説明

積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム

本発明は、さまざまな形状やサイズの携帯クーラーボックスを最適かつ安定的に積み重ねることができるシステムを提供する。本発明のクーラーボックスシステムは、第1のサイズを有する第1のクーラーボックスと、第1のサイズと異なる第2のサイズを有する第2のクーラーボックスとを備える。1対の第2のクーラーボックスは、第1のクーラーボックスの上に積み重ねることができ、第2のクーラーボックスは、第1のクーラーボックスの蓋の長さ方向に沿って横向きに並んで配置される。第1のクーラーボックスの蓋の上面内側の幅は、第2のクーラーボックスの下部の長さよりもわずかかに大きく、第1のクーラーボックスの蓋の上面内側の長さは、第2のクーラーボックスの下部の長さの2倍よりも大きい。第2のクーラーボックス同士が隣り合うことと、これらの蓋と下部の面的係合により、第1のクーラーボックスの蓋上における1対の第2のクーラーボックスの水平方向の動きが制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯断熱容器、特に携帯クーラーボックスに関し、より具体的には、複数の携帯クーラーボックスを積み重ねるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯クーラーボックスは、断熱材料からなる本体を備え、この断熱本体により構成された内部空間に、冷やすべき物品を氷とともに収納する。同様に断熱材料からなる蓋が、クーラーボックスの上にヒンジで取り付けられており、この内部空間を閉鎖して、クーラーボックス内の物品の温度が維持されるようになっている。ハンドルが、クーラーボックスに固定または形成されており、クーラーボックスの容易な運搬を可能にしている。また、本体にはドレインが組み込まれており、蓋を開けることなく、クーラーボックスから水など液体の排出が可能となっている。蓋の上面はフラットになっている。
【0003】
運搬および保管の際に、携帯クーラーボックスを別のクーラーボックスに積み重ねる場合がある。しかしながら、市販のクーラーボックスには、さまざまな形状やサイズのものがあるので、これらを最適かつ安定的に積み重ねることが困難な場合がある。また、通常のクーラーボックスの高さや基本構造は、これらを安定的に積み重ねることを考慮したものとはなっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、異なる形状およびサイズの携帯クーラーボックスを、最適かつ安定的に積み重ねることを可能とする、携帯クーラーボックスの積み重ねシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のクーラーボックスシステムは、第1のサイズを有する第1のクーラーボックスと、第1のサイズと異なる第2のサイズを有する第2のクーラーボックスを備える。それぞれのクーラーボックスは、断熱本体を備え、この断熱本体にはその底面から伸長する下部が設けられている。この下部の長さは、断熱本体の長さよりも短く、その幅は断熱本体の幅よりも狭くなっており、この下部の縁部は、断熱本体の底面縁部から内側に引っ込んでいる。前記クーラーボックスのうちの少なくとも1つは、全高が低くなっていることが好ましい。
【0006】
それぞれのクーラーボックスは、断熱蓋を備え、この断熱蓋の上面は、所定の高さと厚さを備える隆起縁部を備えており、断熱蓋の上面の内側の長さや幅は、断熱蓋自体の長さや幅よりも短くなっている。この隆起縁部と蓋の上面の間には、曲面が伸長している。
【0007】
この隆起縁部は、断熱本体の下部がその内側にぴったりと嵌まるように構成されている。すなわち、蓋の上面の内側の長さは、断熱本体の下部の長さよりもわずかに大きくなっており、蓋の上面の内側の幅は、断熱本体の下部の幅よりもわずかに大きくなっている。
【0008】
一実施態様では、第1のクーラーボックスの蓋の長さ方向に沿って、1対の第2のクーラーボックスを横向きに配置することにより、この1対の第2のクーラーボックスを第1のクーラーボックスの上に積み重ねることが可能となっている。すなわち、第1のクーラーボックスの蓋の上面の内側の幅は、第2のクーラーボックスの断熱本体の下部の長さよりもわずかに大きくなっており、かつ、第1のクーラーボックスの蓋の上面の内側の長さは、第2のクーラーボックスの断熱本体の下部の幅の2倍よりも大きくなっている。このようにして、2つの第2のクーラーボックスを、第1のクーラーボックスの蓋の長さ方向に沿って横向きに配置することが可能となっている。
【0009】
第2のクーラーボックスの断熱本体の下部の縁部を、第1のクーラーボックスの蓋の隆起縁部と上面の間に伸長する曲面と逆向きの曲面形状とすることもできる。第1のクーラーボックスの断熱蓋の上面に、最初の第2のクーラーボックスの断熱本体を積み重ねて、載置した際に、これらの曲面同士が一致して、係合することで、第2のクーラーボックスが、第1のクーラーボックスの蓋の上で、その幅方向に水平移動することが実質的に制限される。2つめの第2のクーラーボックスの断熱本体を、第1のクーラーボックスの断熱蓋の上に、最初の第2のクーラーボックスと隣接して、積み重ねて、載置した際に、これらの2つの第2のクーラーボックスが隣接して配置されることと、上記の曲面同士の係合により、1対の第2のクーラーボックスが、第1のクーラーボックスの蓋の上で、その長さ方向に水平移動することが実質的に制限される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明により積み重ねられたクーラーボックスを示す正面図である。
【図2】図2は、本発明の第1のクーラーボックスの斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した第1のクーラーボックスの正面図である。
【図4】図4は、図2に示した第1のクーラーボックスの側面図である。
【図5】図5は、図2に示した第1のクーラーボックスの断熱蓋の平面図である。
【図6】図6は、図5に示した蓋の正面断面図である。
【図7】図7は、図5に示した蓋の部分断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2のクーラーボックスの側面図である。
【図9】図9は、図8に示した第2クーラーボックスの正面図である。
【図10】図10は、図8に示した第2のクーラーボックスの断熱蓋の平面図である。
【図11】図11は、図10に示した蓋の正面断面図である。
【図12】図12は、図10に示した蓋の部分断面図である。
【図13】図13は、本発明の別態様の第1のクーラーボックスの斜視図である。
【図14】図14は、図13に示したクーラーボックスの分解斜視図である。
【図15】図15は、図13に示したクーラーボックスの蓋を取り付け状態を示す部分断面図である。
【図16】図16は、本発明の第1のクーラーボックスをカートに置いた状態を示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明の別態様の第1のクーラーボックスをカートに置いた状態を示す正面図である。
【図18】図18は、図16に示したカートのラッチを掛けた状態を示す斜視図である。
【図19】図19は、図16に示したカートのラッチを外した状態を示す斜視図である。
【図20】図20は、図16に示したカートを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【図21】図21は、図16に示したカートを折り畳んで、第1のクーラーボックスに収納した状態を示す斜視図である。
【図22】図22は、図21と同じ状態を示す平面図である。
【図23】図23は、本発明のクーラーボックスの積み重ねシステムをカートに載置した状態を示す正面図である。
【図24】図24は、本発明のクーラーボックスの積み重ねシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の完全な理解を図るために、本発明の特徴と効果について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0012】
本発明は、サイズが同じか異なるかにかかわらず、複数の断熱クーラーボクッスを積み重ねるためのシステムを提供するものである。図面を参照するが、同様の要素には、同じ番号が付されている。図1に、本発明によるクーラーボックスの積み重ね(10)の例を示している。この積み重ね(10)の例では、2種類の異なるサイズのクーラーボックスが垂直に積み重ねられている。この積み重ねの一番下には、第1のサイズを有する1番目のクーラーボックス(12)が置かれている。その上に、1番目のクーラーボックス(12)と同じサイズの2番目のクーラーボックス(14)が、載置される。この2番目のクーラーボックス(14)の上に、3番目と4番目のクーラーボックス(16、18)が並んで載置される。これらのクーラーボックス(16、18)は、2番目のクーラーボックスの上に並んで配置されると、ぴったりと嵌るサイズとなっている。これらのクーラーボックス(16、18)と同じサイズの5番目と6番目のクーラーボックス(20、22)が、3番目と4番目のクーラーボックス(16、18)の上にそれぞれ載置される。
【0013】
図2〜図4に、本発明の第1のクーラーボックス(12)を示す。第1のクーラーボックス(12)は、断熱本体(30)と着脱可能な断熱蓋(32)を備える。断熱本体(30)と着脱可能な断熱蓋(32)はそれぞれ、長さLL、幅WLを有しており、組み合わせた状態でのクーラーボックス全体の高さはhLである。断熱本体(30)は矩形状であり、正面、背面、底面および両側面により内部キャビティを形成している。断熱本体(30)の上側は開口しており、内部キャビティへの物品を出し入れできるようになっている。
【0014】
断熱本体(30)は、その底面(36)から幅hbだけ伸長する下部(34)を備える。下部(34)の長さL1は、断熱本体(30)の長さLLよりも短く、その幅W1は、断熱本体(30)の幅WLよりも短くなっており、この下部(34)の縁部(38)は、断熱本体(30)の底縁(40)から内側に凹むように形成されている。
【0015】
断熱蓋(32)は、断熱本体(30)の開口上端(42)に着脱可能に取り付けられており、断熱本体(30)の内部キャビティを密閉することができる。上述したように、断熱蓋(32)は、長さLL、幅WL、高さhOを備えている(図5〜図7参照)。断熱蓋(32)は、その底面(46)から伸長する下部(44)を備える。この下部(44)は、断熱本体(30)の開口上端(42)にぴったりと嵌まるサイズを備えている。
【0016】
断熱蓋(32)の上面(48)には、高さhe、厚さtの隆起縁部(50)が備えられ、この隆起縁部(50)は内側の長さL2、内側の幅W2を備えている。蓋(32)の隆起縁部(50)と上面(32)の間には、曲面(52)が伸長している。
【0017】
断熱蓋(32)の隆起縁部(50)は、断熱本体(30)の下部(34)が、この隆起縁部(50)の内側にぴったりと嵌めることができるように、形成されている。すなわち、断熱蓋(32)の上面(48)の内側の長さL2は、断熱本体(30)の下部(34)の長さL1よりもわずかに大きくなっている。同様に、蓋(32)の上面(48)の内側の幅W2は、断熱本体(30)の下部(34)の幅W1よりもわずかに大きくなっている。
【0018】
断熱本体(30)の下部(34)の縁部(38)は、蓋(32)の隆起縁部(50)と上面(48)の間に伸長している曲面(52)と実質的に逆向きとなる、曲面を備えている。断熱本体(30)が、断熱蓋(32)の上に積み重ねて載置された場合に、これらの面が一致して、係合することで、積み重ねられた断熱本体(30)と断熱蓋(32)との間で、水平方向の動きが実質的に制限されることとなる。断熱本体(30)の下部(34)の縁部(38)の形状と、隆起縁部(50)と上面(48)の間に伸長する面(52)の形状は、それぞれ曲面として描かれているが、両者が係合して、上記の水平方向の動きが制限されるものであれば、任意の形状および構造を採用することができる。
【0019】
断熱本体(30)の下部(34)に、複数の脚部(54)をさらに備えるようにしてもよい。脚部(54)は、下部(34)の両側に配置され、下部(34)の長さL1の方向に沿って伸長する。この脚部(54)により、クーラーボックス(12)の安定性が向上する。2つの脚部のみが図示されているが、クーラーボックス(12)の安定性をさらに向上させるために、この下部(34)に3つ以上の脚部を備えるようにしてもよい。たとえば、クーラーボックス(12)の下部(34)に、同じ間隔で配され、その長さL1方向または幅W1方向に沿ってそれぞれ伸長する3つの脚部を備えることができる。また、下部(34)のそれぞれの角に4つの脚部を1つずつ配置したり、下部(34)のそれぞれの角と中央部分に5つの脚部を1つずつ配置したりすることもできる。
【0020】
第1のクーラーボックス(12)の高さhLについては、第1のクーラーボックス(12)の用途によって適宜選択することができる。クーラーボックス(12)の高さは低くてもよく、たとえば、その高さhLを、内部キャビティ内に飲料用缶の配置した場合や一般的なオーブン皿を2つ重ねた場合の高さに合わせて選択することもできる。また、代替的に、クーラーボックス(12)の高さhLを、内部キャビティ内に2リットル飲料ボトルやワインボトル、その他の飲料ボトルなどを垂直に配置した場合の高さに合わせて選択することもできる。これらの例は、単なる例示にすぎず、高さhLを制限することを意図するものではない。
【0021】
図8および図9に、本発明の第2のクーラーボックス(16)を示す。第2のクーラーボックス(16)も、断熱本体(60)と着脱可能な断熱蓋(62)を備えている。断熱本体(60)と着脱可能な断熱蓋(62)は、それぞれ長さLS、幅がWSを備えている。また、これらを組み合わせた場合の全体の高さはhSである。断熱本体(60)は、矩形状で、正面、背面、底面および両側面により内部キャビティを形成している。
【0022】
断熱本体(60)は、さらに、その底面(66)から幅hbだけ伸長する下部(64)を備える。この下部(64)の長さはL3であり、断熱本体(60)の長さLSよりも短くなっており、また、その幅はW3であり、断熱本体(60)の幅WSよりも短くなっている。このため、この下部(64)の縁部(66)は、断熱本体(60)の底面縁部(70)から内側に凹んで形成されている。第2のクーラーボックス(16)の断熱本体(60)は、運搬用の回転式のハンドル(71)をさらに備える。
【0023】
断熱蓋(62)は、断熱本体(60)の開口上端(72)に着脱可能に取り付けられており、断熱本体(60)の内側キャビティを密閉することができる。上述したように、断熱蓋(62)の長さはLS、幅はWSおよび高さはh0である(図10および図11参照)。断熱蓋(62)は、その底面(76)から伸長する下部(74)をさらに備える。この下部(74)は、断熱本体(60)の開口上端(72)にぴったりと嵌まるサイズを備えている。
【0024】
断熱蓋(62)の上面(78)は、高さhe、厚さtの隆起縁部(50)を備える。この上面(78)は、内側の長さL4、内側の幅W4を備えている。蓋の(62)の隆起縁部(82)と上面の間には、曲面(82)が伸長している。
【0025】
蓋(62)の隆起縁部(80)は、断熱本体(60)の下部(64)が、この隆起縁部(80)内にぴったりと嵌めることができるように形成されている。このように、蓋(62)の上面(68)の内側の長さL4は、断熱本体(60)の下部(64)の長さL3よりもわずかに大きくなっている。同様に、蓋(62)の上面(68)の内側の幅W4は、断熱本体(60)の下部(64)の幅W3よりもわずかに大きくなっている。
【0026】
断熱本体(60)の下部(64)の縁部(68)は、蓋(62)の隆起縁部(80)と上面(78)の間に伸長している曲面(82)と実質的に逆向きの曲面形状を備える。断熱本体(60)が、断熱蓋(62)の上に積み重ねて載置された場合、これらの面が一致して、係合することで、積み重ねられた断熱本体(60)と断熱蓋(62)との間で、水平方向の動きが実質的に制限されることとなる。断熱本体(60)の下部(64)の縁部(68)の形状と、隆起縁部(80)と上面(78)の間に伸長する面(82)の形状は、曲面として表されているが、これらの面同士が係合して、それらの間で水平方向の動きを制限することが可能であれば、任意の形状および構造を採用することができる。
【0027】
断熱本体(60)の下部(64)に、複数の脚部(84)をさらに備えるようにしてもよい。この脚部(84)は、下部(64)の両側に配置され、下部(64)の長さL3方向に沿って伸長している。この脚部(84)により、クーラーボックス(16)の安定性が向上する。脚部が2つからなる場合が図示されているが、クーラーボックス(16)の安定性をさらに向上させるために、下部(64)に3つ以上の脚部を備えることも可能である。たとえば、クーラーボックス(16)の下部(64)に均一の間隔で、それぞれが下部(64)の長さL3方向または幅W3方向に沿って伸長する3つの脚部を備えたり、4つの脚部を下部(64)のそれぞれの角に1つずつ配置したり、さらには、5つの脚部を下部(64)のそれぞれの角と中央部分に1つずつ配置したりする構造も採用可能である。
【0028】
第2のクーラーボックス(16)の高さhSについては、第2のクーラーボックス(16)の用途によって適宜選択することができる。クーラーボックス(16)の高さは低くてもよく、たとえば、その高さhSを、内部キャビティ内に飲料用缶の配置した場合や一般的なオーブン皿を2つ重ねた場合の高さに合わせて選択することもできる。また、代替的に、クーラーボックス(16)の高さhSを、内部キャビティ内に2リットル飲料ボトルやワインボトル、その他の飲料ボトルなどを垂直に配置した場合の高さに合わせて選択することもできる。これらの例は、単なる例示にすぎず、高さhSを制限することを意図するものではない。
【0029】
図1および図24に示すように、1対の第2のクーラーボックス(16、18)を、第1のクーラーボックス(14)の上に積み重ねることができる。第1のクーラーボックス(14)の上に第2のクーラーボックス(16、18)を積み重ねる場合に、第2のクーラーボックス(16、18)は、第1のクーラーボックス(14)の蓋(32)の長さ方向に沿って、横に並べて載置される。すなわち、第1のクーラーボックス(14)の蓋(32)の上面(38)の内側の幅W2は、第2のクーラーボックス(16、18)の断熱本体(60)の下部(64)の長さL3よりもわずかに大きくなっている。第1のクーラーボックスの蓋(32)の上面(38)の内側の長さL2は、第2のクーラーボックス(16、18)の断熱本体(60)の下部(64)の幅W3の2倍よりも大きくなっている。このようにして、2つの第2のクーラーボックス(16、18)を、第1のクーラーボックス(14)の蓋(32)の長さ方向に沿って横向きに並べて配置することができる。
【0030】
第2クーラーボックス(16、18)の断熱本体(60)の下部(64)の縁部(68)は曲面形状を有しており、第1のクーラーボックスの蓋(32)の隆起縁部(50)と上面(48)の間に伸長している曲面(52)と実質的に逆向きの形状となっている。一方の第2のクーラーボックス(16)の断熱本体(60)を、第1のクーラーボックス(14)の断熱蓋(32)の上に積み重ねて置くと、これらの表面が一致して係合し、第1のクーラーボックス(14)の蓋(32)上で、その幅方向における、第2のクーラーボックス(16)の水平方向の動きが実質的に制限される。他方の第2のクーラーボックス(18)の断熱本体(60)を、第1のクーラーボックス(14)の断熱蓋(32)の上に、一方の第2のクーラーボックス(16)と隣接して、積み重ねて置くと、これら2つの第2のクーラーボックス(16、18)が隣接し合うことと、上述した面同士の係合により、第1のクーラーボックス(14)の蓋(32)上で、その長さ方向における、1対の第2のクーラーボックス(16、18)の水平方向の動きが実質的に制限される。
【0031】
いずれのクーラーボックスの蓋も、クーラーボックス本体にヒンジにより取り付けることが可能である。ただし、このヒンジを、クーラーボックスを積み重ねることに干渉しないように配置する必要がある。図示した以外のハンドルも採用しうる。たとえば、異なる形状およびサイズにモールド成型されたハンドル、スライド式ないしは折り畳み式のハンドル、チューブ状のハンドル、クーラーボックスの周りを旋回可能なハンドルなど、その他の公知のハンドルを採用することができ、これらのハンドルを採用したものも本発明の範囲に含まれる。同様に、車輪や収納用仕切りなどの追加的な特徴を備える、いかなるクーラーボックスも、本発明の範囲に含まれる。本発明のクーラーボックスは、1つ以上のクーラーボックスを安定的に積み重ねることができる類似の積み重ね可能な蓋を備えている限り、さまざまな形状やサイズを採りうるものと理解される。
【0032】
第1のクーラーボックス(14)上に第2のクーラーボックス(16、18)を積み重ねた場合、第2のクーラーボックス(16)の外側の両側面、正面および背面と、第1のクーラーボックスの両側面、正面および背面は、実質的に直線状に配列される。
【0033】
図13および図14に、外側シェル(30a)と、この外側シェル(30a)に内嵌めされる断熱ライナ(30b)とを備える、好ましい態様の断熱クーラーボックス(30)を示す。また、断熱クーラーボックス(30)は、外側シェル(30a)と一体的に形成されたハンドル(30c)を備えていることが好ましい。
【0034】
本発明の別の実施態様は、1つ以上の積み重ねクーラーボックスに使用できる、折り畳み式のカートを備えている。図16および図17に、カート(100)に載置され、運搬が容易な状態となっているクーラーボックス(12)を示す。カート(100)は、その安定性を図り、かつ、最小限の材料で、折り畳めるようにするため、H形状であることが好ましい。クーラーボックス(100)の角部は、リップ部(104)によって、カート(100)の上部の所定位置に載置される。好ましくは、リップ部(104)を4つ備え、カート(100)のそれぞれの角部に1つずつ配置する。しかしながら、リップ部が、カート(100)の各端部の長さ方向に伸長する構成も、本発明の範囲に含まれる。カート(100)は、その後側に配置された1対の頑丈な車輪(106)と、カート(100)の前側に配置され、その容易な旋回を可能とするためのピボット車輪(108)を備えることが好ましい。図23に示すように、テレスコープ式のハンドル(110)を、カート(100)の前側に設けられたハンドルマウント(112)に挿入して取り付けると、カート(100)とクーラーボックスを引っ張って、容易に運搬することが可能となる。図18〜図20に示すように、カート(100)を、少なくとも2つの部品から構成し、これらを中央バー(118)付近で、ロック可能なラッチ(120)により連結させる構成とすることが好ましい。カート(100)は、耐久性や重量の観点からプラスチック製であることが好ましい。
【0035】
使用時に、カート部品(114、116)を展開し、直線上に配置して、ラッチ(120)をロックすることで、カート(100)が固定される。使用しない場合には、図21および図22に示すように、ラッチ(120)を解除し、カート(100)を折り畳んで保管状態とする。カート(100)をH形状とすることにより、中央バー(118)が前側の車輪(108)の間に嵌ることが可能となり、2つのカート部品(114、116)を、当接しあうように容易に折り畳むことが可能となる。図示の例では、これらの2つのカート部品(114、116)は独立しており、前側部品(114)にピボットにより取り付けたラッチ(120)により、相互に接続され、前側部品(114)を後側部品(116)にロックするようになっている。ただし、前側部品(114)と後側部品(116)自体を、図示しないヒンジで取り付けた構造や、これらを薄い材料で接続し、ラッチによる係合が解除された場合でも相互に離れないが、互いの上面を向き合わせて折り畳めるようにした構造も、本発明の範囲に含まれる。図21〜図22に示すように、カート(100)を折り畳むと、運搬や保管のために断熱本体(30)の内側に嵌め込める状態となる。図23に示すように、カート(100)により、複数のクーラーボックスの運搬が可能となる。
【符号の説明】
【0036】
10 クーラーボックスの積み重ね
12 1番目のクーラーボックス(第1のクーラーボックス)
14 2番目のクーラーボックス(第1のクーラーボックス)
16 3番目のクーラーボックス(第2のクーラーボックス)
18 4番目のクーラーボックス(第2のクーラーボックス)
20 5番目のクーラーボックス(第2のクーラーボックス)
22 6番目のクーラーボックス(第2のクーラーボックス)
30 断熱本体
30a 外側シェル
30b 断熱ライナ
30c ハンドル
32 断熱蓋
34 断熱本体の下部
36 断熱本体の底面
38 断熱本体の下部の縁部
40 断熱本体の底面の縁部
42 開口端
44 断熱蓋の下部
46 断熱蓋の底面
48 断熱蓋の上面
50 断熱蓋の外縁部
52 断熱蓋の曲面部
54 脚部
60 断熱本体
62 断熱蓋
64 断熱本体の下部
66 断熱本体の底面
68 断熱本体の下部の縁部
70 断熱本体の底面の縁部
71 回転式ハンドル
72 開口端
74 断熱蓋の下部
76 断熱蓋の底面
78 断熱蓋の上面
80 断熱蓋の外縁部
82 断熱蓋の曲面部
100 カート
104 リップ部
106 車輪
108 ピボット車輪
110 カートハンドル
112 ハンドルマウント
114 カート部品
116 カート部品
118 中央バー
120 ラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隆起縁部が設けられた蓋を備える第1のクーラーボックスと、
内側に凹んだ底面下部を備える第2のクーラーボックスと、
を備え
第2のクーラーボックスの前記底面下部が、第1のクーラーボックスの前記蓋の隆起縁部の内側に配置され、この隆起縁部により、第2のクーラーボックスの水平方向の動きが制限されるように、第2のクーラーボックスが第1のクーラーボックスの上に載置可能である、
積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項2】
第2のクーラーボックスの前記底面下部が、複数の安定脚部を備える、請求項1に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項3】
第1および第2のクーラーボックスが同じサイズである、請求項1に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項4】
第1および第2のクーラーボックスが異なったサイズである、請求項1に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項5】
内側に凹んだ底面下部を備える第3のクーラーボックスをさらに備え、第3のクーラーボックスの前記底面下部が、第1のクーラーボックスの前記蓋の隆起縁部の内側に配置され、この隆起縁部により、第3のクーラーボックスの水平方向の動きが制限されるように、第3のクーラーボックスが、第2のクーラーボックスに隣接して、第1のクーラーボックスの上に載置可能である、請求項4に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項6】
第2および第3のクーラーボックスが異なったサイズである、請求項5に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項7】
第2および第3のクーラーボックスが同じ大きさである、請求項5に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項8】
第1のクーラーボックスの蓋が、第1のクーラーボックスの本体にヒンジ状に接続されている、請求項1に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項9】
第1のクーラーボックスが、少なくとも1対の車輪をさらに備える、請求項1に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。
【請求項10】
当該携帯クーラーボックスシステムをその上に載置でき、不使用時には、第1のクーラーボックスの内部に収納可能である、折り畳み可能なカートをさらに備える、請求項1に記載の積み重ね可能な携帯クーラーボックスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2012−502256(P2012−502256A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526239(P2011−526239)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056082
【国際公開番号】WO2010/028271
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】