説明

積層体およびその製造方法

【課題】適度なバリア性を有し、コスト的に優れ、かつ、外観不良が比較的発生しにくいバリア性包材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも基材1と、バリア層3とを備え、前記バリア層3はポリオレフィン系樹脂33/接着性樹脂32/エチレン−ビニルアルコール共重合体31/接着性樹脂32/ポリオレフィン系樹脂33の3種5層共押出によって形成され、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体による層の厚みは3μm以上20μm以下であることを特徴とする積層体であり、さらに、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合率が27mol%以上47mol%以下であることを特徴とする積層体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリア性などの機能を有する包装材料および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水蒸気バリア性や酸素バリア性などガスバリア性に優れた包装材料として、金属箔を含む積層体や金属の蒸着層を形成したプラスチックフィルムを含む積層体が袋状の容器に成形され、広く使用されている。そして、上記金属としてアルミニウムが性能、コスト、加工性の点から一般的に使用されている。
しかしながら、上記金属箔や金属蒸着層はガスバリア性を発揮する厚さとした場合には不透明となり、包装材料として使用した際に内容物が透視できないという欠点があった。また、金属箔は廃棄性に問題があった。
これに対し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOH)やポリ塩化ビニリデン(以下、PVDC)などの樹脂層はそのような問題がなく、ガスバリア性についても、金属層に比較してやや劣るものの十分にバリア性材料として実用できるため、バリア性包装材料の構成中に一般的に使用されている。
PVDCは、フィルム状で他のフィルムとラミネートして使用されたり、PVDCを適当な溶媒に溶解して得られた溶液を基材フィルムにコーティングして薄い膜とし、バリア層を形成し、使用することがある。
しかしながら、上記PVDCは、成分中に塩素を含むため、使用後廃棄する際、焼却すると塩素ガスを発生する。近年は環境保護が叫ばれ、このような樹脂の仕様は敬遠されつつある。
これに対し、EVOHは香気成分を透過しにくく、保香性材料としても知られている。このEVOHは、たとえば厚さ12〜30μmのフィルムとして提供されており、接着剤を用いたドライラミネート、あるいは、溶融した熱接着性樹脂の層を介するサンドラミネートにより、他のフィルムと積層され、包装材料の一部を構成するのが一般的である。しかしEVOHは高価な樹脂であり、その使用量はできるだけ低く抑えることが望ましい。また、被包装物によっては、被包装物の成分が積層体中を透過し、接着剤層を侵してラミネート部分がはがれてしまう現象(デラミ)が起きるという問題があった。
そこで、特許文献1では、基材フィルムに、EVOHを含むバリアフィルムの共押出ラミネートを行う製造方法を提唱しているが、EVOHが共押出のフィルム層の最外層にあるため、押出機にて製膜する際、外観不良が発生しやすいなど、問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3836164号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、適度なバリア性を有し、コスト的に優れ、かつ、外観不良が比較的発生しにくいバリア性包材およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために成された第1の発明は、少なくとも基材と、バリア層とを備え、前記バリア層はポリオレフィン系樹脂/接着性樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合体/接着性樹脂/ポリイオレフィン系樹脂の3種5層共押出によって形成され、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体による層の厚みは3μm以上20μm以下であることを特徴とする積層体である。
第2の発明は、前記構成に加えて前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合率が27mol%以上47mol%以下であることを特徴とする積層体である。
第3の発明は、前記構成に加えて前記接着性樹脂がポリオレフィン系グラフト重合体であり、そのカルボキシル基濃度が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする積層体である。
第4の発明は、少なくとも基材と、バリア層と、シーラント層とをこの順で備えた積層体の製造方法であって、
前記基材の一方の面上にアンカー層を積層する工程と、
前記アンカー層の上にポリオレフィン系樹脂/接着性樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合体/接着性樹脂/ポリオレフィン系樹脂の3種5層共押出によって形成されたバリア層を積層する工程と、
前記バリア層の形成と同時に、当該バリア層にシーラントフィルムをサンドラミネートしてシーラント層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高価なEVOH樹脂の使用量を低く抑えながらも、香気成分保持効果を保つことができる。
また、EVOH層を含む多層フィルムの形成にあたり、ドライラミネート方式では、基材、バリア材、シーラント材の3層で少なくとも2工程のラミネートを行わなければならないが、共押出方式では、1工程でラミネートすることができる。そして、バリアの要求されるレベルに合わせ、EVOHの厚みを任意に調整することができる。
さらに、本発明によれば、バリア材とシーラント材との積層にアンカー剤等のいわゆる接着剤を用いる必要がなく、バリア材よりも内側の接着剤使用をなくすことができるので、被包装物の成分が接着剤にアタックし、デラミなどの不具合を発生させることを防止できる効果がある。
さらに、積層体を構成する材料としてポリエチレン樹脂を用いることで、ポリエチレン樹脂層が保護膜の役割を果たし、被包装物が含む水分によるEVOHのバリア劣化を抑える働きがある。
金属との接着性があるEVOHや接着性樹脂の外側に共押出しによってポリエチレン樹脂層を押出すことにより、EVOH及び接着性樹脂が押出機壁面に直接触れることがない。従って溶融樹脂の押出機壁面での流れが良くなり、外観不良が出にくい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の積層体を構成するバリア層の層構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の積層体の第一の例を説明する断面図である。
【図3】本発明の積層体の第二の例を説明する断面図である。
【図4】本発明の積層体の第三の例を説明する断面図である。
【図5】本発明の積層体の第四の例を説明する断面図である。
【図6】従来の積層体の第一の例を説明する断面図である。
【図7】従来の積層体の第二の例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、本発明の積層体を構成するバリア層3の模式断面図を示す。バリア層3は3種5層の共押出しによって形成されている。外側から順に、ポリオレフィン層33、接着性樹脂層32、EVOH層31である。
また、図3は本発明の積層体の構成を示す断面模式図である。この積層体20の製造方法は以下の通りである。
基材1にインキ4を印刷後、基材1の印刷面側にアンカー剤を塗布してアンカー層2を形成する。そして、アンカー層2の上に先に説明したバリア層3を共押出しによって形成し、アンカー層2を介して基材1とのラミネートを行う。このとき、アンカー層2と反対側のバリア層3上にシーラント層5として線状低密度ポリエチレンフィルムを積層することもできる(図2参照)。
また、アンカー剤を塗布しアンカー層を形成するかわりに、基材1の印刷面にコロナ処理やオゾン処理を行うことで基材1の表面を活性化することもできる。
【0009】
基材1としては透明で耐熱性のある樹脂が好ましい。また、本発明の積層体がスタンディングパウチ基材として用いられた際に積層体にコシを与えるために、可撓性がありながら硬い基材が好ましい。また、本発明の積層体は被包装物として液体を保持することが想定されるため、外部からの応力、特に突き刺しや引き裂きに強いことが望まれる。このような特性を満たす樹脂としては、ナイロン樹脂が好ましく、延伸フィルムでも未延伸フィルムでも用いることができるが、特に2軸延伸ナイロンフィルムが好ましい。また、厚みは10μm以上30μm以下が好ましく、例えば15μmである。
【0010】
基材1に印刷されるインキ4としては、基材1とのなじみがよく、耐光性のあるものが好ましい。例えばグラビア用のインキが好ましく用いられる。
基材1の印刷面上に形成されるアンカー層2は、基材1と、共押出で形成されるバリア層とを接着するための層である。従って、基材1とバリア層3の最外層との相性によって選択することが好ましく、例えばポリウレタン系樹脂のアンカーコート剤を好ましく用いることができる。アンカー層2の厚みは0.1μm以上、3μm以下が好ましく、具体的には塗布量で調整が可能であり、例えば0.5g/mの塗布量においては層の厚みは0.5μm程度となる。
【0011】
本発明のバリア層3はEVOH、接着性樹脂、ポリオレフィンの3種類の樹脂を用い、5層の共押出工程によって形成される。こうして得られたバリア層は、外側から順に、ポリオレフィン層33、接着性樹脂層32、EVOH層31である(図1参照)。
共押出は一般的な共押出機により、例えば220℃にて行われる。EVOH、接着性樹脂及び低密度ポリエチレンは何れも押出し加工時の熱挙動が近いものが好ましい。
【0012】
EVOH層31の形成に用いることのできるEVOHとしては、エチレン共重合率が27mol%以上47mol%以下であり、MFR(メルトフローレート)は190℃にて1g/10min以上9g/10min以下である。
また、EVOH層31の厚みは3μm以上、20μm以下が好ましい。この範囲より少ないと充分な香気成分保持機能を維持できず、また、EVOH層に厚みのムラが生じたり、ピンホールによって被包装物が含むアルカリやアルコールがアンカー層2にしみこんでしまい、包装袋の外観を損ねたり、層間剥離(デラミ)を起こしてしまう。この範囲よりも厚い場合は、他の2層の厚みを充分にとることができず、バリア層3としての加工性を損なう恐れがある。
【0013】
接着性樹脂層32の形成に用いることのできる接着性樹脂としては、EVOH及び低密度ポリエチレンとの接着性が良く、かつMFRの近いものが好ましい。例えばポリオレフィン系グラフト共重合体を好ましく用いることができる。ポリオレフィン系グラフト共重合体を用いる際のカルボキシル基濃度は0.1質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。また、190℃におけるMFR(メルトフローレート)は0.1g/10min以上20g/10min以下である。
また、接着性樹脂層32の厚みは1μm以上、20μm以下が好ましい。
【0014】
ポリオレフィン層33の形成に用いることのできる樹脂としては、熱可塑性の線状低密度ポリエチレンが好ましく、190℃におけるMFR(メルトフローレート)は0.1g/10min以上20g/10min以下である。このポリオレフィン層は単独でもシーラント層として機能する。
また、ポリオレフィン層33の厚みは3μm以上、100μm以下が好ましい。
なお、本明細書中で使用するMFRの値は、JIS K6760で定められた押出し形プラストメータを試験機械に用い、JIS K7210で規定された試験方法によるものである。
【0015】
本発明の積層体は、基材1とバリア層3を必須の構成とするが、バリア層3の基材1を積層していない側の面に、さらに第2のシーラント層5を備える構成であってもよい。シーラント層5は、本発明の積層体を包装袋に成形する際に内側となり、熱融着を可能とすることによって袋の形状を維持し、内容物を封止するものである。
このようなシーラント層5としては、熱融着シーラントとして一般的に用いられているフィルムを用いることができ、例えば線状低密度ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0016】
本発明の積層体はアンカー層2とバリア層3との間に低密度ポリエチレン層6を備えていてもよい。あらかじめアンカー層上に低密度ポリエチレン層6を押し出しておくことでアンカー層2とバリア層3との密着をさらに向上させる効果がある。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0018】
[実施例1]
基材1として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムにグラビア用インキ4で印刷を行った。次いで基材1の印刷面側にポリウレタン系樹脂のアンカーコート剤を0.5g/mの塗布量で塗布し、アンカー層2を形成した。こうして得られた基材1のアンカー層2形成面と第2のシーラント層5である厚さ80μmの線状低密度ポリエチレンフィルムとの間に、共押出機により3種5層の共押出を行い、ポリオレフィン層33(10μm)/接着性樹脂層32(5μm)/EVOH層31(10μm)/接着性樹脂層32(5μm)/ポリオレフィン層33(10μm)の構成のバリア層3を押出サンドラミネートにより積層し、本発明の積層体10を得た。ポリオレフィン層33にはMFR7である低密度ポリエチレンを、接着性樹脂層32にはMFR5.6である三井化学社製アドマーNE827を、EVOH層31にはMFR1.7でありエチレン共重合率が32mol%のクラレ社製エドールF171Bを用いた。こうして得られた積層体10を図2に示す。
【0019】
[実施例2]
基材1として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムにグラビア用インキ4で印刷を行った。次いで基材1の印刷面側にポリウレタン系樹脂のアンカーコート剤を0.5g/mの塗布量で塗布し、アンカー層2を形成した。こうして得られた基材1のアンカー層2形成面に、共押出機により3種5層の共押出を行い、ポリオレフィン層33(20μm)/接着性樹脂層32(5μm)/EVOH層31(10μm)/接着性樹脂層32(5μm)/ポリオレフィン層33(20μm)の構成のバリア層3を押出ラミネートにより積層し、本発明の積層体20を得た。バリア層3の形成に用いた樹脂は実施例1と共通である。こうして得られた積層体20を図3に示す。
【0020】
[実施例3]
基材1として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムにグラビア用インキ4で印刷を行った。次いで基材1の印刷面側にポリウレタン系樹脂のアンカーコート剤を0.5g/mの塗布量で塗布し、アンカー層2を形成した。こうして得られた基材1のアンカー層形成面に、単層押出機により、MFR7の低密度ポリエチレン層6(15μm)を押出ラミネートによって積層した。この低密度ポリエチレン層6上に共押出機により3種5層の共押出を行い、ポリオレフィン層33(20μm)/接着性樹脂層32(5μm)/EVOH層31(10μm)/接着性樹脂層32(5μm)/ポリオレフィン層33(20μm)の構成のバリア層3を押出ラミネートにより積層し、本発明の積層体30を得た。バリア層3の形成に用いた樹脂は実施例1と共通である。こうして得られた積層体30を図4に示す。
【0021】
[実施例4]
基材1として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムにグラビア用インキ4で印刷を行った。次いで基材1の印刷面側にポリウレタン系樹脂のアンカーコート剤を0.5g/mの塗布量で塗布し、アンカー層2を形成した。こうして得られた基材1のアンカー層形成面に、単層押出機により、MFR7の低密度ポリエチレン層6(15μm)を押出ラミネートによって積層した。こうして得られた基材1の低密度ポリエチレン層6形成面と第2のシーラント層5である厚さ80μmの線状低密度ポリエチレンフィルムとの間に、共押出機により3種5層の共押出を行い、ポリオレフィン層33(20μm)/接着性樹脂層32(5μm)/EVOH層31(10μm)/接着性樹脂層32(5μm)/ポリオレフィン層33(20μm)の構成のバリア層3を押出サンドラミネートにより積層し、本発明の積層体40を得た。バリア層3の形成に用いた樹脂は実施例1と共通である。こうして得られた積層体40を図5に示す。
【0022】
[比較例1]
基材1として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムにグラビア用インキ4で印刷を行った。次いで基材1の印刷面側にポリウレタン系樹脂の接着剤を2g/mの塗布量で塗布し、ポリウレタン系樹脂接着剤層8を形成した。こうして得られた基材1のポリウレタン系樹脂接着剤層8形成面に、厚さ15μmのEVOHフィルム7をドライラミネートし、さらに基材1を積層していない面のEVOHフィルムに再度ポリウレタン系樹脂の接着剤を2g/mの塗布量で塗布してポリウレタン系樹脂接着剤層8を形成した。最後にこのポリウレタン系樹脂接着剤層8上に、シーラント層5として厚さ80μmの線状ポリエチレンフィルムをドライラミネートし、比較のための積層体50を得た。こうして得られた積層体50を図6に示す。
【0023】
[比較例2]
基材1として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムにグラビア用インキ4で印刷を行った。次いで基材1の印刷面側にポリウレタン系樹脂のアンカーコート剤を0.5g/mの塗布量で塗布し、アンカー層2を形成した。こうして得られた基材1アンカー層2形成面とシーラント層5である厚さ80μmの線状低密度ポリエチレンフィルムとの間に、単層押出機により、MI7の低密度ポリエチレン層6(15μm)を押出サンドラミネートし、比較のための積層体60を得た。こうして得られた積層体60を図7に示す。
【0024】
こうして得られた積層体10〜60を3方製袋し、アルカリ性洗剤、酸性洗剤、消毒用アルコール、粉末入浴剤をそれぞれ封入し、40℃の恒温槽にて2ヶ月保存テストを行った。内容物の成分については表1に示す。
その結果、酸性洗剤については、実施例1〜4で得られた積層体10〜40による包装袋と、比較例1,2で得られた積層体50、60による包装袋とでは比較して著しいラミネート強度の低下は見られなかったが、被包装物がアルカリ性洗剤、消毒用アルコール及び粉末入浴剤の場合においては、比較例で得られた積層体による包装袋ではデラミネーションが発生したのに対し、本発明の積層体を用いて作られた包装袋では、デラミネーションの発生は見られず、良好な耐内容物性があることが示された。比較例1ではEVOH層よりも内側(図6においては下側)のポリウレタン樹脂層8で、比較例2ではアンカー層2において、デラミネーションが発生しているのが観察できた。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

○:ラミネート強度が初期強度と比較して80%以上
△:ラミネート強度が初期強度と比較して50%未満
×:アンカー層でデラミが発生した
【0026】
なおラミネート強度は以下の測定法によって測定した。
初期強度の基準となる積層体は、製造後、(押出しの)流れ方向に15mm幅で短冊状に切断してサンプルを作製した。
また、保存テスト後の積層体についても、包装袋から内容物を除去し洗浄し、その後、包装袋(積層体)を(押出しの)流れ方向に15mm幅で短冊状に切断してサンプルを作製した。
いずれのサンプルについても基材1とアンカー層2との間を剥離し、ここを開始端としてテンシロン引張試験機により上下に引っ張って剥離強度を測定した。引っ張り速度は300mm/min、単位はN/15mmである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
バリア性が必要な包装材料や高耐性の品質要求がある包装材料に広く利用が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1…基材
2…アンカー層
3…バリア層
31…EVOH層
32…接着性樹脂層
33…ポリオレフィン層
4…インキ
5…シーラント層
6…低密度ポリエチレン層
7…EVOHフィルム
8…ポリウレタン系樹脂接着剤層
10、20、30、40…(本発明による)積層体
50、60…(従来の)積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材と、バリア層とを備え、前記バリア層はポリオレフィン系樹脂/接着性樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合体/接着性樹脂/ポリオレフィン系樹脂の3種5層共押出によって形成され、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体による層の厚みは3μm以上20μm以下であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合率が27mol%以上47mol%以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記接着性樹脂がポリオレフィン系グラフト重合体であり、そのカルボキシル基濃度が0.1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の積層体。
【請求項4】
少なくとも基材と、バリア層と、シーラント層とをこの順で備えた積層体の製造方法であって、
前記基材の一方の面上にアンカー層を積層する工程と、
前記アンカー層の上にポリオレフィン系樹脂/接着性樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合体/接着性樹脂/ポリオレフィン系樹脂の3種5層共押出によって形成されたバリア層を積層する工程と、
前記バリア層の形成と同時に、当該バリア層にシーラントフィルムをサンドラミネートしてシーラント層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−76305(P2012−76305A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222076(P2010−222076)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】