説明

穏やかな、非刺激性、非アルコール性皮膚消毒剤

本発明は、ビヒクルまたは補助活性成分のいずれとしてもアルコールの使用を伴わずに、グラム陽性およびグラム陰性細菌の大幅な減少を提供するリーブオン抗微生物組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌および殺菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抗生物質耐性微生物の流行が劇的に増加している。医学界ではペニシリン耐性肺炎球菌、バンコマイシン耐性腸球菌ならびにメチシリンおよびキノロン耐性緑膿菌に関する相当な懸念がある。1980年代初め以来、米国および欧州で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)による感染の発生が大幅に増加している。国中の医療集中治療室で、バンコマイシン耐性腸球菌の増加した定着が、近頃、エピデミックの域に達した。これらの微生物は、交差汚染を通じた自然環境および新しい患者の定着によって生存する。下痢および便失禁は、VREによる皮膚定着のリスクをさらに増大させ、皮膚定着が、カテーテル関連敗血症、交差感染、および血液培養汚染の増加したリスクと関連することを示唆する。
【0003】
これらの発見は、VRE皮膚汚染を最小限に抑えるために、医療従事者の手の細菌汚染を減少させ、このようにして患者間の伝染を遮断しなければならないことを示唆する。
【0004】
黄色ブドウ球菌は、血流感染、手術部位感染、および肺炎を含む院内感染の主な原因である。疾病対策センターにより保持されている集計データは、1990年1月から1999年5月にかけて、黄色ブドウ球菌感染が、集中治療室(ICU)で獲得された血流感染の12.6%、ICUで獲得された肺炎の症例の18.1%、およびICUで獲得された尿路感染の16%を占めることを示した。調査報告は、黄色ブドウ球菌による耐性のさらなる進展が近年急速に増加していること、および参加病院におけるメチシリンに耐性のある黄色ブドウ球菌分離株の全体的な割合が1975年の2.4%から1991年の29%に増加したことを示している。
【0005】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染は、透析治療、事前の抗生物質使用、熱傷治療室または集中治療室での入院、長期の入院、以前の入院、および以前の侵襲的処置と関連付けられている。MRSAの保菌者は、他の耐性ブドウ球菌株の保菌者と似ている。患者治療機器だけでなく、MRSA患者の部屋の中の環境表面も、頻繁に汚染されている。しかしながら、そのような汚染からのMRSA伝染の役割は、十分には研究されていない。
【0006】
腸球菌は、院内感染の源として同定される別の問題のある生物である。黄色ブドウ球菌と同様に、腸球菌細菌の分離株に対する耐性の発生が大幅に増加している。CDCによれば、参加病院のICUにおけるバンコマイシンに耐性のある腸球菌分離株の全体的な割合は、1994年から1998年までの過去数年間の耐性の平均の割合と比較して1999年に40%増加した。
【0007】
感染から分離される病原菌は、主に手術的処置の種類によって異なる。胃腸管、婦人科学的な管、および気道に入り込まない、清潔な手術的処置では、外因的環境または患者の皮膚叢由来の黄色ブドウ球菌が通常の感染の源である。国内院内感染調査システムからのデータによれば、ここ10年で感染から分離された病原菌の発生および分布にはほとんど変化がない。しかしながら、これらの病原菌のより多く、とりわけメチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、抗微生物剤耐性を示す。
【0008】
創傷部位感染は、多くの院内感染の原因となる、術後疾病の主な根源である。これらの感染は、推定2,700万件の手術的処置の中で、年間合わせて約500,000件になり、より長期の入院およびより高額な費用をもたらす感染である。平均的な手術部位感染(SSI)は、病院滞在を7.3日延長させる。これらの感染は、院内感染に起因する追加料金の42%に寄与する。1992年には、追加費用がSSI感染1件当たり数千ドルと見積もられた。
【0009】
手術部位感染した患者は、これらの感染に罹らなかった患者よりも、平均して4.6%余計に外来治療診察を受けた。これらの病院では、手術部位感染を有する患者の0.62%〜1.9%が死亡した。これらの数は、手術部位感染が医療制度に加える多大な人的および財政的費用、それゆえに制御する重要性を強調する。
【0010】
ビスビグアニド類の抗微生物効果は長く知られている。クロルヘキシジンは、この部類の最もよく知られたメンバーであり、水性溶液またはアルコール溶液の形態で使用されている。さらに、クロルヘキシジンは、手および皮膚の消毒、手術部位の消毒、医療機器の消毒、創傷の消毒、手術室、患者部屋などの消毒用抗菌ハンドウォッシュおよび手術スクラブ組成物などの様々な形式で長年市販されてきた。しかしながら、これらの製剤は、典型的には、刺激物質、アルコールなどの追加成分を含んでいる。
【0011】
2000年8月22日に出願された、Taylor et al.の米国特許第6107261号、ならびにその一部継続出願である、2001年3月20日に出願された、Taylor et al.の米国特許第6204230号および2000年10月24日に出願された、Taylor et al.の米国特許第6136771号は、少なくとも50%のパーセント飽和で抗菌剤を含有する抗菌組成物を開示している。これらの組成物は、溶解促進剤として、界面活性剤と、アルコールであってもよい水性溶媒とをさらに含む。
【0012】
1998年7月7日に出願された、Osborne et al.の米国特許第5776430号は、皮膚の上で擦られ、その後、皮膚からすすぎ落とされる、約0.65〜0.85%のクロルヘキシジンおよび約50〜60%の変性アルコールを含有する局所抗微生物洗浄剤を開示している。
【0013】
欧州特許出願第0604−848号は、アルコールの重量で40〜90%の抗微生物剤とポリマー増粘剤とを含むゲルを開示している。
【0014】
1990年9月11日に出願された、Leeの米国特許第4956170号は、アルコールの乾燥効果から皮膚を保護するために様々な皮膚軟化剤および湿潤剤を含む高いアルコール含有量の抗微生物ゲル組成物に関する。アルコール製剤では、感受性および抵抗性の細菌の株を即時に死滅させるためにより高いレベルのアルコールが必要とされる。
【0015】
Gorman et al.の米国特許第4420484号は、水、アルコールおよび様々な他の成分とともに処方された塩基性アミノまたはアンモニウム抗微生物剤(とりわけ、ビスビグアニド、4級アンモニウム塩およびビスピリジン)−ポリエチレングリコールエステル界面活性剤ベタインおよび/またはアミンオキシド界面活性剤抗微生物皮膚洗浄組成物を開示している。
【0016】
Cardelli et al.の米国特許第4374126号は、アルコール組成物およびこの組成物が、抗微生物剤と接着促進剤とアルコール溶媒が蒸発するときにポリマーを架橋するための二官能性アミドとを含むアルコール可溶性カルボキシル化ポリアクリレートを含む膜を形成させるための方法を教示している。形成される膜は、それゆえ、体液に抵抗性であり、最大2日間皮膚の上に留まって、初期の抗微生物活性と持続的な抗微生物活性の両方を提供することができる。
【0017】
米国特許第3855140号および第3960745号は、イソプロピルアルコールの使用を開示しており、一方、米国特許第4919837号は、エタノールまたはn−プロパノールなどの低級アルカノールの使用を開示している。アルコールは、皮膚を脱脂し、その刺激を引き起こし得ることがよく知られている。
【0018】
シクロペンタシロキサン(VelvesilTM)は、例えば、全てGeneral Electric Company,Pittsfield,MAに譲渡されている、2002年9月3日に出願された、米国特許第6444745号;2003年3月11日に出願された、第6531540号;2003年3月25日に出願された、第6538061号;および2004年7月6日に出願された、第6759479号に開示されているような、制汗剤、ローション、日焼け止め剤、リップスティック、シャンプー、キューティクルコート組成物、およびヘアコンディショナーを含む様々な化粧用途で有用であることが分かっているシリコーンポリマーである。しかしながら、これらの特許はどれも、手術用ハンドスクラブ、術前調製物、職員用ハンドウォッシュなどとしての使用のための非アルコール性水性皮膚消毒剤中の成分としてのシクロペンタシロキサンの使用を開示していない。
【0019】
Xttrium Laboratoriesにより製造および販売されている、市販の抗微生物洗浄組成物である、Dyna-Hex 4(登録商標)は、4%グルコン酸クロルヘキシジン、コカミドDEA、香料POFL 147、グルコノ−デルタ−ラクトン、ヒドロキシエチルセルロース、イソプロピルアルコール、ラウラミンオキシド、PEG−75ラノリン、精製水、およびトリデシルアルコールからなる。イソプロピルアルコールは、他の構成成分のための補助ビヒクルとしての役割を果たしている。
【0020】
アルコール性消毒剤および/またはアルコール含有消毒剤と関連する2つの一般的な問題がある。第一に、通常、エタノールまたはその同等品の約60%重量を上回るとみなされる、アルコールの有効濃度は、皮膚に対して刺激性があり、乾燥ならびに結果として生じる皮むけおよびひび割れを生じさせる。荒れた皮膚は微生物汚染による影響をより受けやすい傾向があるという事実のために、アルコール消毒剤の反復使用は、それらが解決しようとする正にその問題を悪化させることがある。第二に、アルコールは効果的な消毒剤であることができるものの、一旦それが蒸発してしまえば、その抗微生物活性は失われる。したがって、それは、残存する抗微生物効果を有さない。
【0021】
したがって、グラム陽性およびグラム陰性形態の細菌ならびに他の微生物に対して効果的であることが示される非アルコール性抗微生物洗浄組成物が極めて望ましい。
【0022】
近年、効果的な抗微生物製品に対する増加した必要性と要望がある。抗微生物耐性の発生は、劇的なレベルにまで上昇している。しかし、同時に、非刺激性であり、かつすすぎを必要とせずに素早く適用することができる製品、すなわち、リーブオン製品に対する増加した必要性がある。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、ビヒクルまたは補助活性成分のいずれかとしてのアルコールの使用を伴わずに、グラム陽性およびグラム陰性細菌の大幅な減少を提供する抗微生物組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、リンスオフ製品ではなくリーブオン製品として適用することができる抗菌洗浄組成物に関する。この製品は、細菌および他の微生物を効果的に殺し、かつそれが皮膚刺激または乾燥を引き起こさない程度に皮膚に対して刺激が少ない。本発明の抗微生物洗浄組成物は、黄色ブドウ球菌などのような細菌のコロニー形成単位(CFU)の数を著しく減少させること、および補助的な抗微生物剤または主要な抗微生物剤のためのビヒクルのいずれかとしてのアルコールの使用を伴わずにそうすることが分かっている。
【0025】
非アルコール性水性皮膚消毒組成物の必須成分は、水ベース・マトリクス中のグルコン酸クロルヘキシジン、シリコーンポリマーのシクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマー(VelvesilTM)、およびグリセリンである。
【0026】
本発明は、皮膚を刺激からさらに保護するために、非アルコール性で、それゆえ、その刺激性の可能性を低下させるものでもあるし、独特なシリコーンポリマーのシクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーを含有するものでもある。非アルコール性かつ非刺激性であることに加えて、本発明は、リンスオフ製品とは対照的にリーブオン製品として使用することもできる。グルコン酸クロルヘキシジンに基づく抗微生物剤の大部分はリンスオフ製品である。本発明は、リーブオン製品として使用することができる。
【0027】
本発明の組成物は、パーソナルケア、消毒剤、手術用スクラブ、医療従事者用ハンドウォッシュ製品、手術前準備用製品、創傷ケア剤などにおいてとりわけ有用である。さらに、本発明は、皮膚に優しく、非アルコール性で、非刺激性で、かつ抗微生物性である。
【0028】
グルコン酸クロルヘキシジン:
1950年に、英国のICI Laboratoriesがグルコン酸クロルヘキシジン(1,1’−ヘキサメチレンビス[5−(p−クロロフェニルビグアニド]ジ−D−グルコネート)を合成した。それ以来、クロルヘキシジンは、「究極の」抗菌剤とみなされ、多種多様なグラム陽性およびグラム陰性細菌、真菌、酵母ならびに所定のウイルスに対して有効な殺菌剤および消毒剤として使用されている。グルコン酸クロルヘキシジンはまた、クロルヘキシジンとグルコン酸から形成された塩である、ジグルコン酸クロルヘキシジンとしてもよく知られている。化学的には、クロルヘキシジンは強塩基であり、その塩形態において最も安定である。
【0029】
クロルヘキシジン塩は、微生物の細胞壁上に容易に吸着し、細胞壁完全性の破壊と細胞内内容物の漏出とをもたらす。低濃度では、クロルヘキシジンは静菌剤であり、より高濃度では、それは殺菌性になる。クロルヘキシジンの主な効果は、接触した細菌を殺し、かつ哺乳動物細胞にとっては無毒のままであるその能力である。
【0030】
グルコン酸クロルヘキシジンの構造式は、

である。
【0031】
グルコン酸クロルヘキシジンは、現在入手可能な全ての抗微生物剤の中で最も持続性があると考えられる。グルコン酸クロルヘキシジンの重要な特性は、皮膚に対するその強い親和性である。皮膚の表面に適用されたグルコン酸クロルヘキシジンの大半は付着して留まるので、乾燥時に活性を保持する。
【0032】
本発明の組成物中のグルコン酸クロルヘキシジンの濃度は、水ベース・マトリクス中、約1〜10%重量/重量比、好ましくは2〜6%重量/重量比、および最も好ましくは4%重量/重量比である。
【0033】
クロルヘキシジン基剤を使用し得るが、製剤中で可溶性であるクロルヘキシジンの塩が好ましい。好ましい塩は、塩酸塩、酢酸塩、ならびに最も好ましくは、その高い水溶性および吸収の容易さのためにグルコン酸塩である。
【0034】
シリコーンポリマー:
非アルコール性皮膚消毒組成物に関する本発明に従って使用されるときの、シリコーンポリマーには、ポリジメチルシロキサンポリマー(Dow Coming 225 シリコーン液)、ジメチコン中のジメチコノール液(Dow Coming 1403 シリコーン液)、シクロメチコンおよびジメチコンコポリル(Dow Coming 3225C シリコーン液)、シリコーングリコール(BASF 1066 DCGポリオール)、ならびに最も好ましくは、(I)に示すような、シクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマー(VelvesilTM)のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0035】
シクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーは、様々なアルキルシロキサンを組み込んだ有機シリコーンマトリクス中のアルキルおよびポリエーテル鎖からなるコポリマーネットワークの産物である。「シクロペンタシロキサン」、これは、Iに示すような、シクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーを取り込んだマトリクスを指すために本明細書で定義される。

【0036】
シクロペンタシロキサンは、容易に処理され、有機物質と極めて適合性が高く、かつ乳化効果を提供する。シクロペンタシロキサンを含有する製剤は、低粘度の、スプレー可能なエマルジョンから高度に構造化された無水ゲルまで多岐に及ぶ。シクロペンタシロキサンは、皮膚ローションおよびクリーム、サンケア製品、カラー化粧品、シャワーゲル、洗顔料、ヘアコンディショナーならびに整髪用品を含む、幅広いパーソナルケア製品に有用である。さらに、シクロペンタシロキサンは、他の成分と容易に混合する。
【0037】
本発明のシリコーンポリマーである、シクロペンタシロキサンの濃度は、水ベースのマトリクス中、組成物の約5%重量/重量比、好ましくは0.1%未満の重量/重量比、および最も好ましくは0.01%重量/重量比まで使用され得る。
【0038】
グリセリン:
グリセリンは、角質層の外層中の水の状態に対するその効果のために皮膚コンディショニングに有益な効果を有する既知の湿潤剤である。コンディショニングは、おそらく、それらの水結合および/または親水特性を変化させる、角質層中の脂質タンパク質とのグリセリン相互作用の結果である。この現象のために、グリセリンが皮膚と相互作用するにつれて、水が増加して、グルコン酸クロルヘキシジンなどの水溶性活性成分が溶解し、洗い落としに逆らって保持されうる貯蔵場所を形成する傾向がある。さらに、活性成分がそれ自体グリセリンに溶ける場合、増強効果がさらに増加する。
【0039】
既知の湿潤剤であることに加えて、グリセリンは、定着剤として利用することもできる。本発明の定着剤は、グリセリン、プロピレングリコール、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、エリトリトール、エリトロース、エリトルロース、リボース、ソルビトール、マンニトール、およびイノシトールからなる群から選択される。最も好ましくは、選択される定着剤はグリセリンである。
【0040】
定着剤は、活性成分が分配され、洗い落としに逆らって定着剤とともに保持されることができる、皮膚の上層に浸透して留まる吸湿剤(すなわち、持続剤)として本明細書で定義される。定着剤は、抗微生物剤などの、活性成分のゆっくりとした放出を提供する。
【0041】
本発明のグリセリンの濃度は、水ベース・マトリクス中、1%未満の重量/重量比および最も好ましくは0.25%重量/重量比まで使用され得る。
【0042】
定着剤を他の薬剤と組み合わせることができる。定着特性および持続特性を有する多くのポリマー材料を任意で上記の定着剤、例えば、グリセリンと組み合わせて、可溶性の活性成分の改善された保持およびゆっくりとした放出を提供し得る。
【0043】
これらの薬剤の例には、オクタデセン−1/無水マレイン酸コポリマー、有機フッ化修飾シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン、スチレンとブタジエンの水素化コポリマー、膜形成コポリマー、エイコセンとビニルピロリドンのコポリマー、ヘキサデカンとビニルピロリドンのコポリマー、セルロースエーテル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートホモポリマー、小麦タンパク質の加水分解物のココジメチルアンモニウム塩、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解小麦タンパク質、ポリクオタニウム−24およびヒアルロン酸、可溶性レチクリンおよび可溶性小麦タンパク質、ステアリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、アクリル/アクリレートコポリマー、フェノキシジメチコン、ジメチコンコポリオールホスフェート、ポリデセン/ポリブテンコポリマー、ポリメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、ポリメチルアルキルシロキサンなどが含まれる。
【0044】
その他の成分:
「水ベース・マトリクス」は、安全な非毒性および非刺激性のビヒクルを提供する水性希釈液としての、精製水、USPの使用を意味する。精製水、USPは、組成物の重量/重量パーセンテージを100%にするために使用される。
【0045】
望ましい場合、本発明の組成物は、良い香りを提供するために香料を含んでいてもよい。香料は、ニュートロジーナのフレグランス、フルーツ、ウッド、スパイス、およびフラワーから選択され得るが、これらに限定されない。
【0046】
さらに、本発明の組成物は、特徴的な色を提供するために色素を含んでいてもよい。単に一例として、色素は、FD&CブルーNo.1、レッドNo.2、レッドNo.3、レッドNo.40、レッドNo.102、D&CイエローNo.10、FD&CグリーンNo.3、およびタール色素から選択され得るが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の組成物のpHは5〜7であることができる。必要とされる場合、6N塩酸または50%水酸化ナトリウムなどの、好適な酸性化剤またはアルカリ化剤の添加によって、pHを調整し得る。
【0048】
使用:
4%重量/重量比のグルコン酸クロルヘキシジンは、皮膚表面との接触後すぐにも、持続的に最大6時間でも、およびその後も残留して、ヒトの皮膚上の細菌を減少させるのに効果的であることが本明細書で発見されている。また、皮膚叢の減少が特定の種類の院内感染のリスクを減少させることができることも示されている。水性グルコン酸クロルヘキシジン形式は、以下の指標生物:大腸菌、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス、緑膿菌、セラチア・マルセッセンス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ディフィシルに対して効果的であることが当該技術分野で示されている。
【0049】
さらに、本発明の2〜4%重量/重量比のグルコン酸クロルヘキシジン製品は、限定されるものではないが、以下の目的に有用である:注射前、手術前準備、カテーテル前準備、カテーテルライン挿入、中心静脈カテーテル、末梢挿入中心静脈カテーテル、ミッドライン、透析、グラフト/フィスチュラ、動脈および大腿骨ライン、スワンガンツ、部位維持、胸腔チューブ、縫合後の手術部位洗浄、小規模な手術的処置、整形外科的なピン留置、維持など。
【0050】
本発明の組成物は、適用後、最大数時間(>5時間)持続する少なくとも3.0 log10減少、および使用後1時間以内に最大2.0 log10減少を与えることによって、皮膚上のコロニー形成単位/cmを減少させる。この結果を達成するために、本発明の組成物を、単回適用または数日間にわたる連続適用として適用することができる。
【0051】
略語および定義:
「非アルコール性」は、組成物が約10重量%未満のアルコールを含有することを意味するために本明細書で定義される。本発明の特定の具体的な実施形態では、非アルコール性は、組成物が、約5体積%未満、約2体積%未満、または約1体積%未満のアルコールを含有することを意味することもできる。好ましくは、非アルコール性は、組成物が約0.5体積%未満のアルコールを含有することを意味する。最も好ましくは、非アルコール性は、組成物がアルコールを全く含有しないことを意味する。
【0052】
「抗微生物剤」および「消毒剤」は、細菌、原生動物、ウイルス、プリオン、酵母、真菌、もしくはその他の感染性病原体を含む生物の増殖を阻害し、またはこれらの生物を殺し、それが皮膚の中に浸透し、洗い落とした後でも長く持続する抗微生物活性を提供することを意味する、上記の薬剤と組み合わせたときの増加した持続特性を有する薬剤を意味するために本明細書で定義される。
【0053】
「医療従事者」は、医師、看護師、看護師助手、麻酔医、救命士、術前助手などを意味するために本明細書で定義される。
【0054】
「非刺激性」は、本発明を受容した患者が、紅斑またはより悲惨な形態の皮膚刺激を発症しない特徴を満たすこととして本明細書で定義される。
【0055】
「リーブオン」は、皮膚に適用し、水ですすぐ必要なく乾燥させておく製品を意味するために本明細書で定義される。
【実施例】
【0056】
実施例1
本発明の好適な組成物

【0057】
実施例2
術前皮膚用調製物のテスト
手術またはその他の侵襲的処置の前に、患者の皮膚を局所抗微生物製品(術前皮膚用調製物)で処置し、皮膚上の微生物の数を減少させることによって院内感染を予防しなければならない。抗生物質皮膚組成物の効率を評価するために利用可能ないくつかの方法がある。例えば、ヘルスケア殺菌薬製品についての暫定的最終モノグラフ(TFM)(Vol.59,No.116,June 17,1994)は、このタイプの製品を評価するためのインビボ方法および予想される性能基準を記載している。新製品をテストするとき、判断を行なう基準となる術前皮膚用調製物を陽性対照として研究に含めなければならない。
【0058】
4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物の単回テストサンプルの抗微生物有効性の可能性を、患者の術前皮膚用調製物としての使用について評価した。この評価は、食品医薬品局の医薬品評価研究部によって指定された方法に基づいて行なわれた。テスト製品が以下の表に記載されるような部位で評価されることを保証する片側性の製品適用を利用して、最低でも6人の被験者を用いた。

【0059】
4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を、適用の完了後30秒、10分±30秒および6時間±30分でサンプリングすることにより、即座の抗微生物効果について様々な鼠径部位で評価した。無作為化した配置を用いて全ての製品適用を行なった。
【0060】
A)中和:
この評価の目的は、テスト被験者の鼠径に適用されたときに、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物洗剤に含まれる活性成分を、マーカー生物に対する毒性を示すことなく、完全に中和するサンプリング溶液の能力を決定することであった。中和研究に使用されたテスト微生物は、一般的な皮膚細菌である、表皮ブドウ球菌、ATCC12228であった。
【0061】
B)手順:
テスト前期間:
1回目のベースラインサンプリング前の少なくとも2週間の期間を「テスト前」期間に指定した。この期間中、被験者は、治験責任者により個人衛生用に供給された個人衛生製品(石鹸、シャンプー、デオドラントなど)のみを使用するよう指示され、溶媒、酸、および塩基との皮膚接触を避けるように言われた。被験者は、UV日焼けランプを使用すること、ならびに化学処理されたプールおよび/または温水浴槽に入ることを禁じられた。さらに、被験者は、サンプリングされる前の48時間、入浴することまたはシャワーを浴びることを許されなかった。彼らは、スポンジ浴を行なうことは許された;しかしながら、彼らは、テスト部位を乱すことを許されなかった。
【0062】
被験者は、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物で処置される前の5日以内に、解剖学的部位を剃ることを許されなかった。このレジメンは、皮膚の通常の微生物叢の安定化を可能にした。
【0063】
ベースライン週:
テスト前期間に続く週は、ベースライン週を構成する。被験者は、サンプリングされる前の48時間以内にシャワーを浴びることを許されなかった。全ての被験者は、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物による処置の少なくとも72時間前にベースラインをスクリーニングするためにサンプリングされた。
【0064】
2つの対側鼠径部位から採取したサンプルを収集した。対側鼠径部位でのベースラインカウントの十分なスクリーニングに基づき、被験者には研究を継続する資格があった。スクリーニングカウントの承認の基準は、鼠径領域内の対側部位での少なくとも1.0×10コロニー形成単位/cmであった。スクリーニングベースラインの場合と同じ基準を用いた2回目のおよび最後のベースラインサンプルを、処置の日に調製される前に、各々のテスト部分で収集した。
【0065】
処置後のカウントデータは、それらが鼠径領域部位における3.0 log10減少の検出を可能にするのに十分な2回目のベースラインサンプリングでの細菌のレベル(鼠径領域内の対側部位における1.0×10コロニー形成単位/cm)を示さない任意の部分に由来する場合、データ解析から除外された。
【0066】
以下の表は、FDAによって規定された最小有効log10減少基準とともにテスト部位の最小ベースライン基準をまとめている。

【0067】
クリッピングが要求される全てのサンプル部位は、テスト日前の少なくとも48時間クリッピングされた。全てのサンプリングは、シリンダーサンプリング技術を用いて行なわれた。
【0068】
テスト期間:
サンプリング前に、被験者に、彼らのプロトコル制限の順守について質問した。被験者は、損傷または皮膚病が存在する形跡が全くないことを保証するために、解剖学的サンプリング部位において(技術者により)再び目視テストされた。
【0069】
無作為化:4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を片側に受容させるために、コンピュータにより作成された無作為化スケジュールに従って、各々の被験者の鼠径領域上のテスト部分の輪郭を描いた。無作為化を左側と右側の両方の間で均等にした。処置日ベースラインサンプリング部位および調製後サンプリング部位を各々のテスト部分の中で無作為化した。
【0070】
盲検化:製品は明らかに違うため、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物は治験責任者に盲検化されなかった。被験者を処置した治験責任者は、細菌の計数およびその特定の被験者のプレートのカウントには関わらなかった。
【0071】
各々の処置部分の寸法は、鼠径靱帯下の大腿部の上/内部において2”×5”であった。各々の処置部分内で4つのサンプリング部位の輪郭を描いた。以前のデザインに基づき、鼠径領域を最後のベースライン(2回目のベースライン)についてサンプリングした。適当な部分を、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を用いて調製した。これらの部位は、その後、30秒、10分±30秒、および6時間±30分でサンプリングされた。
【0072】
6時間±30分の部位については、微生物汚染の防止を助けるために、調製された部分の上に滅菌ガーゼパッドを置いた。ガーゼパッドは、密封滅菌包帯とともにその場に置かれた。全てのサンプルは、シリンダーサンプリング技術を用いて部位から採取された。
【0073】
微生物学的方法:
サンプル収集:
定量的培養物は、Williamson and Kligmanのシリンダーサンプリング技術(J.Invest.Dermatol.45:498-503,1965)の修正によって得られた。滅菌スクラビングカップ(3.8cm、内面積、高さ約2.54cm)を、サンプリングされる部位の上で皮膚にしっかりと固定した。中和剤を含有する3mlのスクラブ溶液をカップの中に入れ、この部分を、滅菌ラバー「ポリスマン」を用いて適度な圧力で1分間擦った。このスクラブ溶液を吸引し、3.0mlの新鮮な溶液と取り替え、擦るのを繰り返した。2つのアリコートをプールした。これらの手順を全てのベースラインサンプルと処置サンプルに用いた。プールされたスクラブ溶液のアリコートを、中和剤を含有するバターフィールドのリン酸緩衝希釈水を希釈液として用いて10倍に希釈した。
【0074】
微生物の計数:
適当な希釈の1mlアリコートを2つ1組で、サンプリング後30分以内に、適当な中和剤を含有する15〜20mlの大豆−カゼインダイジェスト寒天注入プレート中に入れた。30±2℃での72±4時間の好気的インキュベーション後、コロニーをカウントし、Counting Colonies on Plates and Reporting Results,Standard Methods For Evaluation of Dairy Products,14th Ed.American Public Health Association,Washington D.C.の手順に基づいて、最初のサンプル中の生細胞を計算した。カウントする前の最大48時間、プレートを冷蔵下で保存した。皮膚のcm当たりに回収された微生物の平均数を決定し、報告した。
【0075】

式中:
R=皮膚のcm当たりのlog10スケールでの平均コロニー形成単位カウント
F=サンプリングシリンダーに添加された剥離液の総ml;F=6.0ml
c/n=収集された各々のサンプルに使用された2つ1組のコロニーカウントの平均
D=測定されたプレートの希釈係数
A=サンプリングシリンダーの内側面積(3.8cm
【0076】
増殖促進対照:
プレーティング培地である、0.5%ポリソルベート80および0.07%レシチンを含有する大豆−カゼインダイジェスト寒天(または同等品)の各々のバッチについて、100コロニー形成単位未満の表皮ブドウ球菌、ATCC12228を単一プレート注入プレートに播種した。20〜26時間経過した表皮ブドウ球菌の培養物を希釈液に連続希釈した。添加されたコロニー形成単位を2つ1組でスプレッドプレート中で確認した。これらのプレートを30±2℃で72±4時間インキュベートした。
【0077】
有害事象:
重症度または因果/効果関係に関わらず、全ての有害事象を記録した。効果の重症度は、兆候または症状の自覚はあるが、容易に耐えられることを意味する、「軽度」;正常な日常生活の活動の妨害を生じさせるような程度の不快感および/または投薬を必要とすることを意味する、「中等度」;ならびに仕事をするまたは普通の日常生活の活動を行なうことができないことを伴う無能力および医学的な注意/介入を必要とする、「重度」として記載された。
【0078】
有害事象/経験の因果関係:
4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン組成物との因果/効果関係を決定する場合、この関係を、「なし」、「あり得る」、「可能性が高い」、または「明白である」と記載した。以下の定義を利用した:

【0079】
重篤な有害事象/経験:
重篤な有害事象/経験は、以下の転帰:死亡;生命を脅かす有害薬物経験;入院患者の入院または現在の入院の延長;持続的なまたは重大な身体障害/無能力;および先天異常/出生異常のいずれかをもたらす任意の用量で生じる任意の有害経験である。
【0080】
予期せぬ有害事象/経験:
予期せぬ有害事象/経験は、上で記載されていない任意の有害薬物事象/経験である。
【0081】
経過観察:
有害事象/経験が生じた場合、治療のために被験者を最寄りの救急処置施設に診せた。 重篤なまたは予期せぬ薬物事象/経験は解消されるまで経過観察された。どの有害事象も有害事象報告に記載した。
【0082】
予期された反応:
このテストに伴うリスクは、主に、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物の適用と関連付けられた。テープ反応もあり得た。軽度から重度の紅斑、腫れ、痒み、ひび割れ、皮むけ、または稀に、水疱形成よび/またはアレルギー反応が生じることもあった。これらの事象のいずれかの発生を「有害事象」とみなし、研究記録に記載した。
【0083】
データ解析:
以下に概略が説明される解析は、作成されたデータに基づいて行なわれた。生データ(コロニー形成単位/ml)はlog10コロニー形成単位/cmに変換された。1コロニー形成単位/cm未満のカウントは、log変換がゼロとなるように1コロニー形成単位/cmとして処理された。log減少は、処置後のlogカウントを得られた処置日ベースラインカウントから差し引くことによって計算された。以下を例外として、研究の処置日における細菌のレベルについての最小含有基準を満たす被験者のみが解析に含まれた:汚染されたサンプルを生じさせる実験室事故。全てではないが、いくつかの時点で欠落したデータがある場合は、利用可能な時からのデータが解析に含まれた。欠落したデータがある全ての被験者は、データ解析に含まれなかった。欠落したデータがある被験者は新しい被験者と置き換えられた。
【0084】
実施例3
4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン組成物の調製技術
鼠径部分を、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン組成物を用いて以下の工程によって調製した:a)5ミリリットルの4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を滅菌ガーゼパッドに適用し;b)4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を処置部分に2分間適用して、この部分を滅菌タオルまたは滅菌ガーゼで乾燥させ;かつc)工程a〜bを繰り返した。この部位を2回乾燥させた後に接触時間を始めた。
【0085】
実施例4
中和剤バリデーション手順
この評価の目的は、テスト被験者の腹部に適用されたときに、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物洗剤に含まれる活性成分を、マーカー生物に対する毒性を示すことなく、完全に中和するサンプリング溶液の能力を決定することであった。
【0086】
1人の被験者がこの研究に参加した。被験者は、この中和剤バリデーションが行われるべきプロトコルの含有および除外基準を満たした。中和被験者は、最小細菌カウントを必要とせず、彼/彼女は、処置日前の14日間、局所および全身抗微生物剤を避けるように言われた。1人の被験者のために、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン組成物を腹部の両側に適用した。
【0087】
テスト生物は、表皮ブドウ球菌ATCC 12228であった。培養物は、約10〜10コロニー形成単位/mlを含む適当な培地中、30±2℃で増殖した終夜(24±2時間)ブロス培地から調製された。
【0088】
終夜懸濁液をバターフィールドのリン酸緩衝水(PBW)を用いて連続希釈し、テストサンプルの播種用の適当な濃度を達成した。
【0089】
中和有効性対照:a)中和剤を含有するスクラブ溶液を用いてサンプルを腹部から採取した。被験者数、調製物適用の場所、調製部分内のサンプリングした部位の場所、およびサンプル収集の時間を記載し;b)滅菌2”×5”テンプレートを用いて腹部テスト部分に印を付け;c)テスト部分に印を付けた後、合計1分間、3つの70%イソプロピルアルコール綿球を用いて、各々の部位を調製し、この部位が乾燥するのを待ち;d)この部位を4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン組成物を用いて調製し;e)調製30秒後に、タイルスクラブ技術を用い、中和剤を含有するスクラブ溶液を用いてサンプルを収集し;f)5mlをきれいなチューブに移す前に、各々のプールされたサンプル(約6ml)をボルテックス型攪拌機で混合した。このチューブに約100〜500コロニー形成単位/mlをすぐに播種し;g)播種後、中和剤を含有するトリプチケースソイ寒天を用いて、播種したサンプルの1mlアリコートをすぐに(<1分)および30分(±2分)でスプレッドプレーティングした。(プレート当たり0.1mlアリコート、10プレート全体で1ml、2つ1組)。これらのプレートを30±2℃で48±2時間インキュベートした。
【0090】
数対照:希釈した播種物を、約100〜500コロニー形成単位/mlの最終播種物濃度を生じさせる中和剤を含まない5.0mlのサンプリング溶液を含有するチューブ中に添加した。2つ1組の1.0mlアリコートを、中和剤なしでトリプチケースソイ寒天を用いたことを除いて上記のc)と同じ方法で播種の直後(<1分)および30分(±2分)後にプレーティングした。
【0091】
毒性対照:希釈した播種物を、a)約100〜500コロニー形成単位/mlの最終播種物濃度を生じさせる5.0mlのサンプリング溶液および中和剤を含有するチューブ中に添加した。2つ1組の1.0mlアリコートを、中和剤を含有するトリプチケースソイ寒天を用いることを除いて上記のc)と同じ方法で播種の直後(<1分)および30分(±2分)後にプレーティングし;b)これらのプレートを計数し、各々のサンプルについてのコロニー形成単位/mlを計算し;c)データをコロニー形成単位/mlに対するlog10に変換し;d)サンプルの各々についてのデータ評価および回収をlog10コロニー形成単位/mlとして表した。
【0092】
中和剤有効性:殺菌サンプルのlog10コロニー形成単位/mlが数対照よりも最大で0.3 log少ない場合、この中和剤は有効とみなされた。
【0093】
中和剤毒性:毒性対照(TC)が数対照サンプルよりも最大で0.3 log少ない場合、これらのサンプリング溶液は、非毒性とみなされた。
【0094】
中和剤有効性対照、数対照、および毒性対照は、テスト生物がサンプリング溶液または手順によって悪影響を受けていないという保証を提供した。
【0095】
まとめおよび結論
1994年6月17日の連邦官報に発表された、ヘルスケア殺菌薬製品についてのFDA暫定的最終モノグラフ;提案される規則は、薬物適用後10分以内の皮膚のコロニー形成単位/cmの3.0 log10減少を要求した。このカウントは、6時間後にテスト日ベースラインを超えてはならない。鼠径部位上の皮膚のコロニー形成単位/cmのlog10減少は、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物によって達成され、10分間のサンプリング間隔での鼠径部位についてのFDAの提案される3.0 log10減少基準を超えた。6時間のサンプリング間隔で回収されたコロニー形成単位/cmは、テスト日ベースラインを超えなかった。
【0096】
実施例5
平均対数Log10減少

【0097】
実施例6
被験者処理:

【0098】
実施例7
24時間の曝露中のあるテスト製品の刺激性の可能性を決定するための評価
この評価の目的は、ヒト被験者の皮膚に対する単一の24時間パッチ曝露後の4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物の刺激/低刺激性の可能性を決定することであった。4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物の刺激の可能性は、24時間の刺激期間中に21人のボランティアのヒト被験者を用いて決定された。4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物は、上腕の内表面に直接適用された。テスト部位は、製品適用前および4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物適用24時間後に目視評価された。
【0099】
含有基準
21人の被験者が研究を完遂するのを確実にするために、十分な数の少なくとも18歳の明らかに健康な被験者がこの研究への参加を認められた。可能な限り、選択される被験者の群は、入り交じった性別、年齢、および人種で構成された。被験者の上内腕の皮膚には、臨床的に明白な皮膚病、損傷、開放創、タトゥー、および/または被験者や研究に支障を来し得る任意のその他の障害はなかった。
【0100】
除外基準:
被験者は、24時間のテスト期間中、タンニングベッドを使用すること、またはプールもしくはバスタブに浸かること、シャワーを浴びること、またはテスト部位を洗うことを許されなかった。局所薬を使用しているかまたはインク、ラテックス、一般に使用される化粧製品、イソプロピルアルコール、もしくはグルコン酸クロルヘキシジンに対する既知のアレルギーもしくは感受性を有する被験者は研究から除外された。現在のまたは最近の重症疾患、喘息、糖尿病、肝炎、癌、またはAIDS(もしくはHIV陽性)などの任意の免疫抑制状態などの、健康状態を有する被験者がいれば、彼らは除外された。任意の妊娠、活発な皮膚発疹、皮膚炎、薬物送達パッチの使用、治験責任医師の意見では参加を避けるべき任意の医学的状態、および任意の気が進まないことが除外の理由であった。
【0101】
テスト期間:
全ての目視評価は、訓練を受けた評価者により行なわれた。被験者のテスト部位の目視評価をベースラインについて行なった。約25μlの4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を、内側の上腕の皮膚に無作為に割り当てられた0.25平方インチの部位(一辺0.5インチ)に直接適用した。4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物を、少なくとも15分間、皮膚上で乾燥させておき、その後、必要ならば、この部位をペーパータオルで軽く叩いて乾燥させた。この部位がはっきりと見えない場合は、この部位に滅菌皮膚マーカーで印を付けた。
【0102】
被験者は実験室から離れることを許された。実験室を離れる前に、被験者は、24時間のテスト期間中、日焼けをしない、タンニングベッドを使用しない、プールもしくはバスタブに浸からない、シャワーを浴びない、またはテスト部位を洗わないように指示された。製品適用24時間±1時間後に、被験者は実験室に戻り、テスト部位が刺激性の兆候についてスコア化された。
【0103】
目視評価を製品適用前および製品適用24時間後に行ない、実施例8で提供される説明に基づいてテスト部位に刺激について等級を付けた。6または7というスコアで等級が付けられた任意の曝露部位を有害事象とみなした。
【0104】
実施例8
皮膚状態の目視評価のための等級付け基準

【0105】
最終的な目視評価の後、テスト部位を石鹸と水および/または70%イソプロピルアルコールで洗浄した。
【0106】
まとめおよび結論
この研究の予備的結果は、4%非アルコール性グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)組成物が、皮膚に対する単回の24時間パッチ曝露中、テスト被験者において刺激を引き起こさないかまたは低刺激性応答を誘導することを示した。21人の被験者全てが0という等級を受け、刺激の形跡が全くないことを示した。
【0107】
本出願に引用された全ての特許、特許出願および刊行物は、各々の個々の特許、特許出願または刊行物がそのように個々に示される場合と同じ程度に、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
特定の実施形態および実施例が上で詳細に記載されているが、当業者は、多くの修正が、その教示から逸脱することなく、これらの実施形態および実施例において可能であることを明確に理解するであろう。全てのそのような修正は、以下の本発明の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水ベース・マトリクス中に、グルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む、非アルコール性水性皮膚消毒組成物。
【請求項2】
グルコン酸クロルヘキシジンが、水ベース・マトリクス中に2〜6%の重量/重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
グルコン酸クロルヘキシジンが、水ベース・マトリクス中に4%の重量/重量比で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
シリコーンポリマーが、ポリジメチルシロキサンポリマー、ジメチコン中のジメチコノール液、シクロメチコンおよびジメチコンコポリル、シリコーングリコール、ならびにシクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
シリコーンポリマーが、シクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
シクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーが、前記水ベース・マトリクス中に0.1%未満の重量/重量比で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
シクロペンタシロキサン−C30−45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマーが、前記水ベース・マトリクス中に0.01%の重量/重量比で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記定着剤が、グリセリン、プロピレングリコール、グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、エリトリトール、エリトロース、エリトルロース、リボース、ソルビトール、マンニトール、およびイノシトールからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記定着剤がグリセリンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記グリセリンが、水ベース・マトリクス中に1%未満の重量/重量比で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記グリセリンが、水ベース・マトリクス中に0.25%の重量/重量比で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
着色添加剤または芳香添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
リーブオン製品である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
患者の皮膚に皮膚消毒組成物を適用することを含む皮膚を消毒する方法であって、前記組成物が水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む、方法。
【請求項15】
前記組成物がリーブオン製品として使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が場合によりすすぎ落とされる、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む手術前非アルコール性水性皮膚消毒組成物であって、皮膚に接触させた4分後に細菌の対数減少値を少なくとも3にする、組成物。
【請求項18】
水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む非アルコール性水性ハンドウォッシュ消毒組成物であって、1回目の洗浄の5分以内に、指標生物の対数減少値を少なくとも2にする、組成物。
【請求項19】
前記指標生物が、大腸菌、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス、緑膿菌、セラチア・マルセッセンス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ディフィシルからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
10回目の洗浄の5分以内に、指標生物の対数減少値を少なくとも3にする、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記指標生物が、大腸菌、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス、緑膿菌、セラチア・マルセッセンス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ディフィシルからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む非アルコール性水性手術用ハンドスクラブ消毒組成物であって、1日目に1分以内に手の微生物叢の対数減少値を少なくとも1にする、組成物。
【請求項23】
2日目に使用の1分以内に手の微生物叢の対数減少値を少なくとも2にする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
最後の5日目までに使用の1分以内に手の微生物叢の対数減少値を少なくとも3にする、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
1日目に少なくとも6時間、手の細菌増殖の抑制を引き起こす、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
皮膚に非アルコール性水性消毒組成物を適用することを含む手術前に皮膚を消毒する方法であって、前記組成物が水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む、方法。
【請求項27】
水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む非アルコール性水性消毒組成物を適用することにより手を消毒する方法であって、前記組成物が、1回目の洗浄後5分以内に、指標生物の対数減少値を少なくとも2にする、方法。
【請求項28】
前記指標生物が、大腸菌、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス、緑膿菌、セラチア・マルセッセンス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ディフィシルからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
10回目の洗浄の5分以内に、指標生物の対数減少値を少なくとも3とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記指標生物が、大腸菌、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・フェカリス、緑膿菌、セラチア・マルセッセンス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ディフィシルからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
水ベース・マトリクス中にグルコン酸クロルヘキシジンとシリコーンポリマーと定着剤とを含む非アルコール性水性消毒組成物を適用することを含む、医療従事者が手術的処置に参加する前に医療従事者の手を消毒する方法であって、前記組成物が、1日目に1分以内に手の微生物叢の対数減少値を少なくとも1にする、方法。
【請求項32】
前記組成物が、2日目に使用の1分以内に手の前記微生物叢の対数減少値を少なくとも2にする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、最後の5日目までに使用の1分以内に手の前記微生物叢の対数減少値を少なくとも3にする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、1日目に少なくとも6時間、手の細菌増殖の抑制を引き起こす、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2012−500195(P2012−500195A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522958(P2011−522958)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/073368
【国際公開番号】WO2010/019155
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511040355)エクストリウム ラボラトーリーズ, インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】