積み付け支援装置
【課題】輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成すること。
【解決手段】積み付け支援装置1は、複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する製品配置計画立案部11と、製品配置計画立案部において計画された積み付け計画を評価する計画結果評価部15と、を有する。計画結果評価部15は、貨物の重心及び重心ベクトルを積み付けられた貨物全体の基準位置と結ぶことによりベクトル分解する第1のベクトル分解手段151と、第1のベクトル分解手段により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを重心方向と水平方向に更に分解する第2のベクトル分解手段152と、第2のベクトル分解手段により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する荷崩れ算出手段153と、を備える。
【解決手段】積み付け支援装置1は、複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する製品配置計画立案部11と、製品配置計画立案部において計画された積み付け計画を評価する計画結果評価部15と、を有する。計画結果評価部15は、貨物の重心及び重心ベクトルを積み付けられた貨物全体の基準位置と結ぶことによりベクトル分解する第1のベクトル分解手段151と、第1のベクトル分解手段により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを重心方向と水平方向に更に分解する第2のベクトル分解手段152と、第2のベクトル分解手段により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する荷崩れ算出手段153と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み付け支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる寸法や異なる重量の複数の貨物を、同一容器内に積載した状態での輸送が行われている。しかしながら例えば、トラック等で貨物の輸送を行う際には、車両の加減速やカーブ走行により貨物に慣性力が発生する。この慣性力に基づいて輸送中に貨物の荷崩れが発生すると、貨物が荷台から落下する恐れがある。そのため輸送を行う場合に、荷崩れを防止する荷山作りが必要とされている。
【0003】
特許文献1には、複数の貨物をグループにし、グループに含まれる複数の貨物の組合せで得られる混合配置パターンを算出し、積み付け計画生成の過程で充填効率の低下が生じた場合に積み付け計画の一部を廃棄し、別の配置案を行う積載計画装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、荷崩れのしやすさを考慮した積み付け装置について開示されている。しかしながら、特許文献2に開示された積み付け装置では、配置規則に関しての開示がなされていない。
【0005】
特許文献3には、トラック輸送中の荷崩れを防止するための荷山作りを、荷ひとつひとつの倒れにくさ、箱自体の位置、箱配置の上下関係によって評価する、積み付け支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−243528号公報
【特許文献2】特開平08−305567号公報
【特許文献3】特開2011−184110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
関連する積載計画装置では、荷山を構成する各層が同じ高さであることを前提とし、異なる高さの貨物がある場合の評価ができない場合がある。また、関連する積載計画装置では、上下方向の貨物の組み合わせの違いは説明可能だが水平方向の貨物の組み合わせによる荷崩れのしやすさを説明できない。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成する、積み付け支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る積み付け支援装置は、複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する製品配置計画立案部と、前記製品配置計画立案部において計画された積み付け計画を評価する計画結果評価部と、を有する積み付け支援装置であって、前記計画結果評価部は、各貨物の重心及び重心ベクトルを積み付けられた貨物全体の基準位置と結ぶことによりベクトル分解する第1のベクトル分解手段と、前記第1のベクトル分解手段により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを重心方向と水平方向に更に分解する第2のベクトル分解手段と、前記第2のベクトル分解手段により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する荷崩れ算出手段と、を備える。
これにより、荷崩れのしやすさを定量的に評価することができる。
【発明の効果】
【0009】
輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1にかかる積み付け支援装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる積み付けの計画立案の全体のフローと、各処理と各機能部との関係を示した図である。
【図3】実施の形態1にかかる荷姿総合評価値算出のフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる2つの荷山の図である。
【図5】実施の形態1にかかる荷山に定めた基準位置を示した図である。
【図6】実施の形態1にかかる各箱の質量をベクトル表示した図である。
【図7】実施の形態1にかかる箱213のベクトル分解を示す図である。
【図8】実施の形態1にかかる荷山215の各箱の質量ベクトルの分解を示す図である。
【図9】実施の形態1にかかる箱213のベクトル分解を示す図である。
【図10】実施の形態1にかかる荷山215の各箱のベクトルの分解を示す図である。
【図11】実施の形態1にかかる荷山215の各箱の水平方向のベクトルと高さを示した図である。
【図12】実施の形態1にかかる荷山216の各箱の水平方向のベクトルと高さを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、積み付け支援装置のブロック図である。以下では、貨物は直方体であるものとする。また以下では、貨物を箱と表現する場合がある。
積み付け支援装置1は、製品配置計画立案部11と、計画対象箱情報記憶部12と、計画立案基本条件情報記憶部13と、箱配置ルール記憶部14と、計画結果評価部15と、判定基準データベース16と、改善ルールデータベース17と、立案結果情報記憶部18と、容積率算出方法記憶部19と、機能量算出方法記憶部20と、を備える。
【0012】
製品配置計画立案部11は、スキッド(パレット)上に複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する。
【0013】
計画対象箱情報記憶部12は、積み付けの候補となる箱の種類や、箱の量を記憶している。
【0014】
計画立案基本条件情報記憶部13は、積み付け計画立案のための基本条件を記憶している。ここで基本情報とは、荷姿の狙い寸法や、スキッドの配置などである。
【0015】
箱配置ルール記憶部14は、積み付け計画を立案するための箱配置のルールを記憶している。例えば箱配置ルール記憶部14は、大きな箱を下にするルールや、任意の軸上において左右対称となるように箱を配置するなどのルールを記憶している。
【0016】
計画結果評価部15は、製品配置計画立案部11において計画された積み付け計画を評価する。すなわち計画結果評価部15は、製品配置計画立案部11で行った立案計画における、荷崩れのしやすさを評価する。計画結果評価部15は、第1のベクトル分解手段151と、第2のベクトル分解手段152と、荷崩れ算出手段153と、を備える。
【0017】
第1のベクトル分解手段151は、重心ベクトルを、箱の重心と基準位置を結んだ方向、及び、箱の重心と基準位置を結んだ方向と直角方向にベクトル分解する。ここで重心ベクトルとは、箱の重心位置に、箱の質量を下向きのベクトルで表したものである。また基準位置は、荷山の横方向をX軸とし、奥行きをY軸とし、縦方向をZ軸とする場合において、X軸とY軸における荷山の中心とする。なお、基準位置は、荷山の中央下部とする。また、各箱の重心位置と基準位置とを結んだ線を仮想線として定義する。言い換えると、第1のベクトル分解手段151は、重心ベクトルを、仮想線方向及び仮想線に対し直角方向にベクトル分解する。
【0018】
第2のベクトル分解手段152は、第1のベクトル分解手段151により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを、重心方向と水平方向に分解する。言い換えると、第2のベクトル分解手段152は、第1のベクトル分解手段151により仮想線に対し直角方向に分解されたベクトルについて、さらにX方向とZ方向にベクトル分解する。
【0019】
荷崩れ算出手段153は、第2のベクトル分解手段152により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する。より具体的には、荷崩れ算出手段153は、任意の箱について、第2のベクトル分解手段152により水平方向に分解されたベクトルvnと、基準位置からの高さhnの2乗と、を積算したものを機能量Sとして算出する。ここで機能量Sとは、各箱の荷崩れのしやすさを示す評価値であり、値が大きいほど荷崩れがしやすいことを示す。さらに荷崩れ算出手段153は、荷山の総機能量ΣSを算出する。ΣSは、各箱の機能量Sの総和である。
【0020】
判定基準データベース16は、評価に使用する各種の係数や、合否判定基準値を有する。ここで合否判定基準値とは、荷崩れ算出手段153が算出した総機能量ΣSの値が、任意の値より小さいか否かを判定する基準値である。典型的には、合否判定基準値は、利用者が任意の値を定める。
【0021】
改善ルールデータベース17は、判定基準データベース16に記憶された基準値を用いて評価値の評価を行ったときに、評価がNGの場合の再計画ルールを有する。例えば改善ルールデータベース17は、箱配置ルール記憶部14に記憶されたルールに基づいて生成された荷山について、変更可能な箱がどれであるかという情報を有するとともに、その変更パターンを有している。
また改善ルールデータベース17は、例えば、5個の箱から4個を選択して荷山を形成する場合において、選択する箱の組み合わせパターンの情報を有している。
【0022】
立案結果情報記憶部18は、立案途中、又は最終の計画情報を記憶する。
【0023】
容積率算出方法記憶部19は、容積率Bの算出方法を記憶する。容積率Bとは、スキッドの基準容積量Vに対して貨物が占める割合である。例えば、容積率算出方法記憶部19は、スキッドの形状によって容積率Bが変化する場合に、スキッドごとの容積率Bの算出方法を記憶している。
【0024】
機能量算出方法記憶部20は、機能量Sの算出方法を記憶する。例えば、機能量算出方法記憶部20は、貨物の形状と配置によって機能量Sが変化する場合に、貨物の形状と配置ごとの機能量Sの算出方法を記憶する。また例えば、機能量算出方法記憶部20は、層内機能率RCInの算出方法を記憶する。ここで層内機能率とは、個々の貨物の倒れにくさを表す評価要素である(特許文献3参照)。
【0025】
次に、積み付けの計画立案動作について説明する。図2は、積み付けの計画立案の全体のフローと、各処理と各機能部との関係を示した図である。
【0026】
製品配置計画立案部11は、計画立案基本条件情報記憶部13から立案基本条件を入手する(ステップS11)。例えば、製品配置計画立案部11は、スキッドの向きや、荷山サイズの情報を入手する。
【0027】
製品配置計画立案部11は、計画対象箱情報記憶部12から対象箱情報を入手する(ステップS12)。
【0028】
製品配置計画立案部11は、箱配置ルール記憶部14から箱配置のルール情報を受け取り、積み付け計画を立案する(ステップS13)。
【0029】
計画結果評価部15は、荷姿総合評価値(評価値)を算出する(ステップS14)。評価値の算出方法については後に詳述する。計画結果評価部15は、算出した評価値を立案結果情報記憶部18に記憶する。
【0030】
計画結果評価部15は、判定基準データベース16が有する判定基準に基づいて、ステップS14で算出された評価値が妥当であるか否かを判定する(ステップS15)。より具体的には計画結果評価部15は、評価値が基準値よりも小さい場合には、評価値が妥当なものであると判定して処理を終了する。計画結果評価部15は、評価値が基準値よりも大きい場合には、評価値が妥当でないものと判定してステップS16に進む。
【0031】
計画結果評価部15は、改善ルールデータベース17が有する再計画ルールを用いて、箱配置ルールと、対象箱情報を加工する(ステップS16)。例えば、計画結果評価部15は、改善ルールデータベース17より、箱配置の変更パターンの情報や、位置変更可能な箱についての情報を受け取り、箱配置ルール及び対象箱情報を加工する。
【0032】
計画結果評価部15は、積み付け計画を再計画するものとし(ステップS17)、ステップS13に戻る。ここでステップS13では、製品配置計画立案部11は、ステップS17において加工された箱配置ルール及び対象箱情報に基づいて、積み付け計画の立案を行う。以後、ステップS15において評価値が妥当であると判定されるまで、処理を繰り返し行う。
【0033】
次に、ステップS14に示した荷姿総合評価値算出の手順の詳細について説明する。図3は、荷姿総合評価値算出のフローチャートである。計画結果評価部15は、荷姿総合評価値の算出について、容積率の算出と、機能量の算出により行う。
【0034】
最初に容積率を算出する。容積率の算出は、容積率算出方法記憶部19に記憶された算出方法を用いる。
【0035】
計画結果評価部15は、基準容積量Vを算出する(ステップS1401)。より具体的には、計画結果評価部15は、計画立案基本条件情報記憶部13から入力された情報に基づき、スキッドの間口幅Wと、スキッドの奥行きDと、スキッド上に積み付け可能な高さHを積算することにより、基準容積量Vを算出する。すなわち計画結果評価部15は、基準容積量Vを、V=W×D×Hにより算出する。
【0036】
計画結果評価部15は、容積率Bを算出する(ステップS1402)。ここで、計画結果評価部15は、立案結果情報記憶部18から情報を入力された情報に基づき、箱容積Vnから、基準容積量Vを除算することで容積率Bを算出する。すなわち計画結果評価部15は、容積率Bを、B=ΣVn/Vにより算出する。
【0037】
次に、機能量の算出を行う。計画結果評価部15は、計画立案基本条件情報記憶部13と、立案結果情報記憶部18から入力された情報に基づいて、機能量算出方法記憶部20に記憶された算出方法により、機能量を算出する。
【0038】
図4(a)は、小さな箱211、212と、大きな箱213、214から構成されている荷山215の図である。図4(b)は、箱211〜214から構成されている別の荷山216の図である。箱211、212は、縦幅と横幅が等しく、任意の奥行きを有する直方体である。箱213、214は、縦方向の長さが箱211、212の2倍の長さであり、横方向と奥行きは、箱211、212と等しい長さである直方体である。また、箱213、214はそれぞれ、箱211、212の2倍の質量である。なお、図4において、横方向をX軸、奥行きをY軸、縦方向をZ軸とする。
荷山215では、箱213と、箱211、212をZ軸方向に重ねたものが、箱214をX軸上において挟むように並べられている。荷山216は、箱211、212をZ軸方向に重ねたものを、箱213、214がX軸上において挟むように並べられている。なお、荷山215、216において、箱211、212、213、214のY軸方向の重心位置は、荷山のY軸方向の中心に揃っているものとする。荷山215を用いて、機能量算出方法を説明する。
【0039】
計画結果評価部15は、n=1と設定する(ステップS1411)。
【0040】
計画結果評価部15は、第n番目の箱を抽出する(ステップS1412)。例えば計画結果評価部15は、n=1であれば、第1番目と定めた箱を抽出する。例えば、第1番目と定めた箱は、箱213であるものとする。
【0041】
計画結果評価部15は、荷室の中央を基準位置として設定する(ステップS1413)。図5(a)及び図5(b)は、計画結果評価部15が、荷山215のX軸及びY軸の中心かつ荷山の下部に、基準位置を設定した図である。ここで、図5(a)は荷山215を正面図であり、図5(b)は荷山215の側面図である。なお、図5(a)及び図5(b)において、箱211、212、213、214が有する黒丸は、それぞれの箱の重心を表す。
【0042】
計画結果評価部15は、箱の重心の位置に箱の質量を下向きのベクトルで表す(ステップS1414)。図6(a)及び図6(b)は、箱211、212、213、214のそれぞれの重心位置に、質量を下向きのベクトルで示した図である。なお、図6(a)は荷山215の正面図であり、図6(b)は荷山215における、箱211、212側の側面図である。
【0043】
第1のベクトル分解手段151は、基準位置と各箱の重心を結ぶ仮想線を設定し、各箱の質量を示すベクトルを、仮想線と、仮想線に対して直角方向と、に分解する(ステップS1415)。図7は、第1のベクトル分解手段151が、箱213の質量を示すベクトルを、仮想線方向と、仮想線方向に対して直角方向にベクトル分解を行う場合について示した図である。なお、図8(a)及び図8(b)は、第1のベクトル分解手段151が、箱211、212、213、214のそれぞれについて、質量を示すベクトルを、仮想線と、仮想線に対して直角方向と、に分解した図である。なお、図8(a)は荷山215の正面図であり、図8(b)は荷山215における、箱211、212側の側面図である。ここで箱214については、基準位置上に重心があるため、仮想線方向及び仮想線方向に対して直角方向のベクトルは出現しない。
【0044】
第2のベクトル分解手段152は、ステップS1415で求めた仮想線方向に対して直角方向のベクトルを、水平方向と垂直方向に分解する(ステップS1416)。図9は、第2のベクトル分解手段152が、箱213の仮想線方向に対して直角方向のベクトルを、水平方向と垂直方向にベクトル分解を行った場合の図である。なお、図10(a)及び図10(b)は、第2のベクトル分解手段152が、箱211、212、213、214のそれぞれについて、第1のベクトル分解手段151により算出した、仮想線方向に対して直角方向のベクトルを、水平方向と垂直方向に分解した図である。なお、図10(a)は荷山215の正面図であり、図10(b)は荷山215の側面図である。ここで箱214については、仮想線方向に対して直角方向のベクトルが存在しないため、水平方向と垂直方向のベクトルは出現しない。
【0045】
荷崩れ算出手段153は、ステップS1416で算出した水平方向のベクトルと、重心までの高さの2乗を積算して機能量とする(ステップS1417)。なお、第2のベクトル分解手段152により水平方向に分解されたベクトルをvn、基準位置からの高さをhnとする。典型的には、荷崩れ算出手段153は、ベクトルvnと高さ2乗の値の積算により機能量Sを算出する。すなわち荷崩れ算出手段153は、機能量Sを、S=vn×hn×hnより算出する。図11は、荷山215についてステップS1416で算出した水平方向のベクトルと、高さh1、h2、h3を示した図である。ここで、箱211及び箱212の水平方向のベクトル量を1とし、箱213の水平ベクトル量を2とし、高さh1=4、h2=8、h3=12とする。荷崩れ算出手段153は、箱211について、v211=1、h3=12より、機能量S=144であると算出する。
【0046】
計画結果評価部15は、ステップS1417において機能量Sの算出を行うべき箱が、他に有るか否かを判定する(ステップS1418)。他に機能量Sを算出していない箱がない場合には(ステップS1418でYES)、ステップS1419に進む。他に機能量Sを算出していない箱がある場合には(ステップS1418でNo)、nの値を加算してステップS1412に戻り、次の箱について機能値の算出を開始する。
したがって、繰り返し実行されたステップS1417により、荷崩れ算出手段153は、箱212について、v212=1、h1=4より、S=16を算出する。また、荷崩れ算出手段153は箱213について、v212=0、h2=8より、機能量S=0を算出する。さらに、荷崩れ算出手段153は箱214について、v212=2、h2=8より、S=128を算出する。
【0047】
荷崩れ算出手段153は、荷山の総機能量を算出する(ステップS1419)。ここで荷山の総崩機能量は、ステップS1417において求めた機能量Sの総和である。すなわち、荷崩れ算出手段153は、ΣS=Σ(vn×hn×hn)により、総機能量ΣSを算出する。
荷崩れ算出手段153は、荷山215について、ステップS1417で算出した箱211、212、213、214のそれぞれの機能量Sの総和より、ΣS=288と算出する。荷崩れ算出手段153は、算出したΣSの値を、立案結果情報記憶部18に記憶させる。ここで、総機能量ΣSを荷姿総合評価値とする。なお、その後ステップS15に進み、さらに荷山の再計画が必要であるかの判定が行われる。
【0048】
その後、ステップS15で荷山の再計画が必要であると判定され、ステップS16及びステップS17において荷山216が再計画された場合、計画結果評価部15は、荷山216の総機能量を算出する。図12は、荷山216について、ステップS1416で算出した各箱の水平ベクトルと、高さh1、h2、h3を示した図である。ここで、箱213の水平ベクトル量を2とし、高さ=4、h2=8、h3=12とする。荷崩れ算出手段153は、箱213について、v211=2、h2=8より、機能量S=128であると算出する。また、荷崩れ算出手段153は、箱214について、v211=2、h2=8より、機能量S=128であると算出する。箱211及び箱212は、それぞれ水平ベクトル量が0であり、機能量S=0である。
したがって、荷崩れ算出手段153は、荷山216の総機能量ΣSは、256であると算出する。荷崩れ算出手段153は、算出したΣSの値を、立案結果情報記憶部18に記憶させる。なお、その後ステップS15に進み、さらに荷山の再計画が必要であるかの判定が行われる。
【0049】
これにより、計画結果評価部15は、荷山215の総機能量ΣSは288であり、荷山216の総機能量ΣSは256であると算出する。ここで、総機能量ΣSの値が大きいほど荷崩れがしやすいため、計画結果評価部15は、荷山215より、荷山216を選択するべきであると判定する。
【0050】
これにより、荷崩れのしやすさを定量的に評価し、輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成することができる。
より具体的には、積み付け支援装置1は、積み付け計画を生成し、生成した積み付け計画について定量的な評価を行う。積み付け計画の評価では、各貨物の重心ベクトルを2度ベクトル分解したものと、貨物の高さ情報を用いて、各貨物の機能量を算出し、各貨物の機能量の総和を荷山の総機能量として算出する。これにより、積み付け支援装置1は、総機能量の値から、荷山の荷崩れのしやすさについて定量的な評価をすることができる。
また、積み付け支援装置は、生成した積み付け計画が荷崩れしやすいものである場合に、荷崩れしにくい積み付け計画ができるまで、条件を変更しながら繰り返し積み付けを再計画する。これにより、荷崩れを起こしにくい積み付け計画を生成することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、計画対象箱情報記憶部12と、計画立案基本条件情報記憶部13と、箱配置ルール記憶部14と判定基準データベース16と、改善ルールデータベース17と、立案結果情報記憶部18と、容積率算出方法記憶部19と、機能量算出方法記憶部20は、同一の記憶手段により記憶されていても良く、別々の記憶手段に記憶されていても良い。また例えば、機能量Sの算出において高さの2乗の値を用いるものとして説明したが、2乗の値でなくても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 積み付け支援装置
11 製品配置計画立案部
12 計画対象箱情報記憶部
13 計画立案基本条件情報記憶部
14 箱配置ルール記憶部
15 計画結果評価部
151 第1のベクトル分解手段
152 第2のベクトル分解手段
153 荷崩れ算出手段
16 判定基準データベース
17 改善ルールデータベース
18 立案結果情報記憶部
19 容積率算出方法記憶部
20 機能量算出方法記憶部
211 箱
212 箱
213 箱
214 箱
215 荷山
216 荷山
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み付け支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる寸法や異なる重量の複数の貨物を、同一容器内に積載した状態での輸送が行われている。しかしながら例えば、トラック等で貨物の輸送を行う際には、車両の加減速やカーブ走行により貨物に慣性力が発生する。この慣性力に基づいて輸送中に貨物の荷崩れが発生すると、貨物が荷台から落下する恐れがある。そのため輸送を行う場合に、荷崩れを防止する荷山作りが必要とされている。
【0003】
特許文献1には、複数の貨物をグループにし、グループに含まれる複数の貨物の組合せで得られる混合配置パターンを算出し、積み付け計画生成の過程で充填効率の低下が生じた場合に積み付け計画の一部を廃棄し、別の配置案を行う積載計画装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、荷崩れのしやすさを考慮した積み付け装置について開示されている。しかしながら、特許文献2に開示された積み付け装置では、配置規則に関しての開示がなされていない。
【0005】
特許文献3には、トラック輸送中の荷崩れを防止するための荷山作りを、荷ひとつひとつの倒れにくさ、箱自体の位置、箱配置の上下関係によって評価する、積み付け支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−243528号公報
【特許文献2】特開平08−305567号公報
【特許文献3】特開2011−184110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
関連する積載計画装置では、荷山を構成する各層が同じ高さであることを前提とし、異なる高さの貨物がある場合の評価ができない場合がある。また、関連する積載計画装置では、上下方向の貨物の組み合わせの違いは説明可能だが水平方向の貨物の組み合わせによる荷崩れのしやすさを説明できない。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成する、積み付け支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る積み付け支援装置は、複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する製品配置計画立案部と、前記製品配置計画立案部において計画された積み付け計画を評価する計画結果評価部と、を有する積み付け支援装置であって、前記計画結果評価部は、各貨物の重心及び重心ベクトルを積み付けられた貨物全体の基準位置と結ぶことによりベクトル分解する第1のベクトル分解手段と、前記第1のベクトル分解手段により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを重心方向と水平方向に更に分解する第2のベクトル分解手段と、前記第2のベクトル分解手段により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する荷崩れ算出手段と、を備える。
これにより、荷崩れのしやすさを定量的に評価することができる。
【発明の効果】
【0009】
輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1にかかる積み付け支援装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる積み付けの計画立案の全体のフローと、各処理と各機能部との関係を示した図である。
【図3】実施の形態1にかかる荷姿総合評価値算出のフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる2つの荷山の図である。
【図5】実施の形態1にかかる荷山に定めた基準位置を示した図である。
【図6】実施の形態1にかかる各箱の質量をベクトル表示した図である。
【図7】実施の形態1にかかる箱213のベクトル分解を示す図である。
【図8】実施の形態1にかかる荷山215の各箱の質量ベクトルの分解を示す図である。
【図9】実施の形態1にかかる箱213のベクトル分解を示す図である。
【図10】実施の形態1にかかる荷山215の各箱のベクトルの分解を示す図である。
【図11】実施の形態1にかかる荷山215の各箱の水平方向のベクトルと高さを示した図である。
【図12】実施の形態1にかかる荷山216の各箱の水平方向のベクトルと高さを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、積み付け支援装置のブロック図である。以下では、貨物は直方体であるものとする。また以下では、貨物を箱と表現する場合がある。
積み付け支援装置1は、製品配置計画立案部11と、計画対象箱情報記憶部12と、計画立案基本条件情報記憶部13と、箱配置ルール記憶部14と、計画結果評価部15と、判定基準データベース16と、改善ルールデータベース17と、立案結果情報記憶部18と、容積率算出方法記憶部19と、機能量算出方法記憶部20と、を備える。
【0012】
製品配置計画立案部11は、スキッド(パレット)上に複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する。
【0013】
計画対象箱情報記憶部12は、積み付けの候補となる箱の種類や、箱の量を記憶している。
【0014】
計画立案基本条件情報記憶部13は、積み付け計画立案のための基本条件を記憶している。ここで基本情報とは、荷姿の狙い寸法や、スキッドの配置などである。
【0015】
箱配置ルール記憶部14は、積み付け計画を立案するための箱配置のルールを記憶している。例えば箱配置ルール記憶部14は、大きな箱を下にするルールや、任意の軸上において左右対称となるように箱を配置するなどのルールを記憶している。
【0016】
計画結果評価部15は、製品配置計画立案部11において計画された積み付け計画を評価する。すなわち計画結果評価部15は、製品配置計画立案部11で行った立案計画における、荷崩れのしやすさを評価する。計画結果評価部15は、第1のベクトル分解手段151と、第2のベクトル分解手段152と、荷崩れ算出手段153と、を備える。
【0017】
第1のベクトル分解手段151は、重心ベクトルを、箱の重心と基準位置を結んだ方向、及び、箱の重心と基準位置を結んだ方向と直角方向にベクトル分解する。ここで重心ベクトルとは、箱の重心位置に、箱の質量を下向きのベクトルで表したものである。また基準位置は、荷山の横方向をX軸とし、奥行きをY軸とし、縦方向をZ軸とする場合において、X軸とY軸における荷山の中心とする。なお、基準位置は、荷山の中央下部とする。また、各箱の重心位置と基準位置とを結んだ線を仮想線として定義する。言い換えると、第1のベクトル分解手段151は、重心ベクトルを、仮想線方向及び仮想線に対し直角方向にベクトル分解する。
【0018】
第2のベクトル分解手段152は、第1のベクトル分解手段151により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを、重心方向と水平方向に分解する。言い換えると、第2のベクトル分解手段152は、第1のベクトル分解手段151により仮想線に対し直角方向に分解されたベクトルについて、さらにX方向とZ方向にベクトル分解する。
【0019】
荷崩れ算出手段153は、第2のベクトル分解手段152により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する。より具体的には、荷崩れ算出手段153は、任意の箱について、第2のベクトル分解手段152により水平方向に分解されたベクトルvnと、基準位置からの高さhnの2乗と、を積算したものを機能量Sとして算出する。ここで機能量Sとは、各箱の荷崩れのしやすさを示す評価値であり、値が大きいほど荷崩れがしやすいことを示す。さらに荷崩れ算出手段153は、荷山の総機能量ΣSを算出する。ΣSは、各箱の機能量Sの総和である。
【0020】
判定基準データベース16は、評価に使用する各種の係数や、合否判定基準値を有する。ここで合否判定基準値とは、荷崩れ算出手段153が算出した総機能量ΣSの値が、任意の値より小さいか否かを判定する基準値である。典型的には、合否判定基準値は、利用者が任意の値を定める。
【0021】
改善ルールデータベース17は、判定基準データベース16に記憶された基準値を用いて評価値の評価を行ったときに、評価がNGの場合の再計画ルールを有する。例えば改善ルールデータベース17は、箱配置ルール記憶部14に記憶されたルールに基づいて生成された荷山について、変更可能な箱がどれであるかという情報を有するとともに、その変更パターンを有している。
また改善ルールデータベース17は、例えば、5個の箱から4個を選択して荷山を形成する場合において、選択する箱の組み合わせパターンの情報を有している。
【0022】
立案結果情報記憶部18は、立案途中、又は最終の計画情報を記憶する。
【0023】
容積率算出方法記憶部19は、容積率Bの算出方法を記憶する。容積率Bとは、スキッドの基準容積量Vに対して貨物が占める割合である。例えば、容積率算出方法記憶部19は、スキッドの形状によって容積率Bが変化する場合に、スキッドごとの容積率Bの算出方法を記憶している。
【0024】
機能量算出方法記憶部20は、機能量Sの算出方法を記憶する。例えば、機能量算出方法記憶部20は、貨物の形状と配置によって機能量Sが変化する場合に、貨物の形状と配置ごとの機能量Sの算出方法を記憶する。また例えば、機能量算出方法記憶部20は、層内機能率RCInの算出方法を記憶する。ここで層内機能率とは、個々の貨物の倒れにくさを表す評価要素である(特許文献3参照)。
【0025】
次に、積み付けの計画立案動作について説明する。図2は、積み付けの計画立案の全体のフローと、各処理と各機能部との関係を示した図である。
【0026】
製品配置計画立案部11は、計画立案基本条件情報記憶部13から立案基本条件を入手する(ステップS11)。例えば、製品配置計画立案部11は、スキッドの向きや、荷山サイズの情報を入手する。
【0027】
製品配置計画立案部11は、計画対象箱情報記憶部12から対象箱情報を入手する(ステップS12)。
【0028】
製品配置計画立案部11は、箱配置ルール記憶部14から箱配置のルール情報を受け取り、積み付け計画を立案する(ステップS13)。
【0029】
計画結果評価部15は、荷姿総合評価値(評価値)を算出する(ステップS14)。評価値の算出方法については後に詳述する。計画結果評価部15は、算出した評価値を立案結果情報記憶部18に記憶する。
【0030】
計画結果評価部15は、判定基準データベース16が有する判定基準に基づいて、ステップS14で算出された評価値が妥当であるか否かを判定する(ステップS15)。より具体的には計画結果評価部15は、評価値が基準値よりも小さい場合には、評価値が妥当なものであると判定して処理を終了する。計画結果評価部15は、評価値が基準値よりも大きい場合には、評価値が妥当でないものと判定してステップS16に進む。
【0031】
計画結果評価部15は、改善ルールデータベース17が有する再計画ルールを用いて、箱配置ルールと、対象箱情報を加工する(ステップS16)。例えば、計画結果評価部15は、改善ルールデータベース17より、箱配置の変更パターンの情報や、位置変更可能な箱についての情報を受け取り、箱配置ルール及び対象箱情報を加工する。
【0032】
計画結果評価部15は、積み付け計画を再計画するものとし(ステップS17)、ステップS13に戻る。ここでステップS13では、製品配置計画立案部11は、ステップS17において加工された箱配置ルール及び対象箱情報に基づいて、積み付け計画の立案を行う。以後、ステップS15において評価値が妥当であると判定されるまで、処理を繰り返し行う。
【0033】
次に、ステップS14に示した荷姿総合評価値算出の手順の詳細について説明する。図3は、荷姿総合評価値算出のフローチャートである。計画結果評価部15は、荷姿総合評価値の算出について、容積率の算出と、機能量の算出により行う。
【0034】
最初に容積率を算出する。容積率の算出は、容積率算出方法記憶部19に記憶された算出方法を用いる。
【0035】
計画結果評価部15は、基準容積量Vを算出する(ステップS1401)。より具体的には、計画結果評価部15は、計画立案基本条件情報記憶部13から入力された情報に基づき、スキッドの間口幅Wと、スキッドの奥行きDと、スキッド上に積み付け可能な高さHを積算することにより、基準容積量Vを算出する。すなわち計画結果評価部15は、基準容積量Vを、V=W×D×Hにより算出する。
【0036】
計画結果評価部15は、容積率Bを算出する(ステップS1402)。ここで、計画結果評価部15は、立案結果情報記憶部18から情報を入力された情報に基づき、箱容積Vnから、基準容積量Vを除算することで容積率Bを算出する。すなわち計画結果評価部15は、容積率Bを、B=ΣVn/Vにより算出する。
【0037】
次に、機能量の算出を行う。計画結果評価部15は、計画立案基本条件情報記憶部13と、立案結果情報記憶部18から入力された情報に基づいて、機能量算出方法記憶部20に記憶された算出方法により、機能量を算出する。
【0038】
図4(a)は、小さな箱211、212と、大きな箱213、214から構成されている荷山215の図である。図4(b)は、箱211〜214から構成されている別の荷山216の図である。箱211、212は、縦幅と横幅が等しく、任意の奥行きを有する直方体である。箱213、214は、縦方向の長さが箱211、212の2倍の長さであり、横方向と奥行きは、箱211、212と等しい長さである直方体である。また、箱213、214はそれぞれ、箱211、212の2倍の質量である。なお、図4において、横方向をX軸、奥行きをY軸、縦方向をZ軸とする。
荷山215では、箱213と、箱211、212をZ軸方向に重ねたものが、箱214をX軸上において挟むように並べられている。荷山216は、箱211、212をZ軸方向に重ねたものを、箱213、214がX軸上において挟むように並べられている。なお、荷山215、216において、箱211、212、213、214のY軸方向の重心位置は、荷山のY軸方向の中心に揃っているものとする。荷山215を用いて、機能量算出方法を説明する。
【0039】
計画結果評価部15は、n=1と設定する(ステップS1411)。
【0040】
計画結果評価部15は、第n番目の箱を抽出する(ステップS1412)。例えば計画結果評価部15は、n=1であれば、第1番目と定めた箱を抽出する。例えば、第1番目と定めた箱は、箱213であるものとする。
【0041】
計画結果評価部15は、荷室の中央を基準位置として設定する(ステップS1413)。図5(a)及び図5(b)は、計画結果評価部15が、荷山215のX軸及びY軸の中心かつ荷山の下部に、基準位置を設定した図である。ここで、図5(a)は荷山215を正面図であり、図5(b)は荷山215の側面図である。なお、図5(a)及び図5(b)において、箱211、212、213、214が有する黒丸は、それぞれの箱の重心を表す。
【0042】
計画結果評価部15は、箱の重心の位置に箱の質量を下向きのベクトルで表す(ステップS1414)。図6(a)及び図6(b)は、箱211、212、213、214のそれぞれの重心位置に、質量を下向きのベクトルで示した図である。なお、図6(a)は荷山215の正面図であり、図6(b)は荷山215における、箱211、212側の側面図である。
【0043】
第1のベクトル分解手段151は、基準位置と各箱の重心を結ぶ仮想線を設定し、各箱の質量を示すベクトルを、仮想線と、仮想線に対して直角方向と、に分解する(ステップS1415)。図7は、第1のベクトル分解手段151が、箱213の質量を示すベクトルを、仮想線方向と、仮想線方向に対して直角方向にベクトル分解を行う場合について示した図である。なお、図8(a)及び図8(b)は、第1のベクトル分解手段151が、箱211、212、213、214のそれぞれについて、質量を示すベクトルを、仮想線と、仮想線に対して直角方向と、に分解した図である。なお、図8(a)は荷山215の正面図であり、図8(b)は荷山215における、箱211、212側の側面図である。ここで箱214については、基準位置上に重心があるため、仮想線方向及び仮想線方向に対して直角方向のベクトルは出現しない。
【0044】
第2のベクトル分解手段152は、ステップS1415で求めた仮想線方向に対して直角方向のベクトルを、水平方向と垂直方向に分解する(ステップS1416)。図9は、第2のベクトル分解手段152が、箱213の仮想線方向に対して直角方向のベクトルを、水平方向と垂直方向にベクトル分解を行った場合の図である。なお、図10(a)及び図10(b)は、第2のベクトル分解手段152が、箱211、212、213、214のそれぞれについて、第1のベクトル分解手段151により算出した、仮想線方向に対して直角方向のベクトルを、水平方向と垂直方向に分解した図である。なお、図10(a)は荷山215の正面図であり、図10(b)は荷山215の側面図である。ここで箱214については、仮想線方向に対して直角方向のベクトルが存在しないため、水平方向と垂直方向のベクトルは出現しない。
【0045】
荷崩れ算出手段153は、ステップS1416で算出した水平方向のベクトルと、重心までの高さの2乗を積算して機能量とする(ステップS1417)。なお、第2のベクトル分解手段152により水平方向に分解されたベクトルをvn、基準位置からの高さをhnとする。典型的には、荷崩れ算出手段153は、ベクトルvnと高さ2乗の値の積算により機能量Sを算出する。すなわち荷崩れ算出手段153は、機能量Sを、S=vn×hn×hnより算出する。図11は、荷山215についてステップS1416で算出した水平方向のベクトルと、高さh1、h2、h3を示した図である。ここで、箱211及び箱212の水平方向のベクトル量を1とし、箱213の水平ベクトル量を2とし、高さh1=4、h2=8、h3=12とする。荷崩れ算出手段153は、箱211について、v211=1、h3=12より、機能量S=144であると算出する。
【0046】
計画結果評価部15は、ステップS1417において機能量Sの算出を行うべき箱が、他に有るか否かを判定する(ステップS1418)。他に機能量Sを算出していない箱がない場合には(ステップS1418でYES)、ステップS1419に進む。他に機能量Sを算出していない箱がある場合には(ステップS1418でNo)、nの値を加算してステップS1412に戻り、次の箱について機能値の算出を開始する。
したがって、繰り返し実行されたステップS1417により、荷崩れ算出手段153は、箱212について、v212=1、h1=4より、S=16を算出する。また、荷崩れ算出手段153は箱213について、v212=0、h2=8より、機能量S=0を算出する。さらに、荷崩れ算出手段153は箱214について、v212=2、h2=8より、S=128を算出する。
【0047】
荷崩れ算出手段153は、荷山の総機能量を算出する(ステップS1419)。ここで荷山の総崩機能量は、ステップS1417において求めた機能量Sの総和である。すなわち、荷崩れ算出手段153は、ΣS=Σ(vn×hn×hn)により、総機能量ΣSを算出する。
荷崩れ算出手段153は、荷山215について、ステップS1417で算出した箱211、212、213、214のそれぞれの機能量Sの総和より、ΣS=288と算出する。荷崩れ算出手段153は、算出したΣSの値を、立案結果情報記憶部18に記憶させる。ここで、総機能量ΣSを荷姿総合評価値とする。なお、その後ステップS15に進み、さらに荷山の再計画が必要であるかの判定が行われる。
【0048】
その後、ステップS15で荷山の再計画が必要であると判定され、ステップS16及びステップS17において荷山216が再計画された場合、計画結果評価部15は、荷山216の総機能量を算出する。図12は、荷山216について、ステップS1416で算出した各箱の水平ベクトルと、高さh1、h2、h3を示した図である。ここで、箱213の水平ベクトル量を2とし、高さ=4、h2=8、h3=12とする。荷崩れ算出手段153は、箱213について、v211=2、h2=8より、機能量S=128であると算出する。また、荷崩れ算出手段153は、箱214について、v211=2、h2=8より、機能量S=128であると算出する。箱211及び箱212は、それぞれ水平ベクトル量が0であり、機能量S=0である。
したがって、荷崩れ算出手段153は、荷山216の総機能量ΣSは、256であると算出する。荷崩れ算出手段153は、算出したΣSの値を、立案結果情報記憶部18に記憶させる。なお、その後ステップS15に進み、さらに荷山の再計画が必要であるかの判定が行われる。
【0049】
これにより、計画結果評価部15は、荷山215の総機能量ΣSは288であり、荷山216の総機能量ΣSは256であると算出する。ここで、総機能量ΣSの値が大きいほど荷崩れがしやすいため、計画結果評価部15は、荷山215より、荷山216を選択するべきであると判定する。
【0050】
これにより、荷崩れのしやすさを定量的に評価し、輸送中に荷崩れを起こしにくい荷山を生成することができる。
より具体的には、積み付け支援装置1は、積み付け計画を生成し、生成した積み付け計画について定量的な評価を行う。積み付け計画の評価では、各貨物の重心ベクトルを2度ベクトル分解したものと、貨物の高さ情報を用いて、各貨物の機能量を算出し、各貨物の機能量の総和を荷山の総機能量として算出する。これにより、積み付け支援装置1は、総機能量の値から、荷山の荷崩れのしやすさについて定量的な評価をすることができる。
また、積み付け支援装置は、生成した積み付け計画が荷崩れしやすいものである場合に、荷崩れしにくい積み付け計画ができるまで、条件を変更しながら繰り返し積み付けを再計画する。これにより、荷崩れを起こしにくい積み付け計画を生成することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、計画対象箱情報記憶部12と、計画立案基本条件情報記憶部13と、箱配置ルール記憶部14と判定基準データベース16と、改善ルールデータベース17と、立案結果情報記憶部18と、容積率算出方法記憶部19と、機能量算出方法記憶部20は、同一の記憶手段により記憶されていても良く、別々の記憶手段に記憶されていても良い。また例えば、機能量Sの算出において高さの2乗の値を用いるものとして説明したが、2乗の値でなくても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 積み付け支援装置
11 製品配置計画立案部
12 計画対象箱情報記憶部
13 計画立案基本条件情報記憶部
14 箱配置ルール記憶部
15 計画結果評価部
151 第1のベクトル分解手段
152 第2のベクトル分解手段
153 荷崩れ算出手段
16 判定基準データベース
17 改善ルールデータベース
18 立案結果情報記憶部
19 容積率算出方法記憶部
20 機能量算出方法記憶部
211 箱
212 箱
213 箱
214 箱
215 荷山
216 荷山
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する製品配置計画立案部と、
前記製品配置計画立案部において計画された積み付け計画を評価する計画結果評価部と、を有する積み付け支援装置であって、
前記計画結果評価部は、
貨物の重心及び重心ベクトルを積み付けられた貨物全体の基準位置と結ぶことによりベクトル分解する第1のベクトル分解手段と、
前記第1のベクトル分解手段により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを重心方向と水平方向に更に分解する第2のベクトル分解手段と、
前記第2のベクトル分解手段により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する荷崩れ算出手段と、を備える、
積み付け支援装置。
【請求項1】
複数の貨物を積み付けるための積み付け計画を立案する製品配置計画立案部と、
前記製品配置計画立案部において計画された積み付け計画を評価する計画結果評価部と、を有する積み付け支援装置であって、
前記計画結果評価部は、
貨物の重心及び重心ベクトルを積み付けられた貨物全体の基準位置と結ぶことによりベクトル分解する第1のベクトル分解手段と、
前記第1のベクトル分解手段により分解されたベクトルのうち、基準位置より外側のベクトルを重心方向と水平方向に更に分解する第2のベクトル分解手段と、
前記第2のベクトル分解手段により水平方向に分解されたベクトルと、基準位置からの高さを用いて荷崩れのしやすさを算出する荷崩れ算出手段と、を備える、
積み付け支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−82518(P2013−82518A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222446(P2011−222446)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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