説明

種いも蒔付機並びに種いも補給補助容器及び自走式一人乗用型種いも植付機

【課題】種いもが搬送路に挟まることによる機械の停止、搬送路からの離脱、種いもの損傷が発生せず、蒔付間隔を植付機の走行スピードに合せて対応させて、植付株間を一定に保つようする。
【解決手段】種いも44を補給する第1コンベア45と、その走行先端から放出される種いもを受ける第2コンベア46と、その走行先端から放出される種いもを受けて放出する蒔付樋47とを具備し、第1コンベア45に種いもを個別に収容するバケット48をマトリックスリング状に配設し、第2コンベア46に種いもを個別に収容するバケット48を1行のリング状に配設し、第1、第2コンベア45、46の間に、第2コンベア46に従動させて、第1コンベア45を1バケット行の幅ずつ間欠的に走行させる第1チェーンコンベア走行タイミング機構61を介在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の根菜類、球根類等の種いもの植え付け時に自走式一人乗用型種いも植付機に設置して用いる種いも蒔付機、並びにその種いも蒔付機用の種いも補給補助容器、及びその種いも蒔付機を設置した自走式一人乗用型種いも植付機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の根菜類、球根類等を食用或いは観賞用の作物として栽培している。これ等の球根菜類ではいずれも地中にある根、茎、葉等に養分が蓄えられ、そこが球状又は塊状に生長する。それ故、球状又は塊状部分を地中から掘り上げて収穫する。又、栽培のためには地中から掘り上げた球状又は塊状部分を種いもとして再度植え付ける必要がある。そして、栽培面積が広い場合等には労力負担の軽減と植え付け効率の向上を考慮して、種いも植え付け用の機械を使用する。
【0003】
このような球根菜類用種いもの植付機は通常トラクター牽引式にし、その車輪を設けた本体枠に、種いも蒔き付け用の溝を形成し、その溝に沿って土を盛る畝立用培土器、蒔き付けた種いもを植え付けるため土を被せる覆土器等を備え付け、更に種いもの補給路を形成するため、蒔き付け用の種いもを収容するすくいホッパー、すくい上げた種いもを搬送するスプーンベルト、搬送されてきた種いもを溝に蒔き付ける投入筒等を設置して用いている(特許文献1)。しかし、球根菜類用種いも植付機を牽引式にすると、トラクターと連結して使用しなければならず、乗用型トラクターは高価であり、全体が大型化する。
【0004】
しかも、蒔き付ける種いもの形状は種々であり、大きさも異なっている。それ故、すくい筒の内部に2個以上の種いもが落下して横並びに入り込み、時にはきつく挟まってしまい、スプーンですくい上げられなくなり、ベルトが回らなくなることがある。尤も、丸形状の種いもは問題が少ないが、じゃがいものように1つの種いもを2つ以上に切断して用いる場合に問題が発生し易い。その際、植付機を止めてベルトを反対方向に少し回してスプーンを下方に移動し、棒の先で突く等してすくい筒の内部から種いもを取り除かなければならない。なお、棒の先で突いたりすると当然種いもは傷つくし、すくい筒の内部にきつく挟まったものをたとえスプーンがすくい上げたとしても無理な力が加わるため、種いもに傷が付き易い。
【0005】
そこで、本出願人は先に、製品を安価にし、中規模農家で老人が一人で農作業に従事しなければならないような現在の農業状況にも対応できるようにするため、運転操作と種いもの蒔き付け作業のみを直接手で行うだけでよく、畝立、施肥、覆土等も行えて、種いもの植え付けに必要な作業を連続して一貫処理でき、走行の安定性と直進性を確保し易く、蒔き付け作業に専念できて、労力的負担の軽減と植え付け能率の向上を達成できる、コンパクトで安価な自走式一人乗用型種いも植付機を提示し、権利を取得した(特許文献2)。
【特許文献1】特許第2678353号
【特許文献2】特許第4463629号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような自走式一人乗用型種いも植付機を用いても、運転操作と種いもの蒔き付け作業を直接手で行わなければならない。それ故、植付能率を向上させようとして、植付機の走行スピードを上げると、走行スピードの上昇と共に、植付機の運転操作と種いもの蒔き付けに必要な労力的負担が大きくなって、どうしても植付機の走行の安定性と直進性を確保し難く、種いもの植付株間を一定に保ち難くなる。
【0007】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、大きさと形状が種々異なる種いもを、補給、搬送、蒔き付けの全過程を通して個別に取り扱うことにより、種いもが搬送路に挟まることによる機械の停止、種いもの搬送路からの離脱、種いもの損傷が発生せず、種いもの蒔付間隔を自走式一人乗用型種いも植付機の走行スピードに合せて対応させ、種いも植付間隔を一定に保つことができ、植付機の走行の安定性と直進性を確保し易く、労力的負担の軽減と植付能率の向上を達成できる種いも蒔付機と、その種いも蒔付機への種いも補給に用いる種いも補給補助容器と、その種いも蒔付機を設置した自走式一人乗用型種いも植付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による種いも蒔付機は、種いもを乗せて搬送し補給する第1チェーンコンベアと、その第1チェーンコンベアの走行先端近傍下部に設置し、第1チェーンコンベアの走行先端から放出され、落下する種いもを受けて搬送し、第1チェーンコンベアの走行方向と直角方向に走行する第2チェーンコンベアと、その第2チェーンコンベアの走行先端近傍下部に設置し、第2チェーンコンベアの走行先端から放出され、落下する種いもを受けて蒔き付け箇所まで導き、放出する蒔付樋とを具備し、自走式一人乗用型種いも植付機に設置し、その自走式一人乗用型種いも植付機の走行スピードに比例して回動する回動軸から第2チェーンコンベアの駆動力を得る。
【0009】
そして、上記第1チェーンコンベアの外周面全体に、種いもを個別に収容する多数のバケットを、第1チェーンコンベアの走行方向に、各列毎に複数のバケットが1列の扁平リング状に並ぶ複数のバケット列と、その走行方向と直角方向に、各行毎に複数のバケットが1行の直線状に並ぶ複数のバケット行とからなるマトリックスリング状に配設し、又第2チェーンコンベアの外周面全体に、種いもを個別に収容する多数のバケットを第2チェーンコンベアの走行方向に1行の扁平リング状に並べて配設し、更にその第1、第2チェーンコンベアの間に、第2チェーンコンベアの走行に従動させて、第1チェーンコンベアを1バケット行の幅ずつ間欠的に走行させる第1チェーンコンベア走行タイミング機構を介在する。
【0010】
又、前記種いも蒔付機用の種いも補給補助容器は、第1チェーンコンベアの外周上面にマトリックス状に配設した多数の各バケットと対応する位置に、夫々周囲壁を有し、上下に貫通する種いも収容空間をマトリックス状に配設した種いも収容枠体と、その種いも収容枠体を乗せて、その種いも収容空間の下穴を全て底板で閉じ、その底板に連なる一辺部を屈曲させてつまみ部を形成したつまみ付き底板との組み合せにする。
【0011】
又、前記種いも蒔付機には、第1チェーンコンベアの外周上面上方に、前記種いも補給補助容器の出し入れ口付き補助容器収容空間を設け、その空間内に収容した種いも補給補助容器を棚状に支持する種いも補給補助容器収容棚枠を設置する。
【0012】
又、前記種いも蒔付機を設置した自走式一人乗用型種いも植付機には、車体の左右外側近傍に走行体をクローラ式にして夫々設置し、その車体の前部に走行駆動用エンジンと、その走行駆動用エンジンから走行体に駆動力を伝えるトランスミッションを設置して、その車体の中央付近より後部側に上下方向に貫通する種いも蒔付用開口部を設け、その車体の左右中央付近に畝立用培土器を支持して、その畝立用培土器を種いも蒔付用開口部に臨ませて設置し、その車体の種いも蒔付用開口部付近の後部に運転席を設置し、更にその後部に車体の左右中央付近で支持する覆土器を設置する。そして、上記車体の中央両側部の一側部付近に放出管付きの肥料タンクを設置して、その肥料放出管の口を畝立用培土器の近くに配置し、その車体の中央両側部の他側部付近に前記種いも蒔付機を設置する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の種いも蒔付機は、その種いも蒔付機を設置する自走式一人乗用型種いも植付機の走行スピードに比例して回動する回動軸から第2チェーンコンベアの駆動力を得るので、その植付機の走行に従動させて第2チェーンコンベアを走行させることができる。そして、第1チェーンコンベアの外周面全体に、種いもを個別に収容する多数のバケットを、第1チェーンコンベアの走行方向に、各列毎に複数のバケットが1列の扁平リング状に並ぶ複数のバケット列と、その走行方向と直角方向に、各行毎に複数のバケットが1行の直線状に並ぶ複数のバケット行とからなるマトリックスリング状に配設し、又第2チェーンコンベアの外周面全体に、種いもを個別に収容する多数のバケットを第2チェーンコンベアの走行方向に1行の扁平リング状に並べて配設することにより、第1、第2チェーンコンベアの各外周上面にマトリックス状に又は1行に配設されている各バケットに種いもを個別に収容し、個別に搬送できる。
【0014】
又、その第1、第2チェーンコンベアの間に、第2チェーンコンベアの走行に従動させて、第1チェーンコンベアを1バケット行の幅ずつ間欠的に走行させる第1チェーンコンベア走行タイミング機構を介在することにより、自走式一人乗用型種いも植付機の走行に従動する第2チェーンコンベアの走行と共に、第1チェーンコンベアの走行先端から間欠的に、先端部に位置する1バケット行に並ぶ各バケットに収容されている種いもを複数個ずつ同時に放出し、落下させて、第2チェーンコンベアの1バケット行に並ぶ対応する空の各バケットに同時に夫々投入できる。このため、自走式一人乗用型種いも植付機を走行し、第2チェーンコンベアを走行し続けると、第2チェーンコンベアの走行先端から、先に第1チェーンコンベアから種いもを投入された1バケット行分の各バケットが空になるまで、先端部に位置するバケットに収容されている種いもを1個ずつ放出し、落下させて蒔付樋に投入し、その樋により種いもを順次蒔き付け箇所まで導き放出して、蒔き付けを行える。
【0015】
このようにして、第2チェーンコンベアの1バケット行が全て空になると同時に、その1バケット行に第1チェーンコンベアの1バケット行に相当する種いもの投入を行い、第2チェーンコンベアから種いもを蒔付樋に投入して蒔き付けを続ける。すると、第1チェーンコンベアの各バケットによる種いもの搬送と投入、第2チェーンコンベアの各バケットによる種いもの受けと搬送と投入、蒔付樋による種いもの受けと搬送と投入等の種いもの流れを常に個別に行える。それ故、種いもの形状が種々であり大きさが異なっていても、種いもを個別に確実に取り扱って蒔き付けを行えるので、種いもが搬送路に挟まることによる機械の停止、種いもの搬送路からの離脱、種いもの損傷が発生しない。そして、種いもの蒔付間隔を自走式一人乗用型種いも植付機の走行スピードに合せて対応させ、種いも植付株間を一定に保つことができる。しかも、自走式一人乗用型種いも植付機に種いも蒔付機を設置しておくと、植付機の運転操作に専念して、走行の安定性と直進性を確保し易く、労力的負担の軽減と植付能率の向上を達成できる。
【0016】
又、本発明の種いも蒔付機用の種いも補給補助容器は、第1チェーンコンベアの外周上面にマトリックス状に配設した多数の各バケットと対応する位置に、夫々周囲壁を有し、上下に貫通する種いも収容空間をマトリックス状に配設した種いも収容枠体と、その種いも収容枠体を乗せて、その種いも収容空間の下穴を全て底板で閉じ、その底板に連なる一辺部を屈曲させてつまみ部を形成したつまみ付き底板との組み合せにすることにより、種いも収容枠体とつまみ付き底板とを重ね合せて使用すると、種いも収容枠体の各収容空間に種いもを夫々個別に収容して保持し、運搬できる。このため、種いも補給補助容器を用いると、種いも蒔付機の第1チェーンコンベアの外周上面にマトリックス状に配設されている多数のバケットが空の状態になっている場合、その上に種いも補給補助容器を重ね合せ、つまみ部を持って底板を引き抜くと、多数のバケットに同時に種いもを各バケットに対し夫々個別に充填できる。それ故、種いも蒔付機に対する種いもの補給を簡単に行える。
【0017】
又、本発明の種いも蒔付機に、第1チェーンコンベアの外周上面上方に、種いも補給補助容器出し入れ口付き補助容器収容空間を設け、その空間内に収容した種いも補給補助容器を棚状に支持する種いも補給補助容器収容棚枠を設置することにより、種いも蒔付機に種いも補給補助容器を簡単に装着脱できる。このため、種いも蒔付機に種いもを収容した種いも補給補助容器を装着しておくと、種いもの蒔き付け中、第1チェーンコンベアのマトリックス状に配設された多数のバケットが空になった時、直ちに各バケットに対し、種いもを簡単に補給できるため好都合である。
【0018】
又、本発明の自走式一人乗用型種いも植付機に、車体の左右外側近傍に走行体をクローラ式にして夫々設置し、その車体の前部に走行駆動用エンジンと、その走行駆動用エンジンから走行体に駆動力を伝えるトランスミッションを設置して、その車体の中央付近より後部側に上下方向に貫通する種いも蒔付用開口部を設け、その車体の左右中央付近に畝立用培土器を支持して、その畝立用培土器を種いも蒔付用開口部に臨ませて設置し、その車体の種いも蒔付用開口部付近の後部に運転席を設置し、更にその後部に車体の左右中央付近で支持する覆土器を設置した上で、その車体の中央両側部の一側部付近に放出管付きの肥料タンクを設置して、その肥料放出管の口を畝立用培土器の近くに配置し、その車体の中央両側部の他部付近に種いも蒔付機を設置することにより、車体の前後、左右で一層重量バランスを取り易くなり、植付機の走行の安定性と直進性を良好に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図1、2、及び3を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した自走式一人乗用型種いも植付機の概略平面図、図2はその概略斜視図、及び図3はその要部の概略正面図である。この自走式一人乗用型種いも植付機1はその車体2として、前後に長い長方形状の枠を上側に配置して主枠3にし、その主枠3の下側に重なるように走行体支持枠4を配置して一体に結合し、更にそれ等の枠3、4に対し桟や補助枠を結合して概略箱形状の骨格を形成して用いる。しかも、その車体2には中央より後部に亘る部分に、主枠3の左右枠部材3b、3dと、それ等の下側に夫々平行に配設された走行体支持枠4の左右枠部材に掛け渡して結合した中央桟5と、主枠3の後枠部材3cとで仕切った上下に貫通する開口部6を設けておく。すると、その開口部6を通じて種いもの蒔き付けを行うことができる。
【0020】
このような車体2に対し、その左右外側近傍に走行体7(7a、7b)をクローラ式にし、その各クローラ式走行体7の長さを車体2を構成する主枠3の長さとほぼ等しくし、その主枠3の前側に少し突出するようにして主枠3に沿わせて夫々設置する。そして、車体2の前部上に燃料タンク8付きの走行駆動用エンジン9を設置し、そのエンジン9の近傍右側の少し下方にトランスミッション10を設置する。その際、例えば走行駆動用エンジン9に3馬力のガソリンエンジンを用い、トランスミッション10に前進2段、後進1段の速度切替、前後進切替を行えるものを用いる。
【0021】
すると、エンジン9で発生した回転動力をプーリ11、12、Vベルト13等を介してトランスミッション10に伝えて、主枠3の前枠部材3aの下方に配設した左右のクローラ式走行体7の前回動軸14に伝達でき、更にその前回動軸14の両端部に備え付けられているベルト駆動用前輪15(15a、15b)によって、左右のクローラベルト16(16a、16b)に夫々伝達できる。そして、後回動軸は左右の各軸17(17a、17b)に分けて、主枠3の後枠部材3c寄りの下方近くに配設し、その両軸17に備え付けたベルト支持用後輪18(18a、18b)によって、左右のクローラベルト16を夫々支える。しかし、後回動軸17には駆動力は伝達されない。なお、19(19a、19b)は前後輪15、18間に配設したベルト支持用の補助輪である。
【0022】
又、車体2の中央桟5より少し前側の中央最右側部から右クローラベルト16b上に張り出すようにして、放出管20付きの肥料タンク21を設置する。この放出管20付きの肥料タンク21として、最上部に肥料投入用の広い開口を有し、その開口を開閉する上蓋22を備え、内部を肥料収容部にし、下部周壁を順次下方に行く程狭めて最下部付近に吐出口を設けたものを用いる。そして、その最下部に吐出口の開度を調節する吐出口開度調節バルブ23を備え、更に肥料放出管20を連結する。
【0023】
又、車体2の例えば中央桟5の左右中央付近に畝立用培土器26を支持して、その培土器26を種いも蒔付用開口部6に臨ませて設置する。この畝立用培土器26として、両前端を閉じて結合し、両後端を開いた2枚の板体からなるV形状犂27と、その犂27の前端部内側に下部を結合し、それより上側に複数例えば4個の止め穴を配設した溝深さ調節棒28との結合体を用いる。
【0024】
又、その畝立用培土器26の装着脱と支持位置を変えられる支持装置29として、中央桟5の左右中央付近に、溝深さ調節棒28が嵌まる垂直貫通穴と、その溝深さ調節棒28に設けた任意の止め穴に嵌まるハンドル付きねじ30を備えた箱形体を設置する。なお、犂27の両板体の下端を水平にし、溝深さ調節棒28を垂直に配置する。
【0025】
このようにして、溝深さ調節棒28の支持位置を左右クローラ式走行体7の前後中央より少し後方に配置すると、車体2により犂27が引き摺られるので、畝立を円滑に行える。そして、その犂27の前端付近を除く大部分を種いも蒔付用開口部6の前部空間領域内に臨ませると、その中央部空間領域の左右中央付近に良好な畝立を行える。又、その犂27の例えば前端付近に肥料放出管20の口を配置しておくと、順次形成される畝の両側盛り土内に肥料を良く混入させて施すことができる。
【0026】
又、車体2の後部中央付近に運転席31を設け、その運転席31を種いも蒔付用開口部6に臨ませる。又、車体2の後部例えばその後部端を形成する主枠3の後枠部材3cの左右中央付近に、畝の両側盛り土をならして、溝に蒔き付けた種いもに土を被せて植え付ける覆土器32を取り付ける。この覆土器32として、両前端を大きく開き、両後端を結合した2枚の板体からなるV形状ならし33と、そのならし33の後端部内側に下部を結合し、それより上側に複数例えば3個の止め穴を配設したならし位置調節棒34との結合体を用いる。
【0027】
又、その覆土器32の装着脱と支持位置を変えられる支持装置35として、主枠3の後枠部材3cの左右中央付近に、ならし位置調節棒34が嵌まる垂直貫通穴と、そのならし位置調節棒34に設けた任意の止め穴に嵌まるハンドル付きねじ36を備えた箱形体を設置する。そして、ならし33の両板体の下端を前端側より後端側が少し上がるように傾斜させ、ならし位置調節棒34を垂直に配置する。すると、ならしの途中で走行の障害となる石がでて、ごみの塊等ができても両板体の後端部が前端部より上がってくぐり易くなっているので、それ等がならし33の中央部に集まり、後方に抜けて行く。なお、走行体支持枠4には後枠部材に相当するものを設けない。
【0028】
又、車体2の種いも蒔付用開口部6の付近に、走行駆動用エンジン9の出力を調節するエンジン出力調節レバー37、その走行駆動用エンジン9からトランスミッション10へ伝える駆動力の入り切りの単独操作、及びその駆動力の入り切りと肥料タンク21の吐出口の開閉と後述する種いも蒔付機の第2チェーンコンベアへ伝える駆動力の入り切りとの連動操作の一方を選択できる主クラッチレバー38、そのトランスミッション10から左右クローラ式走行体7に伝える駆動力の正逆回転方向を切り替える前後進切替レバー39、そのトランスミッション10から左右の各クローラ式走行体7への駆動力の伝達を夫々入り切り操作する左右サイドクラッチレバー40、41等の各操作レバーを設置する。
【0029】
その際、使用頻度の高い操作用レバーを運転席31の近くに設置するため、エンジン出力調節レバー37と主クラッチレバー38は種いも蒔付用開口部6を形成する左右縁部(主枠3の左右枠部材3b、3dの一部)の運転席31近くの内側に夫々配設し、左右サイドクラッチレバー40、41はその左右縁部の運転席31近くの外側に夫々配設する。しかし、前後進切替レバー39はその右縁部の中央桟5近くの内側に設置する。
【0030】
そして、エンジン出力調節レバー37と走行駆動用エンジン9との間、主クラッチレバー38とVベルト13を張ったり、緩めたりするクラッチテンション42との間、肥料タンク21の吐出口開度調節バルブ23のスライド式蓋板との間、及び第2チェーンコンベア46へ伝える駆動力を入り切りするクラッチ75との間、左右サイドクラッチレバー40、41とトランスミッション10との間を夫々ワイヤーで接続する。しかし、前後進切替レバー39とトランスミッション10との間はロッドで接続する。すると、運転席31に腰掛けた作業者は必要なレバーを簡単に操作できて、植付機1の走行、停止と走行方向の選択、施肥、播種等を適宜行える。
【0031】
又、車体2の中央左側部から広く、左クローラベルト16a上を横切り、種いも蒔付用開口部6の左前側隅部上を覆うようにして、種いも蒔付機43を設置する。この種いも蒔付機43は主要部を、種いも44を乗せて搬送し補給する第1チェーンコンベア45と、その第1チェーンコンベア45の走行先端近傍下部に設置し、第1チェーンコンベア45の走行先端から放出され、落下する種いも44を受けて搬送し、第1チェーンコンベア45の矢印で示す走行方向と矢印で示す直角方向に走行する第2チェーンコンベア46と、その第2チェーンコンベア46の走行先端近傍下部に設置し、第2チェーンコンベア46の走行先端から放出され、落下する種いも44を受けて蒔き付け箇所まで導き、放出する蒔付樋47とから構成する。
【0032】
そして、第1チェーンコンベア45には外周面全体に、種いも44を個別に収容する多数の例えば126個のバケット48を、第1チェーンコンベア45の走行方向に、各列毎に複数例えば18個のバケット48が1列の扁平リング状に並ぶ複数例えば7列のバケット列49(49a、…49g)と、その走行方向と直角方向に各行毎に複数例えば7列のバケット48が1行の直線状に並ぶ複数例えば7行のバケット行50(50a、…50g)とからなるマトリックスリング状に配設する。その際、2本の無端チェーン51を一定距離離して、植付機1の走行方向と直角方向に平行に配置し、その各無端チェーン51の左右端部を種いも蒔付機43の枠52に一定距離離して回動自在に軸支させた両スプロケット53(53a、53b)に夫々巻回させて扁平リング状に張設する。
【0033】
次に、その両無端チェーン51の間に多数例えば18個の断面L字状の細長い掛け渡し部材例えばアルミ製掛け渡し部材54を並べて、いずれも植付機1の走行方向に沿わせ、一方の細長い長方形板状部材54aの両端部を夫々固着させて、両無端チェーン51の外周面を覆うように掛け渡して底壁にし、その長方形底壁54aに対し、他方の細長い長方形板状部材54bを垂直に立てて壁にする。但し、隣接する細長い掛け渡し部材54の底壁54a間には、いずれにも後述するフックの先端部が嵌まるようにするため、少し隙間を設ける。そして、いずれも隣接する細長い掛け渡し部材54の垂直壁54b間に、等間隔を保つようにして、短いL字状の仕切部材例えばアルミ製仕切部材55を6個分散配設する。その際、図4に示すように、各仕切り部材55の一方の板状部材55aを第1チェーンコンベア45の走行後側に位置する垂直壁54bに重ね合せて固着し、他方の板状部材55bを垂直仕切壁にする。但し、第1チェーンコンベア45の外周上面の両側には、側壁56(56a、56b)を機枠51に固着して立設する。すると、第1チェーンコンベア45の外周上面に例えば縦横5、5cmで、深さが3cmの升状バケット48を7行、7列のマトリックス状に分散配設できる。
【0034】
又、第2チェーンコンベア46の外周面全体に、種いも44を個別に収容する多数例えば18個のバケット48を、第2チェーンコンベア45の走行方向に1行の扁平リング状に並べて配設する。その際、1本の無端チェーン57を植付機1の走行方向に伸ばし、その無端チェーン57の前後端部を機枠52に一定距離離して回動自在に軸支させた両スプロケット58に夫々巻回させることにより、扁平リング状に張設する。なお、種いも蒔付機43の枠52は植付機1の機枠3等に固着する。そこで、無端チェーン57の外周面全体に、18個の短いL字状の仕切部材例えばアルミ製仕切部材59を分散配設し、各部材59の一方の板状部材59aを夫々固着させて底壁にし、他方の板状部材59bを夫々仕切りのため垂直に立てて壁にする。更に、第2チェーンコンベア46の外周上面の両側には、側壁60(60a、60b)を機枠52に固着して立設する。すると、第2チェーンコンベア46の外周上面に、縦横5.5cmで、深さ3cmの升状バケット48を1行の直線状に7個並べて配置できる。
【0035】
このような第1、第2チェーンコンベア45、46の間に、第2チェーンコンベア46の走行に従動させて、第1チェーンコンベア45を1バケット行50の幅ずつ間欠的に走行させる第1チェーンコンベア走行タイミング機構61を介在する。その際、第1チェーンコンベア走行タイミング機構61として、例えば第2チェーンコンベア46の内周面の所定箇所に、第1チェーンコンベア45に駆動力を伝えるための起動突起62を2本離して突設する。そして、図5に示すように機枠52に設置した軸63を支点として自在に回動する棒64を梃子にして用い、その梃子棒64の一端部を起動突起62から力が加わる力点にし、他端部を作用点にする。そこで、その梃子棒64の作用点にスリーブに収納した牽引ワイヤー65の一端を結合して、その牽引ワイヤー65を第1チェーンコンベア45の内周下面に沿わせて延設し、その牽引ワイヤー65の他端を復帰用の引張コイルスプリング66の一端に結合し、そのスプリング66の他端を機枠52に固着する。又、牽引ワイヤー65の他端部にフック67を固着する。すると、そのフック67をバケット行50cの後隅部付近に引っ掛けて、第1チェーンコンベア45を1バケット行50の幅ずつ間欠的に走行可能にできる。なお、起動突起62から梃子棒64の一端部が外れると、牽引ワイヤー65にスプリング66の復帰力が作用する。すると、牽引ワイヤー65と共にフック67は直後のバケット行52bの下を通過し、その後隅部付近に引っ掛かる。
【0036】
又、蒔付樋47には断面U字状の長い部材例えばアルミ製部材を用い、その一端を高く、放出端を低くして滑り台状に配設し、その放出端部を畝立用培土器26に向けて屈曲する。しかも、その高端部を例えば断面逆U字状に屈曲させて、植付機1への着脱可能な取付部にし、植付機1の走行方向に沿うスライドを可能にする。すると、蒔付樋47の取り付け位置を選ぶことにより、第2チェーンコンベア46から放出され、落下する種いも44を良好に受けて、培土器26により形成された畝溝内に導き、蒔き付けできる。
【0037】
そして、第2チェーンコンベア46は種いも植付機1の走行スピードに比例して回動する回動軸、例えばクローラ式走行体7の回動軸14から駆動力を得る。その際、その回動軸14で軸支したスプロケット68の回動力を噛合するスプロケット69に伝えて回動力を逆方向に変換する。そして、その回動力をスプロケット69と回動軸を同じにするスプロケット70に伝え、更に無端チェーン71を介してスプロケット72に伝える。又、そのスプロケット72から回動軸73を介してスプロケット74に伝える。但し、その回動軸73には軸73を連結し、遮断するクラッチ75を介在する。又、そのスプロケット74から無端チェーン76を介してスプロケット77に伝える。すると、スプロケット77から回動軸89を経て、第2チェーンコンベア46を駆動するスプロケット58に伝えることができる。なお、回動力の伝達過程に配置したスプロケット68、69、70、72、74、77、回動軸73、89等は、種いも植付機1の主枠3、走行体支持枠4、種いも蒔付機43の枠52等や、それらに付随する桟枠で適宜支持する。
【0038】
このような種いも蒔付機43に対し、種いもを補給する補助容器78として、第1チェーンコンベア45の外周上面にマトリックス状に配設した多数の各バケット48と対応する位置に、夫々周囲壁79を有し、上下に貫通する種いも収容空間80をマトリックス状に配設した種いも収容枠体81と、その種いも収容枠体81を乗せて、その種いも収容空間80の下穴を全て底板82で閉じ、その底板82に連なる一辺部を屈曲させてつまみ部83を形成したつまみ付き底板84との組み合せ体を用いる。
【0039】
又、種いも蒔付機43に設置した第1チェーンコンベア45の外周上面上方に、種いも補給補助容器78の出し入れ口85付き補助容器収容空間86を例えば上下に夫々設け、その各空間86内に収容した種いも補給補助容器78を上下2段の載置板87を用いて夫々支持する種いも補給補助容器収容棚枠88を設置する。その際、上下載置板87間の距離を例えば10cmにするのに際し、下載置板87と第1チェーンコンベア45との距離を例えば20cmにして、補助容器78を用いて行う種いも44の補給作業を行い易くする。このようにすると、種いも蒔付機1に種いも補給補助容器78を簡単に装着脱できる。そこで、種いも蒔付機43に種いも44を収容した種いも補給補助容器78を装着しておくと、種いも44の蒔き付け中、第1チェーンコンベア45のマトリックス状に配設された49個のバケット48が空になった時、直ちに各バケット48に対し、種いも44を簡単に補給できて好都合となる。なお、種いも補給補助容器収容棚枠88の段数を多くし過ぎると、当然前方が見え難くなって運転に不都合となる。
【0040】
又、種いも蒔付用開口部6の左右縁部に対応する下側に配置した走行体支持枠4の左右枠部材の中央部付近から内側に向けて、作業者の足を乗せる足置台90(90a、90b)を夫々水平方向に小さく長方形状に張り出して夫々設ける。又、その走行体支持枠4の左右枠部材の内側に、畝立用培土器26で起された土や石、ごみ等が左右クローラ式走行体7へ侵入するのを防止するため、土石侵入防止部材91(91a、91b)として、例えば長方形状板材をその板面が垂直方向となるようにして夫々配設する。
【0041】
このようにして、自走式一人乗用型種いも植付機1を完成すると、その種いも植付機1は車体2の左右外側近傍に走行体7をクローラ式にして夫々設置し、その車体2の前部に走行駆動用エンジン9と、その走行駆動用エンジン9から走行体7に駆動力を伝えるトランスミッション10を設置して、その車体2の中央付近より後部側に上下方向に貫通する種いも蒔付用開口部6を設け、その車体2の左右中央付近に畝立用培土器26を支持して、その畝立用培土器26を種いも蒔付用開口部6に臨ませて設置し、その車体2の種いも蒔付用開口部6付近の後部に運転席31を設置し、更にその後部に車体2の左右中央付近で支持する覆土器32を設置した上で、その車体2の中央両側部の右側部付近に放出管20付きの肥料タンク22を設置して、その肥料放出管22の口を畝立用培土器26の近くに配置し、その車体2の中央両側部の左側部付近に種いも蒔付機43を設置した構成を備えている。それ故、車体2の前後、左右で一層重量バランスを取り易くなり、植付機1の走行の安定性と直進性を良好に確保することができる。
【0042】
このような自走式一人乗用型種いも植付機1は作業者が乗車して、走行中には運転操作のみを直接手で行うだけでよく、蒔き付け直前に放出管20付き肥料タンク21から畝立箇所付近に肥料を施し、その肥料を培土器26で攪拌しながら畝立てをし、その畝溝に蒔付樋43より蒔き付けた種いも44に覆土器32で覆土をすることにより、種いもの植え付けに必要な作業を連続して一貫処理できる。しかも、例えば植付機1の寸法が左右クローラ式走行体7を設置した車体2の主要部分の長さが1.8m、幅が1.5m、全重量が200kgとコンパクトにでき、製品の価格も安くなる。
【0043】
種いも例えばじゃがいもを植え付ける場合、種いも植付機1に作業者が乗車して運転し、畑の端に植付機1を置いた後、種いも蒔付機43に設置した第1チェーンコンベア45の外周上面にマトリックス状に配設されている多数の空バケット48に対し、種いも補給補助容器84を用いて、各バケット48に種いも44を夫々充填する。その際、マトリックス状に配設されている多数の空バケット48上に、種いも補給補助容器84を重ね合せ、つまみ部83を持って底板82を引き抜く。すると、多数のバケット48に同時に種いも44を各バケット48に対し夫々個別に充填できる。それ故、種いも蒔付機43に対する種いも44の補給を簡単に行える。
【0044】
又、種いも補給補助容器収容棚枠88の上下補助容器収容空間86に対し、種いも補給補助容器78を差し込んで夫々装着する。その際、先に種いも収容枠体81とつまみ付き底板84とを重ね合せて、その種いも収容枠体81の各収容空間80に種いも44を個別に夫々収容しておく。すると、その種いも補給補助容器78を収容棚枠88にて良好に保持して、運搬できる。なお、他に例えば3個程の種いも補給補助容器78を用意し、その各種いも収容枠体81に対し、その上に例えば袋から種いも44をまとめて放出し、広げて、各収容空間80に種いも44を夫々収容させた後、畑の端等に準備しておくと、収容棚枠88に対する装着を効率的に行える。
【0045】
そこで、植え付け作業を開始するに当り、主クラッチレバー38を操作し、種いも蒔付機43の第2チェーンコンベア46へ駆動力を伝え、第1チェーンコンベア走行タイミング機構61を介して、第1チェーンコンベア45を1バケット行50だけ走行させる。すると、第1チェーンコンベア45の走行先端部に位置する1バケット行50gから第2チェーンコンベア46の各バケット48に種いも44を夫々投入できる。このようにして植え付けの準備をした後、少し前方に走行した植付機1を後退させて畑の端に戻し、肥料タンク21の吐出口開度調節バルブ23を開き、主クラッチレバー38等を操作して植え付け作業を開始する。その際、作業者は運転席31に腰掛け、両足を足置台92に夫々乗せておく。
【0046】
このような植え付け走行時には、主クラッチレバー38をその切替用ガイド部材92の走行駆動用エンジン9からトランスミッション10に伝える駆動力の入り切りと、肥料タンク21の吐出口開閉と、第2チェーンコンベア46へ駆動力を伝えるクラッチ75の入り切りとの連動操作を行なえる一方の細長い案内穴の最奥部まで移動して置く。すると、走行駆動用エンジン9からトランスミッション10へ駆動力が伝わって走行でき、更に肥料タンク21に備えた吐出口開度調節バルブ23の蓋板をスプリングの付勢力に抗して引くことによって、先に調節して肥料タンク21の吐出口に臨む調節板の穴の大きさが設定されている吐出穴を開いて、肥料タンク21から畝立箇所に肥料を施すことができる。
【0047】
そして、第2チェーンコンベア46は種いも植付機1の走行体7の回動軸14から駆動力を得ているので、植付機1の走行に従動して、第2チェーンコンベア46が走行する。すると、第1、第2チェーンコンベア45、46の間に、第2チェーンコンベア46の走行に従動させて、第1チェーンコンベア45を1バケット行50の幅ずつ間欠的に走行させる第1チェーンコンベア走行タイミング機構61を介在することにより、植付機1の走行に従動する第2チェーンコンベア46の走行と共に、第1チェーンコンベア45の走行先端から間欠的に、先端部に位置する1バケット行50gに並ぶ各バケット48に収容されている種いも44を7個同時に放出し落下させて、第2チェーンコンベア46の1バケットに並ぶ対応する空の各バケット48に同時に夫々投入できる。このため、種いも植付機1を走行し、第2チェーンコンベア46を走行し続けると、第2チェーンコンベア46の走行先端から先に種いも44を投入された1バケット行分の各バケット48が空になるまで、先端部に位置するバケット48に収容されている種いも44を1個ずつ放出し、落下させて蒔付樋47に投入し、その樋47により種いも44を順次蒔き付け箇所まで導き放出して、蒔き付けを行える。
【0048】
このようにして、第2チェーンコンベア46の1バケット行が全て空になると同時に、その1バケット行に第1チェーンコンベア45の1バケット行50gに相当する種いも44の投入を行い、第2チェーンコンベア46から種いも44を蒔付樋47に投入して連続的に蒔き付けを続ける。すると、第1チェーンコンベア45の各バケット48による種いも44の搬送と投入、第2チェーンコンベア46の各バケット48による種いも44の受けと搬送と投入、蒔付樋47による種いも44の受けと搬送と投入等の種いも44の流れを常に個別に行える。それ故、種いも44の形状が種々であり、大きさが異なっていても、種いも44を個別に確実に取り扱って蒔き付けを行えるので、種いも44が搬送路に挟まることによる機械の停止、種いも44の搬送路からの離脱、種いも44の損傷が発生しない。そして、種いも44の蒔付間隔を植付機1の走行スピードに合せて対応させ、種いも蒔付株間を一定例えば35cmに保つことができる。しかも、自走式一人乗用型種いも植付機1に種いも蒔付機43を設置しておくと、植え付け中、植付機1の運転操作に専念して、走行の安定性と直進性を確保し易く、労力的負担の軽減と植付能率の向上を達成できる。
【0049】
そして、種いも44の蒔き付けを行いながら、畑の他端部に達したら植え付けを続けるため、植付機1を左又は右方向に転回しなければならない。そこで、先ず主クラッチレバー38を切替用ガイド部材92のニュートラルの位置に戻すと、走行駆動用エンジン9からトランスミッション10に伝わる駆動力が切れ、施肥と播種が停止する。次に、左又は右のサイドクラッチレバー40、41を引き、左又は右クローラ式走行体7の回転を止めた後、主クラッチレバー38を他方の細長い案内穴の最奥部まで移動する。すると、植付機1を左又は右方向に回転できるので、植え付けの走行方向を設定した後、左又は右のサイドクラッチレバー40、41を戻すと、同様にして植え付けを行える。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した自走式一人乗用型種いも植付機の概略平面図である。
【図2】同種いも植付機の概略斜視図である。
【図3】同種いも植付機の要部の概略正面図である。
【図4】同種いも植付機に設置した種いも蒔付機の第1チェーンコンベアに備えるバケットを形成する過程を示す概略斜視図である。
【図5】同種いも植付機の第1、第2チェーンコンベア間に介在する第1チェーンコンベア走行タイミング機構の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…自走式一人乗用型種いも植付機 2…車体 3…主枠 4…走行体支持枠 5…中央桟 6…種いも蒔付用開口部 7…クローラ式走行体 8…燃料タンク 9…走行駆動用エンジン 10…トランスミッション 11、12…プーリ 13…Vベルト 14、17、73、89…回動軸 15、18…ベルト駆動用前後輪 16…クローラベルト 20…肥料放出管 21…肥料タンク 23…吐出口開度調節バルブ 26…畝立用培土器 27…犂 29、35…支持装置 31…運転席 32…覆土器 33…ならし 37…エンジン出力調節レバー 38…主クラッチレバー 39…前後進切替レバー 40、41…左右サイドクラッチレバー 42…クラッチテンション 43…種いも蒔付機 44…種いも 45、46…第1、第2チェーンコンベア 47…蒔付樋 48…バケット 49…バケット列 50…バケット行 51、57、71、76…無端チェーン 52…機枠 53、58、68、69、70、72、74、77…スプロケット 54…掛け渡し部材 55、59…仕切部材 56、60…側壁 61…第1チェーンコンベア走行タイミング機構 62…起動突起 63…支点軸 64…梃子棒 65…牽引ワイヤー 66…復帰用コイルスプリング 67…フック 75…クラッチ 78…種いも補給補助容器 79…周囲壁 80…種いも収容空間 81…種いも収容枠体 82…底板 83…つまみ部 84…つまみ付き底板 85…出し入れ口 86…補助容器収容空間 87…載置板 88…種いも補給補助容器収容棚枠 90…足置台 91…土石侵入防止部材 92…切替ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種いもを乗せて搬送し補給する第1チェーンコンベアと、その第1チェーンコンベアの走行先端近傍下部に設置し、第1チェーンコンベアの走行先端から放出され、落下する種いもを受けて搬送し、第1チェーンコンベアの走行方向と直角方向に走行する第2チェーンコンベアと、その第2チェーンコンベアの走行先端近傍下部に設置し、第2チェーンコンベアの走行先端から放出され、落下する種いもを受けて蒔き付け箇所まで導き、放出する蒔付樋とを具備し、自走式一人乗用型種いも植付機に設置し、その自走式一人乗用型種いも植付機の走行スピードに比例して回動する回動軸から第2チェーンコンベアの駆動力を得る種いも蒔付機であって、上記第1チェーンコンベアの外周面全体に、種いもを個別に収容する多数のバケットを、第1チェーンコンベアの走行方向に、各列毎に複数のバケットが1列の扁平リング状に並ぶ複数のバケット列と、その走行方向と直角方向に、各行毎に複数のバケットが1行の直線状に並ぶ複数のバケット行とからなるマトリックスリング状に配設し、又第2チェーンコンベアの外周面全体に、種いもを個別に収容する多数のバケットを第2チェーンコンベアの走行方向に1行の扁平リング状に並べて配設し、更にその第1、第2チェーンコンベアの間に、第2チェーンコンベアの走行に従動させて、第1チェーンコンベアを1バケット行の幅ずつ間欠的に走行させる第1チェーンコンベア走行タイミング機構を介在することを特徴とする種いも蒔付機。
【請求項2】
第1チェーンコンベアの外周上面にマトリックス状に配設した多数の各バケットと対応する位置に、夫々周囲壁を有し、上下に貫通する種いも収容空間をマトリックス状に配設した種いも収容枠体と、その種いも収容枠体を乗せて、その種いも収容空間の下穴を全て底板で閉じ、その底板に連なる一辺部を屈曲させてつまみ部を形成したつまみ付き底板との組み合せにすることを特徴とする請求項1記載の種いも蒔付機用種いも補給補助容器。
【請求項3】
第1チェーンコンベアの外周上面上方に、請求項2記載の種いも補給補助容器出し入れ口付き補助容器収容空間を設け、その空間内に収容した種いも補給補助容器を棚状に支持する種いも補給補助容器収容棚枠を設置することを特徴とする請求項1記載の種いも蒔付機。
【請求項4】
車体の左右外側近傍に走行体をクローラ式にして夫々設置し、その車体の前部に走行駆動用エンジンと、その走行駆動用エンジンから走行体に駆動力を伝えるトランスミッションを設置して、その車体の中央付近より後部側に上下方向に貫通する種いも蒔付用開口部を設け、その車体の左右中央付近に畝立用培土器を支持して、その畝立用培土器を種いも蒔付用開口部に臨ませて設置し、その車体の種いも蒔付用開口部付近の後部に運転席を設置し、更にその後部に車体の左右中央付近で支持する覆土器を設置した自走式一人乗用型種いも植付機であって、上記車体の中央両側部の一側部付近に放出管付きの肥料タンクを設置して、その肥料放出管の口を畝立用培土器の近くに配置し、その車体の中央両側部の他側部付近に請求項1又は3記載の種いも蒔付機を設置することを特徴とする自走式一人乗用型種いも植付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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