説明

積層型二次電池用極板の製造方法と積層型二次電池用極板材料

【課題】極板を製造するための歩留まりと生産性を向上させることが可能な積層型二次電池用極板の製造方法と積層型二次電池用極板材料を提供する。
【解決手段】活物質を含む合材が塗工された塗工領域1100と合材が塗工されていない非塗工領域1200とが交互に長さ方向に連続して配置された帯状材からなる極板材料1000において、塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断し、非塗工領域1200の長さ方向の中央部を切断する。塗工領域1100の長さ(2a)は積層型二次電池を構成する単一の極板1を構成する塗工領域1100の一部の長さ(a)のほぼ2倍である。非塗工領域1200の長さ(2b)は、積層型二次電池を構成する単一の極板1を構成する非塗工領域1200の一部の長さ(b)のほぼ2倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には積層型二次電池用極板の製造方法と積層型二次電池用極板材料に関し、特定的には集電体としての金属基材の表面に活物質を含む合材が塗布されて構成される積層型二次電池用極板の製造方法と積層型二次電池用極板材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の電源として電池、特に二次電池が用いられている。二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池は、相対的に大きなエネルギー密度を有することが知られている。
【0003】
たとえば、特開2005−116482号公報(特許文献1)には、リチウムイオン二次電池として薄型電池の構成が記載されている。この薄型電池では、セパレータの間に交互に積層された正極板と負極板を有する発電要素が外装部材に収容されて封止され、複数の集電部を介して発電要素に接続された正極端子と負極端子が外装部材の外周縁から互いに対向した方向に導出している。このような積層型二次電池では、外装部材内において複数の正極板と負極板がセパレータを間に介在して交互に積層されている。
【0004】
このような積層型二次電池の極板の製造方法が、たとえば、特開2001−155717号公報(特許文献2)に記載されている。この極板の製造方法では、まず、正極活物質をアルミニウム金属基材の両面に塗布し、乾燥させることにより、正極板材料が製造される。また、負極活物質を銅金属基材の両面に塗布し、乾燥させることにより、負極板材料が製造される。さらに、PETフィルム基材の片面上に絶縁層を塗布し、乾燥させることにより、セパレータ材料が製造される。次に、正極板材料、負極板材料およびセパレータ材料のそれぞれを所定の電池セル形状に打ち抜くことにより、正極板、負極板およびセパレータが製造される。得られた正極板、セパレータおよび負極板を順次重ね合わせて加熱、加圧することにより、機械的に接合して、積層型二次電池の電池要素を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−116482号公報
【特許文献2】特開2001−155717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7は、従来の積層型二次電池の極板材料を示す部分平面図である。図7に示す帯状の極板材料500は、正極端子と負極端子が外装部材の外周縁から互いに対向した方向に導出しているタイプの積層型二次電池に用いられる正極板材料または負極板材料である。
【0007】
図7に示すように、極板材料500には、活物質を含む合材が塗工された塗工領域510と、合材が塗工されていない非塗工領域520とが交互に長さ方向に連続して配置されている。この極板材料500を、特開2001−155717号公報(特許文献2)に記載されているように、所定の電池セル形状に打ち抜くことによって極板51とし、さらに正負極の極板51をセパレータを介して交互に積層することにより、積層型二次電池の電池要素が形成される。
【0008】
しかしながら、各極板51を構成する非塗工領域520(図7の左側に示される非塗工領域520)の一部分の端部に合材が付着すると、外部端子との接合不良が生じるという問題がある。また、各極板51を構成する塗工領域510の一部分に非塗工部分があれば、電池の特性不良が生じるという問題がある。
【0009】
これらの問題を解消するために、図7に示すように、極板材料500を形成する際には、極板材料500において交互に配置される塗工領域510と非塗工領域520のそれぞれを所定の電池セル形状に必要な長さよりも長く形成する。そして、図7に示すように、まず、切断線C10とC30で極板材料500を順次切断する。次に、余分な箇所を切り落とすために切断線C20で切断する。このようにして各極板51を形成する。あるいは、図7に示す各極板51を極板材料500から打ち抜く。
【0010】
この方法では、捨て代部の集電体としての金属箔と活物質を含む合材とが無駄になり、歩留まりが低下するので、材料コストが高くなるという問題がある。また、打ち抜きで極板を形成する際には問題ないが、カット刃などにより切断する場合は、極板を一枚得るために二回切断する必要があるので生産性が低いという問題がある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、極板を製造するための歩留まりと生産性を向上させることが可能な積層型二次電池用極板の製造方法と積層型二次電池用極板材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に従った積層型二次電池用極板の製造方法は、活物質を含む合材が塗工された塗工領域と、合材が塗工されていない非塗工領域とが交互に長さ方向に連続して配置された帯状材を切断することにより極板を製造する積層型二次電池用極板の製造方法において以下のステップを備えることを特徴とする。
【0013】
(a)塗工領域の長さ方向の中央部を切断するステップ。
【0014】
(b)非塗工領域の長さ方向の中央部を切断するステップ。
【0015】
この発明の積層型二次電池用極板の製造方法では、塗工領域と非塗工領域のそれぞれの長さ方向の中央部を切断することにより、帯状材の捨て代部が存在しないように、塗工領域の半分と非塗工領域の半分とから構成される各極板を、帯状材から順次切断することによって、製造することができる。このため、極板を製造するための歩留まりを向上させることができる。また、帯状材を順次一回切断することにより、一枚の極板を得ることができるので、生産性を向上させることができる。
【0016】
この発明の積層型二次電池用極板の製造方法において、帯状材の塗工領域の長さが、切断後の塗工領域の長さのほぼ2倍であることが好ましい。
【0017】
また、この発明の積層型二次電池用極板の製造方法において、帯状材の非塗工領域の長さが、切断後の非塗工領域の長さのほぼ2倍であることが好ましい。
【0018】
この発明に従った積層型二次電池用極板材料は、活物質を含む合材が塗工された塗工領域と、合材が塗工されていない非塗工領域とが交互に長さ方向に連続して配置された帯状材からなる積層型二次電池用極板材料において、次の特徴を有する。帯状材の塗工領域の長さが、積層型二次電池を構成する単一極板における塗工領域の長さのほぼ2倍である。
【0019】
この発明の積層型二次電池用極板材料では、帯状材の非塗工領域の長さが、積層型二次電池を構成する単一極板における非塗工領域の長さのほぼ2倍であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、極板を製造するための歩留まりと生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の積層型二次電池用極板の製造方法によって製造される極板を用いて構成される積層型二次電池の一例を示す概略的な平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った方向から見た断面を拡大して示す部分断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った方向から見た断面を拡大して示す部分断面図である。
【図4】本発明の一つの実施の形態として積層型二次電池の極板材料を示す部分平面図である。
【図5】本発明のもう一つの実施の形態として積層型二次電池の極板材料を示す部分平面図である。
【図6】本発明のさらにもう一つの実施の形態として積層型二次電池の極板材料を示す部分平面図である。
【図7】従来の積層型二次電池の極板材料を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の一つの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示すように、積層型二次電池100は、電池要素10と、電池要素10を収容して封止する外装部材20と、複数の集電部を介して電池要素10に接続されて外装部材20の外周縁から互いに対向する方向に導出された正極端子30および負極端子40とから構成される。
【0024】
図2と図3に示すように、電池要素10は、複数の正極板11と、複数の負極板12と、各々が複数の正極板11の各々と複数の負極板12の各々との間に介在するように配置された複数のセパレータ13と、図示しない非水電解液とを含む。複数の正極板11の各々と複数の負極板12の各々が複数のセパレータ13の各々を間に介在して交互に積層されている。正極板11、負極板12およびセパレータ13は、板状、フィルム状、箔状などに形成される。たとえば、複数のフィルム状の正極板11と負極板12がセパレータ13を介して密着状態で積層された積層体が、アルミニウムラミネートフィルムからなる外装部材20の内部に充填されている。図3に示すように、複数の負極板12は複数の集電部41(非塗工領域)を介して負極端子40に接続されている。図示されていないが、複数の正極板11も同様に正極端子30(図1)に接続されている。
【0025】
正極板11の塗工領域は、正極活物質を含む正極合材層が集電体の両面上に形成されることによって構成される。負極板12の塗工領域は、負極活物質を含む負極合材層が集電体の両面上に形成されることによって構成される。
【0026】
たとえば、正極板11の塗工領域は、正極活物質と結着剤と導電助剤とを含有する正極合材を、アルミニウム箔からなる集電体の両面上に塗布し、乾燥して、正極合材層を集電体の両面上に形成することにより作製される。
【0027】
一般的に正極活物質としては、目的とする電池の種類に応じて金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を用いることができる。
【0028】
リチウムイオン二次電池を構成する場合、正極活物質としては、TiS、MoS、NbSe、V等の金属硫化物または酸化物を使用することができる。また、リチウムイオン二次電池の正極活物質としてLiM(化学式中、Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上、1.10以下である)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co、Ni、Mn等が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO、LiNiO、LiNiCo1−y(化学式中、0<y<1である)、Li1+a(NiCoMn)O2−b(化学式中、−0.1<a<0.2、x+y+z=1、−0.1<b<0.1)、LiMn等を挙げることができる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れた正極活物質となる。正極板11を作製するために、これらの正極活物質の複数種をあわせて使用してもよい。
【0029】
また、上記の正極合材に含有される結着剤としては、通常、電池の正極合材に用いられている公知の結着剤を用いることができ、上記の正極合材には、導電剤等、公知の添加剤を添加することができる。
【0030】
たとえば、負極板12は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合材を、銅箔からなる集電体の両面上に均一に塗布し、乾燥して、負極合材層を集電体の両面上に形成することにより作製される。
【0031】
リチウムイオン二次電池を構成する場合、負極活物質としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することが好ましい。リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、たとえば、難黒鉛化炭素系材料やグラファイト系材料等の炭素材料を使用することができる。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。上記のコークス類には、ピッチコークス、ニート゛ルコークス、石油コークス等がある。また、上記の有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。上述した炭素材料のほか、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnOやLiTi12(チタン酸リチウム)等の酸化物を使用することもできる。
【0032】
また、上記の負極合材に含有される結着剤としては、通常、リチウムイオン電池の負極合材に用いられている公知の結着剤を用いることができ、上記の負極合材には、公知の添加剤等を添加することができる。
【0033】
非水電解液は、電解質を非水溶媒に溶解して調製される。電解質としては、たとえば、非水溶媒中にLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解したものが使用される。LiPF以外の電解質としては、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiAlCl、LiSiF等のリチウム塩を挙げることができる。これらの中でも、電解質として特にLiPF、LiBFを用いることが酸化安定性の点から望ましい。このような電解質は、非水溶媒中に、0.1mol/L〜3.0mol/Lの濃度で溶解されて用いられることが好ましく、0.5mol/L〜2.0mol/Lの濃度で溶解されて用いられることがさらに好ましい。非水溶媒としては、たとえば、炭酸プロピレンと炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを体積比で5〜20:20〜30:60〜70の割合で混合したものが使用される。その他の非水溶媒としては、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の環状炭酸エステル;炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等の鎖状炭酸エステル;プロピオン酸メチル、酪酸メチル等のカルボン酸エステル;γ−ブチルラクトン、スルホラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類等を使用することができる。これらの非水溶媒は単独で使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。これらの中でも、非水溶媒として特に炭酸エステルを用いることが酸化安定性の点から好ましい。
【0034】
なお、上記の積層型二次電池の例では、正極板と負極板との間に一枚のセパレータを介在させているが、複数枚のセパレータを介在させてもよい。複数枚のセパレータの材質は同種でも異種でもよい。また、正極板と負極板との間に長尺状のセパレータを九十九折りにして介在させてもよい。
【0035】
次に、上述のように構成される積層型二次電池の極板、すなわち正極板11または負極板12の製造方法について説明する。
【0036】
図4に示すように、正極板または負極板の材料としての極板材料1000は、活物質を含む合材が塗工された塗工領域1100と、合材が塗工されていない非塗工領域1200とが交互に長さ方向に連続して配置された帯状材からなる。極板材料1000における塗工領域1100の長さ(2a)は、積層型二次電池を構成する単一極板1、すなわち正極板111または負極板121を構成する塗工領域1100の一部の長さ(a)のほぼ2倍である。また、極板材料1000における非塗工領域1200の長さ(2b)は、積層型二次電池を構成する単一の極板1、すなわち正極板111または負極板121を構成する非塗工領域1200の一部の長さ(b)のほぼ2倍である。
【0037】
このように構成された極板材料1000から各極板1を製造する工程について説明する。まず、図4に示す切断線C1(右側の切断線C1)において塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断する。次に、切断線C2において非塗工領域1200の長さ方向の中央部を切断する。そして、切断線C1(左側の切断線C1)において塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断する。このようにして極板材料1000を順次、切断することによって、各極板1が形成される。
【0038】
以上のようにして、塗工領域1100と非塗工領域1200のそれぞれの長さ方向の中央部を切断することにより、帯状材の捨て代部が存在しないように、塗工領域1100の半分と非塗工領域1200の半分とから構成される各極板1を、帯状材から順次切断することによって、製造することができる。このため、極板1を製造するための歩留まりを向上させることができる。また、帯状材からなる極板材料1000を順次一回切断することにより、一枚の極板1を得ることができるので、生産性を向上させることができる。
【0039】
図5に示すように、本発明のもう一つの実施の形態では、切断線C3(右側の切断線C3)において塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断する。次に、切断線C4に沿ってT字状に切断面を形成して、非塗工領域1200の長さ方向の中央部を切断する。この場合、各極板2を構成する非塗工領域1200の長さだけでなく、幅もほぼ半分になるように非塗工領域部分1210を切り落とす。そして、切断線C3(左側の切断線C3)において塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断する。このようにして極板材料1000を順次、切断することによって、各極板2が形成される。このようにすることにより、幅の狭い非塗工領域を各極板2の端部に形成することができる。なお、極板2は、図1に示すように正極端子30と負極端子40が互いに反対方向に導出された積層型二次電池100だけでなく、正極端子30と負極端子40が同一方向に導出された積層型二次電池にも適用可能である。
【0040】
また、図6に示すように、本発明のもう一つの実施の形態では、切断線C5(右側の切断線C5)において塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断する。次に、切断線C6に沿って幅方向の中央部で段差が形成されるように切断面を形成して、非塗工領域1200の長さ方向の中央部を切断する。この場合、各極板3を構成する非塗工領域1200の端面において、長さb1とb2の差分だけ幅方向の中央部に段差が形成される。そして、切断線C5(左側の切断線C5)において塗工領域1100の長さ方向の中央部を切断する。このようにして極板材料1000を順次、切断することによって、各極板3が形成される。このようにすることにより、段差のある非塗工領域を各極板3の端部に形成することができる。なお、極板3は、図5に示すように形成された極板2と同様に、正極端子30と負極端子40が同一方向に導出された積層型二次電池にも適用可能になるとともに、この極板3を用いると、複数の極板の端部(非塗工領域)を端子に溶接しやすくなる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の積層型二次電池用極板を作製した実施例について説明する。
【0042】
図4に示すように、正極板111の材料である極板材料1000として、アルミニウム箔の両面に正極活物質(リチウム含有酸化物)を含む合材が塗工された塗工領域1100と、合材が塗工されていない非塗工領域1200とが交互に長さ方向に連続して配置されるように間欠塗工した帯状材を作製した。図4において長さ(a)を100mm、長さ(b)を10mmに設定した。
【0043】
また、図4に示すように、負極板121の材料である極板材料1000として、銅箔の両面に負極活物質(カーボン系)を含む合材が塗工された塗工領域1100と、合材が塗工されていない非塗工領域1200とが交互に長さ方向に連続して配置されるように間欠塗工した帯状材を作製した。図4において長さ(a)を110mm、長さ(b)を5mmに設定した。
【0044】
このようにして準備された正極と負極のそれぞれの極板材料1000の塗工領域1100と非塗工領域1200のそれぞれの中央部を、図4に示す切断線C1とC2に沿ってギロチン方式により切断することにより、各極板を作製した。その後、図1〜図3に示すように、複数の正極板11の各々と複数の負極板12の各々が複数のセパレータ13の各々を間に介在して交互に積層されるように配置し、複数の正極板11の端部(非塗工領域)を正極端子30に溶接し、複数の負極板12の端部(非塗工領域)を負極端子40に溶接した後、外装部材20内に封入し、非水電解液を注入し、初充電することにより、積層型二次電池100を作製した。
【0045】
その結果、帯状材からなる極板材料1000から極板1を作製する際に、捨て代が不要となり、製造歩留まりを向上させることができ、材料コストを低減することができた。また、図7に示すように従来の極板材料500では極板51を一枚形成するための切断回数は二回であったのに対し、図4に示すように切断一回で極板1を一枚形成することができ、生産性が向上した。
【0046】
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものであることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の積層型二次電池用極板の製造方法と積層型二次電池用極板材料は、高い製造歩留まりと生産性を有するので、たとえば、リチウムイオン二次電池の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,2,3:極板、100:積層型二次電池、1000:極板材料、1100:塗工領域、1200:非塗工領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質を含む合材が塗工された塗工領域と、合材が塗工されていない非塗工領域とが交互に長さ方向に連続して配置された帯状材を切断することにより極板を製造する積層型二次電池用極板の製造方法において、
前記塗工領域の長さ方向の中央部を切断するステップと、
前記非塗工領域の長さ方向の中央部を切断するステップとを備えたことを特徴とする、積層型二次電池用極板の製造方法。
【請求項2】
前記帯状材の塗工領域の長さが、切断後の前記塗工領域の長さのほぼ2倍である、請求項1に記載の積層型二次電池用極板の製造方法。
【請求項3】
前記帯状材の非塗工領域の長さが、切断後の前記非塗工領域の長さのほぼ2倍である、請求項1または請求項2に記載の積層型二次電池用極板の製造方法。
【請求項4】
活物質を含む合材が塗工された塗工領域と、合材が塗工されていない非塗工領域とが交互に長さ方向に連続して配置された帯状材からなる積層型二次電池用極板材料において、 前記帯状材の塗工領域の長さが、積層型二次電池を構成する単一極板における塗工領域の長さのほぼ2倍であることを特徴とする、積層型二次電池用極板材料。
【請求項5】
前記帯状材の非塗工領域の長さが、積層型二次電池を構成する単一極板における非塗工領域の長さのほぼ2倍である、請求項4に記載の積層型二次電池用極板材料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−34918(P2011−34918A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182551(P2009−182551)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】