説明

空力抵抗を減少するための方法及び装置

動いている鈍頭物体(180)の空力抵抗を減少する方法であって、鈍頭物体の後縁に空気の流れ(230)を能動的に発生し、発生した空気の流れを使用して動いている鈍頭物体(180)の縁に対して動く空気の外部流れ(136)を制御する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、ともに2007年5月2日に出願された米国仮特許出願60/924157及び60/924158の利益を主張し、本願と同日にPCT特許出願として出願されかつ代理人整理番号43723として識別される、G.Arwatz,I.Fono及びA.Seifertによる「Apparatus and Method for Oscillating Fluid Jets」という名称の同時係属出願に関連する。上述の特許出願の全ての開示内容は参考としてここに完全に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、限定されないが、例えばトラックの後部物体及び他の車両を含む鈍頭物体(blunt or bluff body)の空力抵抗を減少するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両が前方に動くとき、車両の表面に沿った外部の空気流れは車両の後部端の表面から分離する。分離は実質的に垂直な後部面を有する車両(例えばトラック)において最も顕著である。表面からの流れの分離は車両の後部面の背後に低い圧力の領域を作成する。低い圧力の領域は、空力抵抗として知られる現象で車両を後方に「引っぱる」。車両(例えばトラック)の空力抵抗は燃料効率を有意に低下する。
【0004】
燃料効率の低下は、燃料消費の増大に導き、それは空気汚染及び/又は温室ガスの生成及び/又は輸送コストの増大に寄与する。
【0005】
様々な構成で車両に装着される機械的(静的)流れデフレクターは、燃料効率を増大しようとするときに外部流れ層の流れを制御するために使用される。これらの機械的流れは一般に、「フレア加工」又は「デフレクター」として言及される。
【0006】
空力抵抗は、高速道路のスピードで動いている地上車(例えばトラック)の全運動抵抗の約50%〜70%を占める。それゆえ、空力抵抗の20%の減少は、全抵抗の10%の正味の減少の潜在的可能性を持つ。10%の抵抗の減少は、燃料消費の7〜10%を減少する潜在的可能性を持つ。空力抵抗の20%の減少からの燃料消費の実際の減少は他の要因によって影響される。それらの要因は限定されないが、車両重量、減少を実施するエネルギーコストを含む。現在の燃料価格では、高速道路のスピードで50000マイル/年を走行するトラックは空力抵抗の20%の減少から1年あたり$3000の正味の節約を実現できるだろう。より長い距離を走行するトラックは比例的により大きな節約を実現できる。代替的に又は追加的に、燃料消費の7〜10%の減少は有意な環境上のインパクトを持つことができるだろう。存在する能動的なデフレクターは空力抵抗及び/又は燃料消費をこの程度まで減少する能力を持たない。サイズ及び/又は重量及び/又はコスト及び操作上の考慮すべき事項によって課される制限のため、能動的なデフレクターを燃料効率に寄与する程度に高めるさらなる開発が実際には考えられる。操作上の考慮すべき事項は限定されないが、商品の積み降ろしの影響、ライト及び反射板の視認性の妨げ、及び装置の有意な張出しを含む。
【0007】
コアンダ効果を使用して高スピードの壁面ジェットを湾曲した空力形状に適用することによって強力な循環流れを生成する手段が広範に研究されている(例えば、Jones,GS及びEnglar,RJ,AIAA論文2003−3411参照、その内容は参考としてここに完全に組み入れられる)。最近では、同様の考えが重い車両の抵抗を減少するために適用されている(例えば、SAE技術論文2001−01−2072,R.J.Englar著及びAIAA論文2004−2249,R.C.McCallenら著参照、その内容は参考としてここに完全に組み入れられる)。
【0008】
Bennettらの米国特許第4736913号は、分離線からちょうど上流に位置された接線方向の流体放出スロットを利用して急な曲がりの外部形状を持つ物体の領域に付いた流れを制御可能に維持する流体流れ制御装置を記載し、それは外部の流れ層を付勢しかつ周囲の流れを連行する薄いジェット広がりを出す。Bennettは、巡航時の分離及び渦抵抗を減少し、航空機の低スピード操作時の制御力及びモーメントを与えるために航空機の後部胴体への適用を記載する。この特許の開示は参考としてここに完全に組み入れられる。
【0009】
Englarらの米国特許第7104498号は、様々な目的のためにブロウンチャンネルサーキュレーションコントロールウイング(blown channel circulation control wings(CCW))を有するチャンネルウイングを含む航空機を記載する。記載されたCCWは、加圧空気の源に頼り、丸められた後縁上に加圧空気を接線方向に放出することができる。丸められた後縁上に放出される加圧空気は、航空機の迎え角から独立して得られる高い揚力を与え、従って非対称的な分離流れや高い揚力発生のために必要な高い迎え角でCCウイングによって経験される失速を防止する。航空機は、ブロウンチャンネルCCWに相乗的に接続されたブロウンアウトボードサーキュレーションコントロールウイング(CCW)をさらに含むことができる。ブロウンアウトボードCCWはさらなる高い揚力を与え、推力/抵抗の交換を制御し、異なるブロウイングが前後に又は左右に適用されるときに全ての三つの空力モーメントを与えることができる。ともにブロウンチャンネルCCWである。この特許の開示は参考としてここに完全に組み入れられる。
【0010】
参考としてここに完全に開示内容が組み入れられる「Method and Mechanism for Producing Suction and Periodic Excitation Flow」という名称のSeifertらの米国特許第7055541号は、ここで開示された発明の幾つかの実施態様に使用するために好適な例示的な値を記載する。
【0011】
ウイング区域の外部流れ制御の効果を特徴づけるための初期の研究では、分離を制御する目的のために表面に又はその近くに適用される空気の振動又は脈動流れが振動又は脈動なしで適用された同様の流れより百倍ほど効果的でありうることが測定されている(Seifertら(1996)J.of Aircraft 33(4):691−699)。
【発明の概要】
【0012】
本発明の幾つかの実施態様の側面は、抵抗を減少する手段として動いている鈍頭物体の縁の外部流れを能動的に制御することに関する。本発明の例示的実施態様では、動いている鈍頭物体は車両の一部(例えばトラックの後部)又は車両で運ばれるもの(例えば運送用コンテナ)である。
【0013】
本発明の例示的実施態様では、能動的な制御は、存在する外部流れに対する流体ジェット及び/又は吸引の適用を含む。任意選択的に、流体ジェットは脈動及び/又は振動流体ジェットである。任意選択的に、外部流れ層が制御する縁は上方縁、下方縁及び側方縁の一つ以上を含むことができる。
【0014】
本発明の例示的実施態様では、能動的な外部流れ制御装置は、物体が移動するときに鈍い後部領域を有する物体の空力抵抗を減少する。任意選択的に、装置は組み込み操作において又は製造時に適用される。組み込み装置は外部又は内部(ビルトイン)のものであることができる。本発明の例示的実施態様では、鈍頭物体中に能動的な外部流れ制御装置を含めることは、物体が移動するときに物体の空力抵抗を減少する。任意選択的に、そのように含めることは鈍頭物体の製造中又は後に行なわれる。
【0015】
任意選択的に、鈍い後部領域を有する物体は限定されないが、トラック、トラックトレーラ、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)、バス、ステーションワゴン及び運送用コンテナを含む。
【0016】
例示的実施態様では、本発明による装置及び/又は方法は、従来利用可能であるデフレクター又はフレア加工より何倍も効率的に外部流れ分離を防止する。任意選択的に、適用される流れの脈動及び/又は振動はそれらの効率性を有意に高める。
【0017】
例示的実施態様では、本発明による装置及び/又は方法は、外部流れ分離における相乗的遅れを達成するために従来利用可能なデフレクター又はフレア加工と結合して配置及び/又は実行される。任意選択的に、本発明の例示的実施態様による装置は能動的な方式ではデフレクタとして作用する。
【0018】
本発明の様々な例示的実施態様によれば、能動的な外部流れ制御装置は、直線的及び/又は湾曲した表面によって特徴付けられることができる。任意選択的に、湾曲した表面は凸状、凹状又はそれらの組み合わせである。
【0019】
本発明の幾つかの実施態様の側面は、抵抗を減少する手段として動いている鈍頭物体の縁の外部流れに入力エネルギーを適用することに関する。本発明の例示的実施態様では、入力エネルギーは、抵抗減少に寄与する外部流れの分裂に寄与する。任意選択的に、入力エネルギーは自動車の存在するシステムから来るものであり、かつ/または明白に入力エネルギーを与えるように設置されたエネルギー供給源によって提供される。
【0020】
本発明の例示的実施態様では、動いている鈍頭物体(blunt−edged body)の空力抵抗を減少する方法であって、
(a)鈍頭物体の後縁に空気の流れを能動的に発生し、
(b)発生した空気の流れを使用して動いている鈍頭物体の縁に対して動く空気の外部流れを制御する
工程を含む方法が提供される。
【0021】
任意選択的に、物体の鈍い縁(blunt edge)は物体の別の寸法と比較して小さい半径によって特徴付けられる(例えば、その高さの5〜20の比で小さい)。
【0022】
任意選択的に、発生した空気の流れを使用して外部流れを制御することは、存在する外部流れに対して角度を付けて発生した流れを適用して修正された外部流れを作成することを含む。
【0023】
任意選択的に、発生した空気の流れを使用して外部流れを制御することは、一つ以上の吸引口を含む導管を通る流れを適用して吸引流れを作成し、一つ以上の吸引口を通る吸引流れは外部流れを修正することを含む。
【0024】
任意選択的に、(a)及び(b)の工程は、一つ以上の吸引口を含む導管を通る流れを適用して吸引流れを作成し、一つ以上の吸引口を通る吸引流れは外部流れを修正し、存在する外部流れに対して角度を付けてジェット流れを適用して修正された外部流れを作成することを含む。
【0025】
任意選択的に、発生した流れは脈動ジェット流れである。
【0026】
任意選択的に、前記方法は地上車の少なくとも一部に適用される。
【0027】
任意選択的に、前記方法は運送用コンテナの少なくとも一部に適用される。
【0028】
任意選択的に、前記方法は鈍頭物体に装置を加えることを含み、前記装置は鈍頭物体の外部形状を少なくとも一次元で変更する。
【0029】
任意選択的に、前記方法は鈍頭物体に装置を加えることを含み、前記装置は鈍頭物体の外部形状を変更しない。
【0030】
任意選択的に、(a)の工程は、空気に入力エネルギーを与えて流れを能動的に発生することを含む。
【0031】
任意選択的に、入力エネルギーを与えることは、自動車の存在するシステムからエネルギーを引き出すことを含む。
【0032】
任意選択的に、エネルギーを引き出すことは、自動車の出力源から電気エネルギーを引き出すことを含む。
【0033】
任意選択的に、エネルギーを引き出すことは、自動車の存在するシステムから機械エネルギーを引き出すことを含む。
【0034】
任意選択的に、エネルギーを引き出すことは、自動車の内燃機関によって作られる熱エネルギーの少なくとも一部を捕獲することを含む。
【0035】
任意選択的に、エネルギーを引き出すことは、自動車の温度制御システムによって作られる空気流れの少なくとも一部を転用することを含む。
【0036】
任意選択的に、エネルギーを引き出すことは、自動車の空気圧システムによって作られる空気流れの少なくとも一部を転用することを含む。
【0037】
任意選択的に、入力エネルギーを与えることは、自動車のいかなる存在するシステムからも独立して操作するエネルギー源を使用することを含む。
【0038】
任意選択的に、能動的に発生した流れは少なくとも0.5L/Sの流速によって特徴づけられる。
【0039】
任意選択的に、能動的に発生した流れは流れ制御装置のための入口において少なくとも4PSIの圧力によって特徴づけられる。
【0040】
本発明の例示的実施態様では、流体を通って動く物体の空力抵抗を減少するように適応された装置であって、
(a)装置ハウジング、及び
(b)装置ハウジング内の流体発生装置
を含み、流体発生装置は、装置ハウジングが装着される動いている物体の縁の外部流れを制御する少なくとも一つの流れを発生するように適応されている、装置が提供される。
【0041】
任意選択的に、流体発生装置によって発生した少なくとも一つの流れは、修正された外部流れを作成するために存在する外部流れに対して角度を付けて装置ハウジングを出る脈動流れを含む。
【0042】
任意選択的に、流体発生装置によって発生した少なくとも一つの流れは、修正された外部流れを作成するために少なくとも一つの吸引口によって存在する外部流れに適用される吸引流れを含む。
【0043】
任意選択的に、流体発生装置によって発生した少なくとも一つの流れは、修正された外部流れを作成するために少なくとも一つの吸引口によって存在する外部流れに適用される吸引流れを含み、さらに、修正された外部流れを作成するために存在する外部流れに対して角度を付けて装置ハウジングを出るジェット流れを含む。
【0044】
任意選択的に、ジェット流れは脈動ジェット流れである。
【0045】
任意選択的に、前記装置は地上車の外部表面に装着される。
【0046】
任意選択的に、前記装置は地上車の壁内に装着される。
【0047】
任意選択的に、前記装置は地上車によって輸送される品目(例えば運送用コンテナ)の外部表面に装着される。
【0048】
任意選択的に、前記装置は地上車によって輸送される品目(例えば運送用コンテナ)の壁内に装着される。
【0049】
任意選択的に、前記装置は前記流れを発生するために自動車の存在するシステムからエネルギーを転用するように適応されるエネルギー源を含む。
【0050】
任意選択的に、自動車の存在するシステムは、電気システム、ドライブトレイン及び温度制御システムからなる群から選択される。
【0051】
任意選択的に、流体発生装置は、少なくとも一つの流れ口を通して少なくとも0.5L/Sの速度によって特徴づけられる流れを発生するように適応される。
【0052】
任意選択的に、流体発生装置は、少なくとも一つの流れ口を通して少なくとも3PSIの圧力によって特徴づけられる流れを発生するように適応される。
【0053】
本発明の例示的実施態様では、地上車の空力抵抗を減少する方法であって、
(a)地上車に外部流れを能動的に制御するように適応された装置を装着し、
(b)地上車が動いている間に装置を操作する
工程を含む方法が提供される。
【0054】
任意選択的に、移動はしきい値速度以上である。
【0055】
任意選択的に、地上車に装置を装着することは、地上車の製造時に行なわれる。
【0056】
任意選択的に、地上車に装置を装着することは、地上車の製造後に組み込んで行なわれる。
【0057】
任意選択的に、地上車に装置を装着することは、地上車の外部表面に装置を配置することを含む。
【0058】
任意選択的に、操作は、少なくとも70キロメートル/時を越えるスピードで行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
以下の説明において記載された本発明の例示的な限定されない実施態様は、ここに添付された図を参照して読まれる。図において、二つ以上の図において現れる同一及び類似の構造、要素又はそれらの部分は一般に、それらが現れる図において同一又は類似の参照符号を付けられる。図に示された構成要素及び特徴の寸法は主に説明の便宜性及び明確性のために選択され、必ずしも縮尺通りでない。添付図面は以下の通りである。
【0060】
【図1a】本発明の例示的実施態様による装置の側方横断面の概略図である。
【0061】
【図1b】本発明の異なる例示的実施態様の操作効率に寄与する流れ角の例示的範囲を示す。
【0062】
【図1c】本発明の例示的実施態様による装置及び鈍頭物体の上部表面の平面図である。
【0063】
【図2】鈍頭物体に装着された本発明の例示的実施態様による装置の側方横断面の概略図である。
【0064】
【図3A】吸引方向(破線矢印)及び脈動流体放出及び/又は追加吸引(本発明の例示的実施態様による点線矢印)を示す鈍頭物体に装着される装置の一部の側方横断面の概略図である。
【図3B】吸引方向(破線矢印)及び脈動流体放出及び/又は追加吸引(本発明の例示的実施態様による点線矢印)を示す鈍頭物体に装着される装置の一部の側方横断面の概略図である。
【図3C】吸引方向(破線矢印)及び脈動流体放出及び/又は追加吸引(本発明の例示的実施態様による点線矢印)を示す鈍頭物体に装着される装置の一部の側方横断面の概略図である。
【0065】
【図4A】本発明の異なる例示的実施態様による鈍頭物体に装着される装置の側方横断面の概略図である。
【図4B】本発明の異なる例示的実施態様による鈍頭物体に装着される装置の側方横断面の概略図である。
【0066】
【図5】本発明の例示的実施態様による方法の簡単な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
概観
図1Aは、本発明の例示的実施態様による装置10の側方横断面の概略図である。装置10は鈍頭物体180の後縁184に取り付けられて描かれている。鈍頭物体180が前方(図の左側)に動くにつれて外部流れ126が確立される。予定通りでは、流れ126は後縁184の後に続く(136)。本発明の例示的実施態様では、装置10は偏向された外部流れ146を起こす。描かれた実施態様では、偏向された流れ146は予定通りの流れ136に対して下方にシフトされる。
【0068】
描かれた実施態様では、装置10は、分割壁34によって分離される上部室36及び導管46を含むハウジング32を含む。本発明の例示的実施態様では、分割壁34は上部室36と導管46の間に一つ以上の口22を含む。本発明の例示的実施態様では、下部壁26は導管46の底縁を規定する。
【0069】
本発明の例示的実施態様によれば、入力流れ228は入口24を介して導管46に入る。本発明の例示的実施態様によれば、入力流れ228は入力エネルギーによって駆動される。任意選択的に、少なくとも一つの吸引口20は外部環境と上部室32の間の流体連通を与える。描かれた実施態様では、入力流れ228は導管46を通って流れるとき、入力口24の出口の背後の減圧のために口22を介して上部室36から導管46中に追加の流体が引っぱられる。口22を通る上部室36からの追加の流体の引っぱりは、上部室36内の圧力を減少する。減少した圧力は、外側の環境から吸引口20を介する上部室36中への吸引流れ220に寄与する。任意選択的に、吸引流れ220は口22を通って導管46中に続き、そこでそれは流れ228と混合して流れ228を増大させる。
【0070】
本発明の例示的実施態様では、少なくとも一つの出力流れ口30は導管46中の流れを外側の環境に出すことを可能にする。任意選択的に、一つ以上の突出部40が出力流れ口30の近くの導管46に設置され、出力流れ230を所望の方向に向ける。本発明の例示的実施態様では、所望の方向は予定通りの外部流れ136に対して下向きの角度である。本発明の例示的実施態様では、吸引流れ220及び/又は出力流れ230は、偏向された流れ146を作成するために予定通りの流れ136の偏向に寄与する。
【0071】
図1Bは、本発明の異なる例示的実施態様の操作効率に寄与する流れ角の例示的範囲を示すダイヤグラム50である。ダイヤグラムは図1Aのような装置断面の外形に重ねられる。ダイヤグラム50では、後面184は90度(垂直)として示される。任意選択的に、吸引口20は110〜130°に位置され、出力流れ口30は120〜150°に位置される。さらに、図は、本発明の幾つかの例示的実施態様では、出力流れ口30がハウジング32の口30の部位に接する線(T−Tとして示される)に対して20〜40°の角度を付けられることを示す。
【0072】
図1Cは、上部面186及び後部面184が単一平面にあるように展開した鈍頭物体180を描く。この図では、装置10は上部面180の近くの後部面184の上部で見られる。描かれた実施態様では、二つの出口30が描かれている。任意選択的に、出口流れ230はこれらの口の間で振動する。任意選択的に、振動は、関連出願の部分で上で参照したG.Arwatzらによる「Apparatus and Method for Oscillating Fluid Jets」という名称の同時係属出願に記載されたタイプのフィードバック管(口23の間を接続するものであり、明確化のために180で示されるものではない)によって制御される。
【0073】
本発明の例示的実施態様では、多数の吸引口20は上部室(図1A参照)を介してより少ない数の接続口22に集まる。任意選択的に、上部室36は、吸引流れ30を入口24の出口の背後にある口22に戻すように案内する役割を有する。多数の吸引口20が描かれているが、後面184の同様の幅にわたる単一の合流開口を単一の穴もしくは細長いスロット又は多数のそれらの形状で与えることにより同様の効果が達成されることができる。
【0074】
図2は、鈍頭物体180に設置された本発明の例示的実施態様による装置110の側方横断面の概略図100である。本発明の例示的実施態様では、鈍頭物体はトラックの荷台、セミトレーラ又はトレーラ上の運送用コンテナ又はトラックの後部物体である。描かれた実施態様では、装置110は後面184の上及び下縁に設置される。代替的に又は追加的に、装置110は後面184の側方(垂直)縁に設置されることができる。
【0075】
鈍頭物体180が前方に(この図の左に)進むにつれて鈍頭物体180の周囲に空気が流れ、前面182(この図の縁として見える)は空気流れを分裂し、従って外部流れは鈍頭物体180の上部面186の上に、鈍頭物体180の側部に沿って、そして鈍頭物体180の下部面188の下に作成される。典型的には、全ての外部流れは、上部面186及び下部面188のそれぞれの高さで鈍頭物体180の後面184を越えて平行に鈍頭物体180の側部から分離して流れ続ける。
【0076】
図2の例示的実施態様では、各装置110は横断面において180度の円弧を持つように描かれている。任意選択的に、90度又はそれより小さい円弧の角度が流れ制御機能に関して十分であり、装置110を後面184に単に取り付けるために使用される。
【0077】
本発明の例示的実施態様では、角度250(図3A)は90度又はそれより大きい。任意選択的に、より大きい角度は空力効率を低下しないが、荷物の積み降ろしのために使用される開閉扉のような他の操作上の制約を生じうる。
【0078】
本発明の実施態様による例示的装置110の物理的存在は、外部流れ層空気流れの136によって示される下方向への受動的な方向転換を起こすことができる。下方縁188に隣接して設置された追加の例示的装置110は、外部空気流れの138によって示される上方向への同様の受動的な方向転換を起こすことができる。この効果は、能動的なデフレクターとしての装置110の機能に起因しうる。同じ原理は、後部面184の側部に取り付けた110と同様の装置に対しても適用できる。
【0079】
風洞試験は、6psiの圧力で送出された流れ228が90Hzの出力口30の間の振動周波数を生じることを示す。任意選択的に、振動周波数は下方の偏向146に対して相対的に弱い効果を持つ。本発明の例示的実施態様では、入口流れ228が送出される圧力を増大すること、吸引流れ220、脈動吹き付け流れ230の周波数及び大きさを増大することは、結果として、下方向の偏向146の角度の増加に寄与する。本発明の例示的実施態様では、下方向の偏向146の角度が増大するとき、抵抗減少もまた増大する。本発明の例示的実施態様では、下方向の偏向146の角度、入口流れ228が送出される圧力、及び正味の抵抗減少の間にトレードオフの関係がある。
【0080】
本発明の例示的実施態様では、方向転換された外部流れ146は空力抵抗の減少に寄与し、それは能動的な偏向によって与えられるものより1.5,2,3,4又は5倍、又はそれらの中間倍、又はそれらより大きい倍数で大きい。任意選択的に、方向転換された外部流れ146が空力抵抗の減少に寄与する程度は方向転換の角度とともに変化する。本発明の例示的実施態様では、方向転換の角度は流れ220及び/又は230の速度、及び/又はそれらが適用される角度とともに変化する。
【0081】
外部流れを能動的に方向転換する種々の方法は以下において本発明の異なる例示的実施態様において詳細に説明される。
【0082】
任意選択的に、前縁182と上部及び下部面(それぞれ186及び188)の間の接合部181は、破線183によって示されるように湾曲される。湾曲(例えば183によって示されるタイプのもの)は鈍頭物体の前面で流れ分離を除去することが良く知られている。しかしながら、高さ及び/又は幅より2倍、任意選択的には3倍又はそれより大きい長さによって特徴づけられる一般的な車両及び/又は運送用コンテナでは、前縁182のこの湾曲は鈍頭物体180の後縁184での外部流れ層分離に対して相対的に小さい効果を持つ。従って、前縁182の修正は後縁184での空力抵抗を有意に減少しない。
【0083】
図2の側方横断面では、装置110は後面184の上及び下の縁でだけ見ることができるが、それらは本発明の種々の例示的実施態様に従って追加の及び/又は他の位置で設置されることができる。
【0084】
本発明の種々の例示的実施態様によれば、装置110は鈍頭物体180の後面184の周囲の多いと100%に沿って又は少ないと10%に沿って展開されることができる。本発明の例示的実施態様では、装置110は後面184の周囲の25%,50%又は75%に沿って展開される。
【0085】
本発明の例示的実施態様では、装置110は鈍頭物体180の後部面184の上及び/又は下の縁上に装着される。任意選択的に、この構成は鈍頭物体180の後面184の水平方向の中線に向かって上方に及び/又は下方に外部流れを偏向する。
【0086】
本発明の例示的実施態様では、装置110は鈍頭物体180の後部面184の一つ以上の垂直側縁上に装着される。任意選択的に、この構成は鈍頭物体180の後部面184の垂直方向の中線に向かって内側に外部流れを偏向する。
【0087】
本発明の例示的実施態様では、複数の出口流れ口30が後部面184の一つ以上の縁に沿って分配される。本発明の例示的実施態様では、地上車は一つ以上の装置110を取り付けることができ、その装置は後部面184の単一縁に沿って数十個、任意選択的に数百個の口30を与える。任意選択的に、外部流れの所望の偏向を生成するために出力口30の数と各口30からの流れ230の速度の間にトレードオフの関係がある。任意選択的に、所望の偏向は所望の正味の抵抗減少に寄与する。
【0088】
本発明の例示的実施態様では、各口30は0.5〜1.0L/S又はそれより大きい流れを与える。任意選択的に、流れは脈動流れである。任意選択的に、脈動流れは二つ以上の口30の間で振動する。本発明の例示的実施態様では、数十個〜数百個の口30は1〜200L/Sの全体の空気流れを与える。任意選択的に、流れは雰囲気圧より1〜10PSI高い圧力で、任意選択的に雰囲気圧より4〜6PSI高い圧力で送出される。
【0089】
例示的装置構成
図3Aは、装置110によって生成される流れの吸引方向(破線矢印220)及び脈動流体放出及び/又は追加の吸引(点線矢印230)を示す鈍頭物体180の後部面184に装着された本発明の例示的実施態様による一つ以上の直線縁によって特徴づけられるハウジング214を有する装置110の一部の側方横断面の概略図200である。
【0090】
本発明の例示的実施態様では、一つ以上の脈動流れ230は下方の角度で適用される(一つの脈動流れ230が明確化のために描かれている)。任意選択的に、流れ230は装置110のハウジング214から外方に発出するジェット及び/又は装置110のハウジング214の内側に向けられた吸引流れを含むことができる。流れ230は装置110の湾曲した表面に対して浅い角度232で放出されるべきである。任意選択的に、浅い角度は放出位置の表面214に対する接線方向に対して15,25,35又は45度(又はそれらより小さい又はそれらの中間又はそれらより大きい角度)である。
【0091】
代替的に又は追加的に、装置110は、外部流れを下方に偏向する手段としてハウジング214の上部内への吸引流れ220を作成する(一つの吸引流れ220が明確化のために描かれている)。任意選択的に、吸引は、脈動流れ230を与えるために使用される導管の一つ以上の吸引口によって供給される。
【0092】
本発明の例示的実施態様では、吸引流れ220及び/又は脈動流れ230の大きさは、流体に対する物体180の相対的な移行速度の大きさ又はその逆のオーダを持つものである。本発明の例示的実施態様では、鈍頭物体180の流れ220及び/又は230は、鈍頭物体10が高速道路のスピード(例えば50〜80MPH又はそれより大きいスピード)で走行するときに適用される。任意選択的に、流れ220及び/又は230の速度は10,20,30,40,50,60,70,80又は90MPH又はそれらの中間値又はそれらより大きい値の速度である。本発明の例示的実施態様では、流れ220及び/又は230の速度は、装置110が装着される車両の速度に従って調整される。任意選択的に、流れ220及び/又は230の速度は車両の速度の50%〜200%である。本発明の例示的実施態様では、流れ220及び/又は230の速度は車両の速度にほぼ等しい。一般に、抵抗減少の量は、流れ220及び/又は230の速度が増大するにつれて増大する。
【0093】
本発明の例示的実施態様では、装置110は、1:4,1:8,1:10,1:12,1:16,1:18,1:20,1:25又はそれらより小さい又はそれらの中間又はそれらより大きいアスペクト比(図2に示すR:H)によって特徴づけられ、2Rは後部面184に対する装置110の垂直高さであり、Hは物体180の垂直高さである。本発明の例示的実施態様では、アスペクト比を増大することは、同様の制御値を達成するために流れに対する条件の増加に寄与する。任意選択的に、1:5〜1:20のアスペクト比は、必要な流れの制御値と達成される抵抗減少の間の許容可能なトレードオフの関係を与える。
【0094】
図3Bは、装置ハウジング216が部分的に凸状で部分的に凹状の上部面によって特徴づけられる追加の例示的実施態様202を描く。
【0095】
本発明の例示的実施態様では、出口30(ここでは脈動流れ230によって表される)は、脈動流れ230が外部流れ層に衝突するようになっており、そこではそれは吸引口20(吸引流れ220によって表される)の下流を再分離する傾向があり、効率の増大に寄与する。
【0096】
図3Cは、装置ハウジング218が実質的に凹状の上部面によって特徴づけられる追加の例示的実施態様204を描く。
【0097】
例示的装着構成
図4Aは、本発明の例示的実施態様による鈍頭物体180上の装置110のための装着構成300の横断面の概略図である。描かれた実施態様では、後部面184はヒンジ320に装着された扉330を含む。任意選択的に、装置110は装置ヒンジ350及び/又はコネクタ352によって鈍頭物体180の上部面186に接続される。本発明の例示的実施態様では、装置110は扉330の開放を可能にするように移動又は回転390される。任意選択的に、装置110は装置ヒンジ350に対して回転方向に及び/又はコネクタ352に対して軸方向に動く。本発明の種々の実施態様によれば、装置110は後部面184の幅及び/又は周囲の少ないと10%又は多いと100%を占有する。
【0098】
本発明の例示的実施態様では、コネクタ352はヒンジ350なしで与えられ、装置110は扉330の開放を容易にするためにコネクタ352を脱離することによって一時的に除去される。
【0099】
本発明の例示的実施態様では、装置110は扉330の後部に面する表面に永続的に取り付けられる。任意選択的に、装置110は、二つの扉330に対応する二つの部分に分割される。本発明の例示的実施態様では、入力流れ228は各装置110に対して別々に与えられる。本発明の例示的実施態様では、単一の入力流れ228は分配管を介して装置の両半分に分配される。
【0100】
本発明の例示的実施態様では、鈍頭物体180の上部面186及びコネクタ352に沿った外部流れは、装置110を所定の場所に留まる傾向に寄与する。
【0101】
本発明の例示的実施態様では、追加の取り付け機構340が扉330と装置110の間に与えられる。任意選択的に、取り付け機構340は釈放可能な機構、例えば磁石、かぎ留め布又はコッタピンである。
【0102】
図4Bは、装置110が鈍頭物体180に対して垂直にオフセットされた本発明の例示的実施態様を描く。任意選択的に、装置110の垂直方向のオフセットは物体180の上部面186で発展する外部流れを物理的に攪乱する。任意選択的に、垂直方向のオフセットは装置10の半径の少ないと0.05倍又は多いと1.0倍である。任意選択的に、コネクタ352は(図4Bに描かれているように)上部面186に対して角度を付けられるか、又は(図4Aに描かれているように)上部面186に対して平坦なままである。
【0103】
本発明の例示的実施態様では、装置110の垂直方向のオフセットと組み合わせたコネクタ352の角度付けは、厚い乱れた外部流れ層をそれが装置110に到達する前に薄くする。任意選択的に、制御は薄くなった外部流れ層に適用される。
【0104】
図4A及び4Bでは、装置110内の空気流れの詳細は見ることができない。図4A,4B及び1Aを同時に参照すると、入口流れ228を入口24に向けるためにフレキシブル管又はマニホールドを与えることができる。任意選択的に、管又は導管は鈍頭物体180の内部又は外部表面に沿って経路を定められることができる。任意選択的に、管又はマニホールドは底部又は側部から装置110に入ることができる。
【0105】
例示的方法
図5は、本発明の一実施態様による例示的方法400の簡略化した流れ図である。
【0106】
410において能動的な外部流れ制御装置が車両上に与えられる。装置によって制御される流れ420は外部流れ方向を変更する。本発明の例示的実施態様では、この外部流れ方向の変更は空力抵抗の減少430及び/又は燃料効率の増大に寄与する。
【0107】
描かれた実施態様では、能動的な外部流れ層制御装置は装置によって能動的な流れを起こすこと412を含む。任意選択的に、能動的な流れは一つ以上の所望の出口方向に向けられる。本発明の例示的実施態様では、装置からの多数の出口は外部流れの分離により効果的に影響を与えるために異なるスパンに従った又は流れに従った角度で向けられる。任意選択的に、流れ230は、いかなる単一の出口からの流れも脈動されるように二つ以上の出口の間で振動する。本発明の例示的実施態様では、流れ230のための出口は一つの別のスパンから0.1R〜2Rの間隔がある。本発明の例示的実施態様では、能動的な流れは吸引開口を使用して増幅される414。これらの開口は上流、下流又は(スパンに従った方向で)脈動された吹き付けスロット/穴の間のいずれかであることができる。本発明の例示的実施態様では、スパンに従った方向の相分布は不均一である。任意選択的に、スパンに従った方向の不均一な相分布は、外部流れ層分離を制御する際に脈動吹き付け230の効率に寄与する。
【0108】
本発明の例示的実施態様では、能動流れを起こす412手段としてエネルギー入力が装置を通して与えられる440。本発明の種々の例示的実施態様によれば、エネルギー入力は、存在する電気システム442(例えばバッテリーの如き出力源からの電流を導くことによる)、ドライブトレイン444(例えば機械エネルギーを利用することによる)又は温度制御システム446(例えば熱452又は空気流れ454の形のもの)の由来のものであることができる。
【0109】
本発明の例示的実施態様では、エネルギー入力の提供440は車両のパワープラントの出力1〜4%又はそれより少ない又はその中間値又はそれより大きい百分率に等しい量のエネルギーを使用する。例を示すと、250HPのトラックは、装置110に流れ230及び/又は220を作るために2.5〜10HPを与える出力源を使用することができる。任意選択的に、エネルギー入力の提供440はポンプ460を頼りにする。本発明の例示的実施態様では、ポンプ460は、車両の原動機から分離された専用の原動機によって駆動される。
【0110】
任意選択的に、提供されるエネルギー440の量のコストと抵抗減少の間にトレードオフの関係がある。本発明の例示的実施態様では、与えられるエネルギーが多くなるにつれて抵抗がさらに減少される。しかしながら、抵抗減少の次の増加は必ずしも経済的に正当化できないかもしれない。本発明の例示的実施態様では、全抵抗で10%〜15%の減少が達成され、それは有意な正味のコスト節約の結果をもたらす。
【0111】
例示的流れ生成装置
上で記載した流れを生成するために好適な流れ生成装置は、例えば「Method and Mechanism for Producing Suction and Periodic Excitation Flow」という名称のSeifertらの米国特許第7055541号、及びArwatzらによって本願と同日付で提出されかつ代理人整理番号33977として識別される「Apparatus and Method for Oscillating Fluid Jets」という名称の同時係属米国特許出願に記載されている。特に、ゼロ質量流束装置及び/又は振動流れ装置は本発明の例示的実施態様において使用するために好適であると思われる。
【0112】
当業者は、過度の実験なしでこれらの又は他の流れ生成装置を本発明の様々な例示的実施態様に組み込むことができるだろう。
【0113】
本発明の例示的実施態様では、加圧流体(例えば空気)は外部源から装置を通って流れる。本発明の例示的実施態様では、外部源は自動車の存在するシステムからエネルギーを引き出す。本発明の様々な実施態様によれば、加圧流体流れを生成するためのエネルギーは例えば電気システム442、ドライブトレイン444又は温度制御システム446の一つ以上を由来とすることができる。
【0114】
本発明の例示的実施態様では、電気システム442からのエネルギーは車両の主出力源から又は加圧流体流れを出力するために与えられる補助出力源から引き出されることができる。任意選択的に、補助バッテリーは、主バッテリーと並列に同期発電機に接続され、出力源として作用する。
【0115】
本発明の例示的実施態様では、ドライブトレイン444からのエネルギーは、トランスミッション装置で回転するギヤを使用して、トランスミッション間の回転部品を使用して又は車輪を使用して取得されることができる。任意選択的に、エネルギーは、追加ギヤを有する補助的なドライブトレインを導入することによって又は摩擦を通して取得される。任意選択的に、加圧流れは、エンジンの排気ガスを使用してエンジン内に吸い込まれる空気の圧力を増大するターボチャージャから引き出されることができる。当業者は、選択されるエネルギー源と利用可能な空気流れ生成装置の間の好適な界面を設計することができるだろう。
【0116】
本発明の例示的実施態様では、温度制御システム446からのエネルギーは熱452として取得される。任意選択的に、向流熱交換器がこの目的のために車両のラジエータに与えられる。本発明の例示的実施態様では、熱は所望の流体流れを生成するためにタービンを動かすために使用される。
【0117】
本発明の例示的実施態様では、温度制御システム446からのエネルギーは空気流れ454として取得される。本発明の例示的実施態様では、空気流れはブレーキ又は他の用途のために既に利用可能な加圧空気リザーバから与えられる。
【0118】
本発明の他の例示的実施態様では、所望の流体流れを生成するために車両に補助システム448が設置される。任意選択的に、補助システムはポンプのような「発電機」を含む。任意選択的に、発電機型のポンプは車両の一つ以上の動いているシステムから機械エネルギーを引き出す。
【0119】
任意選択的に、補助システム448はトラックトレーラ(図の鈍頭物体180)の下、例えば後輪の上に配置される。
【0120】
任意選択的に、補助システム448はトラックトレーラ(図の鈍頭物体180)の内側、例えば扉330に隣接する天井又はトラック運転台とトレーラの間に配置される。
【0121】
任意選択的に、補助システム448は装置110内に配置される。本発明の例示的実施態様では、装置110内に又は装置110に近接して補助システム448を配置することは、流体流れの生成時に管類の摩擦損失の影響を減少する。本発明の例示的実施態様では、摩擦の減少は補助システム448の効率に寄与する。
【0122】
本発明の例示的実施態様では、装置110を通る流体流れの制御は例えばフィードバックループを介して制御される。任意選択的に、装置110を通る流体流れは、車両スピード及び/又は後部面184の鈍頭物体の静的圧力に対して車両スピードから生じる流体の動的圧力に反応しやすい。本発明の例示的実施態様では、装置110は車両の速度計に連結された回路によって制御される。
【0123】
本発明の例示的実施態様では、入力流れ228はポンプ460によって与えられる。本発明の例示的実施態様では、ポンプ460は、車両の原動機とは別個の専用の原動機によって駆動される。
【0124】
本発明の例示的実施態様では、装置110は、移行速度から生じるよどみ点圧力によって少なくとも部分的に出力され、任意選択的に完全に出力される。
【0125】
例示的装置構成
本発明の例示的実施態様では、装置110の側方の横断面は湾曲した表面の形状、例えば鈍頭物体180の後部領域に接続される円形の円柱又は楕円形の円柱又は凸状、凹状、凹凸状の円柱の一部分の形状をとることができる。
【0126】
本発明の例示的実施態様では、後部面184の上流の外部流れ層分離を遅らすために吸引(例えば図1aの220)が円柱にα=100〜130度で(90度は鈍頭物体180の後部面184である)スロット又は穴から適用される。
【0127】
さらに下流では(即ち、α>120〜130度では)、外部流れ層は再び分離する傾向を持ち、そこでは、本発明の例示的実施態様では、脈動吹き付け230はこの追加の外部流れ層分離を防止又は遅延するために適用される。
【0128】
任意選択的に、吸引220と脈動吹き付け230の組み合わせは、従来達成されなかった分離遅れの程度を提供する。本発明の例示的実施態様では、分離遅れの選択される程度は、従来利用可能であった代替法を使用するより所定の制御機関では大きい。任意選択的に、これは全体のシステムの正味の出力節約に寄与する。代替的に又は追加的に、組み込み装置110からの吸引220と脈動吹き付け230の組み合わせは地上車において従来使用されていないし、採用もされないし、記載もされていない。任意選択的に、組み込み装置110からの吸引220と脈動吹き付け230の組み合わせは流体関連システムにおいて従来使用されていないし、採用もされないし、記載もされていない。
【0129】
例示的ビルトイン構成
本発明の例示的実施態様では、能動的な外部流れ制御装置は鈍頭物体180の後扉330の上又は中に永続的に装着される。任意選択的に、永続的な装着は別個の作用で装置をはずしたり又は動かしたりすることなく扉330の開放を可能にする。
【0130】
装置110の組み込み(retrofit)取り付けが上で示され、記載されるが(図4A及び4Bで最も明解)、(例えば車両及び/又は車両の部品の)製造者が本発明の様々な例示的実施態様によって提供される空力抵抗の実際的及び/又は経済的利点を実現するとき、ビルトイン装置が利用可能になるだろうと考えられる。
【0131】
任意選択的に、装置は鈍頭物体180の後部面184の近くの壁、屋根又は床に設置されることができる。この出願及び添付請求項の目的のために、用語「壁」は扉を含む。本発明の例示的実施態様では、壁内に設置された装置は高い流速の吸引220及び/又はジェット流れ230を与えられる。任意選択的に、高い流速は受動的なデフレクター効果の損失を補償する。
【0132】
任意選択的に、前面182における外部流れ層分離制御は、湾曲183を実施することが不可能であるときに実施される。
【0133】
任意選択的に、上部面186における外部流れ層分離制御は、前面182との接合点の近くで実施される。
【0134】
装置110の様々な構成要素及び/又は装置と鈍頭物体180(例えばトラックボディ)の間の関係を記載するために様々な数値指標が使用されている。これらの数値指標は様々な工学原理、材料、意図される用途及び本発明に組み込まれるデザインに基づいてさらに変更することができるだろう。追加的に、単一ユニットとして描かれかつ本発明の例示的実施態様に帰する構成要素及び/又は作用はサブユニットに分割されてもよい。逆に、サブユニットとして描かれかつ本発明の例示的実施態様に帰する構成要素及び/又は作用は組み合わせて、記載された/描かれた機能を有する単一ユニットにしてもよい。
【0135】
代替的に又は追加的に、本発明の様々な実施態様による装置110は鈍頭物体180の後縁184に装着されて描かれているが、本発明の幾つかの例示的実施態様では、装置110は鈍頭物体180の前縁182及び/又は上部面186及び/又は下部面188に装着されることができる。任意選択的に、車両の前縁に対する装置110の配置は前縁の空力的造形のための代替物として又はそれと結合することが望ましい。本発明の例示的実施態様では、車両の前縁に対する装置110の配置は、空力的造形が内部容量の損失、コスト又は存在するシステムの如き機能的な考慮事項のために可能でない/望ましくないときに空力的造形のための代替物として作用する。
【0136】
代替的に又は追加的に、方法を記載するために使用される特徴は装置を特徴づけるために使用されることができ、装置を記載するために使用される特徴は方法を特徴づけるために使用されることができる。
【0137】
上で記載した個々の特徴は本発明の例示的実施態様を生成するために全ての可能なコンビネーション及びサブコンビネーションで組み合わせることができることがさらに理解されるべきである。上で与えた例は本質的に例示であり、本発明の範囲を制限することを意図されない。本発明の範囲は添付の請求項によってのみ規定される。特に、本発明は鈍頭物体180の後部面184に関して記載されたが、車両の他の位置で有利に適用されてもよい。
【0138】
本明細書で使用される用語「含む(include)」、「含む(comprise)」及び「持つ(have)」及びそれらの活用形は「含むが必ずしも限定されない」を意味する。
【0139】
本明細書で使用される用語「流体」は空気並びにその他の気体及び/又は液体(例えば水)を含む。
【0140】
本明細書で使用される用語「鈍い縁の付いた(鈍頭)」はまた、小さい半径の縁の付いた物体を言及する。
【0141】
本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動いている鈍頭物体の空力抵抗を減少する方法であって、
(a)鈍頭物体の後縁に空気の流れを能動的に発生し、
(b)発生した空気の流れを使用して動いている鈍頭物体の縁に対して動く空気の外部流れを制御する
工程を含む方法。
【請求項2】
発生した空気の流れを使用して外部流れを制御することは、存在する外部流れに対して角度を付けて発生した流れを適用して修正された外部流れを作成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発生した空気の流れを使用して外部流れを制御することは、一つ以上の吸引口を含む導管を通る流れを適用して吸引流れを作成し、一つ以上の吸引口を通る吸引流れは外部流れを修正することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(a)及び(b)の工程は、一つ以上の吸引口を含む導管を通る流れを適用して吸引流れを作成し、一つ以上の吸引口を通る吸引流れは外部流れを修正し、存在する外部流れに対して角度を付けてジェット流れを適用して修正された外部流れを作成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
発生した流れは脈動ジェット流れである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
地上車の少なくとも一部に適用される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
運送用コンテナの少なくとも一部に適用される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
鈍頭物体に装置を加えることを含み、前記装置は鈍頭物体の外部形状を少なくとも一次元で変更する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
鈍頭物体に装置を加えることを含み、前記装置は鈍頭物体の外部形状を変更しない、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
(a)の工程は、空気に入力エネルギーを与えて流れを能動的に発生することを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
入力エネルギーを与えることは、自動車の存在するシステムからエネルギーを引き出すことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
エネルギーを引き出すことは、自動車の出力源から電気エネルギーを引き出すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
エネルギーを引き出すことは、自動車の存在するシステムから機械エネルギーを引き出すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
エネルギーを引き出すことは、自動車の内燃機関によって作られる熱エネルギーの少なくとも一部を捕獲することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
エネルギーを引き出すことは、自動車の温度制御システムによって作られる空気流れの少なくとも一部を転用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
エネルギーを引き出すことは、自動車の空気圧システムによって作られる空気流れの少なくとも一部を転用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
入力エネルギーを与えることは、自動車のいかなる存在するシステムからも独立して操作するエネルギー源を使用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
能動的に発生した流れは少なくとも0.5L/Sの流速によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
能動的に発生した流れは少なくとも1PSIの圧力によって特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
流体を通って動く物体の空力抵抗を減少するように適応された装置であって、
(a)装置ハウジング、及び
(b)装置ハウジング内の流体発生装置
を含み、流体発生装置は、装置ハウジングが装着される動いている物体の縁の外部流れを制御する少なくとも一つの流れを発生するように適応されている、装置。
【請求項21】
流体発生装置によって発生した少なくとも一つの流れは、修正された外部流れを作成するために存在する外部流れに対して角度を付けて装置ハウジングを出る脈動流れを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
流体発生装置によって発生した少なくとも一つの流れは、修正された外部流れを作成するために少なくとも一つの吸引口によって存在する外部流れに適用される吸引流れを含む、請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】
流体発生装置によって発生した少なくとも一つの流れは、修正された外部流れを作成するために少なくとも一つの吸引口によって存在する外部流れに適用される吸引流れを含み、さらに、修正された外部流れを作成するために存在する外部流れに対して角度を付けて装置ハウジングを出るジェット流れを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
ジェット流れは脈動ジェット流れである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
地上車の外部表面に装着される、請求項20〜24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
地上車の壁内に装着される、請求項20に記載の装置。
【請求項27】
地上車によって輸送される品目の外部表面に装着される、請求項20に記載の装置。
【請求項28】
地上車によって輸送される品目の壁内に装着される、請求項20に記載の装置。
【請求項29】
前記流れを発生するために自動車の存在するシステムからエネルギーを転用するように適応されるエネルギー源を含む、請求項20〜28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
自動車の存在するシステムは、電気システム、ドライブトレイン及び温度制御システムからなる群から選択される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
流体発生装置は、少なくとも一つの流れ口を通して少なくとも0.5L/Sの速度によって特徴づけられる流れを発生するように適応される、請求項20〜30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
流体発生装置は、少なくとも一つの流れ口を通して少なくとも1PSIの圧力によって特徴づけられる流れを発生するように適応される、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
地上車の空力抵抗を減少する方法であって、
(a)地上車に外部流れを能動的に制御するように適応された装置を装着し、
(b)地上車が動いている間に装置を操作する
工程を含む方法。
【請求項34】
地上車に装置を装着することは、地上車の製造時に行なわれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
地上車に装置を装着することは、地上車の製造後に組み込んで行なわれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
地上車に装置を装着することは、地上車の外部表面に装置を配置することを含む、請求項33〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
操作は、少なくとも50キロメートル/時を越えるスピードで行なわれる、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−525980(P2010−525980A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−505001(P2010−505001)
【出願日】平成20年4月27日(2008.4.27)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000542
【国際公開番号】WO2008/135968
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501177609)ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.