空調装置
【課題】吸熱エレメントとこれの下端部を支持する支持フレームとの間での合理的な改造により、発生結露水に対する対応面での装置設計の容易化を図るとともに、支持強度を十分に確保する面でも装置設計の容易化を促進する。
【解決手段】器体に、伝熱管を貫通させてある縦姿勢の吸熱エレメント3と、この吸熱エレメント3の下端部を支持する支持フレーム17と、吸熱エレメント3から流下する結露水を支持フレーム17よりも下方位置で受け入れるドレンパン18とを装備するとともに、吸熱エレメント3の下端部と支持フレーム17との間に、吸熱エレメント3から流下する結露水を受容し、且つ、受容した結露水を支持フレーム17に触れない状態でドレンパン18側に流下案内する支持フレーム17よりも低伝熱性のドレン受具22を設けてある。
【解決手段】器体に、伝熱管を貫通させてある縦姿勢の吸熱エレメント3と、この吸熱エレメント3の下端部を支持する支持フレーム17と、吸熱エレメント3から流下する結露水を支持フレーム17よりも下方位置で受け入れるドレンパン18とを装備するとともに、吸熱エレメント3の下端部と支持フレーム17との間に、吸熱エレメント3から流下する結露水を受容し、且つ、受容した結露水を支持フレーム17に触れない状態でドレンパン18側に流下案内する支持フレーム17よりも低伝熱性のドレン受具22を設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自然対流式の空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調装置では、床面と天井面に固定される左右一対の支持板の上下両側部に、上部導管と下部導管とが水平姿勢で平行に架設され、この上部導管の左右複数箇所とこれに対応する下部導管の左右複数箇所とにわたって、吸熱エレメントを構成する複数の偏平中空状の縦姿勢の熱交換パネルが連通状態で固着されている。
【0003】
上部導管及び下部導管は、複数の熱交換パネルの上端部及び下端部を支持する支持フレームに兼用構成されているとともに、上部導管と複数の熱交換パネル及び下部導管の各表面から流下する結露水を受止めるドレンパンが、左右一対の支持板の下端側部位に固定されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−97115号公報
【特許文献2】特開2006−207857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の空調装置では、両導管と熱交換パネルとに冷水や蒸発冷媒等の冷熱媒を通過させる冷房運転時に、複数の熱交換パネルの表面のみならず、これの上下両端部を支持する上部導管及び下部導管の各表面にも多量の結露水が発生し、この為、発生結露水による漏水トラブルを防止する上で、熱交換パネルでの発生結露水に対する対応のみならず、上部導管及び下部導管での発生結露水に対する十分な対応も必要になり、その分、装置の設計が難しくなる問題があった。
【0006】
また、上部導管及び下部導管には一般に熱伝導性の高い銅管やアルミニウム管が用いられるが、これら銅管やアルミニウム管は軟質で低強度であるため、上部導管及び下部導管に対して熱交換パネルの上下両端部を直接固着した上記従来の支持構造では、両導管と熱交換パネルとの一体化物に対する支持強度が両導管の強度により支配されて制約されてしまい、この為、両導管と熱交換パネルとの一体化物に対する十分な支持強度を確保する面でも、装置の設計が難しい問題があった。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、吸熱エレメントとこれの下端部を支持する支持フレームとの間での合理的な改造により、発生結露水に対する対応面での装置設計の容易化を図るとともに、支持強度を十分に確保する面でも装置設計の容易化を促進し、ひいては、製作面やコスト面、並びに、安全性の面や耐久性の面で一層優れた空調装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、器体に、伝熱管を貫通させてある縦姿勢の吸熱エレメントと、この吸熱エレメントの下端部を支持する支持フレームと、前記吸熱エレメントから流下する結露水を支持フレームよりも下方位置で受け入れるドレンパンとを装備して、前記伝熱管に冷熱媒を通過させて吸熱エレメントを冷却することで当該吸熱エレメント周りの空気を冷却する空調装置であって、
前記吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に、吸熱エレメントから流下する結露水を受容し、且つ、受容した結露水を支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内する支持フレームよりも低伝熱性のドレン受具を設けてある点にある。
【0009】
上記構成によれば、吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に設けたドレン受具により、吸熱エレメントの表面から流下する結露水を受容して支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内することができるから、吸熱エレメント側の結露水が降りかかることに起因する支持フレームの冷却を回避することができるとともに、ドレン受具自体が支持フレームよりも低伝熱性であるため、吸熱エレメントから支持フレームへの冷熱の伝播を抑制することができる。
【0010】
それ故に、吸熱エレメントでの結露水の発生は本来的にあるとしても、上記の如きドレン受具での結露水の流下ガイド作用と断熱作用とによって支持フレームでの結露発生を効果的の抑制することができる。
【0011】
しかも、伝熱管として銅管やアルミニウム管などの軟質な低強度の管を用いるにしても、吸熱エレメントの荷重はドレン受具を介して支持フレームに支持させることができるので、その支持荷重が吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管に掛かることを回避することができる。
【0012】
したがって、従来の空調装置に比べ、発生結露水に対する対応面での装置設計の容易化を図ることができるとともに、伝熱管及び吸熱エレメントに対する支持強度を十分に確保する面でも装置設計の容易化を図ることができ、ひいては、製作面やコスト面、並びに、安全性の面や耐久性の面で一層優れた空調装置にすることができる。
【0013】
本発明による第2の特徴構成は、前記ドレン受具の底部の下面には、当該底部の排水口部から排出される結露水を支持フレームに触れない下方位置にまで流下案内する排水筒部が設けられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、吸熱エレメントから流下する結露水をドレン受具で受容して支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内するにあたって、このドレン受具の底部の下面に、排水口部から排出される結露水が支持フレームに触れない下方位置にまで延びる排水筒部を設けるだけで済むから、例えば、ドレン受具の底部全体を、排水口部から排出される結露水が支持フレームに触れない下方位置にまで傾斜させる場合に比して、構造の簡素化を図りながら結露水の発生を抑制することができる。
【0015】
本発明による第3の特徴構成は、前記ドレン受具の底部の下面には、支持フレームの上面の一部に当接する脚部が設けられている点にある。
【0016】
上記構成によれば、ドレン受具の脚部が支持フレームの上面の一部に当接した状態では、その当接箇所以外のドレン受具の底部の下面と支持フレームの上面との間に空間が形成されているから、吸熱エレメントから支持フレームへの冷熱の伝播を更に効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記支持フレームが、前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管が非接触状態で挿通される隙間を空けて前後一対配設されているとともに、前記ドレン受具が、前後一対の支持フレームの上面にわたって前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管と非接触状態で載置されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、吸熱エレメントの下端からの突出する伝熱管を、一対の支持フレームとは非接触にした状態で、吸熱エレメントをその下端部において一対の支持フレームにより支持するから、一対の支持フレームによる吸熱エレメントの下端部に対する支持機能をもって、伝熱管と吸熱エレメントとを支持することができる。
【0019】
しかも、前後一対の支持フレームの上面にわたって載置されるドレン受具が、吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管と非接触状態に構成されているため、伝熱管から支持フレームへの冷熱の伝播を効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明による第5の特徴構成は、前記ドレン受具が、前記吸熱エレメントの並列配置領域に対応する長さに構成されているとともに、前記ドレン受具の底部には、前記吸熱エレメントの各々から流下する結露水をドレンパン側に流下案内する共通の排水口部が形成されている点にある。
【0021】
上記構成によれば、並列配置される各吸熱エレメントの下端部に対して個々のドレン受具を設ける場合に比して部品点数及び組付け工数の削減を図ることができ、構造面や製作面、コスト面で一層優れた空調装置にすることができる。
【0022】
本発明による第6の特徴構成は、前記ドレン受具の前後幅が、吸熱エレメントの下端の前後幅及び支持フレームの前後幅よりも大に構成されている点にある。
【0023】
上記構成によれば、吸熱エレメント側から流下してくる結露水を確実に受容することができるとともに、ドレン受具の外側を通して支持フレームに結露水が降りかかることも抑制することができ、支持フレームでの結露発生を効果的の抑制することができる。
【0024】
本発明による第7の特徴構成は、前記ドレン受具の排水筒部が支持フレームに上方から嵌合保持されている点にある。
【0025】
上記構成によれば、ドレン受具の排水筒部と支持フレームとの嵌合構造を利用して、支持フレームの上面に載置支持されるドレン受具の位置決め構造の簡素化を図ることができる。
【0026】
本発明による第8の特徴構成は、前記支持フレームから前記ドレン受具の脚部を貫通して挿通された固定ネジが吸熱エレメントの下端部に螺合固定されている点にある。
【0027】
上記構成によれば、吸熱エレメントの下端部をドレン受具を介して支持フレームにネジ止め固定する際、吸熱エレメントの下端部に螺合固定される固定ネジの中間部分は、ドレン受具の脚部の貫通孔内に囲繞されているため、この固定ネジでの結露発生を抑制することができる。
【0028】
本発明による第9の特徴構成は、前記支持フレームが金属製であり、前記ドレン受具が樹脂製である点にある。
【0029】
吸熱エレメントの下端部を支持フレームで直接支持する構造では、吸熱エレメントと支持フレームとが例えばアルミニウムと鉄といった異種金属で製作されている場合、その接触箇所に水分(結露水)があると電解腐食が発生する。
しかし、本発明では、吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に介在されるドレン受具を樹脂から製作することにより、吸熱エレメントと支持フレームとが異種金属で製作されている場合でも電解腐食の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】空調装置における室内機の斜視図
【図2】室内機の分解斜視図
【図3】室内機の側面視断面図
【図4】下ケース部の側面視断面図
【図5】上ケース部の側面視断面図
【図6】室内機の平面視断面図
【図7】上ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図8】下ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図9】吸放熱エレメントの並置群周りの分解斜視図
【図10】吸放熱エレメントの下部支持構造の分解断面図
【図11】ドレン受具の上面側斜視図
【図12】ドレン受具の下面側斜視図
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は自然対流式の空調装置における室内機1を示し、この室内機1の器体は機体前方へ向けて開放させたエレメント収容部2を備え、このエレメント収容部2は、上ケース部1Aと下ケース部1Bと、それら上下ケース部1A,1Bにわたる左右一対の側柱ケース部1Cとにより囲んだ矩形空間領域にしてある。
【0032】
図1,図2に示すように、エレメント収容部2には、上ケース部1Aと下ケース部1Bとにわたる縦姿勢の複数本(本例では7本)の吸放熱エレメント3を、平行姿勢で室内機1の左右幅方向に等間隔に並べて配置してあり、各々の吸放熱エレメント3(吸熱エレメントの一例)の縦中心軸部には、図6,図9に示す如く、伝熱管4の直管部4aを吸放熱エレメント3の全長にわたらせて貫通させてある。
【0033】
吸放熱エレメント3及び伝熱管4はいずれも熱良導材で形成してあり、本例では吸放熱エレメント3をアルミニウム製にし、伝熱管4には銅管を用いてある。
【0034】
図7,図9に示すように、伝熱管4は、各々の吸放熱エレメント3に貫通させた直管部4aにおける上側突出部の隣接対を一対置きに上側ベンド管4bにより接続するとともに、下側突出部の隣接対を上側とは交互の一対置きに下側ベンド管4cにより接続することで、それら直管部4aを上下のベンド管4b,4cにより直列に接続して形成した蛇行管にしてある。
【0035】
この蛇行伝熱管4の一端は、断熱材被覆の液側渡り冷媒管5aを介して屋外設置の室外機(図示省略)に接続し、蛇行伝熱管4の他端は、同じく断熱材被覆の気体側渡り冷媒管5bを介して同室外機に接続する。
【0036】
屋外設置の室外機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四方弁を備えており、冷房運転では、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を蒸発器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0037】
また、暖房運転では、四方弁により冷媒経路を切り替えることで、逆に室外熱交換器を蒸発器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を凝縮器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0038】
つまり、冷房運転では、蒸発器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの蒸発に伴う気化熱の奪取により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を冷却することで、吸放熱エレメント3周りの室内空気を冷却して、その冷却空気を温度差による比重差により自然降下させ、これにより、冷気をエレメント収容部2の下部から室内機設置室へ前方斜め下向きに流出させて、その冷気流出に伴い室内空気の大きな対流を室内機設置室において生じさせる形態で、その室内を冷房する。
【0039】
また、暖房運転では、凝縮器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの凝縮に伴う凝縮熱の放出により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を加熱することで、吸放熱エレメント3の表面から熱輻射させるとともに、吸放熱エレメント3周りの室内空気を加熱して、その加熱空気を温度差よる比重差により自然上昇させ、これにより、暖気をエレメント収容部2の上部から室内機設置室へ前方斜め上向きに流出させて、その暖気流出に伴い室内空気の大きな対流(冷房運転時とは逆回りの対流)を室内機設置室において生じさせる形態で、上記熱輻射との協働をもって、その室内を暖房する。
【0040】
なお、本例では、図9に示すように、エレメント収容部2における左右一側の下部に位置する蛇行伝熱管4の一端に液側の渡り冷媒管5aを接続し、エレメント収容部2における左右他側の上部に位置する蛇行伝熱管4の他端に気体側の渡り冷媒管5bを接続してある。
【0041】
図6に示すように、吸放熱エレメント3の前面側及び後面側には、吸放熱エレメント3の全長にわたって縦方向(即ち、吸放熱エレメント3の長手方向)に延びる複数のフィン部3a,3b(換言すれば、ひだ状部)を一体形成してあり、具体的は図6における拡大図部分に示す如く、吸放熱エレメント3には、その横断面視において、柱状の芯部3cと、その芯部3cから左右外方に向かって延びる基板部3dとを備えさせ、複数の前面側フィン部3aを、平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから前方に延出させてある。
【0042】
また、同様に、前面側フィン部3aと同数の後面側フィン部3bを、前面側フィン部3aと対応位置させて平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから後方に延出させてある。
【0043】
芯部3cには伝熱管4を貫通させる管挿通孔3eを形成してあり、前面側フィン部3aのうち芯部3cから延出させた前面側の中央フィン部3a′、及び、後面側フィン部3bのうち芯部3cから延出させた後面側の中央フィン部3b′には、それらの前後途中部分に配置してエレメント固定用の止め具挿通孔3fを形成してある。
【0044】
即ち、これら縦姿勢の多数のフィン部3a,3bを吸放熱エレメント3に備えさせることで、吸放熱エレメント3の周囲空気に対する伝熱面積及び熱輻射面積を大きく確保するのに止まらず、冷房運転では、吸放熱エレメント3周りの冷却空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて円滑に自然降下させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未冷却の室内空気が円滑に誘引されるようにするとともに、吸放熱エレメント3の表面に生じる結露水を吸放熱エレメント3の表面に伝わらせて円滑に自然流下させ、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(換言すれば、熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の下部からの室内への冷気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0045】
また同様に、暖房運転では、吸放熱エレメント3周りの加熱空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて所謂煙突効果を伴う状態で円滑に自然上昇させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未加熱の室内空気が円滑に誘引されるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の上部からの室内への暖気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0046】
図2,図6に示すように、エレメント収容部2の後面部と左右側面部とは、平面視の断面形状が偏平「コ」の字状の閉塞板6により閉塞してあり、この閉塞板6は、内面側を光沢前面を有する熱良導性の板材6a(本例ではアルミニウム板)により形成し、かつ、外面側を断熱材6b(本例では発泡スチロール)により形成した2層構造にしてある。
【0047】
即ち、冷房運転時における吸放熱エレメント3の冷却に伴い室内機背面側の室壁Wが冷却されて、その背面側室壁Wの表面に結露が生じることを、閉塞板6による冷気の遮断と、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導と、外面側断熱材6bによる冷熱断熱とで確実に防止する。
【0048】
また、冷房運転では、上記の如き内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に低温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気冷却に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気冷却が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気冷却を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の下部からの冷気流出を一層促進するとともに、その冷気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0049】
同様に、暖房運転では、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な温熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に高温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気加熱に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気加熱が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気加熱を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の上部からの暖気流出を一層促進するとともに、その暖気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0050】
さらに、暖房運転では、吸放熱エレメント3の表面からの熱輻射のうち後方及び側方に向かうものを内面側板材6aの光沢前面により反射させ、これにより、エレメント収容部2からの室内への熱輻射も一層促進するとともに、その熱輻射の均一性も高める。
【0051】
図6に示すように、吸放熱エレメント3における前面側フィン部3aは、左右中央側に位置するものほど前方への延出長さを大きくして、それら前面側フィン部3aの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が前方に向かって突出する尖頭状又は半円弧上の曲線になるようにしてあり、これにより、冷房運転時における流出冷気、並びに、暖房運転時における流出暖気及び熱輻射に室内機左右幅方向への拡がりを与える。
【0052】
これに対し、吸放熱エレメント3における後面側フィン部3bは、後方への延出寸法が互いに等しくて、それら後面側フィン部3bの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が直線になるようにしてあり、これにより、閉塞板6における内面側板材6aの熱良導性と相俟って、吸放熱エレメント3の冷却又は加熱に伴う内面側板材6aの冷却又は加熱を面方向において一層均一なものにする。
【0053】
吸放熱エレメント3は押し出し成型により製作してあり、この押し出し成型において吸放熱エレメント3に、フィン部3a,3b、芯部3c、基板部3d、管挿通孔3e,止め具挿通孔3fの夫々を同時に一体形成する。
【0054】
この押し出し成型の際には、延出長さが互いに等しい後面側フィン部3bが下向き延出姿勢となる配置にして、それら後面側フィン部3bの先端群を送り具上に受け止めて案内する状態で押し出し成型を進めるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の複雑な横断面形状にかかわらず、成型過程の吸放熱エレメント3を安定姿勢に保った状態で押し出し成型を進められるようにして、成型過程での倒伏等による吸放熱エレメント3の成型不良を回避する。
【0055】
吸放熱エレメント3の成型においては、管挿通孔3eの内径を伝熱管4の外径より多少大きくしておき、成型後、その管挿通孔3eに伝熱管4の直管部4aを無理なく貫通させた状態で、直管部4aの管内に油圧等の圧力を印加することにより伝熱管直管部4aを拡径させ、これにより、管挿通孔3eの内面側に隙間が残ることを回避した状態で伝熱管4の直管部4aと吸放熱エレメント3とを緊密に一体化して、伝熱管4と吸放熱エレメント3との間での熱伝導性を高く確保する。
【0056】
なお、伝熱管直管部4aの上記拡径加工は、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続するのに先立ち、それら直管部4aごとに行なう方式、あるいは、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続して蛇行伝熱管4を形成した後に、それら複数の直管部4aに対して同時に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0057】
また、上記拡径加工においては、伝熱管直管部4aのうち吸放熱エレメント3の端部からの突出部分や、それら突出部分に接続したベンド管4b,4cを型具により挟圧保持することで、それら突出部分や接続ベンド管4b,4cの拡径は阻止する。
【0058】
図2,図3,図6に示すように、閉塞板6の背面(即ち、外面側断熱材6bの背面)には、室内機背面側の外装材として、上下2分割構造の背面パネル7を面接触状態で取り付けてあり、この背面パネル7の上端部及び下端部は上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の後面パネルになる。
【0059】
左右の側柱ケース部1Cの外郭は、上下方向に延びて上端部及び下端部が上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の側面パネルとなる側柱パネル8と、エレメント収容部2の内側面となる閉塞板6の左右側面部とで形成してあり、これら側柱ケース部1Cの内部には、上下方向に延びる側柱フレーム9を、それに対して閉塞板6の断熱材6bの左右側面部を面接触させる状態で配設してある。
【0060】
図1、図2,図5,図7に示すように、上ケース部1Aの外郭は、前面パネル10と、上面パネル11と、背面パネル7の上端部と、左右の側柱パネル8の上端部と、側柱パネル8の上端開口部を閉塞するキャップパネル8aとで形成してあり、前面パネル10の後方延出部10a(即ち、エレメント収容部2の天井面を形成する部分)には、吸放熱エレメント3の上端部を挿通する複数の上部切欠き10bを左右に並べて波形状に形成してある。
【0061】
また、上ケース部1Aにおける前面パネル10の下側部分10cは、下側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜下側部分10cとそれに連なる後方延出部10aとにより、暖房運転時におけるエレメント収容部2の上部からの暖気流出を円滑にする。
【0062】
上ケース部1Aの内部には、前後一対の上部フレーム12と、その下方における前後一対のエレメント上部支持フレーム13とを配置してあり、上面パネル11は、前後の上部フレーム12にわたらせて取り付け、前面パネル10と前後の上部フレーム12と前後のエレメント上部支持フレーム13とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0063】
図1,図2、図4,図8に示すように、下ケース部1Bの外郭は、前面パネル14と、閉塞板6の下端を受け止める後部上面パネル15と、背面パネル7の下端部と、左右の側柱パネル8の下端部とで形成してあり、この前面パネル14の後方延出部14a(即ち、エレメント収容部2の底面を形成する部分)には、上ケース部1Aの前面パネル10における後方延出部10aと同様、吸放熱エレメント3の下端部を挿通する複数の下部切欠き14bを左右に並べて波形状に形成し、これに対し、後部上面パネル15には、その後方延出部14aにおける波形状部分の各頂部と係合連結させる係合突起15aを設けてある。
【0064】
下ケース部1Bにおける前面パネル14の上側部分14cは、上側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜上側部分14cとそれに連なる後方延出部14aとにより、上ケース部1Aの前面パネル10と同様に、冷房運転時におけるエレメント収容部2の下部からの冷気流出を円滑にする。
【0065】
下ケース部1Bの内部には、前後一対の下部フレーム16と、その上方における前後一対の金属製(本例ではアルミニウム製)のエレメント下部支持フレーム17とを配置してあり、前面パネル14と後部上面パネル15と前後の下部フレーム16と前後のエレメント下部支持フレーム17とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0066】
下ケース部1Bの内部において前後の下部フレーム16とその上方に位置する前後のエレメント下部支持フレーム17との間には、冷房運転時において吸放熱エレメント3から流下する結露水を受け入れるドレンパン18を配置してあり、これに付帯して、下ケース部1Bには、ドレンパン18に受け入れた結露水を排水管19を通じて外部へ排出するドレンポンプ20を内装してある。
【0067】
また、下ケース部1Bの下面部にはベース21を取り付けてあり、このベース21を介して室内機1を室内に設置する。
【0068】
吸放熱エレメント3の支持については、図3,図4,図9,図10に示すように、下ケース部1Bに配置する前後一対のエレメント下部支持フレーム17を横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント下部支持フレーム17は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の一辺部17aがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0069】
また、前後のエレメント下部支持フレーム17は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S1が形成される平行姿勢にして配置してあり、各エレメント下部支持フレーム17における水平姿勢の一辺部17aには、吸放熱エレメント3の並列配置領域に対応する長さで左右方向に延びる浅器状のドレン受具22をそれら前後の一辺部17aに跨らせた状態で、かつ、一辺部17aの上面の一部に当接する状態でドレン受具22の底部22Aの下面に形成した一対の脚部22Cを介して中空状に載置してある。
【0070】
ドレン受具22は、エレメント下部支持フレーム17を構成する金属材料よりも低伝熱性材料である樹脂(本例ではABS樹脂)で成形されており、このドレン受具22の底部22Aの前後中央箇所で、かつ、その長手方向(左右方向)の略全長にわたる部位には、吸放熱エレメント3の各々から流下する結露水をドレンパン18側に流下案内する共通のスリット状の排水口部22aを形成してある。
【0071】
ドレン受具22の底部22Aの下面には、排水口部22aに連通する角筒状の排水筒部22Dを形成してあり、ドレン受具22を前後のエレメント下部支持フレーム17の水平姿勢の一辺部17aに載置することにおいて、ドレン受具22におけるスリット状の排水筒部22Dは、上方からエレメント下部支持フレーム17どうしの間の隙間S1に上方から嵌合状態で挿通して、下方のドレンパン18にその直上方から臨ませてある。
【0072】
ドレン受具22の排水筒部22Dは、前後のエレメント下部支持フレーム17の水平姿勢の一辺部17aにおいて、隙間S1側に沿って下方に折り曲げ形成された側縁部分17eよりも下方位置にまで突出形成され、吸放熱エレメント3の表面から流下する結露水をドレン受具22で受容し、且つ、受容した結露水を前後のエレメント下部支持フレーム17に触れない状態でドレンパン18側に流下案内するように構成されている。
【0073】
吸放熱エレメント3は、その下端を樹脂製のドレン受具22の底部に載せ置くことで、ドレン受具22を介して前後のエレメント下部支持フレーム17に受け止め支持させ、この受け止め支持において、吸放熱エレメント3の下端からの突出伝熱管である下側ベンド管4cは、その外径より大きい開口幅を有するドレン受具22のスリット状の排水筒部22Dに上方から非接触状態で挿通させる。
【0074】
吸放熱エレメント3の下端は、ドレン受具22に載せ置いた状態において、止め具としてのエレメント固定ネジ23を下方から前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aに形成された貫通孔17f及びドレン受具22の脚部22Cに形成された貫通孔22hに挿通させて、そのエレメント固定ネジ23の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの下端部に螺合操作することで、前後のエレメント下部支持フレーム17に固定連結してある。
【0075】
即ち、下側ベンド管4c及び吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17に対して直接には接触させない状態で、また、下側ベンド管4cに支持荷重(特に重力荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17により支持するようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく十分な強度で安定的に支持する。
【0076】
ドレン受具22の底部22Aは、図9、図11に示すように、四隅の角部が弧状に形成された隅丸長方形状の輪郭に形成され、この底部22Aの周縁には側壁部22Bを一体形成してあるとともに、底部22Aの上面は、吸放熱エレメント3の下端面に当接する多数の前後方向に沿う帯状の載置面22bと、吸放熱エレメント3の各々から流下する結露水を前後方向に沿ってスリット状の排水口部22aに流動案内する多数の流動案内溝22dとを、ドレン受具22の長手方向に沿って交互に位置する状態で形成してある。
【0077】
ドレン受具22の脚部22Cは、図12に示すように、排水筒部22Dの外周面との間に環状矩形空間を形成する状態で底部22Aの底面に一体形成される環状脚板22eと、この環状脚板22eの内周面と排水筒部22Dの外周面との間の複数箇所に一体形成される補強板22f及び補強円柱体2gとから構成されている。
【0078】
そして、図4、図10に示すように、ドレン受具22の脚部22Cが前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aの上面の一部に当接した状態では、その当接箇所以外のドレン受具22の底部22Aの下面とエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aの上面との間に空間S4が形成されるから、吸放熱エレメント3からエレメント下部支持フレーム17への冷熱の伝播を更に効果的に抑制することができる。
【0079】
ドレン受具22の前後幅は、吸放熱エレメント3の下端面の前後幅及び取付け状態での前後のエレメント下部支持フレーム17の最大前後幅(取付け最大前後幅)よりも大に構成されているとともに、ドレン受具22の左右方向長さは、吸放熱エレメント3の並列配置寸法よりも少し大なる長さに構成されている。
【0080】
ドレンパン18の前後幅は前後のエレメント下部支持フレーム17の配置領域の前後幅より大きくしてあり、また、前後のエレメント下部支持フレーム17のL字状横断面形状における他辺部17bの先端屈折部17cは、上記の線対称配置において各エレメント下部支持フレーム17の下部側に位置して下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、ドレン受具22の排水筒部22Dを通じてドレンパン18に受け入れる吸放熱エレメント3からの流下結露水とは別に、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント下部支持フレーム17の他辺部17bにおける傾斜姿勢の先端屈折部17c(傾斜下面部の一例)に伝わらせて流下させることで、ドレンパン18の内部へ確実に受け入れる。
【0081】
一方、図3,図5,図9に示すように、上ケース部1Aに配置する前後一対のエレメント上部支持フレーム13も、エレメント下部支持フレーム17と同様、横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント上部支持フレーム13は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の他辺部13bにおける先端屈折部13cがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0082】
また、前後のエレメント上部支持フレーム13は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S2が形成される平行姿勢にして配置してあり、吸放熱エレメント3の上端は、その上端からの突出伝熱管である上側ベンド管4bをその外径より大きい開口幅を有する上記隙間S2に下方から挿通した状態で、各エレメント上部支持フレーム13における他辺部13bの先端屈折部13cに対し下方から対向させ、それら先端屈折部13cの下面との間には融通隙間S3を設けてある。
【0083】
そして、吸放熱エレメント3の上端は、各エレメント上部支持フレーム13における水平姿勢の先端屈折部13cに対し融通隙間S3を介して下方から対向させた状態において、止め具としてのエレメント固定ピン24を上方から前後のエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに貫通させて、そのエレメント固定ピン24の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの上端部に挿入することで、前後のエレメント上部支持フレーム13に止め付けてある。
【0084】
即ち、吸放熱エレメント3の上端側についても、上側ベンド管4b及び吸放熱エレメント3をエレメント上部支持フレーム13に対して直接には接触させない状態で、また、上側ベンド管4bに支持荷重(特に水平方向成分を有する荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3の上端部を前後のエレメント上部支持フレーム13により支持し、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく安定的に支持する。
【0085】
前後のエレメント上部支持フレーム13のL字状横断面形状における他辺部13bは、上記の線対称配置において各エレメント上部支持フレーム13の下部側に位置して、水平姿勢となる先端屈折部13cを除き、下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント上部支持フレーム13における傾斜姿勢の他辺部13b(傾斜下面部の一例)に伝わらせて、極力前後内方側に寄せた状態(即ち、ドレン受具22での受け止めを確実にした状態)で流下させる。
【0086】
上記のエレメント支持構造では、エレメント固定ネジ23及びエレメント固定ピン24により吸放熱エレメント3の水平方向への変位及び縦軸芯周りでの回転を阻止し、また、吸放熱エレメント3の下端をエレメント固定ネジ23によりエレメント下部支持フレーム17に連結することで、吸放熱エレメント3の浮き上がりを阻止する。
【0087】
さらに、吸放熱エレメント3の上端をエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに対し融通隙間S3のある状態で対向させるとともに、吸放熱エレメント3の上端を止め具挿通孔3fに対するエレメント固定ピン24の挿入によりエレメント上部支持フレーム13に止め付けることで、冷却及び加熱による吸放熱エレメント3の熱伸縮を、その熱伸縮に伴いエレメント固定ピン24と止め具挿通孔3fとを縦方向で相対摺動させる状態で許容し、これにより、吸放熱エレメント3の熱伸縮(特に熱伸張)が原因で各フレームに過度な荷重が作用することを回避する。
【0088】
前後一対の上部フレーム12は、横断面形状が上向きに開口するC字状の係合溝部12aを上部に備えるフレーム材で形成してあり、これら上部フレーム12は、係合溝部12aの開口部が上ケース部1Aにおける上面パネル11の側縁に沿って室内に露呈する状態に配置してある。
【0089】
そして、図1,図5に示すように、後側の上部フレーム12には、ボルト頭を係合溝部12aの内部に入れることで外れ止めした1本のボルト25を装着し、このボルト25には、当該ボルト25に対するナット26の螺着によりL字状横断面形状の倒伏防止具27における横辺部27aを回転不能な状態で連結してある。
【0090】
即ち、倒伏防止具27を縦軸芯周りでの回転を阻止した状態でボルト25とともに係合溝部12aに沿わせて横移動させることで、背面側室壁Wに対する倒伏防止具27の適当な連結位置を背面側室壁Wの状況に応じて選択し、その適当連結位置において、ボルト25に対するナット26の締め込みにより倒伏防止具27を係合溝部12aに固定するとともに、倒伏防止具27の縦辺部27bを背面側室壁Wに対してネジ連結することで、地震等による室内機1の倒伏を防止するようにしてある。
【0091】
一方、図4に示すように、前後一対の下部フレーム16は、横断面形状が下向きに開口するC字状の係合溝部16aを下部に備えるフレーム材で形成してあり、これら下部フレーム16における係合溝部16aの内部にボルト頭を入れることで外れ止めしたベース連結用のボルト28と、そのボルト28に対して螺着するナット29とにより、ベース21を下部フレーム16に連結してある。
【0092】
横断面形状がC字状の係合溝部12a,16aを備える上部フレーム12と下部フレーム16は共通のフレーム材により形成してあり、係合溝部12a,16aを備える共通フレーム材を、その係合溝部12a,16aがフレーム上部に位置する状態とフレーム下部に位置する状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材を上部フレーム12と下部フレーム16とに兼用する。
【0093】
また同様に、横断面形状がL字状のエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17も共通のフレーム材で形成してあり、横断面形状がL字状の共通フレーム材を、そのL字状横断面形状における一辺部13a,17aが水平姿勢になる状態と他辺部13b,17bにおける先端屈折部13c,17cが水平姿勢になる状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材をエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17とに兼用する。
【0094】
つまり、このように共通フレーム材を兼用することで、フレーム材の必要種数を少なくして室内機1の製作コストを低減する。
【0095】
図2,図3,図4に示すように、下ケース部1Bの内部には、エレメント下部支持フレーム17周り及びドレンパン18を収容する空隙部を形成するとともに前面パネル14の内面及び背面パネル7の内面に合致する外郭形状にした成型断熱材30を充填してあり、この成型断熱材30は前側分割部分30aと後側分割部分30bとに2分割して、前側分割部分30aを前面パネル14の内面に取り付け、後側分割部分30bを背面パネル7の下端部内面に取り付けてある。
【0096】
即ち、室内機1の組立において、下ケース部1Bの前面パネル14及び背面パネル7を組み付けることで、下ケース部1Bの内部に成型断熱材30が充填装備されるようにしてあり、そして、成型断熱材30を設けることにより、エレメント収容部2からの降下冷気が下ケース部1Bの内部に侵入することを防止し、これにより、その冷気侵入に原因する前面パネル14の外面での結露発生及び背面パネル7の下端部外面での結露発生を防止するとともに、併せて、受け入れ結露水に原因するドレンパン18の外面での結露発生を防止する。
【0097】
図6に示すように、左右の側柱ケース部1Cの内部には、側柱パネル8の内面及び側柱フレーム9の外側面に合致する外郭形状にした柱状の成型断熱材31を、側柱パネル8と側柱フレーム9との間に介在させる状態で充填してあり、これにより、側柱パネル8の外面での結露発生を防止する。
【0098】
また、閉塞板6の左右側面部における内面側板材6aとそれに近接対向する側柱フレーム9の内側面との間に、閉塞板6の外面側断熱材6bを介在させることで、側柱フレーム9への冷熱伝導を抑止するのと併せて、図9に示す如く、前後一対のエレメント下部支持フレーム17は、それらの両端部を側柱フレーム9との間に樹脂製の断熱スペーサ32を介在させて側柱フレーム9に連結してある。これにより、側柱フレーム9へのエレメント下部支持フレーム17からの冷熱伝導も抑止して、側柱フレーム9での結露発生及び側柱パネル8の外面での結露発生を一層確実に防止する。
【0099】
左右の側柱ケース部1Cにおける上記成型断熱材31には、上下方向に延びる配管挿通用の切欠き31aを形成してあり、エレメント収容部2の下部で蛇行伝熱管4の一端に接続した渡り冷媒管5aを左右一方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くとともに、ドレンパン18からの排水管19を左右他方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くようにしてある。
【0100】
即ち、これら配管挿通用の切欠き31aを通じて上部に導いた渡り冷媒管5a及び排水管19と、エレメント収容部2の上部で蛇行伝熱管4の他端に接続した渡り冷媒管5bとの三管を纏めた状態で上ケース部1Aから機外に延出させ、これにより、一般の壁掛式エアコンで用いる室壁上部の配管用貫通孔を利用して、上記の三管5a,5b,19を室外に延出させることができるようにしてある。
【0101】
なお、室壁下部の配管用貫通孔を確保できる場合は、その室壁下部の配管用貫通孔を通じて上記三管5a,5b,19を室外に延出させてもよい。
【0102】
図3,図5に示すように、上ケース部1Aの後面パネルとなる背面パネル7の上端部内面には、組み付け状態において閉塞板6の後面側断熱材6bに連なる断熱材6cを貼設してあり、この上ケース部1Aには、図1に示すように、前面パネル10に設けた運転ランプや異常ランプの点消灯操作、及び、前面パネル10に設けた受信部で受けたリモコン発信信号の処理などを行なう制御器33を内装してある。
【0103】
また、図4に示すように、ドレンパン18には、排水管19へ排出する排水中の塵埃等異物を捕集するストレーナ34をドレンパン深底部18aの排水口部(即ち、排水管19の接続口部)に設けるとともに、ドレンパン内水位の変化によりオンオフ動作する第1及び第2のフロートスイッチ35a,35bを深底部18aとその近傍の底部とに各別に装備してあり、上記制御器33は、これらフロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づきドレンポンプ20を発停するなどの排水制御も実行する。
【0104】
この排水制御について具体的には、第1及び第2フロートスイッチ35a,35bはいずれも、ドレンパン18内の水位が各々のオンオフ水位より高くなるとオン動作し、水位が各々のオンオフ水位より低くなるとオフ動作するものであり、第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停でドレンパン18内の貯留水が適切に排出される状況では、第2フロートスイッチ35bがオン動作することのないように、第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位を第1フロートスイッチ35aのオンオフ水位より高くしてある。
【0105】
制御器33の具体的制御動作としては、水位上昇により第1フロートスイッチ35aがオン動作すると、制御器33はドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0106】
そして、この排水開始による水位低下で第1フロートスイッチ35aがオフ動作すると、制御器33は設定排水時間T1の計時を開始し、この計時において第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点から設定排水時間T1が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止してドレンパン18からの排水を停止する。
【0107】
即ち、冷房運転時においては結露水が連続してドレンパン18に流入することに対し、上記の如き第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の間欠的な運転により、ドレンパン18内の水位を第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より低位に保つ。
【0108】
一方、ドレンパン18への結露水の流入に対し、第1フロートスイッチ35aの故障などによる排水不良で、ドレンパン18内の水位が第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より上昇して第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、制御器33は、圧縮機を停止して冷媒Rの循環を停止するとともに、ドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0109】
また、制御器33は第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、設定保全時間T2の計時を開始し、この計時において第2フロートスイッチ35bのオン動作時点から設定保全時間T2が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止する。
【0110】
即ち、排水不良の発生に対し、圧縮機を停止して以降の結露水の発生を無くした状態で、ドレンポンプ20を設定保全時間T2にわたって運転することにより、水位上昇したドレンパン18内の貯留水を迅速に排出し、これにより、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを防止する。
【0111】
なお、設定保全時間T2としては、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量をドレンポンプ20の運転により排出するのに足りる時間を設定してある。
【0112】
ドレンパン18の容量は、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量を受け入れ貯留することができる容量にしてあり、これにより、排水不良の原因がドレンポンプ20そのものの不良であった場合でも、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを回避できるようにしてある。
【0113】
また、本例では、設定排水時間T1として、第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点における水位がドレンポンプ20の運転による排水で排水口部(即ち、ドレンパン深底部18aの底面)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0114】
ドレンポンプ20には逆止弁機能を備えるポンプを用いて、排水管19からドレンパン18に向う排水の逆流を防止するようにしてあり、また、ドレンポンプ20は、ドレンパン18から下方に延出させたる排水管19のポケット配管部(即ち、水溜まり状態となる配管部分)に介装してあり、これにより、設定排水時間T1の上記の如き設定とも相俟って、異音発生やポンプ不良などの発生原因となるドレンポンプ20の空運転(即ち、送水すべき水がポンプに存在しない状態でのポンプ運転)を防止する。
【0115】
〔別実施形態〕
次の本発明の別実施形態を列記する。
【0116】
上述の実施形態では、伝熱管4に通過させる熱媒として冷凍回路の循環冷媒Rを伝熱管4に通過させる例を示したが、伝熱管4に通過させる熱媒は冷水やブライン、あるいは、氷水スラリーなどであってもよい。
【0117】
エレメント下部支持フレーム17及びエレメント上部支持フレーム13夫々の横断面形状は、上述の実施形態で示した横断面形状に限られるものではなく、種々の変更が可能である。
【0118】
また、上述の実施形態ではエレメント収容部2を室内機1の前方に対してのみ開放させる例を示したが、閉塞板6を省略した形態で、エレメント収容部2を室内機1の前方及び後方の両方に対して開放させ、これにより、エレメント収容部2から冷気流出や暖気流出による冷暖房を室内機1の前方室内領域と後方室内領域とに施すようにしてもよい。
【0119】
上述の実施形態では、ドレン受具22の底部22Aに、吸放熱エレメント3の各々から流下する結露水をドレンパン18側に流下案内する共通のスリット状の排水口部22aを形成したが、各吸放熱エレメント3から流下する結露水をそれぞれ各別にドレンパン18側に流下案内する複数の排水口部22aを形成してもよい。
【0120】
上述の実施形態では、前記ドレン受具22を、吸放熱エレメント3の並列配置領域に対応する長さに構成したが、各吸放熱エレメント3の設置領域に対応する長さに構成して、各吸放熱エレメント3の下端部とエレメント下部支持フレーム17との間の各々にドレン受具22を配設してもよい。
【0121】
ドレン受具22及びドレンパン18夫々の横断面形状は、上述の実施形態で示した横断面形状に限られるものではなく、種々の変更が可能である。
また、ドレン受具22は樹脂に限定されるものではなく、低伝熱性の金属、セラミック、金属の周囲に樹脂塗装等の適宜手段で樹脂皮膜を形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0122】
3 吸熱エレメント(吸放熱エレメント)
4 伝熱管
R 冷熱媒
17 支持フレーム(エレメント下部支持フレーム)
4c 突出伝熱管(下側ベンド管)
S1 隙間
18 ドレンパン
22 ドレン受具
22A 底部
22C 脚部
22D 排水筒部
22a 排水口部
23 固定ネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は自然対流式の空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調装置では、床面と天井面に固定される左右一対の支持板の上下両側部に、上部導管と下部導管とが水平姿勢で平行に架設され、この上部導管の左右複数箇所とこれに対応する下部導管の左右複数箇所とにわたって、吸熱エレメントを構成する複数の偏平中空状の縦姿勢の熱交換パネルが連通状態で固着されている。
【0003】
上部導管及び下部導管は、複数の熱交換パネルの上端部及び下端部を支持する支持フレームに兼用構成されているとともに、上部導管と複数の熱交換パネル及び下部導管の各表面から流下する結露水を受止めるドレンパンが、左右一対の支持板の下端側部位に固定されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−97115号公報
【特許文献2】特開2006−207857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の空調装置では、両導管と熱交換パネルとに冷水や蒸発冷媒等の冷熱媒を通過させる冷房運転時に、複数の熱交換パネルの表面のみならず、これの上下両端部を支持する上部導管及び下部導管の各表面にも多量の結露水が発生し、この為、発生結露水による漏水トラブルを防止する上で、熱交換パネルでの発生結露水に対する対応のみならず、上部導管及び下部導管での発生結露水に対する十分な対応も必要になり、その分、装置の設計が難しくなる問題があった。
【0006】
また、上部導管及び下部導管には一般に熱伝導性の高い銅管やアルミニウム管が用いられるが、これら銅管やアルミニウム管は軟質で低強度であるため、上部導管及び下部導管に対して熱交換パネルの上下両端部を直接固着した上記従来の支持構造では、両導管と熱交換パネルとの一体化物に対する支持強度が両導管の強度により支配されて制約されてしまい、この為、両導管と熱交換パネルとの一体化物に対する十分な支持強度を確保する面でも、装置の設計が難しい問題があった。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、吸熱エレメントとこれの下端部を支持する支持フレームとの間での合理的な改造により、発生結露水に対する対応面での装置設計の容易化を図るとともに、支持強度を十分に確保する面でも装置設計の容易化を促進し、ひいては、製作面やコスト面、並びに、安全性の面や耐久性の面で一層優れた空調装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、器体に、伝熱管を貫通させてある縦姿勢の吸熱エレメントと、この吸熱エレメントの下端部を支持する支持フレームと、前記吸熱エレメントから流下する結露水を支持フレームよりも下方位置で受け入れるドレンパンとを装備して、前記伝熱管に冷熱媒を通過させて吸熱エレメントを冷却することで当該吸熱エレメント周りの空気を冷却する空調装置であって、
前記吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に、吸熱エレメントから流下する結露水を受容し、且つ、受容した結露水を支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内する支持フレームよりも低伝熱性のドレン受具を設けてある点にある。
【0009】
上記構成によれば、吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に設けたドレン受具により、吸熱エレメントの表面から流下する結露水を受容して支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内することができるから、吸熱エレメント側の結露水が降りかかることに起因する支持フレームの冷却を回避することができるとともに、ドレン受具自体が支持フレームよりも低伝熱性であるため、吸熱エレメントから支持フレームへの冷熱の伝播を抑制することができる。
【0010】
それ故に、吸熱エレメントでの結露水の発生は本来的にあるとしても、上記の如きドレン受具での結露水の流下ガイド作用と断熱作用とによって支持フレームでの結露発生を効果的の抑制することができる。
【0011】
しかも、伝熱管として銅管やアルミニウム管などの軟質な低強度の管を用いるにしても、吸熱エレメントの荷重はドレン受具を介して支持フレームに支持させることができるので、その支持荷重が吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管に掛かることを回避することができる。
【0012】
したがって、従来の空調装置に比べ、発生結露水に対する対応面での装置設計の容易化を図ることができるとともに、伝熱管及び吸熱エレメントに対する支持強度を十分に確保する面でも装置設計の容易化を図ることができ、ひいては、製作面やコスト面、並びに、安全性の面や耐久性の面で一層優れた空調装置にすることができる。
【0013】
本発明による第2の特徴構成は、前記ドレン受具の底部の下面には、当該底部の排水口部から排出される結露水を支持フレームに触れない下方位置にまで流下案内する排水筒部が設けられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、吸熱エレメントから流下する結露水をドレン受具で受容して支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内するにあたって、このドレン受具の底部の下面に、排水口部から排出される結露水が支持フレームに触れない下方位置にまで延びる排水筒部を設けるだけで済むから、例えば、ドレン受具の底部全体を、排水口部から排出される結露水が支持フレームに触れない下方位置にまで傾斜させる場合に比して、構造の簡素化を図りながら結露水の発生を抑制することができる。
【0015】
本発明による第3の特徴構成は、前記ドレン受具の底部の下面には、支持フレームの上面の一部に当接する脚部が設けられている点にある。
【0016】
上記構成によれば、ドレン受具の脚部が支持フレームの上面の一部に当接した状態では、その当接箇所以外のドレン受具の底部の下面と支持フレームの上面との間に空間が形成されているから、吸熱エレメントから支持フレームへの冷熱の伝播を更に効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記支持フレームが、前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管が非接触状態で挿通される隙間を空けて前後一対配設されているとともに、前記ドレン受具が、前後一対の支持フレームの上面にわたって前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管と非接触状態で載置されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、吸熱エレメントの下端からの突出する伝熱管を、一対の支持フレームとは非接触にした状態で、吸熱エレメントをその下端部において一対の支持フレームにより支持するから、一対の支持フレームによる吸熱エレメントの下端部に対する支持機能をもって、伝熱管と吸熱エレメントとを支持することができる。
【0019】
しかも、前後一対の支持フレームの上面にわたって載置されるドレン受具が、吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管と非接触状態に構成されているため、伝熱管から支持フレームへの冷熱の伝播を効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明による第5の特徴構成は、前記ドレン受具が、前記吸熱エレメントの並列配置領域に対応する長さに構成されているとともに、前記ドレン受具の底部には、前記吸熱エレメントの各々から流下する結露水をドレンパン側に流下案内する共通の排水口部が形成されている点にある。
【0021】
上記構成によれば、並列配置される各吸熱エレメントの下端部に対して個々のドレン受具を設ける場合に比して部品点数及び組付け工数の削減を図ることができ、構造面や製作面、コスト面で一層優れた空調装置にすることができる。
【0022】
本発明による第6の特徴構成は、前記ドレン受具の前後幅が、吸熱エレメントの下端の前後幅及び支持フレームの前後幅よりも大に構成されている点にある。
【0023】
上記構成によれば、吸熱エレメント側から流下してくる結露水を確実に受容することができるとともに、ドレン受具の外側を通して支持フレームに結露水が降りかかることも抑制することができ、支持フレームでの結露発生を効果的の抑制することができる。
【0024】
本発明による第7の特徴構成は、前記ドレン受具の排水筒部が支持フレームに上方から嵌合保持されている点にある。
【0025】
上記構成によれば、ドレン受具の排水筒部と支持フレームとの嵌合構造を利用して、支持フレームの上面に載置支持されるドレン受具の位置決め構造の簡素化を図ることができる。
【0026】
本発明による第8の特徴構成は、前記支持フレームから前記ドレン受具の脚部を貫通して挿通された固定ネジが吸熱エレメントの下端部に螺合固定されている点にある。
【0027】
上記構成によれば、吸熱エレメントの下端部をドレン受具を介して支持フレームにネジ止め固定する際、吸熱エレメントの下端部に螺合固定される固定ネジの中間部分は、ドレン受具の脚部の貫通孔内に囲繞されているため、この固定ネジでの結露発生を抑制することができる。
【0028】
本発明による第9の特徴構成は、前記支持フレームが金属製であり、前記ドレン受具が樹脂製である点にある。
【0029】
吸熱エレメントの下端部を支持フレームで直接支持する構造では、吸熱エレメントと支持フレームとが例えばアルミニウムと鉄といった異種金属で製作されている場合、その接触箇所に水分(結露水)があると電解腐食が発生する。
しかし、本発明では、吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に介在されるドレン受具を樹脂から製作することにより、吸熱エレメントと支持フレームとが異種金属で製作されている場合でも電解腐食の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】空調装置における室内機の斜視図
【図2】室内機の分解斜視図
【図3】室内機の側面視断面図
【図4】下ケース部の側面視断面図
【図5】上ケース部の側面視断面図
【図6】室内機の平面視断面図
【図7】上ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図8】下ケース部前面パネル及びその取り付け状態を示す斜視図
【図9】吸放熱エレメントの並置群周りの分解斜視図
【図10】吸放熱エレメントの下部支持構造の分解断面図
【図11】ドレン受具の上面側斜視図
【図12】ドレン受具の下面側斜視図
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は自然対流式の空調装置における室内機1を示し、この室内機1の器体は機体前方へ向けて開放させたエレメント収容部2を備え、このエレメント収容部2は、上ケース部1Aと下ケース部1Bと、それら上下ケース部1A,1Bにわたる左右一対の側柱ケース部1Cとにより囲んだ矩形空間領域にしてある。
【0032】
図1,図2に示すように、エレメント収容部2には、上ケース部1Aと下ケース部1Bとにわたる縦姿勢の複数本(本例では7本)の吸放熱エレメント3を、平行姿勢で室内機1の左右幅方向に等間隔に並べて配置してあり、各々の吸放熱エレメント3(吸熱エレメントの一例)の縦中心軸部には、図6,図9に示す如く、伝熱管4の直管部4aを吸放熱エレメント3の全長にわたらせて貫通させてある。
【0033】
吸放熱エレメント3及び伝熱管4はいずれも熱良導材で形成してあり、本例では吸放熱エレメント3をアルミニウム製にし、伝熱管4には銅管を用いてある。
【0034】
図7,図9に示すように、伝熱管4は、各々の吸放熱エレメント3に貫通させた直管部4aにおける上側突出部の隣接対を一対置きに上側ベンド管4bにより接続するとともに、下側突出部の隣接対を上側とは交互の一対置きに下側ベンド管4cにより接続することで、それら直管部4aを上下のベンド管4b,4cにより直列に接続して形成した蛇行管にしてある。
【0035】
この蛇行伝熱管4の一端は、断熱材被覆の液側渡り冷媒管5aを介して屋外設置の室外機(図示省略)に接続し、蛇行伝熱管4の他端は、同じく断熱材被覆の気体側渡り冷媒管5bを介して同室外機に接続する。
【0036】
屋外設置の室外機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四方弁を備えており、冷房運転では、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を蒸発器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0037】
また、暖房運転では、四方弁により冷媒経路を切り替えることで、逆に室外熱交換器を蒸発器として機能させるとともに、室内機1の蛇行伝熱管4を凝縮器として機能させるように、2本の渡り冷媒管5a,5bを通じて室外機と室内機1との間で冷媒Rを循環させる。
【0038】
つまり、冷房運転では、蒸発器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの蒸発に伴う気化熱の奪取により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を冷却することで、吸放熱エレメント3周りの室内空気を冷却して、その冷却空気を温度差による比重差により自然降下させ、これにより、冷気をエレメント収容部2の下部から室内機設置室へ前方斜め下向きに流出させて、その冷気流出に伴い室内空気の大きな対流を室内機設置室において生じさせる形態で、その室内を冷房する。
【0039】
また、暖房運転では、凝縮器として機能する蛇行伝熱管4の内部での冷媒Rの凝縮に伴う凝縮熱の放出により伝熱管4及びそれに付設の吸放熱エレメント3を加熱することで、吸放熱エレメント3の表面から熱輻射させるとともに、吸放熱エレメント3周りの室内空気を加熱して、その加熱空気を温度差よる比重差により自然上昇させ、これにより、暖気をエレメント収容部2の上部から室内機設置室へ前方斜め上向きに流出させて、その暖気流出に伴い室内空気の大きな対流(冷房運転時とは逆回りの対流)を室内機設置室において生じさせる形態で、上記熱輻射との協働をもって、その室内を暖房する。
【0040】
なお、本例では、図9に示すように、エレメント収容部2における左右一側の下部に位置する蛇行伝熱管4の一端に液側の渡り冷媒管5aを接続し、エレメント収容部2における左右他側の上部に位置する蛇行伝熱管4の他端に気体側の渡り冷媒管5bを接続してある。
【0041】
図6に示すように、吸放熱エレメント3の前面側及び後面側には、吸放熱エレメント3の全長にわたって縦方向(即ち、吸放熱エレメント3の長手方向)に延びる複数のフィン部3a,3b(換言すれば、ひだ状部)を一体形成してあり、具体的は図6における拡大図部分に示す如く、吸放熱エレメント3には、その横断面視において、柱状の芯部3cと、その芯部3cから左右外方に向かって延びる基板部3dとを備えさせ、複数の前面側フィン部3aを、平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから前方に延出させてある。
【0042】
また、同様に、前面側フィン部3aと同数の後面側フィン部3bを、前面側フィン部3aと対応位置させて平行姿勢で左右に等間隔に並べた配置で芯部3c及び基板部3dから後方に延出させてある。
【0043】
芯部3cには伝熱管4を貫通させる管挿通孔3eを形成してあり、前面側フィン部3aのうち芯部3cから延出させた前面側の中央フィン部3a′、及び、後面側フィン部3bのうち芯部3cから延出させた後面側の中央フィン部3b′には、それらの前後途中部分に配置してエレメント固定用の止め具挿通孔3fを形成してある。
【0044】
即ち、これら縦姿勢の多数のフィン部3a,3bを吸放熱エレメント3に備えさせることで、吸放熱エレメント3の周囲空気に対する伝熱面積及び熱輻射面積を大きく確保するのに止まらず、冷房運転では、吸放熱エレメント3周りの冷却空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて円滑に自然降下させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未冷却の室内空気が円滑に誘引されるようにするとともに、吸放熱エレメント3の表面に生じる結露水を吸放熱エレメント3の表面に伝わらせて円滑に自然流下させ、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(換言すれば、熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の下部からの室内への冷気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0045】
また同様に、暖房運転では、吸放熱エレメント3周りの加熱空気をフィン部3a,3bどうしの間の縦溝部を通じて所謂煙突効果を伴う状態で円滑に自然上昇させ、それに伴い、吸放熱エレメント3の周囲に未加熱の室内空気が円滑に誘引されるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の表面と周囲室内空気との間での熱交換(熱伝達)を効率の良い状態に保って、エレメント収容部2の上部からの室内への暖気流出、及び、それに伴う室内での空気対流を効果的かつ安定的に生じさせる。
【0046】
図2,図6に示すように、エレメント収容部2の後面部と左右側面部とは、平面視の断面形状が偏平「コ」の字状の閉塞板6により閉塞してあり、この閉塞板6は、内面側を光沢前面を有する熱良導性の板材6a(本例ではアルミニウム板)により形成し、かつ、外面側を断熱材6b(本例では発泡スチロール)により形成した2層構造にしてある。
【0047】
即ち、冷房運転時における吸放熱エレメント3の冷却に伴い室内機背面側の室壁Wが冷却されて、その背面側室壁Wの表面に結露が生じることを、閉塞板6による冷気の遮断と、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導と、外面側断熱材6bによる冷熱断熱とで確実に防止する。
【0048】
また、冷房運転では、上記の如き内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な冷熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に低温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気冷却に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気冷却が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気冷却を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の下部からの冷気流出を一層促進するとともに、その冷気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0049】
同様に、暖房運転では、内面側板材6aの熱良導性による板面方向への拡散的な温熱伝導により、内面側板材6aをその板面方向で均一に高温化させて、吸放熱エレメント3周りでの空気加熱に伴い、閉塞板6における内面側板材6aの前面側でも、その面方向において均一な状態で付随的な空気加熱が生じるようにし、これにより、エレメント収容部2での空気加熱を、吸放熱エレメント3の所定間隔での並列配置に対しエレメント収容部2の左右幅方向について一層均一化するとともに一層効率化して、エレメント収容部2の上部からの暖気流出を一層促進するとともに、その暖気流出のエレメント収容部左右幅方向での均一性も高める。
【0050】
さらに、暖房運転では、吸放熱エレメント3の表面からの熱輻射のうち後方及び側方に向かうものを内面側板材6aの光沢前面により反射させ、これにより、エレメント収容部2からの室内への熱輻射も一層促進するとともに、その熱輻射の均一性も高める。
【0051】
図6に示すように、吸放熱エレメント3における前面側フィン部3aは、左右中央側に位置するものほど前方への延出長さを大きくして、それら前面側フィン部3aの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が前方に向かって突出する尖頭状又は半円弧上の曲線になるようにしてあり、これにより、冷房運転時における流出冷気、並びに、暖房運転時における流出暖気及び熱輻射に室内機左右幅方向への拡がりを与える。
【0052】
これに対し、吸放熱エレメント3における後面側フィン部3bは、後方への延出寸法が互いに等しくて、それら後面側フィン部3bの先端どうしを結ぶ平面視の仮想包絡線が直線になるようにしてあり、これにより、閉塞板6における内面側板材6aの熱良導性と相俟って、吸放熱エレメント3の冷却又は加熱に伴う内面側板材6aの冷却又は加熱を面方向において一層均一なものにする。
【0053】
吸放熱エレメント3は押し出し成型により製作してあり、この押し出し成型において吸放熱エレメント3に、フィン部3a,3b、芯部3c、基板部3d、管挿通孔3e,止め具挿通孔3fの夫々を同時に一体形成する。
【0054】
この押し出し成型の際には、延出長さが互いに等しい後面側フィン部3bが下向き延出姿勢となる配置にして、それら後面側フィン部3bの先端群を送り具上に受け止めて案内する状態で押し出し成型を進めるようにし、これにより、吸放熱エレメント3の複雑な横断面形状にかかわらず、成型過程の吸放熱エレメント3を安定姿勢に保った状態で押し出し成型を進められるようにして、成型過程での倒伏等による吸放熱エレメント3の成型不良を回避する。
【0055】
吸放熱エレメント3の成型においては、管挿通孔3eの内径を伝熱管4の外径より多少大きくしておき、成型後、その管挿通孔3eに伝熱管4の直管部4aを無理なく貫通させた状態で、直管部4aの管内に油圧等の圧力を印加することにより伝熱管直管部4aを拡径させ、これにより、管挿通孔3eの内面側に隙間が残ることを回避した状態で伝熱管4の直管部4aと吸放熱エレメント3とを緊密に一体化して、伝熱管4と吸放熱エレメント3との間での熱伝導性を高く確保する。
【0056】
なお、伝熱管直管部4aの上記拡径加工は、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続するのに先立ち、それら直管部4aごとに行なう方式、あるいは、ベンド管4b,4cにより直管部4aどうしを接続して蛇行伝熱管4を形成した後に、それら複数の直管部4aに対して同時に行なう方式のいずれを採用してもよい。
【0057】
また、上記拡径加工においては、伝熱管直管部4aのうち吸放熱エレメント3の端部からの突出部分や、それら突出部分に接続したベンド管4b,4cを型具により挟圧保持することで、それら突出部分や接続ベンド管4b,4cの拡径は阻止する。
【0058】
図2,図3,図6に示すように、閉塞板6の背面(即ち、外面側断熱材6bの背面)には、室内機背面側の外装材として、上下2分割構造の背面パネル7を面接触状態で取り付けてあり、この背面パネル7の上端部及び下端部は上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の後面パネルになる。
【0059】
左右の側柱ケース部1Cの外郭は、上下方向に延びて上端部及び下端部が上ケース部1A及び下ケース部1B夫々の側面パネルとなる側柱パネル8と、エレメント収容部2の内側面となる閉塞板6の左右側面部とで形成してあり、これら側柱ケース部1Cの内部には、上下方向に延びる側柱フレーム9を、それに対して閉塞板6の断熱材6bの左右側面部を面接触させる状態で配設してある。
【0060】
図1、図2,図5,図7に示すように、上ケース部1Aの外郭は、前面パネル10と、上面パネル11と、背面パネル7の上端部と、左右の側柱パネル8の上端部と、側柱パネル8の上端開口部を閉塞するキャップパネル8aとで形成してあり、前面パネル10の後方延出部10a(即ち、エレメント収容部2の天井面を形成する部分)には、吸放熱エレメント3の上端部を挿通する複数の上部切欠き10bを左右に並べて波形状に形成してある。
【0061】
また、上ケース部1Aにおける前面パネル10の下側部分10cは、下側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜下側部分10cとそれに連なる後方延出部10aとにより、暖房運転時におけるエレメント収容部2の上部からの暖気流出を円滑にする。
【0062】
上ケース部1Aの内部には、前後一対の上部フレーム12と、その下方における前後一対のエレメント上部支持フレーム13とを配置してあり、上面パネル11は、前後の上部フレーム12にわたらせて取り付け、前面パネル10と前後の上部フレーム12と前後のエレメント上部支持フレーム13とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0063】
図1,図2、図4,図8に示すように、下ケース部1Bの外郭は、前面パネル14と、閉塞板6の下端を受け止める後部上面パネル15と、背面パネル7の下端部と、左右の側柱パネル8の下端部とで形成してあり、この前面パネル14の後方延出部14a(即ち、エレメント収容部2の底面を形成する部分)には、上ケース部1Aの前面パネル10における後方延出部10aと同様、吸放熱エレメント3の下端部を挿通する複数の下部切欠き14bを左右に並べて波形状に形成し、これに対し、後部上面パネル15には、その後方延出部14aにおける波形状部分の各頂部と係合連結させる係合突起15aを設けてある。
【0064】
下ケース部1Bにおける前面パネル14の上側部分14cは、上側ほど後方に引退する傾斜姿勢にしてあり、この傾斜上側部分14cとそれに連なる後方延出部14aとにより、上ケース部1Aの前面パネル10と同様に、冷房運転時におけるエレメント収容部2の下部からの冷気流出を円滑にする。
【0065】
下ケース部1Bの内部には、前後一対の下部フレーム16と、その上方における前後一対の金属製(本例ではアルミニウム製)のエレメント下部支持フレーム17とを配置してあり、前面パネル14と後部上面パネル15と前後の下部フレーム16と前後のエレメント下部支持フレーム17とは夫々、それらの両端部を左右の側柱フレーム9に連結してある。
【0066】
下ケース部1Bの内部において前後の下部フレーム16とその上方に位置する前後のエレメント下部支持フレーム17との間には、冷房運転時において吸放熱エレメント3から流下する結露水を受け入れるドレンパン18を配置してあり、これに付帯して、下ケース部1Bには、ドレンパン18に受け入れた結露水を排水管19を通じて外部へ排出するドレンポンプ20を内装してある。
【0067】
また、下ケース部1Bの下面部にはベース21を取り付けてあり、このベース21を介して室内機1を室内に設置する。
【0068】
吸放熱エレメント3の支持については、図3,図4,図9,図10に示すように、下ケース部1Bに配置する前後一対のエレメント下部支持フレーム17を横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント下部支持フレーム17は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の一辺部17aがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0069】
また、前後のエレメント下部支持フレーム17は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S1が形成される平行姿勢にして配置してあり、各エレメント下部支持フレーム17における水平姿勢の一辺部17aには、吸放熱エレメント3の並列配置領域に対応する長さで左右方向に延びる浅器状のドレン受具22をそれら前後の一辺部17aに跨らせた状態で、かつ、一辺部17aの上面の一部に当接する状態でドレン受具22の底部22Aの下面に形成した一対の脚部22Cを介して中空状に載置してある。
【0070】
ドレン受具22は、エレメント下部支持フレーム17を構成する金属材料よりも低伝熱性材料である樹脂(本例ではABS樹脂)で成形されており、このドレン受具22の底部22Aの前後中央箇所で、かつ、その長手方向(左右方向)の略全長にわたる部位には、吸放熱エレメント3の各々から流下する結露水をドレンパン18側に流下案内する共通のスリット状の排水口部22aを形成してある。
【0071】
ドレン受具22の底部22Aの下面には、排水口部22aに連通する角筒状の排水筒部22Dを形成してあり、ドレン受具22を前後のエレメント下部支持フレーム17の水平姿勢の一辺部17aに載置することにおいて、ドレン受具22におけるスリット状の排水筒部22Dは、上方からエレメント下部支持フレーム17どうしの間の隙間S1に上方から嵌合状態で挿通して、下方のドレンパン18にその直上方から臨ませてある。
【0072】
ドレン受具22の排水筒部22Dは、前後のエレメント下部支持フレーム17の水平姿勢の一辺部17aにおいて、隙間S1側に沿って下方に折り曲げ形成された側縁部分17eよりも下方位置にまで突出形成され、吸放熱エレメント3の表面から流下する結露水をドレン受具22で受容し、且つ、受容した結露水を前後のエレメント下部支持フレーム17に触れない状態でドレンパン18側に流下案内するように構成されている。
【0073】
吸放熱エレメント3は、その下端を樹脂製のドレン受具22の底部に載せ置くことで、ドレン受具22を介して前後のエレメント下部支持フレーム17に受け止め支持させ、この受け止め支持において、吸放熱エレメント3の下端からの突出伝熱管である下側ベンド管4cは、その外径より大きい開口幅を有するドレン受具22のスリット状の排水筒部22Dに上方から非接触状態で挿通させる。
【0074】
吸放熱エレメント3の下端は、ドレン受具22に載せ置いた状態において、止め具としてのエレメント固定ネジ23を下方から前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aに形成された貫通孔17f及びドレン受具22の脚部22Cに形成された貫通孔22hに挿通させて、そのエレメント固定ネジ23の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの下端部に螺合操作することで、前後のエレメント下部支持フレーム17に固定連結してある。
【0075】
即ち、下側ベンド管4c及び吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17に対して直接には接触させない状態で、また、下側ベンド管4cに支持荷重(特に重力荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3を前後のエレメント下部支持フレーム17により支持するようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく十分な強度で安定的に支持する。
【0076】
ドレン受具22の底部22Aは、図9、図11に示すように、四隅の角部が弧状に形成された隅丸長方形状の輪郭に形成され、この底部22Aの周縁には側壁部22Bを一体形成してあるとともに、底部22Aの上面は、吸放熱エレメント3の下端面に当接する多数の前後方向に沿う帯状の載置面22bと、吸放熱エレメント3の各々から流下する結露水を前後方向に沿ってスリット状の排水口部22aに流動案内する多数の流動案内溝22dとを、ドレン受具22の長手方向に沿って交互に位置する状態で形成してある。
【0077】
ドレン受具22の脚部22Cは、図12に示すように、排水筒部22Dの外周面との間に環状矩形空間を形成する状態で底部22Aの底面に一体形成される環状脚板22eと、この環状脚板22eの内周面と排水筒部22Dの外周面との間の複数箇所に一体形成される補強板22f及び補強円柱体2gとから構成されている。
【0078】
そして、図4、図10に示すように、ドレン受具22の脚部22Cが前後のエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aの上面の一部に当接した状態では、その当接箇所以外のドレン受具22の底部22Aの下面とエレメント下部支持フレーム17の一辺部17aの上面との間に空間S4が形成されるから、吸放熱エレメント3からエレメント下部支持フレーム17への冷熱の伝播を更に効果的に抑制することができる。
【0079】
ドレン受具22の前後幅は、吸放熱エレメント3の下端面の前後幅及び取付け状態での前後のエレメント下部支持フレーム17の最大前後幅(取付け最大前後幅)よりも大に構成されているとともに、ドレン受具22の左右方向長さは、吸放熱エレメント3の並列配置寸法よりも少し大なる長さに構成されている。
【0080】
ドレンパン18の前後幅は前後のエレメント下部支持フレーム17の配置領域の前後幅より大きくしてあり、また、前後のエレメント下部支持フレーム17のL字状横断面形状における他辺部17bの先端屈折部17cは、上記の線対称配置において各エレメント下部支持フレーム17の下部側に位置して下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、ドレン受具22の排水筒部22Dを通じてドレンパン18に受け入れる吸放熱エレメント3からの流下結露水とは別に、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント下部支持フレーム17の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント下部支持フレーム17の他辺部17bにおける傾斜姿勢の先端屈折部17c(傾斜下面部の一例)に伝わらせて流下させることで、ドレンパン18の内部へ確実に受け入れる。
【0081】
一方、図3,図5,図9に示すように、上ケース部1Aに配置する前後一対のエレメント上部支持フレーム13も、エレメント下部支持フレーム17と同様、横断面形状がほぼL字状のフレーム材で形成し、これら前後のエレメント上部支持フレーム13は、側面視において、それらのL字状横断面形状における内方部どうしが対向し、かつ、各々の他辺部13bにおける先端屈折部13cがほぼ水平となる線対称姿勢にして配置してある。
【0082】
また、前後のエレメント上部支持フレーム13は、この線対象姿勢において、それらの間に隙間S2が形成される平行姿勢にして配置してあり、吸放熱エレメント3の上端は、その上端からの突出伝熱管である上側ベンド管4bをその外径より大きい開口幅を有する上記隙間S2に下方から挿通した状態で、各エレメント上部支持フレーム13における他辺部13bの先端屈折部13cに対し下方から対向させ、それら先端屈折部13cの下面との間には融通隙間S3を設けてある。
【0083】
そして、吸放熱エレメント3の上端は、各エレメント上部支持フレーム13における水平姿勢の先端屈折部13cに対し融通隙間S3を介して下方から対向させた状態において、止め具としてのエレメント固定ピン24を上方から前後のエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに貫通させて、そのエレメント固定ピン24の先端側を吸放熱エレメント3における止め具挿通孔3fの上端部に挿入することで、前後のエレメント上部支持フレーム13に止め付けてある。
【0084】
即ち、吸放熱エレメント3の上端側についても、上側ベンド管4b及び吸放熱エレメント3をエレメント上部支持フレーム13に対して直接には接触させない状態で、また、上側ベンド管4bに支持荷重(特に水平方向成分を有する荷重)を掛けない状態で、吸放熱エレメント3の上端部を前後のエレメント上部支持フレーム13により支持し、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が発生することを極力防止するとともに、蛇行伝熱管4と複数の吸放熱エレメント3との一体重量物を無理なく安定的に支持する。
【0085】
前後のエレメント上部支持フレーム13のL字状横断面形状における他辺部13bは、上記の線対称配置において各エレメント上部支持フレーム13の下部側に位置して、水平姿勢となる先端屈折部13cを除き、下側ほど前後内方側に寄る傾斜姿勢になるようにしてあり、これにより、伝熱管4及び吸放熱エレメント3の冷却に伴いエレメント上部支持フレーム13の表面で結露水が生じたとしても、そのフレーム表面における結露水を各エレメント上部支持フレーム13における傾斜姿勢の他辺部13b(傾斜下面部の一例)に伝わらせて、極力前後内方側に寄せた状態(即ち、ドレン受具22での受け止めを確実にした状態)で流下させる。
【0086】
上記のエレメント支持構造では、エレメント固定ネジ23及びエレメント固定ピン24により吸放熱エレメント3の水平方向への変位及び縦軸芯周りでの回転を阻止し、また、吸放熱エレメント3の下端をエレメント固定ネジ23によりエレメント下部支持フレーム17に連結することで、吸放熱エレメント3の浮き上がりを阻止する。
【0087】
さらに、吸放熱エレメント3の上端をエレメント上部支持フレーム13の先端屈折部13cに対し融通隙間S3のある状態で対向させるとともに、吸放熱エレメント3の上端を止め具挿通孔3fに対するエレメント固定ピン24の挿入によりエレメント上部支持フレーム13に止め付けることで、冷却及び加熱による吸放熱エレメント3の熱伸縮を、その熱伸縮に伴いエレメント固定ピン24と止め具挿通孔3fとを縦方向で相対摺動させる状態で許容し、これにより、吸放熱エレメント3の熱伸縮(特に熱伸張)が原因で各フレームに過度な荷重が作用することを回避する。
【0088】
前後一対の上部フレーム12は、横断面形状が上向きに開口するC字状の係合溝部12aを上部に備えるフレーム材で形成してあり、これら上部フレーム12は、係合溝部12aの開口部が上ケース部1Aにおける上面パネル11の側縁に沿って室内に露呈する状態に配置してある。
【0089】
そして、図1,図5に示すように、後側の上部フレーム12には、ボルト頭を係合溝部12aの内部に入れることで外れ止めした1本のボルト25を装着し、このボルト25には、当該ボルト25に対するナット26の螺着によりL字状横断面形状の倒伏防止具27における横辺部27aを回転不能な状態で連結してある。
【0090】
即ち、倒伏防止具27を縦軸芯周りでの回転を阻止した状態でボルト25とともに係合溝部12aに沿わせて横移動させることで、背面側室壁Wに対する倒伏防止具27の適当な連結位置を背面側室壁Wの状況に応じて選択し、その適当連結位置において、ボルト25に対するナット26の締め込みにより倒伏防止具27を係合溝部12aに固定するとともに、倒伏防止具27の縦辺部27bを背面側室壁Wに対してネジ連結することで、地震等による室内機1の倒伏を防止するようにしてある。
【0091】
一方、図4に示すように、前後一対の下部フレーム16は、横断面形状が下向きに開口するC字状の係合溝部16aを下部に備えるフレーム材で形成してあり、これら下部フレーム16における係合溝部16aの内部にボルト頭を入れることで外れ止めしたベース連結用のボルト28と、そのボルト28に対して螺着するナット29とにより、ベース21を下部フレーム16に連結してある。
【0092】
横断面形状がC字状の係合溝部12a,16aを備える上部フレーム12と下部フレーム16は共通のフレーム材により形成してあり、係合溝部12a,16aを備える共通フレーム材を、その係合溝部12a,16aがフレーム上部に位置する状態とフレーム下部に位置する状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材を上部フレーム12と下部フレーム16とに兼用する。
【0093】
また同様に、横断面形状がL字状のエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17も共通のフレーム材で形成してあり、横断面形状がL字状の共通フレーム材を、そのL字状横断面形状における一辺部13a,17aが水平姿勢になる状態と他辺部13b,17bにおける先端屈折部13c,17cが水平姿勢になる状態とに姿勢を異ならせて使用することで、その共通フレーム材をエレメント上部支持フレーム13とエレメント下部支持フレーム17とに兼用する。
【0094】
つまり、このように共通フレーム材を兼用することで、フレーム材の必要種数を少なくして室内機1の製作コストを低減する。
【0095】
図2,図3,図4に示すように、下ケース部1Bの内部には、エレメント下部支持フレーム17周り及びドレンパン18を収容する空隙部を形成するとともに前面パネル14の内面及び背面パネル7の内面に合致する外郭形状にした成型断熱材30を充填してあり、この成型断熱材30は前側分割部分30aと後側分割部分30bとに2分割して、前側分割部分30aを前面パネル14の内面に取り付け、後側分割部分30bを背面パネル7の下端部内面に取り付けてある。
【0096】
即ち、室内機1の組立において、下ケース部1Bの前面パネル14及び背面パネル7を組み付けることで、下ケース部1Bの内部に成型断熱材30が充填装備されるようにしてあり、そして、成型断熱材30を設けることにより、エレメント収容部2からの降下冷気が下ケース部1Bの内部に侵入することを防止し、これにより、その冷気侵入に原因する前面パネル14の外面での結露発生及び背面パネル7の下端部外面での結露発生を防止するとともに、併せて、受け入れ結露水に原因するドレンパン18の外面での結露発生を防止する。
【0097】
図6に示すように、左右の側柱ケース部1Cの内部には、側柱パネル8の内面及び側柱フレーム9の外側面に合致する外郭形状にした柱状の成型断熱材31を、側柱パネル8と側柱フレーム9との間に介在させる状態で充填してあり、これにより、側柱パネル8の外面での結露発生を防止する。
【0098】
また、閉塞板6の左右側面部における内面側板材6aとそれに近接対向する側柱フレーム9の内側面との間に、閉塞板6の外面側断熱材6bを介在させることで、側柱フレーム9への冷熱伝導を抑止するのと併せて、図9に示す如く、前後一対のエレメント下部支持フレーム17は、それらの両端部を側柱フレーム9との間に樹脂製の断熱スペーサ32を介在させて側柱フレーム9に連結してある。これにより、側柱フレーム9へのエレメント下部支持フレーム17からの冷熱伝導も抑止して、側柱フレーム9での結露発生及び側柱パネル8の外面での結露発生を一層確実に防止する。
【0099】
左右の側柱ケース部1Cにおける上記成型断熱材31には、上下方向に延びる配管挿通用の切欠き31aを形成してあり、エレメント収容部2の下部で蛇行伝熱管4の一端に接続した渡り冷媒管5aを左右一方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くとともに、ドレンパン18からの排水管19を左右他方の側柱ケース部1Cにおける上記配管挿通用の切欠き31aに通して上ケース部1Aに導くようにしてある。
【0100】
即ち、これら配管挿通用の切欠き31aを通じて上部に導いた渡り冷媒管5a及び排水管19と、エレメント収容部2の上部で蛇行伝熱管4の他端に接続した渡り冷媒管5bとの三管を纏めた状態で上ケース部1Aから機外に延出させ、これにより、一般の壁掛式エアコンで用いる室壁上部の配管用貫通孔を利用して、上記の三管5a,5b,19を室外に延出させることができるようにしてある。
【0101】
なお、室壁下部の配管用貫通孔を確保できる場合は、その室壁下部の配管用貫通孔を通じて上記三管5a,5b,19を室外に延出させてもよい。
【0102】
図3,図5に示すように、上ケース部1Aの後面パネルとなる背面パネル7の上端部内面には、組み付け状態において閉塞板6の後面側断熱材6bに連なる断熱材6cを貼設してあり、この上ケース部1Aには、図1に示すように、前面パネル10に設けた運転ランプや異常ランプの点消灯操作、及び、前面パネル10に設けた受信部で受けたリモコン発信信号の処理などを行なう制御器33を内装してある。
【0103】
また、図4に示すように、ドレンパン18には、排水管19へ排出する排水中の塵埃等異物を捕集するストレーナ34をドレンパン深底部18aの排水口部(即ち、排水管19の接続口部)に設けるとともに、ドレンパン内水位の変化によりオンオフ動作する第1及び第2のフロートスイッチ35a,35bを深底部18aとその近傍の底部とに各別に装備してあり、上記制御器33は、これらフロートスイッチ35a,35bのオンオフ動作に基づきドレンポンプ20を発停するなどの排水制御も実行する。
【0104】
この排水制御について具体的には、第1及び第2フロートスイッチ35a,35bはいずれも、ドレンパン18内の水位が各々のオンオフ水位より高くなるとオン動作し、水位が各々のオンオフ水位より低くなるとオフ動作するものであり、第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の発停でドレンパン18内の貯留水が適切に排出される状況では、第2フロートスイッチ35bがオン動作することのないように、第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位を第1フロートスイッチ35aのオンオフ水位より高くしてある。
【0105】
制御器33の具体的制御動作としては、水位上昇により第1フロートスイッチ35aがオン動作すると、制御器33はドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0106】
そして、この排水開始による水位低下で第1フロートスイッチ35aがオフ動作すると、制御器33は設定排水時間T1の計時を開始し、この計時において第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点から設定排水時間T1が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止してドレンパン18からの排水を停止する。
【0107】
即ち、冷房運転時においては結露水が連続してドレンパン18に流入することに対し、上記の如き第1フロートスイッチ35aのオンオフ動作に基づくドレンポンプ20の間欠的な運転により、ドレンパン18内の水位を第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より低位に保つ。
【0108】
一方、ドレンパン18への結露水の流入に対し、第1フロートスイッチ35aの故障などによる排水不良で、ドレンパン18内の水位が第2フロートスイッチ35bのオンオフ水位より上昇して第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、制御器33は、圧縮機を停止して冷媒Rの循環を停止するとともに、ドレンポンプ20を起動してドレンパン18からの排水を開始する。
【0109】
また、制御器33は第2フロートスイッチ35bがオン動作すると、設定保全時間T2の計時を開始し、この計時において第2フロートスイッチ35bのオン動作時点から設定保全時間T2が経過すると、制御器33はドレンポンプ20を停止する。
【0110】
即ち、排水不良の発生に対し、圧縮機を停止して以降の結露水の発生を無くした状態で、ドレンポンプ20を設定保全時間T2にわたって運転することにより、水位上昇したドレンパン18内の貯留水を迅速に排出し、これにより、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを防止する。
【0111】
なお、設定保全時間T2としては、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量をドレンポンプ20の運転により排出するのに足りる時間を設定してある。
【0112】
ドレンパン18の容量は、第2フロートスイッチ35bのオン動作による圧縮機の停止後もドレンパン18に流入する残留結露水の全量を受け入れ貯留することができる容量にしてあり、これにより、排水不良の原因がドレンポンプ20そのものの不良であった場合でも、ドレンパン18から貯留水がオーバーフローする漏水トラブルを回避できるようにしてある。
【0113】
また、本例では、設定排水時間T1として、第1フロートスイッチ35aのオフ動作時点における水位がドレンポンプ20の運転による排水で排水口部(即ち、ドレンパン深底部18aの底面)まで低下するのに要する時間を設定してある。
【0114】
ドレンポンプ20には逆止弁機能を備えるポンプを用いて、排水管19からドレンパン18に向う排水の逆流を防止するようにしてあり、また、ドレンポンプ20は、ドレンパン18から下方に延出させたる排水管19のポケット配管部(即ち、水溜まり状態となる配管部分)に介装してあり、これにより、設定排水時間T1の上記の如き設定とも相俟って、異音発生やポンプ不良などの発生原因となるドレンポンプ20の空運転(即ち、送水すべき水がポンプに存在しない状態でのポンプ運転)を防止する。
【0115】
〔別実施形態〕
次の本発明の別実施形態を列記する。
【0116】
上述の実施形態では、伝熱管4に通過させる熱媒として冷凍回路の循環冷媒Rを伝熱管4に通過させる例を示したが、伝熱管4に通過させる熱媒は冷水やブライン、あるいは、氷水スラリーなどであってもよい。
【0117】
エレメント下部支持フレーム17及びエレメント上部支持フレーム13夫々の横断面形状は、上述の実施形態で示した横断面形状に限られるものではなく、種々の変更が可能である。
【0118】
また、上述の実施形態ではエレメント収容部2を室内機1の前方に対してのみ開放させる例を示したが、閉塞板6を省略した形態で、エレメント収容部2を室内機1の前方及び後方の両方に対して開放させ、これにより、エレメント収容部2から冷気流出や暖気流出による冷暖房を室内機1の前方室内領域と後方室内領域とに施すようにしてもよい。
【0119】
上述の実施形態では、ドレン受具22の底部22Aに、吸放熱エレメント3の各々から流下する結露水をドレンパン18側に流下案内する共通のスリット状の排水口部22aを形成したが、各吸放熱エレメント3から流下する結露水をそれぞれ各別にドレンパン18側に流下案内する複数の排水口部22aを形成してもよい。
【0120】
上述の実施形態では、前記ドレン受具22を、吸放熱エレメント3の並列配置領域に対応する長さに構成したが、各吸放熱エレメント3の設置領域に対応する長さに構成して、各吸放熱エレメント3の下端部とエレメント下部支持フレーム17との間の各々にドレン受具22を配設してもよい。
【0121】
ドレン受具22及びドレンパン18夫々の横断面形状は、上述の実施形態で示した横断面形状に限られるものではなく、種々の変更が可能である。
また、ドレン受具22は樹脂に限定されるものではなく、低伝熱性の金属、セラミック、金属の周囲に樹脂塗装等の適宜手段で樹脂皮膜を形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0122】
3 吸熱エレメント(吸放熱エレメント)
4 伝熱管
R 冷熱媒
17 支持フレーム(エレメント下部支持フレーム)
4c 突出伝熱管(下側ベンド管)
S1 隙間
18 ドレンパン
22 ドレン受具
22A 底部
22C 脚部
22D 排水筒部
22a 排水口部
23 固定ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器体に、伝熱管を貫通させてある縦姿勢の吸熱エレメントと、この吸熱エレメントの下端部を支持する支持フレームと、前記吸熱エレメントから流下する結露水を支持フレームよりも下方位置で受け入れるドレンパンとを装備して、前記伝熱管に冷熱媒を通過させて吸熱エレメントを冷却することで当該吸熱エレメント周りの空気を冷却する空調装置であって、
前記吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に、吸熱エレメントから流下する結露水を受容し、且つ、受容した結露水を支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内する支持フレームよりも低伝熱性のドレン受具を設けてある空調装置。
【請求項2】
前記ドレン受具の底部の下面には、当該底部の排水口部から排出される結露水を支持フレームに触れない下方位置にまで流下案内する排水筒部が設けられている請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記ドレン受具の底部の下面には、支持フレームの上面の一部に当接する脚部が設けられている請求項1又は2記載の空調装置。
【請求項4】
前記支持フレームが、前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管が非接触状態で挿通される隙間を空けて前後一対配設されているとともに、前記ドレン受具が、前後一対の支持フレームの上面にわたって前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管と非接触状態で載置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記ドレン受具が、前記吸熱エレメントの並列配置領域に対応する長さに構成されているとともに、前記ドレン受具の底部には、前記吸熱エレメントの各々から流下する結露水をドレンパン側に流下案内する共通の排水口部が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項6】
前記ドレン受具の前後幅が、吸熱エレメントの下端の前後幅及び支持フレームの前後幅よりも大に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項7】
前記ドレン受具の排水筒部が支持フレームに上方から嵌合保持されている請求項2記載の空調装置。
【請求項8】
前記支持フレームから前記ドレン受具の脚部を貫通して挿通された固定ネジが吸熱エレメントの下端部に螺合固定されている請求項3記載の空調装置。
【請求項9】
前記支持フレームが金属製であり、前記ドレン受具が樹脂製である請求項1〜8のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項1】
器体に、伝熱管を貫通させてある縦姿勢の吸熱エレメントと、この吸熱エレメントの下端部を支持する支持フレームと、前記吸熱エレメントから流下する結露水を支持フレームよりも下方位置で受け入れるドレンパンとを装備して、前記伝熱管に冷熱媒を通過させて吸熱エレメントを冷却することで当該吸熱エレメント周りの空気を冷却する空調装置であって、
前記吸熱エレメントの下端部と支持フレームとの間に、吸熱エレメントから流下する結露水を受容し、且つ、受容した結露水を支持フレームに触れない状態でドレンパン側に流下案内する支持フレームよりも低伝熱性のドレン受具を設けてある空調装置。
【請求項2】
前記ドレン受具の底部の下面には、当該底部の排水口部から排出される結露水を支持フレームに触れない下方位置にまで流下案内する排水筒部が設けられている請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記ドレン受具の底部の下面には、支持フレームの上面の一部に当接する脚部が設けられている請求項1又は2記載の空調装置。
【請求項4】
前記支持フレームが、前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管が非接触状態で挿通される隙間を空けて前後一対配設されているとともに、前記ドレン受具が、前後一対の支持フレームの上面にわたって前記吸熱エレメントの下端から突出する伝熱管と非接触状態で載置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記ドレン受具が、前記吸熱エレメントの並列配置領域に対応する長さに構成されているとともに、前記ドレン受具の底部には、前記吸熱エレメントの各々から流下する結露水をドレンパン側に流下案内する共通の排水口部が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項6】
前記ドレン受具の前後幅が、吸熱エレメントの下端の前後幅及び支持フレームの前後幅よりも大に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項7】
前記ドレン受具の排水筒部が支持フレームに上方から嵌合保持されている請求項2記載の空調装置。
【請求項8】
前記支持フレームから前記ドレン受具の脚部を貫通して挿通された固定ネジが吸熱エレメントの下端部に螺合固定されている請求項3記載の空調装置。
【請求項9】
前記支持フレームが金属製であり、前記ドレン受具が樹脂製である請求項1〜8のいずれか1項に記載の空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−88007(P2013−88007A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228117(P2011−228117)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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