説明

空気調和装置

【課題】除霜運転時において空調対象空間にいる人の快適性を向上させると共に、除霜運転の効率化を図る。
【解決手段】フラップ45a〜45dは、ケーシング41上の複数の吹き出し口41a〜41dそれぞれから吹き出される空調空気の風向を制御し、室内ファン42は、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の風量を制御する。複数の赤外線センサ46a〜46dは、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の有無の存在を検知する。動作決定部51aは、除霜運転時、各赤外線センサ46a〜46dの検知結果に基づき得られた比率を、吹き出し口データ50aに当てはめることにより、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の風向及び風量を決定する。ファン制御部51b及びフラップ制御部51cは、動作決定部51aによる決定結果に基づいて、フラップ45a〜45dの角度制御及び室内ファン42の回転数制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置、特に、室外熱交換器に付着した霜を取り除く除霜運転を行うことが可能な空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスや店舗等においては、オフィスや店舗内の空気を調和するためのものとして、1対の室外機及び室内機で構成される空気調和装置が設置されている。室内機は、オフィス等である空調対象空間の天井に設置されており、複数の吹き出し口を有する。室外機は、建物の外に設置されており、室外熱交換器等を有する。このような空気調和装置は、室内機の各吹き出し口から均等に空調空気を吹き出させて空調を行うものや、単に空調空気を吹き出させるだけではなく空調対象空間について気流制御を行うものがある。気流制御を行うものとしては、例えば特許文献1(特許第3807305号公報)に開示されているものがある。特許文献1では、赤外線センサを用いて空調対象空間内の利用者の位置を検知し、この検知結果に基づいて気流制御が行われている。これにより、例えば室内機の各吹き出し口から均等に吹き出されていた空調空気は、当該センサの検知結果によっていずれかの吹き出し口から局所的に吹き出されるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1では、暖房運転が行われている間、室外機における室外熱交換器は蒸発器として機能する。そのため、室外熱交換器には霜が付着し、当該室外熱交換器自体の性能が低下してしまう。
【0004】
これに対し、暖房運転を一時的に停止して除霜運転を行うことが考えられるが、除霜運転時に空調対象空間内の人の有無に応じて何らかの制御がなされるといった発想は、従来はなかった。従って、たとえ室外熱交換器に付着していた霜が除霜運転によって取り除かれたとしても、除霜運転が行われている間は空調対象空間内には冷やされた空気が吹き出されることから、空調対象空間にいる人の快適性は損なわれてしまうことなる。
【0005】
本発明の課題は、除霜運転時において空調対象空間にいる人の快適性を向上させると共に、除霜運転の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和装置は、室外熱交換器に付着した霜を取り除く除霜運転を行うことが可能な装置である。この空気調和装置は、ケーシングと、フラップと、ファンと、複数の人検知センサと、記憶部と、決定部と、制御部とを備える。ケーシングには、空調空気を空調対象空間に吹き出すための複数の吹き出し口が形成されている。フラップは、吹き出し口から吹き出される空調空気の風向を制御する。ファンは、吹き出し口から吹き出される空調空気の風量を制御する。複数の人検知センサは、分割エリアそれぞれにおける人の有無の存在を検知する。分割エリアは、各吹き出し口から吹き出される空調空気の気流が到着する吹き出しエリアに基づいて、空調対象空間が複数のエリアに分割されたエリアを言う。記憶部は、在/不在情報の組み合わせを、各吹き出し口から吹き出される空調空気の風向及び風量の少なくとも1つと対応づけて、吹き出し口データとして記憶する。在/不在情報は、各分割エリアにおける人の存在の有無を示す。決定部は、除霜運転時、各人検知センサの検知結果を吹き出し口データに当てはめることにより、各吹き出し口から吹き出される空調空気の風向及び風量の少なくとも1つを決定する。制御部は、決定部による決定結果に基づいて、フラップの角度制御及びファンの回転数制御を行う。
【0007】
ここで、吹き出し口データにおいては、各吹き出し口から吹き出される風向及び風量は、各分割エリアにおける人の存在の有無の組み合わせの状態に応じて、除霜運転時に空調対象空間内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化のバランスを考慮した上で、予めきめ細かく設定されている。この空気調和装置によると、除霜運転時、空調空気の風向及び風量は、人検知センサの検知結果及び予め記憶されている吹き出し口データによって決定されるため、除霜運転時におけるその時々の分割エリア毎の人の有無に応じて、風量及び風向をきめ細かく制御することが可能となる。従って、除霜運転時に空調対象空間内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化を、バランス良く向上させることができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る空気調和装置は、第1観点に係る空気調和装置において、人検知センサは、分割エリアそれぞれにおける人の人数を検知可能である。そして、所定人数に対する人検知センサにより検知された人数の比率に応じて、分割エリアそれぞれにおける人の存在の有無が判断される。
【0009】
この空気調和装置によると、各分割エリアにおける人の存在の有無は、単に人がいるか否かによって判断されるのではなく、人数の比率に応じて決定される。例えば、とある分割エリアの所定人数に対する人数の比率が所定比率以上であれば、当該エリア内には人がいると判断され、逆に比率が所定比率以下であれば、当該エリア内には人がいないと判断されることができる。これにより、各分割エリアの人数の状態に応じて、風向及び風量を決定することができ、除霜運転時に空調対象空間内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化を、よりバランス良く向上させることが可能となる。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和装置は、第1観点または第2観点に係る空気調和装置において、ケーシングは、互いに異なる方向に空調空気を吹き出すための少なくとも4つの吹き出し口が形成された、天井設置型の室内機ケーシングである。フラップは、各吹き出し口に対応するようにして、少なくとも4つ設けられている。制御部は、除霜運転時、決定部による決定結果に基づいて、各フラップの角度を独立して変更させる。
【0011】
この空気調和装置によると、除霜運転時、各フラップの角度が独立制御される。従って、除霜運転時、各吹き出し口から空調対象空間内に送られる空調空気は、各フラップの角度に応じて互いに異なった方向に送られることが可能となる。従って、除霜運転時においても、きめ細かい気流制御ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1観点に係る空気調和装置によると、除霜運転時に空調対象空間内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化を、バランス良く向上させることができる。
【0013】
本発明の第2観点に係る空気調和装置によると、各分割エリアの人数の状態に応じて、風向及び風量を決定することができ、除霜運転時に空調対象空間内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化を、よりバランス良く向上させることが可能となる。
【0014】
本発明の第3観点に係る空気調和装置によると、除霜運転時においても、きめ細かい気流制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る空気調和装置の概略構成図。
【図2】本実施形態に係る冷媒回路の構成を簡単に示す図。
【図3】本実施形態に係る室内機の構成を概略的に示す図。
【図4】本実施形態に係る室内機の吹出口から吹き出される空調空気の気流、及び、人検知センサ群に係る各赤外線センサの検知範囲(分割エリア)を示す模式図。
【図5】本実施形態に係る人検知センサ群の構成を模式的に示す図。
【図6】本実施形態に係る室内機の側面視における人検知センサの検知範囲群に係る各赤外線センサ(分割エリア)を模式的に示す図。
【図7】本実施形態に係る吹き出し口データを概念的に示す図。
【図8】本実施形態に係る各フラップが採り得るフラップ位置を模式的に示す図。
【図9】本実施形態に係るリモートコントローラの構成を模式的に示す図。
【図10】本実施形態に係る操作パネル上に表示される、判断基準である所定比率の設定画面。
【図11】本実施形態に係る空気調和装置の全体動作を示すフロー図。
【図12】本実施形態に係る空気調和装置の全体動作を示すフロー図。
【図13】変形例Aに係る人検知センサの構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る空気調和装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置の概要
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置100の構成を概略的に示す図である。空気調和装置100は、建物の外に設置された1台の室外機20と、建物内の空調対象室(空調対象空間に相当)RAの天井に設置された1台の天井設置型室内機40と、この室内機40を遠隔制御するリモートコントローラ60とを備える。即ち、本実施形態に係る空気調和装置100は、1対の室外機及び室内機によって構成されている。
【0018】
室外機20及び室内機40は、液冷媒連絡管P5及びガス冷媒連絡管P6(いずれも冷媒配管に相当)によって接続されており、図2に示すような蒸気圧縮式の冷媒回路10を構成している。このような空気調和装置100は、冷房運転、暖房運転に加え、暖房運転時に室外熱交換器23に付着した霜を取り除く除霜運転を行うことができる。
【0019】
リモートコントローラ60は、室外機20及び室内機40と配線L7を介して電気的に接続されている。なお、リモートコントローラ60は、室内機40と同じ空調対象室RA内に設置されていてもよく、空調対象室RAではないが建物内の他の部屋に設置されていてもよいが、本実施形態では、リモートコントローラ60が室内機40の設置されている空調対象室RA内に設置された場合を例に採る。
【0020】
(2)詳細構成
次に、空気調和装置100が備える室外機20、室内機40及びリモートコントローラ60それぞれの詳細な構成について、順に説明していく。
【0021】
(2−1)室外機
室外機20は、図2に示すように、主として、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、液側閉鎖弁25、ガス側閉鎖弁26、室外ファン27及び室外制御部28を有する。
【0022】
圧縮機21は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高圧のガス冷媒とした後に吐出する機構である。ここでは、圧縮機21として、ケーシング(図示せず)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が、同じくケーシング内に収容された圧縮機モータ21aによって駆動される密閉式圧縮機が採用されている。圧縮機モータ21aは、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、圧縮機21の容量制御が可能になっている。
【0023】
四路切換弁22は、冷房運転(または除霜運転)と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁である。四路切換弁22は、冷房運転(または除霜運転)時には、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともにガス側閉鎖弁26と圧縮機21の吸入側とを接続することが可能である(図2における四路切換弁22の実線を参照)。また、四路切換弁22は、暖房運転時には、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁26とを接続するとともに室外熱交換器23のガス側と圧縮機21の吸入側とを接続することが可能である(図2における四路切換弁22の破線を参照)。
【0024】
室外熱交換器23は、冷房運転(または除霜運転)時には冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、その液側が膨張弁24に接続されており、ガス側が四路切換弁22に接続されている。
【0025】
膨張弁24は、電動膨張弁である。膨張弁24は、冷房運転(または除霜運転)時には、室外熱交換器23において放熱した高圧の液冷媒を室内熱交換器43(後述)に送る前に減圧する。また、膨張弁24は、暖房運転時には、室内熱交換器43において放熱した高圧の液冷媒を室外熱交換器23に送る前に減圧する。
【0026】
液側閉鎖弁25及びガス側閉鎖弁26は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管P5及びガス冷媒連絡管P6)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁25は、膨張弁24に接続されている。ガス側閉鎖弁26は、四路切換弁22に接続されている。
【0027】
室外ファン27は、室外機20内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23に室外空気を供給した後に、空気を室外機20の外に排出する。この室外ファン27により、室外熱交換器23は、室外空気を冷却又は加熱させて冷媒を放熱または蒸発させることができる。ここで、室外ファン27としては、室外ファンモータ27aによって駆動されるプロペラファンが採用されている。室外ファンモータ27aは、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、室外ファン27の風量制御が可能になっている。
【0028】
室外制御部28は、CPU及びメモリからなるマイクロコンピュータで構成されており、室外機20を構成する各機器と接続されている。室外制御部28は、室外機20を構成する各機器の動作を制御する。また、室外制御部28は、室内機40の室内制御部51(後述)及びリモートコントローラ60との間で、制御信号等の各種信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0029】
また、室外機20には、図示してはいないが、吸入圧力や吐出圧力を検知するセンサ、室外熱交換器23の液側における冷媒の温度を検知するセンサ、外気温度を検知するセンサ等が設けられている。
【0030】
(2−2)室内機
室内機40は、図1〜3に示すように、主として、ケーシング41、室内ファン42(ファンに相当)、室内熱交換器43、流量調節弁44、4つのフラップ45a,45b,45c,45d、人検知センサ群46、床温度センサ47、室外機用通信部48、コントローラ用通信部49、記憶部50及び室内制御部51を有する。
【0031】
(2−2−1)ケーシング
ケーシング41は、空調対象室RAの天井に形成された開口(図示せず)に挿入されて配置されており、箱状の形状を有している。具体的には、ケーシング41の側面は、上面視において長辺と短辺とが交互に連続して形成された約8角形の形状となっており、下面は、略4角形の形状となっている。
【0032】
そして、室内機40のケーシング41の下面には、下面の周縁部に沿うようにして4つの吹き出し口41a,41b,41c,41dが形成されている。これらの吹き出し口41a〜41dによって囲まれたケーシング41の下面の位置には、1つの吸い込み口41eが設けられている。つまり、吸い込み口41eは、室内機40のケーシング41の下面の略中央に設けられている。吹き出し口41a〜41dは、それぞれケーシング41の下面の周縁方向に細長い略4角形状を有しており、吸い込み口41eは、略4角形状を有している。吸い込み口41eからは、空調対象室RA内の空調空気がケーシング41の内部に吸い込まれ、吹き出し口41a〜41dからは、ケーシング41内にて調和された後の空気(つまり、空調空気)が空調対象室RAへと吹き出される。特に、吹き出し口41a〜41dは、ケーシング41の下面の周縁部に沿うようにして設けられているので、互いに異なる方向に空調空気を吹き出すことができる。
【0033】
なお、ケーシング41の側面には、室内熱交換器43と各冷媒連絡管P5,P6とを接続するための室内冷媒管P8が貫通する部分(図示せず)が形成されている。また、吸い込み口41e付近には、吸い込み口41eから吸入される空気中の塵埃を除去するための吸入フィルタ(図示せず)等が設けられている。
【0034】
ここで、本実施形態においては、図4に示すように、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の気流が到着するエリア(即ち、図4の吹き出しエリアA’,B’,C’,D’)に基づき、空調対象室RA内が複数のエリアA1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2(以下、分割エリアという)に分割されている。言い換えると、平面視における分割エリアA1〜A2,B1〜B2,C1〜C2,D1〜D2は、各吹き出しエリアA’〜D’に合わせられている。具体的には、室内機40の吹き出し口41a,41b,41c,41dそれぞれにおける吹き出しエリアA’,B’,C’,D’に対応するようにして、分割エリアA1及びA2,B1及びB2,C1及びC2,D1及びD2が定義されている。そして、分割エリアA1〜A2の面積を、吹き出し口41aの位置から分割エリアA1〜A2の外郭までの距離の約半分の地点にて分割し、分割されたエリアのうち吹き出し口41aに近い側のエリアを「分割エリアA1」、遠い側のエリアを「分割エリアA2」と定義している。同様にして、分割エリアB1〜B2,C1〜C2,D1〜D2の面積それぞれを、各吹き出し口41b〜41dの位置から各分割エリアB1〜B2,C1〜C2,D1〜D2の外郭までの距離の約半分の地点にて分割し、分割されたエリアのうち吹き出し口41b〜41dそれぞれに近い側のエリアを「分割エリアB1〜D1」、遠い側のエリアを「分割エリアB2〜D2」と定義している。即ち、本実施形態に係る空調対象室RAは、平面視において室内機40周りに4分割され、更に室内機40からの距離方向に2分割されており、従って合計で8分割されている。
【0035】
(2−2−2)室内ファン
室内ファン42は、空調対象室RA内の空気を吸い込み口41eを介してケーシング41内に吸い込むと共に、室内熱交換器43にて熱交換された後の空気を各吹き出し口41a〜41dを介してケーシング41内から吹き出す遠心送風機である。つまり、室内ファン42は、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の流れを生成する。
【0036】
この室内ファン42は、ケーシング41の下面の約中央に設けられた室内ファンモータM42と、該モータM42に連結されて回転駆動される羽根車(図示せず)とを有している。羽根車は、ターボ翼を有する羽根車であり、下方から羽根車の内部に空気を吸い込み、平面視における羽根車の外周側に向かって吹き出すことができる。室内ファンモータM42は、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、室内ファン42は、吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の風量を制御することができる。
【0037】
(2−2−3)室内熱交換器
室内熱交換器43は、ケーシング41の内部に配置されている。室内熱交換器43は、室内冷媒管P8を介して各冷媒連絡管P5,P6に接続されており、平面視における室内ファン42の周囲を囲むように曲げられて配置されたフィンチューブ型熱交換器で構成されている。室内熱交換器43は、吸い込み口41eから吸い込まれた空調対象室RA内の空気と熱交換を行う。
【0038】
具体的には、室内熱交換器43は、冷房運転(または除霜運転)時には冷媒の蒸発器として機能する。これにより、吸い込み口41eを介してケーシング41内に吸い込まれた空気は、室内熱交換器43を構成する伝熱管(図示せず)内を流れる冷媒に熱を奪われ、冷やされることとなる。逆に、室内熱交換器43は、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能する。これにより、吸い込み口41eを介してケーシング41内に吸い込まれた空気は、室内熱交換器43を構成する伝熱管内を流れる冷媒から熱を奪い、温められることとなる。室内熱交換器43によって熱交換が行われた後の空気は、開放された吹き出し口41a〜41dを介して再度空調対象室RA内に戻される。
【0039】
また、室内熱交換器43の下側かつケーシング41の下部には、ドレンパン(図示せず)が設置されている。ドレンパンは、室内熱交換器43によって空気中の水分が凝縮されて生じるドレン水を受けるためのものである。また、ドレンパン付近には、吸い込み口41eから吸い込まれる空気を室内ファン42へと案内するためのベルマウス(図示せず)が配置されている。
【0040】
(2−2−4)流量調節弁
流量調節弁44は、室内冷媒菅P8上に設けられており、各冷媒連絡管P5,P6を介して室内冷媒管P8上を流れることで室内機40内を流れる冷媒の流量を調節する。流量調節弁44は、室内熱交換器43の液側に接続された電動膨張弁で構成されており、当該弁自身の開度が変化することによって、室内機40内を流れる冷媒量を増減させたり、冷媒の通過を遮断させたりすることもでき、つまりは冷媒の流量を変えることができる。
【0041】
このような流量調節弁44は、図3に示すように、調節弁駆動モータM44と接続されており、該モータM44が駆動することにより、開度が変化する構成となっている。
【0042】
(2−2−5)フラップ
4つのフラップ45a〜45dは、それぞれケーシング41の下面の周縁部の各辺に対応するように位置すると共に、各吹き出し口41a〜41dに対応するようにして設けられている。4つのフラップ45a〜45dは、各吹き出し口41a〜41dを開閉可能に設けられると共に、各吹き出し口41a〜41dに対し回動自在に設けられており、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の上下方向の風向角度を変更することが可能となっている。つまり、各フラップ45a〜45dは、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気を空調対象室RA内へと案内するためのものであって、当該空調空気の風向を制御することができる。
【0043】
このようなフラップ45a〜45dは、各吹き出し口41a〜41dの長辺方向に沿って細長く延びる板状の部材である。各フラップ45a〜45dの長手方向の両端部は、支持部材(図示せず)によって当該長手方向の軸周りに回動可能になるようにして、ケーシング41の下面に支持されている。そして、各フラップ45a〜45dは、各フラップ45a〜45dに対応するフラップ用モータM45a,M45b,M45c,M45cそれぞれによって駆動されるようになっている。これにより、フラップ45a〜45dは、それぞれ独立して上下方向の風向角度を変更することが可能であり、各吹き出し口41a〜41dに対し上下方向に往復回動することができるようになっている。なお、フラップ用モータM45a〜M45dは、上記支持部材に連結されている。
【0044】
(2−2−6)人検知センサ群
人検知センサ群46は、空調対象室RA内の人の存在の有無を検知する。人検知センサ群46は、ケーシング41の下面の配置可能な位置、ここでは、ケーシング41の下面の1つの角部において当該下面の表面から下方に突出するようにして配置されている(図1,4参照)。人検知センサ群46は、図5に示すように、4つの赤外線センサ46a,46b,46c,46d(人検知センサに相当)と、赤外線を透過する素材からなる略半球形状の1つのカバー部材(図示せず)で構成されている。カバー部材は、4つの赤外線センサ46a〜46dを覆っており、これにより、人検知センサ群46は、ケーシング41の下面の平面視における形状が略円形となっている。
【0045】
具体的に、本実施形態に係る各赤外線センサ46a〜46dは、室内機40の吹き出し口41a〜41dそれぞれに対応するようにして配置されており、図4に係る分割エリアA1〜D1,A2〜D2それぞれにおける人の存在の有無を検知する。即ち、各赤外線センサ46a〜46dは、物体から放射される赤外線放射エネルギーの変動によって、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内における人の有無を検知する。
【0046】
また、各赤外線センサ46a〜46dの検知範囲である分割エリアA1〜D1,A2〜D2は、それぞれ平面視において各検知角度α,β,γ,δが約90度となるようなエリアであり、各赤外線センサ46a〜46dは、室内機40における分割エリアA1〜D1同士、及び分割エリアA2〜D2同士が重ならないように配置されている(図5)。また、当該分割エリアA1〜D1,A2〜D2は、図6に示すように、側面視においていずれの吹き出しエリアA1’〜D1’,A2’〜D2’における人の存在の有無を赤外線センサ46a〜46dが検知する場合も、各検知角度εが約135度になるようなエリアとなっている。更に、各赤外線センサ46a〜46dは、ケーシング41の下面の角部のうち、それぞれ異なった角部側を向くようにして、かつ、斜め下方を向くように設けられており、これにより、互いに異なる分割エリアA1〜D1,A2〜D2の人の存在の有無を検知できるようになっている。
【0047】
更に、本実施形態に係る各赤外線センサ46a〜46dは、単に各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人の存在の有無を検知するだけではなく、赤外線の放射エネルギー量に基づいて、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2にいる人の人数を検知することが可能となっている。例えば、人数が多い程、各人から放射される放射エネルギー量の合計値は大きくなるため、分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人の人数に応じて赤外線の放射エネルギー量は変化する。そこで、赤外線センサ46a〜46dは、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における赤外線の放射エネルギー量を、所定時間毎(例えば1分毎)に検知する。特に、このような各赤外線センサ46a〜46dによるきめ細かい各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人数の把握動作は、除霜運転時に行われる。
【0048】
(2−2−7)その他センサ
床温度センサ47は、空調対象室RA内における床面の温度を検知する赤外線センサである。床温度センサ47は、人検知センサ群46と同様、室内機40におけるケーシング41の下面の角部に配置されており、物体から放射される赤外線放射エネルギーによって、空調対象室RA内の床面の温度を検知する。
【0049】
その他、室内機40は、吸込空気温度センサ(図示せず)を有している。吸込空気温度センサは、吸い込み口41e付近に設けられており、吸い込み口41eを通じてケーシング41内に吸い込まれる空調対象室RA内の空気の温度を検出する。
【0050】
(2−2−8)各種通信部
室外機用通信部48は、室外機20と各種信号の送受信を行うためのものであって、室外機20と電気的に接続されている。例えば、室外機用通信部48は、リモートコントローラ60を介して空気調和装置100の利用者により冷房運転または暖房運転の開始指示がなされた場合には、四路切換弁22の切り換え指示、室外ファンモータ27a及び圧縮機モータ21aの駆動指示を室外機20に出力する。また、室外機用通信部48は、室外熱交換器23の液側における冷媒の温度を検知するセンサを室外機20から受信し、室内制御部51によって除霜運転の開始が判断された場合にはその旨を室外機20に出力する。
【0051】
コントローラ用通信部49は、リモートコントローラ60と各種信号の送受信を行うためのものであって、リモートコントローラ60と電気的に接続されている。例えば、コントローラ用通信部49は、リモートコントローラ60から冷房運転または暖房運転の開始指示を受信する。
【0052】
(2−2−9)記憶部
記憶部50は、例えばHDDやフラッシュメモリ等で構成されている。記憶部50は、除霜運転時に室内制御部51の動作決定部51aが用いる吹き出し口データ50aを主に記憶している。吹き出し口データ50aとは、図7に示すように、室内機40についての各種動作情報と、在/不在情報の組み合わせとが、対応付けられたデータである。
【0053】
−吹き出し口データ−
室内機40についての各種動作情報には、ファンの動作情報、風量情報、風向角度の情報、及び吹き出し口41a〜41dの開閉情報が含まれている。吹き出し口データ50aの各レコードにおけるファンの動作情報には、室内ファン42が運転するかまたは運転を停止するかのうち、いずれかが選択されている。風量情報には、室内ファン42の風量が“強”、“弱”及び“急”のうち、いずれかが選択されている。風向角度の情報には、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の風向を表す情報として、フラップ45a〜45dの風向角度“水平”“上”“中”“下”のうち、いずれかが選択されている。吹き出し口41a〜41dの開閉情報には、吹き出し口41a〜41dそれぞれが採り得る状態“開状態”“閉状態”のうち、いずれかが選択されている。なお、図7では、室内ファン42が運転する場合を“回転”、運転を停止する場合を“停止”と表し、各吹き出し口41a〜41dが開状態となる場合を“○”、閉状態となる場合を“×”で表している。
【0054】
在/不在情報は、個々の分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の存在の有無を示す情報であって、吹き出し口データ50aには、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における在/不在情報の組み合わせが、1レコードとして記憶されている。図7に示す在/不在情報の組み合わせは、除霜運転が行われている際に人検知センサ群46によって検知された実際の検知結果が履歴として反映されたものではなく、除霜運転時に室内機40の各種動作情報を決定する際に、実際の人検知センサ群46による検知結果に基づく値を当てはめるために利用されるものであって、除霜運転が行われる前から決定されている。
【0055】
更に、上記在/不在情報は、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数の所定人数に対する比率が判断基準となる所定比率よりも高い分割エリアについては、人がいることを示す“在”となっている。逆に、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数の所定人数に対する比率が所定比率よりも低い分割エリアについては、人がいないことを示す“不在(図7では、“−”と表す)”となっている。図7では、所定比率が“20%”の場合の吹き出し口データ50aを一例として示している。図7では、在/不在情報の各欄における左側の数値は、該当する分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数の所定人数に対する比率を表しており、各欄における右側の“在”は、該当する分割エリアA1〜D1,A2〜D2における比率が所定比率以上(つまり、ここでは20%以上)である場合を表し、“−”は、該当する分割エリアA1〜D1,A2〜D2における比率が所定比率以下(つまり、ここでは20%以下)である場合を表している。例えば、図7のNo.2のレコードにおいては、除霜運転が行われている時に、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人数の比率が順に50%,35%,0%,0%,35%,40%,10%,10%である場合を表している。この場合、各分割エリアA1,B1,A2,B2の比率は、20%を越えているため、該エリアA1,B1,A2,B2に対応する在/不在情報の各欄の右側は、“在”と表されている。一方、残りの各分割エリアC1,D1,C2,D2の比率は、いずれも20%を越えていないため、該エリアC1,D1,C2,D2に対応する在/不在情報の各欄の右側は“−”と表されている。このような在/不在情報の組み合わせを有するNo,2のレコードでは、室内ファン42は風量“弱”にて運転し、吹き出し口41c,41dのみが開状態となりフラップ45c,45dの風向角度は“水平方向”と設定されている。
【0056】
なお、除霜運転時における各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数に対する比率は、後述する室内制御部51の動作制御部51aによって各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎に演算され、当該演算結果と所定比率との比較結果が、図7に示す在/不在情報に当てはめられることとなる。
【0057】
そして、図7に示す吹き出し口データ50aでは、在/不在情報が“在”である分割エリアA1〜A2,B1〜B2,C1〜C2,D1〜D2に対応する吹き出し口41a〜41dは“閉状態”、在/不在情報が“不在”である分割エリアA1〜A2,B1〜B2,C1〜C2,D1〜D2に対応する吹き出し口41a〜41dは“開状態”と決定される。一例として、レコードNo.4では、室内機40に近い側の分割エリアB1,C1及び遠い側の分割エリアB2,C2の在/不在情報はそれぞれ“在”であるが、残りの分割エリアA1,D1,A2,D2の在/不在情報は“不在”となっている。このレコードNo.4では、分割エリアB1〜B2,C1〜C2に対応する吹き出し口41b,41cは“閉状態”、分割エリアA1〜A2,D1〜D2に対応する吹き出し口41a,41dは“開状態”と決定されている。これは、人のいると判断された分割エリアB1〜B2,C1〜C2へは、除霜運転時に熱交換により冷やされた空気が送られないようにすることで、人の快適性が損なわれないようにしているのである。そして、人のいないと判断された分割エリアA1〜A2,D1〜D2へ冷やされた空気を送っても、人の快適性が著しく損なわれることはなく、代わりに除霜運転が短時間で終了するように除湿運転を促進させているのである。
【0058】
また、図7に示す吹き出し口データ50aでは、室内機40に近い側の分割エリアA1〜D1それぞれにおける在/不在情報と、室内機40に遠い側の分割エリアA2〜D2それぞれにおける在/不在情報との関係によって、ファンの動作情報、風量情報、及び風向角度の情報が決定されている。基本的に、室内機に近い側の分割エリアA1〜D1の在/不在情報がいずれも“−”であって、室内機に遠い側の分割エリアA2〜D2の在/不在情報の少なくとも1つが“在”である場合には、ファンの動作情報“運転”、ファンの風量情報“強”、風向角度の情報“上方向”が決定されている(図7のレコードNo.3,5,6,8参照)。室内機40に遠い側の分割エリアA2〜D2の在/不在情報の少なくとも1つが“在”であると共に、室内機40に近い側の分割エリアA〜D1の在/不在情報の少なくとも1つが“在”である場合、ファンの動作情報“運転”、ファンの風量情報“弱”、風向角度の情報“水平方向”が決定されている(図7のレコードNo.2,4,7参照)。また、分割エリアA1〜D1、A2〜D2全てにおける在/不在情報が“−”である場合、ファンの動作情報“運転”、ファンの風量情報“強”、風向角度の情報“上方向”が決定されている(図7のレコードNo.1参照)。
【0059】
即ち、図7に係る風量情報及び風向角度の情報は、主に、室内機40に近い側の分割エリアA1〜D1に人がいるか否かに応じて、“強”“上方向”の組み合わせ、または“弱”“水平方向”の組み合わせのいずれかに決定されていると言える。なお、室内ファン42の動作情報は、分割エリアA1〜D1、A2〜D2全てにおける在/不在情報が“在”であれば、“運転停止”と決定され(図7のレコードNo.9参照)、それ以外においては“運転”と決定されている(図7のレコードNo.1〜8参照)。つまり、室内機40に近い側の分割エリアA1〜D1のいずれにも人がいないのであれば、人のいない遠い側の分割エリアA2〜D2側へと冷やされた空気を強い風量で上方向に送ることで、風向が水平方向である場合よりも若干室内機40側に冷やされた空気が送られることとなる。これにより、風量“強”によって除霜運転が促進されつつ、人のいる側へは冷やされた空気が送られないことで人の快適性が保護されている。逆に、室内機40に近い側の分割エリアA1〜D1のいずれかに人がいる場合には、その人に冷やされた空気があたることのないようにするべく、人のいない分割エリアA1〜D1,A2〜D2側に弱い風量で水平方向に冷やされた空気を送ることとなる。これにより、冷やされた空気は風向角度が“上方向”の場合よりも遠くへと送られることとなり、除霜運転の促進よりも、人の快適性の保護が優先される。
【0060】
(2−2−10)室内制御部
室内制御部51は、CPU及びメモリからなるマイクロコンピュータであって、図3に示すように、室内ファンモータM42、フラップ用モータM45a〜M45d、調節弁駆動モータM44、各種センサ46,47、各種通信部48,49と電気的に接続されている。室内制御部51は、接続されたこれらの各機器の動作を制御する。
【0061】
例えば、室内制御部51は、各種センサ46,67の検知結果やリモートコントローラ60を介して行われた各種指示、室外制御部28から送られてきた制御信号に基づいて、室内ファンモータM42の駆動制御を行ったり、各フラップ用モータM45a〜M45dの駆動制御を行ったりする。例えば、利用者によりリモートコントローラ60を介して暖房運転や冷房運転の開始指示がなされた場合には、室内制御部51は、各モータM42,M45a〜M45dの駆動を開始させる。また、室内制御部51は、リモートコントローラ60を介して運転の停止指示がなされた場合には、各モータM42,M45a〜M45dの駆動を停止させる。更に、室内制御部51は、室外機20から取得した室外熱交換器23の液側における冷媒の温度を所定温度と比較し、当該温度が所定温度以下である場合には、除霜運転の開始を決定する。
【0062】
特に、本実施形態に係る室内制御部51は、除霜運転時、人検知センサ群46の赤外線センサ46a〜46dの検知結果及び吹き出し口データ50aに基づいて、吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の風向及び風量等を決定し、各モータM42,M45a〜M45dの駆動制御を行う。このような動作を行うため、室内制御部51は、動作決定部51a、ファン制御部51b、及びフラップ制御部51cとして機能する。
【0063】
−動作決定部―
動作決定部51aは、除霜運転時、人検知センサ群46の赤外線センサ46a〜46dによる検知結果から判断される各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人の存在の有無に基づき、各吹き出し口45a〜45dから吹き出される空調空気の風向や風量等を決定する。具体的には、動作決定部51aは、赤外線センサ46a〜46dの検知結果、つまりは各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数から、当該人数の所定人数あたりの比率を各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎に演算する。そして、動作決定部51aは、当該演算結果が所定比率よりも高いか否かを各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎に判断し、その結果を吹き出し口データ50aの在/不在情報に当てはめる。そして動作決定部51aは、該当する吹き出し口データ50a内のレコードによって室内ファン42の動作情報、風量情報、風向角度の情報、及び各吹き出し口41a〜41dの開閉情報を決定する。
【0064】
ここで、所定人数は、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内に人がいることのできる最大人数を言い、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2の面積や環境等に基づきシミュレーションや机上計算等によって適宜決定される。なお、所定人数は、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2において共通した値であってもよいし、各エリア毎に異なる値であってもよい。
【0065】
−ファン制御部−
ファン制御部51bは、室内ファンモータM42の駆動を制御することで、室内ファン42の動作制御を行う。特に、ファン制御部51bは、除霜運転時、動作決定部51aが決定した室内ファン42の動作情報に応じて、室内ファン42を運転または運転を停止させる制御を行う。更に、除霜運転時、室内ファン42の動作情報と共に風量情報を動作決定部51aが決定した場合には、ファン制御部51bは、当該情報に基づいて室内ファン42の回転数を増減させる回転数制御を行う。ここで、本実施形態に係る室内ファン42の風量としては、“弱”“強”“急”の、3通りがある場合を例に採る。なお、風量“急”とは、室内ファン42が最大回転数で回転する際の風量であり、“強”よりも強いものとなっている。
【0066】
−フラップ制御部−
フラップ制御部51cは、フラップ用モータM45a〜M45dの駆動を個々に制御することで、各フラップ45a〜45dの風向角度を独立制御する。特に、フラップ制御部51cは、除霜運転時、動作決定部51aが決定した風向角度の情報及び各吹き出し口41a〜41dの開閉情報に応じて、各吹き出し口41a〜41dの開閉及び各フラップ45a〜45dの風向角度の制御を行う。つまり、フラップ制御部51cは、除霜運転時、風向角度の情報及び各吹き出し口41a〜41dの開閉情報に応じて、各フラップ用モータM45a〜M45dを駆動させることで、各フラップ45a〜45dの角度を独立して変更させることができる。
【0067】
ここで、本実施形態に係るフラップ45a〜45dが採り得る状態としては、大まかには、図8に示すように、吹き出し口41a〜41dを閉じる閉状態(フラップ位置0)、及び吹き出し口41a〜41dを開放する開状態が挙げられる。そして、フラップ45a〜45dが開状態を採る際には、更に5つのフラップ位置1〜5が設定されている。フラップ位置1は、フラップ45a〜45dがケーシング41の下面から約15度だけ下方に回動した状態を言い、この場合には、空調空気は約水平方向に送られることとなる。フラップ位置2は、フラップ45a〜45dがケーシング41の下面から約30度だけ下方に回動した状態を言い、この場合には、空調空気は水平方向よりも若干下方である“上方向”に送られることとなる。同様にして、フラップ位置3,4,5は、フラップ45a〜45dがケーシング41の下面からそれぞれ約45度,約60度、約75度だけ下方に回動した状態を言い、この場合には、空調空気はそれぞれ上方向よりも更に下方となる“中方向”、中方向よりも更に下方となる“下方向”、下方向よりも更に下方である“約鉛直方向”に送られることとなる。特に、除霜運転時には、フラップ位置0〜4のいずれかが採用される。
【0068】
(2−3)リモートコントローラ
リモートコントローラ60は、図9に示すように、主として、制御部61、室内機用通信部62、室外機用通信部63及び操作パネル64を有する。
【0069】
制御部61は、CPU及びメモリからなるマイクロコンピュータであって、図9に示すように、各種通信部62〜63、及び操作パネル64と電気的に接続されている。制御部61は、接続された各機器の動作を制御する。例えば、制御部61は、操作パネル64に表示させる画面の表示制御、操作パネル64を介して入力された利用者からの各種指示に伴う空気調和装置100の運転制御を行う。
【0070】
室内機用通信部62は、室内機40と各種信号の送受信を行うためのものである。室内機用通信部62は、操作パネル64を介して利用者により冷房運転または暖房運転を開始する旨が入力された場合には、室内機40に冷房運転または暖房運転の開始指示を送信する。特に、本実施形態に係る室内機用通信部62は、操作パネル64を介して利用者により所定比率の設定がなされた場合は、これを室内機40に送信する。
【0071】
室外機用通信部63は、室外機20と各種信号の送受信を行うためのものである。また、室外機用通信部63は、操作パネル64を介して利用者により冷房運転または暖房運転を開始する旨が入力された場合には、室外機20に冷房運転または暖房運転の開始指示を送信する。
【0072】
操作パネル64は、例えば液晶ディスプレイ及びマトリクススイッチ等で構成されるタッチパネルであって、メニュー画面等の各種画面を表示することができると共に、各種指示を受け付けることができる。例えば、空気調和装置100の利用者は、操作パネル64上から、冷房運転及び暖房運転の開始を入力したり、風向、風量の設定を入力したりすることができる。
【0073】
ここで、操作パネル64が表示するメニュー画面以外の画面として、図10に示す画面が挙げられる。図10は、上述した制御部61が各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の在/不在を判断する際に用いられる所定比率、つまりは判断基準の設定画面の一例を示している。図10では、所定比率が“10%”“20%”“30%”“40%”“50%”の5段階のいずれかに設定可能となっている。所定比率が高い程、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数が多くないと“人がいる”とは判断されなくなり、逆に所定比率が低い程、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人数が少なくても“人がいる”と判断され易くなる。これにより、空気調和装置100の利用者は、空調対象室RAの環境等(例えば、オフィスや店舗といった空調対象室RAの利用目的等)に応じて、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の人数の所定人数に対する比率がどの程度の比率以上であれば“人がいる”とみなされるかを、設定することができる。例えば、空調対象室RAが店舗である場合においては、店舗内の顧客に除霜運転中の冷たい空気があたってしまうのは好ましくないため、利用者は、所定比率を、人がいると判断され易い“10%”と設定することができる。逆に、空調対象室RAがオフィスである場合においては、オフィスへの人の出入りが激しいため、早く除霜運転を終わらせて室内を暖めることを優先すべきである。よって、この場合には、利用者は、所定比率を、人がいると判断されにくい“50%”と設定することで、人の快適性保護よりも除霜運転の促進を優先させるようにすることができる。このように、本実施形態に係る空気調和装置100は、空気調和装置100が設置される環境に応じて、人の存在の有無の判断基準である所定比率を変更することができ、より空気調和装置が設置された環境に適応させることが可能な柔軟性の高い装置であると言える。
【0074】
操作パネル64を介して所定比率の設定がなされると、当該所定比率は、リモートコントローラ60の記憶部(図示せず)に格納されると共に、室内機用通信部62を介して室内機40に送られる。室内機40に送られた当該所定比率は、室内機40の記憶部50の吹き出し口データ50aとは別の領域に格納され、その後の除霜運転時の室内制御部51に係る動作決定部51aの演算において用いられる。なお、利用者によって図10の画面から所定比率の設定がなされない場合には、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の存在の有無の判断においては、デフォルトの所定比率(例えば、“20%”)が用いられる。
【0075】
(3)全体動作
(3−1)空気調和装置の全体的な動作の流れ
図11,12は、本実施形態に係る空気調和装置100の全体的な動作の流れを示すフロー図である。
【0076】
ステップS1〜S2:リモートコントローラ60を介して、利用者により空気調和装置100の冷房運転が指示された場合(S1のYes)、室外機20及び室内機40は、冷房運転を開始する(S2)。この時、室内制御部51は、空調対象室RA内が所望の設定に応じて冷房されるように、リモートコントローラ60を介して要求された風向及び風量に基づいて風量制御などを行う。
【0077】
ステップS3〜S4:リモートコントローラ60を介して、利用者により空気調和装置100の暖房運転が指示された場合(S3のYes)、室外機20及び室内機40は、暖房運転を開始する(S4)。この時、室内制御部51は、空調対象室RA内が所望の設定に応じて暖房されるように、リモートコントローラ60を介して要求された風向及び風量に基づいて風量制御などを行う。
【0078】
ステップS5:室外熱交換器23の液側における冷媒の温度が所定温度以下となった等により、除霜運転が必要であると室内制御部51が判断した場合には(S5のYes)、この旨が室外機20に送られる。
【0079】
ステップS6:ステップS5の後、室内機40における人検知センサ群46の各赤外線センサ46a〜46dは、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の検知(具体的には、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人数の検知)を行う。
【0080】
ステップS7:動作決定部51aとして機能する室内制御部51(以下、動作決定部51aと記載する)は、各赤外線センサ46a〜46dの検知結果から所定人数に対する人数の比率を各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎に演算する。そして、動作決定部51aは、演算結果を吹き出し口データ50aの在/不在情報に当てはめることで、該当するレコードを割り出す。そして、動作決定部51aは、該当するレコードに基づいて、ファンの動作情報、風量情報、風向角度の情報、及び各吹き出し口41a〜41dの開閉情報を決定する。
【0081】
ステップS8:室内機40及び室外機20において、除霜運転が開始される。この時、ファン制御部51bとして機能する室内制御部51は、ステップS7で決定されたファンの動作情報及び風量情報に基づき、室内ファン42の動作及び風量制御を行う。フラップ制御部51cとして機能する室内制御部51は、ステップS7で決定された風向角度の情報及び各吹き出し口41a〜41dの開閉情報に基づき、各吹き出し口41a〜41dの開閉状態の制御、及び各フラップ45a〜45dの風向角度制御を行う。
【0082】
ステップS9〜S10:ステップS8で除霜運転が開始されたが、なおも室外熱交換器23の液側における冷媒の温度が所定温度以下である場合には(S9のNo)、室内制御部51は、除霜運転を継続して行うと判断する。この場合、人検知センサ群46の各赤外線センサ46a〜46dは、所定時間毎に各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の検知(具体的には、分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人数の検知)を行う(S10)。
【0083】
ステップS11:動作決定部51aは、は、ステップS10における各赤外線センサ46a〜46dの検知結果に基づき、ステップS8と同様にしてファンの動作情報、風量情報、風向角度の情報、及び各吹き出し口41a〜41dの開閉情報を決定し直す。これにより、室内機40においては、室内ファン42の動作及び風量、各フラップ45a〜45dの風向角度、各吹き出し口41a〜41dの開閉状態が変更される(S11)。なお、ステップS9において、室外熱交換器23の液側における冷媒の温度が所定温度以上となり除霜運転を終了するべきと室内制御部51が判断した場合(S9のYes)、ステップS4以降の動作、つまりは暖房運転が再度行われることとなる。
【0084】
ステップS12:ステップS2に係る冷媒運転が行われている間、ステップS5において除霜運転が不要と判断されると共に暖房運転が行われている間(S5のNo)、冷房運転または暖房運転の終了指示が利用者によってなされるまでは(S12のNo)、ステップS1以降の動作、つまりは冷房運転または暖房運転が継続して行われる。しかし、冷房運転または暖房運転の終了指示がリモートコントローラ60を介して利用者によりなされた場合には(S12のYes)、空気調和装置100は、一連の動作を終了する。
【0085】
(3−2)冷房運転及び除霜運転
以下では、空気調和装置100が上述した冷房運転(図11のS1〜S2)及び除霜運転(図11のS8)を行う場合の、冷媒回路10の動作について説明する。
【0086】
冷房運転及び除霜運転は、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、かつ、室内熱交換器43が冷媒の蒸発器として機能するように冷媒回路10内の冷媒を循環させることによって、空調室内の空気を冷却して空調室内に空調空気として供給する運転である。
【0087】
まずは、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、かつ、室内熱交換器43が冷媒の蒸発器として機能する状態(すなわち、図2の四路切換弁22の実線で示される状態)になるように、四路切換弁22が切り換えられる。
【0088】
このような状態の冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた高圧の冷媒は、室外熱交換器23において、室外ファン27によって供給される室外空気と熱交換を行って放熱する。室外熱交換器23において放熱した高圧の冷媒は、膨張弁24に送られて、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張弁24において減圧された低圧の冷媒は、液側閉鎖弁25及び液冷媒連絡管P5を通じて、流量調節弁44に送られる。そして、流量調節弁44の開度に応じた流量の冷媒が、室内熱交換器43に送られる。室内熱交換器43に送られた低圧の冷媒は、室内熱交換器43において、各室内ファン42によって供給される空調室内の空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、空調室内の空気は、冷却されて空調空気となり、開放されている吹き出し口41a〜41dから各分割エリアA1〜D1,A2〜D2に吹き出される。室内熱交換器43において蒸発した低圧の冷媒は、ガス冷媒連絡管P6、ガス側閉鎖弁26及び四路切換弁22を介して、再び圧縮機21に吸入される。
【0089】
尚、冷房運転においては、吸込空気温度がリモートコントローラ60等から要求された目標空気温度になるように制御される。すなわち、冷房運転において、吸込空気温度が目標空気温度よりも高い場合には、上記の運転制御を行う。そして、吸込空気温度が目標空気温度に達した場合には、圧縮機21を停止して冷媒回路10内の冷媒の循環を行わないようにするとともに、室内ファン42の風量を風量“急”に変更する制御を行う。
【0090】
また、冷房運転において、ステップS2に係る要求風向及び要求風量に基づく制御がなされる場合には、空調対象室RA内の利用者快適性を高めることができるように、室内制御部51は、人検知センサ群46及び床温度センサ47等の検知結果に基づいて、各フラップ45a〜45dの風向角度及び室内ファン42の風量を種々の風向・風量に設定しつつ制御することができる。例えば、人検知センサ群46が分割エリアA1〜A2の人の存在を検知した場合、室内制御部51は、該センサ群46の検知結果に基づいて、人の存在が検知された分割エリアA1〜A2に対応する吹き出し口41aのフラップ45aの風向角度を“水平方向”に設定することができる。一方、人が不在である分割エリアB1〜D1,B2〜D2においては、室内制御部51は、“水平方向“よりも下向きの風向“上方向”等に設定することができる。これにより、分割エリアA1〜A2にいる利用者のドラフトによる不快感を抑え、利用者の快適性の向上が図れる。
【0091】
(3−3)暖房運転
以下では、空気調和装置100が上述した暖房運転(図11のS3〜S4)を行う場合の動作について説明する。
【0092】
暖房運転は、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室内熱交換器43が冷媒の放熱器として機能するように冷媒回路10内の冷媒を循環させることによって、空調室内の空気を加熱して空調室内に空調空気として供給する運転である。
【0093】
まずは、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室内熱交換器43が冷媒の放熱器として機能する状態(すなわち、図2の四路切換弁22の破線で示される状態)になるように、四路切換弁22が切り換えられる。
【0094】
このような状態の冷媒回路10において、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁26及びガス冷媒連絡管P6を通じて、室内熱交換器43に送られる。ここで、室内熱交換器43に送られる冷媒の流量は、流量調節弁44の開度に応じた量となっている。室内熱交換器43に送られた高圧の冷媒は、室内熱交換器43において、室内ファン42によって供給される空調室内の空気と熱交換を行って放熱する。これにより、空調室内の空気は、加熱されて空調空気となり、開放されている各吹き出し口41a〜41dから各分割エリアA1〜D1,A2〜D2に吹き出される。室内熱交換器43において放熱した高圧の冷媒は、液冷媒連絡管P5及び液側閉鎖弁25を介して膨張弁24に送られ、冷凍サイクルにおける低圧まで減圧される。膨張弁24において減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた低圧の冷媒は、室外熱交換器23において、室外ファン27によって供給される空調室内の空気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22を介して、再び圧縮機21に吸入される。
【0095】
尚、このような暖房運転においては、吸込空気温度がリモートコントローラ60等から要求された目標空気温度になるように制御される。すなわち、暖房運転において、吸込空気温度が目標空気温度よりも低い場合には、上記の運転制御を行う。そして、吸込空気温度が目標空気温度に達した場合には、圧縮機21を停止して冷媒回路10内の冷媒の循環を行わないようにするとともに、室内ファン42の風量を風量“急”に変更する制御を行う。
【0096】
また、ステップS4に係る要求風向及び要求風量に基づく制御がなされる場合には、空調対象室RA内の利用者の快適性を高めることができるように、室内制御部51は、人検知センサ群46及び床温度センサ47等の検知結果に基づいて、各フラップ45a〜45dの風向角度及び室内ファン42の風量を種々の風向・風量に設定しつつ制御することができる。例えば、人検知センサ群46が分割エリアA1〜A2の人の存在を検知した場合、室内制御部51は、該センサ群46の検出結果に基づいて、人の存在が検知された分割エリアA1〜A2に対応する吹き出し口41aのフラップ45aの風向角度を“水平方向”に設定することができる。一方、人が不在である分割エリアB1〜D1,B2〜D2においては、室内制御部51は、“水平方向“よりも下向きの風向“上方向”等に設定することができる。これにより、分割エリアA1〜A2にいる利用者のドラフトによる不快感を抑え、利用者の快適性の向上が図れる。
【0097】
また、床温度センサ47が検知した空調対象室RA内の床面の温度が目標床面温度よりも低い場合には、室内制御部51は、各フラップ45a〜45dの風向角度を下向きの風向“下方向”等に設定することができる。一方、空調対象室RA内の床面の温度が目標床面温度に達している場合には、各フラップ45a〜45dの風向角度を上向きの風向“上方向”等に設定することができる。これにより、空調対象室RA内の床面付近が十分に暖まっていない場合に、暖気を床面まで到達させることができ、空調対象室RA内の利用者の快適性の向上を図ることができる。
【0098】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る空気調和装置100では、図7に示すような吹き出し口データ50aが予め記憶されている。吹き出し口データ50aにおいては、各吹き出し口41a〜41dから吹き出される空調空気の風向(風向角度の情報)及び風量(室内ファン42の風量情報)等が、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の存在の有無の組み合わせの状態と、除霜運転時に空調対象室RA内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化のバランスとを考慮した上で、きめ細かく設定されている。そのため、空気調和装置100によると、除霜運転時、風向角度の情報及び室内ファン42の風量は、人検知センサ群46の赤外線センサ46a〜46dの検知結果及び予め記憶されている吹き出し口データ50aによって決定されるため、除霜運転時におけるその時々の分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人の有無に応じて、室内ファン42の風量及び風向角度の情報をきめ細かく制御することが可能となる。従って、除霜運転時に空調対象室RA内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化を、バランス良く向上させることができる。
【0099】
(4−2)
また、本実施形態に係る空気調和装置100では、人検知センサ群46における各赤外センサ46a〜46dは、各分割エリアRAにいる人の人数を検知可能であって、所定人数に対する人数の比率に応じて、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2内の人の存在の有無が判断される。つまり、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2における人の存在の有無は、単に人がいるか否かによって判断されるのではなく、人数の比率に応じて決定される。例えば、分割エリアA1の所定人数に対する人数の比率が所定比率以上であれば、当該エリアA1内には人がいると判断され、逆に比率が所定比率以下であれば、当該エリアA1内には人がいないと判断されることができる。
【0100】
このように、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2の人数の状態に応じて、風向角度の情報及び室内ファン42の風量情報等が決定されるため、除霜運転時に空調対象室RA内にいる人の快適性ならびに除霜運転の効率化を、よりバランス良く向上させることが可能となる。
【0101】
(4−3)
また、本実施形態に係る空気調和装置100によると、除霜運転時、各フラップ45a〜45dの角度が独立制御される。従って、除霜運転時、各吹き出し口41a〜41dから空調対象室RA内に送られる空調空気は、各フラップ45a〜45dの角度に応じて互いに異なった方向に送られることが可能となる。従って、除霜運転時においても、きめ細かい気流制御ができる。
【0102】
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0103】
(5−1)変形例A
上記実施形態では、図5に示すように、室内機40には、4つの赤外線センサ46a〜46dの集合体からなる人検知センサ群46が設けられていると説明した。しかし、本発明に係る人検知センサは、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人の有無の存在を検知できるのであれば、どのような構成であってもよい。
【0104】
人検知センサ46’の他の例としては、図13に示すように、赤外線受光素子(図示せず)に赤外線を受光させるための開口部46’fが形成されており、この開口部46’fがケーシング41の下面の平面視において約360度回転する構成が挙げられる。この場合、開口部46’fは、赤外線受光素子に赤外線を受光させることが可能な透過性部材によって覆われていてもよい。
【0105】
更に、人検知センサの他の例としては、開口部46’fが回転するのではなく、赤外線受光素子が回転する構成などが挙げられる。
【0106】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、室内機40には、吹き出し口41a〜41dがケーシング41の下面の周縁部に沿うようにして4つ設けられている場合について説明した。しかし、本発明に係る吹き出し口の数はこれに限定されず、例えばケーシング41の下面の4つの角部それぞれに対応するようにして、更に4つが設けられていても良い。これにより、ケーシング41の下面の4角形の各辺に対応する方向だけでなく、当該下面の各角部に対応する方向にも、空調空気が吹き出されるようになる。
【0107】
また、フラップ45a〜45dの数も、4つに限定されず、4つ以上であってもよい。
【0108】
(5−3)変形例C
上記実施形態の図7では、吹き出し口データ50aの一例を示したが、吹き出し口データ50aは、図7で示したレコード以外にも更に様々なパターンのレコードを有するものとする。例えば、近い側の分割エリアA1〜D1の少なくとも1つのみに人がおり、遠い側の分割エリアA2〜D2には人がない場合などが、吹き出し口データ50aに含まれる。
【0109】
また、図7では、判断基準である所定比率が“20%”の場合を一例として示したが、記憶部50は、他の所定比率“10%”等に対応する吹き出し口データ50aも格納している。
【0110】
更に、図7の吹き出し口データ50aは、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2の人数の所定人数に対する比率についても、考えられる全てのパターンを含むものであってもよい。
【0111】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人の有無に応じて、風量情報及び風向角度の情報等が決定されると説明した。しかし、分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人の有無に応じて、風量情報、風向角度の情報等のいずれか1つが決定されてもよい。
【0112】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2毎の人数の所定人数に対する比率が所定比率以上か否かを演算した結果を、在/不在情報に当てはめることで、室内ファン42の動作情報などが決定される場合について説明した。しかし、在/不在情報は、人数における比率を表すものではなく、単に各分割エリアA1〜D1,A2〜D2の人の存在の有無のみを表すものであってもよい。この場合、各赤外線センサ46a〜46dは、各分割エリアA1〜D1,A2〜D2に人がいるか否かを検知し、当該検知結果が在/不在情報に当てはめられることで、室内ファン42の動作情報などが決定されることとなる。
【0113】
(5−6)変形例F
上記実施形態では、図7に示すように、ファンの風量情報及び風向角度の情報の組み合わせとして“強”“上方向”または“弱”“水平方向”の2通りを一例として示していた。しかし、ファンの風量情報及び風向角度情報の組み合わせは、これらに限定されない。更なる在/不在情報の組み合わせの状態や、人の快適性保護及び除霜運転の促進の観点から、ファンの風量情報及び風向角度の組み合わせが適宜決定されればよいため、例えば“急”“下”などの組み合わせがあってもよい。
【0114】
(5−7)変形例G
上記実施形態では、図7の吹き出し口データ50aが除霜運転時にのみ用いられると説明した。しかし、吹き出し口データ50aは、除霜運転時のみならず、暖房運転時に利用されてもよい。
【0115】
(5−8)変形例H
上記実施形態では、空調対象室RA内が8つの分割エリアA1〜D1,A2〜D2に分割されている場合について説明した。しかし、分割エリアの数は、これに限定されず、空調対象室RA内が複数の分割エリアに分割されていればよい。
【符号の説明】
【0116】
100 空気調和装置
P5,P6 冷媒連絡管
20 室外機
23 室外熱交換器
40 室内機
41 ケーシング
41a〜41d 吹き出し口
41e 吸い込み口
42 室内ファン
43 室内熱交換器
44 流量調節弁
45a〜45d フラップ
46 人検知センサ群
46a〜46d 赤外線センサ
50 記憶部
50a 吹き出し口データ
51 室内制御部
51a 動作制御部
51b ファン制御部
51c フラップ制御部
60 リモートコントローラ
61 制御部
64 操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【特許文献1】特許第3807305号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器に付着した霜を取り除く除霜運転を行うことが可能な空気調和装置であって、
空調空気を空調対象空間に吹き出すための複数の吹き出し口(41a〜41d)が形成されたケーシング(41)と、
前記吹き出し口から吹き出される空調空気の風向を制御するフラップ(45a〜45d)と、
前記吹き出し口から吹き出される空調空気の風量を制御するファン(42)と、
各前記吹き出し口から吹き出される空調空気の気流が到着する吹き出しエリアに基づいて空調対象空間が複数のエリアに分割された分割エリア(A1〜D1,A2〜D2)それぞれにおける人の有無の存在を検知する、複数の人検知センサ(46a〜46d)と、
各前記分割エリアにおける人の存在の有無を示す在/不在情報の組み合わせを、各前記吹き出し口から吹き出される空調空気の前記風向及び前記風量の少なくとも1つと対応づけて吹き出し口データ(50a)として記憶する記憶部(50)と、
前記除霜運転時、各前記人検知センサの検知結果を前記吹き出し口データに当てはめることにより、各前記吹き出し口から吹き出される空調空気の風向及び風量の少なくとも1つを決定する決定部(51a)と、
前記決定部による決定結果に基づいて前記フラップの角度制御及び前記ファンの回転数制御を行う制御部(51b,51c)と、
を備える、空気調和装置(100)。
【請求項2】
前記人検知センサは、前記分割エリアそれぞれにおける人の人数を検知可能であって、
所定人数に対する前記人検知センサにより検知された人数の比率に応じて、前記分割エリアそれぞれにおける人の存在の有無が判断される、
請求項1に記載の空気調和装置(100)。
【請求項3】
前記ケーシングは、互いに異なる方向に空調空気を吹き出すための少なくとも4つの前記吹き出し口が形成された天井設置型の室内機ケーシングであって、
前記フラップは、各前記吹き出し口に対応するようにして少なくとも4つ設けられており、
前記制御部は、前記除霜運転時、前記決定部による決定結果に基づいて各前記フラップの角度を独立して変更させる、
請求項1または2に記載の空気調和装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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