説明

秤量セル

【課題】付加的なばね定数を導入することなく、コイルに電力を供給するために電気信号を伝達する機能を有する直接作動装置の提供。
【解決手段】 電磁的な力補正直接作動装置であり、複数の構成部品を含む平行ガイド機構と、力伝達ロッド(5,44)によって力補正装置(12,43)に結合されている荷重受け部材(12,43)とを備え、前記力補正装置(12,43)は、少なくとも1つの永久磁石(9,9’)と、制御回路に電気的に接続されているコイル(11)とを含んでおり、前記平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品が、電気信号を伝達する機能を有するように設計されていることを特徴とする電磁的な力補正直接作動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重受け部材と、コイル及び永久磁石を含んでいる力補正装置とを備えた電磁的な力補正直接作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下において、直接作動装置と称される電磁的な力補正直接作動装置は、荷重受け部材が、力伝達ロッドを介して力補正装置に直に結合されている点を特徴としている。
【0003】
電磁的力補正の原理によれば、秤量パン又は荷重受け部材上に載置されている荷重によって生じる力は、少なくとも1つの永久磁石及びコイルからなる力補正装置によって相殺される。前記力補正装置においては、補正する力を発生させるために、コイル内を流れる電流が測定される。この測定によって判定される値は、秤量パン上にかかる力に比例する。しかしながら、当該測定値はまた、永久磁石の磁場内のコイルの位置にも依存し、従って、コイルは、測定がなされているときには磁石に対して同じ位置になければならない。荷重が適用された後のコイルの位置は位置センサーによって測定され、コイル内の電流は、荷重がかかった結果として生じる永久磁石に対するコイルの位置の変化が補正されるまで増大せしめられる。この時点でのコイル電流が測定され、測定されたコイル電流は、秤量パン上に載置される荷重の測定値を表す。
【0004】
CH 593 481 A5には、荷重受け部材が力伝達ロッドによって力補正装置に直に結合されている直接作動装置が開示されている。力伝達ロッドには位置センサーが取り付けられており、一方、位置センサーの固定部分は、秤量装置のハウジング、更に特定すると、力補正装置の固定部分に完全に結合されている部分に堅固に結合されている(特許文献1参照)。
【0005】
この直接作動装置は、軽い秤量荷重範囲に対して使用されるのが好ましい。測定精度は、本質的には、前記直接作動装置内の位置センサーの分解能及び配置に依存する。荷重受け部材及び力補正装置のコイルは、その動きが、秤量セルの固定部分に対して正確にガイドされなければならない。これは、平行ガイド機構によって達成される。この平行ガイド機構においては、可動の平行脚部が力伝達ロッドに結合されており、固定の平行脚部は秤量セルのハウジング取り付け部分に堅固に結合されている。当該可動の平行脚部と固定の平行脚部とは、薄い可撓性の曲げ枢動領域(所謂、曲げ枢軸)を備えた2つの平行ガイドによって相互に結合されている。しかしながら、弾性的に可撓性の平行ガイドを使用することもでき、この場合には、曲げ枢軸は省略される。荷重が荷重受け部材上に配置されると、力伝達ロッドは、荷重の方向に動いて、平行ガイドが撓むようにし且つ曲げ枢軸又は弾性的な可撓性の平行ガイドが曲げられるようにする。
【0006】
平行ガイド機構は、通常は、荷重受け部材上に載置される荷重のようにコイルの変位に作用し且つ同じく補正されるべきであるばね定数によって示される位置復帰力を有している。
【0007】
通常は、力補正装置のコイルは、細い線によって制御回路に接続されている。この構造は、電気接続を設けることに加えて、線また秤量セルの固定部分から可動部分までの機械的な接続を確立するという欠点を有している。このことは、直接作動装置に付加的なばね定数を誘導し、このばね定数は、平行ガイド機構と相互作用し且つ秤量結果に誤差を生じさせ得る。線は、通常は、半田付けによって接続され且つ付加されたばね定数を出来るだけ小さく維持するために、例外的に細いフィラメントとして形成されている。しかしながら、ワイヤーフィラメントは接続するのが難しく、線のうちの1本が破断して失われ、秤を不作動とさせることが容易に起こり得る。
【0008】
コイル回路接続によって秤量セルの可動部分と固定部分との機械的な接続によって生じるばね定数は、とりわけ小さな秤量荷重範囲のための秤量セルの性能に影響を及ぼし、且つ/又は高い分解能の場合には、秤量結果に影響を及ぼす。なぜならば、この場合には、ばね常数の最も小さな変化でさえ秤量結果に影響を及ぼすのに十分であるからである。
【0009】
特に、例えばEP 1726926 A1に開示されているタイプの多モジュール秤量装置のための直接作動装置を備えた小型の秤量モジュールにおいては、平行ガイド機構及び/又は力伝達ロッドにおける位置センサーに接続されている部品が種々の熱膨張量を示す場合には、直接作動装置のゼロ点のドリフトが負方向に影響されることが更に分かっている(特許文献2参照)。
【特許文献1】CH 593 481 A5公報
【特許文献2】EP 1726926 A1公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、特に、付加的なばね定数を導入することなく、コイルに電力を供給するために、直接作動装置において電気信号を伝達する機能を提供することである。もう一つ別の目的は、ゼロ点のドリフト量が最も小さい直接作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下において直接作動装置と称される電磁的力補正直接作動装置は、複数の構成部品を備えた平行ガイド機構と、力伝達ロッドを介して力補正装置に結合されている荷重受け部材とを含んでいる。当該力補正装置は、少なくとも1つの永久磁石と、制御回路に電気的に接続されているコイルとを含んでいる。平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品は、電気信号を伝達するように設計されている。
【0012】
本明細書において“複数の構成部品を備えた平行ガイド機構”及び“平行ガイド機構の構成部品”という用語は、複数の構成部品と共に複数の機能部分又は作動部品を備えた平行ガイド機構からなる平行ガイド機構の意味で使用されている。
【0013】
平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品を介して電気信号を伝達することによって、これらの信号を、秤量セルの固定部分と可動部分との間に付加的な機械的結合を導入することなく伝えることが可能になり、それによって、例えば、測定精度、ゼロ点の安定性のみならず秤量セルの再現性を改良することができる。
【0014】
平行ガイド機構の構成部品は、制御回路内へ電気的に結合され且つ電流及び/又は電力の伝達のために機能するのが好ましい。
【0015】
平行ガイド機構を制御回路内へ結合するという概念は特に有利である。なぜならば、これは、秤量セルの固定部分と可動部分との間の付加的な機械的結合を設定することなく、コイルに電力を供給することを可能にするからである。
【0016】
電流に加えて、伝達されている電気信号もまた、アナログ及び/又はデジタルの測定信号及び/又は制御信号とすることもでき、これらの信号は、直接作動装置内及び/又は上に配置されている少なくとも1つのセンサーと測定及び/又は制御ユニットとの間で交換される。電流及び測定及び/又は制御信号を、同じ導体トレース及び/又は互いにほぼ平行ガイド機構に配列されているトレースによって導くことが思い浮かぶ。
【0017】
この種のセンサーは、例えば、温度、熱流、圧力、湿度、放射線、加速又はその他の物理的若しくは化学的な量の測定のための構成とすることができる。これらのセンサーは、例えば、直接作動装置の性能及び特に秤量結果に影響を及ぼし得る直接作動装置内の温度のようなパラメータを点検する能力を提供する。直接作動装置が例えば一対の分析用、熱分析用又は熱重量測定装置の一部分を構成している場合には、センサーもまた、装置の測定原理に関連するパラメータを測定する機能を果たすこともできる。このようなパラメータは、例えば、温度又は荷重受け部材上に載置されている試料の温度変化又は荷重受け部材上の試料内を流れる熱流変化とすることができる。
【0018】
以下は、実質的に、平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品が、電流を伝える機能によって設計されており且つコイルの制御回路内に結合されている直接作動装置の構造の説明である。電流信号に加えて、本発明による測定及び/又は制御回路の測定信号及び/又は制御信号を平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品を介して導くことも可能であり、前記制御信号は、同じ導体及び/又は付加的な導体によって伝えることができる。
【0019】
平行ガイド機構の構成部品は、例えば、部分的に且つ/又は全体的に導電性材料によって構成することができ且つ適当な電気接触を介してコイル回路内へ直に結合することができ、接触点自体は、不所望な電気作用を避けるために、電気的に絶縁されるべきである。
【0020】
更に、平行ガイド機構の構成部品の少なくとも1つの面は、部分的なコーティングの場合には、例えば、1以上の導電トレースを形成するパターン形状の導電性コーティングを塗布することが思い浮かぶ。
【0021】
平行ガイド機構の構成部品が複数の導電性トレースを担持している場合には、導電性トレースは、互いに絶縁されるべきである。
【0022】
平行ガイド機構の構成部品はまた、例えば、導電性コア上に付着された1以上の絶縁層の形態又は絶縁コア上に付着された1以上の導電層の形態の複数の層によって構成することもできる。
【0023】
好ましい実施形態においては、平行ガイド機構の構成部品は、構成部品が電気信号を送ることができるように、互いに絶縁されている少なくとも2つの導電性トレースを含んでいる。当該平行ガイド機構のこの構成部品は、制御回路及び/又は測定及び/又は制御回路に接続することができる。この種の構造は、複雑な平行ガイド機構の場合に特に有利である。
【0024】
本発明による直接作動装置は、種々の形態の平行ガイド機構を有することができる。当該平行ガイド機構は、例えば、細い可撓性の曲げ枢軸領域によって、堅固な平行ガイド機構を介して互いに結合されている可動の平行脚部と固定の平行脚部とを有することができる。
【0025】
平行ガイド機構の構成部品が平行脚部及び/又は平行ガイド機構である場合が有利である。更に別の実施形態における平行ガイド機構は、例えば、少なくとも1つの平行ガイドを介して結合されている固定の平行脚部のみならず可動の平行脚部を膜内に形成するために、適当な外径の切欠き部分を有している弾性的に可撓性の膜状の平行ガイド部材を有している。このタイプの平行ガイド部材は、とりわけ、特許文献2(EP 1726926 A1)に開示されている。この種の実施形態においては、平行ガイド部材又は少なくとも内部に形成された少なくとも1つの平行ガイド及び/又は内部に形成された少なくとも1つの平行脚部が、電気信号の伝達機能を果たすことができ且つ制御回路及び/又は測定及び/又は制御回路内に結合することができるのが好ましい。
【0026】
荷重がかけられた後のコイルの位置を判定するために、直接作動装置には、位置標識が設けられている。位置標識の位置は、適切なセンサー構造体によって判定することができる。位置標識は、例えば、力伝達ロッド上に配置されている開口溝孔とすることができる。公知の技術状況は、好ましい分解能を有している光学センサーによって位置標識の位置を判定するための種々のセンサー構造体を含んでいる。
【0027】
更に別の実施形態における直接作動装置は、上方及び下方の平行ガイド部材を含んでおり且つ位置標識が上方平行ガイド部材と下方平行ガイド部材との間の本質的に中間に配置されている点で区別される平行ガイド機構を含んでいる。
【0028】
この構造は、位置標識に結合されている力伝達ロッドの部品の熱膨張がほぼ等しく、従って、直接作動装置のゼロ点ドリフトに対して殆ど作用しないので有利である。
【0029】
当該上方及び下方の平行ガイド部材は、特に、荷重受け部材と力補正装置との間に配置することができる。
【0030】
位置標識の位置は、同様に、上方平行ガイド部材と下方平行ガイド部材との間のほぼ中間に配置されているセンサー構造体によって判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、ハウジング2を断面として示している直接作動装置1を示している。図2は、ハウジングを含まない図1の細部を表している。以下の説明は、実質的に、同一の特徴が同じ参照符号を有している図1及び図2の両方に当てはまる。
【0032】
直接作動装置1は、力伝達ロッド5,5’によって力補正装置12に結合されている荷重受け部材8と、位置標識27とを有している。荷重受け部材8と力補正装置12のコイル11とは、それらの動作において、直接作動装置1のハウジングに結合された固定部材2に対して正確にガイドされる。これは、構造の細部が図3及び4の助けを借りて記載される2つの平行ガイド部材3,4を有している平行ガイド機構によって達成される。2つの平行ガイド部材3,4の可動の平行脚部は力伝達ロッド5,5’に取り付けられており、一方、固定の平行脚部は、力補正装置12の固定部分に堅固に結合されている。
【0033】
位置標識27が、平行ガイド部材3と4との間のほぼ中間において力伝達ロッド5,5’に配置されている。ここに示されている位置標識27は、荷重受け部材8に結合されている力伝達ロッドの部分5と、力補正装置12に結合されている力伝達ロッドの部分5’との間の簡単な開口溝孔の形態を有している。
【0034】
位置標識27、特に、開口溝孔の位置は、固定のセンサー構造体26によって任意に判定される。センサー構造体26も同様に、平行ガイド部材3と4との間のほぼ中間に配置されている。例えば、荷重受け部材部材8に力が作用している場合には、力伝達ロッド5,5’は荷重の方向に動き、位置標識27は、そのセンサー構造体26に対する位置を変える。力補正装置12内を流れる補正電流の量を変えることによって、荷重の作用が補正され、位置標識27が元の位置へと戻される。補正電流は、荷重受け部材部材上に載置された荷重の重量に対する測定値を表す。
【0035】
力補正装置12は、間に磁極片10を備えた2つの永久磁石9,9’からなる。磁極片10はコイル11によって包囲されており、コイル11は、図面では外径が図示されているだけである。コイル11は、2つの導電体によって制御回路に接続されている。制御回路は、電源15によって記号的に示されている。第一の導電体は、コイル11に直に接続され、且つ下方の平行ガイド部材4を介して連続している導電体部分13と、平行ガイド部材4を電源15に接続している導電体部分13’とを含んでいる。第二の導電体は、コイル11に接続され且つ上方平行ガイド部材3のみならず導電体部分14’内を連続している導電体部分14を含んでいる。特に、導電体部分が平行ガイド部材3,4に取り付けられている導電体の少なくとも結合部分は、電気的に絶縁されている。回路を通ってコイル11内へと導かれる補正電流は、適切な制御ユニット16によって制御される。
【0036】
この例における平行ガイド部材3,4は、これらが制御回路内へ又は測定及び/又は制御回路(ここでは図示されていない)内へ直に結合できるように、導電性材料によって構成されている(図6参照)。従って、コイル電流は、秤量セルの固定部分と可動部分との間に付加的な機械的結合を導入することなく、2つの平行ガイド部材3,4内を流れる。
【0037】
図3は、2つの導体トレース23,24を備えた平行ガイド部材21の平面図である。この場合の平行ガイド部材21は、力伝達ロッドに対する結合のための可動平行脚部70の外径を形成している3つの螺旋状の打ち抜き部30,30’,30”、ハウジングに結合するための固定の平行脚部72のみならず固定の平行脚部と可動の平行脚部との相互に結合する3つの平行ガイド71,71’,71”を備えている。図1及び2に示されているように、力伝達ロッドは、平行ガイド部材21の開口部20内に拘束されている。
【0038】
平行ガイド71’,71”のうちの2つには、平行ガイド71’,71”の形状に従う導体トレース23,24が設けられている。導体トレース23,24は、打ち抜き部30によって相互に電気的に絶縁されている。公知の技術状況に属する平行ガイド部材21の表面に、このタイプの導体トレース23,24を形成する方法は、ここでは詳細に説明しない。一例として、導体トレースを形成するために、平行ガイド部材21は、導電性材料を付着させることができる電気絶縁材料によって構成しても良い。
【0039】
2つの導体トレース23,24のうちの一つは、第一の導電体内に結合されており、他方は第二の導電体内に電気的に結合されている。コイルを備えた力補正装置は、例えば、図1及び2に示されているように、平行ガイド部材の下方に配置されている。ここに示されている平行ガイド部材21上に形成されているコイルと導体トレース23,24とは、導電体部分113,114によって接続されている。これらの対向端部においては、導体トレース23,24は、適当な導電体部分113’,114’によって、電源(ここでは図示せず)のみならず制御ユニットに接触している。この形状の平行ガイド部材21は、図1及び2に示されている直接作動装置内の上方及び/又は下方平行ガイド部材として取り付けることができる。
【0040】
平行ガイド部材21はコイル電流の流入及び戻りの両方を運ぶことができるので、通常は、一方の平行ガイド部材21のみがコイルの制御回路内に組み込まれている。
【0041】
2つの導電体層60,61を備えた代替的な設計の平行ガイド部材17が図4aの断面図及び図4bの平面図に示されている。平行ガイド部材17は、U字形状の打ち抜き部62と共に力伝達ロッド5のための中央開口部220を備えている。U字形状の打ち抜き部62は、前後に折り畳まれた形状の弾性的な可撓性平行ガイド63の輪郭を描いている。平行ガイド63は、平行ガイド部材17の中心の可動の平行脚部64を固定平行脚部65に結合し、固定平行脚部65は、平行ガイド63及び可動の平行脚部65を閉じられたフレームとして包囲している。固定の平行脚部65の境界領域は、適切な締結手段によってハウジング内で堅固に固定されている。
【0042】
境界領域を除外した平行ガイド部材17の両方の面は、弾性的な導電性材料60,61によってコーティングされている。コーティング層60は、導体部分213,213’によって一つの電気的接続を確立しており、コーティング層61は、導体部分214,214’によってコイルと制御回路(これらは、この図面に図示されていない)との間に別の電気的接続を確立している。従って、電流はコイルに対向している平行ガイド部材17の面を介して入り、戻り電流はコイルと反対側を向いている面を介して流れ、複数の平行ガイド部材を備えた直接作動装置においては、一つの平行ガイド部材のみが制御回路内に電気的に接続される必要がある。コーティングを備えた平行ガイド部材の面のみを提供し且つ例えば同一の構成の2つの平行ガイド部材を介してコイル回路を接続することも可能である。
【0043】
図3,4a及び4bに示された平行ガイド機構はまた、電源の他に、直接作動装置の少なくとも1つのセンサーを測定/制御回路内に結合することもできるように、図示されている導体トレースのうちの幾つかを担持することができる。この場合には、センサーの測定/制御信号は、同じく制御回路内に組み込まれる同じ導体トレースを介して導くことができ、又はこれらの信号は、制御回路の導体トレースとほぼ平行に配列されている更に別の導体トレースを介して導くことができる(同じく図6参照)。
【0044】
本発明の実施形態の更に別の例として、図5は、荷重受け部材41を備えた直接作動装置40を示している。この種の秤量モジュール40は、例えば、複数の直接作動装置が所定の空間パターンに従って相対的に配列されている多モジュール秤量装置の一部分とすることができる。直接作動装置40は、適当な締結手段によって保持構造42に堅固に結合されている。秤量モジュール40の力補正装置43は、力伝達ロッド44に結合されているコイル(ここでは図示せず)を備えている。力伝達ロッド44の頂部には、荷重受け部材41が取り付けられている。力伝達ロッド44は、平行ガイド機構45の可動の平行脚部に結合されている。この平行ガイド機構は、2つの上方平行ガイド46と2つの下方の平行ガイド47とを備え、これらの平行ガイドは、各対の平行ガイドが平行ガイド機構45の可動の平行脚部において合わさっており且つ曲げ枢軸48を介して可動の平行脚部に結合されたV字形状の対として配列されており、可動の平行脚部が、スペーサ部片51によって相互に隔置されている上方の可動平行脚部49と下方の可動平行脚部50とによって構成されている。
【0045】
平行ガイド機構45の固定部分は、曲げ枢軸53を介して上方の平行ガイド46に結合されている上方の固定部分52を備えており、これは更に、同様に曲げ枢軸52を介して下方の平行ガイド47に結合されている下方の固定部分53を備えているばかりでなく、スペーサ部片51と同じ距離だけ上方の固定部分52と下方の固定部分53とを相対的に分離しているスペーサ部片55を備えている。平行ガイド機構45の固定部分は、スペーサ部片55を介してねじ56によって更に別の秤量セルに堅固に結合されていて、多モジュール秤量装置が形成されている。
【0046】
秤量セル43内に配置されているコイルへの電力の供給は、電源59及び制御ユニット(図示せず)に接続されている2つの導体によってもたらされる。図示されている例における第一の導体は、コイルに接続されている導体部分57と、上方の平行ガイド46と、導体部分57’とを備えている。第二の導体は、コイルに接続されている導体部分58と、第二の上方平行ガイド46’と、更に別の導体部分58’とを備えている。導体部分57,58は、ここに示されているハウジング構造42内の通路18によって形成することができるが、コイルを平行脚部49,50のうちの接続している導体部分57,58が力伝達ロッド44の内側に配列されるようにすることも可能である。図1乃至4の説明部分において既に説明したように、導電性の平行ガイド46,47は、導電性材料の導電性のコーティングトレースパターンを有するか、外部が絶縁されている導電性コアを有している。平行ガイド機構の残りの部分に対して電気的に絶縁されている平行ガイドの別の可能な手段を回路内に結合することができる。
【0047】
図6に示されている直接作動装置は、図1の装置にほぼ類似している。しかしながら、ここに示されている装置1は、更に、平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品を介して測定及び/又は制御回路内に結合されている少なくとも1つのセンサー73,74,75を含んでいる。一つの例として3つのセンサー73,74,75が図6に示されているが、本発明による直接作動装置もまた、直接作動装置上に且つ/又は当該装置内に配置されているより多くの又はより少ないセンサーを有することもできる。
【0048】
センサー73,74,75は、例えば、温度、熱流、圧力、湿度、放射線、加速又はその他の物理的若しくは化学的量の測定ができるような構造とすることができる。
【0049】
第一のセンサー73は、荷重受け部材8上に配置されている。直接作動装置が熱分析測定器具の一部である場合には、第一のセンサー73は、例えば、温度変化を判定するか又は荷重受け部材8上に配列された試料を通る熱流を判定する機能を果たすことができる。この場合には、荷重受け部材8は、力伝達ロッド5との熱的連通状態から離脱されるべきである。センサー73は2つの導体部分76,76’に結合されており、これら2つの導体部分を介して、センサー73は、上方平行ガイド部材3を介して一方の側面に設けられた測定及び/又は制御回路に結合されており且つ下方平行ガイド部材4を介して他方の側面に設けられた測定及び/又は制御回路に結合されている(同じく図3,4a及び4b参照)。
【0050】
一例として、第二のセンサー74は、上方平行ガイド部材3の下方の直接作動装置1の内側に配置されている。使用されているセンサー74のタイプに依存して、このセンサーは、作動装置1の内部の1以上の物理的及び/又は化学的パラメータを判定する機能を果たすことができる。センサー74も同様に、2つの導体部分77,77’、上方平行ガイド部材3及び下方の平行ガイド部材4を介して測定及び/又は制御回路内に結合されている。
【0051】
第三のセンサー75も同様に、センサー構造体26の近く、より特定すると位置標識27の近くで直接作動装置の内側に配置されており且つ2つの導体部分78,78’、上方平行ガイド部材3及び下方平行ガイド部材4を介して測定及び/又は制御回路内に結合されている。
【0052】
直接作動装置1の内側に配置されているセンサー74,75が秤量セルの可動部分と固定部分との間の機械的な結合を確立しないようにするために、これらのセンサーは、平行ガイド機構の可動部分に対して固定された位置に位置し且つ平行ガイド機構の固定部分との接触部分を有しないように秤の内部に配置されている。
【0053】
センサー73,74,75の信号は、平行ガイド部材3,4内を伝達され且つ2つの更に別の導体部分79,79’を介して制御ユニット81に接続されている信号変換器80へと伝達される。使用されているセンサーの種類に応じて、これらのセンサーは、ここに示されている共有の制御ユニット81に接続することができるか又は別のユニットに接続することもできる。
【0054】
当該少なくとも1つの制御ユニット81は、直接作動装置を制御するために使用されるユニットとすることができ、又は、直接作動装置の制御と独立したユニットとすることもできる。
【0055】
直接作動装置の設計的な構造及び複数の装置によってこの種の直接作動装置を一列に配列することができることにより、主として直接作動装置の内部に少なくとも1つの測定及び/又は制御回路を配置すること及び信号の伝達のための電流を導くために図1乃至5に既に示されている種々の構造を使用することが想到される。
【0056】
センサーのアナログ又はデジタル信号、これらのセンサーを制御するための信号のみならずセンサーの電力供給は、図6に一例として示されている方法で、同じ導体トレース又はコイルの導体トレースにほぼ平行であるトレースを介してコイルの電源ループと共に導くことができる。
【0057】
図1乃至6に示されている直接作動装置の場合と同様に、図5に示されている直接作動装置は、同様に少なくとも1つのセンサー及び当該センサーに接続された少なくとも1つの測定及び/又は制御回路を有することができ、当該装置においては、平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品は、測定及び/又は制御回路内に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、荷重受け部材、力伝達ロッド、平行ガイド機構及び当該平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品によって制御回路に接続されているコイルを有している力補正装置を備えた直接作動装置を示している断面図である。
【図2】図2は、図1の直接作動装置の力補正装置と平行ガイド機構との断面図である。
【図3】図3は、2つの導体トレースを備えた平行ガイド部材の平面図である。
【図4】図4の4aは、2つの導電層を備えた平行ガイド部材の断面図であり、 図4の4bは、2つの導電層を備えた平行ガイド部材の平面図である。
【図5】図5は、2つの上方平行ガイドと、2つの下方平行ガイドとを有している平行ガイド機構を備えた直接作動装置の斜視図である。
【図6】図6は、荷重受け部材、力伝達ロッド、平行ガイド機構、当該平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品によって制御回路に接続されているコイルを有している力補正装置及び平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品を介して測定及び/又は制御回路に結合されている少なくとも1つのセンサー、を備えた直接作動装置を示している断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 直接作動装置
2 ハウジング
3 平行ガイド部材
4 平行ガイド部材
5 力伝達ロッド
8 荷重受け部材
9,9’ 磁石
10 磁極片
11 コイル
12 力補正装置
13,13’113 導体部分
113’,213,213’ 導体部分
14,14’,114 導体部分
114’,214,214’ 導体部分
15 電源/制御回路
16 制御ユニット
17 平行ガイド部材
18 通路
20,220 開口部
21 平行ガイド部材
23 導電性パターン/トレース
24 導電性パターン/トレース
26 センサー構造体
27 位置標識
30,30’,30” 打ち抜き部
40 直接作動装置
41 荷重受け部材
42 保護構造
43 力補正装置
44 力伝達ロッド
45 平行ガイド機構
46,46’ 上方平行ガイド
47 下方平行ガイド
48 細い曲げ枢軸
49 上方の可動平行脚部
50 下方の可動平行脚部
51 スペーサ部片
52 上方固定部分
53 細い曲げ枢軸
54 下方の固定部分
55 スペーサ部片
56 ねじ
57,57’ 導体部分
58,58’ 導体部分
59 電源
60 導電性コーティング
61 導電性コーティング
62 打ち抜き部
63 平行ガイド
64 可動平行脚部
65 固定平行脚部
70 可動平行脚部
71,71’,71” 平行脚部
72 固定平行脚部
73 第一のセンサー
74 第二のセンサー
75 第三のセンサー
76,76’ 導体部分
77,77’ 導体部分
78,78’ 導体部分
79,79’ 導体部分
80 信号変換器
81 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁的な力補正直接作動装置であり、
複数の構成部品を含む平行ガイド機構と、力伝達ロッド(5,44)によって力補正装置(12,43)に結合されている荷重受け部材(12,43)とを備え、前記力補正装置(12,43)は、少なくとも1つの永久磁石(9,9’)と、制御回路に電気的に接続されているコイル(11)とを含んでおり、
前記平行ガイド機構の少なくとも1つの構成部品が、電気信号を伝達する機能を有するように設計されていることを特徴とする電磁的な力補正直接作動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直接作動装置であり、
前記平行ガイド機構の構成部品が、制御回路(15,59)内に電気的に結合されており且つ電流を伝達するように機能することを特徴とする直接作動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の直接作動装置であり、
当該直接作動装置が、前記制御回路又は測定及び/又は制御回路に結合されている少なくとも1つのセンサーを更に含み、前記平行ガイド機構の構成部品は、測定及び/又は制御回路に電気的且つ/又は電子的に結合されており且つ測定及び/又は制御信号を伝達するように機能することを特徴とする直接作動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の直接作動装置であり、
前記センサーが、温度センサー、熱流センサー、圧力センサー、湿度センサー、放射線センサー若しくは加速センサーとして、又はその他の物理的若しくは化学的量の測定用センサーとして設計されていることを特徴とする直接作動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の直接作動装置であり、
前記平行ガイド機構(3,4)の構成部品が、全体的に導電性材料によって構成されていることを特徴とする直接作動装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の直接作動装置であり、
前記平行ガイド機構の構成部品(17,21)の少なくとも1つの面が、少なくとも部分的に導電性コーティング層を含んでいることを特徴とする直接作動装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の直接作動装置であり、
前記平行ガイド機構の構成部品(21)が、相互に電気的に絶縁されている少なくとも2つの導体トレースを含んでいることを特徴とする直接作動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の直接作動装置であり、
前記平行ガイド機構の構成部品が、平行脚部及び/又は平行ガイドであることを特徴とする直接作動装置。
【請求項9】
請求項8に記載の直接作動装置であり、
少なくとも1つの平行ガイド(63,71)によって相互に結合されている少なくとも1つの固定平行脚部(65,72)と、少なくとも1つの可動平行脚部(64,70)とによって平行ガイド部材が形成されていることを特徴とする直接作動装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の直接作動装置であり、
前記直接作動装置が位置標識(27)を含んでおり、前記平行ガイド機構が、少なくとも1つの上方平行ガイド部材(3)と、少なくとも1つの平行ガイド部材(4)とを含んでおり、更に、前記位置標識(27)が、前記上方平行ガイド部材(3)と前記下方平行ガイド部材(4)とのほぼ中間に配置されていることを特徴とする直接作動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の直接作動装置であって、
前記下方平行ガイド部材(4)と上方平行ガイド部材(3)とが、前記荷重受け部材(8)と力補正装置(12)との間に配置されていることを特徴とする直接作動装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の直接作動装置であって、
当該直接作動装置が、前記位置標識(27)の位置を制御する機能を果たすセンサー構造体(26)を含んでいることを特徴とする直接作動装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載の直接作動装置であって、
前記センサー構造体(26)が、前記上方平行ガイド部材(3)と下方平行ガイド部材(4)とのほぼ中間に配置されていることを特徴とする直接作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−129015(P2008−129015A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294245(P2007−294245)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland