説明

空気入りタイヤ

【課題】タイヤの高温時の耐摩耗性と、耐発熱性、耐シェブロンカット性及び耐チッピング性とを両立させることにより、航空機用やリニアモータカー用タイヤ等の高速高荷重用タイヤ、特に航空機用タイヤとして好適なタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを40〜100質量%含むゴム成分を含有するゴム組成物からなり、且つ動的貯蔵弾性率E’(動歪2%)の180℃以上における極小点が150℃での動的貯蔵弾性率E’(動歪2%)の70%以上であるトレッドを配設してなることを特徴とするタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤトレッドのショルダー部への応力集中を低減し、耐偏摩耗性を良好にした空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは走行中において、路面状態や旋回等により、タイヤ進行方向と直角の横方向から入力を受ける。この横方向からの入力が集中する部分、つまり応力が集中する部分には大きな負荷がかかり、偏摩耗の原因となる。
このような外部からの入力を緩和するため、トレッドのセンター部のタイヤ幅方向両側に配置されたショルダー部のリブを特定の形状にする方法が採用されている。例えば、特許文献1においては、偏摩耗抑制のためにトレッドのショルダー部に細リブを設けることが提案されている。
【0003】
更に、特許文献2では、操縦安定性及び耐摩耗性を改良すべく、トレッド部の特定幅の中央部ゴム層に、20〜60%のスチレン含量を有するSBR(スチレン−ブタジエンゴム)を少なくとも40重量部含むゴム成分100重量部に対し80〜280m2/gのN2SAを有するカーボンブラックを60〜120重量部と天然樹脂系ロジンを5〜40重量部とを含み、且つ65°を超える25℃JIS硬度を有するゴム組成物を配置したラジアルタイヤが提案されている。
【0004】
また、特許文献3では、転がり抵抗性能とウェット制動性(湿潤路面での制動性)を両立させることを目的として、トレッドのキャップゴムが、タイヤ幅方向の中央部に配されたセンターゴムと、センターゴムのタイヤ幅方向両側に配され且つセンターゴムよりも損失正接tanδが大きいショルダーゴムとに少なくとも3分割された空気入りタイヤが開示されている。
【0005】
しかしながら、依然として、空気入りタイヤのウェット制動性を低下させないで偏摩耗を解消するまでには至らず、更なる耐偏摩耗性改良が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平4−63704号公報
【特許文献2】特開平9−136997号公報
【特許文献3】特開2005−199949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、空気入りタイヤのトレッドのウェット制動性を低下させないで、耐偏摩耗性を改良することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、空気入りタイヤのトレッドの外部からの入力により応力が集中する部分であるショルダー部の特定の物理特性をセンター部より小さくすることにより、本発明の目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)センター部と、該センター部のタイヤ幅方向両側のショルダー部とに分割されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、該センター部の動的貯蔵弾性率E’と比較して、該ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’がより小さいことを特徴とする空気入りタイヤ、
(2){(センター部の動的貯蔵弾性率E’)/(ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)}が1.2以上である上記(1)の空気入りタイヤ、
(3)前記ショルダー部を形成するゴム組成物に、ゴム成分中、アニオン重合により生成した共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端と窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行って得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を10質量%以上配合してなる上記(1)又は(2)の空気入りタイヤ、
(4)前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、下記一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、A1は環状第三アミノ基,非環状第三アミノ基,イソシアネート基,チオイソシアネート基,イミノ基、ピリジン残基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の不活性炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0から2の整数であり、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。〕
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)及びその部分縮合物から選ばれた少なくとも1種である上記(3)の空気入りタイヤ。
(5)前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、分子内に第一アミノ基が保護され、且つ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物である上記(3)の空気入りタイヤ、
(6)前記2官能性珪素原子を含む化合物が一般式(II)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R9は炭素数1〜12のアルキレン基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表される珪素化合物、一般式(III)
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、R10〜R14は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R15は炭素数1〜12のアルキレン基を示す。)で表される珪素化合物、及び一般式(IV)
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R9は炭素数1〜12のアルキレン基、R16は炭素数1〜12のアルキレン基、Aは反応性基、そしてfは1〜10の整数を示す。)で表される珪素化合物から選ばれた少なくとも1種である上記(5)の空気入りタイヤ、
(7)一般式(II)又は一般式(IV)における反応性基Aがハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基である上記(6)の空気入りタイヤ、
(8)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の前記活性末端と前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行い、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、縮合反応させたものである上記(3)〜(7)のいずれかの空気入りタイヤ、
(9)前記縮合促進剤が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、又はアルミニウム(Al)の化合物からなり、前記縮合促進剤を構成する化合物は、前記元素のアルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩である上記(8)の空気入りタイヤ、
(10)前記縮合促進剤が、チタンのアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩、又はこれらの混合塩の中から選ばれる少なくとも1種のチタン系縮合促進剤である上記(9)の空気入りタイヤ、
(11)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体に、分子内に第一アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物を反応させて変性を行ない、チタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性珪素化合物が関与する縮合反応を行なうことによって得られたものである上記(10)の空気入りタイヤ、
(12)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、更に、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端に結合してなる、2官能性珪素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された第一アミノ基を遊離のアミノ基に変換させたものである上記(11)の空気入りタイヤ、
(13)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の一つの原料モノマーとして用いられる共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン及び2−フェニル−1,3−ブタジエンから選ばれる少なくとも1種である上記(3)〜(12)のいずれかの空気入りタイヤ、
(14)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のもう一つの原料モノマーとして用いられる芳香族ビニル化合物がスチレンである上記(3)〜(12)のいずれかの空気入りタイヤ、
(15)前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、変性スチレン−ブタジエンゴムである上記(3)〜(14)のいずれかの空気入りタイヤ、
(16)前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、更に充填材を20〜120質量部配合してなる上記(3)〜(15)のいずれかの空気入りタイヤ、
(17)前記充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカである上記(16)の空気入りタイヤ、及び
(18)前記カーボンブラックと前記シリカとの含有割合(カーボンブラック:シリカ)が、質量比で(100:0)〜(5:95)である上記(19)の空気入りタイヤを提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ウェット制動性が低下することなく、耐偏摩耗性が改良されたトレッドを有する空気入りタイヤを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の空気入りタイヤの構成を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様の部分断面模式図である。本発明の空気入りタイヤ10の一実施態様では、カーカス11と、カーカス11のタイヤのクラウン部に円周方向に配置されたベルト12とを有し、ベルト12のタイヤ半径方向外側に配設され接地部を形成するトレッド13は、センター部13aと、該センター部13aのタイヤ幅方向両側のショルダー部13b及び13cとに分割されている。図1に示すように、所望によりトレッドベースゴム部13dがトレッド13内のタイヤ半径方向内側(即ち、センター部13a並びにショルダー部13b及び13cと、ベルト12との間)に配置されていても良い。
本発明の空気入りタイヤは、上記のタイヤ部材構成において、センター部13aの動的貯蔵弾性率E’と比較して、ショルダー部13b及び13cの動的貯蔵弾性率E’が、より小さいことを特徴とする。これにより、ショルダー部13b及び13cがセンター部13aより柔らかくなるため、外部からの応力集中を低減し、その結果、ショルダー部13b及び13cの耐偏摩耗性が改良される。
本発明の空気入りタイヤにおいては、{(センター部の動的貯蔵弾性率E’)/(ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)}が1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。1.2以上であると、耐偏摩耗性が更に向上するからである。
【0019】
また、本発明の空気入りタイヤのショルダー部13b及び13cを形成するゴム組成物に、ゴム成分中、アニオン重合により生成した共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端と窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行って得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を10質量%以上配合することが好ましく、20質量%以上配合することがより好ましく、30質量%以上配合することが特に好ましい。該変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を、ゴム成分中、10質量%以上配合することにより、該ゴム組成物のゴム成分及び各種配合成分の分散が改良され、動的貯蔵弾性率E’が大幅に低減するからである。
【0020】
本発明において、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端に、窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)(以下、「ヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)」と略称することがある)を反応させて変性させるには、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性又は擬似リビング性を有するものが好ましい。このようなリビング性を有する重合反応としては、有機アルカリ金属化合物を開始剤とし、有機溶媒中で共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させる反応が好ましい。即ち、アニオン重合により生成した共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端と窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行って得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体をゴム成分中に含有することが好ましい。アニオン重合により、共役ジエン部のビニル結合含有量の高いものを得ることができ、ガラス転移温度Tgを所望する温度に調節することができる。ビニル結合量を高くすることによって耐熱性を向上させることができ、シス−1,4結合含有量を高くすることにより低燃費性や氷雪性能を向上させることができる。
【0021】
上述のアニオン重合の開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム又はリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られ、重合活性部位である活性末端に、上述の窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)を反応させて変性させる。
【0022】
また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。リチウムアミド化合物の場合は、上述のヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性しなくても、本発明に用いられ得る変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られるが、重合活性部位である活性末端に窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)を反応させて変性させると、所謂、両末端変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られ、カーボンブラック、シリカ等の充填材の分散性及び補強性を更に高めることができるので、更に好ましい。
【0023】
重合開始剤であるヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物等が挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
【0024】
また、重合開始剤であるリチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、第二アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
【0025】
前記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物等の炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が得られる。
【0026】
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含有量は5〜55質量%が好ましい。
【0027】
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加等、あるいは共役ジエン一芳香族ビニル共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタン等のエーテル類及び第三アミン類等を挙げることができる。また、カリウムt−アミレート、カリウムt−ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウムt−アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。
【0028】
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
【0029】
本発明においては、上記のようにして得られた活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体及び共役ジエン重合体の活性末端に、変性剤として、窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)を反応させることにより変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を製造することができる。
【0030】
窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)としては、下記一般式(I)
【0031】
【化5】

【0032】
〔式中、A1は環状第三アミノ基、非環状第三アミノ基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、イミン残基、ピリジン残基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の不活性炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0から2の整数であり、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。ここで、単結合とは、A1とSiが直接単結合で結合することをいう。〕
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物を用いることができる。ここで、部分縮合物とは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
【0033】
前記一般式(I)において、A1における官能基の中で、イミン残基はケチミン基、アルジミン基、アミジン基を包含する。
1のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基を好ましく挙げることができる。このアルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基,エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
【0034】
2及びR3としては、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基,tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
また、該アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。更に該アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
nは0〜2の整数であるが、0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
【0035】
一般式(I)で表される化合物の中で、非環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)エチルシラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジメトキシ)エチルシラン、3−ジエチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジエチルアミノプロピル(ジエトキシ)エチルシラン、3−ジエチルアミノプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−ジエチルアミノプロピル(ジメトキシ)エチルシラン、2−ジメチルアミノエチル(ジエトキシ)メチルシラン、2−ジメチルアミノエチル(ジエトキシ)エチルシラン、2−ジメチルアミノエチル(ジメトキシ)メチルシラン、2−ジメチルアミノエチル(ジメトキシ)エチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(ジエトキシ)エチルシラン等を挙げることができるが、これらの中で、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好適である。
【0036】
また、環状第三アミノ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシラン等を好ましく挙げることができる。特に3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シランが好適である。更に、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、4−エチルピリジン等を挙げることができる。
【0037】
イミン残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等を好ましく挙げることができるが、これらの中で特に、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが好適である。
【0038】
更に、その他のヒドロカルビルオキシ化合物として、以下のものを挙げることができる。即ち、イミン残基(アミジン基)含有化合物としては、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリン等を挙げることができるが、これらの中で、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール及び1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾールを好ましく挙げることができる。また、1−[3−(トリイソプロポキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられる。
【0039】
また、イソシアネート基含有化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、内、好ましいのは3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランである。
これらのヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
【0040】
本発明に好適に用いられる窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)の内、分子内に第一アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物がより好ましい。
前記2官能性珪素原子を含む化合物が一般式(II)
【0041】
【化6】

【0042】
(式中、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R9は炭素数1〜12のアルキレン基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表される珪素化合物、一般式(III)
【0043】
【化7】

【0044】
(式中、R10〜R14は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R15は炭素数1〜12のアルキレン基を示す。)で表される珪素化合物、及び一般式(IV)
【0045】
【化8】

【0046】
(式中、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R9は炭素数1〜12のアルキレン基、R16は炭素数1〜12のアルキレン基、Aは反応性基、そしてfは1〜10の整数を示す。)で表される珪素化合物から選ばれた少なくとも1種であることが更に好ましい。
【0047】
上記式(II)〜(IV)において、R9又はR15の炭素数1〜12のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基及びプロピレン基を好ましく挙げることができる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基及びベンジル基等のアラルキル基等のアリール基を挙げることができる。
また、式(II)のR6、R7及びR8の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよく、同様に式(III)のR12、R13及びR14の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよい。式(IV)のR16は炭素数1〜12のアルキレン基である。
上記式(II)又は上記式(IV)における反応性基Aが、重合活性末端との反応性を考慮して、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましい。
【0048】
保護された1級アミノ基及び珪素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも有する2官能性珪素原子を含む化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、及び1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン等を挙げることができる。
【0049】
また、前記反応性基Aがハロゲン原子である化合物として例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルエトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルエトキシクロロシラン等が挙げられる。
好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
【0050】
上述の変性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。またこの変性剤は部分縮合物であってもよい。
ここで、部分縮合物とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
【0051】
上記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である。同含有量は、更に好ましくは1〜100mmol/kg・共役ジエン−芳香族ビニル共重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である。ここで、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体とは、製造時又は製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、充填材の分散性に優れ、加硫後の機械特性、耐摩耗性、低燃費性が改良される。
【0052】
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法等が挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
また、変性剤は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制して低燃費性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0053】
本発明では、前記した変性剤として用いる窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が関与する縮合反応を促進するために、縮合促進剤を用いることが好ましい。
このような縮合促進剤としては、第三アミノ基を含有する化合物、又は周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素を一種以上含有する有機化合物を用いることができる。更に縮合促進剤として、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも一種以上の金属を含有する、アルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩であることが好ましい。
ここで用いる縮合促進剤は、前記変性反応前に添加することもできるが、変性反応の途中及び又は終了後に変性反応系に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、例えば、活性末端に保護された第一アミノ基を有するヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
【0054】
チタン系縮合促進剤としては、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩が好ましく挙げられる。
具体的なチタン系縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
【0055】
そして、スズ系縮合促進剤としては、二価のスズのジカルボン酸{特に、ビス(ヒドロカルビルカルボン酸)塩、例えば、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ}や、四価のスズのジヒドロカルビルスズのジカルボン酸塩{ビス(ヒドロカルビルカルボン酸)}塩を含む)、ビス(β−ジケトネート)、アルコキシハライド、モノカルボン酸塩ヒドロキシド等を好適に挙げられる。スズに結合したヒドロカルビル基としては炭素数が4以上のものが望ましく、炭素数4から炭素数8のものが特に好ましい。
【0056】
また、他の縮合促進剤としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
【0057】
また、アルミニウム系縮合促進剤としては、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
【0058】
上述の縮合促進剤の内、チタン系縮合促進剤が好ましく、チタン金属のアルコキシド、チタン金属のカルボン酸塩、又はチタン金属のアセチルアセトナート錯塩が特に好ましい。この縮合促進剤の使用量としては、前記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を前記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
【0059】
本発明における縮合反応は、上述の縮合促進剤と、水蒸気又は水の存在下で進行する。水蒸気の存在下の場合として、スチームストリッピングによる脱溶媒処理が挙げられ、スチームストリッピング中に縮合反応が進行する。
また、縮合反応を水溶液中で行ってもよく、縮合反応温度は85〜180℃が好ましく、更に好ましくは100〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。
縮合反応時の温度を前記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体及び共役ジエン重合体の経時変化によるポリマーの老化反応等による品質の低下等を抑えることができる。
【0060】
なお、縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を前記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応を水溶液中で行う場合の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
【0061】
本発明に好適に用いられる変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の変性剤由来の第一アミノ基は、上述のように脱保護処理を行うことによって生成する。上述したスチームストリッピング等の水蒸気を用いる脱溶媒処理以外の脱保護処理の好適な具体例を以下に詳述する。
すなわち、第一アミノ基上の保護基を加水分解することによって遊離した第一アミノ基に変換する。これを脱溶媒処理することにより、第一アミノ基を有する変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体及び共役ジエン重合体を得ることができる。なお、該縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護された第一アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
【0062】
本発明に好適に用いられる変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の一つの原料モノマーとして用いられる共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
【0063】
また、該変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のもう一つの原料モノマーとして用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロへキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
本発明に好適に用いられる変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体としては、変性スチレン−ブタジエンゴム(以下、「変性SBR」と略称することがある)が好ましい。
【0064】
特に好ましい変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、変性活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の該活性末端に、分子内に第一アミノ基が保護され、且つ1つのヒドロカルビロキシ基と反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物を反応させて変性を行ない、チタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性珪素化合物が関与する縮合反応を行ない、変性剤由来の保護された第一アミノ基の脱保護処理をすることによって得ることができる。得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体はカーボンブラック単独あるいはカーボンブラックとシリカとの混合系充填材のゴム成分中への分散を高め、本発明の課題である、低燃費性、氷雪性能及び耐摩耗性が良好であり、且つウエット性能に優れる空気入りタイヤを与えるタイヤトレッド用ゴム組成物を得ることができる。
このようにして得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度が10未満の場合は耐破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
また、前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を配合した本発明に係る未加硫ゴム組成物のムーニ−粘度(ML1+4,130℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは30〜100である。
【0065】
本発明に係るゴム成分は、好適に配合される前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体以外に、本発明の目的に合致する範囲内で、種々のゴム成分、特にジエン系ゴムを含むことができる。
例えば、天然ゴム、未変性の共役ジエン−芳香族ビニル共重合体、例えば、乳化重合スチレン−ブタジエンゴム、未変性の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム、窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)以外の変性剤による変性反応を行って得られたスチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンゴム等の外、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体等が挙げられる。
これらのジエン系ゴムの一部又は全てが多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているジエン系変性ゴムであることがより好ましい。
【0066】
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、更に充填材を20〜120質量部配合することが好ましい。20質量部以上であればゴム組成物の補強性が確保され、120質量部以下であれば未加硫ゴム組成物の作業性に優れ、好ましい。
充填材としては、カーボンブラック及び/又はシリカであることが好ましい。
【0067】
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック5〜100質量部を含有することがウエット性能、耐摩耗性及び破壊特性を改良する見地から好ましい。
カーボンブラックとしても特に制限はなく、例えば、HAF、N339、IISAF、1SAF、SAF等が用いられる。
カーボンブラックの窒素吸着法比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは70〜180m2/g、より好ましくは80〜180m2/gである。また、DBP吸油量(JIS K 6217−4:2001に準拠して測定する)は、好ましくは70〜160mL/100g、より好ましくは90〜160mL/100gである。カーボンブラックを用いることにより、耐破壊特性、耐摩耗性等の改良効果は大きくなる。耐摩耗性に優れるN339、IISAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
【0068】
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物は、シリカ5〜100質量部を含有することがウエット性能、耐摩耗性及び破壊特性を改良する見地から好ましい。
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物は、充填材として、カーボンブラック単独使用すること又はカーボンブラックとシリカとを併用することが更に好ましい。従って、カーボンブラックとシリカとの含有割合(カーボンブラック:シリカ)が、質量比で(100:0)〜(5:95)であることが好ましく、(95:5)〜(5:95)であることが更に好ましい。
【0069】
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でもウエット性能及び耐摩耗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)としては80m2/g以上のものが好ましく、より好ましくは120m2/g以上、特に好ましくは150m2/g以上である。BET比表面積の上限値には特に制限はないが、通常450m2/g程度である。このようなシリカとしては東ソーシリカ社製、商品名「ニプシルAQ」(BET比表面積 =190m2/g)、「ニプシルKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
カーボンブラック、又はシリカは、それぞれ、1種用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物においては、所望により、補強用充填材の一つとしてシリカを用いる場合は、その補強性及び低燃費性を更に向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシーリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0071】
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物において、ゴム成分として、分子活性部位にシリカとの親和性の高い官能基が導入された変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が用いられる場合は、シランカップリング剤の配合量を通常の場合より低減することができる。好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
【0072】
更に、本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低燃費性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
【0073】
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系、あるいはTOT(テトラキス(2−エチルへキシル)チウラムジスルフィド)等のチウラム系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0074】
また、本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物で必要に応じ使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、耐摩耗性を重視する観点からは、例えば、アロマティック系プロセス油、例えば低温特性を重視する観点からは、例えば、ナフテン系プロセス油又はパラフィン系プロセス油が用いられても良い。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低燃費性(低発熱性)が悪化するのを抑制することができる。また、必要に応じ、ジブチルフタレート、ジー(2−エチルヘキシル)フタレート等のフタル酸誘導体系の可塑剤を用いても良い。
【0075】
更に、本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜3.0質量部である。
【0076】
本発明に係るショルダー部を形成するゴム組成物は、前記配合処方により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、空気入りタイヤのトレッドとして用いられる。
本発明の空気入りタイヤ10は、前記ゴム組成物をトレッド13のショルダー部13b及び13cに用いて通常のタイヤの製造方法によって製造される。すなわち、前記のように各種薬品を含有させた前記ゴム組成物が未加硫の段階でショルダー部の部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。通常、トレッド13のセンター部13aとショルダー部13b及び13cとは押出機により一体的に押出成形され、トレッド部材となる。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、耐偏摩耗性を好適に向上することとなる。
【実施例】
【0077】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って測定した。
<ミクロ構造の分析法>
赤外法(モレロ法)により、1−4シス結合含有量及びビニル結合含有量(%)を測定した。また、結合スチレン量は、1H−NMRでスペクトルの積分比を算出することにより求めた。
<ムーニー粘度(ML1+4,100℃)の測定>
JIS K6300に従って、Lロ一夕一、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
【0078】
<動的貯蔵弾性率E’>
各種空気入りタイヤのトレッド表層を1mm削った後、センター部とショルダー部とから厚さ2mm、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用い、チャック間距離10mm、初期歪10%、動歪1%、周波数52Hz、室温で動的貯蔵弾性率E’を測定した。
<ウェット制動性(湿潤路面での制動性)>
各種空気入りタイヤを試験車に装着し、湿潤路面での実車試験にて、操縦安定性をドライバーのフィーリング評点で表し、以下の式から指数表示した。指数値が大きい程、ウェット制動性が優れることを示す。
{(供試タイヤのフィーリング評点)/(比較例2のタイヤのフィーリング評点)}×100
<耐偏摩耗性>
各種空気入りタイヤを試験車に装着し、テストコースを同一条件で周回走行後、各トレッドのセンター部及びショルダー部の摩耗量を測定し、以下の式から指数により耐偏摩耗性を評価した。指数が大きい程、耐偏摩耗性が良好である。
[{比較例2のタイヤの(ショルダー部摩耗量−センター部摩耗量)}/{供試タイヤの(ショルダー部摩耗量−センター部摩耗量)}]×100
【0079】
製造例1 未変性スチレン−ブタジエンゴムの製造
窒素置換された内容積5L(リットル)のオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン125g、1,3−ブタジエン375gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。この後、得られた重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、未変性スチレン−ブタジエンゴムを得た。未変性スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量は24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%であった。
【0080】
製造例2 第一アミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムの製造
<変性剤の合成>
合成例1:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの合成
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400mL中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、更に保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48mL、トリエチルアミン53mLを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、更に得られた反応混合物を圧力665Pa条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分としてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを40g得た。
<第一アミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムの合成>
窒素置換された内容積5L(リットル)のオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン125g、1,3−ブタジエン375gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。リアクターからポリマー溶液を、メタノール1gを添加したシクロヘキサン溶液30g中に少量サンプリングした後、合成例1で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第一アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、第一アミン変性スチレン−ブタジエンゴムを得た。得られた第一アミン変性スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量は24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%、ムーニー粘度は32であった。
【0081】
製造例3 変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムの製造
製造例2と同様に、重合反応を行った後、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン853mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムを得た。得られた変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%、ムーニー粘度は35であった。
なお、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンは、チッソ(株)製、商標「サイラエース S340」を用いた。
【0082】
製造例4 第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴムの製造
製造例2と同様に、重合反応及び合成例1で得られたN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを加えた変性反応を行った後、縮合反応をすることなく、重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、製造例1と同様に、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第一アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴムを得た。得られた第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴムの結合スチレン量24.5質量%、共役ジエン部のビニル含有量は56モル%、ムーニー粘度は25であった。
【0083】
実施例1〜4及び比較例1〜5
表1に示す配合組成のゴム組成物A〜Eを調製し、表2に示すように実施例1〜4及び比較例1〜5の空気入りタイヤ(タイヤサイズ195/60R15)の各トレッドのセンター部及びショルダー部に配設した。
次に、それら9種類の空気入りタイヤについて夫々、(センター部の動的貯蔵弾性率E’/ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)、ウェット制動性及び耐偏摩耗性を評価した。結果を表2に示す。
【0084】
【表1】

[注]
*1.SBR1712:JSR社製油展乳化重合スチレン−ブタジエンゴム、結合スチレン量23.5質量%、伸展油37.5質量部、表1には伸展油を含んだ量を記載
*2.製造例1で得た未変性SBR:未変性溶液重合スチレン−ブタジエンゴム
*3.製造例2で得た変性SBR:製造例2で得た第一アミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴム
*4.製造例3で得た変性SBR:製造例3で得たN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン変性(縮合反応あり)スチレン−ブタジエンゴム
*5.製造例4で得た変性SBR:製造例4で得た第一アミン変性(縮合反応なし)スチレン−ブタジエンゴム
*6.BR−01:JSR社製ポリブタジエンゴム
*7.カーボンブラック:N234、東海カーボン社製、商品名「シースト7HM」3
*8.シリカ:東ソー・シリカ社製、商品名「ニプシールAQ」
*9.各ゴム組成物は、いずれも、その他成分として下記の配合剤を含有する。
ステアリン酸:2質量部、
亜鉛華:3質量部、
老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラック6C」1質量部、
シランカップリング剤:デグッサ社製、商品名「Si69」2.4質量部、
加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーCZ」0.5質量部、
促進剤 DPG:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーD」0.5質量部、
促進剤 DM:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDM」1質量部。
硫黄1.5質量部
【0085】
【表2】

【0086】
表2から明らかなように、実施例1の空気入りタイヤは、比較例1の空気入りタイヤと比較して、ウェット制動性及び耐偏摩耗性を向上した。
また、実施例2〜4の空気入りタイヤは、比較例1〜5の空気入りタイヤと比較して、ウェット制動性を良好に維持すると共に、耐偏摩耗性を大幅に向上した。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤ、軽自動車用空気入りタイヤ、軽トラック用空気入りタイヤ、トラック・バス車用空気入りタイヤ等の空気入りタイヤとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施態様の部分断面模式図である。
【符号の説明】
【0089】
10 空気入りタイヤ
11 カーカス
12 ベルト
13 トレッド
13a センター部
13b、13c ショルダー部
13d トレッドベースゴム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター部と、該センター部のタイヤ幅方向両側のショルダー部とに分割されたトレッドを有する空気入りタイヤであって、該センター部の動的貯蔵弾性率E’と比較して、該ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’がより小さいことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
{(センター部の動的貯蔵弾性率E’)/(ショルダー部の動的貯蔵弾性率E’)}が1.2以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ショルダー部を形成するゴム組成物に、ゴム成分中、アニオン重合により生成した共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端と窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行って得られた変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を10質量%以上配合してなる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、下記一般式(I)
【化1】

〔式中、A1は環状第三アミノ基,非環状第三アミノ基,イソシアネート基,チオイソシアネート基、イミン残基、ピリジン残基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基、R1は単結合又は二価の不活性炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、nは0から2の整数であり、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。〕
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)及びその部分縮合物から選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)が、分子内に第一アミノ基が保護され、且つ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記2官能性珪素原子を含む化合物が一般式(II)
【化2】

(式中、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R9は炭素数1〜12のアルキレン基、Aは反応性基、fは1〜10の整数を示す。)で表される珪素化合物、一般式(III)
【化3】

(式中、R10〜R14は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R15は炭素数1〜12のアルキレン基を示す。)で表される珪素化合物、及び一般式(IV)
【化4】

(式中、R4、R5は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R6〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R9は炭素数1〜12のアルキレン基、R16は炭素数1〜12のアルキレン基、Aは反応性基、そしてfは1〜10の整数を示す。)で表される珪素化合物から選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
一般式(II)又は一般式(IV)における反応性基Aがハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルコキシ基である請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の前記活性末端と前記窒素原子及び珪素原子を含むヒドロカルビルオキシシラン化合物(A)とを反応させる変性反応を行い、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、縮合反応させたものである請求項3〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記縮合促進剤が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、又はアルミニウム(Al)の化合物からなり、前記縮合促進剤を構成する化合物は、前記元素のアルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩である請求項8に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記縮合促進剤が、チタンのアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩、又はこれらの混合塩の中から選ばれる少なくとも1種のチタン系縮合促進剤である請求項9に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、活性末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体に、分子内に第一アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じ珪素原子に結合した2官能性珪素原子を含む化合物を反応させて変性を行ない、チタン系縮合促進剤の存在下、前記2官能性珪素化合物が関与する縮合反応を行なうことによって得られたものである請求項10に記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、更に、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の活性末端に結合してなる、2官能性珪素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された第一アミノ基を脱保護し遊離のアミノ基に変換させたものである請求項11に記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の一つの原料モノマーとして用いられる共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン及び2−フェニル−1,3−ブタジエンから選ばれる少なくとも1種である請求項3〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体のもう一つの原料モノマーとして用いられる芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項3〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項15】
前記変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、変性スチレン−ブタジエンゴムである請求項3〜14のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項16】
前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、更に充填材を20〜120質量部配合してなる請求項3〜15のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項17】
前記充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカである請求項16に記載の空気入りタイヤ。
【請求項18】
前記カーボンブラックと前記シリカとの含有割合が、質量比で
(100:0)〜(5:95)である請求項17に記載の空気入りタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−137471(P2009−137471A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316612(P2007−316612)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】