説明

空気浄化装置

【課題】装置の大幅な小型化が実現可能であり、粉塵や悪臭などの除去効果の高い空気浄化装置を提供する。
【解決手段】貯水タンク2と小型のポンプ5と、水3を噴霧するための導電性のノズル6と、ノズル6の近傍に配置された対向電極7とを備え、ノズル6および対向電極7の間に電位差を与えて、ノズル6より噴霧される水滴を微細化することを特徴とする水滴微細化装置1を空気導入口に備え、逆円錐型の旋回流円筒の中心部に前記旋回流円筒よりも径の小さい空気排出用垂直流円筒を設けることを特徴とする気液接触部16と、前記気液接触部16に空気を取り込んで排出するためのファン20と、前記気液接触部16と前記ファン20の間に、一定の間隔で配列され、導電性を有し、交互に異なる電圧が印加される電極を備えた電気集塵部17により、効率良く粉塵や悪臭などを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化技術とサイクロンを利用した、室内に浮遊する粉塵や悪臭などを除去するための空気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、サイクロンを利用した空気清浄装置が特許文献1により提案されている。ここでサイクロンとは、円筒形の容器内に旋回流を起こして気流中から粉塵を遠心力で分離する技術のことである。また、静電霧化を利用した空気浄化装置についても特許文献2により提案されている。ここで、静電霧化とは、水等の液体に高電圧を印加すると、表面に働く静電気力によって不安定になり、液面や液滴が分裂して水が霧化する現象のことである。
【0003】
上記特許文献1に示されるものにあっては、2つのサイクロン筒を有する装置において、第一のサイクロン筒内に設けられた噴霧ノズルから噴霧された微細水と汚染された気体を接触させて、気体に含まれた粉塵を水に含ませて取り除いた後、第二のサイクロン筒で余分な水分を除去して、清浄な空気を排出口より放出するものである。また、上記特許文献2に示されるものにおいては、空気清浄機内部のフィルターの下流部に配置された水タンクと水タンクより水を搬送する棒状吸水体と棒状吸水体に対向するように配置された対向電極と、棒状吸水体と対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、棒状給水体と対向電極との間に高電圧を印加することにより棒状給水体の先端の水が霧化してミストを発生させ、フィルターにより浄化された空気と共に、ミストを室内に拡散させるようにしたものである。
【特許文献1】特開平6−246123号公報
【特許文献2】特開2004−85185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示された従来例にあっては、除塵用のサイクロン筒とは別にもう一つの脱水用サイクロン筒を設けており、水を溜めるタンクも大型なものであるため、小型化には適していない。また、汚れを含んだ水を定期的に交換しなければならず、メンテナンスも容易ではない。
【0005】
一方、上記特許文献2に示された従来例にあっては、水を搬送する手段として吸水材を用いているため強制的に水を搬送することができず、霧化量としては微量であり、十分な浄化機能を発揮することは難しい。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、静電霧化により発生した大量のイオンを含んだ微細水滴をサイクロン内部で拡散し、空気と十分に接触させることで少量の水でも十分な空気清浄能力を発揮することができるため、複数のサイクロン筒を有する必要がなく、また、大きなタンクを設置する必要がないことから装置の大幅な小型化が実現可能であり、粉塵や悪臭など室内に浮遊する汚染物質の除去効果の高い空気浄化装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の空気浄化装置は、請求項1記載の通り、貯水タンクと貯水タンクに貯めた水をある一定の圧力で搬送し押出する小型のポンプと、前記ポンプによって押し出された水を噴霧するための導電性のノズルと、前記ノズルの近傍に配置された対向電極とを備え、前記ノズルおよび前記対向電極の間に電位差を与えて、前記ノズルより噴霧される水滴を微細化することを特徴とする水滴微細化装置と、前記水滴微細化装置を空気導入口に設けることを特徴とする気液接触部と、前記気液接触部に空気を取り込んで排出するための送風手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2記載の空気浄化装置は、請求項1記載の空気浄化装置において、気液接触部を、円錐を逆さにした逆円錐型の旋回流円筒と、前記旋回流円筒の中心部に、前記旋回流円筒よりも径が小さく、空気を排出する垂直流円筒を設ける構造とし、前記気液接触部の空気の流れにおける下流側に、一定の間隔で配列され、導電性を有し、交互に異なる電圧が印加される電極によって形成される電気集塵部を備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3記載の空気浄化装置は、請求項1または2記載の空気浄化装置において、気液接触部の内部に、吸着剤を入れて攪拌することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4記載の空気浄化装置は、請求項1または2記載の空気浄化装置において、気液接触部の内壁に吸着剤を固定化する、もしくは排気用円筒の内部に吸着剤を添着した吸着フィルタを設けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、静電霧化により噴霧した大量のイオンを含んだ微細水滴をサイクロン内部で拡散し、空気と十分に接触させることで、少量の水でも十分な空気清浄能力を発揮することができるため、複数のサイクロン筒を有する必要がなく、また、大きなタンクを設置する必要がないことから装置の大幅な小型化が実現可能であり、また、活性基を含んだ微細水滴で臭気成分を分解するため、脱臭フィルタが不要もしくは脱臭フィルタの交換が不要となり、脱臭機能をメンテナンスフリーにすることが実現可能である。また、集塵フィルタとして洗浄再生可能な伝記集塵部を用いることで、フィルタ交換が全く必要なく、ランニングコストを極限まで低減した空気浄化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明は、貯水タンクと貯水タンクに貯めた水をある一定の圧力で搬送し押出する小型のポンプと、前記ポンプによって押し出された水を噴霧するための導電性のノズルと、前記ノズルの近傍に配置された対向電極とを備え、前記ノズルおよび前記対向電極の間に電位差を与えて、前記ノズルより噴霧される水滴を微細化することを特徴とする水滴微細化装置と、前記水滴微細化装置を空気導入口に設けることを特徴とする気液接触部と、前記気液接触部に空気を取り込んで排出するための送風手段とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
近年、パソコンなどの精密機械の冷却システムや医療分野における薬液搬送装置、その他様々な分野でマイクロポンプと称される微少量の液体や気体の輸送制御が可能なポンプの開発が盛んに行われている。その輸送機構は実に様々であるが、中でも圧電素子に交流電圧を印加して機械運動を起こさせ、圧電素子と重なるように設けられた弁を備えた隔膜を上下に動かすことによって液体の吸引と押出を同時に行うマイクロポンプは機構が単純であるため、小型、軽量であるだけでなく、低コスト化が実現される。さらに、モーターや回転軸を使わず駆動源として圧電素子を用いていることから、低消費電力、低騒音、低電磁ノイズが実現される。また、他の輸送機構よりも低流量が可能であり、流量としては数ml/min程度である。さらに、ダイヤフラムを任意の振幅および速度で運動させることにより、一定かつ任意の量の水を供給することが可能である。
【0014】
ノズルへの水搬送手段としてマイクロポンプを用いることにより、空気浄化装置の小型、軽量、さらに低コスト、低騒音化が可能である。しかも、流量が数ml/min程度であるならば、貯水タンクも大きいものを必要とせず、装置の小型化に都合が良い。さらに搬送物質を自ら吸引できる自己吸引性をもつために、ポンプを貯水タンクの下側に配置する必要がなく、装置のフリーレイアウトが可能である。
【0015】
水を噴霧するためのノズルは、単一あるいは複数の微小孔を設けた導電性の薄いプレートと、前記プレートに水を供給するための絶縁性の支持体から構成される。プレートは板厚を薄くすることでマイクロオーダーの微小孔を設けたとしても圧力損失を抑えることができ、また、プレートに設けられた微小孔の孔数および孔径を細かに制御することで、ポンプの排圧に合わせた最良のノズルを容易に形成することができる。こうすることで、排圧の低い小型のポンプでもノズルから極細の水柱を吐出することが可能となる。ノズルから吐出された水柱は極細であるため、ノズルに高電圧を印加することで水柱自体が極細の先端を持つ電極となり、著しく電荷集中した水柱の先端では静電気力が液体の表面張力を打ち消して分裂し、容易に霧化を生じる。また、ノズル近傍に対向電極を設置して、ノズルに高電圧を印加し、対向電極をアースに接続することでノズルの微小孔から発射された水粒は過剰の電荷が与えられ、そして過剰に与えられた電荷を保持するだけの表面積を得ようとして分裂を起こすことによって、さらに微細化され微細水滴となり、イオン風に乗せて放出できる。また、ノズルと対向電極との間の大きな電位差のために起こる極微小の放電によってノズル近傍に存在する空気分子の一部は電離し、イオンおよび活性基に変換されると同時にノズルから供給された微細水滴に溶け込むことによって、微細水滴にイオンおよび活性基を内包させることができる。ここでいうイオンとは酸素や水蒸気などの気体分子が電子と衝突して電離する際に得られる空気イオンのことであり、具体的には酸素に電子が結合したO2-などが挙げられる。また活性基とは酸素や水蒸気などの気体分子が電離する際に得られる酸化作用の強い反応体であり、代表としてOH・(OHラジカル)等が挙げられる。これにより、小型、軽量でありながら、長寿命且つ多量のイオン及び活性基を含んだ微細水滴を放出することが可能である。尚、ノズルと対向電極との間には空気の過剰な電離が起きて大きな放電が起こることはないために、放電によるオゾンの発生を抑制することができるという作用を有する。
【0016】
これらのようなマイクロポンプと微小孔を設けたノズルを利用した上記水滴微細化装置を気液接触部の空気導入口に設けることで、微細化して表面積が増大した微細水滴と、送風機により導入された空気との気液接触効率が高くなり、気体中に含まれる粉塵や臭気成分などの汚染物質をイオン化した微細水滴によって効率よく除去できるという作用を有する。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、気液接触部を、円錐を逆さにした逆円錐型の旋回流円筒と、前記旋回流円筒の中心部に、前記旋回流円筒よりも径が小さく、空気を排出する垂直流円筒を設ける構造とし、前記気液接触部の空気の流れにおける下流側に、一定の間隔で配列され、導電性を有し、交互に異なる電圧が印加される電極によって形成される電気集塵部を備えることを特徴とするものである。
【0018】
気液接触部をこのような形状にすることにより、旋回流円筒内おいて空気が旋回流を起こし、粉塵などの粗大な粒子は強い遠心力を受け、旋回しながら円錐の内壁に沿って下方向へ移動する。その後旋回流は中心部の垂直流円筒に流れ込み垂直流となるが、粗大な粒子は強い遠心力のため、その垂直流について行けずに落下し、旋回流円筒下部で捕集される。この時、水滴微細化装置より放出された微細水滴が空気と一緒に旋回することにより、帯電した微細水滴は高い確率で空気中の粉塵や臭気成分と接触する。微細水滴が吸着した粉塵はさらに重量を増し、遠心力が加わるので容易に下方へ分離される。微細な粉塵や、臭気成分などの軽い物質は垂直流に流れ込むが、旋回中に微細水滴と気液接触するため、臭気成分は微細水滴に取り込まれ、微細水滴に内包された活性気によって分解される。また、微細な粉塵は微細水滴に取り込まれて帯電し、空気流の下流側に設置され、電極間に異なる電圧を印加することによって電場が発生した電気集塵部で捕捉されるので、電気集塵部の下流には粉塵や臭気成分などが全て除去された清浄な空気のみが放出されるという作用を有する。尚、微細水滴発生装置から放出される水量はごく僅かであるため、湿度にはほとんど影響はなく、しかも静電霧化により微細水滴として存在するため家庭やオフィスなどの比較的狭い室内空間であっても結露する心配はなく、人が生活する場においても快適性を損なうことはない。また、旋回流円筒下部の粉塵捕集部においても、粗大な粉塵を取り込んだ水滴は極僅かな水量であるため、捕集部にはほとんど水は溜まらず、排水しなくてもよいのでメンテナンス性に優れている。且つ、長寿命且つ多量のイオン及び活性基を含んだ微細水が気液接触部で空気を浄化し得るには十分な水量である。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、気液接触部の内部に、吸着剤を入れて攪拌することを特徴とするものである。
【0020】
こうすることで旋回する気体中の臭気成分は吸着剤に吸着され、同時に微細水滴と接触し、分解除去される。臭気成分が脱離した吸着材は再び空気中の臭気成分を吸着する。このように吸脱着を繰り返すため、再生処理を施さなくとも長期的に吸着性能を維持することができる。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、気液接触部の内壁に吸着剤を固定化する、もしくは排気用円筒の内部に吸着剤を添着した吸着フィルタを設けることを特徴とするものである。
【0022】
気液接触部の内壁に吸着剤を固定化することで、臭気成分を含んだ気体は常に内壁に沿って旋回するため吸着効率を高めることができる。また、排気円筒の内部に吸着剤を添着した脱臭フィルタを設けることで、気液接触部で捕らえ切れなかった臭気成分を吸着することができる。上記いずれの場合においても、微細水滴と接触することで吸着物質は除去されるので、吸着剤は再生され、吸着性能を維持することができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1、図2に水滴微細化装置について示す。図1は水滴微細化装置の概略断面図であり、図2は図1のノズル部を拡大したものである。
【0025】
図1に示すように、貯水タンク2と小型のポンプ5と単一もしくは複数の小孔を持つノズル6と、前記ノズル6の前方に配置された円筒形状の対向電極7と、前記ノズル6と前記対向電極7との間に電位差を与える電圧印加部8とを備え、貯水タンク2に貯めた水3をポンプ5である一定の圧力で水路4を通ってノズル6へ搬送かつ押出することで水柱9が吐出される。この時ノズル6に高電圧を印加し、対向電極7をアースに接続することで、水柱9が静電霧化により微細化され微細水滴10が放出される。微細水滴10はイオン及び活性基を含んでいるため反応性が高く、脱臭効果のみならず、除菌、抗ウィルス効果がある。
【0026】
また、図2に示すように、ノズルは微小孔12を設けた導電性を有するプレート11と水の導入路を有する支持体13で構成され、プレート11は支持体13に固定されている。プレート11と支持体13の接合面は接着剤などで密着させ、水の漏出がないようにするとよい。また、プレート11は円盤形であり、微小孔12が単一の場合は円の中心、複数の場合は同心円状に等角間隔で配置されるとよい。尚、円の中心と同心円状の両方に配置してもなんら問題はない。プレート11の大きさは特に制限はないが、小型化を考慮すれば円形状においてその径を数mm〜15mm程度にするのがよい。微小孔12の孔数、微小孔12の孔径、プレート11の板厚はポンプ5の排圧に合わせて決定するのが望ましいが、微小孔12の孔径はあまり大きすぎると水柱9が太くなり電圧を印加しても効率よく微細化できないため、概ね100μm以下が好ましく、またプレート11の板厚は10〜300μmの範囲にあることが好ましい。微小孔12はエッチング加工により形成されるが、微小孔12を形成できるのであればその方法に限定する必要はない。
【0027】
ポンプ5は様々な形態のものを用いてもその効果に差は生じないが、圧電素子と隔壁で構成されたダイヤフラム式マイクロポンプを用いることによって装置の小型化を実現することができる。動作電圧10〜300V、動作周波数2〜20Hzの範囲で電圧を印加することで水の供給量を任意に制御することが可能で、また消費電力は数Wと非常に小さいことが特徴である。また、このときポンプの最大流量は1000μl/m以上、ポンプの最大排圧は45kPa以上である。大きさはおよそ20mm角、厚さ5mm以下であり非常に小型であるため装置の小型化を実現することが可能となる。
【0028】
このようにプレート11の厚みを極力薄くできることから微小孔12の圧力損失を下げることが可能となるために、排圧の低い小型のダイヤフラム式ポンプであっても微小孔12から水を噴霧することができ、装置の小型化を実現することが可能となる。
【0029】
対向電極7の形状としては棒状、板状など様々な形状が考えられるが、円筒形状にすることで噴霧された微細水滴10が円筒空間の中を通過する際、凝集によって大きくなった水滴は対向電極7で捕らえて、反応性の高い小さい微細水滴10のみを効率よく空中に放出することができる。円筒の径は吐出ノズルよりも一回り程度大きいことが好ましく、また、円筒の奥行き寸法は数mmから10mmの範囲であることが好ましい。ノズル6と対向電極7の距離は空気絶縁が保たれるよう、5mm〜50mmの範囲にあることが好ましい。
【0030】
本発明によって得られた図1の構成を持つ水滴微細化装置1を64リットルのチャンバーに入れ、チャンバー内に発生させたアンモニアの濃度変化を、装置がない場合およびノズル6に−8kVの電圧を印加して装置を作動させた場合の両方において評価した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示すように装置を作動させない場合とさせた場合とで有為な差が確認された。本発明における水滴微細化装置が空間におけるアンモニア等の臭気成分の除去に有効であることがわかった。
【0033】
なお、実施の形態1では対向電極7に付着した水滴を回収するために、対向電極7の真下に貯水タンク2を設けたが、対向電極7と貯水タンク2の間に水滴回収用の水路を設けても効果に差異を生じない。なお、プレート11の材質として金属を用いているが、ある一定の強度と導電性を有するのであれば他の材質のものを用いても効果に差を生じない。また、支持体13の材質として樹脂を用いているが、絶縁性を有するのであれば他の材料を用いてもその効果に差を生じない。尚、本実施の形態においてはノズルに微小孔を設けた薄いプレートを用いているが、特にこれに限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態1の水滴微細化装置を搭載した空気浄化装置を図3、図4に示す。図3は実施の形態2の空気浄化装置の概略断面図であり、図4は気液接触部内部の概略断面図である。また、図5は電気集塵部の概略図である。
【0035】
図3に示すように、空気浄化装置14は、空気導入口15に水滴微細化装置1を備え、前記空気導入口15から取り込まれた空気を気液接触部16を通じて空気排出口21より排出するためのファン20と、前記気液接触部16と前記ファン20の間に一定の間隔で配列され、導電性を有し、交互に異なる電圧が印加される電極によって形成される電気集塵部17を備えて成り、前記気液接触部16は、円錐状の筒を逆さにし、円錐の径の大きい側に空気導入口15を設けた旋回流円筒18の中心部に、前記旋回流円筒よりも径の小さい垂直流円筒19を設けていることを特徴としている。
【0036】
図4に示すように気液接触部16をこのような形状にすることにより、空気導入口15から導入された空気は旋回流円筒18において旋回流を起こし、旋回流円筒18の円錐表面に沿って下方向へ移動する。その後、旋回流は中心部の垂直流円筒19に流れ込み垂直流となるが、この時、粗大な粉塵24は旋回流による強い遠心力を受けているため、急激な垂直流について行けずに落下し、粗塵回収部25で捕集される。この時、空気導入口15に設置された水滴微細化装置1より放出された微細水滴10が空気と一緒に旋回することにより、帯電した微細水滴10は空気中の微細な粉塵23や臭気成分22と十分に接触する。微細水滴10に取り込まれた粗大な粉塵24はさらに重量を増し、遠心力が加わるので容易に下方へ分離される。微細な粉塵23や、臭気成分22などの軽い物質は垂直流に流れ込むが、旋回中に微細水滴10と気液接触するため、臭気成分22は微細水滴に取り込まれ、微細水滴に内包された活性気によって分解される。また、微細な粉塵23は微細水滴に取り込まれて帯電し、空気流の下流側に設置され、電極間に異なる電圧を印加することによって電場が発生した電気集塵部17を通過する際に捕捉されるので、電気集塵部17の下流には粉塵23や臭気成分22が全て除去された清浄な空気のみが放出される。尚、微細水滴10の発生量として、本実施例ではおよそ数十〜数百μl/min程度であるが、気液接触部16の大きさや空気の汚れに合わせて調節することが好ましい。
【0037】
また、図5に示すように電気集塵部17は、一定の間隔で配列され、導電性を有し、交互に異なる電圧が印加される電極板26と電圧印加部8によって形成される。各電極板26の間隔は短絡を起こさずに空気が通過可能であれば如何なる間隔でも良い。尚、電極板の材質としては、導電性であれば如何なる材質でも良い。また、電極板26を絶縁性の物質で被覆するのも良い。尚、電気集塵部の形状においては、絶縁性を確保し、電気的な作用で集塵能力を発揮するものであるならば本実施例に限らず、如何なる形状でもなんら問題はない。
【0038】
(実施の形態3)
実施の形態2と同じ概略構造を持ち、気液接触部の内部に、吸着剤を入れて攪拌することを特徴とした空気浄化装置を図6に示す。
【0039】
本実施の形態においては、気液接触部16の内部に吸着剤27を入れることで、旋回流に合わせて吸着剤27が気液接触部16内部で攪拌される。吸着剤27は臭気成分22と同時に微細水滴10を吸着し、臭気成分22は微細水滴内の活性基によって分解されるので、吸着剤27表面では臭気成分22が吸着、分解、脱着を繰り返し、吸収剤22は常に再生されながら攪拌されるので、効率よく脱臭することが可能である。また、再生処理を施さなくとも長期的に吸着性能を維持することができる。尚、吸着剤としては活性炭やシリカゲルなど多数の細孔を有する物質が挙げられるが、ガスを吸着する性質を持つ粒子状の物質であれば如何なるものでも効果に差異はない。また、吸着剤27の粒径は旋回流円筒18内部で滞留し、垂直流円筒19から排出されなければ、その大きさを限定するものではないが、1mm以上であることが望ましい。
【0040】
(実施の形態4)
実施の形態2と同じ概略構造を持ち、気液接触部の垂直流円筒内壁に、吸着剤を添着した脱臭フィルタを設けることを特徴とした空気浄化装置を図7に示す。
【0041】
本実施例においては、垂直流円筒19の内部に吸着剤を添着した脱臭フィルタ28を設けることで、気液接触部16で分解し切れなかった臭気成分22を脱臭フィルタ28で確実に捕集することができる。脱臭フィルタ28に添着された吸着剤は臭気成分を吸着し、同時に微細水滴10を吸着することで脱臭成分22を分解除去することが可能となる。分解された臭気成分22が吸着剤から脱離することで脱臭フィルタ28は再生し、再生処理を施さなくとも長期的に吸着性能を維持することができる。脱臭フィルタ28としては、例えばセラミックハニカムフィルタに活性炭やゼオライト等を添着したものが挙げられるが、空気の通風路を有する基材と、ガスを吸着する性質を持つ粒子状の物質を組み合わせるのであれば、なんら限定はない。
【0042】
(実施の形態5)
実施の形態2と同じ概略構造を持ち、気液接触部の内壁に吸着剤を固定化することを特徴とした空気浄化装置を図8に示す。
【0043】
本実施例においては、気液接触部16の内壁に吸着剤27を固定化することで、気液接触部内に存在する臭気成分22が空気とともに旋回流となって移動する際に、確実に吸着剤27と接触し、臭気成分22を吸着することができる。同時に、旋回する微細水滴10を吸着することで脱臭成分22を分解除去することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の水滴微細化装置を搭載した空気浄化装置を用いることにより、静電霧化により発生した大量のイオンを含んだ微細水滴をサイクロンで拡散させることで、少量の水でも十分な空気清浄能力を発揮することができるため、複数のサイクロン筒を有する必要がなく、また、大きなタンクを設置する必要がないことから装置の大幅な小型化が実現可能であり、また、活性基を含んだ微細水滴で臭気成分を分解するため、脱臭フィルタが不要もしくは脱臭フィルタの交換が不要となり、脱臭機能をメンテナンスフリーにすることが実現可能である。また、集塵フィルタとして洗浄再生可能な伝記集塵部を用いることで、フィルタ交換が全く必要なく、ランニングコストを極限まで低減した空気浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態1の水滴微細化装置の概略断面図
【図2】ノズル部の概略図
【図3】実施の形態2の空気浄化装置の概略断面図
【図4】同上の気液接触部内部の概略断面図
【図5】同上の電気集塵部の概略図
【図6】実施の形態3の空気浄化装置の概略断面図
【図7】実施の形態4の空気浄化装置の概略断面図
【図8】実施の形態5の空気浄化装置の概略断面図
【符号の説明】
【0046】
1 水滴微細化装置
2 貯水タンク
3 水
4 水路
5 ポンプ
6 ノズル
7 対向電極
8 電圧印加部
9 水柱
10 微細水滴
11 プレート
12 微小孔
13 支持体
14 空気浄化装置
15 空気導入口
16 気液接触部
17 電気集塵部
18 旋回流円筒
19 垂直流円筒
20 ファン
21 空気排出口
22 臭気成分
23 粉塵
24 粗大な粉塵
25 粗塵回収部
26 電極板
27 吸着剤
28 脱臭フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水タンクと貯水タンクに貯めた水をある一定の圧力で搬送し押出する小型のポンプと、前記ポンプによって押し出された水を噴霧するための導電性のノズルと、前記ノズルの近傍に配置された対向電極とを備え、前記ノズルおよび前記対向電極の間に電位差を与えて、前記ノズルより噴霧される水滴を微細化することを特徴とする水滴微細化装置と、前記水滴微細化装置を空気導入口に設けることを特徴とする気液接触部と、前記気液接触部に空気を取り込んで排出するための送風手段とを備えることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
気液接触部を、円錐を逆さにした逆円錐型の旋回流円筒と、前記旋回流円筒の中心部に、前記旋回流円筒よりも径が小さく、空気を排出する垂直流円筒を設ける構造とし、前記気液接触部の空気の流れにおける下流側に、一定の間隔で配列され、導電性を有し、交互に異なる電圧が印加される電極によって形成される電気集塵部を備えることを特徴とする請求項1記載の空気浄化装置。
【請求項3】
気液接触部の内部に、吸着剤を入れて攪拌することを特徴とする請求項1または2記載の空気浄化装置。
【請求項4】
気液接触部の内壁に吸着剤を固定化する、もしくは排気用円筒の内部に吸着剤を添着した吸着フィルタを設けることを特徴とする請求項1または2記載の空気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−280698(P2006−280698A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105886(P2005−105886)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】