説明

移植機

【課題】従来よりも更に使い易い構造の苗搬送台を備えた移植機を提供する。
【解決手段】機体の後部に植付部30と、機体の略中央部に運転操作部20と、機体の前部に苗搬送台60とを備えた移植機1において、前記苗搬送台60は、苗搬送方向左右に左右フレーム62・62と、前記左右フレーム62・62の前後に前後フレーム63・63と、前記左右フレーム62・62及び前記前後フレーム63・63内に、所定間隔を有して配置された複数の転動ローラ64・64・・・とを備えた複数の搬送台61から成り、前記苗搬送台60後部の前記左右フレーム62・62両側に、長手方向を左右向きとした予備苗を載置可能とする予備苗受部80を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗を圃場に移植する田植機等の移植機の技術、特に機体前方から後部への苗を搬送する苗搬送台を備えた移植機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畦際から圃場にある田植機等の移植機に予備苗を補給する場合、畦際の補助作業者は、移植機上の作業者に予備苗を手渡ししていた。しかし、作業効率が悪いため、畦際から予備苗を補充し、機体前方から機体後部まで予備苗を容易に搬送することができる折り畳式の予備苗載せ台(苗搬送台)を機体の側部に配設している。予備苗載せ台は複数の固定コンベアから成り、該コンベアは、左右一対のフレーム、フレーム間に配設された苗を搬送する転動ローラと、各コンベアを連結する連結ロッドによって構成されている移植機の技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−187974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の苗搬送台を備える移植機においては、苗搬送台の下方に配置される苗搬送台が使い難い構造となっていた。つまり、最上部に位置する苗搬送台が邪魔になり、その下方の予備苗は取り出し難くなっていた。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、従来よりも更に使い易い構造の苗搬送台を備えた移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、機体の後部に植付部と、機体の略中央部に運転操作部と、機体の前部に苗搬送台とを備えた移植機において、前記苗搬送台は、苗搬送方向左右に左右フレームと、前記左右フレームの前後に前後フレームと、前記左右フレーム及び前記前後フレーム内に、所定間隔を有して配置された複数の転動ローラと、を備えた複数の搬送台から成り、前記苗搬送台後部の前記左右フレーム両側に、長手方向を左右向きとした予備苗を載置可能とする予備苗受部を設けるものである。
【0007】
請求項2においては、前記予備苗受部が、走行機体に対し外側水平方向に突出する苗載置姿勢と、苗載台に対し略鉛直方向に回動する格納姿勢と、に切替可能とするものである。
【0008】
請求項3においては、機体の後部に植付部と、機体の略中央部に運転操作部と、機体の前部に苗搬送台と、を備えた移植機において、前記苗搬送台は、苗搬送方向左右に左右フレームと、前記左右フレームの前後に前後フレームと、前記左右フレーム及び前記前後フレーム内に、所定間隔を有して配置された複数の転動ローラと、を備えた複数の搬送台から成り、前記転動ローラの中央に、左右の転動部よりも小径に形成されたくびれ部を有し、前記くびれ部上方で、かつ、左右の前記転動部の上面と略同じ高さの位置で、前記搬送台の前部に搬送ガイドを設けるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、苗搬送台に従来よりも多く予備苗を載置することが可能となり、苗載台の近くから容易に補給することが可能となる。
【0011】
請求項2においては、移植機の収納時等に、予備苗受部が邪魔にならず、苗搬送台がコンパクトに収納できる。
【0012】
請求項3においては、機体前方より予備苗を搬送台に載置し易くなる。また、補助作業者(予備苗搬送者)の癖や、搬入作業環境の違いなど様々な条件において、苗搬送台に対する苗箱(予備苗)の搬入角度の対応が広くなり、スムーズに搬入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る乗用田植機の全体的な構成を示した側面図、図2は苗搬送台を示す斜視図、図3は前搬送台における搬送ガイド近傍の断面図である。図4は前搬送台を折り畳んだ状態で予備苗を載置した苗搬送台を示す斜視図、図5は苗搬送台を収納した状態を示す斜視図、図6は本発明の別実施例に係る苗箱を載置した状態の苗搬送台を示す斜視図である。
【0014】
以下の本発明に係る移植機を乗用田植機とし、その田植機1の全体概略構成について説明する。説明上、図中の矢印Aの方向を「前方」と定義し、この前方に向かって左右及び後方を決定する。
また、以下「苗箱」とは、「苗箱とそれにマット苗とを載置した状態のもの」、及び、「マット苗が載置されていない空箱状態のもの」の二つの状態を意味することとする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態における田植機1は、主に走行部10、運転操作部20、植付部30等を備えている。
【0016】
田植機1の走行部10は、主に車体フレーム11、前輪12、後輪13、エンジン14、ボンネット15、車体カバー16等を備えている。
【0017】
田植機1の骨格を成す車体フレーム11は、車体フレーム11両側の前部を前輪12・12、後部を後輪13・13によって支持されている。車体フレーム11の前部略中央には、エンジン14が搭載されており、該エンジン14を覆うようにボンネット15が配設されている。
【0018】
前記ボンネット15の両側及びその後方には、車体フレーム11の上面を覆うように車体カバー16が配置されている。
車体カバー16は、前低後高の略階段状に形成され、車体カバー16の前部を、作業者が田植機1に乗り込む際のステップとしている。
【0019】
田植機1の運転及び各種装置の操作を行う運転操作部20は、主に、ダッシュボード21、操向ハンドル22、運転席23等を備えている。
前記ボンネット15の後部には、田植機1を操作するレバーやスイッチ等の操作装置を備えるダッシュボード21が配置されている。また、田植機1を操向するための操向ハンドル22は、前記ボンネット15の上方に突出するよう配設されている。
操向ハンドル22の後方、車体フレーム11の前後略中央上部には、作業者が着座するための運転席23が配置されている。
【0020】
そして、走行部10の後方には、昇降リンク機構40が配置されており、田植機1は該昇降リンク機構40によって、後述する植付部30を昇降自在に連結している。
【0021】
植付部30は、圃場に苗を植え付けるものであり、主に苗載台31、植付装置32(ロータリケース34、植付爪35)、フロート33等を備えている。
【0022】
植付部30の苗載台31は、運転操作部20の後方に、前高後低に傾斜するように配設され、その苗載台31後方下部に植付装置32が配置されている。
前記植付装置32は、エンジン14からの駆動力で回転するロータリケース34、該ロータリケース34に取付けられ苗を圃場に植付ける植付爪35等を備えている。
【0023】
フロート33は、植付部30を支えて圃場を整地するものであって、前記苗載台31の下方に配置されている。
【0024】
このようにして、田植機1は、前進走行とともに苗載台31を横送り機構により左右に往復運動(摺動)させ、この往復運動に同期させてロータリケース34と植付爪35を駆動して、各条に一株分の苗を掻き取りながら、連続的に植付け作業を行う。
【0025】
苗の植付作業が進むにつれて、苗載台31上の苗は圃場へと植付けられ減少する。続けて植付作業を行うためには、苗載台31へと苗を補充しなくてはならない。
苗載台31上の苗が残り少なくなると(所定量以上減少すると)、予備苗載台50上の苗を補充(苗継ぎ)する。または、畦際に田植機1が到達した時に、畦際より作業補助者が田植機1上の作業者に予備苗を渡して補充する。
本実施例では、苗箱5(予備苗)を予備苗載台50及び苗搬送台60上に載置している。
【0026】
田植機1の前部の両側には、予備苗載台50が設置されている。
予備苗載台50を支持する支柱51は、ボンネット15の左右両側に配置される。一側に対し二本の支柱51・51が前後方向に所定間隔を有して立設される。該支柱51・51の上下中途部には、板状の予備苗載台50が複数段(本実施例では、苗搬送台60の設置側には二段、苗搬送台60の不設置側には三段)上下方向に所定間隔を有して、支柱51より機体外側へ突出するように支持され、機体内側を支点に上方回動可能に片持ち支持されている。
よって、田植機1の収納時には、予備苗載台50をそれぞれ上方に回動させることによって、コンパクトに収納することが可能な構成となっている。
【0027】
また、図1または図2に示すように、苗搬送台60は、植付作業に用いる苗箱5を後方(苗載台31付近)へ搬送し、苗載台31への予備苗設置を容易にすると共に、苗搬送台60自体に苗箱5を載置するものである。
苗搬送台60は、田植機1の左右両側もしくは一側の前記予備苗載台50上部に配置されている。
【0028】
図2に示すように、苗搬送台60は、搬送台61を複数連結することで構成されている。本実施例の苗搬送台60は、主に固定搬送台61b、固定搬送台61bの前方の前搬送台61a、固定搬送台61bの後方の後搬送台61cから構成されている。
【0029】
図1または図2に示すように、苗搬送台60は、前記支柱51・51と補助支柱52で支持される。補助支柱52は、前側の支柱51近傍の車体フレーム11より機体外側へ突出するように固設された取付ブラケット53に、下端が固設されている。
補助支柱52と支柱51・51の上端は、それぞれ固定搬送台61bの下部に固設されたブラケット67・67に固設される。
また、ブラケット67は、前高後低の側面視略三角形状に形成されており、よって苗搬送台60全体が前高後低に傾斜するように構成されている。
【0030】
搬送台61は、主に、左右フレーム62・62、前後フレーム63・63、転動ローラ64等を備えている。
前後方向に長く形成された左右一対の左右フレーム62・62のそれぞれの両端に、板材を側面視L字状に屈曲し水平部63aと鉛直部63bを形成した前後フレーム63・63が横設されている。予備苗の苗箱5の下面が接触する棒状の転動ローラ64は、前後方向に所定間隔を有し、左右フレーム62・62の対向内側面に回転自在に横設される。該転動ローラ64は、その略中央に、左右の転動部64a・64aよりも小径に形成されたくびれ部64bを有している。但し、転動ローラ64はくびれ部64bを設ける代わりに左右に分離して、中央部には空間またはローラ支持軸のみ存在する構成とすることもできる。
よって、図2または図3に示すように、苗箱5の下面が転動部64aのみに接触し、苗搬送台60の後方へ搬送される際の抵抗を小さくし、搬送し易く構成され、転動ローラ64の軽量化も図っている。
【0031】
また、左右フレーム62・62の略中央の転動ローラ64・64間には、棒状の補強フレーム66が配設されている。該補強フレーム66の上面は、転動ローラ64のくびれ部64bの上面と略同じ高さの位置、もしくは低い位置に配設されている。
【0032】
図2及び図3に示すように前搬送台61aには、予備苗を補給(搬入)する際、転動ローラ64・64間に苗箱5が入り込まないように、搬送ガイド65が設けられている。
搬送ガイド65は、直線状に形成した棒材の両端を前後フレーム63・63に固設されている。詳しくは、搬送ガイド65は側面視略「コ」字状に形成される棒材であって、その両端は、前後フレーム63・63の左右略中央の水平部63aに固設されている。ただし、搬送ガイド65は「コ」字状に形成されているが、搬送ガイド65は前搬送台61aの左右中央部であって、前端から後端に架設されていれば、「L」字状に形成してもよく限定するものではない。
また、搬送ガイド65は、前記くびれ部64bの上方で、かつ、左右の転動部64aの上面と略同じ高さの位置もしくは転動部64aの上面より低い位置で配設されている。
ここで、搬送ガイド65は、棒材で形成されているが、板材や角材等の形状でもよく限定するものではない。
搬送ガイド65の両端は、前の前後フレーム63と補強フレーム66の略中央に固設可能であり、限定するものではない。
【0033】
前記搬送ガイド65を棒材としたが、別実施例として、転動ローラ64・64間に板材を、転動ローラ64の上面と略同じ位置もしくは下方に配置することも可能である。
また、搬送ガイド65は図6に示すように、上下両面に配置することも可能である。つまり、搬送ガイド65は前搬送台61aの左右中央部であって、前端から後端までの間で、転動ローラ64・64の上面及び下面と同じ高さまたは低い位置に配置されている。従って、搬送ガイド65は側面視長方形状に棒材を折り曲げて構成することができ、前端と後端を前搬送台61aの前後フレーム63に固設するのである。
このように構成することにより、図2に示す、前搬送台61aを前方に伸ばした(開いた)状態であっても、図6に示すように、折り畳んだ状態であっても、苗箱5が引っ掛かることなく容易に搬送台61上に載置することが可能となる。
【0034】
搬送台61は、三つそれぞれを連結して苗搬送台60を成している。
【0035】
詳しくは、前搬送台61aの左右フレーム62・62の後端内側に、それぞれ板状のブラケット71が上方に突出するように固設されている。
前記前搬送台61aと連結される固定搬送台61bは、その左右フレーム62・62の前端内側に、それぞれ板状のブラケット72が上方に突出するように固設されている。
また、ブラケット71の上部後端と、ブラケット72の上部前端は、左右方向に重なるように形成されており、その重なり部分の両方に開口部が設けられ、該開口部に回動軸75が挿入されている。よって、該回動軸75を中心に前搬送台61aが固定搬送台61bに回動自在に連結されている。
【0036】
一方、固定搬送台61bの左右フレーム62・62の後端内側に、それぞれ板状のブラケット73が上方に突出するように固設されている。
前記固定搬送台61bと連結される後搬送台61cは、その左右フレーム62・62の前端内側に、それぞれ板状のブラケット74が上方に突出するように固設されている。
また、ブラケット73の上部後端と、ブラケット74の上部前端は、機体左右方向に重なるように形成されており、その重なり部分の両方に開口部が設けられ、該開口部に回動軸75が挿入されている。該回動軸75を中心に後搬送台61cが固定搬送台61bに回動自在に連結されている。
【0037】
前方のブラケット71・72は、後方のブラケット73・74よりも、上方に高く突出するようにし、苗搬送台60の折り畳み時(図5に示す田植機1収納時、図4に示す苗箱5載置時等)に、各搬送台61が当接しないように構成されている。つまり、固定搬送台61bの上方に後搬送台61c、さらにその上方に前搬送台61aが、上下方向に所定間隔を有すように構成されている。
【0038】
図2、図4または図5に示すように、苗搬送台60に載置できる苗箱5の枚数をより多くするために、後搬送台61cには、予備苗受部80が配設されている。
詳しくは、板状の取付ブラケット81が、後搬送台61cの左右フレーム62・62の両外側面より外方に突出するように、平面視L字状に形成されている。取付ブラケット81の取付け位置は、図2の状態で、左右フレーム62の後端及び前後中途部の四箇所にボルト等で固設されている。さらに、前記取付ブラケット81は回動ピン83によって回動支持部材82と回動可能に連結されている。該回動支持部材82は、図2の状態で、板体を平面視「L」字状に屈曲し、図5に示す当接部82aと、接続部82bを形成している。
接続部82b・82bの対向面には、図2に示すように棒材を屈曲させた予備苗受部80の両端がそれぞれ固設されている。但し、回動支持部材82と予備苗受部80を一体的に構成して、板材等で構成することも可能である。
【0039】
つまり、予備苗受部80は正面視略「L」字状、側面視略凸状に折り曲げ形成され、両端部に回動支持部材82・82に固定され、該回動支持部材82・82が取付ブラケット81を介して左右フレーム62の外側面に、格納姿勢と載置姿勢とに切替可能に取り付けられている。また、予備苗受部80の縦棒部80aは苗箱5を長手方向が左右方向となるように載置した時に、苗箱5の前後中央部に位置するように配設され、苗箱5が位置ズレしないように構成されている。
また、載置姿勢(図4参照)での予備苗受部80の左右の前後水平部80b・80bの間の長さは、苗箱5の左右方向を長手方向にした時と略同じ長さになるよう構成されている。
なお、後搬送台61cの後部の前後フレーム63の左右両側には、上方に突設したストッパが形成され、苗箱5が後方へ脱落しないようにしている。本実施例では回動支持部材82を上方に突出させることで構成しているが、後部の前後フレーム63を上方に突出させたり、左右フレームの後端部を上方に突出させたりしてもよく限定するものではない。
【0040】
図2に示すように、回動支持部材82の当接部82aは、予備苗受部80を張り出した(側方へ回動した)時に左右フレーム62・62の外側面に当接し、予備苗受部80が安定するように構成されている。つまり、図4に示す苗箱5を載置する時には、前記予備苗受部80が、走行機体に対し外側水平方向に突出するように回動して苗載置姿勢となる。よって、予備苗受部80は苗箱5の長手方向を機体左右向きとして載置可能となり、苗搬送台60を前後に開いた状態、または、図4に示すように前搬送台61aを折り畳んだ状態では、その上に従来最大三枚であった苗箱5の載置枚数が本実施例では最大五枚となり、載置枚数を二枚増加することができる。そして、左右に苗搬送台60を配置した時には四枚増加することができるので、畦からの苗補給なしで、植付作業ができる面積を更に増加することができ、作業効率を向上することができる。但し、予備苗受部80は前搬送台61a及び固定搬送台61bにも取付可能であり、この場合、簡単な構成で更に苗箱5の載置枚数を増加させることが可能となる。但し、固定搬送台61bに取り付ける場合には、図1の支柱51が邪魔になるので、外側のみ側方に長い予備苗受部80となる。
【0041】
図4に示す状態は、田植機1が圃場の枕地で旋回する時、田植機1前方に高い畦や道路等の障害物があり、前搬送台61aが接触する可能性がある場合、前搬送台61aのみ折り畳んだ状態である。前方に障害物等がなければ、前搬送台61aを後方に折り畳む必要がないので、図2に示す苗搬送台60の状態で、苗箱5を苗搬送台60上の全面に載置して、苗載置姿勢として植付作業をすることは言うまでもない。
【0042】
図2に示す状態より、回動ピン83を回動軸として、回動支持部材82と予備苗受部80を上方に回動させて、さらに、回動軸75を中心に後搬送台61cを前方へ回動させる。すると図5に示す、後搬送台61cに対し略鉛直方向に予備苗受部80が回動した格納姿勢になる。
【0043】
ここで、本実施例の予備苗受部80の姿勢変形は、回動によって行っているが、予備苗受部80を左右方向にスライドさせ、左右フレーム62・62より出し入れしたり、予備苗受部80を取外し可能とするものでもよく限定するものではない。
【0044】
図4に示す苗載置姿勢において、苗搬送台60前部の苗箱5が、前方へ脱落しないようにストッパ88が設けられている。
つまり、図2に示す前搬送台61aを前方に伸ばした状態で、前搬送台61a後部の前後フレーム63と、固定搬送台61b前部の前後フレーム63の左右略中央に、所定長さの柔軟な線材や紐状体等で形成されたストッパ88(図4参照)が取付けられている。
詳しくは、前記搬送ガイド65の後端部が、後部の前後フレーム63の水平部63aを貫通し、その貫通した搬送ガイド65にストッパ88(図4参照)の一端が固設されている。他端は固定搬送台61bの水平部63aにボルト等で固設され、ストッパ88全体が前搬送台61aと固定搬送台61bとの連結部の下方に配設されている。
よって、図4に示す苗載置姿勢において、ストッパ88が、前搬送台61aと固定搬送台61b前後方向に架設されることとなり、苗搬送台60前部の苗箱5を規制する。
【0045】
また、ストッパ88を柔軟な線材や紐状体等としたが、図4に示す苗載置姿勢において、前搬送台61aとの前端位置で、複数の板状を連結し伸縮自在に形成され下方に突出するように構成されたストッパでもよく、限定するものではない。
【0046】
機体の後部に植付部30と、機体の略中央部に運転操作部20と、機体の前部に苗搬送台60とを備えた移植機1において、前記苗搬送台60は、苗搬送方向左右に左右フレーム62・62と、前記左右フレーム62・62の前後に前後フレーム63と、前記左右フレーム62・62及び前記前後フレーム63・63内に、所定間隔を有して配置された複数の転動ローラ64・64・・・とを備えた複数の搬送台61から成り、前記苗搬送台60後部の前記左右フレーム62・62両側に、長手方向を左右向きとした苗箱5を載置可能とする予備苗受部80を設けた。
【0047】
よって、苗搬送台60に従来よりも多く苗箱5を載置することが可能となり、苗載台31の近くから容易に補給することが可能となる。
【0048】
前記予備苗受部80が、走行機体に対し外側水平方向に突出する苗載置姿勢と、苗載台に対し略鉛直方向に回動する格納姿勢とに切替可能に構成した。
【0049】
よって、移植機1の収納時等に、予備苗受部80が邪魔にならず、苗搬送台60がコンパクトに収納できる。
【0050】
前記転動ローラ64の中央に、左右の転動部64aよりも小径に形成されたくびれ部64bを有し、前記くびれ部64b上方で、かつ、左右の前記転動部64aの上面と略同じ高さの位置で、前記搬送台の前部に搬送ガイド65を設けた。
【0051】
よって、機体前方より予備苗を搬送台61に載置し易くなる。また、補助作業者(予備苗搬送者)の癖や、搬入作業環境の違いなど様々な条件において、苗搬送台60に対する予備苗の搬入角度の対応が広くなり、スムーズに搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例に係る乗用田植機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】苗搬送台を示す斜視図。
【図3】前搬送台における搬送ガイド近傍の断面図。
【図4】前搬送台を折り畳んだ状態で予備苗を載置した苗搬送台を示す斜視図。
【図5】苗搬送台を収納した状態を示す斜視図。
【図6】本発明の別実施例に係る苗箱を載置した状態の苗搬送台を示す斜視図。
【符号の説明】
【0053】
1 田植機(移植機)
20 運転操作部
30 植付部
60 苗搬送台
61 搬送台
62 左右フレーム
63 前後フレーム
64 転動ローラ
64a 転動部
64b くびれ部
65 搬送ガイド
80 予備苗受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に植付部と、
機体の略中央部に運転操作部と、
機体の前部に苗搬送台とを備えた移植機において、
前記苗搬送台は、
苗搬送方向左右に左右フレームと、
前記左右フレームの前後に前後フレームと、
前記左右フレーム及び前記前後フレーム内に、所定間隔を有して配置された複数の転動ローラと、を備えた複数の搬送台から成り、
前記苗搬送台後部の前記左右フレーム両側に、長手方向を左右向きとした予備苗を載置可能とする予備苗受部を設けることを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記予備苗受部が、走行機体に対し外側水平方向に突出する苗載置姿勢と、
苗載台に対し略鉛直方向に回動する格納姿勢と、に切替可能とすることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
機体の後部に植付部と、
機体の略中央部に運転操作部と、
機体の前部に苗搬送台と、を備えた移植機において、
前記苗搬送台は、
苗搬送方向左右に左右フレームと、
前記左右フレームの前後に前後フレームと、
前記左右フレーム及び前記前後フレーム内に、所定間隔を有して配置された複数の転動ローラと、を備えた複数の搬送台から成り、
前記転動ローラの中央に、左右の転動部よりも小径に形成されたくびれ部を有し、
前記くびれ部上方で、かつ、左右の前記転動部の上面と略同じ高さの位置で、前記搬送台の前部に搬送ガイドを設けることを特徴とする移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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