説明

移動式放射線遮蔽容器

【目的】医療現場にて発生する放射性廃棄物5を安全に貯蔵して廃棄処理するために形成したもの或いは放射性物質5の保管用に形成した移動式放射線遮蔽容器1を提供する。
【構成】放射性廃棄物投入用の容器2又は放射性物質の保管用バケツ26を収納するための鉛等の重金属にて形成した重量の有る放射線遮蔽容器1を形成し、前記放射線遮蔽容器の上面又は側面に前記放射性廃棄物投入用容器2を挿入するための開閉用蓋4を設け、前記放射線遮蔽容器の蓋4の上面には放射性廃棄物を前記放射性廃棄物投入用容器2内に投入するための投入用孔6を設け、かつ前記投入用孔の表面を内部から発生する放射線を遮蔽する蓋7で覆うように形成したもの又は覆い部材18で覆うように形成した構造のもの或いは開閉用蓋4のみを前記容器1の上部に設けた小型の放射線遮蔽容器1を形成し、放射線遮蔽容器1の下部にはキャスタ−を取り付けて、前記放射線遮蔽容器1を移動自在に形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場にて患者の患部の検査又は放射線治療等に用いられる放射性物質の保管用として用いる容器又は不要となった放射性廃棄物5を処理するための容器として、鉛等の重金属等にて形成した放射線遮蔽容器1内に前記放射性物質保管用容器26又は放射性廃棄物5投入用容器2を収容し、前記放射線遮蔽容器1の上部に設けた上方向に開閉可能な蓋4により放射線漏れが無いように密閉する構造の場合又は前記蓋4の一部に放射性廃棄物5投入用孔6を設けて放射性廃棄物5用容器2内に放射性廃棄物5を投入して放射線漏れの無いように収容しかつ投入された放射性廃棄物5からの放射線漏れが無いように放射性廃棄物5投入用孔6を水平方向移動可能な蓋7にて速やかに開閉及び密閉出来る構造として放射線漏れを極力抑えるように形成したもの或いは投入用孔から放射線漏れの無いように投入用孔6の上部を覆いかぶさるように形成すると共に投入用孔6の下部には放射性廃棄物5を案内すると共に放射線遮蔽用の案内部材を形成した放射線遮蔽容器1を用い、前記放射性廃棄物5を放射性廃棄物を処理する作業者が直接前記放射線遮蔽容器1内に投入する事が出来るようにするとともに放射性物質又は放射性廃棄物5を収納する容器2を安全な貯蔵場所或いは廃棄処理場に手軽に移動させることが出来る移動式放射線遮蔽容器1に関するものである。
放射線治療の進歩に伴って放射性物質5を患部の検査用又は放射線照射等の医療に取り入れられるに従って従来の放射線遮蔽対策では心許ないことから近年新しい放射線遮蔽対策が考えられて来ているが一般に放射線被爆に対する危険意識が薄く被爆低減対策は余りとられていないのが現状である。また放射性物質5の放射線遮蔽対策として用いられる鉛等の重金属は重量が有るため大型の放射性廃棄用容器を取り扱うための吊り上げ移送設備等の設置は、高額の設備費用を伴うことから病院等の医療現場では敬遠されがちである。従って鉛等で形成した小型の重金属製ブロックを用いて放射性廃棄物5投入用容器の周囲に積み上げて形成した状態で放射性物質5を収納した前記容器を一定期間放置するか又は小量の放射性物質5を小型の遮蔽容器に少しずつ収容して運搬処理する程度のものしか考えられていない。しかしこれらの簡易遮蔽構造は上部が開放されているため放射線に被爆する恐れがあり、また地震などの場合忽ち崩れて前記容器が剥き出しになる場合或いは前記容器が地震で倒れた場合近辺に放射性廃棄物が散乱し放射線で汚染される危険を伴う欠点を有するものである。
また第10図に示すように鉛板或いはステンレス板或いは鋼板等の板状部材を用いて多数の仕切り板を設け、放射性廃棄物5の大小又は種類に応じて成形した複数の小型容器を収容し、それぞれの小型容器内に放射性廃棄物5の大小又は種類に応じて放射性廃棄物5を仕分けして投入し保存している。但し放射性廃棄物5は指定期間内に廃棄処理を行わなければならない規定があるため、それぞれの容器内の放射性廃棄物5は期限内に廃棄処理しなければならない必要がある。
そこで本発明は、放射性物質の保管用として用いる場合又は前記小型容器内の放射性廃棄物5を処理するために、鉛等の重金属を用いて移動式放射線遮蔽容器1を形成したものであるが、前記移動式放射線遮蔽容器1は重量物であるにもかかわらず人力で移動が可能であり、しかも放射性物質又は放射性廃棄物5の取扱い作業者の放射線被爆を防ぎしかも手軽にかつ速やかに放射性物質又は放射性廃棄物5を前記容器1内に収納し、直ちに安全な貯蔵場所或いは廃棄場所若しくは放射性物質の使用箇所等に移動して処理することができる優れた移動式放射線遮蔽容器1を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来病院等の医療現場にて患部の検査又は放射線照射治療に使用される放射性物質は簡易包装容器を用いて処理しているため搬送者又は治療担当者の放射線被爆は免れず、又使用後不要となった放射性廃棄物5の処理は、鉛等の重金属を用いて形成した重量のある放射線遮蔽容器を設置して対応する場合、現存の病院内では重量物の放射線遮蔽容器の移送及び前記放射線遮蔽容器内に放射性廃棄物を投入する際の蓋の開閉に対応出来る吊り上げ装置又は移送設備を新たに設置しなければならないが、これらの設備は高額の設備費用を伴うことから病院等の医療現場では敬遠されがちである。そのため多くの病院は鉛等の重金属で形成した小型ブロック等を用いて組み合わせ三面体或いは四面体等の簡易放射線遮蔽構造体を構成してその内部に小型容器を複数個設置し、前記小型容器内に放射性廃棄物5の不燃物、可燃物、注射針等の仕分けしたものを一時保管し、保存指定期間内に随時持ち運び可能な放射線遮蔽容器に移し変えるか又はそのまま少量の放射性廃棄物5を移送して廃棄処理しているのが現状である。
従って前記簡易包装容器又は簡易放射線遮蔽構造体では放射性物質又は放射性廃棄物5の移送処理を少量づつしか対応できず放射性廃棄物5の処理に多大の移送手間と処理時間を要する欠点を要し、またそれらの放射性物質又は放射性廃棄物5の貯蔵時及び移送又は移し替え作業の際に放射性物質又は放射性廃棄物5から放射されている放射線の完全遮蔽は困難であり移送処理又は移し替え作業時において放射性物質又は放射性廃棄物5を取扱う作業者が放射線に被爆する恐れが極めて大きい。従って放射性物質の取扱時又は放射性廃棄物5の移し替え作業時に作業者が放射線に被爆されないよう細心の注意を払って作業を行わなければならない等の煩わしさを有し、また震度5以上の地震が発生した場合、上記のようなブロック積み上げ構造の簡易放射線遮蔽構造では地震発生と同時に忽ちブロックが崩れて放射性廃棄物5を収納した容器が剥き出しとなる場合或いは容器が崩れたブロックに押し倒された場合には容器内の放射性廃棄物5がその近辺に散乱し、貯蔵場所が放射線で汚染される危険性が大である等多くの欠点を有するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上述した従来の欠点を改善し、鉛等の重金属にて形成した重量の有る放射線遮蔽容器1にも拘らず前記容器1内に挿入した放射性物質の保管又は放射性廃棄物5の投入操作が極めて容易でかつ速やかに行えるので放射線漏れが少なくてすみ放射線被爆の恐れが極めて少ない利点を有し、更に放射性物質又は放射性廃棄物5を収容した放射線遮蔽容器1の移動が手軽でかつ速やかに所要箇所に移動することが出来る特徴を有する優れた移動式放射線遮蔽容器1を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の移動式放射線遮蔽容器1は、放射性廃棄物5投入用の容器2を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器1において、前記放射線遮蔽容器1の上面3には一端を支持されて上下方向に開閉可能に設けた蓋4を形成し、さらに前記蓋4には前記放射性廃棄物5投入用容器2内に前記放射性廃棄物5を投入するための半円形又は円形又は角型の投入用孔6を設け、前記放射性廃棄物5投入用の半円形又は円形又は角形の投入用孔6を塞ぐ半円形又は円形又は角形の蓋7を案内装置8を介して水平方向に移動開閉可能に設け、前記放射線遮蔽容器1の下部9にはキャスタ−10をを3ヵ所以上取り付けて前記放射線遮蔽容器1を移動可能に形成したことを特徴とし、請求項2の発明は、放射性廃棄物5投入用の容器2を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器1において、前記放射線遮蔽容器1の上面3に前記放射性廃棄物投入用容器2内に前記放射性廃棄物5を投入するための半円形又は円形又は角形の投入用孔6を設け、前記放射性廃棄物5投入用の半円形又は円形又は角形の投入用孔6を塞ぐ半円形又は円形又は角型の蓋7を案内装置8を介して水平方向に移動開閉可能に設け、前記放射性廃棄物5投入用容器2を側面から収納するために、前記放射線遮蔽容器1の側面には一端を支持された片開きの扉11又は両端を支持された両開きの扉11を設け、前記放射線遮蔽容器1の下部9にはキャスタ−10を3ヵ所以上取り付けて前記放射線遮蔽容器1を移動可能に形成したことを特徴とし、請求項3の発明は、放射性廃棄物5投入用の容器2を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器1において、前記放射線遮蔽容器1の上面に前記廃棄物5投入用容器2内に前記廃棄物5を投入するための半円形又は円形又は角形の投入用孔6を設け、前記廃棄物5投入用の半円形又は円形又は角形の投入用孔6を塞ぐ半円形又は円形又は角形の蓋7を案内装置8を介して水平方向に移動開閉可能に設け、前記廃棄物5投入用容器2を側面から収納するために、前記放射線遮蔽容器1の側面には前記廃棄物5投入用容器2を挿入するための挿入口24を設け、前記放射線遮蔽容器1の内面25には前記挿入口24を開閉するための回転式扉23を設け、前記放射線遮蔽容器1の下部9にはキャスタ−10を3ヵ所以上取り付けて前記放射線遮蔽容器1を移動可能に形成したことを特徴とし、請求項4の発明は、前記案内装置8は放射線遮蔽容器1の上面に設けた放射性廃棄物投入用孔6の両側に二本のレ−ル12を敷設し、前記投入孔6を塞ぐ蓋7の両端に前記レ−ル12に対応する跨ぎ部材13を設け、前記跨ぎ部材13を前記レ−ルに係合させて蓋7を移動させるように形成したことを特徴とし、請求項5の発明は、前記二本のレ−ル12のそれぞれの中心線上に前記跨ぎ部材13との接触部14の摩擦を滑らかにするためのボ−ル15を所要箇所配設したことを特徴とし、請求項6の発明は、前記跨ぎ部材13には前記レ−ル12上を滑らかに移動するためのロ−ルを設けたことを特徴とし、請求項7の発明は、前記移動式放射線遮蔽容器1の下部9には前記容器1の移動防止用アジャスタパット16をを設けたことを特徴とし、請求項8の発明は、前記放射線遮蔽容器1の蓋4に設けた放射性廃棄物5投入用孔6の下部には前記放射性廃棄物5投入用及び内部から発生する放射線遮蔽用の投入用案内部材17を設けたことを特徴とし、請求項9の発明は、放射性廃棄物投入用容器2を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器1において、前記放射線遮蔽容器1の上面には前記放射性廃棄物5を投入するための半円形又は円形又は角形の投入用孔6を設け、前記投入用孔6の上面には投入された放射性廃棄物5から放射される放射線を遮蔽するとともに放射性廃棄物5案内用の覆い部材18を設け、前記投入用孔6の下部には投入された放射性廃棄物5を放射性廃棄物投入用容器2内に案内するとともに投入された放射性廃棄物5から放射される放射線を遮蔽するための放射性廃棄物5投入用案内部材17を設けたことを特徴とし、請求項10の発明は、円形又は角形に形成した重金属製放射線遮蔽容器において、前記放射線遮蔽容器1の内部には放射性物質保管用又は放射性廃棄物5投入用のバケツ等からなる容器26を収納し、前記放射線遮蔽容器1の上面には一端を支持されて上下方向に開閉可能な蓋4を形成し、かつ前記蓋4の両側面には蓋4の開閉操作を補助するガススプリング20を設け、前記放射線遮蔽容器1の下部を手押し車27の上面に固定して移動可能に形成したことを特徴とする移動式放射線遮蔽容器1に関するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は上記のように、放射性物質保管用のバケツ等の容器26又は放射線廃棄物5投入用容器2を収納する鉛等の重金属製移動式放射線遮蔽容器1てあって、前記容器1の上面には上下方向に開閉可能な蓋4を設けて前記容器1を密閉するように形成し、又前記蓋4には放射性廃棄物5投入用孔6を設けてその上部には放射線漏れを防止するための水平方向に開閉自在の蓋7又は覆い部材18を設け、更に前記投入用孔6の下部には放射性廃棄物5投入用の案内部材17を設けて放射性廃棄物5を前記放射線遮蔽容器1内に設けた放射性廃棄物5投入用容器2内に投入するように形成し、さらに放射性廃棄物を取扱う作業者が放射性廃棄物5から発生する放射線に被爆されないように放射線を遮蔽しつつ安全に投入出来るように投入用案内部材17を形成するとともに前記放射線遮蔽容器1の下部にはキャスタ−10を設けて前記放射線遮蔽容器1を移動自在に形成し、前記鉛等の重金属で形成した移動式放射線遮蔽容器1内の容器26に収納された放射性物質の保管及び出入れの際又は放射性廃棄物5投入用容器2内に放射性廃棄物5を投入するに際し、前記放射性物質又は放射性廃棄物5から放射される放射線に取扱い作業者が被爆されないように前記移動式放射線遮蔽容器1を形成しているので、重量のある移動式放射線遮蔽容器1にもかかわらず放射性物質の保管及び医療現場への出向処置が簡便に行え、又放射性廃棄物5が発生する医療現場の近くに設けた廃棄物貯蔵場所に前記移動式放射線遮蔽容器1を設置し、放射性廃棄物5を取り扱う作業者が簡易容器内の放射性廃棄物を前記移動式放射線遮蔽容器1内に廃棄するか或いは直接作業者が前記移動式放射線遮蔽容器1内に放射性廃棄物5を投入する事が可能であり、また医療現場の近くに放射性廃棄物5の貯蔵場所を設置出来ない場合においても別の場所に設けられた簡易貯蔵場所に貯蔵された放射性廃棄物5の近辺に移動式放射線遮蔽容器1を移動して近付けることが出来るので、放射性廃棄物5の投入作業を速やかにかつ安全に行うことが出来るため放射性廃棄物5取扱い作業者の飛躍的な作業性向上が得られ、更に前記容器1内に放射性廃棄物5を投入するに際しいずれの場合も放射性廃棄物5を前記投入用容器2内に速やかにかつ安全に投入出来るので放射性廃棄物5の投入作業にたづさわる作業者を放射線から保護し、さらに医療処置者及び廃棄作業者の放射線被爆量が極めて少なくて済むとともに前記容器1内への放射線廃棄物5投入が終了すると直ちに安全な貯蔵場所或いは廃棄場所に移動出来る等多くの優れた効果を有するものである。
【発明の実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の移動式放射線遮蔽容器1は、放射性物質保管用容器26又は放射性廃棄物投入用容器2を上面或いは側面より挿入して前記放射線遮蔽容器1の内部に収納し、前記放射性物質を医療用として用いる場合又は医療現場にて発生する放射性廃棄物5を前記放射性廃棄物5投入用容器2内に投入して所要箇所に移送するための鉛等で形成した重金属製放射線遮蔽容器1であって、前記放射線遮蔽容器1の上面には上下に開閉する蓋4を設けた小型の放射線遮蔽容器1を放射性物質の保管用に使用する場合、又前記蓋4には放射性廃棄物5を上部から投入するための投入用孔6を設け、前記孔6の上部には前記孔6から漏れる放射線を鉛等の重金属を用いて放射線遮蔽機能を具備させるとともに水平方向に開閉移動可能に形成した蓋7を用いて前記孔6を塞ぐように形成し前記容器1内に収納されている前記容器2又はバケツ等の容器26から漏れ出る放射線を遮蔽するように構成する場合或いは前記孔6の上部には鉛等の重金属で形成した覆い部材18を設けて前記同様内部から漏れ出る放射線を遮蔽するように形成し、更に前記蓋4の下部には前記容器2内に投入される放射性廃棄物5を案内するとともに投入された放射性廃棄物5から発生する放射線を遮蔽するために鉛等で形成した重金属製案内部材17を設け、前記放射線遮蔽容器1の下部9にはキャスタ−10を3ヵ所以上設けて人力により簡便に移動出来るように形成した移動式放射線遮蔽容器1である。
【実施例】
【0007】
以下、図面に基づき、本発明の実施例にについて更に詳しく説明すると、図1〜図9は、本発明に係わる移動式放射線遮蔽容器1に関する説明図であり、図1は移動式放射線遮蔽容器1の第1実施例を示す組立断面図を示し、図2は図1の平面図を示し、図3は図1の側面図を示し、図4は図1に示す投入用孔6の第2実施例を示す断面図を示し、図5は放射線遮蔽容器1の側面に回転式扉23を設けた状態の側断面図を示し、図6は図5のX−X断面図を示し、図7は移動式放射線遮蔽容器1の第2実施例を示す側断面図、図8は図7の側面図、図9は図7の平面図、図10は放射性廃棄物を小型の容器に仕分けをする状態の斜視図である。
【0008】
本発明の移動式放射線遮蔽容器1について図1から図6に示す第1実施例に基づき具体的に説明すると、本発明の第1実施例は図1から図3に示され、一列として市販の円形ドラム或いは日本アイソト−プ協会仕様の円筒状放射性廃棄物5投入用容器2を本発明の移動式放射線遮蔽容器1の内部に収納して放射性廃棄物5から発生する放射線を遮蔽して外部に漏れないようにするために前記移動式放射線遮蔽容器1は鉛等の重金属を用いて円形又は角形の放射線遮蔽用容器1を形成したものである。なお前記容器1に用いている鉛等の重金属は強度的に弱いので鋼板等の材料でその周囲を補強して放射線遮蔽容器1を構成している。
さらに前記移動式放射線遮蔽容器1は前述のように鉛等の重金属で形成しているために総重量が500乃至600キログラム程度にもなるので容器本体の持ち運びが大変なことから前記容器1の下部にキャスタ−10を3ヵ所以上取り付け、さらに側面の任意の箇所に移送用のハンドル22を取り付けて前記容器1の移動が楽なように形成している。但し重量がある移動式放射線遮蔽容器1なので傾斜面に設置した場合放射線遮蔽容器1自体が勝手に移動してしまう恐れがあるので滑り止め用アジャスタパット23をキャスタ−10の近辺に設けて前記容器1が勝手に移動するのを防止するように形成している。
前記放射線遮蔽容器1の上部3には一端を軸21で支持され上下方向に開閉される蓋4を設け、前記蓋4を上方に開放することにより前記放射性廃棄物用容器2を上部から前記放射線遮蔽容器1内に収納出来るように形成している。
さらに前記蓋4には前記放射線遮蔽容器1内に収納された放射性廃棄物用容器2内に放射性廃棄物5を投入するために半円形又は円形又は角形に形成した投入用孔6を設けている。なお前記投入用孔6を開放したままでは前記放射性廃棄物用容器2内に投入された放射性廃棄物5から発生する放射線が前記孔6から漏れるため前記投入用孔6の上面に鉛等の重金属製蓋7を水平方向に移動させて開閉するように形成している。しかし前記蓋7は鉛等の重量物で形成しているため動きづらいので前記蓋7の両側に移動用案内装置を設けている。前記案内装置は前記蓋4の上面に敷設された2本のレ−ル12と前記蓋7の両端に取り付けた跨ぎ部材13とから構成されている。前記レ−ル12の中心線上には前記跨ぎ部材13との接触滑動を良くするためにボ−ル18を複数カ所埋め込んでいる。なお前記ボ−ルに変えて跨ぎ部材にロ−ル19を取り付けレ−ル12上を滑動させるように形成しても良い。
前記移動式放射線遮蔽容器1の蓋4は前記容器1の側壁面と同様に放射性廃棄物5から発生する放射線を遮蔽する目的で鉛等の重金属で形成しているため蓋4自体も100キログラム程度の重量があり放射性廃棄物5投入用容器2の出し入れの際の蓋4の上下開閉操作が極めて困難なことから蓋4の両側にガススプリング20を取り付け前記蓋4に常時上向きの圧力を加えて前記蓋4の上下開閉操作を補助するように設けている。
また移動式放射線遮蔽容器1内に収納した放射性廃棄物5投入用容器2を上部から出し入れする際に上部に障害物があって出し入れ不能の場合もあり得るので前記移動式放射線遮蔽容器1の側壁面に片開き扉11或いは両開きの扉11設けるか或いは図5及び図6に示すような回転扉23を設けて側面から放射性廃棄物用容器2を小型のフオ−クリフト等を用いて側面から出し入れ出来るように構成してもよい。
第1実施例の移動式放射線遮蔽容器1は上記のように蓋4に水平方向に移動可能な蓋7を設けて投入用孔6を塞ぐように形成しているが、図4に示すような前記投入用孔6の第2実施例では前記蓋4に設けた投入用孔6の上面に前記投入用孔6を覆うように覆い部材18を設け、さらに前記投入用孔6の下部には放射性廃棄物5を前記容器2内に投入する際の投入用案内部材17を設けている。この覆い部材18と前記案内部材17は鉛等の重金属で形成して容器2内に投入された放射性廃棄物5から発生する放射線が投入用孔6から外部に漏洩しないように形成しているものである。なお前記投入用孔6の第2実施例では投入用孔6の内外で案内部材17と覆い部材18をくの字に形成してあり、これは放射線が外部に漏れないようにするとともに放射性廃棄物5を安全に放射性廃棄物容器2内に投入出来るように形成したものである。
【0009】
第2実施例の移動式放射線遮蔽容器1は、図7から図9に示されているとおり、おもに医療現場にて用いられる放射性物質の保管及び処置室又は病室にで使用の際に手元に置いて患者の患部の処置が可能な放射線遮蔽容器1として用いられるものであり、第1実施例に示される大型の放射線遮蔽容器1に比べて全体的に小型に形成されたものである。
前記放射線遮蔽容器1は、鉛等の重金属を用いて円形又は角型の容器1が形成されている。第1実施例と同様に鉛等の重金属は強度的に弱いのでその周囲を鋼板で補強されている。上面には一端が支持されて上下に開閉可能な蓋4が取付けられている。前記遮蔽容器1の内部には鉛等の重金属を内張りした鋼製バケツ等の容器26が収納されていて、その内部には放射線検査又は放射線治療に用いられるおもに強力な放射線を発する放射性物質が保管される。前記蓋4の両側面には第1実施例と同様に蓋4を支持して開閉操作がが楽に行えるようにガススプリング20を設けてあり、前記容器1内の放射性物質5の出し入れを迅速に行えるように形成している。
また前記遮蔽容器1の下部を手押し車27の上面に固定し、前記遮蔽容器1をいつでも所望の位置例えば医療処置室或いは病室等に移動して患者の処置が出来るように移動式放射線遮蔽容器1を形成したものである。
【0010】
以上述べたように本発明になる鉛等の重金属製移動式放射線遮蔽容器1は、前記移動式放射線遮蔽容器1の上面に蓋4を設け、更に放射性廃棄物5投入用孔6を設けてその上部には放射線漏れを防止するための水平方向開閉自在の蓋7又は覆い部材18を設け、また前記投入用孔6の下部には放射性廃棄物5投入用の案内部材17を設けて放射性廃棄物5を前記放射線遮蔽容器1内に収納した放射性廃棄物投入用容器2内に投入するように形成したもの或いは小型の移動式放射線遮蔽容器1を形成して主に放射性物質の保管用に用いるために形成し、さらに放射性物質又は放射性廃棄物5を処理する作業者が放射性物質又は放射性廃棄物5から発生する放射線に被爆されないように放射線を遮蔽しつつ安全に保管又は投入出来るように形成するとともに前記放射線遮蔽容器1の下部にはキャスタ−10を設けて前記放射線遮蔽容器1を移動自在に形成し、前記移動式放射線遮蔽容器1内に収納された放射性物質の保管及び出入れ操作の際又は放射性廃棄物投入用容器2内に放射性廃棄物5の投入操作を行う際に、前記放射性物質又は放射性廃棄物5から放射される放射線に作業者が被爆されないように移動式放射線遮蔽容器1を形成しているので、重量のある移動式放射線遮蔽容器1にもかかわらず放射性廃棄物5が発生する医療現場の近くに設けた放射性物質の保管場所又は放射性廃棄物5の貯蔵場所に前記移動式放射線遮蔽容器1を設置し、直接作業者が前記放射性物質の保管及び出入れ操作又は前記放射性廃棄物5を前記移動式放射線遮蔽容器1内に投入する事が可能であり、また医療現場近くに放射性廃棄物5の貯蔵場所を設置出来ない場合においても別の場所に設けられた貯蔵場所に貯蔵された放射性廃棄物5の近辺に移動式放射線遮蔽容器1を移動して近づけ投入作業を行うことが出来るので放射性物質又は放射性廃棄物5取り扱い作業者の飛躍的な作業性向上が得られ、更に前記移動式放射線遮蔽容器1内に放射性物質の保管及び出入れ操作の際又は放射性廃棄物5の投入操作の際に放射性廃棄物5を前記移動式放射線遮蔽容器1内に速やかにかつ安全に保管又は投入する事が出来るので放射性物質の保管及び放射性廃棄物5の投入作業にたづさわる作業者を放射線から保護し、更に作業従事者の放射線被爆量が極めて少なくて済むとともに前記移動式放射線遮蔽容器1内への放射性廃棄物5の投入が終了すると直ちに安全な貯蔵場所或いは廃棄場所に移動することが出来る等多くの優れた効果を有する移動式放射線遮蔽容器1である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明に係わる移動式放射線遮蔽容器1の組立断面図。
【図2】 図1の平面図。
【図3】 図1の側面図。
【図4】 図1に示す投入用口6の第2実施例を示す側断面図。
【図5】 移動式放射線遮蔽容器1の側面に回転式扉23を取付けた状態の側断面図。
【図6】 図5のX−X断面図。
【図7】 第2実施例を示す側断面図。
【図8】 図7の側面図。
【図9】 図7の平面図。
【図10】 従来方式の放射性廃棄物収納容器の斜視図。
【符号の説明】
【0012】
1.移動式放射線遮蔽容器
2.廃棄物投入用容器
3.移動式放射線遮蔽容器の上面
4.移動式放射線遮蔽容器の蓋
5.放射性廃棄物
6.投入用孔
7.投入用孔6の蓋
8.蓋7の案内装置
9.放射線遮蔽容器1の下部
10.キャスタ−
11.容器1の側面に設けた扉
12.案内装置のレ−ル
13.レ−ル12に対応する跨ぎ部材
14.跨ぎ部材13に接触するレ−ル12の上面
15.レ−ル12上面に埋め込んだボ−ル
16.アジャスタパット
17,廃棄物投入用案内部材
18,覆い部材
19,跨ぎ部材に取り付けたロ−ル
20,ガススプリング
21,蓋4の支点
22,ハンドル
23,回転扉
24,挿入口
25,放射線遮蔽容器1の内面
26,バケツ等の容器
27,手押し車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物投入用の容器を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器において、前記放射線遮蔽容器の上面には一端を支持されて上下方向に開閉可能に設けた蓋を形成し、さらに前記蓋の上面には前記廃棄物投入用容器内に前記廃棄物を投入するための半円形又は円形又は角形に形成した投入用孔を設け、前記廃棄物投入用の半円形又は円形又は角形の投入用孔を塞ぐ半円形又は円形又は角形の蓋を案内装置を介して水平方向に移動開閉可能に設け、前記放射線遮蔽容器の下部にはキャスタ−を3カ所以上取り付けて面記放射線遮蔽容器を移動可能に形成したことを特徴とする移動式放射線遮蔽容器。
【請求項2】
放射性廃棄物投入用の容器を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器において、前記放射線遮蔽容器の上面に前記廃棄物投入用容器内に前記廃棄物を投入するための半円形又は円形又は角形に形成した投入用孔を設け、前記廃棄物投入用の半円形又は円形又は角形の投入用孔を塞ぐ半円形又は円形又は角形の蓋を案内装置を介して水平方向に移動開閉可能に設け、前記廃棄物投入用容器を側面から収納するために、前記放射線遮蔽容器の側面には一端を支持された片開きの扉又は両端を支持された両開きの扉を設け、前記放射線遮蔽容器の下部にはキャスタ−を3カ所以上取り付けて前記放射線遮蔽容器を移動可能に形成したことを特徴とする移動式放射線遮蔽容器。
【請求項3】
放射性廃棄物投入用の容器を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器において、前記放射線遮蔽容器の上面に前記廃棄物投入用容器内に前記廃棄物を投入するための半円形又は円形又は角形に形成した投入用孔を設け、前記廃棄物投入用の半円形又は円形又は角形の投入用孔を塞ぐ半円形又は円形又は角形の蓋を案内装置を介して水平方向に移動開閉可能に設け、前記廃棄物投入用容器を側面から収納するために、前記放射線遮蔽容器の側面には前記廃棄物投入容器を挿入するための挿入口を設け、前記放射線遮蔽容器の内面には前記挿入口を開閉するための回転式扉を設け、前記放射線遮蔽容器の下部にはキャスタ−を3カ所以上取り付けて前記放射線遮蔽容器を移動可能に形成したことを特徴とする移動式放射線遮蔽容器。
【請求項4】
前記案内装置は放射線遮蔽容器の蓋の上面に設けた前記廃棄物投入用孔の両側に二本のレ−ルを敷設し、前記投入用孔を塞ぐ蓋の両端に前記レ−ルに対応する跨ぎ部材を設け、前記跨ぎ部材を前記レ−ルに係合させて蓋を移動させるように形成したことを特徴とする請求項1及び2に記載の移動式放射線遮蔽容器。
【請求項5】
前記二本のレ−ルのそれぞれの中心線上に前記跨ぎ部材との接触部の摩擦を滑らかにするためのボ−ルを所要箇所配設したことを特徴とする請求項1及び2及び3に記載の移動式放射線遮蔽容器。
【請求項6】
前記跨ぎ部材には前記レ−ル上を滑らかに移動するためのロ−ルを設けたことを特徴とする請求項1及び2及び3及び4に記載の移動式放射線遮蔽容器。
【請求項7】
前記移動式放射線遮蔽容器の下面に前記容器の移動防止用アジャスタパットを設けたことを特徴とする請求項1および2に記載の移動式放射線遮蔽容器。
【請求項8】
前記放射線遮蔽容器の上面に設けた投入用孔の下部には前記廃棄物投入用及び内部から発生する放射線遮蔽用の投入用案内部材を設けたことを特徴とする請求項1及び2に記載の移動式放射線遮蔽容器。
【請求項9】
放射性廃棄物投入用の容器を収納するための円形又は角形に形成した鉛等の重金属製放射線遮蔽容器において、前記放射線遮蔽容器の上面には前記放射線廃棄物を投入するための半円形又は円形又は角形に形成した投入用孔を設け、前記投入用孔の上面には投入された廃棄物から放射される放射線を遮蔽するとともに廃棄物案内用の覆い部材を設け、前記投入用孔の下部には投入された廃棄物を廃棄物用容器内に案内するとともに廃棄された放射性廃棄物から放射される放射線を遮蔽するための廃棄物投入用案内部材を形成したことを特徴とする移動式放射線遮蔽容器。
【請求項10】
円形又は角形に形成した重金属製放射線遮蔽容器において、前記放射線遮蔽容器の内部には放射性物質保管用又は放射性廃棄物保管用のバケツ等からなる容器を収納し、前記放射線遮蔽容器の上面には一端を支持されて上下方向に開閉可能に設けた蓋を形成し、かつ前記蓋の両側面には蓋の開閉操作を補助するガススプリングを設け、前記放射線遮蔽容器の下部を手押し車の上面に固定して移動可能に形成したことを特徴とする移動式放射線遮蔽容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−147580(P2007−147580A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381176(P2005−381176)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(593127647)大阪化工株式会社 (8)