説明

空気イオン濃度測定器の清浄装置

【課題】空気中に存在する帯電した気体分子や微粒子であるイオンの濃度を測定する装置に於いて、このイオンが測定装置内に滞留し又電極に固着することにより惹起されるイオン濃度の測定不良や絶縁部分の絶縁不良現象を空気イオン濃度測定清浄制御部により防止すべくした技術を提供する。
【解決手段】第1及び第2電極部材23、26の表面や内周面に堆積・滞留した帯電粒子(イオン)を静電気剥離力を付与しつつ吹き飛ばす。これにより落下した帯電粒子(イオン)は出口開口Ebから空気吐出ファン35の駆動により本装置の外部へ飛散される。空気乾燥器45は空気イオン濃度測定清浄制御部Gの中央制御回路(CPU)からの信号により外ケース(外筒)25内の湿度が上昇したとき動作させ、その湿度を下げる働きをする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に存在する帯電した気体分子や微粒子であるイオンの濃度を測定する装置に於いて、このイオンが測定装置内に滞留し又電極に固着することにより惹起されるイオン濃度の測定不良や絶縁部分の絶縁不良現象を空気イオン濃度測定清浄制御部により防止すべくした空気イオン濃度測定器の清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、従来の技術の一つの例としては、図10に示す空気イオン濃度測定器Aの構成例がある。
これについて説明すれば、1は測定筒や内実状電極バーでなる測定電極としての第1電極部材であり、該空気イオン濃度測定器Aの略中心垂直方向に配置・固定されている。すなわち、該第1電極部材1はその上端1a及び下端1bを支持バー2、4により外ケース(外筒)3に固定されている。そして、上記第1電極部材1の周囲の外域には、高電圧が印加される高圧筒等で構成された第2電極部材5を配置している。このとき、上記第1電極部材1は該第2電極部材5の略中心部分であって長さ方向に配置されることとなる。また、上記第2電極部材5は略中心部分に該第2電極部材5の外径寸法と略同一径の貫通孔を有する略円盤状支持基板6、7により該貫通孔に嵌着されると共に上方側及び下方側を上記外ケース3に固定されている。
而して、図10に示すように空気Bが該空気イオン濃度測定器Aの開口から流過し、電源装置8から所定電圧、例えば、200ないし1000(V)程度の電圧を印加すれば上記第1電極部材1及び第2電極部材5にプラス及びマイナスの帯電粒子(イオン)が捕集される。この捕集されたプラス及びマイナスの帯電粒子(イオン)9、10は電流値として計測され、これをイオン濃度測定手段としての電流・電圧変換回路11により電圧値に変換され、空気イオン濃度を検出する。
尚、図中12は信号制御線、13は電圧線である。
【0003】
従来の技術の他の例としての空気イオン濃度測定器は、例えば、特開2003−194777に開示された技術がある。
これについて説明すれば、図11は、空気イオン濃度測定器Cの構成概要図を示しており、空気イオン濃度測定器Cは、空気中のプラスイオンが衝突することで帯電するプラス用電荷集電板14と、このプラス用電荷集電板14と相対向して配置される反発電極板15、15とからなるプラスイオン検出部16と、同じく空気中のマイナスイオンが衝突することで帯電するマイナス用電荷集電板17と、このマイナス用電荷集電板17と相対向して配置される反発電極板18、18とからなるマイナスイオン検出部19とを、内部に空気を通じる1つの測定経路である空気導入管20内に、絶縁層21を間に挟んで配置するとともに、空気吸引口と反対側には空気導入管20内にイオンを含む空気を取り込むための電動ファンからなる通風部材22を設けている。そして、この帯電した電荷集電板14、17の電荷を検出し演算する測定演算手段(図示せず)を、この帯電している電荷集電板14、17の電荷を除電すべく接地するリレースイッチ等でなる除電手段(図示せず)を配設している。また、図7に示すようにプラス用電荷集電板14と反発電極板15、15とからなるプラスイオン検出部16と、マイナス用電荷集電板17と反発電極板18、18とからなるマイナスイオン検出部19とを、絶縁層21を間に挟んで上下に積層して配置したものである。そして、通風部材22を駆動することで、空気吸引口から空気導入管20内にプラスイオンとマイナスイオンを含む空気を導入し、その内プラスイオン検出部16に導入されたプラスイオンは、プラスに帯電して反発電極板15、15に近付くと跳ね返されて電荷集電板14に衝突し、収集される。マイナスイオンは反発電極板18、18に引き寄せられて中和される。また、マイナスイオン検出部19に導入されたプラスイオンは、プラスに帯電して反発電極板18、18に近付くと跳ね返されて電荷集電板17に衝突し、収集され、プラスイオンは反発電極板18、18に引き寄せられて中和される。そして、プラスイオン、マイナスイオンが衝突することで帯電した電荷集電板14、17の電荷は、測定演算手段においてイオン電圧検出アンプ(図示せず)と高抵抗を介したノイズ検出アンプ(図示せず)に入力され、この測定値から周期的、定在的なノイズ成分を差し引くべくオペアンプを経て、これをアナログ−デジタル変換回路(図示せず)に通すことでデジタル信号に変換するものである。
【特許文献1】特開2003−194777公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、叙上の構成であるので次の課題が存在した。
上記した図10に示す従来の構成によれば、電源装置8により第1電極部材1と第2電極部材5との間に所定電圧を印加されれば、該第1電極部材1の表面や該第2電極部材5の内周面等に帯電粒子(イオン)が捕捉されかつ付着する。これが長時間を経れば、上述した該第1電極部材の表面等に堆積・滞留することとなる。また一方に於いて、空気Bが空気イオン濃度測定器Aの開口から流入し、イオン化空気として図12に示すように、イオン化空気B1及びB2が外ケース(外筒)3の内壁面3a、略円盤状支持基板6の上面6a及び第2電極部材5の外面を介して該第1電極部材1と該第2電極部材5の間に流過する。然れば、図12に示すように上記略円盤状支持基板6の上面6aに帯電粒子(イオン)が滞留しかつ堆積する。これは微粒子(帯電粒子)付着物Dであり、上記略円盤状支持基板6の絶縁不良現象を誘起するばかりか、上述した第1電極部材1の表面等に堆積・滞留又は残留した帯電粒子(イオン)の塊としてのいわゆる付着物Dが原因となる当該空気イオン濃度測定器Aのイオン濃度測定不良現象を惹起せしめるという問題点があった。これを解決するためには当該空気イオン濃度測定器Aを分解する等の作業を行ない、また別の清浄器具を使用して定期的に手作業等によりこれら付着物Dを除去する必要があり、その工数は著しく増大するうえに清浄作業が完全に行き渉らないという弊害が存した。加えて、当該従来の技術によれば、電流・電圧変換回路から導入された信号を正・負波高値の差分値に基づき波高分布図を作成する波高分布作成手段等を有しかつ自動的に空気イオン濃度測定器内を清浄するための空気イオン濃度測定清浄制御部を備えておらず、該空気イオン濃度測定器内を合理的に清浄することができないという問題点があった。
【0005】
上述した図11に示す特開2003−194777の従来の技術に於いても、該空気イオン測定器Cは、イオンの清浄装置又はイオンの清浄機能が付加されておらず、長時間の使用に際して該空気イオン測定器Cの空気導入管20の内壁面部、プラス用又はマイナス用電荷集電板14、17及び反発電極板15、15、18、18に帯電粒子(イオン)を素とする付着物Dが堆積・残留する理論は上述した図10に示す従来の技術の一つの例と同じであり、同様な問題点が残存するものであった。
本発明が解決しようとする課題は、上記背景技術で述べた問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、全体が略円筒体で構成された外ケース(外筒)と、該外ケース(外筒)内に収容されかつ略円筒体で構成された第2電極部材と、該第2電極部材内の略中心部分であって、その長さ方向に垂直配置された第1電極部材とでなり、この第1電極部材と、この第2電極部材との間に所定の高電圧を印加し、かつ上記第1電極部材の表面や上記第2電極部材の内周面等に浮遊しかつ捕集された帯電粒子(イオン)等の濃度を測定する装置に於いて、空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)によって分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段から逆バイアス電圧を印加することにより、上記帯電粒子(イオン)等を残留・堆積させることなく該帯電粒子(イオン)を該第1電極部材の表面及び第2電極部材の内周面等から離脱せしめること又は上記第2電極部材を支持する閉塞用支持基板の上面に該帯電粒子(イオン)が残留かつ堆積させることなく、例えば、当該空気イオン濃度測定装置の上・下の開口部分であって上記外ケース(外筒)と第2電極部材との間のスペース(空間)部分の所望位置又は閉塞用支持基板に隣接した位置に空気流入阻止部材をそれぞれ介装し、該閉塞用支持基板の上面に帯電粒子(イオン)の残留・堆積を防止すること等これらの付着物を自動的に清浄する技術であり、イオン濃度測定不良や空気イオン濃度測定器の絶縁不良の諸現象を未然に防止すること及び測定データから正・負の波高値の差分値、すなわち波形の山と谷との差(ピークピーク値)を検出し、その分布図から自動的に帯電粒子(イオン)を清浄するときを決め、該正・負の波高値に於ける差分値の分布図から測定不能状態を検出し、可逆高電圧装置を制御し、空気イオン濃度を測定する装置のダメージを回避することを目的としたものであって、次の構成、手段から成立する。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、第1電極部材と、該第1電極部材を略中心部分であって長さ方向に垂直配置した筒体で構成された第2電極部材と、上記第1及び第2電極部材を収容する外ケースと、上記第1及び第2電極部材間からの信号で空気イオン濃度を検出する空気イオン濃度測定手段と、上記第2電極部材及び外ケース間に介装しかつ該第2電極部材と該外ケースを固定する閉塞用支持基板とを有した空気イオン濃度測定器に於いて、上記空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)によって分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段とで成る空気イオン濃度測定清浄制御部を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、第1電極部材と、該第1電極部材を略中心部分であって長さ方向に垂直配置した筒体で構成された第2電極部材と、上記第1及び第2電極部材を収容する外ケースと、上記第1及び第2電極部材間からの信号で空気イオン濃度を検出する空気イオン濃度測定手段と、上記第2電極部材及び外ケース間に介装しかつ該第2電極部材と該外ケースを固定する閉塞用支持基板とを有した空気イオン濃度測定器に於いて、上記空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)をデータ処理する波高データ処理手段と、該波高データ処理手段からの信号で分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段とで成る空気イオン濃度測定清浄制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の空気イオン濃度測定器の清浄装置に於いて、前記空気イオン濃度測定清浄制御部の中央制御手段が前記波高分布作成手段により作成した波高分布図で流入空気の高湿度による空気イオン濃度測定不能を判定し、この指令信号で前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は2記載の空気イオン濃度測定器の清浄装置に於いて、前記空気イオン濃度測定清浄制御部の中央制御手段が前記波高分布作成手段により作成した波高分布図で流入空気の高湿度から低湿度に変化した際、空気イオン濃度測定可能と判定し、この指令信号で空気乾燥器を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置は、叙上の構成を有するので次の効果がある。
【0012】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、第1電極部材と、該第1電極部材を略中心部分であって長さ方向に垂直配置した筒体で構成された第2電極部材と、上記第1及び第2電極部材を収容する外ケースと、上記第1及び第2電極部材間からの信号で空気イオン濃度を検出する空気イオン濃度測定手段と、上記第2電極部材及び外ケース間に介装しかつ該第2電極部材と該外ケースを固定する閉塞用支持基板とを有した空気イオン濃度測定器に於いて、上記空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)によって分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段とで成る空気イオン濃度測定清浄制御部を備えたことを特徴とする空気イオン濃度測定器の清浄装置を提供する。
このような構成としたので、第1電極部材の表面や第2電極部材の内周面等に帯電粒子(イオン)の塊として付着・固定した付着物を手作業によることなく可逆印加電圧による簡易かつ迅速であって清浄工数を要することなく当該空気イオン濃度測定器を清浄することができ、効率的に空気イオン濃度測定器内の清掃を行うことでさらに測定データや波高分布図の精度を向上させ、空気イオン濃度の測定を常に実行することができること及び絶縁を確保し、高電圧の漏洩を防止し、該空気イオン濃度測定器の測定不良や絶縁部分の絶縁不良現象を防止でき、長時間に渉り安定化した測定機能を確保できる効果がある。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、第1電極部材と、該第1電極部材を略中心部分であって長さ方向に垂直配置した筒体で構成された第2電極部材と、上記第1及び第2電極部材を収容する外ケースと、上記第1及び第2電極部材間からの信号で空気イオン濃度を検出する空気イオン濃度測定手段と、上記第2電極部材及び外ケース間に介装しかつ該第2電極部材と該外ケースを固定する閉塞用支持基板とを有した空気イオン濃度測定器に於いて、上記空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)をデータ処理する波高データ処理手段と、該波高データ処理手段からの信号で分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段とで成る空気イオン濃度測定清浄制御部を備えたことを特徴とする空気イオン濃度測定器の清浄装置を提供する。
このような構成としたので、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、空気イオン濃度測定データを正・負波高値の差分値をデータ処理する波高データ処理手段を備えたので空気イオンの測定データをより正確にし、該測定データの基準電圧値を正確にでき、その分布図が安定化し信頼性の高い清浄要否を検出でき、さらに合理的手段で該空気イオン濃度測定器の測定不良や絶縁部分の絶縁不良現象を防止でき、長時間に渉り安定化した測定機能を確保できる効果がある。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、前記空気イオン濃度測定清浄制御部の中央制御手段が前記波高分布作成手段により作成した波高分布図で流入空気の高湿度による空気イオン濃度測定不能を判定し、この指令信号で前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の空気イオン濃度測定器の清浄装置を提供する。
このような構成としたので、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、雨の日など流入空気が高湿度であるときは空気中の湿度により誘電率が変化して高電圧のリークなどが発生し測定データが不良になるが空気イオン濃度測定不能を判定し、高電圧のリークにより空気イオン濃度測定器がダメージを受けることもなく該空気イオン濃度測定器の破損が少なくなるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、前記空気イオン濃度測定清浄制御部の中央制御手段が前記波高分布作成手段により作成した波高分布図で流入空気の高湿度から低湿度に変化した際、空気イオン濃度測定可能と判定し、この指令信号で空気乾燥器を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の空気イオン濃度測定器の清浄装置を提供する。
このような構成としたので、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、流入空気中の湿度は低下したときでも空気イオン濃度測定器には水分、水蒸気が残留し、空気イオン濃度を安定に測定することが出来ない状態から、早期に測定できる状態にもどす必要があり、流入空気の湿度が空気イオン濃度測定不能状態から空気イオン濃度測定可能状態に変化したときに、空気イオン濃度測定器内の空気流入口に取付けられた空気乾燥器により乾燥空気を流入させて空気イオン濃度測定器の被測定部分を乾燥させて、高圧電圧の表面リークを防ぎ空気イオン濃度の測定を安定化させる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける実施の形態の構成を示すシステム図であって、空気イオン濃度測定器の垂直断面図である。
【0018】
先づ、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける実施の形態の構成を説明するに当り、図2に基づき空気イオン濃度測定器の清浄装置の基本構成について説明する。
Eは、本発明に空気イオン濃度測定器の清浄装置であってその一例を示す。該空気イオン濃度測定器の清浄装置Eは、空気イオン濃度測定器本体を備え一般的に例えば、宇宙線α線等の放射線や紫外線、X線等の短波長電磁波又はコロナ放電等を照射すること、またはコロナ放電等静電気現象によって発生する帯電粒子(イオン)を該空気イオン濃度測定器Eの電極部材に捕集し、粒子数に換算して電流値として計測する。また、この電流値は、電圧信号に変換して帯電粒子(イオン)濃度に換算して測定される。
【0019】
そして、上述した帯電粒子(イオン)はいわゆる大気イオンであって、大イオン及び小イオンに分けており、小イオンは、大気組成成分が放射性物質からの放射線や宇宙線によって電離され生成されたイオンであり、比較的安定な状態を保持している。この小イオンの直径は1(nm)程度で清浄な大気の地表付近の場合、正負のイオン数は約5〜6×10個/m、混雑した都会地域や高汚染地区でのそれは、100〜1000×10個/mである。
【0020】
一方、大イオンは、既に存在している例えば、粉塵や人工的化学物質など大気組成成分以外の浮遊粒子でなる中性のエアゾル粒子に小イオンが衝突し又は付着して帯電され生成されるが、小イオンの消滅と同時に該大イオンが生成される。
而して、エアロゾル濃度と小イオン濃度は反比例し、該エアロゾルは大気生成成分以外の汚染物質であり、大気の汚染状況を監視するためには小イオンの濃度を計測する必要があり、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eは本体部が帯電粒子としての小イオン濃度を検出する役目を有する。そして、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eは基本的にはその空気イオン濃度測定器本体が、例えば2重同心筒を使用して、帯電粒子(イオン)の濃度を計測するいわゆるゲルディエン法の理論に基づき構成されたものである。
ここで、本発明に係る空気イオン濃度測定器は小イオンのみではなく、大イオン、中イオン、小イオンの測定が可能である。各イオンの区分は、第1、第2電極部材23、26間に印加される高電圧値や該第1、第2電極部材23、26間の距離又は該第1、第2電極部材23、26の長さ等により決定され、例えば流入空気Bがこの第1、第2電極部材23、26間に流れる風速が一定であれば、そのイオンの電荷量によって第1、第2電極部材23、26間に到達する時間が相違する。すなわち大イオンは速やかに(短時間)到達し、小イオンは遅く(長時間)到達する。従って小イオンに於ける空気イオン濃度を測定するためには比較的第1、第2電極部材23、26の長さを長くする構成にした設計仕様とする。
かくして、本発明に係る空気イオン濃度測定器は印加高電圧値、第1、第2電極部材23、26間距離及び第1、第2電極部材23、26の長さを適宜調整して、大イオン、中イオン又は小イオンの各空気イオン濃度を測定する。
【0021】
以下、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの基本構成について詳しく説明する。
23は測定筒や内実状電極バー等各種の形状でなる測定電極としての第1電極部材であり、イオン捕集電極としての機能を有する。該空気イオン濃度測定器本体の略中心垂直方向に配置・固定されている。すなわち、該第1電極部材23はその上端23a及び下端23bを支持バー24、24により外ケース(外筒)25に固定されている。そして、上記第1電極部材23の周囲の外域には、高電圧が印加される高圧筒等で構成され、イオン捕集電極としての機能を有する第2電極部材26を配置している。この第2電極部材26も上記外ケース(外筒)25と略同一形状である例えば、筒体で構成するが他の形状でもよい。このとき、上記第1電極部材23は該第2電極部材26の略中心部分であって長さ方向に配置されることとなる。また、上記第2電極部材26は略中心部分に該第2電極部材26の外径寸法と略同一径の貫通孔27a、28aを有する例えば略円盤形状でなる閉塞用支持基板27、28により該貫通孔27a、28aに嵌入された後固定されると共に上方側及び下方側を上記外ケース25に固定されている。この固定方法は接着剤等を使用して行い、また、上記貫通孔27a、28aの径長を第2電極部材26の外径長より若干短く設定し圧入・固定してもよい。また、上記閉塞用支持基板27、28を外ケース(外筒)25及び第2電極部材26と異材料に構成したうえでそれと一体成形してもよく、空気イオン濃度測定器本体の製作工数を削減することができる。
【0022】
而して、図2に示すように流入空気Bが該空気イオン濃度測定器本体の入口開口Eaから流過し、清浄装置を構成する可逆電圧電源装置29から直流電圧等の所定電圧、例えば、1ないし30(V)程度の電圧を印加すれば上記第1電極部材23及び第2電極部材26にプラス及びマイナスの帯電粒子(イオン)30a、30bが捕集される。この捕集されたプラス及びマイナスの帯電粒子(イオン)30a、30bは電流値として計測され、これをイオン濃度測定手段としての電流・電圧変換回路31により電圧値に変換され、空気イオン濃度を検出する。そして、該可逆電圧電源装置29から所定時間経過後に極性を逆にした電圧を印加する。
尚、図中32は空気イオン濃度測定手段としての上記電流・電圧変換回路31に接続された信号制御線、33は高圧発生手段としての上記可逆電圧電源装置29に接続された電圧線である。
【0023】
次に、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの基本構成について図2及び図3に基づき、その動作を説明する。
上述したように、流入空気Bが当該空気イオン濃度測定器の本体の入口開口Eaから内部に流入し、第1電極部材23と第2電極部材26との間に所定電位、例えば図2に示すように、可逆電圧電源装置29により該第1電極部材23に負(マイナス)の電位を、該第2電極部材26に正(プラス)の電位を印加すれば、それぞれ該第1電極部材23の表面23cにプラスの帯電粒子(プラスイオン)30a及び該第2電極部材26の内周面26aにマイナスの帯電粒子(マイナスイオン)30bが荷電され付着する。
【0024】
そして、所定時間経過すれば、このプラス及びマイナスの帯電粒子30a、30bが第1及び第2電極部材23の表面23cや内周面26aに堆積かつ滞留する。これは帯電粒子付着物となり、該第1電極部材23と該第2電極部材26に信号制御線32で接続した空気イオン濃度測定手段としての電流・電圧変換回路31が動作不良を誘起し、空気イオン濃度測定器の本体内に流過した空気中の帯電粒子(イオン)を正確に測定できないこととなる。
【0025】
本発明装置によれば、これに対処すべく例えば別途に設置したタイマー等により所定時間経過後であって、帯電粒子付着物の堆積・滞留状態を検出しかつ確認し、図3に示すように上記可逆電圧電源装置29により該第1電極部材23に正(プラス)の電位を、該第2電極部材26に負(マイナス)の電位を印加すれば、この印加電圧によりそれぞれ該第1電極部材23の表面23c及び第2電極部材26の内周面26aにそれぞれ帯電されたプラスの帯電粒子(プラスイオン)30a及びマイナスの帯電粒子(マイナスイオン)30bが反発され、第1及び第2電極部材23、26から離脱し、第2電極部材26の筒体内を落下することとなり上記可逆電圧電源装置29は自動清浄装置としての機能を果すことになる。
【0026】
このように本発明に係る空気イオン濃度測定器の本体や清浄装置を含んだ空気イオン濃度測定器は図示するように縦置方式にした方が空気イオンの付着物の清浄機能をより効果的に発揮する。
かくして、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの基本構成によれば、イオン濃度の測定不良を改善しかつ空気イオン濃度測定器の本体の絶縁不良を防止することができた。
【0027】
次に、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける実施の形態について図1に基づき詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eに於ける実施の形態の具体的な構成を示すシステム図であって、その空気イオン濃度測定器の本体を垂直断面した図である。
当該実施の形態を示す構成は、特に、前述した本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eに於ける基本構成を示す図2及び図3の構成に於いて、さらに、空気流入防止部材34を配備した点及び空気イオン濃度測定清浄制御部G等を設けた点を特徴としている。
【0029】
この空気流入防止部材34は、外ケース(外筒)25の内部形状つまり該外ケース(外筒)25の内周面25aの形状に適合するように例えば全体形状が略円筒体形状に構成されており、図1に示す例では筒状の外側面34aと、内部が空洞に形成しかつ内周面でなる内側面34bと、この内側面34bに連なって形成れさた擂鉢状庇部34cとを形成している。然らば、外ケース(外筒)25の内周面25aが角型4面で構成される場合は、該外側面34aも同様に角型4面となる。この擂鉢状庇部34cは空気イオン濃度測定器の本体の中心方向に突出形成し、その外面は中心方向に下り坂となるように形成した第1段差面34c1とこの第1段差面34c1から垂下した第2段差面(立設部)34c2を形成してなる。そして、この空気流入防止部材34は、当該空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの入口開口Ea側と、その出口開口Eb側とに、それぞれ配置する。しかし、当該空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの出口開口Eb側には必ずしも配置する必要はない。該空気流入防止部材34は、第2電極部材26と外ケース(外筒)25とで形成されたスペース(空間)Sに配備されている。特に、該空気流入防止部材34の内側面34b及び擂鉢状庇部34cの部位が該第2電極部材26の上、下端を被覆するように外ケース(外筒)25の内周面25aに固定する。
【0030】
上記空気流入防止部材34の外側面34aの外ケース(外筒)25への固定方法はいずれか一方又は両者に強力接着剤を塗布することやビス等によるねじ締め固定すること又はいずれか一方の表面を凸部又は凹部を形成し、これを嵌合すること、さらには、上記外ケース(外筒)25と上記空気流入防止部材34を製造工程で一体加工成型すること等がある。そして、該空気流入防止部材34を外ケース(外筒)25へ固定したとき、該空気流入防止部材34の擂鉢状庇部34cの第2段差面34c2の垂直ラインは上記第2電極部材26の内壁面26aの垂直ラインと一致させるか、少なくとも該第2段差面34c2を第2電極部材26の中心方向に突出させるように構成する。
【0031】
尚、図中、35は空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの出口開口Eb側に配置した空気吐出ファン、36は、建築物の躯体等でなる固定部材、37は大地である。また、ほかの構成部材については図2及び図3に示す基本構成のものと略同一であり同一番号、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
次に、空気イオン濃度測定器の清浄装置Eに於ける実施の形態を示す図1の構成は、外ケース(外筒)25の入口開口Eaにイオン発生手段Fを配置した構成を有する。該イオン発生手段Fは例えばイオン風流送ノズル39、ノズル管40、イオン発生器41、フィルタ42、空気圧縮機43及び空気取入部44、空気乾燥器45で構成されるが、これらの部材すべて備えることはない。
【0033】
上記イオン風流送ノズル39は、空気イオン濃度測定器の本体の入口開口Eaの部位であって、その中心かつ垂直方向にノズル39aを向けて配置する。このイオン風流送ノズル39は、その本体部がノズル管40を接続してある。一方、パイプ等で構成された空気取入部44は、空気圧縮機(コンプレッサ)43に接続され、外部から取入れた空気(気体)を該空気圧縮機43により圧縮する。圧縮された空気は次段のフィルタ42により除塵され、空気に包含されている微細粒子を除去し、イオン発生器41に流送される。イオン発生器41では、高圧のイオン化された空気(気体)をノズル管40を介してイオン風流送ノズル39に流送する。イオン風流送ノズル39では、第1及び第2電極部材23、26に向けてイオン化された高圧の空気を噴出しかつ強制流送する。このことから、該第1及び第2電極部材23、26の表面や内周面に堆積・滞留した帯電粒子(イオン)を静電気剥離力を付与しつつ吹き飛ばす。これにより落下した該帯電粒子(イオン)は出口開口Ebから空気吐出ファン35の駆動により本装置の外部へ飛散される。前記空気乾燥器45は後述する空気イオン濃度測定清浄制御部Gの中央制御回路(CPU)からの信号により外ケース(外筒)25内の湿度が上昇したとき動作させ、その湿度を下げる働きをする。
【0034】
本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eに於ける実施の形態の動作等について図1等に基づき説明する。
本発明装置の電源50から昇圧して直流電圧等の所定電圧、例えば、200ないし1000(V)程度の電圧を印加すれば上記第1電極部材23及び第2電極部材26にプラス及びマイナスの帯電粒子(イオン)30a、30bが捕集される。この捕集されたプラス及びマイナスの帯電粒子(イオン)30a、30bは電流値として計測され、これをイオン濃度測定手段としての電流・電圧変換回路31により電圧値に変換され、空気イオン濃度を検出する。そして、該可逆高電圧装置29Aから極性を逆にした電圧を印加する。そして、空気イオン濃度測定清浄制御部Gにより正・負の波高値の差分値を中央制御回路(CPU)47のデータとして記憶し、また空気イオン濃度被測定部の状態を検出し、また、流入空気Bの温度や湿度の状態はセンサー52で電圧に変換され、アナログ・デジタル変換器53でデジタル信号に変換されて状態を検出する。空気イオン濃度被測定部の状態により該被測定部すなわち帯電粒子30a、30bの付着部分等を自己清浄するために本発明装置の電源50に接続された可逆高電圧装置29A、回転数制御回路51、イオン発生器41及び空気乾燥器45を駆動して当該被測定部すなわち閉塞用支持基板27、28の表面等の付着物や空気イオン濃度測定器内の清浄を行なう。測定されたデータや波高分布図は遠距離データ通信としては無線通信のPHS電話回線を含む携帯電話回線48に送信する。電話回線、ファイバーケーブルの光回線やLAN回線としての有線回線49にも送出する。差分値データの信頼性のため、また、清浄中のデータ補完のため複数システムのイオン濃度測定器を並列で使用しているときは、イオン濃度測定装置間でデータの共有を行うため別置したデータ記録コンピュータ61にも該差分値データを送出する。
【0035】
ここに於いて、上記流入空気Bは空気イオン濃度測定器の本体の入口開口Eaから導入された後、上記外ケース(外筒)25の内周面25aを経る等して矢印B3で示す空気及び矢印B4で示す空気の如く流過して、上記第2電極部材26の内部に流送される。つまり、空気B3及びB4は上記空気流入防止部材34によりスペース(空間)S内に流れ込むことを阻止され、常に該空気流入防止部材34の第1段差面34c1及び第2段差面34c2を経て、円滑に所定量の空気Bが漏洩することなく第1及び第2電極部材23、26の表面や内周面等に円滑に流過し、出口開口Ebから空気吐出ファン35により流出される。
然らば、該空気B3及びB4は第2電極部材26及び外ケース(外筒)25の上側及び下側のスペース(空間)Sに介装された上記閉塞用支持基板27、28の表面27b、28b等に流過せず、従来の技術に於いて説明したが、該閉塞用支持基板27、28の表面27b、28bや第2電極部材26の内周面26a等に帯電粒子(イオン)付着物Dが発生すること及び存在することがなく、そのため、該閉塞用支持基板27、28等の絶縁性は確保でき、本装置が常に正常に空気イオン濃度を測定できると共に絶縁不良現象を招来することがない。
【0036】
また、図1に示す構成に於いて、上記可逆高電圧装置29Aにより該第1電極部材23に正(プラス)の電位を、該第2電極部材26に負(マイナス)の電位を印加すれば、この印加電圧によりそれぞれ該第1電極部材23の表面23c及び第2電極部材26の内周面26aにそれぞれ帯電されたプラスの帯電粒子(プラスイオン)及びマイナスの帯電粒子(マイナスイオン)が反発され、第1及び第2電極部材23、26から離脱し、第2電極部材26の筒体内を落下することとなり上記可逆高電圧装置29Aは自動清浄装置としての機能を果す構成を含むものであり、本発明装置の第1及び第2電極部材23、26の表面23cや内周面26aへの帯電粒子の堆積・滞留を防止することによる空気イオン濃度の測定不良現象を防止するうえに更に絶縁不良現象を防止するという特徴を備えるものである。
【0037】
尚、空気イオン濃度測定器の本体又は外ケース(外筒)25を緊締バンドや紐等で構成された緊締部材38により、例えば、図1に示す如く出口開口Ebが下向きに配置されるように、固定部材36により固定・配置する。このようにすれば、第1及び第2電極部材23、26から離脱した帯電粒子(イオン)が落下し易く、常に第1及び第2電極部材23、26内を清浄化でき、空気イオン濃度を安定的に測定することができる。
【0038】
上記空気イオン濃度測定清浄制御部Gは、図1に示すように中央制御手段(CPU)としての中央制御回路47を備え、この中央制御回路47は、例えば、マイコンで構成されてあり、イオン濃度測定手段としての電流・電圧変換回路31で空気イオン濃度を電圧値かつデジタル数値に変換させ、図5(a)に示すような空気イオン濃度に係る信号を受信し、これを演算・記憶処理する。中央制御回路47により演算処理されデータは、データ処理計算機を介して無線通信としてのPHS電話回線を含む携帯電話回線48に送信される。このデータはまたさらにLAN回線や電話回線としての有線回線49に送信される。
【0039】
そこで、空気イオン濃度測定清浄制御部Gは、例えば、閉塞用支持基板27、28の表面27b、28bや第2電極部材26の内周面26a等のイオン濃度被測定部からイオン濃度検出手段としての電流・電圧変換回路31により検出した図5(a)に示す時間t(sec)に対する帯電粒子等の電圧V(ボルト)の特性、すなわちその信号波形を図5(b)に示すように拡大し、該電流・電圧変換回路31の出力側に接続されたフィルタ46で例えば、ローパスフィルタ機能を有し図5(b)の波形を図5(c)に示すようにそのノイズ成分を除去し、整形する。これはスムージング処理をするためである。そして、ここまでは図6に示す空気イオン濃度測定清浄制御部Gのフローに於けるSTARTからステップS1及びステップS2である。該ステップS1は電流を電圧に変換するステップである。該ステップS2はフィルタでノイズを取るステップである。この整形された信号波形は、該フィルタ46の出力側に接続された負の波高値検出回路54及び正の波高値検出回路56からの信号を中央制御手段としての中央制御回路47に出力し、該中央制御回路47によりそのボトム電圧値(底値)とピーク電圧値(頂点値)を検出し、該フィルタ46の出力側に接続されたボトム電圧値保持回路55及びピーク電圧値保持回路57で保持される。そしてここまでは、図6に示す空気イオン濃度測定清浄制御部Gのフローに於けるステップS3からステップS6である。ここで、前記ステップとS3及びステップS5に於いて整形された図5(c)に示す波形の負の波高値(ボトム電圧値)及び正の波高値(ピーク電圧値)を検出できない場合は、それぞれ検出できるまでNO側に帰環させる。ステップS6はピーク電圧値を保持するステップである。ステップS5はピーク電圧値を検出するステップである。ステップS3はボトム電圧値を検出するステップである。ステップS4はボトム電圧値を保持するステップである。前記ピーク電圧値は信号波形の山の頂点値であり、ボトム電圧値は該信号波形の谷の最低値を意味する。そして、前のデータと今のデータを比較し今のデータが小さいと、次のデータを読む、それを繰り返して行き、前のデータより大きくなる点を見つける。このときの前のデータを最小データ(ボトム電圧値)とする。次からは最大データを探す、前のデータと今のデータを比較し今のデータが大きいと次のデータを読む、これを繰り返して行き、前のデータより今のデータが少ない点を見つける。このときの前のデータが最大点なのでこれを最大データ(ピーク電圧値)とする。直前の最小データと最大データの差を、差分値でありこのときの山谷の波高値(ピークピーク値)とする。
【0040】
58は差分増幅回路であり、波高データ処理手段であって前記ピーク電圧値保持回路57及びボトム電圧値保持回路55の出力側に接続されており、図5(c)に示す信号波形の負の波高値(ボトム電圧値)とこれに隣接する正の波高値(ピーク電圧値)の差分値を演算・処理する。該差分増幅回路58は図5(c)に示すように例えば信号波形に基づき連続するボトム電圧値a、c、e、g、iとピーク電圧値b、d、f、h、jの差分電圧値V1、V2、V3、V4、Vn…を演算し、処理する。そして、該差分増幅回路58の出力側に接続されたAD変換回路59によりアナログ信号をデジタル信号に変換し、コンピュータで処理する。該AD変換回路59の出力側に接続された波高分布作成回路60により該差分電圧値V1、V2、V3、V4、Vn毎にその個数を計算し、演算し、記憶し、図7(a)ないし(c)に示すように波高分布図を作成する。そして、ここまでは図6に示す空気イオン濃度測定清浄制御部Gのフローに於けるステップS7からステップS10である。ここで前記ステップS10で、空気イオン濃度の測定時間の経過を計測・判定し測定不能のときは最初のステップS1へ帰環させ、測定可能の状態まで本装置を停止させ又は可逆高電圧装置29Aが高電圧を印加しないように動作させる。ここでステップS7はピーク電圧値とボトム電圧値の差を求め波高データとするステップである。ステップS8はアナログ信号をデジタル信号に変換するステップである。ステップS9はピーク電圧値、ボトム電圧値及び中央制御回路(CPU)47をリセットするステップである。ステップS10は前記ステップS1による空気イオン濃度の検出測定可能時間が経過したかどうかの判定を行なうステップである。
【0041】
該波高分布作成回路60は波高分布作成手段であって、例えばマイコンで構成され上述したように波高分布図を図6に示すステップS11で作成する。そして、該波高分布作成回路60は出力信号を中央制御手段としての中央制御回路47に導入する。該中央制御回路47は外ケース(外筒)25内の空気中のイオンや帯電粒子等の付着物や被測定部位等について清浄要否を判定し、指令する。この指令を受けた高電圧発生手段としての可逆高電圧装置29Aは、図7(b)に示すようにイオン濃度測定器を長時間使用して測定すると例えば帯電粒子等の電荷の電圧が25(mV)の電圧値から右下がりの隣にもうひとつ小さな山の波形D1すなわち帯電粒子等の電荷の個数の集積が形成される。この山の波形D1が不良データの部分である。この山の波形D1が大きくなる前に清浄を行なう。図8に示す実験例がこのときの波形を示す。これがステップS12で清浄の必要かどうかを判定する。また、イオン濃度測定器の流入空気Bの湿度が高くなり、イオン濃度被測定部の高圧電圧のリークや雨天のときなどにより図7(c)に示すように波高分布図も正常状態時の右下がり部分波形の右側が飽和状態に大きい山の波形D2すなわち帯電粒子等の個数の集積を形成し空気イオン濃度が測定不能状態になる。この状態になるとステップ13で測定不能なことを測定・判定し、可逆高電圧装置29Aが高圧電圧を下げ又は停止させ当該本発明の空気イオン濃度測定器の破損を予防する。そして、ステップS14で前記中央制御回路47が信号を出力し空気乾燥器45を動作させ、流入空気Bや被測定部分を乾燥させる。ここで流入空気中の湿度は低下したときでも空気イオン濃度測定器には水分、水蒸気が残留し、空気イオン濃度を安定に測定することが出来ない状態から、早期に測定できる状態にもどす必要があり、流入空気の湿度が空気イオン濃度測定不能状態から空気イオン濃度測定可能状態に変化したときに、空気イオン濃度測定器内の空気流入口に取付けられた空気乾燥器により乾燥空気を流入させて空気イオン濃度測定器の被測定部分を乾燥させて、高圧電圧の表面リークを防ぎ空気イオン濃度の測定を安定化させる。また、ステップ15で湿度が低下し正常となることを判定すれば、ステップS18に進み、測定タイマーをリセットし、次の空気イオン濃度や被測定部位等の測定を準備する。
以上を繰り返して行ない滞留した帯電粒子や空気イオン濃度の清浄を行なう。さらに、ステップ13で測定可能な状態になれば、ステップS17で波高分布図が正常としてデータをデータ記録コンピュータ61に送出し、これを記録する。このように空気イオン濃度や被測定部位等が清浄済みの波形は図7(a)で示すように図7(b)、(c)のような隣接する大きい山の波形D1、D2が全く存在しないこととなる。このときの実験例では図9に示す波形となり当該空気イオン濃度測定器が常に正常に働くこととなる。
【0042】
また、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eの電源50は高電圧発生器としての機能を有する上記可逆高電圧装置29Aにより、上記第1及び第2電極部材23、26間に例えば約700(V)ないし約2000(V)程度の高電圧を印加すること及び上記中央制御回路47からの信号で直流電圧等の所定の正逆電位を印加することにより、上記第1及び第2電極部材23、26の表面23cや内周面26a等に堆積・滞留した帯電粒子(イオン)を上記第1及び第2電極部材23、26の表面23cや内周面26a等から離脱させる。
【0043】
さらに、上記空気イオン濃度測定清浄制御部Gに空気吐出ファン35の回転数を増減する回転数制御回路51を備え、この回転数制御回路51により、上記第1及び第2電極部材23、26の表面23cや内周面26a等に堆積・滞留した帯電粒子(イオン)を強制的に本装置の外部へ放出する。
【0044】
一方、上記外ケース(外筒)25や空気イオン濃度測定器の本体の所定箇所に温度センサ、磁気センサ等の各種センサ52特に、湿度センサを配備し、この各種センサ52から制御線を介してアナログ・デジタル変換回路53に送信され、これを環境データとして、上記中央制御回路47に送信される。該中央制御回路47はこれを外部に設置した例えば、地球環境研究センタ(図示せず)等に送信し、地球環境保全や空気イオン濃度の変化に伴う地震予知等の研究に役立てることができる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける実施例について詳細に説明する。
【0046】
本発明に係る装置は、前述した空気流入防止部材34が図1に示す構成のものに限定することなく、図4に示す構成例もある。これについて説明すれば、空気流入防止部材34Aは筒状の外側面34aと内部が空洞に形成しかつ円周面でなる内側面34bと、この内側面34bに連なって形成された擂鉢状庇部34cとを備えている点は図1のものと同一である。しかし、図4に示す構成例のものは、該擂鉢状庇部34cの外面は立設部を形成することなく上記第2電極部材26の中心方向に下り坂となる単一の斜面34c3を形成している点が相異している。このように構成すると擂鉢状庇部34cの外面がフラットな形状となり擂鉢状庇部34c自体が簡素化され、製作性が向上すると共に空気B3及びB4がさらに円滑に流送する。他の構成や動作等については前述した図1に示すものと略同一であり、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置Eに於ける実施の形態の具体的な構成を示すシステム図であって、その空気イオン濃度測定器の本体を垂直断面した図である。
【図2】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける基本構成を示す垂直断面図である。
【図3】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける基本構成を示すものであって、図2の場合から逆電圧を印加した状態を示す垂直断面図である。
【図4】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける基本構成の実施例を示す一部切欠した垂直断面図である。
【図5】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於けるフィルタによる時間t(sec)に対する帯電粒子等の電圧(ボルト)の波形であって、(a)は信号波形図、(b)は(a)を拡大した信号波形図、(c)はスムージング処理しかつ正・負の波高値を示す波形図である。
【図6】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける空気イオン濃度測定清浄制御部Gの動作を示すフロー図である。
【図7】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置の波高分布作成回路により作成された分布図であって、(a)は清浄直後の帯電粒子等の電圧(mV)に対する帯電粒子等の個数を表示する特性図、(b)は清浄をする必要がある場合の帯電粒子等の電圧(mV)に対する帯電粒子等の個数を表示する特性図、(c)は雨天のとき等高湿度で本装置による測定不能のときの状態を示す帯電粒子等の電圧(mV)に対する帯電粒子等の個数を表示する特性図である。
【図8】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける清浄前(クリーニング前)の実験例を示すものでアナログ信号電圧値(mV)に対するイオン粒子等の個数(個)を示す特性図である。
【図9】本発明に係る空気イオン濃度測定器の清浄装置に於ける清浄後(クリーニング後)の実験例を示すものでアナログ信号電圧値(mV)に対するイオン粒子等の個数(個)を示す特性図である。
【図10】従来の技術に於ける空気イオン濃度測定器の一つの例を示す垂直断面図である。
【図11】従来の技術に於ける空気イオン濃度測定器の他の例を示す垂直断面図である。
【図12】従来の技術に於ける空気イオン濃度測定器の一つの例を示すものであって、イオン化空気の流過状況を示す拡大垂直断面図である。
【符号の説明】
【0048】
23 第1電極部材
23a 第1電極部材の上端
23b 第1電極部材の下端
23c 第1電極部材の表面
24 支持バー
25 外ケース(外筒)
25a 外ケース(外筒)の内周面
26 第2電極部材
26a 第2電極部材の内周面
27 閉塞用支持基板
27a 閉塞用支持基板の貫通孔
27b 閉塞用支持基板の表面
28 閉塞用支持基板
28a 閉塞用支持基板の貫通孔
28b 閉塞用支持基板の表面
29 可逆電圧電源装置
29A 可逆高電圧装置(高電圧発生手段)
30a プラスの帯電粒子
30b マイナスの帯電粒子
31 電流・電圧変換回路
32 信号制御線
33 電圧線
34 空気流入防止部材
34A 空気流入防止部材
34a 空気流入防止部材の外側面
34b 空気流入防止部材の内側面
34c 空気流入防止部材の擂鉢状庇部
34c1 空気流入防止部材擂鉢状庇部の第1段差面
34c2 空気流入防止部材擂鉢状庇部の第2段差面(立設部)
34c3 空気流入防止部材擂鉢状庇部の単一の斜面
35 空気吐出ファン
36 固定部材
37 大地
38 緊締部材
39 イオン風流送ノズル
39a イオン風流送ノズルのノズル口
40 ノズル管
41 イオン発生器
42 フィルタ
43 空気圧縮機(コンプレッサ)
44 空気取入部
45 空気乾燥器
46 フィルタ
47 中央制御回路(中央制御手段)
48 携帯電話回線
49 有線回線
50 本発明装置の電源
51 回転数制御回路
52 各種センサ(湿度センサ)
53 アナログ・デジタル変換回路
54 負の波高値検出回路
55 ボトム電圧値保持回路
56 正の波高値検出回路
57 ピーク電圧値保持回路
58 差分増幅回路(波高データ処理手段)
59 AD変換回路
60 波高分布作成回路(波高分布作成手段)
61 データ記録コンピュータ
B 流入空気
B1 イオン化空気
B2 イオン化空気
B3 空気
B4 空気
C 空気イオン濃度測定器
D 帯電粒子(イオン)付着物
E 空気イオン濃度測定器の清浄装置
Ea 空気イオン濃度測定器の本体の入口開口
Eb 空気イオン濃度測定器の本体の出口開口
F イオン発生手段
G 空気イオン濃度測定清浄制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極部材と、該第1電極部材を略中心部分であって長さ方向に垂直配置した筒体で構成された第2電極部材と、上記第1及び第2電極部材を収容する外ケースと、上記第1及び第2電極部材間からの信号で空気イオン濃度を検出する空気イオン濃度測定手段と、上記第2電極部材及び外ケース間に介装しかつ該第2電極部材と該外ケースを固定する閉塞用支持基板とを有した空気イオン濃度測定器に於いて、上記空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)によって分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段とで成る空気イオン濃度測定清浄制御部を備えたことを特徴とする空気イオン濃度測定器の清浄装置。
【請求項2】
第1電極部材と、該第1電極部材を略中心部分であって長さ方向に垂直配置した筒体で構成された第2電極部材と、上記第1及び第2電極部材を収容する外ケースと、上記第1及び第2電極部材間からの信号で空気イオン濃度を検出する空気イオン濃度測定手段と、上記第2電極部材及び外ケース間に介装しかつ該第2電極部材と該外ケースを固定する閉塞用支持基板とを有した空気イオン濃度測定器に於いて、上記空気イオン濃度測定手段からの信号を正の波高値及び負の波高値を検出しその差分値(ピークピーク値)をデータ処理する波高データ処理手段と、該波高データ処理手段からの信号で分布図を作成する波高分布作成手段と、該波高分布作成手段からの信号で空気イオンの清浄要否を判定・指令する中央制御手段(CPU)と、該中央制御手段からの制御信号により上記第1電極部材及び第2電極部材間に可逆電圧を印加する高電圧発生手段とで成る空気イオン濃度測定清浄制御部を備えたことを特徴とする空気イオン濃度測定器の清浄装置。
【請求項3】
前記空気イオン濃度測定清浄制御部の中央制御手段が前記波高分布作成手段により作成した波高分布図で流入空気の高湿度による空気イオン濃度測定不能を判定し、この指令信号で前記高電圧発生手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の空気イオン濃度測定器の清浄装置。
【請求項4】
前記空気イオン濃度測定清浄制御部の中央制御手段が前記波高分布作成手段により作成した波高分布図で流入空気の高湿度から低湿度に変化した際、空気イオン濃度測定可能と判定し、この指令信号で空気乾燥器を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の空気イオン濃度測定器の清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−203056(P2008−203056A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38758(P2007−38758)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(502437779)
【Fターム(参考)】