説明

積層セラミック電子部品

【課題】本発明は、アーク(arc)の発生を極力抑制することができる高圧用積層セラミック電子部品に関する。
【解決手段】本発明によると、誘電体層を含み、上記誘電体層の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面、上記第1及び第2主面を連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面及び幅方向の第5、第6側面を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体と、上記セラミック本体内で、上記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される第1及び第2内部電極と、上記第1内部電極と電気的に連結された第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結された第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たす積層セラミック電子部品が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク(arc)の発生を極力抑制することができる高圧用積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子製品の小型化傾向に伴い、積層セラミック電子部品にも小型化、大容量化が求められている。
【0003】
これにより、誘電体と内部電極の薄膜化、多層化のための多様な方法が試されており、最近は誘電体層の厚さは薄くなって積層数が増加する積層セラミック電子部品が製造されている。
【0004】
しかし、定格電圧が相対的に高い高圧製品の場合、両端にかけられる高電圧により外部電極の両端子間にアーク(arc)が発生する危険性があるため、小型化に対する技術的な困難が伴う。
【0005】
特に、製品サイズが小さくなる場合には、外部電極の両端子間の間隔が大幅に減少するため、両端子間でのアーク発生の危険性がさらに高くなる。
【0006】
従って、高圧製品において、製品サイズが小さくなる場合、外部電極の形状が重要な因子となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アーク(arc)の発生を極力抑制することができる高圧用積層セラミック電子部品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、誘電体層を含み、上記誘電体層の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面、上記第1及び第2主面を連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面及び幅方向の第5、第6側面を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体と、上記セラミック本体内で、上記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される第1及び第2内部電極と、上記第1内部電極と電気的に連結された第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結された第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たす積層セラミック電子部品が提供される。
【0009】
上記第1及び第2内部電極は、一端が上記セラミック本体の第3及び第4側面に交互に露出されることができる。
【0010】
また、上記セラミック本体は、上記第1及び第2内部電極と上記誘電体層を挟んで上記第1及び第2内部電極と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極をさらに含むことができる。
【0011】
上記セラミック本体の長さをL、上記第1外部電極と上記第2外部電極との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たすことができる。
【0012】
上記誘電体層の平均厚さをtdと規定すると、td≧10μmであることができる。
【0013】
本発明の他の実施形態によると、複数の誘電体層が積層され、上記誘電体層の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面、上記第1及び第2主面を連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面及び幅方向の第5、第6側面を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体と、上記セラミック本体内で、上記複数の誘電体層夫々を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1及び第2内部電極と、上記第1内部電極と電気的に連結された第1外部電極及び上記第2内部電極と電気的に連結された第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たす積層セラミック電子部品が提供される。
【0014】
上記複数の第1及び第2内部電極は、一端が上記セラミック本体の第3及び第4側面に交互に露出されることができる。
【0015】
また、上記セラミック本体は、上記複数の第1及び第2内部電極と上記誘電体層を挟んで上記第1及び第2内部電極と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極をさらに含み、上記第1及び第2内部電極と上記浮遊電極は、上記誘電体層の間に交互に積層されることができる。
【0016】
上記セラミック本体の長さをL、上記第1外部電極と上記第2外部電極との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たすことができる。
【0017】
上記誘電体層の平均厚さをtdと規定すると、td≧10μmであることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、外部電極の形状を均一に塗布することにより、アーク(arc)の発生を極力抑制することができる高圧用積層セラミック電子部品の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のC方向からみた概略的な平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による図1のC方向からみた概略的な平面図である。
【図4】図1のB−B'断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による図1のB−B'断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及び大きさ等はより明確な説明のために誇張されることがあり、図面上において同一の符号で表される要素は同一の要素である。
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
【0023】
図2は図1のC方向からみた概略的な平面図である。
【0024】
図3は本発明の他の実施形態による図1のC方向からみた概略的な平面図である。
【0025】
図4は図1のB−B'断面図である。
【0026】
図1、図2及び図4を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層1を含み、上記誘電体層1の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面、上記第1及び第2主面を連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面及び幅方向の第5、第6側面を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体10と、上記セラミック本体10内で上記誘電体層1を挟んで互いに対向するように配置される第1及び第2内部電極2a、2bと、上記第1内部電極2aと電気的に連結された第1外部電極22及び上記第2内部電極2bと電気的に連結された第2外部電極24と、を含み、上記第1及び第2外部電極22、24のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たすことができる。
【0027】
上記第1及び第2内部電極2a、2bは、一端が上記セラミック本体の第3及び第4側面に交互に露出されることができる。
【0028】
上記セラミック本体10の長さをL、上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たすことができる。
【0029】
上記誘電体層1の平均厚さをtdと規定すると、td≧10μmであることができる。
【0030】
以下、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を説明するにあたり、特に積層セラミックキャパシタを用いて説明するが、これに制限されるものではない。
【0031】
上記セラミック本体10は直方体状を有することができる。本実施形態において、積層方向の断面を第1主面T及び第2主面B、長さ方向の断面を第3及び第4側面Sf1、Sf2、また幅方向の断面を第5及び第6側面Lf1、Lf2と定義する。
【0032】
一方、本実施形態の積層セラミックキャパシタにおいて、「長さ方向」は図1の「L」方向、「幅方向」は「W」方向、「厚さ方向」は「T」方向と定義する。ここで、「厚さ方向」は、誘電体層を積み上げる方向、即ち「積層方向」と同様の概念で用いられることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層1を形成する原料としては、十分な静電容量を得ることができるものであれば特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末であることができる。
【0034】
上記誘電体層1を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末に、本発明の目的に応じて多様なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0035】
上記第1及び第2内部電極2a、2bを形成する材料は、特に制限されず、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)の一つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。
【0036】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記第1内部電極2aと電気的に連結された第1外部電極22及び上記第2内部電極2bと電気的に連結された第2外部電極24を含むことができる。
【0037】
上記第1及び第2外部電極22、24は、静電容量の形成のために上記第1及び第2内部電極2a、2bと電気的に連結されることができ、上記第2外部電極24は、上記第1外部電極22と異なる電位に連結されることができる。
【0038】
また、上記第1及び第2外部電極22、24の形成位置は、上記第1及び第2内部電極2a、2bと電気的に連結される位置であれば特に制限されず、例えば、第1外部電極22は上記セラミック本体10の第1及び第2主面と第3側面に、第2外部電極24は第1及び第2主面と第4側面に夫々形成されることができる。
【0039】
上記第1及び第2外部電極22、24は、内部電極と同一の材質の導電性物質で形成されることができ、これに制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などで形成されることができる。
【0040】
上記第1及び第2外部電極22、24は、上記金属粉末にガラスフリットを添加して製造された導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成されることができる。
【0041】
また、上記第1及び第2外部電極22、24は、特に制限されないが、例えば、上記セラミック本体10の一面でアーク(arc)防止ギャップを形成するように配置されることができる。
【0042】
図2を参照すると、上記第1及び第2外部電極22、24のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たすことができる。
【0043】
上記第1及び第2外部電極22、24において、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最短塗布長さAと最長塗布長さBWは、外部電極の形成のために塗布された外部電極用ペーストが乾燥される前に本体に沿って部分的に流れ落ちて、外部電極の形状が不均一になるため発生する。
【0044】
上記外部電極の形状は多様な形状に不規則に形成され、例えば、図2のように上記セラミック本体10の表面に沿って外部電極用ペーストが流れ落ちる形状、または図3のように上記セラミック本体10の長さ方向に角に沿って流れ落ちる形状になりうる。
【0045】
また、上記外部電極の不規則な形状は、全ての外部電極に形成されることもありうるが、何れか一つの外部電極にのみ形成されることもありうるということは勿論である。
【0046】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは高圧用部品であり、アーク(arc)の発生を極力抑制するために、上記のように第1及び第2外部電極22、24のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たすことができる。
【0047】
ここで、高圧用とは、例えば、1〜5KVの範囲の電圧帯域を意味するが、これに制限されず、200V以上の範囲の中圧用にも適用されることができるということは勿論である。
【0048】
上記第1及び第2外部電極22、24において、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最長長さBWに対する最短長さAの比が0.5未満である場合は、電界集中によるアーク放電が起こる可能性があり、上記比が1.0である場合は、外部電極用ペーストが流れ落ちない外部電極の形状であり、アーク放電が理想的に抑制されることができる。
【0049】
高圧用積層セラミックキャパシタの小型化傾向により、外部電極の両端子間にアークが発生する危険性が高く、特に、製品サイズが2012サイズ以下である場合、アークの発生危険性がさらに高くなる。
【0050】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製品サイズは、特に制限されないが、製品サイズが2012サイズ以下である場合、上記のように外部電極の形状を均一にすることにより、アークの発生を極力抑制することができる。
【0051】
アーク(arc)の発生を極力抑制するために、第1及び第2外部電極22、24のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たすように、外部電極の形状を均一にする方法について以下で具体的に説明する。
【0052】
本発明の一実施形態により、上記外部電極の形状を均一にするための方法は、特に制限されないが、例えば、除去しやすい有機物コーティング膜を用いて、上記外部電極の形状において不均一な領域の形成を最小限に制御することにより、均一にすることができる。
【0053】
上記第1及び第2外部電極22、24は、上記金属粉末にガラスフリットを添加して製造された導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成されることができる。
【0054】
上記方法は、セラミック本体10に第1及び第2外部電極22、24を形成する前に、まず、除去しやすい有機物コーティング膜を上記セラミック本体10の表面に形成することができる。
【0055】
次に、上記セラミック本体10から、第1及び第2外部電極22、24が形成される部分の有機物コーティング膜を除去する工程を行うことができる。
【0056】
次に、上記セラミック本体10の表面に外部電極用導電性ペーストを塗布して、第1及び第2外部電極22、24を形成する工程を行うことができる。
【0057】
最後に、上記第1及び第2外部電極22、24が形成された上記セラミック本体10の表面から有機物コーティング膜を除去することにより、有機物コーティング膜上に付着した外部電極用導電性ペーストが流れ落ちた部分まで除去することができる。
【0058】
また、図2及び図3を参照すると、上記セラミック本体10の長さをL、上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たすことができる。
【0059】
本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、アーク(arc)の発生を極力抑制するために、上記のように0.5≦A/BW≦1.0の関係を満たすように外部電極の形状を制御するだけでなく、セラミック本体の長さと、上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さと、の比を制御することにより、アークの発生抑制の効果がさらに向上されることができる。
【0060】
特に、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、アークの発生危険性がより高い2012以下のサイズの高圧用製品群において、アークの発生抑制の効果がより優れる。
【0061】
上記のように、上記セラミック本体10の長さLと、上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さGと、の比が0.75≦G/L≦0.94になるように制御すると、アークの発生を抑制することができる。
【0062】
上記セラミック本体10の長さLと上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さGとの比が0.75未満である場合は、電界集中によるアーク放電が起こる可能性があり、上記比が0.94を超過する場合は、メッキ液がセラミック本体の内部に侵入したり、外部電極の接着強度が低下する可能性があるため、問題となりうる。
【0063】
上記第1及び第2内部電極2a、2bは、一端が上記セラミック本体の第3及び第4側面Sf1、Sf2に交互に露出されることができる。
【0064】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記誘電体層1の平均厚さをtdと規定すると、td≧10μmであることができる。
【0065】
上記誘電体層1の平均厚さは、隣接する内部電極2a、2bの間に形成された誘電体層の平均厚さを意味することができる。
【0066】
上記誘電体層1の平均厚さは、図2のように、セラミック本体10の長さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)でイメージをスキャンして測定することができる。
【0067】
例えば、図2のように、セラミック本体10の幅W方向の中央部で切断した長さ及び厚さ方向(L−T)の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出された任意の誘電体層に対して、長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定することにより、平均値を測定することができる。
【0068】
上記等間隔である30個の地点は、第1及び第2内部電極2a、2bが重なり合う領域を意味する容量形成部で測定されることができる。
【0069】
また、このような平均値の測定を、10個以上の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをより一般化することができる。
【0070】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは高圧用部品であり、絶縁破壊電圧(BDV:Breakdown Voltage)を高めて耐電圧特性を向上させるために、上記のように誘電体層1の平均厚さtdが10μm以上であることができる。
【0071】
図5は本発明の他の実施形態による図1のB−B'断面図である。
【0072】
図5を参照すると、セラミック本体10は、第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と、誘電体層を挟んで上記第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極4と、をさらに含むことができる。
【0073】
本発明の上記の実施形態によると、上記誘電体層1を挟んで第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極4を含むことにより、誘電体層の厚さの減少による電界集中を防止し、所望の耐電圧性能を得ることができる。
【0074】
本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品は、複数の誘電体層1が積層され、上記誘電体層1の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面T、B、上記第1及び第2主面T、Bを連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面Sf1、Sf2及び幅方向の第5、第6側面Lf1、Lf2を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体10と、上記セラミック本体10内で上記複数の誘電体層1夫々を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と、上記第1内部電極2a’、2b’と電気的に連結された第1外部電極22及び上記第2内部電極2a’’、2b’’と電気的に連結された第2外部電極24と、を含み、上記第1及び第2外部電極22、24のうち少なくとも一つにおいて、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たすことができる。
【0075】
上記の実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層、第1及び第2内部電極層が夫々複数で積層されたことを除き、上述した一実施形態による積層セラミック電子部品と同様であるため、重複される説明は省略する。
【0076】
上記第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’は、一端が上記セラミック本体の第3及び第4側面Sf1、Sf2に交互に露出されることができる。
【0077】
また、上記積層セラミックキャパシタは、上記複数の第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と、上記誘電体層1を挟んで上記第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極4と、をさらに含むことができる。
【0078】
また、上記第1及び第2内部電極2a’、2a’’、2b’、2b’’と上記浮遊電極4とは、上記誘電体層1の間に交互に積層されることができる。
【0079】
上記少なくとも一つ以上の浮遊電極4により、上記積層セラミックキャパシタには直列接続のキャパシタ部が複数個で形成されるように構成されることができる。
【0080】
これにより、小型大容量の積層セラミックキャパシタの実現が可能であるだけでなく、誘電体の単位厚さ当たりの耐電圧を大きくすることができて、耐電圧性能に優れた高圧用積層セラミックキャパシタを実現することもできる。
【0081】
上記セラミック本体10の長さをL、上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たすことができる。このように制御することにより、アークの発生を抑制する効果が優れるということは、上述したとおりである。
【0082】
以下、実施例を利用して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0083】
本実施例は、第1及び第2内部電極と浮遊電極とが誘電体層の間に交互に積層され、上記誘電体層の厚さtdが10μm以上である積層セラミックキャパシタに対して、アーク放電の発生電圧をテストするために行われた。
【0084】
本実施例による積層セラミックキャパシタは、下記のような段階を経て製作された。
【0085】
まず、チタン酸バリウム(BaTiO)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数のセラミックグリーンシートを製造し、これにより誘電体層を形成した。
【0086】
上記複数のセラミックグリーンシートの厚さは、焼成後における誘電体層の平均厚さが10μmとなるように設定された。
【0087】
上記誘電体層の平均厚さは、光学顕微鏡を利用して誘電体層の写真を撮影した後、測定プログラムを利用して実測した。
【0088】
次に、ニッケル粒子の平均サイズが0.05〜0.2μmである内部電極用導電性ペーストを製造した。
【0089】
上記グリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法により塗布して内部電極を形成した後、50層を積層して積層体を製作した。
【0090】
ここで、上記内部電極は、上記セラミック素体の長さ方向の側面に末端が夫々露出される複数の第1及び第2内部電極と、上記第1及び第2内部電極と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極とが交互に形成されるように製作した。
【0091】
その後、圧着及び切断して2012規格サイズ(Size)のチップ(長さ×幅×厚さが2.0mm×1.2mm×1.2mm)を製作し、上記チップをH0.1%以下の還元雰囲気の温度1050〜1200℃で焼成した。
【0092】
次に、外部電極の形成、メッキなどの工程を経て、積層セラミックキャパシタを製作した。
【0093】
一方、比較例は上記実施例と比較して、上記第1及び第2外部電極22、24において、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最長長さBWに対する最短長さAの比、またはセラミック本体10の長さL及び上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さGとの比が、本発明の数値範囲を外れるように製作したことを除き、その製造方法は同様であった。
【0094】
下記の表1は、積層セラミックキャパシタの誘電体層の厚さによるアーク放電の発生電圧(V)を比較した表である。
【0095】
【表1】

【0096】
上記表1を参照すると、比較例1及び2は誘電体層の平均厚さが10μm未満の場合であり、本発明の数値範囲を満たす場合にも、上記誘電体層の平均厚さが薄いためアーク放電は発生しないが、誘電体の内部が破損するという問題が生じる。
【0097】
実施例1は誘電体層の平均厚さが10μm以上の場合であり、本発明の数値範囲を満たす場合、アーク放電の発生電圧が高いため、絶縁破壊の電圧特性が向上されることが分かる。
【0098】
従って、上述の説明のように、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、誘電体層1の焼成後の平均厚さが10μm以上である場合、アーク放電の発生電圧が高いため、絶縁破壊の電圧特性が向上されることが分かる。
【0099】
下記の表2は、積層セラミックキャパシタのサイズによるアーク放電の発生電圧(V)を比較した表である。
【0100】
【表2】

【0101】
上記表2を参照すると、比較例3は2012規格サイズ(Size)のチップの場合であり、第1及び第2外部電極22、24において、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最長長さBWに対する最短長さAの比、またはセラミック本体10の長さLと、上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さGとの比が本発明の数値範囲を外れる場合、アーク放電の発生電圧が低いため問題が生じることが分かる。
【0102】
一方、比較例4及び5は夫々3216規格サイズ(Size)のチップ及び4532規格サイズ(Size)のチップの場合であり、第1及び第2外部電極22、24において、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最長長さBWに対する最短長さAの比、またはセラミック本体10の長さLと上記第1外部電極22と上記第2外部電極24との間の最短長さGとの比が本発明の数値範囲を外れる場合にも、アーク放電の発生電圧が高いため問題がないことが分かる。
【0103】
従って、上述の説明のように、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、2012規格サイズ(Size)以下の場合、アーク放電の発生電圧が高いため効果があることが分かる。
【0104】
下記の表3は2012規格サイズ(Size)のチップにおいて、第1及び第2外部電極における、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最長長さBW、セラミック本体の長さLと上記第1外部電極と上記第2外部電極との間の最短長さGとの比によるアーク放電の発生電圧(V)を比較した表である。
【0105】
【表3】

【0106】
上記の表3から分かるように、セラミック本体の長さLと第1外部電極と第2外部電極との間の最短長さGとの比が0.75以上、0.94以下の数値範囲を満たす実施例2から8の場合、アーク放電の発生電圧(V)が2250V以上であり、アークの発生を防止することができるということが分かる。
【0107】
一方、比較例6から12は、上記セラミック本体の長さLと第1外部電極と第2外部電極との間の最短長さGとの比が0.75未満及び0.94を超過する場合であり、0.75未満ではアーク放電の発生電圧が低いため、アークが発生する問題が生じ、0.94超過ではメッキ液がセラミック本体内部に侵入し、耐湿不良が発生する恐れがあり、問題となりうる。
【0108】
結論的に、本発明の一実施形態によると、第1及び第2外部電極において、上記セラミック本体10の両端部から長さ方向に形成された最長長さBWに対する最短長さAの比が0.5≦A/BW<1.0の関係を満たす場合、アーク放電の発生電圧(V)が高くなり、アーク(arc)の発生を極力抑制することができる高圧用積層セラミック電子部品の実現が可能である。
【0109】
また、セラミック本体の長さLと、第1外部電極と第2外部電極との間の最短長さGとの比が0.75≦G/L≦0.94を満たす場合、アーク放電の発生電圧(kV)がさらに高くなり、アーク(arc)の発生を極力抑制することができる高圧用積層セラミック電子部品の実現が可能である。
【0110】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が出来るということは当技術分野の通常の知識を有する者には明白であり、これも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0111】
1 誘電体層
2a、2a'、2a'' 第1内部電極
2b、2b'、2b'' 第2内部電極
22、24 外部電極
4 浮遊電極
10 セラミック本体
td 誘電体層の平均厚さ
A 外部電極の長さ方向の最短塗布長さ
BW 外部電極の長さ方向の最長塗布長さ
L セラミック本体の長さ
G 第1外部電極塗布領域と第2外部電極塗布領域との間の最短長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含み、前記誘電体層の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面、前記第1及び第2主面を連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面及び幅方向の第5、第6側面を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体と、
前記セラミック本体内で、前記誘電体層を挟んで互いに対向するように配置される第1及び第2内部電極と、
前記第1内部電極と電気的に連結された第1外部電極及び前記第2内部電極と電気的に連結された第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極のうち少なくとも一つにおいて、前記セラミック本体の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たす積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第1及び第2内部電極は、一端が前記セラミック本体の第3及び第4側面に交互に露出される請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記セラミック本体は、前記第1及び第2内部電極と前記誘電体層を挟んで前記第1及び第2内部電極と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極をさらに含む請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記セラミック本体の長さをL、前記第1外部電極と前記第2外部電極との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たす請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記誘電体層の平均厚さをtdと規定すると、td≧10μmである請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
複数の誘電体層が積層され、前記誘電体層の積層方向に互いに対向する第1及び第2主面、前記第1及び第2主面を連結し、互いに対向する長さ方向の第3、第4側面及び幅方向の第5、第6側面を有する、長さ1.79mm以下、幅1.09mm以下のセラミック本体と、
前記セラミック本体内で、前記複数の誘電体層夫々を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1及び第2内部電極と、
前記第1内部電極と電気的に連結された第1外部電極及び前記第2内部電極と電気的に連結された第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極のうち少なくとも一つにおいて、前記セラミック本体の両端部から長さ方向に形成された最短長さをA、最長長さをBWと規定すると、0.5≦A/BW<1.0の関係を満たす積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記複数の第1及び第2内部電極は、一端が前記セラミック本体の第3及び第4側面に交互に露出される請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記セラミック本体は、前記複数の第1及び第2内部電極と前記誘電体層を挟んで前記第1及び第2内部電極と重畳領域を形成する少なくとも一つ以上の浮遊電極をさらに含み、前記第1及び第2内部電極と前記浮遊電極は、前記誘電体層の間に交互に積層される請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記セラミック本体の長さをL、前記第1外部電極と前記第2外部電極との間の最短長さをGと規定すると、0.75≦G/L≦0.94を満たす請求項6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記誘電体層の平均厚さをtdと規定すると、td≧10μmである請求項6に記載の積層セラミック電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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