説明

空気浄化マスク

【課題】使用者に負担をかけず、外観を損なわずに、呼吸する空気を浄化する空気浄化マスクを提供。
【解決手段】空気浄化マスク10は、マスク本体12に備えた収納部14に対して二酸化塩素ガス発生体16を収納して構成され、所定の期間の間、二酸化塩素ガスを少しずつ、徐々に発生させて、使用者が呼吸する空気を浄化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が吸入する空気を浄化するマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、風邪やインフルエンザなどの病菌やウイルスに対する空間消毒薬として二酸化塩素を使用するものがあり、典型的には二酸化塩素を含む溶液を使用して二酸化塩素ガスを発生させるものがある。
【0003】
また、たとえば特許文献1に記載された携帯型空気浄化用具は、内部に粉体を収容し得る収容体と、この収容体内に収容された二酸化塩素粉末とからなり、この収容体には、その内部と外部との間を連通し、二酸化塩素粉末が気化して発生した二酸化塩素ガスを外部に排出する開口部が設けられているものである。この携帯型空気浄化用具は、収容体にストラップを取り付けて、収容体が顔の下方に位置するようぶら下げて使用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3154094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この携帯型空気浄化用具は、それ自体を単体で首から吊り下げるものであるため、たとえばネームカードケースを首に掛けている場合は、二本のネックストラップを掛けることになり、使用者に負担がかかり、見た目の悪いという問題がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑み、使用者への負担および見た目の悪さを軽減して、人が吸入する空気を浄化する空気浄化マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題を解決するために、空気浄化マスクが、使用者の鼻や口を覆うマスク本体と、所定の期間の間、二酸化塩素ガスを少しずつ、徐々に発生させる二酸化塩素ガス発生体と、このマスク本体に形成されて、この二酸化塩素ガス発生体を収納可能な収納部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空気浄化マスクは、そのマスク本体の収納部に脱着可能な二酸化塩素ガス発生体を備えることにより、使用者に負担をかけず、また外観を損なうことなく、二酸化塩素ガスによる病菌やウイルスに対する空間消毒効果を、使用者が吸気および呼気する空気に対して発揮し、すなわち呼吸する空気を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る空気浄化マスクの一実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る空気浄化マスクの他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に添付図面を参照して本発明による空気浄化マスクの実施例を詳細に説明する。たとえば、本実施例の空気浄化マスク10は、図1に示すように、マスク本体12に備えた収納部14に対して二酸化塩素ガス発生体16を収納して構成されるものである。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し、冗長な説明を避ける。
【0011】
本発明において、空気浄化マスク10は、病菌やウイルスの吸入および放出を防ぐために用いられる、鼻や口を覆うマスクであり、家庭用、医療用および産業用などの用途をいずれかに限定するものではなく、ユーザの用途に応じて、さまざまな素材および形状で形成される。
【0012】
図1では、空気浄化マスク10は、ユーザが装着するために耳かけをマスク本体12に取り付けているが、ユーザが装着可能なものであればこれに限定されず、たとえば締め紐を備えて後頭部に回して固定するものでもよい。
【0013】
本発明のマスク本体12は、二酸化塩素ガス発生体16を収納できる収納部14を有するものであれば、いずれの素材および形状で形成されてもよい。マスク本体12は、とくに、ユーザの用途に応じた素材および形状で形成され、たとえばガーゼまたは不織布、および平型、プリーツ型または立体型で形成することができる。またマスク本体12は、布片または紙片などのマスク形成片を層状にして形成されたものでもよい。マスク本体12の配色は、白には限定されず、所望の単色または複色でなされてもよく、また所望の模様、柄または絵を配してもよい。
【0014】
収納部14は、二酸化塩素ガス発生体16を収納できるようにマスク本体12に設けられたものであればいずれの形状でもよく、本実施例では、たとえば図1に示すようにポケット状で形成されて、当該ポケットにガス発生体16を収容可能にしている。
【0015】
このポケット状の収納部14は、ガス発生体16を脱着可能にするもので、たとえば、ガス発生体16を出し入れするための開口部を、ユーザの使用状態からみて上部に有して形成されるとよく、あるいは側部または裏面、すなわち装着状態で内側の面に備えてもよい。また開口部は、ガス発生体16の飛び出しを防ぐために、折り返し片、テープまたはファスナーなどの留め具を備えて開閉自在にしてもよい。
【0016】
また、この収納部14は、ガス発生体16を固定する固定部を設けてもよく、たとえばこの固定部として、合成樹脂製の粘着剤によってガス発生体16を固定する粘着シートまたは粘着テープや、面ファスナーを適用してよい。
【0017】
二酸化塩素ガス発生体16は、マスク本体12の収納部14に収納されて、所定の期間の間、二酸化塩素ガスを少しずつ、徐々に発生させるもので、たとえば所定の単位時間においてユーザが呼吸する空気の消毒に十分な量の二酸化塩素ガスを発生させる。
【0018】
本実施例において、二酸化塩素ガス発生体16は、たとえば、二酸化塩素をその成分として含む固形状の二酸化塩素発生剤を、通気性が良く粉漏れのない素材からなる包装体に封入して構成されるものでよく、二酸化塩素発生剤は、ユーザの呼吸の妨げにならないような形状および配置で包装体に配され、この包装体は、たとえば紙布や不織布からなる袋でよい。この二酸化塩素発生剤は、固形のものに限らず、たとえばゲル状のものでもよい。
【0019】
このガス発生体16は、マスク本体12に収納されたとき、マスク10を着用したユーザに違和感を与えないような形状で形成されるとよく、たとえば、包装体に二酸化塩素を封入している状態が厚みの少ない平型または薄型の形状を有するものでよい。
【0020】
また、このガス発生体16は、収納部14に対して固定する固定部を設けてもよく、たとえばこの固定部として、合成樹脂製の粘着剤によって固定する粘着シートまたは粘着テープや、面ファスナーを適用することができる。この固定部は、収納部14およびガス発生体16の両方に設けてもよく、あるいはいずれか一方に設けてもよい。
【0021】
このように、本実施例の空気浄化マスク10は、二酸化塩素ガス発生体16をマスク本体12から取り外し可能に構成されているので、使用中のガス発生体16、すなわち二酸化塩素ガスの発生を継続しているガス発生体16を、他のマスク本体12に付け替えることができ、またマスク本体12が継続して使用可能であれば、他のガス発生体16を付け替えることができる。
【0022】
また他の実施例において、本発明の空気浄化マスク20は、図2に示すように、マスク本体22の広い面を複数の区分に分割して、これら複数の区分のうち少なくとも1つを収納部24として形成し、その収納部24に二酸化塩素ガス発生体26を配して構成することができる。
【0023】
この空気浄化マスク20は、マスク本体22の分割数に応じた数の収納部24を設けてもよく、たとえば図2では、マスク本体22を均等に15分割して15個の収納部24を有しているが、分割区分は均等でなくてもよく、分割数はこの例に限定されず、さまざまな数の収納部24を有するようにマスク本体22を構成してよい。
【0024】
この実施例において、マスク本体22は、布片または紙片などのマスク形成片を少なくとも2枚以上有して形成され、それぞれ少なくとも1枚以上のマスク形成片からなる表面部および裏面部を合わせて形成される。さらにマスク本体22は、複数の区分の境界線に沿って表面部と裏面部とを結合し、たとえば縫い合わせることによって、表面部と裏面部との間に複数の収納部24を有する。
【0025】
たとえば、この実施例のマスク本体22は、二酸化塩素ガス発生体26の取り付けを所望する収納部24に対応する区分に対して、あらかじめガス発生体26を配置して、その後、表面部と裏面部とを結合して形成されてよい。
【0026】
また、この実施例のマスク本体22は、表面部または裏面部の結合面において、あらかじめガス発生体26を均一に配置して、その後、表面部と裏面部とを結合して形成されてもよい。このとき、マスク本体22は、多数の区分に分割することにより、より均一にガス発生体26を配置することができる。
【0027】
この実施例において、二酸化塩素ガス発生体26は、上記実施例のように包装体に封入して構成されてもよいが、包装体に封入せずに二酸化塩素発生剤のまま適用してもよい。
【0028】
あるいは、マスク本体22は、たとえば、固形状の二酸化塩素発生剤そのものを、他のマスク形成片上において所望の領域にまたは均一に配して糊などの接着剤で貼り付けて形成されたガス発生体26を適用し、このガス発生体26を表面部と裏面部との間に配置して層状に形成されてもよい。
【0029】
また、さらなる他の実施例において、本発明の空気浄化マスク10は、たとえば立体型のマスクのように、ユーザの口側の面に凹部を有して形成され、ユーザの口とマスク面との間に隙間を有して両者が直接接触しないマスク本体12を適用し、当該凹部を収納部14として二酸化塩素ガス発生体16を取り付けて構成されてもよい。
【0030】
この実施例において、二酸化塩素ガス発生体16は、マスク本体12に対して脱着可能に取り付けられ、たとえば合成樹脂製の粘着剤によって固定する粘着シートまたは粘着テープや、面ファスナーを適用して、収納部14に対して固定されてよい。
【0031】
また、この実施例のマスク10では、ユーザの口側の面のマスク形成片を二酸化塩素ガス発生体16として形成し、このマスク形成片上の凹部に相当する箇所に対して固形状の二酸化塩素発生剤そのものを配して糊などの接着剤で貼り付けてもよい。
【0032】
さらに、本発明を利用すれば、たとえば産業用の防塵マスクの取替えフィルタの取り付け位置に、そのフィルタに換えて、またはそのフィルタとともに、二酸化塩素ガス発生体を配置して、本発明の空気浄化マスクとすることもできる。
【0033】
また、他の実施例として、本発明による空気浄化マスクは、二酸化塩素ガス発生体に代えて、消臭および殺菌効果を有する他の消臭殺菌部材を適用し、この部材をマスク本体の収納部に収納してもよい。この消臭殺菌部材を適用した空気浄化マスクは、呼吸する空気を殺菌し、また花粉の吸気を防止することもできる。
【0034】
この消臭殺菌部材は、たとえば、無機質で銀系および/または酸化チタン系の消臭および殺菌効果を有する消臭殺菌液を、ガーゼなどの浸透性のある素材からなる布片または紙片に染み込ませ、その後乾かしたものでよい。また消臭殺菌部材は、消臭殺菌液をゲル状にし、平型または薄型の形状にしたものでもよい。この場合、消臭殺菌部材は、ポケットなどの収納部に収納され、マスク形成片の間に挿入され、またはユーザの口側の面に備え付けられてよい。
【0035】
また、消臭殺菌部材は、消臭殺菌液のみならず、ニッキなどの消臭効果のある他の材料を合わせることにより生成されてもよい。消臭殺菌液には、たとえば銀系酸化チタンの材料で生成されるATOMY BALL(登録商標)などの抗菌剤、殺菌剤その他の薬剤が用いられてよい。
【0036】
さらなる実施例として、二酸化塩素ガス発生体および消臭殺菌部材は、それぞれ二酸化塩素発生剤および消臭殺菌剤を液体として封じ込めた、多量のマイクロカプセルからなるものでもよい。このマイクロカプセルは、刺激を与えるとその内容物を発散する極小のものである。この場合、二酸化塩素ガス発生体および消臭殺菌部材は、多量のマイクロカプセルをそのまま収納部に収納し、またはそれらを通気性のよい包装体に封入してその包装体を収納部に収納するように構成されるものでよい。
【符号の説明】
【0037】
10 空気浄化マスク
12 マスク本体
14 収納部
16 二酸化塩素ガス発生体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の鼻や口を覆うマスク本体と、
所定の期間の間、二酸化塩素ガスを少しずつ、徐々に発生させる二酸化塩素ガス発生体と、
前記マスク本体に形成されて、前記二酸化塩素ガス発生体を収納可能な収納部とを含むことを特徴とする空気浄化マスク。
【請求項2】
請求項1に記載の空気浄化マスクにおいて、前記収納部は、前記マスク本体にポケット状に形成され、
前記二酸化塩素ガス発生体は、前記収納部に対して脱着可能であることを特徴とする空気浄化マスク。
【請求項3】
請求項2に記載の空気浄化マスクにおいて、前記二酸化塩素ガス発生体は、二酸化塩素をその成分として含む二酸化塩素発生剤を、通気性が良く粉漏れのない素材からなる包装体に封入して構成されることを特徴とする空気浄化マスク。
【請求項4】
請求項1に記載の空気浄化マスクにおいて、該マスクは、前記マスク本体を複数の区分に分割して、これら複数の区分のうち少なくとも1つを前記収納部として形成し、該収納部に前記二酸化塩素ガス発生体を配して構成されることを特徴とする空気浄化マスク。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−254273(P2012−254273A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172905(P2011−172905)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000102647)エニー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】