説明

空気調和機

【課題】側方に向かう空気の吹き出しを調整することができる空気調和機の提供。
【解決手段】空気調和機1は、吹出口15が形成されている室内機ケーシング12を有する室内機本体11と、吹出口15付近の空間S1の正面側を覆うことが可能な上下風向調整羽根30と、空間S1の側面側を覆うことが可能な側方遮蔽部材20,90と、第1移動機構50と、第2移動機構29,99とを備えている。第1移動機構50は、空間S1の正面側が覆われている状態から空間S1の正面側が開放されている状態となるように、上下風向調整羽根30を移動させることが可能である。第2移動機構29,99は、空間S1の側面側が覆われている状態から空間S1の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材20,90を移動させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和機において、吹出口から吹き出される空気の風向を変更可能な上下風向調整羽根を備える室内機がある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平8−178407号公報)に開示されている空気調和機(室内機に相当)は、吹出口が形成されている室内ユニット本体と、吹出口から吹き出される空気の上下方向の風向を変更する上下風向変更羽根(上下風向調整羽根に相当)と、吹出口から吹き出される空気の左右方向の風向を変更する左右風向変更羽根とを備えている。また、吹出口は室内ユニット本体の前面側から側面側に向かって延びるように形成されている。このため、この空気調和機では、上下風向変更羽根および左右風向変更羽根によって規制を受けることで、室内機から側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている空気調和機では、吹出口のうち、室内ユニット本体の前面側に位置する部分は上下風向変更羽根によって覆われているが、室内ユニット本体の側面側に位置する部分は上下風向変更羽根によって覆われていない構造になっている。言い換えると、この空気調和機では、室内ユニット本体の内部空間と室内ユニット本体の外部空間とが、吹出口のうちの室内ユニット本体の側面側に位置する部分を介して常に連通している。このため、この空気調和機において空気流が生成される場合には、吹出口のうちの室内ユニット本体の側面側に位置する部分から空気が吹き出される可能性がある。したがって、空気の吹き出し方向を室内機の前方のみに設定したい場合であっても、室内機の側方にも空気が吹き出される。
【0005】
そこで、本発明の課題は、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る空気調和機は、本体と、上下風向調整羽根と、側方遮蔽部材と、第1移動機構と、第2移動機構とを備えている。本体は、吹出口が形成されているケーシングを有する。上下風向調整羽根は、吹出口付近の空間の正面側を覆うことが可能である。側方遮蔽部材は、上下風向調整羽根とは別の部材である。また、側方遮蔽部材は、前記空間の側面側を覆うことが可能である。第1移動機構は、前記空間の正面側が覆われている状態から前記空間の正面側が開放されている状態となるように、上下風向調整羽根を移動させることが可能である。第2移動機構は、前記空間の側面側が覆われている状態から前記空間の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材を移動させることが可能である。
【0007】
第1発明に係る空気調和機では、第2移動機構によって、前記空間の側面側が覆われている状態から前記空間の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材が移動される。このため、吹出口近傍の空間の側面側を遮蔽したり開放したりすることができる。
【0008】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができる。
【0009】
第2発明に係る空気調和機は、第1発明の空気調和機であって、第2移動機構は、側方遮蔽部材を本体に対して上下方向にスライド移動させる。このため、この空気調和機では、側方遮蔽部材を本体に対して上下方向にスライド移動させることができる。
【0010】
第3発明に係る空気調和機は、第1発明の空気調和機であって、第2移動機構は、側方遮蔽部材を本体に対して前後方向にスライド移動させる。このため、この空気調和機では、側方遮蔽部材を本体に対して前後方向にスライド移動させることができる。
【0011】
第4発明に係る空気調和機は、第1発明の空気調和機であって、側方遮蔽部材は、前記空間の前部を覆うことが可能な前羽根部と、前羽根部の両端部近傍から本体の後方向に延びる延長部とを有する。このため、この空気調和機では、側方遮蔽部材によって空間の前部を覆うことができる。
【0012】
第5発明に係る空気調和機は、第1発明の空気調和機であって、第2移動機構は、側方遮蔽部材を、側方遮蔽部材の回転軸を中心に回転させて移動させる。このため、この空気調和機では、回転軸を中心に側方遮蔽部材を回転させて移動させることができる。
【0013】
第6発明に係る空気調和機は、第1発明から第5発明のいずれかの空気調和機であって、第1移動機構および第2移動機構の駆動を制御する制御部を更に備える。また、側方遮蔽部材と上下風向調整羽根とは近接して配置されている。さらに、制御部は、前記空間の側面側が覆われている状態から前記空間の側面側が開放されている状態となるように側方遮蔽部材が移動される場合には、前記空間の正面側が開放されている状態となるように前記上下風向調整羽根が移動された後に前記側方遮蔽部材の前記移動が開始されるように、第1移動機構および第2移動機構の駆動を制御する。このため、前記空間の側面側が覆われている状態から前記空間の側面側が開放されている状態となるように側方遮蔽部材が移動される場合に、側方遮蔽部材と上下風向調整羽根とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0014】
第7発明に係る空気調和機は、第1発明から第6発明のいずれかの空気調和機であって、側方遮蔽部材と上下風向調整羽根とは、側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われており上下風向調整羽根によって空間の正面側が覆われている場合には、側方遮蔽部材の少なくとも一部の外面と上下風向調整羽根の外面とが略一面状になるように配置される。このため、側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われており上下風向調整羽根によって空間の正面側が覆われている場合に、外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
【0015】
第8発明に係る空気調和機は、第1発明から第7発明のいずれかの空気調和機であって、ケーシングは、凹部を含む。凹部は、側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われている状態であるときに、側方遮蔽部材を収容可能である。また、凹部は、側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われている場合には、側方遮蔽部材の外面とケーシングの外面とが略一面状となるように構成されている。このため、側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われている場合に、外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
【0016】
第9発明に係る空気調和機は、第1発明から8発明のいずれかの空気調和機であって、第2移動機構は、側方遮蔽部材を前記空間の側面側が開放されている状態となるように移動させた時に、側方遮蔽部材を収納可能な収納部を有する。このため、この空気調和機では、移動された側方遮蔽部材を収納することができる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明に係る空気調和機では、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができる。
【0018】
第2発明に係る空気調和機では、側方遮蔽部材を本体に対して上下方向にスライド移動させることができる。
【0019】
第3発明に係る空気調和機では、側方遮蔽部材を本体に対して前後方向にスライド移動させることができる。
【0020】
第4発明に係る空気調和機では、側方遮蔽部材によって空間の前部を覆うことができる。
【0021】
第5発明に係る空気調和機では、回転軸を中心に側方遮蔽部材を回転させて移動させることができる。
【0022】
第6発明に係る空気調和機では、側方遮蔽部材と上下風向調整羽根とが干渉するおそれを減らすことができる。
【0023】
第7発明に係る空気調和機では、外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
【0024】
第8発明に係る空気調和機では、外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
【0025】
第9発明に係る空気調和機では、移動された側方遮蔽部材を収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の概略冷媒回路図。
【図2】第1冷房状態である場合の室内機の斜視図。
【図3A】(a)室内機本体の正面図、(b)室内機本体の側面図、(c)室内機本体を吹出口近傍の空間の正面側から視た室内機本体の底面図。
【図3B】室内機の概略断面図。
【図4】上下風向調整羽根の外観斜視図。
【図5】上下風向調整羽根の状態が第1開状態である場合の上下風向調整羽根および第1移動機構の平面図であって、上下風向調整羽根と第1移動機構との位置関係を示す概念図。
【図6】上下風向調整羽根が閉状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図7】上下風向調整羽根が第1開状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図8】上下風向調整羽根が第2開状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図9】上下風向調整羽根が第3開状態である場合の吹出口近傍の概略斜視図(側方遮蔽部材は省略)。
【図10】(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である室内機の正面図であって、左側方遮蔽部材近傍の部分拡大図、(b)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である室内機の斜視図であって、左側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図11】(a)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が閉状態である室内機の正面図であって、左側方遮蔽部材近傍の部分拡大図である、(b)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が閉状態である室内機の斜視図であって、左側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図12】(a)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が開状態である室内機の正面図であって、左側方遮蔽部材近傍の部分拡大図、(b)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が開状態である室内機の斜視図であって、左側方遮蔽部材近傍の部分拡大図。
【図13】(a)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が閉状態である室内機の断面図であって、左側方遮蔽部材近傍の概略部分拡大図、(b)上下風向調整羽根が第2開状態であって側方遮蔽部材が開状態である室内機の断面図であって、左側方遮蔽部材近傍の概略部分拡大図。
【図14】空気調和機の備える制御部の制御ブロック図。
【図15】変形例(A)に係る空気調和機の室内機の正面図であって、(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(b)上下風向調整羽根が開状態であり、側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(c)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図。
【図16】変形例(A)に係る空気調和機の室内機であって、(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の斜視図、(b)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の正面図。
【図17】変形例(A)に係る空気調和機の室内機であって、(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の斜視図、(b)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の正面図。
【図18】変形例(A)に係る空気調和機の室内機の正面図であって、(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(b)上下風向調整羽根が開状態であり、側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(c)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図。
【図19】変形例(B)に係る空気調和機の室内機であって、(a)上下風向調整羽根が開状態であって側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍を室内機内部から視た図、(b)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍を室内機内部から視た図。
【図20】変形例(B)に係る空気調和機の室内機の正面図であって、(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(b)上下風向調整羽根が開状態であり、側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(c)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図。
【図21】変形例(B)に係る空気調和機の室内機の正面図であって、(a)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(b)上下風向調整羽根が開状態であり、側方遮蔽部材が閉状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図、(c)上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合の左側方遮蔽部材近傍の概略図。
【図22】本発明の第2実施形態に係る空気調和機の備える室内機の外観斜視図。
【図23】室内機の外観斜視図であって、(a)室内機の風向状態が第1暖房状態である場合を示す図、(b)室内機の風向状態が第2暖房状態である場合を示す図。
【図24】室内機の外観斜視図であって、(a)室内機の風向状態が第2冷房状態である場合を示す図、(b)室内機の風向状態が三方風向状態である場合を示す図。
【図25】本発明の第2実施形態に係る空気調和機の備える制御部の制御ブロック図。
【図26】本発明の第2実施形態の変形例に係る空気調和機室内機であって、上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が閉状態である場合を示す室内機の斜視図。
【図27】本発明の第2実施形態の変形例に係る空気調和機であって、上下風向調整羽根が開状態であり、側方遮蔽部材が閉状態である場合を示す室内機の斜視図。
【図28】本発明の第2実施形態の変形例に係る空気調和機の備える室内機であって、上下風向調整羽根および側方遮蔽部材が開状態である場合を示す室内機の斜視図。
【図29】本発明の第3実施形態に係る空気調和機の備える室内機の外観斜視図。
【図30】室内機の風向状態が第1冷房状態である場合を示す室内機の外観斜視図。
【図31】室内機の風向状態が第2冷房状態である場合を示す室内機の外観斜視図。
【図32】室内機の概略底面図。
【図33】本発明の第3実施形態の変形例に係る空気調和機の室内機の外観斜視図。
【図34】本発明の第3実施形態の変形例に係る空気調和機の室内機の外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る室内機を備える空気調和機について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0028】
−第1実施形態−
<空気調和機の構成概略>
図1は、空気調和機1の概略冷媒回路図である。図2は、空気調和機1の冷房運転時であって、第1冷房状態である場合の室内機10の斜視図である。
【0029】
空気調和機1は、室内の壁面に取り付けられる室内機10と、室外に設置される室外機2とを備えており、冷房運転および暖房運転等の各種運転を実行することができる。
【0030】
室外機2は、圧縮機3と、圧縮機3の吐出側に接続されている四路切換弁4と、圧縮機3の吸入側に接続されるアキュムレータ5と、四路切換弁4に接続されている室外熱交換器6と、室外熱交換器6に接続された室外膨張弁7とを有している。室外膨張弁7は、冷媒配管8を介して後述する室内熱交換器13の一端と接続される。また、四路切換弁4は、冷媒配管8を介して室内熱交換器13の他端と接続されている。また、室外機2内には、室外ファン9が設けられている。室外ファン9は、室外の空気を取り込み、室外熱交換器6での熱交換後の空気を室外機2外部に排出するプロペラファンである。
【0031】
室内機10は、図2に示すように、室内の壁面W等に取り付けられる壁掛け型の室内機10である。また、室内機10は、主として、室内機本体11と、上下風向調整羽根30と、側方遮蔽部材20,90と、第1移動機構50と、第2移動機構29,99(図14参照)と、を備えている。以下に、室内機本体11、上下風向調整羽根30、側方遮蔽部材20,90、第1移動機構50、第2移動機構29,99の順に説明する。
【0032】
<室内機本体の構成>
図3A(a)は、室内機本体11の正面図である。図3A(b)は、室内機本体11の側面図である。図3A(c)は、吹出口15近傍の空間S1の正面側Fから視た室内機本体11の底面図である。図3Bは、室内機10の概略断面図である。なお、図3A(a)および図3A(b)中の矢印Fは、吹出口15近傍の空間S1の正面側を示している。このため、ここでいう「室内機10の正面側」と、「吹出口15近傍の空間S1の正面側F」とは、別の方向を意味している。
【0033】
室内機本体11は、主に、室内機ケーシング12と、室内熱交換器13と、室内ファン14と、垂直羽根19とを備えている。
【0034】
室内機ケーシング12は、水平方向に長い略直方形状の部材である。また、室内機ケーシング12には、室内熱交換器13、室内ファン14、および、垂直羽根19等が収納されている。さらに、室内機ケーシング12には、取込口18と、吹出口15とが形成されている。取込口18は、室内の空気を室内機ケーシング12の内側に取り込むための開口であって、室内機ケーシング12の上部に形成されている。
【0035】
また、吹出口15は、室内機本体11内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機10の下部近傍に形成されている。具体的には、吹出口15は、図3Aに示すように、室内機ケーシング12の底面から両側面にかけて連続して形成されている。このため、吹出口15は、室内機10の側面視において、その一部を視認可能である。
【0036】
また、室内機ケーシング12は、吹出口15近傍に凹部15a(図13(b)参照)を有している。凹部15aは、後述する閉状態の側方遮蔽部材20,90を収容可能である。また、凹部15aは、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に、側方遮蔽部材20,90と室内機ケーシング12とが概ね連続して配置されるように構成されている。このため、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の外側面(外面に相当)と室内機ケーシング12の外側面(外面)とが略一面状に配置される。
【0037】
また、室内機ケーシング12内には、取込口18から吹出口15に至る空気流路が形成されている。この空気流路内には、室内ファン14、室内熱交換器13および垂直羽根19等が配置されている。また、この空気流路には、室内ファン14から垂直羽根19を介して吹出口15に至るまでの流路部分である吹き出し流路が含まれる。
【0038】
室内熱交換器13は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管に挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器13は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0039】
室内ファン14は、モータ14a(図1参照)と、モータ14aにより回転駆動される羽根車とを有するクロスフローファンである。また、室内ファン14は、取込口18から室内機ケーシング12内に空気を吸入し、室内熱交換器13を通過させた後に、吹出口15から室内機ケーシング12外に空気を吹き出すことができるように配置されている。
【0040】
垂直羽根19は、上述のように、吹き出し流路に配置されている。垂直羽根19は、駆動モータ(図示せず)と、連結棒(図示せず)と、連結棒によって連結された複数枚の羽根19a(図2参照)とを有しており、揺動可能なように室内機ケーシング12に取り付けられている。また、複数枚の羽根19aの面は、駆動モータによって連結棒が駆動されることで、室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態を中心に左右に揺動する。さらに、羽根19aは、揺動することにより、または、揺動した後に任意の角度で止まることで、室内機10の左右方向における調和空気の吹き出し方向を調整する。
【0041】
また、垂直羽根19は、図3Bに示すように、主垂直羽根部19cと、主垂直羽根部19cの両側にそれぞれ配置される側方垂直羽根部19d,19eとを含む。側方垂直羽根部19d,19eは、室内機10の正面視において、主垂直羽根部19cの左側に位置する左側方垂直羽根部19dと、主垂直羽根部19cの右側に位置する右側方垂直羽根部19eとから構成される。また、主垂直羽根部19cの有する複数の羽根と左側方垂直羽根部19dの有する羽根と右側方垂直羽根部19eの有する羽根とは、それぞれ別の連結棒によって連結されている。このため、主垂直羽根部19cと左側方垂直羽根部19dと右側方垂直羽根部19eとは、それぞれ異なる方向に揺動することができる。
【0042】
<上下風向調整羽根の構成>
図4は、上下風向調整羽根30の外観斜視図である。図5は、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合の上下風向調整羽根30および第1移動機構50の平面図であって、上下風向調整羽根30と第1移動機構50との位置関係を示す概念図である。図6は、上下風向調整羽根30が閉状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。図7は、上下風向調整羽根30が第1開状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。図8は、上下風向調整羽根30が第2開状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。図9は、上下風向調整羽根30が第3開状態である場合の吹出口15近傍の概略斜視図である。なお、図6、図7、図8および図9においては、側方遮蔽部材20,90を省略して描いている。
【0043】
上下風向調整羽根30は、室内機10の長手方向(水平方向)に長い板状の部材である。また、上下風向調整羽根30は、室内機10の下部に配置されている。具体的には、上下風向調整羽根30は、吹出口15近傍の空間S1の正面側Fを覆うことが可能なように配置されている。なお、ここでいう吹出口15近傍の空間S1とは、図3Aに示す吹出口15を構成する2つの短辺(図3A(c)中の点a同士を結んだ辺、および、図3A(c)中の点b同士を結んだ辺)を含む面近傍の空間のことである。また、吹出口15近傍の空間S1の正面側Fとは、吹出口15近傍の空間S1において前記面に対する正面側のことである。このため、上下風向調整羽根30は、前記面よりも前側、すなわち、前記面よりも室内ファン14によって生成される空気流の下流側に位置している。
【0044】
さらに、上下風向調整羽根30は、後述する第1移動機構50と連結する連結部32,33,34を有する。連結部32,33,34は、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が吹出口15を覆っている状態で、室内機10の外部から視認することができる面(以下、外側面(外面に相当)30bという)とは反対側の面(以下、内側面30aという)に配置されている。また、連結部32,33,34は、第1連結部32,33と、第2連結部34とを含む。第1連結部32,33は、図2、図4および図5に示すように、上下風向調整羽根30において2箇所に配置されている。具体的には、第1連結部32,33は、図5に示すように、上下風向調整羽根30の両端部30g,30h近傍であって、上下風向調整羽根30の一方の長辺(以下、第1長辺30cという)近傍にそれぞれ配置されている。第2連結部34は、図5に示すように、上下風向調整羽根30の長手方向の略中央付近であって、上下風向調整羽根30の第1長辺30cに対向する辺である第2長辺30d近傍に配置されている。また、第2連結部34は、上下風向調整羽根30において、2箇所の第1連結部32,33を結ぶ直線上から外れた位置に配置されている。このため、第1連結部32,33および第2連結部34の位置が確定することで、上下風向調整羽根30の位置および姿勢が確定する。
【0045】
また、第1連結部32,33および第2連結部34は、図5に示すように、それぞれ軸支部32a,33a,34aを含む。各軸支部32a,33a,34aは、後述する支持軸57,67,78を回転可能に軸支している。また、各軸支部32a,33a,34aは、高摺動性を有しており、摩擦を抑えて支持軸57,67,78を滑らかに回転させることができる。
【0046】
さらに、上下風向調整羽根30は、4つの状態(閉状態、第1開状態、第2開状態、および、第3開状態)を採ることが可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口15近傍の空間S1であって、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合に風向調整羽根30によって覆われる部分、すなわち、上下風向調整羽根30の状態が閉状態である場合に上下風向調整羽根30の配置されている空間を、吹出口15の第1部分16という。また、本実施形態における「遮蔽」とは、吹出口15の所定部分を覆うことが可能な部材によって、前記所定部分の略全部が覆われている状態を意味しており、本実施形態における「開放」とは、吹出口15の所定部分を覆うことが可能な部材によって、前記所定部分の略全部が覆われていない状態を意味している。例えば、吹出口15の第1部分16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われている状態を吹出口15の第1部分16が遮蔽されている状態とし、吹出口15の第1部分16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われていない状態を吹出口15の第1部分16が開放されている状態とする。
【0047】
上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合、図6に示すように、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を覆うように配置される。このため、上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合には、上下風向調整羽根30によって吹出口15の第1部分16が遮蔽される。
【0048】
上下風向調整羽根30の状態が第1開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を開放し、かつ、吹出口15の第1部分16から室内機10の前方に向かって空気が吹き出されるように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、図7に示すように、吹出口15の第1部分16、すなわち、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して略平行に対向するように配置される。
【0049】
上下風向調整羽根30の状態が第2開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を開放し、かつ、吹出口15の第1部分16から室内機10の前方に向かって空気が吹き出されるように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、図8に示すように、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。言い換えると、上下風向調整羽根30は、上下風向調整羽根30において前後方向の後側に近い側の端部、すなわち、上下風向調整羽根30の第2長辺30dを含む端部(以下、後側端部30eという)が、上下風向調整羽根30において後側端部30eに対向する端部(以下、前側端部30fという)よりも吹出口15の第1部分16に対して近くなるように、傾斜して配置される。したがって、上下風向調整羽根30が第2開状態の場合には、室内機10の正面視において、上下風向調整羽根30の内側面30aが視認可能である。なお、上述の前側端部30fとは、上下風向調整羽根30において前後方向の前側に近い側の端部であって、上下風向調整羽根30の第1長辺30cを含む端部のことである。
【0050】
また、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して前後方向に傾斜して配置されている。このため、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合には、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合と比較して、室内機10の下方に向かう空気流が形成される。このため、以下より、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合に吹出口15から吹き出された空気が向かう方向を前側下方といい、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合に吹出口15から吹き出された空気が向かう方向を前側上方という。
【0051】
上下風向調整羽根30の状態が第3開状態の場合、上下風向調整羽根30は、吹出口15の第1部分16を開放し、かつ、吹出口15の第1部分16から室内機10の下方に空気が吹き出されるように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、図9に示すように、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。より具体的には、上下風向調整羽根30の前側端部30fが、上下風向調整羽根30の後側端部30eよりも吹出口15の第1部分16に近くなるように上下風向調整羽根30が傾斜して配置される。このため、上下風向調整羽根30の状態が第3開状態の場合、室内機10の正面視において、上下風向調整羽根30の外側面30bが視認可能である。
【0052】
<側方遮蔽部材の構成>
図10(a)は、上下風向調整羽根30が閉状態であって、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合の室内機10の正面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の部分拡大図である。図10(b)は、上下風向調整羽根30が閉状態であって、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合の室内機10の斜視図であって、左側方遮蔽部材90近傍の部分拡大図である。図11(a)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合の室内機10の正面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の部分拡大図である。図11(b)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合の室内機10の斜視図であって、左側方遮蔽部材90近傍の部分拡大図である。図12(a)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合の室内機10の正面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の部分拡大図である。図12(b)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合の室内機10の斜視図であって、左側方遮蔽部材90近傍の部分拡大図である。
【0053】
側方遮蔽部材20,90は、室内機10の左右両側方下部に配置されている。具体的には、側方遮蔽部材20,90は、湾曲した板状の部材であって、吹出口15近傍の空間S1の正面側および側面側を覆うことが可能である。また、側方遮蔽部材20,90は、吹出口15において、上下風向調整羽根30によって覆われる吹出口15の第1部分16以外の部分を覆うことが可能である。なお、ここでいう吹出口15近傍の空間S1の側面側とは、吹出口15近傍の空間S1の正面側に対する側面側を意味している。
【0054】
また、側方遮蔽部材20,90は、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが吹出口15近傍の空間S1を覆っている場合、言い換えると、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合には、室内機10の底面視において、側方遮蔽部材20,90において吹出口15近傍の空間S1の正面側を覆っている部分と上下風向調整羽根30とが概ね連続して配置されている。このため、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合には、側方遮蔽部材20,90において吹出口15近傍の空間S1の正面側を覆っている部分の外側面と上下風向調整羽根30の外側面30bとが略一面状に配置される。
【0055】
なお、以下より、説明の便宜上、側方遮蔽部材20,90のうち、室内機10の正面視において、室内機10の右側下部に配置される側方遮蔽部材20を右側方遮蔽部材20といい、室内機10の左側下部に配置される側方遮蔽部材90を左側方遮蔽部材90という。また、右側方遮蔽部材20は、左側方遮蔽部材90の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、左側方遮蔽部材90の構成のみを説明し、右側方遮蔽部材20の構成については説明を省略する。
【0056】
左側方遮蔽部材90は、図10、図11および図12に示すように、室内機10の下部の角部に沿った湾曲した形状を有している。また、左側方遮蔽部材90は、第1部91と、第2部92とを有する。第1部91には、左側方遮蔽部材90の第1端部90aが含まれる。また、第2部92には、左側方遮蔽部材90の第2端部90bが含まれる。
【0057】
また、側方遮蔽部材20,90は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることが可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口15近傍の空間S1であって、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に、左側方遮蔽部材90によって覆われる部分、言い換えると、吹出口15において側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に左側方遮蔽部材90の配置される空間を吹出口15の第2部分17aといい、右側方遮蔽部材20によって覆われる部分、言い換えると、吹出口15において側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に右側方遮蔽部材20の配置される空間を吹出口15の第3部分17bという。
【0058】
側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合、側方遮蔽部材20,90が吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを覆うように配置される(図10参照)。具体的には、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合には、右側方遮蔽部材20が吹出口15の第3部分17bを覆うように配置され、左側方遮蔽部材90が吹出口15の第2部分17aを覆うように配置される。このため、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、吹出口15が遮蔽される。
【0059】
側方遮蔽部材20,90の状態が開状態である場合、側方遮蔽部材20,90が吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを開放するように配置される(図12参照)。具体的には、右側方遮蔽部材20が吹出口15の第3部分17bを開放するように配置され、左側方遮蔽部材90が吹出口15の第2部分17aを開放するように配置される。
【0060】
<第1移動機構の構成>
第1移動機構50は、吹出口15近傍の空間S1の正面側が覆われている状態から吹出口15近傍の空間S1の正面側が開放されている状態となるように、上下風向調整羽根30を移動させる機構である。言い換えると、第1移動機構50は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する上下風向調整羽根30の位置を移動させることで、上下風向調整羽根30の状態を切り換えることができる。
【0061】
第1移動機構50は、迫り出し機構51,61と、角度調整機構71とを有している。迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から迫り出されるように、上下風向調整羽根30と迫り出し機構51,61とが連結されている部分である第1連結部32,33を移動させることで、上下風向調整羽根30をスライド移動させる。言い換えると、迫り出し機構51,61は、第1連結部32,33をスライド移動させることで、上下風向調整羽根30を、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対して移動することが可能な機構である。
【0062】
また、迫り出し機構51,61は、図4および図5に示すように、第1迫り出し機構51と、第2迫り出し機構61とを有する。なお、本実施形態では、第1迫り出し機構51と第2迫り出し機構61との構成は同様であるため、ここでは、第1迫り出し機構51の構成についてのみ説明を行い、第2迫り出し機構61については、第1迫り出し機構51の構成部品に付される50番台の符号を60番台に読み替えることによって、説明を省略する。
【0063】
第1迫り出し機構51は、図4および図5に示すように、ピニオン歯車52と、移動部材53と、迫り出し機構駆動用モータ54とを有している。
【0064】
ピニオン歯車52は、迫り出し機構駆動用モータ54の有する駆動軸54aに連結されており、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって回転する。
【0065】
移動部材53は、ピニオン歯車52と噛み合うラック56と、支持軸57とを有している。ラック56は、移動部材53の一端部53a近傍から他端部53b近傍にかけて配置されている。支持軸57は、棒状の部材であって、移動部材53の端部53a近傍の端面から外側に向かって突出している。さらに、支持軸57は、上下風向調整羽根30の軸支部32aを上下風向調整羽根30の長手方向に対して平行に挿通しており、上下風向調整羽根30を回動可能に支持している。
【0066】
迫り出し機構駆動用モータ54は、ステッピングモータであって、駆動軸54aを有している。駆動軸54aは、迫り出し機構駆動用モータ54に連結されており、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって回転する。このため、迫り出し機構駆動用モータ54は、駆動軸54aを回転させることで、ピニオン歯車52を回転させることができる。なお、本実施形態では、迫り出し機構駆動用モータ54とピニオン歯車52とは、互いに対向するように配置されている。また、迫り出し機構駆動用モータ54は、後述する取り付け板80に固定されている。
【0067】
このような構成によって、迫り出し機構駆動用モータ54,64がピニオン歯車52,62を回転させると、ピニオン歯車52,62と噛み合うラック56,66に動力が伝達されて、ピニオン歯車52,62に対する移動部材53,63の位置が変化する。具体的には、図4および図5に示すように、移動部材53,63のうち上下風向調整羽根30と連結されている端部を移動部材53,63の下端部53a,63aとし、下端部53a,63aとは反対側の端部を移動部材53,63の上端部53b,63bとすると、迫り出し機構駆動用モータ54,64が駆動することで、移動部材53,63の上端部53b,63bが、ピニオン歯車52,62近傍の位置に移動したり、ピニオン歯車52,62から離れた位置に移動したりする。このため、移動部材53,63の下端部53a,63aに連結している上下風向調整羽根30は、移動部材53,63の移動に伴って、吹出口15における第1部分16に相当する開口面に向かう方向すなわち吹出口15の第1部分16を遮蔽する方向、あるいは、吹出口15における第1部分16に相当する開口面から遠ざかる方向すなわち吹出口15の第1部分16を開放する方向に移動する。
【0068】
これによって、迫り出し機構51,61は、上下風向調整羽根30が吹出口15近傍から迫り出されるように、上下風向調整羽根30をスライド移動、すなわち、迫り出し移動させることができる。なお、迫り出し機構駆動用モータ54,64の回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
【0069】
角度調整機構71は、上下風向調整羽根30の吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する傾斜角度が調整されるように、上下風向調整羽根30と角度調整機構71とが連結されている部分である第2連結部34を移動させる。
【0070】
角度調整機構71は、角度調整機構駆動用モータ73と、リンク機構72とを備えている。
【0071】
角度調整機構駆動用モータ73は、駆動軸73aを有している。角度調整機構駆動用モータ73は、ステッピングモータであって、駆動軸73aを介してリンク機構72を駆動させる。
【0072】
リンク機構72は、揺動レバー74と、アーム75とを有している。揺動レバー74は、その一端部が、角度調整機構駆動用モータ73の駆動軸73aに連結されている。また、揺動レバー74の他端部は、アーム75の一端部と回動可能に連結されている。
【0073】
また、アーム75は、支持軸78を含む。支持軸78は、アーム75において揺動レバー74と連結している端部とは反対側の端部近傍の両端面から外側方向に向かって突出している。さらに、支持軸78は、上下風向調整羽根30の軸支部34aと係合しており、上下風向調整羽根30を回動可能の支持している。
【0074】
このため、リンク機構72は、揺動レバー74が図6に示す位置にある場合には、上下風向調整羽根30が吹出口15の第1部分16を遮蔽している状態となる。また、揺動レバー74が図7または図8に示す位置にある場合には、上下風向調整羽根30の状態が、第1開状態、または、第2開状態となる。さらに、揺動レバー74が図9に示す位置にある場合には、上下風向調整羽根30の状態が、第3開状態となる。
【0075】
このような構成によって、角度調整機構71は、角度調整機構駆動用モータ73が駆動することで、上下風向調整羽根30の第2連結部34を押し引きすることができる。なお、リンク機構72の回転角度、すなわち、角度調整機構駆動用モータ73の回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
【0076】
このように、上下風向調整羽根30は、迫り出し機構51,61によって吹出口15の第1部分16から第1連結部32,33までの距離が調整され、角度調整機構71によって吹出口15の第1部分16から第2連結部34までの距離が調整されることで、吹出口15において第1部分16に相当する開口面に対する傾斜角度が変更される。また、上下風向調整羽根30が第1開状態から第2開状態に切り換わる場合には、迫り出し機構51,61は、第2連結部34に軸支されている支持軸78を回転軸として第1連結部32,33を移動させる。さらに、上下風向調整羽根30が第2開状態から第3開状態に切り換わる場合には、角度調整機構71は、第1連結部32,33に軸支されている支持軸57,67を回転軸として第2連結部34を移動させる。このため、上下風向調整羽根30の前側端部30f近傍の第1連結部32,33および後側端部30e近傍の第2連結部34のいずれか一方に軸支されている支持軸を回転軸とし、回転軸として機能していない方の支持軸を軸支している連結部を可動させることで、吹出口15の第1部分16に対する上下風向調整羽根30の傾斜角度が変更されている。
【0077】
また、第1移動機構50は、取り付け板80を有している。取り付け板80は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面よりも上方に配置されている。また、取り付け板80の上面には、2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73が固定されている。具体的には、迫り出し機構駆動用モータ54,64は、取り付け板80の両端部近傍にそれぞれ固定されている。また、角度調整機構駆動用モータ73は、取り付け板80の略中央部に固定されている。このようにして、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73は、取り付け板80とともに、室内機ケーシング12の内部に収納されている。
【0078】
また、取り付け板80には、迫り出し機構駆動用モータ54,64の近傍に、それぞれの移動部材53,63が挿通可能な移動部材挿通開口81a,81bが形成されている。なお、移動部材挿通開口81a,81bは、移動部材53,63のラック56,66以外の部分を支持することができるように、その一部が狭くなるように形成されている。さらに、取り付け板80には、図4および図5に示すように、各移動部材53,63を案内するための案内溝82a,82bが設けられている。
【0079】
また、取り付け板80には、角度調整機構駆動用モータ73近傍に、揺動レバー74が挿通可能なレバー挿通開口83が形成されている。
【0080】
<第2移動機構の構成>
図13(a)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合の室内機10の断面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の概略図である。図13(b)は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合の室内機10の断面図であって、左側方遮蔽部材90近傍の概略図である。
【0081】
第2移動機構29,99は、第1移動機構50とは別の移動機構であって、吹出口15近傍の空間S1の側面側が覆われている状態から吹出口15近傍の空間S1の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材20,90を移動させることが可能な機構である。言い換えると、第2移動機構29,99は、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えるために、側方遮蔽部材20,90を移動させる。
【0082】
第2移動機構29,99は、第2移動機構駆動用モータ24,94(図14参照)と、支持部材(93;図13参照)とを備えている。また、第2移動機構29,99は、右側方遮蔽部材20の状態を切り換えるための右側方遮蔽部材移動機構29と、左側方遮蔽部材90の状態を切り換えるための左側方遮蔽部材移動機構99とを有する。また、右側方遮蔽部材移動機構29は、左側方遮蔽部材移動機構99の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、左側方遮蔽部材移動機構99の構成のみを説明し、右側方遮蔽部材移動機構29の構成については説明を省略する。
【0083】
第2移動機構駆動用モータ94は、室内機本体11内に配置されており、室内機ケーシング12に固定されている。また、第2移動機構駆動用モータ94は、回転軸(図示せず)を有している。回転軸は、室内機10の前後方向に延びており、第2移動機構駆動用モータ94が駆動することによって回転する。また、回転軸は、後述する第1壁部96よりも上方に位置している。
【0084】
支持部材93は、図13に示すように、板状の部材であって、その一端部93aが左側方遮蔽部材90の第1端部90a近傍に連結している。また、支持部材93の他端部93bは回転軸に連結されている。さらに、支持部材93は、図13に示すように、後述する第1壁部96の上方から第1壁部96の下方まで延びており、回転軸が回転することで回転軸を中心として第1壁部96の切り欠き部96dに沿って移動する。
【0085】
このような構成によって、第2移動機構駆動用モータ24,94が駆動することで回転軸が回転し、回転軸が回転することで支持部材が第1壁部96の切り欠き部96dに沿って移動する。また、支持部材が第1壁部96の切り欠き部96dに沿って移動することで、側方遮蔽部材20,90が回転軸を中心に移動する。このため、側方遮蔽部材20,90は、円弧を描くように移動することで、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを遮蔽したり開放したりすることができる。なお、第2移動機構駆動用モータ24,94の駆動は、後述する制御部84によって制御されている。
【0086】
また、第2移動機構29,99は、開状態である側方遮蔽部材20,90を収納するための収納部25,95を備えている。収納部25は、吹き出し流路において吹出口15の第3部分17b近傍に配置されている。また、収納部95は、吹き出し流路において吹出口15の第2部分17a近傍に配置されている。このため、吹き出し流路は、その下部において、収納部25,95によって3つの流路に分けられる。ここで、説明の便宜上、吹き出し流路において、その入口が2つの収納部25,95の上端部によって規定されており、その出口が吹出口15の第1部分16である流路部分を主吹き出し流路Bという。また、吹き出し流路において、収納部25の上端部がその入口に位置しており、その出口が吹出口15の第3部分17bである流路部分を右側吹き出し流路Dという。また、吹き出し流路において、収納部95の上端部がその入口に位置しており、その出口が吹出口15の第2部分17aである流路部分を左側吹き出し流路Cという。すなわち、収納部25は、主吹き出し流路Bと右側吹き出し流路Dとの間に配置されており、収納部95は、主吹き出し流路Bと左側吹き出し流路Cとの間に配置されている。また、吹き出し流路の出口は、それぞれ、上下風向調整羽根30、左側方遮蔽部材90、および、右側方遮蔽部材20によって塞がれる。具体的には、上下風向調整羽根30によって主吹き出し流路Bの出口が塞がれ、左側方遮蔽部材90によって左側吹き出し流路Cの出口が塞がれ、右側方遮蔽部材20によって右側吹き出し流路Dの出口が塞がれる。
【0087】
また、収納部25,95は、開状態である側方遮蔽部材20,90が収納される収納空間を形成する第1壁部26,96と第2壁部27,97とを有している。第1壁部26,96は、吹出口15の第2部分17a近傍または第3部分17b近傍から上方に延びている。また、第1壁部26,96は側方遮蔽部材20,90に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第1壁部26,96の上端部(96a;図13参照)が、第1壁部26,96の下端部(96b;図13参照)よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。さらに、第1壁部26,96には、支持部材(93;図13参照)の移動(回転)時の軌道に沿って切り欠き部(96d;図13参照)が形成されている。
【0088】
また、第2壁部27,97は、吹出口15の第1部分16と吹出口15の第2部分17aとの境界近傍、または、吹出口15の第1部分16と吹出口15の第3部分17bとの境界近傍から上方に延びている。また、第2壁部27,97は、側方遮蔽部材20,90に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第2壁部27,97の上端部(97a;図13参照)が、第2壁部27,97の下端部(97b;図13参照)よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。さらに、収納部25,95の上端部、すなわち、第2壁部27,97の上端部(97a;図13参照)と第1壁部26,96の上端部(96a;図13参照)とは、連続した構成となっている。このため、第2壁部27,97は、第1壁部26,96よりも室内機10の中央側に配置されている。
【0089】
なお、垂直羽根19は、吹き出し流路において、収納部25,95の上端部よりも室内ファン14近傍に配置されている。また、収納部25,95は、側方垂直羽根部19d,19eの有する羽根が揺動して傾斜した状態を採ったときに側方垂直羽根部19d,19eの有する羽根の各先端部が収納部25,95の上端部近傍に位置するように配置されている(図3B参照)。このため、垂直羽根19が図3Bに示すような状態で、室内ファン14によって空気流が生成された場合には、調和空気が左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。
【0090】
また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合、側方遮蔽部材20,90は、収納空間に収納されているため、吹出口15の第2部分17aおよび吹出口15の第3部分17bから吹き出される空気流れに対して影響を与えない。したがって、垂直羽根19によって左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの各入口に導かれた調和空気は、左側方または右側方に向かって傾斜している第1壁部26,96の案内面(96c;図13参照)に沿って、言い換えると、第1壁部26,96の案内面(96c;図13参照)に規制されて、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dを流れて、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの各出口から吹き出される。また、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの出口は、室内機10の側方に向かってに開口しているため、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの出口から吹き出される空気は室内機10の左右両側方側に向けて流れることになる。
【0091】
なお、図13(b)では、左側方垂直羽根部19dの有する羽根の先端部が左側吹出口流路Cの入口近傍に位置するように描かれていないが、実際には、左側方遮蔽部材90の状態が開状態となった場合には、左側方垂直羽根部19dの有する羽根の先端部が左側吹出口流路Cの入口近傍に位置する。
【0092】
また、本実施形態では、側方垂直羽根部19d,19eの有する羽根は、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態である場合にのみ、その先端部が左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dの入口近傍に配置され、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合には、その先端部が左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dの入口近傍から離れた位置に配置されるものとする。このため、本実施形態では、各側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合に、側方垂直羽根部19d,19eによって、調和空気が左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dに導かれたり、左側吹き出し流路Cまたは右側吹き出し流路Dの各入口が覆われたりしない構成となっている。
【0093】
<制御部>
図14は、空気調和機1の備える制御部84の制御ブロック図である。
【0094】
制御部84は、図14に示すように、室内機10および室外機2の各種機器と接続されており、リモートコントローラ86を介した空調対象者からの運転指令に基づいて、冷房運転や暖房運転等の各運転モードに応じた各種機器の運転制御を行うことができる。
【0095】
また、リモートコントローラ86には、運転停止ボタンや風向設定ボタン86a等の複数のスイッチが設けられている。運転停止ボタンは、空調対象者が空気調和機1の運転を停止させるときに操作されるスイッチである。また、風向設定ボタン86aは、空調対象者が室内機10から吹き出される空気の吹き出し方向を設定するときに操作されるスイッチである。例えば、空調対象者によって風向設定ボタン86aが押されると、制御部84は空調対象者からの風向設定指令を制御信号として受信する。なお、本実施形態における風向設定指令には、調和空気が室内機10の側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第1指令と、調和空気が主に室内機10の前側上方および側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第2指令とが含まれる。
【0096】
また、制御部84は、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えるための駆動制御部85を有する。駆動制御部85は、2つの迫り出し機構駆動用モータ54,64、角度調整機構駆動用モータ73および2つの第2移動機構駆動用モータ24,94の回転数および回転方向を制御することで、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態を切り換える。このため、制御部84は、各運転モードあるいは空調対象者からの風向設定指令に応じて、室内機10の風向状態を変更することができる。また、本実施形態では、室内機10は、運転停止状態、第1冷房状態、第2冷房状態、第1暖房状態、第2暖房状態、および、三方風向状態の6つの風向状態を採ることが可能である。
【0097】
なお、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90は、いずれも閉状態を採っている。また、室内機10の風向状態が第1冷房状態である場合、上下風向調整羽根30は第2開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は閉状態を採っている。室内機10の風向状態が第2冷房状態である場合、上下風向調整羽根30は第2開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は開状態を採っている。室内機10の風向状態が第1暖房状態である場合、上下風向調整羽根30は第3開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は閉状態を採っている。室内機10の風向状態が第2暖房状態である場合、上下風向調整羽根30は第3開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は開状態を採っている。室内機10の風向状態が三方風向状態である場合、上下風向調整羽根30は第1開状態を採っており、側方遮蔽部材20,90は開状態を採っている。
【0098】
例えば、空気調和機1の運転が停止している状態、すなわち、室内機10の風向状態が運転停止状態である場合に、空調対象者からリモートコントローラ86を介して冷房運転の開始指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1冷房風向状態となるように、第1移動機構50を制御する。具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を閉状態から第1開状態に切り換える。そして、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態に切り換わると、更に、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から第2開状態に切り換える。なお、このとき、駆動制御部85は第2移動機構駆動用モータ24,94を駆動させる制御を行わないため、側方遮蔽部材20,90は、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bに位置しており、吹出口15における第2部分17aおよび第3部分17bに相当する開口面が遮蔽された状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16のみが開放される。
【0099】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19が室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路Bにのみ導かれ、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれない。
【0100】
このため、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して冷房運転の開始指令が為されて、室内ファン14によって空気流が生成されると、調和空気が、主吹き出し流路Bを流れて吹出口15の第1部分16に至る。そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側下方に吹き出される(図11参照)。
【0101】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側下方となるため、室内機10の設置されている室内空間を室内機10の前側の空間である第1空間と第1空間よりも後側の空間である第2空間とに分けた場合、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の下部に吹き出されることになる。
【0102】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1冷房状態である冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1冷房状態から第2冷房風向状態となるように、第2移動機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように、第2移動機構駆動用モータ24,94を制御する。なお、このとき、上下風向調整羽根30の状態は、第2開状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0103】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る(図12参照)。
【0104】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側下方に向かって吹き出される。
【0105】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0106】
したがって、空気調和機1において冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の前側下方および左右両側方に変更される。
【0107】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側下方および左右両側方となるため、第2空間のうち室内機10の両側方の空間を特に側方部とした場合、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の下部および第2空間の側方部に吹き出されることになる。
【0108】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1冷房状態である冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1冷房状態から三方風向状態となるように、第1移動機構50および第2移動機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態から第1開状態に切り換わるように迫り出し機構駆動用モータ54,64を制御するとともに、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように第2移動機構駆動用モータ24,94を制御する。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0109】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る。
【0110】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面と略平行となるように配置されている上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側上方に吹き出される。
【0111】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0112】
したがって、空気調和機1において冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の前側上方および左右両側方に変更される。
【0113】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側上方および左右両側方となるため、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の上部および第2空間の側方部に吹き出されることになる。
【0114】
また、例えば、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して暖房運転の開始指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1暖房風向状態となるように、第1移動機構50を制御する。具体的には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を制御することで、上下風向調整羽根30の状態を閉状態から第1開状態に切り換える。次に、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態に切り換わると、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64を更に制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態から第2開状態に切り換える。そして、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態に切り換わると、駆動制御部85は、角度調整機構駆動用モータ73を更に制御することで、上下風向調整羽根30の状態を第2開状態から第3開状態に切り換える。なお、このとき、駆動制御部85は第2移動機構駆動用モータ24,94を駆動させる制御を行わないため、側方遮蔽部材20,90は吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bに位置しており、吹出口15における第2部分17aおよび第3部分17bに相当する開口面が遮蔽された状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16のみが開放される。
【0115】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19が室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路Bにのみ導かれ、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれない。
【0116】
このため、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して暖房運転の開始指令が為されて、室内ファン14によって空気流が生成されると、調和空気が、主吹き出し流路Bを流れて吹出口15の第1部分16に至る。そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の下方に吹き出される。
【0117】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の下方となるため、第2空間のうち室内機10の下方の空間を特に下部とした場合、調和空気が、室内空間のうち、主に、第2空間の下部に吹き出されることになる。
【0118】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1暖房状態である場合の暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1暖房状態から第2暖房風向状態となるように、第2移動機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように第2移動機構駆動用モータ24,94を制御する。なお、このとき、上下風向調整羽根30の状態は、第3開状態が維持される。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0119】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る。
【0120】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の下方に向かって吹き出される。
【0121】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0122】
したがって、空気調和機1において暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の下方および左右両側方に変更される。
【0123】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の下方および左右両側方となるため、調和空気が、室内空間のうち、主に、第2空間の下部および側方部とに吹き出されることになる。
【0124】
また、空気調和機1において室内機10の風向状態が第1暖房状態である場合の暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が第1暖房状態から三方風向状態となるように、第1移動機構50および第2移動機構29,99を制御する。具体的には、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第3開状態から第1開状態に切り換わるように迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を制御するとともに、側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態から開状態に切り換わるように第2移動機構駆動用モータ24,94を制御する。このため、吹出口15の第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bが開放される。
【0125】
また、このとき、制御部84は、垂直羽根19の主垂直羽根部19cが室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部84は、左側方垂直羽根部19dの先端部が収納部95の上端部近傍に位置し、右側方垂直羽根部19eの先端部が収納部25の上端部近傍に位置するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気は、垂直羽根19によって、主吹き出し流路B、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dに導かれる。したがって、主吹き出し流路Bを流れる調和空気は吹出口15の第1部分16に至り、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は吹出口15の第2部分17aに至り、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は吹出口15の第3部分17bに至る。
【0126】
そして、吹出口15の第1部分16に至った調和空気は、吹出口15において第1部分16に相当する開口面と略平行となるように配置されている上下風向調整羽根30の内側面30aに沿って室内機10の前側上方に吹き出される。
【0127】
また、左側吹き出し流路Cを流れる調和空気は、収納部95の第1壁部96の案内面96cに沿って開放されている吹出口15の第2部分17aから室内機10の左側方に向かって吹き出される。さらに、右側吹き出し流路Dを流れる調和空気は、収納部25の第1壁部26の案内面に沿って開放されている吹出口15の第3部分17bから室内機10の右側方に向かって吹き出される。
【0128】
したがって、空気調和機1において暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ86を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機10の前側上方および左右両側方に変更される。
【0129】
これによって、吹出口15から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機10の前側上方および左右両側方となるため、調和空気が、室内空間のうち、主に、第1空間の上部および第2空間の側方部に吹き出されることになる。
【0130】
また、空気調和機1において暖房運転または冷房運転が実行されている状態で、空調対象者からリモートコントローラ86を介して運転停止指令が為されると、駆動制御部85は、室内機10の風向状態が運転停止状態となるように、第1移動機構50および/または第2移動機構29,99を制御する。具体的には、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態、第2開状態または第3開状態である場合には、駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54,64および角度調整機構駆動用モータ73を駆動することで、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態、第2開状態または第3開状態から閉状態に切り換える。
【0131】
また、空調対象者からリモートコントローラ86を介して運転停止指令が為されたときに、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態から閉状態に切り換わるように、第2移動機構駆動用モータ24,94を制御する。このため、吹出口15の第1部分16に上下風向調整羽根30が位置し、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bに側方遮蔽部材20,90が位置する状態、すなわち、吹出口15における第1部分16、第2部分17aおよび第3部分17bに相当する開口面が遮蔽された状態となる。
【0132】
このように、本実施形態では、上下風向調整羽根30と、上下風向調整羽根30とは独立して移動可能な側方遮蔽部材20,90とによって、種々の吹き出し方向を採ることができる。なお、本実施形態では、室内機10が採ることが可能な風向状態を、運転停止状態、第1冷房状態、第2冷房状態、第1暖房状態、第2暖房状態、および、三方風向状態としているが、これに限定されず、上下風向調整羽根30の状態および側方遮蔽部材20,90の状態の組み合わせによって室内機10が他の風向状態を採ってもよい。
【0133】
<特徴>
(1)
上記実施形態では、第2移動機構29,99によって、吹出口15近傍の空間S1の側面側が覆われている状態から吹出口15近傍の空間S1の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材20,90が移動される。このため、吹出口15近傍の空間の側面側を遮蔽したり開放したりすることができる。したがって、必要に応じて室内機10の側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【0134】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができている。
【0135】
(2)
上記実施形態では、第2移動機構29,99によって、側方遮蔽部材20,90が回転軸を中心に移動される。このため、側方遮蔽部材20,90が円弧を描くように移動することで、吹出口15の第2部分17aおよび第3部分17bを遮蔽したり開放したりすることができている。
【0136】
(3)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合に側方遮蔽部材20,90を収納するための収納部25,95を備えている。このため、開状態である側方遮蔽部材20,90を収納することができる。
【0137】
また、収納部25,95は、開状態である側方遮蔽部材20,90が収納される収納空間を形成する第1壁部26,96と第2壁部27,97とを有している。第1壁部26,96は第1壁部26,96の上端部が、第1壁部26,96の下端部よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。このため、垂直羽根19によって左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの各入口に導かれた調和空気は、第1壁部26,96の案内面に規制されて、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dを流れて、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの各出口から吹き出される。また、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの出口は、室内機10の側方に向かってに開口しているため、左側吹き出し流路Cおよび右側吹き出し流路Dの出口から吹き出される空気は室内機10の左右両側方側に向けて流れることになる。
【0138】
これによって、室内機10の側方に向かう空気流を形成することができている。
【0139】
(4)
上記実施形態では、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態、第2開状態、または、第3開状態に切り換わった後に、側方遮蔽部材20,90が閉状態から開状態に切り換えられている。言い換えると、吹出口15の第1部分16が開放された後に、側方遮蔽部材20,90が閉状態から開状態に切り換えられている。すなわち、吹出口15の第1部分16の一部を利用して側方遮蔽部材20,90の状態が切り換えられている。このため、側方遮蔽部材20,90が上下風向調整羽根30に干渉するおそれを減らすことができている。
【0140】
(5)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の外側面と室内機ケーシング12の外側面とが略一面状となるように構成されている。また、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、側方遮蔽部材20,90において吹出口15近傍の空間S1の正面側を覆っている部分の外側面と上下風向調整羽根30の外側面30bとが略一面状に配置されている。このため、室内機10の外観を損なうおそれを減らすことができる。
【0141】
これによって、意匠性を向上させることができている。
【0142】
<変形例>
(A)
上記実施形態では、吹出口15が、室内機ケーシング12の底面から両側面にかけて連続して形成されている。言い換えると、吹出口15は、連続した1つの開口である。
【0143】
これに代えて、吹出口において、上下風向調整羽根によって覆われる部分と側方遮蔽部材によって覆われる部分とが仕切られていてもよい。
【0144】
例えば、図15に示すように、吹出口として、1つの中央吹出口116と、2つの側方吹出口117とが形成されている場合について説明する。なお、図15には、側方吹出口117のうち、室内機110の正面視において、左側に位置する側方吹出口117のみを示している。
【0145】
室内機ケーシング112には、中央吹出口116と側方吹出口117とが形成されている。中央吹出口116は、図15に示すように、室内機ケーシング112の底面に配置されており、室内機110の長手方向に対して平行に設けられている。側方吹出口117は、室内機ケーシング112の左右両側に形成されている。具体的には、側方吹出口117は、室内機ケーシング12の底面から側面にかけて配置されている(図15参照)。また、側方吹出口117と中央吹出口116との境界部分には、仕切部112aが設けられている。
【0146】
仕切部112aは、室内機110の底面視において視認可能な化粧パネルである。また、本変形例では、仕切部112aは、室内機ケーシング112と一体的に形成されている。
【0147】
上下風向調整羽根130は、中央吹出口116の面積と略同一の面積を有する略長方形状の板状の部材である。なお、上下風向調整羽根130の構成および上下風向調整羽根130を移動させるための移動機構は、上記実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0148】
側方遮蔽部材190は、室内機110の両側に配置される側方吹出口117近傍に配置されており、側方吹出口117をそれぞれ覆うことが可能である。また、側方遮蔽部材190は、室内機110の下方の角部に沿った湾曲した形状を呈する底面部190aと、底面部190aの両端から立設する側面部190b,190cとから構成されている。なお、側方遮蔽部材190が側方吹出口117を覆うように配置されている場合には、室内機110の外側からは、底面部190aのみ視認可能である。言い換えると、側方遮蔽部材190の底面部190aが、上記実施形態における側方遮蔽部材90に相当する。
【0149】
第2移動機構は、第2移動機構駆動用モータと、支持部材と、空間仕切部195とを備えている。なお、第2移動機構において、第2移動機構駆動用モータおよび支持部材の構成は、上記実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。また、本変形例において、第2移動機構は、上記実施形態の収納部25,95に相当する部材を備えていないものとする。
【0150】
空間仕切部195は、図15に示すように、仕切部112aの中央吹出口116に近い側の端部から上方に延びるように設けられている。このため、吹き出し流路は、空間仕切部195によって3つの流路に分けられる。なお、仕切部112aと空間仕切部195とは、別部材であっても一体的に形成されていてもよい。
【0151】
このような構成によって、上下風向調整羽根130が中央吹出口116を開放するように配置されており、側方遮蔽部材190が側方吹出口117を覆うように配置されている場合に、室内ファンによって空気流が生成された場合には、図15(b)に示すように、調和空気は、空間仕切部195の第1面195aに沿って中央吹出口116に至る。そして、中央吹出口116に至った調和空気は、上下風向調整羽根130の状態に伴って、風向が調整される。
【0152】
また、上下風向調整羽根130が中央吹出口116を開放するように配置されており、側方遮蔽部材190が側方吹出口117を開放するように配置されている場合に、室内ファンによって空気流が生成された場合には、図15(c)に示すように、調和空気が、空間仕切部195の第1面195aに沿って中央吹出口116に至ったり、空間仕切部195の第2面195b、仕切部112aの内側面112bおよび側面部190b,190cに沿って側方吹出口117に至ったりする。このとき、中央吹出口116に至った調和空気は、上下風向調整羽根130の状態に伴って、風向が調整される。また、側方吹出口117に至った調和空気は、空間仕切部195の第2面195b、仕切部112aの内側面112bおよび側面部190b,190cによってその流れが規制されているため、室内機の側方に吹き出される。
【0153】
また、上記変形例の室内機110において、側方遮蔽部材の構成が底面部のみの構成であってもよい。言い換えると、上記変形例の側方遮蔽部材190において、側面部190b,190cが設けられていないような構成であってもよい。すなわち、側方遮蔽部材の構成が、上記実施形態における側方遮蔽部材90と同様の構成であってもよい。また、側方遮蔽部材が側面部を含まない構成の場合には、図16に示すように、側方遮蔽部材191の内側に正面遮蔽部材196が配置されていてもよい。なお、以下に説明する変形例において、側方遮蔽部材191および正面遮蔽部材196以外の構成は、上記変形例と同様の構成であるため、図16では、側方遮蔽部材191および正面遮蔽部材196以外の各構成部材については上記変形例と同様の符号を付している。
【0154】
側方遮蔽部材191は、室内機110の両側に配置される側方吹出口117近傍に配置されており、側方吹出口117をそれぞれ覆うことが可能である。なお、図16では、室内機110の左側に配置されている側方遮蔽部材191のみを示している。また、側方遮蔽部材191は、室内機110の下方の角部に沿った湾曲した形状を呈している。
【0155】
正面遮蔽部材196は、閉状態を採っている側方遮蔽部材191の内側面に対向するように室内機ケーシング112に設けられている。また、正面遮蔽部材196は、側方遮蔽部材191の状態が開状態である場合に、室内機110の正面視において側方吹出口117が視認されにくくなるように設けられている。このため、側方遮蔽部材191の状態が開状態である場合に側方吹出口117が空調対象者から視認されにくいため、室内機110の意匠性を損なうおそれを減らすことができる。
【0156】
また、図16に示す変形例の構成に加えて、図17に示すように、室内機ケーシング112に風向制御板197が設けられていてもよい。なお、図17において、風向制御板197以外の構成は、図16に示す変形例の構成と同様であるため、風向制御板197以外の各構成部材については上記変形例と同様の符号を付している。
【0157】
風向制御板197は、図17に示すように、調和空気の風向を規制するために、正面遮蔽部材196と対向するように配置されている。具体的には、調和空気が風向制御板197の表面に接触することで、調和空気の風向が規制される。このように、風向調整板197を設けることで、室内機110の側方に向かう空気流を形成しやすくすることができる。
【0158】
また、上記変形例において、仕切部112aが設けられておらず、空間仕切部195が設けられているような構成であってもよい。ここで、説明の便宜上、吹出口115において、上下風向調整羽根130によって覆われる部分を第1部分116aといい、側方遮蔽部材190によって覆われる部分を第2部分117aという。
【0159】
例えば、図18に示すように、空間仕切部195が吹出口115の近傍の空間に配置されている室内機110であって、上下風向調整羽根130が吹出口115の第1部分116aを開放するように配置されており、側方遮蔽部材190が吹出口115の第2部分117aを覆うように配置されている時に、室内ファンによって空気流が生成された場合には、図18(b)に示すように、調和空気は、空間仕切部195の第1面195aに沿って吹出口115の第1部分116aに至る。そして、吹出口115の第1部分116aに至った調和空気は、上下風向調整羽根130の状態に伴って、風向が調整される。
【0160】
また、上下風向調整羽根130が吹出口115の第1部分116aを開放するように配置されており、側方遮蔽部材190が吹出口115の第2部分117aを開放するように配置されている場合に、室内ファンによって空気流が生成された場合には、図18(c)に示すように、調和空気が、空間仕切部195の第1面195aに沿って吹出口115の第1部分116aに至ったり、空間仕切部195の第2面195bおよび側面部190b,190cに沿って吹出口115の第2部分117aに至ったりする。このとき、吹出口115の第1部分116aに至った調和空気は、上下風向調整羽根130の状態に伴って、風向が調整される。また、吹出口115の第2部分117aに至った調和空気は、空間仕切部195の第2面195bおよび側面部190b,190cによってその流れが規制されているため、室内機の側方に吹き出される。
【0161】
なお、図18では、上記変形例において仕切部112aが設けられていないこと以外は上記変形例と同様の構成であるため、各構成部材について同様の符号を付している。また、ここでは空間仕切部195は室内機ケーシング112に固定されているものとする。
【0162】
(B)
上記実施形態では、収納部25,95の上端部が連続した構成となっており、開状態である側方遮蔽部材20,90が収納される収納空間が形成されている。
【0163】
これに代えて、図19に示すように、収納部295の第2壁部297の上端部297aと第1壁部296の上端部296aとが連続していなくてもよい。また、収納部295がこのような構成である場合には、図20に示すように、側方遮蔽部材290の端部が上方に延びるように構成されていてもよい。なお、図19および図20に示す変形例の室内機210では、側方遮蔽部材290および収納部295の構成以外は、上記実施形態における室内機10の構成と同様の構成であるため、側方遮蔽部材290および収納部295以外の構成については上記実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0164】
収納部295は、図19および図20に示すように、第1壁部296と、第2壁部297とを有する。第1壁部296は、吹出口15の第2部分17a近傍から上方に延びている。また、第1壁部296は側方遮蔽部材290に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第1壁部296の上端部296aが、第1壁部296の下端部296bよりも室内機本体11の中央側に近くなるように配置される。さらに、第1壁部296近傍には、第2移動機構の備える側方遮蔽部材駆動用モータの有する回転軸294aが配置されている。
【0165】
また、第2壁部297は、吹出口15の第1部分16と吹出口15の第2部分17aとの境界近傍から上方に延びている。また、第2壁部297は、側方遮蔽部材290に対応可能なように湾曲した形状を呈しており、第2壁部297の上端部297aが、第2壁部297の下端部297bよりも室内機本体11の中央側に近くなるように配置される。このため、第2壁部297は、第1壁部296よりも室内機10の中央側に配置されている。また、第2壁部297の上端部297aと第1壁部296の上端部296aとは離れた位置に配置されている。なお、ここでは、第1壁部296と第2壁部297との間の空間を収納空間とする。
【0166】
側方遮蔽部材290は、室内機210の下部の角部に沿った湾曲した形状を有する第1部291と、第1部291から上方に延びる第2部292とを有する。第1部291は、図20に示すように、吹出口15の第2部分17aを覆うことが可能である。また、第1部291は、側方遮蔽部材290が吹出口15の第2部分17aを覆うように配置されている場合に、室内機10の外側から視認可能な部分である。言い換えると、側方遮蔽部材290の第1部291が、上記実施形態における側方遮蔽部材90に相当する。第2部292は、第1部291から連続して形成されており、側方遮蔽部材290の状態が閉状態である場合でもその一部が収納空間に収納されるように構成されている。具体的には、第2部292の端部292a、すなわち、側方遮蔽部材290の上部が、側方遮蔽部材290の状態が閉状態または開状態の場合であっても、常に収納空間内に位置するように構成されている。
【0167】
このような構成によって、この室内機210では、上下風向調整羽根30が吹出口15の第1部分16を開放するように配置されており、側方遮蔽部材290が吹出口15の第2部分を遮蔽するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、第2壁部297の壁面に沿って吹出口15の第1部分16に導かれる(図20(b)参照)。そして、吹出口15の第1部分16に至った空気は、上下風向調整羽根30の状態に伴って風向が調整される。
【0168】
また、上下風向調整羽根30が吹出口15の第1部分16を開放するように配置されており、側方遮蔽部材290が吹出口15の第2部分17aを開放するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、第2壁部297の壁面に沿って吹出口15の第1部分16に導かれたり、第1壁部296の外側面に沿って吹出口15の第2部分17aに導かれたりする(図20(c)参照)。このとき、吹出口15の第1部分16に至った空気は、上下風向調整羽根30の状態に伴って風向が調整される。また、吹出口15の第1部分16に至った空気は、第1壁部296の外側面によってその流れが規制されているため、室内機210の側方に吹き出される。したがって、室内機210の側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【0169】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができる。
【0170】
また、上記変形例の室内機210において、側方遮蔽部材の構成が、上記実施形態の側方遮蔽部材90の構成と同様の構成であってもよい。言い換えると、側方遮蔽部材が、上記変形例における第1部291のみによって構成されていてもよい。図21に示すように、側方遮蔽部材390が上記実施形態の側方遮蔽部材90と同様の構成である場合には、上下風向調整羽根30が吹出口15の第1部分16を開放するように配置されており、側方遮蔽部材390が吹出口15の第2部分を遮蔽するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、第2壁部297の壁面に沿って吹出口15の第1部分16に導かれる(図21(b)参照)。そして、吹出口15の第1部分16に至った空気は、上下風向調整羽根30の状態に伴って風向が調整される。
【0171】
また、上下風向調整羽根30が吹出口15の第1部分16を開放するように配置されており、側方遮蔽部材390が吹出口15の第2部分17aを開放するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、第2壁部297の壁面に沿って吹出口15の第1部分16に導かれたり、第1壁部296の外側面に沿って吹出口15の第2部分17aに導かれたりする(図21(c)参照)。このとき、吹出口15の第1部分16に至った空気は、上下風向調整羽根30の状態に伴って風向が調整される。また、吹出口15の第1部分16に至った空気は、第1壁部296の外側面によってその流れが規制されているため、室内機310の側方に吹き出される。したがって、室内機310の側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【0172】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができる。
【0173】
(C)
上記実施形態では、左側方遮蔽部材90が、室内機10の正面視において、回転軸を中心に反時計回りに回転移動することで、吹出口15の第2部分17aが開放されている。
【0174】
これに代えて、左側方遮蔽部材が、室内機の正面視において、回転軸を中心に時計回りに回転移動することで、吹出口の第2部分が開放されてもよい。
【0175】
(D)
上記実施形態では、第1移動機構50は、迫り出し機構51,61と角度調整機構71とを有しており、迫り出し機構51,61によって上下風向調整羽根30が迫り出されるように移動され、また、角度調整機構71によって上下風向調整羽根30の吹出口に対する角度が調整されている。
【0176】
これに代えて、第1移動機構が、室内機の長手方向に平行な回転軸を有しており、前記回転軸を中心に、上下風向調整羽根を回動させるような機構であってもよい。
【0177】
−第2実施形態−
図22は、空気調和機410の備える室内機410の外観斜視図である。図23(a)は、室内機410の風向状態が第1暖房状態である場合を示す室内機410の外観斜視図である。図23(b)は、室内機410の風向状態が第2暖房状態である場合を示す室内機410の外観斜視図である。図24(a)は、室内機410の風向状態が第2冷房状態である場合を示す室内機410の外観斜視図である。図24(b)は、室内機410の風向状態が三方風向状態である場合を示す室内機410の外観斜視図である。
【0178】
本発明の第2実施形態に係る空気調和機401について説明する。なお、この空気調和機401の構成において、室内機410以外の構成は第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0179】
室内機410は、室内の壁面等に取り付けられる壁掛け型の室内機である。また、室内機410は、主として、室内機本体411と、上下風向調整羽根430と、第1移動機構450(図25参照)と、第2移動機構499(図25参照)と、を備えている。なお、上下風向調整羽根430および第1移動機構450の構成は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0180】
<室内機本体の構成>
室内機本体411は、主に、室内機ケーシング412と、室内熱交換器と、室内ファン414と、垂直羽根419とを備えている。また、室内機本体411において、室内熱交換器、室内ファン414および垂直羽根419の構成は、第1実施形態と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0181】
室内機ケーシング412は、ケーシング本体412aと、前面パネル413とを有している。ケーシング本体412aは、水平方向に長い略直方形状の部材である。また、ケーシング本体412aには、室内熱交換器、室内ファン414、および、垂直羽根419等が収納されている。さらに、ケーシング本体412aには、取込口(図示せず)と、吹出口415とが形成されている。取込口は、室内の空気を室内機ケーシング412の内側に取り込むための開口であって、ケーシング本体412aの上部に形成されている。
【0182】
また、吹出口415は、室内機本体411内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機410の下部近傍に形成されている。具体的には、吹出口415は、ケーシング本体412aの底面から両側面にかけて連続して形成されている。このため、吹出口415は、室内機410の側面視において、その一部を視認可能である。
【0183】
前面パネル413は、前部413aと、前部413aの両端部から室内機本体411の後方向に延びる側部413bとを含む。前部413aは、ケーシング本体412aの前側の略全部を覆うことが可能である。側部413bは、ケーシング本体412aの両側面の一部を覆うことが可能である。また、側部413bは、吹出口415においてケーシング本体412aの側面側に位置する開口部分を(以下、側方開口部417という)を覆うことができる。
【0184】
また、前面パネル413は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることができる。
【0185】
前面パネル413が閉状態の場合には、図22および図23(a)に示すように、前面パネル413の側部413bが側方開口部417を覆うように配置される。
【0186】
また、前面パネル413が開状態の場合には、図23(b)および図24に示すように、前面パネル413の側部413bが側方開口部417を開放するように配置される。具体的には、前面パネル413が開状態の場合には、前面パネル413が閉状態である場合の前面パネル413の位置と比較して、ケーシング本体412aに対して上方に配置されている。
【0187】
<第2移動機構の構成>
第2移動機構499は、第1移動機構450とは別の移動機構であって、吹出口415近傍の空間の側面側が覆われている状態から吹出口415近傍の空間の側面側が開放されている状態となるように、前面パネル413を移動させることが可能な機構である。言い換えると、第2移動機構499は、前面パネル413の状態を切り換えるために、前面パネル413を室内機本体411に対して上下方向にスライド移動させることが可能である。
【0188】
第2移動機構499は、室内機ケーシング412の内部に配置されている。また、第2移動機構499は、ラックアンドピニオン機構であって、駆動部の駆動力によって前面パネル413を移動させることで、側方開口部417を開閉する。このため、第2移動機構は、駆動部から伝わる回転運動を側方開口部417の開閉動作、すなわち、前面パネル413の上下方向の直線運動に変換する変換機構として機能する。なお、本実施形態では、第2移動機構499をラックアンドピニオン機構としているが、前面パネル413を上下方向にスライド移動させることができれば第2移動機構がリンク機構等の別の機構であってもよい。
【0189】
次に、第1移動機構450および第2移動機構499の駆動を制御する制御部484について説明する。
【0190】
<制御部>
図25は、空気調和機の備える制御部484の制御ブロック図である。また、以下より、説明の便宜上、吹出口415において、側方開口部417以外の開口部分、すなわち、上下風向調整羽根430によって覆われる部分を中央開口部416という。
【0191】
制御部484は、室内機410および室外機402の各種機器と接続されており、リモートコントローラ486を介した空調対象者からの運転指令に基づいて、冷房運転や暖房運転等の各運転モードに応じた各種機器の運転制御を行うことができる。
【0192】
また、リモートコントローラ486には、運転停止ボタンや風向設定ボタン486a等の複数のスイッチが設けられている。運転停止ボタンは、空調対象者が空気調和機1の運転を停止させるときに操作されるスイッチである。また、風向設定ボタン486aは、空調対象者が室内機410から吹き出される空気の吹き出し方向を設定するときに操作されるスイッチである。例えば、空調対象者によって風向設定ボタン486aが押されると、制御部484は空調対象者からの風向設定指令を制御信号として受信する。なお、本実施形態における風向設定指令には、調和空気が主に室内機410の前側下方および側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第1指令と、調和空気が主に室内機410の前側上方および側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第2指令とが含まれる。
【0193】
また、制御部484は、上下風向調整羽根430および前面パネル413の状態を切り換えるための駆動制御部485を有する。駆動制御部485は、2つの迫り出し機構駆動用モータ454,464、角度調整機構駆動用モータ473および駆動部の駆動モータ494の回転数および回転方向を制御することで、上下風向調整羽根430および前面パネル413の状態を切り換える。このため、制御部484は、各運転モードあるいは空調対象者からの風向設定指令に応じて、室内機410の風向状態を変更することができる。また、本実施形態では、室内機410は、運転停止状態、第1冷房状態、第2冷房状態、第1暖房状態、第2暖房状態、および、三方風向状態の6つの風向状態を採ることが可能である。
【0194】
なお、室内機410の風向状態が運転停止状態である場合、上下風向調整羽根430および前面パネル413は、いずれも閉状態を採っている。また、室内機410の風向状態が第1冷房状態である場合、上下風向調整羽根430は第2開状態を採っており、前面パネル413は閉状態を採っている。室内機410の風向状態が第2冷房状態である場合、上下風向調整羽根430は第2開状態を採っており、前面パネル413は開状態を採っている。室内機410の風向状態が第1暖房状態である場合、上下風向調整羽根430は第3開状態を採っており、前面パネル413は閉状態を採っている。室内機410の風向状態が第2暖房状態である場合、上下風向調整羽根430は第3開状態を採っており、前面パネル413は開状態を採っている。室内機410の風向状態が三方風向状態である場合、上下風向調整羽根430は第1開状態を採っており、前面パネル413は開状態を採っている。
【0195】
例えば、空気調和機1の運転が停止している状態、すなわち、室内機410の風向状態が運転停止状態である場合に、空調対象者からリモートコントローラ486を介して冷房運転の開始指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が第1冷房風向状態となるように、第1移動機構450を制御する。具体的には、駆動制御部485は、上下風向調整羽根430の状態が閉状態から第2開状態に切り換わるように、迫り出し機構駆動用モータ454,464および角度調整機構駆動用モータ473を制御する。なお、このとき、駆動制御部485は駆動モータ494を駆動させる制御を行わないため、前面パネル413は、側方開口部417を覆うように位置しており、吹出口415における側方開口部417に相当する開口面が遮蔽された状態が維持される。このため、吹出口415の中央開口部416のみが開放される。
【0196】
また、このとき、制御部484は、垂直羽根419が室内機ケーシング412の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。
【0197】
このため、空気調和機の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ486を介して冷房運転の開始指令が為されて、室内ファン414によって空気流が生成されると、調和空気が、主吹き出し流路を流れて吹出口415の中央開口部416に至る。そして、吹出口415の中央開口部416に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根430の内側面30aに沿って室内機410の前側下方に吹き出される。
【0198】
これによって、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機410の前側下方となるため、室内空間を上部と下部とに分けた場合には、調和空気が室内空間の主に下部に吹き出されることになる。
【0199】
また、空気調和機において室内機410の風向状態が第1冷房状態である冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が第1冷房状態から第2冷房風向状態となるように、第2移動機構499を制御する。具体的には、駆動制御部485は、前面パネル413の状態が閉状態から開状態に切り換わるように、駆動モータ494を制御する。なお、このとき、上下風向調整羽根430の状態は、第2開状態が維持される。このため、吹出口415の中央開口部416、側方開口部417が開放される。
【0200】
また、このとき、制御部484は、垂直羽根419の主垂直羽根部が室内機ケーシング412の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部484は、側方垂直羽根部の先端部が各側方開口部417に向むかって傾斜するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気が中央開口部416および側方開口部417に導かれる。
【0201】
そして、中央開口部416に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根430の内側面30aに沿って室内機410の前側下方に向かって吹き出される。
【0202】
また、側方開口部417に導かれた調和空気は、室内機410の左右両側方に向かって吹き出される。
【0203】
したがって、空気調和機において冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機410の前側下方および左右両側方に変更される(図24(a)参照)。
【0204】
これによって、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機410の前側下方および左右両側方となるため、室内空間において室内機410の両側方の空間を特に側方空間とした場合、調和空気が室内空間の下部および側方空間に吹き出されることになる。
【0205】
また、空気調和機において室内機410の風向状態が第1冷房状態である冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が第1冷房状態から三方風向状態となるように、第1移動機構450および第2移動機構499を制御する。具体的には、駆動制御部485は、上下風向調整羽根430の状態が第2開状態から第1開状態に切り換わるように迫り出し機構駆動用モータ454,464を制御するとともに、前面パネル413の状態が閉状態から開状態に切り換わるように駆動モータ494を制御する。このため、中央開口部416および側方開口部417が開放される。
【0206】
また、このとき、制御部484は、垂直羽根419の主垂直羽根部が室内機ケーシング412の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部484は、側方垂直羽根部の先端部が各側方開口部417に向むかって傾斜するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気が中央開口部416および側方開口部417に導かれる。
【0207】
そして、吹出口415の中央開口部416に至った調和空気は、吹出口415において中央開口部416に相当する開口面と略平行となるように配置されている上下風向調整羽根430の内側面30aに沿って、室内機410の前側上方に吹き出される。
【0208】
また、側方開口部417に導かれた調和空気は、室内機410の左右両側方に向かって吹き出される。
【0209】
したがって、空気調和機1において冷房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機410の前側上方および左右両側方に変更される(図24(b)参照)。
【0210】
これによって、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機410の前側上方および左右両側方となるため、調和空気が室内空間の上部および側方空間に吹き出されることになる。
【0211】
また、例えば、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ486を介して暖房運転の開始指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が第1暖房風向状態となるように、第1移動機構450を制御する。具体的には、駆動制御部485は、迫り出し機構駆動用モータ454,464および角度調整機構駆動用モータ473を制御することで、上下風向調整羽根430の状態を閉状態から第3開状態に切り換える。なお、このとき、駆動制御部485は駆動モータ494を駆動させる制御を行わないため、前面パネル413は側方開口部417を覆うように位置しており、吹出口415における側方開口部417に相当する開口面が遮蔽された状態が維持される。このため、吹出口415の中央開口部416のみが開放される。
【0212】
また、このとき、制御部484は、垂直羽根419が室内機ケーシング412の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。
【0213】
このため、空気調和機1の運転が停止している状態で、空調対象者からリモートコントローラ486を介して暖房運転の開始指令が為されて、室内ファン414によって空気流が生成されると、調和空気が、主吹き出し流路を流れて吹出口415の中央開口部416に至る。そして、吹出口415の中央開口部416に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根430の内側面30aに沿って室内機410の下方に吹き出される。
【0214】
これによって、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機410の下方となるため、室内空間のうち室内機410の下側の空間を下方空間とした場合、調和空気が、主に、下方空間に吹き出されることになる(図23(a)参照)。
【0215】
また、空気調和機1において室内機410の風向状態が第1暖房状態である場合の暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が第1暖房状態から第2暖房風向状態となるように、第2移動機構499を制御する。具体的には、駆動制御部485は、前面パネル413の状態が閉状態から開状態に切り換わるように駆動モータ494を制御する。なお、このとき、上下風向調整羽根430の状態は、第2開状態が維持される。このため、中央開口部416および側方開口部417が開放される。
【0216】
また、このとき、制御部484は、垂直羽根419の主垂直羽根部が室内機ケーシング412の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部484は、側方垂直羽根部の先端部が各側方開口部417に向むかって傾斜するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気が中央開口部416および側方開口部417に導かれる。
【0217】
そして、中央開口部416に至った調和空気は、傾斜している上下風向調整羽根430の内側面30aに沿って室内機410の下方に向かって吹き出される。
【0218】
また、側方開口部417に導かれた調和空気は、室内機410の左右両側方に向かって吹き出される。
【0219】
したがって、空気調和機において暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第1指令が為されると、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機410の下方および左右両側方に変更される(図23(b)参照)。
【0220】
これによって、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機410の下方および左右両側方となるため、調和空気が主に下方空間および側方空間に吹き出されることになる。
【0221】
また、空気調和機1において室内機410の風向状態が第1暖房状態である場合の暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が第1暖房状態から三方風向状態となるように、第1移動機構450および第2移動機構499を制御する。具体的には、駆動制御部485は、上下風向調整羽根430の状態が第3開状態から第1開状態に切り換わるように迫り出し機構駆動用モータ454,464および角度調整機構駆動用モータ473を制御するとともに、前面パネル413の状態が閉状態から開状態に切り換わるように駆動モータ494を制御する。このため、吹出口415の中央開口部416、側方開口部417が開放される。
【0222】
また、このとき、制御部484は、垂直羽根419の主垂直羽根部が室内機ケーシング412の長手方向に対して垂直な状態で止まるように、駆動モータを制御する。また、制御部484は、側方垂直羽根部の先端部が各側方開口部417に向むかって傾斜するように、駆動モータを制御する。このため、調和空気が中央開口部416および側方開口部417に導かれる。
【0223】
そして、吹出口415の中央開口部416に至った調和空気は、吹出口415において中央開口部416に相当する開口面と略平行となるように配置されている上下風向調整羽根430の内側面30aに沿って、室内機410の前側上方に吹き出される。
【0224】
また、側方開口部417に導かれた調和空気は、室内機410の左右両側方に向かって吹き出される。
【0225】
したがって、空気調和機において暖房運転が実行されているときに、リモートコントローラ486を介して空調対象者から風向設定指令のうちの第2指令が為されると、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が、室内機410の前側上方および左右両側方に変更される(図24(b)参照)。
【0226】
これによって、吹出口415から吹き出される空気の吹き出し方向が室内機410の前側上方および左右両側方となるため、調和空気が室内空間の上部および側方空間に吹き出されることになる。
【0227】
また、空気調和機において暖房運転または冷房運転が実行されている状態で、空調対象者からリモートコントローラ486を介して運転停止指令が為されると、駆動制御部485は、室内機410の風向状態が運転停止状態となるように、第1移動機構450および/または第2移動機構499を制御する。具体的には、上下風向調整羽根430の状態が第1開状態、第2開状態または第3開状態である場合には、駆動制御部485は、迫り出し機構駆動用モータ454,464および角度調整機構駆動用モータ473を駆動することで、上下風向調整羽根430の状態を第1開状態、第2開状態または第3開状態から閉状態に切り換える。
【0228】
また、空調対象者からリモートコントローラ486を介して運転停止指令が為されたときに、前面パネル413が開状態である場合には、駆動制御部485は、前面パネル413の状態が開状態から閉状態に切り換わるように、駆動モータ494を制御する。このため、吹出口415の中央開口部416に上下風向調整羽根430が位置し、吹出口415の側方開口部417に前面パネル413が位置する状態、すなわち、吹出口415が遮蔽された状態となる。
【0229】
このように、本実施形態では、上下風向調整羽根430と、上下風向調整羽根430とは独立して移動可能な前面パネル413とによって、種々の吹き出し方向を採ることができる。
【0230】
<特徴>
(1)
上記実施形態では、第2移動機構499によって、吹出口415近傍の空間の側面側が覆われている状態から吹出口415近傍の空間の側面側が開放されている状態となるように、前面パネル413が移動される。このため、吹出口415近傍の空間の側面側を遮蔽したり開放したりすることができる。したがって、必要に応じて室内機410の側方に向かって空気を吹き出すことができている。
【0231】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができている。
【0232】
(2)
上記実施形態では、前面パネル413が、第2移動機構499によってケーシング本体412aに対して上下方向、すなわち、室内機本体411に対して上下方向にスライド移動されている。このため、前面パネル413をケーシング本体412aに対して上下方向にスライド移動させることで、側方開口部417を遮蔽したり開放したりすることができている。
【0233】
<変形例>
上記実施形態では、第2移動機構499によって前面パネル413全体が上下方向にスライド移動されることで、側方開口部417が遮蔽されたり開放されたりしている。
【0234】
これに代えて、前面パネルの側部の一部が上下方向にスライド移動することによって側方開口部が遮蔽されたり開放されたりしてもよい。
【0235】
例えば、図26、図27および図28に示すように、側部開口部517を覆うことが可能な側方遮蔽部材513cを備える室内機510について説明する。なお、本変形例では、前面パネル513および第2移動機構の構成以外は、上記実施形態と同様であるため、ここでは、前面パネル513および第2移動機構についてのみ説明し、前面パネル513および第2移動機構以外の部材については説明を省略する。
【0236】
<前面パネルの構成>
前面パネル513は、前部513aと、前部513aの両端部から室内機本体511の後方向に延びる側部513bとを含む。前部513aは、ケーシング本体512aの前側の略全部を覆うことが可能である。
【0237】
側部513bは、側部本体部513dと側方遮蔽部材513cとを有しており、ケーシング本体512aの両側面の一部を覆うことが可能である。側部本体部513dには、図28に示すように、吹出口515においてケーシング本体512aの側面側に位置する開口部分(以下、側方開口部517という)近傍に切り欠き部513eが形成されている。また、側方遮蔽部材513cは、切り欠き部513e近傍に配置される。このため、側方遮蔽部材513cは、側方開口部517を覆うことができる。
【0238】
また、前面パネル513の側方遮蔽部材513cは、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることができる。
【0239】
側方遮蔽部材513cが閉状態の場合には、図26および図27に示すように、側方遮蔽部材513cが側方開口部517を覆うように配置される。
【0240】
また、側方遮蔽部材513cが開状態の場合には、図28に示すように、側方遮蔽部材513cは、側方開口部517が開放されるように配置されている。具体的には、側方遮蔽部材513cが開状態の場合には、側方遮蔽部材513cが閉状態である場合の側方遮蔽部材513cの位置と比較して、側方遮蔽部材513cが上方に配置されている。
【0241】
<第2移動機構の構成>
第2移動機構は、第1移動機構とは別の移動機構であって、側方遮蔽部材513cをケーシング本体512aに対して左右方向および上下方向にスライド移動させることが可能である。なお、ここでいう左右方向とは、ケーシング本体512aの外側に向かう方向(以下、第1方向という)およびケーシング本体512aの内側に向かう方向(以下、第2方向という)のことである。
【0242】
第2移動機構は、室内機ケーシング512の内部に配置されている。また、第2移動機構は、ラックアンドピニオン機構であって、駆動部の駆動力によって側方遮蔽部材513cを移動させることで、側方開口部517を開閉する。このため、第2移動機構は、駆動部から伝わる回転運動を側方開口部517の開閉動作、すなわち、側方遮蔽部材513cの左右方向および上下方向の直線運動に変換する変換機構として機能する。なお、本実施形態では、第2移動機構をラックアンドピニオン機構としているが、側方遮蔽部材513cを上下方向および左右方向にスライド移動させることができれば第2移動機構がリンク機構等の別の機構であってもよい。
【0243】
側方遮蔽部材513cの状態を閉状態から開状態に切り換える場合、第2移動機構は、側方遮蔽部材513cが側部本体部513dと干渉しないように側方遮蔽部材513cをケーシング本体512aに対して第1方向に移動させた後に上方向に移動させる。また、側方遮蔽部材513cの状態を開状態から閉状態に切り換える場合、第2移動機構は、側方遮蔽部材513cをケーシング本体512aに対して下方向に移動させた後に、第2方向に移動させる。このようにして、第2移動機構は、側方遮蔽部材513cをスライド移動することで、側方開口部を開閉することができる。
【0244】
このような構成によって、この室内機510では、上下風向調整羽根530が中央開口部516を開放するように配置されており、側方遮蔽部材513cが側方開口部を遮蔽するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、中央開口部516に導かれ、上下風向調整羽根530の状態に伴って風向が調整される。
【0245】
また、上下風向調整羽根530が中央開口部516を開放するように配置されており、側方遮蔽部材513cが側方開口部517を開放するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、中央開口部516および側方開口部517に導かれる。そして、中央開口部516に至った調和空気は、上下風向調整羽根530の状態に伴って風向が調整される。また、側方開口部に至った調和空気は、室内機510の側方に吹き出される。したがって、室内機510の側方に向かって調和空気を吹き出すことができる。
【0246】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができている。
【0247】
−第3実施形態−
図29は、空気調和機の備える室内機610の外観斜視図である。図30は、室内機610の風向状態が第1冷房状態である場合を示す室内機610の外観斜視図である。図31は、室内機610の風向状態が第2冷房状態である場合を示す室内機610の外観斜視図である。図32は、室内機610の概略底面図である。
【0248】
本発明の第3実施形態に係る空気調和機401について説明する。なお、この空気調和機の構成において、室内機610以外の構成は第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0249】
<室内機の構成>
室内機610は、室内の壁面等に取り付けられる壁掛け型の室内機である。また、室内機610は、主として、室内機本体611と、上下風向調整羽根630と、側方遮蔽部材690と、第1移動機構と、第2移動機構と、を備えている。なお、上下風向調整羽根630および第1移動機構の構成は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0250】
<室内機本体の構成>
室内機本体611は、主に、室内機ケーシング612と、室内熱交換器と、室内ファンと、垂直羽根とを備えている。また、室内機本体611において、室内熱交換器、室内ファンおよび垂直羽根の構成は、第1実施形態と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0251】
室内機ケーシング612は、図29、図30および図31に示すように、空水平方向に長い略直方形状の部材である。また、室内機ケーシング612には、室内熱交換器および室内ファン等が収納されている。さらに、室内機ケーシング612には、取込口(図示せず)と、吹出口615とが形成されている。取込口は、室内の空気を室内機ケーシング612の内側に取り込むための開口であって、室内機ケーシング612の上部に形成されている。
【0252】
また、吹出口615は、室内機本体611内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機610の下部近傍に形成されている。具体的には、吹出口615は、室内機ケーシング612の底面から両側面にかけて連続して形成されている。このため、吹出口615は、室内機610の側面視において、その一部を視認可能である。なお、以下より、説明の便宜上、吹出口615において、室内機ケーシング612の底面に位置する部分を第1開口616といい、室内機ケーシング612の左右両側面に位置する部分を第2開口617という。また、上下風向調整羽根630は、図32に示すように、第1開口616の第1部分616aを覆うことができる。なお、ここでいう第1部分616aとは、第1開口616において室内機610の後側に近い部分のことである。
【0253】
<側方遮蔽部材の構成>
側方遮蔽部材690は、図29に示すように、前面部691と、前面部691から室内機本体611の後方向に延びる延長部692a,692bとを備えている。前面部691は、室内機610の長手方向に平行に延びる略長方形状の板状の部材である。また、前面部691は、図32に示すように、第1開口616の第2部分616bを覆うことが可能である。なお、ここでいう第2部分616bとは、第1開口616において、室内機610の前側に近い側の端部を含む部分、すなわち、第1開口616の前部のことである。
【0254】
延長部692a,692bは、図29に示すように、第1部692aa,692baと、第1部692aa,692baの端部から上方に立設される第2部692ab,692bbとを有する。第1部692aa,692baは、前面部691から連続して形成されており、前面部691と略同一面内に配置されている。また、第1部692aaは、第1開口616の第3部分616cを覆うことが可能である。なお、ここでいう第3部分616cとは、第1開口616において、室内機610の右側に近い側の端部を含む部分、すなわち、第1開口616の右側端部のことである。また、第1部692baは、第1開口616の第4部分616dを覆うことが可能である。なお、ここでいう第4部分616dとは、第1開口616において、室内機610の左側に近い側の端部を含む部分、すなわち、第1開口616の左側端部のことである。言い換えると、第1開口616は、第1部分616a、第2部分616b、第3部分616cおよび第4部分616dに分かれており、第1部分616aの前側に第2部分616bが位置しており、第1部分616aの右側に第3部分616cが位置しており、第1部分616aの左側に第4部分616dが位置している。このため、側方遮蔽部材690の前面部691および第1部692aa,692baは、第1開口616において、上下風向調整羽根630が覆うことが可能な第1部分616aを除く部分である第2部分616b、第3部分616cおよび第4部分616dを覆うことが可能である。また、室内機610の風向状態が運転停止状態である場合には、側方遮蔽部材690の前面部691および第1部692aa,692baは、上下風向調整羽根630と略同一面内に配置される。このため、上下風向調整羽根630と側方遮蔽部材690との間に現れる目地が目立つおそれを減らすことができる。
【0255】
第2部692ab,692bbは、略三角形状を呈しており、第2開口617の開口面積と略同一の面積を有している。また、第2部692abは、第2開口617のうち室内機610の右側に位置する部分を覆うことができる。さらに、第2部692bbは、第2開口617のうち室内機610の左側に位置する部分を覆うことができる。
【0256】
このような構成によって、側方遮蔽部材690の前面部691および第1部692aa,692baは、第1開口616の一部を覆うことが可能である。また、側方遮蔽部材690の第2部692ab,692bbは、第2開口617を覆うことが可能である。このため、側方遮蔽部材690は、上下風向調整羽根630とともに吹出口615を覆うことが可能である。なお、本実施形態では、前面部691および第1部692aa,692baは略水平方向に平行な面を有しており、第2部692ab,692bbは略鉛直方向に平行な面を有しているものとする。
【0257】
さらに、側方遮蔽部材690は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることが可能である。
【0258】
側方遮蔽部材690の状態が閉状態である場合、側方遮蔽部材690が第1開口616の第2部分616b、第3部分616cおよび第4部分616dと第2開口617とを覆うように配置される。具体的には、側方遮蔽部材690の状態が閉状態である場合には、前面部691が第1開口616の第2部分616bを覆うように配置され、第1部692aaが第1開口616の第3部分616cを覆うように配置され、第1部692baが第1開口616の第4部分616dを覆うように配置され、第2部692ab,692bbが第2開口617を覆うように配置される(図29および図30参照)。このため、上下風向調整羽根630および側方遮蔽部材690が閉状態である場合には、図29に示すように、吹出口615が遮蔽される。
【0259】
側方遮蔽部材690の状態が開状態である場合、側方遮蔽部材690が第1開口616の第2部分616b、第3部分616cおよび第4部分616dと第2開口617とを開放するように配置される。具体的には、側方遮蔽部材690の状態が開状態である場合には、前面部691が第1開口616の第2部分616bを開放するように配置され、第1部692aaが第1開口616の第3部分616cを開放するように配置され、第1部692baが第1開口616の第4部分616dを開放するように配置され、第2部692ab,692bbが第2開口617を開放するように配置される。このため、上下風向調整羽根630の状態が第1開状態、または、第2開状態であり、かつ、側方遮蔽部材690の状態が開状態の場合には、室内機610の前方および側方に向かって空気が吹き出される(図31参照)。
【0260】
<第2移動機構の構成>
第2移動機構は、第1移動機構とは別の移動機構であって、吹出口615近傍の空間の側面側が覆われている状態から吹出口615近傍の空間の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材690を移動させることが可能な機構である。言い換えると、第2移動機構は、側方遮蔽部材690の状態を切り換えるために、側方遮蔽部材690を室内機本体611に対して上下方向にスライド移動させることが可能である。
【0261】
第2移動機構は、室内機ケーシング612の内部に配置されている。また、第2移動機構は、ラックアンドピニオン機構であって、駆動部の駆動力によって側方遮蔽部材690を移動させることで、第1開口616の第2部分616b、第3部分616c、第4部分616d、および第2開口617を遮蔽したり開放したりする。このため、第2移動機構は、駆動部から伝わる回転運動を吹出口615の一部の開閉動作、すなわち、側方遮蔽部材690の上下方向の直線運動に変換する変換機構として機能する。なお、本実施形態では、第2移動機構をラックアンドピニオン機構としているが、側方遮蔽部材690を上下方向にスライド移動させることができれば第2移動機構がリンク機構等の別の機構であってもよい。なお、第1移動機構および第2移動機構の駆動は、制御部(図示せず)によって制御される。
【0262】
このような構成によって、この室内機610では、上下風向調整羽根630が第1開口616の第1部分616aを開放するように配置されており、側方遮蔽部材690が第1開口616の第2部分616b、第3部分616c、第4部分616dおよび第2開口617を遮蔽するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、第1開口616の第1部分616aに導かれ、上下風向調整羽根630の状態に伴って風向が調整される(図30参照)。
【0263】
また、上下風向調整羽根630が第1開口616の第1部分616aを開放するように配置されており、側方遮蔽部材690が第1開口616の第2部分616b、第3部分616c、第4部分616dおよび第2開口617を開放するように配置されている状態で、室内ファンによって空気流が生成された場合には、調和空気は、第1開口616の第1部分616a、第2部分616b、第3部分616c、第4部分616dおよび第2開口617に導かれる。そして、第1開口616の第1部分616aに至った調和空気は、上下風向調整羽根630の状態に伴って風向が調整される。また、第1開口616の第2部分616bに至った調和空気は、室内機610の前方に吹き出される。さらに、第1開口616の第3部分616c、第4部分616dに至った調和空気は、室内機610の前方または側方に吹き出される。また、第2開口617に至った調和空気は、室内機610の側方に吹き出される。
【0264】
これによって、室内機610の前方および側方に向かって調和空気を吹き出すことができる(図31参照)。
【0265】
<特徴>
(1)
上記実施形態では、第2移動機構によって、吹出口615近傍の空間の側面側が覆われている状態から吹出口615近傍の空間の側面側が開放されている状態となるように、側方遮蔽部材690が移動されている。このため、吹出口615近傍の空間の側面側を遮蔽したり開放したりすることができる。したがって、必要に応じて室内機610の側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【0266】
これによって、側方に向かう空気の吹き出しを調整することができている。
【0267】
(2)
上記実施形態では、前面部691と、前面部691から室内機本体611の後方向に延びる延長部692a,692bとを備えている。このため、側方遮蔽部材690によって、第1開口616の前部、すなわち、吹出口16近傍の空間の正面側の前部を覆うことができている。
【0268】
<変形例>
上記実施形態では、側方遮蔽部材690が上下方向にスライド移動することで、第1開口616の第2部分616b、第3部分616c、第4部分616dおよび第2開口617が開閉されている。
【0269】
これに代えて、図33に示すように、側方遮蔽部材690が室内機ケーシング612の前面部612aとともに、室内機本体611の前後方向にスライド移動することで、第1開口616の第2部分616b、第3部分616c、第4部分616dおよび第2開口617が開閉されてもよい。なお、側方遮蔽部材690の前後方向の移動は、ラックアンドピニオン機構やリンク機構によって行われてもよい。
【0270】
このように側方遮蔽部材690が室内機本体611の前後方向にスライド移動することで、室内機610の側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【0271】
また、図34に示すように、側方遮蔽部材690が、その後側の端部近傍に配置される回転軸を中心に回動することで、第1開口616の第2部分616b、第3部分616c、第4部分616dおよび第2開口617が開閉されてもよい。
【0272】
このように側方遮蔽部材690が回動移動することで、室内機610の側方に向かって空気を吹き出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0273】
本発明は、必要に応じて室内機の側方に向かって調和空気を吹き出すことができるため、空気調和機への適用が有効である。
【符号の説明】
【0274】
1 空気調和機
15a 凹部
116 中央吹出口(吹出口)
117 側方吹出口(吹出口)
294a 回転軸
413b 側部(側方遮蔽部材)
691 前面部(前羽根部)
12,112,412,512,612 室内機ケーシング(ケーシング)
15,115,415,515,615 吹出口
11,411,511,611 室内機本体(本体)
25,95,295 収納部
29,99,499 第2移動機構
30,130,430,530 上下風向調整羽根
20,90,190,290,390,513c,690 側方遮蔽部材
50,450 第1移動機構
85,485 駆動制御部(制御部)
692a,692b 延長部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0275】
【特許文献1】特開平8−178407号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口(15,115,116,117,415,515,615)が形成されているケーシング(12,112,412,512,612)を有する本体(11,411,511,611)と、
前記吹出口付近の空間の正面側を覆うことが可能な上下風向調整羽根(30,130,430,530)と、
前記上下風向調整羽根とは別部材であって、前記空間の側面側を覆うことが可能な側方遮蔽部材(20,90,190,290,390,413b,513c,690)と、
前記空間の正面側が覆われている状態から前記空間の正面側が開放されている状態となるように、前記上下風向調整羽根を移動させることが可能な第1移動機構(50,450)と、
前記空間の側面側が覆われている状態から前記空間の側面側が開放されている状態となるように、前記側方遮蔽部材を移動させることが可能な第2移動機構(29,99,499)と、
を備える空気調和機(1)。
【請求項2】
前記第2移動機構は、前記側方遮蔽部材を前記本体に対して上下方向にスライド移動させる、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第2移動機構は、前記側方遮蔽部材を前記本体に対して前後方向にスライド移動させる、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記側方遮蔽部材は、前記空間の前部を覆うことが可能な前羽根部(691)と、前記前羽根部の両端部近傍から前記本体の後方向に延びる延長部(692a,692b)と、を有する、
請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第2移動機構は、前記側方遮蔽部材を、前記側方遮蔽部材の回転軸(294a)を中心に回転させて移動させる、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第1移動機構および前記第2移動機構の駆動を制御する制御部(85,485)を更に備え、
前記側方遮蔽部材と前記上下風向調整羽根とは近接して配置されており、
前記制御部は、前記空間の側面側が覆われている状態から前記空間の側面側が開放されている状態となるように前記側方遮蔽部材が移動される場合には、前記空間の正面側が開放されている状態となるように前記上下風向調整羽根が移動された後に前記側方遮蔽部材の前記移動が開始されるように、前記第1移動機構および前記第2移動機構の駆動を制御する、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項7】
前記側方遮蔽部材と前記上下風向調整羽根とは、前記側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われており前記上下風向調整羽根によって前記空間の正面側が覆われている場合には、前記側方遮蔽部材の少なくとも一部の外面と前記上下風向調整羽根の外面とが略一面状になるように配置される、
請求項1から6のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項8】
前記ケーシングは、前記側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われている状態であるときに前記側方遮蔽部材を収容可能な凹部(15a)を含み、
前記凹部は、前記側方遮蔽部材によって前記空間の側面側が覆われている場合に、前記側方遮蔽部材の外面と前記ケーシングの外面とが略一面状になるように構成されている、
請求項1から7のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項9】
前記第2移動機構は、前記側方遮蔽部材を前記空間の側面側が開放されている状態となるように移動させたときに、前記側方遮蔽部材を収納可能な収納部(25,95,295)を有する、
請求項1から8のいずれかに記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−21809(P2011−21809A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167224(P2009−167224)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】