説明

移動用カートの改装方法

【課題】移動用カートを短期間で廃棄することなく、リニューアルして長期に渡って良好に使用できるようにする移動用カートの改装方法を提供する。
【解決手段】骨組みを構成する車体フレーム20と、該車体フレーム20に取付けられ、外観を構成する外装部品30と、前記車体フレーム20に取付けられ、人が搭乗するための乗車設備を構成する内装部品50とを備えた移動用カート10の改装方法であって、車体フレーム10から外装部品30及び内装部品50を取り外す内外装部品取外し工程と、車体フレーム20を補修する車体フレーム補修工程と、外装部品30を補修する外装部品補修工程と、内装部品50を補修する内装部品補修工程と、車体フレーム20に外装部品30及び内装部品50を組み付ける内外装部品組付け工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用カートの改装方法に関するものであり、詳しくは、レジャー施設等の特定施設内で人が移動したり荷物を搬送するために用いられる移動用カートの改装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場、遊園地、テーマパーク等のレジャー施設、ショッピングセンター、アウトレットモール等の大規模商業施設、工場、病院、学校、ホテル、空港、港湾等の各種施設といった、公道とは異なる限られた特定施設内にて使用される移動用カートがある。ここで、移動用カートは、特定施設を利用する客が移動するため、特定施設の職員が移動するため、特定施設内にて客や荷物を搬送するため等に用いられるものである。また、このような特定施設で用いられる移動用カートは、公道を走行する乗用車(以下、単に「乗用車」という)とは異なり、簡易な構造となっている。
【0003】
例えば、一般的な乗用車は、構造体としての十分な剛性を確保するための基体となる部分が、シャーシ及びこのシャーシに搭載されたボディによって形成されている。ここで、シャーシは、車輪を懸架すると共に骨組みを構成するものであり、ボディは、乗用車としての外側形状及び内側形状の主要部分を構成すると共に、車輪を駆動する駆動装置、車輪を制動する制動装置、車輪を操舵する操舵装置等の各種の動力系機器を搭載するものである。
【0004】
これに対して、移動用カートでは、基体となる部分が、骨組みを構成する車体フレームによって形成されており、この車体フレームに、各種の動力系機器が搭載され、外観を構成する外装パネル等の外装部品や、人が搭乗するための乗車設備を構成する座席等の内装部品が取付けられた構造となっている。
【0005】
上記背景技術は、一般的になされている事項であり、本願出願人は、出願時において、この背景技術が記載された文献を特に知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、移動用カートは、乗用車とは異なり、法的な点検整備が義務付けられておらず、その点検整備は、レジャー施設の管理者により、任意に行われている。そして、外装部品や内装部品に汚れや損傷を生じた場合には、その都度、補修が行われている。しかしながら、使用によって外装部品や内装部品に多大な汚れや損傷が生じた移動用カートは、一般的に、補修が行われることなく、廃棄されているのが現状である。よって、移動用カートが短期間で廃棄されることがあり、廃棄物となった移動用カートにより産業廃棄物が増加して、環境を悪化させる要因となることがあった。
【0007】
なお、多大な汚れや損傷が生じた外装部品や内装部品を、部分的に補修したり、部分的に新たなものと取り換えることで改装、所謂「リニューアル」し、新品の移動用カートのような外観を再現して、これにより古い移動用カートを有効利用することも単に想定できる。しかしながら、外装部品や内装部品を部分的に補修したり新しいものに取り換えたりしても、基体部分を形成する車体フレームに、多大な破損や変形等、大きな不具合が生じていると、リニューアルした移動用カートが直ぐに使用できなくなってしまう。よって、古い移動用カートをただ単にリニューアルするだけでは、外装部品や内装部品の折角の補修が無駄になってしまう虞があり、換言すれば、大切な資源の無駄使いとなる虞があり、環境への配慮が不十分であるため、好適ではない。
【0008】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、移動用カートを短期間で廃棄することなく、リニューアルして長期に渡って良好に使用できるようにする移動用カートの改装方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「骨組みを構成する車体フレームと、該車体フレームに取付けられ、外観を構成する外装部品と、前記車体フレームに取付けられ、人が搭乗するための乗車設備を構成する内装部品とを備えた移動用カートの改装方法であって、
車体フレームから外装部品及び内装部品を取り外す内外装部品取外し工程と、
外装部品及び内装部品が取り外された車体フレームを補修する車体フレーム補修工程と、
車体フレームから取り外された外装部品を補修する外装部品補修工程と、
車体フレームから取り外された内装部品を補修する内装部品補修工程と、
補修した車体フレームに、夫々補修した外装部品及び内装部品を組み付ける内外装部品組付け工程と
を備えることを特徴とする移動用カートの改装方法」
である。
【0010】
ここで、「補修」とは、少なくとも点検作業を含み、点検の対象となる機器に、汚れ、塗装剥れ、錆付き、損傷等の不具合が生じていた場合には、清掃、再塗装、錆落とし、損傷箇所の修理を行ったり、機器そのものや、機器を構成する適宜の部材を新たなものに取り換えたりすることである。
【0011】
上記構成の移動用カートの改装方法では、車体フレーム補修工程にて、構造体としての十分な剛性を確保するための基体となる車体フレームに対して補修が行われる。よって、車体フレームに、多大な破損や変形等、そのままでは良好に再使用できない大きな不具合が生じている場合に、車体フレーム補修工程によって、この不具合が解消される。また、車体フレームの補修は、外装部品及び内装部品が取り外された状態で行われるため、補修は容易であり、車体フレームは、適確に補修される。
【0012】
また、外装部品補修工程及び内装部品補修工程にて、外装部品及び内装部品についても補修が行われるのであるが、外装部品及び内装部品は、夫々、車体フレームから取り外された状態で補修が行われるため、適確に補修される。
【0013】
従って、上記構成の改装方法によれば、長期に渡って使用可能な移動用カートの良好なリニューアルを実現することができる。
【0014】
なお、乗用車では、基体部分を形成するシャーシ及びボディを補修しようとすると、ボディに取付けられた外装部品、内装部品、動力系機器、或いは、ヘッドライトやテールライト等の各種の電気系機器、ドアやボンネット等の構造部品、室内を装飾するフロア材や内装材等、種々の部材をボディから取り外した上で、さらに、シャーシーからボディを取り外してシャーシ及びボディを個別に補修しなければならず、その作業は、大掛かりで煩雑となる。
【0015】
これに対して、移動用カートは、上述したように乗用車に比して簡易な構造であるため、車体フレームを補修することは容易である。よって、乗用車とは異なり、簡易な作業によって、上記改装方法を実現することができる。
【0016】
上述した手段において、
「前記車体フレーム補修工程において車体フレームの点検を行った後に、前記外装部品補修工程及び前記内装部品補修工程を行うことを特徴とする移動用カートの改装方法」
としてもよい。
【0017】
車体フレームに補修不能な致命的な不具合が生じている場合には、外装部品や内装部品を補修したとしても、その移動用カートをリニューアルして有効利用することができず、外装部品や内装部品の補修が無駄になってしまう。
【0018】
そこで、上記構成の移動用カートの改装方法では、車体フレームの点検を行った後に、外装部品補修工程及び内装部品補修工程を行うこととする。これにより、車体フレームに致命的な不具合が生じている移動用カートについて、無駄な作業が行われることを防止することができる。また、資源の無駄使いを防止することもできる。
【0019】
なお、同種の複数の移動用カートを改装する場合には、車体フレームが使用できない移動用カートにおける車体フレーム以外の適宜部品を保管しておき、他の移動用カートの部品として、再利用することとしてもよい。このようにすることで、限りある資源の有効利用を促進することができる。
【0020】
上述した手段において、
「前記外装部品補修工程及び前記内装部品補修工程を並行して行うことを特徴とする移動用カートの改装方法」
としてもよい。
【0021】
外装部品補修工程及び内装部品補修工程を並行して行うことで、移動用カートを改装するために要する全体の時間を短縮することができる。
【0022】
上述した手段において、
「前記外装部品は、フロントウインドウを含むものであり、
前記外装部品補修工程では、前記フロントウインドウの上部または下部の少なくとも一方の全幅に渡って、不透明の塗料を塗布するか或いは不透明のシートを貼着することで帯状の模様を形成することを特徴とする移動用カートの改装方法」
としてもよい。
【0023】
フロンウインドウは、風防を構成するものであり、透明な樹脂やガラス等により形成されているのであるが、古い移動用カートでは、長年の使用によりフロントウインドウに傷が生じている場合がある。このような場合には、フロントウインドウの傷を研磨によって除去すれば良いのであるが、傷を完全に除去して、フロントウインドウを新品の状態に戻すことは困難である。
【0024】
そこで、上記構成の移動用カートの改装方法では、フロントウインドウの上部または下部の少なくとも一方の全幅に渡って、不透明の塗料を塗布するか或いは不透明のシートを貼着することで、帯状の模様を形成することとする。このようにすることで、上部または下部の帯状の模様がアクセントとなり、フロントウインドウに多少の傷が残っていたとしても、この傷が目立ち難くなる。よって、フロントウインドウの傷を完全に除去することができなくても、あたかも新品のフロントウインドウの如き外観を得ることができる。
【0025】
特に、フロントウインドウが、樹脂により形成されている場合には、長年の使用によって傷が生じているばかりでなく、紫外線による変色、具体的には黄ばみが生じていることがあるが、補修によって黄ばみを除去することは困難である。よって、フロントウインドウが樹脂により形成されている場合に上記構成の改装方法を適用することは、黄ばみを目立ち難くすることができることから効果的である。
【発明の効果】
【0026】
上述した通り、本発明に係る移動用カートの改装方法よれば、移動用カートを短期間で廃棄することなく、リニューアルして長期に渡って良好に使用できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る移動用カートの改装方法の実施形態としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。なお、本例では、移動用カートとして、ゴルフ場で使用されるものであり、4人乗りで、少雨の時でも使用可能なように屋根を備え、ゴルフバックを搭載できる荷台を備え、さらに、フロントウインドウがポリカーボネート等の剛性に優れた材質により形成されたタイプを示すが、本発明に係る改装方法は、このようなタイプの移動用カートに限らず、他の種々の特定施設で使用される他のタイプの移動用カートの改装方法として採用することができるものである。
【0028】
まず移動用カートの詳細を説明する。図1及び図2に示すように、移動用カート10は、骨組みを構成する車体フレーム20と、車体フレーム20に取付けられ、外観を構成する外装部品30と、車体フレーム20に取付けられ、人が搭乗するための乗車設備を構成する内装部品50とを備えている。
【0029】
具体的に、車体フレーム20は、鋼材を枠状に溶接した溶接構造となっており、錆び止め剤や塗料が塗布されている。また、車体フレーム20には、サスペンションを介して車輪21が懸架されており、この車輪21を駆動する駆動装置22、車輪21を制動する制動装置(図示省略)、車輪21を操舵する操舵装置23等の動力系機器が搭載されている。ここで、動力源としてエンジンが用いられる移動用カート10では、上記駆動装置22が、エンジン、変速機、燃料タンク等の機器を備えるものとして構成される。一方、動力源としてモーターが用いられる移動用カート10では、上記駆動装置22が、モーター、変速機、バッテリー等の機器を備えるものとして構成される。
【0030】
外装部品30は、フロンパネル31、運転席パネル32、リアパネル33、サイドパネル34、屋根パネル35、屋根側部シート36、フロントウインドウ40、荷台フレーム37、荷台屋根シート38、荷台側部シート39等の種々の部材によって構成されている。
【0031】
ここで、フロントパネル31は、移動用カート10の前部の外観を構成するものである。運転席パネル32は、後述する前部座席51に相当する部位の外観を構成するものである。リアパネル33は、後述する後部座席52に相当する部位及び移動用カート10の後部の外観を構成するものである。サイドパネル34は、移動用カート10における前後の車輪21間の下部の外観を構成するものである。そして、これらフロントパネル31、運転席パネル32、リアパネル33及びサイドパネル34は、FRPやABS等の各種樹脂、鉄鋼やアルミニウム合金等の各種金属等、適宜の材質により形成されると共に、適宜の色で塗装されている。
【0032】
屋根パネル35は、移動用カート10の乗車空間の屋根を構成するものであり、FRPやABS等の各種樹脂、鉄鋼やアルミニウム合金等の各種金属等、適宜の材質により形成されると共に、適宜の色で塗装されている。屋根側部シート36は、屋根パネル35の左右両側に垂設されたものであり、適宜の色の樹脂シートや布シートにより形成されている。
【0033】
フロントウインドウ40は、フロントパネル31と屋根パネル35との間に配設されて風防を構成するものであり、透明なポリカーボネート等の樹脂や強化ガラス等、適宜材質により形成されている。
【0034】
荷台フレーム37、荷台屋根シート38及び荷台側部シート39は、移動用カート10後部の荷台を構成するものである。そして、荷台フレーム37は、鋼材により形成される共に、適宜の色で塗装されており、荷台屋根シート38は、不透明の樹脂シートや布シートにより形成されており、荷台側部シート39は、半透明または透明な樹脂シートや布シートにより形成されている。
【0035】
内装部品50は、前部座席51、後部座席52、フロアマット53等の種々の部材によって構成されている。
【0036】
前部座席51は、夫々、独立した運転席及び助手席の二つの座席から形成されている。後部座席52は、複数人が着座可能に幅方向に長尺状の一体的な一つの座席から形成されている。フロアマット53は、車体フレーム20の床面に貼着されたものであり、ゴルフスパイクによって踏み付けても破損し難い肉厚のゴムシートによって形成されている。
【0037】
このような移動用カート10は、長年の使用により、例えば図1に示すように、フロントウインドウ40、フロントパネル31等の外装部品30、前部座席51等の内装部品50等に、汚れ、傷、割れ、欠け、破れ等の損傷を生じる。そこで、外装部品30や内装部品50を補修することで、古い移動用カート10を改装して再利用する。次に、この古い移動用カート10の改装方法を説明する。
【0038】
まず、図2に示すように、内外装部品取外し工程にて、古い移動用カート10の車体フレーム20から、全ての外装部品30及び内装部品50を取り外して、車体フレーム20全体を露呈させる。
【0039】
次に、車体フレーム補修工程にて、車体フレーム20の補修作業を行う。ここで、まず、車体フレーム20に、多大な損傷や変形等、再利用できない致命的な不具合があるか否かの点検を行う。そして、致命的な不具合がある場合には、その移動用カート10については、それ以上の作業を進めず、改装を中止する。この時、車体フレーム20に搭載された動力系機器、取り外した外装部品30や内装部品50に再利用できそうな部材があれば、これらの部材を保管おき、他の移動用カート10の改装時に再利用してもよい。
【0040】
車体フレーム20に致命的な不具合がなければ、適宜、車体フレーム20を修理する。具体的には、車体フレーム20を構成する構成材の接合部分について、錆落としや再塗装を行う。なお、必要に応じて、構成材を追加して車体フレーム20の強度を補強したり、接合部分を再溶接して車体フレーム20の低下した強度を復元する。
【0041】
また、車輪21を懸架する前後のサスペンションについて、錆落としや再塗装を行う。さらに、駆動装置22、制動装置や操舵装置23等の動力系機器についても、点検整備を行う。例えば、エンジンを用いた駆動装置22であれば、エンジンのスチーム洗浄、スタータベルトの点検・交換、駆動ベルトの点検・交換、エアクリーナーの点検・交換、燃料フィルタの点検・交換、バッテリーの点検・交換、エンジンオイルの点検・交換、ミッションオイルの点検・交換、マフラーの錆落とし・再塗装、適宜部品の交換等を行う。ここで、エンジンを用いた駆動装置22の場合には、必要に応じて、エンジンの内部構造の点検整備を含めたオーバーホールも行う。また、車輪21については、全輪とも、新品のタイヤに交換し、制動装置については、ブレーキシューの点検・交換、ブレーキワイヤーの点検・交換を行う。
【0042】
なお、動力系機器の点検整備については、全ての機器について、車体フレーム20に取付けたままで行ってもよく、適宜の機器について、車体フレーム20から取り外して行ってもよい。
【0043】
一方、車体フレーム20の点検作業後は、取り外した外装部品30を補修する外装部品補修工程と、取り外した内装部品50を補修する内装部品補修工程とを、並行して行う。なお、外装部品補修工程及び内装部品補修工程を、上述の車体フレーム20の点検後の補修作業と並行して行うこととしてもよい。
【0044】
外装部品補修工程では、フロントパネル31や屋根パネル35等の種々のパネル材について、洗浄、損傷の修理、再塗装等を行い、必要に応じて、新品の部材に取り換える。ここで、小さな傷や割れを修理する場合には、パテ埋めをした後、再塗装すればよい。一方、割れや欠け等の大きな損傷がある場合には、パネル材における大きな損傷のある部位の裏側に補強材を固着した上で、表面からパテ埋めをして再塗装すればよい。なお、金属によって形成されたパネル材の凹みについては、叩出しによって修理することもできる。
【0045】
また、屋根側部シート36、荷台屋根シート38、荷台側部シート39等、樹脂シートにより形成された部材については、汚れや破れを補修しても、新品と同等に復元することができないため、新品の部材に交換する。
【0046】
さらに、フロントウインドウ40については、傷を研磨によって除去するのであるが、細かく内部にまで浸透した傷を完全に除去することは困難であり、紫外線によって変色した黄ばみを除去することも困難である。よって、フロントウインドウ40については、研磨によってある程度大きな傷を除去した上で、上部または下部の少なくとも一方の全幅に渡って、不透明の塗料を塗布するか、または、不透明のシートを貼着する。すなわち、フロントウインドウの上部または下部に、有色の帯状の模様(図3参照)を形成する。ここで、帯状の模様の高さ寸法は、視界を遮らない程度の寸法とする。
【0047】
内装部品補修工程では、座席の骨組みを構成する座席フレームの再塗装、使用者が着座する座部や、使用者の背中を支える背当て部における内部のクッション材の交換、座部や背当て部の外装のシート材の交換、肘掛の交換等を行う。ここで、座部、背当て部や肘掛等に、新たなシート材を張設し、これにより補修を行うこととしてもよい。この場合、座部において、古いシート材と新たなシート材との間に、新たなクッション材を介在させることとするのが好適である。何故ならば、古いクッション材が、破損していたり、十分なクッション性を有さないものとなっていても、新たなクッション材により、良好なクッション性を確保することできるからである。なお、古いシート材を、新たなシート材により被覆することで座席を補修することとすると、古いシート材や古いクッション材を座席フレームから取り外す作業を要せず、また、古いシート材や古いクッション材を破棄しなくてもよくなることから、座席の捕手作業の簡略化や、廃棄物の削減化を図ることができる。
【0048】
また、フロアマット53については、新品のものに取り換える。なお、内装部品50として、収納カゴ、収納ボックス、ゴルフ場のコース説明図の取付け台等、他の部材がある場合には、これらの部材についても、再塗装を行ったり、新品の部材に取り換える。
【0049】
以上のように車体フレーム20の補修、外装部品30の補修及び内装部品50の補修を行った後、内外装部品組付け工程にて、車体フレーム20に外装部品30及び内装部品50を組み付ける。すると、図3に示すように、古い移動用カート10がリニューアルされ、あたかも新品の移動用カート10のような外観となる。よって、古い移動用カート10を有効に再利用することができる。しかも、このようにリニューアルされた移動用カート10では、車体フレーム20に致命的な不具合が生じていないため、リニューアル後も、長期間、良好に使用することができる。
【0050】
また、上述の通りの改装方法によれば、車体フレーム20、外装部品30及び内装部品50を、夫々、相互に取り外された状態で、適確且つ確実に補修することができるため、古い移動用カート10を、新品に近い状態に復元することができる。特に、補修し難い透明なフロントウインドウ40については、上部または下部の少なくとも一方(本例では、上部及び下部の双方)に、有色の帯状の模様が形成されるため、細かい傷や黄ばみが目立ち難く、あたかも新品のような外観とすることができる。なお、この有色の帯状の模様は、濃い色合いであると、黄ばみが目立ち難く効果的であり、黒色や灰色などの黒系、青色や紺色等の青系、赤色や茶色等の赤系等、黄色を混入させない色系を採用するのが好適である。
【0051】
ところで、移動用カート10をリニューアルするに際しては、上述の通りの補修に限らず、客先の要望によりオプションとして、傘立て、側部の開放部分を覆うシート材等、新規の部材を追加したり、車体フレーム、外装部品、内装部品を構成する適宜部材について、形状を変更したり、強度を向上させたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】古い移動用カートを示す斜視図である。
【図2】車体フレームの概略を示す側面図である。
【図3】リニューアル後の移動用カートを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
10 移動用カート
20 車体フレーム
21 車輪
22 駆動装置
23 操舵装置
30 外装部品
31 フロントパネル
32 運転席パネル
33 リアパネル
34 サイドパネル
35 屋根パネル
36 屋根側部シート
37 荷台フレーム
38 荷台屋根シート
39 荷台側部シート
40 フロントウインドウ
41 模様
50 内装部品
51 前部座席
52 後部座席
53 フロアマット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨組みを構成する車体フレームと、該車体フレームに取付けられ、外観を構成する外装部品と、前記車体フレームに取付けられ、人が搭乗するための乗車設備を構成する内装部品とを備えた移動用カートの改装方法であって、
車体フレームから外装部品及び内装部品を取り外す内外装部品取外し工程と、
外装部品及び内装部品が取り外された車体フレームを補修する車体フレーム補修工程と、
車体フレームから取り外された外装部品を補修する外装部品補修工程と、
車体フレームから取り外された内装部品を補修する内装部品補修工程と、
補修した車体フレームに、夫々補修した外装部品及び内装部品を組み付ける内外装部品組付け工程と
を備えることを特徴とする移動用カートの改装方法。
【請求項2】
前記車体フレーム補修工程において車体フレームの点検を行った後に、前記外装部品補修工程及び前記内装部品補修工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動用カートの改装方法。
【請求項3】
前記外装部品補修工程及び前記内装部品補修工程を並行して行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動用カートの改装方法。
【請求項4】
前記外装部品は、フロントウインドウを含むものであり、
前記外装部品補修工程では、前記フロントウインドウの上部または下部の少なくとも一方の全幅に渡って、不透明の塗料を塗布するか或いは不透明のシートを貼着することで帯状の模様を形成することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の移動用カートの改装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−44335(P2006−44335A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225071(P2004−225071)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(500316630)株式会社ゼロスポーツ (4)
【Fターム(参考)】