説明

空圧式頭皮指圧装置

本発明は空圧式頭皮指圧装置に係り、さらに詳しくは、発泡合成樹脂製の内部ヘルメットと外部ヘルメットとの間に所定の空間部が形成されており、前記空間部には指圧板付き多数の空圧シリンダーが設けられており、前記空圧シリンダーを作動する空圧発生部は同空圧シリンダーから離れて別設されていることから、全体的に軽量であり、消音や振動がなく、しかも、使い勝手がよい他、携帯し易い頭皮指圧装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空圧式頭皮指圧装置に係り、さらに詳しくは、発泡合成樹脂製の内部ヘルメットと外部ヘルメットとの間に所定の空間部が形成されており、前記空間部には指圧板付き多数の空圧シリンダーが設けられており、前記空圧シリンダーを作動する空圧発生部は同空圧シリンダーから離れて別設されていることから、全体的に軽量であり、消音や振動がなく、しかも、使い勝手がよい他、携帯し易い頭皮指圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来にも脱毛患者や慢性頭痛患者など頭皮指圧が必要となる患者のために種々の頭皮指圧装置が提案されている。例えば、大韓民国特許公開第2000−31855号(公開日;2000年6月5日)においてはヘルメットの内部に数百個の油圧シリンジが装着されており、各シリンジの下端においてはチップが設けられていて前記チップが頭皮を指圧するように構成された装置が開示されている。しかしながら、前記特許公開第2000−31855号明細書には油圧シリンジがどのような構造にて作動されるか、特に、各シリンジに油圧を供給する油圧管がヘルメットの内部にどのように設けられるかなどについての具体的な図面や説明が全く提示されていない。このため、当業者が前記明細書に記載の内容を踏まえて作動可能な頭皮指圧装置を製造することは決して容易ではない。
【0003】
たとえ、前記特許公開第2000−31855号に開示された構造を踏まえて頭皮指圧装置を製造することができたとしても、油圧式であるため、ヘルメットの重量が極めて大きく、嵩も大きくならざるをえない。前記特許公開第2000−31855号に記載の空圧式頭皮指圧装置は、ユーザーが長時間頭部に使うものであるため、重量が大きく、しかも、嵩が大きいという致命的な弱点となる。
【特許文献1】大韓民国特許公開第2000−31855号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来に紹介されている頭皮指圧装置は重量が大きく、しかも、嵩が大きくて使い勝手が悪いという欠点があり、また、ある装置は作動の過程において発生する騒音や振動がユーザーの頭部にそのまま伝わったり、人体に有害な電磁気波が多量発生してユーザーの健康を脅かす場合もあった。
そこで、本発明は、軽量であり、しかも、強度に優れた発泡合成樹脂材質により内部ヘルメットと外部ヘルメットを形成し、前記内部ヘルメットと外部ヘルメットとの間に形成された空間部に指圧板付き空圧シリンダーを多数設けることにより、全体として軽量であり、騒音や振動がなく、しかも、使い勝手がよく、携帯し易い空圧式頭皮指圧装置を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明による空圧式頭皮指圧装置は、半球状の内部ヘルメットと外部ヘルメットとからなり、これらの間には空間部が形成されている圧縮発泡樹脂材質のヘルメットと、前記空間部に装備され、下端には内部ヘルメットを貫通する指圧板が設けられた空圧シリンダーと、前記空圧シリンダーに連結されたエアポンプとエア弁及びその制御装置から構成された空圧発生部と、を備えることを特徴とする。
本発明において、前記空圧シリンダーは、上端に通気管が形成された筒状シリンダーと、前記シリンダーの内部に設けられた圧力板と、圧力板の下面に取り付けられて前記シリンダーの下端に露出されたプッシュロッドと、前記圧力板とシリンダーの底面との間においてプッシュロッドの周りに設けられたバネと、前記プッシュロッドの下端に嵌合された指圧板と、を備えることを特徴とする。
また、本発明による空圧式頭皮指圧装置は、前記内部ヘルメットの内部に遠赤外線発光ダイオードがさらに設けられていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明による空圧式頭皮指圧装置は、大きく、図1に示すように、ヘルメット10と、ヘルメット10の内部に設けられた空圧シリンダー(図1には図示せず)と、空圧チューブ31を介して前記空圧シリンダーに連結された空圧発生部30と、を備えてなる。図1中、未説明符号32は電線である。
【0007】
先ず、ヘルメット10は、図2に示すように、内部ヘルメット12と外部ヘルメット14の二重構造を有する。内部ヘルメット12は半球状であって、周縁に沿って外向き鍔部11が形成されており、後述する空圧シリンダー20が設けられる多数の孔が穿孔されている。そして、外部ヘルメット14も半球状であって、その周縁が内部ヘルメット12の鍔部11の上に結合される。内部ヘルメット12と外部ヘルメット14とは接着剤により一体に貼り合わせられ、取り外し及び取り付け自在に締めネジにより螺合可能である。内部ヘルメット12と外部ヘルメット14との間には空間部15が一定の間隔をおいて形成されている。
【0008】
本発明において、ヘルメット10は、軽量で且つ強固な発泡圧縮合成樹脂、好ましくは、圧縮ポリスチレン(いわゆる圧縮発泡スチロール)から形成する。外部ヘルメット14の外面にはユーザーの好みに応じて種々の色のペイントが塗色される。そして、ヘルメット10の下端にはユーザーの便宜のために締め紐(図示せず)を設けてもよい。
【0009】
次に、空圧シリンダー20は、図3aに示すように、筒状シリンダー22と、上端は前記筒状シリンダー22の内部に挿入され、下端は前記筒状シリンダー22の下端に露出されたプッシュロッド23と、前記プッシュロッド23の上端に装着される圧力板24と、前記圧力板24と筒状シリンダー22の底面との間においてプッシュロッド23に設けられたバネ25と、前記プッシュロッド23の下端に設けられた指圧板26と、を備える。そして、前記筒状シリンダー22は内部ヘルメット12と外部ヘルメット14との間の空間部15に装着され、プッシュロッド23の下端は内部ヘルメット12を貫通して指圧板26が内部ヘルメット12中に露出される。
【0010】
前記筒状シリンダー22の上端の一方には、好ましくは、2本の通気管21が形成されており、これらの通気管21は空圧チューブ31により隣り合う筒状シリンダー22の通気管21と連結され、最終的には空圧発生部30に連結される。このため、筒状シリンダー22の天井と圧力板24の上面との間には空圧チャンバー27を形成して空圧チューブ31を介して供給される空圧が作用し、筒状シリンダー22の下端と圧力板24の底面との間にはバネ25の弾発力が作用する。全ての筒状シリンダー22の空圧チャンバー27は空圧チューブ31により連通されていて、同じ空圧環境を維持する。
【0011】
本発明の好適な実施例においては、図3aに示すように、圧力板24の上にシリコンやゴム材質の気密板28が設けられる。前記気密板28は円形であって、周縁は筒状シリンダー22の内壁に形成された段差の上に貼着されて空圧チャンバー27の内部の気密を維持する。前記気密板28は空圧チャンバー27の膨張に伴い伸展自在に伸縮性の材質からなり、周縁に沿って環状の折り曲げ部29を形成することが好ましい。空圧チャンバー27が膨張すれば、図3bに示すように、気密板28が膨張しながら圧力板24を押す。
【0012】
本発明において、プッシュロッド23の下端には指圧板26が嵌合されて取り外し可能になる。指圧板26は頭皮に無理な衝撃無しに物理的な圧力が加わるように適当な強度を有するポリウレタンやシリコン材質から形成し、必要に応じて、炭やトルマリン、麦飯石、銀ナノなどの陰イオン発生物質や抗菌性物質を含めることができる。
【0013】
本発明において、指圧板26は、図4a、図4b、図4cおよび図4dに示すように、ユーザーが必要に応じて選択して使用できるように種々の形状及び種々の高さに製作される。すなわち、図4aに比べて図4bは高目の指圧板26bであり、図4cは下面が広い指圧板26cである、そして、図4dは指圧板26dの上面には溝部が形成されており、底面には突起が形成されていて、これらの溝部と突起を係合して指圧板26dの高さを調節自在に構成したものである。前記指圧板26dの底面に形成された突起は指圧効果を高める役割を果たす。
【0014】
最後に、空圧発生部30は、空圧チューブ31により前記空圧シリンダー20に連結されたエアポンプ33及びエア弁34と、前記エアポンプ33を作動するモーター35と、前記エア弁34及びモーター35を制御する制御装置36と、を備える。前記エアポンプ33が作動されると、空圧チューブ31を介して各空圧シリンダー20の空圧チャンバー27に空圧が供給され、空圧チャンバー27の内部の圧力がバネ25の弾発力よりも高くなると、図3bに示すように、圧力板24とプッシュロッド23が下降して指圧板26が頭皮を押し付ける。これとは逆に、前記エア弁34が開かれると、エア弁34を介して空圧チャンバー27の空圧が排出され、空圧チャンバー27の圧力がバネ25の弾発力よりも低くなると、図3aに示すように、圧力板24とプッシュロッド23が上昇しながら指圧板26が頭皮から離れる。このような過程を通じて多数の指圧板26が上下運動を繰り返しながら頭皮を指圧する。
【0015】
本発明においては、例えば、3秒間エアポンプ33を作動し、1秒間エア弁34が開かれるように制御装置36を設定することもでき、6秒または9秒間エアポンプ33が作動し、2秒または3秒間エア弁34が開かれるように設定することもできる。
【0016】
一方、本発明の他の実施例においては、図5に示すように、前記内部ヘルメット12の内部に遠赤外線発光ダイオード40をさらに設けてもよい。遠赤外線発光ダイオード40は指圧板26の間に2〜4個所設けられ、電線32を介して制御装置36及び電源に連結される。遠赤外線は頭皮の毛▲のう▼細胞を刺激し、その周りに分布されている末梢毛細血管の血液循環を促して脱毛を防ぎ、発毛を促すという効果があると知られている。
【0017】
本発明による空圧式頭皮指圧装置は、発泡合成樹脂材質から内部ヘルメットと外部ヘルメットを形成し、前記内部ヘルメットと外部ヘルメットとの間に形成された空間部には指圧板付き空圧シリンダーを多数設け、前記空圧シリンダーを作動する空圧発生部は前記空圧シリンダーから離れるように別設することにより、全体的に軽量であり、騒音や振動がなく、使い勝手がよい他、携帯し易いというメリットがある。
【0018】
このため、脱毛患者や慢性頭痛患者などが家庭用や個人用に備置しておき、頭皮指圧が必要となるときに随時便利に使えるように量産して比較的に安価に供給することができると期待される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による頭皮指圧装置の斜視図である。
【図2】本発明による頭皮指圧装置の断面構造を示す図である。
【図3a】空圧シリンダー20の構造を示す図である。
【図3b】空圧シリンダー20の構造を示す図である。
【図4a】指圧板26の形状を例示する図である。
【図4b】指圧板26の形状を例示する図である。
【図4c】指圧板26の形状を例示する図である。
【図4d】指圧板26の形状を例示する図である。
【図5】本発明の一実施例により内部ヘルメット12の内部に指圧板26と遠赤外線発光ダイオード40が配置された状態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ヘルメット(12)と外部ヘルメット(14)とからなり、これらの間には空間部(15)が形成されている圧縮発泡樹脂材質のヘルメット(10)と、
上端に通気管(21)が形成された筒状シリンダー(22)と、前記筒状シリンダー(22)の内部に設けられた圧力板(24)と、圧力板(24)の下面に取り付けられて前記筒状シリンダー(22)の下端に露出されたプッシュロッド(23)と、前記圧力板(24)と筒状シリンダー(22)の底面との間においてプッシュロッド(23)の周りに設けられたバネ(25)と、前記プッシュロッド(23)の下端に嵌合された指圧板(26)と、からなるが、前記筒状シリンダー(22)は前記内部ヘルメット(12)と外部ヘルメット(14)との間の空間部(15)に装備され、プッシュロッド(23)の下端は内部ヘルメット(12)を貫通して指圧板(26)が内部ヘルメット(12)中に露出されている空圧シリンダー(20)と、
空圧チューブ(31)により前記空圧シリンダー(20)に連結されたエアポンプ(33)及びエア弁(34)と、これらを制御する制御装置(36)と、から構成された空圧発生部(30)と、
を備えることを特徴とする空圧式頭皮指圧装置。
【請求項2】
前記内部ヘルメット(12)の内部には遠赤外線発光ダイオード(40)がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空圧式頭皮指圧装置。
【請求項3】
前記空圧シリンダー(20)の筒状シリンダー(22)の内壁には段差が形成されており、この段差の上には伸縮性の気密板(28)が取り付けられており、この気密板(20)の底面に圧力板(24)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空圧式頭皮指圧装置。
【請求項4】
前記指圧板(26)はプッシュロッド(23)から取り外し可能であり、高さ調節自在に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空圧式頭皮指圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−520566(P2009−520566A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547112(P2008−547112)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005634
【国際公開番号】WO2007/073106
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508172557)
【Fターム(参考)】