説明

移載機の位置決め機構

【課題】物品の移載時の位置決めを正確、且つ、確実に行うことができる移載機の位置決め機構を提供する。
【解決手段】無人搬送車10の上部に搭載された、物品を移載する移載機11において、無人搬送車10と移載機11との間には、無人搬送車10上の移載機11の位置を調整する移載機位置決め装置と、移載機11は、移載機11を地上に固定する地上位置決め装置23とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載機の位置決め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場や倉庫等において、物品を無人で搬送する無人搬送車(AGV)に、この搬送する物品を所定の位置に載置する移載機を搭載して、例えば、工場等においては物品を機械装置に設置したり、倉庫等においては物品を所定のスペースに収納したりすることが一般に行われている。
【0003】
移載機により物品を移載する際には、移載機と物品の移載先との位置関係が物品の移載が正確に行えるように予め設定した位置関係と同じに必要がある。このため、無人搬送車が停止する位置に所定の表面形状を有する反射材を設け、距離検出センサから入力された距離データのサンプリングによって反射材の所定位置を検出し、無人搬送車を停止させている。このような、位置決め機構の一例が下記特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−10632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の位置決め機構では、無人搬送車の停止位置を一定に保つことができるが、無人搬送車に搭載された移載機と物品の移載先との位置関係を正確に合わせることは極めて困難である。
【0006】
このことから、本発明は、物品の移載時の位置決めを正確、且つ、確実に行うことができる移載機の位置決め機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための第1の発明(請求項1に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、
無人搬送車の上部に搭載された、物品を移載する移載機において、
前記無人搬送車と前記移載機との間には、前記無人搬送車上の前記移載機の位置を調整する移載機位置決め装置と、
前記移載機は、該移載機を地上に固定する地上位置決め装置と
を備える
ことを特徴とする。
【0008】
上記の課題を解決するための第2の発明(請求項2に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、第1の発明に係る移載機の位置決め機構において、
前記移載機位置決め装置は、
前記移載機を前後方向、左右方向、及び、上下方向に移動させる三次元駆動装置と、
前記移載機の前後方向及び左右方向への移動を可能とし、かつ、前後方向、左右方向、及び、上下方向への回転を可能とする支点と
を備える
ことを特徴とする。
【0009】
上記の課題を解決するための第3の発明(請求項3に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、第2の発明に係る移載機の位置決め機構において、前記移載機位置決め装置は、前記移載機の正面側に2基の前記三次元駆動装置と、前記移載機の背面側に1基の前記支点を備え、これらが三角形をなすように配置されることを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決するための第4の発明(請求項4に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかに係る移載機の位置決め機構において、
前記地上位置決め装置は、
前記移載機を地上に固定するアウトリガーと、
前記アウトリガーを前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダーと、
前記アウトリガーを上昇又は下降させる地上位置決め油圧シリンダーと
を備える
ことを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するための第5の発明(請求項5に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかに係る移載機の位置決め機構において、
前記地上位置決め装置は、
前記移載機を地上に固定するアウトリガーと、
前記アウトリガーを前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダーと、
前記移載機を上昇又は下降させる移載機昇降装置と
を備え、
前記移載機昇降装置により前記移載機を上昇させた状態で前記アウトリガーを前進させ、前記アウトリガーの前進が完了した時点で前記移載機昇降装置により前記移載機を下降させる
ことを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するための第6の発明(請求項6に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、第5の発明に係る移載機の位置決め機構において、
前記移載機昇降装置は、
前記無人搬送車内部の後部の壁面に移載機を昇降させる昇降油圧シリンダーを取り付け、
前記昇降油圧シリンダーの前端部にローラーを有するローラー部を設置し、
前記移載機の下部に前部に行くほど前記無人搬送車との幅が狭くなるようテーパー部を形成し、
前記昇降油圧シリンダーを伸長して前記ローラー部が前進すると、前記テーパー部が上方に押し上げられて移載機が上昇する
ことを特徴とする。
【0013】
上記の課題を解決するための第7の発明(請求項7に記載)に係る移載機の位置決め機構によれば、第1の発明乃至第6の発明のいずれかに係る移載機の位置決め機構において、
前記地上位置決め装置を地上に固定する位置決めコーンを前記無人搬送車の軌道外に設置し、
前記位置決めコーンの形状を円錐形状とする
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、無人搬送車の上部に搭載された、物品を移載する移載機において、無人搬送車と移載機との間には、無人搬送車上の移載機の位置を調整する移載機位置決め装置と、移載機は、移載機を地上に固定する地上位置決め装置とを備えることにより、移載機を地面に対して固定することができ、さらに、この固定された状態で移載機の正確、且つ、確実な位置決めを可能とすることができるため、移載先の機械装置や物品の収納スペース等に対して正確に位置合わせをすることができる。
【0015】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、移載機位置決め装置は、移載機を前後方向、左右方向、及び、上下方向に移動させる三次元駆動装置と、移載機の前後方向及び左右方向への移動を可能とし、かつ、前後方向、左右方向、及び、上下方向への回転を可能とする支点とを備えることにより、無人搬送車上の移載機の位置決めを正確に行うことができる。
【0016】
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加え、移載機位置決め装置は、移載機の正面側に2基の三次元駆動装置と、移載機の背面側に1基の支点を備え、これらが三角形をなすように配置されることにより、無人搬送車上の移載機の位置決めを正確に行うことができる。
【0017】
第4の発明によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの効果に加え、地上位置決め装置は、移載機を地上に固定するアウトリガーと、アウトリガーを前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダーと、アウトリガーを上昇又は下降させる地上位置決め油圧シリンダーとを備えることにより、移載機の位置を正確に位置決めし、移載機を地面に確実に固定することができる。さらに、アウトリガーが前進した状態ではアウトリガーが踏ん張った状態となるため、物品の移載時に移載機が転倒することを防止し、物品をより遠くへ迫り出させることが可能となる。
【0018】
第5の発明によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの効果に加え、地上位置決め装置は、移載機を地上に固定するアウトリガーと、アウトリガーを前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダーと、移載機を上昇又は下降させる移載機昇降装置とを備え、移載機昇降装置により移載機を上昇させた状態でアウトリガーを前進させ、アウトリガーの前進が完了した時点で移載機昇降装置により移載機を下降させることにより、前進時にはアウトリガーが地上の構造物と干渉することを避けることができ、前進が完了時にはアウトリガーを確実に地上に固定することができる。さらに、アウトリガーが前進した状態ではアウトリガーが踏ん張った状態となるため、物品の移載時に移載機が転倒することを防止し、物品をより遠くへ迫り出させることが可能となる。
【0019】
第6の発明によれば、第5の発明の効果に加え、移載機昇降装置は、無人搬送車内部の後部の壁面に移載機を昇降させる昇降油圧シリンダーを取り付け、昇降油圧シリンダーの前端部にローラーを有するローラー部を設置し、移載機の下部に前部に行くほど無人搬送車との幅が狭くなるようテーパー部を形成し、昇降油圧シリンダーを伸長させてローラー部が前進すると、テーパー部が上方に押し上げられて移載機が上昇することにより、シンプルな構造でありながらアウトリガーの前進を可能とすることができる。
【0020】
第7の発明によれば、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの効果に加え、地上位置決め装置を地上に固定する位置決めコーンを無人搬送車の軌道外に設置し、位置決めコーンの形状を円錐形状とすることにより、位置決めコーンが無人搬送車の走行の邪魔になることがなく、さらに、位置決めコーンは凹状でなく凸状であるため、糸くずや埃等の異物が溜まることを防ぐことができるので、地上位置決め装置を確実に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る移載機の位置決め機構の実施例について、図1から図11を用いて説明する。図1は第1の実施例に係る移載機の背面側の側面図、図2は第1の実施例に係る移載機の透視平面図、図3は第1の実施例に係る移載機の左側の側面図、図4は第1の実施例に係る移載機のアウトリガー前進時の左側の側面図、図5は第1の実施例に係る移載機の移載時の左側の側面図、図6は第2の実施例に係る移載機下降時の昇降装置の左側の側面図、図7は第2の実施例に係る移載機下降時のアウトリガーの左側の側面図、図8は第2の実施例に係る移載機の透視平面図、図9は第2の実施例に係る移載機上昇時の昇降装置の左側の側面図、図10は第2の実施例に係る移載機上昇時におけるアウトリガー前進時の左側の側面図、図11は第2の実施例に係る移載機下降時におけるアウトリガー前進時の左側の側面図である。
【0022】
ここで、移載機の背面側の側面とは、移載機の移載方向を正面側としたときの背面側の側面であることを意味し、移載機の左側の側面とは、移載機の正面側の側面を基準として左側に位置する側面であることを意味する。なお、各図共に、移載機の長手方向を左右方向(X方向)とし、移載機の物品の移載方向を前後方向(Y方向)とし、移載機の高さ方向を上下方向(Z方向)とする。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明に係る移載機の位置決め機構の第1の実施例について説明する。図1に、本実施例に係る移載機の側面図を示す。図1に示すように、無人搬送車10の上部には、移載機11が搭載されている。図1では、移載機11により搬送される物品として、軸心40aに糸を巻いたロール40を示しており、図1中、ロール40は二点鎖線により示されている。本実施例では、搬送される物品としてロール40示しているが、ロール40以外の物品を搬送するように適宜設計を変更することも可能である。
【0024】
移載機11は3段に分かれており、一番下の第1段目12の部分と真中の第2段目13の部分との間には、第1段目に対し第2段目が前後方向(Y方向)に移動できるようにリニアガイド14が設置されている。また、真中の第2段目13の部分と最上段の第3段目15の部分との間には、第2段目13に対し第3段目15が前後方向(Y方向)に移動できるようにリニアガイド16が設置されている。
【0025】
移載機11の第3段目15には、ロール40の軸心40aでロール40を支持するロール支持部材17が設置されている。このロール支持部材17は、ロール40の積載時や荷降ろし時にロール40を昇降することができるように上下機構18が設置されている。
【0026】
移載機11と無人搬送車10との間には、無人搬送車10上に搭載されてロール13を移載する移載先との位置合わせをする無人搬送車上における三次元駆動装置19が設置されている。また、移載機11と無人搬送車10との間には、無人搬送車10上の移載機11の背面側での支点である支点24が設置されている。
【0027】
図2に、本実施例に係る移載機の透視平面図を示す。図2においては、移載機11又は無人搬送車10に設置される各部品のX−Y平面位置関係を説明するため、上下方向(Z方向)での位置が異なる部品についても同一平面上に示されている。
【0028】
図2に示すように、無人搬送車10の下部の前後方向(X方向)での両端部の左右方向(Y方向)の中央部には、無人搬送車10を駆動し、さらに操舵する駆動・操舵輪20が設置されている。この駆動・操舵輪20により、無人搬送車10は、前進・後退や斜め方向への移動が可能であり、また、各駆動・操舵輪20をそれぞれ逆方向に回転させることで無人搬送車10又は移載機11のX−Y平面での対角線と同じ長さの直径の円内で回転することが可能である。
【0029】
無人搬送車10の下部の角部、すなわち、駆動・操舵輪20の前後方向(Y方向)の両側には、無人搬送車10が転倒しないように安定させるキャスタ輪21が設置されている、このキャスタ輪21は、無人搬送車10の動きに応じて自由に回転可能となっており、合計4つ設置されている。
【0030】
無人搬送車10の正面側の下部のキャスタ輪21の内側には、無人搬送車10を地面に対して定位置に停止させ、また、ロール40の積載又は荷降ろし時に無人搬送車10を地面に設置した円錐形状の位置決めコーン22に固定するためのアウトリガー等からなる地上位置決め装置23が設置されている。この地上位置決め装置23については後ほど詳述する。
【0031】
無人搬送車10と移載機11との間の移載機10の正面側の左右方向(X方向)での両端部には、移載機11の無人搬送車10上における位置決めのための三次元駆動装置19が設置されている。この三次元駆動装置19は無人搬送車10に対して、移載機11を左右方向(X方向)に動かすモータと、前後方向(Y方向)に動かすモータと、上下方向(Z方向)に動かすモータとにより構成されており、これにより、X方向、Y方向、及び、Z方向に移載機11を移動させることが可能となっている。本実施例においては、無人搬送車10上の移載機11をモータによりX方向、Y方向、及び、Z方向に動かしているが、油圧等により動かすようにしてもよい。
【0032】
無人搬送車10と移載機11との間の移載機11の背面側の中央部には、移載機11の無人搬送車10上における背面側の支点である支点24が設置されている。この支点24は、移載機11を左右方向(X方向)に動かすことが可能なX方向リニアガイドと、移載機11を前後方向(Y方向)に動かすことが可能なY方向リニアガイドと、移載機をX方向、Y方向、及び、Z方向を回転軸として回転することが可能な、すなわち、ピッチ、ロール、及び、ヨーが可能な球面軸受とにより構成されている。
【0033】
すなわち、支点24は、無人搬送車10上の移載機11がZ方向に動くことのみを規制し、それ以外のX方向及びY方向に動くことと、ピッチ、ロール、及び、ヨーは可能となっている。このように、本実施例に係る移載機は、三次元駆動装置19と支点24とにより移載先との正確な位置決めを可能としている。本実施例では、三次元駆動装置19と支点24とが課題を解決するための手段に記載する移載機位置決め装置である。
【0034】
図3に、本実施例に係る移載機の左側の側面図を示す。なお、図3に示すアウトリガーは、無人搬送車10内に格納された状態である。図3に示すように、移載機11の下部には、地上位置決め装置23が設置されている。地上位置決め装置23の前部には、アウトリガー25が設置されている。このアウトリガー25は、アウトリガー25を支持するアウトリガー支持部材26により支持されている。アウトリガー25の後端部とアウトリガー支持部材26とは、アウトリガー回転軸27により回転可能に結合されている。
【0035】
アウトリガー支持部材26と移載機11の下部との間には、アウトリガー25を前後方向(Y方向)に前進又は後進させるためにアウトリガー前後進油圧シリンダー28が設置されている。このアウトリガー前後進油圧シリンダー28後端部は移載機11の第1段目の下部に取り付けられている。また、アウトリガー支持部材26の上部と移載機11の下部との間には、アウトリガー支持部材26が前後方向(Y方向)に前後進可能となるようにリニアガイド29が設置されており、アウトリガー支持部材26はリニアガイド29を介して移載機11に取付いている。このため、アウトリガー前後進油圧シリンダー28を収縮させると、アウトリガー支持部材26は後進し、アウトリガー前後進油圧シリンダー28を伸長させると、アウトリガー支持部材26は前進する。
【0036】
アウトリガー25の先端部の上部には、アウトリガーを上昇又は下降(上下動)させるための地上位置決め油圧シリンダー30が回転可能に結合されている。また、この地上位置決め油圧シリンダー30の後端部はアウトリガー支持部材26の前部の上部に回転可能に結合されている。
【0037】
このように、地上位置決め油圧シリンダー30は、アウトリガー25の先端部の上部とアウトリガー支持部材26の前部の上部との間に設置されているため、地上位置決め油圧シリンダー30を収縮させるとアウトリガー25は上昇した状態になり、地上位置決め油圧シリンダー30を伸長させるとアウトリガー25は下降した状態となる。
【0038】
アウトリガー25の先端部の下部には、位置決めコーン22に被さる部分であるアウトリガー固定部31が形成されている。本実施例では位置決めコーン22の形状を円錐形状の凸状としたため、アウトリガー固定部31は凹状としたが、位置決めコーン22の形状を凹状とした場合には、アウトリガー固定部31の形状を凸状としてもよい。本実施例では、アウトリガー25、アウトリガー前後進油圧シリンダー28、及び、地上位置決め油圧シリンダー30が課題を解決するための手段に記載された地上位置決め装置23である。
【0039】
図4に、本実施例に係る移載機のアウトリガー前進時の左側の側面図を示す。図4に示すように、アウトリガー前後進油圧シリンダー28と地上位置決め油圧シリンダー30は伸長した状態となっている。このとき、アウトリガー25の先端部の下部のアウトリガー固定部31は、位置決めコーン22に被さった状態となる。このように、アウトリガー固定部31と位置決めコーン22とは結合され移載機11は地面に固定された状態となる。
【0040】
図5に、本実施例に係る移載機の移載時の左側の側面図を示す。図5に示すように、ロール40の移載時には、移載機11は、第2段目13が前方に移動し、さらに、第3段目15も前方に移動する。すなわち、ロール40は移載機11の第1段目12から迫り出した状態となる。
【0041】
このため、移載機11は重心が外側へずれて不安定な状態となるが、アウトリガー25が伸長した状態で位置決めコーン22に固定されているため、アウトリガー25により踏ん張ることができるので、移載機11が転倒することを防止することができ、また、ロール40をより遠くへ迫り出させることができるようになる。
【0042】
このように、本実施例に係る移載機の位置決め機構によれば、無人搬送車10の上部に搭載された、物品を移載する移載機11において、無人搬送車10と移載機11との間には、無人搬送車10上の移載機11の位置を調整する移載機位置決め装置と、移載機11は、移載機11を地上に固定する地上位置決め装置23とを備えることにより、移載機11を地面に対して固定することができ、さらに、この固定された状態で移載機10の正確、且つ、確実な位置決めを可能とすることができるため、移載先の機械装置や物品の収納スペース等に対して正確に位置合わせをすることができる。
【0043】
また、移載機位置決め装置は、移載機11を前後方向、左右方向、及び、上下方向に移動させる三次元駆動装置19と、移載機11の前後方向及び左右方向への移動を可能とし、かつ、前後方向、左右方向、及び、上下方向への回転を可能とする支点24とを備えることにより、無人搬送車10上の移載機11の位置決めを正確に行うことができる。
【0044】
また、移載機位置決め装置は、移載機11の正面側に2基の三次元駆動装置19と、移載機の背面側に1基の支点24を備え、これらが三角形をなすように配置されることにより、無人搬送車10上の移載機11の位置決めを正確に行うことができる。
【0045】
また、地上位置決め装置23は、移載機11を地上に固定するアウトリガー25と、アウトリガー25を前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダー28と、アウトリガー25を上昇又は下降させる地上位置決め油圧シリンダー30とを備えることにより、移載機11の位置を正確に位置決めし、移載機11を地面に確実に固定することができる。
【0046】
さらに、アウトリガー25が前進した状態ではアウトリガー25が踏ん張った状態となるため、物品の移載時に移載機11が転倒することを防止し、物品をより遠くへ迫り出させることが可能となる。
【0047】
また、地上位置決め装置23を地上に固定する位置決めコーン22を無人搬送車10の軌道外に設置し、位置決めコーン22の形状を円錐形状とすることにより、位置決めコーン22が無人搬送車10の走行の邪魔になることがなく、さらに、位置決めコーン22は凹状でなく凸状であるため、糸くずや埃等の異物が溜まることを防ぐことができるので、地上位置決め装置23を確実に固定することができる。
【実施例2】
【0048】
以下、本発明に係る移載機の位置決め機構の第2の実施例について説明する。本実施例に係る移載機の位置決め装置では、第1の実施例に記載されたアウトリガー等からなる地上位置決め装置が一部無人搬送車側に設置され、さらに移載機と無人搬送車との間に移載機を昇降させる昇降装置を設置した構造となっているが、それ以外の移載機の構造等については第1の実施例に記載された構造と略同様である。
【0049】
図6に、本実施例に係る移載機下降時の昇降装置の左側の側面図を示す。図6に示すように、無人搬送車10と移載機11とは、背面よりの位置で結合軸32により回動可能に結合されている。すなわち、この結合軸32を中心として移載機11は無人搬送車10に対して正面側が上下方向(Z方向)に開閉可能なように結合されている。
【0050】
無人搬送車10の背面側の部分の回転軸32の下部には、移載機昇降装置33が設置されている。この移載機昇降装置33には、昇降油圧シリンダー34が設置されている。この昇降油圧シリンダー34の正面側の先端部には上部にローラー35が取り付けられたローラー部36が取り付けられている。このローラー部36の下部にはリニアガイド37が設置されており、ローラー部36は前後方向(Y方向)に前後進可能となっている。
【0051】
移載機11の下部のローラー部36のローラー35と接する部分は、正面側に行くほど移載機11下面と無人搬送車10のリニアガイド37上面との間の幅が狭くなるようなテーパ部38が形成されている。
【0052】
図7に、本実施例に係る移載機下降時のアウトリガーの左側の側面図を示す。図7に示すように、無人搬送車10の背面側にアウトリガー前後進油圧シリンダー39を設置する。このアウトリガー前後進油圧シリンダー39の先端部は、アウトリガー25と結合されている。
【0053】
アウトリガー25の上部は移載機11の下部に設置されたリニアガイド40に取り付けられて前後方向(Y方向)に前後進可能となっている。このように、本実施例では、アウトリガー25やアウトリガー前後進油圧シリンダー39からなる地上位置決め装置41は、移載機11と無人搬送車10との両方に取り付いて設置されている。
【0054】
図8に、本実施例に係る移載機の透視平面図を示す。図8においては、移載機又は無人搬送車に設置される各部品のX−Y平面位置関係を説明するため、高さ方向での位置が異なる部品についても同一平面上に示されている。
【0055】
なお、本実施例に係る移載機の無人搬送車上の三次元駆動装置や支点、及び、無人搬送車の駆動・操舵輪やキャスタ輪の配置については、第1の実施例と略同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、移載機11下部の位置決め装置19の左右方向(X方向)での内側の位置に、移載機11を昇降する移載機昇降装置33を設置する。この移載機昇降装置33の左右方向(X方向)での内側の位置に、地上位置決め装置41を設置する。
【0057】
図9に、本実施例に係る移載機上昇時の昇降装置の左側の側面図を示す。図9に示すように、昇降油圧シリンダー34を伸長させると、ローラー部36がリニアガイド37上を前進する。この際、ローラー35がテーパ部38を押し上げるようになるため、移載機11を上昇させることができる。
【0058】
図10に、本実施例に係る移載機上昇時におけるアウトリガー前進時の左側の側面図に示す。図10に示すように、移載機11の上昇時にアウトリガー前後進油圧シリンダー39を伸長する。これにより、アウトリガー25先端部下部のアウトリガー固定部31を位置決めコーン22と干渉させることなく位置決めコーン22の上部に位置させることができる。
【0059】
図11に、本実施例に係る移載機下降時におけるアウトリガー前進時の左側の側面図を示す。図11に示すように、昇降油圧シリンダー34(図6参照)を収縮させて移載機11を下降させると、これに伴いアウトリガー25も下降し、アウトリガー固定部31が位置決めコーン22に被さって無人搬送車10及び移載機11が地面に固定された状態となる。
【0060】
このように、本実施例に係る移載機の位置決め機構によれば、地上位置決め装置41は、移載機11を地上に固定するアウトリガー25と、アウトリガー25を前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダー39と、移載機11を上昇又は下降させる移載機昇降装置33とを備え、移載機昇降装置33により移載機11を上昇させた状態でアウトリガー25を前進させ、アウトリガー25の前進が完了した時点で移載機昇降装置33により移載機11を下降させることにより、前進時にはアウトリガー25が地上の構造物と干渉することを避けることができ、前進が完了時にはアウトリガー25を確実に地上に固定することができる。
【0061】
さらに、アウトリガーが前進した状態ではアウトリガー25が踏ん張った状態となるため、物品の移載時に移載機が転倒することを防止し、物品をより遠くへ迫り出させることが可能となる。
【0062】
また、移載機昇降装置33は、無人搬送車10内部の後部の壁面に移載機11を昇降させる昇降油圧シリンダー34を取り付け、昇降油圧シリンダー34の前端部にローラー35を有するローラー部36を設置し、移載機11の下部に前部に行くほど無人搬送車10との幅が狭くなるようテーパー部38を形成し、昇降油圧シリンダー34を伸長させてローラー部が前進すると、テーパー部38が上方に押し上げられて移載機11が上昇することにより、シンプルな構造でありながらアウトリガー25の前進を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施例に係る移載機の背面側の側面図である。
【図2】第1の実施例に係る移載機の透視平面図である。
【図3】第1の実施例に係る移載機の左側の側面図である。
【図4】第1の実施例に係る移載機のアウトリガー前進時の左側の側面図である。
【図5】第1の実施例に係る移載機の移載時の左側の側面図である。
【図6】第2の実施例に係る移載機下降時の昇降装置の左側の側面図である。
【図7】第2の実施例に係る移載機下降時のアウトリガーの左側の側面図である。
【図8】第2の実施例に係る移載機の透視平面図である。
【図9】第2の実施例に係る移載機上昇時の昇降装置の左側の側面図である。
【図10】第2の実施例に係る移載機上昇時におけるアウトリガー前進時の左側の側面図である。
【図11】第2の実施例に係る移載機下降時におけるアウトリガー前進時の左側の側面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 無人搬送車
11 移載機
19 三次元駆動装置
22 位置決めコーン
23,41 地上位置決め装置
24 支点
25 アウトリガー
28,39 アウトリガー前後進油圧シリンダー
30 地上位置決め油圧シリンダー
33 移載機昇降装置
34 昇降油圧シリンダー
35 ローラー
36 ローラー部
38 テーパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車の上部に搭載された、物品を移載する移載機において、
前記無人搬送車と前記移載機との間には、前記無人搬送車上の前記移載機の位置を調整する移載機位置決め装置と、
前記移載機は、該移載機を地上に固定する地上位置決め装置と
を備える
ことを特徴とする移載機位置決め機構。
【請求項2】
請求項1に記載の移載機位置決め機構において、
前記移載機位置決め装置は、
前記移載機を前後方向、左右方向、及び、上下方向に移動させる三次元駆動装置と、
前記移載機の前後方向及び左右方向への移動を可能とし、かつ、前後方向、左右方向、及び、上下方向への回転を可能とする支点と
を備える
ことを特徴とする移載機位置決め機構。
【請求項3】
請求項2に記載の移載機位置決め機構において、
前記移載機位置決め装置は、前記移載機の前面側に2基の前記三次元駆動装置と、前記移載機の背面側に1基の前記支点を備え、これらが三角形をなすように配置される
ことを特徴とする移載機位置決め機構。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移載機位置決め機構において、
前記地上位置決め装置は、
前記移載機を地上に固定するアウトリガーと、
前記アウトリガーを前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダーと、
前記アウトリガーを上昇又は下降させる地上位置決め油圧シリンダーと
を備える
ことを特徴とする移載機位置決め機構。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移載機位置決め機構において、
前記地上位置決め装置は、
前記移載機を地上に固定するアウトリガーと、
前記アウトリガーを前進又は後進させるアウトリガー前後進油圧シリンダーと、
前記移載機を上昇又は下降させる移載機昇降装置と
を備え、
前記移載機昇降装置により前記移載機を上昇させた状態で前記アウトリガーを前進させ、前記アウトリガーの前進が完了した時点で前記移載機昇降装置により前記移載機を下降させる
ことを特徴とする移載機位置決め機構。
【請求項6】
請求項5に記載の移載機位置決め機構において、
前記移載機昇降装置は、
前記無人搬送車内部の後部の壁面に移載機を昇降させる昇降油圧シリンダーを取り付け、
前記昇降油圧シリンダーの前端部にローラーを有するローラー部を設置し、
前記移載機の下部に前部に行くほど前記無人搬送車との幅が狭くなるようテーパー部を形成し、
前記昇降油圧シリンダーを伸長して前記ローラー部が前進すると、前記テーパー部が上方に押し上げられて移載機が上昇する
ことを特徴とする移載機位置決め機構。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の移載機位置決め機構において、
前記地上位置決め装置を地上に固定する位置決めコーンを前記無人搬送車の軌道外に設置し、
前記位置決めコーンの形状を円錐形状とする
ことを特徴とする移載機位置決め機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−37591(P2008−37591A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215245(P2006−215245)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】