説明

空気及び物体の殺菌方法及び装置

【課題】
【解決手段】空気を浄化するためにレーザビーム(42)を使用する空気浄化システムである。レーザビームは、空気の流動のために2つの端部で開口するボックス状の内部を横切って掃引するように設定されている。レーザビーム(42)は、ボックス(20)を経る空気流中に存する塵の粒子、花粉、病原体、アレルゲン等を破壊又は中和するに十分な強度のものからなる。ボックスからレーザビームが空気流と共に漏れ出ることを防止するため、ボックスの各端部において空気バッフルボックス(80)が用いられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定の周波数(波長)、エネルギ密度及び継続時間の平行にされた光(平行光)を用いる空気及び物体の殺菌のための方法及び装置に向けられている。
【背景技術】
【0002】
空気及び物体の殺菌は、そのような要求のある環境には普通の要求である。例えば、病院の手術室では両方が求められる。歯科医術の業務では無菌の環境は求められないが、殺菌又は殺菌した歯科用器具の使用は求められる。この技術については、これらの目的を達成するための多くの装置及び方法が開示されている状況にある。しかし、従来技術に関する発明は固定の装置に限定され、持ち運び可能とすることについて考慮されておらず、また物体の殺菌管理に利用できるように考慮されていない。
【0003】
近時の世界の開発及び生物兵器に関する増大した関心が、生物学的病原微生物並びにエアゾール及び浮遊粉塵からの安全な環境を提供する分野展開形構造の必要性を生み出した。従来の技術は、主に、前記した微小物を除去するための濾過方法に向けられていた。しかし、濾過はコスト、サイズ、効能等の点で限界を有する。
【0004】
密閉可能の環境で濾過を必要とする他の環境は一般には航空機であり、特に商業的な与圧された航空機である。この環境では、客室及び操縦室の空気の大部分がリサイクルされる。生物学的病原微生物並びにエアゾール及び浮遊粉塵は、乗客及び職業スタッフへのこれらの微小物の影響を最小にするため、除去または低減されるべきである。しかし、ほとんどの航空機の濾過ユニットは最適レベルの濾過を提供せず、またそれは内部源又は外部源から望ましくない微小物、例えばバクテリア又はウイルスに晒されているのが通常である。
【0005】
物体の殺菌は、主に、特に外科的環境での使用のために物体を殺菌するための熱及び選択的に圧力を用いることに限定されている。幸いにも、このような殺菌を得ることを条件とする器具は殺菌環境の耐性があるが、前記殺菌環境は外科手術に使用されることがある器具のタイプを制限する。前記したように、レーザ殺菌に関する従来の技術は、主に、容器内の物体の殺菌に対して、取り囲まれた容器内の媒体の殺菌に向けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、規定の周波数(波長)、エネルギ密度及び継続時間の平行光を用いる空気及び物体の殺菌のための方法及び装置に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この方法は、広く、レーザ又は同等の非イオン化平行電磁放射線の源から放射された少なくとも1つのビームを目標体積に向け、該体積を充分な時間照射することを含む。放射線照射の時間は、ある程度、前記体積内の物体の在留期間、前記放射線の強度、前記放射線の周波数、及び以下に詳細に説明する他の変数に依存する。
【0008】
一連の実施例において、本発明は、空気流中に漂う比較的小さい物体に影響を及ぼすように最適化されている。本特許において、この実施例は空気殺菌装置として参照される。これらの比較的小さい物体は微生物、ウイルス、微粒子及び他の微小物体を含む。前記空気殺菌装置は入口端部及び出口端部を有するチャンバを含み、空気が前記入口端部において前記チャンバに導入され、前記出口端部を経て前記チャンバから出ることが可能とされている。また、前記チャンバは、平行な電磁放射線の少なくとも1つのビームが前記チャンバへと通過することができる実質的に透明な穴を規定する。前記穴は開口からなるものとし、あるいは前記ビームに対して実質的に透明な材料が嵌め込まれた開口とすることができる。
【0009】
さらに、前記チャンバは、曲線的な、直線的な又はこれらの組合せからなる内面を有する。また、内面の一部又は全部が高反射特性、表面起伏(直線的又は曲線的な)、又はビームの散乱若しくは所望のビームの向け直しを助けるための特徴を有するものとすることができる。また、前記内面は剛性又は可撓性のあるものとすることができる。可撓性のある場合、前記表面は力(機械的、電気的又は空気の)を受けてこれに歪みが生じるようにされる。一の実施例では、前記歪みは周期的であり、また振動のように特徴付けられる。任意の光学的バッフルが、前記チャンバの境界の外部でビームエネルギの連続した伝播を阻止する。
【0010】
平行な電磁放射線の少なくとも1つのビームは、少なくとも1つの別個の周波数又は波長、あるいは好ましくは浮遊する微小な物体を中和する特別な効能を有するように選択された複数の波長を有するように特徴付けられる。前記複数の別個の波長範囲は前記チャンバに連続的に伝えられ、あるいは同時に伝えられる。中和は前記微小物体の除去と、前記微小物の機能的除去(ここで用いられるように、機能的除去は病原微生物を不活発又は実質的に生物学的に無害にする特別な適応性を有する。)と、前記微小物体の気化とを含む。ここで用いられるように、「別個の波長」は単一波長、及び小さい範囲内の近接した波長、例えば主要な波長の約1%内の波長を示す。
【0011】
導入された平行な電磁放射線の少なくとも1つのビームは、エネルギの単一のビームエネルギとすることができる。このような実施例において、前記ビームのエネルギ密度は、所望のビームの拡散又は向け直しをもたらすために前記チャンバ内面を変えることにより前記チャンバ全体に渡る拡散をさせることができる。選択的に、前記導入された平行電磁放射線の少なくとも1つを多数のビームのエネルギとすることができる。このような実施例において、単一のビームは、前記チャンバに入るときに各ビームが唯一の入射角を有するように前記チャンバに入るに先立ち複数のビームに分割されるか、又は、各ビームの向け直しが、前記チャンバに入るときに入射ビームが唯一の入射角を有する結果となるように前記チャンバに入るに先立ち選択的に向け直される。前者は、前記ビームをビームスプリッタ又は回折エレメントを通すことにより達成され、後者は前記ビームを可動エレメントに通し又は反射させることにより達成される。
【0012】
平行な電磁放射線の少なくとも一つのビームの源は、好ましくは、装置及び方法の意図する目的を達成するために十分なパワー出力を有するレーザである。前記レーザは、連続波又はパルス型のものであり、多くの好ましい実施例は、この技術分野の当業者によく知られているとの理由でパルス型を採用する。
【0013】
この一連の実施例のうちの一つにおいて、空気殺菌装置は持ち運び可能である。すなわち、常設又は半常設の構造と一体又はその一部でないものである(非配置可能資産)。これらの実施例において、前記装置は、さらに、空気調節具、例えば空気置換エレメントとモータとを有するブロワを含み、また前記チャンバの出口は、容器又は他の移動可能の剛構造のような携帯可能の構造と流体的に結合するように、あるいは危険物テント、野外医療用テント、関連の医療用臨時構造、新生児介護テント、火傷回復テント、及び他の膨張式テントのような建築可能の構造に結合するように適合される。好ましくは、どのタイプの構造も外部環境から比較的封止可能であり、これにより前記装置は前記構造の内部に殺菌された空気を供給し、さらに前記構造の近くの周囲の気圧に対して前記構造内部で正圧のあるレベルとし、維持し、その結果、望ましくない無条件な空気の侵入を最小にする。前記装置は前記構造から分離することができ、これにより、ダクト又は同様の空気輸送導管のみが前記装置を前記構造に作動的に連結するのに使用され、あるいは前記装置は前記構造と一体にすることができ、これにより、前記チャンバの出口が前記構造の内部空間に直接に露出される。任意の空気調節具は、デザインを考慮して、前記装置の上流又は下流のいずれかに配置することができる。
【0014】
携帯用の空気殺菌装置に関して、送電網から離れて作動させられることが望ましい。これらの実施例では、前記装置はさらに電力源を備える。前記電力源は、適当な発電機に機械的エネルギを与える内燃又は外燃機関を利用する電力発生機を含み、あるいは前記電力源はバッテリ(再充電可能の又は可能でない)からなり、あるいは前記電力源は燃料電池からなる。軍用又は第1応答者の環境のような臨界的適用のため、燃料電池は、高パワーレーザ及び任意のエアハンドラー(air handler)でも作動させるに十分な電力を供給するための使いやすく、信頼性のある手段を提供する。
【0015】
この一連の実施例のうちのある例では、前記装置は陸上の車両、水上の船舶及び航空機のような乗り物のプラットフォームと一体にされる。これらの乗り物のプラットフォームはこれらの固有の制御された内部環境により選択される。一例として航空機のプラットフォームを使用する場合、前記空気殺菌装置は好ましくは前記航空機上にある任意の空気調節パックの下流に、さもなければ外部空気取入口のできるだけ近くに配置される。前記チャンバの入口及び出口は、前記航空機の内部すなわち客室及び操縦室に供給される全ての空気が前記装置を必ず通らなくてはならないように主空気流に作動的に接続される。前記装置の動力は、電圧及び負荷整合のための明らかな要求を考慮して、前記航空機の動力装置から得ることができる。前記装置を作動させると、前記航空機の内部に供給される全ての空気が殺菌を受ける。さらに、前記航空機の環境制御に集中コンピュータで統合されると、再循環される空気もまた再殺菌を受け、これにより前記航空機の内部に源を発する汚染の配給を処理する。同様の統合のアプローチが他の乗り物のプラットフォームに関して取ることができ、制御される環境を有するこれらのみが前記装置の殺菌の利点を特別に受ける。
【0016】
他の一連の実施例において、本発明はチャンバ内に浮遊する比較的大きい物体に作用するように最大に活用される。この特許において、この実施例は物体の殺菌として参照される。前記物体殺菌装置は封止可能の穴を有するチャンバを含み、ユーザにより関心のある物体が導入され、除去される。前記チャンバ内に該チャンバ内で殺菌される前記物体を一時的に配置するための手段が配置される。前記チャンバは、また、平行な電磁放射線の少なくとも1つのビームが前記チャンバ内に入る窓を規定する。前記窓は開口からなり、あるいは好ましくは前記ビームに対して実質的に透明な材料が配置される開口からなる。
【0017】
前記チャンバは、さらに、曲線状、直線状又はこれらの組み合わせからなるものとすることができる内面を有する。さらに、内面の一部又は全部が高反射特性、表面起伏(直線的又は曲線的)、あるいはビームの散乱又は所望のビームの向け直しを助ける特徴を含む様々な特性を有する。さらに、前記内面は剛性であっても可撓性であってもよい。可撓性の場合、前記内面は力(物理的、電気的又は空気の)を受けてその歪みを生じさせるように振る舞う。一実施例において、前記歪みは周期的であり、振動として特徴付けられる。
【0018】
前記平行な電磁放射線の少なくとも1つが、少なくとも一つの別個の周波数又は波長と、浮遊する微小な物体を中和させる特定の効能を有するように選択された複数の波長とを有するように特徴付けられる。前記複数の別個の波長範囲は、前記チャンバに連続して供給され、又は同時に供給される。中和は、前記微小物体の破壊、前記微小物体の機能破壊(ここで用いられる機能的破壊は、病原微生物を不活性又は実質上生物学的に無害にすることを有する。)、及び前記微小物体の気化を含む。ここで使用する「別個の波長」は単一の波長及びその小さい範囲内の近接する波長、例えば前記基本の波長の約1%以内の波長をいう。
【0019】
導入された前記平行電磁放射線の少なくとも1つのビームは、エネルギの単一ビームからなるものとすることができる。このような実施例において、前記ビームのエネルギ密度は、所望のビームの拡散又は向け直しを起こすように前記チャンバの内面を改造することにより前記チャンバ全体に拡散される。選択的に、前記導入された平行電磁放射線の少なくとも1つのビームは、エネルギの多数のビームからなるものとすることができる。この実施例において、単一ビームは、前記チャンバに入るときに各ビームが唯一の入射角を有するように前記チャンバに入る前に複数のビームに分割され、あるいは単一のビームは、各ビームの向け直しが前記チャンバに入るときに唯一の入射角を有する入射ビームとなるように、前記チャンバに入る前に光学的に向け直される。前者はビームスプリッタ又は回折エレメントに前記ビームを通すことにより行うことができ、また後者は可動エレメントに前記ビームを通し又は前記可動エレメントから離れて前記ビームを反射させることにより行うことができる。
【0020】
前記平行電磁放射線の少なくとも1つのビームの源は、好ましくは、前記装置及び方法の所望の目的を達成するに十分な出力を有するレーザである。このレーザは、連続は又はパルス型のものからなり、多くの好ましい実施例ではこの技術分野における当業者に周知の理由のためにパルス型のものを採用する。
【0021】
前記チャンバ内に物体を一時的に位置決めるための手段は、好ましくは、前記物体を受け入れるための実質的に透明なプラットフォームを含み、透明の度合は、前記導入された電磁放射線の性質の相関関係、例えばその周波数及びエネルギ密度による。このようにして、殺菌される前記物体が少なくとも1つのビームに光学的に接合され、その直接の及び/又は反射されたエネルギを受ける。前記チャンバ内に物体を一時的に位置決めるための他の手段は、実質的に透明なクランプ、つまみ具又は他の同様な圧縮装置を含む。透明の要求は、さもないと前記ビームに対する前記物体の暴露の干渉を生じる前記手段のこれらの一部に適用されるのみである。
【0022】
前記物体殺菌装置の多くの実施例はその場で手に入る電力を利用するが、この装置はまた送電網から離れて作動するように改造することができる。したがって、作動のための代わりの電源は、適当な発電機に物理的エネルギを供給するための内燃又は外燃機関を利用する発電機、バッテリ(例えばソーラーアレイを介して再充電可能であるか又は可能でない)、又は燃料電池を含む。第三世界諸国の遠方地域での殺菌作業のような遠方での適用のため、燃料電池は高いパワーのレーザでも作動させる所要の電力を供給するための便利で信頼性のある手段を提供し、至る所で利用可能のメチルアルコール又はエチルアルコールが前記装置に動力を供給するために使用可能である。
【0023】
これまでのところ、前記物体殺菌装置はただ一つの封止可能の開口を有するチャンバにより構成されていた。しかし、ある適用においては、多量の物体又は連続する物体の殺菌作用を必要とする。このような状態において、前記チャンバは第1の開口及び第2の開口を有するように改造することができ、前記チャンバ内に物体を一時的に位置決めるための手段は透明なベルト又は連結されたトレッド(tread)を利用する移動可能のコンベヤ部分を含み、物体を前記第1の開口において前記コンベヤ部分上に導入し、ここから前記第2の開口に移動することができる。前記物体殺菌装置は熱及び/又は圧力に依存しないため、前記開口は、前記チャンバからの前記物体の移動に先立ち前記コンベヤ及び物体が少なくとも一つのビームの影響を脱することを許す光学カーテンの使用によりビームエネルギが弱められるように、外部環境と通ずるようにすることができる。前記コンベヤ部分は機械化されあるいは例えばコンベヤ部分を動かすための脱進機を有する手巻きねじりコイルばねで手動操作される。代わりの配列において、「スライド」が用いられ、殺菌される前記物体が前記第1の開口を通して前記スライド上の上端部上に配置され、重力により前記チャンバの第2の開口に最も近い前記スライドの下端部に移動することを許される。この運搬の間、前記物体が前記少なくとも1つのビームに曝され、これにより殺菌される。先に記載したこの一連の実施例でのように、前記スライドが前記ビームに対して実質的に透明な材料で構成される。
【0024】
前記物体殺菌装置の適用は、主に、道具又は他の同様のサイズの物体が殺菌を受ける適用に向けられる。したがって、再利用可能の医療用及び歯科用器具が前記物体殺菌装置内に配置され、前記少なくとも1つのビームに曝される。所定時間後(前記装置内に配置された前記物体の性質に応じて)、前記物体が殺菌された状態で前記装置から取り除かれる。従来のオートクレーブの利点を超える前記物体殺菌装置の利点は、「暖める」時間がないことであり、前記装置は殺菌のために即座に利用可能である。他の利点は、オートクレーブと異なり、殺菌後に前記装置から非常に迅速に除去することができることであり、前記装置の表面は前記エネルギを反射するか又は前記装置のかなりの加熱なしに前記エネルギの一部を非常に簡単に吸収することができる。さらに、前記装置へのエネルギ移動のための制限された所要時間のため、オートクレーブ殺菌に従来不適切であった装置が使用され、また殺菌される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の議論は当業者が本発明を実施することができるように示されている。好ましい実施例の種々の変更は当業者に明らかであろうし、また、一般的原理は、特許請求の範囲により規定された本発明の精神及び範囲から離れることなしに他の実施例及び応用に適用可能である。したがって、本発明は示された実施例に限定されるものではなく、個々に開示された原理及び特徴で首尾一貫した最も広い範囲に一致する。
【0026】
前記したように、本発明は、平行な光のエネルギの少なくとも1つのビームが向けられるポートが設けられたチャンバとして広く特徴付けられる。以下に述べる2つの実施例は作用的に関連している。図1−図2の空気殺菌装置は空気を受け入れまた空気を引き渡すための2つの開口を有するのに対し、前記物体殺菌装置は1つのみを有し、封止可能である。さらに、図示の実施例では10又は25ワットレーザが用いられる。シンラド社(Synrad, Inc.)により「シリーズ48」の名称で販売されているこのレーザは、10.60ミクロンのレンジで赤外線平行エネルギを放射するパルス型CO2レーザであり、これは食品医薬品局(FDA)が承認済みである。前記レーザの運転制御(デューティサイクル及び断続制御)は、好ましくは、前記レーザに設けられた直列データケーブルインタフェースを介して前記レーザに作動的に連結されたパーソナルコンピュータにより行われる。
【0027】
多様な波長光を必要とする実施例のため、前記レーザの自然の周波数を変えるための任意の公知の手段を用いることができる。このような変更は連続して長時間行うことができ(連続シフト)、あるいは前記ビームを分割し、適当に変更された複数のビームを生じさせることができる(平行シフト)。所望の周波数の選択は、大部分、前記装置の操作基準に依存し、例えば殺菌処理のターゲットが生物学的病原微生物である場合には一定の組の周波数(波長)が、無機の微小物体に目標を定められた他の周波数に優先して選択される。目標とされた微小物体の各タイプのための種々の波長の選択はこの技術分野における当業者の知識で十分であり、またここでは繰り返さない。
【0028】
図1を参照すると、チャンバ内にエネルギの多数のビームを生じさせるために回転光学エレメントを用いる第1の殺菌装置が概略的に示されている。装置10はチャンバ20を含み、該チャンバは第1の端部22及び第2の端部24(これにより、これらの2つの端部間に長手方向軸線を規定する)並びに窓30を含む。チャンバ20は、全ての壁の交線において直角とし、あるいは第1の端部22から第2の端部24へ広がるように形成することができ、したがってビームの伝播を助ける。この概略図には示していないが、端部22,24は、好ましくは、後述するように、装置10が意図される構造にまとまるように改造される。
【0029】
内壁28は、該内壁により規定された体積内で入射レーザビーム42が繰り返し反射されるように、好ましくはビーム42について高い反射性を有する。高反射性を達成するために用いられる材料は前記レーザビームの波長を考慮して選択されるが、前記ビームの伝播を促進するための内壁28の表面処理は、直線的及び/又は非直線的な稜(リッジ)並びに前記チャンバの長手方向寸法に対して選択された角度のトラフと、複数の突起(小面が設けられ、滑らか又はこれらの組み合わせ)と、複数の窪み(小面が設けられ、滑らか又はこれらの組み合わせ)と、規則的な複数の突起及び/又は窪みと、不規則的な複数の突起及び/又は窪みと、滑らかな表面とを形成することを含む。表面処理の目的は、前記チャンバ内の特定の体積内のエネルギ密度の少なくとも一つ、又は前記チャンバ内を任意の微小物体が横切るときの全暴露時間を最大にすることにある。
【0030】
図1はビームリダイレクタ(beam redirector)50に向けてビーム42を向けるビーム型レーザ40を示す。ビームリダイレクタは、適当な反射材料を含むように構成された光学エレメント54がシャフト56を介して据え付けられた高速ステッパモータ52を含むように、概略的に示されている。向け直されたビーム42’は次いで透明な窓30を経てチャンバ20に入り、該チャンバの内部で繰り返して反射する。作動中、ビーム42’によって様々な入射角度が作り出され、これによりチャンバ20内にエネルギが分布するようにエレメント54が回転する。不規則な反射を防ぐため、モータ52の動作に同期してレーザ40についてスイッチを入れまたスイッチを切るように制御装置であるコントローラ70がレーザ40にインタフェースで接続し、またモータ52がよく知られた方法で作動的にコントローラ70に連結されている。この方法では、ビーム42は、向け直されたビーム42’が窓30を通過することが確実であるとき、エレメント54に示されるのみである。移動空気源に接続されると、第1の端部22に入る空気は、第2の端部24を経てチャンバ20の外部に通過する前にレーザビームエネルギに曝される。
【0031】
異なる分散パターンを所望の場合には、図2の装置の形態を用いることができる。チャンバ20は、内壁28の反射特性がこの実施例の使用を通して導入された独特の変数の観点から修正されても、本質的に同じままである。この実施例では、ビームの拡張又は分散エレメントが使用され、一点に対立するものとしての線を生じさせる。その結果は、「扇形」のビームエネルギ44であり、これはチャンバ20の体積内で再び多数回にわたって反射される。この実施例には示していないが、前記ビームの性質が掃引動作の必要を減少させ、他の要因が等しいものであっても、ビーム44の移動を生じさせるべく移動光学部品を用いることができる。
【0032】
チャンバ20からの意図しないビームエネルギの出射を制限するため、図3に示すように、一対の光学バッフルを用いることができる。ハウジング80が複数のずれたバッフル82のための適当な支持を提供し、これらのバッフルは空気の流動を許すが、ビームが直接又は間接にチャンバ20を出ることを妨げる。バッフル82は、ビームエネルギを吸収し及び/又は反射する任意の適当な材料で構成することができる。前記バッフルが前記エネルギを吸収する場合、前記空気の流動が仕事のためには十分でないとき、前記バッフルを冷却するための手段を含むことが望ましい。
【0033】
図4は、図2に示された実施例の物体殺菌装置への適用を概略的に示す。ここで、第1の端部22(仮想で示す)は閉じられており、他の内壁28を含む。トレイ90が、相対する横壁28間に存するガイド94により支持されている。任意の機能的構造がトレイ90を移動させ、この上に配置された任意の物体のビーム44に対する最大の暴露を与える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】チャンバ内にエネルギの多数のビームを生じさせるために回転する光学エレメントを用いる第1の空気殺菌装置の実施例の概略的な斜視図である。
【図2】チャンバ内にエネルギの単一の「扇形」を生じさせるためにビーム分散エレメントを用いる第2の空気殺菌装置の実施例の概略的な斜視図である
【図3】光バッフルの一端からから他端への空気の移動を許すがレーザエネルギを減じる前記光バッフルの斜視図である。
【図4】チャンバ内に単一の「扇形」のエネルギを生じさせるビーム分散エレメントを用いる物体殺菌装置と、殺菌される物体を受け入れる滑動可能の透明なトレイとを断面で示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
20 チャンバ
22 第1の端部
24 第2の端部
28 内壁
30 窓


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ、空気が進む少なくとも2つの開口、及び穴を規定する本体と、
前記穴を通してエネルギを放射するために作動的に向けられた複数の別個の波長範囲を生じさせるように適合された平行光エネルギ源と、
前記平行光エネルギ源からのエネルギ放射の継続時間を調整するための制御手段とを含む、空気殺菌装置。
【請求項2】
封止可能の内部環境を有する車両と、外部環境に曝された前記車両の第1の箇所から前記内部環境に曝された第2の箇所へ空気が通じるようにするためのダクトを備える環境制御システムとの組合せであって、
空気殺菌装置がチャンバ、空気が進む一の複数の端部開口に接続された第1の開口、及び穴を規定する本体と、
前記穴を通してエネルギを放射するために作動的に向けられた少なくとも1つの別個の波長範囲を生じさせるように適合された平行光エネルギ源と、
前記平行光エネルギ源からのエネルギ放射の継続時間を調整するための制御手段とを含む、組み合わせ。
【請求項3】
チャンバ、空気が進む少なくとも2つの開口、及び穴を規定する本体と、
前記穴を通してエネルギを放射するために作動的に向けられた複数の別個の波長範囲を生じさせるように適合された平行光エネルギ源と、
前記平行光エネルギ源からのエネルギ放射の継続時間を調整するための制御手段と、
前記平行エネルギ源及び前記制御手段に電力を供給するための電力源とを含み、
前記電力源が発電機、バッテリ又は燃料電池のうちの一つである、携帯用の空気殺菌装置
【請求項4】
殺菌された大気環境を提供するための携帯用構造であって、
内部及び複数の封止エレメントを有する携帯用構造であって該構造が組み立てられるときに封止された内部環境が形成される携帯用構造と、
チャンバ、前記構造の内部に密封結合された第1の開口、前記大気に曝された第2の開口、及び穴を規定する本体と、
前記穴を通してエネルギを放射するために作動的に向けられた少なくとも1つの別個の波長範囲を生じさせるための平行光エネルギ源と、
前記平行光エネルギ源からのエネルギ放射の継続時間を調整するための制御手段とを含む、携帯用構造。
【請求項5】
チャンバ、物体が進む少なくとも1つの開口及び穴を規定する本体と、
前記穴を通してエネルギを放射するように作動的に向けられた少なくとも1つの別個の波長のエネルギを生じさせるための平行光エネルギ源と、
前記平行光エネルギ源からのエネルギ放射の継続時間を調整するための制御手段とを含む、物体殺菌装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−511253(P2007−511253A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533764(P2006−533764)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/018772
【国際公開番号】WO2004/110504
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505458577)セーフ ヘイブン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】