説明

空調制御装置、空調制御方法及び制御プログラム

【課題】新たな空調制御方式を各種ビル管理システムにできるだけ容易に導入する。
【解決手段】実施形態の空調制御装置の空調制御演算手段は、演算用データに基づいて空調制御演算を行い、空調制御演算結果データを出力し、ゲートウェイ手段は、変換定義情報格納手段の変換定義情報を参照して空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調制御装置、空調制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル、オフィス、工場、ショッピングモール等のビル施設において、受変電・自家発設備、熱源・空調設備、照明・防犯・防災設備等を効率的に管理、監視を行うためのビル管理システムの導入が進んでいる。
上述したビル施設において、特に熱源・空調設備については、人々のいる空間に直接作用するものであり、またビル施設においては、多くのエネルギー消費割合を占める設備となっている。
そこで、人々が快適に過ごすことができ、また省エネルギーに繋がるような空調制御の方式が求められる。この方式については、PMV(Predicted Mean Vote: 予想平均温冷感申告)と呼ばれる空間の快適性を表す指標に注目した制御を行う方法(例えば、特許文献1参照)等、さまざまな手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−3096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、ビル管理システムは、開発を行った各社毎の空調制御方式を搭載することから、より好適な空調制御方式があったとしても、当該制御方式を既存の他社のビル管理システムに適用することは非常に困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、新たな空調制御方式を各種ビル管理システムにできるだけ容易に導入することが可能となる空調制御装置、空調制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の空調制御装置の変換定義情報格納手段は、外部の空調設備から取得した空調制御演算結果データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するための変換定義情報が予め格納される。
これにより、空調制御演算手段は、演算用データに基づいて空調制御演算を行い、空調制御演算結果データを出力する。
ゲートウェイ手段は、変換定義情報を参照して前記空調制御演算結果データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態のビル管理システムの概要構成ブロック図である。
【図2】図2は、空調制御装置の概要構成ブロック図である。
【図3】図3は、空調制御装置の機能構成ブロック図である。
【図4】図4は、ビル情報データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。
【図5】図5は、エリア情報データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。
【図6】図6は、演算要求データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。
【図7】図7は、演算要求データベースと、空調対象エリアとの対応関係説明図である。
【図8】図8は、初期処理の処理フローチャートである。
【図9】図9は、通常処理時におけるゲートウェイ機能部の処理フローチャートである。
【図10】図10は、通常処理時における空調制御演算機能部の処理フローチャートである。
【図11】図11は、実施形態の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態のビル管理システムの概要構成ブロック図である。
ビル管理システム10は、大別すると、ビル管理本体システム11と、第1データ伝送路12と、空調制御装置13と、を備えている。
ここで、ビル管理システム10は、ビルの受変電・自家発設備21、熱源・空調設備22及び照明・防犯・防災設備23等の各設備を管理している。
【0008】
ビル管理本体システム11は、ビルの受変電・自家発設備21、熱源・空調設備22及び照明・防犯・防災設備23等の各設備を集中的にモニタリングするためのヒューマンインタフェース装置24と、上述した設備21〜23の管理に必要となる定義情報や設備21〜23から収集したデータを保存、蓄積するためのサーバ装置25と、設備21〜23のいずれかに対応づけられるとともに、対応づけられた設備の制御を行うために設備毎に複数設けられたコントローラ26と、設備21〜23を構成する機器やセンサ等との間のインタフェース動作を行う複数のリモートステーション27と、を備えている。
【0009】
上記構成において、各コントローラ26と、各コントローラ26に対応づけられたサーバ装置25とは、第2データ伝送路28を介して通信可能に接続されている。
【0010】
図2は、空調制御装置の概要構成ブロック図である。
空調制御装置13は、図2に示すように、空調制御装置全体を制御するMPU31と、MPU31が動作するための制御プログラムを含む各種データを不揮発的に記憶するROM32と、各種データを一時的に記憶し、ワークエリアとして機能するRAM33と、ハードディスクドライブ等として構成され、後述するデータベース等の大容量のデータを記憶する外部記憶装置34と、各種情報を表示するディスプレイ装置35と、図示しないタッチパネル、キーボード、マウス等を有して構成され、オペレータが各種データを入力するための操作入力装置36と、第1データ伝送路12を介して通信を行うための通信インタフェース装置37と、を備えている。
【0011】
図3は、空調制御装置の機能構成ブロック図である。
この場合において、ビル管理本体システム11は、全体としてビル管理システム基本機能部41として機能した状態で空調制御装置13に接続されている。
そして、ビル管理システム基本機能部41としてのビル管理本体システム11は、熱源・空調設備22に対しては、空調制御装置13の制御下で、制御を行う。
【0012】
すなわち、ビル管理システム基本機能部41は、管理対象エリアを特定するためのエリア情報、管理対象エリアが属するビルを特定するためのビル情報等のパラメータにより管理対象を特定し、管理対象から入力される温度、湿度、空調運転状態等を示す入力信号に基づいて、対応する管理対象に対して、PMV(Predicted Mean Vote;予想平均温冷感申告)と呼ばれる空間の快適性を表す値の目標値(PMV目標値)に対する温度設定値を出力信号として出力して制御を行う。
上述したビル管理システム基本機能部41に対して、空調制御装置13は、ゲートウェイ機能部42、データベース機能部43、空調制御演算定義機能部44及び空調制御演算機能部45を提供している。
【0013】
ゲートウェイ機能部42は、大別すると、ビル管理システム基本機能部41から制御に必要な各種データを取得する第1データ取得機能部51と、第1データ取得機能部51により取得した各種データを空調制御演算定義機能部44を参照して、空調制御演算機能部が演算可能な共通データフォーマットに変換し、データベース機能部43に演算要求データとして書き込む第1データ書込機能部52と、空調制御演算機能部45により演算された空調制御演算結果データをデータベース機能部43から取得する第2データ取得機能部53と、第2データ取得機能部53において、取得した空調制御演算結果データを空調制御演算定義機能部44を参照して、実際のビル管理システム基本機能部41を構成する機器で利用可能な個別の制御用出力データに変換して、ビル管理システム基本機能部41に出力する第2データ書込機能部54と、を備えている。
【0014】
上述したようにデータベース機能部43には、ビル管理システム基本機能部41からのデータは、ビル管理システム基本機能部41を実際に構成している機器あるいはシステムの仕様にかかわらず、共通データフォーマットで書き込みがなされる。一方、ビル管理システム基本機能部41へのデータは、再び、ビル管理システム基本機能部41を実際に構成している機器あるいはシステムの仕様に合わせた個別の制御用出力データとされるので、空調制御装置13は、様々な仕様のビル管理システム基本機能部41に対して、共通の仕様とすることができるようになっている。
【0015】
データベース機能部43は、大別すると、ビル情報データベース(DB)61と、エリア情報データベース(DB)62と、演算要求データベース(DB)63と、を備えている。
【0016】
ここで、図面を参照してデータベース機能部について説明する。
図4は、ビル情報データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。
ビル情報データベース61は、ビルを特定するためのビルIDが格納されたビルIDデータ71、ビルの所在地の緯度情報が格納された緯度データ72と、ビルの所在地の経度情報が格納された経度データ73と、ビルの設置に関する情報が格納されたビル設置情報データ74と、ビル周囲の障害物に関する情報が格納された障害物情報データ75と、ビル情報が更新されたか否かを判別するために用いられるビルシーケンス番号が格納されたシーケンス番号データ76と、を備えている。
【0017】
図5は、エリア情報データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。
エリア情報データベース62は、空調対象エリアが設けられているビルを特定するためのビルIDが格納されたビルIDデータ81と、空調対象エリアを特定するためのエリアIDが格納されたエリアIDデータ82と、エリアIDデータ82で特定されるエリアの面積情報が格納されたエリア面積データ83と、エリアIDデータ82で特定されるエリアに隣接するエリアに関する情報が格納された隣接エリアデータ群84と、温度設定値の算出に関連し、空調対象エリア内の人々の着衣量を表す指標としての着衣量データ85と、温度設定値の算出に関連し、空調対象エリア内の人々の活動量を表す指標としての活動量データ86と、PMV目標値が格納されたPMV目標値データ87と、空調対象エリアのエリア情報が更新されたか否かを判別するために用いられる空調エリアシーケンス番号が格納されたシーケンス番号データ88と、を備えている。
上記構成において、隣接エリアデータ群84は、隣接するエリアのエリア番号が格納された隣接エリア番号データ91と、隣接するエリアの壁の配置等の情報を含む壁面情報データ92と、隣接するエリアの窓の向き、窓の大きさ等の窓の情報を含む窓情報データ93と、を含む隣接するエリアに関する情報を含んでいる。
【0018】
図6は、演算要求データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。
演算要求データベース63は、演算要求に対応する空調対象エリアが属するビルを特定するためのビルIDが格納されたビルIDデータ101と、演算要求に対応する空調対象エリアを特定するためのエリアIDデータ102と、予め空調対象エリアに設定されたPMV目標値が格納されたPMV目標値データ103と、空調エリアにおいて実際に温度センサにより測定された室内温度が格納された室内温度データ104と、空調エリアにおいて実際に湿度センサにより測定された室内湿度が格納された室内湿度データ105と、空調対象エリアに対して、ユーザあるいはオペレータにより設定された設定温度が格納された温度設定値データ106と、空調機が運転状態にあるか否かを表す空調機運転状態データ107と、空調制御装置13が設定したデータが格納される空調制御設定データ群108と、空調対象エリアの属するビルのビル情報が更新されたか否かを判別するために用いられるビル情報シーケンス番号が格納されたビル情報シーケンス番号データ109と、空調対象エリアのエリア情報が更新されたか否かを判別するために用いられるエリア情報シーケンス番号が格納されたエリア情報シーケンス番号データ110と、を備えている。
上記構成において、空調制御設定データ群108は、空調制御装置13が設定した温度設定値が格納された温度設定値データ111と、空調制御装置13が演算した現在PMV値が格納された現在PMV値データ112と、を備えている。
【0019】
ここで、演算要求データベースに格納される演算要求データとしての各種データと、実際の空調対象エリアとの対応関係について詳細に説明する。
図7は、演算要求データベースと、空調対象エリアとの対応関係説明図である。
図7において、ビルID=1のビルBDには、3つの空調対象エリアA1〜A3(エリアID=1〜3)が存在するものとする。
【0020】
空調対象エリアA1には、空調機AC1及びこの空調機AC1に付随する室内温度センサST1および室内湿度センサSH1が配置されている。同様に、空調対象エリアA2には、空調機AC2及びこの空調機AC2に付随する室内温度センサST2および室内湿度センサSH2が配置され、空調対象エリアA3には、空調機AC3及びこの空調機AC3に付随する室内温度センサST3および室内湿度センサSH3が配置されている。
【0021】
この場合に、空調対象エリアA1に対応づけられたビルBDを特定するビルID=1は、演算要求データベース63のビルIDデータ101に格納される。
また、空調対象エリアA1を特定するエリアID=1は、演算要求データベース63のエリアIDデータ102に格納される。
また、室内温度センサST1により測定された室内温度は、室内温度データRT1として、演算要求データベース63の室内温度データ104に格納される。
【0022】
また、室内湿度センサSH1により測定された室内湿度は、室内湿度データRH1として、演算要求データベース63の室内湿度データ105に格納される。
また図示しない室内コントローラを介してユーザにより設定された温度設定値、あるいは、オペレータにより予め設定された温度設定値に対応する温度設定値データSRT1は、演算要求データベース63の温度設定値データ106に格納される。
また、図示しない室内コントローラを介してユーザにより操作された空調機AC1の運転/非運転(ON/OFF)状態は、空調機運転状態データAS1として、演算要求データベース63の空調機運転状態データ107に格納される。
【0023】
同様に、空調対象エリアA2に対応づけられたビルBDを特定するビルID=1は、演算要求データベース63のビルIDデータ101に格納され、空調対象エリアA2を特定するエリアID=2は、演算要求データベース63のエリアIDデータ102に格納される。
【0024】
また、室内温度センサST2により測定された室内温度は、室内温度データRT2として、演算要求データベース63の室内温度データ104に格納され、室内湿度センサSH2により測定された室内湿度は、室内湿度データRH2として、演算要求データベース63の室内湿度データ105に格納される。
また、図示しない室内コントローラを介してユーザにより設定された温度設定値、あるいは、オペレータにより予め設定された温度設定値に対応する温度設定値データSRT2は、演算要求データベース63の温度設定値データ106に格納され、空調機AC2の運転/非運転(ON/OFF)状態は、空調機運転状態データAS2として、演算要求データベース63の空調機運転状態データ107に格納される。
【0025】
また、空調対象エリアA3に対応づけられたビルBDを特定するビルID=1は、演算要求データベース63のビルIDデータ101に格納され、空調対象エリアA3を特定するエリアID=3は、演算要求データベース63のエリアIDデータ102に格納される。
【0026】
また、室内温度センサST3により測定された室内温度は、室内温度データRT3として、演算要求データベース63の室内温度データ104に格納され、室内湿度センサSH3により測定された室内湿度は、室内湿度データRH3として、演算要求データベース63の室内湿度データ105に格納される。
また、図示しない室内コントローラを介してユーザにより設定された温度設定値、あるいは、オペレータにより予め設定された温度設定値に対応する温度設定値データSRT3は、演算要求データベース63の温度設定値データ106に格納され、空調機AC3の運転/非運転(ON/OFF)状態は、空調機運転状態データAS3として、演算要求データベース63の空調機運転状態データ107に格納される。
【0027】
次に再び空調制御装置13の機能構成について説明する。
空調制御演算定義機能部44には、ゲートウェイ機能部42の説明において述べたように、空調制御装置13が接続されるビル管理システム基本機能部41の仕様に合わせて、第1データ取得機能部において、取得したデータのうち、空調制御演算に必要なデータについて、空調制御演算機能部において演算可能な共通データフォーマットを有する演算要求データに変換するための各種定義が記述されている。さらに空調制御演算定義機能部44には、空調制御演算機能部45における演算結果である制御用データを再び、ビル管理システム基本機能部41を実際に構成している機器あるいはシステムの仕様に合わせた個別の制御用出力データに変換するための各種定義が記述されている。
【0028】
空調制御演算機能部45は、データベース機能部43の演算要求データベース63を定期的に監視しており、演算要求データベース63に新たな演算要求データが書き込まれた場合に、当該演算要求データに基づいて空調制御演算を行って、演算結果を当該演算要求データに含めて演算要求データベース63を更新する。
この結果、ゲートウェイ機能部の第2データ取得機能部が、空調制御演算機能部45の演算結果を含む演算要求データを取得して、第2データ書込機能部に出力する。そして、第2データ書込機能部は、ビル管理システム基本機能部41を実際に構成している機器あるいはシステムの仕様に合わせた個別の制御用出力データに変換して、ビル管理システム基本機能部41に出力することとなる。
【0029】
次に実施形態の動作を説明する。
空調制御装置13のMPU31は、起動されると空調制御演算機能部45として機能し、初期処理を行う。
図8は、初期処理の処理フローチャートである。
空調制御装置13のMPU31は、データベース機能部43を参照して、ビル情報データベース61の読み込み処理を行う(ステップS11)。
次にMPU31は、再びデータベース機能部43を参照してエリア情報データベース62の読み込み処理を行う(ステップS12)。
【0030】
図9は、通常処理時におけるゲートウェイ機能部の処理フローチャートである。
図10は、通常処理時における空調制御演算機能部の処理フローチャートである。
初期処理が完了すると、空調制御装置13のMPU31は、ゲートウェイ機能部42の第1データ取得機能部51として機能し、ビル管理システム基本機能部41から制御に必要な各種データを取得する(ステップS21)。
これにより、空調制御装置13のMPU31は、第1データ書込機能部52として機能して、取得した各種データをデータベース機能部43の演算要求データベース63に演算要求データ(=空調制御元データ)として書き込む(ステップS22)。
【0031】
そして、ゲートウェイ機能部42として機能するMPU31は、空調制御演算機能部45から空調制御演算結果データ(=空調制御演算結果データ)を取得するタイミングであるか否かを判別し(ステップS23)、待機状態となる(ステップS23;No)。
なお、この第1データ取得機能部51及び第1データ書込機能部52としての動作は、周期的に行うようにしても良いし、ビル管理システム基本機能部41からの要求があった場合に行うようにしても良い。
【0032】
一方、空調制御装置13のMPU31は、空調制御演算機能部45として機能し、図10に示すように、演算を行っていない新たな演算要求データ(=演算用データ)があるか(更新された演算要求データがあるか)否かを判別する(ステップS31)。
そして、ステップS31の判別において、新たな演算要求データがない、あるいは、更新された演算要求データがない場合には(ステップS31;No)、待機状態となる。
【0033】
一方、ステップS31の判別において、新たな演算要求データ(=演算用データ)がある場合には(ステップS31;Yes)、空調制御演算機能部45として機能するMPU31は、データベース機能部43の演算要求データベース63を参照し、演算要求データ(=演算用データ)を読み込む(ステップS32)。
続いて、空調制御演算機能部45として機能するMPU31は、読み込んだ演算要求データ(=演算用データ)を構成するビル情報シーケンス番号データ109がビルIDデータ101に対応するビル情報シーケンス番号に対して変更があるか否かを判別する(ステップS33)。
【0034】
ステップS33の判別において、読み込んだ演算要求データ(=演算用データ)を構成するビル情報シーケンス番号データ109がビルIDデータ101に対応するビル情報シーケンス番号に対して変更がない場合には(ステップS33;No)、MPU31は、処理をステップS35に移行する。
ステップS33の判別において、読み込んだ演算要求データ(=演算用データ)を構成するビル情報シーケンス番号データ109がビルIDデータ101に対応するビル情報シーケンス番号に対して変更がある場合には(ステップS33;Yes)、MPU31は、初期処理で行ったビル情報読み込み処理(ステップS11)と同様にして、ビル情報の再読込を行う(ステップS34)。
【0035】
続いてMPU31は、読み込んだ演算要求データ(=演算用データ)を構成するエリア情報シーケンス番号データ110がエリアIDデータ102に対応するエリア情報シーケンス番号に対して変更があるか否かを判別する(ステップS35)。
ステップS35の判別において、読み込んだ演算要求データ(=演算用データ)を構成するエリア情報シーケンス番号データ110がエリアIDデータ102に対応するエリア情報シーケンス番号に対して変更がない場合には(ステップS35;No)、MPU31は、処理をステップS37に移行する。
【0036】
ステップS35の判別において、読み込んだ演算要求データ(=演算用データ)を構成するエリア情報シーケンス番号データ110がエリアIDデータ102に対応するエリア情報シーケンス番号に対して変更がある場合には(ステップS35;Yes)、MPU31は、初期処理で行ったエリア情報読み込み処理(ステップS12)と同様にして、エリア情報の再読込を行う(ステップS36)。
【0037】
続いて、空調制御演算機能部45として機能するMPU31は、エリアIDデータ102に対応する空調対象エリアのPMV目標値データ103、室内温度データ104、室内湿度データ105、温度設定値データ106に基づいて、温度設定値データ111及び現在PMV値データ112を演算する空調制御演算を実行する(ステップS37)。そして、演算結果(=空調制御演算結果データ)である温度設定値データ111及び現在PMV値データ112をデータベース機能部43の演算要求データベース63に書き込む(ステップS38)。
【0038】
その後、ゲートウェイ機能部42として機能するMPU31は、ステップS23の判別において、空調制御演算機能部45から空調制御演算結果データを取得するタイミングであると判別した場合には(ステップS23;Yes)、MPU31は、第2データ取得機能部53として機能し、空調制御演算機能部45により演算された空調制御演算結果データをデータベース機能部43から取得する(ステップS24)。
【0039】
続いて、MPU31は、第2データ書込機能部54として機能し、第2データ取得機能部53として取得した空調制御演算結果データを制御用出力データ(=空調制御データ)として、ビル管理システム基本機能部41に出力する(ステップS25)。
なお、以上の動作説明においては、ゲートウェイ機能部の処理及び空調制御演算機能の処理を同時には行わないものとして説明したが、これらの処理を同時並行して行うように構成することも可能である。
【0040】
以上の説明のように、本実施形態によれば、空調制御演算機能部45としての構成は、空調制御装置13が接続されるビル管理本体システム11の構成にかかわらず、一定とできるため、空調制御装置13の既存のビル管理システムへの導入が容易になる。
また、各ビルにおいては、テナントの入れ替わり等により、エリアの情報が必要となる場合も多いが、このようなエリアの情報の変更に対しても、空調制御演算機能部45における空調制御演算に適切に反映され、そのエリアの状況にあった空調制御を行うことが可能となる。
さらに、空調制御装置13によれば、複数のビル情報およびそのビルに対する対象エリアの情報を適切に登録し、設定を行うことにより、複数のビルに対しても空調制御を提供することが可能となる。
【0041】
この場合において、既存のビル管理システムにおけるデータの保存方法は、ビル管理システムにより異なることから第1データ取得機能部51、第2データ書込機能部54及び空調制御演算定義機能部44の設計にあたっては、保存場所、保存形式、手順(プロトコル)を確認し、その内容にしたがい設計を行うことになる。
例えば、図1のサーバ装置25において、各種データがデータベースの形式で保存されている場合には、SQL(Structured Query Language)による取得および書き込み、ファイル形式で保存されている場合には、FTP(File Transfer Protocol)による取得および書き込みを行う必要がある。
【0042】
以上の説明においては、空調制御装置13において実現される各種機能やデータベース機能は、単独の空調制御装置を設置し実現する構成としていたが、空調制御演算の負荷等によっては、ビル管理システム内の適切な機器において実現するようにすることも可能である。
【0043】
図11は、実施形態の変形例の説明図である。
図11において、図1と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
以上の説明においては、空調制御装置13は、サーバ装置25を介して、空調機に接続される構成を採っていたが、図11におけるビル管理システム10Aにおいては、図1における第2データ伝送路28に相当するデータ伝送路121を介してサーバ装置25を介さずに直接制御するようにしている。
【0044】
この場合において、データ伝送路121としては、例えば、BACnet(A data communication protocol for Building Automation and Control Networks)プロトコルに対応している場合が考えられる。
上記構成において、空調の制御に関しては、サーバ装置25と制御が競合する可能性があるので、サーバ装置25において空調制御装置13と競合する空調制御機能を行わないようにすることが必要である。
【0045】
本実施形態の空調制御装置で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0046】
また、本実施形態の空調制御装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の空調制御装置で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の空調制御装置の制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0047】
本実施形態の空調制御装置で実行される制御プログラムは、上述した各部(ゲートウェイ機能部42、第1データ取得機能部51、第1データ書込機能部52、第2データ取得機能部53、第2データ書込機能部54、データベース機能部43、空調制御演算定義機能部44、空調制御演算機能部45)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはMPU(プロセッサ)が上記記憶媒体あるいはROM等から制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、ゲートウェイ機能部42、第1データ取得機能部51、第1データ書込機能部52、第2データ取得機能部53、第2データ書込機能部54、データベース機能部43、空調制御演算定義機能部44、空調制御演算機能部45が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10、10A ビル管理システム
11 ビル管理本体システム(空調設備)
12 第1データ伝送路
13 空調制御装置
21 受変電・自家発設備
22 熱源・空調設備(空調設備)
23 照明・防犯・防災設備
24 ヒューマンインタフェース装置
25 サーバ装置
26 コントローラ
27 リモートステーション
28 第2データ伝送路
31 MPU(空調制御演算手段、ゲートウェイ手段)
32 ROM
33 RAM
34 外部記憶装置
35 ディスプレイ装置
36 操作入力装置
37 通信インタフェース装置
41 ビル管理システム基本機能部
42 ゲートウェイ機能部(ゲートウェイ手段)
43 データベース機能部
44 空調制御演算定義機能部(変換定義情報格納手段)
45 空調制御演算機能部(空調制御演算手段)
51 第1データ取得機能部(第1データ取得手段)
52 第1データ書込機能部(第1データ書込手段)
53 第2データ取得機能部(第2データ取得手段)
54 第2データ書込機能部(第2データ書込手段)
61 ビル情報データベース
62 エリア情報データベース
63 演算要求データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の空調設備から取得した空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するための変換定義情報が予め格納された変換定義情報格納手段と、
前記演算用データに基づいて空調制御演算を行い、前記空調制御演算結果データを出力する空調制御演算手段と、
前記変換定義情報を参照して前記空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するゲートウェイ手段と、
を備えた空調制御装置。
【請求項2】
前記変換定義情報格納手段は、前記空調設備が複数設けられている場合に、前記空調設備毎に前記変換定義情報を予め格納している、
請求項1記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記演算用データ及び前記空調制御演算結果データをデータベースとして一時的に記憶するデータベース手段を備え、
前記空調制御演算手段は、前記データベースを参照して、前記空調制御演算を行う、
請求項1又は請求項2記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記データベース手段は、演算要求対象の前記演算用データが格納される演算要求テーブルを有し、
前記空調制御演算手段は、前記演算要求テーブルに前記演算用データが格納されたことをトリガとして、前記空調制御演算を行う、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空調制御装置。
【請求項5】
前記ゲートウェイ手段は、前記空調設備から前記空調制御元データを取得する第1データ取得手段と、
前記変換定義情報を参照して前記第1データ取得手段により取得された前記空調制御元データを前記演算用データに変換し、前記データベース手段のデータベースに書き込む第1データ書込手段と、
前記空調制御演算手段から前記データベース手段を介して前記空調制御演算結果データを取得する第2データ取得手段と、
前記変換定義情報を参照して前記第2データ取得手段により取得された前記空調制御演算結果データを前記空調制御データに変換して、前記空調設備に出力する第2データ書込手段と、
を備えた請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の空調制御装置。
【請求項6】
前記空調制御元データには、空調対象のエリアの温度情報、湿度情報及び前記空調設備の運転状態情報のうち、少なくともいずれかが含まれている、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の空調制御装置。
【請求項7】
前記空調制御元データには、空調対象のエリアに関するエリア情報及び当該エリアが位置するビルの設置状況に関するビル情報が含まれている、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の空調制御装置。
【請求項8】
前記空調制御元データには、前記エリア情報として、空調対象のエリアに隣接するエリアを特定するための隣接エリア特定情報を含む、
請求項7記載の空調制御装置。
【請求項9】
前記空調制御演算手段は、前記空調設備がPMV制御方式を採用している場合に、前記空調制御演算結果データとして現在PMV値データを含める、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の空調制御装置。
【請求項10】
外部の空調設備とデータ伝送路を介して接続される空調制御装置において実行される空調制御方法であって、
前記データ伝送路を介して前記空調設備から取得した空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するための変換定義情報を予め格納する変換定義情報格納過程と、
前記演算用データに基づいて空調制御演算を行い、前記空調制御演算結果データを出力する空調制御演算過程と、
前記変換定義情報を参照して前記空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するゲートウェイ過程と、
を備えた空調制御方法。
【請求項11】
外部の空調設備とデータ伝送路を介して接続される空調制御装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記データ伝送路を介して前記空調設備から取得した空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するための変換定義情報を予め格納する変換定義情報格納手段と、
前記演算用データに基づいて空調制御演算を行い、前記空調制御演算結果データを出力する空調制御演算手段と、
前記変換定義情報を参照して前記空調制御元データを空調制御演算を行うための演算用データに変換し、あるいは、前記空調制御演算の結果得られる空調制御演算結果データを前記空調設備において空調制御に用いられる空調制御データに変換するゲートウェイ手段と、
して機能させる制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−108644(P2013−108644A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252518(P2011−252518)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】