説明

穿孔されたウェブ形状材料を作成するための方法及びシステム

本発明は、溶融された端部を有する孔をウェブ形状材料に形成するための方法であって、回転超音波ホーン(1)と回転アンビルローラ(2)との間のニップを通じてウェブ形状材料(4)を搬送するステップを備え、これによりウェブ(4)が回転速度を有するアンビルローラ(2)上に存在する間に、溶融領域を前記ウェブ形状材料に作成し、超音波ホーン(1)の回転速度を、アンビルローラ(2)の回転速度とは別の速度に制御し、これによりホーン(1)とアンビルローラ(2)との間に速度差を作成し、この速度差はウェブに作成された応力がウェブ形状材料(4)の溶融領域の中心を破断させるように働くように選択され、これにより溶融された端部を有する前記孔が作成される方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転超音波ホーンと回転アンビルローラ(anvil roller)との間のニップ(nip)を通じてウェブ形状材料を供給し、これによりウェブが所定の回転速度を有するアンビルローラ上に存在する間に、溶融領域を前記ウェブ形状材料に作成するステップを備える、ウェブ形状材料に、溶融された端部を有する孔を作成するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
穿孔された表面材料はしばしば、オムツ、生理用ナプキン又は同様の物のような、個人用医療製品に用いられる。穿孔された材料は、例えば表面シートとして、製品の内部の中間層として、又はこれら表面シート又は中間層の端部において用いることができる。
【0003】
特定のアプリケーションのために、シールされた端部を備える穿孔されたウェブ形状材料を有することが望ましい。例えばこれは、吸収性製品の表面シート又は捕捉層として用いられる材料の場合であり得る。シールされた端部は、表面シート上に収容された任意の液体が、孔の端部を介して吸収されることなく孔を通過することを保証する。
【0004】
しかしながら、穿孔された材料の用途は、液体が材料を通過できることを意図された材料に限定されない。また、例えば穿孔された材料は、材料が通気することを可能にするように孔を有し、吸収性を有することもできる。
【0005】
シールされた端部を有する、穿孔されたウェブ形状材料を形成するための既知のプロセスは、熱接着とそれに続く熱接着領域の穿孔、ニードリング(needling)、機械的な切り込み、レーザー切り込み、水ジェット切り込み等とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0457187号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、穿孔された材料は単独で入手されて製品製造プロセスに供給され、そこで使い捨て可能な個人用医療製品のような製品を形成するように結合される。従って、吸収性製品の製造業者は、十分な量の穿孔された材料を注文及び備蓄せねばならず、既に取得した穿孔された材料を、例えば新製品の需要に合わせることに関して、限定された能力しか有しない。
【0008】
あるいは、製品製造業者は彼ら自身の穿孔装置を有することはできるが、前記穿孔装置はその場合、完成した吸収性製品を形成するための装置とは切り離されている。
【0009】
上述を考慮すると、個人用医療製品のインライン製造プロセスに包含されることに適した、穿孔されたウェブ材料を作成する方法を提供することが望ましい。この目的のためには、この方法は、異なる種類の個人用医療製品の製造に必要とされる場合がある、異なるライン速度に適用可能であるべきである。
【0010】
さらに、穿孔された表面材料がインラインプロセスにおいて作成されているか否かに関わらず、一般的に、コスト効率が高く且つ迅速な方法によって、穿孔された表面材料を提供する必要性が存在する。
【0011】
また、コスト効率が高く且つ迅速な方法によって、穿孔された積層表面材料を提供する必要性も存在する。
【0012】
本発明の目的は、シールされた端部を有する穿孔されたウェブを作成する方法を提供することであり、この方法は1つ以上の上述の態様に鑑みて有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的は、
・回転する超音波ホーンと回転するアンビルローラとの間のニップを通じてウェブ形状材 料を供給し、これにより、所定の回転速度を有するアンビルローラ上にウェブが存在す る間に、ウェブ形状材料に溶融領域を作成するステップを備える、ウェブ形状材料に、 シールされた端部を有する孔を作成する方法であって、
超音波ホーンの回転速度を、アンビルローラの回転速度とは別の速度に制御し、これによりホーンとアンビルローラとの間に速度差を作り出し、この速度差は、ウェブに引き起こされた応力が、ウェブ形状材料の溶融領域の中心を破断させるように作用するように選択され、これにより溶融端部を有する孔が作成される方法によって達成される。
【0014】
上述の方法は、吸収性製品の製造のためのインラインプロセス内に含めやすいという利点を有する。この方法は、ホーンとローラとの間の速度差の制御に依存するため、この方法は広範囲のアンビルローラ速度において用いることが可能であり、且つインラインプロセスの要求に容易に適合させることが可能である。
【0015】
方法は、超音波ホーンとアンビルローラとの間の速度差によってウェブに引き起こされた応力を活用し、これにより孔を作成する。簡単に言えば、超音波エネルギーはウェブ形状材料に、比較的脆性である溶融領域を作成する。ウェブは、速度差によって引き起こされた応力による影響を受けるため、領域の脆性中心は破断する。しかしながら、溶融領域の端部は無傷のままである。その結果、溶融された端部を有する孔が作成される。
【0016】
超音波によって溶融した領域が意図せず断裂する場合があることは、従来知られていた。しかしながら、このプロセスは、不規則に生じる不良であるとみなされており、この不良は例えば超音波積層製品を形成する際に回避されるべきものであった。
【0017】
本発明は、溶融された端部を有する孔をウェブ材料に意図的に製造するための、信頼性を有するとともに制御可能な方法を提供することを目的とし、この孔は、例えば積層化のためのプロセスにおける不良として不規則に生じるような孔とは明確に異なる。
【0018】
とりわけ、速度差は能動的に制御されるとともに選択され、これにより、溶融された端部を有する要求される孔に意図的に到達する。
【0019】
孔の製造は、ウェブ領域全体にわたって連続的に行われるか、又は例えばウェブ領域の選択された領域において断続的に行われてもよい。
【0020】
超音波溶着技術の多角性は、吸収性物品のインライン製造のために用いられるような速度を含む広範囲の製造速度に対して提案される方法が適切である、という利点と共に、提案される方法を物品のインライン製造のための製造ラインに含めることを、とりわけ適切とする。このような状況において、この方法が実行される際、製造業者には、インライン製造プロセスにおいて用いるための、標準的な穿孔されていないウェブ材料を調達し備蓄することのみが必要とされる。提案される方法を用いて、選択された孔を標準のウェブ材料にインラインで設けることができ、前記孔はインラインプロセスにおいて製造された吸収性物品のニーズに適切に適合する。
【0021】
有利なことには、ニップは非接触型ニップとすることができる。非接触型ニップの使用は結果として関連するコンポーネントの消耗を減少させるので、このことは好ましい。しかしながら、この方法自体が非接触型ニップに限定されることはなく、接触型ニップをも用いることができる。
【0022】
好ましくは、ホーンの回転速度はアンビルローラの回転速度と関連させて制御することができ、これによりアンビルローラの速度に関わらず、制御された速度差を保持する。このことは、とりわけ適合しやすいシステムを提供し、このシステムにおいては、プロセス全体の速度を、孔の作成に実質的に影響することなく変化させることができる。このことは、この方法がインライン製品製造プロセスに含まれている場合にとりわけ有益であり、何故なら、製法における異なる製造ステップに関する異なる目的のために、全製造ラインの速度を変化させることが必要とされる場合があるためである。
【0023】
有利なことには、ウェブ形状材料は少なくとも2枚の別々の層を備えることが可能であり、これらの層は、少なくとも2つの層が前記孔の溶融された端部を介して一緒に積層されるように非接触式ニップを通じて供給される。この場合、ウェブ形状材料はワンステップ製法において積層され、穿孔される。このことは、積層され穿孔された層を作成するための単純且つ頑強なプロセスを提供し、このことは完全に見当合わせされた状態での積層及び穿孔をさらに提供する。
【0024】
ウェブ形状材料は、任意の枚数の層、例えば少なくとも4枚、好ましくは少なくとも6枚の別々の層を備えることが可能であり、これら別々の層は前記孔の溶融された端部を介して一緒に積層される。層の厚さが、加えられる超音波エネルギーが全ての層を通じて適切に伝わり、この層の材料が溶融する程度である限り、提案される方法では比較的多数の層を積層し、且つ穿孔することが可能であると考えられる。
【0025】
好ましくは、ホーンの回転速度は0以外であり、例えばホーンは回転することを実際に意図されている。
【0026】
有利なことには、アンビルローラの回転速度に対する、アンビルローラとホーンとの間の回転速度の差((ローラ速度−ホーン速度)/ローラ速度)が、アンビルローラの速度の±10〜100%、好ましくは±10〜90%、最も好ましくは±30〜90%の範囲内にある。
【0027】
アンビルローラ及びホーンは、同一方向又は異なる方向に回転することができる。アンビルローラ及びホーンが異なる方向に回転する場合、アンビルローラとホーンとの間の速度差は、アンビルローラの方向を正方向として用いた真の相対速度差として計算されることが理解される。例えばアンビルローラが時計方向に回転する場合、時計方向回転が正となり、ホーンが反時計方向に回転する場合、反時計方向回転は負となる。従って、ローラ速度からホーン速度を減じた値は、回転速度の真の差を与える。
【0028】
上述の速度差は、要求される孔の作成のためにとりわけ適切であると考えられる。
【0029】
有利なことには、アンビルローラとホーンとの間の回転速度の差は、20〜300m毎分の範囲内、好ましくは25〜250m毎分の範囲内、最も好ましくは100〜250m毎分の範囲内にある。
【0030】
有利なことには、ホーンの回転速度は5〜500m毎分、好ましくは50〜450m毎分の範囲にある。
【0031】
とりわけ、ウェブ形状材料の表面層の重量(surface weight)の合計が10gsm〜300gsmである。
【0032】
ウェブ形状材料は、超音波溶着しやすい任意の材料とすることができる。好ましくは、このような材料は熱溶融材料を備えることができる。
【0033】
しかしながら、多層のウェブ形状材料が本方法(即ち積層の実行)の結果として形成される場合、全ての層が溶融可能な材料を含む必要はないことが理解される。むしろ、溶融する材料を含んでいる少なくとも1つの層があれば、要求される積層を達成可能とするために十分である。例えば、非溶融性の層を2枚の溶融性の層の間に挟み、シールされた端部を有する孔を作成するための方法にかけることができる。その場合、本方法は結果的に、3枚の層全てが孔のシールされた端部に沿って一緒に積層されている、多層ウェブをもたらす。
【0034】
好ましくは、ウェブ形状材料は少なくとも1つの不織材料の層を備える。不織材料は、同質の、又は混合された繊維を含む繊維性材料である。好ましくは、幾らかの、又は全ての繊維は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリマー材料、若しくはポリエステル、ナイロン又は同様の物から作られた別の材料を備えることができる。
【0035】
代替的に、又は不織材料に加えて、ウェブ形状材料は少なくとも1つのフィルム材料の層を備えることができる。適切なフィルムは、例えばポリエチレン又はポリプロピレンのような熱可塑性材料からなるフィルムとすることができる。
【0036】
またウェブ形状材料は、木質繊維若しくは綿繊維のような天然繊維、発泡材料、又は超音波技術を用いて溶着することが可能な別の材料から作られる材料の形をとる、少なくとも1つの層を備えることができる。
【0037】
提案される方法によって、例えば不織材料を不織材料に、不織材料をフィルム材料に、又はフィルム材料をフィルム材料に接着し、これにより多層材料を形成することが可能である。
【0038】
また、ウェブ形状材料は、シールされた端部を有する孔を作成する方法にかけられる前に既に積層されている多層材料を備えることもできる。その場合、多層材料の積層は、孔周囲への溶融領域の作成によって強化することができる。また、積層材料は、提案される手段を用いて1つ以上の付加的な層へ結合される、1つの層を形成することも可能である。
【0039】
好ましくは、ウェブ形状材料全体が、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1つを備える。
【0040】
好ましくは、ホーン及びアンビルローラを、溶融領域の幅がウェブの横方向において0.5〜2.5mmの範囲内にあり、好ましくは0.6〜2.0mmの範囲内にあるように、選択することができる。この溶融領域の幅は、孔を含む領域の幅(即ち、シールされた端部を有する孔の幅)であると理解される。従って、仕上げ済みの製品の溶融領域の幅を計測する際に、計測は機械方向(machine direction)において、且つ孔全体にわたって実施される。孔自体は、溶融領域の幅よりも小さい横方向の幅を有することが理解される。
【0041】
提案された方法は、比較的小さく離散的な、シールされた端部を有する孔を作成するために、とりわけ適切である。このようなシールされた端部を有する孔は、機械方向における伸展と略同一の、横方向における伸展を有することができ、例えば円形状の形状又は正方形状の形状を有する。ホーン及びアンビルローラは、孔を含む溶融領域の個別の面積が、0.01mmより大きく、例えば0.2mm〜3.5mm、好ましくは0.3mm〜3mmの範囲内にあるように、有利に選択することができる。
【0042】
しかしながら、横方向に対して垂直な機械方向における溶融領域の伸展は、著しく変動し得る。例えば、孔を含む延長された溶融領域は、機械方向への比較的大きな伸展を有するように作成することができる。この場合、溶融領域の個別の面積は、例えば3mmより大きく、好ましくは5mmより大きく、最も好ましくは10mmより大きくてもよい。
【0043】
さらに、上述において例示された孔より著しく大きな孔を、提案される方法を用いて作成できることが理解される。
【0044】
通常、溶融領域及び/又は孔の、サイズ又は面積を測定するために、画像分析法を用いることができる。
【0045】
溶融領域のサイズは通常、アンビルローラの外観によって制御することができ、このアンビルローラには選択された個別の領域を有する突起を設けることができ、この突起が溶融領域の形成に影響する。溶融領域は、従来技術にて知られるように、前記突起に対向するウェブ形状材料に出現する。
【0046】
本発明の別の態様において、吸収性物品の製造方法が提供され、この製造方法では、ウェブ形状材料が、物品形成プロセスにおいて物品内のシートを形成するように準備され、このウェブ形状材料は物品形成プロセスによって、且つ物品形成プロセスの前に、インラインで開口される。従って、この場合開口プロセスは、吸収性物品を製造するためのインラインプロセスの一部を形成する。
【0047】
このような物品において、穿孔されたウェブ形状材料は、表面シート、遷移シート(transition sheet)又は同様の物のような、通常は孔が開いている任意のシートを形成することができる。
【0048】
本発明の別の態様において、シールされた端部を有する孔をウェブ形状材料に連続的に作成するためのシステムであって、
・回転するアンビルローラと、
・回転する超音波ホーンと、
を備え、
前記ウェブ形状材料に溶融領域を作成するために、前記アンビルローラと前記ホーンとは、対向関係に配置されてニップを形成し、このニップを通じて、前記アンビルローラ上に存在するウェブを搬送することができ、
アンビルローラの回転速度に対して独立して前記ホーンの回転速度を制御する手段によって、システムが溶融領域に孔を作成するために十分な応力をウェブに作成するように調節されることができ、その結果、ウェブに溶融された端部を有する孔がウェブに設けられるシステムを提供する。
【0049】
本方法に関連して上述された特徴及び利点は、システムに対して同様に適用することが可能である。
【0050】
本発明は、限定を伴わない実施例、及び添付の図面を参照することにより、幾分詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】孔を作成するための方法の実施形態を実行するための、システムの実施例の図解である。
【図2a】本発明に従った方法の実施形態によって得られる、穿孔されたウェブの実施形態の図解である。
【図2b】本発明に従った方法の実施形態によって得られる、穿孔されたウェブの別の実施形態の図解である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、ウェブ形状材料に、溶融された端部を有する孔を連続的に形成するための方法を実行するためのシステムを、概略的に示している。
【0053】
回転アンビルローラ(anvil roller)2と回転超音波ホーン(ultrasonic horn)1とは、ニップ(nip)を形成するために配置され、このニップにおいてウェブ形状材料4に孔が開けられる。アンビルローラ2とホーン1との回転速度は、それぞれコントローラ3によって制御される。有利なことに、コントローラ3は、アンビルローラ2の速度に関わらず、ホーン1とアンビルローラ2との速度差を一定に保つことができる。ウェブ形状材料4はアンビルローラ2上に供給され、このため、アンビルローラ2の速度はシステムの送り速度を決定する。
【0054】
システムが、例えば吸収性物品を形成するための機械を有してインライン配置された場合、アンビルローラ2の速度は、吸収性物品形成プロセスの送り速度と調和しなければならない。従って、システムの速度が可変であることは有利である。
【0055】
回転アンビル及び回転超音波ホーンには、例えば特許文献1に記載されているような、以前より知られている技術を用いることができる。しかしながら、従来技術において、回転ホーンとアンビルとは通常、ホーンとアンビルとの間に速度差が生じないように制御されている。ホーンとアンビルとの回転速度の制御は、本明細書に記載されているように、従来の自動制御工学を用いて適合されてもよい。
【0056】
図1に図示される実施形態においては、ウェブ形状材料4は、超音波ホーン1とアンビルローラ2との間のニップ内に直接供給される。図示されている実施形態においては、ニップは非接触式のニップである。必要に応じて、ウェブ形状材料を、ニップ内に供給される前に予備圧縮ユニットにおいて圧縮することができる。
【0057】
ウェブ形状材料4が幾らかの層を備える場合には、個別の層のための材料は、個別のローラから供給され、(存在する場合には)予備圧縮ユニットの前、又はホーン1とアンビルローラ2との間のニップ内に同時に供給される前に、合流させることが可能であることは、理解されるべきである。
【0058】
図示される実施形態においては、回転アンビルローラ2と回転ホーン1とは、同一の回転方向に回転するように図示されている(矢印を参照されたい)。このことは、特にユニットの制御を容易にするという点で、とりわけ有利であると思われる。しかしながら、ホーン1とアンビルローラ2とは、異なる回転方向に回転することもできる。
【0059】
使用する正確な速度差は、例えばウェブ形状材料の材料、材料の厚さ、及びウェブ形状材料の層の数に応じて変化する。しかしながら、適切な速度差を具体的な事例において選択するプロセスは、当業者によって容易に行われる。従来のシステムの超音波ホーンの振動数は通常は選択可能ではなく、約20kHz〜40kHzの範囲内のままであり、当業者は予備選択された所定の振動数に拘束される。
【0060】
ホーンの溶着力は、アンビルロールとの接触が生じる前に、利用可能な最大の力に調節することができる。アンビルロールとの接触は、部品の消耗をもたらすので、通常は望ましくない。
【0061】
ひとたび溶着力が設定されると、当業者は、選択されたウェブ材料を用いたプロセスを開始することが可能であり、溶融された端部を有する孔が結果として生じるまで、アンビルとホーンとの間の速度差を変更することが可能である。溶融された端部を有する孔、という望ましい結果は当業者によって容易に検証可能であり、このことは正確な速度差の設定を容易にする。通常、適切な速度差は、上述に特定されたものであると考えられている。
【0062】
図2aは、提案された方法の実施形態によって得られた、穿孔されたウェブの実施形態の一部を図示している。ウェブ10には孔20が設けられ、それぞれの孔は溶融領域30によって囲まれ、この溶融領域30において孔20を囲むウェブ材料は、孔20の周囲にシールを形成するように溶融されている。孔20は、最初は欠けていない溶融領域30を断裂させる応力によって作成されるので、実際の孔20の正確な境界は、若干変動する場合があるが、通常は、溶融領域30の輪郭に従う。断裂は通常、シールされた箇所における材料の幾らかの粉砕を伴うと考えられている。従って、結果として生じる孔は、クラック又はスリットを含む溶融領域にあることに限定されない。むしろ、溶融領域における少なくとも幾らかの溶融した材料は粉砕され、故にウェブから除去され、これによりシールされた端部を有する孔が形成される。
【0063】
上述を考慮すると、本方法が、シールされた領域を有する複数の孔を作成するために用いられる場合、前記孔は同一の寸法を有し、画像分析法によって得ることができる孔20のサイズの測定値それ自体によって、孔同士のばらつきが非常に小さいことを明らかにできることが、理解されよう。
【0064】
溶融領域30は、超音波プロセスによって作成された場合、より一様な外観を有する。溶融領域のサイズは同様に、画像分析法を用いて測定することができる。
【0065】
しかしながら、溶融領域30と孔20との間の面積の差は比較的小さく、さらに、異なる個別の孔20に対して実質的に同じであることが理解されよう。従って、孔を含んだ溶融領域の寸法の測定は、孔の寸法を反映させるために用いることが可能であり、多くの実際のアプリケーションにおいて、孔のサイズを近似的に決定するという目的を果たすために十分となり得る。
【0066】
故に、実用的な目的には、穿孔されたウェブ1の特性の相対的な測定として、孔20の寸法よりも、むしろ孔20を含む溶融領域30の寸法を用いることが提案される。
【0067】
図2aにおいて、ウェブ1には多数の離散した孔20が設けられている。ウェブの横方向CDにおいて計測された、孔20を含む溶融領域30の幅(即ち、シールされた端部を伴った孔の幅)aは、ウェブの機械方向(machine direction)MDにおいて測定された長さbと略同一である。この場合、幅a及び長さbは、0.5〜2.5mm、好ましくは0.6〜2.0mmの範囲内とすることができる。別の実施形態において、離散した溶融領域30それぞれの面積は、0.1mmより大きく、好ましくは0.2〜3.5mmの範囲内、最も好ましくは0.3〜3mmの範囲内とすることができる。
【0068】
図2bにおいて、ウェブ1には同様に多数の孔20が設けられている。ウェブの横方向CDにおいて計測された、孔を有する溶融領域30の幅aは、ウェブの機械方向において測定された長さbより大幅に小さい。例えば、長さbは幅aの二倍以上とすることができる。この実施形態における溶融領域30それぞれの面積は、3mmより大きく、好ましくは5mmより大きく、最も好ましくは10mmより大きくすることができる。
【0069】
上述の両実施形態は、多層ウェブを形成する、即ち、2つ以上のウェブ形状材料を溶融領域30を介して積層するのに適切である。
【0070】
本発明は、添付の請求項の範囲内で変形可能であることが理解されよう。例えば本発明は、事実上連続的なウェブ材料単独の形態をとるウェブ形状材料に限定されない。それどころか、材料が超音波デバイスを通過して供給される個別のアイテムからなる場合にも用いることができる。さらに、孔はウェブ形状材料の長さ全体にわたって連続して延在する必要はなく、例えばウェブ形状材料の選択された領域にのみ適用されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 超音波ホーン
2 アンビルローラ
4 ウェブ形状材料
3 コントローラ
10 ウェブ
20 孔
30 溶融領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する超音波ホーン(1)と回転するアンビルローラ(2)との間のニップを通じてウェブ形状材料(4)を供給し、これにより、所定の回転速度を有する前記アンビルローラ(2)上に前記ウェブ(4)が存在する間に、前記ウェブ形状材料に溶融領域を作成するステップを備える、ウェブ形状材料に、シールされた端部を有する孔を作成する方法であって、
前記超音波ホーン(1)の回転速度を、前記アンビルローラ(2)の回転速度とは別の速度に制御し、これにより前記ホーン(1)と前記アンビルローラ(2)との間に速度差を作り出し、
前記速度差は、前記ウェブに引き起こされた応力が、前記ウェブ形状材料(4)の前記溶融領域の中心を破断させるように作用するように選択され、これによりシールされた端部を有する前記孔が作成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アンビルローラ(2)の速度と関連させて前記ホーン(1)の回転速度を制御するステップであって、これにより前記アンビルローラ(2)の速度に関わらず、制御された速度差を保つステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェブ形状材料(4)は少なくとも2枚の個別の層を備え、前記層は、これにより前記少なくとも2枚の層が前記孔の前記溶融された端部を介して一緒に積層されるように前記ニップを通じて供給されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェブ形状材料(4)は、少なくとも4枚、好ましくは少なくとも6枚の別々の層を備え、前記別々の層は前記孔の前記溶融された端部を介して一緒に積層されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ホーン(1)の回転速度が0以外であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アンビルローラ(2)の回転速度に対する、前記アンビルローラ(2)と前記ホーン(1)との間の回転速度の差((ローラ速度−ホーン速度)/ローラ速度)が、前記アンビルローラの速度の±10〜100%、好ましくは±10〜90%、最も好ましくは±30〜90%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アンビルローラ(2)と前記ホーン(1)との間の回転速度の差が、20〜300m毎分の範囲内、好ましくは25〜250m毎分の範囲内、最も好ましくは100〜250m毎分の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ホーン(1)の回転速度が5〜500m毎分、好ましくは50〜450m毎分の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェブ形状材料(4)の表面層の重量の合計が10gsm〜300gsmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ウェブ形状材料(4)は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエステルのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェブ形状材料(4)は、不織材料及び/又はフィルム材料から形成された少なくとも1つの層を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
吸収性の物品を製造するための方法であって、ウェブ形状材料が、物品形成プロセスにおいて前記物品内のシートを形成するように準備され、前記ウェブ形状材料は、前記物品形成プロセスによって、かつ前記物品形成プロセスの前に、請求項1〜11に記載のプロセスを用いてインラインで開口されることを特徴とする方法。
【請求項13】
ウェブ形状材料に、シールされた端部を有する孔を連続的に作成するためのシステムであって、
回転するアンビルローラと、
回転する超音波ホーンと、
を備え、
前記ウェブ形状材料に溶融領域を作成するために、前記アンビルローラと前記ホーンとは、対向関係に配置されてニップを形成し、前記ニップを通じて、前記アンビルローラ上に存在するウェブを供給することができ、
前記アンビルローラの回転速度に対して独立して前記ホーンの回転速度を制御する手段によって、システムが溶融領域に孔を作成するために十分な応力を前記ウェブに作成するように調節されることができ、その結果、前記ウェブにシールされた端部を有する孔が設けられるシステム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公表番号】特表2012−525269(P2012−525269A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508422(P2012−508422)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050435
【国際公開番号】WO2010/126406
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】