説明

空気調和機

【課題】室内機と室外機とで構成される空気調和機において、室内機側の電源を完全に遮断できると共に、室内機の電源を遮断中であってもリモコンからの信号を受け付けて室内機を再起動できる空気調和機を提供する。
【解決手段】室内機は、リモコンからの送出される起動信号を検出する起動用フォトアンプ34と、電源ラインNと通信線7に接続され、起動用フォトアンプ34へ電源を供給する起動用電源部33とを備え、室外機2は室内機3への電源ラインLを開閉するパワーリレー15と、通信線7と電源ラインLとを介して交流電源1へ還流する起動用フォトアンプ34の負荷電流を検出するフォトカプラ13とを備え、室外機2は、パワーリレー15で室内機3への電源を遮断している時に、フォトカプラ13を介して監視している負荷電流が所定の値以上になったとき、パワーリレー15を閉にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機と室外機とで構成される空気調和機に係わり、より詳細には、室外機から室内機へ給電する方式における室内機の待機電力を低減する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室外機から室内機へ給電する方式の空気調和機として、室内機と室外機とが電源線及び通信線で接続され、待機中に室外機の制御用マイコンへの電源供給を遮断して待機電力を低減できるセパレート形空気調和機がある。
【0003】
この空気調和機では、待機中になって電源が遮断された室外機の制御用マイコンを再起動するため、室内機と室外機との通信を行う通信線に起動用の電源を室内機側から室外機側に印加し、この起動用の電源で室外機の電源を立ち上げるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、室外機から室内機へ給電する方式の他の空気調和機として、空気調和機の停止中に室内機制御部のCPU機能を停止させて消費電力を低減する複数の室内機を備えたマルチエアコンがある。
【0005】
このマルチエアコンは、マイクロコンピュータにより室外機と室内機の間で通信制御される空気調和機であり、室内制御部にリモコンからの停止信号を受信して始動するタイマーを有し、このタイマーが所定時間経過した時、つまり、一定期間の間に新たな運転信号が無い場合に、室内機のマイクロコンピュータのCPU機能を停止させる。この後、リモコンの始動信号を受信した時に該CPU機能を再起動させるようになっている。
【0006】
さらに、室外制御部に室内機から所定時間内に通信データが来なければ室外制御部のマイクロコンピュータを停止するようにし、一方、停止中に通信データが来れば室外制御部のマイクロコンピュータの再起動を行うようにして低消費電力を図るようにしている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
このように室内機や室外機のマイコンなどの一部の回路の電源を遮断して消費電力の低減を図るものは多数存在する。
しかしながら、赤外線リモコンの受信部やワイヤードリモコンは室内機の電源で動作し、また、運転停止中の室内機は赤外線リモコンやワイヤードリモコンの信号を受け付けて再起動する必要があるため、室内機への電源供給を完全に遮断することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−111123号公報(第5−6頁、図1)
【特許文献2】特開2000−171074号公報(第3−4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上述べた問題点を解決し、室内機と室外機とで構成される空気調和機において、室内機側の電源を完全に遮断できると共に、室内機の電源を遮断中であってもリモコンからの信号を受け付けて室内機を再起動できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するため、交流電源に接続される室外機と、同室外機を経由して2本の電源ラインを介して前記交流電源が供給されると共に、前記室外機と通信を行う1本の通信線が接続された室内機と、同室内機に運転指示を与えるリモコンとを備えた空気調和機であって、
前記室内機は、前記リモコンから送出される起動信号を検出する起動検出手段と、入力端が前記電源ラインの一方と前記通信線とに接続され前記起動検出手段へ直流電源を供給する起動用電源部とを備え、
前記室外機は前記室内機に接続された前記電源ラインの他方を開閉するスイッチ手段と、同スイッチ手段が開の時に前記通信線と前記電源ラインの他方とを介して前記交流電源へ還流する前記起動検出手段の負荷電流を検出する負荷電流検出手段とを備え、
前記室外機は、前記スイッチ手段を開にして前記室内機への前記交流電源供給を遮断している時に前記負荷電流検出手段を介して前記起動検出手段の負荷電流を監視し、前記起動信号により前記負荷電流が所定の値以上になったとき、前記スイッチ手段を閉として前記室内機へ前記交流電源を供給することを特徴とする。
【0011】
また、前記起動信号は、前記リモコンが赤外線リモコンの場合は同赤外線リモコンから所定時間送出されるバースト信号であり、前記リモコンがワイヤードリモコンの場合は同ワイヤードリモコンに備えられたスイッチの押下によって前記スイッチに流れる前記起動用電源部の短絡電流であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の手段を用いることにより、本発明による空気調和機によれば、請求項1に係わる発明は、室内機の電源が遮断されていても、交流電源の一方の電源ラインと室内機の電源が遮断された場合に必要でない通信線とを用いて、室内機に設けられた起動用電源部から起動検出手段へ電源を供給し、室外機側で通信線に流れる起動検出手段の負荷電流を監視することでリモコンからの起動指示に対応できるため、室内機が待機状態の時に室内機への電源供給を完全に遮断することができる。
【0013】
請求項2に係わる発明は、赤外線リモコンのバースト信号と起動用電源部の短絡電流とのいずれかを起動信号とし、これらを共通の負荷電流検出手段で検出するため、簡単で安価な回路構成で室内機への電源供給を完全に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による空気調和機の実施例を示すマルチエアコンのブロック図である。
【図2】本発明による空気調和機の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明による空気調和機の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明による空気調和機の実施例を示すマルチエアコンのブロック図である。なお、本発明と直接関係ない冷媒系統については図示と説明を省略している。
本発明の特徴は室外機から室内機へ給電する方式において、待機時に室内機の電源供給を遮断することにある。このため、赤外線リモコンからの赤外線信号、または、ワイヤードリモコンからの起動信号を検出する起動検出手段が室内機に備えられており、この起動検出手段で検出した起動信号を待機時には使用しない通信線を介して室内機から室外機へ出力し、室外機でこれを検知して室内機へ電源を供給する構成が特徴である。
【0017】
このマルチエアコンは、交流電源1が電源ラインLと電源ラインNで接続された室外機2と、この室外機2とそれぞれ接続された室内機3と室内機4とを備えている。また、各室内機は赤外線リモコン5やワイヤードリモコン6によって運転指示を受け付けるようになっている。そして室外機2と各室内機3,4とは、電源ラインLと電源ラインNで接続され、さらに、通信線7で室内機3と、また、通信線8で室内機4が、それぞれ室外機2と接続されている。
【0018】
室外機2は、電源ラインLと電源ラインNに接続され、室外機2へ常に電源を供給する室外機電源部10と、各種の制御を行う室外機制御部11と、室内機3と通信を行う室外機通信部12と、室内機4と通信を行う室外機通信部17と、フォトカプラ13、及びフォトカプラ16と、通信線7の接続を切り換える室外機切換リレー14と、室内機3への電源ラインLを開閉するパワーリレー15と、通信線8の接続を切り換える室外機切換リレー19と、室内機4への電源ラインLを開閉するパワーリレー18とを備えている。
【0019】
室内機3に接続された通信線7は室外機切換リレー14のコモン端子に接続され、室外機切換リレー14の一方の端子は室外機通信部12へ、他方の端子はフォトカプラ13のフォトダイオードのアノード側に、また、フォトダイオードのカソード側は交流電源1に接続された電源ラインLに、それぞれ接続されている。また、フォトカプラ13の出力は室外機制御部11に接続されている。
【0020】
同様に、室内機4に接続された通信線8は室外機切換リレー19のコモン端子に接続され、室外機切換リレー19の一方の端子は室外機通信部17へ、他方の端子はフォトカプラ16のフォトダイオードのアノード側に、また、フォトダイオードのカソード側は交流電源1に接続された電源ラインLに、それぞれ接続されている。また、フォトカプラ16の出力は室外機制御部11に接続されている。
【0021】
室外機制御部11は室外機切換リレー14とパワーリレー15と室外機切換リレー19とパワーリレー18における各接点を切り換える信号を出力する。また、室外機制御部11はフォトカプラ13とフォトカプラ16の出力信号を入力し、これらの信号を内部に備えたA/Dコンバータでデジタル変換し、これらのフォトカプラのフォトダイオードに流れる電流値を監視する。
【0022】
一方、室内機3は電源ラインLと電源ラインNに接続され、直流電圧Vccを出力する室内機電源部30と、室外機2と通信を行う室内機通信部31と、各種の制御を行う室内機制御部32と、赤外線リモコンからの赤外信号を入力してリモコン信号を出力する起動用フォトアンプ34、及び指示用フォトアンプ35と、起動用フォトアンプ34に直流電源を供給する起動用電源部33と、ワイヤードリモコン6を接続する接続端子43と、通信線7の接続を切り換える室内機切換リレー36とを備えている。
【0023】
起動用電源部33は電源ラインNからの電圧を入力し、5ボルトで2〜3ミリアンペア程度を出力する非常に小さな電源である。この内部には電源ラインNの電圧低下用として直列に接続された抵抗33aと、この低下した電圧を入力するブリッジダイオード33bと、これから出力される電圧を平滑する平滑コンデンサ33cと、平滑された電圧を安定化する定電圧ダイオード33dが備えられている。なお、後述するように、室内機3が待機状態の場合、起動用電源部33の電源入力端は常に交流電源1へ接続するようになっている。
【0024】
この起動用電源部33の入力の一端は電源ラインNが、他端は室内機切換リレー36の一方の切換端子に接続されており、室内機切換リレー36の他方の切換端子は室内機通信部31に、また、室内機切換リレー36のコモン端子は通信線7にそれぞれ接続されている。
【0025】
なお、室内機切換リレー36の制御端子は直流電圧Vccに接続されており、室内機電源部30から直流電圧Vccが出力された時、通信線7を起動用電源部33の入力端から室内機通信部31へ切り換えるようになっている。従って、室内機電源部30から直流電圧Vccが出力されていない時、つまり、室内機3の電源が遮断されている時は、通信線7が起動用電源部33の入力端に接続され、また、室外機切換リレー14のコモン端子、つまり、通信線7はフォトカプラ13のダイオードのアノード側に接続される。この場合、電源ラインNから起動用電源部33を通り、起動用フォトアンプ34を流れた電流が通信線7とフォトカプラ13を介して交流電源1に接続された電源ラインLへ還流するループが形成される。
【0026】
起動用フォトアンプ34のVcc端子には起動用電源部33のプラス側が、また、起動用フォトアンプ34のGND(アース)端子は起動用電源部33のマイナス側がそれぞれ接続されている。また、起動用フォトアンプ34のOUT(受信信号出力)端子とVcc端子との間には負荷抵抗41が接続されており、起動用フォトアンプ34に赤外線リモコンからの赤外信号が入力されると、この信号に対応したパルス信号が起動用フォトアンプ34のOUT端子から出力され、これに従って負荷抵抗41に電流が流れる。
【0027】
一方、指示用フォトアンプ35のVcc端子には室内機電源部30から出力される直流電圧Vccが接続されており、指示用フォトアンプ35のOUT(受信信号出力)端子とVcc端子との間には負荷抵抗42が接続されており、指示用フォトアンプ35に赤外線リモコンからの赤外信号が入力されると、この信号に対応したパルス信号が指示用フォトアンプ35のOUT端子から出力されて室内機制御部32へ入力される。なお指示用フォトアンプ35のGND端子はアースに接続されている。
【0028】
また、起動用電源部33のプラス側は直列に負荷抵抗40が接続され、接続端子43を介してワイヤードリモコン6の電源オンスイッチ6aの一端に接続されている。そして、電源オンスイッチ6aの他端は接続端子43を介して起動用電源部33のマイナス側に接続されている。従って、電源オンスイッチ6aをユーザーが押下することにより接点が閉じると、電源ラインNから起動用電源部33を通り、電源オンスイッチ6aを流れた電流が通信線7とフォトカプラ13を介して交流電源1へ接続された電源ラインLへ還流するループが形成される。
【0029】
このように電源オンスイッチ6aをユーザーが押下する、または、起動用フォトアンプ34に赤外線リモコンからの赤外信号が入力されると、フォトカプラ13のフォトダイオードに電流が流れ、フォトカプラ13の出力側から、この電流に対応して電圧が出力される。つまり、このフォトカプラ13の出力側の電圧を監視することで赤外線リモコン5、または、ワイヤードリモコン6で指示された室内機3の『運転開始』を室外機制御部11で検知することができる。
【0030】
従って、室内機3へ供給される交流電源1の電源ラインLがパワーリレー15で切断されていたとしても、室外機切換リレー14によって通信線7がフォトカプラ13側に接続されていれば室内機3の『運転開始』の指示を室外機2で検知することがでる。そして、パワーリレー15をオンにして室内機3を起動し、さらに室外機切換リレー14を切り換えて通信線7を室外機通信部12へ接続することで、室外機2と室内機3とで空調運転を開始することができる。なお、前述したように室内機3を『運転開始』にするためにはフォトカプラ13で検出する負荷電流を増加させればよいため、少なくとも赤外線リモコン5、または、ワイヤードリモコン6のいずれか一方が備えられていればよい。
【0031】
なお、室内機3に備えられた起動用電源部33により動作する起動用フォトアンプ34、又は、起動用電源部33に接続された負荷抵抗40をオンオフするワイヤードリモコン6の電源オンスイッチ6aが起動検出手段である。また、パワーリレー15、及びパワーリレー18がスイッチ手段である。また、室外機切換リレー14と室内機切換リレー36とが切り離し手段である。
【0032】
なお、室内機制御部32とワイヤードリモコン6とは双方向の通信線で接続されており、赤外線リモコン5で指示できる内容と同じ内容をワイヤードリモコン6からも指示することができる。また、ワイヤードリモコン6で前回の運転内容を保存しておき、室内機3が起動したときに運転指示信号を出力する。また、これに限らず、前回の運転内容を室内機制御部32で記憶しておき、室内機の起動時に所定時間の間に赤外線リモコン5からのリモコン信号が来ない場合、記憶していた前回の運転内容で運転を開始してもよい。なお、室内機4については室内機3と同じ構成、及び動作であるため、構成と動作の説明を省略する。
【0033】
図2は本発明による空気調和機の動作を説明するタイミングチャートである。図2(1)は赤外線リモコン5から出力される赤外線信号、図2(2)はフォトカプラ13から出力される負荷電流と対応する電圧、図2(3)はパワーリレー15の状態、図2(4)は室外機切換リレー14の状態、図2(5)は室内機電源部30の出力電圧の状態、図2(6)は室内機切換リレー36の状態、図2(7)は室内機制御部32の状態、図2(8)は赤外線リモコン5の『運転開始』指示と択一的に指示されるワイヤードリモコン6の『運転開始』指示(電源オンスイッチの状態)、図2(9)はワイヤードリモコン6のリモコン信号をそれぞれ示している。
【0034】
説明開始の条件として室内機3のパワーリレー15がオフ、室外機切換リレー15がフォトカプラ13側に、室内機切換リレー36が起動用電源部33側にそれぞれなっているものとし、室内機3の制御について説明する。この状態では起動用フォトアンプ34に起動用電源部33から電源が供給されている状態であるが、赤外線リモコン5からの赤外線信号が来ない場合は、負荷としては軽いため、図2(2)の負荷電流のタイムチャートに示すように、起動用フォトアンプ34の起動電流は小さい状態である。なお、負荷電流が小さいか大きいかは予め定めた負荷電流閾値を越えるか否かで室外機制御部11が判断する。
【0035】
赤外線リモコン5から赤外線信号である起動用バースト信号(起動信号)が来た場合は、起動用フォトアンプ34の負荷電流が増加し、室外機制御部11が負荷電流閾値を越えたと判断した時、室外機制御部11はパワーリレー15をオンにする。この結果、室内機3に交流電源1が供給されて室内機電源部30から直流電圧Vccが出力される。このため、室内機切換リレー36は通信線7を室内機通信部31側へ切り換える。一方、室外機制御部11は室内機制御部32が動作開始するまでに室外機切換リレー14を駆動して通信線7を室外機通信部12側へ切り換える。
【0036】
室内機電源部30から直流電圧Vccが出力されると、所定のリセット時間の経過の後、室内機制御部32が停止状態から起動状態になる。そして室内機制御部32は指示用フォトアンプ35の信号を監視し、赤外線リモコン5からの運転開始信号を待つ。赤外線リモコンから運転開始信号が来た場合は、受信した信号のデコードを開始し、デコードした指示に従って空調運転を開始する。
【0037】
なお、赤外線信号の起動用バースト信号はリーダー信号と同じものであり、違いはその長さだけである。起動用バースト信号の長さは、少なくとも室外機制御部11で負荷電流閾値の判定ができるまで必要である。また、起動用バースト信号の開始からリモコン信号の開始までの時間は、少なくとも室内機制御部32の起動が開始されるまで必要である。
【0038】
次に赤外線リモコン5でなくワイヤードリモコン6から室内機3を起動させる場合について説明する。この場合、赤外線リモコン5の赤外線による起動信号に代替して、ワイヤードリモコン6の電源オンスイッチ6aに流れる短絡電流を起動信号とする点が異なる。
【0039】
ワイヤードリモコン6の電源オンスイッチ6aが押下されると、負荷抵抗40を介して起動用電源部33に短絡電流(起動信号)が流れる。この短絡電流によりフォトカプラ13内のフォトダイオードの電流が増加する。これをフォトカプラ13の出力電圧の変化で検出した室外機制御部11はパワーリレー15をオンして室内機3を起動する。これにより起動した室内機制御部32はワイヤードリモコン6から運転開始信号を待つ。ワイヤードリモコン6から運転開始信号が来れば、この信号に従って空調運転を開始する。
【0040】
以上説明したように、室内機3の電源が遮断されていても、交流電源1の一方の電源ラインと室内機3の電源が遮断された場合に必要でない通信線7とを用いて、室内機3に設けられた起動用電源部33から起動検出手段(起動用フォトアンプ34、又はワイヤードリモコン6の電源オンスイッチ6a)へ電源を供給し、室外機2側で通信線7に流れる起動検出手段の負荷電流をフォトカプラ13で監視することで2種類のリモコンからの起動指示に対応できるため、室内機3が待機状態の時に室内機3への電源供給を完全に遮断することができる。
【0041】
また、赤外線リモコン5のバースト信号と起動用電源部33の短絡電流とのいずれかを起動信号とし、これらを共通の負荷電流検出手段(フォトカプラ13)で検出するため、簡単で安価な回路構成で室内機への電源供給を完全に遮断することができる。
なお、本発明は室内機3が待機状態の時に室内機3の電源を完全に遮断するため、室内機3を複数備えたマルチエアコンの場合、室内機3の台数に比例して待機電力削減の効果が大きくなる
【0042】
次に、室外機2及び室内機3の処理を図3に示す(1)室外機制御部の処理、及び(2)室内機制御部の処理の各フローチャートを用いて説明する。図3に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesを、NはNoをそれぞれ表している。なお、室外機電源部10には常に交流電源1が供給されているため、室外機2は常に動作状態である。
【0043】
図3(1)室外機制御部の処理において室外機制御部11は、まず最初に室内機3又は室内機4からの指示に関する通信が有るか確認する(ST1)。室内機3又は室内機4からの指示に関する通信が無い場合(ST1−N)、フォトカプラ13又はフォトカプラ16のいずれかで検出した負荷電流が負荷電流閾値よりも大きいか確認する(ST2)。
【0044】
フォトカプラ13又はフォトカプラ16のいずれかで検出した負荷電流が負荷電流閾値よりも大きい場合(ST2−Y)、検出した大きい負荷電流の室内機と対応するパワーリレーをオンすると共に、同様に対応する室外機切換リレーを室外機通信部側へ切り換える(ST3)。そしてST1へジャンプする。
【0045】
また、フォトカプラ13又はフォトカプラ16のいずれかで検出した負荷電流が負荷電流閾値よりも小さい場合(ST2−N)、各室内機の現状の状態、つまり、待機状態、又は運転状態を維持する(ST7)。そしてST1へジャンプする。
【0046】
一方、室内機3又は室内機4からの指示に関する通信が有る場合(ST1−Y)、指示通信の内容は運転停止指示か確認する(ST4)。指示通信の内容が運転停止指示でない場合(ST4−N)、指示された運転内容に従って運転を実行する(ST5)。そしてST1へジャンプする。
【0047】
指示通信の内容が運転停止指示の場合(ST4−Y)、指示を送信した該当室内機用のパワーリレーをオフし、該当室内機用の室外機切換リレーをフォトカプラ側へ切り換える(ST6)。そしてST1へジャンプする。
【0048】
次に図3(2)室内機制御部の処理において室内機制御部32は、まず最初に、赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転開始信号があるか確認する(ST11)。赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転開始信号が無い場合(ST11−N)、ST11へジャンプする。赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転開始信号が有る場合(ST11−Y)、赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6のいずれかから来た運転開始信号に従って運転を開始する(ST12)。
【0049】
次に赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転停止信号があるか確認する(ST13)。赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転停止信号が無い場合(ST13−N)、赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転停止信号以外の運転信号の内容に従って運転する(ST16)。そしてST13へジャンプする。
【0050】
一方、赤外線リモコン5又はワイヤードリモコン6からの運転停止信号が有る場合(ST13−Y)、室内機の運転を停止し(ST14)、室外機2へ運転停止指示を送信する(ST15)。そして、処理を停止する。
【0051】
本実施例では、室外機2側は常に交流電源1が供給され、室外機制御部11が常に動作している場合を説明したが、これに限るものでなく、全ての室内機の電源供給を遮断した場合、室外機制御部11内の図示しないマイクロコンピュータを停止するようにし、一方、停止中にフォトカプラ13、又はフォトカプラ16の負荷電流が増加した場合、室外機制御部11のマイクロコンピュータの再起動を行うようにして低消費電力を図るようにしてもよい。この場合、コンパレータで負荷電流と基準電圧値からなる負荷電流閾値を比較し、負荷電流が負荷電流閾値を越えた時にマイクロコンピュータに再起動の割り込み信号を出力するようにするとよい。
このようにすることで、さらに室外機2も低消費電力化を図ることができる。
【0052】
また、本実施例では赤外線リモコンのリモコン信号の送出に先立って起動用バースト信号を送出しているが、これに限るものでなく、指示用フォトアンプ35の負荷電流が増加するものならどのような信号でもよく、例えば運転開始信号を繰り返し送信するようにしてもよい。
また、本実施例では起動用フォトアンプ34と指示用フォトアンプ35とを専用の部品で構成しているがこれに限るものでなく、2つのフォトアンプを共通化して用いてもよい。
さらに、本実施例では室外機切換リレー14と室内機切換リレー36とを用いているが、これに限るものでなく、フォトカプラ13と室外機通信部12と室内機通信部31とをすべて接続し、負荷電流に室内機3室外機2との通信信号を重畳させるようにしてもよい。これにより、室外機切換リレー14と室内機切換リレー36を使用せずコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 交流電源
2 室外機
3 室内機
4 室内機
5 赤外線リモコン
6 ワイヤードリモコン
6a 電源オンスイッチ
7 通信線
8 通信線
10 室外機電源部
11 室外機制御部
12 室外機通信部
13 フォトカプラ
14 室外機切換リレー
15 パワーリレー
16 フォトカプラ
17 室外機通信部
18 パワーリレー
19 室外機切換リレー
30 室内機電源部
31 室内機通信部
32 室内機制御部
33 起動用電源部
33a 抵抗
33b ブリッジダイオード
33c 平滑コンデンサ
33d 定電圧ダイオード
34 起動用フォトアンプ
35 指示用フォトアンプ
36 室内機切換リレー
40 負荷抵抗
41 負荷抵抗
42 負荷抵抗
43 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続される室外機と、同室外機を経由して2本の電源ラインを介して前記交流電源が供給されると共に、前記室外機と通信を行う1本の通信線が接続された室内機と、同室内機に運転指示を与えるリモコンとを備えた空気調和機であって、
前記室内機は、前記リモコンから送出される起動信号を検出する起動検出手段と、入力端が前記電源ラインの一方と前記通信線とに接続され前記起動検出手段へ直流電源を供給する起動用電源部とを備え、
前記室外機は前記室内機に接続された前記電源ラインの他方を開閉するスイッチ手段と、同スイッチ手段が開の時に前記通信線と前記電源ラインの他方とを介して前記交流電源へ還流する前記起動検出手段の負荷電流を検出する負荷電流検出手段とを備え、
前記室外機は、前記スイッチ手段を開にして前記室内機への前記交流電源供給を遮断している時に前記負荷電流検出手段を介して前記起動検出手段の負荷電流を監視し、前記起動信号により前記負荷電流が所定の値以上になったとき、前記スイッチ手段を閉として前記室内機へ前記交流電源を供給することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記起動信号は、前記リモコンが赤外線リモコンの場合は同赤外線リモコンから所定時間送出されるバースト信号であり、前記リモコンがワイヤードリモコンの場合は同ワイヤードリモコンに備えられたスイッチの押下によって前記スイッチに流れる前記起動用電源部の短絡電流であることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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