説明

空気調和機用室内機

【課題】コンパクト化を実現することができる空気調和機用室内機を提供する。
【解決手段】室内機11は、送風機13と、送風機13の両サイドに配置された一対の熱交換器15と、電装品保持部51と、送風機13、電装品保持部51及び一対の熱交換器15を収容し、両サイドに一対の吹出口25bを有するケース20と、冷媒配管を収容するための収容部58Bと、を備えている。収容部58Bは、送風機13及び一対の熱交換器15の下方に設けられている。電装品保持部51は、収容部58Bに対して前方に並ぶ位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機用室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ターボファンの両サイドに熱交換器を配置して薄型化を図った室内機が提案されている。この室内機では、ケースの前面からケース内に吸い込まれた空気は、熱交換器を通過し、ケースの前面に設けられた吹出口から前方に吹き出される。特許文献1に開示されている室内機では、一対の熱交換器同士をつなぐ冷媒配管をドレンパン内に配置することにより、冷媒配管用のスペースを別途確保する必要がなくなるので、コンパクト化することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、室内機に対しては、引き続きコンパクト化を実現することが望まれているが、特許文献1では、電装品、室外機との接続に用いられる冷媒配管(連絡配管)などの室内機に必須の他の構成部品の配置については考慮されていない。これらの構成部品の配置は、コンパクト化を実現するうえで重要な要素となる。
【0005】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクト化を実現することができる空気調和機用室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の空気調和機用室内機は、送風機(13)と、前記送風機(13)の両サイドに配置された一対の熱交換器(15)と、電装品を保持する電装品保持部(51)と、前記送風機(13)、前記電装品保持部(51)及び前記一対の熱交換器(15)を収容し、両サイドに一対の吹出口(25b)を有するケース(20)と、冷媒配管(57)を収容するための収容部(58B)と、を備えている。前記収容部(58B)は、前記送風機(13)及び前記一対の熱交換器(15)の下方に設けられている。前記電装品保持部(51)は、前記収容部(58B)に対して前方に並ぶ位置に配置されている。
【0007】
この構成では、送風機(13)から両サイドの熱交換器に送られた空気がケース(20)の両サイドの吹出口(25b)から吹き出される構造を有する室内機において、電装品保持部(51)と、冷媒配管(57)を収容するための収容部(58B)とが送風機(13)及び一対の熱交換器(15)の下方に配置されている。したがって、電装品保持部(51)及び収容部(58B)の配置に起因して前後方向の厚み及び左右方向の幅が増加するのを抑制できる。しかも、送風機(13)及び一対の熱交換器(15)の下方において、電装品保持部(51)は、収容部(58B)に対して前方に並ぶ位置に配置されているので、上下方向の高さの増加も極力小さく抑えることができる。さらに、電装品保持部(51)が前方に配置されているので、作業者は室内機の前方において電装品保持部(51)のメンテナンス作業をしやすい。
【0008】
(2)前記空気調和機用室内機において、前記収容部(58B)が前記ケース(20)の背面から前方に凹む凹部である場合には、作業者は、例えば室外機との接続に用いられる冷媒配管(連絡配管)を前記凹部から後方に簡単に取り出すことができる。したがって、室外機との接続作業の効率が向上する。
【0009】
(3)前記空気調和機用室内機において、前記一対の熱交換器(15)の下方に配置されたドレンパン(30)をさらに備え、前記ケース(20)は、底板(21)を有し、前記電装品保持部(51)及び前記収容部(58B)は、前記ドレンパン(30)と前記底板(21)との間に位置しており、前記ドレンパン(30)の下面は、前記収容部(58B)における上部を区画しており、前記底板(21)の上面は、前記収容部(58B)における下部を区画しているのが好ましい。
【0010】
この構成では、収容部(58B)における上部及び下部がドレンパン(30)の下面及び底板(21)の上面によってそれぞれ区画されているので、収容部(58B)における上部及び下部を区画するための別部材を別途用意する必要がない。これにより、分品点数を削減できるとともに、別部材を配置するためのスペースが不要になるので、さらなるコンパクト化を実現できる。
【0011】
(4)前記空気調和機用室内機において、前記電装品保持部(51)は、前記電装品を収容する電装品ケースを含み、前記電装品ケースの背面は、前記収容部(58B)における前側端部を区画しているのが好ましい。
【0012】
この構成では、収容部(58B)における前側端部が電装品ケースの背面によって区画されているので、収容部(58B)における前側端部を区画するための別部材を別途用意する必要がない。これにより、分品点数を削減できるとともに、別部材を配置するためのスペースが不要になるので、さらなるコンパクト化を実現できる。
【0013】
(5)前記空気調和機用室内機において、前記収容部(58B)は、前記ケース(20)の背面に開口する開口部(61)を有し、前記ドレンパン(30)は、前記一対の熱交換器(15)の下部に対向する底部(30D)と、前記底部(30D)の後縁から上方に起立する後壁(30B)とを含み、前記底部(30D)と前記後壁(30B)との境界部分は、前記開口部(61)の上縁を区画しており、後方に向かうほど前記開口部(61)の上下方向の開口幅が大きくなるように湾曲した外面を有しているのが好ましい。
【0014】
この構成では、前記境界部分が湾曲した外面を有しているので、開口部(61)を通じて収容部(58B)に冷媒配管(57)を収容する作業又は収容部(58B)から冷媒配管(57)を取り出す作業の効率が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空気調和機用室内機のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機用室内機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す空気調和機用室内機の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図2のIV-IV線断面図である。
【図5】(A)は、前記空気調和機用室内機の内部構造を説明するための概略正面図であり、(B)は、前記空気調和機用室内機の概略背面図である。
【図6】前記空気調和機用室内機の熱交換器を示す斜視図である。
【図7】前記空気調和機用室内機の内部構造を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機用室内機11について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、この室内機11は、送風機13と、この送風機13の両サイドに配置された一対の熱交換器15,15と、送風機13及び熱交換器15,15の下方Dに配置されたドレンパン30と、これらを収容するケース20とを備えている。なお、以下の説明では、室内機11の上方U、下方D、右方R、左方L、前方F及び後方Bを、図1及び図2において矢印で示す方向とする。
【0018】
ケース20は、前後方向の厚みが薄く、上下方向の高さよりも左右方向の幅の方が大きな直方体形状を有している。この室内機11は、回転軸の軸方向Aが前後方向に向いた姿勢で斜流送風機、遠心送風機などの送風機13(本実施形態では斜流送風機)をケース20内に配置することにより、クロスフローファンを用いる場合に比べて前後方向に薄型化されている。また、この室内機11は、熱交換器15を前後方向に対して傾斜させてケース20内に配置することにより、前後方向に薄型化されている。また、この室内機11は、送風機13の両サイドに熱交換器15を配置することにより、上下方向に小型化されている。この室内機11では、ケース20の前部から吸い込まれた空気は、送風機13の半径方向外側に流れ、右方R又は左方Lの熱交換器15において熱交換された後、ケース20の両サイドから室内に吹き出される(図4参照)。
【0019】
図1、図3及び図5(A),(B)に示すように、ケース20は、底板21、天板22、右側板23、左側板24、化粧前板25、背板26及びベルマウス28を有している。化粧前板25は、吸込口開閉板251と、この吸込口開閉板251の両サイドに配置された一対の吹出口開閉板252,252とを含む。
【0020】
吸込口開閉板251は、送風機13の前方Fに配置されており、化粧前板25の大半の領域を占める矩形状を有している。右側の吹出口開閉板252は、右側の熱交換器15の前方Fに配置されており、上下方向に長い矩形状を有している。左側の吹出口開閉板252は、左側の熱交換器15の前方Fに配置されており、上下方向に長い矩形状を有している。
【0021】
背板26の右サイドには、右方Rにいくにつれて前方Fに位置するように傾斜した傾斜壁26Rが設けられており、右側の熱交換器15は、その側部が傾斜壁26Rに隣接するように配置されている。背板26の左サイドには、左方Lにいくにつれて前方Fに位置するように傾斜した傾斜壁26Lが設けられており、左側の熱交換器15は、その側部が傾斜壁26Lに隣接するように配置されている(図2及び図4)。傾斜壁26Rの外側にはコーナー枠27が配置されている。
【0022】
ベルマウス28は、前後方向に円形に開口する吸込口25aを有しており、化粧前板25と送風機13の間に配置されている。ケース20には、ケース20内の空気を室内に吹き出すための一対の吹出口25bが設けられている。一対の吹出口25bは、正面視で吸込口25aの右方Rと左方Lに設けられており、吹出口開閉板252,252の真後ろに位置している。
【0023】
吸込口開閉板251は、底板21及び天板22に対して前後方向に進退移動可能に図略の支持部材を介して底板21及び天板22に支持されている。吸込口開閉板251は、室内機11の未使用時には、図1において実線で示すように吸込口25aを閉じた閉状態にある。一方、室内機11の使用時には、図1において二点鎖線で示すように吸込口開閉板251が前方Fに移動し、吸込口開閉板251の上縁部251a、下縁部251b及び側縁部と、底板21の前縁部21a、天板22の前縁部22a及び吹出口開閉板252,252の側縁部との間に隙間が形成され、これらの隙間から空気がケース20内に流入する。
【0024】
右側の吹出口開閉板252は、その左縁部252aを中心に回動可能に底板21の前縁部21a及び天板22の前縁部22aに支持されている。室内機11の未使用時には、図1において実線で示すように吹出口25bが吹出口開閉板252によって閉じられた状態である。一方、室内機11の使用時には、左縁部252aを中心に吹出口開閉板252が前方Fに回動し、図1において二点鎖線で示すように吹出口開閉板252の右縁部252bと右側板23の前縁部23aとの間に隙間が形成され、この隙間からケース20内の空気が室内に流出する。左側の吹出口開閉板252の動作もこれと同様である。
【0025】
ドレンパン30は、送風機13及び一対の熱交換器15の下方に配置されている。ドレンパン30は、上部が開口し、水を収容する水収容空間33を有している。水収容空間33は、右側の熱交換器15と、左側の熱交換器15とにまたがる範囲に設けられている。ドレンパン30は、一対の熱交換器15の下端部に対向する底部30Dと、この底部30Dの周縁から上方に起立する壁部とを有している。底部30Dは、ケース20の底板21に対して平行な平板状の部位である。水収容空間33は、底部30Dと壁部とによって区画される空間である。
【0026】
壁部は、底部30Dの前縁から起立する前壁30Fと、底部30Dの後縁から起立する後壁30Bと、底部30Dの右縁から起立する右壁30Rと、底部30Dの左縁から起立する左壁30Lとを含む。右壁30Rは、右側の熱交換器15よりも右方Rに位置しており、左壁30Lは、左側の熱交換器15よりも左方Lに位置している。
【0027】
ドレンパン30は、ドレンパン本体31と、このドレンパン本体31の外面のほぼ全体を覆う断熱材32とを含む二層構造を有している。ドレンパン本体31は、ケース20の背板26と一体成形されており、ドレンパン本体31の本体後壁と背板26とがつながっている(図3)。
【0028】
図3及び図5(A),(B)に示すように、ドレンパン30は、ケース20の底板21よりも高い位置に配置されており、ドレンパン30の下面とケース20の底板21の上面との間には収容空間58が形成されている。ケース20は、底板21及びドレンパン30の前壁30Fの前方Fに配置された下部前板29をさらに有している。この下部前板29は、収容空間58の前側開口部を開閉可能である。収容空間58は、下部前板29の内面、底板21の上面、右側板23の内面、左側板24の内面及びドレンパン30の下面によって区画された扁平な直方体形状を有している。収容空間58は、後方Bに開口する開口部61を有している。
【0029】
収容空間58は、電装品保持部としての電装品ケース51を収容する前側収容部58Aと、この前側収容部58Aの後方Bに並び、ドレンホース56や冷媒配管57を収容する後側収容部58Bとを含む。後側収容部58Bは、背板26から前方Fに凹む凹部である。後側収容部58Bは、ケース20の背面に開口する開口部61を有している。作業者は、必要に応じてこの開口部61を通じてドレンホース56や冷媒配管57などを取り出し可能である。冷媒配管57としては、例えば室内機11と図略の室外機とを接続する冷媒の連絡配管が挙げられる。また、作業者は、メンテナンス時などには、ケース20の下部前板29を開いて電装品の設定などを行うことができる。
【0030】
図2、図3及び図5(A)に示すように、電装品ケース51は、上下方向の厚みが小さい扁平な直方体形状を有している。電装品ケース51内には電装品が保持されている。電装品ケース51は、ケース20の底板21上に載置されている。電装品ケース51の右側面は、ケース20の右側板23に近い位置にあり、右側板23に対向している。電装品ケース51の左側面は、ケース20の左側板24に近い位置にあり、左側板24に対向している。電装品ケース51の上面は、ドレンパン30の下面に近い位置にあり、この下面に対向している。電装品ケース51の背面51Bは、収容空間58の前後方向の中央付近に位置しており、後側収容部58Bの前側端部を区画している。
【0031】
図3及び図5(B)に示すように、ドレンパン30の後側の下部、すなわち底部30Dと後壁30Bとがつながる部位(後方下部)30BDの外面は、外側に凸の湾曲形状を有している。ドレンパン30の後方下部30BDは、ドレンパン本体31と断熱材32とが共に湾曲している。ドレンパン30の後方下部30BDは、開口部61の上縁を区画しており、後方Bに向かうほど開口部61の上下方向の開口幅が大きくなる。これにより、開口部61を通じて後側収容部58Bにドレンホース56や冷媒配管57を収容する作業又は後側収容部58Bからドレンホース56や冷媒配管57を取り出す作業の効率が向上する。
【0032】
底板21の上面には、ドレンホース56や冷媒配管57などを載置する載置部55が設けられている。この載置部55は、板状の部材であり、前後方向の中程から屈曲しており、この屈曲部分から後方Bに向かうにつれて上方Uに位置するように斜め上方に傾斜している。これにより、載置部55に載置されたドレンホース56や冷媒配管57は、開口部61からケース20の外に出るのが抑制され、後側収容部58B内に保持される。
【0033】
図2〜図4に示すように、本実施形態の送風機13は、その回転軸の軸方向Aが前後方向に向く姿勢でケース20内に配置された斜流送風機である。送風機13は、羽根車131とこの羽根車131を回転させるモータ132とを備えている。モータ132は、ケース20の背板26の内面に固定されている。羽根車131は、モータ132の回転軸に固定されたハブ131aと、ベルマウス28の後端が挿入された開口部を有するシュラウド131bと、このシュラウド131bとハブ131aとの間に周方向に沿って配列された複数の羽根131cとを含む(図3)。
【0034】
モータ132によって羽根車131が回転すると、図4に二点鎖線で示すように、吸込口25aからケース20内に吸い込まれた空気は、後方Bに向かって羽根車131に流入し、羽根車131内を斜め後方に進み、羽根車131から半径方向外側に流出する。そして、この流出した空気は、右側の熱交換器15又は左側の熱交換器15を通過して右側の吹出口25b又は左側の吹出口25bから室内に吹き出される。
【0035】
右側の熱交換器15は、送風機13の右方Rに配置され、左側の熱交換器15は、送風機13の左方Lに配置されている。各熱交換器15は、送風機13よりも空気の流れ方向の下流側に位置している。各熱交換器15は、上下方向に長い直方体形状を有しており、下端部がドレンパン30内に位置し、上端部が天板22に近接又は当接している。図4に示すように、右側の熱交換器15は、前面部15Fが後面部15Bよりも左方Lに位置するように前後方向に対して傾斜して配置されている。同様に、左側の熱交換器15は、前面部15Fが後面部15Bよりも右方Rに位置するように前後方向に対して傾斜して配置されている。
【0036】
図6に示すように、各熱交換器15は、扁平な形状を有する複数の金属管16と、複数の伝熱フィン17とを備えている。各伝熱フィン17は、金属管16,16同士の間に配置されている。各金属管16には、上下方向に延びる図略の冷媒流路が形成されている。本実施形態の熱交換器15は、小型で熱交換の効率が高いマイクロチャネル式などの熱交換器(例えばアルミニウム製積層型熱交換器)である。金属管16は、複数の冷媒流路が形成された多穴管であり、伝熱フィン17は、コルゲートフィン(波形のフィン)である。
【0037】
各熱交換器15は、空気と冷媒とが熱交換する熱交換領域151と、熱交換領域151よりも下方Dに設けられた下側ヘッダー部152と、熱交換領域151よりも上方Uに設けられた上側ヘッダー部153とを、熱交換領域151と下側ヘッダー部152との間に位置する金属管領域154と有している。ヘッダー部152,154は、複数の金属管16を流れる冷媒が分流又は合流する部位である。下側ヘッダー部152には、一対の熱交換器15,15同士を連絡する冷媒配管152a,152bが接続されている。
【0038】
熱交換領域151は、複数の金属管16と複数の伝熱フィン17とが水平方向に並んでいる領域である。金属管領域154は、伝熱フィン17と金属管16のうち金属管16のみが設けられている領域である。すなわち、金属管領域154は、金属管16,16同士の間に伝熱フィン17が配置されていない領域である。
【0039】
図2〜図4に示すように、室内機11は、一対の過冷却熱交換器53,53をさらに備えている。各過冷却熱交換器53は、送風機13と熱交換器15との間に配置されている。冷媒は冷房運転時に過冷却熱交換器53によって過冷却される。
【0040】
図7に示すように、ドレンパン30の水収容空間33は、一対の熱交換器15,15に対して空気の流れの上流側に位置する上流側空間331と、右側の熱交換器15に対して空気の流れの下流側に位置する右下流側空間332と、左側の熱交換器15に対して空気の流れの下流側に位置する左下流側空間333とを含む。
【0041】
上流側空間331は、右側の熱交換器15の内側部と、左側の熱交換器15の内側部との間の領域である。右下流側空間332は、右側の熱交換器15の外側部よりも右方Rの領域である。左下流側空間333は、左側の熱交換器15の外側部よりも左方Lの領域である。本実施形態の場合、図4に示すように各熱交換器15が傾斜して配置されているので、右側の熱交換器15の内側部とは、この熱交換器15の前面部15F及び左面部15Lをいい、左側の熱交換器15の内側部とは、この熱交換器15の前面部15F及び右面部15Rをいう。また、右側の熱交換器15の外側部とは、この熱交換器15の右面部15Rといい、左側の熱交換器15の外側部とは、この熱交換器15の左面部15Lという。
【0042】
図7に示すように、水収容空間33は、上流側空間331と右下流側空間332との間の熱交換器配置空間334と、上流側空間331と左下流側空間333との間の熱交換器配置空間335と、をさらに含む。右側の熱交換器配置空間334には、右側の熱交換器15の下端部が配置されており、左側の熱交換器配置空間335には、左側の熱交換器15の下端部が配置されている。本実施形態では、各熱交換器配置空間には、対応する熱交換器15の下側ヘッダー部152が配置されている。各下側ヘッダー部152の下端とドレンパン30の底部30Dとの間には隙間が形成されている。
【0043】
図2及び図3に示すように、本実施形態の室内機11は、送風機13から各熱交換器15までの空気流路とドレンパン30の水収容空間33(上流側空間331)とを仕切る仕切り部材41をさらに備えている。この仕切り部材41によって上流側空間331の上部が塞がれている。
【0044】
仕切り部材41は、ドレンパン30の前壁30Fと後壁30Bとの間に架け渡されるように水平方向に配置された板状の部材である。仕切り部材41は、その前縁から下方に板状に延びる前支持部42と、後縁から下方に板状に延びる後支持部43とにより支持されている。前支持部42の下端は、ドレンパン本体31の本体前壁の下端部の内面から後方Bに突出した載置部311に載置されている。後支持部43の下端は、ドレンパン本体31の本体後壁の内面から前方Fに突出した載置部312に載置されている。このようにして仕切り部材41はドレンパン30に対して位置決めされている。
【0045】
図3及び図7に示すように、各熱交換器15の下側ヘッダー部152及び金属管領域154、並びに熱交換器15同士をつなぐ冷媒配管152a,152bは、仕切り部材41よりも下方に配置されており、ドレンパン30の水収容空間33に位置している。図7に示すように、水収容空間33の各空間、すなわち上流側空間331、右下流側空間332、左下流側空間333及び熱交換器配置空間334,335は、互いに連通しているので、熱交換器15同士をつなぐ冷媒配管152a,152bを水収容空間33内に配置することができる。しかも、水収容空間33に収容された水(結露水)Wをドレンパン30から排出するための図略の排出手段(排水口やドレンホース)を1つ設けるだけでよい。
【0046】
図4に示すように、水収容空間33の右下流側空間332の上部及び左下流側空間333の上部は開口している。したがって、熱交換器15から空気の流れの下流側に飛散する結露水をドレンパン30の水収容空間33に適切に導くことができる。具体的には次の通りである。
【0047】
送風機13の羽根車131から半径方向外側に流出した空気は、図4において二点鎖線の矢印によって示すように右方R又は左方Lに流れ、右側の熱交換器15又は左側の熱交換器15を通過する。このとき、熱交換器15の金属管16やフィン17に結露した水が付着している場合には、この結露水は、熱交換器15を通過する気流の方向に力を受けるので、熱交換器15から空気の流れの下流側に飛散することがある。本実施形態では、各熱交換器15の下流側において上部が開口した水収容空間33が設けられているので、下流側に飛散した結露水が放物線を描きながらドレンパン30に落下して水収容空間33に収容される。
【0048】
<実施形態の概要>
本実施形態をまとめると以下のようになる。
【0049】
本実施形態では、電装品保持部51と、冷媒配管を収容するための収容部58Bとが送風機13及び一対の熱交換器15の下方に配置されている。したがって、電装品保持部51と収容部58Bとを配置することに起因して前後方向の厚み及び左右方向の幅が増加するのを抑制できる。しかも、送風機13及び一対の熱交換器15の下方において、電装品ケース51は、後側収容部58Bに対して前方Fに並ぶ位置に配置されているので、上下方向の高さの増加も極力小さく抑えることができる。さらに、電装品保持部51が前方に配置されているので、作業者は室内機11の前方において電装品のメンテナンス作業をしやすい。
【0050】
本実施形態では、収容部58Bは、ケース20の背面から前方に凹む凹部であるので、作業者は、例えば室外機との接続に用いられる冷媒配管(連絡配管)を前記凹部から後方に簡単に取り出すことができる。したがって、室外機との接続作業の効率が向上する。
【0051】
本実施形態では、一対の熱交換器15の下方に配置されたドレンパン30をさらに備え、ケース20は、底板21を有し、電装品保持部51及び収容部58は、ドレンパン30と底板21との間に位置しており、ドレンパン30の下面は、収容部58における上部を区画しており、底板21の上面は、収容部58における下部を区画している。したがって、収容部58における上部及び下部を区画するための別部材を別途用意する必要がない。これにより、部品点数を削減できるとともに、別部材を配置するためのスペースが不要になるので、さらなるコンパクト化を実現できる。
【0052】
本実施形態では、電装品保持部51は、電装品を収容する電装品ケースを含み、電装品ケースの背面は、収容部58Bにおける前側端部を区画している。したがって、収容部58Bにおける前側端部を区画するための別部材を別途用意する必要がない。これにより、分品点数を削減できるとともに、別部材を配置するためのスペースが不要になるので、さらなるコンパクト化を実現できる。
【0053】
本実施形態では、収容部58Bは、ケース20の背面に開口する開口部61を有し、ドレンパン30は、一対の熱交換器15の下部に対向する底部30Dと、底部30Dの後縁から上方に起立する後壁30Bとを含み、底部30Dと後壁30Bとの境界部分は、開口部61の上縁を区画しており、後方に向かうほど開口部61の上下方向の開口幅が大きくなるように湾曲した外面を有している。したがって、開口部61を通じて収容部58Bに冷媒配管57を収容する作業又は収容部58Bから冷媒配管57を取り出す作業の効率が向上する。
【0054】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0055】
例えば、前記実施形態では、送風機13として斜流送風機を用いた場合を例示したが、これに限定されない。送風機13としては、例えばターボファン、多翼ファンなどの遠心送風機などを用いてもよい。
【0056】
前記実施形態では、開閉可能な化粧前板25を備えている場合を例示したが、これに限定されない。このような化粧前板25は省略することもできる。また、化粧前板25に代えて例えばグリルなどを設けてもよい。
【0057】
前記実施形態では、一対の吹出口25bがケース20の前部に設けられている場合を例示したが、これに限定されない。吹出口25bは、例えばケース20の側部に設けられていてもよく、また、ケース20の天部に設けられていてもよい。
【0058】
前記実施形態では、熱交換器15として多穴管とコルゲートフィンとを積層したアルミ積層型熱交換器を用いる場合を例示したが、これに限定されない。熱交換器15としては、例えばクロスフィン熱交換器などの他の熱交換器を用いることもできる。
【符号の説明】
【0059】
11 空気調和機用室内機
13 送風機
15 熱交換器
20 ケース
21 底板
22 天板
23 右側板
24 左側板
25 化粧前板
251 吸込口開閉板
252 吹出口開閉板
25a 吸込口
25b 吹出口
26 背板
30 ドレンパン
31 ドレンパン本体
32 断熱材
33 水収容空間
41 仕切り部材
51 電装品収容ケース
58 収容空間
58A 前側収容部
58B 後側収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機(13)と、
前記送風機(13)の両サイドに配置された一対の熱交換器(15)と、
電装品を保持する電装品保持部(51)と、
前記送風機(13)、前記電装品保持部(51)及び前記一対の熱交換器(15)を収容し、両サイドに一対の吹出口(25b)を有するケース(20)と、
冷媒配管(57)を収容するための収容部(58B)と、を備え、
前記収容部(58B)は、前記送風機(13)及び前記一対の熱交換器(15)の下方に設けられており、
前記電装品保持部(51)は、前記収容部(58B)に対して前方に並ぶ位置に配置されている、空気調和機用室内機。
【請求項2】
前記収容部(58B)は、前記ケース(20)の背面から前方に凹む凹部である、請求項1に記載の空気調和機用室内機。
【請求項3】
前記一対の熱交換器(15)の下方に配置されたドレンパン(30)をさらに備え、
前記ケース(20)は、底板(21)を有し、
前記電装品保持部(51)及び前記収容部(58B)は、前記ドレンパン(30)と前記底板(21)との間に位置しており、
前記ドレンパン(30)の下面は、前記収容部(58B)における上部を区画しており、前記底板(21)の上面は、前記収容部(58B)における下部を区画している、請求項1又は2に記載の空気調和機用室内機。
【請求項4】
前記電装品保持部(51)は、前記電装品を収容する電装品ケースを含み、
前記電装品ケースの背面は、前記収容部(58B)における前側端部を区画している、請求項3に記載の空気調和機用室内機。
【請求項5】
前記収容部(58B)は、前記ケース(20)の背面に開口する開口部(61)を有し、
前記ドレンパン(30)は、前記一対の熱交換器(15)の下部に対向する底部(30D)と、前記底部(30D)の後縁から上方に起立する後壁(30B)とを含み、
前記底部(30D)と前記後壁(30B)との境界部分は、前記開口部(61)の上縁を区画しており、後方に向かうほど前記開口部(61)の上下方向の開口幅が大きくなるように湾曲した外面を有している、請求項3又は4に記載の空気調和機用室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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