説明

空調機システム

【課題】室内機と複数のワイヤードリモコンとを備え、室内機から全ワイヤードリモコンへ供給する電源の管理において、複数備えられたリモコンの操作状況を考慮して、リモコン駆動電源の電源容量以下になるように、リモコンを制御する空調機システムを提供する。
【解決手段】リモコン制御部は、キー操作を受け付けた時、電源管理室内機へキー操作を知らせる操作指示のデータを送信し、電源管理室内機の室内機制御部は、操作指示のデータを受信した時、電源管理テーブルのバックライト輝度と対応するグループリモコンの消費電流合計値が電源部で予め定められた最大電流値以下となるように電源管理テーブルのバックライト輝度の項目を更新し、更新された輝度状態のデータをグループリモコンへ送信し、リモコン制御部は、電源管理室内機の室内機制御部から輝度状態のデータを受信した場合、同輝度状態のデータに従ってバックライトの輝度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機と室内機と複数のワイヤードリモコンとを備えた空調機システムに係わり、より詳細には、室内機からワイヤードリモコンへ供給する電源の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線と信号線とを共通の2線コードを使用して1台の室内機よりリモコンに対して給電を行うことで現地配線作業を容易にすると共に、配線施工上の自由度を向上することを目的とした空調機システムが従来より開示されている。
【0003】
この空調機システムは複数の室内機とリモコンとを渡り線方式の通信線で接続している。また、室内機には機器の識別を行うアドレス値の設定を行うアドレス設定手段を設け、アドレス設定手段で設定されたアドレス値が予め設定された給電許可アドレス値である室内機のリモコン動作用電源給電手段をオン状態にし、リモートコンローラへ電力を供給する室内機を一台だけにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、このような方式を前提として、複数のリモコンを備えると共に、数台〜数十台の室内機を備えた空調機システムがある。このような空調機システムの場合は室内機をグループで管理可能なグループリモコンが使用されるが、室内機の台数が多い場合、グループリモコンも数台〜10台程度になる場合がある。
【0005】
前述したように1台の室内機からすべてのリモコンに電源を供給するため、リモコンを駆動する電源はリモコンの最大接続台数を前提として設計される。特に近年は操作性を重視してリモコンの表示部にバックライトを設けており、このバックライトによる電流の増加も考慮してリモコンを駆動する電源を設計しているため、リモコン台数の増加に比例して電源が大型化してコストアップとなってしまう問題があった。
【0006】
しかしながら、空調機システムに使用されるリモコンは、電源オン/オフ、設定温度変更など、日に数回程度しか操作されない運用が一般的であり、しかも、すべてのリモコンが同時に使用されることは極めて稀である。このように、室内機に設けられたリモコン駆動電源は、必ずしも最大数が接続されたリモコンすべてを同時駆動するだけの容量が必要な訳ではない。このため、リモコンを駆動する電源を小型化してコストダウンを図ることができる空調機システムが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−133395号公報(第3−4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上述べた問題点を解決し、室内機と複数のワイヤードリモコンとを備え、室内機から全ワイヤードリモコンへ供給する電源の管理において、複数備えられたリモコンの操作状況を考慮して、リモコン駆動電源の電源容量以下になるように、リモコンを制御する空調機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、複数の室内機と、同室内機に通信接続されると共にバックライトを備えた複数のワイヤードリモコンとを備え、
前記室内機は前記ワイヤードリモコンに電源を供給する電源部を備え、少なくとも1台の前記ワイヤードリモコンに電源を供給する電源供給室内機と、前記ワイヤードリモコンと通信を行う室内機制御部と前記ワイヤードリモコン毎に前記バックライトの輝度状態を記憶する電源管理テーブルを格納する記憶部とを備えた電源管理室内機とを含んでおり、
前記ワイヤードリモコンは、キー操作を入力するキー入力部と、表示部と、同表示部で使用する前記バックライトと、これらを制御すると共に前記室内機制御部と通信を行うリモコン制御部とを備え、
前記リモコン制御部は、前記キー操作を前記キー入力部を介して受け付けた時、前記電源管理室内機へキー操作を知らせる操作指示のデータを送信し、
前記電源管理室内機の室内機制御部は、前記操作指示のデータを受信した時、前記輝度状態と対応する前記ワイヤードリモコンの消費電流合計値が前記電源部で予め定められた最大電流以下となるように前記電源管理テーブルの前記輝度状態を更新し、更新された同前記輝度状態のデータを前記ワイヤードリモコンへ送信し、
前記リモコン制御部は、前記電源管理室内機の室内機制御部から前記輝度状態のデータを受信した場合、同輝度状態の内容に従って前記バックライトの輝度を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記電源管理テーブルに、前記バックライトの点灯時間を示す操作中タイマの値を前記ワイヤードリモコンと対応させて記憶し、
前記電源管理室内機の室内機制御部は、前記ワイヤードリモコンから前記操作指示のデータを受信した時、前記操作指示のデータを送信した前記ワイヤードリモコンと対応する前記電源管理テーブルにおける前記操作中タイマの値を前記バックライトの最大点灯時間のカウント初期値に更新し、
前記操作中タイマの値を時間経過に対応して更新し、前記電源管理テーブルにおける前記最大点灯時間が経過した前記ワイヤードリモコンの前記輝度状態を前記バックライトの輝度を下げるように更新すると共に、対応する前記ワイヤードリモコンへ更新した前記輝度状態のデータを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の手段を用いることにより、本発明による空調機システムによれば、
請求項1に係わる発明は、ワイヤードリモコンのキー操作が行われた時に、電源管理テーブルにおける各バックライトの輝度状態をワイヤードリモコン全体の供給電源の最大電流値以内に制限するように見直して更新し、この更新内容に従ってワイヤードリモコンのバックライト輝度制御を行うため、常に供給電源の最大電流値以内で、かつ、可能な限りバックライトの輝度を高める制御ができる。
【0012】
請求項2に係わる発明は、電源管理テーブルに各ワイヤードリモコンの操作中タイマを設けて管理し、所定時間が経過したら点灯しているバックライトの輝度を低下させるため、キー操作が終了したワイヤードリモコンのバックライトの消費電流を低下させ、次に操作されるワイヤードリモコンのために使用可能な電流容量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による空調機システムの実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明による空調機システムの室内機の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明による空調機システムのリモコンの実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明によるリモコンの電源管理を説明する説明図である。
【図5】本発明によるリモコンの電源管理テーブルを説明する説明図である。
【図6】本発明によるリモコン制御部及び室内機制御部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
本発明の特徴は、各リモコンの動作状況を室内機が管理し、リモコンの操作が重なった時にリモコン用の電流容量を越えないように、室内機が動作中のリモコンのバックライトの輝度を指示することである。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明による空調機システムの実施例を示すブロック図である。この空調機システムは、室外機30と複数の室内機20a,20b,20e・・・20xと、ワイヤードリモコンからなるグループリモコン10a,10b,10c,10dとを備えている。室外機30と各室内機とは通信線1で通信接続(主通信)されており、また、各室内機と各グループリモコンとはリモコン接続線2で通信接続(リモコン通信)されている。なお、リモコン接続線2には通信信号の他に、各グループリモコンを駆動する電源が予め定められた特定の1台の室内機(電源供給室内機)から供給されるようになっている。
【0016】
図2は本発明による空調機システムの室内機の実施例を示すブロック図である。この室内機20aは他の室内機と同じ構成であるため、室内機20aを代表的に説明する。
【0017】
室内機20aは、各グループリモコンとリモコン接続線2を介してデータ通信を行うと共にリモコン接続線2に電源を重畳する通信・電源重畳部21と、室内の温度を検出する室温検出部27と、データを記憶する記憶部25と、室外機30や他の室内機と通信を行う通信部22と、送風ファンモータ23と、上下風向板用ステッピングモータ24と、これらを制御する室内機制御部26と、交流電源4を入力して直流電源Vccを出力する電源部28と、この直流電源Vccを各グループリモコンを駆動する電源として通信・電源重畳部21へ供給するか否かを切り換えるリモコン電源供給スイッチ29とを備えている。
なお、リモコン接続線2は1対の電線で構成されており、一方の電線は機器のアース線(グランド線)として利用されており、他方の電線に通信信号と直流電源Vccが印加される。
【0018】
また、リモコン電源供給スイッチ29を閉にすることで各リモコンの駆動用電源をリモコン接続線2へ供給することができる。前述したように、複数の室内機のうち特定の室内機、この実施例では室内機20aのリモコン電源供給スイッチ29を閉とし、他の室内機のリモコン電源供給スイッチ29を開とする。なお、このリモコン電源供給スイッチ29の状態は室内機制御部26で読み取ることができるため、設置要員によりこのスイッチが閉にされた室内機がすべてのグループリモコンの電源を管理することになる。この電源を管理する室内機が電源管理室内機となる。
【0019】
複数の室内機と複数のグループリモコンとは、それぞれが送信するデータに宛先と送信元のアドレスとが含まれており、このデータを受信した機器では、予め規定されている自身のアドレスにより、宛先が自分宛か否かを確認することで受信するデータの選択が可能である。また、グループリモコンの電源を管理する電源管理室内機では、受信したデータに含まれる宛先を無視して、すべてのグループリモコンが送信するデータを監視する。
例えばグループリモコンから送信するデータは、宛先アドレス、送信元アドレス、送信項目(例えば室内機への指示)、送信項目の内容(例えば宛先アドレス#10の運転開始)などで構成されている。一方、電源管理室内機からは、宛先アドレス、送信元アドレス、送信項目(例えばグループリモコンへの指示)、送信項目の内容(例えば宛先アドレス#20のバックライト輝度状態〜高輝度、中輝度、消灯)などで構成されている。従ってこれらのデータを受信した機器では、自分宛のデータの受信し、送信項目によって処理する項目を決定し、送信項目の内容に従って処理を実行することができる。
【0020】
電源管理室内機の室内機制御部26は、キー操作がされた各グループリモコンから送信される『操作指示』のデータを受信すると、各グループリモコンでの消費電流が設計値上の最大値、例えば最大値:1.2アンペアを越えないように後述する電源管理テーブルを更新し、この更新されたテーブルの内容に従って制限が必要なグループリモコンへバックライトの高輝度点灯/中輝度点灯/消灯の『輝度状態』の指示データを送信する。同時に連続して操作されるキー操作の時間間隔も管理しており、キー操作が行われてから15秒間、次のキー操作がないグループリモコンに対してバックライト消灯の『輝度状態』の指示データを送信する。15秒以内に次のキー操作があれば該当するグループリモコンはさらに15秒間バックライトを点灯することができる。
【0021】
図3は本発明による空調機システムのリモコンの実施例を示すブロック図である。グループリモコン10aは、他のグループリモコンと同じ構成であるためグループリモコン10aを代表として説明する。
グループリモコン10aは、ユーザーによって操作されたキーの状態を入力するキー入力部12と、各室内機へ指示データを送信したり、各室内機からの通信データを受信すると共に、リモコン接続線2からグループリモコン10aを駆動する直流電源Vccを分離して取り出す通信・電源分離部16と、表示部11と、表示部11の図示しない反射型液晶パネルを照らすバックライト17と、データを記憶する記憶部13と、これらを制御するプログラムを内蔵したマイコンを備えたリモコン制御部15とを備えている。
【0022】
リモコン制御部15は、キー入力部12を介してキー操作を受け付けると、キーと対応するキーコードに変換してキー操作内容を受付け、表示部11に表示すると共に、『操作指示』のデータを操作指示の対象となる室内機へ送信する。この送信されたデータは電源管理室内機でも受信しているため、この『操作指示』のデータを監視していた電源管理室内機の室内機制御部26からバックライトの高輝度点灯/中輝度点灯/消灯の『輝度状態』を指示するデータが返信されてきたら、リモコン制御部15は、この指示に従ってバックライト17を制御する。
【0023】
図4は本発明によるリモコンの電源管理を説明する説明図である。図4(A)は同時に操作されるグループリモコンを均等に管理する均等制御の例を、また、図4(B)は同時に操作されるグループリモコンのうち、後から操作を開始したグループリモコンを優先して管理する後押しリモコン優先の場合を示している。また、図4では時間経過をt0〜t10に区切って図示している。
【0024】
図4の縦方向は(1)グループリモコン10a〜(4)グループリモコン10dのバックライト点灯/消灯を、また、(5)合計消費電流はこれら4つのグループリモコンの各場合での合計消費電流を示している。また、横方向は時間を示している。T1はある時間を、T2はT1の直後にいずれかのグループリモコンのキー操作があり、このキー操作によってバックライト17の輝度状態が更新された直後を示している。T3とT4も同様の関係にある。
【0025】
なお、図4において『高』はバックライト17が高輝度点灯の場合を示し、『中』はバックライト17が中輝度の状態を、『消灯』はバックライト17が消灯している状態をそれぞれ示している。各グループリモコンは、『高』の時に0.5アンペア、『中』の時に0.3アンペア、『消灯』の時に0.05アンペアを消費する。
【0026】
電源管理室内機の室内機制御部26は記憶部25に前述した電源管理テーブルを備えており、各グループリモコンから送信された『操作指示』のデータを受信したタイミングで電源管理テーブルにおける各グループリモコンの輝度状態の項目を更新し、電源管理テーブルの全てのグループリモコンの『輝度状態』を総合的に管理することで全グループリモコンの合計消費電流が設計上の最大電流値を越えないようにしている。なお、更新された『輝度状態』のデータは各グループリモコンへ送信されて、各グループリモコンはこの輝度状態に従ってバックライト17の輝度を変更する。また、図4では全てのグループリモコンの合計消費電流を最大電流値以内になるようにバックライト17の輝度を調節する原理について説明している。このため電源管理テーブルで各グループリモコンの輝度状態を管理しているが、電源管理テーブルの内容については後で詳細に説明する。
【0027】
図4(A)の均等制御の場合を説明する。
図4のt0はすべてのグループリモコンのキー操作がなく、バックライト17がすべて消灯しているため、0.05アンペア×4台で合計消費電流は0.2アンペアとなっている。ここでグループリモコン10aとグループリモコン10bとで操作が行われた場合、2つのグループリモコンを制限なし、つまり、2つのグループリモコンへのバックライト17を高輝度で動作させても合計消費電流は1.1アンペアであり、電流容量の1.2アンペアを越えないため、t1の期間は両リモコン共にバックライト17を高輝度で動作させる。
【0028】
一方、t4では既にグループリモコン10a、10cとが高輝度で駆動された状態であり、このときにグループリモコン10bが操作された場合、3つのグループリモコンを高輝度にすると合計消費電流:1.55アンペアが必要になる。これは電流容量の1.2アンペアを越えているため実現できない。つぎに、3つのグループリモコンをすべて中輝度とした場合は合計消費電流:0.95アンペアとなり、電流容量以内となるため、この輝度状態のデータを3つのグループリモコンへ送信する。この状態がt5である。
【0029】
ここでさらにグループリモコン10dの操作が行われた場合、すべてのグループリモコンを中輝度としても合計消費電流は1.2アンペアであるため、すべてのグループリモコンに中輝度の輝度状態のデータを送信する。この状態がt6である。
【0030】
一方、t7の状態、つまり、グループリモコン10b、10c、10dが中輝度の輝度状態であった場合、次にグループリモコン10cのキー操作が終了した場合、2つのグループリモコンのみがキー操作中となるため、t0と同様にこの2つのグループリモコンを高輝度とすることができる。この状態がt8である。なお、キー操作が終了した場合とは、あるキーが押下されてから所定時間、例えば15秒の間、次のキーが押下されなかった場合を示しており、この時間以内に続けてキーが押下されない場合は、操作者に継続操作の意志がないと電源管理室内機側で判断する。従って所定時間の間はバックライト17を点灯させるようにしている。この時間管理については後で詳細に説明する。
【0031】
次に図4(B)の後押しリモコン優先制御の場合を説明する。
後押しリモコン優先の場合は、既に押された他のグループリモコンよりも、後から押されたキー、つまり、何かを指示する場合に該当するグループリモコンで最初に押されたキーに続けてキーが押される確率が高いため、この後から押されたキーのグループリモコンの操作性を優先してバックライトを点灯させる制御である。後押しリモコン優先制御、または、均等制御のいずれを採用するかは空調機システムの仕様で決定されるものである。
【0032】
均等制御と後押しリモコン優先制御とは一部が異なる制御であるため、これらで異なる部分について説明する。t5とt7とがこの異なる部分である。図4(B)の後押しリモコン優先制御の場合、グループリモコン10bで操作があった時に、このグループリモコンが他のグループリモコンよりも後から押されたキー操作であるならば、このグループリモコン10bのバックライト17の輝度を他のグループリモコンの輝度よりも高くする。
【0033】
t5において、グループリモコン10a,10b,10cをすべて高輝度にすることはできないが、最後に操作されたグループリモコン10bを少なくとも高輝度にする。t5の場合、グループリモコン10bを高輝度にし、他の2つのグループリモコンを中輝度にすれば合計消費電流は1.15アンペアとなり、最大電流容量以下となる。従ってこの輝度状態の指示データを各グループリモコンへ送信する。
【0034】
同様に、図4(B)の後押しリモコン優先制御の場合、t7において最後に操作されたグループリモコン10dのみ高輝度に、グループリモコン10b,10cをそれぞれ中輝度にする輝度状態の指示データを各グループリモコンに送信する。
【0035】
次に図5の電源管理テーブルを用いてさらに詳細な動作を説明する。
図5は本発明によるリモコンの電源管理テーブルを説明する説明図である。このテーブルは電源管理室内機(室内機20a)の記憶部25に記憶されており、各グループリモコンのキー操作が行われる毎に更新される。電源管理テーブルの横方向の項目はグループリモコン10a〜グループリモコン10d、及びこれらの消費電流合計が、縦方向の項目は現在の『操作中タイマ』、現在の『輝度状態』、輝度状態と対応して予め規定された『消費電流』である。従って『輝度状態』の代わりにこの消費電流値を用いてもよいが、本実施例では説明のために付加している。
【0036】
『輝度状態』は前述したように各グループリモコンのバックライト17の輝度の組合せを規定して消費電流を制限するものであり、バックライト17の輝度は高輝度、中輝度、消灯に規定されている。また、『操作中タイマ』はユーザーが続けて操作をするであろうと推測される時間であり、この時間の間、バックライト17を高、または中輝度で点灯させる。室内機制御部26は、最初のキー操作による操作指示のデータを受信した時、操作中タイマを15秒(バックライト17の最大点灯時間のカウント初期値)にセットし、以後、時間の経過と共にこのカウント値を減少させ、0になったら該当するグループリモコンへ消灯を示す輝度状態のデータを送信する。
【0037】
この操作中タイマが稼働中(ゼロ以外の値の時)にさらに操作が行われた場合は再度、15秒がセットされる。なお、前述したように各グループリモコンでキー操作が行われる毎にグループリモコンから『操作指示』のデータが送信されるため、このデータを受け取った電源管理室内機の室内機制御部26は電源管理テーブルにおける該当するグループリモコンの操作中タイマの項目内容を15秒にセットする。
【0038】
図5(1)は均等制御及び後押しリモコン優先時のT1の状態を、また、図5(2)は均等制御時のT2を、図5(3)は後押しリモコン優先時のT2を、図5(4)は均等制御時のT3を、図5(5)は均等制御時のT4をそれぞれ示している。なお、T1〜T4は本実施例で各グループリモコンの状態を説明するために図4で規定しているある瞬間のタイミングである。
【0039】
図5(1)の均等制御及び後押しリモコン優先時のT1において、電源管理テーブルにおけるグループリモコン10a〜グループリモコン10dは、操作中タイマが9秒、0秒、5秒、0秒に、また、輝度状態が高輝度、消灯、高輝度、消灯に、さらに、消費電流(アンペア)が0.50、0.05、0.50、0.05、消費電流合計が1.10アンペアの状態になっている。
【0040】
上記状態においてグループリモコン10bから『操作指示』のデータが送信された場合、これを受信した電源管理室内機の室内機制御部26は、グループリモコン10bの操作中タイマの項目に15秒を書き込んで、前述したようにグループリモコンの消費電流合計が1.2アンペアを越えないように計算し、輝度状態の項目にこの計算結果から導き出した『中輝度』を書き込んで、図5(2)均等制御T2に示すように電源管理テーブルを更新し、各グループリモコンに更新された輝度状態の内容を指示するデータの送信を行う。なお、図5(2)均等制御T2では時間が経過して操作中タイマが1秒だけ減少した例を示している。
【0041】
次に後押しリモコン優先時のT2について説明する。図5(1)の均等制御及び後押しリモコン優先時のT1の状態において、グループリモコン10bから『操作指示』のデータが送信された場合、これを受信した電源管理室内機の室内機制御部26は、グループリモコン10bの操作中タイマの項目に15秒を書き込む。そして操作中タイマの値が一番大きいグループリモコン10bの輝度状態の項目に高輝度を書き込んで、前述したようにグループリモコンの消費電流合計が1.2アンペアを越えないように計算し、輝度状態の項目にこの計算結果から導き出したグループリモコン10a,10cに『中輝度』を書き込んで、図5(3)後押しリモコン優先時のT2に示すように電源管理テーブルを更新し、各グループリモコンに更新された輝度状態の内容を指示するデータ送信を行う。なお、図5(3)後押しリモコン優先時のT2では時間が経過して操作中タイマが1秒だけ減少した例を示している。
【0042】
一方、図5(4)の均等制御時のT3において、グループリモコン10a〜グループリモコン10dは、操作中タイマが0秒、4秒、1秒、8秒に、また、輝度状態が消灯、中輝度、中輝度、中輝度に、さらに、消費電流が0.05、0.30、0.30、0.30、消費電流合計が0.95アンペアの状態になっている。
【0043】
上記状態においてグループリモコン10cの操作中タイマが0秒になった場合、室内機制御部26は、前述したようにグループリモコンの消費電流合計が1.2アンペアを越えないように計算し、操作中タイマの値が一番大きいグループリモコン10dの輝度状態の項目にこの計算結果から導き出した『高輝度』を書き込んで、図5(5)均等制御T4に示すように電源管理テーブルを更新し、各グループリモコンに更新された輝度状態の内容を指示するデータの送信を行う。なお、図5(5)均等制御のT4では時間が経過して操作中タイマが1秒だけ減少した例を示している。
【0044】
以上説明したように、各グループリモコンのキー操作が行われた時に、電源管理テーブルの輝度状態をグループリモコン全体の供給電源の最大電流値以内に制限するように見直して更新し、この更新内容に従ってグループリモコンのバックライト輝度制御を行うため、常に供給電源の最大電流値以内で、かつ、可能な限りバックライトの輝度を高める制御ができる。
【0045】
また、電源管理テーブルに各グループリモコンの操作中タイマを設けて管理し、所定時間が経過したら点灯しているバックライトを消灯するため、キー操作が終了したグループリモコンのバックライトを消灯し、次に操作されるグループリモコンのために使用可能な電流容量を確保することができる。
【0046】
次に、室内機とグループリモコンとの処理動作を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。図6(1)はグループリモコンの処理を、図6(2)は室内機の処理をそれぞれ示している。なお、図6に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesを、NはNoをそれぞれ表している。
【0047】
図6(1)においてリモコン制御部15は、キー入力部12を介してキー操作があったか否かを確認する(ST1)。キー操作があった場合(ST1−Y)、操作されたキーを受け付けて処理、つまり、キーコードに変換したり、このキーコードと対応する内容を表示部11へ表示する。また、処理した内容を操作指示のデータとして対応する室内機へ送信する(ST5)。そしてST1へジャンプする。
【0048】
一方、キー操作がなかった場合(ST1−N)、次に室内機から送信されて通信・電源分離部16を介して受信した受信データが有ったか確認する(ST2)。この受信データがない場合(ST2−N)、ST1へジャンプする。この受信データがあった場合(ST2−Y)、受信データは輝度状態か確認する(ST3)。これは前述したように、受信データに含まれる宛先アドレスが自分宛か、また、送信項目がグループリモコンへの指示で、かつ、送信項目の内容がバックライト輝度状態の場合を示す。受信データが輝度状態でない場合(ST3−N)、ST1へジャンプする。受信データが輝度状態の場合(ST3−Y)、輝度状態に対応してバックライト17を制御する。そして、ST1へジャンプする。
【0049】
図6(2)において室内機制御部26は、通信部22を介して主通信データが有るか確認する(ST21)。主通信データが有る場合(ST21−Y)、受信データに従った処理、例えば室外機30からのエラーデータであれば室内機の運転を停止するなどを実行する(ST25)。
【0050】
次にリモコン電源供給スイッチは閉状態か確認する(ST28)。リモコン電源供給スイッチは閉状態でない場合(ST28−N)、ST21へジャンプする。リモコン電源供給スイッチは閉状態の場合(ST28−Y)、室内機制御部26の内部に備えられている図示しないタイマカウンタでカウントした1秒の経過毎に、電源管理テーブルの値がゼロ以外の『操作中タイマ』の項目の値を減算(−1)する(ST29)。そして、ST21へジャンプする。
【0051】
一方、主通信データが無い場合(ST21−N)、通信・電源重畳部21を介して受信したリモコン通信データが有るか確認する(ST22)。このリモコン通信データが無い場合(ST22−N)、現状の状態を維持、つまり、待機状態、もしくは、運転状態を維持する(ST26)。そして、ST28へジャンプする。
【0052】
このリモコン通信データが有る場合(ST22−Y)、次にリモコン電源供給スイッチは閉状態か確認する(ST23)。リモコン電源供給スイッチは閉状態でない場合(ST23−N)、受信したリモコン通信データの宛先をチェックし、自機宛なら前述したように、送信項目に従って、送信項目の内容、例えば運転開始などの運転制御を行う。また、自機宛以外なら無視してこのステップを抜ける(ST27)。そして、ST21へジャンプする。
【0053】
一方、リモコン電源供給スイッチは閉状態の場合(ST23−Y)、リモコン通信データの『操作指示』のデータをキーが押下されたとして処理するため、リモコン通信データの送信元のグループリモコンと対応する電源管理テーブルの『操作中タイマ』の項目に15秒を書き込む。そして、電源管理テーブルのグループリモコンの輝度状態を考慮、つまり、合計消費電流が1.2アンペアを越えないように配分して輝度状態決定して電源管理テーブルを更新する。そして更新された輝度状態を各グループリモコンへ送信する(ST24)。そして、ST27へジャンプする。
【0054】
なお、本実施例では各グループリモコンに電源を供給する電源供給室内機と、各グループリモコンを管理する電源管理室内機とを同じ室内機で行っているが、これに限るものでなく、別々の室内機で供給・管理してもよい。
また、本実施例では電源管理室内機で各グループリモコンを管理しているが、これに限るものでなく、電源管理テーブルを個々のグループリモコンに備え、各グループリモコンで自身のキー操作と、他のグループリモコンのキー操作(通信データ)とを監視し、自身が備えている電源管理テーブルを更新し、この更新した内容に従って自身のバックライトを制御するようにしてもよい。
また、本実施例では電源管理室内機で各グループリモコンを管理しているが、これに限るものでなく、特定のグループリモコンが全てのグループリモコンを管理する機能、つまり、実施例1における電源管理室内機と同じ機能を備え、各グループリモコンはこの特定のグループリモコンの指示に従うようにしてもよい。
【0055】
また、本実施例では電流容量以内でできるだけバックライトを高輝度で点灯するように制御しているが、例えば設定等で輝度が固定されていたら、その設定輝度以下にのみ制御するようにしてもよい。
また、本実施例では電源管理室内機内の電源管理テーブルでバックライト点灯時間を管理しているがこれに限るものでなく、各グループリモコンで点灯時間の管理を実施するようにし、バックライトの点灯時間が終了して消灯したらグループリモコン側からバックライト消灯通知を電源管理室内機へ送信し、これを受信した電源管理室内機が電源管理テーブルの輝度状態データを消灯に更新するようにしてもよい。
また、本実施例では電源管理室内機から電源管理テーブルの輝度状態のデータをグループリモコンへ送信する場合、電源管理テーブルで更新されたグループリモコンへのみ輝度状態のデータを送信しているが、これに限るものでなく、全てのグループリモコンに対して一斉同報通信にて電源管理テーブルの全ての輝度状態のデータを送信するようにしてもよい。これを受信した各グループリモコンは、自分と対応する輝度状態のデータのみ抽出し、このデータに従ってバックライトを制御する。これにより、管理するグループリモコンの台数が多い場合に通信トラフィックを低減させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 通信線
2 リモコン接続線
4 交流電源
10a グループリモコン
10b グループリモコン
10c グループリモコン
10d グループリモコン
11 表示部
12 キー入力部
13 記憶部
15 リモコン制御部
16 通信・電源分離部
17 バックライト
20a 室内機
21 通信・電源重畳部
22 通信部
23 送風ファンモータ
24 上下風向板用ステッピングモータ
25 記憶部
26 室内機制御部
27 室温検出部
28 電源部
29 リモコン電源供給スイッチ
30 室外機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室内機と、同室内機に通信接続されると共にバックライトを備えた複数のワイヤードリモコンとを備え、
前記室内機は前記ワイヤードリモコンに電源を供給する電源部を備え、少なくとも1台の前記ワイヤードリモコンに電源を供給する電源供給室内機と、前記ワイヤードリモコンと通信を行う室内機制御部と前記ワイヤードリモコン毎に前記バックライトの輝度状態を記憶する電源管理テーブルを格納する記憶部とを備えた電源管理室内機とを含んでおり、
前記ワイヤードリモコンは、キー操作を入力するキー入力部と、表示部と、同表示部で使用する前記バックライトと、これらを制御すると共に前記室内機制御部と通信を行うリモコン制御部とを備え、
前記リモコン制御部は、前記キー操作を前記キー入力部を介して受け付けた時、前記電源管理室内機へキー操作を知らせる操作指示のデータを送信し、
前記電源管理室内機の室内機制御部は、前記操作指示のデータを受信した時、前記輝度状態と対応する前記ワイヤードリモコンの消費電流合計値が前記電源部で予め定められた最大電流以下となるように前記電源管理テーブルの前記輝度状態を更新し、更新された同前記輝度状態のデータを前記ワイヤードリモコンへ送信し、
前記リモコン制御部は、前記電源管理室内機の室内機制御部から前記輝度状態のデータを受信した場合、同輝度状態の内容に従って前記バックライトの輝度を制御することを特徴とする空調機システム。
【請求項2】
前記電源管理テーブルに、前記バックライトの点灯時間を示す操作中タイマの値を前記ワイヤードリモコンと対応させて記憶し、
前記電源管理室内機の室内機制御部は、前記ワイヤードリモコンから前記操作指示のデータを受信した時、前記操作指示のデータを送信した前記ワイヤードリモコンと対応する前記電源管理テーブルにおける前記操作中タイマの値を前記バックライトの最大点灯時間のカウント初期値に更新し、
前記操作中タイマの値を時間経過に対応して更新し、前記電源管理テーブルにおける前記最大点灯時間が経過した前記ワイヤードリモコンの前記輝度状態を前記バックライトの輝度を下げるように更新すると共に、対応する前記ワイヤードリモコンへ更新した前記輝度状態のデータを送信することを特徴とする請求項1記載の空調機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29258(P2013−29258A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166112(P2011−166112)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】