説明

穀物等中の紐類除去装置

【課題】穀物等から除去した紐類が再び混入することがなく外部へ簡単に取り出して処理することができるとともに、連続的にかつ確実に穀物等に混入した紐類の除去を行え、作業効率を向上しうる穀物等の紐類除去装置を提供する。
【解決手段】穀物等Mを流す流路18を有するダクト12と、ダクト内流路18において回転軸34回りに回転する回転基体14と、回転基体14の周方向位置に離隔して取り付けられる複数の紐取り具16と、を含み、それぞれの紐取り具16は回転基体14に対して着脱可能に設けられ、ダクト側壁には外部から紐取り具16を着脱交換操作するための開口26が設けられており、それぞれの紐取り具16を、穀物等Mの流れの中に配置させて紐類Stを捕獲する位置(P1)と、開口26近傍に配置させて着脱交換される位置(P2)と、を通過移動させるように回転基体14を回転する穀物等中の紐類除去装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物やその他粒体状或いは粉体状のものに混入した紐状或いは糸状の異物を除去する穀物等中の紐類除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大豆、小麦等の穀物等は栽培地でコンバイン等の収穫機械で収穫され、麻袋やナイロン袋等に袋詰めされた後、袋詰め状態で貨物船等まで運搬される。麻袋に梱包された穀物等を貨物船の船倉に移し変える際には、麻袋の口を結束している紐を刃物等で切って袋口を開放されるが、切断した紐や袋の断片等が穀物中に混入する場合があった。穀物に紐類が混入すると、例えば、貨物船から荷揚げしたり搬送機でサイロ等まで穀物を搬送する際に、バケットコンベアやチェーンコンベア、アンローダ等の装置の回転軸やチェーン、ローラ、ガイドレール等の部材に紐類が巻きついてしまい、装置の停止、故障又は火災等が生じるおそれがある。したがって、搬送機を停止させてこまめに人手で点検及び紐類の除去作業が必要であり、煩雑で労力がかかるとともに作業効率が悪かった。
【0003】
一方、特許文献1には、穀物等のばら荷中に混入したひも等を分離除去する装置が提案されている。特許文献1添付図面の図1、図2に示すように、第1実施形態に係るひも類除去機は、ダクトに軸支された2本の横方向主軸と、同主軸に一端が固着され他端が下流方向へ延びるほぼ長方形の案内板と、同案内板に両端が軸支され同主軸と平行的に延びる軸に放射状に突設された糸取針とを具えており、2本の主軸を揺動しながらばら荷中に混入したひも類を糸取針に引掛けて除去するものであった。また、特許文献1添付図面の図3に示すように、第2実施形態に係るひも類除去機では、ダクトに軸支された主軸と、同主軸に放射状に突設された複数の糸取腕とを具えた糸取機を、斜め上方、斜め下方の1対設置しており、下方側の糸取機を低速で回動して穀物等に混入したひも類を引掛けて除去し、該糸取腕に引掛かったひも類は上方の糸取機の糸取腕により受け取らせて、外部に取り出すものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−254504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の第1実施形態のひも類除去機の構成では、糸取針に引っ掛けたひも類を外部に取り除く際には、装置を停止してダクト内で作業する必要があるから、取り外したひも類がダクト内に落下して下流の搬送機にひも類が混入してしまうおそれがあった。また、いちいち機械を停止する必要があるので作業能率が劣るものであった。さらに、主軸に支持された案内板がダクト内通路を妨げるように配置されるので、穀物の流れの邪魔になり穀物が滞留しやすく効率が低下するとともに、案内板が外側に揺動した際には滞留していた穀物が一気に落下して混入しているひも類も一緒に落下し、搬送機側に流れてしまうためひも類の除去機能の確実性が低い問題があった。また、2本の主軸を個別に駆動装置で駆動させているので構造及び制御が複雑化していた。特許文献1の第2実施形態のひも類除去機の構成では、下方側の糸取機の糸取腕から上方側への糸取機へのひも類の受け渡しは、互いの糸取腕のすれ違いだけで行うものであるので、確実性は極めて低いおそれがあった。よって、下方側の糸取腕にひも類が引っ掛かったままとなる場合があり、装置を停止してダクト内でひも類を取り外す作業が必要であった。したがって、上記同様に取り外したひも類がダクト内に落下して下流の搬送機内に混入してしまうおそれがあるとともに、いちいち機械を停止する必要があるので作業能率が劣るとともに、糸取腕による紐類の除去能力も低く、実用性に劣っていた。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、穀物等から除去した紐類が再び混入することがなく紐取り具を外部へ簡単に取り出して処理することができるとともに、連続的にかつ確実に穀物等に混入した紐類の除去を行え、作業効率を向上しうる穀物等の紐類除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、内部に穀物等Mを流す流路18を有するダクト12と、ダクト内流路18においてダクト長手方向Xに直交する回転軸34回りに回転する回転基体14と、回転基体14の周方向位置に離隔して取り付けられる複数の紐取り具16と、を含み、それぞれの紐取り具16は回転基体14に対して着脱可能に設けられ、ダクト側壁の一つの面20aの回転基体14近傍部分には、外部から紐取り具16を着脱交換操作するための開口26が設けられており、それぞれの紐取り具16を、穀物等Mの流れの中に配置させて紐類Stを捕獲する位置(P1)と、開口26近傍に配置させて着脱交換される位置(P2)と、を通過移動させるように回転基体14を回転することを特徴とする穀物等中の紐類除去装置10から構成される。2つ以上の複数の紐類除去装置10を直列状に接続してもよく、紐類の除去をより確実に行なうことができる。また、ダクト側壁の開口26には、ゴミや雨等が入るのを防止するように、開閉蓋で開閉自在に閉鎖するようにするとよい。
【0008】
また、回転基体14は、前記開口26を介してダクト12内から着脱操作されるように設けられたこととしてもよい。
【0009】
また、回転基体14は、回転軸34と、回転軸34の長手方向両端側に対向して離隔配置され半径方向に突出拡大された2個1対の側端部材36と、からなり、それぞれの紐取り具16は、1対の側端部材36に跨って回転軸34と平行状に架設される中心軸42を有し、複数の紐取り具16と回転基体14とが籠型構造に組付け構成されたこととしてもよい。
【0010】
また、各側端部材36は、複数の紐取り具16の取付位置に対応して外側から内側に向けて切り込み凹設され、それぞれの紐取り具16の中心軸42の端部を嵌合状に受け入れる複数の受凹部38と、受凹部38内に紐取り具の中心軸42を受け入れた状態でロック・解除可能にロックするロック機構40と、を備えたこととしてもよい。
【0011】
また、ダクト12は、開口26が形成された側壁20aが外部側に膨出され、膨出部分の内部に流路18に連通する拡張空間22が設けられており、回転基体14は流路18と拡張空間22に跨るように設置されて開口26に近接配置され、開口26には開閉蓋28が設けられたこととしてもよい。
【0012】
また、回転基体14を回転軸34回りに回転駆動させる駆動機構48を含み、駆動機構48は、任意の時間間隔で回転基体14を所定角度θだけ回転変位させ、その回転変位位置を保持することとしてもよい。
【0013】
また、紐取り具16は、中心軸42と、中心軸長手方向に複数配置された枝杆44と、枝杆44から突出して設けられて紐類Stを捕獲する多数の小突起46と、を備えたこととしてもよい。紐取り具16は、中心軸回りに回転させるようにしてもよい。この際、紐取り具16の中心軸42回りの回転は、モータ等の駆動装置を利用したり、穀物等の流れにより自在に回転するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の穀物等中の紐類除去装置によれば、内部に穀物等を流す流路を有するダクトと、ダクト内流路においてダクト長手方向に直交する回転軸回りに回転する回転基体と、回転基体の周方向位置に離隔して取り付けられる複数の紐取り具と、を含み、それぞれの紐取り具は回転基体に対して着脱可能に設けられ、ダクト側壁の一つの面の回転基体近傍部分には、外部から紐取り具を着脱交換操作するための開口が設けられており、それぞれの紐取り具を、穀物等の流れの中に配置させて紐類を捕獲する位置と、開口近傍に配置させて着脱交換される位置と、を通過移動させるように回転基体を回転することから、複数の紐取り具のうち、一部の紐取り具は穀物の流れの中に配置されて穀物等に混入した紐類を捕獲するとともに、他の一部の紐取り具については開口近傍に配置されて該開口を介してダクトの外部から着脱交換操作を行えるうえ、回転基体を回転させることでそれらの紐取り具の位置を交代させながら長期的に紐類の除去を行うことができる。特に、開口を介して紐取り具をダクトの外側に取り出すことができるので、該紐取り具から捕獲した紐類を取り除く際にはダクト外部で作業を行うことができる結果、紐取り具から取り外した紐類が穀物等に再び混入したり、接続される穀物搬送機等の装置内等に入るのを確実に防止できる。同時に、紐取り具の着脱交換作業の際にも、一部の紐取り具を穀物等の流れの中に配置させて紐類の捕獲を行えるので、連続的に紐類の除去を行うことができ、使い勝手がよく、作業能率を向上しうる。また、構造を大幅に複雑化することなく装置を製造することができる。
【0015】
また、回転基体は、前記開口を介してダクト内から着脱操作されるように設けられた構成とすることにより、紐類の除去を不要とする場合には、装置全体を取り外す必要がなく、回転基体を取り外すだけで通常のダクトとして穀物等を流すことができる。さらに、回転基体をダクトから取り外して、清掃、メンテナンス等を行うことができる。
【0016】
また、回転基体は、回転軸と、回転軸の長手方向両端側に対向して離隔配置され半径方向に突出拡大された2個1対の側端部材と、からなり、それぞれの紐取り具は、1対の側端部材に跨って回転軸と平行状に架設される中心軸を有し、複数の紐取り具と回転基体とが籠型構造に組付け構成されたことから、それぞれの紐取り具がダクト流路に対して略直交状に配置されるので、該紐取り具による紐類の除去機能の確実性を向上しうる。同時に、複数の紐取り具を取り付けた回転基体は籠型構造に組みつけられるので、ダクト内流路で穀物等の流れを比較的妨げにくく、流路中に穀物等を詰まらせることなくスムーズに流しながら紐類の除去を行なえる。
【0017】
また、各側端部材は、複数の紐取り具の取付位置に対応して外側から内側に向けて切り込み凹設され、それぞれの紐取り具の中心軸の端部を嵌合状に受け入れる複数の受凹部と、受凹部内に紐取り具の中心軸を受け入れた状態でロック・解除可能にロックするロック機構と、を備えた構成とすることにより、受凹部の開口から紐取り具の中心軸の挿脱操作を簡単に行えるとともに、ロック機構によりロック・解除を切り替えしながら簡単に紐取り具の着脱交換操作を行うことができる。また、簡単な構造で回転基体に対する紐取り具の着脱交換構造を実現できる。
【0018】
また、ダクトは、開口が形成された側壁が外部側に膨出され、膨出部分の内部に流路に連通する拡張空間が設けられており、回転基体は流路と拡張空間に跨るように設置されて開口に近接配置され、開口には開閉蓋が設けられた構成とすることにより、ダクトの外部側に膨出させた部分に対応して回転基体を配置させているので、ダクト外側から内部の紐取り具の着脱交換作業をスムーズに行いやすい。また、開閉蓋により開口を閉鎖できるので、ダクト内にゴミ、異物、雨水等が入るのを防止できる。
【0019】
また、回転基体を回転軸回りに回転駆動させる駆動機構を含み、駆動機構は、任意の時間間隔で回転基体を所定角度だけ回転変位させ、その回転変位位置を保持する構成とすることにより、駆動機構により回転基体の回転駆動を楽に行えるとともに、回転基体を所定時間停止させておくので、各紐取り具による紐類の除去の確実性が高いとともに、開口から紐取り具の着脱交換操作する際の確実性及び安全性も高い。
【0020】
また、紐取り具は、中心軸と、中心軸長手方向に複数配置された枝杆と、枝杆から突出して設けられて紐類を捕獲する多数の小突起と、を備えた構成とすることにより、中心軸回りに回転する枝杆に小突起を設けたことで、穀物等の中の紐類を捕獲しやすいとともに、一旦捕獲した紐類を離脱させにくく、紐類の除去機能の確実性を向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る穀物等中の紐類除去装置の縦断面説明図である。
【図2】図1の穀物等中の紐類除去装置を穀物搬送機に取り付けた概略説明図である。
【図3】図1のA−A線断面の説明図である。
【図4】図1のB−B線断面の説明図である。
【図5】図1の穀物等中の紐類除去装置の紐取り具の着脱交換操作の作用説明図である。
【図6】図5の要部拡大図であって紐取り具を離脱した状態を示す説明図である。
【図7】図1の回転基体を離脱した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照しつつ本発明の穀物等中の紐類除去装置の実施形態について説明する。本発明に係る穀物等中の紐類除去装置は、穀物等をダクト内流路に流しながら該穀物等に混入された紐類の除去を行うものである。図1ないし図7は、本発明の穀物等中の紐類除去装置の一実施形態を示している。図1、図2、図3に示すように、本実施形態において、穀物等中の紐類除去装置10は、ダクト12と、ダクト12内に設置された回転基体14と、回転基体14に取り付けられる複数の紐取り具16と、を備えている。本実施形態では、穀物等中の紐類除去装置10は、例えば、チェーンコンベア等の穀物等を搬送する穀物搬送機100の投入シュート102の上流側に接続されており、穀物搬送機100内に穀物等が投入される前に該穀物等に混入している紐類Stを除去する。なお、紐類除去装置10は、本実施形態のような穀物搬送機100に限らず種々のものに適用しても良い。
【0023】
図1、図2、図3に示すように、例えば、ダクト12は内部に穀物M等を流す一方向(X)に長い流路18を有している。本実施形態では、ダクト12は、長手方向Xの両端を開口21し、該対向する開口21を内部連通するように上下左右を側壁20a〜20dで囲んで断面矩形状の流路18が形成されている。ダクト12は、例えば、流路18を斜めに傾斜した状態で配置され、斜め下方側の一端側を穀物搬送機100の投入シュータ102に接続して内部を連通させている。ダクト12の斜め上方側が穀物等の投入口とされる。ダクト12内に投入された穀物Mは斜めに傾斜した該流路18内の下側壁20b上を流れ落ちて投入シュータ102の開口から搬送機100内へ投入される。ダクト12の長手方向両端側の開口21縁には外側に広がったフランジ23が設けられており、フランジ23を介して投入シュータ102等にボルト等で固定される。ダクト12は、搬送機の投入シュータ102に着脱可能に接続されており、不要時には取り外すことができる。なお、ダクト12は、穀物搬送機100に設けられている既設の投入シュータのダクト等を利用してもよい。
【0024】
図1、図7に示すように、ダクト12の上側壁20aの中間部分は、外部側に向けて円弧状に膨出するように形成されている。上側壁20aの膨出部分の内部側には、流路18に連通した縦断面半円状の拡張空間22が形成されている。拡張空間22の左右側方を閉鎖するようにダクト12の左右側壁20c、20dは、上側壁20aの膨出形状に併せて円弧凸状に形成されている。さらに、図3に示すように、ダクト12の左右側壁20b、20dは、中間位置から左右側方外側に段状に広がって形成されている。ダクト12の左右側壁20c、20dの拡張空間22の形成位置に対応した位置には、1対の軸受部24が設けられている。
【0025】
図5、図7に示すように、ダクト12の上側壁20aの円弧状に膨出した部分には、上側壁20aを貫通するように操作用開口26が開孔されている。この操作用開口26を介してダクト12の外側から内部に手を入れて、種々の作業を行えるようになっている。操作用開口26は、上側壁の円弧状の膨出した部分に比較的広い面積で形成されている。図1にも示すように、操作用開口26は、円弧板状の開閉蓋28で開閉自在に閉鎖されている。開閉蓋28によって通常時は操作用開口26を閉鎖してダクト内に異物やゴミ又は雨水等が入るのを防止する。開閉蓋26は、例えば、円弧状の一端部側が上側壁20aの開口縁に蝶番30で枢支連結され、他端側を自由端側として開閉する。開閉蓋26の自由端側は、固定手段31を介して閉鎖状態で固定されるようになっている。固定手段31としては、例えば、開閉蓋28の端部と側壁20aとの重なり部分を貫通する蝶ボルト32と、上側壁20aの操作用開口26縁側に固定されたナット33と、を含む。蝶ボルト32を手操作で着脱して、ボルト締結により閉鎖保持状態と、開閉自在な状態と、を変更できる。なお、開閉蓋の構造は、例えば、スライド式に開閉する構造、観音開き式に開閉する構造又は側壁に対して着脱させて開閉する構造等その他任意の構造でもよい。
【0026】
図1、図3、図4に示すように、回転基体14は、ダクト内流路18においてダクト12の上側壁20aに設けられた操作用開口26に近傍する位置に、ダクト長手方向Xに直交する回転軸34回りに回転するように構成されている。回転基体14は、複数の紐取り具16を回転軸34から半径方向に離隔した位置に所定の配列で取り付けるとともに、それらの紐取り具16の配置位置を回転軸34回りに回転変位させる回転式の取付手段である。回転基体14は、例えば、ダクト12の左右側壁20c、20dに設けられた軸受部24に両端を支持される回転軸34と、該回転軸34の両端側に配置された2個1対の側端部材36と、からなる。
【0027】
回転軸34は、図7に示すように、軸受部24に対して着脱可能に設けられており、回転基体14全体が操作用開口26を介してダクト12内から着脱操作できるようになっている。図1、図3に示すように、1対の側端部材36は、例えば、それぞれ回転軸34の両端から半径方向に突出拡大して形成される円盤状部材からなる。円盤状の側端部材36は、その円盤平面を互い対向させつつ、流路18方向に沿って配置されるとともに、左右側壁20c、20dの段状に広がった部分に流路18から退避状に配置されている。1対の側端部材36と回転軸34とは略バーベル状に組み付けて構成されている。さらに、各々の側端部材36は、円盤状部材の略半円部が流路18側に配置されて円弧部分が下側壁20dに近接されているとともに、残りの略半円部が拡張空間22側に配置されて他の円弧部分を操作用開口26に近接させている。したがって、回転基体14は、ダクト12の長手方向X中間位置の拡張空間22が形成された位置であって、該拡張空間22と流路18とに跨るように配置されている。
【0028】
図5、図6に示すように、各側端部材36には、後述のような紐取り具16の配置位置に対応するように、円周縁側から内側に切込み凹設される8個の受凹部38が等間隔位置で円形状に配列して設けられている。さらに、それぞれの受凹部38に対応して、該受凹部38の切込み開口側を開閉可能に閉鎖するとともに、該閉鎖状態でロック・解除可能なロック機構40が設けられている。ロック機構40は、例えば、軸周りに転動するロック部材40aと、ロック部材を受凹部38のロック位置で自由端部を固定状にロックする固定部40bと、を有する留め金装置からなる。この受凹部38とロック機構40は、紐取り具16を着脱可能に取り付ける着脱部41を構成する。なお、側端部材36は、円盤部材に限らず、例えば、六角形や八角形状等その他多角形状又は任意形状の平板部材でもよく、又は枠部材等その他任意の構成でもよい。側端部材36は紐取り具16を着脱可能に取り付ける着脱部を有するとよい。また、回転基体14は、操作用開口26から着脱操作できる構成に限らず、例えば、ダクト側壁の一部分に別の開閉部分を設けて該開閉部分から回転基体14を着脱操作したり、またはダクト端部の開口21よりも回転基体を小さく形成して該端部の開口21から回転基体14を着脱操作するようにしてもよく、ダクトに軸周り回転可能に固定的に軸支されていてもよい。
【0029】
図1、図3、図4に示すように、紐取り具16は、穀物等Mの流れの中に配置された状態で該穀物等に混入された紐類Stを捕獲する紐類捕獲手段である。そして、複数の紐取り具16が回転軸34回りに回転する回転基体14の周方向位置に離隔して取り付けられている。各紐取り具16は、回転基体14に対して着脱部41を介して着脱交換可能に取り付けられている。本実施形態では、8個の紐取り具16が回転軸34から半径方向に等距離に離隔した位置に、該回転軸を中心とした円形状に等間隔で配列されている。すなわち、8個の紐取り具16は、正八角形の頂点位置に対応した配置位置となっており、隣接する任意の紐取り具16と回転軸34とを結んだ2本の線分で形成される角度θは45度の角度となっている。したがって、回転基体14を中心軸34回りに45度回転すると、それぞれの紐取り具16が隣接の配置位置に一致するようになっている。なお、紐取り具16の個数は任意でもよい。
【0030】
図4、図6に示すように、それぞれの紐取り具16は、中心軸42と、中心軸42長手方向に設けられた複数の枝杆44と、枝杆44から突出した多数の小突起46と、を有している。なお、図1、図5、図7では小突起を省略して描いている。紐取り具16は、中心軸42により回転基体14の1対の側端部材36に跨って回転軸34と平行状に架設されている。そして、8個の紐取り具16と回転基体14とは中空円筒状の籠型構造に組み付け構成されている。
【0031】
図5、図6に示すように、中心軸42は、両端部を1対の側端部材36に設けられた受凹部38内に切込み開口から挿入され、嵌合状に受け入れられる。そして、中心軸42は、受凹部38内に嵌合状に受け入れられた状態でロック機構40によりロックされると受凹部38からの離脱が規制されて、回転基体14に位置固定状態で取り付けられる。この回転基体14への取付状態で中心軸42は軸回りに回転自在となっており、紐取り具16は穀物等の流れの中に配置されると、穀物等の流れで中心軸42回りに回転する(図1参照)。ロック機構40のロックを解除すると中心軸42を受凹部38から自在に挿脱することができ、回転基体14に対して紐取り具16を着脱交換操作することができる。枝杆44は、中心軸42長手方向に交差方向又は放射方向に突出するように形成されている。枝杆44は、例えば、直杆部材からなり、直杆部材の長手方向を中心軸42に対して直交させながら、該直杆部材の長手方向中間位置を中心軸42に固定されている。複数の枝杆44は、例えば、中心軸長手方向には互いに離隔して配置されるとともに、中心軸方向に見た際に井桁状に組み付けられるようにそれぞれの長手方向の中心軸回りの向きを異ならせて配置されている。各枝杆44の長さは、例えば、他の紐取り具に接触しない程度の長さに設定されている。小突起46は、例えば、金属ワイヤの素線をばらけさせて多数の素線端部を毛羽立ち状に外部に突出させるように加工したものからなり、該加工金属ワイヤを枝杆44に固定させて形成されている。多数の小突起46により、枝杆44が麻紐やビニル紐等の紐類を捕獲しやすいとともに、捕獲した紐類を離脱させにくく、確実性及び捕獲効率を大幅に向上しうる。なお、小突起46は、金属ワイヤを加工したものに限らず、例えば、有刺鉄線を枝杆44に固定した構造や、枝杆44に一体的に紐類に突き刺さる棘状の小突起を形成した構造や、返し状に形成した構造等、その他任意の構造でもよい。
【0032】
図1、図5に示すように、複数の紐取り具16が回転基体14の周方向位置に円形状に配列されて取り付けられているので、1個又は数個の紐取り具16は流路18内の穀物等が流れるダクト下側壁20d内面に近接した位置に配置されると同時に、他の数個の紐取り具16は操作用開口26に近傍した位置に配置される。よって、複数の紐取り具のうち、一部の紐取り具16は穀物Mの流れの中に配置されて穀物等に混入した紐類Stを捕獲するとともに、操作用開口26近傍に配置される紐取り具16については該操作用開口26を介してダクト12の外部から着脱交換操作を行なうことができるようになっている。なお、本実施形態では、3つの紐取り具16が操作用開口26近傍に配置されるようになっているとともに、穀物Mの流れる量に応じて1個ないし3個の紐取り具16が穀物の流れの中に配置される。さらに、回転基体14を回転軸34回りに回転させると、それぞれの紐取り具16が、穀物等の流れの中に配置させて紐類を捕獲する位置(紐類捕獲位置)P1と、操作用開口26近傍に配置させて着脱交換される位置(着脱交換位置)P2と、を通過移動するように各紐取り具16の位置が変位される。これにより、いずれかの紐取り具が常に穀物の流れの中に配置されるとともに、それらを交代させながら、連続的かつ長期的に紐類の除去を行うことができる。そして、紐類捕獲位置P1で紐類を捕獲した紐取り具16は着脱交換位置P2に移動されて、操作用開口26を介して新しい紐取り具に交換することができる。この着脱交換作業は他の紐取り具により紐類の捕獲を行いながら行えるので、装置を止めることなく連続的に紐類の除去を行うことができるので使い勝手がよく、効率を向上できる。また、紐類を捕獲した紐取り具16は、ダクト外部で該紐取り具からの紐類の取外し作業を行えるので、紐類を再び穀物中に混入させるおそれがない。
【0033】
図3に示すように、本実施形態では、回転基体14を回転軸34回りに回転駆動する駆動機構48が設けられている。駆動機構48は、ダクト12の外部に配置されており、ダクト12内に配置される回転基体14の回転軸34に1つの軸受部24を介して外側から連係して回転駆動させる。駆動装置48は、例えば、駆動モータ50と、駆動モータ50に接続された駆動スプロケット52と、出力軸が軸受部24に連係する従動スプロケット54と、駆動スプロケット52と従動スプロケット54とに掛け渡される無端のチェーン56と、を有している。従動スプロケット54の出力軸54aは、ダクト側壁20dの外部から内部の軸受部24に支持される回転軸34に連係されて該回転軸34に回転駆動力を伝達する。本実施形態では、駆動装置48は、例えば、制御部58により駆動モータ50の停止、回転駆動を制御されている。駆動機構48は、例えば、常時は回転基体14が回転しないように位置を保持しつつ、制御部58により時間を計時している。そして、1時間間隔ごとに駆動して回転基体14を回転軸34回りに左回りに45度だけ回転変位させて紐取り具16の配置位置を変位させ、その後その回転変位で位置を保持する。同様に、所定時間間隔での回転基体14の停止、回転駆動を繰り返しながら、複数の紐取り具16を紐類捕獲位置P1と、着脱交換位置P2と、に位置保持及び通過移動させる。なお、回転基体14を回転変位させる時間間隔及び回転角度は任意でよい。例えば、紐類の混入量が多い場合には、時間間隔を30分程度に短くしても良いし、紐類の混入量が少ない場合には2時間程度に比較的長く設定してもよく、穀物等の条件等に応じて適宜設定すると良い。また、例えば、回転基体14を90度ずつ又は135度ずつ回転変位させてもよい。また、例えば、回転基体に6個の紐取り具を取り付ける構成の際には、60度ずつ回転変位させる等、回転基体に取り付けた紐取り具の個数や配置間隔等の条件などに応じて適宜設定すると良い。また、駆動機構48は、任意の時間間隔で所定角度だけ回転させる場合に限らず、例えば、低速で連続的に回転するように設定してもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係る穀物等中の紐類除去装置10の作用について説明する。例えば、回転基体14を回転させず停止させた状態で保持しておく。ダクト内流路18に紐類Stが混入された穀物Mを流すと、8個の紐取り具16のうち、ダクト12の下側壁20bに近接している紐類捕獲位置P1に配置された1個ないし3個の紐取り具16が穀物等の流れにより中心軸42回りに回転しながら混入された紐類Stを捕獲する。紐取り具16は、多数の小突起46が設けられた複数の枝杆44を有しているので、紐類を捕獲しやすいとともに、一旦捕獲した紐類を離脱させることもなく、確実に穀物等の中から紐類を除去することができる。そして、例えば、1時間経過した後に、駆動機構48により回転基体14を回転軸34回りに45度だけ回転変位させて、その回転変位位置で保持させる。同様に、1時間間隔で回転基体14を45度ずつ回転駆動させていくと、数時間後には、紐類捕獲位置P1にて紐類を捕獲した紐取り具16が操作用開口26近傍に移動して着脱交換位置P2に配置される。図5に示すように、開閉蓋28を開いて、操作用開口26から手を入れてロック機構40を解除し、該紐類を捕獲した紐取り具16を回転基体14から離脱させる。そして、紐類が付着していない新しい紐取り具16を回転基体14に装着させて、ロック機構40によりロックする。紐取り具16の着脱交換操作は、操作用開口26を介してダクト外部から作業を行えるとともに、回転基体14が回転停止された状態で行なえるので、安全に、簡単に、かつスムーズに行うことができる。さらに、紐取り具16の着脱交換作業を行なう際も、紐類捕獲位置P1に配置された紐取り具16により紐類の除去を行えるので、装置を止めなくても連続的に作業を行えて効率が良い。また、紐類を捕獲した紐取り具16は、ダクト外部で該紐取り具からの紐類の取外し作業を行えるので、紐類を再び穀物中に混入させるおそれがなく、実用的である。なお、着脱交換する紐取り具16は、取り外した紐取り具16とは別の紐取り具を装着してもよいし、取り外した同一の紐取り具から紐類を取り除いて再び装着してもよい。このように、定期的に紐取り具16の着脱交換を行ないながら、連続的に穀物等から紐類を除去することができる。
【0035】
以上説明した本発明の穀物等中の紐類除去装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の穀物等中の紐類除去装置は、例えば、米、小麦、大豆、トウモロコシ等の穀物その他粉状、粒状の物に混入した紐類を除去するのに利用できる。
【符号の説明】
【0037】
10 紐類除去装置
12 ダクト
14 回転基体
16 紐取り具
18 流路
20a〜20d 側壁
22 拡張空間
26 操作用開口
28 開閉蓋
34 回転軸
36 側端部材
38 受凹部
40 ロック機構
42 中心軸
44 枝杆
46 小突起
48 駆動装置
X 長手方向
M 穀物等
St 紐類


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に穀物等を流す流路を有するダクトと、
ダクト内流路においてダクト長手方向に直交する回転軸回りに回転する回転基体と、
回転基体の周方向位置に離隔して取り付けられる複数の紐取り具と、を含み、
それぞれの紐取り具は回転基体に対して着脱可能に設けられ、
ダクト側壁の一つの面の回転基体近傍部分には、外部から紐取り具を着脱交換操作するための開口が設けられており、
それぞれの紐取り具を、穀物等の流れの中に配置させて紐類を捕獲する位置と、開口近傍に配置させて着脱交換される位置と、を通過移動させるように回転基体を回転することを特徴とする穀物等中の紐類除去装置。
【請求項2】
回転基体は、前記開口を介してダクト内から着脱操作されるように設けられた請求項1記載の穀物等中の紐類除去装置。
【請求項3】
回転基体は、回転軸と、回転軸の長手方向両端側に対向して離隔配置され半径方向に突出拡大された2個1対の側端部材と、からなり、
それぞれの紐取り具は、1対の側端部材に跨って回転軸と平行状に架設される中心軸を有し、
複数の紐取り具と回転基体とが籠型構造に組付け構成された請求項1又は2記載の穀物等中の紐類除去装置。
【請求項4】
各側端部材は、複数の紐取り具の取付位置に対応して外側から内側に向けて切り込み凹設され、それぞれの紐取り具の中心軸の端部を嵌合状に受け入れる複数の受凹部と、
受凹部内に紐取り具の中心軸を受け入れた状態でロック・解除可能にロックするロック機構と、を備えた請求項3記載の穀物等中の紐類除去装置。
【請求項5】
ダクトは、開口が形成された側壁が外部側に膨出され、膨出部分の内部に流路に連通する拡張空間が設けられており、
回転基体は流路と拡張空間に跨るように設置されて開口に近接配置され、
開口には開閉蓋が設けられた請求項1ないし4のいずれかに記載の穀物等中の紐類除去装置。
【請求項6】
回転基体を回転軸回りに回転駆動させる駆動機構を含み、
駆動機構は、任意の時間間隔で回転基体を所定角度だけ回転変位させ、その回転変位位置を保持する請求項1ないし5のいずれかに記載の穀物等中の紐類除去装置。
【請求項7】
紐取り具は、中心軸と、
中心軸長手方向に複数配置された枝杆と、
枝杆から突出して設けられて紐類を捕獲する多数の小突起と、を備えた請求項1ないし6のいずれかに記載の穀物等中の紐類除去装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−25161(P2011−25161A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173872(P2009−173872)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【特許番号】特許第4411560号(P4411560)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(507305255)PGCエンジニアリング株式会社 (6)
【Fターム(参考)】