検出器23の出力信号に対応した作動を行うように構成されている。実施例6では作動部25として2種類の標識表示を行う表示装置として構成されている。1例を挙げると、この表示装置は検出器23からA信号を受けると、例えば赤色の表示を行い、検出器23からB信号を受けると、例えば青色の表示を行うといった2つの区別し得る表示を行うようになっている。
【0051】
また、他の例として、作動部25は2種類の異なる動作を行う可動装置で構成される。一例を示すと、可動装置は玩具の自動車であり、検出器23のA信号で前進し、B信号で後進するなどの動作を行う。その他、人形玩具として構成してもよく、検出器23の前記A信号で立ち上がり動作を行い、B信号で座り込むといった2種類の動作を検出器23の出力信号に対応して行うように構成されている。その他、小鳥の玩具で例えば鳴いたり、鳴き止んだりという動作を行わせることもできる。
【0052】
図10を参照して実施例6の磁石反転装置1の動作を説明する。まず、例えば図10(A)の磁石反転装置1がケース回転中心21の直下に位置する状態から、同図(B),(C)のようにケース保持部材22が回転し磁石反転装置1の大空洞部3が小空洞部4よりも下側(下向き)になるにつれて、ケース内の円柱形磁石6は小空洞部4から抜き出して大空洞部3に自重で落ち込み、ここで円柱形磁石6が任意向きに遊動し、さらにケース保持部材22が同方向に回転していき(同図(D))、図10(E)に示すように磁石反転装置1が回転中心21の直下にくると、大空洞部3内の円柱形磁石6は再び小空洞部4に入り込む。このときの磁石6の磁極の向きは、円柱形磁石6が大空洞部3内で遊動しているときの状態に依存し、小空洞部4内でN極またはS極が下側になるかどうかは不規則であって人為的に決められない。
【0053】
磁石反転装置1の小空洞部4が回転中心21の直下にきたときは、小空洞部4内の磁石6は検出器23に向き合っており、例えば偶然にN極が検出器23に対峙した状態では、前述したように検出器23はN極に対応した信号Aを作動部25へ出力し、また例えば偶然にS極が検出器23に対峙したときには、検出器23はS極に対応した信号Bを作動部25へ出力する。どちらの信号になるかは不規則であり、作動部25はその信号(A信号またはB信号)に応じた作動を行う。このようにして作動部25は、予め決められない不規則な作動、例えば前述した如く、どのような標識になるか分らない表示をケース保持部材22の回転継続に伴なって、その1回転ごとに反復して行うことになり、見る者にとって面白味のある装置となる。例えば作動部25を動物玩具や人形とすれば、どちらになるか分らない2つの動作を繰り返し行うことになり、不思議さの増す玩具となる。
【0054】
このような不規則作動を行う本発明の装置は、玩具にのみ用いられるものではなく、例えば建物内の避難口の表示部に使用すれば、より注意を惹く表示となり、また、どのような表示となるかの判じ物、占い器具、宴会などの余興用装置など種々の用途に応用できる。
【0055】
ケース保持部材22の回転は手動、あるいは電動、簡単な風車を用いた風力など自動で行うことが可能である。手動の場合は、例えば図9に示すように、ケース保持部材22の中心を回転自在に軸支する軸27を一方の手で把持してケース保持部材22を他方の手で回転させたり、自動の場合はケース保持部材22の中心軸27に小形の電動機(図示省略)を連結して回転駆動することができる。
【実施例7】
【0056】
磁石反転装置1内に収容する磁石の形態として、図2(C)に示すような円盤形磁石9を用い、図5のようなケース構造としてもよい。図11はこの場合の実施例7を示す不規則作動装置の部分的な拡大側面図である。図11において、ケース保持部材22は、回転中心を通る水平軸線26のまわりに回転し、検出器23は最下位置における小空洞部4内の円盤形磁石9の端面9aに対峙するような位置に配置される。小空洞部4内の磁石の磁極は円盤形磁石9の軸線方向両端面に生じ、検出器23に対峙する磁石端面9aの磁極がN極となるかS極となるかは不規則であり、これに応じて検出器23からN極対応信号あるいはS極対応信号が作動部25へ出力されることは実施例6と同様である。
【0057】
なお、上述の実施例6,7では、ケース保持部材は円盤形としたが、本発明は必ずしも円盤形に限るものではなく、矩形板その他の形状としてもよいことは勿論である。ケース保持部材の回転向きも正逆回転いずれの方向でもよい。回転速度も検出器による磁極検出が可能な範囲で任意に選定されてよい。
【符号の説明】
【0058】
1 磁石反転装置
2 ケース本体
3 大空洞部
4 小空洞部
5 テーパー通路
6 円柱形磁石
7 蓋体
8 角形磁石
9 円盤形磁石
10 長方形小空洞部
11 不透明密閉ケース
12 透明ケース
13 透明ケース内の磁石
15 透明ケースの空洞部
16 蓋体
20 磁石反転装置構造体
21 回転中心
22 ケース保持部材
23 検出器
25 作動部
26 水平軸線
27 軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置。
【請求項2】
大空洞部と小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通したことを特徴とする請求項1に記載の磁石反転装置。
【請求項3】
磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の磁石反転装置。
【請求項4】
非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁石反転装置。
【請求項5】
非磁性ケースは、内部の磁石が視認不可能な不透明体ケース体に形成され、かつ前記大空洞部が前記小空洞部より上方に位置するようにケース体外面に上下を認識または推認させる表示がなされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石反転装置。
【請求項6】
非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置に対して磁着される磁石反転装置の磁着装置であって、非磁性のケース体内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部を形成し、前記磁石が自由に反転遊動し得るように前記大空洞部収容されることを特徴とする磁石反転装置の磁着装置。
【請求項7】
磁着装置の非磁性ケースは透明ケース体で形成し、前記透明ケース体に収容された磁石は磁極の向きあるいは姿勢向きを視認できるような標識が施されていることを特徴とする請求項6記載の磁石反転装置の磁着装置。
【請求項8】
非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置と、
前記磁石反転装置の前記大空洞部が回転中心側に向くように該ケースを保持して水平軸線のまわりに回転するケース保持部材と、
前記ケース保持部材の回転中心の下側へ回転してきた前記ケースの小空洞部に対峙するように配置され、かつ、前記磁石のN極またはS極に対応した信号を出力する検出器と、
前記検出器の出力信号によって該信号に対応した作動を行う作動部材と、を有することを特徴とする不規則作動装置。
【請求項9】
大空洞部と小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通したことを特徴とする請求項8に記載の不規則作動装置。
【請求項10】
磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成されることを特徴とする請求項8または9に記載の不規則作動装置。
【請求項11】
非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の不規則作動装置。
【請求項12】
作動部は、前記検出器の出力信号に対応した2種類の標識表示を行う表示装置であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の不規則作動装置。
【請求項13】
作動部は、前記検出器の信号出力に対応した2種類の動作を行う可動装置であることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の不規則作動装置。
【請求項1】
非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置。
【請求項2】
大空洞部と小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通したことを特徴とする請求項1に記載の磁石反転装置。
【請求項3】
磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の磁石反転装置。
【請求項4】
非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁石反転装置。
【請求項5】
非磁性ケースは、内部の磁石が視認不可能な不透明体ケース体に形成され、かつ前記大空洞部が前記小空洞部より上方に位置するようにケース体外面に上下を認識または推認させる表示がなされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石反転装置。
【請求項6】
非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置に対して磁着される磁石反転装置の磁着装置であって、非磁性のケース体内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部を形成し、前記磁石が自由に反転遊動し得るように前記大空洞部収容されることを特徴とする磁石反転装置の磁着装置。
【請求項7】
磁着装置の非磁性ケースは透明ケース体で形成し、前記透明ケース体に収容された磁石は磁極の向きあるいは姿勢向きを視認できるような標識が施されていることを特徴とする請求項6記載の磁石反転装置の磁着装置。
【請求項8】
非磁性ケースの内部に、磁石が反転遊動し得る大きさの大空洞部と前記磁石が反転できない状態で入り込む大きさの小空洞部とから成る空洞部を形成し、前記大空洞部と前記小空洞部とを連通し、前記空洞部に前記磁石を収容し、前記大空洞部の上端を蓋閉したことを特徴とする磁石反転装置と、
前記磁石反転装置の前記大空洞部が回転中心側に向くように該ケースを保持して水平軸線のまわりに回転するケース保持部材と、
前記ケース保持部材の回転中心の下側へ回転してきた前記ケースの小空洞部に対峙するように配置され、かつ、前記磁石のN極またはS極に対応した信号を出力する検出器と、
前記検出器の出力信号によって該信号に対応した作動を行う作動部材と、を有することを特徴とする不規則作動装置。
【請求項9】
大空洞部と小空洞部は漏斗状のテーパ通路で連通したことを特徴とする請求項8に記載の不規則作動装置。
【請求項10】
磁石は、直径または横幅より大きな軸長をもち、かつ軸方向に着磁された円柱体または角柱体、または円盤端面に垂直な方向に着磁され、かつ直径より厚みが小さい円盤形に形成されることを特徴とする請求項8または9に記載の不規則作動装置。
【請求項11】
非磁性ケースは、縦長の角柱または円柱の外形に形成され、前記大空洞部と前記小空洞部はケース長手方向に沿って配置されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の不規則作動装置。
【請求項12】
作動部は、前記検出器の出力信号に対応した2種類の標識表示を行う表示装置であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の不規則作動装置。
【請求項13】
作動部は、前記検出器の信号出力に対応した2種類の動作を行う可動装置であることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の不規則作動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−177201(P2011−177201A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41405(P2010−41405)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000137339)株式会社マグエックス (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000137339)株式会社マグエックス (16)
【Fターム(参考)】
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