説明

移動農機

【課題】デモンストレーション動作を自動で行うことによって、集客及び点検の容易な移動農機を提供する。
【解決手段】コンバインのマイコン50は、データ読出し手段51及び動作データを格納したデータ格納手段52を有し、こぎ深さ自動スイッチ46を押しながらエンジンを始動させることによって、通常モードから設定モードへと切換わる。データ格納手段52は機体各部ごとに個別に形成されており、説明者は作動箇所を適宜選択して、データ読出し手段51にデータ格納手段52から動作データを読出させる。マイコン50に読出された動作データが各種スイッチ及びセンサから入力されたとみせかけて、こぎ深さ駆動モータ56、搬送駆動モータ58、前処理昇降ソレノイド12a、オーガ旋回モータ36などのアクチュエータを制御し、機体を動作データ通りに作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の移動農機に関し、詳しくは、移動農機の動作制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンバイン、トラクタ、乗用田植え機などの移動農機は、圃場及び作業の状態に応じて、各部を制御して円滑に作業が進行するように構成され、多機能化に伴いその構造は複雑化が進んでいる。
【0003】
例えばコンバインは、穀稈の刈取りを行う前処理装置、該前処理装置によって刈取られた穀稈を脱穀する脱穀部、グレンタンクに一時的に貯留された穀粒を排出する排出オーガなどからなり、前処理装置の刈取り高さ調整、刈取られた穀稈のこぎ深さ調整、穀稈搬送の速度調整及び排出オーガの自動旋回など様々な調整ができる。上記コンバインの様々な機能は、展示会や販売店において、説明者が手動で操作しつつ実演して説明されている。
【0004】
なお、本出願人は、出願時において、上述したような移動農機の機能を説明する手法について記した技術文献を知らないため、開示すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように上記移動農機の機能を展示会や販売店において説明する際、実際に各部を動かしながら説明すると、より分かりやすくかつ効果的に集客もできるが、そのためには説明者が機体に乗込んで操作しながら説明を行うか、説明者の他に機体の操縦をする者が必要となっていた。また、上述した移動農機の多機能化により機体の説明箇所は年々増加しており、機体操作を行ったり、操縦者に指示を出したりすることは、説明者にとって負担であった。
【0006】
更に、多数の可動部を有するために機体の点検箇所も多く、各部の動作チェックを行うだけでも長い時間が掛かっていた。
【0007】
そこで本発明は、予めデータ格納手段に格納された動作データに基づいて機体を作動させる設定モードを設け、操縦者の操作なしに機体に所定の動作をさせることで、上記課題を解決した移動農機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、走行機体の各部に設けたスイッチ(43,44,46,54・・・)及びセンサ(55・・・)の検出値に基づいて、走行機体のアクチュエータ(36,56,58,33a)を制御するマイコンユニット(50)を搭載した移動農機において、
通常作業にて前記スイッチ(43,44,46,54・・・)及びセンサ(55・・・)に基づき前記アクチュエータ(36,56,58,33a)を作動させる通常モードと、
前記マイコンユニット(50)のデータ格納手段(52)に格納された動作データを、データ読出し手段(51)によって読出し、予め設定された該データ格納手段のデータに基づいて前記アクチュエータ(36,56,58,33a)を制御する設定モードと、を備え、
所定の切換え操作によって、前記通常モードと前記設定モードとに切換え可能に構成された、
ことを特徴とする移動農機にある。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記データ格納手段(52)を複数有し、前記アクチュエータ(36,56,58,33a)ごとにこれらデータ格納手段(52a,52b,52c,52d)から動作データを読出すかを選択可能な、
請求項1記載の移動農機にある。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記移動農機は、穀稈を刈取する刈取り部(14)及び刈取られた穀稈を搬送する搬送部(15)を有する昇降自在な前処理装置(10)と、穀稈のこぎ深さを調整する扱深搬送装置(20)と、前記前処理装置(10)から搬送された穀稈を脱穀する脱穀部(25)と、該脱穀部(25)で脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(7)から穀粒を排出する排出オーガ(30)と、を有するコンバイン(1)であり、
前記コンバイン(1)の各操作の1つもしくは複数の前記スイッチ(43,44,46,54・・・)を押しながらエンジンを始動することによって、前記通常モードから前記設定モードへと切換わる、
請求項1又は2記載の移動農機にある。
【0011】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、展示会や販売店において、説明者は移動農機を設定モードにし、予め定められた動作に沿って機体の各部の機能を説明することによって、機体を動かしながら効果的かつ分かりやすくその機能をアピールして集客することができる。また、説明者は、自分自身で機体を操作する必要もなく、別途機体を操作する操縦者を必要とすることもない。更に、移動農機が設定モードで定められた通りの動作を正確に実行するか検査することによって、機体の動作チェックを短時間で容易に行うこともできる。
【0013】
請求項2に係る発明によると、設定モードにおいて作動部位を適宜選択することができるため、説明もしくは動作チェックの必要な部位のみを動かすことができ、より便利かつ効率的に設定モードを使用することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によると、作動箇所の多いコンバインにおいて、機体の説明及び動作チェックの簡易化を図ることができる。また、1つもしくは複数のスイッチを押しながらエンジンを始動させなければ設定モードに切換わらないため、必要な時にのみ設定モードとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に図面に沿って、本発明の実施の形態について説明をする。図1及び図2に示すように、本発明に係る移動農機としてのコンバイン1は、左右一対のクローラ走行装置3によって支持された機体フレーム2を有し、該機体フレーム2の前方には、穀稈の刈取りを行う前処理装置10が設けられている。該前処理装置10の側方には運転部40が配設されており、後方には刈取られた穀稈を脱穀する脱穀部25及び排稈を処理する後処理部28が設けられている。
【0016】
また、上記脱穀部25において選別された穀粒は、運転部40の後方かつ脱穀部25の側方に配設されたグレンタンク7に一時的に貯留され、排出オーガ30によって機体外に排出されるように構成されている。
【0017】
上述の前処理装置10は、機体の前部上方に支持フレーム11が回動自在に支持されており、油圧シリンダ12の伸縮により回動支軸13を中心として昇降自在に構成されている。また、前処理装置10は、穀稈を刈取する刈取部14と、刈取られた穀稈を脱穀部25のフィードチェン26に受け渡す搬送部15とを有しており、該搬送部15は、刈取られた穀稈を搬送する上下搬送体と、穀稈の穂先部を受取って搬送する穂先搬送体16と、穀稈の下部を受取って搬送すると共に、上記脱穀部25におけるこぎ深さを調節する扱深搬送装置20と、該扱深搬送装置20から穀稈の株元側を受け取って搬送する株元搬送装置18などから構成されている。
【0018】
一方、排出オーガ30はグレンタンク7の後方に配設され、穀粒を上方に搬送する縦ラセン筒31と、該縦ラセン筒31の上端側に設けられ、縦ラセン筒31から穀粒を受け継ぎ横方向に搬送する横ラセン筒32とから構成されている。該縦ラセン筒31の下端部にはオーガ旋回モータ36と、オーガ旋回位置ポテンショ35とからなるオーガモータアッシー38が設けられており、縦ラセン筒31を機体フレーム2に対して縦軸回りに回動可能に構成すると共に、オーガ旋回位置ポテンショ35によってその旋回位置の検出が行われている。
【0019】
また、図2に示すように、縦ラセン筒31の上端部と、横ラセン筒32の基端部との間にはオーガ昇降シリンダ33が介設されており、該オーガ昇降シリンダ33の伸縮動作に応じて上記横ラセン筒32が昇降され、オーガ上限リミットスイッチ34によってその昇降範囲が規制されている。これにより排出オーガ30は、任意の場所に穀粒を排出することができる。
【0020】
更に、図3に示すように、運転部40の中央部には運転座席41が配設され、該運転座席41の前方には、エンジンキー(イグニッションスイッチ)44、コンバイン1の左右操向を操作すると共に前処理装置10の昇降を操作するマルチレバー45が設けられている。また、運転座席41の側方には、前処理装置10の下限高さを任意の位置に設定するダイヤルを備えた刈高さスイッチ48と、前処理装置10、脱穀部25及び後処理部28の駆動を入切する刈取り・作業機クラッチレバー47とが設けられており、上記マルチレバー45と共に前処理装置10を制御可能に構成している。
【0021】
一方、刈高さスイッチ48の側方には、こぎ深さ自動スイッチ46が設けられており、こぎ深回動軸21を中心として扱深搬送装置20の上下揺動角度を調節して、こぎ深さを常に最適に保つように構成されている。また、主変速レバー42にはこぎ深さ手動スイッチ43が設けられており、手動でこぎ深さを調節したりすることもできる。
【0022】
更に、運転座席41の後方には、排出オーガ30を自動で旋回及び収納させるオーガ自動スイッチ53が設けられており、その側方にはオーガ手動レバー54が設けられている。
【0023】
上記運転部40の操作レバーもしくはスイッチ等は、図4に示すようにマイコン50に接続されており、これら操作レバーもしくはスイッチからの入力に基づいてマイコン50が各種アクチュエータを作動させるように構成されている。例えば、主変速レバー42が操作されると、主変速レバーポテンショ42aからの信号がマイコン50に入力され、搬送HSTのトラニオン軸を調整駆動する搬送駆動モータ58が作動して穀稈の搬送速度を調節するように構成されている。
【0024】
上述の搬送駆動モータ58の他に、コンバイン1のアクチュエータとしては、扱深搬送装置20を駆動させるこぎ深さ駆動モータ56、前処理装置10の油圧シリンダに圧油を供給する前処理昇降ソレノイド12a、排出オーガを旋回及び昇降させるオーガ旋回モータ36、オーガ昇降ソレノイド33aがある。
【0025】
次に本発明の要部である設定モードについて説明する。
【0026】
コンバイン1は、上述のこぎ深さ自動スイッチ46を押しながらエンジンキー44を回してエンジンを始動させると、オペレータの操作で動く通常モードから、マイコン50のデータ読出し手段51がデータ格納手段52から予め定められた動作パターンのマイコン50への入力データである動作データを読み出して機体を作動させる設定モードへと切換わる。
【0027】
図5に示すように、設定モードに切換わると、コンバイン1は、設定モードが起動したかをチェックする(S1)。該設定モードの起動チェックは、図6に示すように、まず設定モードの起動が初回であるかどうかがチェックされ(S20)、初回の場合は起動初回フラグが立てられ(S21)、そうでない場合はリターンする。ステップ21で起動初回フラグが立てられると、こぎ深さ自動スイッチのON/OFFが検知され(S22)、こぎ深さ自動スイッチがONの場合、デモ起動フラグが立てられ(S23)、OFFの場合、リターンする。
【0028】
設定モードの起動チェックが終わると、上述のデモ起動フラグが立っているかどうか判別され(S2)、デモ起動フラグが立っている場合、排出オーガ30を作動させるかをチェックするオーガデモの起動チェックが行われる(S3)。排出オーガ30は、オーガ自動スイッチ53が機体作動の起動スイッチとなっており、上述のオーガデモの起動チェックは、図7に示すようにオーガ自動スイッチ53の操作の有無が検知され(S30)、操作があった場合はオーガ起動デモフラグが立てられ(S31)、オーガ自動スイッチ53の操作がない場合にはリターンする。
【0029】
オーガデモの起動チェックが終わると、該オーガデモ起動チェックと同様に、前処理の昇降デモ起動チェック、穀稈搬送のデモ起動チェック、こぎ深さ調節のデモ起動チェックが順次行われる(S4〜S6)。この時、前処理昇降デモは刈高さスイッチ48、搬送デモは刈取り・作業機クラッチレバー47、こぎ深さデモはこぎ深さ手動スイッチ43が起動スイッチとなっている。
【0030】
各部のデモ起動チェックが終わると、オーガデモ制御が行われ(S7)、排出オーガ30が作動する。オーガデモ制御は、図8に示すように、オーガデモ起動フラグが検知され(S40)、オーガデモ起動フラグが立っている場合は、データ読出し手段51がオーガ用データ格納手段52から動作データを読み出し、オーガデモ制御が実施され(S41)、そうでない場合は、リターンする。
【0031】
オーガデモ制御の後、前処理昇降デモ制御、搬送デモ制御、こぎ深さデモ制御もオーガデモ制御と同様にデモ起動フラグのON/OFFが検知され、それに基づいて各部の制御が順次実施されていく(S7〜S10)。上述の各部制御が実施されると、設定モード作動中であることを知らせるブザー音を断続的に鳴らし(S11)、リターンする。
【0032】
なお、本実施の形態は、コンバインについて説明したが、乗用田植え機、トラクタなどの他の移動農機でもよく、また、排出オーガ30、前処理装置10、穀稈搬送、扱深搬送装置20だけでなく、クローラ走行装置3など、その他の機体可動部を作動させても良い。
【0033】
また、上記設定モードへは、こぎ深さ自動スイッチ46だけでなく、他のスイッチやレバー類などの複数の操作系部材を操作しながらエンジンを始動させて、切換えてもよい。
【0034】
次に本発明に係るコンバインの作用について説明する。
【0035】
説明者は、こぎ深さ自動スイッチ46を押しながらエンジンキー44を回してエンジンを始動させて設定モードにすると、オーガ自動スイッチ53、刈高さスイッチ48、刈取り・作業機クラッチレバー47及びこぎ深さ手動スイッチ43を操作して、排出オーガ30、前処理装置10、扱深搬送装置20、及び穀稈搬送を作動させるかどうかを選択する。
【0036】
説明者がオーガ自動スイッチ53を操作すると、データ読出し手段51がオーガ用データ格納手段52aから、動作データを読み出し、まずマイコン50にオーガ自動スイッチ53から入力があったかのようにみせかける。
【0037】
すると、排出オーガ30が最初、格納位置にいることはオーガ旋回位置ポテンショ35によって検出されているため、マイコン50は自動旋回条件が揃ったと判断して、排出オーガ30をオーガ上限リミットスイッチ34がONとなるまで上昇させた後、機体後方位置に到達したことをオーガ旋回位置ポテンショ35が検出するまで旋回させる(自動旋回制御)。
【0038】
自動旋回が終了すると、次にマイコン50に一定時間オーガ下降スイッチ54bからの入力があったようにみせかける。すると排出オーガ30が機体後方位置にいることはオーガ旋回位置ポテンショ35によって検出されているため、マイコン50は下降条件が揃ったと判断して、排出オーガ30を下降させる(下降制御)。
【0039】
上記排出オーガ30の下降が終了し、マイコン50にオーガ自動スイッチ53からの入力があったかのようにみせかけると、該マイコン50は自動収納制御の条件が揃ったと判断し、排出オーガ30を格納位置に自動収納させる(自動収納制御)。
【0040】
上述したオーガデモ制御は、自動収納制御を終了すると、上記動作を自動旋回制御から繰り返す。なお、オーガデモ制御中に排出オーガ30がオーガ自動スイッチ53、オーガ手動レバー54などによって操作されると、これらの操作が優先されオーガデモ制御は一時キャンセルされるが、一定時間後に再開される。
【0041】
また、説明者が刈高さスイッチ48を操作すると、データ読出し手段51は前処理用データ格納手段52cから動作データを読み出し、マイコン50に前処理上昇スイッチ45aからの入力があったかのようにみせかける。すると、マイコン50は前処理昇降ソレノイド12aを作動させて、前処理装置10を上昇させる。
【0042】
前処理装置10が上昇すると、次にマイコン50に前処理下降スイッチ45bからの入力があったかのようにみせかける。するとマイコン50は同様に前処理昇降ソレノイド12aを作動させて前処理装置10を下降させる。
【0043】
前処理昇降デモ制御は、上記前処理装置10の上昇及び下降を3回繰り返し、その後一定時間の休止を挟んで、上記動作を繰り返す。なお、一定時間の休止前に段階的に前処理装置10を刈高さスイッチ48のダイヤル操作で設定できる最高位置まで上昇させ、その後、ダイヤル標準位置まで下降させても良い。
【0044】
一方、説明者が刈取り・作業機クラッチレバー47を操作すると、データ読出し手段51は搬送用データ格納手段52bから動作データを読み出し、マイコン50に主変速レバーポテンショ42aから増速の信号が段階的に入力されたかのようにみせかける。するとマイコン50は、搬送駆動モータ58を制御して穀稈搬送速度を段階的に増速する。
【0045】
穀稈搬送速度の段階的な増速が終わると、マイコン50に主変速レバーポテンショ42aから減速の信号が段階的に入力されたかのようにみせかけ、該マイコン50によって搬送駆動モータ58が制御されて、穀稈搬送速度は段階的に減速する。
【0046】
上記穀稈搬送速度の段階的な増減速が終わると、マイコン50に主変速レバーポテンショ42aから主変速レバー42が最高速位置にいるとの信号が入力されたとみせかけ、該マイコン50によって搬送駆動モータ58が制御されて、穀稈搬送速度は最高速となる。上述した搬送デモ制御は、その後上記動作を繰り返す。
【0047】
また、説明者がこぎ深さ手動スイッチ43を操作すると、データ読出し手段51はこぎ深さ用データ格納手段52dから動作データを読み出し、マイコン50にこぎ深さ手動スイッチ(浅)43bから入力があったかのようにみせかける。するとマイコン50は、こぎ深さ駆動モータ56を制御して扱深搬送装置20を浅こぎ状態にする。
【0048】
扱深搬送装置20が浅こぎ状態になると、マイコン50にこぎ深さ手動スイッチ(深)43aから入力があったかのようにみせかけ、該マイコン50によってこぎ深さ駆動モータ56が制御され、扱深搬送装置20は深こぎ状態となる。上述したこぎ深さデモ制御は、その後上記動作を繰り返す。
【0049】
上記各部の作動中(設定モード中)は断続的にホーンがなる。なお、説明者は、オーガ自動スイッチ53、刈高さスイッチ48、刈取り・作業機クラッチレバー47及びこぎ深さ手動スイッチ43を再度操作することによって、各部の動作を個別に停止させることができる。また、上記動作パターンに限らず、各部を順番に作動させたりする等、様々なパターンで各部を作動させてもよい。
【0050】
上記のようにコンバイン1を構成したことにより、展示会や販売店において、説明者は、機体を動かしながら各部の機能を分かりやすくかつ効果的にアピールすることができ、容易に集客することができる。また、説明者は、自分自身で機体を操作する必要もなく、別途機体を操作する操縦者を必要とすることもない。
【0051】
更に、コンバインが設定モードで定められた通りの動作を正確に実行するか検査することによって、機体の動作チェックを短時間で容易に行うこともできる。また、機体部位ごとに独立して作動させることができ、より便利かつ効率的に設定モードを使用することができる。
【0052】
一方、こぎ深さ自動スイッチ46を押しながらエンジンキー44を回してエンジンを始動させなければ設定モードに切換わらないため、使用者の意図していないときに設定モードに切換わることもない。また、該設定モードではデータ読出し手段51がデータ格納手段52から読み出した、予め定められたパターンの入力データ(動作データ)を、各部のスイッチ及びセンサから入力されたかのごとくマイコン50にみせかけることによって、機体各部を作動させるため、コンバイン1の既存の通常制御を流用して簡単に各デモ制御をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンバインの左側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るコンバインの右側面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るコンバインの運転座席の平面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るコンバインのブロック図。
【図5】本発明の実施の形態に係るコンバインの設定モードを示すフローチャート。
【図6】図5のフローチャートにおける設定モードの起動チェックを示すフローチャート。
【図7】図5のフローチャートにおけるオーガデモ起動チェックを示すフローチャート。
【図8】図5のフローチャートにおけるオーガデモ制御を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態に係るコンバインの設定モードにおける各部の動作を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0054】
1 コンバイン
7 グレンタンク
10 前処理装置
14 刈取り部
15 搬送部
25 脱穀部
30 排出オーガ
33a オーガ昇降ソレノイド
36 オーガ旋回モータ
43 こぎ深さ手動スイッチ
44 イグニッションスイッチ(エンジンキー)
46 こぎ深さ自動スイッチ
50 マイコンユニット
51 データ読出し手段
52 データ格納手段
52a オーガ用データ格納手段
52b 搬送用データ格納手段
52c 前処理用データ格納手段
52d こぎ深さ用データ格納手段
54 オーガ手動レバー
55 エンジン回転センサ
56 こぎ深さ駆動モータ
58 搬送駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の各部に設けたスイッチ及びセンサの検出値に基づいて、走行機体のアクチュエータを制御するマイコンユニットを搭載した移動農機において、
通常作業にて前記スイッチ及びセンサに基づき前記アクチュエータを作動させる通常モードと、
前記マイコンユニットのデータ格納手段に格納された動作データを、データ読出し手段によって読出し、予め設定された該データ格納手段のデータに基づいて前記アクチュエータを制御する設定モードと、を備え、
所定の切換え操作によって、前記通常モードと前記設定モードとに切換え可能に構成された、
ことを特徴とする移動農機。
【請求項2】
前記データ格納手段を複数有し、前記アクチュエータごとにこれらデータ格納手段から動作データを読出すかを選択可能な、
請求項1記載の移動農機。
【請求項3】
前記移動農機は、穀稈を刈取する刈取り部及び刈取られた穀稈を搬送する搬送部を有する昇降自在な前処理装置と、穀稈のこぎ深さを調整する扱深搬送装置と、前記前処理装置から搬送された穀稈を脱穀する脱穀部と、該脱穀部で脱穀された穀粒を貯留するグレンタンクから穀粒を排出する排出オーガと、を有するコンバインであり、
前記コンバインの各操作の1つもしくは複数の前記スイッチを押しながらエンジンを始動することによって、前記通常モードから前記設定モードへと切換わる、
請求項1又は2記載の移動農機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−125024(P2009−125024A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305117(P2007−305117)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】