説明

空気入りタイヤ

【課題】操縦安定性能や騒音性能を維持しつつ排水性能を向上させる。
【解決手段】車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤである。外側ショルダー主溝3の溝幅W1は、トレッド接地幅TWの3〜4%、内側ショルダー主溝4の溝幅W2は、トレッド接地幅の5〜6%、外側クラウン主溝5の溝幅W3は、トレッド接地幅の6〜7%、内側クラウン主溝6の溝幅W4は、トレッド接地幅の6〜7%である。内側クラウン主溝6、外側クラウン主溝5及び内側ショルダー主溝4の車両外側の溝壁角度θ1が、各主溝の車両内側の溝壁角度θ2よりも大かつ、前記角度θ1は、13〜19°、前記角度θ2は、9〜14°である。外側ショルダー主溝3は、車両外側の溝壁角度θ3が、9〜14°、かつ、車両内側の溝壁角度θ4が、5〜8°である。トレッド部2には、外側ショルダー横溝12及び外側ミドルラグ溝16が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦安定性能や騒音性能を維持しつつ排水性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排水性能を向上させた空気入りタイヤが求められている。このため、トレッド部のタイヤ周方向に連続してのびる主溝やタイヤ軸方向にのびる横溝の溝幅を大きくして、排水抵抗を低下させ、排水性能を向上させることが知られている。
【0003】
しかしながら、上述のような空気入りタイヤでは、主溝内に生じた気柱共鳴がタイヤの外側に流出し易くなり騒音性能が悪化する他、陸部の剛性が低下して操縦安定性能が悪化するという問題があった。関連する技術としては、下記特許文献1及び2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6987号公報
【特許文献2】特開2009−149124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、トレッド部に、最も車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝、最も車両内側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー主溝、前記外側ショルダー主溝よりも車両内側かつタイヤ赤道よりも車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側クラウン主溝、及び、該外側クラウン主溝と内側ショルダー主溝との間をタイヤ周方向に連続してのびる内側クラウン主溝を設け、これら主溝の溝幅及び溝壁角度を規定し、さらに、ショルダー外側陸部には外側ショルダー横溝を設けるとともに、ミドル外側陸部には外側ミドルラグ溝を設けることを基本として、操縦安定性能や騒音性能を維持しつつ排水性能を向上させた空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、車両への装着の向きが指定された非対称のトレッドパターンを具えた空気入りタイヤであって、トレッド部に、最も車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝、最も車両内側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー主溝、前記外側ショルダー主溝よりも車両内側かつタイヤ赤道よりも車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側クラウン主溝、及び、該外側クラウン主溝と内側ショルダー主溝との間をタイヤ周方向に連続してのびる内側クラウン主溝が設けられることにより、前記外側ショルダー主溝と車両外側の接地端とで区分されたショルダー外側陸部、前記外側ショルダー主溝と前記外側クラウン主溝とで区分されたミドル外側陸部、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝とで区分されたクラウン陸部、前記内側クラウン主溝と前記内側ショルダー主溝とで区分されたミドル内側陸部、及び前記内側ショルダー主溝と車両内側の接地端とで区分されたショルダー内側陸部が形成され、前記外側ショルダー主溝の溝幅は、前記車両外側の接地端と前記車両内側の接地端との間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド接地幅の3〜4%、前記内側ショルダー主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の5〜6%、前記外側クラウン主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の6〜7%、前記内側クラウン主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の6〜7%であり、前記内側クラウン主溝、前記外側クラウン主溝及び前記内側ショルダー主溝は、車両外側の溝壁角度θ1が、車両内側の溝壁角度θ2よりも大かつ、前記外側の溝壁角度θ1は、13〜19°、前記内側の溝壁角度θ2は、9〜14°であり、前記外側ショルダー主溝は、車両外側の溝壁角度θ3が、9〜14°、かつ、車両内側の溝壁角度θ4が、5〜8°であり、前記ショルダー外側陸部は、車両外側の接地端よりもタイヤ軸方向外側からタイヤ赤道側へのびる外側ショルダー横溝が設けられ、前記外側ショルダー横溝は、タイヤ赤道側の内端が前記外側ショルダー主溝に連通する第1外側ショルダー横溝と、タイヤ赤道側の内端が前記外側ショルダー主溝に連通することなく前記ショルダー外側陸部内で終端する第2外側ショルダー横溝とを含み、前記第1外側ショルダー横溝と第2外側ショルダー横溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられ、前記ミドル外側陸部は、前記外側ショルダー主溝からタイヤ赤道側にのび、前記外側クラウン主溝に連通することなく前記外側ミドル陸部内で終端する外側ミドルラグ溝が設けられることを特徴とする。
【0007】
また請求項2記載の発明は、車両内側の接地端よりも車両内側からタイヤ赤道までのびる内側横溝が設けられる請求項1記載の空気入りタイヤである。
【0008】
また請求項3記載の発明は、前記第1外側ショルダー横溝は、前記内端側に、溝底を隆起させたタイバーが配され、前記タイバーは、サイピングが設けられる請求項1又は2記載の空気入りタイヤである。
【0009】
また請求項4記載の発明は、前記ショルダー外側陸部は、前記第2外側ショルダー横溝からタイヤ周方向の一方側にのび、かつ、該第2外側ショルダー横溝とタイヤ周方向の一方側に隣り合う前記第1外側ショルダー横溝を貫通するとともに、該第1外側ショルダー横溝とタイヤ周方向の一方側に隣り合う第2外側ショルダー横溝に接することなく終端する外側ショルダー副溝が設けられる請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気入りタイヤでは、車両への装着の向きが指定された非対称のトレッドパターンを具え、トレッド部に、最も車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝、最も車両内側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー主溝、前記外側ショルダー主溝よりも車両内側かつタイヤ赤道よりも車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側クラウン主溝、及び、該外側クラウン主溝と内側ショルダー主溝との間をタイヤ周方向に連続してのびる内側クラウン主溝が設けられることにより、前記外側ショルダー主溝と車両外側の接地端とで区分されたショルダー外側陸部、前記外側ショルダー主溝と前記外側クラウン主溝とで区分されたミドル外側陸部、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝とで区分されたクラウン陸部、前記内側クラウン主溝と前記内側ショルダー主溝とで区分されたミドル内側陸部、及び前記内側ショルダー主溝と車両内側の接地端とで区分されたショルダー内側陸部が形成される。
【0011】
そして、前記外側ショルダー主溝の溝幅は、前記車両外側の接地端と前記車両内側の接地端との間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド接地幅の3〜4%、前記内側ショルダー主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の5〜6%、前記外側クラウン主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の6〜7%、前記内側クラウン主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の6〜7%に形成される。このように、外側クラウン主溝及び内側クラウン主溝の溝幅を大きく、外側ショルダー主溝及び内側ショルダー主溝の溝幅を小さくすることにより、旋回時にタイヤ軸方向の力が大きく作用するショルダー内側陸部及びショルダー外側陸部の剛性が大きく確保され、操縦安定性能が向上する。また、各主溝の溝幅をこのように規定することにより、溝幅の大きさが最適化され、騒音性能を悪化させることなく、排水性能を向上することができる。
【0012】
また、前記内側クラウン主溝、前記外側クラウン主溝及び前記内側ショルダー主溝は、車両外側の溝壁角度θ1が、車両内側の溝壁角度θ2よりも大かつ、前記外側の溝壁角度θ1は、13〜19°、前記内側の溝壁角度θ2は、9〜14°であり、前記外側ショルダー主溝は、車両外側の溝壁角度θ3が、9〜14°、かつ、車両内側の溝壁角度θ4が、5〜8°に形成される。このように、各主溝の車両外側の溝壁角度を、車両内側の溝壁角度よりも大きくすることにより、旋回時、より大きな横力が作用する車両外側の溝縁近傍の陸部の剛性が大きく維持され、操縦安定性能が向上する。また、ショルダー主溝の車両内側の溝壁角度の範囲を、他の主溝の車両内側の溝壁角度の範囲よりも小さく規定することにより、上述の通り外側ショルダー主溝の溝幅を他の主溝の溝幅よりも小さくしたことに起因するミドル外側陸部の車両外側の剛性の過度の増加が抑制され、偏摩耗が低減して操縦安定性能が高められる。
【0013】
また、前記ショルダー外側陸部は、車両外側の接地端よりもタイヤ軸方向外側からタイヤ赤道側へのびる外側ショルダー横溝が設けられ、前記外側ショルダー横溝は、タイヤ赤道側の内端が前記外側ショルダー主溝に連通する第1外側ショルダー横溝と、タイヤ赤道側の内端が前記外側ショルダー主溝に連通することなく前記ショルダー外側陸部内で終端する第2外側ショルダー横溝とを含み、前記第1外側ショルダー横溝と第2外側ショルダー横溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられる。このように、ショルダー外側陸部は、外側ショルダー主溝に連通する第1外側ショルダー横溝と、外側ショルダー主溝に連通しない第2外側ショルダー横溝とがタイヤ周方向に交互に設けられるため、陸部の剛性と排水性とがバランス良く高められる。従って、操縦安定性能や騒音性能が維持されつつ、排水性能が向上する。
【0014】
さらに、前記ミドル外側陸部は、前記外側ショルダー主溝からタイヤ赤道側にのび、前記外側クラウン主溝に連通することなく前記外側ミドル陸部内で終端する外側ミドルラグ溝が設けられる。これにより、ミドル外側陸部の車両外側の剛性が緩和され、車両旋回時の接地圧が適正化され、操縦安定性能を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示すトレッド部の展開図である。
【図2】図1のX−X部の断面図である。
【図3】図2の外側クラウン主溝の拡大図である。
【図4】図1のY−Y方向の斜視概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤは、例えば乗用車用の空気入りタイヤとして好適に利用され、車両への装着の向きが指定された非対称のトレッドパターンを具える。車両への装着の向きは、例えばサイドウォール部(図示せず)に、文字等で表示される。
【0017】
本実施形態のタイヤのトレッド部2には、最も車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝3、最も車両内側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー主溝4、外側ショルダー主溝3よりも車両内側かつタイヤ赤道Cよりも車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側クラウン主溝5、及び、外側クラウン主溝5と内側ショルダー主溝4との間をタイヤ周方向に連続してのびる内側クラウン主溝6が設けられる。
【0018】
これにより、トレッド部2は、外側ショルダー主溝3と車両外側の接地端Teとで区分されたショルダー外側陸部7、外側ショルダー主溝3と外側クラウン主溝5とで区分されたミドル外側陸部8、外側クラウン主溝5と内側クラウン主溝6とで区分されたクラウン陸部9、内側クラウン主溝6と内側ショルダー主溝4とで区分されたミドル内側陸部10、及び、内側ショルダー主溝4と車両内側の接地端Teとで区分されたショルダー内側陸部11が形成される。
【0019】
ここで、前記「接地端」Teは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷である正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として、車両外側及び内側の2カ所が定められる。そして、この車両外側及び車両内側の接地端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド接地幅TWとして定められる。また、タイヤの各部の寸法等は、特に断りがない場合、前記正規状態での値とする。
【0020】
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
【0021】
また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
【0022】
さらに「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
【0023】
本実施形態の外側ショルダー主溝3、内側ショルダー主溝4、外側クラウン主溝5及び内側クラウン主溝6は、いずれもタイヤ周方向に沿った直線状をなす。このような各主溝3乃至6は、溝内の排水をタイヤ回転方向の後方へスムーズに排出するとともに、各陸部7乃至11の剛性を高く確保して、制動時の車両のふらつきや片流れなどの不安定な挙動を抑制し、操縦安定性能や優れた排水性能を発揮する。
【0024】
上述の作用を効果的に発揮させるとともに騒音性能の悪化を抑制するため、外側ショルダー主溝3の溝幅W1(溝の長手方向と直角な溝幅で、以下、他の溝についても同様とする。)は、トレッド接地幅TWの3〜4%、内側ショルダー主溝4の溝幅W2は、トレッド接地幅TWの5〜6%、外側クラウン主溝5の溝幅W3は、トレッド接地幅TWの6〜7%、内側クラウン主溝6の溝幅W4は、トレッド接地幅TWの6〜7%にそれぞれ形成される必要がある。
【0025】
このように外側クラウン主溝5及び内側クラウン主溝6の溝幅W3及びW4を、外側ショルダー主溝3及び内側ショルダー主溝4の溝幅W1及びW2よりも大きく規定することにより、旋回時にタイヤ軸方向の力が大きく作用するショルダー内側陸部11及びショルダー外側陸部7の剛性が大きく確保されるため、さらに操縦安定性能が向上する。
【0026】
また、外側ショルダー主溝3の溝幅W1を、内側ショルダー主溝4の溝幅W4よりも小さくすることにより、旋回時により大きなタイヤ軸方向の力が作用するショルダー外側陸部7の剛性を高め、一層操縦安定性能を向上させ得る。
【0027】
このような各主溝3乃至6の溝深さD1乃至D4(図2に示す)については、好ましくは7.0mm以上、より好ましくは7.5mm以上が望ましく、また好ましくは9.0mm以下、より好ましくは8.5mm以下が望ましい。なお、本実施形態では、外側ショルダー主溝3と内側ショルダー主溝4とが同じ深さ(D1=D2)で形成され、また、外側クラウン主溝5及び内側クラウン主溝6が同じ深さ(D3=D4)で形成される。
【0028】
各主溝3乃至6の配設位置については、各陸部7乃至11の剛性バランスを確保して操縦安定性能をより効果的に高める位置に定められるのが望ましい。例えば、外側ショルダー主溝3の溝中心線1Gとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L1は、好ましくはトレッド接地幅TWの23.5〜27.5%が望ましい。内側ショルダー主溝4の溝中心線2Gとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L2は、好ましくはトレッド接地幅TWの23.0〜29.5%が望ましい。外側クラウン主溝5の溝中心線3Gとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L3は、好ましくはトレッド接地幅TWの6.0〜10.5%が望ましい。また、内側クラウン主溝6の溝中心線4Gとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離L4は、好ましくはトレッド接地幅TWの6.0〜10.5%が望ましい。
【0029】
また、図2に示されるように、これら各主溝3乃至6は、該各主溝3乃至6の長手方向と直角な断面において、タイヤ半径方向外側から内側にのびる溝壁3t乃至6tを有する。外側クラウン主溝5について説明すると、図3に示されるように、外側クラウン主溝5の溝壁5tは、ミドル外側陸部8のトレッド踏面8aからタイヤ半径方向内側かつ外側クラウン主溝5の溝中心線3G側に傾斜してのびる車両外側の溝壁5t1と、クラウン陸部9のトレッド踏面9aからタイヤ半径方向内側かつ外側クラウン主溝5の溝中心線3G側に傾斜してのびる車両内側の溝壁5t2とを有する。
【0030】
本実施形態の外側クラウン主溝5の外側の溝壁5t1は、前記トレッド踏面8aから小長さでのびる外側面取り部5xと、該外側面取り部5xのタイヤ半径方向の内端5x1から外側面取り部5xよりも急傾斜でのびかつ外側の溝壁5t1の主要部をなす外側主部5yとからなる。同様に、外側クラウン主溝5の内側の溝壁5t2は、前記トレッド踏面9aから小長さでのびる内側面取り部5zと、該内側面取り部5zのタイヤ半径方向の内端5z1から内側面取り部5zよりも急傾斜でのびかつ内側の溝壁5t2の主要部をなす内側主部5wとからなる。本実施形態の外側主部5y及び内側主部5wは、ともに直線状をなすが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、溝底5sから内端5x1、5z1まで滑らかにのびる円弧状でも良い。また、本実施形態の面取り部5x、5zもともに直線状をなすが、例えば、トレッド踏面8a、9a側に凸となる円弧状でも良い。
【0031】
本実施形態では、前記外側面取り部5xのタイヤ半径方向の外端5x2、及び前記内側面取り部5zのタイヤ半径方向の外端5z2を各トレッド踏面8a、9aに沿って滑らかに継いだ仮想トレッド踏面5hが配される。そして、外側主部5yをタイヤ半径方向外側に延長した外側延長線5qと仮想トレッド踏面5hとの交点5k1を通る仮想トレッド踏面5hの法線n1と、外側主部5y(外側延長線5q)とのなす角度である車両外側の壁面角度θ1bは、内側主部5wをタイヤ半径方向外側に延長した内側延長線5rと仮想トレッド踏面5hとの交点5k2を通る仮想トレッド踏面5hの法線n2と、内側主部5w(内側延長線5r)とのなす角度である車両内側の壁面角度θ2bよりも大に形成される。また、図2に示されるように、内側クラウン主溝6も、その車両外側の溝壁角度θ1cが、車両内側の溝壁角度θ2cよりも大、同様に、内側ショルダー主溝4も、その車両外側の溝壁角度θ1aが、車両内側の溝壁角度θ2aよりも大に形成される。これにより、旋回時、より大きな横力が作用する車両外側の溝縁近傍の陸部の剛性を大きく維持することができ、操縦安定性能が向上される。
【0032】
排水性能の維持を考慮しつつ、上述の作用を効果的に発揮させるため、内側ショルダー主溝4、外側クラウン主溝5及び内側クラウン主溝6の外側の溝壁角度θ1a乃至θ1cは、13〜19°、内側の溝壁角度θ2a乃至θ2cは、9〜14°に設定される必要がある。
【0033】
外側ショルダー主溝3は、車両外側の溝壁角度θ3(上述の溝壁角度θ1と同様に定義される)が、9〜14°、かつ、車両内側の溝壁角度θ4(上述の溝壁角度θ2と同様に定義される)が、5〜8°で形成される。即ち、外側ショルダー主溝3においても、車両外側の溝壁角度θ3が、車両内側の溝壁角度θ4よりも大きく形成される。これにより、さらに上述の作用が効果的に発揮される。また、外側ショルダー主溝3の車両内側の溝壁角度θ4の範囲を、他の主溝4乃至6の車両内側の溝壁角度θ2の範囲よりも小さく規定している。外側ショルダー主溝3の溝幅W1を他の主溝4乃至6の溝幅W2乃至4よりも小さくしたことにより旋回時の横力でショルダー外側陸部7及びミドル外側陸部8が変形しても外側ショルダー主溝3の溝壁が路面と接触し偏摩耗が発生するのを防止する。本発明では、さらに、溝壁角度を小さくすることとの相乗効果でミドル外側陸部8の旋回時の偏摩耗を防止しつつ溝容積を確保することで排水性も向上させている。さらには、シビアリティーの高い外側ショルダー主溝3に後述する外側ショルダー横溝12や同じく後述する外側ミドルラグ溝16を連通することが可能になり、さらに排水性を向上し得る。このような観点より、外側ショルダー主溝3の車両外側の溝壁角度θ3を他の主溝4乃至6の車両外側の溝壁角度θ1よりも小さくするのが望ましい。
【0034】
本実施形態の各主溝3乃至6は、図3の外側クラウン主溝5に代表して示されるように、外側面取り部5xと外側主部5y(外側延長線5q)とのなす外側面取り角度θ5bが、内側面取り部5zと外側主部5w(内側延長線5r)とのなす外側面取り角度θ6bよりも大きく形成される。これにより、旋回時、より大きな横力が作用する車両外側の溝縁近傍の陸部の剛性が一層大きく維持され、さらに操縦安定性能が向上する。
【0035】
上述の操縦安定性能と排水性能とをバランス良く向上するために、外側面取り角度θ5a乃至θ5d(図2に示す)は、50〜70°が望ましく、また、内側面取り角度θ6a乃至θ6d(図2に示す)は、35〜55°が望ましい。
【0036】
また、図1に示されるように、前記ショルダー外側陸部7には、車両外側の接地端Teよりもタイヤ軸方向外側からタイヤ赤道C側へのびる外側ショルダー横溝12が設けられる。
【0037】
本実施形態の外側ショルダー横溝12は、タイヤ周方向の一方側(本例では、紙面上側)に向かって凸となる滑らかな円弧状をなし、かつその溝幅が実質的に等しい等幅状をなす。これにより、ショルダー外側陸部7は、剛性が高く、排水抵抗が小さく確保されるため、さらに操縦安定性能や排水性能が高められる。
【0038】
外側ショルダー横溝12は、本実施形態ではタイヤ赤道C側の内端13iが外側ショルダー主溝3に連通する第1外側ショルダー横溝13と、タイヤ赤道C側の内端14iが外側ショルダー主溝3に連通することなくショルダー外側陸部7内で終端する第2外側ショルダー横溝14とを含んで構成され、さらに、第1外側ショルダー横溝と第2外側ショルダー横溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられる。このような外側ショルダー横溝12は、第1外側ショルダー横溝13が、外側ショルダー主溝3内の排水を接地端Teの外側に容易に排出させかつ、第2外側ショルダー横溝14が、ショルダー外側陸部7の剛性を高く維持させつつ、ショルダー外側陸部7と路面との間の溝膜を確実に接地端Te側へ排出させる。従って、ショルダー外側陸部7の剛性と排水性とが高く確保され、操縦安定性能と排水性能とがより一層バランス良く向上する。
【0039】
このように、操縦安定性能と排水性能とをバランス良く高めるため、第2外側ショルダー横溝14のタイヤ軸方向長さL5は、ショルダー外側陸部7のタイヤ軸方向長さLaの好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上が望ましく、また好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下が望ましい。
【0040】
上述の作用をさらに効果的に発揮させる観点より、外側ショルダー横溝12の溝幅W5は、2.0〜5.0mmが望ましく、また、外側ショルダー横溝12の溝深さD5(図2に示す)は、6.0〜7.0mmが望ましい。本実施形態では、第1外側ショルダー横溝13及び第2外側ショルダー横溝14の溝幅W5a、W5bや溝深さD5a(第2外側ショルダー横溝14の溝深さは図示せず)は、同じ大きさで形成されている。
【0041】
図4に良く示されるように、本実施形態の第1外側ショルダー横溝13は、タイヤ赤道C側の内端13iから車両外側に向かってのびる、溝底を隆起させたショルダー外タイバーT1が配される。このようなショルダー外タイバーT1は、とりわけ剛性の小さい前記内端13i近傍のショルダー外側陸部7の剛性を高めるとともに、外側ショルダー主溝3内で生じた気柱共鳴の接地端Teからの流出を抑制して騒音性能を高める。
【0042】
このようなショルダー外タイバーT1の深さD6(図2に示す)が大きくなると、上述の作用を発揮することができず、他方、前記深さD6が小さくなると排水性能が悪化するおそれがある。このため、ショルダー外タイバーT1の深さD6は、3.0〜4.0mmが望ましい。また、同様の観点より、ショルダー外タイバーT1のタイヤ軸方向長さL6(図1に示す)は、ショルダー外側陸部7のタイヤ軸方向長さLaの10〜20%が望ましい。
【0043】
また、本実施形態のショルダー外タイバーT1には、該ショルダー外タイバーT1の長手方向に沿ってのびるショルダー外サイピングS1が設けられる。このようなショルダー外サイピングS1は、ショルダー外側陸部7のタイヤ軸方向の剛性を確保しつつ、タイヤ周方向の剛性を緩和しショルダー外サイピングS1の開きを利用して溝容積を増加させ得る。従って、さらに操縦安定性能と排水性能とがバランス良く向上する。
【0044】
本実施形態のショルダー外サイピングS1は、両端が開放されたオープンタイプのサイピングが採用される。しかしながら、ショルダー外サイピングS1は、このような態様に限定されるものではなく、ショルダー外側陸部7の剛性の確保等を考慮して、例えば、セミオープンタイプのものやクローズドタイプのものを採用し得る。
【0045】
本実施形態のようにショルダー外サイピングS1が、オープンタイプの場合、操縦安定性能と排水性能とをバランス良く向上させるため、その深さD7は、1.5〜2.5mmが望ましい。また、より好ましい態様としては、ショルダー外タイバーT1の深さD6とショルダー外サイピングS1の深さD7との合計が、第1外側ショルダー横溝13の溝深さD5aの90〜100%に形成されるのが望ましい。
【0046】
また、図1に示されるように、ショルダー外側陸部7は、第2外側ショルダー横溝14のタイヤ赤道C側からタイヤ周方向の一方側(紙面の上側)にのび、かつ、該第2外側ショルダー横溝14aとタイヤ周方向の一方側に隣り合う前記第1外側ショルダー横溝13を貫通するとともに、該第1外側ショルダー横溝13とタイヤ周方向の一方側に隣り合う第2外側ショルダー横溝14bに接することなく終端する外側ショルダー副溝15が設けられる。このような外側ショルダー副溝15は、剛性の低下を抑制しつつ、さらにショルダー外側陸部7と路面との間の水膜をスムーズに排出するに役立つ。
【0047】
本実施形態の外側ショルダー副溝15は、タイヤ周方向に沿った直線状をなすため、タイヤ軸方向の剛性が高く維持され、操縦安定性能の低減を抑制する。
【0048】
このような観点より、外側ショルダー副溝15の溝幅W6は、ショルダー外側陸部7のタイヤ軸方向長さLaの3〜8%が望ましく、また、外側ショルダー副溝15の溝深さD8(図2に示す)は、1.0〜2.0mmが望ましい。さらに、外側ショルダー副溝15のタイヤ周方向の一端15aと第2外側ショルダー横溝14bとのタイヤ周方向の離間距離L7は、タイヤ周方向に隣り合う第1外側ショルダー横溝13と第2外側ショルダー横溝14とのタイヤ周方向距離Lbの7〜17%が望ましい。また、外側ショルダー副溝15の溝中心線5Gと接地端Teとのタイヤ軸方向距離L8は、前記タイヤ軸方向長さLaの65〜85%が望ましい。
【0049】
前記ミドル外側陸部8は、外側ショルダー主溝3からタイヤ赤道C側にのび、外側クラウン主溝5に連通することなく外側ミドル陸部8内で終端する外側ミドルラグ溝16が設けられる。このような外側ミドルラグ溝16は、旋回時の排水に必要な横方向の溝容積を確保し、エッジ成分の増加と相まってウェット性能が向上するとともに、外側ショルダー主溝3の溝幅W1を小さくしたことにより接地圧が大きくなり易いこの領域の接地圧を最適化し、操縦安定性能を向上させるのに役立つ。
【0050】
本実施形態の外側ミドルラグ溝16は、タイヤ軸方向の一方側(本例では、紙面下側)に傾斜した直線状をなす。しかしながら、外側ミドルラグ溝16は、このような態様に限定されるものではなく、上述の作用を発揮させるため、タイヤ軸方向に沿ってのびる態様でも、ジグザグ状をなす態様ものでも良い。
【0051】
このように外側ミドルラグ溝16の態様については、上述のように特に限定されるものではないが、タイヤ軸方向の長さL9が大きくなると、ミドル外側陸部8の剛性が過度に低下する。他方、前記長さL9が小さいと、接地圧の低減効果が発揮されない。このため、タイヤ軸方向の長さL9は、ミドル外側陸部8のタイヤ軸方向長さLcの33〜43%が望ましい。同様の観点より、外側ミドルラグ溝16の溝幅W7は、2.0〜4.5mmが望ましく、溝深さD9は、5.0〜7.0mmが望ましい。
【0052】
本実施形態の外側ミドルラグ溝16の車両内側の端部16iには、該外側ミドルラグ溝16と同じ方向に傾斜してのびかつミドル外側陸部8内で終端するミドル外サイピングS2が接続されている。このようなミドル外サイピングS2は、ミドル外側陸部8の剛性を過度に低下させることなく、接地圧をさらに最適化するのに役立つ。
【0053】
また、トレッド部2には、車両内側の接地端Teよりも車両内側からタイヤ赤道Cまでのびる内側横溝17が設けられる。即ち、前記内側横溝17は、車両内側の接地端Teと内側ショルダー主溝4とを継ぐショルダー部17aと、内側ショルダー主溝4と内側クラウン主溝6とを継ぐミドル部17bと、内側クラウン主溝6から車両内側に向かい外側クラウン主溝5に連通することなくクラウン陸部9内で終端するクラウン部17cとを含み、これらショルダー部17a、ミドル部17b及びクラウン部17cが滑らかにのびている。このような内側横溝17は、排水され難いクラウン陸部9と路面との間の水膜を車両内側に排出するのに役立つ。他方、このような接地端Teからタイヤ赤道までのびる横溝を、車両外側の陸部(即ち、ショルダー外側陸部7及びミドル外側陸部8)には設けていないため、旋回時により大きなタイヤ軸方向の力が作用する車両外側の陸部の剛性が維持される。従って、本実施形態の空気入りタイヤは、操縦安定性能と排水性能とがバランス良く向上する。
【0054】
本実施形態の内側横溝17は、タイヤ周方向の他方側(紙面下側)に凸となる円弧状をなす。これにより、車両の旋回力を利用してスムーズにクラウン陸部9から排水できる。
【0055】
内側横溝17は、タイヤ軸方向に対する角度α1が、タイヤ赤道C側から接地端Te側に向かい漸減するのが望ましく、とりわけ、ショルダー部17aの前記角度α1aは、0〜30°が望ましく、ミドル部17bの角度α1bは、30〜50°が望ましく、クラウン部17cの角度α1cは、50〜70°が望ましい。これにより、タイヤ軸方向の力が大きく作用するショルダー内側陸部11の横剛性を高めて操縦安定性能を向上させかつ、直進走行時に大きな接地圧の作用するクラウン陸部9からの排水をタイヤの回転力を利用してスムーズに排出できる。
【0056】
内側横溝17は、さらに排水性を向上させるため、内側横溝17の溝幅W8をタイヤ赤道C側から車両内側に向かい漸増させるのが望ましく、各陸部9乃至11の剛性を確保するため、ショルダー部17aの溝幅W8aは、2.0〜5.0mmが望ましく、ミドル部17bの溝幅W8bは、2.5〜6.0mmが望ましく、クラウン部17cの溝幅W8cは、1.0〜4.0mmが望ましい。同じ観点より、ショルダー部17aの溝深さD10a(図2に示す)は、6.0〜7.0mmが望ましく、ミドル部17bの溝深さD10bは、3.0〜7.0mmが望ましく、クラウン部17cの溝深さD10cは1.5〜6.0が望ましい。
【0057】
なお、本実施形態では、ショルダー部17a及びミドル部17bのタイヤ赤道C側には、タイバーT2、T3が設けられる。これにより、内側ショルダー主溝4や内側クラウン主溝6で生じた気柱共鳴が接地端Te側へ排出することが抑制される他、ミドル内側陸部10及びショルダー内側陸部11の剛性が維持される。
【0058】
また、ショルダー内側陸部11には、タイヤ周方向に隣り合うショルダー部17a、17aの間に、内側ショルダー主溝4から車両内側の接地端Teを越えてのびかつショルダー部17aと同じ向きにのびる内側ショルダー横溝18が設けられる。これにより、さらに排水性能が向上する。
【0059】
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのはいうまでもない。例えば、ショルダー外側陸部7やショルダー内側陸部11に、クローズドタイプのサイピングS3やセミオープンタイプのサイピングS4を設け、各陸部7、11の剛性を確保しつつ、外側ショルダー横溝12やショルダー部17aの溝幅を柔軟に広げさせて、排水性能をさらに高めることができる。
【実施例】
【0060】
図1に示されるトレッド部の基本構成を有するサイズ195/65R15の空気入りタイヤが表1の仕様に基づき試作されるとともに、各試供タイヤの操縦安定性能、騒音性能及び排水性能がテストされた。なお、共通仕様は以下の通りである。
トレッド接地幅TW:158mm
外側ショルダー主溝の溝深さD1:8.0mm
内側ショルダー主溝の溝深さD2:8.0mm
外側クラウン主溝の溝深さD3:8.2mm
内側クラウン主溝の溝深さD4:8.2mm
外側ショルダー横溝の溝深さD5:6.3mm
外側ミドルラグ溝の溝深さD9:5.9mm
クラウン部の溝深さD10c:3.6mm
ミドル部の溝深さD10b:5.0mm
ショルダー部の溝深さD10a:6.3mm
ショルダー外タイバーの深さD6:3.5mm
内側クラウン主溝、外側クラウン主溝及び内側ショルダー主溝の内側の溝壁角度θ2:10°
外側ショルダー主溝の内側の溝壁角度θ4:6°
サイピングの深さ:4.2〜4.6mm
テスト方法は、次の通りである。
【0061】
<操縦安定性能>
各試供タイヤを、15×6JJのリム、200kPaの内圧条件下で、排気量2000ccの前輪駆動車の全輪に装着して乾燥路(アスファルト路面)のテストコースをドライバー1名乗車で走行し、ハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する走行特性がドライバーの官能評価により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で表示している。数値が大きいほど良好である。
【0062】
<騒音性能>
上記テスト車両にて、ロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を速度80km/hで走行させたときの車内騒音を運転席窓側耳許位置に設置したマイクロホンで採取し、狭帯域240Hz付近の気柱共鳴音のピーク値の音圧レベルが測定された。評価は、比較例1の逆数を100とした指数で示し、数値が大きいほど良好である。
【0063】
<排水性能>
上記テスト車両にて、半径100mのアスファルト路面に、水深10mm、長さ20mの水たまりを設けたコース上を、速度を段階的に増加させながら前記車両を進入させ、50〜80km/hの速度における前輪の平均横加速度(横G)が算出された。結果は、比較例1を100とする指数で表示し、数値の大きい方が良好である。
【表1】


【0064】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて各性能がバランス良く向上していることが確認できる。また、各主溝3乃至6の溝幅や溝壁角度を上述の範囲内で変化させてテストを行ったが、このテスト結果と同じ傾向を示した。
【符号の説明】
【0065】
2 トレッド部
3 外側ショルダー主溝
4 内側ショルダー主溝
5 外側クラウン主溝
6 内側クラウン主溝
12 外側ショルダー横溝
16 外側ミドルラグ溝
TW トレッド接地幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への装着の向きが指定された非対称のトレッドパターンを具えた空気入りタイヤであって、
トレッド部に、
最も車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝、
最も車両内側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる内側ショルダー主溝、
前記外側ショルダー主溝よりも車両内側かつタイヤ赤道よりも車両外側の位置をタイヤ周方向に連続してのびる外側クラウン主溝、及び、
該外側クラウン主溝と内側ショルダー主溝との間をタイヤ周方向に連続してのびる内側クラウン主溝が設けられることにより、
前記外側ショルダー主溝と車両外側の接地端とで区分されたショルダー外側陸部、
前記外側ショルダー主溝と前記外側クラウン主溝とで区分されたミドル外側陸部、
前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝とで区分されたクラウン陸部、
前記内側クラウン主溝と前記内側ショルダー主溝とで区分されたミドル内側陸部、及び
前記内側ショルダー主溝と車両内側の接地端とで区分されたショルダー内側陸部が形成され、
前記外側ショルダー主溝の溝幅は、前記車両外側の接地端と前記車両内側の接地端との間のタイヤ軸方向の距離であるトレッド接地幅の3〜4%、
前記内側ショルダー主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の5〜6%、
前記外側クラウン主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の6〜7%、
前記内側クラウン主溝の溝幅は、前記トレッド接地幅の6〜7%であり、
前記内側クラウン主溝、前記外側クラウン主溝及び前記内側ショルダー主溝は、車両外側の溝壁角度θ1が、車両内側の溝壁角度θ2よりも大かつ、
前記外側の溝壁角度θ1は、13〜19°、
前記内側の溝壁角度θ2は、9〜14°であり、
前記外側ショルダー主溝は、車両外側の溝壁角度θ3が、9〜14°、かつ、車両内側の溝壁角度θ4が、5〜8°であり、
前記ショルダー外側陸部は、車両外側の接地端よりもタイヤ軸方向外側からタイヤ赤道側へのびる外側ショルダー横溝が設けられ、
前記外側ショルダー横溝は、タイヤ赤道側の内端が前記外側ショルダー主溝に連通する第1外側ショルダー横溝と、タイヤ赤道側の内端が前記外側ショルダー主溝に連通することなく前記ショルダー外側陸部内で終端する第2外側ショルダー横溝とを含み、
前記第1外側ショルダー横溝と第2外側ショルダー横溝とは、タイヤ周方向に交互に設けられ、
前記ミドル外側陸部は、前記外側ショルダー主溝からタイヤ赤道側にのび、前記外側クラウン主溝に連通することなく前記外側ミドル陸部内で終端する外側ミドルラグ溝が設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
車両内側の接地端よりも車両内側からタイヤ赤道までのびる内側横溝が設けられる請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第1外側ショルダー横溝は、前記内端側に、溝底を隆起させたタイバーが配され、
前記タイバーは、サイピングが設けられる請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ショルダー外側陸部は、前記第2外側ショルダー横溝からタイヤ周方向の一方側にのび、かつ、該第2外側ショルダー横溝とタイヤ周方向の一方側に隣り合う前記第1外側ショルダー横溝を貫通するとともに、該第1外側ショルダー横溝とタイヤ周方向の一方側に隣り合う第2外側ショルダー横溝に接することなく終端する外側ショルダー副溝が設けられる請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate