空気調節装置
【課題】キャスタの回転を固定、又は固定を解除する際の負担を軽減することが可能な空気調節装置を提供する。
【解決手段】キャスタ2がロックされていない状態で、例えばユーザが操作パネルのキャスタロックボタンを操作した場合、ステッピングモータ20が、制御部からの指示に従って回転する。ステッピングモータ20は、偏芯カム22の外周面がキャスタ2の外周面に接触する方向に偏芯カム22を回転させ、偏芯カム22によってキャスタ2がロックされる。キャスタ2がロックされている状態で、例えばユーザが操作パネルのキャスタロックボタンを操作した場合、ステッピングモータ20は、偏芯カム22がキャスタ2から離れる方向に偏芯カム22を回転させ、キャスタ2のロックが解除される。
【解決手段】キャスタ2がロックされていない状態で、例えばユーザが操作パネルのキャスタロックボタンを操作した場合、ステッピングモータ20が、制御部からの指示に従って回転する。ステッピングモータ20は、偏芯カム22の外周面がキャスタ2の外周面に接触する方向に偏芯カム22を回転させ、偏芯カム22によってキャスタ2がロックされる。キャスタ2がロックされている状態で、例えばユーザが操作パネルのキャスタロックボタンを操作した場合、ステッピングモータ20は、偏芯カム22がキャスタ2から離れる方向に偏芯カム22を回転させ、キャスタ2のロックが解除される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込口から吸い込んだ空気の状態を調節して吹出口から吹き出す空気調節装置に関する。特に、装置を構成する各部を収容する収容部の下側に車輪を設けることによって移動可能に構成された空気調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気には、塵埃、タバコの煙、呼吸と共に排出される二酸化炭素、花粉など、人体に不快又は有害とされる様々な物質が含まれている。特に近年では、住宅が高気密化されていることから、そのような有害物質が室内に留まり易い。そのため、以前より部屋の窓を適宜開けて自然換気を行なっていた。
【0003】
ところが、大気汚染のひどい地域にある家屋、花粉症を患っている人が居る家庭、職場などでは、自然換気を思いのまま行えないのが実情である。このような状況から、室内の空気を浄化する空気浄化機能を有する空気清浄機が広く一般に普及してきている。
【0004】
空気清浄機の内部には、送風機を有する送風経路が設けられており、吸込口から吸い込まれた室内の空気が送風経路を経て室内へ吹き出される。また空気清浄機は、送風経路内に集塵フィルタ及び脱臭フィルタなどを備える。室内の空気がこれらのフィルタを通過することにより、空気中に含まれる有害物質が捕集、吸着、分解されて取り除かれ、空気が浄化される。
【0005】
また、空気清浄機には、送風経路内にイオン発生器を備え、発生させたイオンを空気と共に室内へ放出するものがある。このような空気清浄機では、放出されたイオンが、室内の空気中に浮遊するカビ菌、ウィルスなどを取り囲み、不活性化することにより、空気が浄化される。
【0006】
さらに、加湿機能を備えた空気清浄機がある。加湿機能付きの空気清浄機は、加湿用の水タンクを備え、水タンク内の水を吸水した加湿フィルタが送風経路内に配置される。このような空気清浄機では、空気が加湿フィルタを通過する際に水分を取り込むことにより、室内の空気が加湿される。
【0007】
上述したような空気清浄機、特に加湿機能付きの空気清浄機は、水タンクを有するため、本体重量が重くなりがちである。そこで、装置本体の底板にキャスタ(車輪)を設けることにより、空気清浄機を持ち上げることなくキャスタによって容易に移動させることが可能な空気調和機が提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、空気清浄機を取り扱う際の利便性が向上する。
【0008】
また、特許文献2には、ケーシングの下面の、ケーシングの背面側の端部にキャスタが取り付けられ、ケーシングの背面に把手が設けられた空気調和機が開示されている。特許文献2に開示された空気調和機では、把手を持ってケーシングを背面側に傾けることにより、キャスタによって装置を簡便に移動させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−271219号公報
【特許文献2】特開2008−32387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、キャスタによって容易に移動させることが可能な空気調和機(空気調節装置)では、人や物などが装置にぶつかったり、子供やお年寄りなどが装置に寄りかかったりした場合には、意図せずに装置が移動してしまう場合が考えられる。特に加湿機能付きの空気清浄機では、移動してしまうことによって水タンク内の水がこぼれてしまい、こぼれた水の後始末のために余計な手間が増加する虞がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置本体に取り付けられた車輪を回転不能に固定するための構造的なロック機構を手動で操作することなく、車輪を回転不能に固定し、また、車輪の固定を解除できる空気調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る空気調節装置は、空気を吸い込む吸込口と、該吸込口から吸い込んだ空気を吹き出す吹出口と、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吹出口へ送風する送風機と、該送風機を収容する収容部とを備える空気調節装置において、前記収容部の下側に設けられた車輪と、該車輪の回転を阻止する回転阻止部と、該回転阻止部を作動させる作動部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、空気調節装置の下側に車輪が設けられ、この車輪の回転を阻止する回転阻止部が設けられている。そして、作動部が、回転阻止部を作動させた場合に車輪の回転が阻止され(車輪がロックされ)、回転阻止部を作動させない場合に車輪が回転自在となる(車輪のロックが解除される)。よって、作動部が回転阻止部の作動/非作動を制御することによって車輪の状態が切り換えられるので、手動で車輪の状態を切り換える構造と比較してユーザの負担が軽減され、利便性が向上する。
【0014】
本発明に係る空気調節装置は、前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける受付部を備え、前記作動部は、前記受付部が受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、回転阻止部を作動させることによって車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を外部から受け付け、受け付けた指示に基づいて車輪の状態を切り換える。例えば、ユーザが操作する操作ボタンを介して、車輪をロックすべきか否かの指示を受け付け、受け付けた指示に基づいて車輪の状態を切り換える。よって、構造的なロック機構を手動で操作して車輪をロックする構成と比較して容易に車輪をロックすることができ、また、車輪のロックを解除することができる。
【0016】
本発明に係る空気調節装置は、前記作動部は、前記送風機の動作中に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、送風機の動作中は車輪の回転が阻止される。通常、空気調節装置は、運転中に移動させる必要がないので、運転中は車輪をロックしておくことが好ましい。また、部屋の掃除の後など、空気調節装置を移動させた後に再び空気調節装置を使用する場合に、車輪をロックし忘れることがある。しかし、空気調節装置の運転中、即ち、送風機の動作中に自動的に車輪をロックすることにより、車輪をロックし忘れることなく、必要なときに確実に車輪をロックすることができる。
【0018】
本発明に係る空気調節装置は、前記作動部は、前記送風機の非動作中に、前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、送風機の非動作中は車輪のロックが解除され、車輪が回転自在となる。部屋を掃除する場合など、空気調節装置の運転を終了させて空気調節装置を移動させる場合に、車輪のロックを解除し忘れることがある。しかし、空気調節装置の運転を終了させた場合、即ち、送風機の非動作中に自動的に車輪のロックを解除することにより、車輪をロックする必要がない場合には車輪のロックを確実に解除することができる。また、空気調節装置の運転を終了させた際に手動で車輪のロックを解除する手間が省ける。
【0020】
本発明に係る空気調節装置は、動作指示を受け付ける指示受付部と、該指示受付部が受け付けた動作指示に基づく動作を無効にする無効指示を受け付ける無効指示受付部とを備え、前記作動部は、前記無効指示受付部が無効指示を受け付けた場合、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、空気調節装置は、動作指示又は受け付けた動作指示に基づく動作を無効にする無効指示を受け付ける。空気調節装置が無効指示を受け付けた場合に、車輪の回転が阻止される。空気調節装置は、無効指示を受け付けた場合、無効指示を受け付ける前の状態を保持する。例えば、一般的なチャイルドロック機能のように、所定のチャイルドロックボタンをユーザが操作した場合、それ以降にユーザが機器を操作できなくなる機能を空気調節装置が有する。この場合、チャイルドロック機能を動作させると共に、車輪をロックすることにより、子供がいたずらで空気調節装置を操作することを防止できると共に、子供が寄りかかって空気調節装置が不用意に移動することを防止できる。
【0022】
本発明に係る空気調節装置は、前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける第1受付部と、前記送風機の動作状態に基づいて前記回転阻止部を作動させる旨の指示を受け付ける第2受付部とを備え、前記作動部は、前記第1受付部が指示を受け付けた場合、受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させ、前記第2受付部が指示を受け付けた場合、前記送風機の動作中は前記回転阻止部を作動させ、前記送風機の非動作中は前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、車輪をロックすべきか否かを示す指示、または、送風機の動作状態に基づいて車輪の状態を切り換える旨の指示を外部から受け付ける。車輪をロックすべきか否かを示す指示を受け付けた場合、受け付けた指示に基づいて車輪の状態を切り換える。また、送風機の動作状態に基づいて車輪の状態を切り換える旨の指示を受け付けた場合、送風機の動作中は車輪がロックされ、送風機の非動作中は車輪のロックが解除される。これにより、ユーザが、車輪をロックさせたいか否か、空気調節装置の運転状態に応じて車輪をロックさせたいか否かなど、ユーザの好みに応じた動作を行なうことができる。
【0024】
本発明に係る空気調節装置は、貯水槽と、該貯水槽の水を吸水する加湿フィルタと、前記貯水槽の水の有無を検知する水検知部とをさらに備え、前記作動部は、前記貯水槽に水がある場合に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、貯水槽及び加湿フィルタを有する空気調節装置において、貯水槽に水がある場合に、車輪がロックされる。加湿機能を有する空気調節装置では、貯水槽に水が溜まっている状態で移動させた場合、振動などによって貯水槽内の水がこぼれてしまうことがある。しかし、貯水槽に水がある場合に車輪をロックすることにより、貯水槽内の水がこぼれることを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、ロック機構を手動で操作することなく車輪のロック/非ロック状態を適宜切り換えることができるので、手動で車輪の状態を切り換える構造と比較して利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の空気調節装置の外観図である。
【図2】実施形態1の空気調節装置の構成を示す縦断面図である。
【図3】キャスタの構成を示す模式図である。
【図4】キャスタの構成を示す模式図である。
【図5】操作パネルの構成を示す模式図である。
【図6】実施形態1の空気調節装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態1の空気調節装置による運転処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態1の空気調節装置によるチャイルドロックの設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態1の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2の操作パネルの構成を示す模式図である。
【図11】実施形態2の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施形態3の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態4の操作パネルの構成を示す模式図である。
【図14】実施形態4の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】自動切換処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る空気調節装置を、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の各実施形態では、加湿機能及びイオン発生機能を有する空気清浄機(空気調節装置)を例に挙げて説明する。しかし、本発明に係る空気調節装置は、加湿機能及びイオン発生機能を備えていない空気清浄装置、加湿機能のみを備える加湿装置、イオン発生機能のみを備えるイオン発生装置、除湿機能のみを備える除湿装置などにも適用できる。また本発明に係る空気調節装置は、加湿機能、イオン発生機能、除湿機能、暖房機能及び冷房機能などのうちの複数の機能を備える装置にも適用できる。
【0029】
(実施形態1)
以下に、実施形態1の空気調節装置について説明する。図1は実施形態1の空気調節装置の外観図、図2は実施形態1の空気調節装置の構成を示す縦断面図である。
【0030】
本実施形態1の空気調節装置1は、直方体状をなす筐体10(収容部)を備え、図1に示すように、室内の適宜箇所で床上に置かれた状態で使用されるものである。筐体10の適宜箇所には、室内の空気を吸い込むための吸込口11,11と、吸込口11,11から吸い込まれた空気を室内へ吹き出すための吹出口12とが形成されている。図1及び図2に示す空気調節装置1では、吸込口11,11は、筐体10の後面にマトリクス状に形成された複数の小孔によって構成されており、吹出口12は、筐体10の上面に矩形状に形成されている。
【0031】
また、筐体10の内部には、送風機18が配置されており、送風機18の駆動に従って、吸込口11,11から室内の空気が導入され、導入された空気は、吹出口12から室内へ吹き出される。送風機18は、ファン18a及びファン18aを駆動するファンモータ18bにより構成されている。送風機18は、例えば、ファンモータ18bが筐体10の前面側に固定されている。ファン18aは、例えばターボファンであるが、その他、プロペラファン、クロスフローファンなどを採用することも可能であり、ファンの種類は限定されない。また、ファンモータ18bは、駆動制御の容易性を重視して直流モータが用いられる。
【0032】
筐体10の内部には、吸込口11,11と吹出口12とを連絡する送風経路が形成されており、送風機18の駆動によって、送風経路内に、図2中に白抜き矢符で示すような送風路が発生する。
【0033】
筐体10の内部には、浄化フィルタとして、吸込口11,11に面して脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14が収納されている。脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14は、吸込口11,11側より順に重ね合わされた状態で収納されている。脱臭フィルタ13は、空気中の臭い成分であるアセトアルデヒドやアンモニアや酢酸などを吸着する役割を担うものである。具体的には、脱臭フィルタ13は、長方形をなす枠体にポリエステル製の不織布を取り付け、その上に活性炭を均一に分散配置し、その上からポリエステル製の不織布を被せたものである。
【0034】
集塵フィルタ14は微細な塵埃を捕集する役割を担うものであり、いわゆるHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタである。具体的には、集塵フィルタ14は、ポリエステル/ビニロン系不織布からなる骨材に電石加工したメルトブロー不織布を合わせて濾材とし、これを折り畳んだ上、その上下面にハイドロキシアパタイト加工した不織布からなる抗菌シートを重ねて熱圧着し、ホットメルト付き不織布からなる枠を溶着したものである。脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14は、筐体10に着脱可能に収納されている。
【0035】
筐体10の内部には、集塵フィルタ14を通過した空気の送風路上に、加湿フィルタ15及び貯水槽16が配置されている。具体的には、筐体10の下部に、貯水槽16が、その一部を筐体10の側面側から横方向に取り出し可能に配置され、貯水槽16の上方に円盤状の加湿フィルタ15が回転自在に配置されている。貯水槽16には、図示しない給水容器内の水が適宜供給され、一定の水位に水が溜められる。
【0036】
加湿フィルタ15は、吸水性及び通気性を有する素材によって円盤状に形成されており、回転軸15aを中心に回転可能に設けられている。また、加湿フィルタ15の下部は、貯水槽16内の水に浸っており、浸水部分にて吸水し、その水を吸い上げて水分を含んだ状態になる。加湿フィルタ15は、適宜の厚みを有するフィルタ素材をジグザグに折り畳んで整形した円盤か短冊状のフィルタ素材を重ねて形成した円盤の外周部の周方向の一部を切断加工するか、板形状のフィルタ素材を概略D字形の形状に打ち抜いて複数枚重ねて構成することが可能である。
【0037】
筐体10の内部には、加湿フィルタ15を回転させる回転駆動機構17が設けられている。回転駆動機構17は、加湿フィルタ15の外周面に接触して加湿フィルタ15を回転させるローラ17a及びローラ17aに連動連結されている電動モータ17bを備える。ローラ17aは、ローラ17aの回転軸と加湿フィルタ15の回転軸15aとが互いに平行になるように配置されている。電動モータ17bが作動することによってローラ17aが回転すると、ローラ17aが加湿フィルタ15の外周面に接触して加湿フィルタ15を周方向に回転させることができる。なお、図2は、ローラ17aが加湿フィルタ15の外周面の最上部位置の箇所で加湿フィルタ15と接触する構成を示しているが、接触箇所は最上部位置に限らない。
【0038】
上述した構成により、空気調節装置1は、送風機18の駆動、即ち、ファンモータ18bによるファン18aの回転に従い、吸込口11,11から室内の空気が導入され、導入された空気は、脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14によって臭いや塵埃のない空気に浄化される。浄化された空気は、加湿フィルタ15を通過することによって加湿され、送風経路に従ってファン18aの中心部に吸い込まれる。ファン18aの中心部に吸込まれた空気は、ファンブレード同士の間を通りファン18aの外周から吐き出され、送風経路に沿って導かれて吹出口12から室内へ吹き出される。なお、送風機18によって室内へ吹き出される空気の吹出口12には、吹き出された空気の吹出方向を調整するルーバ(図示せず)が設けられている。
【0039】
本実施形態1の空気調節装置1では、吹出口12と送風機18との間に、正イオン及び負イオンを同時に又は一方を個別に発生するイオン発生器19が配設されている。イオン発生器19が駆動されると、ファン18aから吹出口12へ向かう空気に、イオン発生器19からイオンが放出され、浄化された空気、更には加湿された空気が、イオンを含んで吹出口12より室内に吹き出される。ここで、正イオンは、水素イオン(H+ )の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+ (H2 O)m(mは任意の自然数)として表される。また、負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2 O)n(nは任意の自然数)として表される。
【0040】
なお、正イオン及び負イオンの両極性のイオンを同時に放出する場合、例えば、空気中の正イオンであるH+ (H2 O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2 O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させる。この場合、両イオンが空気中に浮遊するカビ菌やウィルスの表面に付着して化学反応を起こし、その際に生成する活性種の水酸化ラジカル(OH)の作用によって殺菌、ウィルスを不活性化又は死滅させることができる。
【0041】
本実施形態1の空気調節装置1は、筐体10の底板10aの四隅にそれぞれキャスタ(車輪)2,2,2が設けられている。図3及び図4はキャスタの構成を示す模式図である。図3及び図4では、便宜上1つのキャスタ2について図示しているが、どのキャスタ2,2,2も同様の構成である。また、図3はキャスタ2が回転自在である状態(以下では、非ロック状態ともいう)を示し、図4はキャスタ2の回転が阻止された状態(以下では、ロック状態ともいう)を示している。また、図3のBは、図3のA中のキャスタ2及び偏芯カム22を空気調節装置1の正面側から見た正面図であり、図4のBは、図4のA中のキャスタ2及び偏芯カム22を空気調節装置1の正面側から見た正面図である。
【0042】
キャスタ2は、回転軸を筐体10の前後方向に一致させて筐体10の底板10aに取り付けられている。具体的には、筐体10の底板10aに軸受けが設けられており、キャスタ2の回転軸であるキャスタ軸2aが軸受けに回転自在に取り付けられている。これにより、キャスタ2,2,2によってユーザは空気調節装置1を容易に筐体10の左右方向に移動させることができる。
【0043】
また、筐体10の内部、具体的には筐体10の底板10aの上側にはステッピングモータ20が配置されており、ステッピングモータ20の出力軸であるモータ軸21には偏芯カム22が取り付けられている。偏芯カム22の表面は弾性を有する部材で、かつ摩擦抵抗が高い材料が適している。例えば、偏芯カム22は、樹脂製であり、その表面にはゴムが巻かれている。
【0044】
図3に示す状態では、偏芯カム22はキャスタ2と接触しておらず、キャスタ2は自由に回転することができる。一方、図4に示す状態では、偏芯カム22の外周面がキャスタ2の外周面と接触しており、キャスタ2がロック状態となる。なお、図3に示す状態と図4に示す状態とでは、ステッピングモータ20の回転角度は約15°である。ステッピングモータ20の回転角度は、偏芯カム22の外周面がキャスタ2の外周面と接触した場合に、キャスタ2の回転を確実に抑止できる角度であればよい。また、ステッピングモータ20の代わりに、回転方向が指定可能な他のモータや、ロータリーソレノイドを用いて、図3に示した状態と図4に示した状態との切り換えを行なってもよい。
【0045】
ステッピングモータ20は、空気調節装置1を構成する各部の動作を制御する制御部1a(図6参照)と接続されており、制御部1aがステッピングモータ20を回転させることで、図3に示す非ロック状態と図4に示すロック状態とを切り換えることができる。本実施形態1では、ステッピングモータ20及び偏芯カム22が、キャスタ2,2,2の回転を阻止する回転阻止部として動作し、制御部(作動部)1aからの指示に従ってキャスタ2,2,2の状態を切り換える。
【0046】
また、筐体10の上面には、ユーザが空気調節装置1を操作するために必要な各種の操作ボタン、及び空気調節装置1の運転状況を表示する表示ランプなどを備えた操作パネル3が設けられている。図5は操作パネル3の構成を示す模式図である。図5に示した操作パネル3は、操作ボタンとして、停止ボタン、風量切換ボタン、空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン、イオン入/切ボタン、チャイルドロックボタン、キャスタロックボタンを有する。
【0047】
停止ボタンは、電源のオフを指示するためのボタンである。空気調節装置1の運転中に停止ボタンが操作されると、ファンモータ18bの回転が停止し、空気調節装置1の運転が停止される。なお、空気調節装置1は、停止中に空気清浄運転ボタン又は加湿空気清浄運転ボタンが操作されることにより、ファンモータ18bの回転を開始し、空気調節装置1の運転を開始する。
【0048】
風量切換ボタンは、自動、花粉、強、中、静音の5つの風量モードを順に切り換えるためのボタンである。自動モードは、空気調節装置1に備えられたホコリセンサ、臭気センサ(共に図示せず)などの検知信号に基づいて自動で風量を切り換えるモードである。花粉モードは、自動モードと同様に各種センサからの検知信号に基づいて自動で風量を切り換えるモードであり、自動モードよりも風量(ファンモータ18bの回転数)が多いモードである。強モード、中モード及び静音モードはそれぞれ、風量が予め設定されているモードである。なお、操作パネル3は、自動、花粉、強、中、静音のそれぞれのモードに対応する表示ランプを有しており、現在選択されているモードに対応する表示ランプが点灯する。
【0049】
空気清浄運転ボタンは、加湿機能を作動させずに、即ち、加湿フィルタ15を回転させずに、送風機18(ファンモータ18b)による送風機能のみを作動させるためのボタンである。加湿空気清浄運転ボタンは、加湿フィルタ15の回転による加湿機能及び送風機18による送風機能を作動させるためのボタンである。操作パネル3は、空気清浄運転ボタン及び加湿空気清浄運転ボタンのそれぞれに対応する表示ランプを有している。そして、送風機能のみが作動している場合、空気清浄運転ボタンに対応する表示ランプが点灯し、加湿機能も作動している場合、加湿空気清浄運転ボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0050】
イオン入/切ボタンは、イオン発生器19の作動/停止を指示するためのボタンである。イオン発生器19の作動中にイオン入/切ボタンが操作されると、イオン発生器19が動作を停止し、イオン発生器19の停止中にイオン入/切ボタンが操作されると、イオン発生器19が動作を開始する。操作パネル3は、イオン入/切ボタンに対応する表示ランプを有しており、イオン発生器19が作動している場合、イオン入/切ボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0051】
チャイルドロックボタン(無効指示受付部)は、例えば3秒間押し続けることでチャイルドロック機能の設定/解除(作動/停止)を指示するためのボタンである。チャイルドロック機能とは、チャイルドロック機能が設定された場合に、それ以降にユーザが空気調節装置1を操作できなくなる機能である。即ち、チャイルドロック機能が設定された場合、空気調節装置1は、操作パネル3の各ボタンを介して入力されるユーザからの各種の動作指示に基づく動作を行なわない。なお、チャイルドロック機能は、操作パネル3が各ボタンを介して受け付けた動作指示を制御部1aへ通知しないことによって実現されてもよいし、制御部1aが操作パネル3から通知された動作指示を無効とすることによって実現されてもよい。操作パネル3は、チャイルドロックボタンに対応する表示ランプを有しており、チャイルドロック機能が設定されている場合、チャイルドロックボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0052】
キャスタロックボタン(受付部)は、図4に示したように偏芯カム22によってキャスタ2,2,2をロック状態にすべきか、図3に示したように非ロック状態にすべきかを指示するためのボタンである。図3に示した非ロック状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aがステッピングモータ20を回転させ、偏芯カム22によってキャスタ2,2,2をロックする。なお、図3に示した状態から図4に示した状態に切り換える場合、制御部1aは、ステッピングモータ20によって偏芯カム22を時計回りに回転させる。
【0053】
また、図4に示したロック状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aがステッピングモータ20を逆方向に回転させ、偏芯カム22をキャスタ2,2,2から離し、キャスタ2,2,2のロックを解除する。なお、図4に示した状態から図3に示した状態に切り換える場合、制御部1aは、ステッピングモータ20によって偏芯カム22を反時計回りに回転させる。操作パネル3は、キャスタロックボタンに対応する表示ランプを有しており、図4に示すようにキャスタ2,2,2がロック状態である場合、キャスタロックボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0054】
また操作パネル3は、貯水槽16に水を供給すべき旨をユーザに通知するための給水ランプを有する。本実施形態1の空気調節装置1では、貯水槽16近傍の適宜箇所に、貯水槽16内に所定水位よりも多い水が有るか否かを検知する水位センサ(水検知部)16a(図6参照)が設けられている。水位センサ16aによって貯水槽16内に所定水位の水が無いことが検知された場合、給水ランプが点灯し、水位センサ16aによって貯水槽16内に所定水位の水が有ることが検知された場合、給水ランプが消灯する。よって、ユーザは、給水ランプが点灯した場合に貯水槽16内に水を供給することにより、加湿フィルタ15の回転による加湿機能を十分に機能させることができる量の水を貯水槽16に溜めておくことができる。
【0055】
以下に、本実施形態1の空気調節装置1の制御系の構成について説明する。図6は実施形態1の空気調節装置1の制御系の要部構成を示すブロック図である。空気調節装置1は、制御部1a、操作パネル3、回転駆動機構17、送風機18、イオン発生器19、ステッピングモータ20、水位センサ16aなどを備えており、上述した各部はバスを介して相互に接続されている。なお、このようなハードウェア各部は図示しない電源装置から供給される電力によって動作する。
【0056】
制御部1aは、ROM及びRAMが内蔵されたCPU(Central Processing Unit )又はMPU(Micro Processor Unit)などである。制御部1aは、空気調節装置1の主制御部であり、バスを介して接続される上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROMに予め格納されている制御プログラムを適宜RAMに読み出して実行する。ROMは、空気調節装置1を本発明に係る空気調節装置として動作させるために必要な種々の制御プログラムを予め格納している。RAMはSRAM又はフラッシュメモリなどであり、制御部1aによる制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
【0057】
操作パネル(指示受付部)3は、各種の操作ボタンより入力された情報(動作指示)を受け付け、受け付けた情報を制御部1aへ通知する。制御部1aは、操作パネル3から通知された情報に基づいて空気調節装置1の各部の動作を制御する。
【0058】
制御部1aは、例えばユーザが操作パネル3の空気清浄運転ボタン又は加湿空気清浄運転ボタンを操作することによって空気調節装置1の運転開始の指示を受け付けた場合、送風機18を動作させる。具体的には、制御部1aは、ファンモータ18bを駆動させ、ファンモータ18bの回転によってファン18aを回転させる。また、ユーザが操作パネル3の停止ボタンを操作することによって空気調節装置1の運転終了の指示を受け付けた場合、制御部1aは、ファンモータ18bの駆動を終了する。
【0059】
制御部1aは、ユーザが操作パネル3の加湿空気清浄運転ボタンを操作することによって加湿機能の作動指示を受け付けた場合、回転駆動機構17を動作させる。具体的には、制御部1aは、電動モータ17bを駆動させ、電動モータ17bの回転によってローラ17aを回転させ、これにより、加湿フィルタ15を回転させる。また、ユーザが操作パネル3の空気清浄運転ボタン又は停止ボタンを操作することによって加湿機能の終了指示を受け付けた場合、制御部1aは、電動モータ17bの駆動を終了する。
【0060】
制御部1aは、ユーザが操作パネル3のイオン入/切ボタンを操作することによってイオン発生器19の作動指示を受け付けた場合、イオン発生器19を動作させる。また、制御部1aは、ユーザが操作パネル3のイオン入/切ボタンを操作することによってイオン発生器19の終了指示を受け付けた場合、イオン発生器19の動作を終了させる。
【0061】
水位センサ16aは、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かを検知しており、検知結果を制御部1aへ通知する。制御部1aは、水位センサ16aから通知された検知結果に基づいて操作パネル3の給水ランプを点灯又は消灯させる。具体的には、制御部1aは、貯水槽16内に所定水位以上の水が有れば、給水ランプを消灯させ、所定水位以上の水が無ければ、給水ランプを点灯させる。
【0062】
制御部1aは、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを介してキャスタ2,2,2をロック状態にする指示を受け付けた場合、ステッピングモータ20を回転させ、図4に示したように偏芯カム22の外周面をキャスタ2,2,2の外周面に接触させる。また、制御部1aは、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを介してキャスタ2,2,2を非ロック状態にする指示を受け付けた場合、ステッピングモータ20を逆方向に回転させ、図3に示したように偏芯カム22をキャスタ2,2,2から離す。
【0063】
ここで、本実施形態1の空気調節装置1では、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを操作した場合だけでなく、操作パネル3のチャイルドロックボタンを操作した場合にもキャスタ2,2,2をロックするように構成されている。従って、制御部1aは、ユーザがチャイルドロックボタンを操作することによってチャイルドロック機能の設定指示を受け付けた場合にも、ステッピングモータ20を回転させ、図4に示したようにキャスタ2,2,2をロックする。このように、チャイルドロック機能が設定された場合にキャスタ2,2,2をロックすることにより、子供がいたずらで空気調節装置1を操作することを防止できると共に、子供が寄りかかって空気調節装置1が移動することも防止できる。また、制御部1aは、ユーザがチャイルドロックボタンを操作することによってチャイルドロック機能の解除指示を受け付けた場合、ステッピングモータ20を逆方向に回転させ、図3に示したようにキャスタ2,2,2のロックを解除する。
【0064】
以下に、本実施形態1の空気調節装置1が行なう処理について説明する。図7は実施形態1の空気調節装置1による運転処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0065】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否かを判断し(S51)、運転中であれば(S51:YES)、操作パネル3の停止ボタンが操作されたか否かを判断する(S52)。停止ボタンが操作された場合(S52:YES)、制御部1aは、空気調節装置1の運転を停止させる(S53)。運転中でない場合(S51:NO)又は停止ボタンが操作されていない場合(S52:NO)、制御部1aは、操作パネル3の空気清浄運転ボタンが操作されたか否かを判断する(S54)。
【0066】
空気清浄運転ボタンが操作された場合(S54:YES)、制御部1aは、送風機18による送風機能のみを開始し、加湿機能なしの運転を開始する(S55)。空気清浄運転ボタンが操作されていない場合(S54:NO)、制御部1aは、加湿空気清浄運転ボタンが操作されたか否かを判断する(S56)。加湿空気清浄運転ボタンが操作された場合(S56:YES)、制御部1aは、送風機18による送風機能及び加湿フィルタ15の回転による加湿機能を開始し、加湿機能ありの運転を開始する(S57)。加湿空気清浄運転ボタンが操作されていない場合(S56:NO)、制御部1aは、ステップS51に処理を戻し、上述した処理を繰り返す。
【0067】
空気調節装置1は、制御部1aが上述した処理を繰り返すことにより、操作ボタン(空気清浄運転ボタン又は加湿空気清浄運転ボタン)を介したユーザからの指示に従った運転を行なうことができる。具体的には、加湿機能を動作させない送風機能と、加湿機能を動作させた送風機能とを適宜切り換えることができる。
【0068】
次に、本実施形態1の空気調節装置1がチャイルドロック機能の設定/解除を行なう際の処理について説明する。図8は実施形態1の空気調節装置1によるチャイルドロックの設定処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0069】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、操作パネル3のチャイルドロックボタンが操作されたか否かを判断する(S61)。チャイルドロックボタンが操作されていない場合(S61:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。チャイルドロックボタンが操作された場合(S61:YES)、制御部1aは、チャイルドロックが設定中であるか否かを判断する(S62)。制御部1aは、設定中であると判断した場合(S62:YES)、チャイルドロックの設定を解除し(S63)、設定中でないと判断した場合(S62:NO)、チャイルドロックを設定する(S64)。空気調節装置1は、制御部1aが上述した処理を繰り返すことにより、チャイルドロックボタンを介したユーザからの指示に従ってチャイルドロック機能の設定/解除を適切に行なうことができる。
【0070】
次に、本実施形態1の空気調節装置1が、キャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換える際の制御処理について説明する。図9は実施形態1の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0071】
なお、本実施形態1では、空気調節装置1が運転しているか否かに拘わらず、操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンの操作によってキャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換えることができる構成とする。これにより、空気調節装置1が停止中であっても、キャスタ2,2,2をロックとしておくことにより、子供が寄りかかって空気調節装置1を移動させてしまうことを確実に防止できる。
【0072】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、操作パネル3のキャスタロックボタンが操作されたか否かを判断する(S1)。なお、本実施形態1の空気調節装置1は、電源が入力された時点では、キャスタ2,2,2は非ロック状態であり、チャイルドロック機能も動作していないものとする。
【0073】
キャスタロックボタンが操作されていない場合(S1:NO)、制御部1aは、操作パネル3のチャイルドロックボタンが操作されたか否かを判断する(S2)。キャスタロックボタンもチャイルドロックボタンも操作されていない場合(S2:NO)、制御部1aは、ステップS1に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0074】
キャスタロックボタンが操作された場合(S1:YES)、又はチャイルドロックボタンが操作された場合(S2:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動し、図4に示したようにキャスタ2,2,2を回転できないようにロックする(S3)。なお、制御部1aは、キャスタロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロックした場合、操作パネル3のキャスタロックボタンに対応する表示ランプを点灯させる。また、制御部1aは、チャイルドロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロックした場合、操作パネル3のチャイルドロックボタンに対応する表示ランプを点灯させる。
【0075】
キャスタ2,2,2がロック状態となっている場合、制御部1aは、操作パネル3のキャスタロックボタンが更に操作されたか否かを判断する(S4)。キャスタロックボタンが操作されていない場合(S4:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0076】
キャスタロックボタンが操作された場合(S4:YES)、制御部1aは、チャイルドロックが解除されているか否かを判断する(S5)。チャイルドロックが設定されている場合(S5:NO)、制御部1aは、ステップS4に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。よって、チャイルドロックが設定されていれば、キャスタロックボタンが操作されてもキャスタ2,2,2のロックは解除されないので、チャイルドロックの設定中は確実にキャスタ2,2,2をロックできる。
【0077】
チャイルドロックが解除されている場合(S5:YES)、制御部1aは、ステップS3とは逆方向にステッピングモータ20を駆動し、図3に示したようにキャスタ2,2,2のロックを解除する(S6)。これにより、キャスタ2,2,2は回転自在となる。なお、制御部1aは、キャスタロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロック状態にしていた場合、操作パネル3のキャスタロックボタンに対応する表示ランプを消灯させる。また、制御部1aは、チャイルドロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロック状態にしていた場合、操作パネル3のチャイルドロックボタンに対応する表示ランプを消灯させる。
【0078】
本実施形態1の空気調節装置1は、上述した処理を電源が切られるまで繰り返し行なう。よって、ユーザは、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができる。従って、例えば構造的なロック機構を手動で操作することによってキャスタ2,2,2をロックする構成と比較して利便性が向上する。
【0079】
本実施形態1の空気調節装置1は、電源が入力された時点では、キャスタ2,2,2は非ロック状態であり、チャイルドロック機能も動作していないものとした。しかし、例えば、前回電源が切られる直前の状態を記憶しておき、次に電源が入力された時点で前回の状態を維持する構成としてもよい。例えば、チャイルドロック機能が動作している状態で電源が切られた場合に、次に電源が入力された時点でチャイルドロック機能を動作させると共にキャスタ2,2,2をロックするようにしてもよい。この場合、ユーザは空気調節装置1に電源を入力する都度、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作する必要がなく、利便性がより向上する。
【0080】
本実施形態1の空気調節装置1は、キャスタ2,2,2が非ロック状態の場合に操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンが操作されたときに、キャスタ2,2,2をロック状態に切り換える構成であった。また、キャスタ2,2,2がロック状態の場合にキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンが操作されたときに、キャスタ2,2,2を非ロック状態に切り換える構成であった。即ち、キャスタロックボタン及びチャイルドロックボタンのいずれかを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができる構成であった。しかし、例えば、キャスタロックボタン(又はチャイルドロックボタン)を操作してキャスタ2,2,2をロック状態に切り換えた場合には、キャスタロックボタン(又はチャイルドロックボタン)の操作によってのみキャスタ2,2,2を非ロック状態に切り換えられる構成としてもよい。
【0081】
(実施形態2)
以下に、実施形態2の空気調節装置について説明する。なお、本実施形態2の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1の構成と類似しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同一の構成に基づく作用効果も実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0082】
図10は実施形態2の操作パネル3の構成を示す模式図である。本実施形態2の操作パネル3は、上述した実施形態1の操作パネル3と同様に、停止ボタン、風量切換ボタン、空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン、イオン入/切ボタン、チャイルドロックボタン、キャスタロックボタンを有する。また、本実施形態2の操作パネル3は、キャスタ自動ボタンを更に有する。
【0083】
本実施形態2の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1と同様に、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することにより、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換える構成を備える。更に、本実施形態2の空気調節装置1は、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。具体的には、本実施形態2の空気調節装置1は、空気調節装置1が運転中であるか否か、より具体的には、送風機18(ファンモータ18b)が駆動中であるか否かの動作状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。
【0084】
キャスタ自動ボタン(第2受付部)は、送風機18の動作状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理の開始を指示するためのボタンである。キャスタ自動ボタンが操作されると、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否か、より具体的には、ファンモータ18bが駆動中であるか否かを判断する。ファンモータ18bが駆動中である場合、制御部1aは、ステッピングモータ20を回転させ、偏芯カム22によってキャスタ2,2,2をロックする。また、制御部1aは、ファンモータ18bが駆動中でない場合、ステッピングモータ20を逆方向に回転させ、偏芯カム22をキャスタ2,2,2から離し、キャスタ2,2,2のロックを解除する。なお、操作パネル3は、キャスタ自動ボタンに対応する表示ランプを有しており、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理が開始された場合、キャスタ自動ボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0085】
これにより、本実施形態2では、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを介してユーザが任意にキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができるだけでなく、送風機18の動作状態に基づいて自動的に切り換えることもできる。キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理を空気調節装置1が行なっている場合、ユーザがキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによって適宜キャスタ2,2,2の状態を切り換える必要がなく、手間を軽減できる。
【0086】
例えば、空気調節装置1が運転中に移動することは好ましくないが、空気調節装置1の運転中に自動的にキャスタ2,2,2をロックしておくことにより、空気調節装置1が不用意に移動することを防止できる。また、部屋の掃除の前など、空気調節装置1の運転を終了させて空気調節装置1を移動させる場合や、部屋の掃除の後など、空気調節装置1を移動させた後に再び空気調節装置1を使用する場合などに、キャスタ2,2,2の状態が自動的に切り換わるので利便性が向上する。
【0087】
以下に、本実施形態2の空気調節装置1がキャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換える際の制御処理について説明する。図11は実施形態2の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。なお、図11に示すフローチャートにおいて、ステップS11〜S16の処理は、図9に示したフローチャート中のステップS1〜S6の処理と同様であるので説明を省略する。
【0088】
制御部1aは、キャスタロックボタンもチャイルドロックボタンも操作されていない場合(S12:NO)、操作パネル3のキャスタ自動ボタンが操作されたか否かを判断する(S17)。キャスタ自動ボタンが操作されていない場合(S17:NO)、制御部1aは、ステップS11に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0089】
キャスタ自動ボタンが操作された場合(S17:YES)、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否か、より具体的には、送風機18のファンモータ18bが駆動中であるか否かを判断する(S18)。空気調節装置1が運転中でない場合(S18:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の運転を開始させるまで待機する。例えば、制御部1aは、操作パネル3の空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン及びイオン入/切ボタンのいずれかが操作されることによる空気調節装置1の運転開始の指示があるまで待機する。なお、制御部1aは、キャスタ自動ボタンが操作された場合、操作パネル3のキャスタ自動ボタンに対応する表示ランプを点灯させる。
【0090】
空気調節装置1の運転を開始させた場合(S18:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2をロックする(S19)。キャスタ2,2,2がロック状態となっている場合に、制御部1aは、空気調節装置1の運転を終了させたか否か、より具体的には、送風機18のファンモータ18bの動作を終了させたか否かを判断する(S20)。空気調節装置1の運転を終了させていない場合(S20:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の運転を終了させるまで待機する。例えば、制御部1aは、操作パネル3の停止ボタンが操作されることによる空気調節装置1の運転終了の指示があるまで待機する。
【0091】
空気調節装置1の運転を終了させたと判断した場合(S20:YES)、制御部1aは、ステップS19とは逆方向にステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2のロックを解除する(S21)。
【0092】
本実施形態2の空気調節装置1は、上述した処理を電源が切られるまで繰り返し行なう。よって、ユーザは、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を任意に切り換えることができる。また、空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換えることができるので、操作パネル3を操作する手間が省け、利便性がより向上する。
【0093】
本実施形態2の空気調節装置1は、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを介してキャスタ2,2,2をロックした場合に、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってのみキャスタ2,2,2のロックを解除できる構成であった。その他、例えば、キャスタロックボタンを介してキャスタ2,2,2をロックにした後にキャスタ自動ボタンが操作された場合に、その時点から空気調節装置1の運転状態に基づく自動切り換え処理を開始してもよい。また、空気調節装置1の運転状態に基づく自動切り換え処理を行なっている状態でキャスタロックボタンが操作された場合に、その時点から空気調節装置1の運転状態に拘わらず、キャスタロックボタン(又はチャイルドロックボタン)を介した手動でのキャスタ2,2,2の切り換え処理を開始してもよい。
【0094】
(実施形態3)
以下に、実施形態3の空気調節装置について説明する。なお、本実施形態3の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1の構成と類似しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同一の構成に基づく作用効果も実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0095】
本実施形態3の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1と同様に、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することにより、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換える構成を備える。また、本実施形態3の空気調節装置1は、上述した実施形態2の空気調節装置1と同様に、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。
【0096】
なお、上述した実施形態2の空気調節装置1は、空気調節装置1が運転中であるか否かに基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成であった。一方、本実施形態3の空気調節装置1は、貯水槽16内に所定水位の水が有るか否かに基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。従って、本実施形態3の空気調節装置1では、制御部1aは、水位センサ16aからの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水が有れば、キャスタ2,2,2をロックする。また、制御部1aは、貯水槽16内に所定水位以上の水が無ければ、キャスタ2,2,2のロックを解除する。
【0097】
これにより、本実施形態3では、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを介してユーザが任意にキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができるだけでなく、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かに基づいて自動的に切り換えることもできる。よって、貯水槽16内に所定水位以上の水が有る場合に自動的にキャスタ2,2,2をロックすることにより、貯水槽16内の水が不用意にこぼれることを防止できる。
【0098】
以下に、本実施形態3の空気調節装置1がキャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換える際の制御処理について説明する。図12は実施形態3の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。なお、図12に示すフローチャートにおいて、ステップS31〜S36の処理は、図9に示したフローチャート中のステップS1〜S6の処理と同様であるので説明を省略する。
【0099】
制御部1aは、キャスタロックボタンもチャイルドロックボタンも操作されていない場合(S32:NO)、水位センサ16aの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かを判断する(S37)。所定水位以上の水が無い場合(S37:NO)、制御部1aは、ステップS31に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0100】
所定水位以上の水が有る場合(S37:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2をロックする(S38)。キャスタ2,2,2がロック状態となっている場合に、制御部1aは、水位センサ16aの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水がまだ有るか否かを判断する(S39)。所定水位以上の水がまだ有る場合(S39:YES)、制御部1aは、キャスタ2,2,2をロック状態のまま維持しつつ空気調節装置1の通常動作を制御する。
【0101】
所定水位以上の水が無くなった場合(S39:NO)、制御部1aは、ステップS38とは逆方向にステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2のロックを解除する(S40)。
【0102】
本実施形態3の空気調節装置1は、上述した処理を電源が切られるまで繰り返し行なう。よって、ユーザは、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を任意に切り換えることができる。また、貯水槽16内の水の量に応じてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換えることができるので、操作パネル3を操作する手間が省け、利便性がより向上する。
【0103】
本実施形態3の空気調節装置1は、貯水槽16に水を供給すべきか否かを判定するための水位センサ16aを用い、貯水槽16内に水が有るか否かに応じてキャスタ2,2,2の状態を切り換える構成であった。このほかに、例えば水位センサを複数用い、貯水槽16内の水の水位をより細かく検知する構成を備えてもよい。具体的には、貯水槽16への給水指示をすべき水位よりも多い水位であって、空気調節装置1を移動させた場合に貯水槽16内の水がこぼれる可能性のない水位の水が有るか否かを判定し、この水位の水が有る場合に、キャスタ2,2,2をロック状態にするようにしてもよい。このような構成とした場合、空気調節装置1を移動させた場合であっても貯水槽16から水がこぼれることを確実に防止できると共に、貯水槽16から水がこぼれない範囲でキャスタ2,2,2のロックを解除して空気調節装置1の移動を容易にすることができる。
【0104】
上述した実施形態2の空気調節装置1は、空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える構成であり、実施形態3の空気調節装置1は、貯水槽16内の水位に基づいてキャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える構成であった。本発明に係る空気調節装置は、これらの構成を組み合わせた構成に適用することもできる。
【0105】
具体的には、貯水槽16内の水位と、送風機18の運転状態とに基づいて、キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える構成としてもよい。例えば、貯水槽16内の水位に基づいてキャスタ2,2,2の状態を切り換える構成において、貯水槽16内に所定水位以上の水が無くなった場合であっても、送風機18の運転中はキャスタ2,2,2をロック状態にする構成としてもよい。また、送風機18の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2の状態を切り換える構成において、送風機18が運転を終了した場合であっても、貯水槽16内に所定水位以上の水が有ればキャスタ2,2,2をロック状態にする構成としてもよい。
【0106】
(実施形態4)
以下に、実施形態4の空気調節装置について説明する。なお、本実施形態4の空気調節装置1は、上述した実施形態1,2の空気調節装置1の構成と類似しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同一の構成に基づく作用効果も実施形態1,2と同様であるため説明を省略する。
【0107】
図13は実施形態4の操作パネル3の構成を示す模式図である。本実施形態4の操作パネル3は、上述した実施形態1の操作パネル3と同様に、停止ボタン、風量切換ボタン、空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン、イオン入/切ボタン、チャイルドロックボタン、キャスタロックボタンを有する。なお、本実施形態4の操作パネル3は、キャスタロックボタンに対応させて、実施形態2の操作パネル3におけるキャスタ自動ボタン及びキャスタロックボタンにそれぞれ対応する表示ランプを有する。
【0108】
本実施形態4の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1と同様に、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することにより、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換える構成を備える。また、本実施形態4の空気調節装置1は、上述した実施形態2の空気調節装置1と同様に、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。
【0109】
ここで、本実施形態4の操作パネル3におけるキャスタロックボタンは、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理の開始指示、キャスタ2,2,2のロック指示、ロックの解除指示を行なうためのボタンである。キャスタ2,2,2のロックが解除されている状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理の開始指示を受け付ける。これにより、制御部1aは、送風機18の動作状態に基づいてキャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理を開始する。このとき、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「自動」に対応する表示ランプを点灯させる。
【0110】
キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理が行なわれている状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロック指示を受け付ける。これにより、制御部1aは、空気調節装置1の運転状態に関わらずキャスタ2,2,2をロックし、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「ロック」に対応する表示ランプを点灯させる。なお、このとき、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「自動」に対応する表示ランプを消灯させる。キャスタ2,2,2がロックされている状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aは、ロックの解除指示を受け付ける。これにより、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロックを解除し、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「ロック」に対応する表示ランプを消灯させる。
【0111】
以下に、本実施形態4の空気調節装置1において、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを操作した場合に制御部1aが行なう処理について説明する。図14は実施形態4の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0112】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、操作パネル3のキャスタロックボタンが操作されたか否かを判断する(S71)。キャスタロックボタンが操作されていない場合(S71:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。キャスタロックボタンが操作された場合(S71:YES)、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロックが解除されているか否かを判断する(S72)。
【0113】
キャスタ2,2,2のロックが解除されている場合(S72:YES)、即ち、キャスタ2,2,2がロックされていない状態でキャスタロックボタンが操作された場合、制御部1aは、空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える自動切換処理を開始する(S73)。キャスタ2,2,2のロックが解除されていない場合(S72:NO)、制御部1aは、自動切換処理が実行中であるか否かを判断する(S74)。自動切換処理が実行中である場合(S74:YES)、即ち、自動切換処理の実行中にキャスタロックボタンが操作された場合、制御部1aは、自動切換処理を終了し、キャスタ2,2,2をロックする(S75)。
【0114】
自動切換処理が実行中でない場合(S74:NO)、即ち、キャスタ2,2,2のロック中にキャスタロックボタンが操作された場合、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロックを解除する(S76)。
【0115】
図15は自動切換処理の手順を示すフローチャートである。自動切換処理は、図14中のステップS73の処理である。空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理が開始された場合、制御部1aは、水位センサ16aの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かを判断する(S81)。所定水位以上の水が有る場合(S81:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2をロックする(S82)。
【0116】
所定水位以上の水が無い場合(S81:NO)、制御部1aは、チャイルドロックボタンが操作されることによってチャイルドロックの設定中であるか否かを判断する(S83)。チャイルドロックの設定中である場合(S83:YES)、制御部1aは、キャスタ2,2,2をロックする(S82)。チャイルドロックが設定中ではない場合(S83:NO)、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否かを判断する(S84)。制御部1aは、空気調節装置1が運転中である場合(S84:YES)、キャスタ2,2,2をロックし(S82)、空気調節装置1が運転中でない場合(S84:NO)、キャスタ2,2,2のロックを解除する(S85)。
【0117】
本実施形態4の空気調節装置1では、1つのキャスタロックボタンを介して、キャスタ2,2,2をロックする指示、ロックを解除する指示、キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理の開始指示を行なうことができる。このようにキャスタロック処理に関する操作ボタンを1つにまとめることにより、操作パネル3を簡略化できると共に、ユーザに分かり易いインタフェースを提供できる。
【0118】
以上、本発明の好適な実施形態についてそれぞれ具体的に説明したが、各構成及び動作などは適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0119】
1 空気調節装置
2 キャスタ(車輪)
10 筐体(収容部)
11 吸込口
12 吹出口
15 加湿フィルタ
16 貯水槽
18 送風機
20 ステッピングモータ
22 偏芯カム
1a 制御部
16a 水位センサ(水検知部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込口から吸い込んだ空気の状態を調節して吹出口から吹き出す空気調節装置に関する。特に、装置を構成する各部を収容する収容部の下側に車輪を設けることによって移動可能に構成された空気調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気には、塵埃、タバコの煙、呼吸と共に排出される二酸化炭素、花粉など、人体に不快又は有害とされる様々な物質が含まれている。特に近年では、住宅が高気密化されていることから、そのような有害物質が室内に留まり易い。そのため、以前より部屋の窓を適宜開けて自然換気を行なっていた。
【0003】
ところが、大気汚染のひどい地域にある家屋、花粉症を患っている人が居る家庭、職場などでは、自然換気を思いのまま行えないのが実情である。このような状況から、室内の空気を浄化する空気浄化機能を有する空気清浄機が広く一般に普及してきている。
【0004】
空気清浄機の内部には、送風機を有する送風経路が設けられており、吸込口から吸い込まれた室内の空気が送風経路を経て室内へ吹き出される。また空気清浄機は、送風経路内に集塵フィルタ及び脱臭フィルタなどを備える。室内の空気がこれらのフィルタを通過することにより、空気中に含まれる有害物質が捕集、吸着、分解されて取り除かれ、空気が浄化される。
【0005】
また、空気清浄機には、送風経路内にイオン発生器を備え、発生させたイオンを空気と共に室内へ放出するものがある。このような空気清浄機では、放出されたイオンが、室内の空気中に浮遊するカビ菌、ウィルスなどを取り囲み、不活性化することにより、空気が浄化される。
【0006】
さらに、加湿機能を備えた空気清浄機がある。加湿機能付きの空気清浄機は、加湿用の水タンクを備え、水タンク内の水を吸水した加湿フィルタが送風経路内に配置される。このような空気清浄機では、空気が加湿フィルタを通過する際に水分を取り込むことにより、室内の空気が加湿される。
【0007】
上述したような空気清浄機、特に加湿機能付きの空気清浄機は、水タンクを有するため、本体重量が重くなりがちである。そこで、装置本体の底板にキャスタ(車輪)を設けることにより、空気清浄機を持ち上げることなくキャスタによって容易に移動させることが可能な空気調和機が提案されている(例えば特許文献1参照)。これにより、空気清浄機を取り扱う際の利便性が向上する。
【0008】
また、特許文献2には、ケーシングの下面の、ケーシングの背面側の端部にキャスタが取り付けられ、ケーシングの背面に把手が設けられた空気調和機が開示されている。特許文献2に開示された空気調和機では、把手を持ってケーシングを背面側に傾けることにより、キャスタによって装置を簡便に移動させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−271219号公報
【特許文献2】特開2008−32387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、キャスタによって容易に移動させることが可能な空気調和機(空気調節装置)では、人や物などが装置にぶつかったり、子供やお年寄りなどが装置に寄りかかったりした場合には、意図せずに装置が移動してしまう場合が考えられる。特に加湿機能付きの空気清浄機では、移動してしまうことによって水タンク内の水がこぼれてしまい、こぼれた水の後始末のために余計な手間が増加する虞がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置本体に取り付けられた車輪を回転不能に固定するための構造的なロック機構を手動で操作することなく、車輪を回転不能に固定し、また、車輪の固定を解除できる空気調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る空気調節装置は、空気を吸い込む吸込口と、該吸込口から吸い込んだ空気を吹き出す吹出口と、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吹出口へ送風する送風機と、該送風機を収容する収容部とを備える空気調節装置において、前記収容部の下側に設けられた車輪と、該車輪の回転を阻止する回転阻止部と、該回転阻止部を作動させる作動部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、空気調節装置の下側に車輪が設けられ、この車輪の回転を阻止する回転阻止部が設けられている。そして、作動部が、回転阻止部を作動させた場合に車輪の回転が阻止され(車輪がロックされ)、回転阻止部を作動させない場合に車輪が回転自在となる(車輪のロックが解除される)。よって、作動部が回転阻止部の作動/非作動を制御することによって車輪の状態が切り換えられるので、手動で車輪の状態を切り換える構造と比較してユーザの負担が軽減され、利便性が向上する。
【0014】
本発明に係る空気調節装置は、前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける受付部を備え、前記作動部は、前記受付部が受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、回転阻止部を作動させることによって車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を外部から受け付け、受け付けた指示に基づいて車輪の状態を切り換える。例えば、ユーザが操作する操作ボタンを介して、車輪をロックすべきか否かの指示を受け付け、受け付けた指示に基づいて車輪の状態を切り換える。よって、構造的なロック機構を手動で操作して車輪をロックする構成と比較して容易に車輪をロックすることができ、また、車輪のロックを解除することができる。
【0016】
本発明に係る空気調節装置は、前記作動部は、前記送風機の動作中に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、送風機の動作中は車輪の回転が阻止される。通常、空気調節装置は、運転中に移動させる必要がないので、運転中は車輪をロックしておくことが好ましい。また、部屋の掃除の後など、空気調節装置を移動させた後に再び空気調節装置を使用する場合に、車輪をロックし忘れることがある。しかし、空気調節装置の運転中、即ち、送風機の動作中に自動的に車輪をロックすることにより、車輪をロックし忘れることなく、必要なときに確実に車輪をロックすることができる。
【0018】
本発明に係る空気調節装置は、前記作動部は、前記送風機の非動作中に、前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、送風機の非動作中は車輪のロックが解除され、車輪が回転自在となる。部屋を掃除する場合など、空気調節装置の運転を終了させて空気調節装置を移動させる場合に、車輪のロックを解除し忘れることがある。しかし、空気調節装置の運転を終了させた場合、即ち、送風機の非動作中に自動的に車輪のロックを解除することにより、車輪をロックする必要がない場合には車輪のロックを確実に解除することができる。また、空気調節装置の運転を終了させた際に手動で車輪のロックを解除する手間が省ける。
【0020】
本発明に係る空気調節装置は、動作指示を受け付ける指示受付部と、該指示受付部が受け付けた動作指示に基づく動作を無効にする無効指示を受け付ける無効指示受付部とを備え、前記作動部は、前記無効指示受付部が無効指示を受け付けた場合、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、空気調節装置は、動作指示又は受け付けた動作指示に基づく動作を無効にする無効指示を受け付ける。空気調節装置が無効指示を受け付けた場合に、車輪の回転が阻止される。空気調節装置は、無効指示を受け付けた場合、無効指示を受け付ける前の状態を保持する。例えば、一般的なチャイルドロック機能のように、所定のチャイルドロックボタンをユーザが操作した場合、それ以降にユーザが機器を操作できなくなる機能を空気調節装置が有する。この場合、チャイルドロック機能を動作させると共に、車輪をロックすることにより、子供がいたずらで空気調節装置を操作することを防止できると共に、子供が寄りかかって空気調節装置が不用意に移動することを防止できる。
【0022】
本発明に係る空気調節装置は、前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける第1受付部と、前記送風機の動作状態に基づいて前記回転阻止部を作動させる旨の指示を受け付ける第2受付部とを備え、前記作動部は、前記第1受付部が指示を受け付けた場合、受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させ、前記第2受付部が指示を受け付けた場合、前記送風機の動作中は前記回転阻止部を作動させ、前記送風機の非動作中は前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、車輪をロックすべきか否かを示す指示、または、送風機の動作状態に基づいて車輪の状態を切り換える旨の指示を外部から受け付ける。車輪をロックすべきか否かを示す指示を受け付けた場合、受け付けた指示に基づいて車輪の状態を切り換える。また、送風機の動作状態に基づいて車輪の状態を切り換える旨の指示を受け付けた場合、送風機の動作中は車輪がロックされ、送風機の非動作中は車輪のロックが解除される。これにより、ユーザが、車輪をロックさせたいか否か、空気調節装置の運転状態に応じて車輪をロックさせたいか否かなど、ユーザの好みに応じた動作を行なうことができる。
【0024】
本発明に係る空気調節装置は、貯水槽と、該貯水槽の水を吸水する加湿フィルタと、前記貯水槽の水の有無を検知する水検知部とをさらに備え、前記作動部は、前記貯水槽に水がある場合に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、貯水槽及び加湿フィルタを有する空気調節装置において、貯水槽に水がある場合に、車輪がロックされる。加湿機能を有する空気調節装置では、貯水槽に水が溜まっている状態で移動させた場合、振動などによって貯水槽内の水がこぼれてしまうことがある。しかし、貯水槽に水がある場合に車輪をロックすることにより、貯水槽内の水がこぼれることを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、ロック機構を手動で操作することなく車輪のロック/非ロック状態を適宜切り換えることができるので、手動で車輪の状態を切り換える構造と比較して利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の空気調節装置の外観図である。
【図2】実施形態1の空気調節装置の構成を示す縦断面図である。
【図3】キャスタの構成を示す模式図である。
【図4】キャスタの構成を示す模式図である。
【図5】操作パネルの構成を示す模式図である。
【図6】実施形態1の空気調節装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態1の空気調節装置による運転処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態1の空気調節装置によるチャイルドロックの設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態1の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2の操作パネルの構成を示す模式図である。
【図11】実施形態2の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施形態3の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態4の操作パネルの構成を示す模式図である。
【図14】実施形態4の空気調節装置によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】自動切換処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る空気調節装置を、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の各実施形態では、加湿機能及びイオン発生機能を有する空気清浄機(空気調節装置)を例に挙げて説明する。しかし、本発明に係る空気調節装置は、加湿機能及びイオン発生機能を備えていない空気清浄装置、加湿機能のみを備える加湿装置、イオン発生機能のみを備えるイオン発生装置、除湿機能のみを備える除湿装置などにも適用できる。また本発明に係る空気調節装置は、加湿機能、イオン発生機能、除湿機能、暖房機能及び冷房機能などのうちの複数の機能を備える装置にも適用できる。
【0029】
(実施形態1)
以下に、実施形態1の空気調節装置について説明する。図1は実施形態1の空気調節装置の外観図、図2は実施形態1の空気調節装置の構成を示す縦断面図である。
【0030】
本実施形態1の空気調節装置1は、直方体状をなす筐体10(収容部)を備え、図1に示すように、室内の適宜箇所で床上に置かれた状態で使用されるものである。筐体10の適宜箇所には、室内の空気を吸い込むための吸込口11,11と、吸込口11,11から吸い込まれた空気を室内へ吹き出すための吹出口12とが形成されている。図1及び図2に示す空気調節装置1では、吸込口11,11は、筐体10の後面にマトリクス状に形成された複数の小孔によって構成されており、吹出口12は、筐体10の上面に矩形状に形成されている。
【0031】
また、筐体10の内部には、送風機18が配置されており、送風機18の駆動に従って、吸込口11,11から室内の空気が導入され、導入された空気は、吹出口12から室内へ吹き出される。送風機18は、ファン18a及びファン18aを駆動するファンモータ18bにより構成されている。送風機18は、例えば、ファンモータ18bが筐体10の前面側に固定されている。ファン18aは、例えばターボファンであるが、その他、プロペラファン、クロスフローファンなどを採用することも可能であり、ファンの種類は限定されない。また、ファンモータ18bは、駆動制御の容易性を重視して直流モータが用いられる。
【0032】
筐体10の内部には、吸込口11,11と吹出口12とを連絡する送風経路が形成されており、送風機18の駆動によって、送風経路内に、図2中に白抜き矢符で示すような送風路が発生する。
【0033】
筐体10の内部には、浄化フィルタとして、吸込口11,11に面して脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14が収納されている。脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14は、吸込口11,11側より順に重ね合わされた状態で収納されている。脱臭フィルタ13は、空気中の臭い成分であるアセトアルデヒドやアンモニアや酢酸などを吸着する役割を担うものである。具体的には、脱臭フィルタ13は、長方形をなす枠体にポリエステル製の不織布を取り付け、その上に活性炭を均一に分散配置し、その上からポリエステル製の不織布を被せたものである。
【0034】
集塵フィルタ14は微細な塵埃を捕集する役割を担うものであり、いわゆるHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタである。具体的には、集塵フィルタ14は、ポリエステル/ビニロン系不織布からなる骨材に電石加工したメルトブロー不織布を合わせて濾材とし、これを折り畳んだ上、その上下面にハイドロキシアパタイト加工した不織布からなる抗菌シートを重ねて熱圧着し、ホットメルト付き不織布からなる枠を溶着したものである。脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14は、筐体10に着脱可能に収納されている。
【0035】
筐体10の内部には、集塵フィルタ14を通過した空気の送風路上に、加湿フィルタ15及び貯水槽16が配置されている。具体的には、筐体10の下部に、貯水槽16が、その一部を筐体10の側面側から横方向に取り出し可能に配置され、貯水槽16の上方に円盤状の加湿フィルタ15が回転自在に配置されている。貯水槽16には、図示しない給水容器内の水が適宜供給され、一定の水位に水が溜められる。
【0036】
加湿フィルタ15は、吸水性及び通気性を有する素材によって円盤状に形成されており、回転軸15aを中心に回転可能に設けられている。また、加湿フィルタ15の下部は、貯水槽16内の水に浸っており、浸水部分にて吸水し、その水を吸い上げて水分を含んだ状態になる。加湿フィルタ15は、適宜の厚みを有するフィルタ素材をジグザグに折り畳んで整形した円盤か短冊状のフィルタ素材を重ねて形成した円盤の外周部の周方向の一部を切断加工するか、板形状のフィルタ素材を概略D字形の形状に打ち抜いて複数枚重ねて構成することが可能である。
【0037】
筐体10の内部には、加湿フィルタ15を回転させる回転駆動機構17が設けられている。回転駆動機構17は、加湿フィルタ15の外周面に接触して加湿フィルタ15を回転させるローラ17a及びローラ17aに連動連結されている電動モータ17bを備える。ローラ17aは、ローラ17aの回転軸と加湿フィルタ15の回転軸15aとが互いに平行になるように配置されている。電動モータ17bが作動することによってローラ17aが回転すると、ローラ17aが加湿フィルタ15の外周面に接触して加湿フィルタ15を周方向に回転させることができる。なお、図2は、ローラ17aが加湿フィルタ15の外周面の最上部位置の箇所で加湿フィルタ15と接触する構成を示しているが、接触箇所は最上部位置に限らない。
【0038】
上述した構成により、空気調節装置1は、送風機18の駆動、即ち、ファンモータ18bによるファン18aの回転に従い、吸込口11,11から室内の空気が導入され、導入された空気は、脱臭フィルタ13及び集塵フィルタ14によって臭いや塵埃のない空気に浄化される。浄化された空気は、加湿フィルタ15を通過することによって加湿され、送風経路に従ってファン18aの中心部に吸い込まれる。ファン18aの中心部に吸込まれた空気は、ファンブレード同士の間を通りファン18aの外周から吐き出され、送風経路に沿って導かれて吹出口12から室内へ吹き出される。なお、送風機18によって室内へ吹き出される空気の吹出口12には、吹き出された空気の吹出方向を調整するルーバ(図示せず)が設けられている。
【0039】
本実施形態1の空気調節装置1では、吹出口12と送風機18との間に、正イオン及び負イオンを同時に又は一方を個別に発生するイオン発生器19が配設されている。イオン発生器19が駆動されると、ファン18aから吹出口12へ向かう空気に、イオン発生器19からイオンが放出され、浄化された空気、更には加湿された空気が、イオンを含んで吹出口12より室内に吹き出される。ここで、正イオンは、水素イオン(H+ )の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+ (H2 O)m(mは任意の自然数)として表される。また、負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2 O)n(nは任意の自然数)として表される。
【0040】
なお、正イオン及び負イオンの両極性のイオンを同時に放出する場合、例えば、空気中の正イオンであるH+ (H2 O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2 O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させる。この場合、両イオンが空気中に浮遊するカビ菌やウィルスの表面に付着して化学反応を起こし、その際に生成する活性種の水酸化ラジカル(OH)の作用によって殺菌、ウィルスを不活性化又は死滅させることができる。
【0041】
本実施形態1の空気調節装置1は、筐体10の底板10aの四隅にそれぞれキャスタ(車輪)2,2,2が設けられている。図3及び図4はキャスタの構成を示す模式図である。図3及び図4では、便宜上1つのキャスタ2について図示しているが、どのキャスタ2,2,2も同様の構成である。また、図3はキャスタ2が回転自在である状態(以下では、非ロック状態ともいう)を示し、図4はキャスタ2の回転が阻止された状態(以下では、ロック状態ともいう)を示している。また、図3のBは、図3のA中のキャスタ2及び偏芯カム22を空気調節装置1の正面側から見た正面図であり、図4のBは、図4のA中のキャスタ2及び偏芯カム22を空気調節装置1の正面側から見た正面図である。
【0042】
キャスタ2は、回転軸を筐体10の前後方向に一致させて筐体10の底板10aに取り付けられている。具体的には、筐体10の底板10aに軸受けが設けられており、キャスタ2の回転軸であるキャスタ軸2aが軸受けに回転自在に取り付けられている。これにより、キャスタ2,2,2によってユーザは空気調節装置1を容易に筐体10の左右方向に移動させることができる。
【0043】
また、筐体10の内部、具体的には筐体10の底板10aの上側にはステッピングモータ20が配置されており、ステッピングモータ20の出力軸であるモータ軸21には偏芯カム22が取り付けられている。偏芯カム22の表面は弾性を有する部材で、かつ摩擦抵抗が高い材料が適している。例えば、偏芯カム22は、樹脂製であり、その表面にはゴムが巻かれている。
【0044】
図3に示す状態では、偏芯カム22はキャスタ2と接触しておらず、キャスタ2は自由に回転することができる。一方、図4に示す状態では、偏芯カム22の外周面がキャスタ2の外周面と接触しており、キャスタ2がロック状態となる。なお、図3に示す状態と図4に示す状態とでは、ステッピングモータ20の回転角度は約15°である。ステッピングモータ20の回転角度は、偏芯カム22の外周面がキャスタ2の外周面と接触した場合に、キャスタ2の回転を確実に抑止できる角度であればよい。また、ステッピングモータ20の代わりに、回転方向が指定可能な他のモータや、ロータリーソレノイドを用いて、図3に示した状態と図4に示した状態との切り換えを行なってもよい。
【0045】
ステッピングモータ20は、空気調節装置1を構成する各部の動作を制御する制御部1a(図6参照)と接続されており、制御部1aがステッピングモータ20を回転させることで、図3に示す非ロック状態と図4に示すロック状態とを切り換えることができる。本実施形態1では、ステッピングモータ20及び偏芯カム22が、キャスタ2,2,2の回転を阻止する回転阻止部として動作し、制御部(作動部)1aからの指示に従ってキャスタ2,2,2の状態を切り換える。
【0046】
また、筐体10の上面には、ユーザが空気調節装置1を操作するために必要な各種の操作ボタン、及び空気調節装置1の運転状況を表示する表示ランプなどを備えた操作パネル3が設けられている。図5は操作パネル3の構成を示す模式図である。図5に示した操作パネル3は、操作ボタンとして、停止ボタン、風量切換ボタン、空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン、イオン入/切ボタン、チャイルドロックボタン、キャスタロックボタンを有する。
【0047】
停止ボタンは、電源のオフを指示するためのボタンである。空気調節装置1の運転中に停止ボタンが操作されると、ファンモータ18bの回転が停止し、空気調節装置1の運転が停止される。なお、空気調節装置1は、停止中に空気清浄運転ボタン又は加湿空気清浄運転ボタンが操作されることにより、ファンモータ18bの回転を開始し、空気調節装置1の運転を開始する。
【0048】
風量切換ボタンは、自動、花粉、強、中、静音の5つの風量モードを順に切り換えるためのボタンである。自動モードは、空気調節装置1に備えられたホコリセンサ、臭気センサ(共に図示せず)などの検知信号に基づいて自動で風量を切り換えるモードである。花粉モードは、自動モードと同様に各種センサからの検知信号に基づいて自動で風量を切り換えるモードであり、自動モードよりも風量(ファンモータ18bの回転数)が多いモードである。強モード、中モード及び静音モードはそれぞれ、風量が予め設定されているモードである。なお、操作パネル3は、自動、花粉、強、中、静音のそれぞれのモードに対応する表示ランプを有しており、現在選択されているモードに対応する表示ランプが点灯する。
【0049】
空気清浄運転ボタンは、加湿機能を作動させずに、即ち、加湿フィルタ15を回転させずに、送風機18(ファンモータ18b)による送風機能のみを作動させるためのボタンである。加湿空気清浄運転ボタンは、加湿フィルタ15の回転による加湿機能及び送風機18による送風機能を作動させるためのボタンである。操作パネル3は、空気清浄運転ボタン及び加湿空気清浄運転ボタンのそれぞれに対応する表示ランプを有している。そして、送風機能のみが作動している場合、空気清浄運転ボタンに対応する表示ランプが点灯し、加湿機能も作動している場合、加湿空気清浄運転ボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0050】
イオン入/切ボタンは、イオン発生器19の作動/停止を指示するためのボタンである。イオン発生器19の作動中にイオン入/切ボタンが操作されると、イオン発生器19が動作を停止し、イオン発生器19の停止中にイオン入/切ボタンが操作されると、イオン発生器19が動作を開始する。操作パネル3は、イオン入/切ボタンに対応する表示ランプを有しており、イオン発生器19が作動している場合、イオン入/切ボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0051】
チャイルドロックボタン(無効指示受付部)は、例えば3秒間押し続けることでチャイルドロック機能の設定/解除(作動/停止)を指示するためのボタンである。チャイルドロック機能とは、チャイルドロック機能が設定された場合に、それ以降にユーザが空気調節装置1を操作できなくなる機能である。即ち、チャイルドロック機能が設定された場合、空気調節装置1は、操作パネル3の各ボタンを介して入力されるユーザからの各種の動作指示に基づく動作を行なわない。なお、チャイルドロック機能は、操作パネル3が各ボタンを介して受け付けた動作指示を制御部1aへ通知しないことによって実現されてもよいし、制御部1aが操作パネル3から通知された動作指示を無効とすることによって実現されてもよい。操作パネル3は、チャイルドロックボタンに対応する表示ランプを有しており、チャイルドロック機能が設定されている場合、チャイルドロックボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0052】
キャスタロックボタン(受付部)は、図4に示したように偏芯カム22によってキャスタ2,2,2をロック状態にすべきか、図3に示したように非ロック状態にすべきかを指示するためのボタンである。図3に示した非ロック状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aがステッピングモータ20を回転させ、偏芯カム22によってキャスタ2,2,2をロックする。なお、図3に示した状態から図4に示した状態に切り換える場合、制御部1aは、ステッピングモータ20によって偏芯カム22を時計回りに回転させる。
【0053】
また、図4に示したロック状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aがステッピングモータ20を逆方向に回転させ、偏芯カム22をキャスタ2,2,2から離し、キャスタ2,2,2のロックを解除する。なお、図4に示した状態から図3に示した状態に切り換える場合、制御部1aは、ステッピングモータ20によって偏芯カム22を反時計回りに回転させる。操作パネル3は、キャスタロックボタンに対応する表示ランプを有しており、図4に示すようにキャスタ2,2,2がロック状態である場合、キャスタロックボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0054】
また操作パネル3は、貯水槽16に水を供給すべき旨をユーザに通知するための給水ランプを有する。本実施形態1の空気調節装置1では、貯水槽16近傍の適宜箇所に、貯水槽16内に所定水位よりも多い水が有るか否かを検知する水位センサ(水検知部)16a(図6参照)が設けられている。水位センサ16aによって貯水槽16内に所定水位の水が無いことが検知された場合、給水ランプが点灯し、水位センサ16aによって貯水槽16内に所定水位の水が有ることが検知された場合、給水ランプが消灯する。よって、ユーザは、給水ランプが点灯した場合に貯水槽16内に水を供給することにより、加湿フィルタ15の回転による加湿機能を十分に機能させることができる量の水を貯水槽16に溜めておくことができる。
【0055】
以下に、本実施形態1の空気調節装置1の制御系の構成について説明する。図6は実施形態1の空気調節装置1の制御系の要部構成を示すブロック図である。空気調節装置1は、制御部1a、操作パネル3、回転駆動機構17、送風機18、イオン発生器19、ステッピングモータ20、水位センサ16aなどを備えており、上述した各部はバスを介して相互に接続されている。なお、このようなハードウェア各部は図示しない電源装置から供給される電力によって動作する。
【0056】
制御部1aは、ROM及びRAMが内蔵されたCPU(Central Processing Unit )又はMPU(Micro Processor Unit)などである。制御部1aは、空気調節装置1の主制御部であり、バスを介して接続される上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROMに予め格納されている制御プログラムを適宜RAMに読み出して実行する。ROMは、空気調節装置1を本発明に係る空気調節装置として動作させるために必要な種々の制御プログラムを予め格納している。RAMはSRAM又はフラッシュメモリなどであり、制御部1aによる制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
【0057】
操作パネル(指示受付部)3は、各種の操作ボタンより入力された情報(動作指示)を受け付け、受け付けた情報を制御部1aへ通知する。制御部1aは、操作パネル3から通知された情報に基づいて空気調節装置1の各部の動作を制御する。
【0058】
制御部1aは、例えばユーザが操作パネル3の空気清浄運転ボタン又は加湿空気清浄運転ボタンを操作することによって空気調節装置1の運転開始の指示を受け付けた場合、送風機18を動作させる。具体的には、制御部1aは、ファンモータ18bを駆動させ、ファンモータ18bの回転によってファン18aを回転させる。また、ユーザが操作パネル3の停止ボタンを操作することによって空気調節装置1の運転終了の指示を受け付けた場合、制御部1aは、ファンモータ18bの駆動を終了する。
【0059】
制御部1aは、ユーザが操作パネル3の加湿空気清浄運転ボタンを操作することによって加湿機能の作動指示を受け付けた場合、回転駆動機構17を動作させる。具体的には、制御部1aは、電動モータ17bを駆動させ、電動モータ17bの回転によってローラ17aを回転させ、これにより、加湿フィルタ15を回転させる。また、ユーザが操作パネル3の空気清浄運転ボタン又は停止ボタンを操作することによって加湿機能の終了指示を受け付けた場合、制御部1aは、電動モータ17bの駆動を終了する。
【0060】
制御部1aは、ユーザが操作パネル3のイオン入/切ボタンを操作することによってイオン発生器19の作動指示を受け付けた場合、イオン発生器19を動作させる。また、制御部1aは、ユーザが操作パネル3のイオン入/切ボタンを操作することによってイオン発生器19の終了指示を受け付けた場合、イオン発生器19の動作を終了させる。
【0061】
水位センサ16aは、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かを検知しており、検知結果を制御部1aへ通知する。制御部1aは、水位センサ16aから通知された検知結果に基づいて操作パネル3の給水ランプを点灯又は消灯させる。具体的には、制御部1aは、貯水槽16内に所定水位以上の水が有れば、給水ランプを消灯させ、所定水位以上の水が無ければ、給水ランプを点灯させる。
【0062】
制御部1aは、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを介してキャスタ2,2,2をロック状態にする指示を受け付けた場合、ステッピングモータ20を回転させ、図4に示したように偏芯カム22の外周面をキャスタ2,2,2の外周面に接触させる。また、制御部1aは、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを介してキャスタ2,2,2を非ロック状態にする指示を受け付けた場合、ステッピングモータ20を逆方向に回転させ、図3に示したように偏芯カム22をキャスタ2,2,2から離す。
【0063】
ここで、本実施形態1の空気調節装置1では、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを操作した場合だけでなく、操作パネル3のチャイルドロックボタンを操作した場合にもキャスタ2,2,2をロックするように構成されている。従って、制御部1aは、ユーザがチャイルドロックボタンを操作することによってチャイルドロック機能の設定指示を受け付けた場合にも、ステッピングモータ20を回転させ、図4に示したようにキャスタ2,2,2をロックする。このように、チャイルドロック機能が設定された場合にキャスタ2,2,2をロックすることにより、子供がいたずらで空気調節装置1を操作することを防止できると共に、子供が寄りかかって空気調節装置1が移動することも防止できる。また、制御部1aは、ユーザがチャイルドロックボタンを操作することによってチャイルドロック機能の解除指示を受け付けた場合、ステッピングモータ20を逆方向に回転させ、図3に示したようにキャスタ2,2,2のロックを解除する。
【0064】
以下に、本実施形態1の空気調節装置1が行なう処理について説明する。図7は実施形態1の空気調節装置1による運転処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0065】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否かを判断し(S51)、運転中であれば(S51:YES)、操作パネル3の停止ボタンが操作されたか否かを判断する(S52)。停止ボタンが操作された場合(S52:YES)、制御部1aは、空気調節装置1の運転を停止させる(S53)。運転中でない場合(S51:NO)又は停止ボタンが操作されていない場合(S52:NO)、制御部1aは、操作パネル3の空気清浄運転ボタンが操作されたか否かを判断する(S54)。
【0066】
空気清浄運転ボタンが操作された場合(S54:YES)、制御部1aは、送風機18による送風機能のみを開始し、加湿機能なしの運転を開始する(S55)。空気清浄運転ボタンが操作されていない場合(S54:NO)、制御部1aは、加湿空気清浄運転ボタンが操作されたか否かを判断する(S56)。加湿空気清浄運転ボタンが操作された場合(S56:YES)、制御部1aは、送風機18による送風機能及び加湿フィルタ15の回転による加湿機能を開始し、加湿機能ありの運転を開始する(S57)。加湿空気清浄運転ボタンが操作されていない場合(S56:NO)、制御部1aは、ステップS51に処理を戻し、上述した処理を繰り返す。
【0067】
空気調節装置1は、制御部1aが上述した処理を繰り返すことにより、操作ボタン(空気清浄運転ボタン又は加湿空気清浄運転ボタン)を介したユーザからの指示に従った運転を行なうことができる。具体的には、加湿機能を動作させない送風機能と、加湿機能を動作させた送風機能とを適宜切り換えることができる。
【0068】
次に、本実施形態1の空気調節装置1がチャイルドロック機能の設定/解除を行なう際の処理について説明する。図8は実施形態1の空気調節装置1によるチャイルドロックの設定処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0069】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、操作パネル3のチャイルドロックボタンが操作されたか否かを判断する(S61)。チャイルドロックボタンが操作されていない場合(S61:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。チャイルドロックボタンが操作された場合(S61:YES)、制御部1aは、チャイルドロックが設定中であるか否かを判断する(S62)。制御部1aは、設定中であると判断した場合(S62:YES)、チャイルドロックの設定を解除し(S63)、設定中でないと判断した場合(S62:NO)、チャイルドロックを設定する(S64)。空気調節装置1は、制御部1aが上述した処理を繰り返すことにより、チャイルドロックボタンを介したユーザからの指示に従ってチャイルドロック機能の設定/解除を適切に行なうことができる。
【0070】
次に、本実施形態1の空気調節装置1が、キャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換える際の制御処理について説明する。図9は実施形態1の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0071】
なお、本実施形態1では、空気調節装置1が運転しているか否かに拘わらず、操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンの操作によってキャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換えることができる構成とする。これにより、空気調節装置1が停止中であっても、キャスタ2,2,2をロックとしておくことにより、子供が寄りかかって空気調節装置1を移動させてしまうことを確実に防止できる。
【0072】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、操作パネル3のキャスタロックボタンが操作されたか否かを判断する(S1)。なお、本実施形態1の空気調節装置1は、電源が入力された時点では、キャスタ2,2,2は非ロック状態であり、チャイルドロック機能も動作していないものとする。
【0073】
キャスタロックボタンが操作されていない場合(S1:NO)、制御部1aは、操作パネル3のチャイルドロックボタンが操作されたか否かを判断する(S2)。キャスタロックボタンもチャイルドロックボタンも操作されていない場合(S2:NO)、制御部1aは、ステップS1に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0074】
キャスタロックボタンが操作された場合(S1:YES)、又はチャイルドロックボタンが操作された場合(S2:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動し、図4に示したようにキャスタ2,2,2を回転できないようにロックする(S3)。なお、制御部1aは、キャスタロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロックした場合、操作パネル3のキャスタロックボタンに対応する表示ランプを点灯させる。また、制御部1aは、チャイルドロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロックした場合、操作パネル3のチャイルドロックボタンに対応する表示ランプを点灯させる。
【0075】
キャスタ2,2,2がロック状態となっている場合、制御部1aは、操作パネル3のキャスタロックボタンが更に操作されたか否かを判断する(S4)。キャスタロックボタンが操作されていない場合(S4:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0076】
キャスタロックボタンが操作された場合(S4:YES)、制御部1aは、チャイルドロックが解除されているか否かを判断する(S5)。チャイルドロックが設定されている場合(S5:NO)、制御部1aは、ステップS4に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。よって、チャイルドロックが設定されていれば、キャスタロックボタンが操作されてもキャスタ2,2,2のロックは解除されないので、チャイルドロックの設定中は確実にキャスタ2,2,2をロックできる。
【0077】
チャイルドロックが解除されている場合(S5:YES)、制御部1aは、ステップS3とは逆方向にステッピングモータ20を駆動し、図3に示したようにキャスタ2,2,2のロックを解除する(S6)。これにより、キャスタ2,2,2は回転自在となる。なお、制御部1aは、キャスタロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロック状態にしていた場合、操作パネル3のキャスタロックボタンに対応する表示ランプを消灯させる。また、制御部1aは、チャイルドロックボタンが操作されてキャスタ2,2,2をロック状態にしていた場合、操作パネル3のチャイルドロックボタンに対応する表示ランプを消灯させる。
【0078】
本実施形態1の空気調節装置1は、上述した処理を電源が切られるまで繰り返し行なう。よって、ユーザは、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができる。従って、例えば構造的なロック機構を手動で操作することによってキャスタ2,2,2をロックする構成と比較して利便性が向上する。
【0079】
本実施形態1の空気調節装置1は、電源が入力された時点では、キャスタ2,2,2は非ロック状態であり、チャイルドロック機能も動作していないものとした。しかし、例えば、前回電源が切られる直前の状態を記憶しておき、次に電源が入力された時点で前回の状態を維持する構成としてもよい。例えば、チャイルドロック機能が動作している状態で電源が切られた場合に、次に電源が入力された時点でチャイルドロック機能を動作させると共にキャスタ2,2,2をロックするようにしてもよい。この場合、ユーザは空気調節装置1に電源を入力する都度、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作する必要がなく、利便性がより向上する。
【0080】
本実施形態1の空気調節装置1は、キャスタ2,2,2が非ロック状態の場合に操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンが操作されたときに、キャスタ2,2,2をロック状態に切り換える構成であった。また、キャスタ2,2,2がロック状態の場合にキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンが操作されたときに、キャスタ2,2,2を非ロック状態に切り換える構成であった。即ち、キャスタロックボタン及びチャイルドロックボタンのいずれかを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができる構成であった。しかし、例えば、キャスタロックボタン(又はチャイルドロックボタン)を操作してキャスタ2,2,2をロック状態に切り換えた場合には、キャスタロックボタン(又はチャイルドロックボタン)の操作によってのみキャスタ2,2,2を非ロック状態に切り換えられる構成としてもよい。
【0081】
(実施形態2)
以下に、実施形態2の空気調節装置について説明する。なお、本実施形態2の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1の構成と類似しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同一の構成に基づく作用効果も実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0082】
図10は実施形態2の操作パネル3の構成を示す模式図である。本実施形態2の操作パネル3は、上述した実施形態1の操作パネル3と同様に、停止ボタン、風量切換ボタン、空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン、イオン入/切ボタン、チャイルドロックボタン、キャスタロックボタンを有する。また、本実施形態2の操作パネル3は、キャスタ自動ボタンを更に有する。
【0083】
本実施形態2の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1と同様に、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することにより、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換える構成を備える。更に、本実施形態2の空気調節装置1は、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。具体的には、本実施形態2の空気調節装置1は、空気調節装置1が運転中であるか否か、より具体的には、送風機18(ファンモータ18b)が駆動中であるか否かの動作状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。
【0084】
キャスタ自動ボタン(第2受付部)は、送風機18の動作状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理の開始を指示するためのボタンである。キャスタ自動ボタンが操作されると、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否か、より具体的には、ファンモータ18bが駆動中であるか否かを判断する。ファンモータ18bが駆動中である場合、制御部1aは、ステッピングモータ20を回転させ、偏芯カム22によってキャスタ2,2,2をロックする。また、制御部1aは、ファンモータ18bが駆動中でない場合、ステッピングモータ20を逆方向に回転させ、偏芯カム22をキャスタ2,2,2から離し、キャスタ2,2,2のロックを解除する。なお、操作パネル3は、キャスタ自動ボタンに対応する表示ランプを有しており、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理が開始された場合、キャスタ自動ボタンに対応する表示ランプが点灯する。
【0085】
これにより、本実施形態2では、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを介してユーザが任意にキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができるだけでなく、送風機18の動作状態に基づいて自動的に切り換えることもできる。キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理を空気調節装置1が行なっている場合、ユーザがキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによって適宜キャスタ2,2,2の状態を切り換える必要がなく、手間を軽減できる。
【0086】
例えば、空気調節装置1が運転中に移動することは好ましくないが、空気調節装置1の運転中に自動的にキャスタ2,2,2をロックしておくことにより、空気調節装置1が不用意に移動することを防止できる。また、部屋の掃除の前など、空気調節装置1の運転を終了させて空気調節装置1を移動させる場合や、部屋の掃除の後など、空気調節装置1を移動させた後に再び空気調節装置1を使用する場合などに、キャスタ2,2,2の状態が自動的に切り換わるので利便性が向上する。
【0087】
以下に、本実施形態2の空気調節装置1がキャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換える際の制御処理について説明する。図11は実施形態2の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。なお、図11に示すフローチャートにおいて、ステップS11〜S16の処理は、図9に示したフローチャート中のステップS1〜S6の処理と同様であるので説明を省略する。
【0088】
制御部1aは、キャスタロックボタンもチャイルドロックボタンも操作されていない場合(S12:NO)、操作パネル3のキャスタ自動ボタンが操作されたか否かを判断する(S17)。キャスタ自動ボタンが操作されていない場合(S17:NO)、制御部1aは、ステップS11に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0089】
キャスタ自動ボタンが操作された場合(S17:YES)、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否か、より具体的には、送風機18のファンモータ18bが駆動中であるか否かを判断する(S18)。空気調節装置1が運転中でない場合(S18:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の運転を開始させるまで待機する。例えば、制御部1aは、操作パネル3の空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン及びイオン入/切ボタンのいずれかが操作されることによる空気調節装置1の運転開始の指示があるまで待機する。なお、制御部1aは、キャスタ自動ボタンが操作された場合、操作パネル3のキャスタ自動ボタンに対応する表示ランプを点灯させる。
【0090】
空気調節装置1の運転を開始させた場合(S18:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2をロックする(S19)。キャスタ2,2,2がロック状態となっている場合に、制御部1aは、空気調節装置1の運転を終了させたか否か、より具体的には、送風機18のファンモータ18bの動作を終了させたか否かを判断する(S20)。空気調節装置1の運転を終了させていない場合(S20:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の運転を終了させるまで待機する。例えば、制御部1aは、操作パネル3の停止ボタンが操作されることによる空気調節装置1の運転終了の指示があるまで待機する。
【0091】
空気調節装置1の運転を終了させたと判断した場合(S20:YES)、制御部1aは、ステップS19とは逆方向にステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2のロックを解除する(S21)。
【0092】
本実施形態2の空気調節装置1は、上述した処理を電源が切られるまで繰り返し行なう。よって、ユーザは、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を任意に切り換えることができる。また、空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換えることができるので、操作パネル3を操作する手間が省け、利便性がより向上する。
【0093】
本実施形態2の空気調節装置1は、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを介してキャスタ2,2,2をロックした場合に、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってのみキャスタ2,2,2のロックを解除できる構成であった。その他、例えば、キャスタロックボタンを介してキャスタ2,2,2をロックにした後にキャスタ自動ボタンが操作された場合に、その時点から空気調節装置1の運転状態に基づく自動切り換え処理を開始してもよい。また、空気調節装置1の運転状態に基づく自動切り換え処理を行なっている状態でキャスタロックボタンが操作された場合に、その時点から空気調節装置1の運転状態に拘わらず、キャスタロックボタン(又はチャイルドロックボタン)を介した手動でのキャスタ2,2,2の切り換え処理を開始してもよい。
【0094】
(実施形態3)
以下に、実施形態3の空気調節装置について説明する。なお、本実施形態3の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1の構成と類似しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同一の構成に基づく作用効果も実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0095】
本実施形態3の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1と同様に、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することにより、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換える構成を備える。また、本実施形態3の空気調節装置1は、上述した実施形態2の空気調節装置1と同様に、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。
【0096】
なお、上述した実施形態2の空気調節装置1は、空気調節装置1が運転中であるか否かに基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成であった。一方、本実施形態3の空気調節装置1は、貯水槽16内に所定水位の水が有るか否かに基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。従って、本実施形態3の空気調節装置1では、制御部1aは、水位センサ16aからの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水が有れば、キャスタ2,2,2をロックする。また、制御部1aは、貯水槽16内に所定水位以上の水が無ければ、キャスタ2,2,2のロックを解除する。
【0097】
これにより、本実施形態3では、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを介してユーザが任意にキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換えることができるだけでなく、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かに基づいて自動的に切り換えることもできる。よって、貯水槽16内に所定水位以上の水が有る場合に自動的にキャスタ2,2,2をロックすることにより、貯水槽16内の水が不用意にこぼれることを防止できる。
【0098】
以下に、本実施形態3の空気調節装置1がキャスタ2,2,2をロック状態又は非ロック状態に切り換える際の制御処理について説明する。図12は実施形態3の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。なお、図12に示すフローチャートにおいて、ステップS31〜S36の処理は、図9に示したフローチャート中のステップS1〜S6の処理と同様であるので説明を省略する。
【0099】
制御部1aは、キャスタロックボタンもチャイルドロックボタンも操作されていない場合(S32:NO)、水位センサ16aの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かを判断する(S37)。所定水位以上の水が無い場合(S37:NO)、制御部1aは、ステップS31に処理を戻し、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。
【0100】
所定水位以上の水が有る場合(S37:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2をロックする(S38)。キャスタ2,2,2がロック状態となっている場合に、制御部1aは、水位センサ16aの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水がまだ有るか否かを判断する(S39)。所定水位以上の水がまだ有る場合(S39:YES)、制御部1aは、キャスタ2,2,2をロック状態のまま維持しつつ空気調節装置1の通常動作を制御する。
【0101】
所定水位以上の水が無くなった場合(S39:NO)、制御部1aは、ステップS38とは逆方向にステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2のロックを解除する(S40)。
【0102】
本実施形態3の空気調節装置1は、上述した処理を電源が切られるまで繰り返し行なう。よって、ユーザは、キャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することによってキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を任意に切り換えることができる。また、貯水槽16内の水の量に応じてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換えることができるので、操作パネル3を操作する手間が省け、利便性がより向上する。
【0103】
本実施形態3の空気調節装置1は、貯水槽16に水を供給すべきか否かを判定するための水位センサ16aを用い、貯水槽16内に水が有るか否かに応じてキャスタ2,2,2の状態を切り換える構成であった。このほかに、例えば水位センサを複数用い、貯水槽16内の水の水位をより細かく検知する構成を備えてもよい。具体的には、貯水槽16への給水指示をすべき水位よりも多い水位であって、空気調節装置1を移動させた場合に貯水槽16内の水がこぼれる可能性のない水位の水が有るか否かを判定し、この水位の水が有る場合に、キャスタ2,2,2をロック状態にするようにしてもよい。このような構成とした場合、空気調節装置1を移動させた場合であっても貯水槽16から水がこぼれることを確実に防止できると共に、貯水槽16から水がこぼれない範囲でキャスタ2,2,2のロックを解除して空気調節装置1の移動を容易にすることができる。
【0104】
上述した実施形態2の空気調節装置1は、空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える構成であり、実施形態3の空気調節装置1は、貯水槽16内の水位に基づいてキャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える構成であった。本発明に係る空気調節装置は、これらの構成を組み合わせた構成に適用することもできる。
【0105】
具体的には、貯水槽16内の水位と、送風機18の運転状態とに基づいて、キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える構成としてもよい。例えば、貯水槽16内の水位に基づいてキャスタ2,2,2の状態を切り換える構成において、貯水槽16内に所定水位以上の水が無くなった場合であっても、送風機18の運転中はキャスタ2,2,2をロック状態にする構成としてもよい。また、送風機18の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2の状態を切り換える構成において、送風機18が運転を終了した場合であっても、貯水槽16内に所定水位以上の水が有ればキャスタ2,2,2をロック状態にする構成としてもよい。
【0106】
(実施形態4)
以下に、実施形態4の空気調節装置について説明する。なお、本実施形態4の空気調節装置1は、上述した実施形態1,2の空気調節装置1の構成と類似しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、同一の構成に基づく作用効果も実施形態1,2と同様であるため説明を省略する。
【0107】
図13は実施形態4の操作パネル3の構成を示す模式図である。本実施形態4の操作パネル3は、上述した実施形態1の操作パネル3と同様に、停止ボタン、風量切換ボタン、空気清浄運転ボタン、加湿空気清浄運転ボタン、イオン入/切ボタン、チャイルドロックボタン、キャスタロックボタンを有する。なお、本実施形態4の操作パネル3は、キャスタロックボタンに対応させて、実施形態2の操作パネル3におけるキャスタ自動ボタン及びキャスタロックボタンにそれぞれ対応する表示ランプを有する。
【0108】
本実施形態4の空気調節装置1は、上述した実施形態1の空気調節装置1と同様に、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタン又はチャイルドロックボタンを操作することにより、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を切り換える構成を備える。また、本実施形態4の空気調節装置1は、上述した実施形態2の空気調節装置1と同様に、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える構成を備える。
【0109】
ここで、本実施形態4の操作パネル3におけるキャスタロックボタンは、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理の開始指示、キャスタ2,2,2のロック指示、ロックの解除指示を行なうためのボタンである。キャスタ2,2,2のロックが解除されている状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理の開始指示を受け付ける。これにより、制御部1aは、送風機18の動作状態に基づいてキャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理を開始する。このとき、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「自動」に対応する表示ランプを点灯させる。
【0110】
キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理が行なわれている状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロック指示を受け付ける。これにより、制御部1aは、空気調節装置1の運転状態に関わらずキャスタ2,2,2をロックし、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「ロック」に対応する表示ランプを点灯させる。なお、このとき、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「自動」に対応する表示ランプを消灯させる。キャスタ2,2,2がロックされている状態でキャスタロックボタンが操作されると、制御部1aは、ロックの解除指示を受け付ける。これにより、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロックを解除し、操作パネル3は、キャスタロックボタンの「ロック」に対応する表示ランプを消灯させる。
【0111】
以下に、本実施形態4の空気調節装置1において、ユーザが操作パネル3のキャスタロックボタンを操作した場合に制御部1aが行なう処理について説明する。図14は実施形態4の空気調節装置1によるキャスタロック処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部1aに内蔵されたROMに格納されている制御プログラムに従って制御部1aによって実行される。
【0112】
電源が入れられた状態の空気調節装置1において、制御部1aは、操作パネル3のキャスタロックボタンが操作されたか否かを判断する(S71)。キャスタロックボタンが操作されていない場合(S71:NO)、制御部1aは、空気調節装置1の通常動作を制御しつつ待機する。キャスタロックボタンが操作された場合(S71:YES)、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロックが解除されているか否かを判断する(S72)。
【0113】
キャスタ2,2,2のロックが解除されている場合(S72:YES)、即ち、キャスタ2,2,2がロックされていない状態でキャスタロックボタンが操作された場合、制御部1aは、空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える自動切換処理を開始する(S73)。キャスタ2,2,2のロックが解除されていない場合(S72:NO)、制御部1aは、自動切換処理が実行中であるか否かを判断する(S74)。自動切換処理が実行中である場合(S74:YES)、即ち、自動切換処理の実行中にキャスタロックボタンが操作された場合、制御部1aは、自動切換処理を終了し、キャスタ2,2,2をロックする(S75)。
【0114】
自動切換処理が実行中でない場合(S74:NO)、即ち、キャスタ2,2,2のロック中にキャスタロックボタンが操作された場合、制御部1aは、キャスタ2,2,2のロックを解除する(S76)。
【0115】
図15は自動切換処理の手順を示すフローチャートである。自動切換処理は、図14中のステップS73の処理である。空気調節装置1の運転状態に基づいてキャスタ2,2,2のロック/非ロック状態を自動的に切り換える処理が開始された場合、制御部1aは、水位センサ16aの検知結果に基づいて、貯水槽16内に所定水位以上の水が有るか否かを判断する(S81)。所定水位以上の水が有る場合(S81:YES)、制御部1aは、ステッピングモータ20を駆動してキャスタ2,2,2をロックする(S82)。
【0116】
所定水位以上の水が無い場合(S81:NO)、制御部1aは、チャイルドロックボタンが操作されることによってチャイルドロックの設定中であるか否かを判断する(S83)。チャイルドロックの設定中である場合(S83:YES)、制御部1aは、キャスタ2,2,2をロックする(S82)。チャイルドロックが設定中ではない場合(S83:NO)、制御部1aは、空気調節装置1が運転中であるか否かを判断する(S84)。制御部1aは、空気調節装置1が運転中である場合(S84:YES)、キャスタ2,2,2をロックし(S82)、空気調節装置1が運転中でない場合(S84:NO)、キャスタ2,2,2のロックを解除する(S85)。
【0117】
本実施形態4の空気調節装置1では、1つのキャスタロックボタンを介して、キャスタ2,2,2をロックする指示、ロックを解除する指示、キャスタ2,2,2の状態を自動的に切り換える処理の開始指示を行なうことができる。このようにキャスタロック処理に関する操作ボタンを1つにまとめることにより、操作パネル3を簡略化できると共に、ユーザに分かり易いインタフェースを提供できる。
【0118】
以上、本発明の好適な実施形態についてそれぞれ具体的に説明したが、各構成及び動作などは適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0119】
1 空気調節装置
2 キャスタ(車輪)
10 筐体(収容部)
11 吸込口
12 吹出口
15 加湿フィルタ
16 貯水槽
18 送風機
20 ステッピングモータ
22 偏芯カム
1a 制御部
16a 水位センサ(水検知部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸い込む吸込口と、該吸込口から吸い込んだ空気を吹き出す吹出口と、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吹出口へ送風する送風機と、該送風機を収容する収容部とを備える空気調節装置において、
前記収容部の下側に設けられた車輪と、
該車輪の回転を阻止する回転阻止部と、
該回転阻止部を作動させる作動部と
を備えることを特徴とする空気調節装置。
【請求項2】
前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける受付部を備え、
前記作動部は、前記受付部が受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項3】
前記作動部は、前記送風機の動作中に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項4】
前記作動部は、前記送風機の非動作中に、前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の空気調節装置。
【請求項5】
動作指示を受け付ける指示受付部と、
該指示受付部が受け付けた動作指示に基づく動作を無効にする無効指示を受け付ける無効指示受付部とを備え、
前記作動部は、前記無効指示受付部が無効指示を受け付けた場合、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項6】
前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける第1受付部と、
前記送風機の動作状態に基づいて前記回転阻止部を作動させる旨の指示を受け付ける第2受付部とを備え、
前記作動部は、前記第1受付部が指示を受け付けた場合、受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させ、前記第2受付部が指示を受け付けた場合、前記送風機の動作中は前記回転阻止部を作動させ、前記送風機の非動作中は前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項7】
貯水槽と、
該貯水槽の水を吸水する加湿フィルタと、
前記貯水槽の水の有無を検知する水検知部とをさらに備え、
前記作動部は、前記貯水槽に水がある場合に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項1】
空気を吸い込む吸込口と、該吸込口から吸い込んだ空気を吹き出す吹出口と、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吹出口へ送風する送風機と、該送風機を収容する収容部とを備える空気調節装置において、
前記収容部の下側に設けられた車輪と、
該車輪の回転を阻止する回転阻止部と、
該回転阻止部を作動させる作動部と
を備えることを特徴とする空気調節装置。
【請求項2】
前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける受付部を備え、
前記作動部は、前記受付部が受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項3】
前記作動部は、前記送風機の動作中に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項4】
前記作動部は、前記送風機の非動作中に、前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の空気調節装置。
【請求項5】
動作指示を受け付ける指示受付部と、
該指示受付部が受け付けた動作指示に基づく動作を無効にする無効指示を受け付ける無効指示受付部とを備え、
前記作動部は、前記無効指示受付部が無効指示を受け付けた場合、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項6】
前記車輪の回転を阻止すべきか否かを示す指示を受け付ける第1受付部と、
前記送風機の動作状態に基づいて前記回転阻止部を作動させる旨の指示を受け付ける第2受付部とを備え、
前記作動部は、前記第1受付部が指示を受け付けた場合、受け付けた指示に基づいて前記回転阻止部を作動させ、前記第2受付部が指示を受け付けた場合、前記送風機の動作中は前記回転阻止部を作動させ、前記送風機の非動作中は前記回転阻止部を作動させないようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【請求項7】
貯水槽と、
該貯水槽の水を吸水する加湿フィルタと、
前記貯水槽の水の有無を検知する水検知部とをさらに備え、
前記作動部は、前記貯水槽に水がある場合に、前記回転阻止部を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の空気調節装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−2707(P2013−2707A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133544(P2011−133544)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]