説明

積み荷吊り下げ手段に固定されたケーブル長調節要素を備える橋型あるいは門型クレーン

本発明は、標準の貨物輸送容器、特にISOコンテナやスワップボディを道路と鉄道との間で移送するための橋型あるいは門型のガントリークレーンに関する。この橋型あるいは門型のガントリークレーンは、クレーン支持体に沿って横行車移動方向に移動可能な横行車を備え、横行車には、昇降方向に延びる硬質のマストがガイドされている。上記マストは、少なくとも1つの昇降機構と、ケーブルとを用いて、昇降方向に移動可能となっており、昇降機構は横行車に配置されている。標準の貨物輸送容器用の積み荷受け手段が、マストの下端に剛的に固定されている。少なくとも2本のケーブル(19a、19b、19c、19d)が設けられており、これらのケーブルはダブルアーム(22)の両端と接触している。ダブルアームは、積み荷受け手段(11)に対して、実質的に水平な枢動軸(S)周りに枢動可能に取り付けられている.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にISOコンテナやスワップボディなどの標準化された貨物輸送容器を、道路と鉄道との間で運搬するための、橋型あるいは門型のガントリークレーンに関する。本発明のガントリークレーンは、クレーン梁に沿って横行車移動方向に移動可能な横行車を備えている。また、この横行車には、昇降方向に延びる硬質のマストがガイドされており、当該マストが、少なくとも1つの昇降機構および複数のケーブルによって、上記昇降方向に移動可能となっている。上記昇降機構は上記横行車に配置されている。マストの下端には、標準の貨物輸送容器用の積み荷吊り下げ手段が剛的に固定されており、上記昇降機構から延びる上記ケーブルが、積み荷吊り下げ手段と係合している。
【背景技術】
【0002】
特に鉄道輸送用のコンテナなどの商品コンテナのための貨物運搬装置は、ドイツ特許出願公開第2752212号明細書により公知である。同文献に開示されている一実施形態においては、貨物運搬装置は、基本的に横行車を備えたガントリークレーンからなり、当該横行車に入れ子式のマストが取り付けられている。このマストは、3つの入れ子部分を有している。一番上の入れ子部の上端は横行車に剛的に取り付けられている一方、一番下の入れ子部分の下端には、C字形のフレームが剛的に吊り下げられている。このC字形フレームは、上側水平アーム及び下側水平アームを備えており、下側水平アームから垂下している積み荷吊り下げ手段を、鉄道区域の架線の下方において、側方に移動させることができるように設けられている。C字形フレーム及び積み荷吊り下げ手段を昇降方向に移動させるために、横行車にはドラム付きのケーブルが配置されており、合計4本のケーブルが、横行車から、水平アームの上部に配置されたケーブルローラーまで延びている。
【0003】
特にISOコンテナなどのコンテナを積み重ねるための橋型クレーンは、欧州特許第1365984号明細書により公知であり、このクレーンは、コンテナターミナル内の保管エリアに対してコンテナを出し入れするものである。橋型クレーンはクレーン梁を有しており、このクレーン梁は、実質的に立方体の保管エリアの幅にわたって延びている。横行車は、このクレーン梁上で、クレーン梁の長手方向、且つ保管エリアの幅方向に移動可能である。クレーン梁は、走行機構上で、クレーンの移動方向すなわちクレーン梁上の横行車を横切る方向で、且つ保管エリアの長手方向に移動可能である。コンテナを運搬するために、横行車にはマストが配置されており、垂直方向に昇降可能にガイドされている。このマストは箱桁として構成されており、横行車にはマストの昇降動のための昇降機構が配置されている。マストの下端には、運搬対象のコンテナの方に向けて、コンテナ用の積み荷吊り下げ手段が、ピボットによって吊り下げられている。この積み荷吊り下げ手段は、ケーブルによって、横行車に設けられた昇降機構に接続されている。マストは、直接昇降方向に駆動されるのではなく、積み荷吊り下げ手段に係合するケーブルによって間接的にのみ駆動される。横行車と積み荷吊り下げ手段との間で硬質のマストを使用することにより、ケーブルのみから吊り下げられた積み荷吊り下げ手段を用いた場合とは異なり、揺れを抑制しつつコンテナを運搬することができる。
【0004】
さらに、鉄道と道路との間でコンテナやスワップボディを運搬するためのガントリークレーンは、欧州特許第0796813号明細書により公知である。ガントリークレーンの通常のデザインどおり、クレーン梁上においてクレーン梁の長手方向に移動することができる横行車が設けられている。横行車には、ガントリークレーンの移動方向視において前後に間隔をあけて設けられた2つの油圧ピストン・シリンダユニットが固定されている。各ピストン・シリンダユニットは、垂直方向に向いており、基本的には、昇降シリンダと、当該昇降シリンダ内で移動するピストンロッドとからなる。昇降シリンダは横行車に剛的に取り付けられており、横行車を始点とするピストンロッドは、下方に向かって降下方向に伸長したり、反対に上昇方向に収縮したりすることができる。ピストンロッドにおける横行車とは反対側の端部には、長状穴接続手段によりハンガーフレームが固定されており、このハンガーフレームから、スプレッダーフレームとして構成された積み荷吊り下げ手段が垂下している。このハンガーフレームのピストンロッドに対する長状穴接続手段による接続は、2つのピストン・シリンダユニットの同期移動における誤差、及び、コンテナの傾斜姿勢を修正するために選択されたものである。さらに、ハンガーアーム及びこれに配置された積み荷吊り下げ手段は、2つのピストン・シリンダユニットの長軸に対して少なくとも500mm側方にずれており、これにより、コンテナやスワップボディをガントリークレーンによって鉄道車両上に降ろす、又は、鉄道車両から持ち上げることができ、また、積み荷吊り下げ手段をピストンロッドに対して側方にずれた位置に配置したことによって、架線を下方で延びる構成とすることが可能となる。
【0005】
鉄道輸送におけるコンテナ運搬のための別のクレーン構造が、ドイツ特許第2911938号明細書により公知である。このクレーン構造も、ガントリークレーンとして構成されており、マストを備えた横行車を有し、マストは横行車上でガイドされ昇降方向に移動可能である。マストの下端には、マストの長手方向に対して側方に突出するジブが固定されている。ジブには、コンテナ用の積み荷吊り下げ手段が、垂直回転軸を有する回転接続手段によって吊り下げられている。このマストは、ケーブル機構によって昇降可能とされており、ケーブル機構のケーブルは、マストの下3分の1の領域に取り付けられている。積み荷吊り下げ手段の回転接続に加えて、横行車は、円形の走行トラックを備えた回転装置を有し、この走行トラック上で回転フレームが走行車輪によって垂直軸周りに移動可能である。マストは実質的に回転フレームから吊り下げられており、従ってケーブル機構と共に、これと同様に回転可能である。積み荷吊り下げ手段及びクレーン横行車の区域において、このように二重の回転が可能であることによって、架線の導電ワイヤの下方でコンテナが内外に揺れた場合でも、コンテナは、荷積み及び荷降ろしの対象である鉄道車両に対する平行姿勢を失わないようになっている。
【0006】
ドイツ実用新案公開第20013245号明細書は、コンテナの運搬機構を開示しており、この機構は半ガントリークレーンとして構成されている。この構成においても、クレーン横行車から吊り下げられ、垂直に昇降移動可能なマストが設けられている。マストの下端には、水平に横に突出する接続アームが配置されており、この接続アームには、コンテナ又は貨物ユニット用の積み荷吊り下げ手段が吊り下げられており、架線の導電ワイヤの下方で、鉄道車両に対してコンテナを側方に降ろしたり持ち上げたりすることができるようになっている。この構成においても、マストは回転装置によってクレーン横行車に連結されている。マストをどのようにして昇降させるかに関しては、これ以上の情報は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第2752212号明細書
【特許文献2】欧州特許第1365984号明細書
【特許文献3】欧州特許第0796813号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第2911938号明細書
【特許文献5】ドイツ実用新案公開第20013245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特にISOコンテナやスワップボディなどの標準化された貨物輸送容器を道路と鉄道との間で運搬するための硬質のジブを備えた橋型あるいは門型ガントリークレーンを、いかに最適化するかを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、クレーム1の特徴を備えた橋型あるいは門型ガントリークレーンによって達成される。本発明の有利な実施形態は、クレーム2〜9に記載されている。
【0010】
本発明によれば、特にISOコンテナやスワップボディなどの標準化された貨物輸送容器を道路と鉄道との間で運搬するための、橋型あるいは門型のガントリークレーンが提供される。このガントリークレーンは、クレーン梁に沿って横行車移動方向に移動可能な横行車を備え、横行車には、昇降方向に延びる硬質のマストがガイドされている。マストは、少なくとも1つの昇降機構と、ケーブルとにより、前記昇降方向に移動可能となっており、昇降機構は横行車に配置されている。標準の貨物輸送容器用の積み荷吊り下げ手段が、マストの下端に剛的に固定されており、上記昇降機構から延びるケーブルが積み荷吊り下げ手段と係合している。本発明のガントリークレーンは、少なくとも2本のケーブルがダブルアームの両端と係合しており、ダブルアームは、積み荷吊り下げ手段に対して、実質的に水平な枢動軸周りに枢動可能に取り付けられている、という点で改良がなされている。これによれば、ケーブル長さを調整しつつ、ケーブルと積み荷吊り下げ手段との間での直接的な力の伝達が実現でき、マストは、ガイドの目的のみに使用される。好ましくは、ここでの硬質マストは、入れ子式のものではなく、単一部品からなるものをさす。
【0011】
例えば非同期移動によるケーブルのねじれが、マストに対する積み荷吊り下げ手段の剛的な取り付けによって当該マストに伝わることを防ぐために、ケーブルの少なくとも1つは、ケーブル長さ調整要素を介して、積み荷吊り下げ手段と係合する構成とされている。
【0012】
積み荷吊り下げ手段は、ハンガーフレーム、及び、当該ハンガーフレームから吊り下げられたスプレッダーフレームからなり、ハンガーフレームはマストの下端に剛的に固定されており、ケーブルはハンガーフレームと係合していることが、好適である。
【0013】
好適な一実施形態においては、スプレッダーフレーム及びハンガーフレームは、それぞれ矩形の断面を有しており、且つその長手方向寸法がクレーン移動方向に延びており、計4本のケーブルの下端が、ハンガーフレームの角部領域においてそれぞれ固定されている。この構成によれば、ケーブルの長さ調節を実現することができ、それと同時に、ケーブルをハンガーフレームに対して強固に取り付けることができる。この好適な実施形態において、クレーン移動方向における2本の前方ケーブル及び2本の後方ケーブルは、ダブルアームの両端に固定されており、ダブルアームは、ハンガーフレームに取り付けられており、中央部において、クレーン移動方向に延びる枢動軸周りに枢動可能である。
【0014】
特にISOコンテナやスワップボディなどの標準化された貨物輸送容器を、電化された鉄道区域の導電ワイヤの下方において、道路と鉄道との間で運搬できるようにするために、この積み荷吊り下げ手段は前記マストから側方にずれた位置に配置されている。この積み荷吊り下げ手段はマストから剛的に吊り下げられているために、たとえマストに対して側方にはみ出ても、特に安定してガイドすることができる。
【0015】
積み荷吊り下げ手段は、マストから、500mm〜1500mmの範囲のオフセット量だけ側方にずれた位置に配置されていることが、好適である。
【0016】
クレーン梁は第1梁及び第2梁からなり、第1梁及び第2梁に横行車レールが配置されており、クレーン横行車は横行車レール上で横行車移動方向に移動可能であり、第1梁と第2梁とは横行車移動方向に対して垂直に延びるクレーン移動方向において互いに離間している、という構成によれば、クレーン梁の領域においてマストを特に安定して支持することができる。
【0017】
マストがクレーン横行車に対して垂直枢動軸周りに回転可能である、という構成にすれば、橋型あるいは門型ガントリークレーンの利用の可能性が広がる。
【0018】
本発明の実施形態の一例を図に示すとともに以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】門型のクレーンとして構成された、本発明に基づくガントリークレーンを備えた運搬設備を示す図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1における積み荷吊り下げ手段周辺領域の特徴部分の拡大図である。
【図4】図1における回転接続部周辺領域の特徴部分の(一部断面)拡大図である。
【図5】図3の積み荷吊り下げ手段の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、ISOコンテナやスワップボディなどの標準の貨物輸送容器2を、道路と鉄道との間で運搬するための運搬設備1を示している。この運搬設備1は、基本的には、線路運搬区域3、道路運搬区域4、及び、門型のガントリークレーン5からなるが、他の要素を含んでいてもよい。
【0021】
線路運搬区域3は、基本的には、第1トラック部3a、及び、当該第1トラック部から間隔をあけて当該第1トラック部と平行に延びる第2トラック部3bからなるが、他の要素を含んでいてもよい。第1トラック部3a及び第2トラック部3bは、線路運搬区域内で真っすぐに延びており、これらの間には、複数の架線用電柱3cが通常の形態で配置されている。各架線用電柱は、第1トラック部3a及び第2トラック部3bの上方に導電ワイヤ3dを保持している。鉄道車両6は、貨物輸送容器2の荷積み及び荷降ろしが行えるように、第1及び第2トラック部3a、3bに沿って移動可能である。
【0022】
道路運搬区域4は、側部が第2トラック部3bと隣接するようにして配置されている。本例においては、道路運搬区域4は実質的に支持台4aからなるが、他の要素を含んでいてもよい。鉄道車両6から荷降ろしされた貨物輸送容器2は、この支持台4aの上に載置し、一時的に保管することができる。その後、貨物輸送容器2をさらにトラック(図示せず)に荷積みすることができる。
【0023】
線路運搬区域3及び道路運搬区域4は、いずれもガントリークレーン5の範囲内に位置している。このガントリークレーンは、これら2つの運搬区域3、4にわたって設けられている。
【0024】
ガントリークレーン5は、実質的にクレーン梁8からなるが、他の要素を含んでいてもよい。クレーン梁8は、レール7上において、第1及び第2トラック部3a、3bに沿う方向であるクレーン移動方向F(図2参照)に移動可能である。クレーン横行車9は、クレーン梁8上において、クレーン梁8の移動方向Fを横切るように、横行車移動方向Kに移動可能である。クレーン横行車9からはマスト10が吊り下げられている。マストは、横行車9に対して、垂直方向に昇降動可能であり、下端10aに固定された積み荷吊り下げ手段11によって、貨物輸送容器2を持ち上げたり降ろしたりすることができる。積み荷吊り下げ手段11は、マスト10の下端10aに強固に固定されたハンガーフレーム11aと、ハンガーフレーム11aからチェーン11cによって吊り下げされたスプレッダーフレーム11bとに分かれている。ハンガーフレーム11aは、マスト10に対して側方に突出している。好ましくは、ここでの硬質のマスト10は、単一部品からなるものであり、入れ子式のものではない。このような硬質マスト10によって、積み荷吊り下げ手段を特に安定してガイドすることができる。
【0025】
クレーン移動方向Fに見た場合、クレーン梁8の両端は、左右の垂直支持体12l、12rによって支持されている。これら全体として、ガントリークレーン5はU字型であり、底部が開放している。垂直支持体12l及び12rは、上端ではクレーン梁8の両端部を支持する一方で、下端では、クレーン走行機構13によって、レール7上でクレーン移動方向Fに移動可能である。
【0026】
クレーン横行車9は、実質的に矩形ベースフレーム9aからなるが、他の要素を含んでいてもよい。矩形ベースフレームの四隅には横行車走行機構14が配置されており、これらの機構は、クレーン梁12上に配置された横行車レール15上で移動する。クレーン横行車9のベースフレーム9aの中央部には開口が設けられており、この開口に回転パイプ16が挿通されている。回転パイプ16は、上端16aが、クレーン横行車9のベースフレーム9a上で回転接続部16bによって支持されており、この回転接続部16aによって垂直枢動軸D周りに回転可能となっている。マスト10は、回転パイプ16内に延び、当該パイプ内でガイドされる。
【0027】
図2は、図1の側面図を示している。図からわかるように、クレーン梁8は、第1梁8a及び第2梁8bを有する二重梁として構成されている。これらの第1梁及び第2梁は、互いに等しい高さ位置に配置され、クレーン移動方向Fに見た場合、前後に離間している。従って、左側垂直支持体12l及び右側垂直支持体12rも、クレーンの移動方向Fに見て、それぞれ二重支持体として構成されており、U字状を形成するように、下端領域においてベース梁12aによって互いに連結されている。
【0028】
図2からわかるように、第1梁8a及び第2梁8bはそれぞれ三角形の断面を有している。この三角断面は、頂角8cが約30°である等辺三角形である。クレーン横行車9を横行車移動方向Kに移動させるための横行車レール15は、第1梁8a及び第2梁8bの各頂角8c領域に固定される。
【0029】
図2は、回転接続部16a及び回転パイプ16を特に明確に示している。回転パイプ16を駆動するために、回転パイプの外周には歯付き鍔部16dが設けられており、この歯付き鍔部は電動回転駆動装置16eと係合している。電動回転駆動装置はベースフレーム9aによって支持されている。マスト10を昇降方向Hに移動させるために、回転パイプ11の下端16cには矩形の昇降フレーム17が剛的に固定されている。クレーン横行車9のこの昇降フレーム17上には、マスト10用の昇降機構18が設けられている。昇降機構18は、第1ケーブルドラム18a及び第2ケーブルドラム(図示せず)を有する。これらのケーブルドラムは、互いに同軸状に、共用伝動装置18bに取り付けられている。この共用伝動装置は、ドライブモータ18cによって始動される。第1ケーブルドラム18aからは、第1ケーブル19a及び第2ケーブル19bが延出している。第2ケーブルドラム18bからは、第3ケーブル19c及び第4ケーブル19dが延出している。このように、4本のケーブル19a、19b、19c、19dが設けられている。これらのケーブルは、第1又は第2ケーブルドラム18a、18bから直接、垂直下方に延出していてもよいし、あるいは、マスト10の両側に向かって水平方向に延出した後、水平の回転軸を有する偏向ローラー20によって90°屈曲されて、垂直下方に延びていてもよい。ケーブル19a、19b、19c、19dの端部は、ハンガーフレーム11aに接続されている。
【0030】
図2に示すように、第2梁8bの外側には、コンテナ型ホルダー21が固定されている。このホルダー内には、ガントリークレーン5用の制御部及び電気又は電子系統が設けられている。
【0031】
図3は、図1における積み荷吊り下げ手段11周辺領域の特徴部分を拡大して示しており、特に、マストの下端部10aの中央に対するハンガーフレーム11aの剛的な固定を示している。ハンガーフレーム11aは、上面視において、実質的に矩形の断面を有している。4本のケーブル19a、19b、19c、19dは、ハンガーフレーム11aの各角部に取り付けられている。典型的には、スプレッダーフレーム11bは、ハンガーフレーム11aからチェーン11cによって吊り下げられている。
【0032】
また、図3からわかるように、ハンガーフレーム11aは、マスト10の下端10aに強固に連結され、片持ち梁状のジブとして構成されている。すなわち、ハンガーフレームは、マスト10の枢動軸Dに対して側方に張り出しており、マスト10の外郭を超えて側方に突出している。中心線Mは、スプレッダーフレーム11b用のチェーン11cの複数の吊り下げ点の中心を延びる線である。この線をハンガーフレーム11aの基準線とすれば、ハンガーフレーム11aは、貨物輸送容器2の長手方向視において、マスト10の長手方向に延びる枢動軸Dからオフセット量Vだけ側方にずれている。この側方オフセット量Vは、800mm〜1500mmの範囲である。本実施形態の例においては、導電ワイヤ3dが許容誤差の範囲内で内側すなわち架線用電柱3c方向に位置ずれした状態で取り付けられているので、上記オフセット量は、約1000mmとしている。この状態でも、導電ワイヤ3dは、列車のパンタグラフが容易に届く位置である。
【0033】
さらに、図3は、ハンガーフレーム11aに対する第1ケーブル19a及び第2ケーブル19bの連結部の特徴を示している。この連結部分は、ダブルアーム22によって、水平方向に延びる枢動軸S周りに枢動可能とされている。このように、第1及び第2ケーブル19a、19bを、ダブルアーム22を介してハンガーフレーム11aに配置することによって、ケーブル19a、19b、19c、19dを巻き上げたり繰り出したりする際の、これらのケーブルの同期移動における誤差をなくし、こうした誤差によってハンガーフレーム11a又はリフトフレーム17が捩れるのを防ぐことができる。同様に、ハンガーフレーム11aの他端における第3及び第4ケーブル19c、19dに対しても、第2のダブルアーム22が設けられている。第1のダブルアーム及び第2のダブルアーム22の枢動軸Sは同軸状に配置されている。
【0034】
図4は、図1に示したガントリークレーン5における、クレーン横行車9周辺領域の特徴部分を拡大して示している。特にこの断面図からわかるように、マスト10は、回転パイプ16の下端16cの領域においては下側ガイド要素23aによってガイドされる一方、回転パイプ16の上端16bの領域においては上側ガイド要素23bによってガイドされる。下側及び上側ガイド要素23a、23bはガイドローラーとして構成されており、マスト10を四辺で互いに対向してガイドする。
【0035】
図5は、図3に示した積み荷吊り下げ手段11の上面図である。より見やすくするために、同図はマスト10が取り付けられていない状態を示している。従って、中央には、ハンガーフレーム11aに設けられた、ねじ穴付きのフランジ状の接続要素24が見える。これに対応して、マスト10の下端10aにも略環状のフランジが設けられており、これによりハンガーフレーム11aをマスト10の下端10aに剛的に取り付けることができる。接続要素24の形状からわかるように、マスト10は、わずかに引き伸ばされた六角形の断面形状を有する。
【0036】
スプレッダーフレーム11bが横方向へ張り出した状態でハンガーフレーム11aに吊り下げられていることに起因して発生する力を吸収できるように、マスト10の下端10aに隣接するハンガーフレームは、大きなプレート状又は補強されたボックス状の構造を有している。ハンガーフレーム11aは、上面視において実質的に矩形であると言ってよいが、その幅は、接続要素24から外側に向かうにつれ、応力に応じて直線的に減少する構成とされている。ハンガーフレーム11aの端部領域に2つの矩形のボックス状のハンガーアーム11dが設けられていることにより、ハンガーフレーム11aは、上面視において略U字型又はフォーク状の外観を有している。ハンガーアーム11dはハンガーフレーム11aから直角に延びており、ハンガーアームの端部の下側には、スプレッダーフレーム11bを吊り下げるチェーン11cの取り付け点が位置している。
【0037】
さらに、図5から明らかなように、側方に突出するハンガーアーム11dを備えたハンガーフレーム11aの特殊な形状によって、スプレッダーフレーム11bの中央長手方向Lと枢動軸Dとの間のオフセット量Vだけチェーン11cが側方にずれた状態で、スプレッダーフレーム11bを吊り下げることができる。
【0038】
また、図5から明らかなように、2つのダブルアーム22は、中央部分で枢動軸Sを中心として上方に傾くことができるように、ハンガーフレーム11aに固定されている。枢動軸Sの仮想延長線は、マストの枢動軸Dと交差する。2つのダブルアーム22の両端部には、第1ケーブル19a、第2ケーブル19b、第3ケーブル19c、第4ケーブル19dがそれぞれ取り付けられている。従って、昇降機構18の昇降力は、枢動軸Dを基準として、ハンガーフレーム11aの中央へと導かれる。さらに、ダブルアーム22は基本的にはハンガーアーム11dに平行に延びており、昇降機構18の昇降力は、スプレッダーフレーム11bを支持するチェーン11cの領域に直接作用することが明らかである。従って、昇降力は、側方への突出部を除いて、ハンガーアーム11dによって第1〜第4ケーブル19a〜19dにほぼ直接的に導かれる。スプレッダーフレーム11bの長さ方向Lについて見れば、ダブルアーム22とハンガーアーム11dは基本的に同じ高さである。
【0039】
以上の説明は、門型のクレーンとして構成されたガントリークレーン5に関するものである。しかしながら、本発明のガントリークレーンは、橋型のクレーンとして構成してもよい。この場合、レール7を高架式あるいはスパンドレルブレースト式にしてもよい。また、本発明のガントリークレーンは、片側だけが門型のクレーンとしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 運搬設備
2 標準貨物輸送容器
3 線路運搬区域
3a 第1トラック部
3b 第2トラック部
3c 架線用電柱
3d 導電ワイヤ
4 道路運搬区域
4a 支持台
5 橋型あるいは門型ガントリークレーン
6 鉄道車両
7 レール
8 クレーン梁
8a 第1梁
9a 第2梁
8c 頂角
9 クレーン横行車
9a ベースフレーム
10 マスト
10a マストの下端
11 積み荷吊り下げ手段
11a ハンガーフレーム
11b スプレッダーフレーム
11c チェーン
11d ハンガーアーム
12a ベース梁
12l 左側垂直支持体
12r 右側垂直支持体
13 クレーン走行機構
14 横行車走行機構
15 横行車レール
16 回転パイプ
16a 回転接続部
16b 上端
16c 下端
16d 歯付き鍔部
16e 回転ドライブ
17 昇降フレーム
18 昇降機構
18a 第1ケーブルドラム
18b 伝動装置
18c ドライブモータ
19a 第1ケーブル
19b 第2ケーブル
19c 第3ケーブル
19d 第4ケーブル
20 偏向ローラー
21 ホルダー
22 ダブルアーム
23a 下側ガイド要素
23b 上側ガイド要素
24 接続要素
D 垂直枢動軸
F クレーン移動方向
H 昇降方向
K 横行車移動方向
L 長手方向
M 中心線
S 枢動軸
V オフセット量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準の貨物輸送容器、特にISOコンテナやスワップボディを道路と鉄道との間で運搬するための橋型あるいは門型のガントリークレーンであって、
クレーン梁に沿って横行車移動方向に移動可能な横行車を備え、
前記横行車には、昇降方向に延びる硬質のマストがガイドされており、
前記マストは、少なくとも1つの昇降機構と、ケーブルとを用いて、前記昇降方向に移動可能となっており、
前記昇降機構は前記横行車に配置されており、
標準の貨物輸送容器用の積み荷吊り下げ手段が、前記マストの下端に剛的に固定されており、
前記少なくとも1つの昇降機構(18)から延びるケーブル(19a、19b、19c、19d)は前記積み荷吊り下げ手段(11)と係合しており、
前記ケーブル(19a、19b、19c、19d)は少なくとも2本設けられており、
前記少なくとも2本のケーブル(19a、19b、19c、19d)は、ダブルアーム(22)の両端と係合しており、
前記ダブルアームは、前記積み荷吊り下げ手段(11)に対して、実質的に水平な枢動軸(S)周りに枢動可能に取り付けられている、ガントリークレーン。
【請求項2】
前記ケーブル(19a、19b、19c、19d)の少なくとも1つは、ケーブル長さ調整要素を介して、前記積み荷吊り下げ手段(11)と係合している、請求項1に記載のガントリークレーン。
【請求項3】
前記積み荷吊り下げ手段(11)は、ハンガーフレーム(11a)、及び、当該ハンガーフレームから吊り下げられたスプレッダーフレーム(11b)からなり、
前記ハンガーフレーム(11a)は、前記マスト(10)の下端(10a)に剛的に固定されており、
前記ケーブル(19a、19b、19c、19d)は、前記ハンガーフレーム(11a)と係合している、請求項1又は2に記載のガントリークレーン。
【請求項4】
前記スプレッダーフレーム(11b)及び前記ハンガーフレーム(11a)は、それぞれ矩形の断面を有しており、且つその長手方向寸法がクレーン移動方向(F)に延びており、計4本のケーブル(19a、19b、19c、19d)の下端が、前記ハンガーフレーム(11a)の角部領域にそれぞれ固定されている、請求項3に記載のガントリークレーン。
【請求項5】
前記クレーン移動方向(F)における2本の前方ケーブル(19a、19b)及び2本の後方ケーブル(19c、19d)は、ダブルアーム(22)の両端に固定されており、
前記ダブルアームは、ハンガーフレーム(11a)に取り付けられており、中央部において、前記クレーン移動方向(F)に延びる枢動軸(S)周りに枢動可能である、請求項4に記載のガントリークレーン。
【請求項6】
前記積み荷吊り下げ手段(11)は、前記マスト(10)から側方にずれた位置に配置されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載のガントリークレーン。
【請求項7】
前記積み荷吊り下げ手段(11)は、前記マスト(10)から、500mm〜1500mmの範囲のオフセット(V)量だけ側方にずれた位置に配置されている、請求項6に記載のガントリークレーン。
【請求項8】
前記クレーン梁(8)は、第1梁(8a)及び第2梁(8b)からなり、
前記第1梁及び第2梁に横行車レール(15)が配置されており、
前記クレーン横行車(9)は、前記横行車レール上で前横行車移動方向(K)に移動可能であり、
前記第1梁(8a)と第2梁(8b)とは、前記横行車移動方向(K)に対して垂直に延びるクレーン移動方向(F)において互いに離間している、請求項1〜7のいずれか1つに記載のガントリークレーン。
【請求項9】
前記マスト(10)は、前記クレーン横行車(9)に対して、垂直枢動軸(D)周りに回転可能である、請求項1〜8のいずれか1つに記載のガントリークレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−511487(P2012−511487A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538985(P2011−538985)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066087
【国際公開番号】WO2010/066603
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504346570)ゴットヴァルト ポート テクノロジー ゲーエムベーハー (14)
【氏名又は名称原語表記】GOTTWALD PORT TECHNOLOGY GMBH
【住所又は居所原語表記】Forststrasse 16,40597 Dusseldorf,Germany
【Fターム(参考)】