説明

積木

【課題】 本発明の目的は、高齢者であっても容易に様々な態様の造形物を作成することが可能である積木を提供する。
【解決手段】 複数の中実のブロック単体10を組み合わせてなる積木であって、少なくとも一つのブロック単体10には、このブロック単体10の本体aを貫通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積木に関し、特に、高齢者に使用される積木に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、積木遊びは、立方体や角柱体等の形状に形成されたブロック単体を上方に積み上げ、作り手の発想の元に所望の形を作っていくものであり、児童の知能の育成や思考の強化に役立つと言われている。
そして、児童だけでなく、高齢者にとっても、積木遊びのように指先を使った動作を行うことは健康に良いとされている。
【0003】
積木は、作り手の自由な発想力によって遊べる玩具であり、特別なルールもないため、高齢者にも馴染みやすく、楽しく遊ぶことが可能である。
積木で遊ぶうちに、知らず知らずのうちに訓練になるために、高齢者は苦痛を感じることなくトレーニングを行うことができる。また、積木は想像力を要する玩具であるため、高齢者の脳の活性化にも適した玩具である。
【0004】
なお、積木のなかには、単にブロック単体を積み上げるだけでなく、より楽しく遊べる工夫が成された積木が知られている。
例えば、特許文献1には、ブロック単体(本体)に突起部と穴を設け、突起部と穴を係合させることにより、複数のブロック単体を連結させることが可能な積木が開示されている。
【0005】
【特許文献1】実願昭61−55274(実開昭62−180498)の明細書及び図面(第1図)
【0006】
或いは、特許文献2に開示されているように、凹多面体と凸多面体のブロック単体を組み合わせて、動物や家具など様々な造形物を作成する積木玩具が知られている。
【0007】
【特許文献1】実公平3−36397号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示された積木によれば、単に並べたり積んだりする遊び方に加えて、ブロック単体を連結させるという要素が加わり、またブロック単体本体の外観にも迫力が出て、より楽しい遊びを提供することが可能となる。
また、特許文献2に開示された積木によれば、自由な造形を行うことによって、想像力が育成され、思考の強化を行うことが可能となる。
【0009】
しかし、上記特許文献1に開示された積木は、全て同一の立体形状に形成されており、連結する方向も縦方向または横方向のみであり、多様な形状の造形物を形成するには限りがあるという不都合があった。
【0010】
上記特許文献2に開示された積木によれば、豊富なバリエーションの造形物を形成することが可能である。しかし、それぞれのブロック単体は幾何学形であり、ブロック単体の個々の外観は、何の形状も示唆しないものである。したがって、このようなブロック単体からイメージを膨らませ、これらを組み合わせて、何らかの造形物を形成するのは、高齢者には難しいという不都合があった。
【0011】
また、ブロック単体のなかには、口に入ってしまう大きさのものがある。そして、高齢者が使用した場合、それを口にしてしまうおそれもあり、工夫が必要であった。
【0012】
本発明の目的は、高齢者であっても容易に様々な態様の造形物を作成することが可能な積木を提供することにある。
本発明の他の目的は、高齢者にとって取り扱いやすく、安心して遊ぶことが可能な積木を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、請求項1に係る積木によれば、複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の本体を貫通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられた、ことにより解決される。
【0014】
請求項1に係る積木によれば、ブロック単体の本体を貫通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられており、この空気穴によって、使用者がブロック単体を口にした場合であっても、使用者の呼吸を確保することが可能である。
孔径3mm以上5mm以下は高齢者のように、体が弱く、比較的呼吸の少ない人の呼吸を確実に確保できる大きさである。孔径が3mmより小さいと呼吸が確保しにくくなるため、上記範囲内の大きさで作成することが好ましい。
また、孔径が5mmより大きくなると、ブロック単体から突起が突出している場合に、この突起部分に空気穴が設けられたとき、突起部分の強度が低下するため、上記範囲内の大きさで作成することが好ましい。
【0015】
前記課題は、請求項2に係る積木によれば、複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の外面から突出する突起と、前記ブロック単体の本体または前記ブロック単体の本体及び突起を貫通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられた、ことにより解決される。
【0016】
請求項2に係る積木によれば、ブロック単体の外面から突出する突起を備えており、この突起は、他の物体への連結機能を有する。
さらに、ブロック単体の本体またはブロック単体の本体及び突起を貫通する空気穴が設けられており、この空気穴は、使用者がブロック単体を口にした場合であっても、使用者の呼吸を確保する機能を有する。
【0017】
前記課題は、請求項3に係る積木によれば、複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の外面に開口する孔が設けられ、前記ブロック単体の本体を貫通し且つ前記孔に連通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられた、ことにより解決される。
【0018】
請求項3に係る積木によれば、ブロック単体に孔が設けられており、この孔は、他の物体に設けられた突起との連結機能を有する。
さらに、ブロック単体の本体を貫通し前記孔に連通する空気穴が設けられており、使用者がブロック単体を口にした場合であっても、使用者の呼吸を確保する機能を有する。
【0019】
前記課題は、請求項4に係る積木によれば、複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の外面から突出する突起と、前記ブロック単体の外面に開口する孔を備え、少なくとも前記ブロック単体の本体を貫通し且つ前記孔に連通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられた、ことにより解決される。
【0020】
請求項4に係る積木によれば、ブロック単体の外面から突出する突起と、この突起に嵌合可能な孔を備えており、突起と孔を嵌合させることにより、複数のブロック単体を連結させる機能を有する。
さらに、ブロック単体の本体またはブロック単体の本体及び突起を貫通し、孔に連通する空気穴が設けられ、使用者がブロック単体を口にした場合であっても、使用者の呼吸を確保する機能を有する。
【0021】
前記空気穴は複数設けられていると好適である。或いは、前記複数の空気穴は互いに異なる方向を向いて形成されていると好適である。さらに、前記孔は複数設けられ、前記空気穴は前記複数の孔の少なくとも一つに連通していると好適である。
上記構成により、万一、使用者がブロック単体を口にほおばってしまった場合に、ブロック単体がどのような向きで口に入ったとしても、いずれかの空気穴や孔が外部に通じているので、使用者の呼吸が確実に確保される。
【0022】
さらに、ブロック単体は、半球体形状、円柱形状、木の葉形状、直方体形状、円錐形状、上部が平らな円錐形状、コイン形状、直方体の一部に膨出部が形成された形状、棒形状の各形状を含んで形成されている。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の積木は複数のブロック単体からなり、このブロック単体には、外面から突出する突起や、この突起に嵌合可能な孔が設けられており、突起と孔を利用してブロック単体を連結させ、様々な形状の造形物を簡単に作成することが可能である。
【0024】
ブロック単体は、半球体形状、円柱形状、木の葉形状、直方体形状、円錐形状、上部が平らな円錐形状、コイン形状、直方体の一部に突出部が形成された形状、棒形状の各形状に形成されており、従来の幾何学形のものよりも、使用者のイメージを呼び起こし易いフォルムを有している。
したがって、使用者はブロック単体の形状から呼び起こされるイメージと、自らのイメージを繋げることにより、指先、視覚、想像力を活発に働かせて造形物を作成し、さらにイメージを次々に発展させることが可能となる。
【0025】
さらに、ブロック単体は空気穴を備えているので、使用者がブロック単体を口にした場合でも、この空気穴により呼吸を確保することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。図1乃至図10はブロック単体の例を示す斜視図、図11及び図12はブロック単体を組み合わせて形成された造形物を示す説明図である。
【0027】
本実施形態の積木は、複数種類のブロック単体10から構成されている。ブロック単体10は、木製または樹脂製であり、中実に形成されている。
【0028】
ブロック単体10は、例えば、図4に示すように、外面から突出する突起11を備えたもの、図1に示すようにブロック単体の外面に開口部12aを有する孔12を備えたもの、図2に示すように突起11と孔12を両方備えたもの、図6に示すように突起11も孔12も備えていないものから構成されている。突起11と孔12は、互いに係合可能な大きさに形成されている。
【0029】
突起11は、ブロック単体10と一体または別体に形成されている。突起11を別体に設ける場合は、図2に示すように、ブロック単体10に突起11の配設穴11aを設けておき、この配設穴11aへ柱状の突起11を差し込んで固定させる。
【0030】
本例では、突起11は円柱形状に形成されている。なお、円柱ではなく、角柱や多角柱であっても良い。或いは、断面星形、断面花形等、複雑な形状の柱状としても良い。
【0031】
孔12は、ブロック単体10の外面に、少なくとも一つの開口部12aを有して形成されている。例えば、角柱ブロックCであれば、図3に示すように、二方向に開口部12aを有する孔12と、三方向に開口部12aを有する孔12´が設けられている。
或いは、半球体ブロックAであれば、図1に示すように、一つの開口部12aを有する孔12が設けられている。
【0032】
本例の積木は、特に人間の口に入る可能性のある、比較的小さめのブロック単体10について、空気穴13が設けられている。空気穴13は、使用者が誤ってブロック単体10を口にほおばってしまったときに、空気穴13から空気を取り込んだり、排出することにより、呼吸を確保するものである。
【0033】
空気穴は、孔径3mm以上5mm以下、好ましくは孔径4mmに形成されている。孔径4mmは高齢者のように、体が弱く、比較的呼吸の少ない人の呼吸を確実に確保できる大きさである。孔径が3mmより小さいと呼吸が確保しにくくなり、孔径が5mmより大きくなると、空気穴13を突起11に設けた場合、突起11の強度が低下するため、上記範囲内の大きさで作成することが好ましい。
【0034】
空気穴13は、ブロック単体10の本体部を貫通して形成されている。或いは、本体部と突起11を貫通して形成されている。また、ブロック単体10に孔12が設けられている場合、空気穴13は孔12に連通して形成されている。
【0035】
なお、本例のブロック単体10は、足の上に落下させても怪我をしない重量に形成されている。
具体的には、160g以下に形成されている。
【0036】
本例のブロック単体10は、半球体形状を有する半球体ブロックAと、円柱形状を有する円柱ブロックBと、角柱形状を有する角柱ブロックCと、木の葉形状を有する木の葉ブロックDと、直方体形状を有する角形ブロックEと、先端の尖った円錐形状を有する第1の円錐ブロックFと、上部が平らな円錐形状を有する第2の円錐ブロックGと、本体部がコイン形状であるコイン形ブロックHと、直方体の一部に膨出部が形成された形状を有する多角形ブロックIと、棒形ブロックJとを備えている。
【0037】
本例の積木は、上記のように様々な形状に形成され、特に木の葉ブロックDや、第1の円錐ブロックFは、先端が尖った形状に形成されていたり、突起11を備えており、高齢者が使用したときに、手への刺激が行われるように工夫がなされている。
【0038】
本例の積木は、上記のように、主に幾何学形ではないブロック単体10から構成されている。ブロック単体10は、例えば木の葉ブロックDのように、単体で見たときであっても、何らかのイメージを発想し易い、サイン性に富んだ形状に形成されている。
また、本例のブロック単体10は、黄色、ピンク色、赤色、緑色など、多色にカラーリングされており、外観意匠性に優れている。このため、ブロック単体10の組合せによる造形物の外観も美しいものとなり、使用者の達成感、満足感が充足される。
【0039】
さらに、ブロック単体10は突起11と孔12を備えており、これらを合致させてみようという使用者の遊び行為が誘発される。
本例の積木は、使用者がブロック単体10を見たときに、やってみようという動機付けがされ易く、スムーズに遊びに入っていくことが可能である。そして、自然に使用者の意欲や能力を引き出すことが可能である。
【0040】
また、本例のブロック単体10は、ブロック単体10同士が組み付けられたとき、単に積み重ねられたり連結されるのではなく、組合せによりさらに様々な形が形成されるため、使用者は創造される造形物により自らの物語を展開しながら、積木遊びを進めていくことができる。
【0041】
本例の積木は、ブロック単体10を積み重ねたり、突起11と孔12を利用してブロック単体10を組み合わせることにより、高齢者であっても簡単に、何等かのイメージを持った造形物を作成することができるので、例えば回想法の用具としても好適に活用することが可能である。
【0042】
回想法とは、絵や造形物のイメージから、かつてその人が経験したことを再生することにより、高齢者の脳の活性化を図る療法である。例えば、使用者が鳥を創ったときに、その人に鳥にまつわる話をしてもらったり、子供の形を創って、子育て中の話をしてもらったりする。
高齢者は、指先の運動を行いながら、過去の経験について思いを巡らせることになり、脳の活性化により高い効果が期待できる。
【0043】
本例の積木は、孔12に突起11を嵌合させたり、ブロック単体10を積み重ねたり、孔12に棒状ブロックJを嵌合させたり等、組合せが自由であり、形状や組み付け方に縛られることがないため、その人の能力なりに遊ぶことができる。
また、ブロック単体10は様々な形状をしているので、置き方や組み合わせ方により、使用者の意図しない意外な形になることもある。
【0044】
また、本例のブロック単体10は、積み重ねたり、突起11と孔12を係合させるだけで組み付けることができるため、ブロック単体10の増減が容易である。したがって、使用者のイメージの変化や、使用者が創造する物語の進行に従って、造形物の形状を容易に変化させることが可能である。このように、本例の積木は、創って行く工程に自由性、意外性があり、自己表現性に富んだものとなっている。
【0045】
また、手本があってその模倣を構成するような遊び方をする場合にも、本例の積木は、ブロック単体10の組み付け方が簡単且つシンプルであるため、高齢者であっても対応可能である。
使用者は、手本を模倣することで、ブロック単体10の仕組みと面白さを理解し、さらに多様な造形物を創造することが可能になる。
【0046】
以下、ブロック単体10の個々の形状及び構成について、より詳細に説明する。
半球体ブロックAは、図1に示すように、半球形状の本体部aと、孔12を備えて構成されており、本体部aを貫通して、孔12に連通する空気穴13が形成されている。
半球体ブロックAからは、図1に示す状態であれば帽子や押しボタンがイメージされる。また、図12に示すように、逆さまにすると、人の顔として用いることができる。
【0047】
円柱ブロックBは、図2に示すように、円柱形状の本体部bと、突起11と、二方向に開口部12aを有する孔12を備えて構成されている。孔12は二箇所に形成されている。
この円柱ブロックBに空気穴13を設ける場合は、突起11を貫通して、一方の孔12に連通させて形成する。
なお、突起11を設けない構成としても良い。円柱ブロックBからは、例えば人や動物の胴体、飲み物のボトルがイメージされる。また、サイズが小さいものであれば、人や動物の手足として使用することが想定される。
【0048】
角柱ブロックCは、図3に示すように、角柱形状の本体部c1と、突起11と、二方向に開口部12aを有する孔12と、三方向に開口部12aを有する孔12´とを備えて構成されている。
この角柱ブロックCに空気穴13を設ける場合は、突起11を貫通して、一方の孔12に連通させて形成する。角柱ブロックCは、万一口にした場合でも、口腔内に納まる形状をしていないため、空気穴13を設けない構成としても良い。
なお、突起11を設けない構成としても良い。角柱ブロックCからは、例えば人や動物の胴体、建物、煙突がイメージされる。また、サイズが小さいものであれば、人や動物の手足として使用することが想定される。
【0049】
木の葉ブロックDは、図4に示すように、リーフ形状の本体部dと、突起11を備えて構成されており、本体部dと突起11を貫通して、空気穴13が形成されている。なお、木の葉ブロックDは、万一口にした場合でも、口腔内に納まる形状をしていないため、空気穴13を設けない構成としても良い。
木の葉ブロックDは、先端が尖った形状に形成されている。
木の葉ブロックDからは、形状通り木の葉がイメージされる。その他、人の手足や、図13に示すように、鶏のとさかがイメージされることも想定される。
【0050】
図5及び図6は角形ブロックEを示すものである。図5及び図6に示すように、角形ブロックEには大小2種類があり、図5に示す大きい方の角形ブロックEには、孔12が三箇所に設けられている。孔12は角形ブロックを貫通して設けられている。
大きい方の角形ブロックEからは、例えば横長にして見たときと、縦長にして見たときとで、別のものがイメージされる。横長にして見たときは、例えば両側の孔12を目に見立て、中央の孔12を鼻に見立てて、人の顔がイメージされる。
或いは、縦長にして見たときは、例えばボタンが3つ並んだ洋服がイメージされる。また、この角形ブロックEは、横置きにして、3つ並んだ孔12を利用し、台座として使用されることも想定される。
【0051】
図6に示す小さい方の角形ブロックEは、直方体の本体部eから構成されており、本体部eを貫通して、空気穴13が形成されている。なお、角形ブロックEは、万一口にした場合でも、口腔内に納まる形状をしていないため、空気穴13を設けない構成としても良い。
小さい方の角形ブロックEは、容易に何らかのイメージを呼び起こすような特殊な形状はしていないが、他のブロック単体10と組み合わせられて、例えば人や動物の足として使用することが想定される。
【0052】
第1の円錐ブロックFは、図7に示すように、円錐形の本体部fと、突起11を備えて構成されており、本体部fと突起11を貫通して、空気穴13が形成されている。
第1の円錐ブロックFは、先端が尖った形状に形成されている。
円錐ブロックGからは、例えば帽子,樹木,植物がイメージされる。
【0053】
第2の円錐ブロックGは、図8に示すように、上方が平らな円錐形の本体部gと、3箇所に開口部12aを有する開口部12を備えて構成されている。
第2の円錐ブロックGからは、例えばワンピースやスカートなどの衣服や、或いは山がイメージされる。
【0054】
コイン形ブロックHは、図9に示すように、円盤形状の本体部hを備えている。そして、本体部hの両面には、突起11が設けられている。そして、本体部hと突起11を貫通して、空気穴13が形成されている。
コイン形ブロックHは、何らかのイメージを呼び起こすような特殊な形状はしていないが、他のブロック単体10と組み合わせ易いため、他のブロック単体10に取り付けられたり、挟まれたりして使用される。
【0055】
多角形ブロックIは、図10に示すように、突出部が形成された角柱形状の本体部iと、二方向に開口部12aを有する孔12と、三方向に開口部12aを有する孔12´を備えて構成されている。
多角形ブロックIは、直方体の一部に、膨出部14を設けた形状に形成されている。本例の多角形ブロックIでは、膨出部14は先端が尖った、断面略三角形の形状に形成されている。
なお、膨出部14を、断面略半円形の丸みを帯びた形状としても良い。或いは、断面矩形の膨出部であっても良い。
【0056】
この多角形ブロックIに空気穴13を設ける場合は、本体部iを貫通して、一方の孔12に連通させて形成する。
なお、多角形ブロックIのいずれかの面に、突起11を設けた構成としても良い。
多角形ブロックIは、例えば横に置いた場合と、縦に置いた場合とで、別のものがイメージされると想定される。
横に置いたときは例えば、三角屋根の家がイメージされる。縦に置いたときは例えばくちばしの有る鳥の頭がイメージされる。
【0057】
棒形ブロックJは、図11に示すように、棒形状の本体部jを備えて構成されており、本体部jを貫通して、空気穴13が形成されている。
棒形ブロックJは、何らかのイメージを呼び起こすような特殊な形状はしていないが、他のブロック単体10と組み合わせ易いため、他のブロック単体10の孔12に差し込まれて使用される。
【0058】
ブロック単体10の形状は、上記形状に限るものではなく、他の形状であっても良い。
このとき、例えば、球形、星形、花形、鈎形、アーチ形、ドーナツ形等、使用者のイメージを呼び起こし易いフォルムを有していることが望ましい。
また、上記実施例において、突起11や孔12を備えていない構成であるブロック単体10に、突起11や孔12を設けた構成としても良い。
或いは、突起11または孔12を備えているブロック単体10について、突起11または孔12を設けない構成としても良い。
【0059】
図12及び図13は、上記各種のブロック単体10を組み合わせて作成された、造形物の一例を示すものである。
図12は、上方から順に、第1の円錐ブロックF、半球体ブロックA、第2の円錐ブロックG、一対の木の葉ブロックD、小さめの角形ブロックEから構成されており、人形をイメージした造形物が形成されている。
【0060】
第1の円錐ブロックFは人形の帽子を表し、半球体ブロックAは人形の顔を表し、第2の円錐ブロックGは人形の洋服を表し、一対の木の葉ブロックDは人形の手を表し、小さめの角形ブロックEは人形の足を表している。
【0061】
この造形物の組み立ては、例えば次の手順で行う。先ず、第1の円錐ブロックFの突起11を、半球体ブロックAの孔12に係合させて、人形の頭部を形成する。次に、第2の円錐ブロックGの孔12に、半球体ブロックAを載置する。
【0062】
さらに、第2の円錐ブロックGの左右の孔12に、木の葉ブロックDをそれぞれ係合させる。最後に、一対の角形ブロックEの上に、第2の円錐ブロックGを載置する。
【0063】
なお、上記手順は一例である。使用者は、いろいろな形のブロック単体10を手に取り、その形からイメージを膨らませ、積み重ねたり、孔12に突起11を差し込んで連結させたりして、全体の形状が変化していく過程を楽しみながら、様々な造形物を作成していくものである。
【0064】
このため、造形物を作成するのに決められた手順というのはなく、使用者の自由な発想に基づいて造形物が形成される。
【0065】
図13は、多角形ブロックIを使用した造形物の一例である。
多角形ブロックIは、縦に置いたときには、鳥の頭をイメージさせるような形状をしている。図13の例では、多角形ブロックIの孔の開口部12aに、木の葉ブロックDを係合させ、鶏のとさかを模している。
【0066】
図14は、ブロック単体10の他の実施態様を示す説明図である。図14に示すブロック単体10には、孔12に連通して、複数の空気穴13が設けられている。空気穴13は、互いに異なる方向を向いて形成されている。
このように、複数の空気穴13を設けると、ブロック単体10を誤って口に入れてしまった場合の呼吸確保をさらに確実に行うことが可能となる。
なお、図14では、半球体形状のブロック単体10に基づいて説明しているが、この形状に限らず、他の形状のブロック単体10にも、複数の空気穴13を設けることができることは勿論である。
【0067】
以上のように、本例の積木は、ブロック単体10の形状から何等かの形状を想像し易く、また、突起11や孔12を備えており、造形物を形成しやすいため、高齢者が楽しく使用することが可能である。
【0068】
また、本例の積木は、空気穴13を備えているため、全ての高齢者が安心して使用することが可能である。
さらに、ブロック単体10は、様々な形状をしており、特に図4,図7,図10に示すブロック単体は、ブロック単体の一部に尖った部分を備えており、この尖った部分を触ることにより、手指に刺激が与えられ、脳の活性化を図ることが可能である。
このように、本例の積木は、楽しく遊んでいるうちに、高齢者の運動を促進することができ、高齢者の脳、感情、運動を活性化するツールとして、好適に用いることが可能である。
【0069】
本例の積木によれば、遊びを通して、高齢者の多面的な能力を回復する効果が期待できる。
すなわち、積木遊びは、ブロック単体同士を崩れないように積み重ねたり、互いに外れないように接続する作業が必要があるため、遊びを通して集中力を培うことができる。
また、本例の積木を構成するブロック単体10は、幾何学形だけではない様々な形状をなしており、創造される造形物も様々な形状に形成されるので、使用者は自らの物語を展開しながら、自発的発言を行う機会を多く持つことができる。そして、使用者の物語により、他者との会話も弾みやすくなるため、コミニュケーションツールとしても好適に使用することが可能である。
【0070】
さらに、使用者の能力に応じて、簡単な造形物から複雑な造形物まで作成することが可能であるため、使用者は遊びながら技術や理解力を向上させ、徐々に能力を回復したり、能力を高めていくことが可能となる。
また、本例の積木は、木の葉形状や鳥の頭の形状などのブロック単体を備えており、カラフルな彩色がなされており、見た目にも楽しい外観となっており、高齢者の心の安定を得ることが可能である。
【0071】
このように、本例の積木は、使用者の自己表現を促し、遊びを通して使用者の能力を活性化させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るブロック単体の一例である半球体ブロックを示す斜視図である。
【図2】本発明に係るブロック単体の一例である円柱ブロックを示す斜視図である。
【図3】本発明に係るブロック単体の一例である角柱ブロックを示す斜視図である。
【図4】本発明に係るブロック単体の一例である木の葉ブロックを示す斜視図である。
【図5】本発明に係るブロック単体の一例である角形ブロックを示す斜視図である。
【図6】本発明に係るブロック単体の一例である角形ブロックを示す斜視図である。
【図7】本発明に係るブロック単体の一例である第1の円錐ブロックを示す斜視図である。
【図8】本発明に係るブロック単体の一例である第2の円錐ブロックを示す斜視図である。
【図9】本発明に係るブロック単体の一例であるコイン形ブロックを示す斜視図である。
【図10】本発明に係るブロック単体の一例である多角形ブロックを示す斜視図である。
【図11】本発明に係るブロック単体の一例である棒形ブロックを示す斜視図である。
【図12】本発明に係るブロック単体を組み合わせて形成された造形物の一例を示す斜視図である。
【図13】本発明に係るブロック単体を組み合わせて形成された造形物の一例を示す斜視図である。
【図14】他の構成を備えたブロック単体を示す説明図である。
【符号の説明】
【0073】
10 ブロック単体
11 突起
12 孔
13 空気穴
14 膨出部
A 半球体ブロック
B 円柱ブロック
C 角柱ブロック
D 木の葉ブロック
E 角形ブロック
F 第1の円錐ブロック
G 第2の円錐ブロック
H コイン形ブロック
I 多角形ブロック
J 棒形ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、
前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の本体を貫通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられたことを特徴とする積木。
【請求項2】
複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、
前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の外面から突出する突起と、前記ブロック単体の本体または前記ブロック単体の本体及び突起を貫通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられたことを特徴とする積木。
【請求項3】
複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、
前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の外面に開口する孔が設けられ、前記ブロック単体の本体を貫通し且つ前記孔に連通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられたことを特徴とする積木。
【請求項4】
複数の中実のブロック単体を組み合わせてなる積木であって、
前記少なくとも一つのブロック単体には、該ブロック単体の外面から突出する突起と、前記ブロック単体の外面に開口する孔を備え、
少なくとも前記ブロック単体の本体を貫通し且つ前記孔に連通して孔径3mm以上5mm以下の空気穴が設けられたことを特徴とする積木。
【請求項5】
前記空気穴は複数設けられたことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の積木。
【請求項6】
前記複数の空気穴は互いに異なる方向を向いて形成されていることを特徴とする請求項5記載の積木。
【請求項7】
前記孔は複数設けられ、前記空気穴は前記複数の孔の少なくとも一つに連通することを特徴とする請求項3または4記載の積木。
【請求項8】
前記ブロック単体は、半球体形状、円柱形状、木の葉形状、直方体形状、円錐形状、上部が平らな円錐形状、コイン形状、直方体の一部に膨出部が形成された形状、棒形状の各形状を含んで形成されたことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の積木。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate