空調装置
【課題】ドレンポンプの頻繁な発停及びドレンポンプの空運転を効果的に防止する。
【解決手段】検出水位が設定排水水位L1以上であることに応じてドレンポンプ20の運転を開始した後、そのドレンポンプ20の運転開始で検出水位が設定排水水位L1より低くなると設定排水時間の計時を開始し、その後、この設定排水時間が経過した時点でドレンポンプ20の運転を停止する排水制御手段を設ける。
【解決手段】検出水位が設定排水水位L1以上であることに応じてドレンポンプ20の運転を開始した後、そのドレンポンプ20の運転開始で検出水位が設定排水水位L1より低くなると設定排水時間の計時を開始し、その後、この設定排水時間が経過した時点でドレンポンプ20の運転を停止する排水制御手段を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気冷却部を備える空調装置に関し、詳しくは、空気冷却部で発生する結露水を受け入れるドレンパンと、このドレンパンから排水管を通じて排水するドレンポンプと、前記ドレンパンにおける水位を検出する水位検出手段と、この水位検出手段による検出水位が設定排水水位以上のとき前記ドレンポンプを運転する排水制御手段とを備える空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空調装置として、水位検出手段による検出水位が設定排水水位(所定水位)以上になると、ドレンポンプの運転を開始してドレンパンからの排水を開始するとともに、その時点から設定排水時間(第1時間)の計時を開始し、その後、この設定排水時間(第1時間)が経過するとドレンポンプの運転を停止してドレンパンからの排水を停止するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−35714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来装置では、ドレンポンプの運転開始でドレンパンにおける水位が低下するにしても、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水(即ち、空気冷却部で冷却する空気に含まれる水分の凝縮水)が多い状況では、設定排水時間が相対的に不足な状態になって、設定排水時間の経過時点においてドレンパンに未だ多くの貯留水が残る状態でドレンポンプが停止されてしまうことがある。
【0005】
そして、このような場合、ドレンパンにおける水位が通常より短い時間で再び設定排水水位に上昇してドレンポンプが再運転される状態になって、ドレンポンプの発停頻度が高くなり、これが原因で、頻繁なポンプ起動音などによる音響的な不快感を使用者に与える問題があった。
【0006】
本発明の主たる課題は、合理的な排水制御により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、
空気冷却部で発生する結露水を受け入れるドレンパンと、このドレンパンから排水管を通じて排水するドレンポンプと、前記ドレンパンにおける水位を検出する水位検出手段と、この水位検出手段による検出水位が設定排水水位以上のとき前記ドレンポンプを運転する排水制御手段とを備える空調装置において、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位以上であることに応じて前記ドレンポンプの運転を開始した後、前記検出水位が前記設定排水水位より低くなると設定排水時間の計時を開始し、
その後、この設定排水時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある点にある。
【0008】
この構成によれば、検出水位が設定排水水位以上になってドレンポンプの運転が開始された後、そのドレンポンプの運転で検出水位が設定排水水位より低くなったときに、ドレンポンプの運転停止時点を規定する設定排水時間の計時を開始するから、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が多い状況では、それに応じ、検出水位が設定排水水位より低くなって設定排水時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(言わば、設定排水時間に対する実質的なポンプ延長運転時間)が長くなり、その分、ドレンポンプの運転開始から運転停止に至るまでの運転時間も長くなって、ドレンポンプ運転一回あたりの排水量が増加する。
【0009】
即ち、このことにより、先述の従来装置の如く検出水位が設定排水水位以上になったときにドレンポンプの運転を開始するとともに、設定排水時間の計時も開始するのに比べ、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が多い状況において、前述の如くドレンポンプの発停頻度が高くなることを効果的に抑制することができて、ドレンポンプの発停により使用者に与える音響的な不快感を効果的に軽減することができる。
【0010】
また、このように結露水の流入水量が多い状況でのドレンポンプ発停頻度の増大を効果的に防止しながらも、逆に空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が通常より少ない状況では、それに応じ、検出水位が設定排水水位より低くなって設定排水時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(上記実質的なポンプ延長運転時間)が短くなり、その分、ドレンポンプの運転開始から運転停止に至るまでの運転時間も短くなって、ドレンポンプ運転一回あたりの排水量が減少する。
【0011】
即ち、このことにより、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が少ない状況において、ドレンポンプの運転時間が過度に長すぎることで、ドレンポンプの運転停止に至る前にドレンパンが空になって、ドレンポンプの空運転(即ち、十分な吸込水の無い状態でのポンプ運転)を招くことも効果的に防止することができて、ポンプ空運転による音響的な不快感やドレンポンプの早期劣化も効果的に防止することができる。
【0012】
ちなみに、ドレンパンへの結露水の流入水量の変化に応じてドレンポンプの運転時間を変化させるのに、ドレンポンプの運転開始後、ドレンパンにおける水位が設定排水水位より低い設定計時開始水位に低下したことを検出して、その検出時点で設定排水時間の計時を開始する、あるいは、ドレンパンにおける水位が設定排水停止水位に低下したことを検出して、その検出時点でドレンポンプの運転を停止することも考えられるが、これらの場合、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上か否かの検出とは別に、ドレンパンにおける水位が設定計時開始水位あるいは設定排水停止水位に低下したことの検出が必要になり、水位の検出点数が増加する。
【0013】
これに対し、上記構成であれば、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上か否かの検出だけで済み、水位上昇時と水位低下時との水位検出上のヒステリシスを利用した状態で、ドレンポンプの運転を開始する水位と設定排水時間の計時を開始する水位とに差を持たせることもできて、水位の検出点数を少なくなくすることができ、例えば水位検出手段としてフロートスイッチを用いる場合には、設定排水水位用の1つのフロートスイッチだけで済ませることができる。
【0014】
即ち、タイマー制御によりドレンポンプの運転停止を行なうことで、水位の検出点数を少なくして水位検出のための装置構成を簡素にすることについては、先述の従来装置と同様の効果を得ることができる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、
前記設定排水時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定排水時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある点にある。
【0016】
この構成によれば、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水の流量が多少変化するにしても、その流入水量の変化に応じた前述の如き実質的なポンプ延長運転時間の変化とも相俟って、ドレンポンプの運転停止時点(即ち、設定排水時間の経過時点)を確度的に高い状態でドレンパンの水位がドレンパンの底部近傍にまで低下した時点にすることができ、これにより、ドレンポンプの空運転を防止しながらドレンポンプの発停頻度を一層効果的に低減することができる。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、
前記排水管に、前記ドレンパンの底部排水口から下方へ延びて、それに続き上方へ延びるポケット配管部を形成し、
前記ドレンポンプを前記ドレンパンの底部より低い位置で前記排水管における前記ポケット配管部に介装してある点にある。
【0018】
この構成によれば、上記ポケット配管部においてドレンパンの底部より低い箇所には、ドレンポンプによるドレンパンからの排水を完了した状態でも溜まり水が所謂封水の如き状態で残留し易いから、その位置にドレンポンプを介装することで、前述の如くドレンパンにおける水位がドレンパンの底部近傍まで低下したときにドレンポンプを停止させることとも相俟って、ドレンパンの空運転を一層効果的に防止することができる。
【0019】
本発明の第4特徴構成は、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止する構成にしてある点にある。
【0020】
この構成によれば、何らかの原因でドレンパンにおける水位が設定排水水位を超えてさらに上昇したとしても、検出水位が設定上限水位まで上昇したとき、空気冷却部の運転が停止されて空気冷却部でのそれ以上の結露水発生が停止されるから、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルに至ることを一層確実に防止することができる。
【0021】
なお、この構成の実施において、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上か否かを検出する低位用の検出部と、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇したか否かを検出する高位用の検出部とを、例えば各別のフロートスイッチで構成するなど、互いに独立して各水位を検出するものにしておけば、低位用検出部の不良が原因でドレンパンにおける水位が設定排水水位を超えて上昇したしても、その後、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇したことを高位用検出部による独立の水位検出により検出することができ、この点で、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルをさらに確実に防止することができる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成を実施するのに、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後、前記検出水位が前記設定上限水位より低くなると設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある点にある。
【0023】
この構成によれば、検出水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後、ドレンポンプの継続運転でドレンパンにおける水位が設定上限水位まで低下した時点から設定保全時間だけドレンポンプを運転して、設定保全時間の経過時点でドレンポンプを停止するから、空気冷却部の運転を停止した状態(即ち、空調装置の装置停止状態)において必要以上にドレンポンプを運転することを回避することができて、その必要以上のポンプ運転で使用者に対し却って漏水トラブルの懸念を与えることを回避することができる。
【0024】
また、検出水位が設定上限水位以上になって空気冷却部の運転を停止した後、ドレンポンプの継続運転で検出水位が設定上限水位より低くなったときに、ドレンポンプの運転停止時点を規定する設定保全時間の計時を開始するから、第1特徴構成と同様、空気冷却部が運転停止された後も空気冷却部からドレンパンに流入する残留結露水が多い状況では、それに応じ、検出水位が設定上限水位より低くなって設定保全時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(実質的なポンプ延長運転時間)が長くなり、また逆に、運転停止された空気冷却部からドレンパンに流入する残留結露水が少ない状況では、それに応じ、検出水位が設定上限水位より低くなって設定保全時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(実質的なポンプ延長運転時間)が短くなり、このことで、運転停止された空気冷却部からドレンパンに流入する残留結露水を確実にドレンパンから排水するようにしながら、空気冷却部の運転を停止した状態での必要以上のドレンポンプ運転を効果的に回避することができる。
【0025】
さらにまた、上記構成であれば、第1特徴構成と同様、ドレンパンにおける水位が設定上限水位以上か否かの検出だけで済み、水位上昇時と水位低下時との水位検出上のヒステリシスを利用した状態で、空気冷却部の運転を停止する水位と設定保全時間の計時を開始する水位とに差を持たせることもできて、水位の検出点数を少なくなくすることができ、例えば水位検出手段としてフロートスイッチを用いる場合には、設定上限水位用の1つのフロートスイッチだけで済ませることができる。
【0026】
本発明の第6特徴構成は、第5特徴構成を実施するのに、
前記設定保全時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定保全時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある点にある。
【0027】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後も、未だ空気冷却部に残っている残留結露水が引き続きドレンパンに流入することに対し、上記の如く設定保全時間を設定しておくことにより、設定保全時間の計時開始時点以降も運転停止状態の空気冷却部から流入する残留結露水の全量を含めて、ドレンパンに存在する貯留水をドレンパンから排水し、その排水がほぼ完了した状態でドレンポンプを停止させることができ、これにより、ドレンポンプの空運転を防止しながらも、空気冷却部の次の運転開始やそれに至るまでの保守点検などに備えてドレンパンをほぼ空の状態にしておくことができて、空気冷却部の次回の運転の際やそれに至るまでの保守点検の際の漏水トラブルに対する安全性を一層高めることができる。
【0028】
本発明の第7特徴構成は、第4特徴構成の実施するのに、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止するとともに、前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みる構成にしてある点にある。
【0029】
この構成によれば、何らかの原因でドレンパンにおける水位が設定排水水位を超えてさらに上昇したとしても、検出水位が設定上限水位まで上昇したとき、空気冷却部の運転が停止されて空気冷却部でのそれ以上の結露水発生が停止されるから、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルに至ることは防止される。
【0030】
また、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上になったときには何らかの不良でドレンポンプが運転されず、そのために、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇したとしても、そのときには、上記の如く空気冷却部の運転を停止するとともに、ドレンポンプの運転開始操作を再度試みることで、それによりドレンポンプの運転が開始されれば、その時点からドレンポンプの運転よりドレンパンから排水することができ、これにより、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルを一層確実に防止することができ、また、空気冷却部の次の運転開始やそれに至るまでの保守点検などに備えてドレンパンを貯留水の無い状態ないし少ない状態にしておくこともできる。
【0031】
本発明の第8特徴構成は、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みた時点から設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転停止操作を行う構成にしてある点にある。
【0032】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して、空気冷却部の運転を停止するとともに、ドレンポンプの運転開始操作を再度試みた際、それでドレンポンプの運転が開始されたときには、その時点から設定保全時間だけドレンポンプを運転して、設定保全時間の経過時点でドレンポンプを停止するから、空気冷却部の運転を停止した状態(即ち、空調装置の装置停止状態)において必要以上にドレンポンプを運転することを回避することができて、その必要以上のポンプ運転で使用者に対し却って漏水トラブルの懸念を与えることを回避することができる。
【0033】
本発明の第9特徴構成は、
前記設定保全時間は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、前記ドレンポンプの運転により前記ドレンパンから排水するのに要する時間にしてある点にある。
【0034】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後も、未だ空気冷却部に残っている残留結露水が引き続きドレンパンに流入することに対し、上記の如く設定保全時間を設定しておくことにより、運転停止後の空気冷却部から流入する残留結露水の全量を、既にドレンパンに存在する貯留水も含めてドレンパンから排水し、その排水がほぼ完了した状態でドレンポンプを停止させることができ、これにより、ドレンポンプの空運転を防止しながらも、空気冷却部の次の運転開始やそれに至るまでの保守点検などに備えてドレンパンをほぼ空の状態にしておくことができて、空気冷却部の次回の運転の際やそれに至るまでの保守点検の際の漏水トラブルに対する安全性を一層高めることができる。
【0035】
本発明の第10特徴構成は、
前記ドレンパンの容量は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、貯留可能な容量にしてある点にある。
【0036】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後も、未だ空気冷却部に残っている残留結露水が引き続きドレンパンに流入することに対し、上記の如くドレンパンの容量を設定しておくことにより、仮にドレンポンプの不良などでドレンパンからの排水が不能な状況でも、運転停止後の空気冷却部から流入する残留結露水の全量を、既にドレンパンに存在する貯留水も含めてドレンパンに貯留することができ、これにより、ドレンパンから貯留水が溢れ出る漏水トラブルをさらに確実に防止することができる。
【0037】
本発明の第11特徴構成は、
前記排水制御手段は、前記ドレンポンプの運転開始に伴い設定制限時間の計時を開始し、その後、この設定制限時間の経過時点まで前記ドレンポンプの運転が継続されているときには、その設定制限時間の経過時点で前記ドレンポンプの運転を強制的に停止する構成にしてある点にある。
【0038】
この構成によれば、ドレンポンプの運転開始後、設定制限時間の経過時点でドレンポンプの運転が強制的に停止されるから、水位検出手段の作動不良など何らかの原因でドレンポンプの運転が停止されずドレンポンプの延々と運転が続いてしまう不都合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】空調装置における室内機の斜視図
【図2】室内機の分解斜視図
【図3】室内機の側面視断面図
【図4】下ケース部の側面視断面図
【図5】上ケース部の側面視断面図
【図6】室内機の平面視断面図
【図7】上ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図8】下ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図9】吸放熱エレメントの並置群周りの分解斜視図
【図10】ドレンポンプ周りの概略配管図
【図11】ドレンポンプ運転のタイムチャート
【図12】排水制御のフローチャート
【図13】別実施形態を示す排水制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は自然対流式の空調装置における室内機1を示し、この室内機1は機体前方へ向けて開放させたエレメント収容部2を備え、このエレメント収容部2は、上ケース部1Aと下ケース部1Bと、それら上下ケース部1A,1Bにわたる左右一対の側柱ケース部1Cとにより囲んだ矩形空間領域にしてある。
【0041】
図1,図2に示すように、エレメント収容部2には、上ケース部1Aと下ケース部1Bとにわたる縦姿勢の複数本(本例では7本)の吸放熱エレメント3を、平行姿勢で室内機1の左右幅方向に等間隔に並べて配置してあり、各々の吸放熱エレメント3の縦中心軸部には、図6,図9に示す如く、伝熱管4の直管部4aを吸放熱エレメント3の全長にわたらせて貫通させてある。
【0042】
吸放熱エレメント3及び伝熱管4はいずれも熱良導材で形成してあり、本例では吸放熱エレメント3をアルミニウム製にし、伝熱管4には銅管を用いてある。
【0043】
図7,図9に示すように、伝熱管4は、各々の吸放熱エレメント3に貫通させた直管部4aにおける上側突出部の隣接対を一対置きに上側ベンド管4bにより接続するとともに、下側突出部の隣接対を上側とは交互の一対置きに下側ベンド管4cにより接続することで、それら直管部4aを上下のベンド管4b,4cにより直列に接続して形成した蛇行管にしてある。
【0044】
この蛇行伝熱管4の一端は、断熱材被覆の液側渡り冷媒管5aを介して屋外設置の室外機(図示省略)に接続し、蛇行伝熱管4の他端は、同じく断熱材被覆の気体側渡り冷媒管5bを介して同室外機に接続する。
【0045】
屋外設置の室外機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四方弁を備えており、冷房運転では、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を蒸発器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0046】
また、暖房運転では、四方弁により冷媒経路を切り替えることで、逆に室外熱交換器を蒸発器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を凝縮器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0047】
つまり、冷房運転では、蒸発器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの蒸発に伴う気化熱の奪取により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を冷却することで、吸放熱エレメント3周りの室内空気を冷却して、その冷却空気を温度差による比重差により自然降下させ、これにより、冷気をエレメント収容部2の下部から室内機設置室へ前方斜め下向きに流出させて、その冷気流出に伴い室内空気の大きな対流を室内機設置室において生じさせる形態で、その室内を冷房する。
【0048】
また、暖房運転では、凝縮器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの凝縮に伴う凝縮熱の放出により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を加熱することで、吸放熱エレメント3の表面から熱輻射させるとともに、吸放熱エレメント3周りの室内空気を加熱して、その加熱空気を温度差による比重差により自然上昇させ、これにより、暖気をエレメント収容部2の上部から室内機設置室へ前方斜め上向きに流出させて、その暖気流出に伴い室内空気の大きな対流(冷房運転時とは逆回りの対流)を室内機設置室において生じさせる形態で、上記熱輻射との協働をもって、その室内を暖房する。
【0049】
なお、本例では、図9に示すように、エレメント収容部2における左右一側の下部に位置する蛇行伝熱管4の一端に液側の渡り冷媒管5aを接続し、エレメント収容部2における左右他側の上部に位置する蛇行伝熱管4の他端に気体側の渡り冷媒管5bを接続してある。
【0050】
図6に示すように、吸放熱エレメント3の前面側及び後面側には、吸放熱エレメント3の全長にわたって縦方向(即ち、吸放熱エレメント3の長手方向)に延びる複数のフィン部3a,3b(換言すれば、ひだ状部)を一体形成してあり、具体的は図6における拡大図部分に示す如く、吸放熱エレメント3には、その横断面視において、柱状の芯部3cと、その芯部3cから左右外方に向かって延びる基板部3dとを備えさせ、複数の前面側フィン部3aを、平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから前方に延出させてある。
【0051】
また、同様に、前面側フィン部3aと同数の後面側フィン部3bを、前面側フィン部3aと対応位置させて平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから後方に延出させてある。
【0052】
芯部3cには伝熱管4を貫通させる管挿通孔3eを形成してあり、前面側フィン部3aのうち芯部3cから延出させた前面側の中央フィン部3a′、及び、後面側フィン部3bのうち芯部3cから延出させた後面側の中央フィン部3b′には、それらの前後途中部分に配置してエレメント固定用の止め具挿通孔3fを形成してある。
【0053】
即ち、これら縦姿勢の多数のフィン部3a,3bを吸放熱エレメント3に備えさせることで、吸放熱エレメント3の周囲空気に対する伝熱面積及び熱輻射面積を大きく確保するのに止まらず、冷房運転では、吸放熱エレメント3周りの冷却空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて円滑に自然降下させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未冷却の室内空気が円滑に誘引されるようにするとともに、吸放熱エレメント3の表面に生じる結露水を吸放熱エレメント3の表面に伝わらせて円滑に自然流下させ、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(換言すれば、熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の下部からの室内への冷気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0054】
また同様に、暖房運転では、吸放熱エレメント3周りの加熱空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて所謂煙突効果を伴う状態で円滑に自然上昇させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未加熱の室内空気が円滑に誘引されるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の上部からの室内への暖気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0055】
図2,図6に示すように、エレメント収容部2の後面部と左右側面部とは、平面視の断面形状が偏平「コ」の字状の閉塞板6により閉塞してあり、この閉塞板6は、内面側を光沢前面を有する熱良導性の板材6a(本例ではアルミニウム板)により形成し、かつ、外面側を断熱材6b(本例では発泡スチロール)により形成した2層構造にしてある。
【0056】
即ち、冷房運転時における吸放熱エレメント3の冷却に伴い室内機背面側の室壁Kが冷却されて、その背面側室壁Kの表面に結露が生じることを、閉塞板6による冷気の遮断と、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導と、外面側断熱材6bによる冷熱断熱とで確実に防止する。
【0057】
また、冷房運転では、上記の如き内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に低温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気冷却に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気冷却が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気冷却を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の下部からの冷気流出を一層促進するとともに、その冷気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0058】
同様に、暖房運転では、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な温熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に高温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気加熱に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気加熱が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気加熱を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の上部からの暖気流出を一層促進するとともに、その暖気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0059】
さらに、暖房運転では、吸放熱エレメント3の表面からの熱輻射のうち後方及び側方に向かうものを内面側板材6aの光沢前面により反射させ、これにより、エレメント収容部2からの室内への熱輻射も一層促進するとともに、その熱輻射の均一性も高める。
【0060】
図6に示すように、吸放熱エレメント3における前面側フィン部3aは、左右方向の中央側に位置するものほど前方への延出長さを大きくして、それら前面側フィン部3aの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が前方に向かって突出する尖頭状又は半円弧上の曲線になるようにしてあり、これにより、冷房運転時における流出冷気、並びに、暖房運転時における流出暖気及び熱輻射に室内機左右幅方向への拡がりを与える。
【0061】
これに対し、吸放熱エレメント3における後面側フィン部3bは、後方への延出寸法が互いに等しくて、それら後面側フィン部3bの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が直線になるようにしてあり、これにより、閉塞板6における内面側板材6aの熱良導性と相俟って、吸放熱エレメント3の冷却又は加熱に伴う内面側板材6aの低温化又は高温化を面方向において一層均一なものにする。
【0062】
吸放熱エレメント3は押し出し成型により製作してあり、この押し出し成型において吸放熱エレメント3に、フィン部3a,3b、芯部3c、基板部3d、管挿通孔3e,止め具挿通孔3fの夫々を同時に一体形成する。
【0063】
この押し出し成型の際には、延出長さが互いに等しい後面側フィン部3bが下向き延出姿勢となる配置にして、それら後面側フィン部3bの先端群を送り具上に受け止めて案内する状態で押し出し成型を進めるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の複雑な横断面形状にかかわらず、成型過程の吸放熱エレメント3を安定姿勢に保った状態で押し出し成型を進められるようにして、成型過程での倒伏等による吸放熱エレメント3の成型不良を回避する。
【0064】
吸放熱エレメント3の成型においては、管挿通孔3eの内径を伝熱管4の外径より多少大きくしておき、成型後、その管挿通孔3eに伝熱管4の直管部4aを無理なく貫通させた状態で、直管部4aの管内に油圧等の圧力を印加することにより伝熱管直管部4aを拡径させ、これにより、管挿通孔3eの内面側に隙間が残ることを回避した状態で伝熱管4の直管部4aと吸放熱エレメント3とを緊密に一体化して、伝熱管4と吸放熱エレメント3との間での熱伝導性を高く確保する。
【0065】
なお、伝熱管直管部4aの上記拡径加工は、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続するのに先立ち、それら直管部4aごとに行なう方式、あるいは、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続して蛇行伝熱管4を形成した後に、それら複数の直管部4aに対して同時に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0066】
また、上記拡径加工においては、伝熱管直管部4aのうち吸放熱エレメント3の端部からの突出部分や、それら突出部分に接続したベンド管4b,4cを型具により挟圧保持することで、それら突出部分や接続ベンド管4b,4cの拡径は阻止する。
【0067】
図2,図3,図6に示すように、閉塞板6の背面(即ち、外面側断熱材6bの背面)には、室内機背面側の外装材として、上下2分割構造の背面パネル7を面接触状態で取り付けてあり、この背面パネル7の上端部及び下端部は上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の後面パネルになる。
【0068】
左右の側柱ケース部1Cの外郭は、上下方向に延びて上端部及び下端部が上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の側面パネルとなる側柱パネル8と、エレメント収容部2の内側面となる閉塞板6の左右側面部とで形成してあり、これら側柱ケース部1Cの内部には、上下方向に延びる側柱フレーム9を、それに対して閉塞板6の左右側面部を面接触させる状態で配設してある。
【0069】
図1、図2,図5,図7に示すように、上ケース部1Aの外郭は、前面パネル10と、上面パネル11と、背面パネル7の上端部と、左右の側柱パネル8の上端部と、側柱パネル8の上端開口部を閉塞するキャップパネル8aとで形成してあり、前面パネル10の後方延出部10a(即ち、エレメント収容部2の天井面を形成する部分)には、吸放熱エレメント3の上端部を挿通する複数の上部切欠き10bを左右に並べて波形状に形成してある。
【0070】
また、上ケース部1Aにおける前面パネル10の下側部分10cは、下側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜下側部分10cとそれに連なる後方延出部10aとにより、暖房運転時におけるエレメント収容部2の上部からの暖気流出を円滑にする。
【0071】
上ケース部1Aの内部には、前後一対の上部フレーム12と、その下方における前後一対のエレメント上部支持フレーム13とを配置してあり、上面パネル11は、前後の上部フレーム12にわたらせて取り付け、前面パネル10と前後の上部フレーム12と前後のエレメント上部支持フレーム13とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0072】
図1,図2、図4,図8に示すように、下ケース部1Bの外郭は、前面パネル14と、閉塞板6の下端を受け止める後部上面パネル15と、背面パネル7の下端部と、左右の側柱パネル8の下端部とで形成してあり、この前面パネル14の後方延出部14a(即ち、エレメント収容部2の底面を形成する部分)には、上ケース部1Aの前面パネル10における後方延出部10aと同様、吸放熱エレメント3の下端部を挿通する複数の下部切欠き14bを左右に並べて波形状に形成し、これに対し、後部上面パネル15には、その後方延出部14aにおける波形状部分の各頂部と係合連結させる係合突起15aを設けてある。
【0073】
下ケース部1Bにおける前面パネル14の上側部分14cは、上側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜上側部分14cとそれに連なる後方延出部14aとにより、上ケース部1Aの前面パネル10と同様に、冷房運転時におけるエレメント収容部2の下部からの冷気流出を円滑にする。
【0074】
下ケース部1Bの内部には、前後一対の下部フレーム16と、その上方における前後一対のエレメント下部支持フレーム17とを配置してあり、前面パネル14と後部上面パネル15と前後の下部フレーム16と前後のエレメント下部支持フレーム17とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0075】
下ケース部1Bの内部において前後の下部フレーム16とその上方に位置する前後のエレメント下部支持フレーム17との間には、冷房運転時において空気冷却部としての吸放熱エレメント3から流下する結露水を受け入れるドレンパン18を配置してあり、これに付帯して、下ケース部1Bには、ドレンパン18に受け入れた結露水を排水管19を通じて外部へ排出するドレンポンプ20を内装してある。
【0076】
また、下ケース部1Bの下面部にはベース21を取り付けてあり、このベース21を介して室内機1を室内に設置する。
【0077】
吸放熱エレメント3の支持については、図3,図4,図9に示すように、下ケース部1Bに配置する前後一対のエレメント下部支持フレーム17を横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント下部支持フレーム17は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の一辺部17aがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0078】
また、前後のエレメント下部支持フレーム17は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S1が形成される平行姿勢にして配置してあり、各エレメント下部支持フレーム17における水平姿勢の一辺部17aには、左右方向に延びる浅器状の樹脂製ドレン受具22をそれら前後の一辺部17aに跨らせた状態で、かつ、ドレン受具22の下面に形成した一対の脚部22aを介して中空状に載置してある。
【0079】
ドレン受具22には、その長手方向(左右方向)の全長にわたらせて底部の前後中央箇所から下方に突出するスリット状の排水筒部22bを形成してあり、ドレン受具22を前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aに載置することにおいて、ドレン受具22におけるスリット状の排水筒部22bは、上方からエレメント下部支持フレーム17どうしの間の隙間S1に挿通して、下方のドレンパン18にその直上方から臨ませてある。
【0080】
吸放熱エレメント3は、その下端をドレン受具22の底部に載せ置くことで、ドレン受具22を介して前後のエレメント下部支持フレーム17に受け止め支持させ、この受け止め支持において、吸放熱エレメント3の下端からの突出伝熱管である下側ベンド管4cは、その外径より大きい開口幅を有するドレン受具22のスリット状排水筒部22bに上方から挿通した状態にする。
【0081】
吸放熱エレメント3の下端は、ドレン受具22に載せ置いた状態において、止め具としてのエレメント固定ネジ23を下方から前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17a及びドレン受具22の底部(脚部22a形成部分の底部)に貫通させて、そのエレメント固定ネジ23の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの下端部にねじ込むことで、前後のエレメント下部支持フレーム17に連結してある。
【0082】
即ち、下側ベンド管4c及び吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17に対して直接には接触させない状態で、また、下側ベンド管4cに支持荷重(特に重力荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17により支持するようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく十分な強度で安定的に支持する。
【0083】
ドレンパン18の前後幅は前後のエレメント下部支持フレーム17の配置領域の前後幅より大きくしてあり、また、前後のエレメント下部支持フレーム17のL字状横断面形状における他辺部17bの先端屈折部17cは、上記の線対称配置において各エレメント下部支持フレーム17の下部側に位置して下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、ドレン受具22の排水筒部22bを通じてドレンパン18に受け入れる吸放熱エレメント3からの流下結露水とは別に、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント下部支持フレーム17の他辺部17bにおける傾斜姿勢の先端屈折部17c(傾斜下面部の一例)に伝わらせて流下させることで、ドレンパン18の内部へ確実に受け入れる。
【0084】
一方、図3,図5,図9に示すように、上ケース部1Aに配置する前後一対のエレメント上部支持フレーム13も、エレメント下部支持フレーム17と同様、横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント上部支持フレーム13は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の他辺部13bにおける先端屈折部13cがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0085】
また、前後のエレメント上部支持フレーム13は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S2が形成される平行姿勢にして配置してあり、吸放熱エレメント3の上端は、その上端からの突出伝熱管である上側ベンド管4bをその外径より大きい開口幅を有する上記隙間S2に下方から挿通した状態で、各エレメント上部支持フレーム13における他辺部13bの先端屈折部13cに対し下方から対向させ、それら先端屈折部13cの下面との間には融通隙間S3を設けてある。
【0086】
そして、吸放熱エレメント3の上端は、各エレメント上部支持フレーム13における水平姿勢の先端屈折部13cに対し融通隙間S3を介して下方から対向させた状態において、止め具としてのエレメント固定ピン24を上方から前後のエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに貫通させて、そのエレメント固定ピン24の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの上端部に挿入することで、前後のエレメント上部支持フレーム13に止め付けてある。
【0087】
即ち、吸放熱エレメント3の上端側についても、上側ベンド管4b及び吸放熱エレメント3をエレメント上部支持フレーム13に対して直接には接触させない状態で、また、上側ベンド管4bに支持荷重(特に水平方向成分を有する荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3の上端部を前後のエレメント上部支持フレーム13により支持し、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく安定的に支持する。
【0088】
前後のエレメント上部支持フレーム13のL字状横断面形状における他辺部13bは、上記の線対称配置において各エレメント上部支持フレーム13の下部側に位置して、水平姿勢となる先端屈折部13cを除き、下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント上部支持フレーム13における傾斜姿勢の他辺部13b(傾斜下面部の一例)に伝わらせて、極力前後内方側に寄せた状態(即ち、ドレン受具22での受け止めを確実にした状態)で流下させる。
【0089】
上記のエレメント支持構造では、エレメント固定ネジ23及びエレメント固定ピン24により吸放熱エレメント3の水平方向への変位及び縦軸芯周りでの回転を阻止し、また、吸放熱エレメント3の下端をエレメント固定ネジ23によりエレメント下部支持フレーム17に連結することで、吸放熱エレメント3の浮き上がりを阻止する。
【0090】
さらに、吸放熱エレメント3の上端をエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに対し融通隙間S3のある状態で対向させるとともに、吸放熱エレメント3の上端を止め具挿通孔3fに対するエレメント固定ピン24の挿入によりエレメント上部支持フレーム13に止め付けることで、冷却及び加熱による吸放熱エレメント3の熱伸縮を、その熱伸縮に伴いエレメント固定ピン24と止め具挿通孔3fとを縦方向で相対摺動させる状態で許容し、これにより、吸放熱エレメント3の熱伸縮(特に熱伸張)が原因で各フレームに過度な荷重が作用することを回避する。
【0091】
前後一対の上部フレーム12は、横断面形状が上向きに開口するC字状の係合溝部12aを上部に備えるフレーム材で形成してあり、これら上部フレーム12は、係合溝部12aの開口部が上ケース部1Aにおける上面パネル11の側縁に沿って室内に露呈する状態に配置してある。
【0092】
そして、図1,図5に示すように、後側の上部フレーム12には、ボルト頭を係合溝部12aの内部に入れることで外れ止めした2本のボルト25を装着し、これら2本のボルト25には、各ボルト25に対するナット26の螺着によりL字状横断面形状の倒伏防止具27における横辺部27aを連結してある。
【0093】
即ち、2本のボルト25に対する連結により倒伏防止具27の縦軸芯周りでの回転を阻止した状態で、倒伏防止具27を2本のボルト25とともに係合溝部12aに沿わせて横移動させることで、背面側室壁Kに対する倒伏防止具27の適当な連結位置を背面側室壁Kの状況に応じて選択し、その適当連結位置において、各ボルト25に対するナット26の締め込みにより倒伏防止具27を係合溝部12aに固定するとともに、倒伏防止具27の縦辺部27bを背面側室壁Kに対してネジ連結することで、地震等による室内機1の倒伏を防止するようにしてある。
【0094】
一方、図4に示すように、前後一対の下部フレーム16は、横断面形状が下向きに開口するC字状の係合溝部16aを下部に備えるフレーム材で形成してあり、これら下部フレーム16における係合溝部16aの内部にボルト頭を入れることで外れ止めしたベース連結用のボルト28と、そのボルト28に対して螺着するナット29とにより、ベース21を下部フレーム16に連結してある。
【0095】
なお、倒伏防止具27の連結及びベース21の連結において、各ボルト25,28に対しナット26,29を締め込む際の各ボルト25,28の供回りは、各ボルト25,28のボルト頭と係合溝部12a,16aとの係合により阻止されるようにしてある。
【0096】
横断面形状がC字状の係合溝部12a,16aを備える上部フレーム12と下部フレーム16は共通のフレーム材により形成してあり、係合溝部12a,16aを備える共通フレーム材を、その係合溝部12a,16aがフレーム上部に位置する状態とフレーム下部に位置する状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材を上部フレーム12と下部フレーム16とに兼用する。
【0097】
また同様に、横断面形状がL字状のエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17も共通のフレーム材で形成してあり、横断面形状がL字状の共通フレーム材を、そのL字状横断面形状における一辺部13a,17aが水平姿勢になる状態と他辺部13b,17bにおける先端屈折部13c,17cが水平姿勢になる状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材をエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17とに兼用する。
【0098】
つまり、このように共通フレーム材を兼用することで、フレーム材の必要種数を少なくして室内機1の製作コストを低減する。
【0099】
図2,図3,図4に示すように、下ケース部1Bの内部には、エレメント下部支持フレーム17周り及びドレンパン18を収容する空隙部を形成するとともに前面パネル14の内面及び背面パネル7の内面に合致する外郭形状にした成型断熱材30を充填してあり、この成型断熱材30は前側分割部分30aと後側分割部分30bとに2分割して、前側分割部分30aを前面パネル14の内面に取り付け、後側分割部分30bを背面パネル7の下端部内面に取り付けてある。
【0100】
即ち、室内機1の組立において、下ケース部1Bの前面パネル14及び背面パネル7を組み付けることで、下ケース部1Bの内部に成型断熱材30が充填装備されるようにしてあり、そして、成型断熱材30を設けることにより、エレメント収容部2からの降下冷気が下ケース部1Bの内部に侵入することを防止し、これにより、その冷気侵入に原因する前面パネル14の外面での結露発生及び背面パネル7の下端部外面での結露発生を防止するとともに、併せて、受け入れ結露水に原因するドレンパン18の外面での結露発生を防止する。
【0101】
図6に示すように、左右の側柱ケース部1Cの内部には、側柱パネル8の内面及び側柱フレーム9の外側面に合致する外郭形状にした柱状の成型断熱材31を、側柱パネル8と側柱フレーム9との間に介在させる状態で充填してあり、これにより、側柱パネル8の外面での結露発生を防止する。
【0102】
また、閉塞板6の左右側面部における内面側板材6aとそれに近接対向する側柱フレーム9の内側面との間に、閉塞板6の外面側断熱材6bを介在させることで、側柱フレーム9への冷熱伝導を抑止するのと併せて、図9に示す如く、前後一対のエレメント下部支持フレーム17は、それらの両端部を側柱フレーム9との間に樹脂製の断熱スペーサ32を介在させて側柱フレーム9に連結してあり、これにより、側柱フレーム9へのエレメント下部支持フレーム17からの冷熱伝導も抑止して、側柱フレーム9での結露発生及び側柱パネル8の外面での結露発生を一層確実に防止する。
【0103】
左右の側柱ケース部1Cにおける上記成型断熱材31には、上下方向に延びる配管挿通用の切欠き31aを形成してあり、エレメント収容部2の下部で蛇行伝熱管4の一端に接続した渡り冷媒管5aを左右一方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くとともに、ドレンパン18からの排水管19を左右他方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くようにしてある。
【0104】
即ち、これら配管挿通用の切欠き31aを通じて上部に導いた渡り冷媒管5a及び排水管19と、エレメント収容部2の上部で蛇行伝熱管4の他端に接続した渡り冷媒管5bとの三管を纏めた状態で上ケース部1Aから機外に延出させ、これにより、一般の壁掛式エアコンで用いる室壁上部の配管用貫通孔を利用して、上記の三管5a,5b,19を室外に延出させることができるようにしてある。
【0105】
なお、室壁下部の配管用貫通孔を確保できる場合は、その室壁下部の配管用貫通孔を通じて上記三管5a,5b,19を室外に延出させてもよい。
【0106】
図3,図5に示すように、上ケース部1Aの後面パネルとなる背面パネル7の上端部内面には、組み付け状態において閉塞板6の後面側断熱材6bに連なる断熱材6cを貼設してあり、この上ケース部1Aには、図1に示すように、前面パネル10に設けた運転ランプや異常ランプの点消灯操作、及び、前面パネル10に設けた受信部で受けたリモコン発信信号の処理などを行なう制御器33を内装してある。
【0107】
また、図4,図10に示すように、ドレンパン18には、排水管19へ排出する排水中の塵埃等異物を捕集するストレーナ34をドレンパン深底部18aの排水口部(即ち、排水管19の接続口部)に設けるとともに、ドレンパン18における水位を検出する水位検出手段として、ドレンパン18における水位の変化によりオンオフ動作する第1及び第2のフロートスイッチ35a,35bをドレンパン18の深底部18aとその近傍の底部とに各別に装備してあり、上記制御器33は、排水制御手段として、これらフロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づきドレンポンプ20を発停するなどの排水制御も実行する。
【0108】
この排水制御について具体的には(図10、図11参照)、第1フロートスイッチ35aは、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1以上になるとオン動作し、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1より低くなるとオフ動作するものであり、同様に第2フロートスイッチ35bは、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2以上になるとオン動作し、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2より低くなるとオフ動作するものであり、第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停でドレンパン18内の貯留水が適切に排出される状況では、第2フロートスイッチ35bがオン動作することのないように、上記の設定上限水位L2は設定排水水位L1より高くしてある。
【0109】
制御器33の具体的制御動作としては(図10〜図12参照)、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1に上昇して第1フロートスイッチ35aがオン動作すると、制御器33はドレンポンプ20の運転を開始してドレンパン18からの排水を開始する。
【0110】
そして、この排水開始によりドレンパン18内の水位が設定排水水位L1より低下して第1フロートスイッチ35aがオフ動作すると、制御器33は設定排水時間T1の計時を開始し、この計時において第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点から設定排水時間T1が経過すると、制御器33はドレンポンプ20の運転を停止してドレンパン18からの排水を停止する。
【0111】
即ち、冷房運転時においては結露水が連続してドレンパン18に流入することに対し、上記の如き第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の間欠的な運転により、ドレンパン18内の水位を第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位である設定上限水位L2より低位に保つ。
【0112】
一方、何らかの原因でドレンパン18内の水位が設定排水水位L1を超えて設定上限水位L2に上昇し、そのことで第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、制御器33は、先の第1フロートスイッチ35aのオン動作によるドレンポンプ20の運転を継続したままの状態で、圧縮機の運転を停止して冷媒Rの循環を停止(即ち、空気冷却部である吸放熱エレメント3の運転を停止)し、これにより、吸熱エレメント3での新たな結露水の発生を停止する。
【0113】
その後、新たな結露水の発生を停止した状態でのドレンポンプ20の運転により、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2より低下して第2フロートスイッチ35bがオフ動作すると、制御器33は設定保全時間T2の計時を開始し、この計時において第2フロートスイッチ35bのオフ動作時点から設定保全時間T2が経過すると、制御器33は、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1に上昇したときからのドレンポンプ20の運転を停止する。
【0114】
即ち、この設定保全時間T2にわたるドレンポンプ20の運転により、ドレンパン18内の多量の貯留水を確実に排水しながら、圧縮機の運転を停止した状態でのドレンポンプ20の必要以上の運転を回避する。
【0115】
また、制御器33は、上記の如き第1、第2フロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停操作に併行して、各回のドレンポンプ20の運転開始毎に設定制限時間T3の計時を開始し、その後、この計時において設定制限時間T3の経過時点までドレンポンプ20の運転が継続されているときには、異常として、ドレンポンプ20の運転開始時点から設定制限時間T3が経過した時点でドレンポンプ20の運転を強制的に停止する構成にしてある。
【0116】
なお、この設定制限時間T3は、前記した設定排水時間T1や設定保全時間T2よりかなり長い時間にしてある。
【0117】
設定保全時間T2としては、装置設計上、第2フロートスイッチ35bのオフ動作以降もドレンパン18に流入する残留結露水の排水を含めて、ドレンポンプ20の運転による排水でドレンパン18内の水位が設定保全時間T2の計時開始時点における水位(即ち、第2フロートスイッチ35bのオフ動作水位)からドレンパン18の排水口部(即ち、ドレンパン深底部18aの底面近傍)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0118】
また、本例では、設定排水時間T1として、装置設計上、ドレンポンプ20の運転による排水でドレンパン18内の水位が第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点における水位から同じくドレンパン18の排水口部(ドレンパン深底部18aの底面近傍)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0119】
そしてまた、ドレンパン18の容量は、装置設計上、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量(第2フロートスイッチ35bのオン動作時点で既にドレンパン18にある水量を含む)を受け入れ貯留することができる容量にしてあり、これにより、排水不良の原因がドレンポンプ20そのものの不良であった場合でも、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを確実に回避できるようにしてある。
【0120】
ドレンポンプ20には逆止弁機能を備えるポンプを用いて、排水管19からドレンパン18に向う排水の逆流を防止するようにしてあり、また図10に示す如く、排水管19には、ドレンパン18の排水口部から下方へ延びて、それに続き上方へ延びるポケット配管部19aを形成し、ドレンポンプ20は、ドレンパン18の深底部18aより低い位置で、このポケット配管部19a(即ち、水溜まり状態となる配管部分)に介装してある。
【0121】
即ち、このポンプ配置により、設定排水時間T1を上記の如く設定することとも相俟って、異音発生やポンプ不良などの発生原因となるドレンポンプ20の空運転(即ち、吸込水が十分に存在しない状態でのポンプ運転)を防止するようにしてある。
【0122】
なお、本例では、エレメント収容部2を室内機1の前方に対してのみ開放させる例を示したが、閉塞板6を省略した形態で、エレメント収容部2を室内機1の前方及び後方の両方に対して開放させ、これにより、エレメント収容部2から冷気流出や暖気流出による冷暖房を室内機1の前方室内領域と後方室内領域とに施すようにしてもよい。
【0123】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
【0124】
上述の実施形態では、第2フロートスイッチ35bのオン動作時点で圧縮機の運転(即ち、空気冷却部である吸放熱エレメント3の運転)を停止し、その後の第2フロートスイッチ35bのオフ動作時点で設定保全時間T2の計時を開始する構成にしたが、これに代え、排水制御手段としての制御器33は、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2に上昇して第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、圧縮機の運転(空気冷却部である吸放熱エレメント3の運転)を停止するとともに、ドレンポンプ20の運転開始操作を再度試み、また、その試みに伴い設定保全時間T2の計時を開始し、その後、この計時において第2フロートスイッチ35bのオン動作時点から設定保全時間T2が経過した時点でドレンポンプ20の運転を停止する構成にしてもよい。
【0125】
また、この場合、設定保全時間T2は、装置設計上、検出水位が設定上限水位L2まで上昇したことに応じて圧縮機の運転を停止した後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量(第2フロートスイッチ35bのオン動作時点で既にドレンパン18に存在する貯留水を含む)をドレンポンプ20の運転によりドレンパン18から排水するのに要する時間を設定するのが望ましい。
【0126】
前述の実施形態では、水位検出手段として2つのフロートスイッチ35a,35bを用いる例を示したが、これに限らず、水位検出手段には電極式のものや圧力式のものなど各種検出方式のものを採用することができる。
【0127】
ドレンパン18における水位が設定上限水位L2に上昇したときには、空気冷却部の運転停止とともに異常発生の報知を排水制御手段33に実行させるようにしてもよい。
【0128】
前述の実施形態では、下ケース部1Bにおけるドレンパン18の下方空間部(即ち、下ケース部1Bの成型断熱材30(30a,30b)によりドレンパン18の下方に形成される隙間空間部)にドレンポンプ20を配置する例をしたが、これに代えて、左右一方の側柱フレーム9とそれに対する側柱パネル8との間の柱状の空間部において、ドレンパン18とほぼ同じ高さの箇所ないしはドレンパン18よりある程度高い箇所にドレンポンプ20を配置してもよい。
【0129】
なお、この場合、左右一方の側柱ケース部1Cにおける柱状の成型断熱材31のうちドレンポンプ20の配置箇所には、ドレンポンプ20を収容するための欠損部を形成するようにする。
【0130】
つまり、ドレンパン18の下方空間部にドレンポンプ20を配置した場合、ドレンポンプ20を囲う下ケース部成型断熱材30(30a,30b)のポンプ運転音に対する消音効果を期待できる反面、ポンプ運転音がドレンパン18の下方空間部に篭る状態になって下ケース部成型断熱材30(30a,30b)がドレンポンプ20の運転に伴い振動する状態になり、この為、却ってドレンポンプ20の運転に伴う音響的な不快感を使用者に与える虞がある。
【0131】
これに対し、上記の如く側柱フレーム9と側柱パネル8との間の柱状の空間部にドレンポンプ20を配置すれば、このようなポンプ運転音の篭りによる音響的な不快感を効果的に回避することができる。
【0132】
空気冷却部は前述の実施形態の如き吸放熱エレメント3に限られるものではなく、冷水やブラインあるいは冷凍回路の循環冷媒などを冷熱媒として露点温度以下まで空気を冷却するものであれば、空気冷却用のフィンチューブ型熱交換器を初め、どのような冷却形式のものであってもよく、また、その空気冷却の目的も対人の冷房に限らず、OA機器などの発熱機器の冷却や物品の保冷などであってもよい。
【符号の説明】
【0133】
3 空気冷却部
18 ドレンパン
19 排水管
20 ドレンポンプ
35a,35b 水位検出手段
L1 設定排水水位
33 排水制御手段
T1 設定排水時間
19a ポケット配管部
L2 設定上限水位
T2 設定保全時間
T3 設定制限時間
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気冷却部を備える空調装置に関し、詳しくは、空気冷却部で発生する結露水を受け入れるドレンパンと、このドレンパンから排水管を通じて排水するドレンポンプと、前記ドレンパンにおける水位を検出する水位検出手段と、この水位検出手段による検出水位が設定排水水位以上のとき前記ドレンポンプを運転する排水制御手段とを備える空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空調装置として、水位検出手段による検出水位が設定排水水位(所定水位)以上になると、ドレンポンプの運転を開始してドレンパンからの排水を開始するとともに、その時点から設定排水時間(第1時間)の計時を開始し、その後、この設定排水時間(第1時間)が経過するとドレンポンプの運転を停止してドレンパンからの排水を停止するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−35714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来装置では、ドレンポンプの運転開始でドレンパンにおける水位が低下するにしても、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水(即ち、空気冷却部で冷却する空気に含まれる水分の凝縮水)が多い状況では、設定排水時間が相対的に不足な状態になって、設定排水時間の経過時点においてドレンパンに未だ多くの貯留水が残る状態でドレンポンプが停止されてしまうことがある。
【0005】
そして、このような場合、ドレンパンにおける水位が通常より短い時間で再び設定排水水位に上昇してドレンポンプが再運転される状態になって、ドレンポンプの発停頻度が高くなり、これが原因で、頻繁なポンプ起動音などによる音響的な不快感を使用者に与える問題があった。
【0006】
本発明の主たる課題は、合理的な排水制御により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、
空気冷却部で発生する結露水を受け入れるドレンパンと、このドレンパンから排水管を通じて排水するドレンポンプと、前記ドレンパンにおける水位を検出する水位検出手段と、この水位検出手段による検出水位が設定排水水位以上のとき前記ドレンポンプを運転する排水制御手段とを備える空調装置において、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位以上であることに応じて前記ドレンポンプの運転を開始した後、前記検出水位が前記設定排水水位より低くなると設定排水時間の計時を開始し、
その後、この設定排水時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある点にある。
【0008】
この構成によれば、検出水位が設定排水水位以上になってドレンポンプの運転が開始された後、そのドレンポンプの運転で検出水位が設定排水水位より低くなったときに、ドレンポンプの運転停止時点を規定する設定排水時間の計時を開始するから、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が多い状況では、それに応じ、検出水位が設定排水水位より低くなって設定排水時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(言わば、設定排水時間に対する実質的なポンプ延長運転時間)が長くなり、その分、ドレンポンプの運転開始から運転停止に至るまでの運転時間も長くなって、ドレンポンプ運転一回あたりの排水量が増加する。
【0009】
即ち、このことにより、先述の従来装置の如く検出水位が設定排水水位以上になったときにドレンポンプの運転を開始するとともに、設定排水時間の計時も開始するのに比べ、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が多い状況において、前述の如くドレンポンプの発停頻度が高くなることを効果的に抑制することができて、ドレンポンプの発停により使用者に与える音響的な不快感を効果的に軽減することができる。
【0010】
また、このように結露水の流入水量が多い状況でのドレンポンプ発停頻度の増大を効果的に防止しながらも、逆に空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が通常より少ない状況では、それに応じ、検出水位が設定排水水位より低くなって設定排水時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(上記実質的なポンプ延長運転時間)が短くなり、その分、ドレンポンプの運転開始から運転停止に至るまでの運転時間も短くなって、ドレンポンプ運転一回あたりの排水量が減少する。
【0011】
即ち、このことにより、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水が少ない状況において、ドレンポンプの運転時間が過度に長すぎることで、ドレンポンプの運転停止に至る前にドレンパンが空になって、ドレンポンプの空運転(即ち、十分な吸込水の無い状態でのポンプ運転)を招くことも効果的に防止することができて、ポンプ空運転による音響的な不快感やドレンポンプの早期劣化も効果的に防止することができる。
【0012】
ちなみに、ドレンパンへの結露水の流入水量の変化に応じてドレンポンプの運転時間を変化させるのに、ドレンポンプの運転開始後、ドレンパンにおける水位が設定排水水位より低い設定計時開始水位に低下したことを検出して、その検出時点で設定排水時間の計時を開始する、あるいは、ドレンパンにおける水位が設定排水停止水位に低下したことを検出して、その検出時点でドレンポンプの運転を停止することも考えられるが、これらの場合、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上か否かの検出とは別に、ドレンパンにおける水位が設定計時開始水位あるいは設定排水停止水位に低下したことの検出が必要になり、水位の検出点数が増加する。
【0013】
これに対し、上記構成であれば、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上か否かの検出だけで済み、水位上昇時と水位低下時との水位検出上のヒステリシスを利用した状態で、ドレンポンプの運転を開始する水位と設定排水時間の計時を開始する水位とに差を持たせることもできて、水位の検出点数を少なくなくすることができ、例えば水位検出手段としてフロートスイッチを用いる場合には、設定排水水位用の1つのフロートスイッチだけで済ませることができる。
【0014】
即ち、タイマー制御によりドレンポンプの運転停止を行なうことで、水位の検出点数を少なくして水位検出のための装置構成を簡素にすることについては、先述の従来装置と同様の効果を得ることができる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、
前記設定排水時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定排水時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある点にある。
【0016】
この構成によれば、空気冷却部からドレンパンに流入する結露水の流量が多少変化するにしても、その流入水量の変化に応じた前述の如き実質的なポンプ延長運転時間の変化とも相俟って、ドレンポンプの運転停止時点(即ち、設定排水時間の経過時点)を確度的に高い状態でドレンパンの水位がドレンパンの底部近傍にまで低下した時点にすることができ、これにより、ドレンポンプの空運転を防止しながらドレンポンプの発停頻度を一層効果的に低減することができる。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、
前記排水管に、前記ドレンパンの底部排水口から下方へ延びて、それに続き上方へ延びるポケット配管部を形成し、
前記ドレンポンプを前記ドレンパンの底部より低い位置で前記排水管における前記ポケット配管部に介装してある点にある。
【0018】
この構成によれば、上記ポケット配管部においてドレンパンの底部より低い箇所には、ドレンポンプによるドレンパンからの排水を完了した状態でも溜まり水が所謂封水の如き状態で残留し易いから、その位置にドレンポンプを介装することで、前述の如くドレンパンにおける水位がドレンパンの底部近傍まで低下したときにドレンポンプを停止させることとも相俟って、ドレンパンの空運転を一層効果的に防止することができる。
【0019】
本発明の第4特徴構成は、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止する構成にしてある点にある。
【0020】
この構成によれば、何らかの原因でドレンパンにおける水位が設定排水水位を超えてさらに上昇したとしても、検出水位が設定上限水位まで上昇したとき、空気冷却部の運転が停止されて空気冷却部でのそれ以上の結露水発生が停止されるから、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルに至ることを一層確実に防止することができる。
【0021】
なお、この構成の実施において、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上か否かを検出する低位用の検出部と、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇したか否かを検出する高位用の検出部とを、例えば各別のフロートスイッチで構成するなど、互いに独立して各水位を検出するものにしておけば、低位用検出部の不良が原因でドレンパンにおける水位が設定排水水位を超えて上昇したしても、その後、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇したことを高位用検出部による独立の水位検出により検出することができ、この点で、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルをさらに確実に防止することができる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成を実施するのに、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後、前記検出水位が前記設定上限水位より低くなると設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある点にある。
【0023】
この構成によれば、検出水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後、ドレンポンプの継続運転でドレンパンにおける水位が設定上限水位まで低下した時点から設定保全時間だけドレンポンプを運転して、設定保全時間の経過時点でドレンポンプを停止するから、空気冷却部の運転を停止した状態(即ち、空調装置の装置停止状態)において必要以上にドレンポンプを運転することを回避することができて、その必要以上のポンプ運転で使用者に対し却って漏水トラブルの懸念を与えることを回避することができる。
【0024】
また、検出水位が設定上限水位以上になって空気冷却部の運転を停止した後、ドレンポンプの継続運転で検出水位が設定上限水位より低くなったときに、ドレンポンプの運転停止時点を規定する設定保全時間の計時を開始するから、第1特徴構成と同様、空気冷却部が運転停止された後も空気冷却部からドレンパンに流入する残留結露水が多い状況では、それに応じ、検出水位が設定上限水位より低くなって設定保全時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(実質的なポンプ延長運転時間)が長くなり、また逆に、運転停止された空気冷却部からドレンパンに流入する残留結露水が少ない状況では、それに応じ、検出水位が設定上限水位より低くなって設定保全時間の計時開始に至るまでのポンプ運転時間(実質的なポンプ延長運転時間)が短くなり、このことで、運転停止された空気冷却部からドレンパンに流入する残留結露水を確実にドレンパンから排水するようにしながら、空気冷却部の運転を停止した状態での必要以上のドレンポンプ運転を効果的に回避することができる。
【0025】
さらにまた、上記構成であれば、第1特徴構成と同様、ドレンパンにおける水位が設定上限水位以上か否かの検出だけで済み、水位上昇時と水位低下時との水位検出上のヒステリシスを利用した状態で、空気冷却部の運転を停止する水位と設定保全時間の計時を開始する水位とに差を持たせることもできて、水位の検出点数を少なくなくすることができ、例えば水位検出手段としてフロートスイッチを用いる場合には、設定上限水位用の1つのフロートスイッチだけで済ませることができる。
【0026】
本発明の第6特徴構成は、第5特徴構成を実施するのに、
前記設定保全時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定保全時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある点にある。
【0027】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後も、未だ空気冷却部に残っている残留結露水が引き続きドレンパンに流入することに対し、上記の如く設定保全時間を設定しておくことにより、設定保全時間の計時開始時点以降も運転停止状態の空気冷却部から流入する残留結露水の全量を含めて、ドレンパンに存在する貯留水をドレンパンから排水し、その排水がほぼ完了した状態でドレンポンプを停止させることができ、これにより、ドレンポンプの空運転を防止しながらも、空気冷却部の次の運転開始やそれに至るまでの保守点検などに備えてドレンパンをほぼ空の状態にしておくことができて、空気冷却部の次回の運転の際やそれに至るまでの保守点検の際の漏水トラブルに対する安全性を一層高めることができる。
【0028】
本発明の第7特徴構成は、第4特徴構成の実施するのに、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止するとともに、前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みる構成にしてある点にある。
【0029】
この構成によれば、何らかの原因でドレンパンにおける水位が設定排水水位を超えてさらに上昇したとしても、検出水位が設定上限水位まで上昇したとき、空気冷却部の運転が停止されて空気冷却部でのそれ以上の結露水発生が停止されるから、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルに至ることは防止される。
【0030】
また、ドレンパンにおける水位が設定排水水位以上になったときには何らかの不良でドレンポンプが運転されず、そのために、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇したとしても、そのときには、上記の如く空気冷却部の運転を停止するとともに、ドレンポンプの運転開始操作を再度試みることで、それによりドレンポンプの運転が開始されれば、その時点からドレンポンプの運転よりドレンパンから排水することができ、これにより、ドレンパンの貯留水が溢れ出る漏水トラブルを一層確実に防止することができ、また、空気冷却部の次の運転開始やそれに至るまでの保守点検などに備えてドレンパンを貯留水の無い状態ないし少ない状態にしておくこともできる。
【0031】
本発明の第8特徴構成は、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みた時点から設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転停止操作を行う構成にしてある点にある。
【0032】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して、空気冷却部の運転を停止するとともに、ドレンポンプの運転開始操作を再度試みた際、それでドレンポンプの運転が開始されたときには、その時点から設定保全時間だけドレンポンプを運転して、設定保全時間の経過時点でドレンポンプを停止するから、空気冷却部の運転を停止した状態(即ち、空調装置の装置停止状態)において必要以上にドレンポンプを運転することを回避することができて、その必要以上のポンプ運転で使用者に対し却って漏水トラブルの懸念を与えることを回避することができる。
【0033】
本発明の第9特徴構成は、
前記設定保全時間は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、前記ドレンポンプの運転により前記ドレンパンから排水するのに要する時間にしてある点にある。
【0034】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後も、未だ空気冷却部に残っている残留結露水が引き続きドレンパンに流入することに対し、上記の如く設定保全時間を設定しておくことにより、運転停止後の空気冷却部から流入する残留結露水の全量を、既にドレンパンに存在する貯留水も含めてドレンパンから排水し、その排水がほぼ完了した状態でドレンポンプを停止させることができ、これにより、ドレンポンプの空運転を防止しながらも、空気冷却部の次の運転開始やそれに至るまでの保守点検などに備えてドレンパンをほぼ空の状態にしておくことができて、空気冷却部の次回の運転の際やそれに至るまでの保守点検の際の漏水トラブルに対する安全性を一層高めることができる。
【0035】
本発明の第10特徴構成は、
前記ドレンパンの容量は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、貯留可能な容量にしてある点にある。
【0036】
この構成によれば、ドレンパンにおける水位が設定上限水位まで上昇して空気冷却部の運転を停止した後も、未だ空気冷却部に残っている残留結露水が引き続きドレンパンに流入することに対し、上記の如くドレンパンの容量を設定しておくことにより、仮にドレンポンプの不良などでドレンパンからの排水が不能な状況でも、運転停止後の空気冷却部から流入する残留結露水の全量を、既にドレンパンに存在する貯留水も含めてドレンパンに貯留することができ、これにより、ドレンパンから貯留水が溢れ出る漏水トラブルをさらに確実に防止することができる。
【0037】
本発明の第11特徴構成は、
前記排水制御手段は、前記ドレンポンプの運転開始に伴い設定制限時間の計時を開始し、その後、この設定制限時間の経過時点まで前記ドレンポンプの運転が継続されているときには、その設定制限時間の経過時点で前記ドレンポンプの運転を強制的に停止する構成にしてある点にある。
【0038】
この構成によれば、ドレンポンプの運転開始後、設定制限時間の経過時点でドレンポンプの運転が強制的に停止されるから、水位検出手段の作動不良など何らかの原因でドレンポンプの運転が停止されずドレンポンプの延々と運転が続いてしまう不都合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】空調装置における室内機の斜視図
【図2】室内機の分解斜視図
【図3】室内機の側面視断面図
【図4】下ケース部の側面視断面図
【図5】上ケース部の側面視断面図
【図6】室内機の平面視断面図
【図7】上ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図8】下ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図9】吸放熱エレメントの並置群周りの分解斜視図
【図10】ドレンポンプ周りの概略配管図
【図11】ドレンポンプ運転のタイムチャート
【図12】排水制御のフローチャート
【図13】別実施形態を示す排水制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は自然対流式の空調装置における室内機1を示し、この室内機1は機体前方へ向けて開放させたエレメント収容部2を備え、このエレメント収容部2は、上ケース部1Aと下ケース部1Bと、それら上下ケース部1A,1Bにわたる左右一対の側柱ケース部1Cとにより囲んだ矩形空間領域にしてある。
【0041】
図1,図2に示すように、エレメント収容部2には、上ケース部1Aと下ケース部1Bとにわたる縦姿勢の複数本(本例では7本)の吸放熱エレメント3を、平行姿勢で室内機1の左右幅方向に等間隔に並べて配置してあり、各々の吸放熱エレメント3の縦中心軸部には、図6,図9に示す如く、伝熱管4の直管部4aを吸放熱エレメント3の全長にわたらせて貫通させてある。
【0042】
吸放熱エレメント3及び伝熱管4はいずれも熱良導材で形成してあり、本例では吸放熱エレメント3をアルミニウム製にし、伝熱管4には銅管を用いてある。
【0043】
図7,図9に示すように、伝熱管4は、各々の吸放熱エレメント3に貫通させた直管部4aにおける上側突出部の隣接対を一対置きに上側ベンド管4bにより接続するとともに、下側突出部の隣接対を上側とは交互の一対置きに下側ベンド管4cにより接続することで、それら直管部4aを上下のベンド管4b,4cにより直列に接続して形成した蛇行管にしてある。
【0044】
この蛇行伝熱管4の一端は、断熱材被覆の液側渡り冷媒管5aを介して屋外設置の室外機(図示省略)に接続し、蛇行伝熱管4の他端は、同じく断熱材被覆の気体側渡り冷媒管5bを介して同室外機に接続する。
【0045】
屋外設置の室外機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四方弁を備えており、冷房運転では、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を蒸発器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0046】
また、暖房運転では、四方弁により冷媒経路を切り替えることで、逆に室外熱交換器を蒸発器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を凝縮器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0047】
つまり、冷房運転では、蒸発器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの蒸発に伴う気化熱の奪取により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を冷却することで、吸放熱エレメント3周りの室内空気を冷却して、その冷却空気を温度差による比重差により自然降下させ、これにより、冷気をエレメント収容部2の下部から室内機設置室へ前方斜め下向きに流出させて、その冷気流出に伴い室内空気の大きな対流を室内機設置室において生じさせる形態で、その室内を冷房する。
【0048】
また、暖房運転では、凝縮器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの凝縮に伴う凝縮熱の放出により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を加熱することで、吸放熱エレメント3の表面から熱輻射させるとともに、吸放熱エレメント3周りの室内空気を加熱して、その加熱空気を温度差による比重差により自然上昇させ、これにより、暖気をエレメント収容部2の上部から室内機設置室へ前方斜め上向きに流出させて、その暖気流出に伴い室内空気の大きな対流(冷房運転時とは逆回りの対流)を室内機設置室において生じさせる形態で、上記熱輻射との協働をもって、その室内を暖房する。
【0049】
なお、本例では、図9に示すように、エレメント収容部2における左右一側の下部に位置する蛇行伝熱管4の一端に液側の渡り冷媒管5aを接続し、エレメント収容部2における左右他側の上部に位置する蛇行伝熱管4の他端に気体側の渡り冷媒管5bを接続してある。
【0050】
図6に示すように、吸放熱エレメント3の前面側及び後面側には、吸放熱エレメント3の全長にわたって縦方向(即ち、吸放熱エレメント3の長手方向)に延びる複数のフィン部3a,3b(換言すれば、ひだ状部)を一体形成してあり、具体的は図6における拡大図部分に示す如く、吸放熱エレメント3には、その横断面視において、柱状の芯部3cと、その芯部3cから左右外方に向かって延びる基板部3dとを備えさせ、複数の前面側フィン部3aを、平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから前方に延出させてある。
【0051】
また、同様に、前面側フィン部3aと同数の後面側フィン部3bを、前面側フィン部3aと対応位置させて平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから後方に延出させてある。
【0052】
芯部3cには伝熱管4を貫通させる管挿通孔3eを形成してあり、前面側フィン部3aのうち芯部3cから延出させた前面側の中央フィン部3a′、及び、後面側フィン部3bのうち芯部3cから延出させた後面側の中央フィン部3b′には、それらの前後途中部分に配置してエレメント固定用の止め具挿通孔3fを形成してある。
【0053】
即ち、これら縦姿勢の多数のフィン部3a,3bを吸放熱エレメント3に備えさせることで、吸放熱エレメント3の周囲空気に対する伝熱面積及び熱輻射面積を大きく確保するのに止まらず、冷房運転では、吸放熱エレメント3周りの冷却空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて円滑に自然降下させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未冷却の室内空気が円滑に誘引されるようにするとともに、吸放熱エレメント3の表面に生じる結露水を吸放熱エレメント3の表面に伝わらせて円滑に自然流下させ、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(換言すれば、熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の下部からの室内への冷気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0054】
また同様に、暖房運転では、吸放熱エレメント3周りの加熱空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて所謂煙突効果を伴う状態で円滑に自然上昇させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未加熱の室内空気が円滑に誘引されるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の上部からの室内への暖気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0055】
図2,図6に示すように、エレメント収容部2の後面部と左右側面部とは、平面視の断面形状が偏平「コ」の字状の閉塞板6により閉塞してあり、この閉塞板6は、内面側を光沢前面を有する熱良導性の板材6a(本例ではアルミニウム板)により形成し、かつ、外面側を断熱材6b(本例では発泡スチロール)により形成した2層構造にしてある。
【0056】
即ち、冷房運転時における吸放熱エレメント3の冷却に伴い室内機背面側の室壁Kが冷却されて、その背面側室壁Kの表面に結露が生じることを、閉塞板6による冷気の遮断と、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導と、外面側断熱材6bによる冷熱断熱とで確実に防止する。
【0057】
また、冷房運転では、上記の如き内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に低温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気冷却に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気冷却が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気冷却を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の下部からの冷気流出を一層促進するとともに、その冷気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0058】
同様に、暖房運転では、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な温熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に高温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気加熱に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気加熱が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気加熱を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の上部からの暖気流出を一層促進するとともに、その暖気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0059】
さらに、暖房運転では、吸放熱エレメント3の表面からの熱輻射のうち後方及び側方に向かうものを内面側板材6aの光沢前面により反射させ、これにより、エレメント収容部2からの室内への熱輻射も一層促進するとともに、その熱輻射の均一性も高める。
【0060】
図6に示すように、吸放熱エレメント3における前面側フィン部3aは、左右方向の中央側に位置するものほど前方への延出長さを大きくして、それら前面側フィン部3aの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が前方に向かって突出する尖頭状又は半円弧上の曲線になるようにしてあり、これにより、冷房運転時における流出冷気、並びに、暖房運転時における流出暖気及び熱輻射に室内機左右幅方向への拡がりを与える。
【0061】
これに対し、吸放熱エレメント3における後面側フィン部3bは、後方への延出寸法が互いに等しくて、それら後面側フィン部3bの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が直線になるようにしてあり、これにより、閉塞板6における内面側板材6aの熱良導性と相俟って、吸放熱エレメント3の冷却又は加熱に伴う内面側板材6aの低温化又は高温化を面方向において一層均一なものにする。
【0062】
吸放熱エレメント3は押し出し成型により製作してあり、この押し出し成型において吸放熱エレメント3に、フィン部3a,3b、芯部3c、基板部3d、管挿通孔3e,止め具挿通孔3fの夫々を同時に一体形成する。
【0063】
この押し出し成型の際には、延出長さが互いに等しい後面側フィン部3bが下向き延出姿勢となる配置にして、それら後面側フィン部3bの先端群を送り具上に受け止めて案内する状態で押し出し成型を進めるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の複雑な横断面形状にかかわらず、成型過程の吸放熱エレメント3を安定姿勢に保った状態で押し出し成型を進められるようにして、成型過程での倒伏等による吸放熱エレメント3の成型不良を回避する。
【0064】
吸放熱エレメント3の成型においては、管挿通孔3eの内径を伝熱管4の外径より多少大きくしておき、成型後、その管挿通孔3eに伝熱管4の直管部4aを無理なく貫通させた状態で、直管部4aの管内に油圧等の圧力を印加することにより伝熱管直管部4aを拡径させ、これにより、管挿通孔3eの内面側に隙間が残ることを回避した状態で伝熱管4の直管部4aと吸放熱エレメント3とを緊密に一体化して、伝熱管4と吸放熱エレメント3との間での熱伝導性を高く確保する。
【0065】
なお、伝熱管直管部4aの上記拡径加工は、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続するのに先立ち、それら直管部4aごとに行なう方式、あるいは、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続して蛇行伝熱管4を形成した後に、それら複数の直管部4aに対して同時に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0066】
また、上記拡径加工においては、伝熱管直管部4aのうち吸放熱エレメント3の端部からの突出部分や、それら突出部分に接続したベンド管4b,4cを型具により挟圧保持することで、それら突出部分や接続ベンド管4b,4cの拡径は阻止する。
【0067】
図2,図3,図6に示すように、閉塞板6の背面(即ち、外面側断熱材6bの背面)には、室内機背面側の外装材として、上下2分割構造の背面パネル7を面接触状態で取り付けてあり、この背面パネル7の上端部及び下端部は上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の後面パネルになる。
【0068】
左右の側柱ケース部1Cの外郭は、上下方向に延びて上端部及び下端部が上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の側面パネルとなる側柱パネル8と、エレメント収容部2の内側面となる閉塞板6の左右側面部とで形成してあり、これら側柱ケース部1Cの内部には、上下方向に延びる側柱フレーム9を、それに対して閉塞板6の左右側面部を面接触させる状態で配設してある。
【0069】
図1、図2,図5,図7に示すように、上ケース部1Aの外郭は、前面パネル10と、上面パネル11と、背面パネル7の上端部と、左右の側柱パネル8の上端部と、側柱パネル8の上端開口部を閉塞するキャップパネル8aとで形成してあり、前面パネル10の後方延出部10a(即ち、エレメント収容部2の天井面を形成する部分)には、吸放熱エレメント3の上端部を挿通する複数の上部切欠き10bを左右に並べて波形状に形成してある。
【0070】
また、上ケース部1Aにおける前面パネル10の下側部分10cは、下側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜下側部分10cとそれに連なる後方延出部10aとにより、暖房運転時におけるエレメント収容部2の上部からの暖気流出を円滑にする。
【0071】
上ケース部1Aの内部には、前後一対の上部フレーム12と、その下方における前後一対のエレメント上部支持フレーム13とを配置してあり、上面パネル11は、前後の上部フレーム12にわたらせて取り付け、前面パネル10と前後の上部フレーム12と前後のエレメント上部支持フレーム13とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0072】
図1,図2、図4,図8に示すように、下ケース部1Bの外郭は、前面パネル14と、閉塞板6の下端を受け止める後部上面パネル15と、背面パネル7の下端部と、左右の側柱パネル8の下端部とで形成してあり、この前面パネル14の後方延出部14a(即ち、エレメント収容部2の底面を形成する部分)には、上ケース部1Aの前面パネル10における後方延出部10aと同様、吸放熱エレメント3の下端部を挿通する複数の下部切欠き14bを左右に並べて波形状に形成し、これに対し、後部上面パネル15には、その後方延出部14aにおける波形状部分の各頂部と係合連結させる係合突起15aを設けてある。
【0073】
下ケース部1Bにおける前面パネル14の上側部分14cは、上側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜上側部分14cとそれに連なる後方延出部14aとにより、上ケース部1Aの前面パネル10と同様に、冷房運転時におけるエレメント収容部2の下部からの冷気流出を円滑にする。
【0074】
下ケース部1Bの内部には、前後一対の下部フレーム16と、その上方における前後一対のエレメント下部支持フレーム17とを配置してあり、前面パネル14と後部上面パネル15と前後の下部フレーム16と前後のエレメント下部支持フレーム17とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0075】
下ケース部1Bの内部において前後の下部フレーム16とその上方に位置する前後のエレメント下部支持フレーム17との間には、冷房運転時において空気冷却部としての吸放熱エレメント3から流下する結露水を受け入れるドレンパン18を配置してあり、これに付帯して、下ケース部1Bには、ドレンパン18に受け入れた結露水を排水管19を通じて外部へ排出するドレンポンプ20を内装してある。
【0076】
また、下ケース部1Bの下面部にはベース21を取り付けてあり、このベース21を介して室内機1を室内に設置する。
【0077】
吸放熱エレメント3の支持については、図3,図4,図9に示すように、下ケース部1Bに配置する前後一対のエレメント下部支持フレーム17を横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント下部支持フレーム17は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の一辺部17aがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0078】
また、前後のエレメント下部支持フレーム17は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S1が形成される平行姿勢にして配置してあり、各エレメント下部支持フレーム17における水平姿勢の一辺部17aには、左右方向に延びる浅器状の樹脂製ドレン受具22をそれら前後の一辺部17aに跨らせた状態で、かつ、ドレン受具22の下面に形成した一対の脚部22aを介して中空状に載置してある。
【0079】
ドレン受具22には、その長手方向(左右方向)の全長にわたらせて底部の前後中央箇所から下方に突出するスリット状の排水筒部22bを形成してあり、ドレン受具22を前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aに載置することにおいて、ドレン受具22におけるスリット状の排水筒部22bは、上方からエレメント下部支持フレーム17どうしの間の隙間S1に挿通して、下方のドレンパン18にその直上方から臨ませてある。
【0080】
吸放熱エレメント3は、その下端をドレン受具22の底部に載せ置くことで、ドレン受具22を介して前後のエレメント下部支持フレーム17に受け止め支持させ、この受け止め支持において、吸放熱エレメント3の下端からの突出伝熱管である下側ベンド管4cは、その外径より大きい開口幅を有するドレン受具22のスリット状排水筒部22bに上方から挿通した状態にする。
【0081】
吸放熱エレメント3の下端は、ドレン受具22に載せ置いた状態において、止め具としてのエレメント固定ネジ23を下方から前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17a及びドレン受具22の底部(脚部22a形成部分の底部)に貫通させて、そのエレメント固定ネジ23の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの下端部にねじ込むことで、前後のエレメント下部支持フレーム17に連結してある。
【0082】
即ち、下側ベンド管4c及び吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17に対して直接には接触させない状態で、また、下側ベンド管4cに支持荷重(特に重力荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17により支持するようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく十分な強度で安定的に支持する。
【0083】
ドレンパン18の前後幅は前後のエレメント下部支持フレーム17の配置領域の前後幅より大きくしてあり、また、前後のエレメント下部支持フレーム17のL字状横断面形状における他辺部17bの先端屈折部17cは、上記の線対称配置において各エレメント下部支持フレーム17の下部側に位置して下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、ドレン受具22の排水筒部22bを通じてドレンパン18に受け入れる吸放熱エレメント3からの流下結露水とは別に、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント下部支持フレーム17の他辺部17bにおける傾斜姿勢の先端屈折部17c(傾斜下面部の一例)に伝わらせて流下させることで、ドレンパン18の内部へ確実に受け入れる。
【0084】
一方、図3,図5,図9に示すように、上ケース部1Aに配置する前後一対のエレメント上部支持フレーム13も、エレメント下部支持フレーム17と同様、横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント上部支持フレーム13は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の他辺部13bにおける先端屈折部13cがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0085】
また、前後のエレメント上部支持フレーム13は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S2が形成される平行姿勢にして配置してあり、吸放熱エレメント3の上端は、その上端からの突出伝熱管である上側ベンド管4bをその外径より大きい開口幅を有する上記隙間S2に下方から挿通した状態で、各エレメント上部支持フレーム13における他辺部13bの先端屈折部13cに対し下方から対向させ、それら先端屈折部13cの下面との間には融通隙間S3を設けてある。
【0086】
そして、吸放熱エレメント3の上端は、各エレメント上部支持フレーム13における水平姿勢の先端屈折部13cに対し融通隙間S3を介して下方から対向させた状態において、止め具としてのエレメント固定ピン24を上方から前後のエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに貫通させて、そのエレメント固定ピン24の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの上端部に挿入することで、前後のエレメント上部支持フレーム13に止め付けてある。
【0087】
即ち、吸放熱エレメント3の上端側についても、上側ベンド管4b及び吸放熱エレメント3をエレメント上部支持フレーム13に対して直接には接触させない状態で、また、上側ベンド管4bに支持荷重(特に水平方向成分を有する荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3の上端部を前後のエレメント上部支持フレーム13により支持し、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく安定的に支持する。
【0088】
前後のエレメント上部支持フレーム13のL字状横断面形状における他辺部13bは、上記の線対称配置において各エレメント上部支持フレーム13の下部側に位置して、水平姿勢となる先端屈折部13cを除き、下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント上部支持フレーム13における傾斜姿勢の他辺部13b(傾斜下面部の一例)に伝わらせて、極力前後内方側に寄せた状態(即ち、ドレン受具22での受け止めを確実にした状態)で流下させる。
【0089】
上記のエレメント支持構造では、エレメント固定ネジ23及びエレメント固定ピン24により吸放熱エレメント3の水平方向への変位及び縦軸芯周りでの回転を阻止し、また、吸放熱エレメント3の下端をエレメント固定ネジ23によりエレメント下部支持フレーム17に連結することで、吸放熱エレメント3の浮き上がりを阻止する。
【0090】
さらに、吸放熱エレメント3の上端をエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに対し融通隙間S3のある状態で対向させるとともに、吸放熱エレメント3の上端を止め具挿通孔3fに対するエレメント固定ピン24の挿入によりエレメント上部支持フレーム13に止め付けることで、冷却及び加熱による吸放熱エレメント3の熱伸縮を、その熱伸縮に伴いエレメント固定ピン24と止め具挿通孔3fとを縦方向で相対摺動させる状態で許容し、これにより、吸放熱エレメント3の熱伸縮(特に熱伸張)が原因で各フレームに過度な荷重が作用することを回避する。
【0091】
前後一対の上部フレーム12は、横断面形状が上向きに開口するC字状の係合溝部12aを上部に備えるフレーム材で形成してあり、これら上部フレーム12は、係合溝部12aの開口部が上ケース部1Aにおける上面パネル11の側縁に沿って室内に露呈する状態に配置してある。
【0092】
そして、図1,図5に示すように、後側の上部フレーム12には、ボルト頭を係合溝部12aの内部に入れることで外れ止めした2本のボルト25を装着し、これら2本のボルト25には、各ボルト25に対するナット26の螺着によりL字状横断面形状の倒伏防止具27における横辺部27aを連結してある。
【0093】
即ち、2本のボルト25に対する連結により倒伏防止具27の縦軸芯周りでの回転を阻止した状態で、倒伏防止具27を2本のボルト25とともに係合溝部12aに沿わせて横移動させることで、背面側室壁Kに対する倒伏防止具27の適当な連結位置を背面側室壁Kの状況に応じて選択し、その適当連結位置において、各ボルト25に対するナット26の締め込みにより倒伏防止具27を係合溝部12aに固定するとともに、倒伏防止具27の縦辺部27bを背面側室壁Kに対してネジ連結することで、地震等による室内機1の倒伏を防止するようにしてある。
【0094】
一方、図4に示すように、前後一対の下部フレーム16は、横断面形状が下向きに開口するC字状の係合溝部16aを下部に備えるフレーム材で形成してあり、これら下部フレーム16における係合溝部16aの内部にボルト頭を入れることで外れ止めしたベース連結用のボルト28と、そのボルト28に対して螺着するナット29とにより、ベース21を下部フレーム16に連結してある。
【0095】
なお、倒伏防止具27の連結及びベース21の連結において、各ボルト25,28に対しナット26,29を締め込む際の各ボルト25,28の供回りは、各ボルト25,28のボルト頭と係合溝部12a,16aとの係合により阻止されるようにしてある。
【0096】
横断面形状がC字状の係合溝部12a,16aを備える上部フレーム12と下部フレーム16は共通のフレーム材により形成してあり、係合溝部12a,16aを備える共通フレーム材を、その係合溝部12a,16aがフレーム上部に位置する状態とフレーム下部に位置する状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材を上部フレーム12と下部フレーム16とに兼用する。
【0097】
また同様に、横断面形状がL字状のエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17も共通のフレーム材で形成してあり、横断面形状がL字状の共通フレーム材を、そのL字状横断面形状における一辺部13a,17aが水平姿勢になる状態と他辺部13b,17bにおける先端屈折部13c,17cが水平姿勢になる状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材をエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17とに兼用する。
【0098】
つまり、このように共通フレーム材を兼用することで、フレーム材の必要種数を少なくして室内機1の製作コストを低減する。
【0099】
図2,図3,図4に示すように、下ケース部1Bの内部には、エレメント下部支持フレーム17周り及びドレンパン18を収容する空隙部を形成するとともに前面パネル14の内面及び背面パネル7の内面に合致する外郭形状にした成型断熱材30を充填してあり、この成型断熱材30は前側分割部分30aと後側分割部分30bとに2分割して、前側分割部分30aを前面パネル14の内面に取り付け、後側分割部分30bを背面パネル7の下端部内面に取り付けてある。
【0100】
即ち、室内機1の組立において、下ケース部1Bの前面パネル14及び背面パネル7を組み付けることで、下ケース部1Bの内部に成型断熱材30が充填装備されるようにしてあり、そして、成型断熱材30を設けることにより、エレメント収容部2からの降下冷気が下ケース部1Bの内部に侵入することを防止し、これにより、その冷気侵入に原因する前面パネル14の外面での結露発生及び背面パネル7の下端部外面での結露発生を防止するとともに、併せて、受け入れ結露水に原因するドレンパン18の外面での結露発生を防止する。
【0101】
図6に示すように、左右の側柱ケース部1Cの内部には、側柱パネル8の内面及び側柱フレーム9の外側面に合致する外郭形状にした柱状の成型断熱材31を、側柱パネル8と側柱フレーム9との間に介在させる状態で充填してあり、これにより、側柱パネル8の外面での結露発生を防止する。
【0102】
また、閉塞板6の左右側面部における内面側板材6aとそれに近接対向する側柱フレーム9の内側面との間に、閉塞板6の外面側断熱材6bを介在させることで、側柱フレーム9への冷熱伝導を抑止するのと併せて、図9に示す如く、前後一対のエレメント下部支持フレーム17は、それらの両端部を側柱フレーム9との間に樹脂製の断熱スペーサ32を介在させて側柱フレーム9に連結してあり、これにより、側柱フレーム9へのエレメント下部支持フレーム17からの冷熱伝導も抑止して、側柱フレーム9での結露発生及び側柱パネル8の外面での結露発生を一層確実に防止する。
【0103】
左右の側柱ケース部1Cにおける上記成型断熱材31には、上下方向に延びる配管挿通用の切欠き31aを形成してあり、エレメント収容部2の下部で蛇行伝熱管4の一端に接続した渡り冷媒管5aを左右一方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くとともに、ドレンパン18からの排水管19を左右他方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くようにしてある。
【0104】
即ち、これら配管挿通用の切欠き31aを通じて上部に導いた渡り冷媒管5a及び排水管19と、エレメント収容部2の上部で蛇行伝熱管4の他端に接続した渡り冷媒管5bとの三管を纏めた状態で上ケース部1Aから機外に延出させ、これにより、一般の壁掛式エアコンで用いる室壁上部の配管用貫通孔を利用して、上記の三管5a,5b,19を室外に延出させることができるようにしてある。
【0105】
なお、室壁下部の配管用貫通孔を確保できる場合は、その室壁下部の配管用貫通孔を通じて上記三管5a,5b,19を室外に延出させてもよい。
【0106】
図3,図5に示すように、上ケース部1Aの後面パネルとなる背面パネル7の上端部内面には、組み付け状態において閉塞板6の後面側断熱材6bに連なる断熱材6cを貼設してあり、この上ケース部1Aには、図1に示すように、前面パネル10に設けた運転ランプや異常ランプの点消灯操作、及び、前面パネル10に設けた受信部で受けたリモコン発信信号の処理などを行なう制御器33を内装してある。
【0107】
また、図4,図10に示すように、ドレンパン18には、排水管19へ排出する排水中の塵埃等異物を捕集するストレーナ34をドレンパン深底部18aの排水口部(即ち、排水管19の接続口部)に設けるとともに、ドレンパン18における水位を検出する水位検出手段として、ドレンパン18における水位の変化によりオンオフ動作する第1及び第2のフロートスイッチ35a,35bをドレンパン18の深底部18aとその近傍の底部とに各別に装備してあり、上記制御器33は、排水制御手段として、これらフロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づきドレンポンプ20を発停するなどの排水制御も実行する。
【0108】
この排水制御について具体的には(図10、図11参照)、第1フロートスイッチ35aは、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1以上になるとオン動作し、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1より低くなるとオフ動作するものであり、同様に第2フロートスイッチ35bは、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2以上になるとオン動作し、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2より低くなるとオフ動作するものであり、第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停でドレンパン18内の貯留水が適切に排出される状況では、第2フロートスイッチ35bがオン動作することのないように、上記の設定上限水位L2は設定排水水位L1より高くしてある。
【0109】
制御器33の具体的制御動作としては(図10〜図12参照)、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1に上昇して第1フロートスイッチ35aがオン動作すると、制御器33はドレンポンプ20の運転を開始してドレンパン18からの排水を開始する。
【0110】
そして、この排水開始によりドレンパン18内の水位が設定排水水位L1より低下して第1フロートスイッチ35aがオフ動作すると、制御器33は設定排水時間T1の計時を開始し、この計時において第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点から設定排水時間T1が経過すると、制御器33はドレンポンプ20の運転を停止してドレンパン18からの排水を停止する。
【0111】
即ち、冷房運転時においては結露水が連続してドレンパン18に流入することに対し、上記の如き第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の間欠的な運転により、ドレンパン18内の水位を第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位である設定上限水位L2より低位に保つ。
【0112】
一方、何らかの原因でドレンパン18内の水位が設定排水水位L1を超えて設定上限水位L2に上昇し、そのことで第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、制御器33は、先の第1フロートスイッチ35aのオン動作によるドレンポンプ20の運転を継続したままの状態で、圧縮機の運転を停止して冷媒Rの循環を停止(即ち、空気冷却部である吸放熱エレメント3の運転を停止)し、これにより、吸熱エレメント3での新たな結露水の発生を停止する。
【0113】
その後、新たな結露水の発生を停止した状態でのドレンポンプ20の運転により、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2より低下して第2フロートスイッチ35bがオフ動作すると、制御器33は設定保全時間T2の計時を開始し、この計時において第2フロートスイッチ35bのオフ動作時点から設定保全時間T2が経過すると、制御器33は、ドレンパン18内の水位が設定排水水位L1に上昇したときからのドレンポンプ20の運転を停止する。
【0114】
即ち、この設定保全時間T2にわたるドレンポンプ20の運転により、ドレンパン18内の多量の貯留水を確実に排水しながら、圧縮機の運転を停止した状態でのドレンポンプ20の必要以上の運転を回避する。
【0115】
また、制御器33は、上記の如き第1、第2フロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停操作に併行して、各回のドレンポンプ20の運転開始毎に設定制限時間T3の計時を開始し、その後、この計時において設定制限時間T3の経過時点までドレンポンプ20の運転が継続されているときには、異常として、ドレンポンプ20の運転開始時点から設定制限時間T3が経過した時点でドレンポンプ20の運転を強制的に停止する構成にしてある。
【0116】
なお、この設定制限時間T3は、前記した設定排水時間T1や設定保全時間T2よりかなり長い時間にしてある。
【0117】
設定保全時間T2としては、装置設計上、第2フロートスイッチ35bのオフ動作以降もドレンパン18に流入する残留結露水の排水を含めて、ドレンポンプ20の運転による排水でドレンパン18内の水位が設定保全時間T2の計時開始時点における水位(即ち、第2フロートスイッチ35bのオフ動作水位)からドレンパン18の排水口部(即ち、ドレンパン深底部18aの底面近傍)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0118】
また、本例では、設定排水時間T1として、装置設計上、ドレンポンプ20の運転による排水でドレンパン18内の水位が第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点における水位から同じくドレンパン18の排水口部(ドレンパン深底部18aの底面近傍)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0119】
そしてまた、ドレンパン18の容量は、装置設計上、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量(第2フロートスイッチ35bのオン動作時点で既にドレンパン18にある水量を含む)を受け入れ貯留することができる容量にしてあり、これにより、排水不良の原因がドレンポンプ20そのものの不良であった場合でも、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを確実に回避できるようにしてある。
【0120】
ドレンポンプ20には逆止弁機能を備えるポンプを用いて、排水管19からドレンパン18に向う排水の逆流を防止するようにしてあり、また図10に示す如く、排水管19には、ドレンパン18の排水口部から下方へ延びて、それに続き上方へ延びるポケット配管部19aを形成し、ドレンポンプ20は、ドレンパン18の深底部18aより低い位置で、このポケット配管部19a(即ち、水溜まり状態となる配管部分)に介装してある。
【0121】
即ち、このポンプ配置により、設定排水時間T1を上記の如く設定することとも相俟って、異音発生やポンプ不良などの発生原因となるドレンポンプ20の空運転(即ち、吸込水が十分に存在しない状態でのポンプ運転)を防止するようにしてある。
【0122】
なお、本例では、エレメント収容部2を室内機1の前方に対してのみ開放させる例を示したが、閉塞板6を省略した形態で、エレメント収容部2を室内機1の前方及び後方の両方に対して開放させ、これにより、エレメント収容部2から冷気流出や暖気流出による冷暖房を室内機1の前方室内領域と後方室内領域とに施すようにしてもよい。
【0123】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
【0124】
上述の実施形態では、第2フロートスイッチ35bのオン動作時点で圧縮機の運転(即ち、空気冷却部である吸放熱エレメント3の運転)を停止し、その後の第2フロートスイッチ35bのオフ動作時点で設定保全時間T2の計時を開始する構成にしたが、これに代え、排水制御手段としての制御器33は、ドレンパン18内の水位が設定上限水位L2に上昇して第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、圧縮機の運転(空気冷却部である吸放熱エレメント3の運転)を停止するとともに、ドレンポンプ20の運転開始操作を再度試み、また、その試みに伴い設定保全時間T2の計時を開始し、その後、この計時において第2フロートスイッチ35bのオン動作時点から設定保全時間T2が経過した時点でドレンポンプ20の運転を停止する構成にしてもよい。
【0125】
また、この場合、設定保全時間T2は、装置設計上、検出水位が設定上限水位L2まで上昇したことに応じて圧縮機の運転を停止した後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量(第2フロートスイッチ35bのオン動作時点で既にドレンパン18に存在する貯留水を含む)をドレンポンプ20の運転によりドレンパン18から排水するのに要する時間を設定するのが望ましい。
【0126】
前述の実施形態では、水位検出手段として2つのフロートスイッチ35a,35bを用いる例を示したが、これに限らず、水位検出手段には電極式のものや圧力式のものなど各種検出方式のものを採用することができる。
【0127】
ドレンパン18における水位が設定上限水位L2に上昇したときには、空気冷却部の運転停止とともに異常発生の報知を排水制御手段33に実行させるようにしてもよい。
【0128】
前述の実施形態では、下ケース部1Bにおけるドレンパン18の下方空間部(即ち、下ケース部1Bの成型断熱材30(30a,30b)によりドレンパン18の下方に形成される隙間空間部)にドレンポンプ20を配置する例をしたが、これに代えて、左右一方の側柱フレーム9とそれに対する側柱パネル8との間の柱状の空間部において、ドレンパン18とほぼ同じ高さの箇所ないしはドレンパン18よりある程度高い箇所にドレンポンプ20を配置してもよい。
【0129】
なお、この場合、左右一方の側柱ケース部1Cにおける柱状の成型断熱材31のうちドレンポンプ20の配置箇所には、ドレンポンプ20を収容するための欠損部を形成するようにする。
【0130】
つまり、ドレンパン18の下方空間部にドレンポンプ20を配置した場合、ドレンポンプ20を囲う下ケース部成型断熱材30(30a,30b)のポンプ運転音に対する消音効果を期待できる反面、ポンプ運転音がドレンパン18の下方空間部に篭る状態になって下ケース部成型断熱材30(30a,30b)がドレンポンプ20の運転に伴い振動する状態になり、この為、却ってドレンポンプ20の運転に伴う音響的な不快感を使用者に与える虞がある。
【0131】
これに対し、上記の如く側柱フレーム9と側柱パネル8との間の柱状の空間部にドレンポンプ20を配置すれば、このようなポンプ運転音の篭りによる音響的な不快感を効果的に回避することができる。
【0132】
空気冷却部は前述の実施形態の如き吸放熱エレメント3に限られるものではなく、冷水やブラインあるいは冷凍回路の循環冷媒などを冷熱媒として露点温度以下まで空気を冷却するものであれば、空気冷却用のフィンチューブ型熱交換器を初め、どのような冷却形式のものであってもよく、また、その空気冷却の目的も対人の冷房に限らず、OA機器などの発熱機器の冷却や物品の保冷などであってもよい。
【符号の説明】
【0133】
3 空気冷却部
18 ドレンパン
19 排水管
20 ドレンポンプ
35a,35b 水位検出手段
L1 設定排水水位
33 排水制御手段
T1 設定排水時間
19a ポケット配管部
L2 設定上限水位
T2 設定保全時間
T3 設定制限時間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気冷却部で発生する結露水を受け入れるドレンパンと、このドレンパンから排水管を通じて排水するドレンポンプと、前記ドレンパンにおける水位を検出する水位検出手段と、この水位検出手段による検出水位が設定排水水位以上のとき前記ドレンポンプを運転する排水制御手段とを備える空調装置であって、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位以上であることに応じて前記ドレンポンプの運転を開始した後、前記検出水位が前記設定排水水位より低くなると設定排水時間の計時を開始し、
その後、この設定排水時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある空調装置。
【請求項2】
前記設定排水時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定排水時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記排水管に、前記ドレンパンの底部排水口から下方へ延びて、それに続き上方へ延びるポケット配管部を形成し、
前記ドレンポンプを前記ドレンパンの底部より低い位置で前記排水管における前記ポケット配管部に介装してある請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後、前記検出水位が前記設定上限水位より低くなると設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある請求項4記載の空調装置。
【請求項6】
前記設定保全時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定保全時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある請求項5記載の空調装置。
【請求項7】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止するとともに、前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みる構成にしてある請求項4記載の空調装置。
【請求項8】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みた時点から設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転停止操作を行う構成にしてある請求項7記載の空調装置。
【請求項9】
前記設定保全時間は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、前記ドレンポンプの運転により前記ドレンパンから排水するのに要する時間にしてある請求項8記載の空調装置。
【請求項10】
前記ドレンパンの容量は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、貯留可能な容量にしてある請求項4〜9のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項11】
前記排水制御手段は、前記ドレンポンプの運転開始に伴い設定制限時間の計時を開始し、その後、この設定制限時間の経過時点まで前記ドレンポンプに運転が継続されているときには、その設定制限時間の経過時点で前記ドレンポンプの運転を強制的に停止する構成にしてある請求項1〜10のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項1】
空気冷却部で発生する結露水を受け入れるドレンパンと、このドレンパンから排水管を通じて排水するドレンポンプと、前記ドレンパンにおける水位を検出する水位検出手段と、この水位検出手段による検出水位が設定排水水位以上のとき前記ドレンポンプを運転する排水制御手段とを備える空調装置であって、
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位以上であることに応じて前記ドレンポンプの運転を開始した後、前記検出水位が前記設定排水水位より低くなると設定排水時間の計時を開始し、
その後、この設定排水時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある空調装置。
【請求項2】
前記設定排水時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定排水時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記排水管に、前記ドレンパンの底部排水口から下方へ延びて、それに続き上方へ延びるポケット配管部を形成し、
前記ドレンポンプを前記ドレンパンの底部より低い位置で前記排水管における前記ポケット配管部に介装してある請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後、前記検出水位が前記設定上限水位より低くなると設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転を停止する構成にしてある請求項4記載の空調装置。
【請求項6】
前記設定保全時間は、設計上において、前記ドレンポンプの運転で前記ドレンパンにおける水位が前記設定保全時間の計時開始時点における水位から前記ドレンパンの底部近傍まで低下するのに要する時間にしてある請求項5記載の空調装置。
【請求項7】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定排水水位より高い設定上限水位まで上昇したとき、前記空気冷却部の運転を停止するとともに、前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みる構成にしてある請求項4記載の空調装置。
【請求項8】
前記排水制御手段は、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記ドレンポンプの運転開始操作を再度試みた時点から設定保全時間の計時を開始し、
その後、この設定保全時間が経過した時点で前記ドレンポンプの運転停止操作を行う構成にしてある請求項7記載の空調装置。
【請求項9】
前記設定保全時間は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、前記ドレンポンプの運転により前記ドレンパンから排水するのに要する時間にしてある請求項8記載の空調装置。
【請求項10】
前記ドレンパンの容量は、設計上において、前記検出水位が前記設定上限水位まで上昇したことに応じて前記空気冷却部の運転を停止した後も前記空気冷却部から前記ドレンパンに流入する残留結露水の全量を、貯留可能な容量にしてある請求項4〜9のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項11】
前記排水制御手段は、前記ドレンポンプの運転開始に伴い設定制限時間の計時を開始し、その後、この設定制限時間の経過時点まで前記ドレンポンプに運転が継続されているときには、その設定制限時間の経過時点で前記ドレンポンプの運転を強制的に停止する構成にしてある請求項1〜10のいずれか1項に記載の空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−100970(P2013−100970A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245838(P2011−245838)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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