説明

積層塑性加工木材

【課題】表層部分における硬度を高めて傷付き易さを解消すると共に、製品化後の木材の周囲環境条件が変化したときでも、歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上できること。
【解決手段】加工前木材1の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された表層材10と、年輪の内側の平面である木表側板目面に、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成した内層材20と、表層材10と内層材20の間に介在し,両者を一体に接合する接着剤とを具備する積層塑性加工木材30において、溝条21の断面形状の深さを内層材20の厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅を1mm乃至10mmの範囲内とし、内層材20の内部応力を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材表面の硬度を選択的に高めた積層塑性加工木材に関し、例えば、床、腰板、テーブルの天板等に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、木材の樹種として、例えば、杉材のように低密度で硬度が不足しているものにあっては、圧縮して高密度化すれば実用に耐え得る高い硬度が得られることで使用範囲が広がることが知られている。また、木材を高密度化する場合には、一般に、木材の性質が変化するとされる圧縮率約50〔%〕以上が目安となる。
【0003】
このような問題に対処するため、木材の表層部分の硬度を高める技術として、特許文献1に開示されたものが知られている。この特許文献1には、圧密化(塑性加工)処理をしない内層材に圧密化処理をした表層材が接着されてなる積層材(積層塑性加工木材)が示されている。
【特許文献1】特開2003−205503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1では、内層材は製材されたままであり、接着剤を用いて接着した表層材の反対側の面には、窪みが形成されているものの、その理由については、特許文献1には記載がない。
特に、特許文献1では、接着後の内層材と表層材とにおける表面の圧縮、膨張率が大きく異なっており、膨張率及び収縮率が接着面で平衡状態にないことから、周囲環境条件の変化によって接着面に大きなストレスがかかり易く歪みが発生して寸法安定性が損なわれ、場合によっては、接着面付近にクラックが入ってしまって形状安定性や商品性が著しく損なわれるという不具合が予測される。
一方、内層材は表層材よりも柔らかいので、緩衝材として使用すると古くからある杉板による床材等に近似した特性となる可能性が予測されるが、しかし、その収縮は木表側が大きく、乾燥収縮した場合には、年輪の逆方向に変形するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、積層された木材の表層部分における硬度を高めて傷付き易さを解消すると共に、製品化後の木材の周囲環境条件が変化したときでも、歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上可能な積層塑性加工木材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の積層塑性加工木材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、前記年輪の外側の木表側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材と、前記表層材と前記内層材の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
ここで、上記表層材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工されたもので、通常、厚みは1mm乃至5mm程度に設定されるが、厳格に1mm乃至5mmを特定するものではなく、概略1mm乃至5mm程度であればよいことを意味する。そして、上記表層材としては、一般に、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された材料が使用される。
また、上記内層材は、前記表層材と接着剤を介在させて一体に接合されるものであり、両表層または片方の表層のみが、圧縮されて塑性加工されたものでもよいし、圧縮されていない木材とすることもできる。そして、前記年輪とは、木口面から見て、質が緻密に形成されている輪状の部分を意味する。いずれにせよ、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至90%以下として、質が緻密な年輪の輪状の一部を切断することで強靭な膨張収縮力を遮断し、製品化後に周囲環境条件が変化したときでも、歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上するものである。通常の乾燥条件では、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至60%以下であればよい。
そして、前記溝条の断面形状の幅は、通常、1mm乃至10mm程度の範囲内に設定され、溝条密度によって任意の値が選択される。また、溝条21の断面形状は、望ましくは、加工し易さから断面略コ字状、略V字状、略U字状等を用いることになるが、それらの断面形状に限定されるものではない。
【0007】
請求項2の積層塑性加工木材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、前記年輪の外側の木裏側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材と、前記表層材と前記内層材の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
ここで、上記表層材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工されたもので、通常、1mm乃至5mm程度に設定されるが、厳格に1mm乃至5mmを特定するものではなく、概略1mm乃至5mm程度であればよいことを意味する。そして、上記表層材としては、一般に、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された材料が使用される。
また、上記内層材は、前記表層材と接着剤を介在させて一体に接合されるものであり、両表層または片方の表層のみが、圧縮されて塑性加工されたものでもよいし、未圧縮の木材とすることもできる。いずれにせよ、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至90%以下として、質が緻密な輪状を切断することで強靭な膨張収縮力を遮断し、製品化後に周囲環境条件が変化したときでも、歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上するものである。そして、前記溝条の断面形状の幅は、通常、1mm乃至10mm程度の範囲内に設定され、溝条密度によって任意の値が選択される。
【0008】
請求項3の積層塑性加工木材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、前記年輪の外側の木表側板目面及び木裏側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材と、前記表層材と前記内層材の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。そして、上記表層材としては、一般に、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された材料が使用される。
ここで、上記表層材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工されたもので、通常、1mm乃至5mm程度に設定されるが、厳格に1mm乃至5mmを特定するものではなく、概略1mm乃至5mm程度であればよいことを意味する。そして、上記表層材としては、一般に、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された材料が使用される。
また、上記内層材は、前記表層材と接着剤を介在させて一体に接合されるものであり、両表層または片方の表層のみが、圧縮されて塑性加工されたものでもよいし、未圧縮の木材とすることもできる。いずれにせよ、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至90%以下として、質が緻密な輪状を切断することで強靭な膨張収縮力を遮断し、製品化後に周囲環境条件が変化したときでも、歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上するものである。
そして、前記溝条の断面形状の幅は、通常、1mm乃至10mm程度の範囲内に設定され、溝条密度によって任意の値が選択される。
【0009】
請求項4の積層塑性加工木材の前記表層材と前記内層材の接合は、1枚の前記内層材を2枚の前記表層材でサンドイッチ構造としたものである。
ここで、前記表層材と前記内層材の接合を、1枚の前記内層材を中心に2枚の前記表層材でサンドイッチ構造とすべく、前記内層材を2枚の前記表層材で挟持できればよい。
【0010】
請求項5の積層塑性加工木材の前記内層材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み方向に塑性加工されてなる木材としたものであるから、前記表層材と前記内層材の接合面を、任意の接合面強度とすることができる。
【0011】
請求項6の積層塑性加工木材は、前記内層材の溝条を形成した側の面に、前記表層材を接合してなるものである。前記内層材と前記表層材は、何れが伸縮、膨張しても、前記内層材の溝条を形成した側の面を干渉に使用することができる。
【0012】
請求項7の積層塑性加工木材は、前記内層材の溝条を形成した反対側の面に、前記表層材を接合してなるものは、前記表層材側の機械的強度を強靭する面接合を行うものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる積層塑性加工木材によれば、材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、前記年輪の外側の木表側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材との間を接着剤で一体に接合し、かつ、前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
したがって、前記内層材は、質が緻密な輪状を切断することで強靭な膨張収縮力を遮断し、製品化後に周囲環境条件が変化したときでも、前記木表側板目面側に膨張収縮が小さく、寸法安定性や形状安定性を向上することができる。また、前記表層材は、その厚みを薄くでき、前記内層材の緩衝機能を引き出すことができる。そして、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至90%以下としているから、前記内層材の内部応力を1mm乃至5mm程度の厚みの表層材との間に発生する歪を吸収し、前記表層材の変形を発生させない対応とすることができる。
【0014】
請求項2にかかる積層塑性加工木材によれば、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、前記年輪の外側の木裏側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材との間を接着剤で一体に接合し、かつ、前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
したがって、前記内層材は、質が緻密な輪状を切断することで強靭な膨張収縮力を木裏側板目面に形成した線状によって遮断し、製品化後に周囲環境条件が変化したときでも、膨張収縮が小さく、寸法安定性や形状安定性を向上することができる。また、前記表層材は、その厚みを薄くでき、前記内層材の緩衝機能を引き出すことができる。そして、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至90%以下としているから、前記内層材の内部応力を1mm乃至5mm程度の厚みの表層材との間に発生する歪を吸収し、前記表層材の変形を発生させない対応とすることができる。
【0015】
請求項3にかかる積層塑性加工木材によれば、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、前記年輪の外側の木表側板目面及び木裏側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材との間を接着剤で接合し、かつ、前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
したがって、前記内層材は、質が緻密な輪状を切断することで強靭な膨張収縮力を木表側板目面及び木裏側板目面に形成した線状によって遮断し、製品化後に周囲環境条件が変化したときでも、膨張収縮が小さく、寸法安定性や形状安定性を向上することができる。また、前記表層材は、その厚みを薄くでき、前記内層材の緩衝機能を引き出すことができる。そして、前記溝条の断面形状の深さを前記内層材の厚みに対して20%以上乃至90%以下としているから、前記内層材の内部応力を1mm乃至5mm程度の厚みの表層材との間に発生する歪を吸収し、前記表層材の変形を発生させない対応とすることができる。前記内層材の内部応力を1mm乃至5mm程度の厚みの表層材で十分対応することができる。
【0016】
請求項4にかかる積層塑性加工木材によれば、前記表層材と前記内層材の接合は、1枚の前記内層材を2枚の前記表層材でサンドイッチ構造としたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、3層構造になるので、機械的に安定した強度とすることができる。
【0017】
請求項5にかかる積層塑性加工木材の前記内層材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み方向に塑性加工されてなる木材としたものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、任意の強度の緩衝強度及び機械的強度を任意に設定することができる。
【0018】
請求項6にかかる積層塑性加工木材は、前記内層材の溝条を形成した側の面に、前記表層材を接合してなるものである。したがって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、前記内層材と前記表層材は、何れが伸縮、膨張しても、前記内層材の溝条を形成した側の面を干渉に使用することができ、前記内層材または前記表層材の一部に大きな歪を形成することがない。
【0019】
請求項7にかかる積層塑性加工木材は、前記内層材の溝条を形成した反対側の面に、前記表層材を接合してなるものである。したがって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、前記表層材側と前記内層材の溝条を形成した反対側の面の接合を行うものであるから、機械的強度を強靭する面接合を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、本実施の形態2以降において、実施の形態1と同一記号または同一符号は、上記実施の形態1と同一または相当する構成部分を示すものであるから、その詳細な説明を省略し、主に相違点のみ説明する。
[実施の形態1]
【0021】
図1は本発明の各実施の形態にかかる積層塑性加工木材を構成するための木材の板目面、柾目面、木口面を示す斜視図、図2は本発明の実施の形態1にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態の表層用塑性加工材の製造に用いられる木材は、表層材10と内層材20を同一樹種とし、前以って所定の寸法(長さ・幅・厚み)に製材され、加工前木材1は年輪の外側の平面となる木表側板目面A、年輪の内側の平面となる木裏側板目面B、2面の木口面C、2面の柾目面Dとからなる。なお、本発明を実施する場合の樹種は、表層材10と内層材20を同一に限定するものではなく、異なった材料とすることもできる。
【0023】
本実施の形態1では、所定の条件に乾燥させた加工前木材1は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工されてなる表層材10を形成している。
また、所定の条件に乾燥させた加工前木材1は、年輪の外側の平面である木表側板目面Aに年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成してなる内層材20を構成している。溝条21の断面形状の深さは、内層材20の厚みに対して20%以上乃至90%以下としたものである。溝条21の断面形状の幅は、通常、1mm乃至10mm程度の範囲内に設定されるが、これは、木表側板目面Aに形成する溝条21の密度によって任意の値が選択される。この値は、発明者らの実験によって求めたものである。2mm前後の板厚の杉材からなる表層材10の部分的強度を上げるには、1mm乃至6mm程度の範囲内に設定するのが望ましい。
【0024】
これら表層材10と内層材20は、その間に接着剤、例えば、水性ビニールウレタン系接着剤(水性高分子イソシアネート系接着剤)を介在させて一体に接合し、本実施の形態1の表層用塑性加工材30を構成している。
【0025】
即ち、本実施の形態にかかる積層塑性加工木材30は、加工前木材1の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された表層材10と、年輪の内側の平面である木表側板目面に、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成した内層材20と、表層材10と内層材20の間に介在し,両者を一体に接合する接着剤とを具備し、溝条21の断面形状の深さは、内層材20の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
【0026】
上述のようにして製造された本実施の形態1にかかる積層塑性加工木材30は、表面に密度の変化した表層材10が形成され、内層材20を内層とし、その間に接着剤を介在させて一体に接合された2層構造にて構成されたものであるから、表面となる表層材10が高密度な塑性加工領域によって表面の傷付き易さが解消される。また、内層材20は年輪の外側の木表側板目面Aに、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成し、しかも、溝条21の断面形状の深さは内層材20の厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものであるから、内層材20の膨張収縮力が減少し、表層材10の強度を左右するだけの影響力を持たなくなるから、表層材10とのバランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。
【0027】
そして、複数の積層塑性加工木材30を厚みの側面方向に横継ぎ接合し、大きな幅寸法の体育館等の床を張る場合、それら積層塑性加工木材30を構成する表層材10に対して内層材20の膨張率及び収縮率の影響をなくすことができるため接合面にストレスがかかることはなく、浮き上がり、割れ等の発生を防止することができる。
【0028】
更に、積層塑性加工木材30を構成する内層材20は、厚み全体が塑性加工されておらず、元の木材の性質を保ったままであることから、例えば、木材本来の緩衝、防音効果や断熱効果を兼ね備えたものとなる。そして、積層塑性加工木材30を構成する表層材10は、加工前木材1に比べて硬度が非常に高く、十分な表面硬度を備えており、高度の高めた材料として提供することができる。
[実施の形態2]
【0029】
次に、実施の形態2について、図3に示す断面図を参照して説明する。図3は本発明の実施の形態2にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
実施の形態2にかかる積層塑性加工木材30は、加工前木材1の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された表層材10と、年輪の内側の平面である木裏側板目面Bに、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成した内層材20と、表層材10と内層材20の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、溝条21の断面形状の深さは、内層材20の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
【0030】
上述のようにして製造された本実施の形態2にかかる積層塑性加工木材30は、表面に密度の変化した表層材10が形成され、内層材20を下部層とし、その間に接着剤を介在させて一体に接合された2層構造にて構成されたものであるから、表面となる表層材10が高密度な塑性加工領域によって表面の傷付き易さが解消される。また、内層材20は年輪の外側の木裏側板目面Bに、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成し、しかも、溝条21の断面形状の深さは内層材20の厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものであるから、内層材20の膨張収縮力が減少し、表層材10の強度を左右するだけの影響力を持たなくなるから、表層材10とのバランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。
【0031】
そして、複数の積層塑性加工木材30を厚みの側面方向に横継ぎ接合し、大きな幅寸法の床を製造する場合、それら積層塑性加工木材30を構成する表層材10に対して内層材20の膨張率及び収縮率の影響をなくすことができるため接合面にストレスがかかることがなく、浮き上がり、割れ等の発生を防止することができる。
【0032】
更に、積層塑性加工木材30を構成する内層材20は、厚み全体が塑性加工されておらず、元の木材の性質を保ったままであることから、例えば、木材本来の緩衝、防音効果や断熱効果を兼ね備えたものとなる。そして、積層塑性加工木材30を構成する表層材10は、加工前木材1に比べて硬度が非常に高くなっており、例えば、十分な表面硬度を備えており、内層材20を高度の高めた材料として提供することができる。
[実施の形態3]
【0033】
次に、実施の形態3について、図4に示す断面図を参照して説明する。図4は本発明の実施の形態3にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
実施の形態3にかかる積層塑性加工木材30は、加工前木材1の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された表層材10と、年輪の外側の平面である木表側板目面A及び年輪の内側の平面である木裏側板目面Bに、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成した内層材20と、表層材10と内層材20の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、溝条21の断面形状の深さは、内層材20の厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅を1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
【0034】
上述のようにして製造された本実施の形態3にかかる積層塑性加工木材30は、表面に密度の変化した表層材10が形成され、内層材20を下部層とし、その間に接着剤を介在させて一体に接合された2層構造にて構成されたものであるから、表面となる表層材10が高密度な塑性加工領域によって表面の傷付き易さが解消される。また、内層材20は年輪の外側の平面である木表側板目面A及び年輪の内側の平面である木裏側板目面Bに、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成し、しかも、溝条21の断面形状の深さは内層材20の厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものであるから、内層材20の膨張収縮力が減少し、表層材10の強度を左右するだけの影響力を持たなくなるから、表層材10とのバランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。特に、内層材20は年輪の外側の平面である木表側板目面A及び年輪の内側の平面である木裏側板目面Bに溝条21を設けているから、内層材20で発生する歪を最小限とし、表層材10の変化を適当に規制するように作用するから、複数の積層塑性加工木材30を厚みの側面方向に横継ぎ接合し、大きな幅寸法の床として施工する場合、それら積層塑性加工木材30を構成する表層材10に対して内層材20の膨張率及び収縮率の影響をなくすことができるため接合面にストレスがかかることはなく、浮き上がり、割れ等の発生を防止することができる。特に、内層材20の中心部の変化を内層材20の上層及び下層で吸収できる。
【0035】
更に、積層塑性加工木材30を構成する内層材20は、厚み全体が塑性加工されておらず、元の木材の性質を保ったままであることから、例えば、木材本来の緩衝、防音効果や断熱効果を兼ね備えたものとなる。そして、積層塑性加工木材30を構成する表層材10は、加工前木材1に比べて硬度が非常に高くなっており、例えば、十分な表面硬度を備えており、内層材20を高度の高めた材料として提供することができる。
[実施の形態4]
【0036】
上記実施の形態では、表層材10と内層材20が各1枚について説明した。しかし、前記表層材10を2枚とすることもできる。
図5は本発明の実施の形態4にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
即ち、実施の形態4に示すように、表層材10と内層材20の接合は、1枚の内層材20を2枚の表層材10でサンドイッチ構造とすることができる。
この実施の形態においても、実施の形態1乃至3と同様の効果を奏するが、特に、本実施の形態4では、仮に、内層材20自体の伸縮が発生しても、その両面の溝条21によって、外部に出ることなく溝条21で吸収され、表層材10にまでその影響を与えることがない。加えて、例えば、床材等として使用する場合においても、積層塑性加工木材30の表裏を問うことなく使用できる。
[実施の形態5]
【0037】
図6は本発明の実施の形態5にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
図6において、内層材20Aの表層材10側の上面の表面から内側に高密度な塑性加工領域が部分的に形成され、その片面に対して、厚み全体に高密度な塑性加工領域が形成された表層材10を接着剤によって一体に接合され、表層材10側を製品表面に用いることによって、表面における傷付き易さが解消するものである。
【0038】
そして、内層材20Aは年輪の外側の平面である圧密加工した木表側板目面Aに溝条21を設けているから、内層材20Aで発生する歪を最小限とし、表層材10の変化を適当に規制するように作用するから、内層材20Aの歪発生が少なくなる。
この場合において、表層材10と内層材20Aとの接合面には、表層材10の表面から内側には共に高密度な塑性加工領域が形成されていることで、内層材20Aの表裏面のバランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。そして、内層材20Aの片面に対する表層材10の圧縮加工方向を同一とする接合では、表層材10と内層材20Aとの互いの平面性がよいため安定した接合性が確保される。
[実施の形態6]
【0039】
図7は本発明の実施の形態6にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
図7において、内層材20Aの表層材10の反対に位置する下面の表面から内側に高密度な塑性加工領域が部分的に形成され、その上面に対して、厚み全体に高密度な塑性加工領域が形成された表層材10を接着剤によって一体に接合され、表層材10側を製品表面に用いることによって、表面における傷付き易さが解消するものである。
【0040】
そして、内層材20Aは年輪の内側の平面である圧密加工した木裏側板目面Bに溝条21を設けているから、内層材20Aで発生する歪を木裏側板目面B側の溝条21で吸収し、最小限とし、表層材10の変化を適当に規制するように作用するから、表層材10を彎曲させる方向の力が発生せず、内層材20Aで発生する歪を最小限とし、表層材10の変化を適当に規制するから、内層材20Aの歪発生が少なくなる。
この場合において、高密度な塑性加工領域を持つ表層材10と内層材20Aの圧密加工されていない箇所とが接合され、内層材20Aの圧密加工されていない箇所が緩衝し、バランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。
[実施の形態7]
【0041】
図8は本発明の実施の形態7にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
図8において、実施の形態7にかかる積層塑性加工木材30は、加工前木材1の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された表層材10と、年輪の外側の平面である木表側板目面A及び年輪の内側の平面である木裏側板目面B側の密度を高くし、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成した内層材20Aと、表層材10と内層材20Aの間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、溝条21の断面形状の深さは、内層材20Aの厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものである。
【0042】
上述のようにして製造された本実施の形態7にかかる積層塑性加工木材30は、両面に圧密加工した表層材10が形成され、内層材20Aを内層とし、その間に接着剤を介在させて一体に接合された2層構造にて構成されたものであるから、両表面となる表層材10が高密度な塑性加工領域によって表面の傷付き易さが解消される。また、内層材20Aは年輪の外側の平面である木表側板目面A側に、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成し、しかも、溝条21の断面形状の深さは内層材20Aの厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものであるから、内層材20Aの膨張収縮力が減少し、表層材10の強度を左右するだけの影響力を持たなくなるから、表層材10とのバランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。特に、内層材20Aは年輪の外側の平面である木表側板目面Aに溝条21を設けているから、内層材20Aで発生する歪を最小限とし、表層材10の変化を適当に規制するように作用するから、複数の積層塑性加工木材30を厚みの側面方向に横継ぎ接合し、大きな幅寸法の床を製造する場合、それら積層塑性加工木材30を構成する表層材10に対して内層材20Aの膨張率及び収縮率の影響をなくすことができるため接合面にストレスがかかることはなく、割れ等の発生を防止することができる。特に、内層材20Aの中心部の変化を内層材20Aの上層及び下層で吸収できる。
【0043】
更に、積層塑性加工木材30を構成する内層材20Aは、厚み全体が塑性加工されておらず、元の木材の性質を保ったままであることから、例えば、木材本来の緩衝、防音効果や断熱効果を兼ね備えたものとなる。そして、積層塑性加工木材30を構成する表層材10は、加工前木材1に比べて硬度が非常に高くなっており、例えば、十分な表面硬度を備えており、内層材20Aを高度の高めた材料として提供することができる。
【0044】
図9は本発明の実施の形態8にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
図9において、実施の形態8にかかる積層塑性加工木材30は、両面に圧密加工した表層材10が形成され、内層材20Aを内層とし、その間に接着剤を介在させて一体に接合された2層構造にて構成されたものであり、内層材20Aは年輪の外側の平面である木表側板目面A側及び年輪の内側の平面である木裏側板目面B側に、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成し、しかも、溝条21の断面形状の深さは内層材20Aの厚みに対して20%以上乃至90%以下とし、溝条21の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたものであるから、内層材20Aの膨張収縮力が減少し、表層材10の強度を左右するだけの影響力を持たなくなるから、表層材10とのバランスがよく周囲環境条件が変化したときの歪みの発生がなく寸法安定性が向上される。特に、内層材20Aは年輪の外側の平面である木表側板目面A及び年輪の内側の平面である木裏側板目面B側に溝条21を設けているから、内層材20Aで発生する歪を最小限とし、表層材10の変化を適当に規制するように作用するから、複数の積層塑性加工木材30を厚みの側面方向に横継ぎ接合し、体育館、ホール等の大きな幅寸法の床を製造する場合、それら積層塑性加工木材30を構成する表層材10に対して内層材20Aの膨張率及び収縮率の影響をなくすことができ、接合面にストレスがかかることはなく、割れ等の発生を防止することができる。特に、内層材20Aの中心部の変化を内層材20Aの上層及び下層で吸収できる。
【0045】
更に、積層塑性加工木材30を構成する内層材20Aは、厚み全体が塑性加工されておらず、元の木材の性質を保ったままであることから、例えば、木材本来の緩衝、防音効果や断熱効果を兼ね備えたものとなる。そして、積層塑性加工木材30を構成する表層材10は、加工前木材1に比べて硬度が非常に高くなっており、例えば、十分な表面硬度を備えており、内層材20Aを高度の高めた材料として提供することができる。
【0046】
ところで、上記実施の形態では、表層材10として厚み全体が塑性加工されているもので説明したが、本発明を実施する場合には、一方の面側または両方の面側の密度を高くして、使用することもできる。しかし、全体の厚みが、概略1mm乃至5mm程度であることから、その違いは殆ど確認できなかった。したがって、本発明を実施する場合には、表層材10として厚み全体が塑性加工されたもの、或いは、部分的に塑性加工されたもの、塑性加工されていないものとしての態様がある。何れにせよ、表層材10としては、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み方向に圧縮した塑性加工したものであれば、結果的に木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率がほぼ均一に塑性加工された表層材となり、本発明の効果を奏するものである。
【0047】
また、上記実施の形態では表層材10として、概略1mm乃至5mm程度の厚みで説明したが、表層材10の5mm以下の厚みでは、積層された木材の表層部分における硬度を高めて、傷付き易さを解消し、製品化後の木材の周囲環境条件が変化したときには、内層材20,20Aがその厚みに関係なく環境条件によって変形しようとするが、その歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上させることができ、本発明は表層材10の厚みが5mm以上のものにも適用できることは明らかである。
【0048】
そして、上記実施の形態では、内層材20,20Aとして、年輪の外側の木表側板目面A及び/または木裏側板目面Bに、年輪を切断する所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成したものであるが、本発明を実施する場合には、内層材30として厚み全体が塑性加工されたもの、或いは、部分的に塑性加工されたもの、塑性加工されていないものとしての態様がある。
【0049】
更に、密度の濃い部分である年輪の切断は、所定の断面形状の溝条21を木材の木目の長さ方向に形成したものであり、年輪の密度の低いものは、溝条21の断面形状の深さが内層材20,20Aの厚みに対して20%以上乃至90%以下、溝条21の断面形状の幅が1mm乃至10mmの範囲内とした条件で切断されないものであり、製品化後の木材の周囲環境条件が変化したときでも、歪みの発生をなくし寸法安定性や形状安定性を向上させる必要のないものである。
【0050】
本発明によれば、本来、杉材等で軽軟な木質材を原材料として使用でき、元の木材に対する表層材10のみの硬度が大きく向上され、傷の付き難い積層塑性加工木材30を構成することができる。そこで、本発明の積層塑性加工木材30を用いることは、それ程厚みを必要とされない床材や腰板材や屋内家具材、表面塗装して使用する住宅用外装材、学童机やテーブルの天板、扉等の厚みを必要とされるものに有効であり、広範な用途に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は本発明の各実施の形態にかかる積層塑性加工木材を構成するための木材の板目面、柾目面、木口面を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態2にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態3にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態4にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態5にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態6にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態7にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態8にかかる積層塑性加工木材の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
A 木表側板目面
B 木裏側板目面
1 加工前木材
10 表層材
20 内層材
20A 内層材(圧密加工内層材)
21 所定の断面形状の溝条
30 積層塑性加工木材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、
前記年輪の外側の木表側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材と、
前記表層材と前記内層材の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、
前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたことを特徴とする積層塑性加工木材。
【請求項2】
木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、
前記年輪の外側の木裏側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材と、
前記表層材と前記内層材の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、
前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたことを特徴とする積層塑性加工木材。
【請求項3】
木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み全体に圧縮率が加えられて塑性加工された表層材と、
前記年輪の外側の木表側板目面及び木裏側板目面に、前記年輪を切断する所定の断面形状の溝条を木材の木目の長さ方向に形成した内層材と、
前記表層材と前記内層材の間に介在し、両者を一体に接合する接着剤とを具備し、
前記溝条の断面形状の深さは、前記内層材の厚みに対して、20%以上乃至90%以下とし、前記溝条の断面形状の幅は、1mm乃至10mmの範囲内としたことを特徴とする積層塑性加工木材。
【請求項4】
前記表層材と前記内層材の接合は、1枚の前記内層材を2枚の前記表層材でサンドイッチ構造としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の積層塑性加工木材。
【請求項5】
前記内層材は、木材の木目の長さ方向に対して垂直方向の加熱圧縮により、厚み方向に塑性加工されてなる木材としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の積層塑性加工木材。
【請求項6】
前記内層材の溝条を形成した側の面に、前記表層材を接合してなることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の積層塑性加工木材。
【請求項7】
前記内層材の溝条を形成した反対側の面に、前記表層材を接合してなることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の積層塑性加工木材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−301885(P2007−301885A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133756(P2006−133756)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(501115689)マイウッド・ツー株式会社 (16)
【Fターム(参考)】