説明

空冷通信装置

【課題】 装置に要求される最悪環境下で必要な空冷風量を確保し、かつ平均的な環境温度下で過剰な風量とならない空冷を実施可能な空冷通信装置を得る。
【解決手段】 内部を強制空冷する空冷通信装置において、強制空冷に使用する風を装置内部へ送出するFAN部と、FAN部の空気温度を観測し、温度情報として出力する温度検出部と、前記温度情報と予め設定された目標温度とを比較し、比較結果に基づいて前記FAN部の風の送出状態を制御するFAN制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強制空冷方式を用いた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置においては、処理能力の大容量化および高密度実装化により、単位面積当たりの消費電力が増大することで装置内部の温度上昇が顕著となっている。このため、周囲環境温度によらず使用部品の信頼性を確保するために、自然空冷方式から強制空冷方式へと移行している。
【0003】
強制空冷方式を採用することで、単位面積当たりの許容消費電力を高めることができるため、高密度実装が可能となり、処理能力あたりの省スペース化が進んでいる。
【0004】
そして、このような従来の強制空冷方式を用いた装置では、装置に要求される周囲温度条件下において、常に正常動作が可能な内部温度以下となるように空冷風量を算出し、実際の周囲温度に関わらず、常時算出された空冷風量を確保するようにFANを回転するようにしていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−158559
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の強制空冷方式の装置では、実際の周囲温度に関わらず予め算出した最悪環境下で必要な空冷風量を常時確保するようにFANを回転させており、平均的な環境温度下では過剰な風量での空冷を実施しているという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の空冷通信装置は、内部を強制空冷する装置であって、前記強制空冷に使用する風を当該装置内部へ送出するFAN部と、このFAN部の空気温度を観測し、温度情報として出力する温度検出部と、前記温度情報と予め設定された目標温度とを比較し、比較結果に基づいて前記FAN部の風の送出状態を制御するFAN制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、FAN部の風の送出状態を制御することで、装置内部温度を一定とし、安定動作を図ることが可能となる。また、FAN部の空気温度を観測し周囲温度変化に対応した風の送出状態に制御することで、FANの無駄な動作を防止することが可能となり、低消費電力化、低騒音化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる空冷通信装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかる空冷通信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の空冷通信装置の構成図である。図において、空冷通信装置である通信装置1は、第1系統から第n+1系統までのFAN部2−1〜2−n+1、このFAN部を構成する第1系統から第n+1系統までのFAN3−1〜3−n+1、第1系統から第n+1系統までの温度検出部4−1〜4−n+1、第1系統から第n+1系統までの回転数制御部(FAN制御部)5−1〜5−n+1を含み構成される。
【0011】
FAN3−1〜3−n+1は、通信装置1内に風速を与えるために風を送出する。温度検出部4−1〜4−n+1は、それぞれ同系統の前記FAN3−1〜3−n+1内を通過する空気温度を検出し数値化する。回転数制御部5−1〜5−n+1は、予め設定された目標温度を有し、それぞれ同系統の前記温度検出部4−1〜4−n+1より得られた空気温度情報と前記目標温度に基づいて、同系統の前記FAN3−1〜3−n+1の回転数を制御する。
【0012】
FAN部2−1〜2−n+1は、それぞれ同系統のFAN3−1〜3−n+1、温度検出部4−1〜4−n+1、回転数制御部5−1〜5−n+1により構成され、通信装置1を強制空冷する機能を有する。本通信装置1においては、n+1(nは正の整数)個で構成され、一つのFAN部が故障した場合でも、規定周囲温度内での運用に耐えられるよう、通信装置1内の温度上昇を抑えることの可能な使用数及び最大回転数が規定される。
【0013】
次に動作を説明する。第1系統のFAN部2−1において、温度検出部4−1がFAN部2−1内の空気温度(例えば、FAN3−1を通過する空気温度)を観測し、得られた空気温度情報を回転数制御部5−1へ転送する。回転数制御部5−1は、温度検出部4−1より転送されてきた空気温度情報と予め設定された目標温度とを比較演算し、設定された目標温度となるようにFAN3−1に対して回転数制御情報を送出し回転数を制御する。尚、回転数制御部5−1の回転数制御方法としては、予め設定された目標温度となるように連続的に回転数制御を実施する方法、若しくは、目標温度を1つまたは複数個有し、各目標温度を超える度に回転数を段階的に上げていくステップ式の制御方法などが実施可能である。
【0014】
当該制御により、FAN3−1の最大回転数が必要となる状態は、FAN部2−1以外の一つのFAN部が故障し、かつ通信装置1の周囲温度が規定された最大周囲温度となった場合のみとなる。前述の最悪環境以外の場合には、FAN3−1の回転数が過剰にならないような最適制御を行うことで、低消費電力化、低騒音化が可能となる。
【0015】
第2系統から第n+1系統までの各FAN部2−2〜2−n+1では、それぞれ独立して、前述の第1系統のFAN部2−1と同様の制御を実行する。
【0016】
尚、各系統の目標温度については、外部より設定変更可能な構成とすることにより、使用環境に合わせた運用形態をとることが可能となる。
【0017】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態1の空冷通信装置の構成図である。図において、空冷通信装置である通信装置1は、第1系統から第n+1系統までのFAN部2−1〜2−n+1、このFAN部を構成する第1系統から第n+1系統までのFAN3−1〜3−n+1、第1系統から第n+1系統までの温度検出部4−1〜4−n+1、第1系統から第n+1系統までの回転数制御部(FAN制御部)6を含み構成される。
【0018】
FAN3−1〜3−n+1は、通信装置1内に風速を与えるために風を送出する。温度検出部4−1〜4−n+1は、それぞれ同系統の前記FAN3−1〜3−n+1内を通過する空気温度を検出し数値化する。回転数制御部6は、予め設定された目標温度を有し、前記温度検出部4−1〜4−n+1より得られた空気温度情報と前記目標温度に基づいて、前記FAN3−1〜3−n+1の回転数を制御する。
【0019】
FAN部2−1〜2−n+1は、それぞれ同系統のFAN3−1〜3−n+1、温度検出部4−1〜4−n+1により構成され、通信装置1を強制空冷する機能を有する。本通信装置1においては、n+1(nは正の整数)個で構成され、一つのFAN部が故障した場合でも、規定周囲温度内での運用に耐えられるよう、通信装置1内の温度上昇を抑えることの可能な使用数及び最大回転数が規定される。
【0020】
次に動作を説明する。各FAN部2−1〜2−n+1において、温度検出部4−1〜4−n+1それぞれが、同系統のFAN部2−1〜2−n+1内の空気温度(例えば、同系統のFANを通過する空気温度)を観測し、得られた空気温度情報を回転数制御部6へ転送する。回転数制御部6は、温度検出部4−1〜4−n+1より転送されてきた空気温度情報と予め設定された目標温度とを比較演算し、設定された目標温度となるように各FAN3−1〜3−n+1に対して回転数制御情報を送出し回転数を制御する。
【0021】
尚、回転数制御部6の回転数制御方法としては、各系統のFAN毎に目標温度となるように回転数を制御する方法と、各系統全ての空気温度情報が目標温度以下となるように、同一回転数を全てのFAN3−1〜3−1n+1に設定する方法がある。また、予め設定された目標温度となるように連続的に回転数制御を実施する方法、若しくは、目標温度を1つまたは複数個有し、各目標温度を超える度に回転数を段階的に上げていくステップ式の制御方法などが実施可能である。
【0022】
当該制御により、全てのFAN3−1〜3−n+1の最大回転数が必要となる状態は、FAN部2−1〜2−n+1のいずれか一つのFAN部が故障し、かつ通信装置1の周囲温度が規定された最大周囲温度となった場合のみとなる。前述の最悪環境以外の場合には、FAN3−1〜3−n+1の回転数が過剰にならないような最適制御を行うことで、低消費電力化、低騒音化が可能となる。
【0023】
尚、各系統の目標温度については、外部より設定変更可能な構成とすることにより、使用環境に合わせた運用形態をとることが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 通信装置、
2−1〜2−n+1 FAN部、
3−1〜3−n+1 FAN、
4−1〜4−n+1 温度検出部
5−1〜5−n+1 回転数制御部(FAN制御部)
6 回転数制御部(FAN制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を強制空冷する空冷通信装置において、
前記強制空冷に使用する風を当該装置内部へ送出するFAN部、
このFAN部の空気温度を観測し、温度情報として出力する温度検出部、
前記温度情報と予め設定された目標温度とを比較し、比較結果に基づいて前記FAN部の風の送出状態を制御するFAN制御部
を備える空冷通信装置。
【請求項2】
前記FAN制御部は複数の目標温度を有し、前記温度情報が各目標温度を超える度に、前記FAN部の風の送出状態を風量が増えるように段階的に制御すること
を特徴とする請求項1に記載の空冷通信装置。
【請求項3】
複数の前記FAN部と、各FAN部それぞれに対応する複数の前記温度検出部を備え、
前記FAN制御部は、前記各温度検出部から得られた複数の温度情報と予め設定された目標温度とを比較し、比較結果に基づいて前記各FAN部の風の送出状態を一律に制御すること
を特徴とする請求項1または2に記載の空冷通信装置。
【請求項4】
前記目標温度は、当該空冷通信装置の外部より設定可能なこと
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空冷通信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−253066(P2012−253066A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122215(P2011−122215)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】