説明

空気除菌システム

【課題】各室に分散配置されたタンク式の空気除菌装置の水管理を容易にした空気除菌システムを提供する。
【解決手段】給水タンクから供給される水を電気分解して電解水を生成し、この電解水を気液接触部材に供給し、この気液接触部材に空気を送ることによって空気を除菌する複数の空気除菌装置1A〜1Eを備えると共に、これら複数の空気除菌装置1A〜1Eを複数の室に分散配置し、各空気除菌装置1A〜1Eのコントローラから引き出した信号線110を別室に配設された集中コントローラ50に接続し、この集中コントローラ50が、各空気除菌装置1A〜1Eのコントローラから水管理情報を得て表示可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の室内に浮遊する細菌、ウィルス、真菌等の空中浮遊微生物(以下、単に「ウィルス等」という)の除去が可能な空気除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成し、この電解水を用いて空気中に浮遊するウィルス等の除去を図った空気除菌装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この空気除菌装置は、水道水が供給される配管と減圧弁と流量調整弁とを備え、この配管から比較的高圧で供給される水道水を減圧弁で減圧し、流量調整弁で流量を調整している。
【特許文献1】特開2002−181358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、多室の施設、例えば、学校、病院、複数の映画施設を収容した映画館等においては、上記のような空気除菌装置を各室に分散配置することが望まれる。
しかしながら、従来の除菌装置は、設置時に水道配管と接続する配管工事が必要になるため、設置作業が繁雑になってしまう。設置作業を簡易にしたい場合、水道水を貯留する給水タンクを設ける方法が考えられるが、各室へ出向いて給水タンクの残量を確認する作業が必要になってしまう。
【0004】
そこで、本発明の目的は、各室に分散配置されたタンク式の空気除菌装置の水管理を容易にした空気除菌システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、空気除菌システムにおいて、給水タンクから供給される水を電気分解して電解水を生成し、この電解水を気液接触部材に供給し、この気液接触部材に空気を送ることによって空気を除菌する複数の空気除菌装置を備えると共に、これら複数の空気除菌装置を複数の室に分散配置し、各空気除菌装置のコントローラから引き出した信号線を別室に配設された表示器に接続し、この表示器が、前記コントローラから水管理情報を得て表示可能としたことを特徴とする。この発明によれば、複数の室に分散配置された各空気除菌装置のコントローラから引き出した信号線を別室に配設された表示器に接続し、この表示器が、前記コントローラから水管理情報を得て表示可能としたので、表示器によって各空気除菌装置の水管理が容易になる。
【0006】
上記構成において、前記水管理情報は、前記給水タンクへの給水を要求する情報であることが好ましい。この構成によれば、複数の室に分散配置された各空気除菌装置のいずれから給水タンクへの給水要求が出力されたかを表示器で容易に認識することができる。
【0007】
上記構成において、前記空気除菌装置のコントローラに各々接続され、前記コントローラから前記給水タンクの給水及び当該空気除菌装置内の水交換を要求する信号が出力された場合に、前記信号線を介して共通の信号を表示器に出力するアダプタを備えることが好ましい。この構成によれば、空気除菌装置のコントローラからの信号をアダプタにより通信変換して表示器に出力することができる。
【0008】
上記構成において、前記表示器は、当該表示器に接続された空気除菌装置の各々に割り当てられた複数の発光体と、各発光体を各空気除菌装置からの水管理情報に基づいて駆動制御する制御部とを備えることが好ましい。この構成によれば、発光体の発光状態によって各空気除菌装置の水管理を行うことが可能になる。
【0009】
上記構成において、前記表示器は、前記空気除菌装置への指示を入力する操作部を備え、この操作部の操作を前記信号線を介して各空気除菌装置のコントローラに通知することによって前記空気除菌装置を集中コントロール可能とすることが好ましい。この構成によれば、複数台の空気除菌装置の集中コントロールと水管理とをまとめて行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、給水タンクから供給される水を電気分解して電解水を生成し、この電解水を気液接触部材に供給し、この気液接触部材に空気を送ることによって空気を除菌する複数の空気除菌装置を備えると共に、これら複数の空気除菌装置を複数の室に分散配置し、各空気除菌装置のコントローラから引き出した信号線を別室に配設された表示器に接続し、この表示器が、コントローラから水管理情報を得て表示可能としたので、各室に分散配置されたタンク式の空気除菌装置の水管理を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気除菌システム100を示す図である。この空気除菌システム100は、複数の室を有する施設用のシステムであり、施設内の各室に分散配置される複数台の空気除菌装置1A、1B、1C、1D、1Eと、各空気除菌装置1A〜1Eに信号線110を介して配線接続される集中コントローラ50とを備えている。なお、以下の説明において、空気除菌装置1A〜1Eを特に区別する必要が無い場合は空気除菌装置1と表記する。
【0012】
図2は空気除菌装置1の外観図であり、図3はその内部構成を示す図である。この空気除菌装置1は、空気除菌に使用する水道水が給水タンク11(図3参照)から供給されるタンク式空気除菌装置であり、本装置1では給水タンク11が着脱自在に構成され、この給水タンク11を持ち運んで容易に水の補給が可能になっている。詳述すると、この空気除菌装置1は、箱形の筐体2を備え、この筐体2は、脚片2Aと、前パネル2Bと、天パネル2Cとを含み、この天パネル2Cの両側には、操作蓋2D、開閉蓋2Eがそれぞれ横並びに配置されている。また、前パネル2Bの左側上部には各種情報を報知する報知パネル40が配置されている。
【0013】
この筐体2の下部には、図3に示すように、吸込口3が配置され、この吸込口3の上方には吸込口フィルタ3Aが配置される。この吸込口フィルタ3Aの上方には、送風ファン7が支持板8を介して筐体2に支持される。この支持板8の上方には、保水性かつ通気性を有する気液接触部材5が斜めに支持される。この気液接触部材5の上方には、吹出口4が設けられ、この吹出口4には、図示せぬ吹出口フィルタが配置されている。この送風ファン7の駆動時には、室内空気が吸込口3から吸い込まれ、気液接触部材5を通過した後に吹出口4から室内に吹き出し、室内空気が気液接触部材5を循環するように構成されている。
【0014】
気液接触部材5の下方には、気液接触部材5から滴下した水を受ける水受皿9が配置されている。この水受皿9の一端部は、より深底に形成されて貯留部10が形成され、この貯留部10の上には、給水タンク11が着脱自在に支持されている。
給水タンク11は、水道水を貯留するタンクであり、貯留部10に水を供給可能な構成となっている。詳細には、この給水タンク11の底部には、フロートバルブ付きの給水口が設けられ、貯留部10の水面が給水口よりも下になると、給水タンク11から必要量の水が供給され、貯留部10の水位が一定に保たれる。
【0015】
貯留部10の上には循環ポンプ13が配置される。この循環ポンプ13は、図4(A)に示すように、貯留部10に貯留された水を汲み上げて電解槽31に供給する。電解槽31は、図4(B)に示すように、当該電解槽31内に複数対の電極32、33を交互に備え、各電極32、33間に電圧が印加されることによって電解槽31内の水道水を電気分解して活性酸素種を含む電解水を生成する。この電解槽31内に生成された電解水は、図4(A)に示すように、循環ポンプ13が排出する水によって電解槽31から押し出され、気液接触部材5の上部に配置された散水ボックス14に供給され、この散水ボックス14に形成された散水孔から気液接触部材5の上部全体に散水されて気液接触部材5全体が湿潤される。
【0016】
本実施形態の活性酸素種は、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素分子と、その関連物質を含み、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。電解槽31は、気液接触部材5に近接して配置され、水道水を電気分解して生成された活性酸素種が、ただちに気液接触部材5に供給されるように構成される。
【0017】
電極32、33は、例えばベースがTi(チタン)で皮膜層がIr(イリジウム)、Pt(白金)から構成された電極板であり、この電極32、33に供給する電流値は、電流密度で数mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)〜数十mA/cm2になるように設定され、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。
【0018】
詳述すると、上記電極32、33により水道水に通電すると、カソード電極では、水中の水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)とが下記式(1)に示すように反応する。
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-) ・・・(1)
【0019】
一方、アノード電極(陽極)では、下記式(2)に示すように水が電気分解される。
2H2O→4H++O2+4e- ・・・(2)
とともに、アノード電極では、水に含まれる塩素イオン(塩化物イオン:Cl-)が下記式(3)に示すように反応し、塩素(Cl2)が発生する。
2Cl-→Cl2+2e- ・・・(3)
さらに、この塩素は下記式(4)に示すように水と反応し、次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
Cl2+H2O→HClO+HCl ・・・(4)
【0020】
カソード電極で発生した次亜塩素酸は広義の活性酸素種に含まれるもので、強力な酸化作用や漂白作用を有する。従って、次亜塩素酸が溶解した水溶液、すなわち空気除菌装置1により生成される電解水が気液接触部材5に供給されると、送風ファン7により吹き出された室内空気が次亜塩素酸と接触し、空気中に浮遊するウィルス等が不活化されるとともに、当該空気に含まれる臭気物質が次亜塩素酸と反応して分解され、或いはイオン化して溶解する。従って、空気の除菌及び脱臭がなされ、清浄化された空気が気液接触部材5から排出される。
【0021】
この活性酸素種によるウィルス等の不活化の作用として、インフルエンザウィルスの例を挙げる。上述した活性酸素種は、インフルエンザの感染に必須とされるインフルエンザウィルスの表面蛋白(スパイク)を破壊、消失(除去)する作用を有する。この表面蛋白が破壊された場合、インフルエンザウィルスと、インフルエンザウィルスが感染するのに必要な受容体(レセプタ)とが結合しなくなり、感染が阻止される。このため、空気中に浮遊するインフルエンザウィルスは、気液接触部材5において活性酸素種を含む電解水に接触することにより、いわば感染力を失うこととなり、感染が阻止される。
【0022】
図5は空気除菌装置1と集中コントローラ50の電気的構成を示す図である。なお、この図においては、一台の空気除菌装置1と集中コントローラ50を示している。空気除菌装置1は、当該装置1の各部を制御するコントローラ30と、このコントローラ30に接続された通信変換装置であるローカルアダプタ(以下、アダプタと言う)45とを備えており、各アダプタ45から引き出した信号線110を別室に配設された集中コントローラ50に接続している。
【0023】
図5に示すように、上述した送風ファン7、循環ポンプ13、電極32、33及び上記各部に電力を供給する電源部39は、コントローラ30に接続され、コントローラ30の制御に従って動作する。また、コントローラ30には、前パネル2Bに設けられた報知パネル40と、操作蓋2Dを開くと露出する操作パネル41とが接続されると共に、電解槽31内の水位を検出する電解槽フロートスイッチ42と、水受皿9の貯留部10の水位を検出する水受皿フロートスイッチ43とが接続されている。
【0024】
報知パネル40は、図2に示すように、リセットボタンBTと、複数の発光体である複数(本例では4つ)のランプL1〜L4を備え、具体的には、運転中を報知する運転ランプL1と、フィルタの掃除を報知するフィルタランプL2と、給水タンク11への給水を報知する給水ランプL3と、水交換を報知する水交換ランプL4とを備えている。
なお、水交換とは、給水タンク11を満水の状態まで給水させ、この状態で貯留部10に貯留された水を循環ポンプ13により図示せぬ排水チューブを介して外部に排出させ、排水処理が終了したら給水タンク11へ給水させて空気除菌装置1内の水を交換させる作業を促すものである。操作パネル41は、運転開始/停止ボタンや風速切り換えボタン等の操作子と表示パネルとを備え、各種指示をコントローラ30に通知する他、各種エラーを表示する。
【0025】
図5に示すように、コントローラ30は、空気除菌装置1全体を制御するマイコン34と、マイコン34が実行する制御プログラム等の各種データを記憶する記憶部35と、操作パネル41における操作を検出して操作内容をマイコン34に出力する入力部36と、マイコン34の制御に基づいて計時動作を行うタイマカウンタ37と、マイコン34の出力信号を入力して操作パネル41の表示パネルや報知パネル40の各ランプL1〜L4を駆動する駆動部38とを備える。
【0026】
アダプタ45は、コントローラ30の入出力ポート(図示略)に接続され、コントローラ30(マイコン34)からの出力信号Xを入力し、この出力信号Xを集中コントローラ50が判別可能な信号に変換して集中コントローラ50に出力する機能と、集中コントローラ50からの操作信号Zをマイコン34が判別可能な信号に変換してコントローラ30に出力する機能を具備している。
【0027】
詳述すると、このアダプタ45は、コントローラ30からの出力信号Xとして、運転開始を示す運転信号X1と、運転停止を示す停止信号X2と、フィルタ交換を報知するフィルタ交換信号X3と、給水タンク11への給水を報知する給水信号X4(水管理情報)と、水交換を報知する水交換信号X5(水管理情報)とからなる5種類の信号を入力可能に接続される。そして、このアダプタ45は、集中コントローラ50に対し、運転信号X1を入力した場合は点灯を指示する信号(以下、点灯信号という)Y1を出力し、停止信号X2を入力した場合は集中コントローラ50の後述するランプ部52の消灯を指示する信号(以下、消灯信号という)Y2を出力し、フィルタ交換信号X3、給水信号X4及び水交換信号X5を入力した場合は点滅を指示する信号(以下、点滅信号という)Y3を出力する。すなわち、アダプタ45は、コントローラ30から入力した5種類の信号X1〜X5を、3種類の信号Y1〜Y3に変換して集中コントローラ50に出力する。
【0028】
なお、アダプタ45は,上述の3種類の信号Y1〜Y3を出力する場合、自機或いは空気除菌装置1を識別可能な情報を付加して出力することにより、集中コントローラ50側でいずれの空気除菌装置1かを特定可能である。
また、アダプタ45は、図5に示すように、集中コントローラ50から操作信号Z(一斉運転を指示する操作信号Z1或いは一斉停止を指示する信号Z2)を入力すると、対応する信号Z1’、Z2’をコントローラ30に出力する。
【0029】
集中コントローラ50は、マイコン51と、表示器として機能するランプ部52と、操作部53とを備えている。マイコン51は、集中コントローラ50全体を制御すると共に、信号線110を介してアダプタ45と通信する機能を備えている。ランプ部52は、図1に示すように、この集中コントローラ50に接続可能な最大数(本例では16台)の空気除菌装置1に1対1で対応する複数(本例では16個)のランプ(発光体)LAを備え、ランプLAの制御部として機能するマイコン51の制御の下、各ランプLAが点灯、点滅或いは消灯制御される。なお、図1に示す「1」〜「16」の数字は、各ランプLAに対応する空気除菌装置1を特定するための番号である。
【0030】
操作部53は、この集中コントローラ50に接続された全ての空気除菌装置1を一斉運転及び一斉停止させるための集中コントロール用の操作子53A、53Bを備え、各操作子53A、53Bが操作された場合、その旨を示す操作信号Z1、Z2が信号線110を介してアダプタ45に出力される。
【0031】
次に、この空気除菌システム100の動作を説明する。
まず、空気除菌装置1の動作を説明する。空気除菌装置1のマイコン34は、記憶部35に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより、図6に示すように、空間清浄運転処理S1、給水判定処理S2、フィルタ判定処理S3及び水交換判定処理S4を実行する。
空間清浄運転処理S1について説明すると、マイコン34は、動作開始操作を示す情報が入力部36から入力されると、循環ポンプ13を動作させて水の循環を開始させると共に、電源部39に基づく所定電圧を電極32、33に印加して電解水を生成させる。その後、マイコン34は送風ファン7を回転駆動させて送風を開始させる。以上の一連の動作により、空気除菌装置1の空気清浄運転(空気除菌運転)が開始される。この空気清浄運転の開始に伴って、マイコン34は、運転信号X1を駆動部38に出力し、駆動部38によって運転ランプL1を点灯させる。また、マイコン34が、動作停止操作を示す情報が入力部36から入力されると、各部の運転を停止すると共に停止信号X2を出力して運転ランプL1を消灯させる。
【0032】
この空間清浄運転処理S1では、集中コントローラ50において一斉運転又は一斉停止の操作子53A、53Bが操作され、アダプタ45から対応する信号が入力された場合、空気除菌装置1のマイコン34は、運転開始又は運転停止の指示として入力し、上述した空気清浄運転の開始処理や運転停止処理を行う。従って、この空気除菌システム100では、各空気除菌装置1が当該装置1の操作パネル41による手動操作と集中コントローラ50からのリモート操作とが可能に構成されている。
【0033】
次に給水判定処理S2について説明すると、マイコン34は、空気清浄運転(空気除菌運転)の実行中に、電解槽フロートスイッチ42及び水受皿フロートスイッチ43の検出結果を監視する。そして、マイコン34は、電解槽フロートスイッチ42によって電解槽31内の水位が低水位となったことが検出され、かつ、水受皿フロートスイッチ43によって水受皿9の貯留部10の水位が低水位となったことが検出された場合に、給水信号X4を出力して給水ランプL3を点灯させると共に、電極32、33への電圧の印加及び循環ポンプ13及び送風ファン7の運転を停止させる。
【0034】
次いでフィルタ判定処理S3について説明すると、マイコン34は、空気清浄運転のトータルの運転時間をタイマカウンタ37により計時し、運転時間が予め定めたフィルタ交換時間に達すると、フィルタ交換信号X3を出力してフィルタランプL2を点灯させる。また、マイコン34は、リセットボタンBTの操作(長押し操作)が入力部36から入力されると、タイマカウンタ37のカウント値をリセットする。
【0035】
次に水交換判定処理S4について説明すると、マイコン34は、タイマカウンタ37により計時された空気清浄運転のトータルの運転時間が予め定めた水交換運転時間に達するか否かを判定する。そして、水交換時間に達すると、マイコン34は、水交換信号X5を出力して水交換ランプL4を点灯させる。また、この方法に代えて、電解槽31の電極32、33間の抵抗値、つまり、水の導電率を検出する導電率検出手段を設け、検出した導電率が予め定めた導電率下限値を下回った場合に、水交換信号X5を出力して水交換ランプL4を点灯させてもよい。また、この場合も、マイコン34は、リセットボタンBTの操作(長押し操作)が入力部36から入力されると、タイマカウンタ37のカウント値をリセットする。
【0036】
上述したように、空気除菌装置1のアダプタ45は、コントローラ30(マイコン34)からの出力信号X1〜X5を監視し、上述したように、運転信号X1を入力した場合は点灯信号Y1を、停止信号X2を入力した場合は消灯信号Y2を、フィルタ交換信号X3、給水信号X4及び水交換信号X5を入力した場合は点滅信号Y3を、信号線110を介して集中コントローラ50に出力する。
【0037】
集中コントローラ50においては、マイコン51が点灯信号Y1を入力した場合、ランプ部52により点灯信号Y1を出力したアダプタ45を設置した空気除菌装置1を示すランプLAを点灯させる。これにより、その空気除菌装置1が運転中である旨を表示することができる。
また、マイコン51が消灯信号Y2を入力した場合は、ランプ部52により、消灯信号Y2を出力したアダプタ45を設置した空気除菌装置1を示すランプLAを消灯させる。これにより、その空気除菌装置1が運転停止中である旨を表示することができる。
【0038】
また、マイコン51が点滅信号Y3を入力した場合には、ランプ部52により点滅信号Y3を出力したアダプタ45を設置した空気除菌装置1を示すランプLAを点灯させる。これにより、その空気除菌装置1がフィルタ交換、給水及び水交換のいずれかを要求している旨を表示することができる。
これらフィルタ交換、給水及び水交換は、いずれも空気除菌装置1に出向くことを必要とする。このため、複数台の空気除菌装置1の管理者(メンテナンス責任者)は、ランプLAの点滅表示によりそのランプLAが示す空気除菌装置1に出向く必要があることを容易に認識することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数台の空気除菌装置1に信号線110を介して接続された集中コントローラ50に、各空気除菌装置1の状態を表示するランプ部52(表示器)を設け、各空気除菌装置1のコントローラ30から給水タンク11の給水や水交換等の水管理を要求する水管理情報(給水信号X4、水交換信号X5)が出力された場合に、その旨をランプ部52で表示可能としたので、各室に分散配置された複数台の空気除菌装置1の水管理を容易にすることができる。
しかも、各空気除菌装置1のコントローラ30に接続されたアダプタ45が、コントローラ30から給水タンク11の給水及び水交換を要求する複数の水管理情報が出力された場合、共通の信号(点滅信号Y3)に変換して集中コントローラ50に出力するようにしたので、集中コントローラ50に出力される信号の種類を低減することができる。従って、集中コントローラ50のマイコン51等の機能(判別可能な信号種類等)が制限されている場合でも、その限られた機能を有効に利用して水管理が必要な旨を確実に集中コントローラ50で表示することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、集中コントローラ50に水管理が必要な旨を表示するランプ部52を設けたので、この集中コントローラ50によって各室に分散配置された複数台の空気除菌装置1を集中コントロールできると共に、水管理が必要な空気除菌装置1を特定でき、複数台の空気除菌装置1の一元管理がより容易になる。
【0041】
なお、本実施形態に係る空気除菌システム100は、本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上述の実施形態では、給水タンク11が空気除菌装置1内に設置される場合について説明したが、これに限らず、図7に示すように、給水タンク11を空気除菌装置1(1A〜1E)の外部に設けてもよい。給水タンク11を外部に設置すれば、給水タンク11の大きさの制限をなくすことができ、給水タンク11を容易に大型化することができる。
【0042】
また、上述の実施形態では、コントローラ30から給水タンク11の給水及び水交換を要求する複数種類の水管理情報が出力された場合に、共通の信号(点滅信号Y3)を集中コントローラ50に出力する場合について説明したが、これに限らず、給水及び水交換のそれぞれに対応する信号を集中コントローラ50に出力するようにしてもよい。
さらに、上述の実施形態では、空気除菌装置1のコントローラ30にアダプタ45を外部接続する場合について説明したが、これに限らず、コントローラ30にアダプタ45を内蔵させるようにしてもよいことを勿論である。
さらに、上述の実施形態では、集中コントローラ50に水管理が必要な旨を表示するランプ部52を設ける場合について説明したが、これに限らず、集中コントローラ50とは別体の表示器(ランプ部52とランプ部52を駆動制御するマイコン(制御部))を設けるようにしてもよい。また、この表示器が液晶表示パネル等の表示パネルを備えた表示器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る空気除菌システムを示す図である。
【図2】空気除菌装置の外観図である。
【図3】空気除菌装置の内部構成を示す図である。
【図4】(A)は空気除菌装置の機械的構成を示す図であり、(B)は電解槽の内部構成を示す図である。
【図5】空気除菌装置1と集中コントローラ50の電気的構成を示す図である。
【図6】空気除菌装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】変形例に係る空気除菌システムを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1、1A〜1E 空気除菌装置
2 筐体
5 気液接触部材
7 送風ファン
9 水受皿
10 貯留部
11 給水タンク
13 循環ポンプ
30 コントローラ
34、51 マイコン
40 報知パネル
41 操作パネル
45 ローカルアダプタ
50 集中コントローラ
52 ランプ部(表示器)
53 操作部
53A、53B 操作子
100 空気除菌システム
110 信号線
BT リセットボタン
L1 運転ランプ
L2 フィルタランプ
L3 給水ランプ
L4 水交換ランプ
LA ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクから供給される水を電気分解して電解水を生成し、この電解水を気液接触部材に供給し、この気液接触部材に空気を送ることによって空気を除菌する複数の空気除菌装置を備えると共に、これら複数の空気除菌装置を複数の室に分散配置し、
各空気除菌装置のコントローラから引き出した信号線を別室に配設された表示器に接続し、この表示器が、前記コントローラから水管理情報を得て表示可能としたことを特徴とする空気除菌システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空気除菌システムにおいて、
前記水管理情報は、前記給水タンクへの給水を要求する情報であることを特徴とする空気除菌システム。
【請求項3】
請求項1に記載の空気除菌システムにおいて、
前記空気除菌装置のコントローラに各々接続され、前記コントローラから前記給水タンクの給水及び当該空気除菌装置内の水交換を要求する信号が出力された場合に、前記信号線を介して共通の信号を表示器に出力するアダプタを備えることを特徴とする空気除菌システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の空気除菌システムにおいて、
前記表示器は、当該表示器に接続された空気除菌装置の各々に割り当てられた複数の発光体と、各発光体を各空気除菌装置からの水管理情報に基づいて駆動制御する制御部とを備えることを特徴とする空気除菌システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の空気除菌システムにおいて、
前記表示器は、前記空気除菌装置への指示を入力する操作部を備え、この操作部の操作を前記信号線を介して各空気除菌装置のコントローラに通知することによって前記空気除菌装置を集中コントロール可能としたことを特徴とする空気除菌システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−61735(P2008−61735A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241151(P2006−241151)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】