説明

移相器

【課題】広帯域に位相差が異なる信号を生成する移相器を得る。
【解決手段】移相器は、入力される位相が180度異なる2個の信号から上記2個の信号と位相の異なる複数の信号を生成する移相器において、上記2個の信号から位相がそれぞれ90度異なる4個の信号を生成する90度移相器と、上記位相がそれぞれ90度異なる4個の信号を位相を変えずに増幅する差動増幅器および上記4個の信号と位相がそれぞれ45度異なる4個の信号を生成する位相差45度を得る差動増幅器を有し、位相差45度の8個の信号を生成する位相差45度を生成する移相器と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移相器に関し、特に90度以下の位相差の信号を得るための移相器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば45度位相差の信号を得るためのポリフェーズフィルタを用いた移相器は、従属接続される第1のポリフェーズフィルタ、第2のポリフェーズフィルタおよび第3のポリフェーズフィルタを有し、第1のポリフェーズフィルタの2つの端子から差動信号の正相信号を、第1のポリフェーズフィルタの2つの端子から差動信号の逆相信号を入力し、第3のポリフェーズフィルタの出力端子から出力する。
【0003】
第1のポリフェーズフィルタは4個の抵抗と4個のキャパシタが交互に環状に接続され、第2のポリフェーズフィルタは8個の抵抗と8個のキャパシタが交互に環状に接続され、第3のポリフェーズフィルタは8個の抵抗と8個のキャパシタが交互に環状に接続されている。
そして、第1のポリフェーズフィルタの2つの入力端子から差動信号の正相信号を、第1のポリフェーズフィルタの2つの入力端子から差動信号の逆相信号を入力すると、第1のポリフェーズフィルタが相互に90度の位相差を有する等振幅な4つの高周波信号を第2のポリフェーズフィルタに出力する。
【0004】
第2のポリフェーズフィルタは、第1のポリフェーズフィルタから相互に90度の位相差を有する等振幅な4つの高周波信号を受けると、第2のポリフェーズフィルタと第3のポリフェーズフィルタを介して、相互に45度の位相差を有する8つの高周波信号を第3のポリフェーズフィルタの8つの出力端子から出力する。即ち、位相が0度、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の信号を出力する。
ポリフェーズフィルタ回路から8つの信号が出力されるが、8つの信号が相互に45度の位相差を有し、かつ、等振幅な信号であるためには、第1から第3のポリフェーズフィルタを構成している抵抗値と容量値を適切に調整する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−312315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の45度移相器は、ポリフェーズフィルタを用いて以上のように構成されているため、45度の位相差が得られる周波数は、ポリフェーズフィルタを構成する抵抗値と容量値で決まる周波数であり、広帯域化には限界があった。
また、複数の抵抗素子、容量素子を用いるため半導体基板上に形成した場合に面積が大きくなるという問題があった。
【0007】
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、広帯域に位相差が異なる信号を生成する移相器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る移相器は、入力される位相が180度異なる2個の信号から上記2個の信号と位相の異なる複数の信号を生成する移相器において、上記2個の信号から位相がそれぞれ90度異なる4個の信号を生成する90度移相器と、上記位相がそれぞれ90度異なる4個の信号を位相を変えずに増幅する差動増幅器および上記4個の信号と位相がそれぞれ45度異なる4個の信号を生成する位相差45度を得る差動増幅器を有し、位相差45度の8個の信号を生成する位相差45度を生成する移相器と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る移相器は、位相差45度、22.5度、360/4/2n度(nは1以上の整数)の信号を得る差動増幅器が、抵抗を負荷とするため、広帯域に位相差45度、22.5度、360/4/2n度の信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る移相器の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る位相差45度の信号を得る差動増幅器の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る移相器の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る移相器の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る移相器の構成を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る移相器の構成を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態6に係る差動増幅器の構成を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態6に係る別の差動増幅器の構成を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態7に係る差動増幅器の構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態7に係る別の差動増幅器の構成を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態8に係る移相器の構成を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の移相器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る移相器の構成を示す図である。
この発明の実施の形態1に係る移相器は、図1に示すように、90度移相器1および位相差45度を生成する移相器2を有する。
90度移相器1は、2個の入力端子21、22および4個の出力端子23、24、25、26を有する。
なお、90度移相器1は、例えば、ポリフェーズフィルタ、分周器で構成する。分周器を用いることで広帯域な90度位相差の信号を得ることができる。
【0012】
位相差45度を生成する移相器2は、2個の差動増幅器3a、3bおよび2個の位相差45度の信号を得る差動増幅器4a、4bを有する。
位相差45度を生成する移相器2は、4個の入力端子27、28、29、30および8個の出力端子31〜38を有する。
90度移相器1の出力端子23、24、25、26は、それぞれ位相差45度を生成する移相器2の入力端子27、28、29、30に接続される。
【0013】
入力端子21、22には、それぞれ位相0度の信号と位相180度の信号が入力される。すると、出力端子23からは入力端子21に入力された信号と同位相の信号が出力される。また、出力端子24からは出力端子23から出力される信号と位相差が90度を有する信号が出力される。また、出力端子25からは出力端子24から出力される信号と位相差が90度を有する信号が出力される。また、出力端子26からは出力端子25から出力される信号と位相差が90度を有する信号が出力される。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1に係る位相差45度の信号を得る差動増幅器4aの構成を示す図である。
位相差45度の信号を得る差動増幅器4aは、図2(a)に示すように、位相差90度の信号を合成して位相差45度の信号を生成する2つのトランジスタペア5a、5b、定電流源回路6、負荷抵抗7を有する。トランジスタペア5a、5bは、差動化され、差動信号出力を得る回路である。そして、トランジスタペア5a、5bは、それぞれ2個のトランジスタから構成され、2個のトランジスタのエミッタ同士、コレクタ同士が接続される。
一方のトランジスタペア5aの一方のトランジスタのゲートaに位相0度の信号、他方のトランジスタのゲートbに位相90度の信号が入力されると、出力端子eに位相45度の信号が出力する。
他方のトランジスタペア5bの一方のトランジスタのゲートcに位相180度の信号、他方のトランジスタのゲートdに位相270度の信号が入力されると、出力端子fに位相225度の信号が出力する。
【0015】
位相差45度の信号を得る差動増幅器4bは、図示しないが、位相差45度の信号を得る差動増幅器4aと同様に、位相差45度の信号を生成する2個のトランジスタペア、定電流源回路、負荷抵抗を有する。
一方のトランジスタペアの一方のトランジスタのゲートに位相90度の信号、他方のトランジスタのゲートに位相180度の信号が入力されると、出力端子に位相135度の信号が出力する。
他方のトランジスタペアの一方のトランジスタのゲートに位相270度の信号、他方のトランジスタのゲートに位相0度の信号が入力されると、出力端子に位相315度の信号が出力する。
【0016】
トランジスタペア5aは、図2(b)に示すように、位相0度の信号9と、位相90度の信号8を合成することで、位相45度の信号10を得ることができる。位相差45度の信号10の電圧振幅は位相0度の信号9または位相90度の信号8の電圧振幅の2の平方根倍である。
【0017】
差動増幅器3aには、90度移相器1の出力端子23から出力される位相0度の信号と90度移相器1の出力端子25から出力される位相180度の信号が入力され、出力端子31と出力端子32からそれぞれ位相0度の信号と位相180度の信号が出力される。
差動増幅器3bには、90度移相器1の出力端子24から出力される位相90度の信号と90度移相器1の出力端子26から出力される位相270度の信号が入力され、出力端子35と出力端子36からそれぞれ位相90度の信号と位相270度の信号が出力される。
【0018】
位相差45度の信号を得る差動増幅器4aには、90度移相器1の出力端子23、24、25、26から出力される位相0度、位相90度、位相180度、位相270度の信号が入力され、出力端子33と出力端子34からそれぞれ位相45度の信号と位相225度の信号が出力される。
位相差45度の信号を得る差動増幅器4bには、90度移相器1の出力端子23、24、25、26から出力される位相0度、位相90度、位相180度、位相270度の信号が入力され、出力端子37と出力端子38からそれぞれ位相135度の信号と位相315度の信号が出力される。
【0019】
このように位相差45度の信号を得る差動増幅器4a、4bは、抵抗を負荷とするため広帯域に位相差45度の信号を得ることができる。
【0020】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る移相器の構成を示す図である。
この発明の実施の形態2に係る移相器は、偶高調波形直交ミクサ、または偶高調波形イメージリジェクションミクサのLO信号源として位相差45度の差動信号を出力する。そして、この発明の実施の形態2に係る移相器は、上述の実施の形態1に係る移相器から位相差45度の差動信号だけを出力するように、それ以外の出力に関係する差動増幅器3a、位相差45度の信号を得る差動増幅器4bを削除していることが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0021】
偶高調波形直交ミクサ、または偶高調波形イメージリジェクションミクサのLO信号としては、RF信号の1/2の周波数で、位相差45度の差動信号が必要である。そこで、LO信号源だけを取り出すためには、図3に示すように、差動増幅器3bと位相差45度の信号を得る差動増幅器4aだけで良い。
このように差動増幅器3aおよび位相差45度の信号を得る差動増幅器4bを削除することで消費電流を低減することができる。
【0022】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3に係る移相器の構成を示す図である。
この発明の実施の形態3に係る移相器は、上述の実施の形態2に係る移相器と同様に、位相差45度の信号を偶高調波形直交ミクサ、または偶高調波形イメージリジェクションミクサのLO信号源として位相差45度の差動信号を出力する場合である。そして、この発明の実施の形態3に係る移相器は、上述の実施の形態2に係る移相器に差動増幅器3aを追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0023】
差動増幅器3aを追加することにより、90度移相器1の4つの出力端子23〜26から見た負荷インピーダンスを一定とすることができる。90度移相器1の負荷インピーダンスを一定とすることで、高精度な位相差90度の信号を得ることができるので、位相差45度の信号の位相、振幅精度を改善することができる。
【0024】
実施の形態4.
図5は、この発明の実施の形態4に係る移相器の構成を示す図である。
この発明の実施の形態4に係る移相器は、互いに位相差45度を有する8個の信号から互いに位相差22.5度を有する16個の信号を出力する。そして、この発明の実施の形態4に係る移相器は、この発明の実施の形態1に係る移相器に位相差22.5度を生成する移相器8を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
【0025】
位相差22.5度を生成する移相器8は、4個の差動増幅器3c〜3fと4個の位相差22.5度の信号を得る差動増幅器11a〜11dを有する。
位相差22.5度を生成する移相器8は、8個の入力端子41〜48と16個の出力端子51〜66を有する。そして、8個の入力端子41〜48には、それぞれ位相差45度を生成する移相器2の8個の出力端子31〜38が接続される。
【0026】
差動増幅器3c、3d、3e、3fには、それぞれ位相0度と位相180度、位相45度と位相225度、位相90度と位相270度、位相135度と位相315度の信号が入力され、増幅されて出力される。
【0027】
位相差22.5度の信号を得る差動増幅器11aは、図2(a)と同様な構成であり、ゲートaに位相0度、ゲートbに位相45度、ゲートcに位相180度、ゲートdに位相225度の信号が入力されると出力端子eと出力端子fから位相22.5度と位相202.5度の信号が出力する。
【0028】
位相差22.5度の信号を得る差動増幅器11bは、図2(a)と同様な構成であり、ゲートaに位相45度、ゲートbに位相90度、ゲートcに位相225度、ゲートdに位相270度の信号が入力されると出力端子eと出力端子fから位相67.5度と位相247.5度の信号が出力する。
【0029】
位相差22.5度の信号を得る差動増幅器11cは、図2(a)と同様な構成であり、ゲートaに位相90度、ゲートbに位相135度、ゲートcに位相270度、ゲートdに位相315度の信号が入力されると出力端子eと出力端子fから位相112.5度と位相292.5度の信号が出力する。
【0030】
位相差22.5度の信号を得る差動増幅器11dは、図2(a)と同様な構成であり、ゲートaに位相135度、ゲートbに位相180度、ゲートcに位相315度、ゲートdに位相0度の信号が入力されると出力端子eと出力端子fから位相157.5度と位相337.5度の信号が出力する。
【0031】
このように位相差22.5度の信号を得る差動増幅器11a〜11dは、抵抗を負荷とするため広帯域に16個の位相差22.5度の信号を得ることができる。
【0032】
実施の形態5.
図6は、この発明の実施の形態5に係る移相器の構成を示す図である。
この発明の実施の形態5に係る移相器は、この発明の実施の形態1、4に係る移相器を一般化したもので、n段構成であり、1段目の位相差(360/4/21=45)度を生成する移相器2、2段目の位相差(360/4/22=22.5)度を生成する移相器8、3段目の位相差(360/4/23=11.25)度を生成する移相器9、4段目の位相差(360/4/24=5.625)度を生成する移相器10を有する。そして、さらに多段化することにより、位相差(360/4/2n)度の信号を(2n-1×8)個生成する移相器を提供できる。
【0033】
この発明の実施の形態1に係る移相器はn=1段構成であり、90度移相器1の位相差360/4/2n-1(=90)度の2n-1×4(=4)個の信号を2n-1×2(=2)個の差動増幅器3と2n-1×2(=2)個の位相差360/4/2n(=45)度の信号を得る差動増幅器4に入力して2n-1×8(=8)個の位相差360/4/2n(=45)度の信号を生成する。
この発明の実施の形態4に係る移相器はn=2段構成であり、2段目では上述の1段目の8個の位相差45度の信号を2n-1×2(=4)個の差動増幅器3と2n-1×2(=4)個の位相差360/4/2n(=22.5)度の信号を得る差動増幅器11に入力して2n-1×8(=16)個の位相差360/4/2n(=22.5)度の信号を生成する2段目から構成されている。
【0034】
次に、n=3段構成を考案すると、上述の2段目で生成される16個の位相差22.5度の信号を2n-1×2(=8)個の差動増幅器3と2n-1×2(=8)個の位相差360/4/2n(=11.25)度の信号を得る差動増幅器12に入力して2n-1×8(=32)個の位相差360/4/2n(=11.25)度の信号を生成する。
【0035】
次に、n=4段構成を考案すると、上述の3段目で生成される32個の位相差11.25度の信号を2n-1×2(=16)個の差動増幅器3と2n-1×2(=16)個の位相差360/4/2n(=5.625)度の信号を得る差動増幅器13に入力して2n-1×8(=64)個の位相差360/4/2n(=5.625)度の信号を生成する。
【0036】
このように段数を増加することにより、より小さい位相差の信号を生成でき、そのときでも位相差360/4/2n度の信号を得る差動増幅器では負荷が抵抗であるので広帯域の移相器を提供することができる。
【0037】
実施の形態6.
図7は、この発明の実施の形態6に係る差動増幅器3Bの構成を示す図である。図8は、この発明の実施の形態6に係る別の差動増幅器3Cの構成を示す図である。
この発明の実施の形態6に係る差動増幅器3Bは、図7に示すように、2つのトランジスタペア15a、15b、定電流源回路6、負荷抵抗7Bを有する。そして、トランジスタペア15a、15bは、それぞれ2個のトランジスタから構成され、2個のトランジスタのゲート同士、エミッタ同士、コレクタ同士が接続される。
一方のトランジスタペア15aのゲートa、bに位相0度の信号が入力されると、出力端子eに位相0度の信号が出力する。他方のトランジスタペア15bのゲートc、dに位相180度の信号が入力されると、出力端子fに位相180度の信号が出力する。
【0038】
定電流源回路6から電流値Iの定電流が流される。差動増幅器3Bの負荷抵抗7Bの抵抗値は、位相差45度の信号を得る差動増幅器4の負荷抵抗7の抵抗値の2の平方根倍である。
ところで、上述の実施の形態1で説明したように、位相差45度の信号を得る差動増幅器4の出力電圧振幅は差動増幅器3の出力である位相0度、90度の電圧振幅の2の平方根倍である。
そこで、差動増幅器3Bの負荷抵抗7Bの抵抗値を、位相差45度の信号を得る差動増幅器4の負荷抵抗7の抵抗値の2の平方根倍とすることで、位相差45度を生成する移相器2の8個の出力電圧を等振幅とすることができるので、位相差45度の出力振幅の振幅誤差を低減することができる。
【0039】
また、360/4/2n度移相器を構成する位相差360/4/2n度の信号を得る差動増幅器の出力電圧振幅は、差動増幅器3の出力である位相0度、90度の電圧振幅の式(1)で求められるA倍の電圧振幅が得られる。
【0040】
【数1】

【0041】
そして、360/4/2n度移相器に用いる差動増幅器3Cの負荷抵抗7Cの抵抗値を、図8に示すように、位相差360/4/2n度の信号を得る差動増幅器の負荷抵抗7の抵抗値のA倍とすることで、360/4/2n度移相器の(2n-1×8)個の出力電圧を等振幅とすることができるので、位相差360/4/2n度の出力振幅の振幅誤差を低減することができる。
【0042】
実施の形態7.
図9は、この発明の実施の形態7に係る差動増幅器3Dの構成を示す図である。図10は、この発明の実施の形態7に係る別の差動増幅器3Eの構成を示す図である。
この発明の実施の形態7に係る差動増幅器3Dは、図9に示すように、2つのトランジスタペア15a、15b、定電流源回路6B、負荷抵抗7を有する。そして、トランジスタペア15a、15bは、それぞれ2個のトランジスタから構成され、2個のトランジスタのゲート同士、エミッタ同士、コレクタ同士が接続される。
一方のトランジスタペア15aのゲートa、bに位相0度の信号が入力されると、出力端子eに位相0度の信号が出力する。他方のトランジスタペア15bのゲートc、dに位相180度の信号が入力されると、出力端子fに位相180度の信号が出力する。
【0043】
定電流源回路6Bから位相差45度の信号を得る差動増幅器4の電流値Iの2の平方根倍の定電流が流される。
ところで、上述の実施の形態1で説明したように、位相差45度の信号を得る差動増幅器4の出力電圧振幅は差動増幅器3の出力である位相0度、90度の電圧振幅の2の平方根倍である。
そこで、差動増幅器3Dの負荷抵抗7に流す定電流を、位相差45度の信号を得る差動増幅器4の負荷抵抗7に流す定電流の電流値の2の平方根倍とすることで、位相差45度を生成する移相器2の8個の出力電圧を等振幅とすることができるので、位相差45度の出力振幅の振幅誤差を低減することができる。
【0044】
また、360/4/2n度移相器を構成する位相差360/4/2n度の信号を得る差動増幅器の出力電圧振幅は差動増幅器3の出力である位相0度、90度の電圧振幅のA倍の電圧振幅が得られる。
そこで、360/4/2n度移相器に用いる差動増幅器3Eの負荷抵抗7に流れる電流値を、図10に示すように、位相差360/4/2n度の信号を得る差動増幅器の負荷抵抗に流れる電流の電流値のA倍とすることで、360/4/2n度移相器の(2n-1×8)個の出力電圧を等振幅とすることができるので、位相差360/4/2n度の出力振幅の振幅誤差を低減することができる。
【0045】
実施の形態8.
図11は、この発明の実施の形態8に係る移相器の構成を示す図である。
この発明の実施の形態8に係る移相器は、この発明の実施の形態1に係る移相器にリミッタ増幅器18を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
リミッタ増幅器18には、45度移相器2から位相差45度の信号が入力されリミッタ増幅器18で出力端子71〜78からの出力電圧を一定にする。
このように出力電圧を等振幅とすることができるので、移相器の出力振幅の振幅誤差を低減することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 90度移相器、2 位相差45度を生成する移相器、3a〜3f、3B、3C、3D、3E 差動増幅器、4a、4b 位相差45度の信号を得る差動増幅器、5a、5b、15a、15b トランジスタペア、6、6B、6C 定電流源回路、7、7B、7C 負荷抵抗、8 位相差22.5度を生成する移相器、9 位相差11.25度を生成する移相器、10 位相差5.625度を生成する移相器、11a〜11d 位相差22.5度の信号を得る差動増幅器、12 位相差11.25度の信号を得る差動増幅器、13 位相差5.625度の信号を得る差動増幅器、18 リミッタ増幅器、21、22 (90度移相器の)入力端子、23〜26 (90度移相器の)出力端子、27〜30 (位相差45度を生成する移相器)入力端子、31〜38 (位相差45度を生成する移相器の)出力端子、41〜48 (位相差22.5度を生成する移相器の)入力端子、51〜66 (位相差22.5度を生成する移相器の)出力端子、71〜78 (リミッタ増幅器の)出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される位相が180度異なる2個の信号から上記2個の信号と位相の異なる複数の信号を生成する移相器において、
上記2個の信号から位相がそれぞれ90度異なる4個の信号を生成する90度移相器と、
上記位相がそれぞれ90度異なる4個の信号を位相を変えずに増幅する差動増幅器および上記4個の信号と位相がそれぞれ45度異なる4個の信号を生成する位相差45度を得る差動増幅器を有し、位相差45度の8個の信号を生成する位相差45度を生成する移相器と、
を備えることを特徴とする移相器。
【請求項2】
上記位相差45度の8個の信号のうちの2個の信号が入力され、上記入力された信号と位相が22.5度異なる信号を得る差動増幅器を有し、且つ位相差22.5度の16個の信号を生成する位相差22.5度を生成する移相器を備えることを特徴とする請求項1に記載の移相器。
【請求項3】
入力される位相が180度異なる2個の信号から上記2個の信号と位相の異なる複数の信号を生成する移相器において、
n(nは1以上の整数)段構成であり、
1段からn段の各段ではそれぞれ位相差360/4/2n-1度の2n-1×4個の信号を2n-1×2個の位相を変えずに増幅する差動増幅器と2n-1×2個の位相差360/4/2n度を得る差動増幅器を備え、位相差360/4/2n度の2n-1×8個の信号を生成する移相器を備えることを特徴とする移相器。
【請求項4】
上記位相差45度の信号を生成する差動増幅器と上記位相を変えずに増幅する差動増幅器の負荷抵抗値の比を1対2の平方根としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移相器。
【請求項5】
上記位相差45度の信号を生成する差動増幅器と上記位相を変えずに増幅する差動増幅器の電流の比を1対2の平方根としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移相器。
【請求項6】
最終段にリミッタ増幅器を接続したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の移相器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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