説明

積層フィルム

【課題】透明性と滑り性とを兼ね備えたフィルムを提供すること。
【解決手段】支持層と、少なくとも片方の表層を形成する表面層とを有する積層フィルムであって、表面層が、平均粒子径0.3〜5.0μmの粒子を0.005〜0.015質量%含有し、かつ該表面層の厚みが2〜20μmであり、支持層が、平均粒子径0.3〜5.0μmの粒子を0.0005〜0.003質量%含有する、積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高透明であり、かつ滑り性に優れた積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある。)フィルムや二軸延伸ポリエチレンナフタレート(以下、PENと略すことがある。)フィルムなどの二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、耐熱性、透明性、耐薬品性などに優れる上に、他の透明プラスチックフィルムに比べて汎用性が高く、コストの点において大きな優位性があるため、多岐にわたる用途に好適に用いられている。特に最近では、液晶ディスプレイやタッチパネル等の光学製品を構成する光学部材としてよく使用されている。かかる用途では、液晶ディスプレイ等の表示体の表面に積層して使用されることが多いため、フィルムには高い透明性が求められる。ここで、フィルムの透明性を向上させるためには、フィルムの厚みを薄くするか、フィルムに滑り性を付与するために含有している粒子の量を減らす、もしくは粒子を添加しないなどの方法が挙げられる。前者は、透明性は向上するが、フィルムの剛性が低くなり、フィルムを加工する際にシワが発生しやすく、タッチパネル等の製品にした際に不具合が生じやすくなる。一方、フィルム中の粒子を減らしたり、あるいは無くしたりすると、フィルムの滑り性に乏しくなり、フィルムを巻き取る際においてフィルムロールの外観が非常に悪くなる等の問題が生じる。また最近では、フィルム表面に易接着層を積層して、かかる易接着層中に粒子を含有させて、滑り性を付与することが多い(特許文献1)。しかしながら、易接着層中の粒子だけでは付与できる滑り性に限界があり、フィルムを巻き取る際において不具合が生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−314626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、タッチパネルなどに用いられる光学部材として使用するフィルムには、特に透明性と滑り性とを兼ね備えたフィルムが所望されているが、両者をバランス良く設計する事は未だ困難であり、透明性と滑り性の両立を図るために試行錯誤を繰り返しているのが現状である。
そこで本発明は、例えばタッチパネル等に用いられる光学部材にも好適に用いることができる、透明性と滑り性とを兼ね備えたフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用するものである。
1.支持層と、少なくとも片方の表層を形成する表面層とを有する積層フィルムであって、表面層が、平均粒子径0.3〜5.0μmの粒子を0.005〜0.015質量%含有し、かつ該表面層の厚みが2〜20μmであり、支持層が、平均粒子径0.3〜5.0μmの粒子を0.0005〜0.003質量%含有する、積層フィルム。
2.支持層および表面層における粒子が、いずれも凝集粒子である、上記1に記載の積層フィルム。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、透明性と滑り性とを兼ね備えたフィルムを提供することができる。かかるフィルムは、例えばタッチパネル等に用いられる光学部材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、支持層と、少なくとも片方の表層を形成する表面層とを有する。
【0008】
本発明における支持層および表面層は、それぞれ樹脂と粒子とから構成される。樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、中でも熱寸法安定性、耐薬品性、透明性、経済性に優れるといった観点からポリエステルが好ましい。
【0009】
表面層における粒子と支持層における粒子とは、同じもの(同じ種類および同じ平均粒子径を有するもの。)であっても良いし、異なるものであっても良い。製品とならないフィルムを回収して、それを回収原料として各層に添加して用いることができるという観点から、同じものであることがより好ましい。
【0010】
また、かかる観点は樹脂においても同様であり、支持層における樹脂と表面層における樹脂とは異なるものであっても良いが、回収原料が利用しやすいという観点から、同じ樹脂を用いる事がより好ましい。
【0011】
[ポリエステル]
本発明において、支持層および表面層に用いられる樹脂として、特に好ましくは熱可塑性のポリエステルを用いることができる。かかるポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルが好ましい。このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも、芳香族ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがより好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートは、ホモポリマーであっても良いし、共重合ポリマーであっても良い。共重合ポリマーである場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3〜13モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、優れた製膜性を得ることができ、熱寸法安定性にも優れたフィルムを得ることできる。
【0012】
[粒子]
本発明においては、支持層および表面層は粒子を含有する。かかる粒子は、その種類は限定されず、有機粒子であってもよいし、無機粒子であってもよいし、有機無機複合粒子であってもよい。
【0013】
本発明における粒子は、好ましくは凝集粒子である。ここで凝集粒子とは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成した粒子である。かかる凝集粒子は、それを添加した樹脂からなる未延伸シートを延伸するに際して、粒子が変形することができるため、樹脂と粒子との界面に気泡(ボイド)が形成され難く、フィルム中の気泡の形成を低減でき、さらに透明性の高いフィルムを得やすくなる。また、凝集粒子は、フィルム延伸の際に変形することによって、後述する支持層からの突き上げにより形成された表面層の表面における突起が、適度な態様(形状、高さ等)となるためか、透明性と滑り性とにさらに優れたものとすることができる。
【0014】
支持層および表面層における粒子の平均粒子径(凝集粒子の場合は二次粒子の平均粒子径)は、それぞれ独立に、0.3μm以上、5.0μm以下である。この範囲の平均粒子径であると、樹脂中に粒子を適度に分散させることができ、添加した粒子が凝集して粗大粒子を形成することが生じ難くなる。これにより、フィルム表面に粗大突起のない、均一な凹凸を得ることができ、透明性に優れる。また、支持層における粒子によって、フィルム表面、特に表面層の表面に突き上げによる突起が形成されやすくなり、滑り性が向上し、それによって表面層における粒子の含有量を少なくしても、適度な滑り性を確保することができる。平均粒子径が小さ過ぎる際には、凝集が懸念される。また、支持層からの突き上げによる表面層の表面における突起が形成され難くなり、滑り性に劣る。このような観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上、特に好ましくは2.5μm以上である。他方、平均粒子径が大き過ぎる際には、粗大突起の形成が懸念され、透明性に劣る。また、平均粒子径が大きい場合において透明性を保とうとすると、添加量が少なくなることとなり、滑り性に劣る場合もある。このような観点から、好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3.2μm以下、特に好ましくは3.0μm以下である。
【0015】
粒子の例示としては、シリカ粒子、球状シリカ粒子、凝集シリカ粒子(一次粒子としてのシリカ微粒子が凝集して二次粒子を形成したもの。以下同様。)、硫酸バリウム粒子(球状粒子、凝集粒子を含む。)、アルミナ粒子(球状粒子、凝集粒子を含む。)、炭酸カルシウム粒子(球状粒子、凝集粒子を含む。)を挙げることができ、特に透明性に優れるという観点から凝集シリカ粒子が特に好ましい。
【0016】
表面層における粒子の含有量は、表面層の質量に対して0.005質量%以上、0.015質量%以下である。これにより、透明性および滑り性に優れる。添加量が少なすぎると滑り性が低下する。かかる観点から、0.008質量%以上が好ましい。他方、添加量が多すぎると、フィルム表面が粗面化し、光拡散の影響が大きくなるため、透明性が低下する。また、粗大粒子が形成されやすくなる。かかる観点から、0.014質量%以下が好ましい。
【0017】
また、本発明の積層フィルムは、本発明の積層フィルムを回収して、再度本発明の積層フィルムを製造する際の回収原料として用いるとき、かかる回収原料は、マテリアルバランス等から支持層に用いる場合がある。このような場合においては、表面層の粒子が支持層に入ることとなるが、各層の厚み比率等を考慮して、回収原料を用いたとしても、支持層における粒子の添加量が後述する範囲となるように、表面層における粒子の態様を調整することが好ましい。
【0018】
支持層における粒子の含有量は、支持層の質量に対して0.0005質量%以上、0.003質量%以下である。これにより、光拡散の影響が抑制され、透明性に優れる。また、フィルム表面、特に表面層の表面において、支持層の粒子の突き上げによる突起が形成されやすくなり、滑り性にも優れる。添加量が多すぎると透明性を損なう。かかる観点から、0.0025質量%以下が好ましく、0.002質量%以下がさらに好ましい。他方、添加量が少なすぎると表面層の表面への突起形成がされ難くなり、滑り性に劣る。かかる観点からは、0.0008質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましい。
【0019】
本発明における粒子は、分散性等を向上させる目的で、表面処理が施されていてもよい。
また、支持層および表面層は、必要に応じて、上述した粒子および樹脂以外の成分を含有してもよい。そのような成分として、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤を挙げることができる。
【0020】
[層構成]
本発明の積層フィルムは、1つもしくは複数の支持層を有し、表層に1つもしくは2つの表面層を有する。支持層の厚みの合計と表面層の厚みの合計との比(支持層の厚みの合計:表面層の厚みの合計)は、好ましくは70:30〜95:5、さらに好ましくは75:25〜90:10である。これにより、透明性と滑り性とにさらに優れる。支持層の厚みの合計が占める割合が小さすぎると、透明性の向上効果が低くなり、他方、大きすぎると滑り性の向上効果が低くなる。
【0021】
本発明の積層フィルムの積層構成としては、例えば、表面層/支持層の2層構成、表面層/支持層/表面層の3層構成をとることができ、好ましい。また、表面層/支持層1/支持層2/表面層のごとく、異なる支持層を2層以上有していても良い。このうち、滑り性の観点、および製膜安定性、カール、表面キズ抑制等の観点から、表面層/支持層/表面層の3層構成が特に好ましい。さらに、表面層は、積層フィルムにおいて支持層と接しており、表面層/支持層の2層構成、表面層/支持層/表面層の3層構成などの上述したような積層構成が、特に好ましい態様として挙げられる。
【0022】
本発明の積層フィルムの総厚みは、好ましくは20〜250μm、より好ましくは25〜200μm、さらに好ましくは30〜190μmである。この範囲の総厚みであるでことによって、適度な剛性による良好なハンドリング性および生産性を得ることができる。
【0023】
また、本発明の表面層(1層)の厚みは、2.0μm以上、20μm以下である。かかる範囲にあると、上述した粒子の平均粒子径の範囲においては、表面層の表面において、支持層の粒子の突き上げによる突起が形成されて、良好な滑り性を得ることができる。そしてそれにより、表面層の粒子含有量を少なくすることができ、透明性を優れたものとすることができる。表面層が薄すぎると、滑り性に劣る。かかる観点から、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上である。他方、表面層が厚すぎると、光散乱性が高くなり、透明性に劣る。かかる観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは9.5μm以下である。
【0024】
また本発明の積層フィルムは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、フィルム表面(支持層において表面層を有しない側の表面か、もしくは表面層の表面)に易接着性や帯電防止性等の機能を付与するための層を有していても良い。かかる層としては、例えば樹脂成分等からなる塗布層が挙げられる。
【0025】
[製造方法]
本発明の積層フィルムは、例えば以下のようにして製造することができる。なお、ポリエステルの融点をTm、ガラス転移温度をTgと表記する。また、製膜機械軸方向を縦方向または長手方向またはMDと呼称する場合がある。また、製膜機械軸方向とフィルム厚み方向とに垂直な方向を横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。
【0026】
本発明において、支持層と表面層とを積層する方法は特に限定されず、公知の積層方法を採用することができるが、生産性や層間密着性等の観点から、特に共押出法により積層することが好ましい。以下、共押出法を採用する場合について説明する。
【0027】
まず、支持層を構成するポリエステル組成物(樹脂、粒子およびその他の任意成分からなる組成物)と、表面層を構成するポリエステル組成物とを、それぞれ別々の押出機に投入し、例えばTm〜(Tm+70)℃の温度で溶融押出して、フィードブロック等を用いて、それぞれのポリエステルが溶融した状態で両者が接するように合流させて積層し、ダイから押し出して、キャスティングドラムに接地させて冷却し、未延伸積層フィルムを得る。この未延伸フィルムを、一軸方向(縦方向または横方向)に、(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度で2.8〜4.0倍の倍率で延伸し、次いで上記一軸延伸方向と垂直な方向(横方向または縦方向)に、Tg〜(Tg+70)℃の温度で3.0〜4.5倍の倍率で延伸する。延伸により得られた二軸配向フィルムを、(Tm−70)℃〜(Tm−15)℃の温度範囲で熱固定する。熱固定は、定幅または10%以下の幅減少下で行い、熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理温度が(Tm−15)℃より高いとフィルムの平面性が悪くなる傾向にあり、厚み斑が大きくなる傾向にある。(Tm−70)℃より低いと熱収縮率が大きくなる傾向にある。また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としては、テンター出側のロール群の速度を調整すればよい。すなわち、テンターのフィルムライン速度に対して引き取りロール群の速度ダウンを行い、弛緩させる割合(この値を「弛緩率」という)として、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩する。かかる弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整できる。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【0028】
上記のような逐次二軸延伸法に代えて、同時二軸延伸法で延伸してもよい。その際は、上述した製膜条件を参考にして実施することができる。同時二軸延伸法で延伸すると、延伸が二軸方向に同時に行われるために、比較的大きな粒子を含有していても切断が発しにくいという利点がある。
【0029】
[積層フィルムの特性]
本発明の積層フィルムは、表面層の表面同士の摩擦係数が、0.34以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.33以下、特に好ましくは0.32以下である。また摩擦係数の下限は、透明性の観点から0.30以上が好ましい。かかる範囲とすることによって、すなわち、上述した態様のなかからかかる範囲となるような粒子の態様や積層構成の態様を採用することによって、透明性の向上効果、および滑り性の向上効果を高くすることができる。
【0030】
また、本発明の積層フィルムは、ヘーズが2.0%以下であることが好ましく、これにより、透明性に特に優れ、光学部材用として、特にタッチパネル部材用としてさらに好適に用いることができる。ヘーズは、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0032】
(1)フィルムヘーズ
JIS−K6714に準じ、日本電飾製ヘーズメーターNDH−2000を用い、フィルムのヘーズを求めた。
【0033】
(2)摩擦係数
平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切り出したフィルムを、表面層同士を向かい合わせて2枚重ね、その上にゴム板を載せ、さらにその上に荷重を載せ、2枚のフィルムの接圧を2g/cmとして10mm/minでフィルム同士を滑らせて摩擦力を測定した。なお、測定は、温度23℃±1℃、湿度50%±5%の雰囲気下で行い、2mm滑らせた点での値を摩擦係数とした。
【0034】
(3)粒子の平均粒子径
フィルムをヘキサフルオロイソプロパノールで溶解して粒子を分離し、得られた粒子30個について、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−3 100)で観測し、それぞれについて面積相当円の直径を粒子径として測定し、平均値を求めて平均粒子径とした。
【0035】
(4)各層の厚み
サンプルを三角形の小片に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルを、ミクロトーム(ULTRACUT−S)で、縦方向に平行な断面が観測できるようにスライスして50nm厚みの薄膜切片を得た。得られた薄膜切片において、任意の5箇所について透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
【0036】
(5)フィルムの厚み
接触式厚み計(アンリツ製 K−402B)を用いてフィルム厚みを測定した。
【0037】
[実施例1]
凝集シリカ粒子(富士シリシア化学社製、サイリシア(登録商標)550、平均粒子径2.7μm)を5000ppm含有するポリエチレンテレフタレート(Tg=78℃、Tm=256℃)を、粒子含有のマスターバッチとして用意し、表面層(A層とする)は80ppm(質量基準)、支持層(B層とする)は20ppm(質量基準)の含有量となるように希釈用のポリエチレンテレフタレートにて希釈したポリエステル組成物を準備し、それぞれ別々の押出機にて280℃で溶融混練し、表面層/支持層/表面層の3層構造となるようにフィードブロックを用いて重ね合わせてからダイより押し出し、水冷ドラム上で急冷固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを100℃に加熱し、縦方向に3.2倍に延伸した後、次いで120℃に加熱したフィルムを、横方向に3.3倍に延伸した。その後、225℃の熱固定温度で熱処理を行い、厚み75μmの積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて評価結果を表1に示す。
【0038】
[実施例2]
実施例1において、支持層および表面層の粒子をサイリシア(登録商標)320(富士シリシア化学製、凝集シリカ粒子、平均粒子径3.2μm)に、また添加量を表中に示した量に変更した以外、同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて評価結果を表1に示す。
【0039】
[実施例3〜5]
実施例1において、表1に示すように構成を変更した他は、同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて評価結果を表1に示す。
【0040】
[比較例1〜9]
表1に示すように構成を変更した他は、実施例1と同様にして積層フィルム(比較例9は単層フィルム)を作成した。評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
なお、表1における粒子は以下のとおりである。
サイリシア(登録商標)550、320、350、710:富士シリシア化学社製、凝集シリカ粒子
SO−E6:アドマテックス社製、球状シリカ粒子
SCP−E#45:三共精粉社製、炭酸カルシウム粒子
Briliant−S15:白石工業社製、炭酸カルシウム粒子
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の積層フィルムは、特に高い透明性と滑り性が要求される用途において好適に用いることができる。特に、タッチパネル、液晶ディスプレイ用光学シート(拡散、プリズムシート)等に用いられる光学部材として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層と、少なくとも片方の表層を形成する表面層とを有する積層フィルムであって、表面層が、平均粒子径0.3〜5.0μmの粒子を0.005〜0.015質量%含有し、かつ該表面層の厚みが2〜20μmであり、支持層が、平均粒子径0.3〜5.0μmの粒子を0.0005〜0.003質量%含有する、積層フィルム。
【請求項2】
支持層および表面層における粒子が、いずれも凝集粒子である、請求項1に記載の積層フィルム。

【公開番号】特開2013−56496(P2013−56496A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197098(P2011−197098)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】