説明

空調システム

【課題】植物栽培用の空調システムに関し、設置作業の容易化を図る。
【解決手段】植物栽培用の空調システム(10)は、空気調和装置(11)と、ケース(12a,12b,12c,12d)を少なくとも1つ有するケースユニット(12)とを備えている。ケース(12a,12b,12c,12d)を、植物(30)の培地を収容するための内側ケース部(21)と、該内側ケース部(21)を覆うと共に上部に該内側ケース部(21)の培地に植えられた複数の植物(30)の生長点がそれぞれ挿通される複数の挿通穴(24a)が形成された外側ケース部(22)とを有する内外二重構造のケースに構成する。外側ケース部(22)と内側ケース部(21)との間の内部空間(S1)の少なくとも培地上方の上方空間(S11)に、空気調和装置(11)において加熱又は冷却された空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関し、特に、植物の生長点付近を局部的に温調する植物栽培用の空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、株元に生長点を有するイチゴ等の植物の生長点付近に、空気調和装置において加熱又は冷却された空気を集中的に送り、生長点を局部的に加熱又は冷却することで花芽分化や果実の形成を促進する空調システムが知られている(下記の特許文献1を参照)。特許文献1の空調システムは、空気調和装置と、イチゴの苗が植えられた鉢を設置面よりも上方において支持する高設ベンチと、各苗の生長点(クラウン部)が挿通される挿通穴が形成されて鉢を覆うフィルム部材と、該フィルム部材の内部空間に空気調和装置において加熱又は冷却された空気を導入するダクトとを備えている。上記空調システムでは、ダクトを介してフィルム部材の内部空間に導入された空気が必ずイチゴの苗の生長点付近を通って外部へ吹き出されるように構成することで、イチゴの苗の生長点を局部的に加熱又は冷却することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−227053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記空調システムでは、フィルム部材を設置する際に、内部空間の密閉性を確保しつつ内部空間にダクトの吹出口から挿通穴までの空気通路が形成されるようにフィルム部材を設置しなければならない。また、フィルム部材の挿通穴を通過する空気の風量が所望の風量になるように空気通路を形成するためには、フィルム部材を設置する際に、細かな調整作業が必要となる。以上の点より、上記空調システムでは設置作業が煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、植物栽培用の空調システムに関し、設置作業の容易化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、空気調和装置(11)を備えた植物栽培用の空調システムであって、植物(30)の培地を収容するための内側ケース部(21)と、上記内側ケース部(21)を覆うと共に上部に該内側ケース部(21)の培地に植えられた複数の植物(30)の生長点がそれぞれ挿通される複数の挿通穴(24a)が形成された外側ケース部(22)とを有し、該外側ケース部(22)と上記内側ケース部(21)との間の内部空間(S1)の少なくとも上記培地上方の上方空間(S11)に上記空気調和装置(11)において加熱又は冷却された調和空気を流通させて上記挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されたケース(12a,12b,12c,12d)を少なくとも1つ有するケースユニット(12)を備えている。
【0007】
第1の発明では、内側ケース部(21)と外側ケース部(22)とを有して内部空間(S1)の少なくとも培地上方の上方空間(S11)に空気調和装置(11)において加熱又は冷却された調和空気を流通させて挿通穴(24a)へ導く空気通路(100)が予め形成された内外二重構造のケース(12a,12b,12c,12d)を少なくとも1つ有するケースユニット(12)を備えている。そのため、空気調和装置(11)の運転を開始すると、調和空気が外側ケース部(22)と内側ケース部(21)との間の上方空間(S11)に形成された空気通路(100)を流れて挿通穴(24a)から外側ケース部(22)の外部へ吹き出される。ここで、挿通穴(24a)には、内側ケース部(21)の培地に植えられた植物(30)(以下、単に「栽培用植物(30)」と称する)の生長点(31)が挿通されるため、調和空気は必ず栽培用植物(30)の生長点(31)の周辺を通ってケース(12a,12b,12c,12d)の外部へ吹き出されることとなる。その結果、栽培用植物(30)の生長点(31)が調和空気によって加熱又は冷却される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、上記内部空間(S1)は、上記上方空間(S11)と連通する上記内側ケース部(21)の側方の側方空間(S12)と、該側方空間(S12)に連通して上記空気調和装置(11)において加熱又は冷却された空気が導入される上記内側ケース部(21)の下方の下方空間(S13)とをさらに有し、上記空気通路(100)は、上記内部空間(S1)の上記下方空間(S13)から上記上方空間(S11)に亘って形成されている。
【0009】
第2の発明では、空気通路(100)が内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って形成されているため、空気調和装置(11)から下方空間(S13)に導入された調和空気は、側方空間(S12)を通過して上方空間(S11)に至り、挿通穴(24a)から外部へ吹き出される。つまり、空気調和装置(11)から吹き出された調和空気は、まず内側ケース部(21)に収容される培地の下方に導入され、培地の側方を通過して培地の上方に至り、挿通穴(24a)から吹き出される。このように内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように空気通路(100)が形成されているため、栽培用植物(30)の生長点(31)だけでなく培地も調和空気によって加熱又は冷却される。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、上記内部空間(S1)は、上記内側ケース部(21)の側方の側方空間(S12)と、該側方空間(S12)に連通する上記内側ケース部(21)の下方の下方空間(S13)とをさらに有し、上記ケース(12a,12b,12c,12d)は、上記上方空間(S11)と上記側方空間(S12)との間を仕切る仕切部材(27)をさらに有し、上記側方空間(S12)と上記下方空間(S13)とによって構成される空間には、上記空気通路(100)と異なる流体が流れる流体通路(101)が形成されている。
【0011】
第3の発明では、上方空間(S11)に空気通路(100)が形成されているため、空気調和装置(11)の調和空気は、上方空間(S11)に導入されて挿通穴(24a)から外部へ吹き出される。一方、側方空間(S12)と下方空間(S13)とからなる空間に流体通路(101)が形成されているため、空気通路(100)と異なる流体が側方空間(S12)及び下方空間(S13)を流れることとなる。その結果、上方空間(S11)では調和空気によって栽培用植物(30)の生長点(31)が加熱又は冷却され、側方空間(S12)と下方空間(S13)とからなる空間では調和空気とは異なる流体によって内側ケース部(21)に収容された培地が加熱又は冷却される。
【0012】
第4の発明は、第2の発明において、上記内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)は共に平面視において略長方形形状に形成され、上記側方空間(S12)は、上記内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びる第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)とによって構成され、上記ケース(12a,12b,12c,12d)には、上記下方空間(S13)を幅方向に第1下方空間(S13a)と第2下方空間(S13b)とに仕切ると共に、上記第1下方空間(S13a)の空気が上記第1側方空間(S12a)を介して上記上方空間(S11)に導かれ且つ上記第2下方空間(S13b)の空気が上記第2側方空間(S12b)を介して上記上方空間(S11)に導かれるように上記空気通路(100)を形成する仕切部材(25)が設けられ、上記ケースユニット(12)は、上記第1下方空間(S13a)が水平方向且つ長手方向に延びる上記調和空気の折返し通路(50)の往路(51)の少なくとも一部を構成し、上記第2下方空間(S13b)が上記折返し通路(50)の復路(52)の少なくとも一部を構成するように構成されている。
【0013】
第4の発明では、ケース(12a,12b,12c,12d)において、下方空間(S13)は仕切部材(25)によって幅方向に2つに仕切られ、一方側の第1下方空間(S13a)には折返し通路(50)の往路(51)の調和空気が流れて、他方側の第2下方空間(S13b)には折返し通路(50)の復路(52)の調和空気が流れる。第1下方空間(S13a)を流れる往路(51)の調和空気は、第1側方空間(S12a)を介して上方空間(S11)に供給され、第2下方空間(S13b)を流れる復路(52)の調和空気は第2側方空間(S12b)を介して上方空間(S11)に供給され、該上方空間(S11)において往路(51)と復路(52)との調和空気が混ざり合うこととなる。
【0014】
ここで、例えば、調和空気が加熱用の高温の空気である場合、折返し通路(50)の空気は下流側ほど温度が低くなる。そのため、第1下方空間(S13a)から第1側方空間(S12a)に流入した調和空気は長手方向の一端から他端に向かうにつれて温度が低くなる一方、第2下方空間(S13b)から第2側方空間(S12b)に流入した調和空気は長手方向の一端から他端に向かうにつれて温度が高くなる。つまり、第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)とにおける調和空気の長手方向の温度勾配は逆向きとなる。このような長手方向において逆向きの温度勾配の第1側方空間(S12a)の調和空気と第2側方空間(S12b)の調和空気とが上方空間(S11)において混ざり合うことで、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じなくなる。つまり、長手方向に複数形成された挿通穴(24a)を通過する調和空気の温度が略等しくなる。
【0015】
第5の発明は、第2の発明において、上記内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)は共に平面視において略長方形形状に形成され、上記側方空間(S12)は、上記内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びるように形成され、上記ケース(12a,12b,12c,12d)には、上記下方空間(S13)に、上記ケースユニット(12)の水平方向且つ長手方向に延びる上記調和空気の折返し通路(50)の少なくとも一部を形成すると共に、該折返し通路(50)の往路(51)及び復路(52)を流れる空気が長手方向において交互に上記側方空間(S12)を介して上記上方空間(S11)に導かれるように上記空気通路(100)を形成する通路形成部材(26)が設けられている。
【0016】
第5の発明では、ケース(12a,12b,12c,12d)では、下方空間(S13)に形成された折返し通路(50)の往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが長手方向において交互に側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に導かれる。そして、長手方向に交互に側方空間(S12)に流入した折返し通路(50)の往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とは、上方空間(S11)において混ざり合う。
【0017】
ここで、例えば、調和空気が加熱用の高温の空気である場合、折返し通路(50)の調和空気は下流側ほど温度が低くなる。つまり、復路(52)の調和空気は往路(51)の調和空気よりも温度が低くなる。一方、調和空気が冷却用の低温の空気である場合、折返し通路(50)の調和空気は下流側ほど温度が高くなる。つまり、復路(52)の調和空気は往路(51)の調和空気よりも温度が高くなる。そのため、上述のように上方空間(S11)に長手方向に交互に往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが供給されることにより、上方空間(S11)には、長手方向に交互に高温の空気と低温の空気とが供給されることとなる。そして、このような温度の異なる往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが上方空間(S11)において混ざり合うことで、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じなくなる。つまり、長手方向に複数形成された挿通穴(24a)を通過する調和空気の温度が略等しくなる。
【0018】
第6の発明は、第2の発明において、上記内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)は共に平面視において一方に長く形成され、上記側方空間(S12)は、上記内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びるように形成され、上記下方空間(S13)には、上記ケースユニット(12)の長手方向に延びて該長手方向の一端部から導入された上記調和空気を長手方向に流通させる下方空気通路(90)の少なくとも一部を区画すると共に、該下方空気通路(90)の上記調和空気を上記下方空間(S13)に吹き出す複数の吹出口(65)が長手方向に間隔を空けて形成された通路区画部材(60)が設けられている。
【0019】
ところで、上述のように、内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)が共に平面視において一方に長く形成されている場合、下方空間(S13)の長手方向の一端側から調和空気が導入されると、他端側まで調和空気が到達し難く、下方空間(S13)の長手方向の他端側に対応する位置に植えられた栽培用植物(30)の生長点(31)に供給される調和空気の量が不足するおそれがある。
【0020】
これに対し、第6の発明では、下方空間(S13)に、上記通路区画部材(60)を設けてケースユニット(12)の長手方向に延びて該長手方向の一端部から導入された上記調和空気を長手方向に流通させる下方空気通路(90)を形成している。そのため、調和空気は、下方空気通路(90)に導入されることにより、ケースユニット(12)の長手方向の奥側まで調和空気が到達すると共に、長手方向に配列された複数の吹出口(65)を介して下方空気通路(90)から下方空間(S13)に満遍なく調和空気が吹き出されることとなる。下方空間(S13)の長手方向に満遍なく吹き出された調和空気は、側方空間(S12)及び上方空間(S11)を通過して、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)付近に満遍なく供給される。
【0021】
第7の発明は、第6の発明において、上記通路区画部材(60)は、上記複数の吹出口(65)の開口面積が、上記下方空気通路(90)の長手方向において上記調和空気が導入される導入側端部に向かうほど、大きくなるように構成されている。
【0022】
第8の発明は、第6の発明において、上記通路区画部材(60)は、上記複数の吹出口(65)の間隔が、上記下方空気通路(90)の長手方向において上記調和空気が導入される導入側端部に向かうほど、短くなるように構成されている。
【0023】
第9の発明は、第6の発明において、上記通路区画部材(60)は、上記下方空気通路(90)の通路断面積が、長手方向において上記調和空気が導入される導入側端部に向かうほど、大きくなるように構成されている。
【0024】
ところで、上述のような下方空気通路(90)では、下流側に向かうほど、調和空気による動圧が低下する一方、静圧が増大する。言い換えると、下方空気通路(90)では、長手方向の導入側端部に向かうほど、動圧が高くなる一方、静圧が低くなる。そのため、下方空気通路(90)の導入側端部付近の吹出口(65)では、下流側端部付近の吹出口(65)に比べて調和空気が吹き出され難くなる。その結果、下方空間(S13)に吹き出される調和空気の吹き出し量は、下方空気通路(90)の下流側端部において多くなる一方、導入側端部に向かうほど少なくなる。このように下方空間(S13)に吹き出される調和空気の吹き出し量に斑が生じると、下方空間(S13)から側方空間(S12)及び上方空間(S11)を介して複数の栽培用植物(30)の生長点(31)付近に供給される調和空気の風量にも斑が生じてしまう。
【0025】
これに対し、第7の発明では、複数の吹出口(65)の開口面積が下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど大きくなるように通路区画部材(60)が構成されている。そのため、下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど静圧が低くなるが、静圧が低くなるに従って吹出口(65)の開口面積が大きくなる。その結果、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量が等しくなり、下方空気通路(90)の長手方向に亘って調和空気の吹き出し量が等しくなる。
【0026】
また、第8の発明では、複数の吹出口(65)の間隔が下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど短くなるように通路区画部材(60)が構成されている。そのため、下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど静圧が低くなるが、静圧が低くなるに従って吹出口(65)の間隔が短くなって単位長さ当たりに形成される吹出口(65)の個数が増大する。その結果、下方空気通路(90)の長手方向に亘って調和空気の吹き出し量が等しくなる。
【0027】
また、第9の発明では、下方空気通路(90)の通路断面積が長手方向において導入側端部に向かうほど大きくなるように通路区画部材(60)が構成されている。つまり、下方空気通路(90)の通路断面積は、長手方向において下流側端部に向かうほど小さくなる。そのため、下方空気通路(90)の通路断面積が長手方向に亘って一様であると、調和空気の流速が徐々に低下するところ、上記構成によれば、調和空気の流速が低下せず、静圧も増大しない。つまり、下方空気通路(90)の長手方向において静圧が一様になる。その結果、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量が等しくなり、下方空気通路(90)の長手方向に亘って調和空気の吹き出し量が等しくなる。
【0028】
第10の発明は、第6乃至第9のいずれか1つにおいて、上記通路区画部材(60)は、上記ケースユニット(12)を長手方向に貫くダクト部材によって構成されている。
【0029】
第10の発明では、ケースユニット(12)を長手方向に貫くダクト部材によって通路区画部材(60)が構成されている。
【0030】
第11の発明は、第1乃至第10のいずれか1つの発明において、上記外側ケース部(22)は、上面に開口が形成された箱状のケース本体(23)と、上記挿通穴(24a)が形成されて上記開口を覆うフィルム部材(24)とによって構成されている。
【0031】
第11の発明では、外側ケース部(22)がケース本体(23)と挿通穴(24a)が形成されたフィルム部材(24)とによって容易に構成される。
【0032】
第12の発明は、第1乃至第11のいずれか1つの発明において、上記ケースユニット(12)は、上記ケース(12a,12b,12c,12d)を複数有し、上記複数のケース(12a,12b,12c,12d)は、一列に配列されて相隣る上記ケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の上記空気通路(100)どうしが連通するように連結されている。
【0033】
第12の発明では、複数の内外二重構造のケース(12a,12b,12c,12d)が長手方向に配列され、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の空気通路(100)どうしが連通するように連結されている。そのため、空気調和装置(11)から吹き出された調和空気をケースユニット(12)の一端側のケース(12a)の空気通路(100)に導入することにより、他のケース(12b,12c,12d)の空気通路(100)にも調和空気が導入される。
【0034】
第13の発明は、第1乃至第12のいずれか1つの発明において、上記ケース(12a,12b,12c,12d)は、上記内側ケース部(21)の内部の排水を上記外側ケース部(22)の外部へ導く排水管(41)を有している。
【0035】
第13の発明では、内側ケース部(21)に収容された培地の排水は、排水管(41)を介してケース(12a,12b,12c,12d)外部へ排出される。
【0036】
第14の発明は、第12の発明において、上記各内側ケース部(21)の底部にはそれぞれ排水口(42)が形成され、上記ケースユニット(12)には、長手方向に延びて上記各排水口(42)から流出した排水を長手方向の一端部に導く排水路(43)が形成されている。
【0037】
第14の発明では、複数のケース(12a,12b,12c,12d)のそれぞれの内側ケース部(21)に収容された培地の排水は、排水路(43)を介してケースユニット(12)の長手方向の一端部に導かれる。つまり、複数のケース(12a,12b,12c,12d)の排水が、排水路(43)によって一箇所に集められることとなる。
【発明の効果】
【0038】
第1の発明によれば、空調システムにおいて、内側ケース部(21)と外側ケース部(22)とを有して内部空間(S1)の少なくとも培地上方の上方空間(S11)に調和空気を流通させて挿通穴(24a)へ導く空気通路(100)が予め形成された内外二重構造のケースを用いることとした。そのため、ケース(12a,12b,12c,12d)を設置するだけで設置現場において調和空気を挿通穴(24a)へ導く空気通路(100)を形成する必要がなく、また、挿通穴(24a)における空気の風量が所望の風量となるように細かな調整作業を行う必要もない。従って、従来の空調システムに比べて設置作業を各段に容易化することができる。また、ケース形成時に空気通路(100)の密閉性を確保することができるため、調和空気による栽培用植物(30)の生長点(31)の加熱又は冷却を確実に行うことができる。さらに、空気通路(100)が予め形成された内外二重構造のケースを用いることとしたため、床上や棚上等の様々な設置箇所に設置することが可能となる。
【0039】
また、第2の発明によれば、内側ケース部(21)に収容された培地の下方から上方に亘って培地を取り囲むように空気通路(100)を形成したため、栽培用植物(30)の生長点(31)だけでなく培地をも調和空気によって加熱又は冷却することができる。
【0040】
また、第3の発明によれば、内部空間(S1)の上方空間(S11)と側方空間(S12)との間を仕切部材(27)によって上下に仕切り、上側の空間(上方空間(S11))に空気通路(100)を形成する一方、下側の空間(側方空間(S12)及び下方空間(S13))に空気通路(100)と異なる流体が流れる流体通路(101)を形成したため、栽培用植物(30)の生長点(31)と培地とを異なる温度の流体によってそれぞれ加熱又は冷却することができる。つまり、栽培用植物(30)の生長点(31)と培地とをそれぞれ適正な温度で加熱又は冷却することが可能となる。
【0041】
また、第4の発明によれば、ケースユニット(12)に形成された折返し通路(50)の往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが、それぞれ内側ケース部(21)の別個の側方空間(S12a,S12b)を通過して上方空間(S11)で混ざり合うように構成したため、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じないようにすることができる。従って、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)を略等しい温度の空気によって加熱又は冷却することができる。
【0042】
また、第5の発明によれば、ケース(12a,12b,12c,12d)に折返し通路(50)の少なくとも一部を形成すると共に、折返し通路(50)の往路(51)及び復路(52)を流れる空気が長手方向において交互に側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に導かれるように構成したため、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じないようにすることができる。従って、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)を略等しい温度の空気によって加熱又は冷却することができる。
【0043】
また、第6の発明によれば、下方空間(S13)に、ケースユニット(12)の長手方向に延びて調和空気を長手方向に流通させる下方空気通路(90)の少なくとも一部を区画すると共に、複数の吹出口(65)が長手方向に間隔を空けて形成された通路区画部材(60)を設けることとした。これにより、通路区画部材(60)によって区画される下方空気通路(90)を介して調和空気を下方空間(S13)に満遍なく供給することができる。そのため、下方空間(S13)から内側ケース部(21)の幅方向の両側方に形成された側方空間(S12)及び上方空間(S11)を介して複数の栽培用植物(30)の生長点(31)付近に満遍なく調和空気を供給することができる。従って、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0044】
また、第7の発明によれば、複数の吹出口(65)の開口面積が下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど大きくなるように通路区画部材(60)を構成した。つまり、下方空気通路(90)において静圧が低くなる調和空気の導入側に設けられた吹出口(65)ほど開口面積が大きくなるように通路区画部材(60)を構成することとした。これにより、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量を等しくすることができ、下方空気通路(90)から下方空間(S13)へ吹き出される調和空気の吹き出し量を、下方空気通路(90)の長手方向に亘って等しくすることができる。そのため、下方空間(S13)から内側ケース部(21)の幅方向の両側方に形成された側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に供給される調和空気の風量も長手方向に亘って等しくすることができる。その結果、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)付近に略等量の調和空気を供給することができるため、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0045】
また、第8の発明によれば、複数の吹出口(65)の間隔が下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど短くなるように通路区画部材(60)を構成した。つまり、下方空気通路(90)において静圧が低くなる調和空気の導入側ほど吹出口(65)が多く形成されるように通路区画部材(60)を構成することとした。従って、下方空間(S13)へ吹き出される調和空気の吹き出し量を下方空気通路(90)の長手方向に亘って等しくすることができ、ひいては、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0046】
また、第9の発明によれば、下方空気通路(90)の通路断面積が長手方向において導入側端部に向かうほど大きくなるように通路区画部材(60)を構成した。つまり、下方空気通路(90)の通路断面積は、長手方向において下流側端部に向かうほど小さくなるように通路区画部材(60)を構成した。そのため、下方空気通路(90)の通路断面積が長手方向に亘って一様であると、調和空気の流速が徐々に低下するところ、上記構成によれば、調和空気の流速が低下せず、静圧も増大しない。つまり、下方空気通路(90)における調和空気による静圧を長手方向に亘って一様にすることができる。これにより、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量を等しくすることができる。従って、下方空間(S13)へ吹き出される調和空気の吹き出し量を下方空気通路(90)の長手方向に亘って等しくすることができ、ひいては、複数の栽培用植物(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0047】
また、第10の発明によれば、通路区画部材(60)を容易に構成することができる。
【0048】
また、第11の発明によれば、挿通穴(24a)が形成された外側ケース部(22)を容易に構成することができる。
【0049】
また、第12の発明によれば、複数の内外二重構造のケース(12a,12b,12c,12d)を相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の空気通路(100)どうしが連通するように連結することにより、空気調和装置1台で複数のケース(12a,12b,12c,12d)の空気通路(100)に調和空気を導入することができる。また、このように複数のケース(12a,12b,12c,12d)を連結するだけで、培地の長さを容易に変更することができる。
【0050】
また、第13の発明によれば、容易な構成により、内側ケース部(21)に収容された培地の排水を行うことができる。
【0051】
また、第14の発明によれば、複数のケース(12a,12b,12c,12d)の排水を1箇所において回収することができる。そのため、除菌等を行って排水を浄化することにより、培養液等に再利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、実施形態1の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、図1のII−II断面図である。
【図3】図3は、図1の一部分を拡大して詳細に示す断面図である。
【図4】図4は、図2のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、実施形態2の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI断面図である。
【図7】図7は、図5の一部分を拡大して詳細に示す断面図である。
【図8】図8は、図6のVIII−VIII断面図である。
【図9】図9は、実施形態3の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図10】図10は、図9のX−X断面図である。
【図11】図11は、図10のXI−XI断面図である。
【図12】図12は、実施形態4の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図13】図13は、図12のXIII−XIII断面図である。
【図14】図14は、図12のXIV−XIV断面図である。
【図15】図15は、図13及び図14のXV−XV断面図である。
【図16】図16は、図12の一部分を拡大して詳細に示す断面図である。
【図17】図17は、実施形態5の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図18】図18は、図17のXVIII−XVIII断面図である。
【図19】図19は、図17の一部分を拡大して詳細に示す断面図である。
【図20】図20は、実施形態6の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図21】図21は、図20のXXI−XXI断面図である。
【図22】図22は、実施形態7の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図23】図23は、図22のXXIII−XXIII断面図である。
【図24】図24は、実施形態8の空調システムの構成を模式的に示す図である。
【図25】図25は、図24のXXV−XXV断面図である。
【図26】図26は、実施形態9の空調システムのケースの断面図である。
【図27】図27は、実施形態10の空調システムのケース付近の断面図である。
【図28】図28は、実施形態11の空調システムのケース付近の断面図である。
【図29】図29は、実施形態12の空調システムのケース付近の断面図である。
【図30】図30は、実施形態13の空調システムのケース付近の断面図である。
【図31】図31は、実施形態14の空調システムの横断面図である。
【図32】図32は、実施形態14のケースユニットの縦断面図である。
【図33】図33は、実施形態15のケースユニットの縦断面図である。
【図34】図34は、実施形態16のケースユニットの縦断面図である。
【図35】図35は、実施形態17の空調システムの横断面図である。
【図36】図36は、実施形態17のケースユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0054】
《発明の実施形態1》
−全体構成−
図1は、本発明の実施形態に係る空調システム(10)は、ビニルハウス(1)に設置されている。
【0055】
上記空調システム(10)は、空気調和装置(11)と、第1〜第4ケース(12a〜12d)を有するケースユニット(12)とを備えている。
【0056】
上記空気調和装置(11)は、ビニルハウス(1)の内外に跨って設置されている。該空気調和装置(11)の吸込口は、ビニルハウス(1)の内部において開口している。一方、空気調和装置(11)の吹出口には上記ダクト(16)の一端が接続され、該ダクト(16)の他端は、ケースユニット(12)の長手方向の一端部、具体的には空気調和装置(11)に最も近い第1ケース(12a)の後述する導入口(23a)に接続されている。これにより、空気調和装置(11)は、ビニルハウス(1)の内部の空気を吸い込み、加熱又は冷却した後、ダクト(16)を介して第1ケース(12a)内に加熱空気又は冷却空気を吹き出すように構成されている。
【0057】
上記第1〜第4ケース(12a〜12d)は、長手方向に一列に配列され、空気調和装置(11)に最も近くに第1ケース(12a)が配置され、続いて第2ケース(12b)、第3ケース(12c)、第4ケース(12d)の順に一列に配列されている。第1〜第4ケース(12a〜12d)は、それぞれ植物の培地を収容するための内側ケース部(21)と、内側ケース部を覆う外側ケース部(22)とを有している。
【0058】
図2〜図4に示すように、内側ケース部(21)は、樹脂によって上面が開口する筺状体に形成され、平面視において略長方形形状に形成されている。内側ケース部(21)の内部には、植物の培地が収容されている。実施形態1では、培地は土によって構成され、複数のイチゴの苗(30)が植えられている。
【0059】
外側ケース部(22)は、ケース本体(23)とフィルム部材(24)とを有し、内側ケース部(21)を覆っている。外側ケース部(22)と内側ケース部(21)との間には、内部空間(S1)が形成されている。
【0060】
ケース本体(23)は、樹脂によって上面に開口が形成された筺状体に形成されている。また、図2〜図4では図示を省略しているが、ケース本体(23)は内側ケース部(21)を支持する支持部を有している。ケース本体(23)は、平面視において内側ケース部(21)と相似形状の略長方形形状に形成されている。ケース本体(23)の長手方向の一端部には、空気調和装置(11)において加熱又は冷却された空気(以下、「調和空気」と称する。)を内部空間(S1)に導入するための導入口(23a)が形成され、長手方向の他端部には、内部空間(S1)の調和空気を隣接するケース(12b,12c,12d)に送るための導出口(23b)が形成されている。なお、実施形態1では、第4ケース(12d)には導出口(23b)が形成されていないが、第4ケース(12d)に導出口(23b)を形成すると共に閉塞部材によって閉塞することとしてもよい。
【0061】
フィルム部材(24)は、実施形態1では、ビニルシートによって構成されている。該フィルム部材(24)は、ケース本体(23)の上面を覆っている。フィルム部材(24)の上面には、複数の挿通穴(24a)が形成されている。この複数の挿通穴(24a)は、内側ケース部(21)に収容された培地に植えられた複数のイチゴの苗(30)の根元に形成される生長点(クラウン部)(31)を挿通するために形成されており、複数のイチゴの苗(30)の位置に対応する位置に形成されている。なお、該挿通穴(24a)は、実施形態1では、直径5cm程度の丸穴形状に形成されている。また、フィルム部材(24)は、その端部(24b)がケース本体(23)の側面に固定されている。図示は省略するが、フィルム部材(24)の端部(24b)は、ケース本体(23)の外側面に形成された溝と固定部材との間に挟み込まれることによって、端部(24b)とケース本体(23)との間から内部の空気が漏れないように固定されている。
【0062】
また、上記内部空間(S1)は、内側ケース部(21)の上方の上方空間(S11)と、内側ケース部(21)の側方の側方空間(S12)と、内側ケース部(21)の下方の下方空間(S13)とを有し、内側ケース部(21)の下方から上方に亘って形成されている。また、側方空間(S12)は、内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びる第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)とによって構成されている。実施形態1では、上方空間(S11)と第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)とがそれぞれ連通し、第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)と下方空間(S13)とがそれぞれ連通している。また、上記導入口(23a)及び上記導出口(23b)は、下方空間(S13)において開口するように形成され、上記フィルム部材(24)の挿通穴(24a)は、上方空間(S11)において開口するように形成されている。
【0063】
また、内部空間(S1)には、調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されている。実施形態1では、空気通路(100)は、内部空間(S1)全体によって構成されている。つまり、空気通路(100)は、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成されている。このような構成により、導入口(23a)から各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)に導入された調和空気は下方空間(S13)を導出口(23b)に向かって長手方向に流れる一方、その一部は下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)とを通過して上方空間(S11)に至り、挿通穴(24a)から吹き出される。
【0064】
以上のような構成により、上記第1〜第4ケース(12a〜12d)は、それぞれ内側ケース部(21)と外側ケース部(22)とを備えた内外二重構造のケースに構成されている。また、各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)には、それぞれ調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成され、各ケース(12a〜12d)は、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の空気通路(100)どうしが連通するように連結されている。具体的には、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の導出口(23b)と導入口(23a)とがそれぞれ連結されている。
【0065】
また、実施形態1では、上記ケースユニット(12)の第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれに内側ケース部(21)内の排水を外側ケース部(22)の外部へ導く排水管(41)が設けられている。排水管(41)は、上端が内側ケース部(21)の底板において開口する一方、下端が外側ケース部(22)を貫通して該外側ケース部(22)の底板よりも下方において下向きに開口している。図示は省略するが、内側ケース部(21)の底板は、排水管(41)の上端開口に排水が集まるように構成されている。
【0066】
図1に示すように、上記ケースユニット(12)は、高設ベンチ(13)によって設置面よりも上方において支持されている。高設ベンチ(13)は、平行に配置された2本の水平パイプ(13a)と、この2本の水平パイプ(13a)を支持する複数の鉛直パイプ(13b)とによって構成されている。2本の水平パイプ(13a)は、水平方向に長く(例えば、30m程度)形成されている。一方、2本の鉛直パイプ(13b)は、高さが100cm程度となるように形成されている。
【0067】
また、2本の水平パイプ(13a)は、20cm程度の間隔を空けて配置され、該2本の水平パイプ(13a)にはケースユニット(12)を構成する第1〜第4ケース(12a〜12d)が据え付けられている。
【0068】
−各種動作−
上記空気調和装置(11)を稼働させると、ビニルハウス(1)内の空気が空気調和装置(11)内に吸い込まれ、内部において加熱又は冷却された後、ダクト(16)を介してケースユニット(12)の空気調和装置(11)に最も近い第1ケース(12a)の下方空間(S13)に導入される。
【0069】
第1ケース(12a)の導入口(23a)から下方空間(S13)に導入された調和空気は長手方向に流れて導出口(23b)及び第2ケース(12b)の導入口(23a)を介して該第2ケース(12b)の下方空間(S13)に導入される。そして、第2ケース(12b)の下方空間(S13)に導入された調和空気は長手方向に流れて導出口(23b)及び第3ケース(12c)の導入口(23a)を介して該第3ケース(12c)の下方空間(S13)に導入される。そして、第3ケース(12c)の下方空間(S13)に導入された調和空気は長手方向に流れて導出口(23b)及び第4ケース(12d)の導入口(23a)を介して該第4ケース(12d)の下方空間(S13)に導入される。第4ケース(12d)から内部空間(S1)に導入された調和空気は下方空間(S13)を長手方向に流れる。
【0070】
一方、第1〜第4ケース(12a〜12d)において、下方空間(S13)を長手方向に流れる調和空気の一部は、各内部空間(S1)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。具体的には、下方空間(S13)を長手方向に流れる調和空気の一部は、下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)のそれぞれを通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。
【0071】
このように、調和空気が、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成された空気通路(100)を通過することにより、内側ケース部(21)内の培地が加熱又は冷却される。また、調和空気が、空気通路(100)を通過して複数の挿通穴(24a)のそれぞれからビニルハウス(1)内に吹き出されることにより、調和空気が該複数の挿通穴(24a)に挿通されたイチゴの苗(30)の生長点(クラウン部)(31)の周囲を必ず通過するため、該生長点(31)が調和空気によって加熱又は冷却される。
【0072】
−実施形態1の効果−
以上より、本空調システム(10)によれば、内側ケース部(21)と外側ケース部(22)とを有して両ケース部(21,22)の間の内部空間(S1)の少なくとも培地上方の上方空間(S11)に調和空気を流通させて挿通穴(24a)へ導く空気通路(100)が予め形成された内外二重構造のケースを用いることとした。そのため、ケース(12a,12b,12c,12d)を設置するだけで設置現場において調和空気を挿通穴(24a)へ導く空気通路(100)を形成する必要がなく、また、挿通穴(24a)における空気の風量が所望の風量となるように細かな調整作業を行う必要もない。従って、従来の空調システムに比べて設置作業を各段に容易化することができる。また、ケース形成時に空気通路(100)の密閉性を確保することができるため、調和空気によるイチゴの苗(30)の生長点(31)の加熱又は冷却を確実に行うことができる。さらに、空気通路(100)が予め形成された内外二重構造のケースを用いることとしたため、床上や棚上等の様々な設置箇所に設置することが可能となる。
【0073】
また、本空調システム(10)によれば、内側ケース部(21)に収容された培地の下方から上方に亘って培地を取り囲むように空気通路(100)を形成したため、イチゴの苗(30)の生長点(31)だけでなく培地をも調和空気によって加熱又は冷却することができる。
【0074】
また、本空調システム(10)では、各外側ケース部(22)を、上面に開口が形成された箱状のケース本体(23)と挿通穴(24a)が形成されて上記開口を覆うフィルム部材(24)とによって構成することとしている。そのため、挿通穴(24a)が形成された外側ケース部(22)を容易に構成することができる。また、フィルム部材(24)の配置を調整することにより、挿通穴(24a)の位置を調整することが可能となる。
【0075】
また、本空調システム(10)では、複数の内外二重構造のケース(12a,12b,12c,12d)を相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の空気通路(100)どうしが連通するように連結することとしている。そのため、空気調和装置1台で複数のケース(12a,12b,12c,12d)の空気通路(100)に調和空気を導入することができる。また、このように複数のケース(12a,12b,12c,12d)を連結するだけで、培地の長さを容易に変更することができる。
【0076】
また、本空調システム(10)では、各ケース(12a,12b,12c,12d)に、内側ケース部(21)の内部の排水を上記外側ケース部(22)の外部へ導く排水管(41)を設けている。そのため、容易な構成により、内側ケース部(21)に収容された培地の排水を行うことができる。
【0077】
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を一部変更したものである。具体的には、図5〜図8に示すように、実施形態2では、第1〜第4ケース(12a〜12d)の側方空間(S12)は、内側ケース部(21)の長手方向の両側方において幅方向に延びる第3側方空間(S12c)と第4側方空間(S12d)とによって構成されている。そして、実施形態2では、上方空間(S11)と第3側方空間(S12c)及び第4側方空間(S12d)とがそれぞれ連通し、第3側方空間(S12c)及び第4側方空間(S12d)と下方空間(S13)とがそれぞれ連通している。
【0078】
また、実施形態2においても、内部空間(S1)には、調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されている。実施形態2においても、空気通路(100)は、内部空間(S1)全体によって構成されている。つまり、空気通路(100)は、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成されている。このような構成により、導入口(23a)から各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)に導入された調和空気は下方空間(S13)を導出口(23b)に向かって長手方向に流れる一方、その一部は下方空間(S13)から第3側方空間(S12c)と第4側方空間(S12d)とを通過して上方空間(S11)に至り、挿通穴(24a)から吹き出される。
【0079】
その他の構成及び作用は実施形態1と同様であるため説明を省略する。また、このような実施形態2の空調システム(10)によっても実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0080】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を一部変更したものである。具体的には、図9〜図11に示すように、実施形態3では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれの下方空間(S13)に、該下方空間(S13)を幅方向に仕切る仕切部材(25)が設けられている。
【0081】
上記仕切部材(25)は、鉛直方向且つ長手方向に延びる仕切板(25a)によって構成されている。該仕切板(25a)は、上端が内側ケース部(21)の底板に固定されると共に下端が外側ケース部(22)の底板に固定されている。また、第1〜第3ケース(12a,12b,12c)の各仕切板(25a)は、各下方空間(S13)の長手方向の一端から他端に亘って形成されている。第4ケース(12d)の仕切板(25a)は、下方空間(S13)の長手方向の第3ケース(12c)側の一端から他端に向かって延び、他端の手前まで延びている。
【0082】
実施形態3では、このような各第1〜第4ケース(12a〜12d)の下方空間(S13)に設けられた仕切板(25a)によって、各下方空間(S13)が第1側方空間(S12a)側の第1下方空間(S13a)と第2側方空間(S12b)側の第2下方空間(S13b)とに仕切られている。
【0083】
また、実施形態3では、外側ケース部(22)のケース本体(23)の長手方向の一端部には、導入口(23a)と第2導出口(23c)とが形成され、長手方向の他端部には、導出口(23b)と第2導入口(23d)とが形成されている。実施形態3では、第1ケース(12a)には第2導出口(23c)が形成されず、第4ケース(12d)には導出口(23b)と第2導入口(23d)とが形成されていないが、第1ケース(12a)に第2導出口(23c)を形成し、第4ケース(12d)に導出口(23b)と第2導入口(23d)とを形成して、それぞれを閉塞部材によって閉塞することとしてもよい。
【0084】
また、実施形態3では、上方空間(S11)と第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)とがそれぞれ連通し、第1側方空間(S12a)と第1下方空間(S13a)とが連通し、第2側方空間(S12b)と第2下方空間(S13b)とが連通している。また、上記導入口(23a)及び上記導出口(23b)は、第1下方空間(S13a)において開口するように形成され、上記第2導入口(23d)及び上記第2導出口(23c)は、第2下方空間(S13b)において開口するように形成されている。
【0085】
このような構成により、実施形態3では、ケースユニット(12)には、水平方向且つ長手方向に延びて調和空気が流れる往路(51)及び復路(52)を有する折返し通路(50)が形成される。具体的には、ケースユニット(12)の相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の第1下方空間(S13a)は、それぞれ導入口(23a)と導出口(23b)とによって連通されて長手方向に延びる1本の空気通路である上記往路(51)を構成する。また、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の第2下方空間(S13b)は、それぞれ第2導入口(23d)と第2導出口(23c)とによって連通されて長手方向に延びる1本の空気通路である上記復路(52)を構成する。つまり、各ケース(12a〜12d)の第1下方空間(S13a)は、折返し通路(50)の往路(51)の一部を構成し、各ケース(12a〜12d)の第2下方空間(S13b)は、折返し通路(50)の復路(52)を構成している。
【0086】
また、実施形態3においても、内部空間(S1)には、調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されている。実施形態3においても、空気通路(100)は、内部空間(S1)全体によって構成されている。つまり、空気通路(100)は、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成されている。また、空気通路(100)は、仕切部材(25)によって、折返し通路(50)の往路(51)の一部を構成する第1下方空間(S13a)の調和空気が第1側方空間(S12a)を介して上方空間(S11)に導かれ且つ復路(52)の一部を構成する第2下方空間(S13b)の調和空気が第2側方空間(S12b)を介して上方空間(S11)に導かれるように形成されている。
【0087】
このような構成により、第1ケース(12a)の導入口(23a)から内部空間(S1)に導入された調和空気は、まず、折返し通路(50)の往路(51)を流れる。具体的には、第1下方空間(S13a)を長手方向に流れて導出口(23b)及び第2ケース(12b)の導入口(23a)を介して該第2ケース(12b)の第1下方空間(S13a)に導入される。該第2ケース(12b)の第1下方空間(S13a)に導入された調和空気は、該第1下方空間(S13a)を長手方向に流れて導出口(23b)及び第3ケース(12c)の導入口(23a)を介して該第3ケース(12c)の第1下方空間(S13a)に導入される。そして、第3ケース(12c)の第1下方空間(S13a)に導入された調和空気は、該第1下方空間(S13a)を長手方向に流れて導出口(23b)及び第4ケース(12d)の導入口(23a)を介して該第4ケース(12d)の第1下方空間(S13a)に導入される。第4ケース(12d)の第1下方空間(S13a)に導入された調和空気は、該第1下方空間(S13a)を長手方向に流れ、端部まで到達すると折り返して折返し通路(50)の復路(52)に流入する。
【0088】
折返し通路(50)の復路(52)に流入した調和空気は、第4ケース(12d)の第2下方空間(S13b)を長手方向に流れ、第2導出口(23c)及び第3ケース(12c)の第2導入口(23d)を介して該第3ケース(12c)の第2下方空間(S13b)に導入される。第3ケース(12c)の第2下方空間(S13b)に導入された調和空気は、該第2下方空間(S13b)を長手方向に流れ、第2導出口(23c)及び第2ケース(12b)の第2導入口(23d)を介して該第2ケース(12b)の第2下方空間(S13b)に導入される。第2ケース(12b)の第2下方空間(S13b)に導入された調和空気は、該第2下方空間(S13b)を長手方向に流れ、第2導出口(23c)及び第1ケース(12a)の第2導入口(23d)を介して該第1ケース(12a)の第2下方空間(S13b)に導入される。第1ケース(12a)の第2下方空間(S13b)に導入された調和空気は、第2下方空間(S13b)を長手方向に流れる。
【0089】
一方、第1〜第4ケース(12a〜12d)において、第1下方空間(S13a)を長手方向に流れる調和空気の一部は、各内部空間(S1)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。具体的には、第1下方空間(S13a)を長手方向に流れる調和空気の一部は、第1下方空間(S13a)から第1側方空間(S12a)を通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。また、第1〜第4ケース(12a〜12d)において、第1下方空間(S13a)を長手方向に流れる調和空気の一部は、各内部空間(S1)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。一方、第2下方空間(S13b)を長手方向に流れる調和空気の一部は、第2下方空間(S13b)から第2側方空間(S12b)を通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。
【0090】
このように、調和空気が、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成された空気通路(100)を通過することにより、内側ケース部(21)内の培地が加熱又は冷却される。また、調和空気が、空気通路(100)を通過して複数の挿通穴(24a)のそれぞれからビニルハウス(1)内に吹き出されることにより、調和空気が該複数の挿通穴(24a)に挿通されたイチゴの苗(30)の生長点(クラウン部)(31)の周囲を必ず通過するため、該生長点(31)が調和空気によって加熱又は冷却される。
【0091】
また、実施形態3では、上述のように、各ケース(12a〜12d)の第1下方空間(S13a)が折返し通路(50)の往路(51)の一部を構成し、各ケース(12a〜12d)の第2下方空間(S13b)が折返し通路(50)の復路(52)の一部を構成している。そのため、各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)では、第1下方空間(S13a)を流れる往路(51)の調和空気が第1側方空間(S12a)を介して上方空間(S11)に供給され、第2下方空間(S13b)を流れる復路(52)の調和空気が第2側方空間(S12b)を介して上方空間(S11)に供給される。
【0092】
ここで、例えば、調和空気が加熱用の高温の空気である場合、折返し通路(50)を流れる空気は下流側ほど温度が低くなる。そのため、長手方向の一方側、例えば、図9の左右方向右側に向かうほど、第1下方空間(S13a)及び第1側方空間(S12a)の調和空気は低くなる一方、第2下方空間(S13b)及び第2側方空間(S12b)の調和空気は高くなる。逆に、例えば、調和空気が冷却用の低温の空気である場合、折返し通路(50)を流れる空気は下流側ほど温度が低く高くなる。そのため、長手方向の一方側、例えば、図9の左右方向右側に向かうほど、第1下方空間(S13a)及び第1側方空間(S12a)の調和空気は高くなる一方、第2下方空間(S13b)及び第2側方空間(S12b)の調和空気は低くなる。つまり、第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)とにおける調和空気の長手方向の温度勾配は逆向きとなる。このような長手方向において逆向きの温度勾配の第1側方空間(S12a)の調和空気と第2側方空間(S12b)の調和空気とが上方空間(S11)において混ざり合うことで、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じなくなる。つまり、長手方向に複数形成された挿通穴(24a)を通過する調和空気の温度が略等しくなるため、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)が略等しい温度の空気によって加熱又は冷却されることとなる。
【0093】
−実施形態3の効果−
また、本空調システム(10)によれば、各ケース(12a,12b,12c,12d)の下方空間(S13)に仕切部材(25)を設けて幅方向に第1下方空間(S13a)と第2下方空間(S13b)とに仕切り、第1下方空間(S13a)を流れる折返し通路(50)の往路(51)の調和空気と第2下方空間(S13b)を流れる復路(52)の調和空気とが、それぞれ内側ケース部(21)の別個の側方空間(第1側方空間(S12a)、第2側方空間(S12b))を通過して上方空間(S11)で混ざり合うように空気通路(100)を形成した。そのため、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じなくなるようにすることができる。従って、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)を略等しい温度の空気によって加熱又は冷却することができる。
【0094】
《発明の実施形態4》
実施形態4は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を一部変更したものである。具体的には、図12〜図16に示すように、実施形態4では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれの内部空間(S1)に、折返し通路(50)の一部と空気通路(100)とを形成する通路形成部材(26)が設けられている。
【0095】
上記通路形成部材(26)は、複数の区画板(26a)と、仕切板(26b)と、複数の閉塞板(26c)とを有している。
【0096】
複数の区画板(26a)は、各内部空間(S1)において、側方空間(S12)(第1側方空間(S12a)、第2側方空間(S12b))と下方空間(S13)の上層部とからなる中層空間を長手方向において複数に区画している。各区画板(26a)は、内側ケース部(21)の上端から下端よりも下方に亘って形成されている。本実施形態では、第1〜第3ケース(12a,12b,12c)の中層空間はそれぞれ5枚の区画板(26a)によって6つに区画され、第4ケース(12d)の中層空間は4枚の区画板(26a)によって5つに区画されている。
【0097】
上記仕切板(26b)は、各内部空間(S1)において、下方空間(S13)の上記区画板(26a)の下方の下層空間を、第1側方空間(S12a)側の第1下層空間(S13c)と第2側方空間(S12b)側の第2下層空間(S13d)とに仕切っている。各仕切板(26b)は、鉛直方向且つ長手方向に延びている。また、第1〜第3ケース(12a,12b,12c)の各仕切板(26b)は、各下層空間の長手方向の一端から他端に亘って形成されている。第4ケース(12d)の仕切板(26b)は、下層空間の長手方向の第3ケース(12c)側の一端から他端に向かって延び、他端の手前まで延びている。
【0098】
複数の閉塞板(26c)は、各内部空間(S1)において、複数の区画板(26a)のそれぞれの間において、第1下層空間(S13c)の上端又は第2下層空間(S13d)の上端を閉塞している。具体的には、閉塞板(26c)は、各ケース(12a〜12d)の長手方向に関して、第1下層空間(S13c)の上端と第2下層空間(S13d)の上端とを交互に閉塞するように設けられている。
【0099】
また、実施形態4では、外側ケース部(22)のケース本体(23)の長手方向の一端部には、導入口(23a)と第2導出口(23c)とが形成され、長手方向の他端部には、導出口(23b)と第2導入口(23d)とが形成されている。実施形態4では、第1ケース(12a)には第2導出口(23c)が形成されず、第4ケース(12d)には導出口(23b)と第2導入口(23d)とが形成されていないが、第1ケース(12a)に第2導出口(23c)を形成し、第4ケース(12d)に導出口(23b)と第2導入口(23d)とを形成して、それぞれを閉塞部材によって閉塞することとしてもよい。
【0100】
また、実施形態4では、複数の区画板(26a)によって長手方向に複数に区画された中層空間(側方空間(S12)と下方空間(S13)の上層部)のそれぞれの区画は、上方空間(S11)と連通すると共に、第1下層空間(S13c)及び第2下層空間(S13d)の一方と連通する。また、上記導入口(23a)及び上記導出口(23b)は、第1下層空間(S13c)において開口するように形成され、上記第2導入口(23d)及び上記第2導出口(23c)は、第2下層空間(S13d)において開口するように形成されている。
【0101】
このような構成により、実施形態4では、ケースユニット(12)には、水平方向且つ長手方向に延びて調和空気が流れる往路(51)及び復路(52)を有する折返し通路(50)が形成される。具体的には、ケースユニット(12)の相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の第1下層空間(S13c)は、それぞれ導入口(23a)と導出口(23b)とによって連通されて長手方向に延びる1本の空気通路である上記往路(51)を構成する。また、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の第2下層空間(S13d)は、それぞれ第2導入口(23d)と第2導出口(23c)とによって連通されて長手方向に延びる1本の空気通路である上記復路(52)を構成する。つまり、各ケース(12a〜12d)の第1下層空間(S13c)は、折返し通路(50)の往路(51)の一部を構成し、各ケース(12a〜12d)の第2下層空間(S13d)は、折返し通路(50)の復路(52)を構成している。
【0102】
また、実施形態4においても、内部空間(S1)には、調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されている。実施形態4においても、空気通路(100)は、内部空間(S1)全体によって構成されている。つまり、空気通路(100)は、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成されている。また、空気通路(100)は、通路形成部材(26)によって、折返し通路(50)の往路(51)及び復路(52)の少なくとも一部をそれぞれ流れる空気が長手方向において交互に側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に導かれるように形成されている。
【0103】
このような構成により、第1ケース(12a)の導入口(23a)から内部空間(S1)に導入された調和空気は、まず、折返し通路(50)の往路(51)を流れる。具体的には、第1下層空間(S13c)を長手方向に流れて導出口(23b)及び第2ケース(12b)の導入口(23a)を介して該第2ケース(12b)の第1下層空間(S13c)に導入される。該第2ケース(12b)の第1下層空間(S13c)に導入された調和空気は、該第1下層空間(S13c)を長手方向に流れて導出口(23b)及び第3ケース(12c)の導入口(23a)を介して該第3ケース(12c)の第1下層空間(S13c)に導入される。そして、第3ケース(12c)の第1下層空間(S13c)に導入された調和空気は、該第1下層空間(S13c)を長手方向に流れて導出口(23b)及び第4ケース(12d)の導入口(23a)を介して該第4ケース(12d)の第1下層空間(S13c)に導入される。第4ケース(12d)の第1下層空間(S13c)に導入された調和空気は、該第1下層空間(S13c)を長手方向に流れ、端部まで到達すると折り返して折返し通路(50)の復路(52)に流入する。
【0104】
折返し通路(50)の復路(52)に流入した調和空気は、第4ケース(12d)の第2下層空間(S13d)を長手方向に流れ、第2導出口(23c)及び第3ケース(12c)の第2導入口(23d)を介して該第3ケース(12c)の第2下層空間(S13d)に導入される。第3ケース(12c)の第2下層空間(S13d)に導入された調和空気は、該第2下層空間(S13d)を長手方向に流れ、第2導出口(23c)及び第2ケース(12b)の第2導入口(23d)を介して該第2ケース(12b)の第2下層空間(S13d)に導入される。第2ケース(12b)の第2下層空間(S13d)に導入された調和空気は、該第2下層空間(S13d)を長手方向に流れ、第2導出口(23c)及び第1ケース(12a)の第2導入口(23d)を介して該第1ケース(12a)の第2下層空間(S13d)に導入される。第1ケース(12a)の第2下層空間(S13d)に導入された調和空気は、第2下層空間(S13d)を長手方向に流れる。
【0105】
一方、第1〜第4ケース(12a〜12d)において、第1下層空間(S13c)及び第2下層空間(S13d)のそれぞれを長手方向に流れる調和空気の一部は、各内部空間(S1)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。具体的には、第1下層空間(S13c)を長手方向に流れる調和空気の一部は、第1下層空間(S13c)から中層空間(側方空間(S12)と下方空間(S13)の上層部)を通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。また、第2下層空間(S13d)を長手方向に流れる調和空気の一部は、第2下層空間(S13d)から中層空間を通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。
【0106】
このように、調和空気が、内部空間(S1)の下方空間(S13)から上方空間(S11)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように形成された空気通路(100)を通過することにより、内側ケース部(21)内の培地が加熱又は冷却される。また、調和空気が、空気通路(100)を通過して複数の挿通穴(24a)のそれぞれからビニルハウス(1)内に吹き出されることにより、調和空気が該複数の挿通穴(24a)に挿通されたイチゴの苗(30)の生長点(クラウン部)(31)の周囲を必ず通過するため、該生長点(31)が調和空気によって加熱又は冷却される。
【0107】
また、実施形態4では、各ケース(12a〜12d)では、通路形成部材(26)によって、下方空間(S13)に形成された折返し通路(50)の往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが長手方向において交互に側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に導かれる。そして、長手方向に交互に側方空間(S12)に流入した折返し通路(50)の往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが上方空間(S11)において混ざり合う。
【0108】
ここで、例えば、調和空気が加熱用の高温の空気である場合、折返し通路(50)の調和空気は下流側ほど温度が低くなる。つまり、復路(52)の調和空気は往路(51)の調和空気よりも温度が低くなる。一方、調和空気が冷却用の低温の空気である場合、折返し通路(50)の調和空気は下流側ほど温度が高くなる。つまり、復路(52)の調和空気は往路(51)の調和空気よりも温度が高くなる。そのため、上述のように上方空間(S11)に長手方向に交互に往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが供給されることにより、上方空間(S11)には、長手方向に交互に高温の空気と低温の空気とが供給されることとなる。そして、このような温度の異なる往路(51)の調和空気と復路(52)の調和空気とが上方空間(S11)において混ざり合うことで、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じなくなる。つまり、長手方向に複数形成された挿通穴(24a)を通過する調和空気の温度が略等しくなる。
【0109】
−実施形態4の効果−
また、本空調システム(10)によれば、各ケース(12a,12b,12c,12d)に折返し通路(50)の一部を形成すると共に、折返し通路(50)の往路(51)及び復路(52)を流れる空気が長手方向において交互に側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に導かれるように構成したため、上方空間(S11)の調和空気の長手方向における温度差が生じないようにすることができる。従って、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)を略等しい温度の空気によって加熱又は冷却することができる。
【0110】
《発明の実施形態5》
実施形態5は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を一部変更したものである。
【0111】
具体的には、図17〜図19に示すように、実施形態5では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれの上方空間(S11)と側方空間(S12)との間に、内部空間(S1)を上下に仕切る仕切板(27)が設けられている。該仕切板(27)によって各内部空間(S1)は、上方空間(S11)からなる上側空間と側方空間(S12)及び下方空間(S13)からなる下側空間とに仕切られる。
【0112】
また、実施形態5では、各外側ケース部(22)のケース本体(23)の長手方向の一端部には、導入口(23a)と流入口(23e)とが形成され、長手方向の他端部には、導出口(23b)と流出口(23f)とが形成されている。また、導入口(23a)及び導出口(23b)は、上方空間(S11)において開口するように形成され、流入口(23e)及び流出口(23f)は、下方空間(S13)において開口するように形成されている。また、第1ケース(12a)の導入口(23a)には、一端が空気調和装置(11)の吹出口に接続されたダクト(16)の他端が接続され、第1ケース(12a)の流入口(23e)には、一端が上記空気調和装置(11)とは異なる第2空気調和装置(18)の吹出口に接続されたダクト(17)の他端が接続されている。これにより、空気調和装置(11)は、ビニルハウス(1)の内部の空気を吸い込み、加熱又は冷却した後、ダクト(16)を介して第1ケース(12a)の上方空間(S11)からなる上側空間内に加熱空気又は冷却空気を吹き出すように構成されている。一方、第2空気調和装置(18)は、ビニルハウス(1)の内部の空気を吸い込み、加熱又は冷却した後、ダクト(17)を介して第1ケース(12a)の側方空間(S12)及び下方空間(S13)からなる下側空間内に加熱空気又は冷却空気を吹き出すように構成されている。
【0113】
実施形態5においても、各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)には、調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されている。実施形態5では、上方空間(S11)全体が調和空気を流通させて挿通穴(24a)に導く空気通路(100)を構成している。このような構成により、導入口(23a)から各ケース(12a〜12d)の上方空間(S11)に導入された調和空気は上方空間(S11)を導出口(23b)に向かって長手方向に流れる一方、その一部は挿通穴(24a)から吹き出される。
【0114】
また、実施形態5では、各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)に、上記空気通路(100)と異なる空気(流体)が流れる第2空気通路(流体通路)(101)が形成されている。実施形態5では、側方空間(S12)及び下方空間(S13)からなる下側空間全体が第2空気通路(101)を構成している。このような構成により、導入口(23a)から各ケース(12a〜12d)の内部空間(S1)に導入された調和空気は下方空間(S13)を導出口(23b)に向かって長手方向に流れる一方、その一部は下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)にも流入する。
【0115】
また、各ケース(12a〜12d)は、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の空気通路(100)どうし及び第2空気通路(101)どうしが連通するように連結されている。具体的には、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の導出口(23b)と導入口(23a)とがそれぞれ連結され、流出口(23f)と流入口(23e)とがそれぞれ接続されている。
【0116】
−各種動作−
上記空気調和装置(11)を稼働させると、ビニルハウス(1)内の空気が空気調和装置(11)内に吸い込まれ、内部において加熱又は冷却された後、ダクト(16)を介してケースユニット(12)の空気調和装置(11)に最も近い第1ケース(12a)の上方空間(S11)に導入される。第1ケース(12a)の導入口(23a)から上方空間(S11)に導入された調和空気は、長手方向に流れて導出口(23b)及び第2ケース(12b)の導入口(23a)を介して該第2ケース(12b)の上方空間(S11)に導入される。そして、第2ケース(12b)の上方空間(S11)に導入された調和空気は、長手方向に流れて導出口(23b)及び第3ケース(12c)の導入口(23a)を介して該第3ケース(12c)の上方空間(S11)に導入される。そして、第3ケース(12c)の上方空間(S11)に導入された調和空気は、長手方向に流れて導出口(23b)及び第4ケース(12d)の導入口(23a)を介して該第4ケース(12d)の上方空間(S11)に導入される。第4ケース(12d)の上方空間(S11)に導入された調和空気は長手方向に流れる。一方、第1〜第4ケース(12a〜12d)において、上方空間(S11)を長手方向に流れる調和空気の一部は、各上方空間(S11)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。
【0117】
上記第2空気調和装置(18)を稼働させると、ビニルハウス(1)内の空気が第2空気調和装置(18)内に吸い込まれ、内部において加熱又は冷却された後、ダクト(17)を介してケースユニット(12)の空気調和装置(11)に最も近い第1ケース(12a)の下方空間(S13)に導入される。
【0118】
第1ケース(12a)の導入口(23a)から下方空間(S13)に導入された調和空気は長手方向に流れて導出口(23b)及び第2ケース(12b)の導入口(23a)を介して該第2ケース(12b)の下方空間(S13)に導入される。そして、第2ケース(12b)の下方空間(S13)に導入された調和空気は長手方向に流れて導出口(23b)及び第3ケース(12c)の導入口(23a)を介して該第3ケース(12c)の下方空間(S13)に導入される。そして、第3ケース(12c)の下方空間(S13)に導入された調和空気は長手方向に流れて導出口(23b)及び第4ケース(12d)の導入口(23a)を介して該第4ケース(12d)の下方空間(S13)に導入される。第4ケース(12d)から内部空間(S1)に導入された調和空気は下方空間(S13)を長手方向に流れる。また、第1〜第4ケース(12a〜12d)において、下方空間(S13)を長手方向に流れる調和空気の一部は、下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)のそれぞれに流入する。
【0119】
このように、空気調和装置(11)による調和空気が、空気通路(100)を通過して複数の挿通穴(24a)のそれぞれからビニルハウス(1)内に吹き出されることにより、調和空気が該複数の挿通穴(24a)に挿通されたイチゴの苗(30)の生長点(クラウン部)(31)の周囲を必ず通過するため、該生長点(31)が調和空気によって加熱又は冷却される。また、第2空気調和装置(18)による調和空気が、内部空間(S1)の下方空間(S13)から側方空間(S12)に亘って内側ケース部(21)に収容された培地を取り囲むように流れることにより、内側ケース部(21)内の培地が加熱又は冷却される。
【0120】
その他の構成及び作用は実施形態1と同様であるため説明を省略する。また、このような実施形態5の空調システム(10)によれば、イチゴの苗(30)の生長点(31)と培地とを異なる温度の流体によってそれぞれ加熱又は冷却することができる。つまり、イチゴの苗(30)の生長点(31)と培地とをそれぞれ適正な温度で加熱又は冷却することが可能となる。
【0121】
なお、本実施形態5では、側方空間(S12)及び下方空間(S13)には、第2空気調和装置(18)で加熱又は冷却された空気を流すこととしていたが、側方空間(S12)及び下方空間(S13)に流す流体は空気に限られない。例えば、加熱又は冷却された水等の液体を流すこととしてもよい。このような場合であっても、上述と同様の効果を奏することができる。
【0122】
《発明の実施形態6》
実施形態6は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の排水構造を変更したものである。具体的には、図20及び図21に示すように、実施形態6では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれに排水管(41)を設けるのではなく、各内側ケース部(21)の底部に排水口(42)を形成すると共に、各排水口(42)からの排水を長手方向の一端部に導く排水路(43)が形成されている。本実施形態6では、排水路(43)は、断面が半円形の板状部材によって構成され、第1ケース(12a)から第4ケース(12d)に亘り、第1ケース(12a)側が上流側となって第4ケース(12d)側が下流側となるように傾けて設けられている。なお、排水路(43)の断面形状は、半円形に限られず、排水を導くことができる形状であればいかなる形状であってもよい。
【0123】
このような構成により、各ケース(12a〜12d)の排水は、各排水口(42)から排水路(43)に流入し、排水路(43)を第1ケース(12a)側から第4ケース(12d)側へ流れて第4ケース(12d)側の端部に集められる。つまり、上記構成によれば、各ケース(12a〜12d)の排水を1箇所において回収することができる。そのため、除菌等を行って排水を浄化することにより、培養液等に再利用することが可能となる。
【0124】
《発明の実施形態7》
実施形態7は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の排水構造を変更したものである。具体的には、図22及び図23に示すように、実施形態7では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれに排水管(41)を設けるのではなく、各内側ケース部(21)の底部に排水口(42)を形成すると共に、各排水口(42)からの排水を長手方向の一端部に導く排水路(43)が形成されている。実施形態7では、ケースユニット(12)の底板上面(各外側ケース部(22)の底板上面)が長手方向の一端側(第1ケース(12a)側)よりも他端側(第4ケース(12d)側)が低くなるように傾斜し、その一端側(第4ケース(12d)側)に排水を外部へ排出するための排出部(44)が設けられている。実施形態7では、排水路(43)は、ケースユニット(12)の底板上面と排出部(44)とによって構成されている。
【0125】
このような構成により、各ケース(12a〜12d)の排水は、各排水口(42)から各下方空間(S13)に落下し、排水路(43)を構成する各外側ケース部(22)の底板上面を第1ケース(12a)側から第4ケース(12d)側へ流れて排出部(44)を介して外部へ排出される。つまり、上記構成によれば、各ケース(12a〜12d)の排水を1箇所において回収することができる。そのため、除菌等を行って排水を浄化することにより、培養液等に再利用することが可能となる。
【0126】
《発明の実施形態8》
実施形態8は、実施形態3の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を変更したものである。具体的には、図24及び図25に示すように、実施形態8では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれの下方空間(S13)を幅方向に仕切る仕切部材(25)が、2つの仕切板(25a,25b)によって構成されている。また、実施形態3の排水管(41)の代わりに、各ケース(12a〜12d)には、内側ケース部(21)の底部に排水口(42)が形成されている。各排水口(42)は、2つの仕切板(25a,25b)の間において開口するように形成されている。つまり、各ケース(12a〜12d)において、2つの仕切板(25a,25b)の間の空間は、内側ケース部(21)内の排水が流入する排水空間(S20)に構成されている。そして、各ケース(12a〜12d)は、相隣るケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の排水空間(S20)どうしが連通するように連結され、連結された排水空間(S20)の底面によって、各排水口(42)から流出した排水を長手方向の一端部に導く排水路(43)が構成されている。実施形態8では、排水路(43)(排水空間(S20)の底面)は、各排水口(42)から流出した排水が第1ケース(12a)側から第4ケース(12d)側に流れて第4ケース(12d)側の端部から流出するように傾斜している。また、排水路(43)(排水空間(S20)の底面)の流出端部、即ち、第4ケース(12d)側の端部には、排出口(45)が形成されている。
【0127】
このような構成により、各ケース(12a〜12d)の排水は、各排水口(42)から各排水空間(S20)に落下し、各排水空間(S20)の底面によって構成された排水路(43)を第1ケース(12a)側から第4ケース(12d)側へ流れて排出口(45)を介して外部へ排出される。つまり、上記構成によれば、各ケース(12a〜12d)の排水を1箇所において回収することができる。そのため、除菌等を行って排水を浄化することにより、培養液等に再利用することが可能となる。
【0128】
《発明の実施形態9》
実施形態9は、実施形態3の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を一部変更したものである。具体的には、図26に示すように、実施形態9では、各ケース(12a〜12d)の内側ケース部(21)が外側ケース部(22)から分離可能に構成されている。このように内側ケース部(21)を分離可能に構成することにより、内側ケース部(21)と外側ケース部(22)との間の内部空間(S1)に侵入した土壌、水、葉、葉弁、埃等を容易に除去することができる。
【0129】
《発明の実施形態10》
実施形態10は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の支持構造を変更したものである。具体的には、図27に示すように、実施形態10では、ケースユニット(12)は、台(14)によって設置面よりも上方において支持されている。ケースユニット(12)が複数のケース(12a,21b,12c,12d)によって構成されているため、このような簡易な台(14)の上にも設置することができ、支持部材を変更することによって容易に高さを調節することができる。
【0130】
《発明の実施形態11》
実施形態11は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の支持構造を変更したものである。具体的には、図28に示すように、実施形態11では、ケースユニット(12)は、吊り下げ式の支持部材(15)によって設置面よりも上方において支持されている。吊り下げ式の支持部材(15)は、平行に配置された2本の水平パイプ(15a)と、この2本の水平パイプ(15a)を吊り下げ支持する複数の鉛直パイプ(15b)とによって構成されている。このような吊り下げ式の支持部材(15)によってケースユニット(12)を支持することにより、ケースユニット(12)の下方の空間が空くため、この下方の空間を他の機材の設置スペース等に用いることができ、空間の有効利用が可能となる。
【0131】
《発明の実施形態12》
実施形態12は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の支持構造を変更したものである。具体的には、図29に示すように、実施形態11では、ケースユニット(12)は、多段式の高設ベンチ(13)によって上下に多段に設置されている。具体的には、高設ベンチ(13)は、平行に配置された2本の水平パイプ(13a)を3組備えると共に、平行に配置された2枚の支持板(13c)を備えている。各水平パイプ(13a)は、2枚の支持板(13c)に架け渡されて支持されている。また、実施形態12では、最下段に設置されたケースユニット(12)以外のケースユニット(12)の底面に照明器具(28)が取り付けられている。
【0132】
このように多段式の高設ベンチ(13)を用いてケースユニット(12)を上下方向に多段に設置することにより、植物工場等における集積度を上げることが可能となる。また、上下に多段に設置されたケースユニット(12)の最下段を除くケースユニット(12)の底面に予め照明器具(28)を取り付けることにより、下方のケースユニット(12)の培地面を上方のケースユニット(12)の照明器具(28)によって照らすことができる。従って、ケースユニット(12)の設置後に改めて照明器具を設置する必要がなく、容易にケースユニット(12)の集積度を上げることができる。
【0133】
《発明の実施形態13》
実施形態13は、実施形態11の空調システム(10)のケースユニット(12)の吊り下げ式の支持部材(15)を移動可能に構成したものである。具体的には、図30に示すように、ケースユニット(12)は、吊り下げ式の支持部材(15)によって吊り下げ支持され、該支持部材(15)の複数の鉛直パイプ(15b)の上端がレールによって移動可能に支持されている。このようにケースユニット(12)を移動可能な吊り下げ式の支持部材(15)によって支持してケースユニット(12)を支持部材(15)ごと移動させることにより、容易に作業者が入るスペースを形成することができる。従って、各ケースユニット(12)の側方に作業者用のスペースを確保する必要がなくなるため、植物工場等における集積度を上げることが可能となる。
【0134】
《発明の実施形態14》
実施形態14は、実施形態1の空調システム(10)のケースユニット(12)の構成を一部変更したものである。具体的には、図31及び図32に示すように、実施形態14では、第1〜第4ケース(12a〜12d)のそれぞれの下方空間(S13)に、下方空気通路(90)の一部を区画する通路区画部材(60)が設けられている。本実施形態では、通路区画部材(60)は、ケースユニット(12)を長手方向に貫くダクト部材(61)によって構成されている。
【0135】
ダクト部材(61)は、一端が第1ケース(12a)の導入口(23a)に接続されてケースユニット(12)の長手方向に延び、各導入口(23a)及び導出口(23b)を通過して、他端が第4ケース(12d)の長手方向の導入口(23a)と反対側の端部付近まで延びている。このような構成により、ダクト部材(61)内には、ケースユニット(12)の長手方向に延びて該長手方向の一端部から空気調和装置(11)の調和空気が導入され、該調和空気を長手方向に流通させる下方空気通路(90)が形成される。本実施形態では、ダクト部材(61)は、樹脂材料(例えば、ビニル樹脂)によって長手方向に亘って径が一定な有底円筒形状に形成されている。これにより、下方空気通路(90)は、通路断面積が長手方向に亘って一様に構成されている。
【0136】
また、各通路区画部材(60)には、下方空気通路(90)の調和空気を各下方空間(S13)に吹き出す複数の吹出口(65)が長手方向に間隔を開けて形成されている。各通路区画部材(60)に形成された複数の吹出口(65)は、ダクト部材(61)の長手方向に等間隔に形成されている。また、複数の吹出口(65)は、内部に形成される下方空気通路(90)の調和空気が上方に向かって吹き出されるようにダクト部材(61)の頂上部分に形成されている。
【0137】
複数の吹出口(65)は、ダクト部材(61)の第1ケース(12a)側の端部に向かうほど開口面積が大きく、第4ケース(12d)側の端部に向かうほど開口面積が小さくなるように構成されている。即ち、複数の吹出口(65)は、下方空気通路(90)の長手方向において調和空気が導入される導入側端部に向かうほど大きくなるように構成されている。
【0138】
このような構成により、第1ケース(12a)の導入口(23a)からダクト部材(61)内に導入された調和空気は、下方空気通路(90)を長手方向に流れ、各吹出口(65)から各ケース(12a,12b,12c,12d)の下方空間(S13)に吹き出される。各下方空間(S13)に吹き出された調和空気は、各ケース(12a,12b,12c,12d)の内部空間(S1)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。具体的には、各下方空間(S13)に吹き出された調和空気は、下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)のそれぞれを通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。
【0139】
ところで、上述のように、内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)が共に平面視において一方に長く形成されている場合、下方空間(S13)の長手方向の一端側から調和空気が導入されると、他端側まで調和空気が到達し難く、下方空間(S13)の長手方向の他端側に対応する位置に植えられたイチゴの苗(30)の生長点(31)に供給される調和空気の量が不足するおそれがある。
【0140】
しかしながら、本実施形態では、上述のように、下方空間(S13)に通路区画部材(60)を設けてケースユニット(12)の長手方向に延びる下方空気通路(90)を形成している。そのため、調和空気は、下方空気通路(90)に導入されることにより、ケースユニット(12)の長手方向の奥側まで調和空気が到達すると共に、長手方向に配列された複数の吹出口(65)を介して下方空気通路(90)から下方空間(S13)に満遍なく調和空気が吹き出されることとなる。
【0141】
また、上述のようなダクト部材(61)によって形成された下方空気通路(90)では、下流側に向かうほど、調和空気による動圧が低下する一方、静圧が増大する。言い換えると、下方空気通路(90)では、長手方向の導入側端部に向かうほど、動圧が高くなる一方、静圧が低くなる。そのため、複数の吹出口(65)の開口面積が等しいと、下方空気通路(90)の導入側端部付近の吹出口(65)では、下流側端部付近の吹出口(65)に比べて調和空気が吹き出され難くなる。その結果、下方空間(S13)に吹き出される調和空気の吹き出し量は、下方空気通路(90)の下流側端部において多くなる一方、導入側端部に向かうほど少なくなる。このように下方空間(S13)に吹き出される調和空気の吹き出し量に斑が生じると、下方空間(S13)から側方空間(S12)及び上方空間(S11)を介して複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)付近に供給される調和空気の風量にも斑が生じてしまう。
【0142】
しかしながら、本実施形態では、上述のように、複数の吹出口(65)は、その開口面積が下方空気通路(90)の長手方向において調和空気が導入される導入側端部(第1ケース(12a)側の端部)に向かうほど大きくなるように形成されている。そのため、下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど静圧が低くなるが、静圧が低くなるに従って吹出口(65)の開口面積が大きくなる。その結果、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量が等しくなり、下方空気通路(90)の長手方向に亘って調和空気の吹き出し量が等しくなる。これにより、下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)を介して上方空間(S11)に供給される調和空気の風量も長手方向に亘って等しくなり、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)付近に略等量の調和空気が供給されることとなる。
【0143】
−実施形態14の効果−
このように、本空調システム(10)によれば、各下方空間(S13)に、ケースユニット(12)の長手方向に延びて調和空気を長手方向に流通させる下方空気通路(90)の少なくとも一部を区画すると共に、複数の吹出口(65)が長手方向に間隔を空けて形成された通路区画部材(60)を設けることとした。これにより、通路区画部材(60)によって区画される下方空気通路(90)を介して調和空気を各下方空間(S13)に満遍なく供給することができる。そのため、下方空間(S13)から内側ケース部(21)の幅方向の両側方に形成された側方空間(S12)及び上方空間(S11)を介して複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)付近に満遍なく調和空気を供給することができる。従って、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0144】
また、本空調システム(10)によれば、複数の吹出口(65)の開口面積が下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど大きくなるように通路区画部材(60)を構成した。つまり、下方空気通路(90)において静圧が低くなる調和空気の導入側に設けられた吹出口(65)ほど開口面積が大きくなるように通路区画部材(60)を構成することとした。これにより、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量を等しくすることができ、下方空気通路(90)から下方空間(S13)へ吹き出される調和空気の吹き出し量を、下方空気通路(90)の長手方向に亘って等しくすることができる。そのため、下方空間(S13)から内側ケース部(21)の幅方向の両側方に形成された側方空間(S12)を介して上方空間(S11)に供給される調和空気の風量も長手方向に亘って等しくすることができる。その結果、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)付近に略等量の調和空気を供給することができるため、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0145】
なお、ダクト部材(61)の材料は、樹脂材料に限られない。ダクト部材(61)は、不織布によって構成されていてもよい。
【0146】
《発明の実施形態15》
実施形態15は、実施形態14の空調システム(10)のダクト部材(61)の構成を一部変更したものである。実施形態15では、ダクト部材(61)に形成された複数の吹出口(65)の開口面積を等しくする一方、複数の吹出口(65)の間隔を変更している。
【0147】
具体的には、図33に示すように、複数の吹出口(65)は、ダクト部材(61)の第1ケース(12a)側の端部に向かうほど間隔が短く、第4ケース(12d)側の端部に向かうほど間隔が大きくなるように配列されている。即ち、複数の吹出口(65)は、下方空気通路(90)の長手方向において調和空気が導入される導入側端部に向かうほど間隔が短くなるように配列されている。
【0148】
このような構成により、下方空気通路(90)の長手方向において導入側端部に向かうほど静圧が低くなるが、静圧が低くなるに従って吹出口(65)の間隔が短くなって単位長さ当たりに形成される吹出口(65)の個数が増大する。その結果、下方空気通路(90)の長手方向に亘って調和空気の吹き出し量が等しくなる。従って、本空調システム(10)によれば、実施形態14と同様に、容易な構成により、下方空間(S13)へ吹き出される調和空気の吹き出し量を下方空気通路(90)の長手方向に亘って等しくすることができ、ひいては、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0149】
《発明の実施形態16》
実施形態16は、実施形態14の空調システム(10)のダクト部材(61)の構成を一部変更したものである。実施形態16では、ダクト部材(61)に形成された複数の吹出口(65)の開口面積を等しくする一方、ダクト部材(61)の径を変更している。
【0150】
具体的には、図34に示すように、ダクト部材(61)は、第1ケース(12a)側の端部に向かうほど径が大きくなり、第4ケース(12d)側の端部に向かうほど径が小さくなるように形成されている。即ち、各通路区画部材(60)が、下方空気通路(90)の通路断面積が長手方向において導入側端部に向かうほど大きくなるように構成されている。
【0151】
このような構成により、下方空気通路(90)の通路断面積が長手方向に亘って一様であると、下方空気通路(90)に導入された調和空気の流速が徐々に低下するが、上述のようにダクト部材(61)を構成することにより、下方空気通路(90)に導入された調和空気の流速が下流側に向かって低下せず、静圧も増大しない。つまり、下方空気通路(90)の長手方向において静圧が一様になる。その結果、各吹出口(65)から吹き出される調和空気の吹き出し量が等しくなり、下方空気通路(90)の長手方向に亘って調和空気の吹き出し量が等しくなる。従って、本空調システム(10)によれば、実施形態14と同様に、容易な構成により、下方空間(S13)へ吹き出される調和空気の吹き出し量を下方空気通路(90)の長手方向に亘って等しくすることができ、ひいては、複数のイチゴの苗(30)の生長点(31)を等しく加熱又は冷却することができる。
【0152】
なお、ダクト部材(61)は、上記のように下流側に向かって段階的に縮径したものに限られず、下流側に向かって連続的に縮径したテーパ形状に形成されたものであってもよい。
【0153】
《発明の実施形態17》
実施形態17は、実施形態14の空調システム(10)において、ダクト部材(61)によって構成されていた通路区画部材(60)を、区画板(62)によって構成したものである。
【0154】
具体的には、図35及び図36に示すように、区画板(62)は、各ケース(12a,12b,12c,12d)の下方空間(S13)の上下方向の中程であって各導入口(23a)及び各導出口(23b)の上方に、外側ケース部(22)のケース本体(23)の底板に平行に設けられている。本実施形態では、区画板(62)は、樹脂材料によって外側ケース部(22)のケース本体(23)と一体に形成されている。そして、各区画板(62)は、その下方に、ケースユニット(12)の長手方向に延びて空気調和装置(11)の調和空気を流通させる下方空気通路(90)の一部を区画している。本実施形態では、下方空気通路(90)は、各区画板(62)の下方の空間が各導入口(23a)及び各導出口(23b)を介して連通されることによって形成されている。
【0155】
また、各区画板(62)には、実施形態14と同様に、下方空気通路(90)の調和空気を各下方空間(S13)に吹き出す複数の吹出口(65)が長手方向に間隔を開けて形成されている。各区画板(62)に形成された複数の吹出口(65)は、下方空気通路(90)の長手方向に等間隔に形成されている。また、複数の吹出口(65)は、実施形態14と同様に、下方空気通路(90)の第1ケース(12a)側の端部に向かうほど開口面積が大きく、第4ケース(12d)側の端部に向かうほど開口面積が小さくなるように構成されている。即ち、複数の吹出口(65)は、下方空気通路(90)の長手方向において調和空気が導入される導入側端部に向かうほど大きくなるように構成されている。
【0156】
このような構成により、第1ケース(12a)の導入口(23a)から下方空気通路(90)に導入された調和空気は、下方空気通路(90)を長手方向に流れ、各吹出口(65)から各ケース(12a,12b,12c,12d)の下方空間(S13)に吹き出される。各下方空間(S13)に吹き出された調和空気は、各ケース(12a,12b,12c,12d)の内部空間(S1)に形成された空気通路(100)を流れて複数の挿通穴(24a)のそれぞれに導かれる。具体的には、各下方空間(S13)に吹き出された調和空気は、下方空間(S13)から第1側方空間(S12a)及び第2側方空間(S12b)のそれぞれを通過して上方空間(S11)に至り、複数の挿通穴(24a)のそれぞれから吹き出される。
【0157】
以上のような構成により、本実施形態によっても、実施形態14と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態において、実施形態15のように、複数の吹出口(65)の開口面積を等しくする一方、配列間隔を変更しても同様に上記効果を奏することができる。
【0158】
なお、区画板(62)は、外側ケース部(22)のケース本体(23)と別体に形成されていてもよい。また、区画板(62)は、不織布製の板によって構成されていてもよい。
【0159】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、ケースユニット(12)が4つのケース(12a,12b,12c,12d)を有していたが、ケースユニット(12)が有するケースの個数はこれに限られない。例えば、ケースユニット(12)は、ケースを1つだけ有するものであってもよく、ケースを2つ有するものであってもよい。
【0160】
上記各実施形態では、フィルム部材(24)の挿通穴(24a)は、直径が5cm程度の丸穴形状に形成されていたが、挿通穴(24a)の形状及び径はこれに限られない。生長点(31)を挿通可能で空気が流通可能であればいかなるものであってもよい。
【0161】
また、上記各実施形態では、外側ケース部(22)を樹脂製のケース本体(23)とフィルム部材(24)とによって構成されていたが、外側ケース部(22)を樹脂製のケース本体(23)と、フィルム部材(24)の挿通穴(24a)と同様の挿通穴が形成された樹脂製の蓋部材とによって構成することとしてもよい。
【0162】
また、上記各実施形態では、各ケース(12a〜12d)の培地に複数のイチゴの苗(30)を植えることとして、空調システム(10)をイチゴの栽培用に用いていたが、該空調システム(10)の用途はこれに限られない。例えば、空調システム(10)を、株元に生長点を有するネギ科の植物(ネギ、ニラ等)やナス科の植物の栽培に用いることにより、イチゴの栽培と同様の効果(成長促進効果)を奏することができる。
【0163】
また、上記各実施形態では、各ケース(12a〜12d)の培地を土によって構成していたが、培地は土に限られず、ロックウールやバーミキュライト等の無機培地、ヤシ殻やピートモスなどの有機培地、又はそれらの混合物等によって構成することとしてもよい。また、培地は、培養液等の液体によって構成することとしてもよい。
【0164】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0165】
以上説明したように、本発明は、空調システムに関し、特に、植物栽培用の空調システムに有用である。
【符号の説明】
【0166】
10 空調システム
11 空気調和装置
12 ケースユニット
12a〜12d 第1〜第4ケース(ケース)
21 内側ケース部
22 外側ケース部
23 ケース本体
24 フィルム部材
24a 挿通穴
25 仕切部材
26 通路形成部材
27 仕切板(仕切部材)
30 イチゴの苗(植物)
31 生長点
41 排水管
42 排水口
43 排水路
50 折返し通路
51 往路
52 復路
60 通路区画部材
61 ダクト部材
62 区画板
65 吹出口
90 下方空気通路
100 空気通路
101 第2空気通路(流体通路)
S1 内部空間
S11 上方空間
S12 側方空間
S12a 第1側方空間
S12b 第2側方空間
S13 下方空間
S13a 第1下方空間
S13b 第2下方空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置(11)を備えた植物栽培用の空調システムであって、
植物(30)の培地を収容するための内側ケース部(21)と、上記内側ケース部(21)を覆うと共に上部に該内側ケース部(21)の培地に植えられた複数の植物(30)の生長点がそれぞれ挿通される複数の挿通穴(24a)が形成された外側ケース部(22)とを有し、該外側ケース部(22)と上記内側ケース部(21)との間の内部空間(S1)の少なくとも上記培地上方の上方空間(S11)に上記空気調和装置(11)において加熱又は冷却された調和空気を流通させて上記挿通穴(24a)に導く空気通路(100)が形成されたケース(12a,12b,12c,12d)を少なくとも1つ有するケースユニット(12)を備えている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記内部空間(S1)は、上記上方空間(S11)と連通する上記内側ケース部(21)の側方の側方空間(S12)と、該側方空間(S12)に連通して上記調和空気が導入される上記内側ケース部(21)の下方の下方空間(S13)とをさらに有し、
上記空気通路(100)は、上記内部空間(S1)の上記下方空間(S13)から上記上方空間(S11)に亘って形成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項3】
請求項1において、
上記内部空間(S1)は、上記内側ケース部(21)の側方の側方空間(S12)と、該側方空間(S12)に連通する上記内側ケース部(21)の下方の下方空間(S13)とをさらに有し、
上記ケース(12a,12b,12c,12d)は、上記上方空間(S11)と上記側方空間(S12)との間を仕切る仕切部材(27)をさらに有し、
上記側方空間(S12)と上記下方空間(S13)とによって構成される空間には、上記空気通路(100)と異なる流体が流れる流体通路(101)が形成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項4】
請求項2において、
上記内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)は共に平面視において略長方形形状に形成され、
上記側方空間(S12)は、上記内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びる第1側方空間(S12a)と第2側方空間(S12b)とによって構成され、
上記ケース(12a,12b,12c,12d)には、上記下方空間(S13)を幅方向に第1下方空間(S13a)と第2下方空間(S13b)とに仕切ると共に、上記第1下方空間(S13a)の空気が上記第1側方空間(S12a)を介して上記上方空間(S11)に導かれ且つ上記第2下方空間(S13b)の空気が上記第2側方空間(S12b)を介して上記上方空間(S11)に導かれるように上記空気通路(100)を形成する仕切部材(25)が設けられ、
上記ケースユニット(12)は、上記第1下方空間(S13a)が水平方向且つ長手方向に延びる上記調和空気の折返し通路(50)の往路(51)の少なくとも一部を構成し、上記第2下方空間(S13b)が上記折返し通路(50)の復路(52)の少なくとも一部を構成するように構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項5】
請求項2において、
上記内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)は共に平面視において略長方形形状に形成され、
上記側方空間(S12)は、上記内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びるように形成され、
上記ケース(12a,12b,12c,12d)には、上記下方空間(S13)に、上記ケースユニット(12)の水平方向且つ長手方向に延びる上記調和空気の折返し通路(50)の少なくとも一部を形成すると共に、該折返し通路(50)の往路(51)及び復路(52)を流れる空気が長手方向において交互に上記側方空間(S12)を介して上記上方空間(S11)に導かれるように上記空気通路(100)を形成する通路形成部材(26)が設けられている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項6】
請求項2において、
上記内側ケース部(21)及び外側ケース部(22)は共に平面視において一方に長く形成され、
上記側方空間(S12)は、上記内側ケース部(21)の幅方向の両側方において長手方向に延びるように形成され、
上記下方空間(S13)には、上記ケースユニット(12)の長手方向に延びて該長手方向の一端部から導入された上記調和空気を長手方向に流通させる下方空気通路(90)の少なくとも一部を区画すると共に、該下方空気通路(90)の上記調和空気を上記下方空間(S13)に吹き出す複数の吹出口(65)が長手方向に間隔を空けて形成された通路区画部材(60)が設けられている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項7】
請求項6において、
上記通路区画部材(60)は、上記複数の吹出口(65)の開口面積が、上記下方空気通路(90)の長手方向において上記調和空気が導入される導入側端部に向かうほど、大きくなるように構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項8】
請求項6において、
上記通路区画部材(60)は、上記複数の吹出口(65)の間隔が、上記下方空気通路(90)の長手方向において上記調和空気が導入される導入側端部に向かうほど、短くなるように構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項9】
請求項6において、
上記通路区画部材(60)は、上記下方空気通路(90)の通路断面積が、長手方向において上記調和空気が導入される導入側端部に向かうほど、大きくなるように構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1つにおいて、
上記通路区画部材(60)は、上記ケースユニット(12)を長手方向に貫くダクト部材によって構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つにおいて、
上記外側ケース部(22)は、上面に開口が形成された箱状のケース本体(23)と、上記挿通穴(24a)が形成されて上記開口を覆うフィルム部材(24)とによって構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1つにおいて、
上記ケースユニット(12)は、上記ケース(12a,12b,12c,12d)を複数有し、
上記複数のケース(12a,12b,12c,12d)は、一列に配列されて相隣る上記ケース(12a,12b)(12b,12c)(12c,12d)の上記空気通路(100)どうしが連通するように連結されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項13】
請求項1乃至12において、
上記ケース(12a,12b,12c,12d)は、上記内側ケース部(21)の内部の排水を上記外側ケース部(22)の外部へ導く排水管(41)を有している
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。
【請求項14】
請求項12において、
上記各内側ケース部(21)の底部にはそれぞれ排水口(42)が形成され、
上記ケースユニット(12)には、長手方向に延びて上記各排水口(42)から流出した排水を長手方向の一端部に導く排水路(43)が形成されている
ことを特徴とする植物栽培用の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−228241(P2012−228241A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289323(P2011−289323)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】