説明

空気脱臭装置および空気脱臭機能付パネル

【課題】 空気から臭気成分を除去するための無光触媒ユニットを容易に装脱できる空気脱臭装置並びに空気清浄機能付仕切パネルを提供する。
【解決手段】 空気脱臭装置1は、送風ダクト中を圧送風または吸引送風される空気から臭気成分を無光触媒によって除去するものである。互いに嵌合接続される一方または他方の送風ダクト2,3の嵌合接続部7に、無光触媒ユニット9の装填部10を形成してある。装填部10には、送風ダクト3の開口端部6から無光触媒ユニット9を装脱する。送風ダクト2,3は熱可塑性樹脂をブロー成形して構成する。また空気脱臭機能付パネルをなすベッドのヘッドパネル16は、中空二重壁パネルの中空部18を無光触媒ユニット9および送風ユニット21により区分してその一方の中空部23に室内の空気を吸入し、無光触媒ユニット9を通して他方の中空部24から外気中に排出する過程で空気中の臭気を除去する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷房、暖房、換気などの空調用その他の送風設備において、送風ダクト中を圧送風または吸引送風される空気から臭気成分を無光触媒によって除去する空気脱臭装置、及び室内を仕切るパーティションなどの各種仕切パネル、ベッドのヘッドパネルなどの中空二重壁パネルに、無光触媒ユニットおよび送風ユニットを備えた空気脱臭ユニットを組み込み、一方から室内空気を吸い込み他方から排出する過程で空気中の臭気を除去する空気脱臭機能付パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷房、暖房、換気などの空調用その他の送風設備において、送風ダクト中を圧送風または吸引送風される空気から臭気成分を光触媒によって除去する空気脱臭装置としては、特開2001−96114公報、特開平11−157332号公報、特開平11−211209号公報、または特開2005−24127公報に記載されているものなどが知られている。またオフィスの空間を仕切るパーティション等の中空二重壁パネルであってその中空部を利用して空気清浄機能をもたせた空気清浄機能付仕切パネルは、特開平11−159034号公報、特開2005−21756公報に記載されている。
【0003】
しかしながら、前述の空気脱臭装置並びに空気清浄機能付仕切パネルではいずれも空気から臭気成分を除去するために光触媒ユニットを用いており、光触媒ユニットは触媒活性化のためのLED等の光源を内蔵させている。このため光触媒ユニットの構造が複雑となり、またメンテナンスのための点検や交換作業に非常な手間が掛かるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−96114公報
【特許文献2】特開平11−157332号公報
【特許文献3】特開平11−211209号公報
【特許文献4】特開2005−24127公報
【特許文献5】特開平11−159034号公報
【特許文献6】特開2005−21756公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、空気脱臭装置並びに空気清浄機能付仕切パネルにおいて、空気から臭気成分を除去するために光触媒の代わりに光線がなくても活性を発揮できるような無光触媒を使用することにより、装置を簡略化し、無光触媒ユニットの装脱を容易、迅速かつ的確にでき、かつメンテナンスの容易な空気脱臭装置並びに空気清浄機能付仕切パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る空気脱臭装置は、送風ダクト中を圧送風または吸引送風される空気から臭気成分を無光触媒によって除去する空気脱臭装置であって、互いに嵌合接続される一方または他方の送風ダクトの嵌合接続部に無光触媒ユニットの装填部を形成してあり、その装填部に送風ダクトの開口端から無光触媒ユニットを装脱するように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に係る空気脱臭装置は、請求項1記載の構成において、一方の送風ダクトに嵌合接続する他方の送風ダクトは分岐ダクトであって、無光触媒ユニットの装填部は分岐ダクトをなす他方の送風ダクトの嵌合接続部に形成して、その装填部に分岐ダクトをなす他方の送風ダクトの開口端から無光触媒ユニットを装脱するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3に係る空気脱臭装置は、請求項1または2記載の構成において、無光触媒ユニットの装填部を設けた送風ダクトには、その装填部に対応する部分に開閉蓋を備えた開口部を形成して、無光触媒ユニットを前記開口部からも装脱可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項4に係る空気脱臭装置は、請求項3記載の構成において、開口部の開閉蓋はヒンジ構造により開閉自在であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項5に係る空気脱臭機能付パネルは、中空二重壁パネルの中空部を無光触媒ユニットおよび送風ユニットにより区分してその一方の中空部に室内の空気を吸入し、無光触媒ユニットを通して清浄化したあと他方の中空部から室内に排出する過程で空気中の臭気を除去する空気脱臭機能付パネルであって、中空二重壁パネルの少なくとも一面に無光触媒ユニットおよび送風ユニットの装填窓を設け、この装填窓から無光触媒ユニットおよび送風ユニットを装脱するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項6に係る空気脱臭機能付パネルは、請求項5記載の構成において、無光触媒ユニットおよび送風ユニットを一体化して空気脱臭ユニットを構成し、この空気脱臭ユニットを装填窓から装脱するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項7に係る空気脱臭機能付パネルは、請求項5または6記載の構成において、中空二重壁パネルはベッドのヘッドパネルであって、一方の中空部および他方の中空部の外気に通じる開口部をヘッドパネルの前面に設けてあることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の無光触媒ユニットは、リン酸チタニウム系化合物などの酸化還元分解活性能を有する無光触媒を使用するもので、このリン酸チタニウム系化合物などの溶液を多孔質或いは網目状からなる触媒担持体に塗布、噴霧或いは浸漬して付着、乾燥し、ユニット内に装填してある。リン酸チタニウム系化合物は、四塩化チタンを水と炭素数1〜4のアルコールの混合溶液と反応させたのち、さらにリン酸と反応させて得られる化合物を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気脱臭装置並びに空気清浄機能付中空二重壁パネルにおいて、無光触媒ユニットおよび送風ユニットの装填窓を設け、この装填窓から無光触媒ユニットおよび送風ユニットを装脱するように構成し、更に空気から臭気成分を除去するために光触媒の代わりに光線がなくても活性を発揮できるような無光触媒を使用することにより、装置を簡略化し、無光触媒ユニットの装脱を容易、迅速かつ的確にでき、かつメンテナンスの容易な空気脱臭装置並びに空気清浄機能付仕切パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の一実施の形態に係る空気脱臭装置を示す斜視図、図2はその一部の断面図、図3は同上送風ダクトの端面図、図4は本発明の他の実施の形態に係る空気脱臭装置を示す斜視図である。
【0015】
図1ないし図3において、空気脱臭装置1は、一方の送風ダクト2と他方の送風ダクト3からなり、他方の送風ダクト3は分岐ダクトをなしており、4はその3つの分岐送風口である。一方の送風ダクト2は送風ユニット(図示せず)に接続されるものである。
【0016】
一方の送風ダクト2および他方の送風ダクト3は、熱可塑性樹脂をブロー成形してなるものであって、一方の送風ダクト2と他方の送風ダクト3は、図2に示すように嵌合接続される構造をなしている。すなわち、一方の送付ダクト2の開口部5には他方の送風ダクト3の開口端部6が被さるようになっていて、一方の送風ダクト2の開口部5に他方の送風ダクト3の開口部6を被せて互いを嵌合接続する構成となっている。そして、その嵌合接続部7の嵌合状態を密に保持するため、一方の送風ダクト2の開口部5にはパッキング8が装着されている。
【0017】
前記他方の送風ダクト3の嵌合接続部7には、その開口部6より内側に無光触媒ユニット9が開口端部6から装脱自在に装着されており、10はその装填部である。装填部10はその内方と外方にそれぞれ無光触媒ユニット9の係止部11,12が形成されており、外方の係止部12は無光触媒ユニット8を開口端部6から装填し、また開口端部6から取り外しできるようにするための弾性を有する突起である。
【0018】
以上のように構成された空気脱臭装置1においては、一方の送風ダクト2とそれと嵌合接続されている他方の送風ダクト3からなり、他方の送風ダクト3の嵌合接続部7の装填部10に無光触媒ユニット9が開口端部6から装脱自在となっているものであるから、無光触媒ユニット9の装填や交換にあたっては、一方の送風ダクト2と他方の送風ダクト3の嵌合接続を外すのみで、他方の送風ダクト3にその開口端部6から無光触媒ユニット9の装脱を容易、迅速かつ的確に行うことができる。
【0019】
図4に示す他の実施の形態においては、一方の送風ダクト(図示せず)に対して嵌合接続される他方の送風ダクト3の嵌合接続部7に、無光触媒ユニット9の装填部10に対応して、開閉蓋13を備えた開口部14を設けてあり、無光触媒ユニット9はこの開口部14を開いて装脱するができるようになっている。前記開閉蓋13は送風ダクト3に対してヒンジ15により開閉自在となっている。このヒンジ15はブロー成形時にパリソンを圧縮薄肉化した一体の薄肉ヒンジである。
【0020】
この実施の形態のものにおいては、開口部14の開閉蓋13を開くことにより、無光触媒ユニット9の装脱作業をいっそう簡便に行うことができる。また、開閉蓋13を開いて装填されている無光触媒ユニット9の状態を点検することができていっそう便利である。なお、この実施の形態のものにあっても、一方の送風ダクトと他方の送風ダクト3の嵌合接続を外して無光触媒ユニット9を開口端部6から装脱することができることは勿論である。
【0021】
図5は空気脱臭機能付パネルの本発明の一実施の形態に係るもので、ベッドのヘッドパネルの縦断側面図、図6は同上前側から見た斜視図、図7は同上内方から見た斜視図である。
【0022】
図示のベッドにおいて、16はヘッドパネルである。このヘッドパネル16は、熱可塑性樹脂をブロー成形してなる中空二重壁パネルであって、17はその前面、18は中空部、19,20は補強リブである。中空二重壁パネルからなるヘッドパネル16は、その中空部18が無光触媒ユニット9および送風ユニット21を一体化してなる空気脱臭ユニット22により一方の中空部23と他方の中空部24に区分されている。そして、ヘッドパネル16の一面、すなわち前面17にはその一方の中空部18を室内に通じさせた吸気口25が、かつ他方の中空部24を室内に通じさせた排気口26がそれぞれ開口されている。また、ヘッドパネル16の他の面、すなわち内方面には、空気脱臭ユニット22を中空部18内に装脱するための装填窓27が形成されており、中空部18のこの装填窓27に対応する部分は空気脱臭ユニット22を固定保持する装填部をなしている。
【0023】
無光触媒ユニット9は、無光触媒担持体28を備えており、また送風ユニット21は、送風ファン29およびフィルタ30を備えている。図中、31はベッドボトム、32はスプリングマットレスである。33は太陽電池であって、ヘッドパネル16の前面17に設けてある。この太陽電池33は送風ファン29の電源となるものである。
【0024】
図示の構成のものにおいて、送風ユニット21を駆動すると、一方の中空部23の吸気口25から室内の空気が吸入され、その吸入された空気は無光触媒ユニット9を通って他方の中空部24に吹き抜け、室内に通じている排気口26から排出される。そして、この空気の流通作用により無光触媒ユニット9を通る過程で空気中の臭気成分が除去され、排気口26からは脱臭された空気が排出される。
【0025】
ところで、図示の構成によれば、吸気口25および排気口26がヘッドパネル16の前面に設けてあってベッドの内方側には空気流を生じないので、ベッドを使っている人に不快感を与えず、周辺の空気の脱臭を効果的に行うことができる。また、無光触媒ユニット9および送風ユニット21を一体化した空気脱臭ユニット22は、ベッドの内方側の面から装脱するので、ベッド上に空気脱臭ユニット22を載せた状態で容易にその作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る空気脱臭装置を示す斜視図である。
【図2】図1における、その一部の断面図である。
【図3】図1における、送風ダクトの端面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る空気脱臭装置を示す斜視図である。
【図5】空気脱臭機能付パネルとしてベッドのヘッドパネルを例示した縦断側面図である。
【図6】図5における、前側から見た斜視図である。
【図7】図5における、内方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 空気脱臭装置
2 一方の送風ダクト
3 他方の送風ダクト
4 分岐送風口
5 開口部
6 開口端部
7 嵌合接続部
8 パッキング
9 無光触媒ユニット
10 装填部
11,12 係止部
13 開閉蓋
14 開口部
15 ヒンジ
16 ヘッドパネル
17 前面
18 中空部
19,20 補強リブ
21 送風ユニット
22 空気脱臭ユニット
23 一方の中空部
24 他方の中空部
25 吸気口
26 排気口
27 装填窓
28 無光触媒担持体
29 送風ファン
30 フィルタ
31 ベッドボトム
32 スプリングマットレス
33 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ダクト中を圧送風または吸引送風される空気から臭気成分を無光触媒によって除去する空気脱臭装置であって、互いに嵌合接続される一方または他方の送風ダクトの嵌合接続部に無光触媒ユニットの装填部を形成してあり、その装填部に送風ダクトの開口端から無光触媒ユニットを装脱するように構成されていることを特徴とする空気脱臭装置。
【請求項2】
一方の送風ダクトに嵌合接続する他方の送風ダクトは分岐ダクトであって、無光触媒ユニットの装填部は分岐ダクトをなす他方の嵌合接続部に形成して、その装填部に分岐ダクトをなす他方の送風ダクトの開口端から無光触媒ユニットを装脱するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の空気脱臭装置。
【請求項3】
無光触媒ユニットの装填部を設けた送風ダクトには、その装填部に対応する部分に開閉蓋を備えた開口部を形成して、無光触媒ユニットを前記開口部からも装脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の空気脱臭装置。
【請求項4】
開口部の開閉蓋はヒンジ構造により開閉自在であることを特徴とする請求項3記載の空気脱臭装置。
【請求項5】
中空二重壁パネルの中空部に無光触媒ユニット及び送風ユニットを組み込み、その一方から室内の空気を吸入し、無光触媒ユニットを通して清浄化後他方から室内に排出する過程で空気中の臭気を除去する空気脱臭機能付パネルであって、中空二重壁パネルの少なくとも一面に無光触媒ユニットおよび送風ユニットの装填窓を設け、この装填窓から無光触媒ユニットおよび送風ユニットを装脱するように構成されていることを特徴とする空気脱臭機能付パネル。
【請求項6】
無光触媒ユニットおよび送風ユニットを一体化して空気脱臭ユニットを構成し、この空気脱臭ユニットを装填窓から装脱するように構成したことを特徴とする請求項5記載の空気脱臭機能付パネル。
【請求項7】
中空二重壁パネルはベッドのヘッドパネルであって、一方の中空部および他方の中空部の外気に通じる開口部をヘッドパネルの前面に設けてあることを特徴とする請求項5または6記載の空気脱臭機能付パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−305131(P2006−305131A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132474(P2005−132474)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】