説明

空気調和装置

【課題】 近年の部屋の大型化により空気調和装置の大容量化の需要増加、さらには省エネ化や高効率化と共に、ユニットサイズの大型化が進み、一方では住宅環境の構造面から、横幅又は縦幅もしくはその両方の制約から、空気調和装置の室内機を据付けることができないという問題が増加している。
【解決手段】 壁掛け形の室内機形態を有した空気調和装置において、室内機は、上面または前面または上面及び前面に吸込み口、下面に吹出し口と、この吸込み口からの室内空気を熱交換器へ通過させ吹出し口へ送風する横流ファンとを備え、室内機の背面側における壁面に接する面の第1横幅と据え付け壁面に接しない面の第2横幅とが異なる寸法を有し、第1横幅を765mm以上788mm以下、第2横幅を790mm以上800mm以下とするとともに、室内機の高さを290mm以上300mm以下としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和装置に関するものであり、特に室内機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和装置は、壁掛け形の室内機において、室内機背面側の壁面に接する面の横幅と壁面に接しない面の横幅を同一の寸法構成にし、横幅789mm、高さ285mmにしている(例えば、特許文献1参照。)。
また、室内機の横幅798mm、高さ270mmにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−65391号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特開2001−182958号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、家庭内で使用される電力消費量として最も高いとされている空気調和装置の省エネ化は、地球温暖化抑制として社会的な取り組みとなっている。特に空気調和装置の中で、室内機を壁に掛けて設置し、室外機と接続して使用する形態の空気調和装置は、省エネ法規制値も他の形態区分に比べ、高い省エネ規制値が設定されている。このため、省エネ化が進むにつれて、熱交換器等の大型化が進み、空気調和装置の外形寸法の大型化、高重量化が進んできた。特に、1台の壁掛け形の室内機と1台の室外機とを接続する形態のものは、家庭で使用する空気調和装置の主流の形態であり、空気調和装置の中でも省エネ法の規制値も高く、高い省エネ性を発揮する機器ほど大型化が進み、室内機の横幅や縦幅が増加する傾向がある。
【0005】
一方で、近年の住宅環境は多様化しており、例えば、和室の三尺間では、従来、三寸柱を使用することが多く、空気調和装置の室内機を据付けるスペースの横幅は、概ね818mmである。さらに耐震性の要求の高まりから、四寸柱を使用するケースが増加し、空気調和装置の室内機を据付けることが可能なスペースの横幅は、概ね788mmとなっている。また、例えば、リビングではインテリア性の要求から、窓が大型になるケースが増加しており、窓上に空気調和装置の室内機を据付けるスペースの縦幅は概ね300mmとなるケースが増加しており、空気調和装置の室内機の設置スペースは縮小化の傾向がある。さらにリビングとダイニングや台所とが一体となり部屋の壁面が少なくなり大部屋化が進んでおり、それによりエアコンの設置箇所も少なくなってきている。
【0006】
以上の様に、部屋の大型化により空気調和装置の大容量化への需要の増加、さらには前記省エネ化、高効率化に伴い、ユニットのサイズの大型化が進む一方で、前記住宅環境から、室内機寸法の横幅、又は縦幅、もしくはその両方の制約から、空気調和装置の室内機を壁面に据付けることができないという問題が増加している。
【0007】
本発明は、上記のよう問題を解決するためになされたもので、第1の目的は、近年の住宅における、空気調和装置の設置スペースを考慮した上で、空気調和装置の室内機の寸法を規定し、室内機の形状及び構成により、寸法制約があるなかで高い省エネ性を実現するものである。
【0008】
また、第2の目的は、空気調和装置の室内機の据付制約があるなかで室内機を設置する場合、据付作業性の悪化を招きやすいため、据付作業で最も作業しにくい配管接続作業を含む据付作業性の改善を図るものである。
【0009】
また、第3の目的は、部屋の構造として窓横から部屋の隅までの壁面スペースが三尺間相当を開ける場合が多く、室内機の寸法が三尺間に納まる場合には室内機を部屋の隅に設置するケースが多くなる。また、部屋の隅の空間には、居住者は家具や電話やインテリアを設置するケースが多く、このため室内機の本体操作をし難くなる問題も増加する。一方で、リビングルームなど部屋の大型化が進み、さらに部屋の隅への室内機の設置が増加することにより、空気調和装置からの温風や冷風を部屋の隅々まで届かす事が難しくなり、部屋の温度ムラを招き快適性が悪化することになる。また、居住者の生活スタイルも、部屋の大型化が進むにつれて、例えば、寛ぐ場所、食事をする場所、食事を作る場所等、人の移動が多くなってきていることから、居住者の生活場所に応じて、気流方向や風速など空気調和装置の本体操作を行うケースが多くなるため、上述の快適性の悪化を抑制し、居住者の生活場所を効率よく、容易に空調するため、遠隔操作により本体操作の容易化を図るものである。
【0010】
また、第4の目的は、空気調和装置の場合、通常は本体の操作だけでなく空調能力を十分に発揮させるために定期的なフィルター清掃や外観や内部のお手入れが必要となり、特に本体操作が難しい据付状況では、使用者は大きな手間を招き、定期的なメンテナンスを行わないケースも多くなるので、外観の汚れによる美観や清潔性の低下だけでなく、機器の長寿命化やフィルターの目詰まりによる省エネ性の悪化を招きやすいため、定期的なメンテナンス操作の容易化を図るものである。
【0011】
また、第5の目的は、都心部では集合住宅が増加し、その集合住宅では、室外機はベランダの天井部に室外機を吊るすことがこれまで多く行われていたが、近年は美観の観点から、室外機を外から見えにくくするために、天吊り設置を行うことが規制され、ベランダに設置する事が多くなってきている。また、一般の戸建住宅においても、美観の観点から、ベランダに室外機を設置するケースが多くなっていることから、ベランダが狭くなり、室外機を小型化にしたいという要求が高まってきているため、室内機の寸法に関するものだけでなく、室外機においてもより設置スペースを有効に活用するための外形寸法を規定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る空気調和装置は、回転速度を制御可能なインバータ駆動の圧縮機、四方弁、凝縮側熱交換器、減圧装置、蒸発側熱交換器を接続した冷凍サイクルと、壁掛け形の室内機形態を有した空気調和装置において、前記室内機は、上面または前面または上面及び前面に吸込み口、下面に吹出し口を有する箱体と、この箱体内に設けられて前記吸込み口から吸い込んだ室内空気を熱交換器へ通過させ、前記吹出し口へ送風する横流ファンとを備え、前記室内機の背面側における壁面に接する面の第1横幅と据え付け壁面に接しない面の第2横幅とが異なる寸法を有し、前記第1横幅の寸法を765mm以上788mm以下、前記第2横幅の寸法を790mm以上800mm以下とするとともに、前記室内機の高さ寸法を290mm以上300mm以下としたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の空気調和装置は、回転速度を制御可能なインバータ駆動の圧縮機、四方弁、凝縮側熱交換器、減圧装置、蒸発側熱交換器を接続した冷凍サイクルと、壁掛け形の室内機形態を有した空気調和装置において、前記室内機は、上面または前面または上面及び前面に吸込み口、下面に吹出し口を有する箱体と、この箱体内に設けられて前記吸込み口から吸い込んだ室内空気を熱交換器へ通過させ、前記吹出し口へ送風する横流ファンとを備え、前記室内機の背面側における壁面に接する面の第1横幅と据え付け壁面に接しない面の第2横幅とが異なる寸法を有し、前記第1横幅の寸法を765mm以上788mm以下、前記第2横幅の寸法を790mm以上800mm以下とするとともに、前記室内機の高さ寸法を290mm以上300mm以下としたので、室内機の壁面に接する面の横幅を、788mm以下とすることで、近年増加する和室形態である四寸柱を用いた三尺間にも設置可能であり、かつ室内機の高さ寸法を300mm以下とすることにより、リビングで多く採用される大型窓の上部のスペースにも設置が可能となる。さらに、室内機の壁面に接しない面の横幅寸法を壁面に接する横幅寸法よりも大きくすることにより、室内機の吸込み口を広く構成することが可能となり、さらに、室内機の熱交換器の積み幅を大きく及び積載段数を多くする構成とすることで、高い省エネ性を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
以下にこの発明の実施の形態1について図1〜図16にて説明する。図1はこの発明の実施の形態における空気調和装置の室内機の据付上面図、図2は近年の住宅の壁面形態説明図、図3は空気調和装置の室内機の横断面図、図4〜図8及び図13、図14は空気調和装置の室内機の熱交換器の配置図、図9は空気調和装置の室内機の縦断面図、図10は空気調和装置の室内機の下方外観図、図11は空気調和装置の室内機の吹出口ノズル部の外観図、図12は空気調和装置の室内機の右側面図、図15、16はこの発明の実施の形態における空気調和装置の室内機の正面図である。
【0015】
図1において1はこの発明の実施の形態における空気調和装置の室内機で、回転速度を制御可能なインバータ駆動の圧縮機、四方弁、凝縮側熱交換器、減圧装置、蒸発側熱交換器を接続して構成され、前記四方弁の切換により冷房サイクル及び暖房サイクル運転が可能な、壁掛け形の空気調和装置の室内機である。また、2は室内機1を構成する本体、3は室内機1の外観筐体の一部を構成するパネル、4は室内機1を構成し意匠面となるグリル、22は室内空気がフィルタ13、及び、熱交換器5を通過し、横流ファン6により吹出し口23より吹出される空気の吸込み口、30はグリル4の着脱機構、29は室内機1を壁面40へ据付けるための据付板、40は和室の形態の三尺間の壁面、41は和室の形態の三尺間の側壁、42は和室の形態の三尺間の四寸柱、45は和室の形態の三尺間の四寸柱間の幅、46は室内機1と和室の形態の三尺間の側壁41の間の距離を示す。
【0016】
四寸柱42の幅は一辺が約121mmであり、和室の形態の三尺間の四寸柱間の幅寸法45は約788mmである。室内機1の背面側において壁面40と据付板29を介して接する面の第1横幅は765mm以上788mm以下であり、壁面と接しない面の第2横幅は790mm以上800mm以下である。グリル4は着脱機構30を用いることで着脱が可能である。
【0017】
そして、空気調和装置の室内機背面側における壁面40と据付板29を介して接する面の第1横幅は、788mm以下とすることで和室三尺間における四寸柱の間の幅45に設置することが可能となり、さらに765mm以上とすることで室内機1に設けた熱交換器5の横幅寸法を大きくすることができ高効率化を図ることができるとともに、据付板29との接触面が広くなり本体2にかかる応力を緩和することで高い強度が得られる。吸込み口22の左端は、グリル4の着脱機構30の右端とほぼ同一となるが、壁面40と据付板29を介して接しない面の横幅、言い換えると室内機の最大横幅寸法は、壁面40と据付板29を介して接する面の横幅より広い構成とし790mm以上とすることで、吸込み口22の横幅を広く構成することが可能となり、高効率化を図ることができる。また、壁面40と据付板29を介して接しない面の横幅は、800mm以下とすることで、室内機1と和室の形態の3尺間の側壁41の間の距離寸法46を約55mmとすることができ、室内機1を据付る際に必要な隙間寸法を得ることができる。
【0018】
図2は近年の住宅の壁面形態説明図であり、図3はこの発明の実施の形態における空気調和装置の室内機の横断面図、図15はこの発明の実施の形態における空気調和装置の正面図、図16はこの発明の実施の形態における空気調和装置の正面図である。図2(a)において、43は部屋の窓、44は部屋の天井、47は部屋の床である。図3において、5は室内機1の内部に収納されて吸込み口22から吸込んだ空気を冷却したり暖めたりする熱交換器であって伝熱管とその周囲を取り巻くフィンからなりこの熱交換器は圧縮機や膨張弁などの冷凍サイクルの一部を構成し、この伝熱管の内部を冷凍サイクルを循環する冷媒が流れ空気と温冷熱交換している。なお、この熱交換器5は前面側熱交換器5aと背面側熱交換器5bとから構成され、略逆V字形に配置されている。6は吸込み口22から風路21を通じて吹出し口23へ空気を送風する横流ファン、8は吹出し口23から吹出した空気の風向を制御する上下風向ベーン(上下風向制御手段)、13は吸込み口22から吸込んだ空気に含まれる粉塵を回収するフィルター、14はフィルター13に付着した粉塵を除去するフィルター清掃機構で、14aのブラシ、14bの集塵ボックス、14cの加圧部から構成されている。20は冷房または除湿運転の際に熱交換器5に生じる結露水を回収するためのノズル28から構成されるドレンパン、21は吸込み口22から吹出し口23へ通じる風路、23は横流ファン6によって吸込み口22から吸込んだ空気を風路21を通じて室内へ放出する吹出し口、12は室内機1の運転状態を表示する表示部、27は遠隔操作のためのリモコン信号を受信するための受信部である。
【0019】
図2において、洋室の窓の上端と天井の間は約400mmであるが、カーテンレールが約70mm、室内機1の吸込み口22と天井44の間に必要となる吸込み空間が約30mmであるため、室内機1を据付けることができる高さ寸法は約300mmである。室内機1の高さ寸法を300mm以下で構成することで大型窓を有した洋室の窓上への据付が可能となる。また、熱交換器5を構成する伝熱管の直径がφ6〜8mm、その伝熱管中心の縦方向の設置間隔ピッチが15〜22mmであり、室内機の高さ寸法を290mm以上で構成することにより、熱交換器5を前面側熱交換器5aをほぼ中心で2分割し熱交換器5を構成する伝熱管の縦方向の積載本数が約12段、背面側熱交換器5bの伝熱管の縦方向の積載本数が約6段積載することが可能となり高い省エネ性を発揮することができる。さらに熱交換器5の上流側に1列からなる熱交換器を配置することで、さらに高い省エネ性を得ることができる。また、前面側熱交換器5aの分割は室内機の形態に応じて3分割以上にしても同様の高い省エネ性を発揮することができる。さらに、伝熱管の径を小径化したり、流れ方向に沿って偏平にすることで、積載本数を増やすことが可能となり、さらに高い省エネ性を発揮することができる。
【0020】
横流ファン6の回転軸中心は、室内機1の高さの中心よりも下に位置し、1/3よりも上に位置することで室内機1の上部にスペースができ、背面熱交換器5bが積載可能となり、さらにファン径を100mm以上にすることができ、高効率化を図ることができる。フィルター13は、吸込み口22と熱交換器5の間に設置されており、吸込み口22から空気とともに流入した粉塵が熱交換器5へ侵入する前に回収するという機能を有しており、フィルター清掃機構部14はフィルター13を移動する移動装置とフィルター13をブラシ14aに押し当てる加圧部14cとフィルター13に付着した粉塵を回収するブラシ14aと回収した粉塵を収納する集塵ボックス14bを有しており、定期的にフィルター13に付着した粉塵を除去するので、室内機1の内部を清潔に保つことができ、さらにフィルターに粉塵が堆積することを防ぐので初期の空調効率を維持することができる。また、この集塵ボックス14bは抗菌処置と防カビ処置を施しているので、回収した粉塵に菌やカビが繁殖することを防ぐことができる。
【0021】
フィルター清掃機構部14は前面側熱交換器5aの前方斜め上に配置し、前面熱交換器5aとの間に隙間を設けているので、フィルター13を通過した空気は前面熱交換器5aの下部まで流れ、効率の良い熱交換を行うことができ、高い省エネ性を得ることができる。また、前面側熱交換器5aの上端部及び背面側熱交換器5bの上端部と、吸込み口22の間には、フィルター清掃機構部14の一部、または、すべてを配置しない構成としたので、室内機1の高さ寸法にフィルター清掃機構部14は影響を与えることはなく、高さの限られた室内機1の内部に、効率よく熱交換器5を搭載することが可能となり、高い省エネ性を発揮することができる。また、フィルター清掃機構部14は、前面側熱交換器5aの前方に配置し、熱交換器5の積幅方向の両端と、室内機1の側面の間には、フィルター清掃機構部14の一部、または、すべてを配置しない構成としたので、室内機1の横幅寸法にフィルター清掃機構部14は影響を与えることはなく、横幅の限られた室内機1の内部に、効率よく熱交換器5を搭載することが可能となり、高い省エネ性を発揮することができる。
【0022】
また、フィルター清掃機構部14を搭載していない場合は、使用者が定期的にフィルター13を清掃することで、室内機1の内部を清潔に保つことができ、さらにフィルターに粉塵が堆積することを防ぐので初期の効率を維持することができる。また、部屋の空気中に含まれる細かな粉塵を回収するための集塵装置や部屋の空気中の臭いの成分を除去又は分解する脱臭装置を設置することで、室内空間をより快適にすることが可能である。
【0023】
グリル4は、図15に示すように前面側グリル部に吸込み口を設けない、または図16に示すようにグリルに設けた吸込み口22aは一箇所のみにするという、パネル調の意匠とすることで、高いインテリア性を得ることができ、着脱機構30で着脱が可能としているので、グリル4は洗浄が容易であり、汚れを容易に除去できるのでインテリア性を維持することができる。吸込み口22を本体の上部に集約したので、その吸込み口に対向した位置に設置するフィルター13は小型化することが可能となり、安価な構成となる。また、前記フィルター清掃機構14を備えた室内機1は、壁面40と据付板29を介して接する面の横幅と、壁面40と据付板29を介して接しない面の横幅が同じであり、前記横幅が790mm以上、800mm以下、とした場合においても、その室内機を据え付ることのできる部屋の形態が減少するものの、高い省エネ性を発揮する構成とすることができる。
【0024】
図4はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1を上方から見た場合の熱交換器5と横流ファン6を回動するファンモータ11と室内機1の動作をコントロールする室内制御基板10を収納した電気品ボックス9の配置を示している。なお、図中の符号で図1と同一または相当部分は同じ符号としている。電気品ボックス9は室内機1のファンモータ11設置側である右端に設置され、壁面40に接する面の横幅寸法よりも壁面40に接しない面の横幅寸法を長く構成したことで、その差の寸法で形成したスペースに電気品ボックス9を略L字形状に構成して設置するので、省スペース化を図ることができ、熱交換器5の積載幅を削減することなく幅広く増やすことができ、高い省エネ性を得ることができる。また、電気品ボックス9は、図13に示すようにファンモータ11の正面側である手前のスペースを有効活用し、略T字形に構成しても同様の効果が得られる。また、この電気品ボックス9は、図14に示すように、ファンモータ11の正面側である手前のスペースを有効活用し、略逆L字形に構成しても同様の効果が得られる。なお、図13、図14における符号において、図1と同一または相当部分は同じ符号としている。
【0025】
図5はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1を上方から見た場合の熱交換器5と横流ファン6を回動するファンモータ11と室内機1の動作をコントロールする室内制御基板10を収納した電気品ボックス9の配置を示している。主な構成は図4と同じであるが、壁面40に接する面の横幅寸法よりも壁面40に接しない面の横幅寸法を長く構成したことでできた左端(反ファンモータ側)のスペースを利用し、背面熱交換器5bよりも前面熱交換器5aを長くすることで、図4の構成よりもさらに高い省エネ性を得ることが可能となる。
【0026】
図6はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1を上方から見た場合の熱交換器5と横流ファン6を回動するファンモータ11と室内機1の動作をコントロールする室内制御基板10を収納した電気品ボックス9の配置を示す図であり、主な構成は図5と同じであるが、電気品ボックス9を薄型化することで、熱交換器5の積載幅をさらに増やすことができ、図5の構成よりも高い省エネ性を得ることが可能となる。
【0027】
図7はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1を上方から見た場合の熱交換器5と横流ファン6を回動するファンモータ11と室内機1の動作をコントロールする室内制御基板10を収納した電気品ボックス9の配置を示す図であり、主な構成は図6と同じである。この図7では、電気品ボックス9を室内機1の前方側のグリル4と前面側熱交換器5aの間に配置する構成としたので、電気品ボックス9を熱交換器の横方向に設置していた分のスペースを熱交換器5の積載幅に取り込んで増やすことができ、図6の構成よりも高い省エネ性を得ることが可能となる。
【0028】
図8はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1を上方から見た場合の熱交換器5と横流ファン6を回動するファンモータ11と室内機1の動作をコントロールする室内制御基板10を収納した電気品ボックス9の配置を示す図であり、主な構成は図7と同じであるが、異なる部分はファンモータ11の幅と径の比を1:3よりも径を大きくするものであり、これによりファンモータ11の軸方向の幅寸法を小さく構成することができ、熱交換器5の積載幅をその分だけ増やすことができ、図7の構成よりも高い省エネ性を得ることが可能となる。
【0029】
図9はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1の縦断面図、図10はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1の下方向から見た場合の下方外観図、図11はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1の吹出し口ノズル部の外観図である。なお、図1および図3と同一または相当部分には同じ符号を付しています。
【0030】
図9において、空気調和装置の室内機1の本体2上部に設けられた吸込み口22の横幅と、その吸込み口22から機内へ空気が流通する通風路21に設置された熱交換器5の横幅とはほぼ同じ寸法Wであり、横流ファン6の横幅はXとし、吹出し口内側の通風路21の横幅はYとして示す。また、図10における吹出し口23の横幅はZで示す。このように吸込み口22の横幅と熱交換器5の横幅をほぼ同じ寸法Wにすることで、熱交換器5に効率よく室内空気を供給することができ、高効率化を図ることができ、W≧Xのように構成することで、吸込み側の負荷を軽減でき、高効率化を図ることができる。また、X>Yのように構成するとともに、サージング抑制機構部17を吹出し口内側の左右両側に設けることで、横流ファン6の両端の壁面境界層に発生する乱れ渦を抑制し、この整流作用により高効率化を図ることができる。さらに、Y<Zとすることで吹出し口23近傍でのディフューズ効果により静圧回復を図ることができ、吹出し口23近傍における吹出し損失を抑制することが可能となり、高効率化を図ることができる。また、図9において、冷凍サイクルの一部を成す熱交換器5と室外機を接続する内外接続配管18はファンモータ11の背面の壁面40側に設置することで省スペース化が図れ、熱交換器5の横幅を増やすことができ、高い省エネ性を得ることができる。
【0031】
図10において7は吹出し口近傍に設けた吹出し気流を左右方向に制御するための左右風向ベーン、8は吹出し口近傍に設けた吹出し気流を上下方向に制御するための上下風向ベーンである。そして、図11において、25は左右風向ベーン7を動作するための左右ベーン駆動用モータ、24は上下風向ベーン8を動作するための上下ベーン駆動用モータであり、リモコンから発した信号を受信部27で受信し、信号に応じて、上下ベーン駆動用モータ24または左右ベーン駆動用モータ25が駆動することで上下風向ベーン8または左右風向ベーン7が動作し、風向を遠方から制御することが可能となる。ここで、図11に示すが如く上下ベーン駆動用モータ24と左右ベーン駆動用モータ25は吹出し口近傍の通風路上壁を形成するノズル28における風路を形成する箇所以外に設置しているので、風路幅を狭めることがなく、高い省エネ性を維持することができる。また、Y<Zとすることで、左右風向を右側または左側または左右広角に設定した際に、吹出し口の側面に吹出し風が接触することを回避でき、より広い広角気流を得ることができ、室内の快適性を向上させることができる。
そして、リモコン操作により、左右風向ベーン7、及び上下風向ベーン8を遠隔操作することが可能となったので、部屋の隅に室内機1を据付けた場合にも、手動で気流を変更する煩わしさを排除することができる。また、室内機1の据付け位置を、リモコンまたは室内機1に設けた操作部の据付位置設定スイッチで設定することにより、その設定した位置情報の信号に応じて、左右風向ベーン7の駆動範囲を自動調整する機能を有するので、冷房又は暖房した気流を部屋の中に効率よく到達させることができる。
【0032】
図12はこの発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機1の側面図であり、本体2の下側面のコーナー部分は本体着脱機構部19で構成されているので、室内機1を壁面40に据付ける際に、外すことができ、据付け作業性の改善を図ることができる。また、この本体着脱機構部19には配管穴を形成する配管穴用穴形成部を備えているので、室内機1の据付け作業性の改善を図ることができる。さらに、室内機1の側面にはスリット形状とした室内空気の取り込み口32を設けたので、電気品ボックス9の手前に配置した室温センサ26(室温センサの投影図26aに相当)へ室内空気を供給することが可能となり、室温センサ26で計測した室内温度データを用いて、室内の温度を制御することができる。
【0033】
図1に示すように、室内機1の壁面に接しない面の横幅は800mm以下で構成したので、側壁41との隙間46は約55mmに構成することができ、この隙間46は自然対流が発生するために十分な寸法が確保できるので、隙間46ではいわゆる熱篭りの発生を抑制することができ、室内に対流している空気を室内空気取り込み口32から取り込み、室温センサ26で的確な室温を検出することが可能となる。また、電気品ボックス9と室温センサ26は隣接して設置しているので、接続線を短く構成することが可能となり、安価な構成にすることが可能であり、さらに、サービスの際にも交換が容易になるという効果を有する。
【0034】
さらに、近年の集合住宅または一般の戸建住宅では、室内機1と内外接続用配管を介して接続する室外機を、天吊り方式で据付けを行った場合、屋外から見えることで美観を損なうことから、ベランダ設置の要求高まっている。ベランダの形態の多くは、住居の面した横幅と住居と垂直方向の出幅からなる長方形を成しており、出幅は横幅に対し30〜60%程度の長さの場合が多く、1150mm〜1500mm程度が多い。そして、室外機をベランダに設置する場合において、住居に対して室外機の長手方向を平行に設置すると、室外機とベランダの壁面までの距離が狭くなり、室外機からでる送風気流がベランダの壁面に接触し、再び室外機の吸込み口に戻ってしまうショートサーキトの原因となったり、送風気流が壁面に接触することで、風の舞い上がりが生じ、屋外の粉塵を舞い上げてしまう原因となる場合がある。
【0035】
このため、室外機とベランダの壁面との距離を十分に確保するためには、住居に対して室外機の長手方向を垂直に設置する必要があり、ベランダの出幅1150mmに設置する場合は、室外機側面からの吸込み距離100mmと配管作業スペース290mmを考慮すると、室外機の最大横幅は760mm以下にする必要がある。また、ベランダの壁面の高さは、1000mm〜1200mm程度の場合が多く、室外機の高さをベランダの壁面の高さのおおよそ1/2以下で構成することで、斜め上方からベランダを見下ろした場合においても、屋外からの死角とすることができる。このように、室外機の寸法は最大の横幅を760mm以下、高さを550mm以下に構成したので、集合住宅または一般の戸建住宅のベランダに設置することが可能となり、美観を向上できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の据付上面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係り、近年の住宅の壁面形態説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の横断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図5】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図6】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図7】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図8】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図9】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の縦断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の下方外観図である。
【図11】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の吹出し口ノズル部の外観図である。
【図12】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の右側面図である。
【図13】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図14】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機での熱交換器の配置図である。
【図15】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の正面図である。
【図16】この発明の実施の形態1における空気調和装置の室内機の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 室内機、 2 本体、 3 パネル、 4 グリル、 5 熱交換器、 5a 前面側熱交換器、 5b 背面側熱交換器、 6 横流ファン、 7 左右風向ベーン、 8 上下風向ベーン、 9 電気品ボックス、 9a 電気品ボックスの投影図、 10 室内制御基板、 11 ファンモータ、 12 表示部、 13 フィルター、 14 フィルター清掃機構部、 14a ブラシ、 14b 集塵ボックス、 14c 加圧部、 17 サージング抑制機構部、 18 内外接続用配管、 19 本体着脱機構部、 20 ドレンパン、 21 通風路、 22 吸込み口、 22a グリルに設けた吸込み口、 23 吹出し口、 24 上下風向ベーン駆動用モータ、 25 左右風向ベーン駆動用モータ、 26 室温センサ、 26a 室温センサの投影図、 27 リモコン信号受信部、 28 ノズル、 29 据付板、 30 グリルの着脱機構部、 32 室内空気取り込み口、 33 吹出し口拡大部、 33a 吹出し口拡大部(右側)、 33b 吹出し口拡大部(左側)、 40 部屋の壁、 41 部屋の側壁、 42 四寸柱、 43 窓、 44 天井、 45 三尺間の柱間の幅、 46 部屋の側壁と室内機の側面の間の距離、 47 床。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転速度を制御可能なインバータ駆動の圧縮機、四方弁、凝縮側熱交換器、減圧装置、蒸発側熱交換器を接続した冷凍サイクルと、壁掛け形の室内機形態を有した空気調和装置において、前記室内機は、上面または前面または上面及び前面に吸込み口、下面に吹出し口を有する箱体と、この箱体内に設けられて前記吸込み口から吸い込んだ室内空気を熱交換器へ通過させ、前記吹出し口へ送風する横流ファンとを備え、前記室内機の背面側における壁面に接する面の第1横幅と据え付け壁面に接しない面の第2横幅とが異なる寸法を有し、前記第1横幅の寸法を765mm以上788mm以下、前記第2横幅の寸法を790mm以上800mm以下とするとともに、前記室内機の高さ寸法を290mm以上300mm以下としたことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記室内機の吸込み口と熱交換器の間に設けたフィルターを清掃するフィルター清掃機構を内設したことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記室内機の吹出し口に、吹き出し風の向きを上下方向および左右方向に変更する風向制御手段を備え、前記上下風向および左右方向の風向制御手段の双方とも、外部遠隔操作で制御が可能であることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室内機本体もしくは外部遠隔操作部にこの室内機の据付位置を指定する据付位置設定スイッチを設け、前記据付位置設定スイッチの信号に応じて、前記風向制御手段の駆動範囲が異なることを特徴とした請求項3の空気調和装置。
【請求項5】
前記熱交換器が、室内機の吸込み口から吸い込んだ室内空気を熱交換器を通過させて下面の吹出し口へ送風する横流ファンを囲むように、前面側熱交換器と背面側熱交換器から構成されるとともに、前記横流ファンの外径を100mm以上としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記熱交換器が、室内機の吸込み口から吸い込んだ室内空気を熱交換器を通過させて下面の吹出し口へ送風する横流ファンを囲むように、前面側熱交換器と背面側熱交換器から構成され、前記前面側熱交換器の横幅が前記背面側熱交換器の横幅よりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記室内機の下側面には、配管用穴を形成する配管用穴形成部を備えており、前記配管用穴成形部は、脱着可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記室内機の前面側グリル部において、吸込み口を設けない、または、吸込み口を一部のみ設けた意匠としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記室内機に接続される室外機の外形寸法が、最大の横幅寸法を760mm以下で、高さ寸法を550mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−116103(P2008−116103A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298896(P2006−298896)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】